JP7465226B2 - 温水暖房システム - Google Patents

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Description

この発明は、室内空気と循環液との熱交換により空調対象空間を暖房する温水暖房システムに関するものである。
従来よりこの種の温水暖房システムにおいては、特許文献1記載のように、室外熱交換器で外気と熱交換した冷媒を液冷媒熱交換器に導き、液冷媒熱交換器にて冷媒から受熱した循環液を、循環液配管を介して室内機(室内空調機)の室内熱交換器に供給し、室内空気を加温するものがあった。
特開2020-159663号公報
上記従来のもののように液冷媒熱交換器で受熱した循環液を循環液配管を介して室内熱交換器へ供給する構成において、特定の種別の室内機においては循環液配管のうち一部が屋外に配置される場合があり、その場合は冬季における循環液の凍結防止を図る必要がある。凍結防止策としては、通常、循環液が凍結温度以下となる前に循環ポンプを起動して循環液を循環させ、必要に応じて圧縮機を起動し、外気と熱交換した冷媒から循環液に放熱することが行われる。この場合、室内空気と熱交換する室内熱交換器に低温の循環液が供給されるため、その循環開始時の室内温度環境によっては前記特定種別の室内機において結露が生じるという問題があった。
上記課題を解決するために、本発明の請求項1では、空調対象空間の室内空気と循環液との熱交換を行う室内熱交換器を備えた室内機と、冷媒通路と循環液通路とを備え、前記冷媒通路内の前記冷媒と前記循環液通路内の前記循環液との熱交換を行う液冷媒熱交換器、前記冷媒と外気との熱交換を行う室外熱交換器、圧縮機及び、前記循環液を流通させる循環ポンプ、を備えた室外機と、を有し、前記液冷媒熱交換器の前記循環液通路と前記室内熱交換器とを循環液配管によって環状に接続して液循環回路を形成し、前記液冷媒熱交換器の前記冷媒通路、前記室外熱交換器、及び、前記圧縮機を冷媒配管で接続して冷媒循環回路を形成して、前記室内機により室内空気を加熱する暖房運転を実行可能な温水暖房システムにおいて、外気温を検出する外気温検出手段と、前記循環液の温度を検出する循環液温度検出手段と、前記室内機の種別を識別可能な識別手段と、前記暖房運転の非実行時において、前記外気温検出手段により検出された前記外気温が所定の第1しきい値未満になった場合に、前記循環ポンプを起動して前記循環液配管内に前記循環液を流通させる第1凍結防止制御手段と、前記識別手段により特定種別の室内機が識別されなかった場合には、前記第1凍結防止制御手段により前記循環液の流通が開始された後に前記循環液温度検出手段により検出された前記循環液の温度が所定の第2しきい値未満となった場合に、前記圧縮機を起動して前記液冷媒熱交換器において前記冷媒から前記循環液へ放熱させる第2凍結防止制御手段と、前記識別手段により特定種別の室内機が識別された場合には、前記第1凍結防止制御手段により前記循環液の流通が開始された後に前記循環液温度検出手段により検出された前記循環液の温度が前記第2しきい値よりも高い所定の第3しきい値未満となった場合に、前記圧縮機を起動して前記液冷媒熱交換器において前記冷媒から前記循環液へ放熱させる第3凍結防止制御手段と、を有するものである。
また、請求項2では、前記第1凍結防止制御手段は、前記識別手段により前記特定種別の室内機が識別された場合には、前記循環ポンプを起動するとともに、前記特定種別の室内機に設けられ前記循環液配管を開閉する開閉弁を閉じ状態から開き状態とするものである。
また、請求項3では、前記識別手段は、前記室内機が前記循環液配管に接続されていることを表す接続情報の取得を図る接続情報取得手段と、前記接続情報取得手段により前記接続情報が取得できたか否かを判定する取得判定手段と、を含むものである。
また、請求項4では、前記室外機に設けられ当該室外機の動作を制御する熱源制御部と、前記室内機に設けられ当該室内機の動作を制御する端末制御部と、前記端末制御部と前記熱源制御部とを有線にて接続するとともに、信号を前記端末制御部から前記熱源制御部へ一方向にのみ伝える第1端末制御線と、前記端末制御部と前記熱源制御部とを有線にて接続するとともに、信号を前記熱源制御部から前記端末制御部へ一方向にのみ伝える第2端末制御線と、をさらに有し、前記接続情報取得手段は、前記第1端末制御線を介し前記端末制御部から前記接続情報の取得を図り、前記第1凍結防止制御手段は、前記第2端末制御線を介し前記端末制御部へ前記開閉弁の開閉信号を送信するものである。
また、請求項5では、前記第2凍結防止制御手段により前記圧縮機が起動された後、前記循環液温度検出手段により検出された前記循環液の温度が所定の第4しきい値を超えた場合に、前記圧縮機を停止するか、若しくは、前記第3凍結防止制御手段により前記圧縮機が起動された後、前記循環液温度検出手段により検出された前記循環液の温度が所定の第5しきい値を超えた場合に、前記圧縮機を停止する運転停止制御手段をさらに有するものである。
また、請求項6では、ガス加熱器、前記ガス加熱器から受熱するガス熱源側熱交換器、及び、前記液循環回路に設けた液温水熱交換器、を温水配管で接続して、温水循環回路を形成し、前記液循環回路では、前記液冷媒熱交換器、前記液温水熱交換器、前記室内熱交換器が直列に配設されるようにしつつ前記循環液配管で接続されているものである。
また、請求項7では、前記第2凍結防止制御手段は、前記循環液が前記第2しきい値未満となった場合でかつ所定の起動条件が満たされた場合には、前記温水配管内の温水の加熱を開始するように前記ガス加熱器を制御し、前記第3凍結防止制御手段は、前記循環液が前記第3しきい値未満となった場合でかつ前記起動条件が満たされた場合には、前記温水配管内の温水の加熱を開始するように前記ガス加熱器を制御するものである。
また、請求項8では、前記室内機は屋内に設けられており、前記室外機は屋外に設けられており、前記循環液配管のうち、前記液温水熱交換器と前記室内熱交換器との間の少なくとも一部が、屋外に設けられているものである。
この発明の請求項1によれば、室外機が室外熱交換器と圧縮機と液冷媒熱交換器とを備え、これらが冷媒配管で接続されている。また液冷媒熱交換器には循環液配管が接続され、この循環液配管には循環ポンプと室内熱交換器とが接続されている。暖房運転時には、圧縮機の駆動により室外熱交換器で外気と熱交換した冷媒が液冷媒熱交換器に導かれ、液冷媒熱交換器にて冷媒から受熱した循環液が循環液配管を介して室内機の室内熱交換器に供給される。これにより、加熱された循環液と室内空気との熱交換が室内熱交換器において行われ、室内空気が加温される。
本願発明においては、冬季の非運転時における循環液の凍結防止のために、所定の凍結防止制御が行われる。そのために、外気温検出手段、循環液温度検出手段、識別手段、第1凍結防止制御手段、第2凍結防止制御手段、第3凍結防止制御手段、が設けられている。
まず第1凍結防止制御手段により、外気温検出手段が検出した外気温が所定の第1しきい値未満になった場合に、循環ポンプが起動されて循環液配管内に循環液を流通させる。その後は、識別手段によって特定種別の室内機を識別できたか否かによって処理が分かれる。
識別手段により特定種別の室内機が識別されなかった場合には、第2凍結防止制御手段により制御が行われる。すなわち、前記のようにして循環液の流通が開始された後、循環液温度検出手段が検出した循環液温度が所定の第2しきい値未満となった場合に、第2凍結防止制御手段によって圧縮機が起動され、液冷媒熱交換器において冷媒から循環液への放熱が行われる。
そして、識別手段により特定種別の室内機が識別された場合には、第3凍結防止制御手段により制御が行われる。前記のようにして循環液の流通が開始された後、循環液温度検出手段が検出した循環液温度が、前記第2しきい値よりも高い第3しきい値未満となった場合に、第3凍結防止制御手段によって圧縮機が起動され、液冷媒熱交換器において冷媒から循環液への放熱が行われる。
このように、本願発明によれば、室内空気と熱交換を行う室内熱交換器を備えた室内機が設けられている場合で、その室内機が特定の種別であることが識別されたことを前提に、循環液温度が通常の第2しきい値よりも高い第3しきい値に達した段階で圧縮機が起動されて冷媒から循環液への放熱が開始される。これにより、室内熱交換器に供給されて室内空気と熱交換を行う循環液の温度を通常よりも高めとすることができるので、その特定種別の室内機において結露が生じるのを防止することができる。
また、請求項2によれば、循環液配管を開閉する開閉弁が特定種別の室内機に設けられている。この場合、前記の第1凍結防止制御手段は、識別手段によって特定種別の室内機の室内熱交換器であることが識別された場合に、前記開閉弁を閉じ状態から開き状態とする。これにより、循環ポンプの起動によって循環液を確実に室内熱交換器へと流通させ、凍結防止を図ることができる。
