JP7464313B1 - イオン交換膜法クロルアルカリ電解用電極、その製造方法及びそれを用いたゼロギャップ型イオン交換膜電解槽 - Google Patents

イオン交換膜法クロルアルカリ電解用電極、その製造方法及びそれを用いたゼロギャップ型イオン交換膜電解槽 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、イオン交換膜法食塩電解に使用し、いわゆるゼロギャップ法電解において、電解電圧を極めて低く保持することが出来る電解用陽極を提供することである。【解決手段】本発明に係るイオン交換膜法クロルアルカリ電解用電極は、純チタン製の厚さtの多孔板からなる電極基材と、該電極基材の表面に形成された親水性の電極活物質コーティング層とを有する。電極基材は、エクスパンドメタルのロールプレス品であり、ロールプレス品の見かけ厚さPが、1.1t以上2t以下である。【選択図】図3

Description

本開示は主としてイオン交換膜法食塩電解においてイオン交換膜に密着して使用する、いわゆるゼロギャップ法用の陽極であり、長寿命で、低い電解電圧を保持することの出来る電解用陽極に関する。
食塩水を電解することによって、陽極から塩素を、陰極から苛性アルカリと水素を得るいわゆるクロルアルカリ電解は最も重要な基礎無機化学製造用電解として世界中で行われ、その生産規模は苛性ソーダとして年間6000万トン以上と工業電解として最大の地位を保持している。ただ、工業電解においては他の例に漏れずその多大なる消費電力の故に、それをいくらかでも低減する必要があり、そのために種々の試みがなされている。イオン交換膜法それ自身も過去の水銀法、隔膜法から変わって出てきた方法であり、製品品質が極めて高い事、又その省エネルギー性は、現在のほとんどのプロセスがこの方法であることでもわかる。
このような中であっても、工業電解の発達と共に、工業電解にかかる消費電力を更に低下させることは重要な使命であり、そのために当初は陽極と陰極の極間を2mm程度開けていたものをイオン交換膜の改良により、更にイオン交換膜表面を親水化することによって陽極/陰極共に押しつけて使用するいわゆるゼロギャップとすることで電解電圧を低下させると共に、電流密度を大きくし、生産能力の拡大が行われた。
しかしながら、陽極については大きな改良が行われることなくほぼ現在に至っている。これは、元々陽極は陽極液と陰極液の比重差によってイオン交換膜と陽極が密着して使用されている事又、元々の電極過電圧がいわゆるDSA(Dimensionally Stable Anode)によって、30mVから50mVと極めて小さく抑制されて居り、改良の余地が少ない事、生産性の向上の点からはより大きな電流密度における安定運転、更にイオン交換膜の長寿命化に伴う陽極長寿命化、への要請に対応することに主力が注がれてきたためである。なお、この間に、陽極電流密度は当初の2~3kA/mから、現在の6kA/mから8kA/mへと数倍になっている。なお、最近では、電極基材を主として、新たな電極の提案がなされている。
イオン交換膜電解用陽極構造としては、チタン板を基材として、それを発生した気泡抜きのために多孔板化とすると共に、多孔化するに当たってそのチタンを無駄なく使えることからエクスパンドメタルとする場合が多い。このエクスパンドメタル化する条件によって、電解電圧をより低く能率的に出来ることは知られており、そのための提案がなされている。これの基礎となるデータは、本発明者らの一人が、非特許文献1に示した。つまりエクスパンドメタルの目(網目ともいう。)の大きさは長辺の開口周期LWと短辺の開口周期SWであらわされることが多いが、そのうち長辺の開口周期LWと槽電圧の関係を示している。これによるとLWが小さくなるほど槽電圧が低くなることが示されている。つまり目が小さくなるほど槽電圧が低くなることを示している。
特許文献1には有効平板極板の単位大きさ100x100mmについて孔の部分の周囲長が2m以上と指定した多孔板を極板とすることが示されている。
特許文献2には陽極として厚み0.05mmから0.3mmのエクスパンドメタルを使用する事が示されている。このような薄い陽極を使用することによって、この陽極をイオン交換膜に可及的に近づけることで低い電圧での運転が可能であることが示されている。
特許文献3ではゼロギャップ法による電解が示されており、そこではイオン交換膜に密着する様に、陽極はエクスパンドメタルを完全に元板の厚みまで平滑化することを行っている。それによって、陽極をイオン交換膜とほぼ密着させるに様にして電解電圧を低下させている。
特許文献4には非常に薄くて目が小さく、開口率が極めて小さなエクスパンドメタルである電極構造体が示されている。
特許文献5では陽極としてエクスパンドメタルを使用しているが、その板厚みを0.1~0.5mmとしており、形成したメッシュの形状に関してSW/LW=0.45~0.55としている。
特許文献6では、不溶性金属電極について、電極支持体にバルブメタル酸化物及び少なくとも2種の白金族金属酸化物の前駆体を含む第一の実質的に水性の被覆溶液を付着し、この第一の被覆溶液を処理して電極支持体上に第一の金属酸化物被覆層を得、前記第一被覆層にバルブメタル酸化物及び少なくとも一種の白金族金属酸化物の前駆体を含む第二の実質的に 有機の被覆溶液を付着することを含む電極が示されている。
特開昭56-146884号公報 特開昭58-130286号公報 日本国特許第4453973号公報 WO2018/131519号公報 WO2015/108115号公報 特表2007-507612号公報
電気化学及び工業物理化学 Vol.56, No.5 p306 (1988)
非特許文献1では、目が小さくなるほど槽電圧が低くなることを示しているが、SWとの関連が示されていないのでそこから形状との関連は明らかにはなっていない。又ここでは開口率50%程度が良いと示されているもののどの程度の大きさが最適であるかなどは示されていない。
特許文献1では、多孔板の形状は示されていない。とすると単に切り込みを入れた板を基材としても良いことになり、そこではイオン交換膜側で発生した気泡の逃げ場がなくなってしまう。とすれば低い電圧を保持することは不可能となる部分があり、発明としては不完全であり、又その数字はなんとも不可解である。ただ孔部が重要である事は示されている。
