JP2017214561A - オレフィン共重合体、及びその製造方法 - Google Patents

オレフィン共重合体、及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】容易に分解可能な保護基をもつ、ポストメタロセン触媒を用いた新規なオレフィン共重合体を提供。【解決手段】エチレン(a−1)に由来する構造単位、及び炭素数3〜20のα−オレフィン(a−2)に由来する構造単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位(A)と、アミド置換基を有する含窒素置換オレフィン(b−1)に由来する構造単位、及び式(2)で表される置換基を有する含窒素置換オレフィン(b−2)に由来する構造単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位(B)と、を有するオレフィン共重合体。【選択図】なし

Description

本発明は、オレフィン共重合体、及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、エチレン及び/又はα−オレフィンモノマーと含窒素置換オレフィンモノマーから共重合された、特異な構造を有する新規なオレフィン共重合体に係わるものである。
ポリエチレンやポリプロピレンに代表されるポリオレフィンは、樹脂材料の中で物性や成形性などの諸性質に優れ、経済性や環境問題適合性なども高く、更に、資源再利用性も備えているので、非常に汎用されかつ重要な産業資材である。
しかしながら、ポリオレフィンは、通常は、非極性であるため、他の材料との接着性や印刷適性、或はフィラー等との相溶性の物性などは十分ではなかった。
そこで、その物性改良手段として、ポリオレフィンへの極性官能基導入が検討され、有機過酸化物を用いて極性基含有モノマーをグラフトする方法が広く行われているが、この方法では、グラフト化反応と並行してオレフィン系樹脂双方の分子間架橋、及びオレフィン系樹脂の分子鎖切断などが発生するため、グラフト変性物にオレフィン系樹脂の優れた物性が維持されない。
また、極性官能基導入手段として、オレフィンと極性モノマーを共重合させることも行われているが、オレフィンと極性基含有オレフィンモノマー(極性コモノマー)とを共重合する手段は高圧法に限定されていた(特許文献1及び特許文献2)。その共重合体中には多くの分岐構造を有し、低弾性率かつ機械物性の低いコポリマーしか得ることができない。
一方、従来一般に用いられているメタロセン触媒を用いた重合方法においては、エチレンと極性基含有モノマーを共重合させる際に、触媒重合活性が低下し共重合し難いとされていたが、メタロセン触媒を用いて、極性コモノマーを等モル以上の有機アルミニウム化合物と反応させた後に(官能基のマスク化)、オレフィンと共重合させる手法が報告されている。しかしながら、この手法では、コポリマー生成と同時に多量のアルミニウム塩が析出し、有機アルミニウム化合物のコストの点からも普及していない。
ところで、近年において、いわゆるポストメタロセンと称される、後周期遷移金属錯体触媒を用い、有機アルミニウム化合物などのマスク化剤を使用することなく、オレフィンと極性コモノマーを共重合する試みが精力的に進められている。これまでに、極性コモノマーとして、アクリル酸エステル(特許文献3〜8)、アクリロニトリル(非特許文献1)、ビニルエーテル(非特許文献2)などが報告されている。
オレフィン系極性共重合体の開発状況を鑑みれば、いわゆるポストメタロセンと称される、後周期遷移金属錯体触媒を用いても、α,ω−末端官能基化オレフィンは、その重合性オレフィン部位が非共役構造であるために重合性が低く、オレフィンと共重合することは困難であった。そこで本発明者らは、後周期遷移金属錯体触媒を用いて、エチレンやα−オレフィンとα,ω−末端官能基化オレフィンの共重合体を製造することを、試みてきた。
その結果、特定の構造を有する、新規な後周期遷移金属錯体触媒を研究開発し、その触媒性能が大幅に向上することを見いだしてきた。かかる研究成果を踏まえて、開発触媒を用いることで、従来においては実現が困難であった、オレフィンとα,ω−末端官能基化オレフィンが共重合可能であることを見いだした。そして、本発明者らは、後周期遷移金属錯体触媒を用いて、エチレンやα−オレフィンとα,ω−末端官能基化オレフィンの共重合体を製造する技術を既に報告してきた(特許文献9参照)。すなわち、キレート性配位子を有する第5〜10族の遷移金属触媒、特に、パラジウム金属にトリアリールホスフィン又はトリアリールアルシン化合物が配位した遷移金属触媒の存在下に重合されたところの、エチレン及び/又は炭素数3〜10のα−オレフィンと、特定のモノマー群より選ばれる極性基含有オレフィンモノマーから構成されることを特徴とする、オレフィン系極性共重合体の発明をしてきた。
特許第2792982号公報 特開平3−229713号公報 特表2002−521534号公報 特開平6−184214号公報 特開2008−223011号公報 特開2010−150246号公報 特開2010−150532号公報 特開2010−202647号公報 特開2013−213121号公報
K.Nozaki et al.,J.Am.Chem.Soc.,2007,129,8948−8949. R.Jordan et al.,J.Am.Chem.Soc.,2007,129,8946−8947.
しかしながら、特許文献9に記載の技術では、ポストメタロセン触媒を用いた一例を示した過ぎず、共重合体の応用範囲を広げるためには、新規なオレフィン系極性共重合体の開発が切望されていた。
また、これまで直接合成が困難であった共重合体に、容易に変換可能なオレフィン系極性共重合体の開発が望まれていた。例えば、容易に分解して、アミノ基を有する共重合体に変換しうる共重合体の開発が望まれていた。
本発明の目的は、容易に分解可能な保護基をもつ、ポストメタロセン触媒を用いた新規なオレフィン共重合体、及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意研究を重ねた結果、特定の置換基を有する含窒素置換オレフィンを用いると、ポストメタロセン触媒を用いても良好に共重合することができることを見出し、これらの知見に基づき、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明は、エチレン(a−1)に由来する構造単位、及び炭素数3〜20のα−オレフィン(a−2)に由来する構造単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の構成単位(A)と、
下記一般式(1)で表される置換基を有する含窒素置換オレフィン(b−1)に由来する構造単位、及び下記一般式(2)で表される置換基を有する含窒素置換オレフィン(b−2)に由来する構造単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の構成単位(B)と、を有することを特徴とするオレフィン共重合体である。
Figure 2017214561
[式中、Rは、炭素数1〜20の炭化水素基であり、Rは、水素原子、メチル基、エチル基、ベンジル基、又はトリアルキルシリル基である。]
Figure 2017214561
[式中、Rは、炭素数1〜10の2価の有機基である。]
本発明の第2の発明は、前記含窒素置換オレフィン(b−1)及び前記含窒素置換オレフィン(b−2)の少なくともいずれか一方が、下記一般式(3)で表される構造を有することを特徴とする前記第1の発明に記載のオレフィン共重合体である。
Figure 2017214561
[式中、Rは、水素原子又はメチル基である。]
本発明の第3の発明は、前記含窒素置換オレフィン(b−1)は、下記一般式(4)で表される構造を有することを特徴とする前記第2の発明に記載のオレフィン共重合体である。
Figure 2017214561
[式中、Rは、炭素数1〜20の炭化水素基であり、Rは、水素原子、メチル基、エチル基、ベンジル基、又はトリアルキルシリル基であり、Rは、水素原子又はメチル基であり、Zは、2価の有機基である。]
本発明の第4の発明は、前記含窒素置換オレフィン(b−2)は、下記一般式(5)の構造を有することを特徴とする前記第2の発明に記載のオレフィン共重合体である。
Figure 2017214561
[式中、Rは、炭素数1〜10の2価の有機基であり、Rは、水素原子又はメチル基であり、Zは、2価の有機基である。]
本発明の第5の発明は、前記一般式(4)及び前記一般式(5)の少なくともいずれか一方におけるZが、−(CH−、−COO(CH−、−O(CH−又は−CO(CH−で表され、nは2〜30の整数であり、mは0〜30の整数であることを特徴とする前記第3又は第4の発明に記載のオレフィン共重合体である。
本発明の第6の発明は、前記一般式(4)及び前記一般式(5)の少なくともいずれか一方におけるZが、−(CH−、−COO(CH−又は−O(CH−で表され、nは2〜30の整数であり、mは0〜30の整数であることを特徴とする前記第5の発明に記載のオレフィン共重合体である。
本発明の第7の発明は、前記一般式(4)及び前記一般式(5)の少なくともいずれか一方におけるZが、−(CH−又は−COO(CH−で表され、nは2〜30の整数であり、mは0〜30の整数であることを特徴とする前記第6の発明に記載のオレフィン共重合体である。
本発明の第8の発明は、前記一般式(4)及び前記一般式(5)の少なくともいずれか一方におけるZが、−COO(CH−で表され、mは0〜30の整数であることを特徴とする前記第7の発明に記載のオレフィン共重合体である。
本発明の第9の発明は、前記一般式(4)におけるRがtert−ブチル基であることを特徴とする前記第8の発明に記載のオレフィン共重合体である。
