JP7458201B2 - 水回り部材 - Google Patents
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Description
さらに、FRP製基材表面に直線状の親水性塗装部分と撥水性塗装部分を平行に配置することで乾燥性を付与し、さらに親水性塗装部分と撥水性塗装部分の間に物理的な段差を無くすことで清掃容易性を得られる方法も知られている(特許文献4参照)。
特許文献2に記載の従来技術では、床全面に設けられた凹凸の凹部に汚れの残存及びその凹凸構造により清掃性が低下する問題がある。
特許文献4に記載の従来技術では、床表面に物理的段差がほとんどなく、清掃性と乾燥性を付与するものであるが、塗膜表面は平滑であり、滑り止め効果を期待できない問題があった。尚、塗装を行う場合の問題点は特許文献3と同様である。
(1)本発明に係る水回り部材は、帯状の平面部と帯状の凹凸面部が交互に配置された排水面を有し、前記平面部は鏡面もしくはマット調の面で形成され、前記凹凸面部は略同一平面で連続した凹面部と前記凹面部より立設させた複数の山状の凸部で形成され、前記凹面部と前記平面部とが連結しているとともに、前記排水面に勾配が付与され、前記平面部と前記凹凸面部が平行に配置され、前記平面部と前記凹凸面部が前記排水勾配の方向に平行または所定の角度を有して配置される水回り部材であって、前記凹凸面部は親水性を、前記平面部は撥水性を示し、かつ前記平面部の幅と前記凹凸面部の幅を各々3mm以上6mm以下とし、前記凹凸面部の幅を前記平面部の幅と同等もしくはそれ以上とすることを特徴とする。
(2)本発明に係る水回り部材において、前記凸部の高さが30μm以上100μm以下、前記凹凸面部の粗さ曲線の算術平均高さ1μm以上、前記平面部の粗さ曲線の算術平均高さ0.5μm以下であることが好ましい。
(3)本発明に係る水回り部材において、前記平面部と前記凹凸面部がいずれも不飽和ポリエステル樹脂のシートモールディングコンパウンド材料からなることが好ましい。
(5)本発明に係る水回り部材において、前記水回り部材が洗い場床または浴槽であることが好ましい。
また、帯状に平面部を形成することで、その流路内に流れを阻害する障害物がなく、排水の流れを一方向化することができ、汚れを含んだ湯水を拡散、滞留させることなく効率よく排出することができる。
さらに、凹凸面部内の凹面部を略同一平面で連続して形成し、かつ、凹凸面部内の凹面部と平面部とを連結して形成することで、凹凸面部内に付着する汚れを平面部に容易にかき出すことが可能な清掃性に優れた水回り部材とすることができる。このような構成とすることで、排水性と清掃性という相反する性能をバランス良く成立させた水回り部材を提供することができる。
また、平面部と凹凸面部の幅を3mm以上6mm以下とし、凹凸面部の幅を平面部と同等もしくはそれ以上の幅とすることにより、乾燥性に優れるとともに、足が滑り易い水回り材となることを防止できる。
図1は、本発明の第1実施形態に係る板状の水回り部材Aを示すもので、この水回り部材Aの上面には、帯状の平面部1と帯状の凹凸面部2を排水勾配の方向3に平行に配置し、平面部1と凹凸面部2を交互に配列した排水面4が形成されている。図2は水回り部材Aの部分断面図である。凹凸面部2は、複数の山状の凸部5とこれら複数の凸部5の間に形成された凹面部6で構成され、略同一平面の凹面部6より平面視不定形状の凸部5が立設して形成され、かつ、複数の凹面部6が凸部5の周囲で連続するように形成されている。
また、凹面部6は、平面部1と段差を有することなく連結して形成されることが好ましい。このような構成とすることで、凹凸面部2内に溜まった汚れは、容易に凹面部6を経由して平面部1にかき出すことができ、清掃性に優れた形状とすることができる。
図3は、後述する実施例1で得られた水回り部材の凹凸面部と平面部をレーザー顕微鏡で撮影した写真を示し、図3の奥側と手前側が平面部1、それらの間の部分が凸部5と凹面部6からなる凹凸面部2を示す。図3では右向きの矢印方向に排水勾配が付与されている。凹凸面部2において色の濃淡により標高の高い凸部5と標高の低い凹面部6が描かれている。図3の左端に標高差を示す色分けバーを示す。図3は白黒表示のため標高差を完全には描けていないが、一例としての凸部5と凹面部6を表示している。
