JP7464873B1 - 可変容量型ベーンポンプ - Google Patents
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Abstract
【課題】ベーンの飛び出し性を向上させて、低速回転での運転に対応することができ、消費電力を低減することができる可変容量型ベーンポンプを提供する。【解決手段】ベーンポンプ100は、作動油を貯留するドレン室166と、ロータ112のベーン114が通るベーン溝122に設けられたベーン背圧穴176と、サイドプレート118、120に設けられ吐出領域および吸入領域に位置し、ベーン背圧穴と連通可能なベーン背圧溝178、180と、カムリング116の移動範囲内に配置され、サイドプレートを貫通しドレン室に吐出圧を導く吐出側貫通穴172と、カムリングの移動範囲外に配置され、サイドプレートを貫通しドレン室から吸入領域のベーン背圧溝180に吐出圧とドレン圧を含む正圧を導く吸込側貫通穴174とを有し、カムリングが移動しポンプ容量が減少すると、吐出側貫通穴が塞がれて、ドレン室への吐出圧の供給が遮断される。【選択図】図1
Description
本発明は、作動油の油圧源として用いられる可変容量型ベーンポンプに関する。
一例として各種機械においては、作動油の油圧源として吐出量を変化させる可変容量型ベーンポンプが用いられている(例えば特許文献1)。特許文献1の可変容量形ベーンポンプは、回転するロータから摺動可能に突出する複数のベーンと、ベーンの外周端部を摺接させてポンプ室を形成する同心円筒形状のカムリングと、サイドプレートとを有する。サイドプレートは、ロータ、ベーンおよびカムリングを軸方向から挟持して吸入および吐出工程を制御する。
ロータは、ベーンが径方向に進退可能に挿通されるベーン溝と、ベーンに背圧を導くベーン背圧穴とを有する。またサイドプレートには、吐出領域および吸入領域に位置し、ベーン背圧穴と連通可能なベーン背圧溝が設けられている。ベーンは、ロータの回転に伴う遠心力と、ロータのベーン背圧穴に導かれる背圧とによって、ロータから径方向に飛び出して、カムリングの内周面に沿って摺動する。
この可変容量型ベーンポンプでは、ロータのベーン背圧穴は、サイドプレートのベーン背圧溝によって吸入領域では吸入圧が導かれ、吐出領域では吐出圧が導かれる構造となっている。
しかし特許文献1の可変容量型ベーンポンプでは、吸入領域において、ロータのベーン背圧穴に導かれる吸入圧が微小な負圧であり、背圧でベーンを押し出さないため、ベーンの飛び出し性は遠心力に依存することになる。
そのため特許文献1の可変容量型ベーンポンプでは、消費電力を低減するためにインバータなどで低速回転での運転を行った場合、ロータの回転数が低下して遠心力が小さくなり、吸入領域でのベーンの飛び出し性が低下し、ベーンとカムリングとの衝突音が発生したり、吐出領域での吐出圧が不安定になったりする場合があり得る。
本発明は、このような課題に鑑み、ベーンの飛び出し性を向上させて、低速回転での運転に対応することができ、消費電力を低減することができる可変容量型ベーンポンプを提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明にかかる可変容量型ベーンポンプの代表的な構成は、軸を中心に回転可能なロータと、回転するロータから摺動可能に突出する複数のベーンと、ロータから突出したベーンの外周端部が摺接する内周面を有し、軸に対して偏心可能なカムリングと、ロータ、ベーンおよびカムリングを軸方向から挟持して吸入および吐出工程を制御するサイドプレートと、を有する可変容量型ベーンポンプにおいて、各部品の隙間から漏れた作動油を貯留するドレン室と、ロータに設けられベーンが通るベーン溝の中心側端部に設けられたベーン背圧穴と、サイドプレートに設けられ吐出領域および吸入領域に位置し、ベーン背圧穴と連通可能なベーン背圧溝と、カムリングの移動範囲内に配置され、サイドプレートを貫通しドレン室に吐出圧を導く吐出側貫通穴と、カムリングの移動範囲外に配置され、サイドプレートを貫通しドレン室から吸入領域のベーン背圧溝に吐出圧とドレン圧を含む正圧を導く吸込側貫通穴とを有し、カムリングが移動しポンプ容量が減少すると、カムリングによって吐出側貫通穴が塞がれて、ドレン室への吐出圧の供給が遮断されることを特徴とする。
