JP7463139B2 - 金属加工装置および金属加工方法 - Google Patents
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Description
このため、ダレおよび材料引込みを減少させるためには、さらなる改善が求められている。
本発明は、ダレや材料引込を低減させることが出来る金属加工装置および金属加工方法を提供することを目的とする。
金属加工装置1は、被加工物としての板材2を図示しないクランプ治具によって固定する。この状態で、開口予定部位5を叩いて鍛造することにより加工硬化させる鍛造工程と、板材2の鍛造された開口予定部位5に開口部3を打抜形成する打抜工程と、打抜かれた開口部3の周囲に発生した微細突出6を叩き工具にて叩いて均す叩き工程とが順次行なわれる。
なお、説明の容易化のため、本実施形態では、板材2に一個の開口部3を形成する場合を主に例示している。これと同様に形成される他の開口部3の説明については省略する。
金属加工装置1には、板材2を水平に載置して固定する図示しないクランプ治具およびスライド移動体が設けられている。スライド移動体は、鍛造工具10を装着した状態でスライド方向(図1中上下方向)に沿って鍛造工具10を移動させる。
鍛造工具10は、下端部に押圧部11と、押圧部11の周縁に位置する平坦部12とを設けている。
押圧部11は、スライド移動体への装着により、クランプ治具により水平に固定された板材2のうち、板状製品4として完成した状態で開口部3となる開口予定部位5に先端11aを対向させている。
そして、スライド移動体をスライド方向下方へ移動させると、鍛造工具10の押圧部11は、板材2の上面の一部2aに円錐形の先端11aを当接させて、開口予定部位5を上方から押圧する。
開口予定部位5の周縁で、加工硬化している部分の径寸法c2は、押圧部11の径寸法c1よりも大きくなる(c1<c2)。
平坦部12は、開口予定部位5の周縁に当接して、下支えするクランプ治具に向けて、板材2を面外方向上方から下方へ押圧する。これにより、開口予定部位5の周縁の金属材料は、面外方向上方への移動が阻害されて、加工硬化が促進される。
打抜工具20は、先端(下端)側に位置して、鍛造工具10の押圧部11の径寸法c1とほぼ同等の径を有する円柱形状の挿入部22と、挿入部22よりも大径で、スライド移動体に装着されて上下方向へのスライド移動とともに移動する基端(上端)側の基端部24と、挿入部22と基端部24との間で挿入部22のスライド方向(上下方向)の上方に連設される肩部26とを一体に有している。
このうち、肩部26の傾斜角度α2は、図1に示す押圧部11の傾斜角度α1よりも小さい(α1>α2)。本実施形態では、α1=約45度、α2=約10度とした。
湾曲面28の拡径率(増加した半径方向の寸法r/スライド方向の寸法h)は、挿入部22から基端部24に向かうにつれて徐々に増大するように設定されている。
例えば、湾曲面28上の各部におけるスライド方向の寸法を均等(h1=h2=h3)とすると各部における半径方向の増加量は、徐々に増加する(r1<r2<r3)。
これにより、湾曲面28の拡径率は、挿入部22との連結部側では、最小となり挿入部22の側面と面一となる。また、湾曲面28の拡径率は、基端部24側との連結部側では、最大となる。
打抜工具20の挿入部22は、スライド方向への挿入により、密度が増大して加工硬化した金属材料を周囲に残して下面側へ板材2を打抜く。
打抜工具20の肩部26は、開口部3の開口部の内側面16に当接すると、周縁の金属材料を拡径方向へ押し広げるとともに開口部3の上方に押出そうとする。
これにより、打抜工具20に引きずられてスライド方向下方へ移動しようとする周縁の金属材料は、その場に留まり、開口部3の周縁にダレや材料引込が発生しないように抑制される。
