JP4923423B2 - 押出ラミネート用エチレン系樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、押出ラミネート用エチレン系樹脂組成物に関するものである。さらに詳しくは、低温ヒートシール性と耐熱性のバランスに優れ、かつ基材との接着性および低臭性に優れた押出ラミネート用材料として好適なエチレン系樹脂組成物に関するものである。
近年開発されたメタロセン触媒系によるエチレン・α−オレフィン共重合体は、組成分布が均一で分子量分布が狭く、ヒートシール強度や衝撃強度が強いといった特徴を有しており、食品や医薬品、飲料などの包装材料として広く使用されている。
しかし、メタロセン触媒系によるエチレン・α−オレフィン共重合体は分子量分布が狭く溶融弾性が小さいため、押出ラミネート成形において、ネックインが大きいこと、溶融せん断粘度が高いため押出負荷が高すぎ、押出量が低下することから生産性が悪化するといった欠点がある。
メタロセン触媒系によるエチレン・α−オレフィン共重合体のネックインを改良するため、メタロセン触媒系によるエチレン・α−オレフィン共重合体に高圧法低密度ポリエチレンを配合する方法が数多く提案されている(特許文献1〜3参照。)。
例えば、特許文献1には、温度上昇溶離分別(TREF)によって得られる溶出微分曲線のピークが1つであり、かつ溶出微分曲線の巾が狭いエチレン・α−オレフィン共重合体と高圧法低密度ポリエチレンからなる樹脂組成物が提案されている。
本方法によれば、エチレン・α−オレフィン共重合体の組成分布が均一であるため、ポリマーの融解温度巾が狭く、優れた低温シール性と耐熱性を両立することができないため、ボイル等の高温殺菌工程を経る包装材料には不向きであった。
また、特許文献2および3には、この低温シール性と耐熱性を両立させるため、耐熱性に優れた成分を含む樹脂組成物が提案されている。
これらの文献では、融点で100℃を超える成分や温度上昇溶離分別によって得られる溶出微分ピークの最高温度が90℃を超える成分を含むエチレン・α−オレフィン共重合体が提案されているが、このような成分は、それ自身が低温シール性を損なうばかりではなく、低温シール性に優れた成分との相容性が悪化し、低温シール性と耐熱性のバランスや基材との接着性を必ずしも満足するものではなかった。
特開平7−26079号公報 特開平9−278953号公報 特開平10−168430号公報
本発明は、上記のような状況を鑑みなされたものであって、低温ヒートシール性と耐熱性のバランスに優れ、かつ基材との接着性および低臭性に優れた押出ラミネート用材料として好適なエチレン系樹脂組成物を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定のエチレン・α−オレフィン共重合体に特定の高圧法低密度ポリエチレンを適量配合することにより、低温ヒートシール性と耐熱性のバランスに優れ、更に基材との接着性および低臭性を改善できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下に示す(a1)〜(a4)を満たすエチレン・α−オレフィン共重合体50〜97重量%と、以下に示す(b1)〜(b2)を満たす高圧ラジカル重合法により得られる低密度ポリエチレン3〜50重量%からなることを特徴とする押出ラミネート用エチレン系樹脂組成物、および該押出ラミネート用エチレン系樹脂組成物を押出ラミネート成形して得られる積層体に関するものである。
(a1)JIS K6922−1(1997年)による密度が860〜940kg/m
(a2)JIS K6922−1(1997年)によるメルトマスフローレート(以下、MFRと言う。)が5g/10分以上100g/10分以下
(a3)温度上昇溶離分別(TREF)によって得られる溶出微分曲線のピークが2つ以上あり、かつピークの最高温度が50〜90℃の範囲にある
(a4)ゲルパーミエーションクロマトグラフィにて測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が2〜4