上記構成では、サイドプレートを貫通しドレン室に吐出圧を導く吐出側貫通穴が、カムリングの移動範囲内に配置されている。そして吸込側貫通穴は、サイドプレートを貫通しドレン室から吸入領域のベーン背圧溝に吐出圧とドレン圧を含む正圧を導く。従来技術では吸入領域においてベーン背圧穴が微小な負圧であったところ、本発明においては正圧となる。したがって上記構成によれば、吸入領域におけるベーンの飛び出し性を向上させて、低速回転での運転に対応することができ、消費電力を低減することができる。
ここで、カムリングが大きく偏心してポンプ容量が増大しているときは吐出側貫通穴が開口し、カムリングがロータと同軸に近づいてポンプ容量が減少すると吐出側貫通穴がカムリングによって塞がれる。一方、吸込側貫通穴は、カムリングの移動範囲外に配置されているため、カムリングによって塞がれることがなく、常に開口している。吐出側貫通穴が塞がれると、吸込側貫通穴は、ドレン室から吸入領域のベーン背圧溝にドレン圧のみの正圧を導く。したがって、吐出側貫通穴が開口している場合も、塞がれている場合も、吸入領域のベーン背圧溝には常に正圧が導かれる。
そして、カムリングによって吐出側貫通穴が塞がれた保圧時(ポンプ容量が最小のとき)にはドレン室への吐出圧の供給(漏れ)が遮断されるため、吐出側貫通穴からの作動油の損失を抑えることができる。したがって、保圧時のポンプ効率の低下を防止することができる。
上記の可変容量型ベーンポンプは、ロータ、ベーン、カムリングおよびサイドプレートによりポンプ室が形成されていて、サイドプレートは、ポンプ室から吐出される作動油を導く吐出室と、吐出室からロータの回転方向とは逆方向に向かって突出して延びるノッチとを有し、吐出側貫通穴は、ノッチの先端よりも、ベーンの回転方向の下流側に配置されているとよい。
サイドプレートの吐出室に、ベーンの回転方向の上流側に突出するノッチを形成することは、従来から行われている。ノッチの先端は、ロータの回転に伴ってポンプ室と吐出室が最初に接する箇所であるため、吐出圧の制御の起点となる。そこで上記構成では、吐出側貫通穴を、ノッチの先端よりもベーンの回転方向の下流側に配置することにより、ポンプ室が、ロータの回転に伴って吐出側貫通穴よりも先にノッチの先端に接することになる。したがって、吐出側貫通穴を設けてもノッチの先端を制御の起点とする従来の設計を変更する必要がなく、吐出圧の制御を安定させることができる。
本発明によれば、ベーンの飛び出し性を向上させて、低速回転での運転に対応することができ、消費電力を低減することができる可変容量型ベーンポンプを提供することができる。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
図1は、本発明の実施形態における可変容量型ベーンポンプ(以下、ベーンポンプ100)のフルフロー時の状態(ポンプ容量が最大の状態)を示す断面図である。ベーンポンプ100は、吐出量を変化させるポンプであって、各種機械において作動油の油圧源として用いられる。
ベーンポンプ100は、図1(a)に示すハウジング102と、ハウジング102と一体的に形成されたカバー104(図1(b)参照)とを備える。ハウジング102およびカバー102内には、軸受106、108によって回転軸110が回転自在に支持されている。
ベーンポンプ100はさらに、ロータ112と、複数のベーン114と、カムリング116と、一対のサイドプレート118、120とを備える。ロータ112は、回転軸110と一体的に支持されていて、回転軸110を中心にして回転可能となっている。ベーン114は、図1(a)に示すロータ112に設けられたベーン溝122を通って、回転するロータ112から摺動可能に突出する。
カムリング116は、回転軸110に対して偏心可能な円筒状の部材である。カムリング116の内周面126(図1(b)参照)には、ロータ112から突出したベーン114の外周端部124が摺接する。図1(a)に示すように、カムリング116の一方の側(図中、左側)には、ベーンポンプ100の吐出圧を調整する圧力調整機構128が設けられていて、他方の側(図中、右側)には吐出量調整機構130が設けられている。
圧力調整機構128は、ハウジング102に設けられていて、アダプタ132に螺合するボルト部材134を軸心方向に変位させると、ばね受け136が押圧される。これにより、圧力調整機構128では、カムリング116の外周面138に当接するホルダ140を介してカムリング116に作用するばね部材142の付勢力が変化し、吐出圧が調整される。
またハウジング102には、大気圧で不図示のドレンタンクにつながるドレンポート144が設けられている。ドレンポート144は、ばね部材142が収容されたばね室146に連通していて、作動油に満たされたばね室146の容積変動に応じて作動油を外部から吸入したり、外部に吐出したりする。