本発明の第10の発明は、前記一般式(4)及び前記一般式(5)の少なくともいずれか一方におけるZが−COOCHCH−であることを特徴とする前記第9の発明に記載のオレフィン共重合体である。
本発明の第11の発明は、前記一般式(4)及び前記一般式(5)の少なくともいずれか一方におけるRが水素原子であることを特徴とする前記第10の発明に記載のオレフィン共重合体である。
本発明の第12の発明は、13C−NMRにより算出されるメチル分岐数が、炭素1,000個当たり50以下であることを特徴とする前記第1〜第11のいずれかの発明に記載のオレフィン共重合体である。
本発明の第13の発明は、前記メチル分岐数が、炭素1,000個当たり5以下であることを特徴とする前記第12の発明に記載のオレフィン共重合体である。
本発明の第14の発明は、エチレン(a−1)、及び炭素数3〜20のα−オレフィン(a−2)からなる群より選ばれる少なくとも1種と、
下記一般式(1)で表される置換基を有する含窒素置換オレフィン(b−1)、及び下記一般式(2)で表される置換基を有する含窒素置換オレフィン(b−2)からなる群より選ばれる少なくとも1種と、を、
キレート性配位子を有する周期表第5〜11族金属の遷移金属触媒の存在下に重合することを特徴とするオレフィン共重合体の製造方法である。
Figure 2017214561
[式中、Rは、炭素数1〜20の炭化水素基であり、Rは、水素原子、メチル基、エチル基、ベンジル基、又はトリアルキルシリル基である。]
Figure 2017214561
[式中、Rは、炭素数1〜10の2価の有機基である。]
本発明の第15の発明は、前記遷移金属触媒が周期表第10族の遷移金属触媒であることを特徴とする前記第14の発明に記載のオレフィン共重合体の製造方法である。
本発明によれば、容易に分解可能な保護基をもつ、新規なオレフィン共重合体が提供される。これは、新規なオレフィン系極性共重合体であるため、広範囲な用途に使用できる。このオレフィン共重合体は、簡易で効率の良い重合法により製造され、容易に分解可能な保護基をもつ新規なオレフィン系極性共重合体である。
また、本発明の製造方法によれば、容易に分解可能な保護基をもつ新規なオレフィン共重合体を簡易に効率よく製造することができる。
図1(a)は高圧ラジカル法重合プロセスにより重合されたオレフィン共重合体の分子構造のイメージ図、図1(b)は金属触媒を用いて重合されたオレフィン共重合体で長鎖分岐を有しない場合の分子構造のイメージ図、図1(c)は金属触媒を用いて重合されたオレフィン共重合体で少量の長鎖分岐を有する場合の分子構造のイメージ図である。
以下においては、本発明のオレフィン共重合体、及びその製造方法について、項目毎に具体的かつ詳細に説明する。
<<1.オレフィン共重合体について>>
(1)オレフィン共重合体
本発明のオレフィン共重合体は、エチレン(a−1)に由来する構造単位、及び炭素数3〜20のα−オレフィン(a−2)に由来する構造単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の構成単位(A)と、
下記一般式(1)で表される置換基を有する含窒素置換オレフィン(b−1)に由来する構造単位、及び下記一般式(2)で表される置換基を有する含窒素置換オレフィン(b−2)に由来する構造単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の構成単位(B)と、を有する。
Figure 2017214561
[式中、Rは、炭素数1〜20の炭化水素基であり、Rは、水素原子、メチル基、エチル基、ベンジル基、又はトリアルキルシリル基である。]
Figure 2017214561
[式中、Rは、炭素数1〜10の2価の有機基である。]
(2)構成単位(A)について
(2−1)構成単位(A)
本発明のオレフィン共重合体は、エチレン(a−1)に由来する構造単位、及び炭素数3〜20のα−オレフィン(a−2)に由来する構造単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の構成単位(A)を有することを特徴とする。重合に供されるエチレン又は炭素数3〜20のα−オレフィンは特に限定されないが、好ましくは、エチレン(a−1)を必須で含み、必要に応じて炭素数3〜20のα−オレフィン(a−2)をさらに含んでも良い。重合に供されるエチレン(a−1)又は炭素数3〜20のα−オレフィン(a−2)は単独で用いても良いが、2種類以上を用いても良い。また、本発明の趣旨を逸脱しない範囲においてならば、その他の極性基を含有しないモノマーをさらに重合に供しても良い。エチレン(a−1)及びα−オレフィン(a−2)に由来する構造単位の割合は、特に限定されないが、オレフィン共重合体の全体を100mol%とした場合に、通常であれば80〜99.999mol%、好ましくは85〜99.99mol%、更に好ましくは90〜99.98mol%、より好適には95〜99.97mol%の範囲から選択されることが望ましい。
(2−2)α−オレフィン
本発明に関わるα−オレフィンは構造式:CH=CHR18で表される、炭素数3〜20のα−オレフィンである(R18は炭素数1〜18の炭化水素基であり、直鎖構造であっても分岐を有していてもよい)。より好ましくは、炭素数3〜12のα−オレフィンであり、さらに好ましくは、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、3−メチル−1−ブテン及び4−メチル−1−ペンテンから選択されるα−オレフィンであり、より好適には、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン及び1−オクテンから選択されるα−オレフィンである。重合に供するα−オレフィンは単独でも良いし、2種以上であっても構わない。
(2−3)極性基を含有しないモノマー
本発明に関わる極性基を含有しないモノマーは、分子構造中に炭素−炭素二重結合を1つ以上有するモノマーであり、かつ、分子を構成する元素が炭素と水素のみであれば限定されず、例えば、ジエン、トリエン、芳香族ビニルモノマー、環状オレフィン等が挙げられ、好ましくは、ブタジエン、イソプレン、スチレン、ビニルシクロヘキサン、シクロヘキセン、ビニルノルボルネン、ノルボルネンである。
(3)構成単位(B)について
(3−1)構成単位(B)
構成単位(B)は、下記一般式(1)で表される置換基を有する含窒素置換オレフィン(b−1)に由来する構造単位、及び下記一般式(2)で表される置換基を有する含窒素置換オレフィン(b−2)に由来する構造単位からなる群より選ばれる。
Figure 2017214561
[式中、Rは、炭素数1〜20の炭化水素基であり、Rは、水素原子、メチル基、エチル基、ベンジル基、又はトリアルキルシリル基である。]
Figure 2017214561
[式中、Rは、炭素数1〜10の2価の有機基である。]
一般式(1)のRにおける炭素数1〜20の炭化水素基としては、特に限定されないが、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−エイコシル基、フェニル基、ベンジル基、o−トルイル基、m−トルイル基、p−トルイル基等を例示することができる。
一般式(1)のRにおけるトリアルキルシリル基としては、特に限定されないが、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基等を例示することができる。
一般式(2)のRにおける炭素数1〜10の2価の有機基としては、特に限定されないが、アルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等)、シクロアルキレン基(例えば、シクロへキシレン基等)、芳香族炭化水素基(例えば、フェニレン基(o,m又はp−フェニレン基)、メチルフェニレン基、ジメチルフェニレン基、ナフチレン基等)が例示される。
含窒素置換オレフィン(b−1)は、下記一般式(3)で表される構造を有することが好ましい。
Figure 2017214561
[式中、Rは、水素原子又はメチル基である。]
含窒素置換オレフィン(b−2)は、下記一般式(3)で表される構造を有することが好ましい。
Figure 2017214561
[式中、Rは、水素原子又はメチル基である。]
含窒素置換オレフィン(b−1)は、下記一般式(4)の構造を有することが好ましい。
Figure 2017214561
[式中、Rは、炭素数1〜20の炭化水素基であり、Rは、水素原子、メチル基、エチル基、ベンジル基、又はトリアルキルシリル基であり、Rは、水素原子又はメチル基であり、Zは、2価の有機基である。]
一般式(4)のZにおける2価の有機基としては、特に限定されないが、−(CH−、−COO(CH−、−O(CH−又は−CO(CH−で表される基が好ましい(但し、nは2〜30の整数であり、mは0〜30の整数である。)。
Zにおける2価の有機基として、更に好ましい態様としては、−(CH−、−COO(CH−又は−O(CH−である(但し、nは2〜30の整数であり、mは0〜30の整数である。)。
Zにおける2価の有機基として、特に好ましい態様としては、−(CH−又は−COO(CH−である(但し、nは2〜30の整数であり、mは0〜30の整数である。)。
Zにおける2価の有機基として、最適な態様としては、−COO(CH−であり(但し、mは0〜30の整数である。)、最も好ましい態様としては、−COOCHCH−である。