特許文献2では、現在とは運転条件が異なる事もあるが、実電極面積を考慮すると、板の薄さによる断面部分の電極面積が小さくなってしまい、高電流密度を必要とする現在の電解条件には全く適合しないことは明らかである。又おそらく陽極の裏側に物理的な保護がないと陰極室側からの圧力で陽極の変形が起こりやすくなるものと推察される。
特許文献4では、板厚みは0.5~1.2mmであり、現在一般的に使用されている電極基材に近いが、その目開きと開口率の関係に制限を設けており、それを適用すると小さなメッシュの目となり、特殊な条件を除いては陽極のイオン交換膜側で発生した気泡を陽極の裏側に抜くことが困難であり、同時にこの部分への電解液の供給が不十分になる可能性があり、問題である。
特許文献5ではエクスパンドメタルは比較的大きな目開きを有するが、使用するメッシュの板厚が薄いという特徴がある。板厚が薄いことによって、イオン交換膜と接する電解面で発生する気泡の電極のイオン交換膜側の反対側、つまり電極裏側への逃げは比較的良くなるが、そのエクスパンドメタルの板厚が薄いので、前記したように、3次元的に考えた場合必然的に電極表面積が小さくなり、電極表面での電流密度が大きくなり、電極電位が高くなると共に電極寿命が短くなる可能性があり、問題である。特に大電流密度に対しては問題である。
特許文献6では、電位が低くなることが示されているものの、ここでは有機被覆溶液によるコーティングの表面積が大きくなることをサイクリックボルタモグラムで示しているのみで、気泡などについては全く触れられていない。
以上の他にも多くの文献があり、これらから電解性能の向上のために過去より多くの電極技術の提案がなされてきたことがわかる。しかしながら、なおかつ現状の運転に即した陽極の構造としては不十分である。しかもこれらの電極は本来、電極基材、形状とその表面に与えられる電極活物質コーティングの組み合わせで出来るものであるにも関わらず、組み合わせでの議論はほとんど無い。特に電極から発生する気泡が増加する状態、つまり電流密度が高くなった場合に、微細な電極表面になるほど、電極コーティングと電極基材の組み合わせ、更に発生する気泡そのものが重要になるが、それに関連してはほとんど検討されていない。
本開示はイオン交換膜法食塩電解に使用し、いわゆるゼロギャップ法電解において、電解電圧を極めて低く保持することが出来る電解用陽極を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討したところ、エクスパンドメタルをロールプレス品としてから電極基材として用いること、この場合前記ロールプレス品の見かけ厚さを、エクスパンドメタルの加工前の板(以降、元板ともいう。)の厚さまでは薄くしないようにロールプレスすること(以降、この条件を満たすロールプレス品を弱プレス品ともいう。)により、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成させた。すなわち本発明に係るイオン交換膜法クロルアルカリ電解用電極は、一つのイオン交換膜に対して配置される陽極用の電極が厚さ方向に1枚であるゼロギャップ型イオン交換膜電解槽の陽極用の電極であって、純チタン製の多孔板からなる電極基材と、該電極基材の表面に形成された親水性の電極活物質コーティング層と、を有するイオン交換膜法クロルアルカリ電解用電極において、前記電極基材は、前記多孔板の板厚がtmm、長辺の開口周期がLWmm、短辺の開口周期がSWmm、ストランドがWmmのエクスパンドメタルのロールプレス品であり、前記エクスパンドメタルの開口率が20%以上60%以下であり、LW/SWで求まる比率が1.5以上3.5以下であり、前記多孔板の板厚tが0.5mm以上0.8mm以下であり、前記短辺の開口周期SWが2.0mm以上5.5mm以下であり、前記ロールプレス品の見かけ厚さPmmが、1.4t以上2t以下であることを特徴とする。
本発明に係るイオン交換膜法クロルアルカリ電解用電極では、前記純チタンがJIS第一種又はJIS第二種チタンであることが好ましい。
本発明に係るイオン交換膜法クロルアルカリ電解用電極では、前記親水性の電極活物質コーティング層は、電極活物質として、ルテニウム又はルテニウム及びイリジウムを含み、かつ、安定化材としてチタン又はスズ或いはチタン及びスズを含む酸化物コーティング層であることが好ましい。
本発明に係るイオン交換膜法クロルアルカリ電解用電極では、エクスパンドメタルの目の形状がひし形又は亀甲形であることが好ましい。
本発明に係るイオン交換膜法クロルアルカリ電解用電極の製造方法は、一つのイオン交換膜に対して配置される陽極用の電極が厚さ方向に1枚であるゼロギャップ型イオン交換膜電解槽の陽極用の電極の製造方法であって、純チタン製の多孔板の板厚がtmm、長辺の開口周期がLWmm、短辺の開口周期がSWmm、ストランドがWmm、見かけ厚さKmmのエクスパンドメタルを準備する工程1と、前記エクスパンドメタルをロールプレス加工して、電極基材として、見かけ厚さPmmのロールプレス品とする工程2と、前記ロールプレス品の表面に親水性の電極活物質コーティング層を形成する工程3と、を有し、前記エクスパンドメタルの開口率が20%以上60%以下であり、LW/SWで求まる比率が1.5以上3.5以下であり、前記多孔板の板厚tが0.5mm以上0.8mm以下であり、前記短辺の開口周期SWが2.0mm以上5.5mm以下であり、前記ロールプレス品の見かけ厚さPmmが、1.4t以上2t以下であることを特徴とする。
本発明に係るイオン交換膜法クロルアルカリ電解用電極の製造方法では、前記工程2と前記工程3との間に、さらに、前記工程2で得た前記ロールプレス品を表面ブラスト処理する工程4と、表面ブラスト処理したロールプレス品を高温塩酸によってエッチング処理して表面の鋭い凸部及び鋭いエッジ部をなくす工程5と、を有することが好ましい。
本発明に係るイオン交換膜法クロルアルカリ電解用電極の製造方法では、前記工程5の高温塩酸によるエッチング処理は、塩酸濃度18%以上25%以下で90℃以上沸騰温度以下のエッチング液を用いることが好ましい。