ここで図1(a)に示すベーンポンプ100は、カムリング116がロータ112に対して最も偏心し吐出量調整機構130に当接したフルフロー状態となっている。吐出量調整機構130は、ハウジング102に設けられていて、カムリング116の外周面138を押圧するボルト部材148を軸心方向に変位させると、ロータ112とカムリング116との隙間が調整される。つまりカムリング116のフルフロー状態の最大偏心量は、ボルト部材148によって調整される。これにより、図1(b)に示すカバー104に設けられた吸入ポート150から吐出ポート152に流れる作動油の最大吐出量が調整される。運転時における作動油の吐出量、すなわちカムリング116の偏心量は、ボルト部材134およびばね部材142によるばね荷重と、ポンプ室158内の圧力のうちばね部材142に向かう力との均衡によって随時決定される。
さらにハウジング102には、リング位置調整機構154が設けられている。リング位置調整機構154は、カムリング116の外周面138を押圧するボルト部材156を軸心方向に変位させることにより、カムリング116の位置を調整する。なおリング位置調整機構154のボルト部材156は、圧力調整機構128のボルト部材134および吐出流量調整機構130のボルト部材148にほぼ直交している。
サイドプレート118、120は、図1(b)に示すようにロータ112、ベーン114およびカムリング116を軸方向から挟持して吸入工程および吐出工程を制御する。そしてベーンポンプ100では、ロータ112、ベーン114、カムリング116およびサイドプレート118、120によりポンプ室158が形成されている。
またサイドプレート120には、図1(a)に示すポンプ室158に作動油が吸入される吸入室160と、ポンプ室158から吐出される作動油を導く吐出室162とが設けられている。また吸入室160、吐出室162はそれぞれ、図1(b)に示す吸入ポート150、吐出ポート152につながっている。
ベーンポンプ100は、図1(a)に示すフルフロー状態においてロータ112が反時計回りの方向に回転すると、ポンプ室158の容積が拡大する下側の吸入領域において、作動油が吸入ポート150から吸入室160を介してポンプ室158に吸入される。さらにベーンポンプ100では、ポンプ室158の容積が縮小する上側の吐出領域において、加圧された作動油がポンプ室158から吐出室162を介して吐出ポート152に吐出される。
またベーンポンプ100は、図1(b)に示す正圧室(ドレン室166)を備える。ドレン室166は、例えばハウジング102、マウンティング168および回転軸110により区画され、各部品の隙間から漏れた作動油を貯留する。また、回転軸110とマウンティング168の隙間は、オイルシール170によってシールされている。なおマウンティング168は、これに限らず、電動機のブラケットなどであってもよい。
図2は、図1(b)のベーンポンプ100の領域Aの拡大図である。図3は、図2のサイドプレート118を示す図である。図4は、図1(a)のベーンポンプ100の要部の拡大図である。なお図4(a)、図4(b)はそれぞれ、ベーンポンプ100の各領域B、Cを示している。
ベーンポンプ100はさらに、図2に示す吐出側貫通穴172および吸込側貫通穴174と、図4に示すベーン背圧穴176およびベーン背圧溝178、180とを備える。ベーン背圧穴176は、ロータ112に設けられた穴であって、ベーン114が通るベーン溝122の中心側端部182に設けられている。
図3および図4(a)に示すベーン背圧溝178は、サイドプレート118に設けられた溝であって、吐出領域に位置していて、ベーン背圧穴176と連通可能となっている。図3および図4(b)に示すベーン背圧溝180は、サイドプレート118に設けられた溝であって、吸入領域に位置していて、ベーン背圧穴176と連通可能となっている。
またサイドプレート120には、図1(b)に示す背圧導入穴184が設けられている。背圧導入穴184は、吐出ポート152から吐出領域のベーン背圧溝178に連通していて、ベーン背圧穴176に吐出圧を供給する。
吐出側貫通穴172は、図2に示すように2つの連続する貫通穴186、188を有する。貫通穴186は、図3に示すサイドプレート118を貫通している。また貫通穴186は、ポンプ室158と連通したり、次に述べるようにカムリング116で塞がれたりする。貫通穴188は、ハウジング102を貫通しドレン室166と連通している。また貫通穴186、188は、カムリング116の移動範囲内に配置されている。