(b1)JIS K6922−1(1997年)による密度が910〜935kg/m
(b2)JIS K6922−1(1997年)によるメルトマスフローレートが0.1〜10g/10分
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の押出ラミネート用エチレン系樹脂組成物を構成するエチレン・α−オレフィン共重合体は、JIS K6922−1(1997年)で測定した密度が860〜940kg/m、好ましくは870〜930kg/m、更に好ましくは870〜925kg/mの範囲にある。密度が940kg/mを超える場合は、エチレン・α−オレフィン共重合体の融点が高くなり、低温ヒートシール性が悪化するため好ましくない。一方、密度が860kg/m未満であると、フィルムの自己粘着性が増して、ブロッキング現象が起こるため好ましくない。
また、このエチレン・α−オレフィン共重合体は、JIS K6922−1(1997年)によるメルトマスフローレートが5g/10分以上100g/10分以下、好ましくは8g/10分以上80g/10分以下、更に好ましくは12g/10分以上60g/10分以下の範囲にあるものである。MFRが5g/10分未満では、溶融せん断粘度が高くなって押出機への負荷が大きくなるとともに、ドロ−ダウン性も悪くなるために好ましくない。一方、100g/10分を超える場合は、押出成形された溶融フィルムの端部の安定性が悪く、ネックインも大きくなるなど成膜安定性が悪くなるため好ましくない。
更に、本発明の押出ラミネート用エチレン系樹脂組成物を構成するエチレン・α−オレフィン共重合体は、以下に示す条件下において測定した温度上昇溶離分別(TREF)によって得られる溶出微分曲線のピークが2つ以上、好ましくは2つあり、かつピークの最高温度が50〜90℃、好ましくは60〜85℃、さらに好ましくは60℃〜80℃の範囲にある。
機種:クロス分別測定装置 CFC T−101(三菱化学)
溶離液:オルトジクロロベンゼン
試料濃度:2.5mg/mol
サンプルループへの注入量:0.5ml
サンプルループへ注入された試料を、1℃/分の速度で140℃から0℃の温度まで冷却し、TREFカラムにコーティングさせる。TREFカラムを0℃で更に30分間保持した後、TREFカラムを以下に示す条件において昇温し、各温度における溶解している成分を1ml/分の流速でTREFカラムからGPCカラム(東ソー(株)製 TSKgel GMHHR−H(20)1本、東ソー(株)製 TSKgel GMHHR−H(S)2本)へ注入する。
溶出温度:0,5,10,15,20,25,30,35,40,50,55,60,65,70,73,76,79、82,85,88、91,94,97,100,120,140℃
各温度保持時間:5分
該GPCカラムで分子サイズによって分別された溶液は、装置付属の赤外分光光度計でポリマーの濃度に比例する吸光度が測定され(波長3.42μ,メチレンの伸縮振動で検出)、各溶出温度区分のクロマトグラムが得られる。内蔵のデータ処理ソフトを用い、上記測定で得られた各溶出温度区分のクロマトグラムのベースラインを引き、演算処理される。各クロマトグラムの面積が積分され、積分溶出曲線が得られ、この積分溶出曲線を温度で微分して、微分溶出曲線が計算される。
溶出微分曲線のピークが1つであると、低温シール性と耐熱性のバランスに劣り好ましくない。また溶出微分曲線のピークの最高温度が50℃未満である場合、耐熱性に劣るため好ましくなく、90℃を超えると低温シール性と耐熱性のバランスや基材との接着性に劣るため好ましくない。
また、該溶出微分曲線の最低ピーク温度は、20〜70℃の範囲が好ましく、20〜60℃の範囲が最も好ましい。該溶出微分曲線の最低ピーク温度がこの範囲にある場合、低温シール性と耐熱性のバランスや基材との接着性に優れるため好ましい。
さらに、本発明を構成するエチレン・α−オレフィン共重合体は、該微分溶出曲線の個々のピーク高さ(H)と該ピークの高さの1/2における幅(W)の比(W/H)と該ピーク温度(T)が下記式(1)
