JP7456799B2 - フィルタおよびマルチプレクサ - Google Patents

フィルタおよびマルチプレクサ Download PDF

Info

Publication number
JP7456799B2
JP7456799B2 JP2020030940A JP2020030940A JP7456799B2 JP 7456799 B2 JP7456799 B2 JP 7456799B2 JP 2020030940 A JP2020030940 A JP 2020030940A JP 2020030940 A JP2020030940 A JP 2020030940A JP 7456799 B2 JP7456799 B2 JP 7456799B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resonators
series
frequency
resonator
film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2020030940A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2021136558A (ja
Inventor
達也 青木
眞司 谷口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Taiyo Yuden Co Ltd
Original Assignee
Taiyo Yuden Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Taiyo Yuden Co Ltd filed Critical Taiyo Yuden Co Ltd
Priority to JP2020030940A priority Critical patent/JP7456799B2/ja
Publication of JP2021136558A publication Critical patent/JP2021136558A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7456799B2 publication Critical patent/JP7456799B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Piezo-Electric Or Mechanical Vibrators, Or Delay Or Filter Circuits (AREA)
  • Surface Acoustic Wave Elements And Circuit Networks Thereof (AREA)

Description

本発明は、フィルタおよびマルチプレクサに関し、例えば弾性波共振器を有するフィルタおよびマルチプレクサに関する。
携帯電話等の無線端末の高周波回路用のフィルタおよびマルチプレクサとして、圧電薄膜共振器または弾性表面波共振器等の弾性波共振器が用いられている(例えば特許文献1、2)。圧電薄膜共振器は、圧電膜を挟み下部電極と上部電極が対向する構造を有している。弾性表面波共振器は、圧電基板上に一対の櫛型電極を有している。フィルタとして、直列共振器と並列共振器を有するラダー型フィルタが知られている。
特開2019-75736号公報 特開2015-139167号公報
HPUE(High Power User Equipment)の対応、およびCA(Carrier Aggregation)の対応により、フィルタには高耐電力化が求められている。弾性波共振器では反共振周波数と共振周波数との間の周波数に消費電力に相当するモーショナル腕(Motional arm)電流密度のピークが存在する。弾性波共振器の温度が上昇すると、周波数温度係数に対応してモーショナル腕電流密度のピークの周波数が変化する。モーショナル腕電流密度のピークの周波数がフィルタの通過帯域内に位置すると弾性波共振器の消費電力が大きくなる。これにより、弾性波共振器の温度が上昇し弾性波共振器が破壊されうる。よって、耐電力性能が劣化してしまう。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、耐電力性能を向上させることを目的とする。
本発明は、一端が入力端子と出力端子との間を接続する経路に接続され、他端がグランドに接続され、弾性波を励振し、全ての並列共振器が負の周波数温度係数を有する複数の並列共振器と、前記経路に設けられ、弾性波を励振し、全ての直列共振器が正の周波数温度係数を有する複数の直列共振器と、を備えるフィルタである。
上記構成において、前記複数の直列共振器は1ppm/K以上の周波数温度係数を有する構成とすることができる。
本発明は、一端が入力端子と出力端子との間を接続する経路に接続され、他端がグランドに接続され、弾性波を励振し、全ての並列共振器が負の周波数温度係数を有する複数の並列共振器と、前記経路に設けられ、弾性波を励振し、全ての直列共振器が負の周波数温度係数を有し、一部の直列共振器のみが前記複数の並列共振器および前記一部の直列共振器以外の残りの直列共振器の全てより絶対値の小さい負の周波数温度係数を有する複数の直列共振器と、を備えるフィルタである。
上記構成において、前記一部の直列共振器は、前記複数の直列共振器のうち前記経路内において最も前記入力端子に近い直列共振器を含む構成とすることができる。
上記構成において、前記一部の直列共振器は、前記複数の直列共振器のうち共振周波数が最も低い直列共振器を含む構成とすることができる。
上記構成において、前記複数の並列共振器および前記複数の直列共振器は、下部電極と前記下部電極上に設けられた圧電膜と前記圧電膜上に設けられた上部電極とを各々備える圧電薄膜共振器であり、前記複数の直列共振器は前記圧電膜の少なくとも一部を挟み前記下部電極と前記上部電極とが平面視において重なる共振領域内に弾性率の温度係数の符号が前記圧電膜の弾性率の温度係数の符号と反対の温度補償膜を備える構成とすることができる。
上記構成において、前記複数の並列共振器および前記複数の直列共振器は、下部電極と前記下部電極上に設けられた圧電膜と前記圧電膜上に設けられた上部電極とを各々備える圧電薄膜共振器であり、前記一部の直列共振器は前記圧電膜の少なくとも一部を挟み前記下部電極と前記上部電極とが平面視において重なる共振領域内に弾性率の温度係数の符号が前記圧電膜の弾性率の温度係数の符号と反対の温度補償膜を備える構成とすることができる。
上記構成において、前記複数の並列共振器は共振領域内に温度補償膜を備えない構成とすることができる。
上記構成において、前記複数の並列共振器は共振領域内に温度補償膜を備え、前記複数の直列共振器の共振領域内の温度補償膜は、前記複数の並列共振器の共振領域内の温度補償膜より厚い構成とすることができる。
上記構成において、前記複数の並列共振器は共振領域内に温度補償膜を備え、前記一部の直列共振器の共振領域内の温度補償膜は、前記複数の並列共振器の共振領域内の温度補償膜より厚い構成とすることができる。
上記構成において、前記複数の並列共振器および前記複数の直列共振器は、圧電基板と前記圧電基板上に設けられた一対の櫛型電極とを備える弾性波共振器であり、前記複数の直列共振器は前記一対の櫛型電極を覆うように前記圧電基板上に設けられ、弾性率の温度係数の符号が前記圧電基板の弾性率の温度係数の符号と反対の温度補償膜を備える構成とすることができる。
上記構成において、前記複数の並列共振器および前記複数の直列共振器は、圧電基板と前記圧電基板上に設けられた一対の櫛型電極とを備える弾性波共振器であり、前記一部の直列共振器は前記一対の櫛型電極を覆うように前記圧電基板上に設けられ、弾性率の温度係数の符号が前記圧電基板の弾性率の温度係数の符号と反対の温度補償膜を備える構成とすることができる。
本発明は、上記フィルタを含むマルチプレクサである。
本発明によれば、耐電力性能を向上させることができる。
図1は、比較例および実施例に係るフィルタの回路図である。 図2(a)は、比較例1に係るフィルタの通過特性S21を示す図、図2(b)は、直列共振器および並列共振器の通過特性S21を示す図、図2(c)は、直列共振器および並列共振器のモーショナル腕電流密度を示す図である。 図3(a)は、実施例1に係るフィルタの直列共振器および並列共振器の通過特性S21を示す図、図3(b)は、直列共振器および並列共振器のモーショナル腕電流密度を示す図である。 図4(a)は、実施例1の変形例1に係るフィルタの直列共振器および並列共振器の通過特性S21を示す図、図4(b)は、直列共振器および並列共振器のモーショナル腕電流密度を示す図である。 図5(a)は、比較例2に係るフィルタの直列共振器および並列共振器の通過特性S21を示す図、図5(b)は、直列共振器および並列共振器のモーショナル腕電流密度を示す図である。 図6(a)は、実施例2に係るフィルタの直列共振器および並列共振器の通過特性S21を示す図、図6(b)は、直列共振器および並列共振器のモーショナル腕電流密度を示す図である。 図7(a)は、実施例2の変形例1に係るフィルタの直列共振器および並列共振器の通過特性S21を示す図、図7(b)は、直列共振器および並列共振器のモーショナル腕電流密度を示す図である。 図8(a)は、比較例3に係るフィルタの直列共振器および並列共振器の通過特性S21を示す図、図8(b)は、直列共振器および並列共振器のモーショナル腕電流密度を示す図である。 