本発明に係るイオン交換膜法クロルアルカリ電解用電極の製造方法では、前記工程3は、前記ロールプレス品の表面に、ルテニウムを含む希塩酸溶液又はルテニウム及びイリジウムを含む希塩酸溶液からなるコーティング液を塗布し、熱分解を行うことを複数回繰り返す工程3-1と、ルテニウムを含み、溶媒としてアルコールを主成分とするコーティング液又はルテニウム及びイリジウムを含み、溶媒としてアルコールを主成分とするコーティング液を塗布し、熱分解を行うコーティングを1回以上行って、電極活物質コーティング層の表面を親水性とする工程3-2と、を有することが好ましい。また、本発明に係るゼロギャップ型イオン交換膜電解槽は、イオン交換膜と、該イオン交換膜に密着する本発明に係るイオン交換膜法クロルアルカリ電解用電極で構成される陽極と、該イオン交換膜に、前記陽極とは反対側から密着する陰極と、を含み、一つのイオン交換膜に対して配置される陽極用の電極が厚さ方向に1枚であることを特徴とする。
本発明によれば、イオン交換膜法食塩電解に使用し、いわゆるゼロギャップ法電解において、電解電圧を極めて低く保持することが出来る電解用陽極を提供することができる。
エクスパンドメタルの形状の一例を示す概略図であり、(a)は目の形状を示し、(b)はボンドをA’線での断面概略図である。 エクスパンドメタルの目の形状を示す概略図であり、(a)がひし形、(b)が亀甲形を示す。 気泡の抜けの説明図であり、(a)は従来の電極であり、(b)は本実施形態に係る電極である。
次に、本発明について実施形態を示して詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。本発明の効果を奏する限り、実施形態は種々の変形をしてもよい。
本実施形態に係るイオン交換膜法クロルアルカリ電解用電極は、純チタン製の多孔板からなる電極基材と、該電極基材の表面に形成された親水性の電極活物質コーティング層と、を有するイオン交換膜法クロルアルカリ電解用電極において、前記電極基材は、前記多孔板の板厚がtmm、長辺の開口周期がLWmm、短辺の開口周期がSWmm、ストランドがWmmのエクスパンドメタルのロールプレス品であり、前記エクスパンドメタルの開口率が20%以上60%以下であり、LW/SWで求まる比率が1.5以上3.5以下であり、前記多孔板の板厚tが0.5mm以上1.0mm以下であり、前記短辺の開口周期SWが2.0mm以上5.5mm以下であり、前記ロールプレス品の見かけ厚さPmmが、1.1t以上2t以下である。
イオン交換膜法クロルアルカリ電解において、陽極の主反応は塩素発生反応であり、電解によって発生する塩素ガスについては、気泡部分は導電性がないために気泡そのものが電気抵抗成分となるので、陽極の周辺から、如何に早く気泡を除くかを考慮すべきであり、それによって、電極の周辺を常に液で満たす様にすることが、低い電解電圧で安定に電解を継続する要件である。
本実施形態では、純チタン製のエクスパンドメタルを電極の基材としているが、エクスパンドメタルは電極用の多孔板を作るに当たって、比較的容易に作れること、又多孔板でありながらうち抜き板など他の基材に比較してチタンの利用率が100%と高く、比較的安価であるという特徴を有する。ここで、純チタンがJIS第一種又はJIS第二種チタンであることが好ましい。
本実施形態においては元板の厚み、すなわち多孔板の板厚tとしては0.5mmから1.0mmとする。板厚が0.5mmより小さいと、電解に有効な電極表面積の内、多孔部の断面面積が小さくなるために電極全体としての実表面積が小さくなってしまい、実電流密度が上がる結果、わずかではあるが電極過電圧が増加するし、又電極としての寿命が短くなる可能性がある。更には物理強度が不十分になる可能性がある。一方、元板の厚みが1.0mmより大きくなるとチタン重量が増加して高価格になる事、メッシュの目を小さく出来にくくなること。又電極の表側、つまりイオン交換膜側に電流が集中し、裏側を有効に使えなくなることから、かえって有効実表面積が小さくなると言うことがある。これらから電極基材元板の厚みtは0.5mmから1.0mmとし、好ましくは0.6mmから0.9mm、より好ましくは0.7mmから0.8mmとする。
なお、エクスパンドメタル作製時は、多孔化する孔の分だけエクスパンドメタルの外形は拡大するが、その板の拡大の割合が、そのままその開口率となる。つまり元板の長さが1000mmである場合にそれで作製したエクスパンドメタルの長さが2000mmとなった場合、その開口率は(2000-1000)/2000=0.5、つまり50%である。開口率30%の場合は多孔板の長さをxとすると、xは数1で表される。
(数1)x=0.3x+1000
(数1)よりx≒1429(mm)と求められる。
このエクスパンドメタルの目の大きさは伸ばした方向の繰り返し周期をSW とし、その直角方向の繰り返し周期をLWとされる。つまり小さなメッシュというのはLW及びSWを小さくしたものであり、エクスパンドメタルは単位大きさ当たりの繰り返し周期の数が多くなる。またLWとSWの比LW/SWが大きくなると多孔部の孔の目開きが横長になり、LW/SWが小さく、つまり1に近づくとその孔は正方形に近づくという特徴がある。
このようなメッシュについて、相対的に電気抵抗が大きいイオン交換膜内の電流分布が均一である事が望ましく、そのためにはエクスパンドメタルも目を小さくした方が良い。ただ現実には電解によって発生する気泡は開口部分つまりエクスパンドメタルの目を通して抜くことが必要であり、そのためにはある程度の孔の大きさが必須となってくる。更に開口があっても薄目を開けたような、幅の狭い隙間では気泡の抜けは難しくなってしまう。これについて鋭意検討したところ、開口率とエクスパンドメタルの孔の大きさとの関係をある範囲に持ってくれば良いことがわかった。
図2にエクスパンドメタルの好ましい目の形状の具体例を示す。図2(a)がひし形、(b)が亀甲形である。