W/H<1.70−0.016T (1)
で示される関係にあり、好ましくは下記式(1)’
W/H<1.65−0.016T (1)’
で示される関係にあり、更に好ましくは下記式(1)”
W/H<1.60−0.016T (1)”
で示される関係にあると、本発明の押出ラミネート用エチレン系樹脂組成物を押出ラミネート成形に供し得られた積層体のヒートシール強度に優れ、かつブロッキングの原因となるべたつき成分が低減するため好ましい。なお、W/Hは、該微分溶出曲線を横軸に溶出温度を100℃当たり65mm、縦軸に微分量(全積分溶出量を100に規格し、2℃の変化量を微分量とした)10当たり5.4mmのグラフに図示し、次に、この微分溶出曲線のピークの1/2高さの幅(W、単位:mm)とピーク高さ(H、単位:mm)を測定し、W/Hを求めた。
さらに、該溶出微分曲線におけるピークの最高温度(T)と最低ピーク温度(T)のピーク高さの比(T/T)が0.3〜3の範囲にあると、低温シール性と耐熱性のバランスに優れ、好ましい。
更に、本発明の押出ラミネート用エチレン系樹脂組成物を構成するエチレン・α−オレフィン共重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィを用いて、以下に示す条件下で測定し、単分散ポリスチレンでユニバーサルな検量線を測定し、直鎖のポリエチレンの分子量として計算した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が2〜4、好ましくは2〜3の範囲にある。重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)がこの範囲を超える場合、ヒートシール強度、基材との接着性に劣るため好ましくない。
機種:ウォーターズ 150C ALC/GPC
溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼン
流速:1mL/min
温度:140℃
測定濃度:30mg/30mL
注入量:100μL
本発明を構成するエチレン・α−オレフィン共重合体の製造方法は、(特に限定するものではないが)、少なくとも2種類以上のメタロセン触媒の存在下において、エチレンとα−オレフィンを同一重合器内で共重合する方法が、コストパフォーマンスや本発明の押出ラミネート用エチレン系樹脂組成物を押出ラミネート成形に供し得られた積層体の低温シール性と耐熱性のバランスに優れるため好ましい。メタロセン触媒とは、有機環状化合物を配位子として有する遷移金属化合物、活性化助触媒および有機金属化合物からなるものが用いられる。
2種類以上のメタロセン触媒を用いる場合、各々のメタロセン触媒の共重合パラメーターrの差が0.02以上であると、低温シール性と耐熱性のバランスに優れる押出ラミネート用エチレン系樹脂組成物が得られるため好ましく、0.03以上であると更に好ましい。共重合パラメーターrは、下記式(2)により求められる。
r = Cpoly / Crea (2)
式中、Creaは、反応器内のα−オレフィン/エチレンのモノマー比(モル/モル)を、またCpolyは得られる共重合体に含まれるα−オレフィン/エチレンのモノマー比(モル/モル)を示す。また、rはその商(係数)である。また、Cpolyは既知の方法、例えば、13C−NMR測定により求められる。
また、少なくとも一方のメタロセン触媒は、共重合パラメーターrが0.08以上であると、目的の密度の共重合体を製造する際のα−オレフィンの比率を下げることができ、共重合反応に使用されるα−オレフィンの回収工程への負荷の軽減、さらには共重合体中に残留するα−オレフィンを除去する工程の負荷を軽減することができるため好ましく、0.1以上の場合更に好ましい。
また、少なくとも一方のメタロセン触媒は、前記rと同様の条件により得られたエチレン・α−オレフィン共重合体が下記一般式(3)を満足することが好ましく、下記一般式(3’)を満足することが特に好ましい。
