JP7456225B2 - アイオノマー樹脂を含む電線・ケーブル - Google Patents

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本発明は、新規アイオノマーを含む耐摩耗性に優れた難燃樹脂組成物およびそれを用いた電線・ケーブルに関するものである。
電気機器に用いられる電線やケーブルには、導線の露出を防止するための被覆がなされており、この被覆に用いられる材料には、焼失防止のための難燃性、破損による露出防止のための耐摩耗性のような物性が要求される。従来においては、電線・ケーブル被覆材などの難燃性材料としてポリ塩化ビニル樹脂組成物が使用されてきたが、ポリ塩化ビニル樹脂組成物は、火災時や廃棄焼却時に燃焼する際に有毒なハロゲン含有ガスを生じるため改善が求められていた。ポリ塩化ビニルのかかる欠点を克服するため、ポリオレフィン系樹脂に水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物を配合した樹脂組成物(ノンハロゲン難燃材料)が提案されている。このようなノンハロゲン難燃材料に十分な難燃性を付与するためには、ベースとなるポリオレフィン材料に対し同程度の重量の金属水酸化物を配合する必要があるが、金属水酸化物を多量添加することで材料の摩耗やこすれ白化が起こりやすくなってしまう問題がある。
難燃樹脂組成物における耐摩耗性向上に関し、被覆の構造からの改善を目指したものとして電線・ケーブルの多層化が試みられている。この方法では、外層に高融点を持つポリオレフィン樹脂やポリエステル樹脂を被覆した多層電線が知られている(特許文献1、2)。別の方法では、材料の検討が試みられており、超高分子量ポリエチレンを含有させることが行われている(特許文献3)。そのほか、アイオノマーを含有させることによる方法が知られている(特許文献4)。
アイオノマーは金属イオンで高分子を凝集した合成樹脂であり、エチレン-不飽和カルボン酸共重合体を前駆体樹脂とし、ナトリウムや亜鉛等の金属イオンで分子間結合した樹脂であるエチレン系アイオノマーが知られている(特許文献5)。エチレン系アイオノマーは強靭で弾性に富み、かつ柔軟性があり、耐摩耗性、透明性等の特徴がある。
現在、市販されているエチレン系アイオノマーとしては、Dupont社が開発したエチレン-メタクリル酸共重合体のナトリウム塩や亜鉛塩「Surlyn(登録商標)」、及び、三井・ダウポリケム社が販売している「ハイミラン(登録商標)」等が知られている。
しかしながら、これら現在市販されているエチレン系アイオノマーに用いられる前駆体樹脂のエチレン-不飽和カルボン酸共重合体には、いずれも、エチレンと不飽和カルボン酸等の極性基含有モノマーを、高圧ラジカル重合法により重合した極性基含有オレフィン共重合体が用いられている。高圧ラジカル重合法は、比較的極性基含有モノマーの種類を選ばずに安価に重合可能であるという利点がある。しかし、この、高圧ラジカル重合法で製造される極性基含有オレフィン共重合体の分子構造は、図1に示すイメージ図のように、多くの長鎖分岐及び短鎖分岐を不規則に有する構造であり、強度的には不十分であるという欠点がある。
一方、従来より、触媒を用いた重合方法を用いて、図2に示すイメージ図のように、分子構造が直鎖状の極性基含有オレフィン共重合体を製造する方法が模索されていたが、極性基含有モノマーは一般的に触媒毒となるため触媒を用いた重合が難しく、実際に、工業的に安価で安定的な方法で、所望の物性を有する極性基含有オレフィン共重合体を得ることは長年難しいとされていた。
しかしながら近年、本願出願人等により開発された新触媒及び新製造方法を用いることにより、分子構造が実質的に直鎖状の極性基含有オレフィン共重合体を、工業的に安価で安定的に得る方法が提案されている。
そして、エチレン系アイオノマーの前駆体樹脂となる極性基含有オレフィン共重合体の製造方法として、後周期遷移金属触媒を用い、エチレンとアクリル酸t-ブチルの共重合体を製造し、得られた極性基含有オレフィン共重合体を熱または酸処理を行うことでエチレン-アクリル酸共重合体に変性した後、金属イオンと反応させ二元アイオノマーを製造することに成功したことが本願出願人等により報告されている(特許文献6)。
特開2006-310092号公報 特開2015-201450号公報 特開平5-339437号公報 特許3779614号 米国特許第3264272号明細書 特開2016-79408号公報
難燃性と耐摩耗性の両立という観点から、様々な試みがなされているが、特許文献1、2記載の方法は、多層成形に対応する成形機がなければ実施が困難であるという問題を有している。特許文献3記載の方法では、使用するポリエチレンが超高分子量のため、粘度上昇に伴う押出特性の悪化が問題となる。また、分散不良によるブツ等のケーブル外観への影響が懸念される。特許文献4記載のアイオノマーは、高圧ラジカル重合で調製したものであり、上記のとおり強度が不十分であった。難燃性や耐摩耗性を備えた材料として、適したものは知られていない。
本発明は、かかる従来技術の状況に鑑み、難燃性、耐摩耗性に優れる樹脂を提供することを目的とする。
上記課題の解決のため本発明者らが検討を重ねた結果、特定のアイオノマー樹脂を用いた難燃樹脂組成物が、電線・ケーブル用被覆材として、耐摩耗性に関し優れた効果を有することを見出した。
特許文献5又は6に記載されているようなエチレン系アイオノマーは、前駆体樹脂が実質的に直鎖状の分子構造を有すると共にアイオノマーとしての機能も有する、従来にはない新規のエチレン系アイオノマーであり、その物性等は従来のエチレン系アイオノマーとは大きく異なり、特有の特性及び適した用途についても未知であった。本発明は、アイオノマーは基本的に難燃性を有さないにも関わらず、実質的に直鎖状のエチレン系アイオノマーが、電線・ケーブル用樹脂に配合することで意外にも難燃性を保ったままで耐摩耗性に関し優れた効果を有することを見出したことに基づくものである。
すなわち、本発明の第一の態様は、ポリオレフィン系樹脂(A)50~99重量%とアイオノマー樹脂(B)1~50重量%からなる樹脂成分100重量部に対し、難燃剤(C)を30~300重量部を含むことを特徴とする難燃樹脂組成物であって、前記アイオノマー樹脂(B)はエチレン及び/又は炭素数3~20のα-オレフィンに由来する構造単位(a)と、カルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基を有するモノマーに由来する構造単位(b)を必須構成単位として含む共重合体(P)中の、カルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基の少なくとも一部が周期表1族、2族、又は12族から選ばれる少なくとも1種の金属イオンを含有する金属含有カルボン酸塩に変換されてなり、回転式レオメータで測定した複素弾性率の絶対値G=0.1MPaにおける位相角δが、50度~75度であることを特徴とするアイオノマー樹脂である、難燃樹脂組成物である。
本発明により、難燃性でありかつ優れた耐摩耗性を備えた樹脂組成物が得られる。実質的に直鎖状構造である本発明に係るアイオノマーを用いた樹脂は、従来の難燃樹脂に比べ耐摩耗性に優れるため、電線やケーブルなど長期耐久性が必要とされる材料として有用である。
図1は、高圧ラジカル重合法で製造される極性基含有オレフィン共重合体の分子構造の概略を示す図である。 図2は、触媒による重合で得られる極性基含有オレフィン共重合体の分子構造の概略を示す図である。 図3は実施例1、2及び比較例1~3の樹脂組成物について、アイオノマーの配合量に対する耐摩耗性の評価を示す図である。 図4は実施例3及び比較例4、5の樹脂組成物について、アイオノマーの配合量に対する耐摩耗性の評価を示す図である。 図5は実施例4及び比較例6、7の樹脂組成物について、アイオノマーの配合量に対する耐摩耗性の評価を示す図である。 図6は実施例5、6及び比較例8、9の樹脂組成物について、アイオノマーの配合量に対する耐摩耗性の評価を示す図である。
本発明はエチレン及び/又は炭素数3~20のα-オレフィンに由来する構造単位(a)と、カルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基を有するモノマーに由来する構造単位(b)とを必須構成単位として含み、これらが実質的に直鎖状に共重合、好ましくはランダム共重合した共重合体(P)を前駆体樹脂とし、該構造単位(b)のカルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基の少なくとも一部が周期表1族、2族、又は12族から選ばれる少なくとも1種の金属イオンを含有する金属含有カルボン酸塩に変換されていることを特徴とするアイオノマーを用いた難燃樹脂組成物である。
以下、本発明に関わるアイオノマー、アイオノマーを含む樹脂組成物、アイオノマーを用いた電線又はケーブル及び、その用途などについて、項目毎に詳細に説明する。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸またはメタクリル酸を意味する。また、本明細書において数値範囲を示す「~」とは、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
1.ポリオレフィン系樹脂(A)
本発明の難燃樹脂組成物には、上記アイオノマーの他、ポリオレフィン系樹脂(A)が配合される。ポリオレフィン系樹脂(A)としては、電線又はケーブル用途に用いられる樹脂であれば特に制限されず用いることができる。ポリオレフィン系樹脂(A)の例としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンなどのポリエチレン、ポリプロピレン系樹脂などの炭素数3以上のα-オレフィンの単独若しくは交互共重合体、カルボキシル基を除く極性基含有エチレン系共重合体、高圧ラジカル法エチレン(共)重合体、変性ポリオレフィンなどが挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂(A)の中で、極性基含有エチレン系共重合体が好ましい例として挙げられる。極性基含有エチレン系重合体としては特に、極性基含有ポリエチレンが好ましい。具体的な極性基含有エチレン系共重合体としては、エチレンとα,β-不飽和カルボン酸エステルとの共重合体、エチレン-ビニルエステル共重合体を含むポリオレフィンが挙げられる。エチレンとα,β-不飽和カルボン酸エステルとの共重合体の代表的な共重合体として、エチレン-メチルアクリレート共重合体、エチレン-エチルアクリレート共重合体、エチレン-ブチルアクリレート共重合体、エチレン-メチルメタクリレート共重合体、エチレン-エチルメタクリレート共重合体などのエチレン-(メタ)アクリレート共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-無水マレイン酸-酢酸ビニル共重合体、エチレン-無水マレイン酸-アクリル酸メチル共重合体、エチレン-無水マレイン酸-アクリル酸エチル共重合体などの二元共重合体又は多元共重合体などが挙げられる。エチレンに対するその他のコモノマーの含有量は、その他のコモノマーの総量で3~30重量%、好ましくは5~20重量%の範囲である。
エチレン・ビニルエステル共重合体は、エチレンを主成分とし、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリフルオル酢酸ビニルなどのビニルエステル単量体との共重合体である。
これらの中でも特に好ましいものとしては、酢酸ビニルを挙げることができる。エチレン50~99.5重量%、ビニルエステル0.5~50重量%、他の共重合可能な不飽和単量体0~49.5重量%からなる共重合体が好ましい。更にビニルエステル含有量は3~30重量%、特に好ましくは5~20重量%の範囲で選択される。
また、極性基含有ポリオレフィン樹脂として、ポリオレフィン樹脂に酸などを作用させてその物性を変化させたものである変性ポリオレフィン系樹脂、特に酸変性ポリオレフィン樹脂を用いることもできる。変性ポリオレフィン系樹脂は、難燃樹脂組成物の機械的強度、燃焼時の炭化層の形成を促し、機械的強度と難燃性を向上させる役割として用いられる。変性ポリオレフィン系樹脂は、(i)不飽和カルボン酸又はその誘導体、(ii)エポキシ基含有化合物、(iii)ヒドロキシル基含有化合物、(iv)アミノ基含有化合物、(v)有機シラン化合物、(vi)有機チタネート化合物などの官能基含有化合物で変性されたポリオレフィン系樹脂を挙げることができる。
(i)不飽和カルボン酸又はその誘導体としては、アクリル酸、メタクリル酸、フラン酸、クロトン酸、ビニル酢酸、ペンテン酸などの不飽和モノカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸などのα,β-不飽和ジカルボン酸又は無水物、或いはそれらの金属塩などが挙げられる。
(ii)エポキシ基含有化合物としては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、イタコン酸モノグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸モノグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸ジグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸トリグリシジルエステル及びα-クロロアリル、マレイン酸、クロトン酸、フマル酸などのグリシジルエステル類又はビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシジルオキシエチルビニルエーテル、スチレン-p-グリシジルエーテルなどのグリシジルエーテル類、p-グリシジルスチレンなどが挙げられるが、特に好ましいものとしてはメタクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテルを挙げることができる。