また、請求項3によれば、識別手段が接続情報取得手段と取得判定手段とを備えている。本願発明においては、室内機が循環液配管に接続されている場合には、その旨を表す接続情報が生成されている。前記接続情報取得手段はその生成済の接続情報の取得を図り、取得判定手段は接続情報が取得できたか否かを判定する。これにより、特定種別の室内機を識別する識別手段としての機能を確実に果たすことができる。
また、請求項4によれば、室内機の端末制御部と室外機の熱源制御部とを有線にて接続する第1端末制御線と第2端末接続線とが設けられている。第1端末制御線は、信号を端末制御部から熱源制御部へと伝える機能を備える。これにより、前記接続情報取得手段は、第1端末制御線を介し前記端末制御部から前記接続情報の取得を図ることができる。第2端末制御線は、信号を熱源制御部から端末制御部へと伝える機能を備える。これにより、前記のように特定種別の室内機の室内熱交換器であることが識別されて第1凍結防止制御手段が前記開閉弁を開き状態とする際に、第2端末制御線を介し端末制御部へと開閉弁の開閉信号を送信することができる。
また、請求項5によれば、前記のように圧縮機が起動されて液冷媒熱交換器において冷媒から循環液への放熱が開始された後、循環液が所定温度に達した場合に、運転停止制御手段によって凍結防止のための前記放熱が停止される。
すなわち、循環液温度が第2しきい値未満となり第2凍結防止制御手段により圧縮機の駆動が開始されていた場合には、循環液温度が第4しきい値となったら圧縮機による冷媒の圧縮が停止される。循環液温度が第3しきい値未満となり第3凍結防止制御手段により圧縮機の駆動が開始されていた場合には、循環液温度が第5しきい値となったら圧縮機による冷媒の圧縮が停止される。以上のようにして、第2凍結防止制御手段により凍結防止が図られる場合も第3凍結防止制御手段により凍結防止が図られる場合も、円滑に冷媒循環回路における圧縮機等の運転を終了することができる。
また、請求項6によれば、室外機における前述の空気熱源に加え、別の熱源となるガス加熱器を備えた温水循環回路が設けられる。温水循環回路の温水配管は、ガス加熱器から受熱するガス熱源側熱交換器と液温水熱交換器とを接続し、液温水熱交換器は前記液循環回路に設けられて温水と循環液との熱交換を行う。液循環回路では、前記液冷媒熱交換器、前記液温水熱交換器、前記室内熱交換器が直列に接続される。これにより、前記のように第2凍結防止制御手段又は第3凍結防止制御手段の制御により液冷媒熱交換器において冷媒から受熱する循環液が、さらに液温水熱交換器において、ガス加熱器により加熱された温水から受熱することが可能となる。
また、請求項7によれば、第2凍結防止制御手段は、前記のように循環液が第2しきい値未満となった場合に冷媒から循環液への放熱を行わせる際、所定の起動条件が満たされたことを前提にガス加熱器を制御して温水配管内の温水の加熱を開始させる。また第3凍結防止制御手段は、前記のように循環液が第3しきい値未満となった場合に冷媒から循環液への放熱を行わせる際、所定の起動条件が満たされたことを前提にガス加熱器を制御して温水配管内の温水の加熱を開始させる。これらにより、循環液に対してガス加熱器により加熱された温水から受熱させることができる。
また、請求項8によれば、前記のように液冷媒熱交換器で受熱した循環液を循環液配管を介して室内熱交換器へ供給する液循環回路の構成において、室内美観等の観点から、循環液配管のうち一部、例えば液温水熱交換器と室内熱交換器との間の部位が屋外に配置されている。この場合、この屋外の部位での凍結を防止するために前記の第1凍結防止制御手段、第2凍結防止制御手段、第3凍結防止制御手段による制御が行われる。そして、第3凍結防止制御手段により、循環液温度が通常の第2しきい値よりも高い第3しきい値に達した段階で冷媒から循環液への放熱が開始され、室内機において結露が生じるのを防止することができる。
本発明の一実施形態の温水暖房システム全体の回路構成図 ヒートポンプ単独暖房運転時の作動を説明する図 ガス単独暖房運転時の作動を説明する図 ヒートポンプ・ガス暖房運転時の作動を説明する図 ヒートポンプ制御装置の機能的構成図 熱交換ユニット制御装置の機能的構成図 ボイラー制御装置の機能的構成図 凍結防止運転(その1)での作動を説明する図 凍結防止運転(その2)での作動を説明する図 熱交換ユニット制御装置、ヒートポンプ制御装置、ボイラー制御装置の協働により実行される制御手順を表すフローチャート図 端末制御部とヒートポンプ制御装置との間における動作情報の送受信に係わる要部構成を表す回路図 凍結防止運転(その2)での作動を説明する図 ファンコイルユニットを識別しなかったときにおける温度挙動や動作を表すタイムチャート図 ファンコイルユニットを識別したときにおける温度挙動や動作を表すタイムチャート図
以下、本発明の一実施形態を図1~図14に基づいて説明する。
本実施形態は、本発明を複合熱源型の温水暖房システムに適用した場合の実施形態である。
<全体回路構成>
本実施形態の温水暖房システム1全体の回路構成を図1に示す。図1に示すように、前記温水暖房システム1は、建造物の屋内にそれぞれ設けられた熱交換ユニット4A及びガス暖房給湯器ユニット4Bと、前記建造物の屋外に室外機として設けられたヒートポンプユニット5と、を備えている。この温水暖房システム1には、ファンコイルユニット36(室内機に相当)や輻射冷暖房を行う冷温水パネル(図示せず)に循環液L(例えば、水や不凍液)を循環させる液循環回路としての端末循環回路30と、前記熱交換ユニット4A及び前記ガス暖房給湯器ユニット4Bに備えられ、ガス加熱による熱源を利用して前記ファンコイルユニット36側の循環液Lを加熱可能な温水循環回路40と、前記ヒートポンプユニット5に備えられ、空気熱源を利用して前記ファンコイルユニット36側の循環液Lを加熱又は冷却可能な冷媒循環回路50と、が設けられている。なお、本実施形態の温水暖房システム1は、前記ファンコイルユニット36を設けずに、前記冷温水パネルを設けるシステム構成とすることもでき、この場合、後述するメインリモコン60の手動操作により温水暖房運転の発停をする。以下は、主に室内機として前記ファンコイルユニット36が設けられる場合を例にとって説明する。
<温水循環回路>
温水循環回路40は、出力可変のガス加熱器(気体又は液体燃料の燃焼ガスで加熱する燃焼式加熱器であり、いわゆるバーナー)43と、液温水熱交換器としての第1熱交換器41と、ガス熱源側熱交換器としての暖房熱交換器45と、温水循環ポンプ44と、が、温水配管42によって環状に接続されている。
前記第1熱交換器41は、例えばプレート式熱交換器で構成されている。このプレート式熱交換器は、複数の伝熱プレートが積層され、温水C1(例えば、水や不凍液。後述の図3、図4等参照)を流通させる冷媒通路41aと前記循環液Lを流通させる循環液通路41bとが各伝熱プレートを境にして交互に形成されているものである。
前記暖房熱交換器45は、ガス加熱器43から受熱することで、温水配管42内の温水を加熱する。なお、このとき、暖房熱交換器45と同様に、ガス加熱器43から受熱可能に給湯熱交換器46が設けられている。給湯熱交換器46に備えられた水配管47には外部からの市水が供給されており、ガス加熱器43からの受熱により加熱された温水は、水配管47に接続された給湯栓48へと供給される。すなわち、ガス加熱器43、暖房熱交換器45、及び給湯熱交換器46は、いわゆるボイラーを構成している。
また、ガス加熱器43から導出された温水C1の温度は、ボイラー往き温度センサ42aによって検出され、その検出結果は、ボイラー制御装置63へ入力される。また、ボイラー制御装置63にはメインリモコン60が接続されており、メインリモコン60での手動操作によりガス加熱器43の加熱能力を調節することもできる。
<冷媒循環回路>
冷媒循環回路50は、能力可変の圧縮機53と、液冷媒熱交換器としての第2熱交換器51と、膨張弁54と、外気と熱交換可能に構成された室外熱交換器としての空気熱交換器55とが、冷媒配管52によって環状に接続されている。この冷媒配管52には、前記冷媒循環回路50における冷媒C2(後述の図2、図4等参照)の流れ方向を切り換える切換弁としての四方弁58が設けられている。また前記空気熱交換器55には、送風ファン56が設けられている。
前記第2熱交換器51は、前述と同様、例えばプレート式熱交換器で構成されており、前記冷媒C2を流通させる冷媒通路51aと前記循環液Lを流通させる循環液通路51bとが各伝熱プレートを境にして交互に形成されているものである。