図9(a)は、実施例3に係るフィルタの直列共振器および並列共振器の通過特性S21を示す図、図9(b)は、直列共振器および並列共振器のモーショナル腕電流密度を示す図である。 図10(a)は、実施例3の変形例1に係るフィルタの直列共振器および並列共振器の通過特性S21を示す図、図10(b)は、直列共振器および並列共振器のモーショナル腕電流密度を示す図である。 図11(a)は実施例4における圧電薄膜共振器の平面図、図11(b)は、共振領域内の温度補償膜の平面図、図11(c)および図11(d)は、それぞれ弾性波共振器R1およびR2における図11(a)のA-A断面図である。 図12は、実施例4におけるT2/(T11+T12)に対する周波数温度係数を示す図である。 図13(a)は、実施例4の変形例1における温度補償膜の平面図、図13(b)は、弾性波共振器R1の断面図、図13(c)は、挿入膜の平面図、図13(d)は、弾性波共振器R2の断面図である。 図14(a)および図14(b)は、実施例4の変形例2における温度補償膜および挿入膜の平面図、図14(c)および図14(d)は、弾性波共振器R1およびR2の断面図である。 図15(a)および図15(b)は、実施例4の変形例3における弾性波共振器R1およびR2の断面図である。 図16(a)および図16(b)は、実施例4の変形例4における弾性波共振器R1およびR2の断面図である。 図17(a)および図17(b)は、実施例4の変形例5における弾性波共振器R1およびR2の断面図である。 図18(a)および図18(b)は、実施例4の変形例6における弾性波共振器R1およびR2の断面図である。 図19(a)および図19(b)は、実施例4の変形例7における弾性波共振器R1およびR2の断面図である。 図20(a)は、実施例5における弾性波共振器の平面図、図20(b)および図20(c)は、弾性波共振器R1およびR2における図20(a)のA-A断面図である。 図21は、実施例6に係るデュプレクサの回路図である。
以下、図面を参照し実施例について説明する。
図1は、比較例および実施例に係るフィルタの回路図である。図1に示すように、フィルタ100では、入力端子Tinと出力端子Toutとの間に直列共振器S1からS4が直列に接続されている。入力端子Tinと出力端子Toutとの間に並列共振器P1からP4が並列に接続されている。すなわち、1または複数の直列共振器S1~S4は入力端子Tinと出力端子Toutとの間の直列経路に設けられ、並列共振器P1からP4の一端は直列経路に接続され、他端はグランド端子に接続されている。直列共振器S1~S4および並列共振器P1~P4は弾性波共振器である。すなわち、直列共振器S1~S4および並列共振器P1~P4は弾性波を励振する弾性波共振器である。直列共振器S1~S4の個数および並列共振器P1~P4の個数は任意に設定できる。
[比較例1]
図2(a)は、比較例1に係るフィルタの通過特性S21を示す図、図2(b)は、直列共振器および並列共振器の通過特性S21を示す図、図2(c)は、直列共振器および並列共振器のモーショナル腕電流密度を示す図である。図2(b)における並列共振器のS21は並列共振器をシャント接続した場合の通過特性S21である。モーショナル腕電流密度は主に弾性波の振動に寄与する電流密度であり、同じ電力の高周波信号が通過した場合の消費電力に対応する。すなわち、モーショナル腕電流密度のピークの周波数は消費電力のピークの周波数に相当する。
図2(b)および図2(c)における破線は、フィルタ100に大電力の高周波信号(通過帯域Pass内の信号)を通過させる(すなわち、入力端子Tinに高周波信号を印加する)前であり、弾性波共振器の温度がほぼ室温における特性である。実線はフィルタ100に大電力の高周波信号を通過させた(すなわち、入力端子Tinに高周波信号を印加した)ときの特性である。
図2(a)に示すように、フィルタ100のS21は、通過帯域Passの損失が小さく、通過帯域Pass外の減衰量が大きい。フィルタ100は入力端子Tinに入力した高周波信号のうち通過帯域Pass内の信号を出力端子Toutに通過させ、他の周波数の信号を抑圧する。フィルタ100が例えば無線端末の送信信号を濾過する送信フィルタの場合、通過帯域Passは例えば無線端末の送信帯域を含む。フィルタ100に入力される大電力の送信信号は通過帯域Pass内の周波数を有する。フィルタ100に入力する通過帯域Pass外の高周波信号は妨害波であり小電力である。
図2(b)に示すように、比較例1では、フィルタ100に大電力の高周波信号を印加する前では、フィルタ100はほぼ室温である。室温における直列共振器S1~S4の共振周波数fsrは互いにほぼ同じであり、反共振周波数fsaは互いにほぼ同じである。共振周波数fsrにおいてS21は最も大きく、反共振周波数fsaにおいてS21は最も小さい。S21が-10dBとなる周波数をfsoとする。
並列共振器P1~P4の共振周波数fprは互いにほぼ同じであり、反共振周波数fpaは互いにほぼ同じである。共振周波数fprにおいてS21は最も小さく、反共振周波数fpaにおいてS21は最も大きい。S21が-10dBとなる周波数をfpoとする。
弾性波共振器の周波数温度係数(TCF:Temperature Coefficient FrequencyFC)は一般的に負である。大電力の高周波信号を印加する(すなわち入力端子Tinに大電力の高周波信号を入力させる)と、フィルタ100の温度が上昇する。これにより、直列共振器S1~S4の共振周波数fsr´、反共振周波数fsa´およびS21が-10dBとなる周波数fso´は、高周波信号の印加前におけるfsr、fsaおよびfsoよりそれぞれ低くなる。並列共振器P1~P4の共振周波数fpr´、反共振周波数fpa´およびS21が-10dBとなる周波数をfpo´は、室温におけるfpr、fpaおよびfpoよりそれぞれ低くなる。
図2(c)に示すように、高周波信号の印加前の室温における直列共振器S1~S4のモーショナル腕電流密度のピークの周波数fhはfsrとfsaとの間に位置する。並列共振器P1~P4のモーショナル腕電流密度のピークの周波数flはfprとfpaとの間に位置する。高周波信号の印加前の室温では。fhは通過帯域Passより高く、flは通過帯域Passより低い。これにより、通過帯域Pass内の周波数を有する小電力の高周波信号がフィルタ100を通過しても直列共振器S1~S4および並列共振器P1~P4のいずれの共振器においても消費電力は小さい。
通過帯域Pass内の周波数を有する大電力の高周波信号がフィルタ100を通過すると、フィルタ100の温度が上昇する。直列共振器S1~S4および並列共振器P1~P4の温度が上昇すると、直列共振器S1~S4のモーショナル腕電流密度のピークの周波数fh´および並列共振器P1~P4のモーショナル腕電流密度のピークの周波数fl´は、室温におけるfhおよびflよりそれぞれ低くなる。
直列共振器S1~S4の温度が上昇すると、fh´が通過帯域Passに近づく。通過帯域Pass内の周波数を有する大電力の高周波信号がフィルタ100を通過すると、直列共振器S1~S4内で消費される電力が大きくなる。このため、直列共振器S1~S4の温度がさらに上昇する。このため、fh´がよりPassに近づき、場合によって、図2(c)のように、fh´がPass内に移動する。これにより、直列共振器S1~S4の温度がさらに上昇し、直列共振器S1~S4が破壊される。
並列共振器P1~P4は、温度が上昇してもfl´はflより低くなる。このため、通過帯域Pass内の周波数を有する大電力の高周波信号がフィルタ100を通過しても、並列共振器P1~P4の消費電力が大きくなることを抑制できる。
弾性波共振器の周波数温度係数を0に近づけるため、後述のように、温度補償膜を設けることが考えられる。しかしながら、温度補償膜を設けると弾性波共振器の特性が劣化する。例えば圧電薄膜共振器に温度補償膜を設けると、電気機械結合係数が劣化する。このように、弾性波共振器の周波数温度係数を0に近づけようとすると弾性波共振器の特性が劣化する。このため、直列共振器S1~S4と並列共振器P1~P4の周波数温度係数を0または正とすると、フィルタ特性が劣化してしまう。
[実施例1]
図3(a)は、実施例1に係るフィルタの直列共振器および並列共振器の通過特性S21を示す図、図3(b)は、直列共振器および並列共振器のモーショナル腕電流密度を示す図である。
図3(a)に示すように、実施例1では、直列共振器S1~S4は正の周波数温度係数を有する。これにより、大電力の高周波信号が印加され、フィルタの温度が室温より高くなると、直列共振器S1~S4の共振周波数fsr´、反共振周波数fsa´および周波数fso´はfsr、fsaおよびfsoより高くなる。並列共振器P1~P4の周波数温度係数は比較例1の図2(b)と同じ負である。
図3(b)に示すように、室温より高い温度では、直列共振器S1~S4のモーショナル腕電流密度のピークの周波数fh´は室温のfhより高くなる。これにより、大電力の高周波信号がフィルタ100に印加されても直列共振器S1~S4のモーショナル腕電流密度のピークの周波数は通過帯域Pass内に移動することを抑制できる。並列共振器P1~P4のモーショナル腕電流密度のピークの周波数fl´は比較例1の図2(c)と同様に、温度が高くなるとflより低くなる。よって、fl´が通過帯域Pass内に移動することを抑制できる。