MFR < EXP(12.6 × Ln(RxT) − 0.10967 × d + 35.3) (3)
MFR < EXP(12.6 × Ln(RxT) − 0.10967 × d + 32.5) (3’)
[式中、MFRは荷重2.16kg、温度190℃条件でのメルトフローレート(g/10分)を示し、RxTは重合器の内温もしくは重合器内に温度分布がある場合には観測された温度の平均値(℃)を示し、dは得られたエチレン・α−オレフィン共重合体の密度(kg/m)を示す。]
さらに、もう一方のメタロセン触媒は、前記rと同様の条件により得られたエチレン・α−オレフィン共重合体が下記一般式(4)を満足することが好ましく、下記一般式(4’)を満足することが特に好ましい。
MFR > EXP(12.6 × Ln(RxT) − 0.10967 × d + 35.3) (4)
MFR > EXP(12.6 × Ln(RxT) − 0.10967 × d + 32.5) (4’)
[式中、MFRは荷重2.16kg、温度190℃条件でのメルトフローレート(g/10分)を示し、RxTは重合器の内温もしくは重合器内に温度分布がある場合には観測された温度の平均値(℃)を示し、dは得られたエチレン・α−オレフィン共重合体の密度(kg/m)を示す。]
メタロセン触媒の構成成分の一つである活性化助触媒としては、特に限定はなく、公知のものはすべて使用することができる。具体的には、下記一般式(5)で表されるプロトン酸、一般式(6)で表されるイオン化イオン性化合物、一般式(7)で表されるルイス酸、一般式(8)で表されるルイス酸性化合物、粘土鉱物、塩化マグネシウム化合物、スルホン酸塩、またはカルボン酸誘導体などを挙げることができる。
[HR][E(Ar)] (5)
[GR ][E(Ar)] (6)
[D][E(Ar)] (7)
E(Ar) (8)
(式中、Hは水素原子であり、Eはホウ素原子またはアルミニウム原子である。Rはエーテル類、脂肪族アミン類、芳香族アミン類、ホスフィン類等のルイス塩基、RはRで例示したルイス塩基または置換もしくは無置換のシクロペンタジエニル基である。Gはリチウム原子、鉄原子または銀原子であり、Dはカルボニウムカチオンまたはトロピリウムカチオンである。Arは互いに同じでも異なっていてもよく、アリール基、アラルキル基、ハロゲン,炭化水素基もしくはヘテロ原子含有炭化水素基で置換されたアリール基もしくはアラルキル基、または炭化水素基もしくはヘテロ原子含有炭化水素基を有するシリル基で置換されたアリール基もしくはアラルキル基であり、好ましくはアリール基、ハロゲン原子,炭化水素基もしくはヘテロ原子含有炭化水素基で置換されたアリール基、または炭化水素基もしくはヘテロ原子含有炭化水素基を有するシリル基で置換されたアリール基である。pは0、1または2である。)
さらにメタロセン触媒に用いられる有機金属化合物としては、少なくとも1つの炭化水素基を有する周期表第1、2、13族の金属原子、スズ原子または亜鉛原子を有するものであり、特に限定するものではないが、例えば、下記一般式(9)、(10)または(11)で表される化合物を挙げることができる。
(RAl (9)
(式中、Rは互いに同じでも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アミノ基、アルコキシ基、または炭化水素基で置換されたアミノ基もしくはアルコキシ基を示し、そのうち少なくとも1つは炭化水素基である。)
(RMg (10)
(式中、Rは互いに同じでも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン、炭化水素基、アミノ基、アルコキシ基、または炭化水素基で置換されたアミノ基もしくはアルコキシ基を示し、そのうち少なくとも1つは炭化水素基である。)
Li (11)
(式中、Rは水素原子または炭化水素基である。)