また、圧縮機53から吐出された冷媒C2の温度は、冷媒吐出温度センサ52aによって検出される。同様に、膨張弁54から空気熱交換器55までの冷媒配管52に設けられた冷媒温度センサ52bによって、低圧側(暖房時)又は高圧側(冷房時)の冷媒C2の温度が検出される。さらに、外気の温度が、例えば空気熱交換器55又はその近傍に設置された外気温センサ57(外気温検出手段に相当)によって検出される。前記冷媒吐出温度センサ52a、冷媒温度センサ52b、及び前記外気温センサ57の検出結果は、ヒートポンプ制御装置62(熱源制御部に相当)へ入力される。また、ヒートポンプ制御装置62には、例えば屋内側に配置されたメインリモコン60が通信可能に接続されており、メインリモコン60での手動操作により冷媒循環回路50の能力を調節することができる(詳細は後述)。
なお、前記冷媒循環回路50の前記冷媒C2としては、例えばR410AやR32等のHFC冷媒や二酸化炭素冷媒等の任意の冷媒を用いることができる。
<端末循環回路>
端末循環回路30は、前記第1熱交換器41と、前記第2熱交換器51と、ファンコイルユニット36とが、循環液配管としての負荷配管31によって上流側から順に環状に接続されている。この負荷配管31には、端末循環回路30に前記循環液Lを循環させる循環ポンプとしての循環液循環ポンプ32と、循環液Lを貯留し端末循環回路30の圧力を調整する圧力調整タンク(図示省略)とが設けられている。なお、第2熱交換器51、循環液循環ポンプ32、及び圧力調整タンクは、ヒートポンプユニット5に設けられており、第1熱交換器41は熱交換ユニット4Aに設けられている。
このとき、端末循環回路30においては、前記第1熱交換器41と前記第2熱交換器51とが直列に接続されており、かつ、前記したように、端末循環回路30を循環する循環液Lの流れに対して、前記第2熱交換器51が前記第1熱交換器41がよりも上流側に配設されている。すなわち、前記温水暖房システム1は、ガス加熱による熱源を利用して前記ファンコイルユニット36側の循環液Lを加熱可能な温水循環回路40の第1熱交換器41と、空気熱源を利用してファンコイルユニット36側の循環液Lを加熱又は冷却する冷媒循環回路50の第2熱交換器51とが、端末循環回路30に対して直列に接続された、複合熱源ヒートポンプ装置となっているものである。
なお、負荷配管31には、ファンコイルユニット36から第2熱交換器51に流入する循環液Lの温度を検出する戻り温度センサ34と、第2熱交換器51から第1熱交換器41側へ流出する循環液Lの温度を検出する第2往き温度センサ35と、第1熱交換器41からファンコイルユニット36側へ流出する循環液Lの温度を検出する第1往き温度センサ33と、が設けられている。第1往き温度センサ33の検出結果は、熱交換ユニット制御装置61へ入力される。戻り温度センサ34及び第2往き温度センサ35の検出結果は、ヒートポンプ制御装置62へ入力される。
また、前記ヒートポンプ制御装置62、前記熱交換ユニット制御装置61、及び、前記ボイラー制御装置63は、互いに情報送受信可能に接続されており、前述のように入力された各センサの検出結果を互いに共有することができる。
<ファンコイル>
ファンコイルユニット36は、端末リモコン71によって操作可能である。すなわち、前記ファンコイルユニット36は、その内部に、空調対象空間である室内の空気と熱交換を行う熱交換器36a(室内熱交換器に相当)と、送風ファン(図示せず)と、ファンコイルユニット36内において負荷配管31を開閉する熱動弁V(開閉弁に相当)と、室内温度を検出する室内温度センサ(図示せず)と、ファンコイルユニット36内を流通する循環液Lの温度を検出する水温センサ(図示せず)と、端末制御部36bと、等を備えている。端末制御部36bは、ファンコイルユニット36内部の前記室内温度センサの信号や端末リモコン71からの信号を受け、前記送風ファンや前記熱動弁Vの駆動を制御する。これにより、ファンコイルユニット36は、前記第2熱交換器51又は第1熱交換器41で加熱又は冷却された循環液Lを、内部の前記熱交換器36aに供給すると共に、前記送風ファンを駆動させて室内空気と熱交換させ、室内の暖房又は冷房を行うことができる。なお、ファンコイルユニット36は、図1では1つ設けられているが、2つ以上であってもよく、数量や仕様が特に限定されるものではない。
前記端末リモコン71は、ファンコイルユニット36に室内を暖房する温風暖房運転を行わせるための暖房スイッチ74と、ファンコイルユニット36に室内を冷房する冷風冷房運転を行わせるための冷房スイッチ75と、ファンコイルユニット36の運転を停止させる停止スイッチ76と、室内温度を設定する室内温度設定スイッチ77と、室内の設定温度や運転状態を表示する表示部78とを備え、前記端末制御部36bに対し通信可能に接続されている。
<温風暖房運転>
前記温水暖房システム1は、前記の四方弁58の切替によって前記温風暖房運転を行う暖房装置、若しくは、前記冷風冷房運転を行う冷房装置として選択的に機能させることができる。特に温風暖房運転の場合は、冷媒循環回路50を介した空気熱源の利用のみにより循環液Lの加熱を行う暖房運転(以下適宜、「HP単独暖房運転」という)と、温水循環回路40を介したガス加熱による熱源の利用のみにより循環液Lの加熱を行う暖房運転(以下適宜、「ガス単独暖房運転」という)と、冷媒循環回路50を介した空気熱源の利用と温水循環回路40を介したガス加熱による熱源の利用との両方により循環液Lの加熱を行う暖房運転(以下適宜、「HP・ガス暖房運転」という)と、の3つを選択的に実行することができる。
<HP単独暖房運転>
図2に、HP単独暖房運転時の状態を示す。なお、図示の煩雑を防止するために、図1に示していた各種の信号線は省略している。この図2に示すHP単独暖房運転時においては、前記冷媒循環回路50では、図示のように前記四方弁58が切り替えられることで、圧縮機53から吐出された冷媒C2を、第2熱交換器51、膨張弁54、空気熱交換器55の順に流通させた後、圧縮機53に戻す流路を形成する。これにより、低温・低圧で吸入されたガス状態の冷媒C2が前記圧縮機53で圧縮されて高温・高圧のガスとなった後、凝縮器として機能する前記第2熱交換器51において前記端末循環回路30を流れる循環液Lと熱交換を行って前記循環液Lを加熱しながら高圧の液体に変化する。こうして液体となった冷媒C2は前記膨張弁54(一例として全開よりも小さい開度にて図示)において減圧されて低圧の液体となって蒸発しやすい状態となり、蒸発器として機能する前記空気熱交換器55において、送風ファン56の作動により送られる空気との熱交換を行って蒸発してガスに変化することで吸熱した後、低温・低圧のガスとして再び前記圧縮機53へと戻る。
このとき、端末循環回路30では、循環液循環ポンプ32により第2熱交換器51に流入した循環液Lが、蒸発器として機能する前記第2熱交換器51において、前記空気熱交換器55で外気と熱交換し前記のように加熱された前記冷媒C2との熱交換を行って受熱する。こうして加温された循環液Lは、その後前記ファンコイルユニット36に供給され、熱交換器36aにおいて前記送風ファンの作動により送られる室内空気と熱交換する。これにより、加温された空気の温風によって暖房が行われる。
なお、以上においては暖房運転を例にとって説明したが、ファンコイルユニット36として冷房可能な端末が用いられる場合には、四方弁58が切り替えられることで、圧縮機53から吐出された冷媒C2を、空気熱交換器55、膨張弁54、第2熱交換器51の順に流通させた後、圧縮機53に戻す流路を形成し、冷房運転を行うこともできる(詳細な説明は省略)。
<ガス単独暖房運転>
図3に、ガス単独暖房運転時の状態を示す。前述と同様、図1に示していた各種の信号線は省略している。この図3に示すガス単独暖房運転時においては、温水循環ポンプ44により暖房熱交換器45に流入した温水C1が、暖房熱交換器45においてガス加熱器43の火力により加熱され、高温となる。その後、高温となっている温水C1は、前記第1熱交換器41において前記端末循環回路30を流れる循環液Lと熱交換を行って前記循環液Lを加熱して温度降下した後、再び暖房熱交換器45へと戻る。
このとき、端末循環回路30では、循環液循環ポンプ32により第1熱交換器41に流入した循環液Lが、前記第1熱交換器41において、前記ガス加熱器43で前記のように加熱された前記温水C1との熱交換を行って受熱する。こうして加温された循環液Lは、その後、前記ファンコイルユニット36に供給され、熱交換器36aにおいて前記送風ファンの作動により送られる室内空気と熱交換する。これにより、加温された空気の温風によって暖房が行われる。
<HP・ガス暖房運転>