一般式(4)のRは、炭素数1〜20の炭化水素基である。一般式(4)のRにおける炭素数1〜20の炭化水素基としては、特に限定されないが、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−エイコシル基、フェニル基、ベンジル基、o−トルイル基、m−トルイル基、p−トルイル基等を例示することができる。一般式(4)のRとしては、tert−ブチル基が特に好ましい。
一般式(4)のRは、水素原子、メチル基、エチル基、ベンジル基、又はトリアルキルシリル基である。一般式(4)のRにおけるトリアルキルシリル基としては、特に限定されないが、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基等を例示することができる。
一般式(4)のRは、水素原子又はメチル基である。一般式(4)のRとしては、水素原子が好ましい。
含窒素置換オレフィン(b−2)は、下記一般式(5)の構造を有することが好ましい。
Figure 2017214561
[式中、Rは、炭素数1〜10の2価の有機基であり、Rは、水素原子又はメチル基であり、Zは、2価の有機基である。]
一般式(5)のZにおける2価の有機基としては、特に限定されないが、−(CH−、−COO(CH−、−O(CH−又は−CO(CH−で表される基が好ましい(但し、nは2〜30の整数であり、mは0〜30の整数である。)。
Zにおける2価の有機基として、更に好ましい態様としては、−(CH−、−COO(CH−又は−O(CH−である(但し、nは2〜30の整数であり、mは0〜30の整数である。)。
Zにおける2価の有機基として、特に好ましい態様としては、−(CH−又は−COO(CH−である(但し、nは2〜30の整数であり、mは0〜30の整数である。)。
Zにおける2価の有機基として、最適な態様としては、−COO(CH−であり(但し、mは0〜30の整数である。)、最も好ましい態様としては、−COOCHCH−である。
一般式(5)のRは、炭素数1〜10の2価の有機基である。一般式(5)のRにおける炭素数1〜10の2価の有機基としては、特に限定されないが、アルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等)、シクロアルキレン基(例えば、シクロへキシレン基等)、芳香族炭化水素基(例えば、フェニレン基(o,m又はp−フェニレン基)、メチルフェニレン基、ジメチルフェニレン基、ナフチレン基等)が例示される。
一般式(5)のRは、水素原子又はメチル基である。一般式(5)のRとしては、水素原子が好ましい。
(3−2)含窒素置換オレフィン(b−1)の具体例
含窒素置換オレフィン(b−1)の例を以下に具体的に記載する。
Figure 2017214561
Figure 2017214561
Figure 2017214561
(3−3)含窒素置換オレフィン(b−2)の具体例
含窒素置換オレフィン(b−2)の例を以下に具体的に記載する。
Figure 2017214561
(4)オレフィン共重合体の構造単位
本発明のオレフィン共重合体の構造単位と構造単位量について説明する。
エチレン(a−1)、炭素数3〜20のα−オレフィン(a−2)、含窒素置換オレフィン(b−1)、含窒素置換オレフィン(b−2)、それぞれ1分子に由来する構造を、オレフィン共重合体中の1構造単位と定義する。そして、オレフィン共重合体中の各構造単位の比率をmol%で表したものが構造単位量である。
(5)含窒素置換オレフィンの構造単位量
含窒素置換オレフィン(b−1)に由来する構成単位、及び含窒素置換オレフィン(b−2)に由来する構成単位の合計の構造単位の割合は、特に限定されないが、オレフィン共重合体の全体を100mol%とした場合に、通常20〜0.001mol%の範囲、好ましくは15〜0.01mol%の範囲、より好ましくは10〜0.02mol%の範囲、より好適には5〜0.03mol%の範囲から選択される。この範囲より含窒素置換オレフィン(b−1)に由来する構成単位、及び含窒素置換オレフィン(b−2)に由来する構成単位の合計の構造単位量が少なければ、極性の高い異種材料との接着性が充分ではなく、この範囲より多ければ充分な機械物性が得られないおそれがある。
(6)含窒素置換オレフィン(b−1)に由来する構成単位、及び含窒素置換オレフィン(b−2)に由来する構成単位の測定方法
本発明のオレフィン共重合体中の含窒素置換オレフィン(b−1)に由来する構成単位量、及び含窒素置換オレフィン(b−2)に由来する構造単位量はH−NMRスペクトルを用いて求められる。H−NMRスペクトルは以下の方法によって測定した。
試料200〜250mgをo−ジクロロベンゼン/重水素化臭化ベンゼン(CBr)=4/1(体積比)2.4mlおよび化学シフトの基準物質であるヘキサメチルジシロキサンと共に内径10mmφのNMR試料管に入れて窒素置換した後封管し、加熱溶解して均一な溶液としてNMR測定に供した。NMR測定は10mmφのクライオプローブを装着したブルカー・バイオスピン(株)のAV400M型NMR装置を用いて130℃で行った。H−NMRはパルス角1°、パルス間隔1.8秒、積算回数を512回以上として測定した。化学シフトはヘキサメチルジシロキサンのメチルプロトンのピークを0.088ppmとして設定し、他のプロトンによるピークの化学シフトはこれを基準とした。
また、後述するオレフィン共重合体におけるメチル分岐数は、13C−NMRにより求めることができる。13C−NMRはパルス角90°、パルス間隔20秒、積算回数512回以上とし、プロトン完全デカップリング法で測定した。化学シフトはヘキサメチルジシロキサンのメチル炭素のピークを1.98ppmとして設定し、他の炭素によるピークの化学シフトはこれを基準とした。
(7)オレフィン共重合体の分子構造
本発明に関わるオレフィン共重合体は、エチレン(a−1)に由来する構造単位、及び炭素数3〜20のα−オレフィン(a−2)に由来する構造単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の構成単位(A)と、含窒素置換オレフィン(b−1)に由来する構造単位、及び含窒素置換オレフィン(b−2)に由来する構造単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の構成単位(B)と、を有するランダム共重合体であることが好ましい。
本発明のオレフィン共重合体の分子構造例を下記段落に示す。ランダム共重合体とは、下記に示した分子構造例のA構造単位とB構造単位の、ある任意の分子鎖中の位置においてそれぞれの構造単位を見出す確率が、その隣接する構造単位の種類と無関係な共重合体である。また、オレフィン共重合体の分子鎖末端は、エチレン又は炭素数3〜20のα−オレフィンであっても良く、含窒素置換オレフィン(b−1)、又は含窒素置換オレフィン(b−2)であっても良い。下記のように、本発明のオレフィン共重合体の分子構造(例)は、エチレン又は炭素数3〜20のα−オレフィンと含窒素置換オレフィンとが、ランダム共重合体を形成している。
Figure 2017214561
なお、グラフト変性によるオレフィン共重合体の分子構造(例)も参考に掲載すると、エチレン(a−1)、及び/又は炭素数3〜20のα−オレフィン(a−2)が共重合されたオレフィン共重合体の一部が、含窒素置換オレフィン(b−1)、及び/又は含窒素置換オレフィン(b−2)でグラフト変性されている。
Figure 2017214561
本発明のオレフィン共重合体は、遷移金属触媒の存在下で製造されることが好ましく、その分子構造は直鎖状であることが好ましい。高圧ラジカル重合法プロセスにより重合されたオレフィン共重合体のイメージ図を図1(a)に、金属触媒を用いて重合されたオレフィン共重合体のイメージ図を図1(b)及び図1(c)に、それぞれ例示した様に、製造方法によってその分子構造は異なる。この分子構造の違いは製造方法を選択する事によって制御が可能であるが、例えば、特許公報「特開2010−150532号公報」に記載されている様に、回転式レオメータで測定した複素弾性率によっても、その分子構造を推定する事ができる。
より具体的には、回転式レオメータで測定した複素弾性率の絶対値G*=0.1MPaにおける位相角δ(G*=0.1MPa)が40度以上である場合、その分子構造は図1(b)や図1(c)に示されるような、長鎖分岐を全く含まない構造(図1(b))か、機械的強度に影響を与えない程度の少量の長鎖分岐を含む構造(図1(c))を示す。
また、回転式レオメータで測定した複素弾性率の絶対値G*=0.1MPaにおける位相角δ(G*=0.1MPa)が40度より低い場合、その分子構造は図1(a)に示されるような、長鎖分岐を過多に含む構造を示し、機械的強度が劣るものとなる。
回転式レオメータで測定した複素弾性率の絶対値G*=0.1MPaにおける位相角δは分子量分布と長鎖分岐の両方の影響を受けるが、Mw/Mn≦4、より好ましくはMw/Mn≦3のものに限れば長鎖分岐の量の指標になり、長鎖分岐が多いほどδ(G*=0.1MPa)値は小さくなる。なお、Mw/Mnが1.5以上であれば、長鎖分岐をもたない場合でもδ(G*=0.1MPa)値が75度を上回ることはない。
(8)オレフィン共重合体の重量平均分子量(Mw)
本発明に関わるオレフィン共重合体の重量平均分子量(Mw)は、通常1,000〜2,000,000、好ましくは10,000〜1,500,000、更に好ましくは20,000〜1,000,000、好適なのは31,000〜800,000、より好適なのは33,000〜800,000の範囲であることが望ましい。Mwが1,000未満では機械的強度や耐衝撃性などの物性が充分ではなく、極性の高い異種材料との接着性も劣るものとなるおそれがある。Mwが2,000,000を超えると溶融粘度が非常に高くなり、成形加工が困難となる場合がある。
