JP7456338B2 - タイヤの評価方法 - Google Patents

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Description

本発明は、タイヤの評価方法に関する。詳細には、本発明は、リムに対するタイヤのずれを評価するための方法に関する。
タイヤはリムに組んで使用される。走行中に、リムに対してタイヤがずれることがある。リムに対するタイヤのずれ(以下、リムずれとも称される。)は、エンジンやモーター等の動力発生機が発生する動力の、伝達ロスにつながる。タイヤのリムずれを評価することは重要である。タイヤのリムずれを評価する方法は、例えば、下記の特許文献1及び2に開示される。
フォークリフト等の産業車両には、ソリッドタイヤ(以下、タイヤとも称される。)が用いられる。タイヤは中実タイプであり、空気の充填は不要である。このタイヤは、空気入りタイヤと同じようにリムに組まれる。
特開2008-309723号公報 特開平05-249001号公報
産業車両は荷物を運搬する。ソリッドタイヤには高い荷重が作用する。産業車両は走行と停止とを頻繁に繰り返す。タイヤは発熱する。発熱はタイヤの剛性を低下させる。産業車両が走行する路面は、滑らかであり、高い摩擦抵抗を有する。このタイヤは、リムずれが発生しやすい環境で使用される。
ソリッドタイヤのリムずれの評価は通常、実際に車両を走行させて行われる。評価結果は、気温や路面温度等の試験環境の影響を受けやすく、再現性に乏しい。実際の車両を用いた評価では、リムずれの発生を抑えるために採用した技術の、有効性を確認することは難しい。しかもこの評価では、車両、そして車両を走行させるコースの手配が必要である。試験環境を整えたとしても、リムずれが発生する前に、発熱を起因とするポーラス破壊等の損傷がタイヤに発生することも懸念される。リムに対するタイヤのずれを低コストで正確に評価できる、評価方法の確立が求められている。
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、リムに対するタイヤのずれを低コストで正確に評価できる、タイヤの評価方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係るタイヤの評価方法は、リムに対するタイヤのずれを評価する方法である。このタイヤの評価方法は、
(1)前記リムに組んだ前記タイヤに荷重をかけた状態で前記タイヤを所定時間走行させ、前記タイヤを発熱させる、慣らし走行工程、
(2)前記タイヤの温度を計測して前記タイヤの発熱状態を確認する、確認工程、
(3)前記タイヤをさらに所定時間走行させ、前記リムに対する前記タイヤのずれを増大させる、本走行工程、及び
(4)前記リムに対する前記タイヤのずれ量を計測する、計測工程
を含む。前記本走行工程の実施可否を判断するための基準温度が設定され、前記確認工程で計測された前記タイヤの温度が前記基準温度以下である場合に、前記本走行工程が行われる。
好ましくは、このタイヤの評価方法では、前記リムに対する前記タイヤのずれ量を計測するために、前記リムと前記タイヤとにマークが付される。
好ましくは、このタイヤの評価方法では、前記タイヤに穴が開けられ、前記穴の中の温度が前記タイヤの温度として計測される。
好ましくは、このタイヤの評価方法では、前記タイヤに複数の穴が開けられ、前記複数の穴が異なる深さを有する。
好ましくは、このタイヤの評価方法では、前記確認工程において計測された前記タイヤの温度が前記基準温度を超えている場合、前記荷重が調整され、再度、前記慣らし走行工程が行われる。
好ましくは、このタイヤの評価方法では、前記本走行工程が複数回行われる場合、一の本走行工程から次の本走行工程までのインターバルが12時間以上である。
好ましくは、このタイヤの評価方法では、前記タイヤは産業車両用ニューマチック型ソリッドタイヤである。