図4に、HP・ガス暖房運転時の状態を示す。前述と同様、図1に示していた各種の信号線は省略している。この図4に示すHP・ガス暖房運転時においては、図2を用いて前述した前記冷媒循環回路50における空気熱交換器55による冷媒C2の加熱と、図3を用いて前述した前記温水循環回路40におけるガス加熱器43による温水C1の加熱と、の両方が行われる。
そして、端末循環回路30では、循環液循環ポンプ32により第2熱交換器51に流入した循環液Lが、前記第2熱交換器51において、前述のように加熱された前記冷媒C2との熱交換を行って受熱した後、第1熱交換器41に流入する。第1熱交換器41に流入した循環液Lは、前述のように加熱された前記温水C1との熱交換を行ってさらに受熱する。これらのようにして空気熱源とガス加熱による熱源とにより加温された循環液Lは、その後前記ファンコイルユニット36に供給され、前述と同様、熱交換器36aにおいて室内空気と熱交換して暖房が行われる。
<制御装置の機能的構成>
次に、本実施形態における熱交換ユニット制御装置61、ボイラー制御装置63、及びヒートポンプ制御装置62について説明する。前記熱交換ユニット制御装置61、ボイラー制御装置63、及び前記ヒートポンプ制御装置62は、詳細な図示を省略するが、各種のデータやプログラムを記憶する記憶部と、演算・制御処理を行う制御部とを備えている。これら前記熱交換ユニット制御装置61、ボイラー制御装置63、及び前記ヒートポンプ制御装置62の機能的構成を図5、図6、及び図7により説明する。なお、以下の図5、図6、図7においては、前述のように互いに送受信可能である熱交換ユニット制御装置61、ボイラー制御装置63、ヒートポンプ制御装置62同士の信号送受信、及び、各制御装置を介した信号送受信については、適宜図示を省略し、実質的に後述の各制御部に入出力される信号を示している。
<ヒートポンプ制御装置>
図5に示すように、前記ヒートポンプ制御装置62は、圧縮機制御部62Aと、膨張弁制御部62Bと、ポンプ制御部62Cと、ファン制御部62Dと、四方弁制御部62Eと、ファンコイル制御部62Fと、を機能的に備えている。
圧縮機制御部62Aは、例えば前記戻り温度センサ34及び第2往き温度センサ35により検出された循環液Lの温度に応じて、前記圧縮機53の回転数を制御する。特にこの例では、圧縮機制御部62Aは、前記第2往き温度センサ35により検出される循環液Lの温度が、例えば前記メインリモコン60の操作に対応した所望の目標温度となるように、前記圧縮機53の回転数を制御する。
膨張弁制御部62Bは、前記冷媒吐出温度センサ52aにより検出される冷媒C2の温度に応じて、前記膨張弁54の弁開度を制御する。特にこの例では、膨張弁制御部62Bは、冷媒吐出温度センサ52aにより検出される冷媒C2の温度が、例えば前記メインリモコン60の操作に対応した制御上の目標温度となるように、前記膨張弁54の弁開度を制御する。
ポンプ制御部62Cは、例えば循環液Lの所望の目標温度や運転の種類に応じて、前記循環液循環ポンプ32の回転数を制御する。
ファン制御部62Dは、前記外気温センサ57により検出された外気の温度に応じて、前記送風ファン56の回転数を制御する。
前記四方弁制御部62Eには、前記メインリモコン60からの運転指示(暖房運転、冷風運転等のうちいずれの運転開始及び運転停止を指示する制御信号)、及び、熱交換ユニット制御装置61からの運転ON・OFF信号、が入力される。四方弁制御部62Eは、上記運転指示に応じて、実際に冷媒循環回路50をどのような運転態様で運転するかを決定し、対応する運転情報を、圧縮機制御部62A、膨張弁制御部62B、ポンプ制御部62C、ファン制御部62D、及び熱交換ユニット制御装置61へと出力する。また四方弁制御部62Eは、上記決定された運転態様に対応する制御信号を四方弁58へ出力し、四方弁58を切り替える。
前記ファンコイル制御部62Fには、前記ファンコイルユニット36の端末制御部36bから一方向通信(詳細は後述)により送信される、ファンコイルユニット36が動作したことを表す動作情報(接続情報に相当)が入力される。例えば一度でもこの動作情報が入力されると、ファンコイル制御部62F内の運転履歴記憶部62Faにおいて、ファンコイルユニット36の運転履歴として記憶される。また、前記外気温センサ57により検出された外気の温度もファンコイル制御部62Fに入力される。
ファンコイル制御部62Fは、運転履歴記憶部62Fa内の前記運転履歴の有無と前記外気温とに応じて、凍結防止運転(詳細は後述)を行う凍結防止運転指示を圧縮機制御部62A、膨張弁制御部62B、ポンプ制御部62C、ファン制御部62D、四方弁制御部62E、及び熱交換ユニット制御装置61へと出力するとともに、前記ファンコイルユニット36の端末制御部36bに対し一方向通信(詳細は後述)により前記熱動弁Vの開閉信号を送信する。
<熱交換ユニット制御装置>
図6に示すように、前記熱交換ユニット制御装置61は、運転制御部61Aと、加熱制御部61Bと、ポンプ制御部61Cと、を機能的に備えている。
運転制御部61Aは、例えば前記外気温センサ57により検出された外気の温度、第1往き温度センサ33により検出された第1熱交換器41からの循環液Lの往き温度、及び、ヒートポンプ制御装置62から入力された前述の運転情報や凍結防止運転指示(詳細は後述)等に基づき、温水循環回路40のガス加熱器43等の運転・非運転、詳細には、冷媒循環回路50の圧縮機53等とともに温水循環回路40のガス加熱器43等を運転する(=HP・ガス暖房運転)か、あるいは(冷媒循環回路50の圧縮機53等が運転されていない状態で)温水循環回路40のガス加熱器43等を運転する(=ガス単独暖房運転)か、を判定する。そして、その判定結果に基づき、ヒートポンプ制御装置62及びボイラー制御装置63に対し、運転を行う場合に対応する運転ON又は運転を行わない場合に対応する運転OFF信号を出力する。
加熱制御部61Bは、第1往き温度センサ33により検出された第1熱交換器41からの循環液Lの往き温度に基づき、ガス加熱器43の出力の大小を制御するための加熱制御信号をボイラー制御装置63へと出力する。
ポンプ制御部61Cは、例えば循環液Lの所望の目標温度や運転の種類に応じて、温水循環ポンプ44の回転数を制御するための回転制御信号をボイラー制御装置63へと出力する。
<ボイラー制御装置>
図7に示すように、ボイラー制御装置63は、例えば前記加熱制御部61Bからの加熱制御信号、前記ポンプ制御部61Cからの回転制御信号、及び、ボイラー往き温度センサ42aによって検出された温水C1の往き温度、等に基づき、温水循環ポンプ44の回転数及びガス加熱器43の出力を制御する。
<凍結防止運転の必要性>
以上の基本構成及び作動である温水暖房システム1において、負荷配管31のうち一部が屋外に配置される場合がある。例えば、図1に示した例では、負荷配管31のうちヒートポンプユニット5近傍の部分は屋外に配置されることとなる。したがって、冬季においては循環液Lの凍結防止を図る必要がある。特に、室内空気と熱交換を行うファンコイルユニット36が用いられる場合、室内美観等の観点から負荷配管31のうちファンコイルユニット36寄りの一部(図1に示す例では熱交換器41,51と熱交換器36aとの間の部位31X,31Y)が屋外に配置される場合がある。この場合、この屋外の部位での凍結防止にも配慮する必要がある。なお、前記冷温水パネルを端末として用いた場合、熱交換ユニット4Aと前記冷温水パネルとの間の負荷配管31は、床下等の屋内に配置されるため、上記ファンコイルユニット36が用いられる場合に比べて凍結の恐れは小さい。
<凍結防止運転その1>
凍結防止策としては、通常、循環液Lが凍結温度以下となる前に、図8に「凍結防止運転(1)」として示すように循環液循環ポンプ32を起動し、循環液Lを循環させることが行われる。循環液循環ポンプ32が起動されることにより、循環液Lは、負荷配管31内を、第2熱交換器51→第1熱交換器41→ファンコイルユニット36→循環液循環ポンプ32→第2熱交換器51→・・のように循環する。この負荷配管31内の循環液Lの流通により、一次的な凍結防止が図られる。
<凍結防止運転その2>
例えば外気温がさらに下がり、上記凍結防止運転(1)における循環液Lの流通のみでは凍結防止が困難となる可能性がある場合は、図9に「凍結防止運転(2)」として示すように、圧縮機53が起動され、外気と熱交換した冷媒C2から循環液Lに放熱することが行われる。すなわち、前述の図2に示したHP単独暖房運転時と同様、前記冷媒循環回路50では、圧縮機53で圧縮された冷媒C2が第2熱交換器51にて循環液Lへ放熱し、膨張弁54において減圧された後に空気熱交換器55において吸熱した後、前記圧縮機53へと戻る。なお、この場合、図2のHP単独暖房運転と異なりファンコイルユニット36による温風暖房時ほどの放熱量は必要ない(凍結を防止すれば足りる程度)ため、例えば膨張弁54の開度は図2の場合よりも大きい(一例として全開)。循環液Lは、第2熱交換器51において冷媒C2から受熱して加温された後、前述と同様、第1熱交換器41→ファンコイルユニット36→循環液循環ポンプ32→第2熱交換器51→・・のように循環する。このように負荷配管31内の循環液Lの加温により、二次的な凍結防止が図られる。