本発明のエチレン及び/又はα−オレフィンと極性基含有オレフィンとの共重合体は、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が、通常1.5〜3.5、好ましくは1.6〜3.3、更に好ましくは1.7〜3.0の範囲であることが望ましい。Mw/Mnが1.5未満では、各種加工性が充分でなくなる傾向があり、一方、Mw/Mnが3.5を超えると、接着性などの性能発現が充分でなくなる傾向がある。なお、Mw/Mnを分子量分布パラメーターと表現することがある。
本発明のオレフィン共重合体の重量平均分子量(Mw)はゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)によって求められる。また、分子量分布パラメーター(Mw/Mn)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)によって、更に数平均分子量(Mn)を求め、MwとMnの比、Mw/Mnを算出するものである。
(9)極性基含有オレフィン共重合体の融点
本発明のオレフィン共重合体の融点は、示差走査型熱量計(DSC)により測定した吸熱曲線の最大ピーク温度によって示される。最大ピーク温度とは、DSC測定において、縦軸に熱流(mW)、横軸に温度(℃)をとった際に得られる吸熱曲線に複数ピークが示された場合、そのうちベースラインからの高さが最大であるピークの温度の事を示し、ピークが1つだった場合には、そのピークの温度の事を示している。
ポリエチレンを想定した場合、融点は50℃〜140℃であることが好ましく、60℃〜138℃であることが更に好ましく、70℃〜135℃が最も好ましい。この範囲より低ければ耐熱性が充分ではなく、この範囲より高い場合は接着性が劣るものとなる。
(10)オレフィン共重合体の13C−NMRにより算出されるメチル分岐数
本発明のオレフィン共重合体は、13C−NMRにより算出されるメチル分岐数が、炭素1,000個当たり50以下であることが好ましい。このうちで特に好ましくは、メチル分岐数が、炭素1,000個当たり5以下である。メチル分岐数がこの数値を満たすと弾性率が高く、成形体の機械強度も高くなる。
このメチル分岐数は、使用する遷移金属触媒の選択や、重合温度で制御することが可能である。共重合体のメチル分岐数を低下させる具体的手段として、重合温度の低下が有効である。例えば、これらの因子を調節して、目的とするコポリマー領域に制御することが求められる。
なお、メチル分岐数の測定は、以下の様に行われる。2〜60ppm、170〜180ppmの炭素によるピークの積分強度の総和Iトータルを1,000に規格化し、20ppmのメチル分岐のメチル炭素による信号の積分強度と33ppmのメチル分岐のメチン炭素による信号の積分強度と37ppmのメチル分岐のメチレン炭素による信号の積分強度の総和を4で割った値IB1を用いてトータル1,000炭素あたりのメチル分岐数を次式を用いて計算を行った。
メチル分岐数(個/トータル1000C)=IB1×1000/Iトータル
化学シフトはヘキサメチルジシロキサンのメチル炭素のピークを1.98ppmとして設定し、他の炭素によるピークの化学シフトはこれを基準とした。
<<2.オレフィン共重合体の製造方法について>>
(1)オレフィン共重合体の製造方法
本発明のオレフィン共重合体の製造方法は、エチレン(a−1)、及び炭素数3〜20のα−オレフィン(a−2)からなる群より選ばれる少なくとも1種と、下記一般式(1)で表される置換基を有する含窒素置換オレフィン(b−1)、及び下記一般式(2)で表される置換基を有する含窒素置換オレフィン(b−2)からなる群より選ばれる少なくとも1種と、を、キレート性配位子を有する周期表第5〜11族金属の遷移金属触媒の存在下に重合することを特徴とする。
Figure 2017214561
[式中、Rは、炭素数1〜20の炭化水素基であり、Rは、水素原子、メチル基、エチル基、ベンジル基、又はトリアルキルシリル基である。]
Figure 2017214561
[式中、Rは、炭素数1〜10の2価の有機基である。]
一般式(1)中のR及びR、一般式(2)中のRは、<<1.オレフィン共重合体について>>の項目で説明したR、R、Rの説明を(好ましい態様も含め、)そのまま適用し、その記載は省略する。
(2)オレフィン共重合体の重合触媒
本発明に関わる重合触媒の種類は、エチレン(a−1)及び/又は炭素数3〜20のα−オレフィン(a−2)と、上述の一般式(1)で表される置換基を有する含窒素置換オレフィン(b−1)、及び上述の一般式(2)で表される置換基を有する含窒素置換オレフィン(b−2)からなる群より選ばれる少なくとも1種とを共重合することが可能なものであれば特に限定されないが、例えば、キレート性配位子を有する第5〜11族の遷移金属化合物を触媒として用い、重合する方法がある。
好ましい遷移金属の具体例として、バナジウム原子、ニオブ原子、タンタル原子、クロム原子、モリブデン原子、タングステン原子、マンガン原子、鉄原子、白金原子、ルテニウム原子、コバルト原子、ロジウム原子、ニッケル原子、パラジウム原子、銅原子などが挙げられる。
これらの中で好ましくは、第8〜11族の遷移金属であり、さらに好ましくは第10族の遷移金属であり、特に好ましくはニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)である。これらの金属は、単一であっても複数を併用してもよい。
さらに、本発明の遷移金属錯体の遷移金属は、Mがニッケル(II)、パラジウム(II)、白金(II)、コバルト(II)及びロジウム(III)からなる群から選択される元素であることが好ましく、さらには第10族の元素であることが重合活性の観点からより好ましく、価格等の観点から、ニッケル(II)が特に好ましい。
キレート性配位子は、P、N、O、及びSからなる群より選択される少なくとも2個の原子を有しており、二座配位(bidentate)又は多座配位(multidentate)であるリガンドを含み、電子的に中性又は陰イオン性である。Brookhartらによる総説に、その構造が例示されている(Chem.Rev.,2000,100,1169)。
好ましくは、二座アニオン性P,O配位子として例えば、リンスルホン酸、リンカルボン酸、リンフェノール、リンエノラートが挙げられ、他に、二座アニオン性N,O配位子として例えば、サリチルアルドイミナ−トやピリジンカルボン酸が挙げられ、他に、ジイミン配位子、ジフェノキサイド配位子、ジアミド配位子が挙げられる。
キレート性配位子から得られる金属錯体の構造は、置換基を有してもよいアリールホスフィン化合物、アリールアルシン化合物又はアリールアンチモン化合物が配位した下記構造式(α)及び/又は(β)で表される。
Figure 2017214561
Figure 2017214561
構造式(α)、構造式(β)において、Mは、元素の周期表の第5〜11族のいずれかに属する遷移金属、即ち前述したような種々の遷移金属を表す。Xは、酸素、硫黄、−SO−、又は−CO−を表す。Yは、炭素又はケイ素を表す。nは、0又は1を表す。Eは、リン、砒素又はアンチモンを表す。R及びRは、それぞれ独立に、水素又は炭素数1ないし30のヘテロ原子を含有してもよい炭化水素基を表す。Rは、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、炭素数1ないし30のヘテロ原子を含有してもよい炭化水素基を表す。R及びRは、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、炭素数1ないし30のヘテロ原子を含有してもよい炭化水素基、OR、CO、COM’、C(O)N(R、C(O)R、SR、SO、SOR、OSO、P(O)(OR2−y(R、CN、NHR、N(R、Si(OR3−x(R、OSi(OR3−x(R、NO、SOM’、POM’、P(O)(ORM’又はエポキシ含有基を表す。M’は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、4級アンモニウム又はフォスフォニウムを表し、xは、0から3までの整数、yは、0から2までの整数を表す。なお、RとRが互いに連結し、脂環式環、芳香族環、又は酸素、窒素、硫黄から選ばれるヘテロ原子を含有する複素環を形成してもよい。この時、環員数は5〜8であり、該環上に置換基を有していても、有していなくてもよい。Rは、水素又は炭素数1ないし20の炭化水素基を表す。Rは、炭素数1ないし20の炭化水素基を表す。Lは、Mに配位したリガンドを表す。また、RとLが互いに結合して環を形成してもよい。
キレート性配位子から得られる金属錯体の構造は、より好ましくは、下記構造式(γ)で表される遷移金属錯体である。
Figure 2017214561
構造式(γ)において、Mは、元素の周期表の第5〜11族のいずれかに属する遷移金属、即ち前述の遷移金属を表す。Xは、酸素、硫黄、−SO−、又は−CO−を表す。Yは、炭素又はケイ素を表す。nは、0又は1を表す。Eは、リン、砒素又はアンチモンを表す。R及びRは、それぞれ独立に、水素又は炭素数1ないし30のヘテロ原子を含有してもよい炭化水素基を表す。Rは、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、炭素数1ないし30のヘテロ原子を含有してもよい炭化水素基を表す。R、R、R10及びR11は、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、炭素数1ないし30のヘテロ原子を含有してもよい炭化水素基、OR、CO、COM’、C(O)N(R、C(O)R、SR、SO、SOR、OSO、P(O)(OR2−y(R、CN、NHR、N(R、Si(OR3−x(R、OSi(OR3−x(R、NO、SOM’、POM’、P(O)(ORM’又はエポキシ含有基を表す。M’は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、4級アンモニウム又はフォスフォニウムを表し、xは、0から3までの整数、yは、0から2までの整数を表す。なお、R〜R11から適宜選択された複数の基が互いに連結し、脂環式環、芳香族環、又は酸素、窒素、硫黄から選ばれるヘテロ原子を含有する複素環を形成してもよい。この時、環員数は5〜8であり、該環上に置換基を有していても、有していなくてもよい。Rは、水素又は炭素数1ないし20の炭化水素基を表す。Rは、炭素数1ないし20の炭化水素基を表す。Lは、Mに配位したリガンドを表す。また、RとLが互いに結合して環を形成してもよい。