ここで使用するエクスパンドメタルの開口率は20%以上60%以下とし、好ましくは22%以上55%以下とし、より好ましくは25%以上50%以下とし、さらに好ましくは35%以上40%以下とする。開口率が20%未満であると表面あたりのチタン面積、つまり電極面積が拡大するが、その代わりエクスパンドメタル内の隙間が小さくなるので、発生気泡のイオン交換膜の反対側への抜け、つまり電極の裏側への抜けが困難になるという問題が起こる。それ故エクスパンドメタル化する場合にわずかでも3次元化して隙間を多くすることが望ましい。見かけ厚みが元板厚みより厚くすることが望ましい。これによって実質的な電極面積をより大きく、又イオン交換膜の反対側への気泡の抜けをより有効にすることが可能となる。一方、60%を超えると電極としての有効面積が小さくなり、それによって電圧が上昇するという問題がある。使用するエクスパンドメタルの作製時の延伸率は、元板の長さに対して、1.25倍以上2.50倍以下とし、好ましくは1.28倍以上2.22倍以下とし、より好ましくは1.33倍以上2.00倍以下とし、さらに好ましくは1.54倍以上1.67倍以下とする。
つまり、通常のエクスパンドメタルは、板をエクスパンドメタル加工して多孔体とした後、元板の厚みとなるまでロールプレスして表面が平滑な多孔体化したものである。これに対して本実施形態では、次のようなロールプレスを行う。すなわち、元板(厚さtmm)をエクスパンドメタル加工して多孔体する。このときのロールプレス前の多孔体の見かけの厚さTmmとする。そして、多孔体をロールプレスして元板の1.1から2.0倍までの厚みとなる様にプレス加工をする。すなわち、ロールプレス品の見かけ厚さPmmを、1.1t以上2t以下とする。ロールプレス品は、元板の厚みまではプレスしないので弱プレス品といえる。
ここで板をエクスパンドメタル加工して多孔体とした例を検討する。図1にエクスパンドメタル加工して多孔体の概略図を示した。図1に示すようにエクスパンドメタル加工前の板の厚さと、多孔体の板厚は同じであり、t(mm)とする。多孔体の長辺の開口周期をLW(mm)、短辺の開口周期をSW(mm)、ストランドをW(mm)とする。ロールプレス前のエクスパンドメタルの見かけ厚さをT(mm)とする。このとき、Tは(数2)で表される。
(数2)T = 2W/SW・{t+√(SW - 4W)}
図1(b)に示すように、通常、エクスパンドメタルはその製造条件からして、元の板厚み(t)とエクスパンドメタル製造時の板送り幅(ストランド(W))、によって、見かけ厚みTは数2で示される厚みとなり、金属部分はエクスパンドメタルを平板とするとそれに対して傾いており、元板よりもかなり厚くなっている。なおエクスパンドメタルとした場合その開口率はストランドと延長方向の繰り返し周期であるSWによって与えられる。
なお、ロールプレス前のエクスパンドメタルの見かけ厚さの実測値をKとすると、Kは(数2)で求めた計算されたエクスパンドメタルの見かけ厚さTに対して、(数3)の関係を有する。
(数3)K=α・T
ここで、0.7≦α≦1.0
αは補正係数であり、実際のエクスパンドメタル加工の際に金属部分の端部の丸まりやひずみが生じて、実測値は計算値よりもやや小さくなる傾向がある。
見かけ厚さKのロールプレス前のエクスパンドメタルをロールプレスして、ロールプレス品の見かけ厚さPmmを、1.1t以上2t以下とする。このとき、ロールプレスの前後では、LW、SW、W及びtは、変化がほとんどない。
イオン交換膜法食塩電解用の陽極としては傾きのある構造体を元板の厚み(t)までロールプレスによってつぶして単なる多孔板としている。これによって取り扱いは容易となるが、これでは特に多孔板の目が比較的大きいときには影響が少ないものの、発生した気泡は板厚方向に一度イオン交換膜に対して直角に、その後液流れに沿って流れるようになり、いわゆる気泡離れが悪くなるという問題を生じることになる。これは板厚が薄く、開口率が低い場合は見かけ上の目が小さくなり水素に比較して遙かに大きな気泡を有する塩素の場合は気泡抜けの状態が悪くなるという問題がある。
本実施形態では、それはこれをロールプレス加工によって、元板の1.1倍から2.0倍の厚みになる様にプレス加工を行う。これによって多孔部は傾いており、この傾きを利用してイオン交換膜側から電極の裏側に向けて上方に傾けておけば気泡の流れに沿って抵抗なく気泡抜きが出来る様になる。
図3に気泡の抜けの説明図を示した。通常のイオン交換膜法電解に使用されるように元板と同じ厚さまでエクスパンドメタルを平滑化すると、エクスパンドメタルとイオン交換膜との接触面が最大となって、最も効率良く電解できるようになると思われるが、実際には、電解によって発生した気泡が本来イオン交換膜との反対側つまり電極の裏側に移動して、更に上方に向けて流れるのであるが、電極断面に邪魔されて一度、水平に出てそれから気泡自体の浮力で上昇する必要が起こる。その抵抗によって、気泡の抜けが邪魔され、また、上昇速度が遅くなることによって、わずかではあるが、液中の気泡の量が増加する(図3(a)を参照。)。つまり実質的に電解液の電気抵抗が大きくなるという問題点を有する。
本実施形態ではこれらを考慮し、更に現実にはイオン交換膜は使用中にわずかに膨潤し、陰極液の圧力で陽極にわずかな凹凸があってもそれにならって密着することを利用し、それが可能な凹凸は加工前の純チタン板の厚みの1.2倍から2.0倍までが好ましく、さらに好ましくは1.2倍から1.5倍である。これによって、発生した気泡が水平に移動することなく抵抗を最小としてイオン交換膜との反対側、斜め上方に気泡が上昇する(図3(b)を参照。)。なお、イオン交換膜の膨潤度合いによっては電極の平滑化の度合いをわずかに変化させ1.4倍から2.0倍の方が良いケースもあり、イオン交換膜によっては適宜選択をすることが望ましい。
エクスパンドメタルの目の大きさとその形状にかかるLW/SWは1.5以上3.5以下とし、好ましくは1.6以上2.5以下とし、さらに好ましくは1.7以上2.0以下とする。ここに示すLW/SWはエクスパンドメタルの開口部、ひし形、の縦横比に関連しており、LW/SW が大きくなるとひし形の短径に対して長径が大きくなるので、同じ開口部面積であっても目開きが細くなり、気泡が抜けにくくなる。それ故、開口部は縦横比が1:1に近いひし形に近くなることが望ましい。そのためにはLW/SWの比が1に近い方が望ましいが、チタンの加工性からは1.5程度が限界と思われ、それより小さくすると加工が困難となる。LW/SWが3.5より大きいとメッシュのサイズによるが開口部のひし形部に細いところが出来て気泡の抜けが完全ではなくなる可能性が大となる。