<結露発生>
しかしながら、送風により室内空気と熱交換を行う端末(この例ではファンコイルユニット36)が用いられる場合、上記凍結防止運転(1)又は凍結防止運転(2)が行われる際に、室内空気と熱交換する熱交換器36aに低温の循環液Lが供給される結果、循環液Lの循環開始時の室内温度環境によっては結露が生じる可能性がある。ここで、ファンコイルユニット36は、ユニット内部の熱交換器36aが結露しても、熱交換器36aの下部にドレン受けが設けられていれば問題は生じないが、冬季において低温の循環液Lが流れ続けることで、ファンコイルユニット36の筐体までもが温度低下して結露する可能性がある。
<実施形態の特徴>
そこで、上記結露を回避するために、本実施形態では、温水暖房システム1に送風により室内空気と熱交換を行う端末(この例ではファンコイルユニット36)が用いられる場合には、それ以外の端末が用いられる場合よりもやや高めの温度環境にて、早めに凍結防止運転(1)→凍結防止運転(2)への移行を行う。すなわち、循環液循環ポンプ32による循環液Lの流通のみの運転から、圧縮機53を起動しての冷媒C2による循環液Lの加熱も行う運転への切り替えを、早めに実行する。以下、その詳細を順を追って説明する。
<制御手順>
上記手法を実現するために、本実施形態の温水暖房システム1において、熱交換ユニット制御装置61、ヒートポンプ制御装置62、ボイラー制御装置63が協働して実行する制御手順を、図10に示す。なお、以下適宜、これら熱交換ユニット制御装置61、ヒートポンプ制御装置62、ボイラー制御装置63を総称して単に「制御装置61~63」と称する。
図10において、まずS5で、外気温センサ57により検出された外気温度が第1所定温度(この例では-10℃;第1しきい値に相当)未満であるか否かが判定される。外気温度が-10℃よりも低い値に下がるとYes判定され、S10へ移行する。
S10では、ファンコイルユニット36の存在を識別できたか否かが判定される。なおファンコイルユニット36が特定種別の室内機に相当している。前述したように、ヒートポンプ制御装置62の前記ファンコイル制御部62Fには、ファンコイルユニット36の端末制御部36bから一方向通信によりファンコイルユニット36の動作情報が入力され、記憶される。S20では、例えばこの記憶された動作情報が記憶されているか否かによってファンコイルユニット36の存在が識別される。このときの手法の詳細を以下に説明する。
<端末制御線(E-con通信線)>
前記端末制御部36bと前記ヒートポンプ制御装置62との間における、上記動作情報の送受信に係わる要部構成について、図11を用いて説明する。図11において、端末制御部36bは、マイクロコンピュータ130と、信号送信回路131とを備えている。マイクロコンピュータ130は出力ポートOUT1を備えており、信号送信回路131は接点132を備えている。前記端末リモコン71の暖房スイッチ74がユーザにより操作されて運転開始の指示がなされると、端末制御部36bはその指示信号を受信する。そして、端末制御部36bでは、受信した指示信号に応じて、前記マイクロコンピュータ130の出力ポートOUT1から信号を出力して信号送信回路131の接点132を閉止させる。これにより、ヒートポンプ制御装置62に対し、暖房運転に関連する温水要求信号を出力する。
具体的には、前記ヒートポンプ制御装置62は、マイクロコンピュータ141と、信号受信回路142とを備えている。マイクロコンピュータ141は入力ポートIN1を備えている。そして、ヒートポンプ制御装置62と前記端末制御部36bとの間は、端末制御部36bからの信号を一方向に伝える端末制御線144(E-con通信線;第1端末制御線に相当)で有線接続されている。端末制御線144は、この例では、第1芯線144A、第2芯線144Bの2つにより構成されている。なお、上記E-con通信とは、大手ガス会社や暖房機器メーカ等の共通仕様で、端末機から出力される一方向の信号により、熱源機の動作を開始・停止させる通信を意味している。すなわち、E-con通信線は安価に利用でき、汎用性が高いものである。
上記構成における、端末制御部36bからヒートポンプ制御装置62への前記温水要求信号の出力が行われるまでの流れを以下に説明する。ここで、前記メインリモコン60に備えられた所定の電源スイッチがオンされており、ヒートポンプユニット5は待機状態となっているものとする。
ユーザの前記暖房スイッチ74の操作に基づき端末リモコン71から対応する暖房開始指示信号が端末制御部36bにおいて受信されると、前記マイクロコンピュータ130は前記出力ポートOUT1から信号を出力し、信号送信回路131の接点132を閉止させる。前記接点132が閉止されると、ヒートポンプ制御装置62の電圧信号Vccが、端末制御線144の前記第1芯線144Aを介して信号送信回路131へ出力され、さらに端末制御線144の前記第2芯線144Bを介して信号受信回路142に印加される。この結果、マイクロコンピュータ141の入力ポートIN1の電圧レベルがHIGHからLOWに変化し、マイクロコンピュータ141は、ファンコイルユニット36を暖房運転するための温水要求信号が出力されたことを検知する(すなわち温水要求信号を受信している状態)。
なお、その後、ユーザの端末リモコン71の前記停止スイッチ76の操作に基づき前記端末リモコン71から対応する暖房停止指示信号が受信されると、マイクロコンピュータ130は前記出力ポートOUT1から信号を出力し信号送信回路131の接点132を開放させる。前記接点132が開放されると、ヒートポンプ制御装置62のマイクロコンピュータ141の入力ポートIN1の電圧レベルがLOWからHIGHに変化する。この結果、マイクロコンピュータ141は、前記温水要求信号の出力が停止したことを検知する(すなわち温水要求信号を受信しなくなった状態)。
なお、ファンコイルユニット36に冷房を行わせるために前記端末リモコン71の冷房スイッチ75が操作され、端末制御部36bからヒートポンプ制御装置62へ冷水要求信号が出力される流れも別途設けたE-con通信回路(図示せず)によって上記同様に行われるものであり、詳細な説明は省略する。
マイクロコンピュータ141は、前記のように温水要求信号が出力されたことを検知する。この温水要求信号は、言い換えれば、熱交換を行う端末がファンコイルユニット36であって、前記熱交換器36aが負荷配管31に接続されていることを表す情報である。そしてマイクロコンピュータ141は、前記温水要求信号を上述の動作情報として認識して取得する。この機能が接続情報取得手段に相当する。そしてマイクロコンピュータ141はその動作情報が取得されたされたことをファンコイルユニット36の運転履歴として記憶する。この機能が、前述のファンコイル制御部62Fの運転履歴記憶部62Faとして機能している。
図10に戻り、前記S10では、この時点で前記動作情報が上述のようにして既に記憶されているか否か、によりファンコイルユニット36の識別が行われる。この機能が取得判定手段に相当しており、S10を実行する制御装置61~63が識別手段に相当している。動作情報が記憶されていなければファンコイルユニット36を識別できなかったとしてNo判定となり、後述のS70へ移行する。動作情報が記憶されていればファンコイルユニット36を識別できたとしてYes判定となり、S15へ移行する。
なお、S10において、前記の手法に代わり、ユーザが室内機の種別をリモコン60を介して手動入力するようにしてもよい。この場合、その入力された内容が「ファンコイルユニット」であったか否かによって、ファンコイルユニット36を識別できたか否かが判定される。リモコン60での上記入力結果がファンコイルユニットであった場合にはファンコイルユニット36の存在が識別できたと判定され、リモコン60での上記入力結果がファンコイルユニット以外のものであった場合にはファンコイルユニット36の存在は識別できなかったと判定される。
S15では、ファンコイルユニット36の端末制御部36bに対し一方向通信により、前記熱動弁Vを開き状態とする開閉信号が送信される。なお、このときの開閉信号の送受信に係わる構成は、例えば前述の図11の送信側と受信側とを逆にした同様の構成が設けられ、ヒートポンプ制御装置62と前記端末制御部36bとの間が、ヒートポンプ制御装置62からの前記開閉信号を端末制御部36bへ一方向に伝える端末制御線(図示省略;第2端末制御線に相当)で有線接続されている。S15では、この端末制御線を介し、ヒートポンプ制御装置62の前記ファンコイル制御部62Fからファンコイルユニット36の端末制御部36bへ、熱動弁Vを開き状態とする開閉信号が送信される。またファンコイル制御部62Fから他の制御部62A~62Eに対して、前述の凍結防止運転指示が出力される。