ここで、キレート性配位子を有する第5〜11族の遷移金属化合物を触媒としては、代表的に、いわゆる、Shop系及びDrent系と称される触媒が知られている。Shop系触媒は、置換基を有してもよいアリール基を有するリン系リガンドがニッケル金属に配位した触媒である(例えば、国際公開第2010‐050256号を参照)。また、Drent系は、置換基を有してもよいアリール基を有するリン系リガンドがパラジウム金属に配位した触媒である(例えば、特開2010−202647号公報を参照)。
(3)有機金属化合物
本発明に関わるオレフィン共重合体の製造において、上述の含窒素置換オレフィン(b−1)、及び含窒素置換オレフィン(b−2)からなる群より選ばれる少なくとも1種と、少量の有機金属化合物とを接触させた後、前記の遷移金属触媒の存在下、エチレン(a−1)及び/又は炭素数3〜20のα−オレフィン(a−2)と、含窒素置換オレフィン(b−1)、及び含窒素置換オレフィン(b−2)からなる群より選ばれる少なくとも1種と、を共重合させることにより重合活性をより高められる。
有機金属化合物は、置換基を有してもよい炭化水素基を含んだ有機金属化合物であり、下記構造式(H)で示すことができる。
Figure 2017214561
(式中、R30は、炭素原子数1〜12の置換基を有してもよい炭化水素基を示し、M30は、周期表第1族、第2族、第12族及び第13族からなる群から選択される金属、X30は、ハロゲン原子または水素原子を示し、m’は、M30の価数、n’は、1〜m’である。)
上記構造式(H)で示される有機金属化合物としては、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム、トリ−n−デシルアルミニウム等のアルキルアルミニウム類、メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムエトキシド等のアルキルアルミニウムハライド類が挙げられ、好ましくはトリアルキルアルミニウムが選択される。より好ましくは炭素数が4以上の炭化水素基を有するトリアルキルアルミニウムが、さらに好ましくは炭素数が6以上の炭化水素基を有するトリアルキルアルミニウムが、より好適にはトリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム、トリ−n−デシルアルミニウムが選択され、トリ−n−オクチルアルミニウムが最も好適に使用する事ができる。
有機金属化合物は、極性基含有コモノマー(含窒素置換オレフィン(b−1)、及び含窒素置換オレフィン(b−2))に対するモル比が10−5〜0.9、好ましくは10−4〜0.2、更に好ましくは10−4〜0.1となる量を接触させることが、重合活性やコストの観点から好ましい。
(4)アルミニウム(Al)の残留量
本発明に関わるオレフィン共重合体の1g中に残留するアルミニウム(Al)量は、100,000μgAl/g以下が好ましく、70,000μgAl/g以下がより好ましく、20,000μgAl/g以下が更に好ましく、10,000μgAl/g以下が特に好ましく、5,000μgAl/g以下が好適であり、1,000μgAl/g以下がより好適であり、500μgAl/g以下が最も好適である。これよりも多い場合、オレフィン共重合体の機械物性の低下、重合生成物の変色や劣化の促進等が起こりやすい。アルミニウム(Al)の残留量は可能な範囲で少ない方が良く、例えば、1μgAl/g程の極少量であっても良いし、0μgAl/gであっても構わない。なお、μgAl/gは極性基含有オレフィン共重合体1g中に含まれるアルミニウム(Al)の量をμg単位で表していることを意味する。
(5)アルミニウム(Al)量の算出
本発明に関わるオレフィン共重合体に含まれるアルミニウム(Al)量は、重合に供したアルキルアルミニウム中に含有されるアルミニウム量を、得られたオレフィン共重合体の収量で除した値として算出することができる。
また、オレフィン共重合体に含まれるアルミニウム(Al)量はアルキルアルミニウムの重合仕込み量から算出しているが、蛍光X線分析や誘導結合プラズマ発光(ICP)分析により測定しても良い。蛍光X線分析やICP分析を用いる場合は、例えば、以下の方法によって測定することができる。
(5−1)蛍光X線分析
測定試料を3〜10g秤量し、加熱プレス機で加熱加圧成型して直径45mmの平板状サンプルを作製する。測定は平板状サンプルの中心部直径30mmの部分について行い、理学電気工業社製の走査型蛍光X線分析装置「ZSX100e」(Rh管球4.0kW)を用いて、以下の条件で測定する。
・X線出力:50kV−50mA
・分光結晶:PET
・検出器:PC(プロポーショナルカウンター)
・検出線:Al−Kα線
アルミニウム含有量は、予め作成した検量線と上記条件で測定した結果から求める事が出来る。検量線は複数のポリエチレン樹脂のアルミニウム含量をICP分析にて測定し、それらポリエチレン樹脂を上記の条件でさらに蛍光X線分析する事で作成する事ができる。
(5−2)誘導結合プラズマ発光(ICP)分析
測定試料及び特級硝酸3ml、過酸化水素水(過酸化水素含量30重量%)1mlをテフロン(登録商標)製容器に入れ、マイクロウェーブ分解装置(マイルストーンゼネラル社製 MLS−1200MEGA)を用い、最大500Wで加熱分解操作を実施し、測定試料を溶液化する。溶液化した測定試料をICP発光分光分析装置(サーモジャーレルアッシュ社製 IRIS−AP)に供することによりアルミニウム含有量が測定できる。アルミニウム含有量の定量はアルミニウム元素濃度が既知の標準液を用いて作成した検量線を用いて行う。
(6)オレフィン共重合体の重合方法
本発明に関わるオレフィン共重合体の重合方法は限定されない。媒体中で少なくとも一部の生成重合体がスラリーとなるスラリー重合、液化したモノマー自身を媒体とするバルク重合、気化したモノマー中で行う気相重合、又は、高温高圧で液化したモノマーに生成重合体の少なくとも一部が溶解する高圧イオン重合などが好ましく用いられる。
また、重合形式としては、バッチ重合、セミバッチ重合、連続重合のいずれの形式でもよい。また、リビング重合であってもよいし、連鎖移動を併発しながら重合を行ってもよい。更に、いわゆるchain shuttling agent(CSA)を併用し、chain shuttling反応や、coordinative chain transfer polymerization(CCTP)を行ってもよい。具体的な製造プロセス及び条件については、例えば、特開2010−260913号公報、特開2010−202647号公報を参照することができる。
<<3.添加剤について>>
本発明に関わるオレフィン共重合体には、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤、着色剤、顔料、架橋剤、発泡剤、核剤、難燃剤、導電材、充填材などの添加剤を配合しても良い。
<<4.本発明のオレフィン共重合体の用途について>>
(1)接着材
本発明のオレフィン共重合体は、特定の分子構造及び樹脂物性を有することで、他の基材との高い接着性を発現し、工業的に有用な積層体の製造を可能にした。特に、各種基材との接着性能は、上述のオレフィン共重合体において、オレフィン共重合体中の含窒素置換オレフィン(b−1)、及び含窒素置換オレフィン(b−2)に由来する構造単位の合計量が、通常20〜0.001mol%の範囲、好ましくは15〜0.01mol%の範囲、より好ましくは10〜0.02mol%の範囲、より好適には5〜0.03mol%の範囲であると、十分に発現する。
(2)積層体
(2−1)積層体の材料
本発明のオレフィン共重合体は、積層体に用いることができる。具体的には、積層体は、本発明のオレフィン共重合体からなる層と基材層とを含む積層体であって、該基材層は、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)などの極性の高い熱可塑性樹脂、接着性を有するフッ素樹脂、アルミニウム、スチールなどの金属材料などの基材を例示することができる。
基材の具体例としては、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー、ホモポリプロピレン樹脂、プロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテンなどのオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリルなどのビニル系重合体、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン10、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、ポリメタキシリレンアジパミドなどのポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、芳香族ポリエステル類などのポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリカーボネート樹脂、接着性フッ素樹脂、セロハンなどセルロース系ポリマーのようなフィルム形成能を有する熱可塑性樹脂フィルム又はシート(及びこれらの延伸物、印刷物)、アルミニウム、鉄、銅、又はこれらを主成分とする合金などの金属箔又は金属板、シリカ蒸着プラスチックフィルム、アルミナ蒸着プラスチックフィルムなどの無機酸化物の蒸着フィルム、金、銀、アルミニウムなどの金属、又はこれら金属の酸化物以外の化合物などの蒸着フィルム、上質紙、クラフト紙、板紙、グラシン紙、合成紙などの紙類、セロファン、織布、不織布などを挙げることができる。