(iii)ヒドロキシル基含有化合物としては、1-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(iv)アミノ基含有化合物としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの3級アミノ基が挙げられる。
(v)有機シラン化合物としては、ビニルトリメトキシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセチルシラン、ビニルトリクロロシランなどが挙げられる。
(vi)有機チタネート化合物としては、テトライソプロピルチタネート、テトラ-n-ブチルチタネート、テトラキス(2-エチルヘキソキシ)チタネート、チタンラクテートアンモニウムなどが挙げられる。
変性ポリオレフィン系樹脂は、ポリオレフィン系樹脂を官能基含有化合物及び有機過酸化物の存在下で加熱することにより変性して得られる。官能基含有化合物の含有量を所望の範囲、好ましくは0.05~10重量%、より好ましくは0.1~8.0重量%としたもの、又は該変性物を未変性ポリオレフィン系樹脂に混合してその含有量を上記範囲に調整したものが用いられる。
変性に用いるポリオレフィン系樹脂としては、エチレン、プロピレン、ブテンなどのオレフィンが一般的に用いられ、特に種類は制限されないが、エチレンを用いることがより好ましい。変性ポリオレフィン樹脂の例として好ましいものは、酸変性ポリオレフィン樹脂、特に無水マレイン酸で変性させたポリエチレンが挙げられる。
変性ポリオレフィン系樹脂を用いる場合、その配合量は、ポリオレフィン系樹脂(A)の全量100重量部に対して好ましくは1~30重量部、より好ましくは1~20重量部、さらに好ましくは1~10重量部である。変性ポリオレフィン系樹脂は、配合することで樹脂成分と後述する難燃剤(C)とのカップリング効果が生じ、難燃樹脂組成物の機械的特性が向上するものとなる。上記範囲であれば改質効果が充分に発揮され、可撓性や柔軟性を樹脂組成物に与え、電線・ケーブルをドラムに巻く際の作業性の向上などが見込まれるため、好ましい。
低密度ポリエチレン樹脂は、密度が0.91~0.935g/cm、MFRが0.05~100g/10分の範囲のもの、好ましくは、密度が0.915~0.930g/cm、MFRが0.1~50g/10分の範囲のものが好適に使用される。
中密度ポリエチレン樹脂は、密度が0.935~0.94g/cm、MFRが0.05~100g/10分の範囲のもの、好ましくは、密度が0.936~0.939g/cm、MFRが0.1~50g/10分の範囲のものが好適に使用される。
高密度ポリエチレン樹脂は、密度が0.94~0.97g/cm、MFRが0.05~100g/10分の範囲のもの、好ましくは、密度が0.945~0.960g/cm、MFRが0.1~50g/10分の範囲のものが好適に使用される。
そのほか、ポリエチレン樹脂としては、イオン重合で製造されるポリエチレン樹脂などを用いることもできる。イオン重合によるポリエチレン樹脂は、文献成書『ポリエチレン技術読本』(松浦一雄・三上尚孝編著 工業調査会刊行 2001年)のp.123~160、p.163~196などに記載されている方法により製造することが可能である。即ち、チーグラー系触媒、シングルサイト系触媒などを使用して、スラリー法、溶液法、気相法の各重合様式にて、各種の、重合器、重合条件、触媒にて製造することが可能である。
炭素数3以上のα-オレフィンの単独若しくは交互共重合体としては、プロピレン単独重合体、プロピレンと他のα-オレフィンとの共重合体、例えばプロピレンとエチレンとのブロック共重合体、ランダム共重合体などが挙げられる。
本発明に係る高圧ラジカル法エチレン(共)重合体とは、高圧ラジカル重合法によるエチレン単独重合体(低密度ポリエチレン樹脂)、エチレン・ビニルエステル共重合体及びエチレンとα,β-不飽和カルボン酸又はその誘導体との共重合体などが挙げられ、これら低密度ポリエチレン樹脂などは公知の高圧ラジカル重合法により製造され、チューブラー法とオートクレーブ法のいずれの方法で製造してもよい。
難燃樹脂組成物中のポリオレフィン系樹脂の量は、電線・ケーブル用途に用いることができる範囲であれば特に制限されないが、後述のアイオノマー樹脂との総和に対して50~99重量%含むことが好ましい。アイオノマー樹脂との総和に対して80~99重量%の範囲であることがより好ましく、90~99重量%の範囲であることがさらに好ましい。この範囲とすることで、樹脂としての成形性など要求される物性を満足し、かつ耐摩耗性に優れた樹脂組成物を得ることができる。
2.アイオノマー
本発明のアイオノマーは、エチレン及び/又は炭素数3~20のα-オレフィンに由来する構造単位(a)と、カルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基を有するモノマーに由来する構造単位(b)とを必須構成単位として含み、これらが実質的に直鎖状に共重合、好ましくはランダム共重合した共重合体(P)を前駆体樹脂とし、該構造単位(b)のカルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基の少なくとも一部が周期表1族、2族、又は12族から選ばれる少なくとも1種の金属イオンを含有する金属含有カルボン酸塩に変換されていることを特徴とする。
(1)構造単位(a)
構造単位(a)はエチレンに由来する構造単位及び炭素数3~20のα-オレフィンに由来する構造単位からなる群より選ばれる少なくとも一種の構造単位である。
本発明に関わるα-オレフィンは構造式:CH=CHR18で表される、炭素数3~20のα-オレフィンである(R18は炭素数1~18の炭化水素基であり、直鎖構造であっても分岐を有していてもよい)。α-オレフィンの炭素数は、より好ましくは、3~12である。
構造単位(a)の具体例として、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、3-メチル-1-ブテン、及び4-メチル-1-ペンテン等が挙げられ、エチレンであってもよい。
また、アイオノマー中に含まれる構造単位(a)は、一種類であってもよいし、複数種であってもよい。二種の組み合わせとしては、エチレン-プロピレン、エチレン-1-ブテン、エチレン-1-ヘキセン、エチレン-1-オクテン、プロピレン-1-ブテン、プロピレン-1-ヘキセン、及びプロピレン-1-オクテン等が挙げられる。三種の組み合わせとしては、エチレン-プロピレン-1-ブテン、エチレン-プロピレン-1-ヘキセン、エチレン-プロピレン-1-オクテン、プロピレン-1-ブテン-ヘキセン、及びプロピレン-1-ブテン-1-オクテン等が挙げられる。
本発明においては、構造単位(a)としては、好ましくは、エチレンを必須で含み、必要に応じて1種以上の炭素数3~20のα-オレフィンをさらに含んでもよい。
構造単位(a)中のエチレンの量は、構造単位(a)の全molに対して、65~100mol%であってもよく、70~100mol%であってもよい。
(2)構造単位(b)
構造単位(b)は、カルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基を有するモノマーに由来する構造単位である。
カルボキシル基を有するモノマーとしては具体的にはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ノルボルネンジカルボン酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸などの不飽和カルボン酸が挙げられ、ジカルボン酸無水物基を有するモノマーとしては無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物、3,6-エポキシ-1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸無水物、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ-9-エン-4,5-ジカルボン酸無水物、2,7-オクタジエン-1-イルコハク酸無水物などの不飽和ジカルボン酸無水物が挙げられる。
具体的な化合物として、アクリル酸、メタクリル酸、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物が挙げられ、特にアクリル酸であってもよい。
また、カルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基を有するモノマーは、一種類であってもよいし、複数種であってもよい。
なお、ジカルボン酸無水物基は空気中の水分と反応して開環し、一部がジカルボン酸となる場合があるが、本発明の主旨を逸脱しない範囲においてならば、ジカルボン酸無水物基が開環していてもよい。
(3)その他の構造単位(c)
本発明に関わる共重合体(P)は構造単位(a)及び構造単位(b)で示される構造単位以外の構造単位(c)(以下、「任意のモノマー(c)」と表記することがある)を含んでいてもよい。構造単位(c)を与えるモノマーは、構造単位(a)及び構造単位(b)を与えるモノマーと同一でなければ、任意のモノマーを使用できる。構造単位(c)を与える任意のモノマーは、分子構造中に炭素-炭素二重結合を1つ以上有する化合物であれば限定されないが、例えば下記一般式(1)で表される非環状モノマーや下記一般式(2)で表される環状モノマーなどが挙げられる。
・非環状モノマー
Figure 0007456225000001

[一般式(1)中、T~Tはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1~20の炭化水素基、水酸基で置換された炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基で置換された炭素数2~20の炭化水素基、炭素数2~20のエステル基で置換された炭素数3~20の炭化水素基、ハロゲン原子で置換された炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数6~20のアリール基、炭素数2~20のエステル基、炭素数炭素数3~20のシリル基、ハロゲン原子、又は、シアノ基からなる群より選択される置換基であり、
は、水酸基で置換された炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基で置換された炭素数2~20の炭化水素基、炭素数2~20のエステル基で置換された炭素数3~20の炭化水素基、ハロゲン原子で置換された炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数6~20のアリール基、炭素数2~20のエステル基、炭素数炭素数3~20のシリル基、ハロゲン原子、又は、シアノ基からなる群より選択される置換基である。]
本発明のアイオノマーにおいては、T及びT2は水素原子であってもよく、Tは水素原子又はメチル基であってもよく、Tは炭素数2~20のエステル基であってもよい。
~Tに関する炭化水素基、置換アルコキシ基、置換エステル基、アルコキシ基、アリール基、エステル基、シリル基が有する炭素骨格は、分岐、環、及び/又は不飽和結合を有してもよい。
~Tに関する炭化水素基の炭素数は、下限値が1以上であればよく、上限値は20以下であればよく、10以下であってもよい。
~Tに関する置換アルコキシ基の炭素数は、下限値が1以上であればよく、上限値は20以下であればよく、10以下であってもよい。
~Tに関する置換エステル基の炭素数は、下限値が2以上であればよく、上限値は20以下であればよく、10以下であってもよい。
~Tに関するアルコキシ基の炭素数は、下限値が1以上であればよく、上限値は20以下であればよく、10以下であってもよい。
~Tに関するアリール基の炭素数は、下限値が6以上であればよく、上限値は20以下であればよく、11以下であってもよい。
~Tに関するエステル基の炭素数は、下限値が2以上であればよく、上限値は20以下であればよく、10以下であってもよい。
~Tに関するシリル基の炭素数は、下限値が3以上であればよく、上限値は18以下であればよく、12以下であってもよい。シリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリn-プロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、メチルジフェニルシリル基、及びトリフェニルシリル基等が挙げられる。
非環状モノマーとしては、具体的には、(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
本発明に関わる(メタ)アクリル酸エステルは、構造式:CH=C(R21)CO(R22)で表される化合物である。ここで、R21は、水素原子または炭素数1~10の炭化水素基であり、分岐、環、及び/又は不飽和結合を有してもよい。R22は、炭素数1~20の炭化水素基であり、分岐、環、及び/又は不飽和結合を有してもよい。さらに、R22内の任意の位置にヘテロ原子を含有してもよい。
(メタ)アクリル酸エステルとして、R21は、水素原子または炭素数1~5の炭化水素基である(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。また、R21が水素原子であるアクリル酸エステル又はR21がメチル基であるメタクリル酸エステルが挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル等が挙げられる。