本実施形態では、短辺の開口周期SWが2.0mm以上5.5mm以下であり、好ましくは2.0mm以上5.0mm以下であり、より好ましくは2.2mm以上4.5mm以下である。SWの大きさに関してはエクスパンドメタルのストランド(W)と開口率によって決められるが、エクスパンドメタルの製造にあたっては、イオン交換膜法食塩電解の場合は発生した気泡が容易に抜ける範囲で出来るだけ小さくする様にして決める。更にエクスパンドメタルの製造にあたっては安定的に製造をするために、板厚(t)とストランド(W)がほぼ同じ大きさとする事も行われる。これらによって、エクスパンドメタルのSWが決められることになる。
次に本実施形態に係るイオン交換膜法クロルアルカリ電解用電極の製造方法について説明する。イオン交換膜法クロルアルカリ電解用電極の製造方法は、次の工程を有する。
(工程1)
純チタン製の多孔板の板厚がtmm、長辺の開口周期がLWmm、短辺の開口周期がSWmm、ストランドがWmm、見かけ厚さKmmのエクスパンドメタルを準備する。
(工程2)
エクスパンドメタルをロールプレス加工して、電極基材として、見かけ厚さPmmのロールプレス品とする。
(工程3)
ロールプレス品の表面に親水性の電極活物質コーティング層を形成する。
ロールプレス品において、エクスパンドメタルの開口率が20%以上60%以下であり、LW/SWで求まる比率が1.5以上3.5以下であり、多孔板の板厚tが0.5mm以上1.0mm以下であり、短辺の開口周期SWが2.0mm以上5.5mm以下であり、ロールプレス品の見かけ厚さPmmが、1.1t以上2t以下である。
ここまでは電極基材の形状について述べてきたが、陽極から発生する塩素ガスの気泡のサイズは、陰極から発生する水素の気泡のサイズの100倍以上となるのが普通であり、電極表面の親水性、又イオン交換膜の親水性によって、更には電極表面の凹凸によっても変化する。陽極エクスパンドメタルの多孔部は数多く、微細となる様に配置しているので比較的小さいこと、本実施形態では斜めに気泡の抜けをよくしているとはいえ、より小さな気泡で電極部を抜けることが望ましい。そのためには親水性の電極活物質コーティング層を設ける。さらに電極基材表面の加工を施すことが好ましい。
本実施形態に係るイオン交換膜法クロルアルカリ電解用電極の製造方法では、工程2と工程3との間に、さらに、工程2で得たロールプレス品を表面ブラスト処理する工程4と、表面ブラスト処理したロールプレス品を高温塩酸によってエッチング処理して表面の鋭い凸部及び鋭いエッジ部をなくす工程5と、を有することが好ましい。
(工程4)
このために基材であるエクスパンドメタル表面をブラストなどによって凹凸をつけるとともに、バリをとり、更に角部分やエッジ部分をなめらかにすることが好ましい。特に角部分をなめらかにするのは、本実施形態では多孔部が傾いており、イオン交換膜に鋭角で接触する部分が生じうるのでそこでイオン交換膜を傷つけないためにも重要である。たとえばサンドブラストであれば、媒体として白色アルミナショット、平均粒径0.5mm程度の粉末を用いて、圧力0.2~0.5MPa程度での処理が望ましい。ただしこれは使用するチタンの元板の厚みによっても調整する。もちろんこれと同等の特性が得られるのであればSiC粉末やジルコンサンドなどの媒体を使うことも可能である。
なお、表面を荒らす目的では鉄グリットや鉄ショットによるブラスト処理を行う事があるが、ブラスト圧力を大きくする事が必要であり、またブラストによって、チタン基材中に鉄分が残りやすくなること、それを除去するためには過剰な基材エッチングが必要となるなど、不可能ではないが、その使用は勧められない。
(工程5)
ブラスト加工の後、表面に残留するブラスト粉を完全に除くこと、又ブラストによって生成する鋭い凹凸をなめらかにすること、さらに基材表面を活性化することを目的として表面について高温塩酸水溶液によってエッチングを行うことが好ましい。エッチング酸として塩酸を使うのは、強いエッチング作用があり、ブラストなどでできた鋭い凹凸をなめらかにすること、これによって、電解時に発生する気泡の泡離れをよりよくして、気泡が大きく発達する前に基材表面から離れる様になり、気泡が小さく素早く陽極部分から抜ける様になる。 又塩酸エッチングによって、チタン基材表面には無数の微細な水素化チタンが生成するために表面に電極コーティングを行うときわめて強固な付着性を有するようになる。塩酸エッチングの条件は塩酸濃度18%から25%であり、温度は90℃から107℃(沸騰)が望ましい。処理時間は10分から15分が望ましく、又チタンの減量は30~70g/m-投影面程度が望ましいがこれに制限されるものではない。
このようにして作製した基材表面に複合酸化物型の電極コーティングを行う。この電極コーティングは少なくともその表面は親水性でなければならない。これによって発生ガス(塩素ガス)の気泡離れが良好となり、従って気泡が微細化してより容易に取り除かれるようになる。ここに使用する親水性コーティングは通常の熱分解コーティング法により形成することが好ましい。コーティング液の溶媒はアルコールを主体とする液とすることが好ましい。ただしこれによって作製される電極は電極の消耗速度が比較的大きいという問題が有る。そこで耐久性を考慮して下地は通常の塩酸溶媒液を使用してコーティングを行い、その表面にここで述べる親水性のコーティングとなる液からの熱分解コーティングを行うことが推奨される。つまり、2種類以上のコーティングを積層することも可能である。当然であるが必要に応じては親水性コーティングのみ1種類のコーティングでも良い。
より具体的には、工程3は、ロールプレス品の表面に、ルテニウムを含む希塩酸溶液又はルテニウム及びイリジウムを含む希塩酸溶液からなるコーティング液を塗布し、熱分解を行うことを複数回繰り返す工程3-1と、ルテニウムを含み、溶媒としてアルコールを主成分とするコーティング液又はルテニウム及びイリジウムを含み、溶媒としてアルコールを主成分とするコーティング液を塗布し、熱分解を行うコーティングを1回以上行って、電極活物質コーティング層の表面を親水性とする工程3-2と、を有することが好ましい。