本発明によれば、リムに対するタイヤのずれを低コストで正確に評価できる、タイヤの評価方法が得られる。
図1は、タイヤの評価方法で用いられるタイヤの一例を示す断面図である。 図2は、試験装置の一例を示す斜視図である。 図3は、タイヤの評価方法のフローを示すフロー図である。 図4は、リムに対するタイヤのずれ量の計測例を示す側面図である。 図5は、温度計測用の穴の形成例を示す断面図である。 図6は、温度計測用の穴の他の形成例を示す断面図である。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて、本発明が詳細に説明される。
[タイヤ]
図1を用いて、本発明の一実施形態に係るタイヤの評価方法で用いられるタイヤ2が説明される。図1には、この評価方法で用いられるタイヤ2の一例が示される。図1において、左右方向はタイヤ2の軸方向であり、上下方向はタイヤ2の径方向である。紙面に対して垂直な方向は、タイヤ2の周方向である。タイヤ2は、リムRに組まれている。リムRは規リムである。一点鎖線CLはこのタイヤ2の赤道面を表す。
正規リムとは、タイヤ2が依拠する規格において定められたリムRを意味する。JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、及びETRTO規格における「Measuring Rim」は、正規リムである。
このタイヤ2は、産業車両用ニューマチック型ソリッドタイヤである。このタイヤ2は、ベース部4と、補強要素6と、トレッド部8とを備える。ベース部4は架橋ゴムからなる。ベース部4はリムRに嵌め合わされる。補強要素6はベース部4内において周方向に延びる。補強要素6はスチール製の線材からなる。トレッド部8は架橋ゴムからなる。トレッド部8の外面はトレッド面10である。タイヤ2は、トレッド面10において路面と接地する。
[試験装置]
図2を用いて、タイヤ2の評価方法で用いられる試験装置12が説明される。図2には、この評価方法で用いられる試験装置12の一例が示される。この試験装置12は、ドラム走行試験機である。
試験装置12は、ドラム14と、支持装置16とを備える。ドラム14及び支持装置16は架台18に設置される。
ドラム14は、回転可能に架台18に支持される。図示されない駆動手段が、ドラム14を回転させる。駆動手段としては、電動モーターが挙げられる。この試験装置12では、タイヤ2はドラム14の外周面を走行する。この外周面は走行面20である。ドラム14の直径は1.0m~2.0mの範囲で適宜設定される。
支持装置16は、回転軸22を備える。タイヤ2が組まれたリムRが回転軸22に支持される。回転軸22は、図示されない軸受により回転可能に支持装置16に支持される。
図示されないが、支持装置16は、回転駆動機構及びブレーキ機構をさらに備える。この支持装置16では、回転軸22を回転自在に支持すること、ドラム14に依らず回転軸22を回転させること、及び回転軸22を拘束することが可能である。この試験装置12では、リムRに組まれたタイヤ2を加速すること、減速すること、そして、停止することが可能である。
この支持装置16には、流体圧シリンダーのような昇降装置(図示されず)が設けられる。この昇降装置によって、ドラム14に対するタイヤ2の位置が調整される。この調整により、タイヤ2は走行面20に接地される。タイヤ2を走行面20に押し当てることにより、所定の荷重がタイヤ2に付与される。
図示されないが、この支持装置16には、回転軸22のドラム14に対する角度を調整する角度調整手段がさらに設けられる。この試験装置12では、タイヤ2のキャンバー角の調整も可能である。この評価方法では、キャンバー角は0°に設定される。
この試験装置12では、支持装置16の回転軸22は回転自在とし、所定の荷重をタイヤ2に付与した状態でドラム14が回転させられる。これにより、タイヤ2がドラム14の走行面20を走行する。