具体的な化合物として、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-ブチル(nBA)、アクリル酸イソブチル(iBA)、アクリル酸t-ブチル(tBA)、及びアクリル酸2-エチルヘキシル等が挙げられ、特にアクリル酸n-ブチル(nBA)、アクリル酸イソブチル(iBA)、及びアクリル酸t-ブチル(tBA)であってもよい。
なお、非環状モノマーは、一種類を用いてもよいし、複数種を用いてもよい。
・環状モノマー
Figure 0007456225000002

[一般式(2)中、R~R12は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、及び、炭素数1~20の炭化水素基からなる群より選ばれるものであり、R及びR10、並びに、R11及びR12は、各々一体化して2価の有機基を形成してもよく、R又はR10と、R11又はR12とは、互いに環を形成していてもよい。
また、nは、0又は正の整数を示し、nが2以上の場合には、R~Rは、それぞれの繰り返し単位の中で、それぞれ同一でも異なっていてもよい。]
環状モノマーとしては、ノルボルネン系オレフィン等が挙げられ、ノルボルネン、ビニルノルボルネン、エチリデンノルボルネン、ノルボルナジエン、テトラシクロドデセン、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ-1-エン、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ-3-エン、などの環状オレフィンの骨格を有する化合物等が挙げられ、2-ノルボルネン(NB)、及び、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ-4-エン等であってもよい。
(4)金属イオン
アイオノマーには、上記(2)の構造単位(b)が有するカルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基と塩を形成する金属イオンが含まれる。カルボン酸塩基の金属イオンとしては、周期表の第1族、第2族及び第12族からなる群より選ばれる族の一価又は二価の金属イオンが挙げられ、具体的には、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、及び、亜鉛(Zn)のイオン等が挙げられ、取扱い易さの観点から、特にナトリウム(Na)、又は、亜鉛(Zn)のイオンであってもよい。
カルボン酸塩基は、例えば、共重合体のエステル基を加水分解若しくは加熱分解させた後、又は、加水分解若しくは加熱分解させながら、周期表1族、2族、又は12族の金属イオンを含有する化合物と反応させることで、共重合体中のエステル基部分を金属含有カルボン酸塩に変換することで得られる。
なお、金属イオンは、一種類であってもよいし、複数種であってもよい。
(5)共重合体(P)
本発明で用いるアイオノマーの前駆体樹脂となる共重合体(P)は、エチレン及び/又は炭素数3~20のα-オレフィンに由来する構造単位(a)と、カルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基を有するモノマーに由来する構造単位(b)とを必須構成単位として含み、これらが実質的に直鎖状に共重合、好ましくはランダム共重合していることを特徴とする。「実質的に直鎖状」とは、共重合体が分岐を有していないか又は分岐構造が現れる頻度が小さく、共重合体を直鎖状とみなしうる状態であることを指す。具体的には、下記の条件下で測定される共重合体の位相角δが50度以上である状態を指す。
本発明に関わる共重合体は、構造単位(a)及び構造単位(b)をそれぞれ1種類以上含有し、合計2種以上のモノマー単位を含むことが必要であり、その他の構造単位(c)を含んでいてもよい。
本発明に関わる共重合体の構造単位と構造単位量について説明する。
エチレン及び/又は炭素数3~20のα-オレフィン(a)、カルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基を有するモノマー(b)、および任意のモノマー(c)それぞれ1分子に由来する構造を、共重合体中の1構造単位と定義する。
そして、共重合体中の構造単位全体を100mol%とした時に各構造単位の比率をmol%で表したものが構造単位量である。
エチレン及び/又は炭素数3~20のα-オレフィン(A)の構造単位量:
本発明に関わる構造単位(a)の構造単位量は、下限が60.000mol%以上、好ましくは70.000mol%以上、より好ましくは80.000mol%以上、さらに好ましくは85.000mol%以上、さらにより好ましくは90.000mol%以上、特に好ましくは91.200mol%以上であり、上限が97.999mol%以下、好ましくは97.990mol%以下、より好ましくは97.980mol%以下、さらに好ましくは96.980mol%以下、さらにより好ましくは96.900mol%以下、特に好ましくは92.700mol%以下から選択される。
エチレン及び/又は炭素数3~20のα-オレフィン(a)に由来する構造単位量が60.000mol%よりも少なければ共重合体の靱性が劣り、97.999mol%よりも多ければ共重合体の結晶化度が高くなり、透明性が悪くなる場合がある。
・カルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基を有するモノマー(b)の構造単位量:
本発明に関わる構造単位(b)の構造単位量は、下限が2.0mol%以上、好ましくは2.9mol%以上であり、より好ましくは5.2mol%以上、上限が20.0mol%以下、好ましくは15.0mol%以下、より好ましくは10.0mol%以下、さらに好ましくは8.0mol%以下、特に好ましくは5.4mol%以下から選択される。
カルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基を有するモノマー(b)に由来する構造単位量が2.0mol%よりも少なければ、共重合体の極性の高い異種材料との接着性が充分ではなく、20.0mol%より多ければ共重合体の充分な機械物性が得られない場合がある。
・任意のモノマー(c)の構造単位量:
本発明に関わる構造単位(c)の構造単位量は、構造単位(c)が含まれる場合、下限が0.001mol%以上、好ましくは0.010mol%以上、より好ましくは0.020mol%以上、さらに好ましくは0.100mol%以上、さらにより好ましくは2.000mol%以上であり、特に好ましくは1.900mol%以上であり、上限が20.000mol%以下、好ましくは15.000mol%以下、より好ましくは10.000mol%以下、さらに好ましくは5.000mol%以下、特に好ましくは3.600mol%以下から選択される。
更に、用いられる任意のモノマーは単独でもよく、2種類以上を合わせて用いてもよい。
・共重合体(P)の炭素1,000個当たりの分岐数:
ポリオレフィンの分子構造には、メチル、エチル、ブチルなど炭素数1~4程度の短い炭素鎖が、分岐として現れることがある。本発明の共重合体は、分岐を有していないか又は分岐構造が現れる頻度が小さく、直鎖状とみなしうる構造を有する。
本発明の共重合体においては、弾性率を高くし、充分な機械物性を得る点から、13C-NMRにより算出されるメチル分岐数が、炭素1,000個当たり、上限が50個以下であってもよく、5.0個以下であってもよく、1.0個以下であってもよく、0.5個以下であってもよい。メチル分岐数の下限は、特に限定されず、少なければ少ないほどよい。またエチル分岐数が炭素1,000個当たり、上限が3.0個以下であってもよく、2.0個以下であってもよく、1.0個以下であってもよく、0.5個以下であってもよい。エチル分岐数の下限は、特に限定されず、少なければ少ないほどよい。さらにブチル分岐数が炭素1,000個当たり、上限が7.0個以下であってもよく、5.0個以下であってもよく、3.0個以下であってもよく、0.5個以下であってもよい。ブチル分岐数の下限は、特に限定されず、少なければ少ないほどよい。
・共重合体中のカルボキシ基及び/又はジカルボン酸無水物基を有するモノマー、及び非環状モノマーに由来する構造単位量、および分岐数の測定方法:
本発明の共重合体中のカルボキシ基及び/又はジカルボン酸無水物基を有するモノマー、及び非環状モノマーに由来する構造単位量、および炭素1,000個当たりの分岐数は13C-NMRスペクトルを用いて求められる。13C-NMRは以下の方法によって測定する。
試料200~300mgをo-ジクロロベンゼン(CCl)と重水素化臭化ベンゼン(CBr)の混合溶媒(CCl/CBr=2/1(体積比))2.4mlおよび化学シフトの基準物質であるヘキサメチルジシロキサンと共に内径10mmφのNMR試料管に入れて窒素置換した後封管し、加熱溶解して均一な溶液としてNMR測定試料とする。
NMR測定は10mmφのクライオプローブを装着したブルカー・ジャパン(株)のAV400M型NMR装置を用いて120℃で行う。
13C-NMRは、試料の温度120℃、パルス角を90°、パルス間隔を51.5秒、積算回数を512回以上、逆ゲートデカップリング法で測定する。
化学シフトはヘキサメチルジシロキサンの13Cシグナルを1.98ppmに設定し、他の13Cによるシグナルの化学シフトはこれを基準とする。
得られた13C-NMRにおいて、共重合体が有するモノマー又は分岐に特有のシグナルを同定し、その強度を比較することで、共重合体中の各モノマーの構造単位量、および分岐数を解析することができる。モノマーまたは分岐に特有のシグナルの位置は公知の資料を参照することもできるし、試料に応じて独自に同定することもできる。このような解析手法は、当業者にとって一般的に行いうるものである。
・重量平均分子量(Mw)と分子量分布(Mw/Mn):
本発明に関わる共重合体の重量平均分子量(Mw)は、下限が通常1,000以上であり、好ましくは6,000以上であり、上限が通常2,000,000以下であり、好ましくは1,500,000以下であり、更に好ましくは1,000,000以下であり、特に好適なのは800,000以下であり、最も好ましくは56,000以下である。
Mwが1,000未満では共重合体の機械的強度や耐衝撃性などの物性が充分ではなく、Mwが2,000,000を超えると共重合体の溶融粘度が非常に高くなり、共重合体の成形加工が困難となる場合がある。
本発明に関わる共重合体の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は、通常1.5~4.0、好ましくは1.6~3.5、更に好ましくは1.9~2.3の範囲である。Mw/Mnが1.5未満では共重合体の成形を始めとして各種加工性が充分でなく、4.0を超えると共重合体の機械物性が劣るものとなる場合がある。
また、本発明においては(Mw/Mn)を分子量分布パラメーターと表現することがある。
本発明に関わる重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)はゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)によって求められる。また、分子量分布パラメーター(Mw/Mn)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)によって、更に数平均分子量(Mn)を求め、MwとMnの比、Mw/Mnを算出するものである。
本発明に関わるGPCの測定方法の一例は以下の通りである。
(測定条件)
使用機種:ウォーターズ社製150C
検出器:FOXBORO社製MIRAN1A・IR検出器(測定波長:3.42μm)
測定温度:140℃
溶媒:オルトジクロロベンゼン(ODCB)
カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本)
流速:1.0mL/分
注入量:0.2mL
(試料の調製)
試料はODCB(0.5mg/mLのBHT(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール)を含む)を用いて1mg/mLの溶液を調製し、140℃で約1時間を要して溶解させる。
(分子量(M)の算出)
標準ポリスチレン法により行い、保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。使用する標準ポリスチレンは何れも東ソー社製の、(F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000)の銘柄である。各々が0.5mg/mLとなるようにODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.2mL注入して較正曲線を作成する。較正曲線は最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。分子量(M)への換算に使用する粘度式[η]=K×Mαは以下の数値を用いる。
ポリスチレン(PS):K=1.38×10-4、α=0.7
ポリエチレン(PE):K=3.92×10-4、α=0.733
ポリプロピレン(PP):K=1.03×10-4、α=0.78
・融点(Tm、℃):
本発明に関わる共重合体の融点は、示差走査型熱量計(DSC)により測定した吸熱曲線の最大ピーク温度によって示される。最大ピーク温度とは、DSC測定において、縦軸に熱流(mW)、横軸に温度(℃)をとった際に得られる吸熱曲線に複数ピークが示された場合、そのうちベースラインからの高さが最大であるピークの温度の事を示し、ピークが1つだった場合には、そのピークの温度の事を示している。