たとえば、打抜工具20により開口部3が打抜かれる際、肩部26の挿入量によっては図2に示すように開口部3の周縁に上方へ突出する微細突出6が発生する場合がある。
叩き工具30は、下面側で板材2に対向する部分に、平坦な叩き面32を有している。
打抜工具20は、開口部3から引抜かれる。開口部3の周囲に発生した微細突出6は、叩き工具30によって上方から叩かれて上面2cと同じ高さまで潰されて平坦となる(図4参照)。
打抜き工程では、図6に示すように、各スライド移動体のスライド方向の移動量を制御して打抜工具20の開口部3への挿入量が調整される。そのため、肩部26の挿入寸法を微調整できる設備であることが好ましい。また、金属加工装置のスライド方向の位置精度は、±1/100~1/1000mmであることが望ましい。これにより、開口部3の周縁の内側面16に当接する肩部26の押圧力が調整されて、微細突出6の発生を抑制することができる。
特に、開口部3a~3cが直線状に整列配置されている場合、各開口部3a~3cの周縁に形成されるダレ量d1,d2…が中間位置に向けて重積される。このため、中央の開口部3b付近では、周囲の上面2cよりも所定寸法H、下方に沈み込む材料引込が発生する。ここで、所定寸法Hは、約0.05mm程度生じる。
本実施形態では、図1に示すように鍛造工具10を用いて板材2の開口予定部位5を鍛造して加工硬化させる。
詳しくは、本実施形態の鍛造工具10を用いた鍛造工程では、まず、スライド移動体に鍛造工具10を装着する。鍛造工具10の先端11aは、先細りの円錐形状で径方向中央の中心軸S上に凸設されて、開口予定部位5の中央部の真上に配置される。
さらにスライド移動体をスライド方向下方へ移動させると、鍛造工具10の押圧部11は、先端11aが当接した径方向中央から外径方向に向けて金属材料を押し退ける。押し退けられた部分2bは、板材2の他の部分と比して密度が増大して加工硬化(母材硬化)する。
しかも、本実施形態の鍛造工具10の円錐形状の押圧部11は、先細りに突設されている。このため、開口予定部位5では、均等に金属材料が押し退けられる際、押圧部11の下方に向けて金属材料を圧縮する。また、外径方向の周囲に多くの金属材料を均等に押し退けるためクラック等の発生も抑制される。したがって、押圧部11の外径寸法c1よりも大きな径方向寸法c2で加工硬化された開口予定部位5を得ることができる。
図2に示すように、打抜工具20の挿入部22は、開口予定部位5の加工硬化した部位に挿入されて開口部3が打抜形成される。打抜工具20は、開口部3の内周縁に残存する加工硬化している部位に対して、肩部26を内側面16から当接させる。
また、打抜工具20の挿入量によっては、発生した微細突出6が開口部3の周縁から上方に向けて突出する。
本実施形態では、図3に示すように叩き工具30を用いて、開口部3の周囲から突出した微細突出6を叩いて、図4に示すように上面2cと面一となる平坦面を形成することができる。
このため、金属加工装置1の性能により、スライド移動体のスライド方向の位置精度が高精度なものでなくても、ダレや材料引込を低減させることが出来、製造コストを増大させることなく所望の外観品質を有する板状製品4が得られる。
すなわち、先端側の挿入部22付近では、拡径率を小さく設定することができる。このため、スライド方向の位置精度が高精度な金属加工装置1でなくても、肩部26が内側面16を押圧する力は急変しない。よって、スライド移動体のスライド方向の位置精度が低い精度の金属加工装置、たとえばスライド方向の位置精度が1/10mm程度の金属加工装置を使用でき、製造コストの増大が抑制される。
このため、スライド移動体のスライド方向の位置精度が高精度なものでなくても、図4に示すように、開口部3の周囲を、板材2の他の上面2cと面一とすることができる。
したがって、ダレや材料引込を減少させて、所望の外観品質を有する板状製品4が得られる。