実施例1によれば、並列共振器P1~P4の全ては負の周波数温度係数を有し、直列共振器S1~S4の全ては正の周波数温度係数を有する。これにより、直列共振器S1~S4のモーショナル腕電流密度のピークの周波数fh´が通過帯域Pass内に移動することを抑制でき、耐電力性能を向上できる。また、直列共振器S1~S4は、温度補償膜を設けるため特性が劣化する可能性がある。並列共振器P1~P4は、温度補償膜を設けないまたは温度補償膜が薄いため特性の劣化を抑制できる。よって、フィルタの特性劣化を抑制できる。直列共振器S1~S4の周波数温度係数は0でもよい。直列共振器S1~S4のうち半分以上の直列共振器が正の周波数温度係数を有してもよい。
共振周波数、反共振周波数およびS21が-10dBとなる周波数の周波数温度係数は、ほぼ同じである。このため、弾性波共振器の周波数温度係数として、共振周波数、反共振周波数およびS21が-10dBとなる周波数のいずれの周波数温度係数を用いてもよい。
直列共振器S1~S4の周波数温度係数は+1ppm/K以上が好ましく、+2ppm/K以上がより好ましい。電気機械結合係数等の特性の劣化を抑制するため、周波数温度係数は+15ppm/K以下が好ましい。並列共振器P1~P4の周波数温度係数は-2ppm/K以下が好ましく、-5ppm/K以下がより好ましい。特性の劣化を抑制するため、直列共振器S1~S4の周波数温度係数の絶対値は、並列共振器P1~P4の周波数温度係数の最も小さい絶対値以下が好ましく、並列共振器P1~P4の周波数温度係数の最も小さい絶対値の1/2以下がより好ましい。
[実施例1の変形例1]
図4(a)は、実施例1の変形例1に係るフィルタの直列共振器および並列共振器の通過特性S21を示す図、図4(b)は、直列共振器および並列共振器のモーショナル腕電流密度を示す図である。
図4(a)に示すように、実施例1の変形例1では、直列共振器S1~S4は負の周波数温度係数を有する。直列共振器S1~S4の周波数温度係数の絶対値は、並列共振器P1~P4の周波数温度係数の絶対値より小さい。これにより、直列共振器S1~S4における室温と高温との共振周波数の差fsr-fsr´、反共振周波数の差fsa-fsa´および周波数の差fso-fso´は、並列共振器P1~P4における室温と高温との差fpr-fpr´、fpa-fpa´およびfro-fro´よりそれぞれ小さい。
図4(b)に示すように、大電力の高周波信号が印加され、フィルタ100の温度が室温より高くなっても、直列共振器S1~S4のモーショナル腕電流密度のピークの周波数fh´は通過帯域Pass内に移動することを抑制できる。並列共振器P1~P4のモーショナル腕電流密度のピークの周波数fl´は比較例1の図2(c)と同様に、温度が高くなるとflより低くなる。よって、fl´が通過帯域Pass内に移動することを抑制できる。
並列共振器P1~P4の全ては負の周波数温度係数を有し、直列共振器S1~S4の全ては並列共振器P1~P4のうち周波数温度係数の絶対値が最も小さい並列共振器より絶対値の小さい負の周波数温度係数を有する。これにより、直列共振器S1~S4のモーショナル腕電流密度のピークの周波数fh´が通過帯域Pass内に移動することを抑制でき、耐電力性能を向上できる。また、直列共振器S1~S4の温度補償膜は実施例1より薄くてもよいため特性の劣化をより抑制できる。よって、フィルタの特性劣化をより抑制できる。直列共振器S1~S4のうち半分以上の直列共振器が並列共振器P1~P4のうち周波数温度係数の絶対値が最も小さい並列共振器より絶対値の小さい負の周波数温度係数を有してもよい。
直列共振器S1~S4の周波数温度係数は-5ppm/K以上が好ましく、-2ppm/K以上がより好ましい。並列共振器P1~P4の周波数温度係数は-5ppm/K以下が好ましく、-10ppm/K以下がより好ましい。直列共振器S1~S4の周波数温度係数の絶対値は、並列共振器P1~P4の周波数温度係数の最も小さい絶対値の1/2以下が好ましく、1/3以下がより好ましい。
[比較例2]
図5(a)は、比較例2に係るフィルタの直列共振器および並列共振器の通過特性S21を示す図、図5(b)は、直列共振器および並列共振器のモーショナル腕電流密度を示す図である。図5(a)および図5(b)は、通過帯域Passの高周波端付近のみを示している。以降の図も同様である。
図5(a)に示すように、直列共振器S1の室温における共振周波数fsr1、反共振周波数fsa1およびS21が-10dBとなる周波数fso1は、直列共振器S2~S4の室温における共振周波数fsr2、反共振周波数fsa2およびS21が-10dBとなる周波数fso2とそれぞれ略同じである。
図5(b)に示すように、直列共振器S1のモーショナル腕電流密度のピークの周波数fh1は、直列共振器S2~S4のモーショナル腕電流密度のピークの周波数fh2と略同じである。
フィルタ100に大電力の高周波信号を通過させると、フィルタ100の温度が上昇する。直列共振器S1~S4のうち最も入力端子Tinに近い直列共振器S1には最も大きな高周波電力が加わる。直列共振器S1~S4のうち直列共振器S1の温度が最も高くなる。
このため、図5(a)のように、フィルタ100に大電力の高周波信号を通過させると、直列共振器S1の共振周波数fsr1´、反共振周波数fsa1´およびS21が-10dBとなる周波数fso1´は、直列共振器S2~S4の共振周波数fsr2´、反共振周波数fsa2´およびS21が-10dBとなる周波数fso2´より低くなる。
図5(b)のように、直列共振器S1のモーショナル腕電流密度のピークの周波数fh1´は直列共振器S2~S4のモーショナル腕電流密度のピークの周波数fh2´より低くなる。これにより、直列共振器S1のモーショナル腕電流密度のピークが大きくなり直列共振器S1が破壊される可能性がある。
[実施例2]
図6(a)は、実施例2に係るフィルタの直列共振器および並列共振器の通過特性S21を示す図、図6(b)は、直列共振器および並列共振器のモーショナル腕電流密度を示す図である。
図6(a)に示すように、実施例2では、直列共振器S1の周波数温度係数を正とし、直列共振器S2~S4の周波数温度係数を比較例2と同様の負とする。フィルタ100に大電力の高周波信号を通過させると、フィルタ100の温度が上昇し、直列共振器S1の共振周波数fsr1´、反共振周波数fsa1´および周波数fso1´はfsr1、fsa1およびfso1より高くなる。直列共振器S2~S4の共振周波数fsr2´、反共振周波数fsa2´および周波数fso2´の変化は比較例2の図5(a)と同様に小さい。
図6(b)に示すように、フィルタ100に大電力の高周波信号を通過させると、直列共振器S1のモーショナル腕電流密度のピークの周波数fh1´はfh1より高くなる。直列共振器S2~S4のモーショナル腕電流密度のピークの周波数fh2´の変化は比較例2の図5(b)と同様に小さい。これにより、直列共振器S1~S4の消費電力が抑制され直列共振器S1~S4の破壊が抑制される。
直列共振器S1~S4のうち直列共振器S2~S4は、温度補償膜を設けないまたは温度補償膜が薄いため特性の劣化を抑制できる。
実施例2によれば、並列共振器P1~P4の全ては負の周波数温度係数を有し、複数の直列共振器S1~S4の一部の直列共振器S2~S4は負の周波数温度係数を有し、直列共振器S1~S4のうち少なくとも1つの直列共振器S1は0または正の周波数温度係数を有する。これにより、直列共振器S1~S4のうち消費電力が問題となる直列共振器S1のモーショナル腕電流密度のピークの周波数fh´が通過帯域Pass内に移動することを抑制でき、耐電力性能を向上できる。また、直列共振器S2~S4および並列共振器P1~P4は、温度補償膜を設けないまたは温度補償膜が薄いため特性の劣化を抑制できる。よって、フィルタの特性劣化を抑制できる。
入力端子Tinに最も近い直列共振器S1は、最も大電力の高周波信号が通過する。よって、最も温度が高くなりやすい。そこで、周波数温度係数が0または正の直列共振器は、複数の直列共振器S1~S4のうち直列経路内において最も入力端子Tinに近い直列共振器S1を含む。これにより、耐電力性能を向上できる。周波数温度係数が0または正の直列共振器は、直列共振器S1~S4のなかで、大電力の高周波信号が印加されたときに最も温度が上昇する直列共振器を含めばよく、直列共振器S1以外の直列共振器でもよい。
[実施例2の変形例1]
図7(a)は、実施例2の変形例1に係るフィルタの直列共振器および並列共振器の通過特性S21を示す図、図7(b)は、直列共振器および並列共振器のモーショナル腕電流密度を示す図である。
図7(a)に示すように、実施例2の変形例1では、直列共振器S1~S4は負の周波数温度係数を有する。直列共振器S1~S4のうち直列共振器の周波数温度係数の絶対値は、並列共振器P1~P4の周波数温度係数の絶対値および直列共振器S2~S4の周波数温度係数の絶対値より小さい。フィルタ100に大電力の高周波信号を通過させると、フィルタ100の温度が上昇し、直列共振器S1の共振周波数fsr1´、反共振周波数fsa1´および周波数fso1´はfsr1、fsa1およびfso1より低くなる。直列共振器S1の周波数温度係数の絶対値が比較例2より小さい。このため、fsr1´、fsa1´およびfso1´の変化は比較例2の直列共振器S1より小さい。
図7(b)に示すように、フィルタ100に大電力の高周波信号を通過させると、直列共振器S1のモーショナル腕電流密度のピークの周波数fh1´はfh1より低くなる。直列共振器S1のモーショナル腕電流密度のピークの周波数fh1´の変化は比較例2の図5(b)の周波数fh1´の変化より小さい。これにより、fh1´が通過帯域Pass内に移動することを抑制できる。よって、直列共振器S1の消費電力が抑制され直列共振器S1の破壊が抑制される。
直列共振器S1~S4のうち直列共振器S2~S4は、温度補償膜を設けないまたは温度補償膜が薄いため特性の劣化を抑制できる。