融点は50℃~140℃であることが好ましく、60℃~138℃であることが更に好ましく、70℃~135℃が最も好ましい。この範囲より低ければ耐熱性が充分ではなく、この範囲より高い場合は接着性が劣るものとなる場合がある。
共重合体の融点は、例えば、エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製のDSC(DSC7020)を使用し、試料約5.0mgをアルミパンに詰め、10℃/分で200℃まで昇温し、200℃で5分間等温保持後、10℃/分で20℃まで降温し、20℃で5分間等温保持後、再度、10℃/分で200℃まで昇温させる際の吸収曲線より求めることができる。
・共重合体の分子構造:
本発明に関わる共重合体の分子鎖末端は、エチレン及び/又は炭素数3~20のα-オレフィンの構造単位(a)であってもよく、カルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基を有するモノマーの構造単位(b)であってもよく、任意のモノマーの構造単位(c)であってもよい。
また、本発明に関わる共重合体は、エチレン及び/又は炭素数3~20のα-オレフィンの構造単位(a)、カルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基を有するモノマーの構造単位(b)、及び任意のモノマーの構造単位(c)のランダム共重合体、ブロック共重合体、並びにグラフト共重合体等が挙げられる。これらの中では、構造単位(b)を多く含むことが可能なランダム共重合体であってもよい。
一般的な三元系の共重合体の分子構造例(1)を下記に示す。
ランダム共重合体とは、下記に示した分子構造例(1)のエチレン及び/又は炭素数3~20のα-オレフィンの構造単位(a)とカルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基を有するモノマーの構造単位(b)と任意のモノマーの構造単位(c)とが、ある任意の分子鎖中の位置においてそれぞれの構造単位を見出す確率が、その隣接する構造単位の種類と無関係な共重合体である。
下記のように、共重合体の分子構造例(1)は、エチレン及び/又は炭素数3~20のα-オレフィンの構造単位(a)とカルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基を有するモノマーの構造単位(b)と任意のモノマーの構造単位(c)とが、ランダム共重合体を形成している。
Figure 0007456225000003
なお、グラフト変性によってカルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基を有するモノマーの構造単位(b)を導入した共重合体の分子構造例(2)も参考に掲載すると、エチレン及び/又は炭素数3~20のα-オレフィンの構造単位(a)及び任意のモノマーの構造単位(c)とが共重合された共重合体の一部が、カルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基を有するモノマーの構造単位(b)にグラフト変性される。
Figure 0007456225000004
また、共重合体におけるランダム共重合性は種々の方法により確認することが可能であるが、共重合体のコモノマー含量と融点との関係からランダム共重合性を判別する手法が「特開2015-163691号公報」及び「特開2016-079408」に詳しく述べられている。上記文献から共重合体の融点(Tm、℃)が-3.74×[Z]+130(ただし、[Z]はコモノマー含量/mol%である)よりも高い場合はランダム性が低いと判断できる。
ランダム共重合体である本発明に関わる共重合体は示差走査熱量測定(DSC)により観測される融点(Tm、℃)と、カルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基を有するモノマーの構造単位(b)及び任意のモノマーの構造単位(c)の合計の含有量[Z](mol%)とが下記の式(I)を満たすことが好ましい。
50<Tm<-3.74×[Z]+130・・・(I)
共重合体の融点(Tm、℃)が-3.74×[Z]+130(℃)よりも高い場合はランダム共重合性が低い為、衝撃強度など機械物性が劣り、融点が50℃よりも低い場合は耐熱性が劣る場合がある。
さらに本発明に関わる共重合体は、その分子構造を直鎖状とする観点から、遷移金属触媒の存在下で製造されたものであることが好ましい。
なお、高圧ラジカル重合法プロセスによる重合、金属触媒を用いた重合など、製造方法によって共重合体の分子構造は異なることが知られている。
この分子構造の違いは製造方法を選択する事によって制御が可能であるが、例えば、特許公報「特開2010-150532号公報」に記載されている様に、回転式レオメータで測定した複素弾性率によっても、その分子構造を推定する事ができる。
・複素弾性率の絶対値G=0.1MPaにおける位相角δ:
本発明の共重合体においては、回転式レオメータで測定した複素弾性率の絶対値G=0.1MPaにおける位相角δが、51度以上であることが好ましく、54度以上であることがより好ましく、56度以上であることが更に好ましく、58度以上であることがより更に好ましい。位相角δの上限は、特に限定されず、75度に近ければ近いほどよい。
より具体的には、回転式レオメータで測定した複素弾性率の絶対値G=0.1MPaにおける位相角δ(G=0.1MPa)が50度以上である場合、共重合体の分子構造は直鎖状の構造であって、長鎖分岐を全く含まない構造か、機械的強度に影響を与えない程度の少量の長鎖分岐を含む、実質的に直鎖状の構造であることを示す。
また、回転式レオメータで測定した複素弾性率の絶対値G=0.1MPaにおける位相角δ(G=0.1MPa)が50度より低い場合、共重合体の分子構造は長鎖分岐を過多に含む構造を示し、機械的強度が劣るものとなる。
回転式レオメータで測定した複素弾性率の絶対値G=0.1MPaにおける位相角δは、分子量分布と長鎖分岐の両方の影響を受ける。しかし、Mw/Mn≦4、より好ましくはMw/Mn≦3である共重合体に限れば長鎖分岐の量の指標になり、その分子構造に含まれる長鎖分岐が多いほどδ(G=0.1MPa)値は小さくなる。なお、共重合体のMw/Mnが1.5以上であれば、当該分子構造が長鎖分岐を含まない構造である場合でもδ(G=0.1MPa)値が75度を上回ることはない。
複素弾性率の測定方法は、以下の通りである。
試料を厚さ1.0mmの加熱プレス用モールドに入れ、表面温度180℃の熱プレス機中で5分間予熱後、加圧と減圧を繰り返すことで溶融樹脂中の残留気体を脱気し、更に4.9MPaで加圧し、5分間保持する。その後、試料を表面温度25℃のプレス機に移し替え、4.9MPaの圧力で3分間保持することで冷却し、厚さが約1.0mmの試料からなるプレス板を作成した。試料からなるプレス板を直径25mm円形に加工したものをサンプルとし、動的粘弾性特性の測定装置としてRheometrics社製ARES型回転式レオメータを用い、窒素雰囲気下において以下の条件で動的粘弾性を測定する。
・プレート:φ25mm パラレルプレート
・温度:160℃
・歪み量:10%
・測定角周波数範囲:1.0×10-2~1.0×10 rad/s
・測定間隔:5点/decade
複素弾性率の絶対値G(Pa)の常用対数logGに対して位相角δをプロットし、logG=5.0に相当する点のδ(度)の値をδ(G=0.1MPa)とする。測定点の中にlogG=5.0に相当する点がないときは、logG=5.0前後の2点を用いて、logG=5.0におけるδ値を線形補間で求める。また、測定点がいずれもlogG<5であるときは、logG値が大きい方から3点の値を用いて2次曲線でlogG=5.0におけるδ値を補外して求める。
・共重合体の製造について
本発明に関わる共重合体は、その分子構造を直鎖状とする観点から、遷移金属触媒の存在下で製造されたものであることが好ましい。
・重合触媒
本発明に関わる共重合体の製造に用いる重合触媒の種類は、構造単位(a)、構造単位(b)、及び任意の構造単位(c)を共重合することが可能なものであれば特に限定されないが、例えば、キレート性配位子を有する第5~11族の遷移金属化合物が挙げられる。
好ましい遷移金属の具体例としては、バナジウム原子、ニオビウム原子、タンタル原子、クロム原子、モリブデン原子、タングステン原子、マンガン原子、鉄原子、白金原子、ルテニウム原子、コバルト原子、ロジウム原子、ニッケル原子、パラジウム原子、銅原子などが挙げられる。これらの中で好ましくは、第8~11族の遷移金属であり、さらに好ましくは第10族の遷移金属であり、特に好ましくはニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)である。これらの金属は、単一であっても複数を併用してもよい。
キレート性配位子は、P、N、O、及びSからなる群より選択される少なくとも2個の原子を有しており、二座配位(bidentate)又は多座配位(multidentate)であるリガンドを含み、電子的に中性又は陰イオン性である。Brookhartらによる総説に、キレート性配位子の構造が例示されている(Chem.Rev.,2000,100,1169)。
キレート性配位子としては、好ましくは、二座アニオン性P、O配位子が挙げられる。二座アニオン性P、O配位子として例えば、リンスルホン酸、リンカルボン酸、リンフェノール、リンエノラートが挙げられる。キレート性配位子としては、他に、二座アニオン性N、O配位子が挙げられる。二座アニオン性N、O配位子として例えば、サリチルアルドイミナ-トやピリジンカルボン酸が挙げられる。キレート性配位子としては、他に、ジイミン配位子、ジフェノキサイド配位子、及びジアミド配位子等が挙げられる。
キレート性配位子から得られる金属錯体の構造は、置換基を有してもよいアリールホスフィン化合物、アリールアルシン化合物又はアリールアンチモン化合物が配位した下記構造式(c1)又は(c2)で表される。
Figure 0007456225000005
Figure 0007456225000006
[構造式(c1)、及び構造式(c2)において、
Mは、元素の周期表の第5~11族のいずれかに属する遷移金属、即ち前述したような種々の遷移金属を表す。
は、酸素、硫黄、-SO-、又は-CO-を表す。
は、炭素又はケイ素を表す。
nは、0又は1の整数を表す。
は、リン、砒素又はアンチモンを表す。
53及びR54は、それぞれ独立に、水素又は炭素数1ないし30のヘテロ原子を含有してもよい炭化水素基を表す。
55は、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、又は炭素数1ないし30のヘテロ原子を含有してもよい炭化水素基を表す。
56及びR57は、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、炭素数1ないし30のヘテロ原子を含有してもよい炭化水素基、OR52、CO52、COM’、C(O)N(R51、C(O)R52、SR52、SO52、SOR52、OSO52、P(O)(OR522-y(R51、CN、NHR52、N(R52、Si(OR513-x(R51、OSi(OR513-x(R51、NO、SOM’、POM’、P(O)(OR52M’又はエポキシ含有基を表す。
51は、水素又は炭素数1ないし20の炭化水素基を表す。
52は、炭素数1ないし20の炭化水素基を表す。
M’は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、4級アンモニウム又はフォスフォニウムを表し、xは、0から3までの整数、yは、0から2までの整数を表す。
なお、R56とR57が互いに連結し、脂環式環、芳香族環、又は酸素、窒素、若しくは硫黄から選ばれるヘテロ原子を含有する複素環を形成してもよい。この時、環員数は5~8であり、該環上に置換基を有していても、有していなくてもよい。
は、Mに配位したリガンドを表す。
また、R53とLが互いに結合して環を形成してもよい。]
より好ましくは、重合触媒となる錯体は、下記構造式(c3)で表される遷移金属錯体である。
Figure 0007456225000007
[構造式(c3)において、
Mは、元素の周期表の第5~11族のいずれかに属する遷移金属、即ち前述したような種々の遷移金属を表す。
は、酸素、硫黄、-SO-、又は-CO-を表す。
は、炭素又はケイ素を表す。
nは、0又は1の整数を表す。
は、リン、砒素又はアンチモンを表す。
53及びR54は、それぞれ独立に、水素又は炭素数1ないし30のヘテロ原子を含有してもよい炭化水素基を表す。
55は、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、又は炭素数1ないし30のヘテロ原子を含有してもよい炭化水素基を表す。
58、R59、R60及びR61は、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、炭素数1ないし30のヘテロ原子を含有してもよい炭化水素基、OR52、CO52、COM’、C(O)N(R51、C(O)R52、SR52、SO52、SOR52、OSO52、P(O)(OR522-y(R51、CN、NHR52、N(R52、Si(OR513-x(R51、OSi(OR513-x(R51、NO、SOM’、POM’、P(O)(OR52M’又はエポキシ含有基を表す。
51は、水素又は炭素数1ないし20の炭化水素基を表す。
52は、炭素数1ないし20の炭化水素基を表す。
M’は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、4級アンモニウム又はフォスフォニウムを表し、xは、0から3までの整数、yは、0から2までの整数を表す。