メタロセン触媒調製の際の遷移金属化合物および活性化助触媒の量比は、活性化助触媒が一般式(5)、(6)、(7)、(8)で表される化合物、スルホン酸塩またはカルボン酸誘導体である場合、遷移金属化合物:活性化助触媒=10:1〜1:1000のモル比が好ましく用いられ、特に好ましくは3:1〜1:100の範囲が用いられる。また、さらに有機金属化合物を用いる際の遷移金属化合物と有機金属化合物の比は特に制限はないが、遷移金属化合物:有機金属化合物の金属原子当たりのモル比は100:1〜1:100000の範囲が好ましく用いられ、さらに好ましくは1:1〜1:10000の範囲が用いられる。有機金属化合物の使用量が10000倍モルを超えると脱灰の工程を考慮する必要がある。また、触媒安定性および触媒毒の除去の観点を考えあわせると、遷移金属化合物:有機金属化合物を1:1〜1:1000のモル比で使用することが特に好ましい。
なお、上記の各成分の比率において、各メタロセン触媒の使用量の比率は特に制限がなく、任意の量で用いることができる。
メタロセン触媒を調製する方法について特に制限はなく、各成分に対して不活性な溶媒またはモノマーを溶媒として用いて混合する方法が挙げられる。また、上述した触媒成分を反応させる順番についても特に制限はなく、この処理を行う温度、処理時間も特に制限はない。
また、メタロセン触媒を用いる際、オレフィン類を通常の方法で予備重合させてなるメタロセン触媒の存在下に、エチレン・α−オレフィン共重合体を製造することもできる。その際、高い触媒活性と粒子の移送を容易とし、安定な製造が実現される。
メタロセン触媒を用いて予備重合を行う方法に関しては、メタロセン触媒とオレフィン類が重合しうる条件であれば特に限定されない。
以下に、上記の触媒系を用いて実質的にポリマーが溶融あるいは溶解した状態で、エチレン・α−オレフィン共重合体を安定的に生産する方法を示す。
エチレンとα−オレフィンは、共重合体の融点以上の重合温度下、重合圧力40〜400MPaの高圧状態で重合される。
反応温度は共重合体の融点〜300℃が好ましく、共重合体の融点より30℃以上高い温度〜300℃が反応器や後処理工程の制約の点から特に好ましい。反応器部位で温度を変更できる場合は、反応器内で温度変化を持たせる方法が分子量分布の広いポリマーを製造する際に好ましく用いられる。温度変化の度合いは特に制限されないが、30℃以上反応器下部(ポリマー排出側)を高く保つことが生産性を向上させ、分子量分布を広げる際に有利である。
反応圧力は40〜400MPaの範囲が好ましく、特に好ましくは実用性を考慮すると40〜200MPaの範囲である。
本触媒を反応器に供給する方法に特に制限はないが、1ヶ所より供給されても、複数ヶ所から供給されてもかまわない。好ましくは2ヶ所以上の複数ヶ所から供給することにより、分子量分布等をより容易に制御することができる。
また、重合時に水素などを用いて分子量の調節を行うことも可能である。共重合体は、重合終了後に従来既知の方法により分離回収され、乾燥して得ることができる。
α−オレフィンとしては、炭素数3〜12である、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドテセンなどを挙げることができる。
本発明の押出ラミネート用エチレン系樹脂組成物を構成する高圧ラジカル重合法で得られる低密度ポリエチレンは、JIS K6922−1(1997年)で測定した密度が910〜935kg/mの範囲にある。密度が935kg/mを超える場合は、低密度ポリエチレン(B)の融点が高く低温ヒートシール性が悪化し好ましくない。一方、密度が910kg/m未満であると、フィルムの自己粘着性が増して、ブロッキングが起こるので好ましくない。
また、この高圧法低密度ポリエチレンは、JIS K6922−1(1997年)によるメルトマスフローレートが0.1〜10g/10分、好ましくは0.5〜5g/10分、さらに好ましくは0.7〜3g/10分の範囲にある。MFRが0.1g/10分未満の場合は押出負荷が高くなり、また押出ラミネート用エチレン系樹脂組成物を押出ラミネート加工に供し得られた積層体の外観が悪化し好ましくない。MFRが10g/10分を超えるものはネックインが大きくなるために、好ましくない。