[評価方法]
次に、タイヤ2の評価方法が説明される。この評価方法は、リムRに対するタイヤ2のずれを評価する方法である。図3には、この評価方法のフローが示される。この評価方法は、準備工程S1、慣らし走行工程S2、確認工程S3、本走行工程S4、及び計測工程S5を含む。
準備工程S1では、タイヤ2がリムRに組まれる。タイヤ2が組まれたリムRが試験装置12の回転軸22に取り付けられる。試験装置12において、ドラム14に対するタイヤ2の位置が調整される。タイヤ2が走行面20に押し当てられる。所定の荷重がタイヤ2に付与される。これにより、タイヤ2が試験装置12にセットされる。準備工程S1は、試験装置12にタイヤ2をセットする工程である。
この評価方法では、タイヤ2にかける荷重に特に制限はない。この評価方法では、タイヤ2にかける荷重は、評価を行うタイヤ2の仕様に応じて適宜決められる。この評価方法では、タイヤ2にかける荷重は10kN以上が好ましく、50kN以下が好ましい。
慣らし走行工程S2では、ドラム14を回転させ、タイヤ2の走行が開始される。所定時間タイヤ2を走行させた後、ドラム14の回転を止めて、タイヤ2の走行が停止される。タイヤ2は走行により発熱する。この慣らし走行工程S2は、リムRに組んだタイヤ2に荷重を付与した状態で、このタイヤ2を所定時間走行させ、タイヤ2を発熱させる工程である。
この評価方法では、走行によりタイヤ2が発熱すればよく、慣らし走行工程S2におけるタイヤ2の速度、及び走行時間に特に制限はない。この慣らし走行工程S2におけるタイヤ2の速度、及び走行時間は、走行後のタイヤ2の発熱状態、生産性等を考慮して適宜設定される。この評価方法では、慣らし走行工程S2におけるタイヤ2の速度は、10km/h以上が好ましく、20km/h以上がより好ましい。この速度は、50km/h以下が好ましく、40km/h以下がより好ましい。この慣らし走行工程S2におけるタイヤ2の走行時間は、5分以上が好ましく、10分以上がより好ましい。この走行時間は、25分以下が好ましく、20分以下がより好ましく、15分以下がさらに好ましい。
確認工程S3では、タイヤ2の温度が計測される。これにより、タイヤ2の発熱状態が確認される。この確認工程S3は、タイヤ2の温度を計測してタイヤ2の発熱状態を確認する工程である。この評価方法では、確認工程S3において、タイヤ2が適切な発熱状態にあると判断されれば、本走行工程S4が行われる。
本走行工程S4では、停止していたドラム14の回転が再開される。これにより、タイヤ2の走行が再開される。所定時間タイヤ2を走行させた後、ドラム14の回転を止めて、タイヤ2の走行が停止される。この評価方法では、本走行工程S4においてタイヤ2にかける荷重は、慣らし走行工程S2においてタイヤ2にかける荷重と同じである。
本走行工程S4のタイヤ2は発熱状態にある。発熱はタイヤ2の剛性を低下させる。本走行工程S4におけるタイヤ2は剛性が低下した状態にある。タイヤ2がリムRに対してずれやすいタイヤであれば、本走行工程にS4において、リムRに対するタイヤ2のずれが増大する。この本走行工程S4は、タイヤ2をさらに所定時間走行させ、リムRに対するタイヤ2のずれを増大させる工程である。
この評価方法では、本走行工程S4におけるタイヤ2の速度は、タイヤ2の発熱状態を適切に維持する観点から、慣らし走行工程S2におけるタイヤ2の速度と同じ速度で設定される。
この評価方法では、本走行工程S4におけるタイヤ2の走行時間は、リムRに対するタイヤ2のずれを促す観点から、慣らし走行工程S2におけるタイヤ2の走行時間よりも長い時間で設定される。この評価方法では、本走行工程S4におけるタイヤ2の走行時間は、10分以上が好ましく、15分以上がより好ましく、20分以上がさらに好ましい。適切な発熱状態を維持する観点から、この走行時間は、30分以下が好ましく、25分以下がより好ましい。