その後S20で、ヒートポンプ制御装置62の前記ポンプ制御部62Cにより、前記循環液循環ポンプ32の駆動が開始される。これにより、図8を用いて前述した凍結防止運転その1が実行される。なお、S15及びS20を実行する制御装置61~63がこの場合の第1凍結制御手段に相当している。その後、S25へ移行する。
S25では、前記第2往き温度センサ35により検出される温度、すなわち第2熱交換器51から第1熱交換器41側へ流出する循環液Lの往き温度が、予め定められた第2所定温度(この例では12℃;第3しきい値に相当)未満であるか否か、が判定される。この第2所定温度は、ファンコイルユニット36が識別されていることに対応し、後述の第4所定温度(この例では-15℃)よりも高く設定されている。すなわち、前記のように凍結防止運転その1から凍結防止運転その2へ移行するとき、当該第2所定温度において移行すれば、負荷配管31において前記の凍結が生じない温度かつファンコイルユニット36にて結露が容易に生じない温度である。すなわち、前記第2所定温度は、事前に行った適宜の実験、若しくは、適宜の手法による解析・シミュレーションにより、前記往き温度が少なくとも当該第2所定温度以上である状態で凍結防止運転その1から凍結防止運転その2へ移行すれば、負荷配管31に前記凍結が生じないかつファンコイルユニット36にて結露が容易に生じないことがわかっている温度である。
このときの前記循環液Lの往き温度が、循環液の温度の一例であり、第2往き温度センサ35が循環液温度検出手段の一例である。なお、第2往き温度センサ35により検出される第2熱交換器51からの循環液Lの往き温度に代えて、第1往き温度センサ33により検出される第1熱交換器41からの循環液Lの往き温度を用いてもよい。この場合は当該往き温度が、循環液の温度の一例であり、第1往き温度センサ33が循環液温度検出手段の一例である。さらには、それら循環液Lの往き温度に代えて、戻り温度センサ34により検出される第2熱交換器51への循環液Lの戻り温度を用いてもよい。この場合は当該戻り温度が、循環液の温度の一例であり、戻り温度センサ34が循環液温度検出手段の一例となる。
循環液Lの往き温度が12℃以上である間はS25がNo判定されてS15,S20が引き続き行われ、循環液Lの往き温度が12℃未満となったらS25がYes判定され、S30へ移行する。
S30では、ヒートポンプ制御装置62の前記圧縮機制御部62Aにより、前記圧縮機53の駆動が開始されるとともに、図5に示した各制御部62B~62Eにより、ヒートポンプユニット5のうち対応する各部の制御が行われる。なお、以下適宜、この状態を単に「ヒートポンプユニット起動」と称する(図示も同様)。これにより、図9を用いて前述した凍結防止運転その2が実行される(凍結防止運転その1から移行する)。なお、S30を実行する制御装置61~63が第3凍結制御手段に相当している。その後、S35へ移行する。
S35では、前記第2往き温度センサ35により検出される温度、すなわち第2熱交換器51から第1熱交換器41側へ流出する循環液Lの往き温度が、予め定められた第3所定温度(この例では25℃;第5しきい値に相当)を超えたか否か、が判定される。なお、前述と同様、判定対象として、第1往き温度センサ33により検出される第1熱交換器41からの循環液Lの往き温度を用いてもよいし、戻り温度センサ34により検出される第2熱交換器51への循環液Lの戻り温度を用いてもよい。
循環液Lの往き温度が25℃以下である間はS35がNo判定されてS30が引き続き行われ、循環液Lの往き温度が25℃を超えたらS35がYes判定され、S40へ移行する。
S40では、ヒートポンプ制御装置62の圧縮機制御部62A等により、前記S30で駆動開始した圧縮機53等がそれぞれ停止される。なお、以下適宜、この状態を単に「ヒートポンプユニット停止」と称する(図示も同様)。なお、S40を実行する制御装置61~63が、この場合の運転停止制御手段に相当している。
その後、S42で、前記S5と同様、外気温センサ57により検出された外気温度が前記第1所定温度(この例では-10℃)未満であるか否かが判定される。外気温度が引き続き-10℃よりも低い値であればYes判定され、S15へ戻って上記同様の手順が繰り返される。-10℃以上となっていたらNo判定され、S45へ移行する。
S45では、ヒートポンプ制御装置62のポンプ制御部62Cにより、前記S20で駆動開始した循環液循環ポンプ32が停止される。また、ファンコイル制御部62Fから前記端末制御線を介しファンコイルユニット36の端末制御部36bへ、熱動弁Vを閉じ状態とする開閉信号が送信され、前記S15で開き状態とされた熱動弁Vが閉じられる。S45の後、このフローを終了する。
一方、前記S10でファンコイルユニット36を識別できなかったとしてNo判定されて移行したS70では、前記S20同様、前記循環液循環ポンプ32の駆動が開始され、図8を用いて前述した凍結防止運転その1が実行される。なお、S70を実行する制御装置61~63がこの場合の第1凍結制御手段に相当している。その後、S75へ移行する。
S75では、前記S25と同様、前記第2往き温度センサ35により検出される循環液Lの往き温度が、予め定められた第4所定温度(この例では-15℃;第2しきい値に相当)未満であるか否か、が判定される。この第4所定温度は、ファンコイルユニット36が識別されていないことに対応し、前記第2所定温度(この例では12℃)よりも低く設定されている。循環液Lの往き温度が-15℃以上である間はS75がNo判定されてS70が引き続き行われ、循環液Lの往き温度が-15℃未満となったらS75がYes判定され、S80へ移行する。
S80では、前記S30と同様、前記圧縮機53等の駆動が開始されてヒートポンプユニット5が起動され、前述の凍結防止運転その2が実行される(凍結防止運転その1から移行する)。なお、S80を実行する制御装置61~63が第2凍結制御手段に相当している。その後、S85へ移行する。
S85では、前記第2往き温度センサ35により検出される前記往き温度が、予め定められた第5所定温度(この例では25℃;第4しきい値に相当)を超えたか否か、が判定される。循環液Lの往き温度が25℃以下である間はS85がNo判定されてS80が引き続き行われ、循環液Lの往き温度が25℃を超えたらS85がYes判定され、S90へ移行する。
S90では、前記S40と同様、前記S80で起動したヒートポンプユニット5が停止される。S90を実行する制御装置61~63が、この場合の運転停止制御手段に相当している。
その後、S92で、前記S5,S42と同様、外気温センサ57により検出された外気温度が前記第1所定温度(この例では-10℃)未満であるか否かが判定される。外気温度が引き続き-10℃よりも低い値であればYes判定され、S70へ戻って上記同様の手順が繰り返される。-10℃以上となっていたらNo判定され、S95へ移行する。
S95では、ヒートポンプ制御装置62のポンプ制御部62Cにより、前記S70で駆動開始した循環液循環ポンプ32が停止される。S95の後、このフローを終了する。
なお、前記S30又はS80で、圧縮機53が起動されて冷媒C2から循環液Lへの放熱が行われる際、所定の起動条件が満たされた場合には、熱交換ユニット制御装置61及びボイラー制御装置63により、ヒートポンプユニット5に代えてガス加熱器43が起動され、運転が開始されるようにしてもよい。この場合、温水循環回路40による凍結防止運転が行われることになる。すなわち、図12に「凍結防止運転(3)」として示すように、図9を用いて前述した前記冷媒循環回路50における空気熱交換器55による冷媒C2の加熱に代えて、図3を用いて前述した前記温水循環回路40におけるガス加熱器43による温水C1の加熱が行われる。そして、端末循環回路30では、循環液循環ポンプ32により第2熱交換器51を経て第1熱交換器41に流入した循環液Lが、前述のように加熱された前記温水C1との熱交換を行って受熱する。これらのようにしてガス加熱による熱源により加温された循環液Lが、前述と同様、第1熱交換器41→ファンコイルユニット36→循環液循環ポンプ32→第2熱交換器51→第1熱交換器41・・のように循環する。このような加温された循環液Lが負荷配管31内を循環することで、さらに確実な凍結防止が図られる。