電極コーティングの成分はここでは特には指定されないが、電極活物質コーティング層は、電極活物質としてルテニウム又はルテニウムとイリジウムの2成分からなり、それに安定化材としてのチタンやスズ或いはチタンとスズの2成分を含み、更に必要に応じて、他の成分を加えた、酸化物コーティング層であることが好ましい。これらは従来から行われている成分を改良して使用することが出来る。但し電極表面にある電極コーティングは強い親水性である事が必要である。なお現在の様な長寿命電極が必要な場合にはルテニウムとイリジウムを電極物質として、それに安定剤としてチタンを加えた複合酸化物である事が望ましい。
親水性のコーティングはこれら電極活物質を含むコーティング液の溶媒を水溶液系ではなく、n-ブタノール、または、iso-若しくはn-プロパノールなどのアルコール主体の液を使用し、それに調整したコーティング条件でコーティングを行うことが望ましい。これによって表面が強い親水性のコーティング層を得ることが出来る。なおこのようにして作製した親水性のコーティングが希塩酸を溶媒とした場合に比較してわずかながら電極活物質の消耗が大きいという特徴があるので、下地に水溶液系コーティングを行い、表面にアルコール系液を使用したコーティングを下地層の上に積層することも推奨される。
ここで水溶液系から作った電極コーティング層は、最初は疎水性であり、わずかに電位が高いという特徴があるが、数ヶ月から3年程度の電解によって、電位が低下すると共に親水性になるので、継続使用ではこのような2層以上の電極コーティングとすることで、長期間寿命に至るまで低い電位と親水性を保持することが出来る。
これによって、電流を6kA/mから8kA/mの大きな電流密度で極めて優れ、又低い過電圧と共に、電解による発生した気泡の影響を最小とする、つまり電解電圧の低い電解が可能となる。
本実施形態により、ゼロギャップ方式イオン交換膜法クロルアルカリ電解において、極めて低い電解電圧で電解を行うことが出来、その塩素発生効率は極めて優れていると共に、陽極の寿命は長く安定である事が可能となった。つまりエクスパンドメタルの多孔部の目をわずかにイオン交換膜側からイオン交換膜の反対側(裏側)に向けてわずかに上方に傾ける様にすることで、気泡の抜けがより良くなった。また電極表面の改良と電極コーティングそのものを親水化することによって、気泡離れがより良くなり、更に気泡径が小さく電極からの気泡離れがより良くなった結果、電流密度を上昇させ、電極周辺の気泡率を大きくしても、発生する気泡が小さいまま後ろ側に抜ける速度がより速く抜ける。この結果、電流密度を上昇させても電圧の上昇を最小限に抑えると共に、電圧そのものも低く保持することが出来る様になった。
より長寿命の電極を必要とする場合は下地に水溶液溶媒のコーティング液を使用したコンパクトな電極コーティングを行い、その表面に親水性のアルコール溶媒系の親水性電極コーティングを積層することで初期から槽電圧が低く、安定して長期間にわたる安定な電解が可能となる。
<試験1>
板厚t=0.8mmの純チタン板についてSW=3.0mm、LW=5.0mmで開口率が40%であるエクスパンドメタル(網目はひし形)を作製した。ストランド(W)はほぼ0.9mmであり、エクスパンドメタルの見かけ厚みは1.8~1.9mmであった。このエクスパンドメタルについてロールプレス加工によって、見かけの板厚を変化させたチタン多孔体を作製した。それらについて白色アルミナサンドを媒体として、0.2MPaの圧力によってブラスト掛けを行なった。更に95℃20%塩酸水溶液中で10分間エッチングを行い、清浄化と共に表面の活性化を行なった。このようにして準備をしたチタン多孔体の表面に電極物質のコーティングを行った。つまり、コーティング液は、塩化イリジウム、塩化ルテニウム及びチタンブトキシドをn-ブチルアルコールに溶解して準備した。なお、コーティング液中の金属成分の組成は、金属モル比でイリジウム:ルテニウム:チタン=16.7:33.3:50.0 であった。このコーティング液を前記ブラスト、エッチングを行ったチタン多孔体の表面に刷毛にて塗布し、60℃で乾燥後、510℃にて10分間熱分解を行った。塗布、乾燥及び熱分解の操作を10回繰り返した結果、チタン多孔体投影面当たり、イリジウムとルテニウムの合量で8g/mに相当する複合酸化物コーティングが形成されていた。これらを電極として以下の電気分解の試験1-1~1-7を行った。
つまり、これらの電極を陽極として、実験用ゼロギャップ型イオン交換膜電解槽に設置し、電位並びに、電解電圧の計測を行った。運転温度は85℃であり、電流密度0.6A/cmにて予備電解を10時間行った後に、電流密度0.1A/cmで陽極としての電位を計測した。その後電流密度を0.6A/cmとして、陽極電位及び電解電圧の測定を行った。ここで陽極液は200g-NaCl/L としたが、pHの調整は行わなかった。表1に示すように、試験1-2~1-6の陽極電位は電極の傾き幅(電極厚さ割合)が大きくなるとわずかに上昇するが、電解電圧はプレスにより基材厚みとした従来のエクスパンドメタル電極(試験1-1)より低く、2.95V以下であることがわかった。また、試験1-7の電解電圧は、2.95Vを超えていた。これはプレスが不十分であるために電極の厚さが大きく、電解電流が電極の表側により集中したためである。
Figure 0007464313000002
<試験2>
板厚t=0.6mmの純チタン板についてLW=4.0mm、SW=2.5mmであり、開口率を変化させたエクスパンドメタルを作製した。ロールプレス前の見かけ厚みは、開口率10%で1.7mm、又開口率70%で1.0mmであった。これらのエクスパンドメタルをロールプレスにより厚みPを0.9mmとした。これは、元板厚さに対して1.5倍に相当した。このようにして得られたチタン多孔体を電極基材として前処理を行った後に電極物質のコーティングを行い陽極として特性を計測した。作製したチタン多孔体電極基材はSiC粉を媒体として圧力0.2MPaでブラスト掛けを行い表面に凹凸を設けると共に表面状態の均一化を行った。しかる後に、90℃、20%塩酸水溶液で10分間エッチングを行った。このものについて試験1と同じコーティング液を使用し、同じ条件でコーティングを行い、陽極を作製した。これらの陽極について、試験1と同じ実験用ゼロギャップ型イオン交換膜電解槽を使用し、同じ条件で電解をして電位並びに電解電圧を計測した。結果を表2に示した。試験2-1の開口率10%の場合は確かに有効な電極面積は大きくなるが、開口が非常に小さく、それ故に電極とイオン交換膜の間に気泡がたまってしまい、大きな電流密度では通電が困難になる事がわかった。電解電圧は2.95Vを大きく超えていた。また試験2-7では開口率が大きくなると電極そのものの有効面積が小さくなるために、電解電圧が上昇してしまう(3.20V)ことが見られた。