基材層は、用途や被包装物の種類により適宜選択することができる。例えば、被包装物が腐敗し易い食品である場合には、ポリアミド、ポリ塩化ビニリデン、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリビニルアルコール、ポリエステルの如く、透明性、剛性、ガス透過抵抗性の優れた樹脂を用いることができる。また、被包装物が菓子或いは繊維などである場合には、透明性、剛性、水透過抵抗性の良好なポリプロピレンなどを用いることが好ましい。自動車等の燃料タンクや、燃料が通過するチューブ・ホース・パイプ等に適応させる場合には、EVOH、ポリアミド類、フッ素樹脂のような燃料透過防止性能の優れた樹脂を用いる事が出来る。
バリア性樹脂としては、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、EVOH、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、延伸ポリプロピレン(OPP)、延伸ポリエステル(OPET)、延伸ポリアミド、アルミナ蒸着フィルム、シリカ蒸着フィルムなどの金属、無機酸化物の蒸着フィルム、アルミ蒸着などの金属蒸着フィルム、金属箔などが挙げられる。
(2−2)積層体の用途
積層体は、例えば、食品の包装材として好適である。食品の具体例としては、ポテトチップなどのスナック菓子、ビスケット、煎餅、チョコレートなどの菓子類、粉スープなどの粉末調味料、削り節や薫製などの食品などが挙げられる。
また、容器としては、上記積層体のエチレン系共重合体層面同士を向かい合わせ、その少なくとも一部をヒートシールすることにより形成することができる。具体的には、例えば、水物包装、袋、液体スープ包袋、液体紙器、ラミ原反、特殊形状液体包装袋(スタンディングパウチなど)、規格袋、重袋、セミ重袋、ラップフィルム、砂糖袋、油物包装袋、食品包装用などの各種包装容器、輸液バックなどに好適に使用される。
(2−3)積層体の製造
積層体の加工方法としては、通常のプレス成形、空冷インフレーション成形、空冷2段冷却インフレーション成形、高速インフレーション成形、フラットダイ成形(T−ダイ成形)、水冷インフレーション成形などの押出成形、押出ラミネート加工、サンドラミネート加工、ドライラミネート加工等のラミネート加工法、ブロー成形、圧空成形、射出成形、回転成形など、従来公知の方法が挙げられる。
(2−4)ラミネート積層体
ラミネート積層体とは、押出ラミネート加工、サンドラミネート加工、ドライラミネート加工等、公知のラミネート加工法で製造する事が出来る積層体であり、該ラミネート積層体は本発明のオレフィン共重合体を含有してなるラミネート材料と、少なくとも1層以上の基材層とをラミネート加工することで製造する事ができる積層体である。本発明におけるラミネート材料とは、各種公知のラミネート加工法に供する事が可能な本発明のオレフィン共重合体を含む樹脂材料の事である。
押出ラミネート加工は、Tダイより押出した溶融樹脂膜を基材上に連続的に被覆・圧着する方法で、被覆と接着を同時に行う成形加工法である。また、サンドラミネート加工は、紙と積層するフィルムの間に溶融した樹脂を流し込んで、この溶融した樹脂が接着剤のような働きをして接着・積層する方法である。ドライラミネート加工は、基材と積層するフィルムを貼合する接着剤及び/又は接着剤の塗布ロール付近の雰囲気湿度を除湿するか、前記接着剤及び/又は接着剤の塗布ロールの温度を温熱するか、フィルムシートの貼合面を乾燥させる方法である。
サンドラミネート加工、ドライラミネート加工においては、本発明に用いる基材の極性基含有オレフィン共重合体を含む層が形成される側で、基材と極性基含有オレフィン共重合体を含む層との間に、バリア性を向上させるため、上記アルミ箔、ポリエステル系フィルム、各種バリア性フィルムなどを積層させることが容易である。本発明に関わるラミネート用材料と積層する基材層としては、前述したような種々の各種材料を適宜用いる事ができる。
(3)押出成形品
本発明のオレフィン共重合体は、押出成形品に用いることができる。ここで、押出成形品とは、本発明のオレフィン共重合体を押出成形によって成形した押出成形品である。本発明に関わる押出成形品は、空冷インフレーション成形、空冷2段冷却インフレーション成形、高速インフレーション成形、水冷インフレーション成形といった各種インフレーション成形、フラットダイ成形、異形押出成形、管状品成形、カレンダー成形等、公知の押出成形によって製造する事ができる。また、押出成形によって得られた押出成形品が固化しきらない状態で、金型等に挟み込んだり、変形を加えたりといった、各種公知の方法によってさらに賦形してもかまわない。さらには、得られた押出成形品に曲げ、切削、再加熱後に賦形する等、各種公知の方法によって後加工を加えても構わない。
(4)多層共押出成形品
本発明のオレフィン共重合体は、多層共押出成形品に用いることができる。ここで多層共押出成形品とは、公知の多層共押出成形によって成形する事が可能な多層共押出成形品であり、本発明のオレフィン共重合体を含有してなる層を少なくとも含む多層共押出成形品である。
また、多層共押出成形品とは、複数の熱可塑性材料を同時に押出成形することによって複数の材料を層状に複合化し、種々の賦形方法によって成形することにより製造する事が可能な、多層構造を持った成形品の事である。
多層共押出成形品の製造方法としては、多層空冷インフレーション成形、多層空冷2段冷却インフレーション成形、多層高速インフレーション成形、多層水冷インフレーション成形、多層フラットダイ成形(T−ダイ成形)、多層管状品成形、多層コルゲートパイプ成形等、公知の多層共押出成形を挙げる事ができる。
多層共押出成形品における基材層としては、前述したような種々の各種材料を適宜用いる事ができる。多層共押出成形品は、本発明のオレフィン共重合体を含む層と適当な基材とを、適当な成形方法によって加工することにより、多層フィルム、多層シート、多層パイプ、多層ホース、多層チューブ、多層コルゲートパイプ等の公知の多層共押出成形品として製造する事ができる。また、多層共押出成形によって得られた多層共押出成形品が固化しきらない状態で、金型等に挟み込んだり、変形を加えたりといった、各種公知の方法によってさらに賦形してもかまわない。さらには、得られた多層共押出成形品に曲げ、切削、再加熱後に賦形する等、各種公知の方法によって後加工を加えても構わない。
(5)多層フィルム
本発明のオレフィン共重合体は、多層共押出成形品に用いることができる。ここで、多層フィルムとは、公知の多層フィルム成形法によって製造する事が可能な多層フィルムであり、本発明のオレフィン共重合体を含有してなる層と基材層とを少なくとも含む多層フィルムである。多層フィルムの製造方法としては、多層空冷インフレーション成形、多層空冷2段冷却インフレーション成形、多層高速インフレーション成形、多層水冷インフレーション成形、多層フラットダイ成形(T−ダイ成形)等、公知の多層フィルム成形法を用いる事ができる。多層フィルムの基材層としては、前述したような種々の各種材料を適宜用いる事ができる。
(6)多層ブロー成形品
本発明のオレフィン共重合体は、多層ブロー成形品に用いることができる。ここで、多層ブロー成形品とは、公知の多層ブロー成形によって製造する事が可能な多層ブロー成形品であり、本発明のオレフィン共重合体を含有してなる層と基材層とを少なくとも含む多層ブロー成形品である。多層ブロー成形品の製造方法としては、多層ダイレクトブロー成形、多次元多層ブロー成形、多層ロータリーブロー成形等、公知のブロー成形法を挙げる事ができる。本発明に関わる多層ブロー成形品の基材層としては、前述したような種々の各種材料を適宜用いる事ができる。
(7)多層管状成形品
本発明のオレフィン共重合体は、多層管状成形品に用いることができる。ここで、多層管状成形品とは、公知の多層管状成形法によって成形する事が可能な多層管状成形品であり、本発明のオレフィン共重合体を含有してなる層と基材層とを少なくとも含む多層管状成形品である。多層管状成形法は、例えば、複数の熱可塑性材料を同時に押出成形することによって複数の材料を層状に複合化し、円形もしくは異形の吐出口から吐出することによって連続的に吐出口形状に準じた形状の管状成形品が成形され、適当な賦形方法、および冷却方法によって成形、冷却固化することで管状の成形品を得る方法を挙げる事ができる。
多層管状成形法の吐出口形状は特に限定されず、円形、楕円、多角形、その他公知の吐出口形状を選択する事ができる。また、多層管状成形法の成形方法は特に限定されず、サイジングプレート法、内圧サイジング法、内径サイジング法、真空サイジング法、押出した溶融材料を金型で挟み込み、マンドレル側からの圧空や金型側からの真空引き等で賦形しつつ冷却する方法等、公知の成形法を用いる事ができ、冷却方法も水冷、空冷、金型での挟み込み等、適宜使用することができる。さらに、一度冷却固化させた多層管状成形品を再加熱し、さらに別の形状へと加工することもできる。多層管状成形品の基材層としては、前述したような種々の各種材料を適宜用いる事ができる。
(8)多層シート