カムリング116が大きく偏心してポンプ容量が増大しているフルフロー時において、吐出側貫通穴172は、図4(a)に示すように貫通穴186が開口し、貫通穴186に連続する貫通穴188も開口する。
これにより、吐出ポート152からの吐出圧は、ポンプ室158から吐出側貫通穴172(サイドプレート118を貫通する貫通穴186と、ハウジング102を貫通する貫通穴188)を介してドレン室166まで導かれる。
吸入側貫通穴174は、図2に示すように2つの連続する貫通穴190、192を有する。貫通穴190は、ハウジング102を貫通しドレン室166と連通している。貫通穴192は、図3に示すサイドプレート118を貫通している。また貫通穴192は、サイドプレート118に設けられ吸入領域に位置するベーン背圧溝180(図4(b)参照)と連通している。また貫通穴190、192は、カムリング116の移動範囲外に配置されている。
吸込側貫通穴174は、貫通穴190、192がカムリング116の移動範囲外に配置されているため、カムリング116によって塞がれることがない。なお図4(b)には、吸入側貫通穴174の貫通穴192が開口している状態が示されていて、貫通穴192に連続する貫通穴190も開口している。
これにより、吸込側貫通穴174は、ドレン室166から吸入領域のベーン背圧溝180に吐出圧とドレン圧を含む正圧を導く。そしてベーン背圧溝180に導かれた正圧は、ロータ112に設けられたベーン背圧穴176にさらに導かれる。
図5は、図1(a)のベーンポンプ100の保圧時(ポンプ容量が最小の状態)の状態を示す図である。なお保圧時とは、基本的には油を送らないが、外部圧力が低下した場合には圧力を維持するように僅かに作動油を送るように平衡動作する状態である。図5(a)は、図1(a)に対応するベーンポンプ100の断面図である。図5(b)は、図5(a)のベーンポンプ100の領域Dの拡大図である。
ベーンポンプ100の保圧時では、図5(a)に示すように、カムリング116がロータ112と同軸に近づいてポンプ容量が減少する。このときカムリング116の移動範囲内に配置された吐出側貫通穴172が、カムリング116によって塞がれる。なお図5(b)には、ベーンポンプ100の保圧時に、吐出側貫通穴172の貫通穴186が塞がれている状態が示されている。必然的に、貫通穴186に連続する貫通穴188にも作動油の供給は途絶えている。
吐出側貫通穴172が塞がれると、ドレン室116への吐出圧の供給が遮断されるため、吸込側貫通穴174は、ドレン室166から吸入領域のベーン背圧溝180(図4(b)参照)にドレン圧のみの正圧を導く。さらに、ベーン背圧溝180に導かれた正圧は、ロータ112に設けられたベーン背圧穴176に導かれる。
すなわちベーンポンプ100では、フルフロー時に吐出側貫通穴172が開口していると、吸入領域のベーン背圧溝180に吐出圧とドレン圧を含む正圧が導かれ、保圧時に吐出側貫通穴172が塞がれると、ベーン背圧溝180にドレン圧のみの正圧が導かれる。
つまりベーンポンプ100では、フルフロー時、保圧時いずれの場合にも、吸入領域のベーン背圧溝180には正圧が導かれる。このため、ロータ112に設けられたベーン背圧穴176には、吸入領域において負圧ではなく、吐出圧およびドレン圧を含む正圧、または、ドレン圧のみの正圧が導かれる。
したがってベーンポンプ100によれば、吸入領域において、ロータ112のベーン背圧穴176に導かれた正圧によってベーン114が押し出されることにより、ベーン114の飛び出し性を向上させて、低速回転での運転に対応することができ、消費電力を低減することができる。
またベーンポンプ100では、カムリング116によって吐出側貫通穴172が塞がれた保圧時に、ドレン室166への吐出圧の供給が遮断されるため、吐出側貫通穴172からの作動油の損失を抑えることもできる。したがって、保圧時のポンプ効率の低下を防止することができる。
さらにサイドプレート118は、図4(a)および図5(b)に示すようにノッチ194を有する。ノッチ194は、サイドプレート118に設けられた吐出室162からロータ112の回転方向(反時計回り)とは逆方向に向かって突出して延びている。また、吐出側貫通穴172の貫通穴186は、ノッチ194の先端196よりも、ベーン114の回転方向(反時計回り)の下流側に配置されているとよい。