計測工程S5では、リムRに対するタイヤ2のずれ量が計測される。この計測工程S5は、リムRに対するタイヤ2のずれ量を計測する工程である。この評価方法では、この計測工程S5で得た、ずれ量に基づいて、タイヤ2がリムRに対してずれやすいかどうかが判断される。
前述したように、この評価方法では、確認工程S3において、タイヤ2が適切な発熱状態にあるかどうかが判断される。タイヤ2が適切な発熱状態にあると判断されれば、本走行工程S4が行われる。タイヤ2の発熱状態が適切でない、言い換えれば、タイヤ2の発熱状態が想定を超えていると判断されれば、本走行工程S4は行われない。この評価方法では、本走行工程S4の実施可否を判断するための基準温度が設定される。
この評価方法では、本走行工程S4において設定される走行時間内に、ポーラス破壊等の損傷が発生しない温度、詳細には、本走行工程S4において設定される走行時間内に、ポーラス破壊等の損傷が発生しないと想定される温度が、基準温度として設定される。確認工程S3で計測されたタイヤ2の温度が基準温度以下である場合に、本走行工程S4が行われる。
この評価方法では、基準温度の設定に際しては、リムRに対するタイヤ2のずれやすさが考慮される。この観点から、少なくとも、通常の使用状態で確認されるタイヤ2の温度(以下、通常走行温度)よりも高い温度に基準温度は設定される。通常走行温度よりも低い温度で基準温度を設定すると、評価に時間がかかるからである。一方、タイヤ2の温度が高すぎると、タイヤ2そのものが熱的作用により変質する。この場合、前述したような損傷が発生し、タイヤ2のリムずれを正確に評価することができない。この観点から、この基準温度は、熱的作用によるタイヤ2の変質が抑えられる温度よりも低い温度に設定される。例えば、産業車両用ニューマチック型ソリッドタイヤをタイヤ2として用いる場合には、リムRに対するタイヤ2のずれやすさと、熱的作用によるタイヤ2の変質とが考慮され、この基準温度は110℃以上130℃以下の範囲で設定される。
この評価方法では、本走行工程S4の前に慣らし走行工程S2が行われる。発熱したタイヤ2に対して本走行工程S4が行われるので、前述した通り、タイヤ2がリムRに対してずれやすいタイヤ2であれば、この本走行工程にS4において、リムRに対するタイヤ2のずれが増大する。
この評価方法では、確認工程S3において温度が基準温度以下であることが確認されたタイヤ2に対して、本走行工程S4が行われる。適切な発熱状態にあるタイヤ2に対して本走行工程S4が行われるので、この本走行工程S4がタイヤ2に損傷を発生させるリスクはかなり低い。この評価方法では、損傷発生のリスクを低減させた、リムRに対するタイヤ2のずれの評価が可能である。
さらにこの評価方法は、試験装置12においてリムRに対するタイヤ2のずれが評価される。この評価方法では、評価を行う雰囲気温度、タイヤ2に付与する荷重、タイヤ2の速度、タイヤ2の走行時間等の条件の設定が可能である。この評価方法では、リムRに対するタイヤ2のずれに関して、高い再現性を有する知見が得られる。
この評価方法は、リムRに対するタイヤ2のずれを正確に評価できる。しかもこの評価方法では、車両等の手配が不要である。この評価方法は、リムRに対するタイヤ2のずれを低コストで正確に評価できる。
前述したように、この評価方法では、確認工程S3で計測されたタイヤ2の温度が基準温度以下である場合に、本走行工程S4が行われる。これに対して、確認工程S3で計測されたタイヤ2の温度が基準温度を超えている場合には、タイヤ2に付与する荷重が調整され、再度、慣らし走行工程S2が行われる。タイヤ2に付与する荷重を低減することで、走行によるタイヤ2の発熱が抑えられる。この評価方法では、先の慣らし走行工程S2の荷重よりも低い荷重で次の慣らし走行工程S2が行われる。この評価方法では、発熱しやすいタイヤ2であっても、適切な発熱状態で、本走行工程S4が行われる。この評価方法では、発熱しやすいタイヤ2の見極めが可能である。そしてこの評価方法では、従来であれば損傷が発生しリムRに対するずれ量を計測できなかったタイヤ2に対しても、リムRに対するタイヤ2のずれ量の計測が可能である。この評価方法は、様々なタイヤ2に対して、リムRに対するタイヤ2のずれを低コストで正確に評価できる。この観点から、この評価方法では、確認工程S3において計測されたタイヤ2の温度が基準温度を超えている場合、タイヤ2に付与する荷重が調整され、再度、慣らし走行工程S2が行われるのが好ましい。