実施例2の変形例1によれば、並列共振器P1~P4の全ては負の周波数温度係数を有し、直列共振器S1~S4の全ては負の周波数温度係数を有し、直列共振器S1~S4のうち少なくとも1との直列共振器S1の周波数温度係数の絶対値は、並列共振器P1~P4および直列共振器S1以外の直列共振器S2~S4の全ての周波数温度係数の絶対値より小さい。これにより、実施例2と同様に、耐電力性能を向上できる。また、フィルタの特性劣化を抑制できる。
実施例2と同様に、周波数温度係数の絶対値が他の直列共振器より小さい直列共振器は、複数の直列共振器S1~S4のうち直列経路内において最も入力端子Tinに近い直列共振器S1を含む。これにより、耐電力性能を向上できる。周波数温度係数の絶対値が他の直列共振器より小さい直列共振器は、直列共振器S1~S4のなかで、大電力の高周波信号が印加されたときに最も温度が上昇する直列共振器を含めばよく、直列共振器S1以外の直列共振器でもよい。
[比較例3]
図8(a)は、比較例3に係るフィルタの直列共振器および並列共振器の通過特性S21を示す図、図8(b)は、直列共振器および並列共振器のモーショナル腕電流密度を示す図である。
図8(a)に示すように、直列共振器S1の室温における共振周波数fsr1、反共振周波数fsa1およびS21が-10dBとなる周波数fso1は、直列共振器S2~S4の室温における共振周波数fsr2、反共振周波数fsa2およびS21が-10dBとなる周波数fso2よりそれぞれ低い。
図8(b)に示すように、直列共振器S1のモーショナル腕電流密度のピークの周波数fh1は、直列共振器S2~S4のモーショナル腕電流密度のピークの周波数fh2より低い。
フィルタ100に大電力の高周波信号を通過させると、フィルタ100の温度が上昇する。直列共振器S1~S4のうち最もfsr1、fsa2およびfso1が低い直列共振器S1はモーショナル腕電流密度のピークの周波数fh1が最も低い。このため、直列共振器S1の消費電力が大きく、直列共振器S1の温度は直列共振器S2~S4より高くなる。
このため、図8(a)のように、フィルタ100に大電力の高周波信号を通過させると、直列共振器S1の共振周波数fsr1´、反共振周波数fsa1´およびS21が-10dBとなる周波数fso1´は、直列共振器S2~S4の共振周波数fsr2´、反共振周波数fsa2´およびS21が-10dBとなる周波数fso2´より周波数変化が大きくなる。
図8(b)のように、直列共振器S1のモーショナル腕電流密度のピークの周波数fh1´は直列共振器S2~S4のモーショナル腕電流密度のピークの周波数fh2´より周波数変化が大きくなる。これにより、直列共振器S1の消費電力がさらに大きくなり直列共振器S1が破壊される可能性がある。
[実施例3]
図9(a)は、実施例3に係るフィルタの直列共振器および並列共振器の通過特性S21を示す図、図9(b)は、直列共振器および並列共振器のモーショナル腕電流密度を示す図である。
図9(a)に示すように、実施例3では、直列共振器S1の周波数温度係数を正とし、直列共振器S2~S4の周波数温度係数を比較例3と同様の負とする。フィルタ100に高周波信号を通過させると、フィルタ100の温度が上昇し、直列共振器S1の共振周波数fsr1´、反共振周波数fsa1´および周波数fso1´はfsr1、fsa1およびfso1より高くなる。直列共振器S2~S4の共振周波数fsr2´、反共振周波数fsa2´および周波数fso2´の変化は比較例3の図8(a)と同様に小さい。
図9(b)に示すように、フィルタ100に大電力の高周波信号を通過させると、直列共振器S1のモーショナル腕電流密度のピークの周波数fh1´はfh1より高くなる。直列共振器S2~S4のモーショナル腕電流密度のピークの周波数fh2´の変化は比較例3の図8(b)と同様に小さい。これにより、直列共振器S1~S4の消費電力が抑制され直列共振器S1~S4の破壊が抑制される。
直列共振器S1~S4のうち直列共振器S2~S4は、温度補償膜を設けないまたは温度補償膜が薄いため特性の劣化を抑制できる。
実施例3によれば、並列共振器P1~P4の全ては負の周波数温度係数を有し、複数の直列共振器S1~S4の一部の直列共振器S2~S4は負の周波数温度係数を有し、直列共振器S1~S4のうち共振周波数が最も低い直列共振器S1は0または正の周波数温度係数を有する。これにより、直列共振器S1~S4のうち消費電力が問題となる直列共振器S1のモーショナル腕電流密度のピークの周波数fh´が通過帯域Pass内に移動することを抑制でき、耐電力性能を向上できる。また、直列共振器S2~S4および並列共振器P1~P4は、温度補償膜を設けないまたは温度補償膜が薄いため特性の劣化を抑制できる。よって、フィルタの特性劣化を抑制できる。直列共振器S1が最も共振周波数が低い直列共振器は、直列共振器S2~S4のいずれかの直列共振器でもよい。
[実施例3の変形例1]
図10(a)は、実施例3の変形例1に係るフィルタの直列共振器および並列共振器の通過特性S21を示す図、図10(b)は、直列共振器および並列共振器のモーショナル腕電流密度を示す図である。
図10(a)に示すように、実施例3の変形例1では、直列共振器S1~S4は負の周波数温度係数を有する。直列共振器S1~S4のうち直列共振器S1の周波数温度係数の絶対値は、並列共振器P1~P4の周波数温度係数の絶対値および直列共振器S2~S4の周波数温度係数の絶対値より小さい。フィルタ100に大電力の高周波信号を通過させると、フィルタ100の温度が上昇し、直列共振器S1の共振周波数fsr1´、反共振周波数fsa1´および周波数fso1´はfsr1、fsa1およびfso1より低くなる。直列共振器S1の周波数温度係数の絶対値が比較例3より小さい。このため、fsr1´、fsa1´およびfso1´の変化は比較例3の直列共振器S1より小さい。
図10(b)に示すように、フィルタ100に大電力の高周波信号を通過させると、直列共振器S1のモーショナル腕電流密度のピークの周波数fh1´はfh1より低くなる。直列共振器S1のモーショナル腕電流密度のピークの周波数fh1´の変化は比較例3の図8(b)の周波数fh1´の変化より小さい。これにより、fh1´が通過帯域Pass内に移動することを抑制できる。これにより、直列共振器S1の消費電力が抑制され直列共振器S1の破壊が抑制される。
直列共振器S1~S4のうち直列共振器S2~S4は、温度補償膜を設けないまたは温度補償膜が薄いため特性の劣化を抑制できる。
実施例3の変形例1によれば、並列共振器P1~P4の全ては負の周波数温度係数を有し、複数の直列共振器S1~S4の一部の直列共振器S2~S4は負の周波数温度係数を有し、直列共振器S1~S4のうち共振周波数が最も低い直列共振器S1は、周波数温度係数の絶対値が並列共振器P1~P4および直列共振器S2~S4の周波数温度係数の絶対値より小さい。これにより、実施例3と同様に、耐電力性能を向上できる。また、フィルタの特性劣化を抑制できる。直列共振器S1が最も共振周波数が低い直列共振器は、直列共振器S2~S4のいずれかの直列共振器でもよい。
実施例1から3のように、1または複数の並列共振器P1~P4の少なくとも1つの並列共振器は負の周波数温度係数を有し、1または複数の直列共振器S1~S4の少なくとも1つの直列共振器は0または正の周波数温度係数を有すればよい。
実施例1から3の変形例1のように、1または複数の並列共振器P1~P4のうち少なくとも1つの並列共振器は負の周波数温度係数を有し、1または複数の直列共振器S1~S4のうち少なくとも1つの直列共振器は並列共振器P1~P4のうち負の周波数温度係数を有する並列共振器の中において周波数温度係数の絶対値が最も小さい並列共振器より絶対値の小さい負の周波数温度係数を有すればよい。
[実施例4]
実施例4は、実施例1から3およびその変形例に用いる弾性波共振器として圧電薄膜共振器を用いる例である。
図11(a)は実施例4における圧電薄膜共振器の平面図、図11(b)は、共振領域内の温度補償膜の平面図、図11(c)および図11(d)は、それぞれ弾性波共振器R1およびR2における図11(a)のA-A断面図である。
図11(c)の弾性波共振器R1は、実施例1およびその変形例1における直列共振器S1~S4、実施例2、3およびそれらの変形例1における直列共振器S1に相当する。図11(d)の弾性波共振器R2は、実施例1およびその変形例1における並列共振器P1~P4、実施例2、3およびそれらの変形例1における直列共振器S2~S4に相当する。
図11(a)および図11(c)を参照し、弾性波共振器R1について説明する。基板10および空隙30上に、下部電極12が設けられている。基板10は例えばシリコン(Si)基板であり、下部電極12は例えばルテニウム(Ru)膜である。下部電極12上に、圧電膜14が設けられている。圧電膜14は例えばC軸方向を主軸とする窒化アルミニウム(AlN)を主成分とする。圧電膜14は下部圧電膜14aと下部圧電膜14a上に設けられた上部圧電膜14bとを備えている。
下部圧電膜14aと上部圧電膜14bとの間に温度補償膜26が設けられている。温度補償膜26は例えば酸化シリコン膜である。圧電膜14上に上部電極16が設けられている。上部電極16は例えばルテニウム膜である。積層膜18は、下部電極12、圧電膜14、上部電極16および温度補償膜を含む。
共振領域50は、圧電膜14の少なくとも一部を挟み下部電極12と上部電極16が平面視において重なる領域で規定される。下部電極12と上部電極16は弾性波を励振する電極である。共振領域50の平面形状は略楕円形である。共振領域50は、厚み縦振動モードまたは厚みすべり振動モード等の弾性波が共振する領域である。