<実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態の温水暖房システム1によれば、ヒートポンプユニット5が空気熱交換器55と圧縮機53と第2熱交換器51とを備え、これらが冷媒配管52で接続されている。また第2熱交換器51には負荷配管31が接続され、この負荷配管31には循環液循環ポンプ32とファンコイルユニット36の熱交換器36aとが接続されている。温風暖房運転時には、圧縮機53の駆動により空気熱交換器55で外気と熱交換した冷媒C2が第2熱交換器51に導かれ、第2熱交換器51にて冷媒C2から受熱した循環液Lが負荷配管31を介してファンコイルユニット36の熱交換器36aに供給される。これにより、加熱された循環液Lと室内空気との熱交換が熱交換器36aにおいて行われ、温風により室内空気が加温される。
本実施形態においては、冬季の非運転時における循環液Lの凍結防止のために、凍結防止運転が行われる。その際、図10のS10でファンコイルユニット36が識別された場合と識別されなかった場合とで、運転時の処理内容が異なる。
まず、外気温センサ57が検出した外気温が所定の第1しきい値(前述の例では-10℃。以下同様)未満になった場合に、循環液循環ポンプ32が起動されて負荷配管31内に循環液Lを流通させる(図8)。その後、図10のS10でファンコイルユニット36が識別されなかった場合には、第2往き温度センサ35が検出した循環液Lの温度が所定の第2しきい値(前述の例では-15℃。以下同様)未満となった場合に、ヒートポンプユニット5が起動され、第2熱交換器51において冷媒C2から循環液Lへの放熱が行われる。
このときの温度変化挙動の一例を図13に示す。図13の例では、時間t0において外気温が-5[℃]、前述の循環液Lの温度(例えば前述の循環液Lの往き温度。以下同様)が25[℃]である。時間の経過とともに外気温が下がり、時間t1で-10[℃]に下がると循環液循環ポンプ32が起動して循環液Lが循環される。これによって前述した屋外にある負荷配管31等からの冷たい循環液Lが流入することで循環液Lの温度は低下し、時間t2で約0[℃]、時間t3で-15[℃]まで下がる。循環液Lの温度が-15[℃]まで低下したことでヒートポンプユニット5が起動し、循環液Lの温度は時間t4の近傍で底を打った後に急上昇し、時間t5で25[℃]まで上昇する。これにより、ヒートポンプユニット5は停止し、その後時間t6で外気温が-10[℃]まで上昇すると循環液循環ポンプ32も停止する。
一方、図10のS10でファンコイルユニット36が識別された場合には、第2往き温度センサ35が検出した循環液Lの温度が、上記第2しきい値よりも高い第3しきい値(前述の例では12℃。以下同様)未満となった場合に、ヒートポンプユニット5が起動され、第2熱交換器51において冷媒C2から循環液Lへの放熱が行われる。
このときの温度変化挙動の一例を図14に示す。図14の例では、前述と同様、時間t0において外気温が-5[℃]、循環液Lの温度が25[℃]である。外気温が時間t11で-10[℃]まで下がると循環液循環ポンプ32が起動して循環液Lが循環して温度は低下するが、時間t12で12[℃]となったところでヒートポンプユニット5が起動する。その結果、循環液Lの温度は起動直後から急上昇し、時間t13で25[℃]に達してヒートポンプユニット5は停止する。
その後、時間t14で外気温が約-20[℃]まで低下し、時間t15で循環液Lの温度が12[℃]まで低下すると再びヒートポンプユニット5が起動し、循環液Lの温度が急上昇して時間t16で25[℃]に達すると、再びヒートポンプユニット5は停止する。
その後、時間t17で循環液Lの温度が再び12[℃]まで低下すると再びヒートポンプユニット5が起動し、循環液Lの温度が急上昇し時間t18で25[℃]に達して再びヒートポンプユニット5は停止する。
以上のように、本実施形態によれば、室内空気と熱交換を行う熱交換器36aを備えたファンコイルユニット36が設けられている旨が確認(識別)されると、循環液Lの温度が通常の第2しきい値(前述の例では-15℃)よりも高い第3しきい値(前述の例では12℃)に達した段階でヒートポンプユニット5が起動されて冷媒C2から循環液Lへの放熱が開始される。これにより、ファンコイルユニット36の熱交換器36aに供給されて室内空気と熱交換を行う循環液Lの温度を通常よりも高めとすることができる。具体的には、図13に示した例では循環液Lの温度は最低で-20[℃]近くまで低下するのに対し、図14に示した例では循環液Lの温度は最低でも12[℃]程度までの低下にとどまる。これにより、循環液Lが供給されるファンコイルユニット36において、結露が生じるのを防止することができる。
また、本実施形態では特に、負荷配管31を開閉する熱動弁Vがファンコイルユニット36に設けられている。前述のようにファンコイルユニット36の熱交換器36aが確認(識別)された場合、前記熱動弁Vを閉じ状態から開き状態とする。これにより、循環液循環ポンプ32の起動によって循環液Lを確実にファンコイルユニット36の熱交換器36aへと流通させ、凍結防止を図ることができる。
また、本実施形態では特に、ファンコイルユニット36の熱交換器36aが負荷配管31に接続されている場合には、その旨を表す動作情報が生成されている。そして、ヒートポンプ制御装置62では、その動作情報の取得を図るとともに、当該動作情報が取得できたか否かが判定される。これにより、ファンコイルユニット36の存在を確実に識別することができる。
また、本実施形態では特に、ファンコイルユニット36の端末制御部36bとヒートポンプユニット5のヒートポンプ制御装置62とを有線にて接続する端末制御線144とさらに別の端末接続線(図示せず)とが設けられている。端末制御線144は、信号を端末制御部36bからヒートポンプ制御装置62へと伝える機能を備える。これにより、ヒートポンプ制御装置62では、端末制御線144を介し前記端末制御部36bから前記動作情報の取得を図ることができる。前記別の端末制御線は、信号をヒートポンプ制御装置62から端末制御部36bへと伝える機能を備える。これにより、前記のようにファンコイルユニット36の熱交換器36aが確認(識別)されて前記熱動弁Vを開き状態とする際に、当該端末制御線を介し端末制御部36bへと熱動弁Vの開閉信号を送信することができる。
また、本実施形態では特に、前記のように圧縮機53が起動されて第2熱交換器51において冷媒C2から循環液Lへの放熱が開始された後、循環液Lが所定温度(前述の例では25[℃])に達した場合に、凍結防止のための前記放熱が停止される。
すなわち、循環液温度が第2しきい値(前述の例では-15[℃])未満となることでヒートポンプユニット5が起動される場合には、循環液温度が第4しきい値(前述の例では25[℃])となったときに圧縮機53による冷媒の圧縮が停止される(S90参照)。循環液温度が第3しきい値(前述の例では12[℃])未満となったときにヒートポンプユニット5が起動される場合には、循環液温度が第5しきい値(前述の例では25[℃])となったときに圧縮機53による冷媒の圧縮が停止される(S40参照)。以上のようにして、ファンコイルユニット36が識別されて凍結防止が図られる場合もファンコイルユニット36が識別されない状態で凍結防止が図られる場合も、円滑に冷媒循環回路50における圧縮機53等の運転を終了することができる。
また、本実施形態では特に、ヒートポンプユニット5における前述の空気熱源に加え、別の熱源となるガス加熱器43を備えた温水循環回路40が設けられる。温水循環回路40の温水配管42は、ガス加熱器43から受熱する暖房熱交換器45と第1熱交換器41とを接続し、第1熱交換器41は前記端末循環回路30に設けられて温水C1と循環液Lとの熱交換を行う。端末循環回路30では、前記第2熱交換器51、前記第1熱交換器41、前記ファンコイルユニット36の熱交換器36aが直列に接続される。これにより、前記のように第2熱交換器51において冷媒C2から受熱する循環液Lが、さらに第1熱交換器41において、ガス加熱器43により加熱された温水C1から受熱することができる。
また、本実施形態では特に、S75では、前記のように循環液Lの温度が第2しきい値(前述の例では-15[℃])未満となった場合に冷媒C2から循環液Lへの放熱を行わせる際、所定の起動条件が満たされたことを前提にガス加熱器43を制御して温水配管42内の温水C1の加熱を開始させることができる。また、S25では、前記のように循環液Lの温度が第3しきい値(前述の例では12[℃])未満となった場合に冷媒C2から循環液Lへの放熱を行わせる際、所定の起動条件が満たされたことを前提にガス加熱器43を制御して温水配管42内の温水C1の加熱を開始させることができる。これらにより、循環液Lに対してガス加熱器43により加熱された温水C1から受熱させることができる。