まず、図4(a)に示すように排水面4上に水膜7を形成し、その後、平面部1の水膜は前記凹凸面部2に引き込まれるか、もしくは、排水勾配に沿って排水が進行する。図4(b)に示すように一時的に凹凸面部2に水膜7aを残した状態を維持するようになる。これによって、図4(c)に示すようにシャワーや人体等から水回り部材Aの上面に落下した水滴8を図4(d)に示すように凹凸面部2の水膜7aに引き込むことが可能となり、排水面4上への水滴の残存を防止し、乾燥性の低下を抑制することができる。
図5に示す平面視長方形状の洗い場床10において、短辺の方向(左右方向)を±X方向と定義し、長辺の方向(縦方向)を±Y方向と定義する。
図5において排水面10Aは-Y方向に排水勾配の方向3Aが向くように、排水面10Bは-X方向に排水勾配の方向3Bが向くように、排水面10Cは+Y方向に排水勾配の方向3Cが向くように、それぞれ平面視台形状に形成されている。これら台形状の排水面10A、10B、10Cと平面視長方形状の排水口凹部11を組み合わせて平面視長方形状の洗い場床10が形成されている。洗い場床10において、排水面10Aの排水勾配の方向3Aに対し排水面10Bの排水勾配3Bの方向は90°で交差する方向に設定されている。排水面10Bの排水勾配3Bの方向に対し排水面10Cの排水勾配3Cの方向は90°で交差する方向に設定されている。
排水面10Aと排水面10Bの境界には平面視斜め方向に延在する合せ目13Aが形成され、排水面10Bと排水面10Cの境界には平面視斜め方向に延在する合せ目13Bが形成されている。
あるいは、図7に示すように、合せ目13Aの中央に合せ目の平面部15と、前記合せ目の平面部15の両隣に合せ目の凹凸面部14を配置し、排水面の凹凸面部2と前記合せ目の凹凸面部14とを連結するよう設けてもよい。平面部15は平面部1と同等の形状である。合せ目13Aにおける排水勾配の方向13Dは図7において左斜め下方に向けられている。
また、洗い場床10を1面勾配で形成する場合には、図8に示すように、洗い場床10において浴槽9側を除く大部分において排水勾配の方向3Dを平面視左向きとした排水面10Dから構成し、排水面10Dと浴槽9の間に浴槽9に沿って設けた平面視帯状の排水流し溝16を設け、この排水流し溝16を経由して排水口凹部11に集水するように形成してもよい。
また、上述の実施形態では、隣接する排水面の勾配の方向が90°で交差する構成についてのみ説明したが、隣接する排水面の勾配の方向が交差する角度は90°に限らず、他の交差角度であってもよい。即ち、特定の1つの排水面に隣り合って他の排水面が隣接する場合、一方の排水面の勾配の方向と他方の排水面の勾配の方向が90°以外の角度で交差した構成も本発明に含む概念とする。
例えば、図8に示す構成において、帯状の平面部1と凹凸面部2の長さ方向が、排水勾配の方向3Dと平行ではなく、排水勾配の方向3Dに対し30°、45°、60°などのように傾斜角度を有するように交差していても良い。
また、帯状の平面部1と凹凸面部2の長さ方向が、図8に示す排水勾配の方向3Dと平行ではなく、排水勾配の方向3Dに対し30°、45°、60°などのように傾斜角度を有するように交差している構成を図5に示す3面勾配の排水面10A、10B、10Cを有する洗い場床10に適用することもできる。
何れの構造においても、帯状の平面部1に沿って流れる排水が最終的に排水口12に到達できる構成であるならば、本発明の範囲とする。
図1に示す排水面4の形状について、凹凸面部の幅を5mm、平面部の幅を3mm、また、前記凹凸面部に形成される複数の山状の凸部の最大高さを約50μmに形成し、かつ、カットオフ値0.08mmで計測した平均粗さRaを凹凸面部で1.20μm、平面部で0.35μmとなるよう製作された金型を用いて、SMC材料により成形し、実施例1の水回り部材を得た。
「実施例2」
実施例1において、凹凸面部の幅を6mm、平面部の幅を6mmに変更した金型を用いて、SMC材料を成形し、実施例2の水回り部材を得た。
実施例1において、凹凸面部の幅を2mm、平面部の幅を2mmに変更した金型を用いて、SMC材料を成形し、比較例1の水回り部材を得た。
「比較例2」
実施例1において、凹凸面部の幅を3mm、平面部の幅を5mmに変更した金型を用いて、SMC材料を成形し、比較例2の水回り部材を得た。
実施例1において、凹凸面部の幅を10mm、平面部の幅を7mmに変更した金型を用いて、SMC材料を成形し、比較例3の水回り部材を得た。
「比較例4」
実施例1における平面部を有しない凹凸面部のみの金型を用いて、SMC材料を成形し、比較例4の水回り部材を得た。
平面部のみの金型(カットオフ値0.08mmで計測したRaを0.10μm)を用いて、SMC材料を成形し、比較例5の水回り部材を得た。