図11(b)に示すように、温度補償膜26(クロスハッチングの領域)は、共振領域50内に設けられている。温度補償膜26は共振領域50の少なくとも一部に設けられていればよいが、温度補償効果を高めるため、共振領域50の略全面に設けられていることが好ましく、例えば共振領域50内の温度補償膜26の面積は共振領域50の面積の50%以上が好ましく、80%以上がより好ましい。
共振領域50における、下部圧電膜14a、上部圧電膜14bおよび温度補償膜26の厚さをそれぞれ、T11、T12およびT2とする。
図11(d)に示すように、弾性波共振器R2には温度補償膜26は設けられてない。その他の構成は弾性波共振器R1と同じであり、説明を省略する。
基板10としては、シリコン基板以外に、サファイア基板、スピネル基板、アルミナ基板、石英基板、ガラス基板、セラミック基板またはGaAs基板等を用いることができる。下部電極12および上部電極16としては、Ru以外にもクロム(Cr)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、白金(Pt)、ロジウム(Rh)またはイリジウム(Ir)等の単層膜またはこれらの積層膜を用いることができる。
圧電膜14は、窒化アルミニウム以外にも、酸化亜鉛(ZnO)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸鉛(PbTiO3)等を用いることができる。また、例えば、圧電膜14は、窒化アルミニウムを主成分とし、共振特性の向上または圧電性の向上のため他の元素を含んでもよい。例えば、添加元素として、Sc(スカンジウム)、2族元素と4族元素との2つの元素、または2族元素と5族元素との2つの元素を用いることにより、圧電膜14の圧電性が向上する。このため、圧電薄膜共振器の実効的電気機械結合係数を向上できる。2族元素は、例えばCa(カルシウム)、Mg(マグネシウム)、Sr(ストロンチウム)またはZn(亜鉛)である。4族元素は、例えばTi、Zr(ジルコニウム)またはHf(ハフニウム)である。5族元素は、例えばTa、Nb(ニオブ)またはV(バナジウム)である。さらに、圧電膜14は、窒化アルミニウムを主成分とし、B(ボロン)を含んでもよい。
温度補償膜26の弾性率の温度係数の符号は、圧電膜14の弾性率の温度係数の符号と反対である。これにより、周波数温度係数を0に近づけることができる。温度補償膜26に用いる酸化シリコン膜は意図的に不純物を含まなくてもよいし、意図的に不純物を含んでもよい。例えば酸化シリコン膜に弗素等の元素を添加することで、温度補償効果をより向上させることができる。
温度補償膜26は、共振領域50における積層膜18内に設けられていればよい。すなわち、温度補償膜26は、下部電極12内、下部電極12と圧電膜14との間、圧電膜14内、圧電膜14と上部電極16との間および上部電極16内の少なくとも一部に設けられていればよい。
図11(c)のように、空隙30上に共振領域50の積層膜18が設けられる構造では、共振領域50内の積層膜18で発生した熱が基板10等に放出しにくい。図11(c)のように、圧電膜14の端面をテラス状にすると放熱性が向上する。しかし、圧電膜14の端面をテラス状としただけでは大幅な放熱性は期待できない。このため、共振領域50内の積層膜18の温度が上昇し易い。
2.5GHz帯および3.5GHz帯のフィルタに用いられる圧電薄膜共振器を作製し、温度補償膜26の厚さを変え周波数温度係数を測定した。サンプルの作製条件は以下である。
2.5GHz帯用圧電薄膜共振器
下部電極12:厚さが145nmのルテニウム膜
圧電膜14:厚さ(T11+T12)が810nmの窒化アルミニウム膜
上部電極16:厚さが130nmのルテニウム膜
温度補償膜26:厚さがT2の酸化シリコン膜
3.5GHz帯用圧電薄膜共振器
下部電極12:厚さが100nmのルテニウム膜
圧電膜14:厚さ(T11+T12)が520nmの窒化アルミニウム膜
上部電極16:厚さが100nmがルテニウム膜
温度補償膜26:厚さがT2の酸化シリコン膜
図12は、実施例4におけるT2/(T11+T12)に対する周波数温度係数を示す図である。図12に示すように、2.5GHzおよび3.5GHz用の圧電薄膜共振器は、いずれも圧電膜14の合計の厚さに対する温度補償膜26の厚さ(T2/(T11+T12))が大きくなると、周波数温度係数TCFが大きくなる。T2/(T11+T12)が約8%において周波数温度係数はほぼ0となる。
実施例1から3では、弾性波共振器R1においてT2/(T11+T12)を8%以上とし、例えば12%以下とする。2.5GHz用および3.5GHz用の圧電薄膜共振器では例えばT2をそれぞれ80nmおよび65nmとする。これにより、弾性波共振器R1の周波数温度係数を正にできる。弾性波共振器R2では、例えば下部電極12、圧電膜14および上部電極16の厚さおよび材料を上記作製条件と同じとし、温度補償膜26を設けない。
実施例1の変形例1から実施例3の変形例1では、弾性波共振器R1のT2/(T11+T12)を8%より小さくし、例えば5%以上とする。これにより、弾性波共振器R1の周波数温度係数は負となる。弾性波共振器R1の周波数温度係数の絶対値は弾性波共振器R2の周波数温度係数の絶対値より小さくなる。
弾性波共振器R2のように、温度補償膜26を備えると、周波数温度係数を0付近の負、0または正とすることができる。しかし、電気機械結合係数が低くなる。これにより、フィルタ100の帯域幅狭くなる。そこで、弾性波共振器R2には温度補償膜26を設けない。これにより、耐電力性能を向上しかつ帯域幅を広くできる。
[実施例4の変形例1]
図13(a)は、実施例4の変形例1における温度補償膜の平面図、図13(b)は、弾性波共振器R1の断面図、図13(c)は、挿入膜の平面図、図13(d)は、弾性波共振器R2の断面図である。
図13(a)および図13(b)に示すように、実施例4の変形例1では、弾性波共振器R1の構造は実施例4と同じであり説明を省略する。
図13(c)および図13(d)に示すように、弾性波共振器R2では、圧電膜14は下部圧電膜14aと上部圧電膜14bとを含む。共振領域50の外周を含み外周に沿った外周領域52の下部圧電膜14aと上部圧電膜14bとの間に挿入膜28が設けられている。挿入膜28は中央領域54を囲むように設けられ、中央領域54には設けられていない。
挿入膜28は、例えば酸化シリコン膜であり、例えばアルミニウム膜、金膜、銅膜、チタン膜、白金膜、タンタル膜、クロム膜を用いることができる。挿入膜28により、共振領域50から共振領域50の外に弾性波が漏洩することを抑制でき、損失を抑制(Q値を向上)できる。挿入膜28のヤング率は例えば圧電膜14のヤング率より小さい。挿入膜28は下部電極12と上部電極16との間に設けられていればよい。すなわち、挿入膜28は、下部電極12と圧電膜14との間、圧電膜14内および圧電膜14と上部電極16との間の少なくとも一部に設けられていればよい。
実施例4の変形例1では、実施例4に加え弾性波共振器R2の損失を抑制させることができる。
[実施例4の変形例2]
図14(a)および図14(b)は、実施例4の変形例2における温度補償膜および挿入膜の平面図、図14(c)および図14(d)は、弾性波共振器R1およびR2の断面図である。
図14(a)から図14(c)に示すように、弾性波共振器R1では、下部圧電膜14aと上部圧電膜14bとの間に温度補償膜26および挿入膜28が設けられている。挿入膜28の材料および形状は実施例4の変形例1の弾性波共振器R2と同じである。挿入膜28を設けることで弾性波共振器R2のQ値を向上させることができる。
図14(d)のように、実施例4の変形例2では、弾性波共振器R2の構造は実施例4と同じであり説明を省略する。
実施例4の変形例2では、実施例4に加え弾性波共振器R1の損失を抑制させることができる。
[実施例4の変形例3]
図15(a)および図15(b)は、実施例4の変形例3における弾性波共振器R1およびR2の断面図である。
図15(a)に示すように、実施例4の変形例3では、弾性波共振器R1の構造は実施例4と同じであり説明を省略する。
図15(b)に示すように、弾性波共振器R2では、下部圧電膜14aと上部圧電膜14bとの間に温度補償膜26が設けられている。弾性波共振器R2の厚さT2´は弾性波共振器R1の厚さT2より薄い。これにより、弾性波共振器R2の周波数温度係数は弾性波共振器R1の周波数温度係数より低くなる(負側となる)。
実施例4の変形例3では、弾性波共振器R2に温度補償膜26を設けることで、フィルタ100の周波数温度係数を0に近づけることができる。弾性波共振器R2の温度補償膜26の厚さT2´がT2より薄いことで、弾性波共振器R2の電気機械結合係数は弾性波共振器R1より高くできる。よって、フィルタ100の周波数温度係数を0に近づけ、耐電力性能を向上させ、かつ帯域幅を広くすることができる。
[実施例4の変形例4]
図16(a)および図16(b)は、実施例4の変形例4における弾性波共振器R1およびR2の断面図である。
図16(a)に示すように、実施例4の変形例4では弾性波共振器R1は実施例4の変形例2と同じ構造であり説明を省略する。
図16(b)に示すように、実施例4の変形例4では弾性波共振器R2は実施例4の変形例1と同じ構造であり説明を省略する。
実施例4の変形例4では、弾性波共振器R1は温度補償膜26および挿入膜28を備え、弾性波共振器R2は温度補償膜26を備えず挿入膜28を備える。これにより、実施例4に加え弾性波共振器R1およびR1の損失を抑制させることができる。