このように、サイドプレート118に吐出室162からロータ112の回転方向とは逆方向に向かって突出したノッチ194を設けることで、ベーン114などで仕切られたポンプ室158は、ロータ112の回転に伴って、最初にノッチ194を通じて吐出室162に連通することになる。
このためベーンポンプ100では、ノッチ194を設けることで、ノッチ194を設けずポンプ室158が吐出室162に直接連通する構成に比べて、圧力低下を緩やかにすることができる。なお一例としてノッチ194は、ロータ112の回転方向に向かって開口面積(すなわちロータ112の径方向に沿う面のノッチ194の例えばV字状の断面形状の断面積)が徐々に大きくなるように溝状に形成される。
さらにノッチ194の先端196は、ロータ112の回転に伴ってポンプ室158が最初に接する箇所であるため、吐出圧の制御の起点となる。そこでベーンポンプ100では、吐出側貫通穴172を、ノッチ194の先端196よりもベーン114の回転方向の下流側に配置することにより、ポンプ室158が、ロータ112の回転に伴って吐出側貫通穴172よりも先にノッチ194の先端196に接することになる。
したがってベーンポンプ100によれば、吐出側貫通穴172を設けてもノッチ194の先端196を制御の起点とする従来の設計を変更する必要がなく、吐出圧の制御を安定させることができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明は、作動油の油圧源として用いられる可変容量型ベーンポンプとして利用することができる。
100…ベーンポンプ、102…ハウジング、104…カバー、106、108…軸受、110…回転軸、112…ロータ、114…ベーン、116…カムリング、118、120…サイドプレート、122…ベーン溝、124…ベーンの外周端部、126…カムリングの内周面、128…圧力調整機構、130…吐出量調整機構、132…アダプタ、134、148、156…ボルト部材、136…ばね受け、138…カムリングの外周面、140…ホルダ、142…ばね部材、144…ドレンポート、146…ばね室、150…吸入ポート、152…吐出ポート、154…リング位置調整機構、158…ポンプ室、160…吸入室、162…吐出室、164…ロータの外周面、166…ドレン室、168…マウンティング、170…オイルシール、172…吐出側貫通穴、174…吸込側貫通穴、176…ベーン背圧穴、178、180…ベーン背圧溝、184…背圧導入穴、182…ベーン溝の中心側端部、186、188、190、192…貫通穴、194…ノッチ、196…ノッチの先端
Claims (2)
- 軸を中心に回転可能なロータと、
回転する前記ロータから摺動可能に突出する複数のベーンと、
前記ロータから突出した前記ベーンの外周端部が摺接する内周面を有し、前記軸に対して偏心可能なカムリングと、
前記ロータ、前記ベーンおよび前記カムリングを軸方向から挟持して吸入および吐出工程を制御するサイドプレートと、を有する可変容量型ベーンポンプにおいて、
各部品の隙間から漏れた作動油を貯留するドレン室と、
前記ロータに設けられ前記ベーンが通るベーン溝の中心側端部に設けられたベーン背圧穴と、
前記サイドプレートに設けられ吐出領域および吸入領域に位置し、前記ベーン背圧穴と連通可能なベーン背圧溝と、
前記カムリングの移動範囲内に配置され、前記サイドプレートを貫通し前記ドレン室に吐出圧を導く吐出側貫通穴と、
前記カムリングの移動範囲外に配置され、前記サイドプレートを貫通し前記ドレン室から吸入領域の前記ベーン背圧溝に吐出圧とドレン圧を含む正圧を導く吸込側貫通穴とを有し、
前記カムリングが移動しポンプ容量が減少すると、前記カムリングによって前記吐出側貫通穴が塞がれて、前記ドレン室への吐出圧の供給が遮断されることを特徴とする可変容量型ベーンポンプ。 - 当該可変容量型ベーンポンプは、前記ロータ、前記ベーン、前記カムリングおよび前記サイドプレートによりポンプ室が形成されていて、
前記サイドプレートは、
前記ポンプ室から吐出される作動油を導く吐出室と、
前記吐出室から前記ロータの回転方向とは逆方向に向かって突出して延びるノッチとを有し、
前記吐出側貫通穴は、前記ノッチの先端よりも、前記ベーンの回転方向の下流側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の可変容量型ベーンポンプ。
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