本発明のオレフィン共重合体は、多層シートに用いることができる。ここで、多層シートとは、公知の多層シート成形によって製造する事が可能な多層シートであり、本発明のオレフィン共重合体を含有してなる層と基材層とを少なくとも含む多層シートである。多層シートの製造方法としては各種公知の方法を用いる事ができ、例えば、複数の熱可塑性材料を同時に押出成形することによって複数の材料を層状に複合化し、フラットダイやサーキュラーダイ等公知のダイから吐出させることでシート状に成形する方法を挙げる事ができる。また、これら方法において、必要に応じてシートの端部をスリットしたり、円形のシートを切り開く加工を加えたりしても良い。さらに、押出成形後に冷却固化していない状態、もしくは、冷却固化した多層シートを再加熱する事により再溶融させた状態で、真空成型、圧空成形、真空圧空成形、スタンピング成形、プレス成形等、各種公知の成形方法によってさらに賦形しても構わない。本発明に関わる多層シートの基材層としては、前述したような種々の各種材料を適宜用いる事ができる。
(9)射出成形品
本発明のオレフィン共重合体は、射出成形品に用いることができる。ここで、射出成形品とは、本発明のオレフィン共重合体を射出成形によって成形した射出成形品である。射出成形品の製造には公知の方法を用いる事ができる。
(10)多層射出成形品
本発明のオレフィン共重合体は、多層射出成形品に用いることができる。ここで、多層射出成形品とは、本発明のオレフィン共重合体を含有してなる層を少なくとも含み、射出成形を用いて複数の層を複合化することで製造できる多層射出成形品である。多層射出成形品は2種類以上の材料が複合化されていればよく、例えば、2種の異なる本発明のオレフィン共重合体を含有してなる層が積層化されていても良く、本発明のオレフィン共重合体を含有してなる層と基材からなる層が多層化されていても良い。さらに、3種以上の層が多層化されていても良い。
多層射出成形品は、公知の射出成形法によって成形する事ができる。本発明のオレフィン共重合体を含有してなる層の2種類以上を多層化してなる多層射出成形品であってもよいが、本発明の特徴である異種材料との高い接着性を有する点を考慮すると、異種材料からなる層と多層化させた複合化射出成形品であるほうが好ましい。
多層射出成形品の製造が可能な射出成形法としては、公知の方法を挙げる事ができる。例えば、あらかじめ射出成形や押出成形、プレス成形、切削加工等公知の方法により本発明のオレフィン共重合体を部材へと加工し、該部材を射出金型内部にインサートした状態でさらに基材材料を射出することで多層化させる方法、あらかじめ基材を部材へと加工し、基材の部材を射出金型内にインサートした状態で本発明のオレフィン共重合体を射出することで多層化させる方法、複数の射出ユニットを有する多色射出成形機を用い、本発明のオレフィン共重合体と基材材料を適当な順序で順次、金型内に射出することによって多層化する方法などを挙げる事ができる。多層射出成形品において、本発明のオレフィン共重合体と複合化させる部材の種類としては、前述したような種々の各種基材を適宜使用する事ができる。
(11)被覆金属部材
本発明のオレフィン共重合体は、被覆金属部材に用いることができる。ここで、被覆金属部材とは、金属に本発明のオレフィン共重合体を金属被覆材料として用い、金属被覆材料を金属に被覆することにより製造できる、被覆金属部材である。被覆金属部材は公知の金属被覆方法によって製造する事ができる。被覆金属部材の例としては、例えば、鋼管の外面もしくは内面に、必要に応じてアンダーコート等を介して被覆材料を被覆させた被覆鋼管、金属被覆材料で被覆された被覆金属ワイヤー、金属被覆材料で被覆された電線、紛体性状の被覆金属材料を用いて流動浸漬法によって被覆された被覆金属、紛体性状の被覆金属材料を用いて静電塗装法によって被覆された被覆金属、あらかじめシートやフィルム等に加工した金属被覆材料を金属材用に熱溶着させる事で被覆された被覆金属等を挙げる事ができる。
(12)その他の用途
本発明のオレフィン共重合体は、上記の接着性樹脂材料として好適に用いられるばかりでなく、ポリプロピレン樹脂などのポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などの各種樹脂の改質材、或いは、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂とポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、液晶樹脂などのエンジニアリングプラスチックとの相溶化剤としても好適に適用される。
以下において、本発明を実施例及び比較例によって具体的に説明し、好適な各実施例のデータ及び各実施例と各比較例の対照により、本発明の構成の合理性と有意性及び従来技術に対する卓越性を実証する。本発明において製造されるオレフィン共重合体の各種の評価方法は、以下の通りである。
1.評価方法
(1)融点Tm
製造されたオレフィン共重合体の融点Tmは、以下のDSC測定により求めた。
セイコー電子工業株式会社製「EXSTAR6000」を使用し、40℃で1分等温、10℃/分で40〜160℃までの昇温、160℃で10分等温、10℃/分で160〜10℃まで降温、10℃で5分等温後、10℃/分で10〜160℃までの昇温時の測定により求めた。
(2)分子量分布パラメータMw/Mn:GPCにより測定した。
装置:日本ウォーターズ社製Alliance GPCV2000型
検出器:GPCV2000内蔵の示差屈折計検出器
試料の調製:4mLバイアル瓶に試料3mg及びオルトジクロロベンゼン(0.1mg/mLの1,2,4−トリメチルフェノールを含む)3mLを秤採し、樹脂製スクリューキャップ及びテフロン(登録商標)製セプタムで蓋をした後、温度150℃に設定したセンシュー科学製SSC−9300型高温振とう機を用いて2時間溶解を行った。溶解終了後、不溶成分がないことを目視で確認した。
カラム:昭和電工社製Shodex HT−806M×2本+同・HT−G
較正曲線の作成:4mLガラス瓶を4本用意し、それぞれに下記(i)〜(iv)の組み合わせの単分散ポリスチレン標準試料又はn−アルカンを0.2mgずつ秤り採り、続いてオルトジクロロベンゼン(0.1mg/mLの1,2,4−トリメチルフェノールを含む)3mLを秤り採り、樹脂製スクリューキャップ及びテフロン(登録商標)製セプタムで蓋をした後、温度150℃に設定したセンシュー科学製SSC−9300型高温振とう機を用いて2時間溶解を行った。
(i)Shodex S−1460,同S−66.0,n−エイコサン
(ii)Shodex S−1950,同S−152,n−テトラコンタン
(iii)Shodex S−3900,同S−565,同S−5.05
(iv)Shodex S−7500,同S−1010,同S−28.5
試料溶液が入ったバイアル瓶を装置にセットし、前述の条件にて測定を行い、サンプリング間隔1sでクロマトグラム(保持時間と示差屈折計検出器の応答のデータセット)を記録した。得られたクロマトグラムから各ポリスチレン標準試料の保持時間(ピーク頂点)を読み取り、分子量の対数値に対してプロットした。ここで、n−エイコサン及びn−テトラコンタンの分子量は、それぞれ600及び1,200とした。このプロットに非線形最小自乗法を適用し、得られた4次曲線を較正曲線とした。
分子量の計算:前述の条件にて測定を行い、サンプリング間隔1sでクロマトグラムを記録した。このクロマトグラムを用い、森定雄著「サイズ排除クロマトグラフィー」(共立出版)第4章p.51〜60に記載の方法で微分分子量分布曲線及び平均分子量値(Mn、Mw及びMz)を算出した。ただし、dn/dcの分子量依存性を補正するため、クロマトグラムにおけるベースラインからの高さHを下記式にて補正した。
クロマトグラムの記録(データ取り込み)及び平均分子量計算は、Microsoft社製OS・Windows(登録商標)・XPをインストールしたPC上で自社製プログラム(Microsoft製Visual Basic6.0で作成)を用いて行った。
H’=H/[1.032+189.2/M(PE)]
なお、ポリスチレンからポリエチレンへの分子量変換は、下記式を用いた。
M(PE)=0.468×M(PS)
測定温度:145℃、濃度:20mg/10mL、注入量:0.3ml
溶媒:オルソジクロロベンゼン、流速:1.0ml/分
(3)含窒素置換オレフィン(b−1)に由来する構成単位量の含有量
H−NMRスペクトルから以下の方法によってコモノマー含有量を求めた。
定量は、H−NMRのシグナル強度を用いて以下の式より求めた。
主鎖型2BOCAEAの含有量(mol%)=(Iα+Ibr)/3×100/(INCH2+I
全2BOCAEAの含有量(mol%)=INCH2/2×100/(INCH2+I
以下、式中の記号の説明である。
α=1.62〜1.78ppmのαメチレンプロトンの積分強度
br=2.32〜2.50ppmの主鎖メチンプロトンの積分強度
NCH2=3.08〜3.78ppmのメチレンプロトンの積分強度
=0.25×(I0〜3−INCH2×9)
0〜3=0ppmから3ppmに検出したプロトンシグナルの積分強度
2.金属触媒
B−27DM/Ni錯体及びB−111/Ni錯体は、特開2013−043871号公報に記載された合成例に従い合成し、以下の化学式で示されるリガンドB−27DM及び、B−111を使用した。また、国際公開第2010/050256号の実施例に準じて、ビス−1、5−シクロオクタジエンニッケル(0)(Ni(COD)と称する)を用いて、B−27DMとNi(COD)及びB−111とNi(COD)とが1対1で反応したニッケル錯体を合成した。
Figure 2017214561
Figure 2017214561
3.実施例及び比較例
(実施例1)
エチレンとアクリル酸2−(t−ブトキシカルボニルアミノ)エチル(BOCAEA)との共重合:
内容積2.4リットルの攪拌翼付きオートクレーブに、乾燥トルエン(1.0リットル)と、トリn−オクチルアルミニウム(TNOA)を36.6mg(0.1mmol)及び所定量のアクリル酸2−(t−ブトキシカルボニルアミノ)エチル(BOCAEA)を2.2g(10mmol)仕込んだ。攪拌しながらオートクレーブを90℃に昇温し、窒素を0.5MPaまで供給した後、エチレンをオートクレーブに供給し、圧力が3.0MPaになるように調整した。調整終了後、B−27DM/Ni触媒12ml(120μmol)を窒素で圧入して共重合を開始させた。14分間重合させた後、冷却、脱圧して反応を停止した。反応溶液は、1リットルのアセトンに投入してポリマーを析出させた後、ろ過洗浄を行い回収し、さらに減圧下で恒量になるまで乾燥を行なった。結果を表1に示す。
なお、表1中、「CM濃度」とは、コモノマー濃度、すなわち、アクリル酸2−(t−ブトキシカルボニルアミノ)エチル濃度を意味する。NMRの「含量」とは、オレフィン共重合体の構成単位全体を100mol%とした場合のアクリル酸2−(t−ブトキシカルボニルアミノ)エチルに由来する構造単位の含量を意味する。
(実施例2)
BOCAEAを4.3g(20mmol)、B−27DM/Ni触媒の量を24ml(240μmol)とし、重合時間を30分とした以外は実施例1と同様にしてエチレン−BOCAEA共重合をおこなった。結果を表1に示す。
(実施例3)
BOCAEAを4.3g(20mmol)、B−111/Ni触媒の量を18ml(180μmol)、重合時間を25分とした以外は実施例1と同様にしてエチレン−BOCAEA共重合をおこなった。結果を表1に示す。
(実施例4)
BOCAEAを1.0g(4.7mmol)、B−111/Ni触媒の量を2.5ml(25μmol)、重合時間を55分とした以外は実施例1と同様にしてエチレン−BOCAEA共重合をおこなった。結果を表1に示す。
(実施例5)
BOCAEAを0.8g(3.9mmol)、B−111/Ni触媒の量を3.0ml(30μmol)、オートクレーブの温度を110℃、重合時間を50分とした以外は実施例1と同様にしてエチレン−BOCAEA共重合をおこなった。結果を表1に示す。
(実施例6)
BOCAEAを0.7g(3.3mmol)、B−111/Ni触媒の量を3.0ml(30μmol)、オートクレーブの温度を130℃、重合時間を45分とした以外は実施例1と同様にしてエチレン−BOCAEA共重合をおこなった。結果を表1に示す。
(実施例7)
BOCAEAを0.6g(2.9mmol)、B−111/Ni触媒の量を5.5ml(55μmol)、オートクレーブの温度を150℃、重合時間を55分とした以外は実施例1と同様にしてエチレン−BOCAEA共重合をおこなった。結果を表1に示す。
(比較例1)
エチレンとN−メチルマレイミド(NMM)との共重合:
トリn−オクチルアルミニウム(TNOA)を183mg(0.5mmol)、N−メチルマレイミド(NMM)を5.6g(50mmol)仕込み、窒素を0.8MPaまで供給した後、エチレンをオートクレーブに供給し、圧力が2.8MPaになるように調整した。調整終了後、B−27DM/Ni触媒30ml(300μmol)、重合時間を120分とした以外は実施例1と同様にしてエチレン−NMM共重合をおこなった。結果を表1に示す。
なお、表1中、「CM濃度」とは、コモノマー濃度、すなわち、N−メチルマレイミド濃度を意味する。NMRの「含量」とは、オレフィン共重合体の構成単位全体を100mol%とした場合のN−メチルマレイミドに由来する構造単位の含量を意味する。
Figure 2017214561
4.評価
表1に示すように、実施例1〜7では、いずれも比較例1に比べて、コモノマー濃度が低いにもかかわらず、コモノマーに由来する構造単位の含量(アクリル酸2−(t−ブトキシカルボニルアミノ)エチルに由来する構造単位の含量)が多くなっている。一方、N−メチルマレイミドは同一条件で共重合できない。よって、本発明のオレフィン共重合体は、効率的に製造されることが確認された。そして、このオレフィン共重合体は、150℃の重合温度条件でも、メチル分岐数が少なく、優れた共重合体であることが分かった。
本発明は上記で詳述した実施形態に限定されず、本発明の請求項に示した範囲で様々な変形または変更が可能である。
本発明によれば、容易に分解可能な保護基をもつ、新規なオレフィン共重合体が提供され、これは、新規なオレフィン系極性共重合体であるため、広範囲な用途に使用できる。このオレフィン共重合体は、簡易で効率の良い重合法により製造でき、産業上の利用可能性が高い。

Claims (15)

  1. エチレン(a−1)に由来する構造単位、及び炭素数3〜20のα−オレフィン(a−2)に由来する構造単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の構成単位(A)と、
    下記一般式(1)で表される置換基を有する含窒素置換オレフィン(b−1)に由来する構造単位、及び下記一般式(2)で表される置換基を有する含窒素置換オレフィン(b−2)に由来する構造単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の構成単位(B)と、を有することを特徴とするオレフィン共重合体。
    Figure 2017214561

    [式中、Rは、炭素数1〜20の炭化水素基であり、Rは、水素原子、メチル基、エチル基、ベンジル基、又はトリアルキルシリル基である。]
    Figure 2017214561

    [式中、Rは、炭素数1〜10の2価の有機基である。]
  2. 前記含窒素置換オレフィン(b−1)及び前記含窒素置換オレフィン(b−2)の少なくともいずれか一方が、下記一般式(3)で表される構造を有することを特徴とする請求項1に記載のオレフィン共重合体。
    Figure 2017214561

    [式中、Rは、水素原子又はメチル基である。]
  3. 前記含窒素置換オレフィン(b−1)は、下記一般式(4)で表される構造を有することを特徴とする請求項2に記載のオレフィン共重合体。
    Figure 2017214561

    [式中、Rは、炭素数1〜20の炭化水素基であり、Rは、水素原子、メチル基、エチル基、ベンジル基、又はトリアルキルシリル基であり、Rは、水素原子又はメチル基であり、Zは、2価の有機基である。]
  4. 前記含窒素置換オレフィン(b−2)は、下記一般式(5)の構造を有することを特徴とする請求項2に記載のオレフィン共重合体。
    Figure 2017214561

    [式中、Rは、炭素数1〜10の2価の有機基であり、Rは、水素原子又はメチル基であり、Zは、2価の有機基である。]
  5. 前記一般式(4)及び前記一般式(5)の少なくともいずれか一方におけるZが、−(CH−、−COO(CH−、−O(CH−又は−CO(CH−で表され、nは2〜30の整数であり、mは0〜30の整数であることを特徴とする請求項3又は4に記載のオレフィン共重合体。
  6. 前記一般式(4)及び前記一般式(5)の少なくともいずれか一方におけるZが、−(CH−、−COO(CH−又は−O(CH−で表され、nは2〜30の整数であり、mは0〜30の整数であることを特徴とする請求項5に記載のオレフィン共重合体。
  7. 前記一般式(4)及び前記一般式(5)の少なくともいずれか一方におけるZが、−(CH−又は−COO(CH−で表され、nは2〜30の整数であり、mは0〜30の整数であることを特徴とする請求項6に記載のオレフィン共重合体。
  8. 前記一般式(4)及び前記一般式(5)の少なくともいずれか一方におけるZが、−COO(CH−で表され、mは0〜30の整数であることを特徴とする請求項7に記載のオレフィン共重合体。
  9. 前記一般式(4)におけるRがtert−ブチル基であることを特徴とする請求項8に記載のオレフィン共重合体。
  10. 前記一般式(4)及び前記一般式(5)の少なくともいずれか一方におけるZが−COOCHCH−であることを特徴とする請求項9に記載のオレフィン共重合体。
  11. 前記一般式(4)及び前記一般式(5)の少なくともいずれか一方におけるRが水素原子であることを特徴とする請求項10に記載のオレフィン共重合体。
  12. 13C−NMRにより算出されるメチル分岐数が、炭素1,000個当たり50以下であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のオレフィン共重合体。
  13. 前記メチル分岐数が、炭素1,000個当たり5以下であることを特徴とする請求項12に記載のオレフィン共重合体。
  14. エチレン(a−1)、及び炭素数3〜20のα−オレフィン(a−2)からなる群より選ばれる少なくとも1種と、
    下記一般式(1)で表される置換基を有する含窒素置換オレフィン(b−1)、及び下記一般式(2)で表される置換基を有する含窒素置換オレフィン(b−2)からなる群より選ばれる少なくとも1種と、を、
    キレート性配位子を有する周期表第5〜11族金属の遷移金属触媒の存在下に重合することを特徴とするオレフィン共重合体の製造方法。
    Figure 2017214561

    [式中、Rは、炭素数1〜20の炭化水素基であり、Rは、水素原子、メチル基、エチル基、ベンジル基、又はトリアルキルシリル基である。]
    Figure 2017214561

    [式中、Rは、炭素数1〜10の2価の有機基である。]
  15. 前記遷移金属触媒が周期表第10族の遷移金属触媒であることを特徴とする請求項14に記載のオレフィン共重合体の製造方法。
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