なお、R58~R61から適宜選択された複数の基が互いに連結し、脂環式環、芳香族環、又は酸素、窒素、若しくは硫黄から選ばれるヘテロ原子を含有する複素環を形成してもよい。この時、環員数は5~8であり、該環上に置換基を有していても、有していなくてもよい。
は、Mに配位したリガンドを表す。
また、R53とLが互いに結合して環を形成してもよい。]
ここで、キレート性配位子を有する第5~11族の遷移金属化合物の触媒としては、代表的に、いわゆる、SHOP系触媒及びDrent系触媒等の触媒が知られている。
SHOP系触媒は、置換基を有してもよいアリール基を有するリン系リガンドがニッケル金属に配位した触媒である(例えば、WO2010‐050256号公報を参照)。
また、Drent系触媒は、置換基を有してもよいアリール基を有するリン系リガンドがパラジウム金属に配位した触媒である(例えば、特開2010-202647号公報を参照)。
・共重合体の重合方法:
本発明に関わる共重合体の重合方法は限定されない。
重合方法としては、媒体中で少なくとも一部の生成重合体がスラリーとなるスラリー重合、液化したモノマー自身を媒体とするバルク重合、気化したモノマー中で行う気相重合、又は、高温高圧で液化したモノマーに生成重合体の少なくとも一部が溶解する高圧イオン重合などが挙げられる。
重合形式としては、バッチ重合、セミバッチ重合、又は連続重合のいずれの形式でもよい。
また、リビング重合を行ってもよいし、連鎖移動を併発しながら重合を行ってもよい。
更に、重合の際には、いわゆるchain shuttling agent(CSA)を併用し、chain shuttling反応や、coordinative chain transfer polymerization(CCTP)を行ってもよい。
具体的な製造プロセス及び条件については、例えば、特開2010-260913号公報、及び特開2010-202647号公報等に開示されている。
・共重合体へのカルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基の導入方法:
本発明に関わる共重合体へのカルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基の導入方法は特に限定されない。
本発明の主旨を逸脱しない範囲においては種々の方法によりカルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基を導入することができる。
カルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基の導入方法は、例えば、カルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基を有するコモノマーを直接共重合する方法や、他のモノマーを共重合した後、変性によりカルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基を導入する方法などが挙げられる。
変性によりカルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基を導入する方法としては、例えばカルボン酸を導入する場合、アクリル酸エステルを共重合した後に加水分解し、カルボン酸に変化する方法やアクリル酸t-ブチルを共重合した後、加熱分解によりカルボン酸に変化させる方法等が挙げられる。
上記、加水分解又は加熱分解する際に、反応を促進させる添加剤として、従来公知の酸・塩基触媒を使用してもよい。酸・塩基触媒としては特に制限されないが、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸水素ナトリウムや炭酸ナトリウムなどのアルカリ金属、アルカリ土類金属の炭酸塩、モンモリロナイトなどの固体酸、塩酸、硝酸、硫酸などの無機酸、ギ酸、酢酸、安息香酸、クエン酸、パラトルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸などの有機酸などを適宜用いることが出来る。反応促進効果、価格、装置腐食性等の観点から水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、パラトルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸が好ましく、パラトルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸がより好ましい。
(6)アイオノマー
本発明に係るアイオノマーは、本発明の共重合体の構造単位(b)のカルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基の少なくとも一部が、前述の金属イオンによって周期表1族、2族、又は12族から選ばれる少なくとも1種の金属イオンを含有する金属含有カルボン酸塩に変換された、実質的に直鎖状の構造を有するアイオノマーである。
・アイオノマーの構造
本発明に関わるアイオノマーは本発明に関わる共重合体と同様に実質的に直鎖状構造を有するランダム共重合体であることから、構造に関するパラメータは前記共重合体のものと同じ範囲であることが好ましい。すなわち、回転式レオメータで測定した複素弾性率の絶対値G=0.1MPaにおける位相角δ、融点(Tm、℃)について、前記共重合体についてと同じ好ましい態様が適用される。アイオノマーは、後述のとおり前駆体樹脂に金属塩を作用させることにより得られ、その際に重合体の分子鎖を切断するような反応は通常起こらない。このため、コモノマーのモル比、分岐の程度、ランダム性等の構造に関するパラメータは、通常は前駆体樹脂とアイオノマーとの間で保存されている。
・中和度(mol%)
アイオノマーにおける金属イオンの含有量としては、前駆体樹脂としての共重合体中のカルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基の少なくとも一部又は全部を中和する量を含むことが好ましく、好ましい中和度(平均中和度)としては、5~95mol%、より好ましくは10~90mol%、さらに好ましくは20~80mol%である。
中和度が高いと、アイオノマーの引張強度及び引張破壊応力が高く、引張破壊ひずみが小さくなるが、アイオノマーのメルトフローレート(MFR)が低くなる傾向がある。一方、中和度が低いと、適度なMFRのアイオノマーが得られ、成形性の面でより好ましくなるが、引張弾性率及び引張破壊応力は低く、引張破壊ひずみが高くなる傾向がある。
なお、中和度は、カルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基の量と加えた金属イオンのモル比から計算できる。
・アイオノマーの製造方法
本発明に関わるアイオノマーは、上述のとおりの共重合体へのカルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基の導入方法によって得たエチレン及び/又は炭素数3~20のα-オレフィン/不飽和カルボン酸の共重合体を、周期表1族、2族、又は12族から選ばれる少なくとも1種の金属イオンを含有する金属塩により処理し金属含有カルボン酸塩に変換する変換工程を経ることにより得てもよい。また、本発明に関わるアイオノマーはエチレン及び/又は炭素数3~20のα-オレフィン/不飽和カルボン酸エステル共重合体を加熱し、該共重合体中の少なくとも一部のエステル基を、周期表1族、2族、又は12族から選ばれる少なくとも1種の金属イオンを含有する金属含有カルボン酸塩に変換する加熱変換工程を経ることにより得てもよい。
重合体にカルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基を導入してからアイオノマーを製造する場合、その製造方法は、例えば、以下のとおりである。すなわち、エチレン/メタクリル酸(MAA)共重合体などの金属イオンを捕捉する物質と金属塩を場合により加熱して混練することで金属イオン供給源を作製し、ついでアイオノマーの前駆体樹脂に当該金属イオン供給源を所望の中和度となる量投入し、混練することで得ることができる。
また、加熱変換工程においては、(i)エチレン及び/又は炭素数3~20のα-オレフィン/不飽和カルボン酸エステル共重合体を加熱し、加水分解又は加熱分解によりエチレン及び/又は炭素数3~20のα-オレフィン/不飽和カルボン酸共重合体にした後、周期表1族、2族、又は12族の金属イオンを含有する化合物と反応させることで、該エチレン及び/又は炭素数3~20のα-オレフィン/不飽和カルボン酸共重合体中のカルボン酸を該金属含有カルボン酸塩に変換してもよく、また、(ii)エチレン及び/又は炭素数3~20のα-オレフィン/不飽和カルボン酸エステル共重合体を加熱し、該共重合体のエステル基を加水分解又は加熱分解させながら、周期表1族、2族、又は12族の金属イオンを含有する化合物と反応させることで、前記エチレン及び/又は炭素数3~20のα-オレフィン/不飽和カルボン酸エステル共重合体中のエステル基部分を前記金属含有カルボン酸塩に変換してもよい。
さらに金属イオンを含有する化合物は、周期表1族、2族、又は12族の金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、酢酸塩、ギ酸塩などであってもよい。
金属イオンを含有する化合物は、粒状あるいは微粉状で反応系に供給してもよく、水や有機溶媒に溶解または分散させた後、反応系に供給してもよく、エチレン/不飽和カルボン酸共重合体やオレフィン共重合体をベースポリマーとするマスターバッチを作製し、反応系に供給してもよい。反応を円滑に進行させるためにはマスターバッチを作製し、反応系に供給する方法が好ましい。
さらにまた、金属イオンを含有する化合物との反応はベント押出機、バンバリーミキサー、ロールミルの如き種々の型の装置により、溶融混練することによって行ってもよく、反応はバッチ式でも連続法でもよい。反応によって副生する水及び炭酸ガスを脱気装置により排出することにより、円滑に反応を行うことができることからベント押出機のような脱気装置付きの押出機を用い連続的に行うことが好ましい。
金属イオンを含有する化合物との反応に際し、反応を促進させるために、少量の水を注入してもよい。
エチレン及び/又は炭素数3~20のα-オレフィン/不飽和カルボン酸エステル共重合体を加熱する温度は、エステルがカルボン酸になる温度であればよく、加熱温度が低すぎる場合はエステルがカルボン酸に変換されず、高すぎる場合には脱カルボニル化や共重合体の分解が進む。従って、本発明の加熱温度は、好ましくは80℃~350℃、より好ましくは100℃~340℃、更に好ましくは150℃~330℃、更により好ましくは200℃~320℃の範囲で行われる。
反応時間は加熱温度やエステル基部分の反応性等により変わるが、通常1分~50時間であり、より好ましくは2分~30時間であり、更に好ましくは2分~10時間であり、よりさらに好ましくは2分~3時間であり、特に好ましくは3分~2時間である。
上記工程において、反応雰囲気下に特に制限はないが、一般に不活性ガス気流下で行われるほうが好ましい。不活性ガスの例としては、窒素、アルゴン、二酸化炭素雰囲気が使用でき、なお、少量の酸素や空気の混入があってもよい。
上記工程で用いる反応器としては、特に制限は無いが、共重合体を実質的に均一に攪拌できる方法であれば何ら限定されず、攪拌器を装備したガラス容器やオートクレーブ(AC)を用いても良いし、ブラベンダープラストグラフ、一軸あるいは二軸押出機、強力スクリュー型混練機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール等の従来知られているいかなる混練機も使用することができる。
前駆体樹脂に対し金属イオンが導入され、アイオノマーとなったかどうかは、得られた樹脂のIRスペクトルを測定してカルボン酸(二量体)のカルボニル基に由来するピークの減少を調べることによって確認することができる。中和度も同じく、前述のモル比からの計算のほか、カルボン酸(二量体)のカルボニル基に由来するピークの減少と、カルボン酸塩基のカルボニル基に由来するピークの増加を調べることによって、確認することができる。
難燃樹脂組成物中のアイオノマーの量は、電線・ケーブル用途に用いることができる範囲であれば特に制限されないが、前述のポリオレフィン系樹脂との総和に対して1~50重量%含むことが好ましい。ポリオレフィン系樹脂との総和に対して1~20重量%の範囲であることがより好ましく、1~10重量%の範囲であることがさらに好ましい。この範囲とすることで、樹脂としての成形性など要求される物性を満足し、かつ耐摩耗性に優れた樹脂組成物を得ることができる。
3.難燃剤(C)
本発明の難燃樹脂組成物は、難燃剤を含む。難燃剤は市販のものを用いることができ、ポリオレフィン系樹脂(A)及びアイオノマー(B)と均一に混合することができるものであれば、種類は特に制限されない。金属水酸化物を難燃剤として用いることが好ましい。
金属水酸化物としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、水和珪酸アルミニウム、水和珪酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイトなどの水酸基或いは結晶水を有する化合物を単独若しくは2種以上組み合わせたものを用いることができる。これらの金属水酸化物の中でも、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムが好ましく、水酸化マグネシウムが最も好ましい。また、これらは特に表面処理を施したものが好ましい。