タイヤ2の速度もタイヤ2の発熱に影響する。この評価方法では、走行によるタイヤ2の発熱を抑えるために、次の慣らし走行工程S2におけるタイヤ2の速度が先の慣らし走行工程S2における速度よりも低い速度で設定されてもよい。
この評価方法では、計測工程S5において計測したずれ量が小さく、タイヤ2がリムRに対してずれやすいタイヤであるかどうかの判断が困難な場合には、判断可能な状態になるまで、本走行工程S4と計測工程S5とが繰り返されてもよい。この場合、本走行工程S4においてタイヤ2はさらに発熱するので、損傷リスクが高まる恐れがある。しかしこの評価方法では、本走行工程S4が複数回行われる場合、一の本走行工程S4から次の本走行工程S4までのインターバルは12時間以上に設定される。これにより、タイヤ2は少なくとも確認工程S3で確認したタイヤ2の温度まで冷却される。本走行工程S4を行うのに適した温度までタイヤ2が冷却されるので、次の本走行工程S4においてタイヤ2に損傷が発生するリスクの低減が図れる。この観点から、この評価方法では、本走行工程S4が複数回行われる場合、一の本走行工程S4から次の本走行工程S4までのインターバルは12時間以上であるのが好ましい。
図4には、リムRに組んだタイヤ2の側面が示される。図4(a)には、慣らし走行工程S2開始前の状態が示される。図4(b)には、本走行工程S4を終えた後の状態が示される。
この評価方法では、図4(a)に示されるように、リムRとタイヤ2とにマークMが付される。本走行工程S4において、リムRに対してタイヤ2がずれるので、図4(b)に示されるように、タイヤ2に付されたマークMtがリムRに付されたマークMrから周方向にずれる。この評価方法では、このリムRに付されたマークMrからタイヤ2に付されたマークMtまでの距離がリムRに対するタイヤ2のずれ量として計測される。リムRとタイヤ2とにマークMを付することは、リムRに対するタイヤ2のずれ量の正確な把握に貢献する。この評価方法では、リムRに対するタイヤ2のずれ量の定量的な把握が可能である。この観点から、この評価方法では、リムRに対するタイヤ2のずれ量を計測するために、リムRとタイヤ2とにマークMが付されるのが好ましい。この場合、このマークMは、準備工程S1においてリムRとタイヤ2とに付されてもよく、本走行工程S4の開始前(複数回の本走行工程S4を行う場合は、1回目の本走行工程S4の開始前)に、このマークMがリムRとタイヤ2とに付されてもよい。
前述したように、確認工程S3においてタイヤ2の温度が計測される。この評価方法では、図5に示されるように、このタイヤ2の温度計測のために、準備工程S1においてタイヤ2に穴24が開けられる。図示されないが、この穴24の中に温度計のセンサー部分を差し込むことで、この穴24の中の温度がタイヤ2の温度として計測される。この評価方法では、雰囲気温度の影響を受けにくい、タイヤ2の内部温度が計測されるので、タイヤ2の発熱状態の正確な把握が可能である。この評価方法は、発熱による損傷リスクの効果的な低減を図ることができる。この観点から、この評価方法では、タイヤ2に穴24が開けられ、穴24の中の温度がタイヤ2の温度として計測されるのが好ましい。