[実施例4の変形例5]
図17(a)および図17(b)は、実施例4の変形例5における弾性波共振器R1およびR2の断面図である。
図17(a)に示すように、実施例4の変形例5では弾性波共振器R1は実施例4の変形例2と同じ構造であり説明を省略する。
図17(b)に示すように、実施例4の変形例5では実施例4の変形例3の弾性波共振器R2に挿入膜28が設けられている。
実施例4の変形例5では、実施例4の変形例3と同様に弾性波共振器R2の温度補償膜26の厚さT2´は、弾性波共振器R1の温度補償膜26の厚さT2より小さい。実施例4の変形例4と同様に弾性波共振器R1およびR2はいずれも温度補償膜26および挿入膜28を備えている。これにより、実施例4の変形例4に加え弾性波共振器R1およびR1の損失を抑制させることができる。
[実施例4の変形例6]
図18(a)および図18(b)は、実施例4の変形例6における弾性波共振器R1およびR2の断面図である。
図18(a)および図18(b)に示すように、実施例4の変形例6の弾性波共振器R1およびR2では、基板10の上面は略平坦であり、基板10と下部電極12との間にドーム状の空隙30が設けられている。その他の構成は実施例4と同じであり説明を省略する。
実施例4の変形例6のように、実施例4およびその変形例において、空隙30は基板10と下部電極12との間に設けられていてもよい。基板10の上面に空隙30となる凹部が設けられ、下部電極12の下面は略平坦でもよい。
[実施例4の変形例7]
図19(a)および図19(b)は、実施例4の変形例7における弾性波共振器R1およびR2の断面図である。
図19(a)および図19(b)に示すように、実施例4の変形例7の弾性波共振器R1およびR2では、共振領域50の下部電極12下に音響反射膜31が形成されている。音響反射膜31は、音響インピーダンスの低い膜31aと音響インピーダンスの高い膜31bとが交互に設けられている。膜31aおよび31bの膜厚は例えばそれぞれほぼλ/4(λは弾性波の波長)である。膜31aと膜31bの積層数は任意に設定できる。音響反射膜31は、音響特性の異なる少なくとも2種類の層が間隔をあけて積層されていればよい。また、基板10が音響反射膜31の音響特性の異なる少なくとも2種類の層のうちの1層であってもよい。例えば、音響反射膜31は、基板10中に音響インピーダンスの異なる膜が一層設けられている構成でもよい。その他の構成は、実施例4と同じであり説明を省略する。
実施例4およびその変形例1から6において、空隙30の代わりに音響反射膜31を形成してもよい。
実施例4およびその変形例1から6のように、弾性波共振器R1およびR2は、共振領域50において空隙30が基板10と下部電極12との間に形成されているFBAR(Film Bulk Acoustic Resonator)でもよい。また、実施例4の変形例7のように、弾性波共振器R1およびR2は、共振領域50において下部電極12下に圧電膜14を伝搬する弾性波を反射する音響反射膜31を備えるSMR(Solidly Mounted Resonator)でもよい。共振領域50を含む音響反射層は、空隙30または音響反射膜31を含めばよい。
音響反射層が空隙30のとき、共振領域50の積層膜18において発生した熱は放出されにくい。よって、一部または全部の直列共振器において、モーショナル腕電流密度のピークが通過帯域内に移動し易い。そこで、一部または全部の直列共振器の周波数温度係数を並列共振器の周波数温度係数より正側とすることが好ましい。共振領域50の平面形状が楕円形状の例を説明したが、共振領域50の平面形状は、多角形状等任意に選択できる。
実施例4およびその変形例のように、並列共振器P1~P4および直列共振器S1は圧電薄膜共振器である。直列共振器S1は共振領域50内に温度補償膜を備える。これにより、直列共振器S1の周波数温度係数を、0に近い負、0または正とすることができる。
実施例4、その変形例1、2、4、6および7のように、並列共振器P1~P4は、共振領域50内に温度補償膜を備えなくてもよい。
実施例4の変形例3および5のように、並列共振器P1~P4は共振領域50内に温度補償膜26を備え、直列共振器S1の共振領域50内の温度補償膜26は、並列共振器P1~P4の共振領域50内の温度補償膜26より厚くてもよい。
[実施例5]
実施例5は、実施例1から4およびその変形例に用いる弾性波共振器として弾性表面波共振器または弾性境界波共振器を用いる例である。
図20(a)は、実施例5における弾性波共振器の平面図、図20(b)および図20(c)は、弾性波共振器R1およびR2における図20(a)のA-A断面図である。電極指の配列方向をX方向、電極指の延伸方向をY方向、支持基板および圧電基板の積層方向をZ方向とする。X方向、Y方向およびZ方向は、圧電基板の結晶方位のX軸方向およびY軸方向とは必ずしも対応しない。圧電基板が回転YカットX伝搬基板の場合、X方向は結晶方位のX軸方向となる。
図20(a)から図20(c)に示すように、弾性波共振器R1およびR2では、圧電基板32上に弾性波共振器40が設けられている。弾性波共振器40はIDT(Inter Digital Transducer)42および反射器44を有する。反射器44はIDT42のX方向の両側に設けられている。IDT42および反射器44は、圧電基板32上の金属膜33により形成される。
IDT42は、対向する一対の櫛型電極38を備える。櫛型電極38は、複数の電極指36と、複数の電極指36が接続されたバスバー37と、を備える。一対の櫛型電極38の電極指36が交差する領域が交差領域である。交差領域のY方向の長さが開口長である。一対の櫛型電極38は、交差領域の少なくとも一部において電極指36がほぼ互い違いとなるように、対向して設けられている。交差領域において複数の電極指36が励振する弾性波は、主にX方向に伝搬する。一対の櫛型電極38のうち一方の櫛型電極38の電極指36のピッチがほぼ弾性波の波長λとなる。反射器44は、IDT42の電極指36が励振した弾性波(弾性表面波)を反射する。これにより弾性波はIDT42の交差領域内に閉じ込められる。
圧電基板32上にIDT42および反射器44を覆うように温度補償膜34が設けられている。温度補償膜34は例えば酸化シリコン膜である。温度補償膜34の弾性率の温度係数の符号は圧電基板32の弾性率の温度係数の符号と反対である。これにより、弾性波共振器R1およびR2の周波数温度係数を小さくできる。
圧電基板32は、単結晶基板であり、例えばタンタル酸リチウム(LiTaO)基板またはニオブ酸リチウム(LiNbO)基板であり、例えば回転YカットX伝搬タンタル酸リチウム基板または回転YカットX伝搬ニオブ酸リチウム基板である。圧電基板32は、例えばサファイア基板、スピネル基板、シリコン基板またはアルミナ基板等の支持基板上に接合されていてもよい。
金属膜33は、例えばAl(アルミニウム)またはCu(銅)を主成分とする膜である。電極指36と圧電基板32との間にTi(チタン)膜またはCr(クロム)膜等の密着膜が設けられていてもよい。密着膜は電極指36より薄い。
圧電基板32を(0°,90°,0°)のタンタル酸リチウム基板とし、金属膜33を白金膜とする。このとき、弾性波共振器R1の金属膜33の厚さT3を0.05λ(λは弾性境界波の波長)以下とすると周波数温度係数が0または正となる。弾性波共振器R2の金属膜33の厚さT3´を0.05λより大きくすると周波数温度係数が負となる。このように、金属膜33の厚さを変えることで周波数温度係数を変化させることができる。周波数温度係数は、温度補償膜の厚さにより設定することもできる。また、弾性波共振器R2は温度補償膜を備えてなくてもよい。
実施例5によれば、並列共振器P1~P4および直列共振器S1~S4は、圧電基板32と圧電基板32上に設けられた一対の櫛型電極38とを備える弾性波共振器であり、直列共振器S1は一対の櫛型電極38を覆うように圧電基板32上に設けられた温度補償膜34を有する。これにより、直列共振器S1~S4および並列共振器P1~P4として弾性表面波共振器、弾性境界波共振器またはラム波共振器を用いることができる。
[実施例6]
図21は、実施例6に係るデュプレクサの回路図である。図21に示すように、共通端子Antと送信端子Txとの間に送信フィルタ60が接続されている。共通端子Antと受信端子Rxとの間に受信フィルタ62が接続されている。送信フィルタ60は、送信端子Txから入力された信号のうち送信帯域の信号を送信信号として共通端子Antに通過させ、他の周波数の信号を抑圧する。受信フィルタ62は、共通端子Antから入力された信号のうち受信帯域の信号を受信信号として受信端子Rxに通過させ、他の周波数の信号を抑圧する。送信フィルタ60および受信フィルタ62の少なくとも一方を実施例1から5およびその変形例のフィルタとすることができる。送信フィルタ60には大電力の高周波信号が印加される。そこで、送信フィルタ60に実施例1から5およびその変形例のフィルタを用いることが好ましい。
マルチプレクサとしてデュプレクサを例に説明したがトリプレクサまたはクワッドプレクサでもよい。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
10 基板
12 下部電極
14 圧電膜
16 上部電極
18 積層膜
26 温度補償膜
28 挿入膜
30 空隙
31 音響反射膜
32 圧電基板
33 金属膜
34 温度補償膜
36 電極指
38 櫛型電極
50 共振領域
60 送信フィルタ
62 受信フィルタ