Figure 0007464313000003
<比較試験>
試験2のチタン多孔体について、エクスパンドメタルの厚みを元板と同じ0.6mmまでプレスした以外同じとなる様に加工し、表面加工も同じ、更にコーティングも同じとして陽極を作製した。これらについて試験2と全く同じ条件で電解を行い電解電圧の測定を行った。その結果を表3に示した。
Figure 0007464313000004
表3に示すようにいずれも電解電圧が2.95Vを大きく超えていた。従って消費電力が大きくなることが見られた。
<試験3>
厚さ1.0mmの純チタン板について開口率50%でSWを3.0mmとして、LW=4.0mm、6.0mm、7.0mm、8.0mm、10.0mm、12.0mmであるエクスパンドメタルを作製した。この中で試験3-1のLW=4.0mmについて、製造は出来るが部分的にひびわれが生じており、合目的ではないことがわかった。LW=4.0mmの分を除いて、ロールプレス加工によって、エクスパンドメタルの見かけ厚みを1.2mmとなる様に加工した。これらについて以下の条件で先ず疎水性の電極コーティング行い、その表面に親水性の電極コーティングを行って陽極を作製した。比較例として疎水性の電極コーティングのみを行ったものを用意した(試験3-7)。
上記により用意したエクスパンドメタルについて、それらの表面を、白色アルミナをブラスト粉として、圧力0.25MPaブラスト掛けを行なった。その後、100℃に保持した20%塩酸水溶液で10分間エッチングを行った。このようにして準備した後に、以下の熱分解コーティングを行った。先ず、組成は同じであるが原材料の異なる2種のコーティング液を準備した。つまりコーティングの金属成分はイリジウム、ルテニウム、チタンの3成分であり、その組成はいずれも金属質量比でイリジウム:ルテニウム:チタン=30:30:40(モル比)とした。コーティング液1は原材料として、塩化イリジウムと塩化ルテニウム、並びに四塩化チタン水溶液を用い、これらを10%塩酸水溶液に溶解して作製した。コーティング液2は原材料を塩化イリジウムと塩化ルテニウム並びにオルソチタンブトキシドを用い、これらをn-ブタノールに溶解して作製した。
コーティング条件はチタン面あたりイリジウム+ルテニウムで1g/m(投影面)となる様に刷毛にて塗布し、60℃で10分間乾燥後、480℃で10分間加熱熱分解し、その後放冷した。この操作を必要回数繰り返した。つまり、先ずコーティング液1で塗布、乾燥、加熱熱分解の操作を5回繰り返して行った後、更にその表面にコーティング液2を使って塗布、乾燥、加熱熱分解の操作を更に5回繰り返して陽極とした。比較例として、コーティング液1のみを使用し、塗布、乾燥、加熱熱分解を10回繰り返して陽極を作製したものを試験3-7として用意した。
これらにより作製した陽極について、試験1と同じ条件で電解を行い、結果を表4に示した。表4に示すように試験3-6のようにLW/SW が3.5倍より大きくなると目開きの小さい部分が拡大してしまい、それによって気泡抜けが悪くなってしまい、電解電圧が2.95Vを超えた。試験3-7では疎水性コーティングであるため、電解による発生した気泡が大きいせいか、試験3-5と比較して電解電圧が高くなってしまった。
Figure 0007464313000005
<試験4>
厚さ1.0mmの純チタン板について開口率40%でLWを6.0mmとして、SWが2.0mm,3.0mm,4.0mm,5.0mmであるエクスパンドメタルの製造を行った。このエクスパンドメタルについロールプレスにより、見かけ厚みを1.2mmとした。これらの見かけ厚さを同じにしたチタンのエクスパンドメタルを試験1と同様にブラスト処理を行い、更に90℃に保持した20%塩酸中でエッチングを行い、表面の浄化と活性化を行った後、表面に電極物質のコーティングを行った。陽極コーティングは、ルテニウム、チタン及びスズからなる酸化物系とした。つまり塩化ルテニウム、2塩化スズ、及び四塩化チタン水溶液をn-ブタノールと10%塩酸水溶液を体積比1:1に混合した混合液に溶解してコーティング液とした。コーティング液中の金属成分の組成は金属モル比でルテニウム:スズ:チタン=15:15:70 であった。このコーティング液を、上記ブラスト掛けし、エッチングを行ったチタンエクスパンドメタル表面全体に均一に行き渡るように刷毛にて塗布し、110℃で乾燥した後、マッフル炉を用い、流通空気中470℃で10分間熱分解を行った。塗布・乾燥・熱分解の操作を10回繰り返した後に、流通空気中470℃にて1時間熱処理を行って電極とした。これによって、コーティング量は投影面1m当たりルテニウム量に換算して10gであった。このようにして作製した電極について試験4と同じ条件で電位とゼロギャップ型イオン交換膜電解槽の電解電圧を測定した。なお、電解によって出てくる気泡を観察したところ電極表面での気泡の成長は極めて少なく、親水性表面を有することが確認された。電位と電解電圧の測定結果を表5に示した。表5に示すように陽極電位は比較例を含めてほぼ同じであるが、試験4-4の比較例では多孔部は大きいが、孔同士の間隔が広いためか見かけ上の電解電圧が大きくなってしまった。また試験4-5はストランドが大きく、イオン交換膜表面でブラインドとなる部分が大きいためか、発生気泡の抜けが悪くなり、電解電圧が大きくなったものと考えられた。
Figure 0007464313000006
<試験5-I>
厚さ0.5mmの純チタン板について開口率20%とし、LWを4.0mmとして、SWが1.8mm,2.0mm,2.5mm,3.0mm及び4.0mmであるエクスパンドメタルを作製した。このエクスパンドメタルについてロールプレスにより、見かけ厚みを0.9mmとした。これらの厚みを同じにしたチタンのエクスパンドメタルを試験4と同じ条件で前処理並びに電極物質のコーティングを行って電極を作製した。なお電極コーティング量は投影面1m当たりルテニウム量に換算して8gであった。このようにして作製した電極について試験4と同じ条件で電位とゼロギャップ型イオン交換膜電解槽の電解電圧を測定した。測定結果を表6に示した。