図9(a)は、変形例の鍛造工具40を示している。鍛造工具40は、平坦な端面41を押圧面として有する。そして、鍛造工具40は、板材2を鍛造して加工硬化させる。
加工硬化により開口予定部位5は、実施形態と比較して広い面積で、径方向中央から外径方向に向けて押し退けられて密度を向上させることができる。
他の構成および作用効果については、実施形態の金属加工装置および金属加工方法と同一乃至均等であるので説明を省略する。
このように構成された鍛造工具50では、開口予定部位5が径方向中央から外径方向に向けて押し退けられて密度を向上させることができる。
他の構成および作用効果については、実施形態の金属加工装置および金属加工方法と同一乃至均等であるので説明を省略する。
このように構成された鍛造工具60では、開口予定部位5の特に外周縁部分が径方向中央から外径方向に向けて押し退けられて密度を向上させることができる。
他の構成および作用効果については、実施形態の金属加工装置および金属加工方法と同一乃至均等であるので説明を省略する。
このため、鍛造工程にて、加工硬化が行われた開口予定部位5を、打抜工程にて打抜いて、開口部3が形成される。
開口部3の周縁の金属材料は、径方向中央から外径方向に向けて押し退けられて密度を向上させている。したがって、開口部3の周縁では、ダレや材料引込を低減させることができる。
このように、本実施形態の金属加工装置および金属加工方法では、ダレや材料引込を低減させることが出来、板状製品4の外観品質を向上させることができる。
3 開口部
5 開口予定部位
10 鍛造工具
16 内側面
20 打抜工具
22 挿入部
24 基端部
26 肩部
Claims (8)
- 被加工物の開口予定部位を鍛造により加工硬化させる鍛造工具と、
前記開口予定部位に開口部を打抜形成する打抜工具と、を備え、
前記打抜工具は、前記開口部と同径の挿入部および前記挿入部に連設されて前記打抜工具の基端側に向かうにつれて前記挿入部よりも拡径する肩部を有し、
前記開口部を打抜形成する際、前記開口部の内周縁に残存する加工硬化部位に対して前記肩部が内側面から当接する位置まで前記打抜工具を挿入すると共に、前記打抜工具の挿入量を調整することにより、前記開口部の周縁に微細突出が前記被加工物の上面よりも上方へ突出する直前で前記肩部から内側面に加えられる力を停止させることを特徴とする金属加工装置。 - 前記鍛造工具は、前記開口予定部位を径方向中央から外径方向に向けて押し退ける押圧部を凸設させていることを特徴とする請求項1に記載の金属加工装置。
- 前記押圧部は、先細りの円錐形状であることを特徴とする請求項2に記載の金属加工装置。
- 前記押圧部の周囲には、鍛造される際に前記開口予定部位の周縁に当接する平坦部が設けられていることを特徴とする請求項2または3に記載の金属加工装置。
- 前記打抜工具の前記肩部は、
前記基端側に向かうにつれて拡径率が増大する湾曲面を有していることを特徴とする請求項1~4のうち何れか一項に記載の金属加工装置。 - 前記開口部を打抜いた状態で前記開口部の周囲を叩いて平坦とする叩き工具を備え、
前記叩き工具は、前記打抜工具の前記肩部の挿入により前記開口部の周縁に発生した微細突出を叩いて均す叩き面を有することを特徴とする請求項1~5のうち何れか一項に記載の金属加工装置。 - 被加工物の開口予定部位を鍛造により加工硬化させる鍛造工程と、
被加工物の鍛造された開口予定部位に開口部を打抜形成する打抜工程と、を備えて、前記打抜工程では、打抜工具の挿入量を調整することにより、前記開口予定部位の周縁に微細突出が前記被加工物の上面よりも上方へ突出する直前で挿入により加えられる力を停止させることを特徴とする金属加工方法。 - 打抜かれた前記開口部の周囲に発生した微細突出を叩き工具にて叩いて均す叩き工程をさらに備える請求項7に記載の金属加工方法。
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