Claims (13)

  1. 一端が入力端子と出力端子との間を接続する経路に接続され、他端がグランドに接続され、弾性波を励振し、全ての並列共振器が負の周波数温度係数を有する複数の並列共振器と、
    前記経路に設けられ、弾性波を励振し、全ての直列共振器が正の周波数温度係数を有する複数の直列共振器と、
    を備えるフィルタ。
  2. 前記複数の直列共振器は1ppm/K以上の周波数温度係数を有する請求項に記載のフィルタ。
  3. 一端が入力端子と出力端子との間を接続する経路に接続され、他端がグランドに接続され、弾性波を励振し、全ての並列共振器が負の周波数温度係数を有する複数の並列共振器と、
    前記経路に設けられ、弾性波を励振し、全ての直列共振器が負の周波数温度係数を有し、一部の直列共振器のみが前記複数の並列共振器および前記一部の直列共振器以外の残りの直列共振器の全てより絶対値の小さい負の周波数温度係数を有する複数の直列共振器と、
    を備えるフィルタ。
  4. 前記一部の直列共振器は、前記複数の直列共振器のうち前記経路内において最も前記入力端子に近い直列共振器を含む請求項に記載のフィルタ。
  5. 前記一部の直列共振器は、前記複数の直列共振器のうち共振周波数が最も低い直列共振器を含む請求項に記載のフィルタ。
  6. 記複数の並列共振器および前記複数の直列共振器は、下部電極と前記下部電極上に設けられた圧電膜と前記圧電膜上に設けられた上部電極とを各々備える圧電薄膜共振器であり、
    前記複数の直列共振器は前記圧電膜の少なくとも一部を挟み前記下部電極と前記上部電極とが平面視において重なる共振領域内に弾性率の温度係数の符号が前記圧電膜の弾性率の温度係数の符号と反対の温度補償膜を備える請求項1または2に記載のフィルタ。
  7. 前記複数の並列共振器および前記複数の直列共振器は、下部電極と前記下部電極上に設けられた圧電膜と前記圧電膜上に設けられた上部電極とを各々備える圧電薄膜共振器であり、
    前記一部の直列共振器は前記圧電膜の少なくとも一部を挟み前記下部電極と前記上部電極とが平面視において重なる共振領域内に弾性率の温度係数の符号が前記圧電膜の弾性率の温度係数の符号と反対の温度補償膜を備える請求項3から5のいずれか一項に記載のフィルタ。
  8. 前記複数の並列共振器は共振領域内に温度補償膜を備えない請求項6または7に記載のフィルタ。
  9. 前記複数の並列共振器は共振領域内に温度補償膜を備え、
    前記複数の直列共振器の共振領域内の温度補償膜は、前記複数の並列共振器の共振領域内の温度補償膜より厚い請求項に記載のフィルタ。
  10. 前記複数の並列共振器は共振領域内に温度補償膜を備え、
    前記一部の直列共振器の共振領域内の温度補償膜は、前記複数の並列共振器の共振領域内の温度補償膜より厚い請求項7に記載のフィルタ。
  11. 記複数の並列共振器および前記複数の直列共振器は、圧電基板と前記圧電基板上に設けられた一対の櫛型電極とを備える弾性波共振器であり、
    前記複数の直列共振器は前記一対の櫛型電極を覆うように前記圧電基板上に設けられ、弾性率の温度係数の符号が前記圧電基板の弾性率の温度係数の符号と反対の温度補償膜を備える請求項1または2に記載のフィルタ。
  12. 前記複数の並列共振器および前記複数の直列共振器は、圧電基板と前記圧電基板上に設けられた一対の櫛型電極とを備える弾性波共振器であり、
    前記一部の直列共振器は前記一対の櫛型電極を覆うように前記圧電基板上に設けられ、弾性率の温度係数の符号が前記圧電基板の弾性率の温度係数の符号と反対の温度補償膜を備える請求項3から5のいずれか一項に記載のフィルタ。
  13. 請求項1から12のいずれか一項に記載のフィルタを含むマルチプレクサ。
JP2020030940A 2020-02-26 2020-02-26 フィルタおよびマルチプレクサ Active JP7456799B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020030940A JP7456799B2 (ja) 2020-02-26 2020-02-26 フィルタおよびマルチプレクサ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020030940A JP7456799B2 (ja) 2020-02-26 2020-02-26 フィルタおよびマルチプレクサ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021136558A JP2021136558A (ja) 2021-09-13
JP7456799B2 true JP7456799B2 (ja) 2024-03-27