高圧法低密度ポリエチレンは、従来公知の高圧ラジカル重合法により得ることができ、本発明の範囲において便宜選択される。
本発明におけるエチレン・α−オレフィン共重合体と低密度ポリエチレンの配合比率は、エチレン・α−オレフィン共重合体が50〜97重量%、好ましくは60〜95重量%、低密度ポリエチレンが3〜50重量%、好ましくは5〜40重量%である。エチレン・α−オレフィン共重合体が50重量%未満の場合、押出ラミネート加工に供し得られた積層体のヒートシール強度が低いため好ましくなく、97重量%を超える場合押出ラミネート加工に供した際のネックインが大きく好ましくない。
本発明における押出ラミネート用エチレン系樹脂組成物は、エチレン・α−オレフィン共重合体と高圧法低密度ポリエチレンとのドライブレンドであってもよいが、単軸押出機、ニ軸押出機、ニーダー、バンバリー、二本ロール等で溶融混練したものの方が、品質の安定したものが得られるので好ましい。
また、本発明における押出ラミネート用エチレン系樹脂組成物は、必要に応じて、酸化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤等、ポリオレフィン樹脂に一般的に用いられている添加剤を添加してもかまわない。
さらに本発明の押出ラミネート用エチレン系樹脂組成物を低臭性が求められる積層体に用いる場合には、30℃以上80℃以下の温度で4時間以上熱処理し、揮発分を低減することが望ましい。
本発明の押出ラミネート用エチレン系樹脂組成物は、押出ラミネート成形法、サンドウィッチラミネート法、共押出ラミネート法等の各種成形法により各種基材にラミネートし、本発明の押出ラミネート用エチレン系樹脂組成物を少なくとも一層有する積層体とすることができる。
押出ラミネート加工に供する際、基材との良好な接着性を得るため、ダイより押出された本発明の押出ラミネート用エチレン系樹脂組成物は250℃〜350℃の温度でダイより押出すことが好ましい。また押出ラミネート用エチレン系樹脂組成物からなる溶融フィルムの少なくとも基材と接する面は、空気もしくはオゾンガスにより酸化されていてもよい。空気による酸化反応を進行させる場合、ダイより押出された本発明の押出ラミネート用エチレン系樹脂組成物の温度は270℃以上であることが好ましく、オゾンガスによる酸化反応を進行させる場合は、ダイより押出された本発明の押出ラミネート用エチレン樹脂組成物の温度は250℃以上であることが好ましい。またオゾンガスの処理量としては、ダイより押出された本発明の押出ラミネート用エチレン系樹脂組成物よりなるフィルム1m当たり0.5mg以上であることが好ましい。
また基材との接着性を高めるため、基材の接着面に対してアンカーコート剤処理、コロナ放電処理、フレーム処理、プラズマ処理などの公知の表面処理を施してもよい。
また、上記基材としては合成高分子重合体フィルム及びシート、金属箔、紙類、セロファン等が挙げられる。例えばポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン等の合成高分子重合体からなるフィルム及びシート、等が挙げられる。更に、これら高分子重合体フィルム及びシートはさらにアルミニウム蒸着、アルミナ蒸着、二酸化珪素蒸着されたものでもよい。また、これら高分子重合体フィルム及びシートはさらにウレタン系インキ等を用い印刷されたものでもよい。
金属箔としては、アルミニウム箔、銅箔などが例示でき、また紙類としてはクラフト紙、上質紙、グラシン紙、板紙等が挙げられる。
本発明の積層体は、以下に示す方法により測定される低温シール性と耐熱性のバランスに優れている。
低温シール性の評価方法を以下に示す。
積層体の押出ラミネート用エチレン系樹脂組成物面同士を重ね合わせ、圧力0.2MPa、時間1秒、ヒートシール温度80〜140℃の条件で、ヒートシールバーにより押さえてヒートシールを行ない、該ヒートシール部分を、サンプル巾15mm、剥離速度300mm/分、180度剥離の条件で剥離強度を測定することにより得られる該剥離強度をヒートシール強度とし、ヒートシール強度が10N/15mmに達する温度(Ts)を低温シール性の指標とする。該温度が低いほど低温シール性に優れる。