「比較例6」
実施例1と同様の金型を用いて、半硬化樹脂シート(ビニルエステル樹脂、フッ素系撥水剤、硬化剤からなる樹脂組成物をガラス不織布に含侵、硬化させて作製)とSMC材料を一体成形し、撥水性の高い表面を有する比較例6の水回り部材を得た。なお、平面部における蒸留水2μLとの接触角は、93度であった。
図1における凹凸面部を凸部の頂点を平面部と略同一平面となるよう、凹凸面部全体を下方に設け、凹凸面部の幅を5mm、平面部の幅を3mm、また、前記凹凸面部の突出部高さを約50μmとなるよう製作された金型を用いて、SMC材料を成形し、比較例7の水回り部材を得た。
<評価方法>
(1)汚染物質除去性
汚染物質として、白色ワセリン及び顔料用カーボンブラックを質量比10対1の割合で混練したものを用いた。汚染物質を成形板に塗布後、乾いたウレタンスポンジを用い2kgの荷重で40往復擦り洗浄を実施した。なお、擦り方向は、排水方向に対し直交する方向で実施した。凹凸面部における汚染物質塗布前と洗浄実施後の表面を分光測色計により拡散反射率(Y値)を測定し、下式より汚染回復率を算出した。汚染回復率は、洗浄後の拡散反射率を洗浄前の拡散反射率で除算し、%表示したものである。算出した汚染回復率について、以下の基準で◎、○、△、×の評価を行った。
Y(汚染回復率)=(Y洗浄後/Y塗布前)×100(%)
◎:70%以上(鏡面板相当)
〇:50~70%
△:30~50%
×:30%以下
成形板表面に、5wt%ボディソープ水溶液を散水し、その後、3名の試験員(テスター)が成形板の上を歩行して官能評価を実施した。評価基準は、以下の○、△、×とし、最も評価人数の多かった判断を採用した。
〇:滑り難い
△:少し滑り易い
×:滑り易い
成形板表面に散水し、排水勾配1/50からなる排水面の排水状態を、3名の試験員(テスター)の目視で評価した。評価基準は、以下の○、×とし、評価した試験員の人数が多い方を採用した。
〇:排水勾配に沿って排水される
×:φ6超えの水玉が残存する
比較例3の成形板は、平面部の幅が広く、φ6を超える水滴の残存を確認でき、乾燥性が低下した。
比較例5の成形板は、表面全面を鏡面で形成しているため、滑り止め性、乾燥性が低下した。
比較例6の成形板は、凹凸面部、平面部ともに撥水性を示し、凹凸面部においても排水途中で水の流れが途切れ、水滴の残存に伴い乾燥性が低下した。
比較例7の成形板は、凹凸面部を形成する谷部が平面部と連結していないため、汚染回復率が低下した。
Claims (5)
- 帯状の平面部と帯状の凹凸面部が交互に配置された排水面を有し、前記平面部は鏡面もしくはマット調の面で形成され、前記凹凸面部は略同一平面で連続した凹面部と前記凹面部より立設させた複数の山状の凸部で形成され、前記凹面部と前記平面部とが連結しているとともに、前記排水面に勾配が付与され、
前記平面部と前記凹凸面部が平行に配置され、前記平面部と前記凹凸面部が前記排水勾配の方向に平行または所定の角度を有して配置される水回り部材であって、
前記凹凸面部は親水性を、前記平面部は撥水性を示し、かつ前記平面部の幅と前記凹凸面部の幅を各々3mm以上6mm以下とし、前記凹凸面部の幅を前記平面部の幅と同等もしくはそれ以上とすることを特徴とする水回り部材。 - 前記凸部の高さが30μm以上100μm以下、前記凹凸面部の粗さ曲線の算術平均高さ1μm以上、前記平面部の粗さ曲線の算術平均高さ0.5μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の水回り部材。
- 前記平面部と前記凹凸面部がいずれも不飽和ポリエステル樹脂のシートモールディングコンパウンド材料からなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の水回り部材。
- 各々排水勾配の方向を異ならせた複数の排水面を組み合わせてなるものであって、前記複数の排水面の内、特定の1つの排水面と隣り合う他の排水面との合せ目において、各排水面上の前記凹凸面部のみが、前記合せ目の排水勾配に沿って配置された合せ目の凹凸面部に連結していることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の水回り部材。
- 前記水回り部材が洗い場床または浴槽であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の水回り部材。
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