Figure 0007464313000007
表6に示すように陽極電位は比較例を含めてほぼ同じであるが、試験5-1の比較例ではSWが小さいためか発生気泡の抜けが悪く、気泡による電気抵抗のためか電解電圧が大きくなったものと考えられた。
<試験5-II>
厚さ0.5mmの純チタン板について、開口率を25%とした以外基本的に試験5-1と同様の加工を行ってストランドを変えてチタン多孔板を作製した。これらを電極基材として試験5-1と全く同じ条件で前処理を行い、電極物質コーティングを行って、電極を作製し、また試験5-1と同じ条件で電極としての計測を行った。結果を表7に示した。
Figure 0007464313000008
表7に示すように全体としては大きな変化は見えなかったが、試験5-6のSW=1.8mmでは目開きがわずかに小さく、それによって、試験5‐1と同じく発生気泡抜けが不十分であり、気泡による電気抵抗のためか電解電圧が大きくなったものと考えられた。
本発明の電解用電極は特にイオン交換膜法クロルアルカリ電解用の陽極として、新たな電極構造と電極コーティングによって、電解によって発生するガス(わずかに酸素を含む塩素ガス)の気泡が成長する前に基材から引き剥がし、しかも基材による抵抗を最小としながら電極裏側(イオン交換膜の反対側)に抜くことが出来る様になり、極めて低い電解電圧を得ることができるようになった。又長期の運転においても問題無く低い電圧が継続出来る様になった。しかも長寿命が可能であるので、イオン交換膜法クロルアルカリ電解に於いて極めて有用に使用できる。
1 電極
2 イオン交換膜
3 発生した気泡の流れ

Claims (9)

  1. 一つのイオン交換膜に対して配置される陽極用の電極が厚さ方向に1枚であるゼロギャップ型イオン交換膜電解槽の陽極用の電極であって、
    純チタン製の多孔板からなる電極基材と、
    該電極基材の表面に形成された親水性の電極活物質コーティング層と、を有するイオン交換膜法クロルアルカリ電解用電極において、
    前記電極基材は、前記多孔板の板厚がtmm、長辺の開口周期がLWmm、短辺の開口周期がSWmm、ストランドがWmmのエクスパンドメタルのロールプレス品であり、
    前記エクスパンドメタルの開口率が20%以上60%以下であり、
    LW/SWで求まる比率が1.5以上3.5以下であり、
    前記多孔板の板厚tが0.5mm以上0.8mm以下であり、
    前記短辺の開口周期SWが2.0mm以上5.5mm以下であり、
    前記ロールプレス品の見かけ厚さPmmが、1.4t以上2t以下であることを特徴とするイオン交換膜法クロルアルカリ電解用電極。
  2. 前記純チタンがJIS第一種又はJIS第二種チタンであることを特徴とする請求項1に記載のイオン交換膜法クロルアルカリ電解用電極。
  3. 前記親水性の電極活物質コーティング層は、電極活物質として、ルテニウム又はルテニウム及びイリジウムを含み、かつ、安定化材としてチタン又はスズ或いはチタン及びスズを含む酸化物コーティング層であることを特徴とする請求項1に記載のイオン交換膜法クロルアルカリ電解用電極。
  4. エクスパンドメタルの目の形状がひし形又は亀甲形であることを特徴とする請求項1に記載のイオン交換膜法クロルアルカリ電解用電極。
  5. 一つのイオン交換膜に対して配置される陽極用の電極が厚さ方向に1枚であるゼロギャップ型イオン交換膜電解槽の陽極用の電極の製造方法であって、
    純チタン製の多孔板の板厚がtmm、長辺の開口周期がLWmm、短辺の開口周期がSWmm、ストランドがWmm、見かけ厚さKmmのエクスパンドメタルを準備する工程1と、
    前記エクスパンドメタルをロールプレス加工して、電極基材として、見かけ厚さPmmのロールプレス品とする工程2と、
    前記ロールプレス品の表面に親水性の電極活物質コーティング層を形成する工程3と、
    を有し、
    前記エクスパンドメタルの開口率が20%以上60%以下であり、
    LW/SWで求まる比率が1.5以上3.5以下であり、
    前記多孔板の板厚tが0.5mm以上0.8mm以下であり、
    前記短辺の開口周期SWが2.0mm以上5.5mm以下であり、
    前記ロールプレス品の見かけ厚さPmmが、1.4t以上2t以下であることを特徴とするイオン交換膜法クロルアルカリ電解用電極の製造方法。
  6. 前記工程2と前記工程3との間に、さらに、
    前記工程2で得た前記ロールプレス品を表面ブラスト処理する工程4と、
    表面ブラスト処理したロールプレス品を高温塩酸によってエッチング処理して表面の鋭い凸部及び鋭いエッジ部をなくす工程5と、
    を有することを特徴とする請求項5に記載のイオン交換膜法クロルアルカリ電解用電極の製造方法。
  7. 前記工程5の高温塩酸によるエッチング処理は、塩酸濃度18%以上25%以下で90℃以上沸騰温度以下のエッチング液を用いることを特徴とする請求項6に記載のイオン交換膜法クロルアルカリ電解用電極の製造方法。
  8. 前記工程3は、
    前記ロールプレス品の表面に、ルテニウムを含む希塩酸溶液又はルテニウム及びイリジウムを含む希塩酸溶液からなるコーティング液を塗布し、熱分解を行うことを複数回繰り返す工程3-1と、
    ルテニウムを含み、溶媒としてアルコールを主成分とするコーティング液又はルテニウム及びイリジウムを含み、溶媒としてアルコールを主成分とするコーティング液を塗布し、熱分解を行うコーティングを1回以上行って、電極活物質コーティング層の表面を親水性とする工程3-2と、を有することを特徴とする請求項5に記載のイオン交換膜法クロルアルカリ電解用電極の製造方法。
  9. イオン交換膜と、
    該イオン交換膜に密着する請求項1~4のいずれか一つに記載のイオン交換膜法クロルアルカリ電解用電極で構成される陽極と、
    該イオン交換膜に、前記陽極とは反対側から密着する陰極と、を含み、
    一つのイオン交換膜に対して配置される陽極用の電極が厚さ方向に1枚であることを特徴とするゼロギャップ型イオン交換膜電解槽。
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