このタイヤ2では、トレッド面10から内部に向かう穴24が設けられる。タイヤ2の内部温度の計測のために、側面26から内部に向かう穴24がこのタイヤ2に設けられてもよい。なお、穴24の位置、大きさ及び深さは、穴24を起点とする損傷の発生リスクを考慮の上、適切な発熱状態の把握の観点から適宜決められる。
この評価方法では、タイヤ2の温度を計測するために、タイヤ2に複数の穴24が設けられてもよい。この場合、深さが異なる複数の穴24がタイヤ2に設けられてもよい。例えば、図6に示されるように、トレッド部8の内部に底が位置する第一穴24aと、トレッド部8とベース部4との境界に底が位置する第二穴24bと、ベース部4の内部に底が位置する第三穴24cとを設けることで、トレッド部8の内部の温度、トレッド部8とベース部4との境界の温度、そしてベース部4の内部の温度の計測が可能となる。タイヤ2の発熱状態のより正確な把握が可能であるので、この評価方法は、発熱による損傷リスクのより効果的な低減を図ることができる。この観点から、この評価方法では、タイヤ2に複数の穴24が開けられ、これらの穴24が異なる深さを有するのが好ましい。なお、この評価方法では、タイヤ2に複数の穴24を設ける場合、これらの穴24は軸方向に間隔をあけて配置されてもよく、周方向に間隔をあけて配置されてもよい。
以上説明したように、本発明によれば、リムRに対するタイヤ2のずれを低コストで正確に評価できる、タイヤ2の評価方法が得られる。特に、中実タイプである、産業車両用ニューマチック型ソリッドタイヤ2の、リムRに対するずれの評価において、本発明は顕著な効果を奏する。
以下、実施例などにより、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
[タイヤの準備]
リムに対するずれが発生しにくいことが確認されているタイヤ(以下、タイヤG)、及びリムに対するずれが発生しやすいことが確認されているタイヤ(以下、タイヤB)を準備した。タイヤG及びタイヤBはいずれも、産業車両用ニューマチック型ソリッドタイヤである。タイヤG及びタイヤBのサイズはいずれも、T.6.50-10である。
[実施例1]
タイヤGをリム(サイズ=10×5.00F DT)に装着し、試験装置にセットした。タイヤGにかける荷重は25kNに設定され、慣らし走行工程及び本走行工程における走行速度は15km/hに設定された。
慣らし走行工程における走行時間は10分に設定された。慣らし走行工程の後、確認工程を行い、タイヤGの温度が計測された。その結果が下記の表1に示されている。
本走行工程の実施可否を判断する基準温度は120℃に設定された。この実施例1では、確認工程において計測したタイヤの温度が120℃以下であったので、引き続き、本走行工程が行われた。
本走行工程における走行時間は20分に設定された。本走行工程の後、計測工程を行い、タイヤGの温度及びずれ量が計測された。その結果が下記の表1に示されている。
タイヤBについてもタイヤGと同様にしてリムに対するタイヤのずれに関する評価が行われた。
[比較例1]
慣らし走行工程を行わなかった他は実施例1と同様にして、タイヤG及びタイヤBに対して、リムに対するタイヤのずれに関する評価を行った。
[実施例2]
荷重を下記の表1に示される通りとした他は実施例1と同様にして、タイヤG及びタイヤBに対して、リムに対するタイヤのずれに関する評価を行った。
[比較例2]
荷重及び速度を下記の表1に示される通りとするとともに、本走行工程の実施可否を判断する基準温度を設定しなかった他は実施例1と同様にして、タイヤG及びタイヤBに対して、リムに対するタイヤのずれに関する評価を行った。
[実施例3]
荷重及び速度を下記の表1に示される通りとした他は実施例1と同様にして、タイヤG及びタイヤBに対して、リムに対するタイヤのずれに関する評価を行った。
この実施例3では、確認工程で計測したタイヤGの温度が基準温度を超えたため、荷重及び速度を下記の表1に示される通りとして2回目の慣らし走行工程を行った。