また、本実施形態では特に、前記のように第2熱交換器51で受熱した循環液Lを負荷配管31を介してファンコイルユニット36の熱交換器36aへ供給する端末循環回路30の構成において、室内美観等の観点から、負荷配管31のうち一部、例えば第1熱交換器41及び第2熱交換器51とファンコイルユニット36の熱交換器36aとの間の部位31X,31Yが屋外に配置されている。この場合、この屋外の部位での凍結を防止するために前記の凍結防止運転が行われる。そして、S25で、循環液Lの温度が通常の第2しきい値(前述の例では-15[℃])よりも高い第3しきい値(前述の例では12[℃])に達した段階で冷媒C2から循環液Lへの放熱が開始され、ファンコイルユニット36において結露が生じるのを防止することができる。
<変形例>
なお、以上においては、端末循環回路30において、循環する循環液Lの流れに対して前記第2熱交換器51が前記第1熱交換器41よりも上流側に配設されている場合を例にとって説明したが、これに限られず、反対に前記第1熱交換器41が前記第2熱交換器51よりも上流側に配設されてもよい。さらには、端末循環回路30において前記第1熱交換器41と前記第2熱交換器51とが並列に接続されてもよい。
また、以上においては、前記第2熱交換器51の出口側(流出側)の前記第2往き温度センサ35により検出された循環液Lの往き温度に応じて、前記圧縮機53の回転数を制御する、いわゆる往き温度制御を行ったが、これに限られない。第2熱交換器51の入口側(流入側)の前記戻り温度センサ34により検出された循環液Lの戻り温度に応じて、前記圧縮機53の回転数を制御する、いわゆる戻り温度制御を行ってもよい。
また、上記実施形態では、1台の熱交換端末が接続される場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち2台以上の熱交換端末が接続される構成でも良い。
また、図10に示すフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
1 温水暖房システム
5 ヒートポンプユニット(室外機)
30 端末循環回路(液循環回路)
31 負荷配管(循環液配管)
32 循環液循環ポンプ
33 第1往き温度センサ(循環液温度検出手段)
34 戻り温度センサ(循環液温度検出手段)
35 第2往き温度センサ(循環液温度検出手段)
36 ファンコイルユニット(室内機)
36a 熱交換器(室内熱交換器)
36b 端末制御部
40 温水循環回路
41 第1熱交換器(液温水熱交換器)
42 温水配管
43 ガス加熱器
44 温水循環ポンプ
45 暖房熱交換器(ガス熱源側熱交換器)
50 冷媒循環回路
51 第2熱交換器(液冷媒熱交換器)
51a 冷媒通路
51b 循環液通路
53 圧縮機
55 空気熱交換器(室外熱交換器)
57 外気温センサ(外気温検出手段)
61 熱交換ユニット制御装置
62 ヒートポンプ制御装置(熱源制御部)
63 ボイラー制御装置
144 端末制御線(第1端末制御線)
C1 温水
C2 冷媒
L 循環液
V 熱動弁(開閉弁)

Claims (8)

  1. 空調対象空間の室内空気と循環液との熱交換を行う室内熱交換器を備えた室内機と、
    冷媒通路と循環液通路とを備え、前記冷媒通路内の前記冷媒と前記循環液通路内の前記循環液との熱交換を行う液冷媒熱交換器、前記冷媒と外気との熱交換を行う室外熱交換器、圧縮機及び、前記循環液を流通させる循環ポンプ、を備えた室外機と、
    を有し、
    前記液冷媒熱交換器の前記循環液通路と前記室内熱交換器とを循環液配管によって環状に接続して液循環回路を形成し、前記液冷媒熱交換器の前記冷媒通路、前記室外熱交換器、及び、前記圧縮機を冷媒配管で接続して冷媒循環回路を形成して、前記室内機により室内空気を加熱する暖房運転を実行可能な温水暖房システムにおいて、
    外気温を検出する外気温検出手段と、
    前記循環液の温度を検出する循環液温度検出手段と、
    前記室内機の種別を識別可能な識別手段と、
    前記暖房運転の非実行時において、前記外気温検出手段により検出された前記外気温が所定の第1しきい値未満になった場合に、前記循環ポンプを起動して前記循環液配管内に前記循環液を流通させる第1凍結防止制御手段と、
    前記識別手段により特定種別の室内機が識別されなかった場合には、前記第1凍結防止制御手段により前記循環液の流通が開始された後に前記循環液温度検出手段により検出された前記循環液の温度が所定の第2しきい値未満となった場合に、前記圧縮機を起動して前記液冷媒熱交換器において前記冷媒から前記循環液へ放熱させる第2凍結防止制御手段と、
    前記識別手段により特定種別の室内機が識別された場合には、前記第1凍結防止制御手段により前記循環液の流通が開始された後に前記循環液温度検出手段により検出された前記循環液の温度が前記第2しきい値よりも高い所定の第3しきい値未満となった場合に、前記圧縮機を起動して前記液冷媒熱交換器において前記冷媒から前記循環液へ放熱させる第3凍結防止制御手段と、
    を有することを特徴とする温水暖房システム。
  2. 前記第1凍結防止制御手段は、
    前記識別手段により前記特定種別の室内機が識別された場合には、前記循環ポンプを起動するとともに、前記特定種別の室内機に設けられ前記循環液配管を開閉する開閉弁を閉じ状態から開き状態とする
    ことを特徴とする請求項1記載の温水暖房システム。
  3. 前記識別手段は、
    前記室内機が前記循環液配管に接続されていることを表す接続情報の取得を図る接続情報取得手段と、
    前記接続情報取得手段により前記接続情報が取得できたか否かを判定する取得判定手段と、
    を含むことを特徴とする請求項2記載の温水暖房システム。
  4. 前記室外機に設けられ当該室外機の動作を制御する熱源制御部と、
    前記室内機に設けられ当該室内機の動作を制御する端末制御部と、
    前記端末制御部と前記熱源制御部とを有線にて接続するとともに、信号を前記端末制御部から前記熱源制御部へ一方向にのみ伝える第1端末制御線と、
    前記端末制御部と前記熱源制御部とを有線にて接続するとともに、信号を前記熱源制御部から前記端末制御部へ一方向にのみ伝える第2端末制御線と、
    をさらに有し、
    前記接続情報取得手段は、
    前記第1端末制御線を介し前記端末制御部から前記接続情報の取得を図り、
    前記第1凍結防止制御手段は、
    前記第2端末制御線を介し前記端末制御部へ前記開閉弁の開閉信号を送信する
    ことを特徴とする請求項3記載の温水暖房システム。
  5. 前記第2凍結防止制御手段により前記圧縮機が起動された後、前記循環液温度検出手段により検出された前記循環液の温度が所定の第4しきい値を超えた場合に、前記圧縮機を停止するか、若しくは、
    前記第3凍結防止制御手段により前記圧縮機が起動された後、前記循環液温度検出手段により検出された前記循環液の温度が所定の第5しきい値を超えた場合に、前記圧縮機を停止する運転停止制御手段をさらに有する
    ことを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか1項記載の温水暖房システム。
  6. ガス加熱器、前記ガス加熱器から受熱するガス熱源側熱交換器、及び、前記液循環回路に設けた液温水熱交換器、を温水配管で接続して、温水循環回路を形成し、
    前記液循環回路では、前記液冷媒熱交換器、前記液温水熱交換器、前記室内熱交換器が直列に配設されるようにしつつ前記循環液配管で接続されている
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の温水暖房システム。
  7. 前記第2凍結防止制御手段は、
    前記循環液が前記第2しきい値未満となった場合でかつ所定の起動条件が満たされた場合には、前記温水配管内の温水の加熱を開始するように前記ガス加熱器を制御し、
    前記第3凍結防止制御手段は、
    前記循環液が前記第3しきい値未満となった場合でかつ前記起動条件が満たされた場合には、前記温水配管内の温水の加熱を開始するように前記ガス加熱器を制御する
    ことを特徴とする請求項6記載の温水暖房システム。
  8. 前記室内機は屋内に設けられており、
    前記室外機は屋外に設けられており、
    前記循環液配管のうち、前記液温水熱交換器と前記室内熱交換器との間の少なくとも一部が、屋外に設けられている
    ことを特徴とする請求項6又は請求項7記載の温水暖房システム。
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