Family

ID=77661832

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020030940A Active JP7456799B2 (ja) 2020-02-26 2020-02-26 フィルタおよびマルチプレクサ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7456799B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN116248072B (zh) * 2022-12-29 2024-04-02 上海馨欧集成微电有限公司 一种声波滤波器及信号处理电路

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004193929A (ja) 2002-12-11 2004-07-08 Tdk Corp 圧電共振フィルタおよびデュプレクサ
WO2005076473A1 (ja) 2004-02-06 2005-08-18 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. 弾性表面波フィルタおよびそれを用いたアンテナ共用器
WO2012176455A1 (ja) 2011-06-23 2012-12-27 パナソニック株式会社 ラダー型弾性波フィルタ及びこれを用いたアンテナ共用器
JP2013038471A (ja) 2011-08-03 2013-02-21 Taiyo Yuden Co Ltd 弾性波フィルタ
JP2017152868A (ja) 2016-02-23 2017-08-31 太陽誘電株式会社 デュプレクサ
JP2018196028A (ja) 2017-05-18 2018-12-06 太陽誘電株式会社 弾性波フィルタおよびマルチプレクサ

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004193929A (ja) 2002-12-11 2004-07-08 Tdk Corp 圧電共振フィルタおよびデュプレクサ
WO2005076473A1 (ja) 2004-02-06 2005-08-18 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. 弾性表面波フィルタおよびそれを用いたアンテナ共用器
WO2012176455A1 (ja) 2011-06-23 2012-12-27 パナソニック株式会社 ラダー型弾性波フィルタ及びこれを用いたアンテナ共用器
JP2013038471A (ja) 2011-08-03 2013-02-21 Taiyo Yuden Co Ltd 弾性波フィルタ
JP2017152868A (ja) 2016-02-23 2017-08-31 太陽誘電株式会社 デュプレクサ
JP2018196028A (ja) 2017-05-18 2018-12-06 太陽誘電株式会社 弾性波フィルタおよびマルチプレクサ

Also Published As

Publication number Publication date
JP2021136558A (ja) 2021-09-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN110011637B (zh) 弹性波装置
US10218335B2 (en) Duplexer
JPWO2019138810A1 (ja) 弾性波装置、マルチプレクサ、高周波フロントエンド回路及び通信装置
JP7017364B2 (ja) ラダー型フィルタ、圧電薄膜共振器およびその製造方法
US11764880B2 (en) Acoustic wave device, multiplexer, high-frequency front end circuit, and communication device
WO2018070369A1 (ja) 弾性波装置
US20190149123A1 (en) Acoustic wave device and method of fabricating the same, filter and multiplexer
US20220239280A1 (en) Acoustic wave filter
US20230275563A1 (en) Bulk wave resonator and bandpass filter
JP7456799B2 (ja) フィルタおよびマルチプレクサ
JP6925877B2 (ja) 弾性波デバイス
US11469735B2 (en) Acoustic wave device, filter, and multiplexer
JP7385996B2 (ja) 圧電薄膜共振器、フィルタおよびマルチプレクサ
JP7344011B2 (ja) 圧電薄膜共振器、フィルタおよびマルチプレクサ
JP7068047B2 (ja) 圧電薄膜共振器、フィルタおよびマルチプレクサ
CN113411070A (zh) 弹性波器件和滤波器
JP2006129057A (ja) 弾性表面波装置
JP7456734B2 (ja) 弾性波デバイス、フィルタおよびマルチプレクサ
US20240056052A1 (en) Acoustic wave device, filter and multiplexer
JP2020027987A (ja) 圧電薄膜共振器、フィルタおよびマルチプレクサ
JP7438674B2 (ja) 圧電薄膜共振器、フィルタおよびマルチプレクサ
JP2021164053A (ja) 通信装置、制御装置および制御方法
JP7416080B2 (ja) 弾性波装置、フィルタ装置及びマルチプレクサ
JP7383417B2 (ja) 弾性波デバイスおよびその製造方法、圧電薄膜共振器、フィルタ並びにマルチプレクサ
WO2023090238A1 (ja) マルチプレクサ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230202

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20231025

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20231031

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20231222

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20240227

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20240314

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7456799

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150