2回目の確認工程において計測したタイヤGの温度が120℃以下であったので、引き続き、本走行工程が行われた。この本走行工程における荷重及び速度は2回目の慣らし走行工程と同様に設定された。本走行工程の後、計測工程を行い、タイヤGの温度及びずれ量が計測された。
タイヤBもタイヤGと同様、確認工程で計測したタイヤBの温度が基準温度を超えたため、荷重及び速度を下記の表1に示される通りとして2回目の慣らし走行工程を行った。
2回目の確認工程において計測したタイヤBの温度が120℃以下であったので、引き続き、本走行工程が行われた。この本走行工程における荷重及び速度は2回目の慣らし走行工程と同様に設定された。本走行工程の後、計測工程を行い、タイヤBの温度及びずれ量が計測された。
[評価の有効性]
計測工程で計測されたずれ量に基づいて、評価の有効性を確認した。リムに対するタイヤのずれを評価できた場合が[G]で、評価できなかった場合が[NG]で、下記の表1に示されている。
表1に示されるように、慣らし走行工程を行わなかった比較例1ではリムに対するずれはタイヤBにおいても発生しなかった。基準温度を設定しなかった比較例2では、確認工程で計測した温度が120℃を超えたが、慣らし走行工程の後そのまま本走行工程を行ったため、タイヤBに損傷が発生し、ずれ量を計測できなかった。これらに対し、実施例では、リムに対するずれが発生しにくいタイヤGでは小さなずれ量が確認され、リムに対するずれが発生しやすいタイヤBでは大きなずれ量が確認された。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
以上説明された、リムに対するタイヤのずれを低コストで正確に評価できる技術は、種々なタイヤの評価においても適用できる。
2・・・タイヤ
10・・・トレッド面
12・・・試験装置
14・・・ドラム
20・・・走行面
22・・・回転軸
24、24a、24b、24c・・・穴
26・・・側面

Claims (7)

  1. リムに対するタイヤのずれを評価する方法であって、
    前記リムに組んだ前記タイヤに荷重をかけた状態で前記タイヤを所定時間走行させ、前記タイヤを発熱させる、慣らし走行工程と、
    前記タイヤの温度を計測して前記タイヤの発熱状態を確認する、確認工程と、
    前記タイヤをさらに所定時間走行させ、前記リムに対する前記タイヤのずれを増大させる、本走行工程と、
    前記リムに対する前記タイヤのずれ量を計測する、計測工程と
    を含み、
    前記本走行工程の実施可否を判断するための基準温度が設定され、
    前記確認工程で計測された前記タイヤの温度が前記基準温度以下である場合に、前記本走行工程が行われる、
    タイヤの評価方法。
  2. 前記リムに対する前記タイヤのずれ量を計測するために、前記リムと前記タイヤとにマークが付される、
    請求項1に記載のタイヤの評価方法。
  3. 前記タイヤに穴が開けられ、前記穴の中の温度が前記タイヤの温度として計測される、
    請求項1又は2に記載のタイヤの評価方法。
  4. 前記タイヤに複数の穴が開けられ、前記複数の穴が異なる深さを有する、
    請求項3に記載のタイヤの評価方法。
  5. 前記確認工程において計測された前記タイヤの温度が前記基準温度を超えている場合、前記荷重が調整され、再度、前記慣らし走行工程が行われる、
    請求項1から4のいずれか一項に記載のタイヤの評価方法。
  6. 前記本走行工程が複数回行われる場合、一の本走行工程から次の本走行工程までのインターバルが12時間以上である、
    請求項1から5のいずれか一項に記載のタイヤの評価方法。
  7. 前記タイヤが産業車両用ニューマチック型ソリッドタイヤである、
    請求項1から6のいずれか一項に記載のタイヤの評価方法。
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