上記水酸化マグネシウムとしては、難燃樹脂組成物に一般的に使用される水酸化マグネシウム、即ち、海水中の塩化マグネシウムを原料として水酸化カルシウムと反応させ、沈降、洗浄、濃縮などの工程により得られる水酸化マグネシウム、例えば、「キスマ5」「キスマ5A」「キスマ5B」「キスマ5J」(商品名・協和化学工業社製)などが挙げられる。
また、水酸化マグネシウムを主成分として含む天然鉱物(ブルーサイト)を粉砕して得られる水酸化マグネシウムなどの公知のものも用いることができる。更に、近年では、マグネシウムを含む天然鉱物(ブルーサイト、蛇紋石、ドロマイト、緑泥石など)を塩酸処理することによって得られる塩化マグネシウムを原料として用い、例えば、水酸化カルシウムと反応し沈降、洗浄、濃縮などの工程により得られる水酸化マグネシウム、その他にも、溶解、精製、熱分解により得られる酸化マグネシウムを水和して得られる水酸化マグネシウムなどを用いることができる。ただし、本発明では上記のこれらに限定されるものではない。
これらの中でも特に、炭酸マグネシウムを焼成し酸化マグネシウムとし、これを水和して得られる水酸化マグネシウムが、粒子の比表面積が8m/g以上と大きく、従来の難燃性組成物の性能も低下させずに、高難燃性で経済的に安価であり、かつ電線・ケーブル施工時において電線・ケーブル端末の易カット性(剥離切断処理性)に優れ、作業性が良いなどの理由から好ましく使用される。
上記の金属水酸化物の好ましい製造方法としては、特公平3-60774号公報、特開平5-208810号公報、及び特開平8-67515号公報に示されている、天然鉱物(マグネサイト)として産出される炭酸マグネシウムを焼成、粉砕して微粉の軽焼マグネシアとし、これを消和(水和)反応して得る方法が挙げられる。
また、天然鉱物(マグネサイト)として産出される炭酸マグネシウムを焼成、粉砕して得られた軽焼マグネシアを消和反応して水酸化マグネシウムを得る方法を用いることで、その粉砕工程時の粉砕時間、ミル速度及び消和工程時のpH、反応温度などを制御することで、平均粒径、比表面積、凝集構造が最適化された水酸化マグネシウムを安価に製造することができる。
また、金属水酸化物は、熱可塑性樹脂中での分散効果、吸湿の抑制、金属活性点の失活などを改良するために、表面処理剤による処理を行うことが好ましい。
表面処理剤としては、脂肪酸及び脂肪酸金属塩又はこれらの混合物、並びに脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、ワックス又はその変性物、硬化性樹脂、有機シラン、有機チタネート、有機ボランなどが挙げられる。また、昨今においては、特開2002-167219号公報、特開2002-173682号公報、特開2003-003167号公報、特開2004-337698号公報などに開示されるように、ポリカルボン酸系分散剤、ポリグリセリン誘導体、N-アシル塩基性アミノ酸、或いは二塩基酸エリスリトール類エステル、リン酸エステル、亜リン酸エステル、アルコールリン酸エステル、リン化合物などで表面処理された水酸化マグネシウムも使用されている。本発明では、特にこれらに限定されるものではないが、安価で、効果的な点から、脂肪酸、及び脂肪酸金属塩或いはこれらの混合物、並びに脂肪酸エステルとの組み合わせが特に好ましい。これらは予め表面処理してもよいし、樹脂成分や水酸化マグネシウムを同時に混合使用してもよい。
上記脂肪酸としては、炭素数8以上の飽和酸又は不飽和酸が望ましく、オクタン酸、デカン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、アラキン酸、やし油、牛脂、大豆油、パーム油、硬化油などが挙げられる。上記脂肪酸金属塩としては、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、リノール酸、ラウリン酸、カプリル酸、ベヘニン酸、モンタン酸などの金属塩が挙げられ、金属としては、Na、K、Al、Ca、Mg、Zn、Ba、Co、Sn、Ti、Feなどが挙げられる。上記脂肪酸エステルとしては、ラウリン酸メチル、ミスチリン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、オレイン酸メチル、エルカ酸メチル、ベヘニン酸メチル、ラウリン酸ブチル、ステアリン酸ブチル、ミスチリン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、ヤシ脂肪酸オクチルエステル、ステアリン酸オクチル、特殊牛脂脂肪酸オクチルエステル、ラウリン酸ラウリル、ステアリン酸ステアリル、長鎖脂肪酸高級アルコールエステル、ベヘニン酸ベヘニル、ミスチリン酸セチルなどのモノエステルが挙げられ、またネオペンチルポリオール長鎖脂肪酸エステル、ネオペンチルポリオール長鎖脂肪酸エステルの部分エステル化物、ネオペンチルポリオール脂肪酸エステル、ネオペンチルポリオール中鎖脂肪酸エステル、ネオペンチルポリオールC9鎖脂肪酸エステル、ジペンタエリスリトール長鎖脂肪酸エステル、コンプレックス中鎖脂肪酸エステル等の特殊脂肪酸エステルが挙げられる。
これらの表面処理剤は、湿式法、乾式法など任意の処理方法で用いることができる。表面処理剤の使用量は、金属水酸化物に対して、1~10質量%の範囲で用いるのが好ましい。
難燃樹脂組成物中の難燃剤の量は、均一に混合して樹脂組成物を形成し、電線・ケーブル用途に用いることができる範囲であれば特に制限されないが、上記ポリオレフィン系樹脂及びアイオノマーの総量100重量部に対して、30~300重量部含むことが好ましい。ポリオレフィン系樹脂及びアイオノマー樹脂の総量100重量部に対して50~200重量部の範囲であることがより好ましく、80~150重量部の範囲であることがさらに好ましい。この範囲とすることで、樹脂としての成形性など要求される物性を満足し、かつ十分な難燃性を樹脂組成物に付与することができる。30重量部より小さいと難燃性が不充分となり、300質量部を超える場合には材料が脆化し、硬くなり、製品の可撓性や機械的強度が低下する傾向があるばかりでなく、傷付き白化の弊害が生じる可能性がある。
本発明の難燃樹脂組成物においては、更に性能を向上させるために難燃助剤を配合してもよい。難燃助剤として、赤リン、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、リン酸カルシウム、酸化ジルコン、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、ホウ酸バリウム、メタホウ酸バリウム、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛、二硫化モリブデン、粘土、ケイソウ土、カオリナイト、モンモリロナイト、ハイドロタルサイト、タルク、シリカ、ホワイトカーボン、ゼオライト、ハイドロマグネサイト、有機ベントナイトなどを併用してもよい。これら難燃助剤は上記金属水酸化物に対して50重量%までの量で配合することが望ましい。
4.難燃樹脂組成物
本発明の難燃樹脂組成物は、上記ポリオレフィン系樹脂(A)、アイオノマー樹脂(B)及び難燃剤(C)を含む組成物である。本発明の難燃樹脂組成物は、上記3成分から構成することが可能であるが、大量の難燃剤が配合されるので、その受容量を確保し、かつ柔軟性を保持するために、熱可塑性エラストマーを併用してもよい。その組成割合は、当業者であれば適宜設定可能であり電線・ケーブル用途に好ましい配合とすることができるが、ポリオレフィン系樹脂(A)とアイオノマー樹脂(B)との総和に対し0~95重量%、より好ましくは3~80重量%、特に好ましくは10~50重量%の量を配合することができる。熱可塑性エラストマーとして、公知の軟質性樹脂やEPR及びEPDMなどオレフィン系エラストマーを選択することにより、高難燃性、高成形性を維持し、機械的強度を改良することができる。
本発明の難燃樹脂組成物は、前記の各成分を前述の配合割合で任意の順序にて配合して、一軸押出機、二軸押出機、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、ロールミキサー、ブラベンダープラストグラフ、ニーダーなど通常の混練機を用いて混練、造粒することによって製造することができる。この場合、各成分の分散を良好にすることができる混練、造粒方法を選択することが好ましく、特に二軸押出機を用いて、混練、造粒することが経済性等の面から好ましい。混練機は異なる混練方法による複数の機械を用いて多段階の混練としてもよい。
・添加剤
本発明に関わるアイオノマーには、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、上記難燃助剤の他にも、従来公知の酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤、着色剤、顔料、架橋剤、発泡剤、核剤、及び、充填材等の添加剤を配合してもよい。これらの添加剤の配合量は、当業者であれば各々適切な量を用いることができる。
5.電線・ケーブル
本発明の一態様は、上記難燃樹脂組成物を被覆材料として用いた電線又はケーブルである。本発明の難燃樹脂組成物は、電線、電力ケーブル、光ファイバーケーブルなどの絶縁層及び/又はシース層、内部半導電層及び/又は外部半導電層、或いは所望により銅、アルミニウム、鉛などの外部金属遮蔽層やアルミニウムテープを巻回した遮水層などの通例の電線・ケーブルにおいて設けられる被覆層として使用してもよい。また、該電線・ケーブルの製造方法は一般的な方法でよく、有機過酸化物やシラン架橋などにより架橋し、或いは非架橋状態若しくは発泡させて使用してもよいし、熱可塑性樹脂や金属箔、不織布、織布などの他の基材と積層して用いてもよく、特に限定されるものではない。
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、表中のno dataは未測定を意味し、not detectedは検出限界未満を意味する。
[原料]
実施例及び比較例で調製した樹脂組成物の原料として、以下の物を用いた。
[ポリオレフィン系樹脂]
(A-1)エチレン-エチルアクリレート共重合体(アクリル酸含量15重量%、MFR0.8g/10分)
(A-2)エチレン-酢酸ビニル共重合体( 酢酸ビニル含量15重量%、MFR1.0g/10分)
(A-3)無水マレイン酸変性ポリエチレン(無水マレイン酸グラフト量0.20重量%、MFR 1.3g/10分、密度 0.920g/cm
(A-4)エチレン-エチルアクリレート共重合体(アクリル酸含量20重量%、MFR0.4g/10分)
[アイオノマー樹脂]
(B-1)アイオノマー
アイオノマー樹脂(B-1)として、E/AA/NB共重合体を用い、Naイオンを金属種としたE/AA/NB3元アイオノマーを製造した。得られたアイオノマーの物性を表1に示す。ここで、Eはエチレン、AAはアクリル酸、NBはノルボルネンを構成単位としていることを意味する。
(B-2)として、エチレンとメタクリル酸とメタクリル酸Naの共重合体であって、高圧ラジカル法プロセスによって製造されたアイオノマー樹脂(三井ダウポリケミカル(株)製、登録商標:HIMILAN、グレード名:HIM1605)を用いた。アイオノマーの物性を表1に示す。
(B-3)として、E/AA共重合体を用い、Naイオンを金属種としたE/AA2元アイオノマーを製造した。得られたアイオノマーの物性を表1に示す。
[難燃剤]
(C-1)市販の水酸化マグネシウム(協和化学工業株式会社製、キスマ5A)
実施例および比較例における物性の測定と評価は、以下に示す方法によって実施した。
<測定と評価>
(1)複素弾性率の絶対値G=0.1MPaにおける位相角δ(G=0.1MPa)の測定
1)試料の準備、測定
試料を厚さ1.0mmの加熱プレス用モールドに入れ、表面温度180℃の熱プレス機中で5分間予熱後、加圧と減圧を繰り返すことで溶融樹脂中の残留気体を脱気し、更に4.9MPaで加圧し、5分間保持した。その後、表面温度25℃のプレス機に移し替え、4.9MPaの圧力で3分間保持することで冷却し、厚さが約1.0mmの試料からなるプレス板を作製した。試料からなるプレス板を直径25mm円形に加工したものをサンプルとし、動的粘弾性特性の測定装置としてRheometrics社製ARES型回転式レオメータを用い、窒素雰囲気下において以下の条件で動的粘弾性を測定した。
・プレート:φ25mm(直径) パラレルプレート
・温度:160℃
・歪み量:10%
・測定角周波数範囲:1.0×10-2~1.0×10 rad/s
・測定間隔:5点/decade
複素弾性率の絶対値G(Pa)の常用対数logGに対して位相角δをプロットし、logG=5.0に相当する点のδ(度)の値をδ(G=0.1MPa)とした。測定点の中にlogG=5.0に相当する点がないときは、logG=5.0前後の2点を用いて、logG=5.0におけるδ値を線形補間で求めた。また、測定点がいずれもlogG<5であるときは、logG値が大きい方から3点の値を用いて2次曲線でlogG=5.0におけるδ値を補外して求めた。
(2)重量平均分子量(Mw)及び分子量分布パラメーター(Mw/Mn)の測定
重量平均分子量(Mw)はゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)によって求めた。また、分子量分布パラメーター(Mw/Mn)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)によって、更に数平均分子量(Mn)を求め、MwとMnの比、Mw/Mnによって算出した。
測定は下記の手順及び条件に従って行った。
1)試料の前処理
試料にカルボン酸基が含まれる場合は、例えばジアゾメタンやトリメチルシリル(TMS)ジアゾメタンなどを用いたメチルエステル化などのエステル化処理を行い測定に用いた。また、試料にカルボン酸塩基が含まれる場合は酸処理を行い、カルボン酸塩基をカルボン酸基へと変性した後、上記のエステル化処理を行い測定に用いた。