一方、耐熱性の評価方法は以下の通りである。
押出ラミネート用エチレン系樹脂組成物を、示差走査型熱量計[パーキンエルマー(株)製、DSC−7]を用い、装置内で試料を200℃で5分間溶融させた後、10℃/分で30℃まで冷却したものについて、再度10℃/分で昇温させた時に得られる吸熱曲線の最大ピーク位置の温度(Tm)を求めた。このTmを耐熱性の指標とし、Tmが高いほど耐熱性に優れることを示す。
低温シール性と耐熱性のバランスは、Tm/Tsから求めた。Tm/Tsが0.98より高いと低温シール性と耐熱性のバランスに優れることを示し、Tm/Tsが1.00より高い場合が最も好ましい。
本発明の押出ラミネート用エチレン系樹脂組成物からなる積層体は、スナック菓子、インスタントラーメン等の乾燥食品、スープ、味噌、漬物等の水物食品、牛乳、ジュース等の飲料、薬、輸液バッグ等の医薬品、シャンプー、化粧品など広範囲にわたる用途に向けた包装用ラミネートフィルムとして用いることができる。また、特に低臭性を必要とする積層体に好適に用いられる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
以下に、試料の調製方法、物性、加工性の測定方法と評価方法を示す。
(1)試料の調製方法
(エチレン・α−オレフィン共重合体の製造方法)
触媒調製例1
塩酸ジメチルアニリニウム69gを300mLの水に加え、これをモンモリロナイト300gが入った水3Lに加えた。この上澄み液を除去した後、水、エタノールで洗浄した。その後減圧乾燥し、粉砕することで得られた変性モンモリロナイトを活性化助触媒として用い、遷移金属化合物としてジフェニルメチレン(4‐フェニル‐1−インデニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリドを用い、有機金属化合物としてトリイソブチルアルミニウムを用いて、遷移金属化合物1μモルZr原子当たり活性化助触媒30mg(30μモル)、有機金属化合物450μモルAl原子を加え、遷移金属化合物の濃度が250μモル/Lとなるように脂肪族飽和炭化水素溶媒で希釈して調製したものをメタロセン触媒(A)として用いた。メタロセン触媒(A)を単独で用い、反応圧力を90MPa、1−ヘキセンの系内濃度を36.3mol%、反応器の内温(RxT)を204℃として、1500rpmで攪拌しながら連続的に重合した結果、Crea=0.57、Cpoly=0.062の数値を得た。すなわち、rは0.11であった。また、得られたエチレン・1−ヘキセン共重合体のMFRは7.9g/10分、密度は899kg/mであった。EXP(12.6 × Ln(RxT) − 0.10967 × d + 35.3)は41.1となり、式(3)を満たす。
触媒調製例2
塩酸ジメチルアニリニウム69gを300mLの水に加え、これをモンモリロナイト300gが入った水3Lに加えた。この上澄み液を除去した後、水、エタノールで洗浄した。その後減圧乾燥し、粉砕することで得られた変性モンモリロナイトを活性化助触媒として用い、遷移金属化合物としてジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリドを用い、有機金属化合物としてトリイソブチルアルミニウムを用いて、遷移金属化合物1μモルZr原子当たり活性化助触媒30mg(30μモル)、有機金属化合物450μモルAl原子を加え、遷移金属化合物の濃度が250μモル/Lとなるように脂肪族飽和炭化水素溶媒で希釈して調製したものをメタロセン触媒(B)として用いた。メタロセン触媒(B)を単独で用い、反応圧力を90MPa、1−ヘキセンの系内濃度を36.3mol%、反応器の内温(RxT)を204℃として、1500rpmで攪拌しながら連続的に重合した結果、Crea=0.57、Cpoly=0.041の数値を得た。すなわち、rは0.07であった。また、得られたエチレン・1−ヘキセン共重合体のMFRは4.7g/10分、密度は921kg/mであった。EXP(12.6 × Ln(RxT) − 0.10967 × d + 35.3)は1.3となり、式(4)を満たす。