2)試料溶液の調製
4mLバイアル瓶に試料3mgおよびo-ジクロロベンゼン3mLを秤り採り、スクリューキャップおよびテフロン(登録商標)製セプタムで蓋をした後、センシュー科学製SSC-7300型高温振とう機を用いて150℃で2時間振とうを行った。振とう終了後、不溶成分がないことを目視で確認した。
3)測定
ウォーターズ社製Alliance GPCV2000型に昭和電工製高温GPCカラムShowdex HT-G×1本及び同HT-806M×2本を接続し、溶離液にo-ジクロロベンゼンを使用し、温度145℃、流量:1.0mL/分下にて測定を行った。
4)較正曲線
カラムの較正は、昭和電工製単分散ポリスチレン(S-7300、S-3900、S-1950、S-1460、S-1010、S-565、S-152、S-66.0、S-28.5、S-5.05、の各0.07mg/ml溶液)、n-エイコサン及びn-テトラコンタンの測定を上記と同様の条件にて行い、溶出時間と分子量の対数値を4次式で近似した。なお、ポリスチレン分子量(MPS)とポリエチレン分子量(MPE)の換算には次式を用いた。
PE=0.468×MPS
(3)融点
融点は、示差走査型熱量計(DSC)により測定した吸熱曲線のピーク温度によって示される。測定にはエスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製のDSC(DSC7020)を使用し、次の測定条件で実施した。
試料約5.0mgをアルミパンに詰め、10℃/分で200℃まで昇温し、200℃で5分間保持した後に10℃/分で30℃まで降温させた。30℃で5分間保持した後、再度、10℃/分で昇温させる際の吸収曲線のうち、最大ピーク温度を融点Tmとした。
(4)カルボキシ基及び/又はジカルボン酸無水物基を有するモノマー、及び非環状モノマー由来の構造単位量と炭素1,000個当たりの分岐数の測定方法
本発明の多元共重合体中のカルボキシ基及び/又はジカルボン酸無水物基を有するモノマー、及び非環状モノマーに由来する構造単位量、および炭素1,000個当たりの分岐数は13C-NMRスペクトルを用いて求められる。13C-NMRは以下の方法によって測定した。
試料200~300mgをo-ジクロロベンゼン(CCl)と重水素化臭化ベンゼン(CBr)の混合溶媒(CCl/CBr=2/1(体積比))2.4mlおよび化学シフトの基準物質であるヘキサメチルジシロキサンと共に内径10mmφのNMR試料管に入れて窒素置換した後封管し、加熱溶解して均一な溶液としてNMR測定試料とした。
NMR測定は10mmφのクライオプローブを装着したブルカー・ジャパン(株)のAV400M型NMR装置を用いて120℃で行った。
13C-NMRは、試料の温度120℃、パルス角を90°、パルス間隔を51.5秒、積算回数を512回以上、逆ゲートデカップリング法で測定した。
化学シフトはヘキサメチルジシロキサンの13Cシグナルを1.98ppmに設定し、他の13Cによるシグナルの化学シフトはこれを基準とした。
1)試料の前処理
試料にカルボン酸塩基が含まれる場合は酸処理を行うことにより、カルボン酸塩基をカルボキシ基へと変性した後に測定に用いた。また試料にカルボキシ基が含まれる場合は、例えばジアゾメタンやトリメチルシリル(TMS)ジアゾメタンなどを用いたメチルエステル化などのエステル化処理を適宜行ってもよい。
2)カルボキシ基及び/又はジカルボン酸無水物基を有するモノマー、及び非環状モノマー由来の構造単位量の算出
<E/tBA>
tBAのt-ブチルアクリレート基の四級炭素シグナルは、13C-NMRスペクトルの79.6~78.8に検出される。これらのシグナル強度を用い、以下の式からコモノマー量を算出した。
tBA総量(mol%)=I(tBA)×100/〔I(tBA)+I(E)〕
ここで、I(tBA)、I(E)はそれぞれ、以下の式で示される量である。
I(tBA)=I79.6~78.8
I(E)=(I180.0~135.0+I120.0~5.0-I(tBA)×7)/2
<E/tBA/NB>
tBAのt-ブチルアクリレート基の四級炭素シグナルは、13C-NMRスペクトルの79.6~78.8ppm、NBのメチン炭素シグナルは41.9~41.1ppmに検出される。これらのシグナル強度を用い、以下の式からコモノマー量を算出した。
tBA総量(mol%)=I(tBA)×100/〔I(tBA)+I(NB)+I(E)〕
NB総量(mol%)=I(NB)×100/〔I(tBA)+I(NB)+I(E)〕
ここで、I(tBA)、I(NB)、I(E)はそれぞれ、以下の式で示される量である。
I(tBA)=I79.6~78.8
I(NB)=(I41.9~41.1)/2
I(E)=(I180.0~135.0+I120.0~5.0-I(NB)×7-I(tBA)×7)/2
なお、各モノマーの構造単位量が不等号を含む「<0.1」で示されている場合、多元共重合体中の構成単位として存在しているが有効数字を考慮して0.1mol%未満の量であることを意味する。
3)炭素1,000個当たりの分岐数の算出
多元共重合体に分岐が存在する場合は、主鎖に分岐が単独で存在する孤立型と、複合型(主鎖を介して分岐と分岐が対面した対面タイプ、分岐鎖中に分岐のあるbranched-branchタイプ、および連鎖タイプ)が存在する。
以下は、エチル分岐の構造の例である。なお、対面タイプの例において、Rはアルキル基を表す。
Figure 0007456225000008
炭素1,000個当たりの分岐数は、以下の式のI(分岐)項に、下記のI(B1)、I(B2)、I(B4)のいずれかを代入し求める。B1はメチル分岐、B2はエチル分岐、B4はブチル分岐を表す。メチル分岐数はI(B1)を用い、エチル分岐数はI(B2)を用い、ブチル分岐数はI(B4)を用いて求める。
分岐数(個/炭素1,000個当たり)=I(分岐)×1000/I(total)
ここで、I(total)、I(B1)、I(B2)、I(B4)は以下の式で示される量である。
I(total)=I180.0~135.0 +I120.0~5.0
I(B1)=(I20.0~19.8+I33.2~33.1+I37.5~37.3)/4
I(B2)=I8.6~7.6 +I11.8~10.5
I(B4)=I14.3~13.7 -I32.2~32.0
ここで、Iは積分強度を、Iの下つき添字の数値は化学シフトの範囲を示す。例えばI180.0~135.0は180.0ppmと135.0ppmの間に検出した13Cシグナルの積分強度を示す。
帰属は、非特許文献Macromolecules 1984, 17, 1756-1761、Macromolecules 1979,12,41を参考にした。
なお、各分岐数が不等号を含む「<0.1」で示されている場合、多元共重合体中の構成単位として存在しているが有効数字を考慮して0.1mol%未満の量であることを意味する。また、not detectedは検出限界未満を意味する。
(5)赤外吸収スペクトル
試料を180℃にて3分間溶融し、圧縮成形して、厚さ50μm程度のフィルムを作製する。このフィルムをフーリエ変換赤外分光分析により分析して、赤外吸収スペクトルを得た。
製品名:FT/IR-6100 日本分光株式会社製
測定手法:透過法
検出器:TGS(Triglycine sulfate)
積算回数:16~512回
分解能:4.0cm-1
測定波長:5000~500cm-1
(6)引張試験
下記実施例、比較例において得られた難燃樹脂組成物を寸法:150mm×150mm、厚み1.0mmの加熱プレス用モールドに入れ、表面温度180℃の熱プレス機中で5分間予熱後、加圧と減圧を繰り返すことで溶融樹脂中の残留気体を脱気し、更に9.8MPaで加圧し、5分間保持した。その後、表面温度25℃のプレス機に移し替え、9.8MPaの圧力で5分間保持することで冷却し、厚さが約1.0mmの試料からなるプレス板を作製した。得られた成形板を温度23±2℃、湿度50±5℃の環境下で48時間以上、状態調節した。状態調節後のプレス板を打抜いて作製したJIS K6251(2017年)に記載のダンベル状3号型試験片を用いて、JIS C3005(2000)に基づいて、引張速度200mm/minで引張破断強度及び伸度を求めた。温度23℃の条件下において引張試験を行い、引張破断強度および引張破断伸度を測定した。
(7)摩耗量の測定
1)摩耗試験サンプルの作製方法
得られた難燃樹脂組成物を、寸法:150mm×150mm、厚さ1mmの加熱プレス用モールドに入れ、表面温度180℃の熱プレス機中で5分間予熱後、加圧と減圧を繰り返すことで溶融樹脂中の残留気体を脱気し、更に9.8MPaで加圧し、5分間保持した。その後、表面温度25℃のプレス機に移し替え、9.8MPaの圧力で5分間保持することで冷却し、厚さが約1.0mmの試料からなるプレス板を作製した。得られた成形板を温度23±2℃、湿度50±5℃の環境下で48時間以上、状態調節した。状態調節後のプレス板を直径約115mmの円形に切り抜き、中心に直径約6.5mmの穴をあけ、摩耗試験サンプルとした。
2)摩耗試験条件
上記試験片を用い、JIS K 7204-1999に準拠し下記条件で摩耗損失量(mg)を測定した。
・装置:テーバー摩耗試験機(ロータリーアブレーションテスタ)_(株)東洋精機製作所製
・摩耗輪:CS-17
・回転数:60回転/min
・試験回数:1000回転
・荷重:4.9N
(8)酸素指数
得られた難燃樹脂組成物を寸法:60mm×150mm、厚み3.0mmの加熱プレス用モールドに入れ、表面温度180℃の熱プレス機中で5分間予熱後、加圧と減圧を繰り返すことで溶融樹脂中の残留気体を脱気し、更に9.8MPaで加圧し、5分間保持した。その後、表面温度25℃のプレス機に移し替え、9.8MPaの圧力で5分間保持することで冷却し、厚さが約3.0mmの試料からなるプレス板を作製した。得られた成形板を温度23±2℃、湿度50±5℃の環境下で48時間以上、状態調節した。JIS K7201-1(1999) の試験方法に基づいて、厚み3mmのプレスシートから打抜いたIV型試験片を用い酸素指数を測定した。
<金属錯体の合成>
B-27DM/Ni錯体の合成
B-27DM/Ni錯体は、国際公開第2010/050256号に記載された合成例4に従い、下記の2-ビス(2,6-ジメトキシフェニル)ホスファノ-6-ペンタフルオロフェニルフェノール配位子(B-27DM)を使用した。国際公開第2010/050256号の実施例1に準じて、ビス(1,5-シクロオクタジエン)ニッケル(0)(Ni(COD)2と称する)を用いて、B-27DMとNi(COD)2とが1対1で反応したニッケル錯体(B-27DM/Ni)を合成した。
Figure 0007456225000009
製造例1:アイオノマー樹脂(B-1)の製造
<アイオノマー前駆体樹脂用三元共重合体の製造>
前記遷移金属錯体(B-27DM/Ni錯体)を用いて、エチレン/アクリル酸tBu/ノルボルネン共重合体を製造した。特開2016-79408号公報に記載された製造例1または製造例3を参考に共重合体の製造を行った。前記遷移金属錯体を1000mmol、トリオクチルアルミニウム(TNOA)を225mmol、トルエン1000L、コモノマー(b)としてアクリル酸t-ブチルを230mmol/Lの濃度で、コモノマー(c)として2-ノルボルネンを210mmol/Lの濃度で導入し、エチレン分圧0.8MPa、重合温度85度で330分間の重合を行い、共重合体を117kg得た。共重合体の融点は80.5℃、重量平均分子量は3.8×10、Mw/Mnの値は2.3であった。また、13C-NMRによるメチル分岐数を定量した結果、0.5個/1000Cであり、実質的に直鎖状の樹脂が得られていることが確かめられた。樹脂組成は、E/tBA/NB=92.0/5.1/2.9であった。また、この組成を共重合体のランダム性に関する式に当てはめたところ、100.08という値が得られた。これは得られた樹脂の融点80.5(℃)より大きい値であり前記関係式50<Tm<-3.74×[Z]+130を満たすので、当該樹脂はランダム性が高い樹脂であると判断できる。
<アイオノマー前駆体樹脂の製造>
容量500mlセパラブルフラスコに、得られた上記E/tBA/NB共重合体を40gとパラトルエンスルホン酸一水和物を0.8g、トルエンを185ml投入し、105℃で4時間撹拌した。イオン交換水185mlを投入し撹拌、静置した後、水層を抜き出した。以後、抜き出した水層のpHが5以上となるまで、イオン交換水の投入と抜き出しを繰り返し行った。残った溶液から溶媒を減圧留去し、恒量になるまで乾燥を行なった。
得られた樹脂のIRスペクトルにおいて、tBu基に由来する850cm-1付近のピークの消失及び、エステルのカルボニル基に由来する1730cm-1付近のピークの減少と、カルボン酸(二量体)のカルボニル基に由来する1700cm-1付近のピークの増加を観測した。
これにより、tBuエステルの分解およびカルボン酸の生成を確認し、アイオノマー前駆体樹脂を得た。樹脂組成は、E/AA/NB=92.0/5.1/2.9であった。
<アイオノマーの製造>
1)Naイオン供給源の作製
容量60mlの小型ミキサーを取り付けた東洋精機(株)製ラボプラストミル:ローラミキサR60型に、エチレン/メタクリル酸(MAA)共重合体(三井ダウポリケミカル(株)製 銘柄:Nucrel N1050H)を22gと炭酸ナトリウムを18g投入し、180℃、40rpmで3分間混練することでNaイオン供給源を作製した。
2):アイオノマーの作製
容量60mlの小型ミキサーを取り付けた東洋精機(株)製ラボプラストミル:ローラミキサR60型に、樹脂を40g投入し、160℃、40rpmで3分間混練し溶解させた。その後、Naイオン供給源を所定の中和度となるように投入し、250℃、40rpmで5分間混練を行った。
得られた樹脂のIRスペクトルにおいて、カルボン酸(二量体)のカルボニル基に由来する1700cm-1付近のピークが減少し、カルボン酸塩基のカルボニル基に由来する1560cm-1付近のピークが増加していた。カルボン酸(二量体)のカルボニル基に由来する1700cm-1付近のピークの減少量から所望の中和度のアイオノマーが作製できていることを確認した。
製造例2:アイオノマー樹脂(B-3)の製造
<アイオノマー前駆体樹脂用二元共重合体の製造>
前記遷移金属錯体(B-27DM/Ni錯体)を用いて、エチレン/アクリル酸tBu共重合体を製造した。特開2016-79408号公報に記載された製造例1または製造例3を参考に共重合体の製造を行った。前記遷移金属錯体を550mmol、トリオクチルアルミニウム(TNOA)を136mmol、トルエン1000L、コモノマー(b)としてアクリル酸t-ブチルを135mmol/Lの濃度で導入し、エチレン分圧0.8MPa、重合温度102度で200分間の重合を行い、共重合体を93kg得た。共重合体の融点は103.6℃、重量平均分子量は4.4×10、Mw/Mnの値は2.0であった。また、13C-NMRによるメチル分岐数を定量した結果、1.1個/1000Cであり、実質的に直鎖状の樹脂が得られていることが確かめられた。樹脂組成は、E/tBA=96.5/3.5であった。また、この組成を共重合体のランダム性に関する式に当てはめたところ、116.9という値が得られた。これは得られた樹脂の融点103.6(℃)より大きい値であり前記関係式50<Tm<-3.74×[Z]+130を満たすので、当該樹脂はランダム性が高い樹脂であると判断できる。
<アイオノマー前駆体樹脂の製造>
容量500mlセパラブルフラスコに、得られた上記E/tBA共重合体を40gとパラトルエンスルホン酸一水和物を0.8g、トルエンを185ml投入し、105℃で4時間撹拌した。イオン交換水185mlを投入し撹拌、静置した後、水層を抜き出した。以後、抜き出した水層のpHが5以上となるまで、イオン交換水の投入と抜き出しを繰り返し行った。残った溶液から溶媒を減圧留去し、恒量になるまで乾燥を行なった。
得られた樹脂のIRスペクトルにおいて、tBu基に由来する850cm-1付近のピークの消失及び、エステルのカルボニル基に由来する1730cm-1付近のピークの減少と、カルボン酸(二量体)のカルボニル基に由来する1700cm-1付近のピークの増加を観測した。
これにより、tBuエステルの分解およびカルボン酸の生成を確認し、アイオノマー前駆体樹脂を得た。樹脂組成は、E/AA=96.5/3.5であった。
<アイオノマーの製造>
前記E/AAアイオノマー前駆体樹脂に対しNaイオン供給源を中和度が20%となるように調整した以外は製造例1と同様にして、アイオノマー樹脂(B-3)を調製した。
実施例及び比較例
<アイオノマーを用いた難燃樹脂組成物の作製>
[実施例1]
エチレン-エチルアクリレート共重合体(A-1)90重量%、アイオノマー樹脂(B-1)10重量%からなる樹脂成分100重量部に水酸化マグネシウム(C-1)100重量部を配合してなる樹脂組成物を下記の条件で混練し、難燃樹脂組成物を得た。得られた難燃樹脂組成物を用い、下記記載の方法でプレスシートを作成し試験を行った。上記の難燃樹脂組成物の評価結果を表2に示した。
[難燃樹脂組成物の混練条件]
混練装置として東洋精機製作所社製ラボプラストミルを用い、混練温度180℃、回転数50rpm、混練時間5分間で混練を行い、その後、更にロール混練機を用いて5分間混練を行うことで難燃樹脂組成物を得た。得られた難燃樹脂組成物を上記<測定と評価>記載の方法で評価用プレスシートを作製した。
[実施例2]
エチレン-エチルアクリレート共重合体(A-1)80重量%、アイオノマー樹脂(B-1)20重量%からなる樹脂成分100重量部に水酸化マグネシウム(C-1)100重量部を配合してなる樹脂組成物を実施例1と同様の条件で混練し、難燃樹脂組成物を得た。得られた難燃樹脂組成物を用い、実施例1と同様の方法でプレスシートを作成し試験を行った。上記の難燃樹脂組成物の評価結果を表2に示した。
[実施例3]
エチレン-エチルアクリレート共重合体(A-1)85重量%、アイオノマー樹脂(B-1)10重量%、無水マレイン酸変性ポリエチレン(A-3)5重量%からなる樹脂成分100重量部に水酸化マグネシウム(C-1)100重量部を配合してなる樹脂組成物を実施例1と同様の条件で混練し、難燃樹脂組成物を得た。得られた難燃樹脂組成物を用い、実施例1と同様の方法でプレスシートを作成し試験を行った。上記の難燃樹脂組成物の評価結果を表2に示した。
[実施例4]
エチレン-酢酸ビニル共重合体(A-2)90重量%、アイオノマー樹脂(B-1)10重量%からなる樹脂成分100重量部に水酸化マグネシウム(C-1)100重量部を配合してなる樹脂組成物を実施例1と同様の条件で混練し、難燃樹脂組成物を得た。得られた難燃樹脂組成物を用い、実施例1と同様の方法でプレスシートを作成し試験を行った。上記の難燃樹脂組成物の評価結果を表2に示した。
[実施例5]
エチレン-エチルアクリレート共重合体(A-4)90重量%、アイオノマー樹脂(B-1)10重量%からなる樹脂成分100重量部に水酸化マグネシウム(C-1)100重量部を配合してなる樹脂組成物を実施例1と同様の条件で混練し、難燃樹脂組成物を得た。得られた難燃樹脂組成物を用い、実施例1と同様の方法でプレスシートを作成し試験を行った。上記の難燃樹脂組成物の評価結果を表2に示した。
[実施例6]
エチレン-エチルアクリレート共重合体(A-4)90重量%、アイオノマー樹脂(B-3)10重量%からなる樹脂成分100重量部に水酸化マグネシウム(C-1)100重量部を配合してなる樹脂組成物を実施例1と同様の条件で混練し、難燃樹脂組成物を得た。得られた難燃樹脂組成物を用い、実施例1と同様の方法でプレスシートを作成し試験を行った。上記の難燃樹脂組成物の評価結果を表2に示した。
[比較例1]
エチレン-エチルアクリレート共重合体(A-1)100重量部に水酸化マグネシウム(C-1)100重量部を配合してなる樹脂組成物を実施例1と同様の条件で混練し、難燃樹脂組成物を得た。得られた難燃樹脂組成物を用い、実施例1と同様の方法でプレスシートを作成し試験を行った。上記の難燃樹脂組成物の評価結果を表3に示した。
[比較例2]
エチレン-エチルアクリレート共重合体(A-1)90重量%、アイオノマー樹脂(B-2)10重量%からなる樹脂成分100重量部に水酸化マグネシウム(C-1)100重量部を配合してなる樹脂組成物を実施例1と同様の条件で混練し、難燃樹脂組成物を得た。得られた難燃樹脂組成物を用い、実施例1と同様の方法でプレスシートを作成し試験を行った。上記の難燃樹脂組成物の評価結果を表3に示した。
[比較例3]
エチレン-エチルアクリレート共重合体(A-1)80重量%、アイオノマー樹脂(B-2)20重量%からなる樹脂成分100重量部に水酸化マグネシウム(C-1)100重量部を配合してなる樹脂組成物を実施例1と同様の条件で混練し、難燃樹脂組成物を得た。得られた難燃樹脂組成物を用い、実施例1と同様の方法でプレスシートを作成し試験を行った。上記の難燃樹脂組成物の評価結果を表3に示した。
[比較例4]
エチレン-エチルアクリレート共重合体(A-1)95重量%、無水マレイン酸変性ポリエチレン(A-3)5重量%からなる樹脂成分100重量部に水酸化マグネシウム(C-1)100重量部を配合してなる樹脂組成物を実施例1と同様の条件で混練し、難燃樹脂組成物を得た。得られた難燃樹脂組成物を用い、実施例1と同様の方法でプレスシートを作成し試験を行った。上記の難燃樹脂組成物の評価結果を表3に示した。
[比較例5]
エチレン-エチルアクリレート共重合体(A-1)85重量%、アイオノマー樹脂(B-2)10重量%、無水マレイン酸変性ポリエチレン(A-3)5重量%からなる樹脂成分100重量部に水酸化マグネシウム(C-1)100重量部を配合してなる樹脂組成物を実施例1と同様の条件で混練し、難燃樹脂組成物を得た。得られた難燃樹脂組成物を用い、実施例1と同様の方法でプレスシートを作成し試験を行った。上記の難燃樹脂組成物の評価結果を表3に示した。
[比較例6]
エチレン-酢酸ビニル共重合体(A-2)100重量部に水酸化マグネシウム(C-1)100重量部を配合してなる樹脂組成物を実施例1と同様の条件で混練し、難燃樹脂組成物を得た。得られた難燃樹脂組成物を用い、実施例1と同様の方法でプレスシートを作成し試験を行った。上記の難燃樹脂組成物の評価結果を表3に示した。
[比較例7]
エチレン-酢酸ビニル共重合体(A-2)90重量%、アイオノマー樹脂(B-2)10重量%からなる樹脂成分100重量部に水酸化マグネシウム(C-1)100重量部を配合してなる樹脂組成物を実施例1と同様の条件で混練し、難燃樹脂組成物を得た。得られた難燃樹脂組成物を用い、実施例1と同様の方法でプレスシートを作成し試験を行った。上記の難燃樹脂組成物の評価結果を表3に示した。
[比較例8]
エチレン-エチルアクリレート共重合体(A-4)100重量%に水酸化マグネシウム(C-1)100重量部を配合してなる樹脂組成物を実施例1と同様の条件で混練し、難燃樹脂組成物を得た。得られた難燃樹脂組成物を用い、実施例1と同様の方法でプレスシートを作成し試験を行った。上記の難燃樹脂組成物の評価結果を表3に示した。
[比較例9]
エチレン-エチルアクリレート共重合体(A-4)90重量%、アイオノマー樹脂(B-2)10重量%からなる樹脂成分100重量部に水酸化マグネシウム(C-1)100重量部を配合してなる樹脂組成物を実施例1と同様の条件で混練し、難燃樹脂組成物を得た。得られた難燃樹脂組成物を用い、実施例1と同様の方法でプレスシートを作成し試験を行った。上記の難燃樹脂組成物の評価結果を表3に示した。
Figure 0007456225000010
Figure 0007456225000011
Figure 0007456225000012
表2、3の実施例1、2と比較例1および実施例5、6と比較例8を比較するとアイオノマー樹脂(B-1)および(B-3)を添加することで難燃樹脂組成物の摩耗量(テーバー摩耗)が著しく少なくなっていることがわかる。さらに、実施例1、2と既存アイオノマー樹脂(B-2)を添加した比較例2、3および実施例5、6と比較例9を比較すると同量のアイオノマー添加量であるにもかかわらず、本願のアイオノマー(B-1)および(B-3)を添加することで摩耗量が著しく低下している。加えて、無水マレイン酸変性ポリエチレンを加えた実施例3と比較例4、5の比較や、前駆体樹脂にエチレン-酢酸ビニル共重合体(A-2)を用いた実施例4と比較例6,7の比較においても同様にアイオノマー樹脂(B-1)を添加することで摩耗量が減少している。このことは本発明で示したアイオノマー樹脂(B-1)を用いることで難燃樹脂組成物の耐摩耗性を著しく向上させることが出来ることを示している。
本開示のアイオノマーを用いた難燃樹脂組成物は、従来の樹脂と比較して耐摩耗性に優れている。よって本発明は、特に電線やケーブルなどに用いることができる。

Claims (9)

  1. ポリオレフィン系樹脂(A)50~99重量%とアイオノマー樹脂(B)1~50重量%からなる樹脂成分100重量部に対し、難燃剤(C)を30~300重量部を含むことを特徴とする難燃樹脂組成物であって、
    前記アイオノマー樹脂(B)はエチレン及び/又は炭素数3~20のα-オレフィンに由来する構造単位(a)と、カルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基を有するモノマーに由来する構造単位(b)を必須構成単位として含む共重合体(P)中の、カルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基の少なくとも一部が周期表1族、2族、又は12族から選ばれる少なくとも1種の金属イオンを含有する金属含有カルボン酸塩に変換されてなり、回転式レオメータで測定した複素弾性率の絶対値G=0.1MPaにおける位相角δが、50度~75度であることを特徴とするアイオノマー樹脂である、難燃樹脂組成物。
  2. 13C-NMRにより算出される前記共重合体(P)のメチル分岐数が、炭素1,000個当たり50個以下であることを特徴とする請求項1に記載の難燃樹脂組成物。
  3. 13C-NMRにより算出される前記共重合体(P)のメチル分岐数が、炭素1,000個当たり5個以下であることを特徴とする請求項1に記載の難燃樹脂組成物。
  4. 前記樹脂成分100重量部中の前記アイオノマー樹脂(B)の重量割合が、1~20重量%であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の難燃樹脂組成物。
  5. 前記ポリオレフィン系樹脂(A)が極性基含有ポリエチレンであることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の難燃樹脂組成物。
  6. 前記極性基含有ポリエチレンがエチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-エチルアクリレート共重合体、または酸変性ポリオレフィン樹脂の少なくとも1種類を配合してなることを特徴とする請求項5に記載の難燃樹脂組成物。
  7. 前記難燃剤(C)が金属水酸化物であることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の難燃樹脂組成物。
  8. 前記金属水酸化物が水酸化マグネシウムであることを特徴とする請求項7に記載の難燃樹脂組成物。
  9. 請求項1~8のいずれか1項に記載された難燃樹脂組成物を被覆してなることを特徴とする電線又はケーブル。
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