エチレン・α‐オレフィン共重合体(A−1)の製造例
10Lの攪拌機付き反応器を用いて、エチレンガスと1−ヘキセンガスを4/1の比率で供給し、さらにメタロセン触媒(A)およびメタロセン触媒(B)をメタロセン触媒(A)/(B)比=1/5(Zr原子モル比)で連続的に供給し、反応圧力を90MPa、反応器の内温、を210℃として、1500rpmで攪拌しながら連続的に重合し、エチレン/1−ヘキセン共重合体を製造した。生産速度は21.2kg/時であり、高い生産効率で生産ができた。得られたエチレン・α−オレフィン共重合体(A−1)の性状を表1に示す。
なお、メタロセン触媒(A)として触媒調製例1、メタロセン触媒(B)として触媒調製例2で得られたものをそれぞれ用いた。
Figure 0004923423
エチレン・α‐オレフィン共重合体(A−2)、(A−3)の製造例
エチレンガスと1−ヘキセンガスの比率、重合温度を調整した以外は、エチレン・α−オレフィン共重合体(A−1)と同様にして表1に示す性状を有するエチレン・1−ヘキセン共重合体を得た。
エチレン・α‐オレフィン共重合体(A−4)の製造例
メタロセン触媒(A)のみを用いた他は、エチレン・α−オレフィン共重合体(A−1)〜(A−3)と同様にしてエチレン/1−ヘキセン共重合体を得た。得られたエチレン・α−オレフィン共重合体(A−4)の性状を表1に示す。
エチレン・α−オレフィン共重合体(A−5)
メタロセン触媒により合成されたハーモレックスNC544A(日本ポリオレフィン(株)製)を用いた。性状を表1に示す。
(2)樹脂の分析方法
(メルトマスフローレート(MFR))
エチレン系重合体は、JIS K6922−1(1997年)に準拠。
(密度)
エチレン系重合体は、JIS K6922−1(1997年)に準拠。
(微分溶出曲線)
機種:クロス分別測定装置 CFC T−101(三菱化学(株)製)
溶離液:オルトジクロロベンゼン
試料濃度:2.5mg/mol
サンプルループへの注入量:0.5ml
サンプルループへ注入された試料を、1℃/分の速度で140℃から0℃の温度まで冷却し、TREFカラムにコーティングさせた。TREFカラムを0℃で更に30分間保持した後、TREFカラムを以下に示す条件において昇温し、各温度における溶解している成分を1ml/分の流速でTREFカラムからGPCカラム(東ソー(株)製 TSKgel GMHHR−H(20)1本、東ソー(株)製 TSKgel GMHHR−H(S)2本)へ注入した。
溶出温度:0,5,10,15,20,25,30,35,40,50,55,60,65,70,73,76,79、82,85,88、91,94,97,100,120,140℃
各温度保持時間:5分
該GPCカラムで分子サイズによって分別された溶液について、装置付属の赤外分光光度計でポリマーの濃度に比例する吸光度を測定し(波長3.42μ,メチレンの伸縮振動で検出)、各溶出温度区分のクロマトグラムを得た。さらに、内蔵のデータ処理ソフトを用い、上記測定で得られた各溶出温度区分のクロマトグラムのベースラインを引き、演算処理し、微分溶出曲線を計算した。
(重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn))
ゲル浸透クロマトグラフィを用いて、以下に示す条件下で測定し、単分散ポリスチレンでユニバーサルな検量線を測定し、直鎖のポリエチレンの分子量として計算した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を求めた。
機種:ウォーターズ 150C ALC/GPC
溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼン
流速:1mL/min
温度:140℃
測定濃度:30mg/30mL
注入量:100μL
(3)押出ラミネート用エチレン系樹脂組成物の製造方法
上記方法により得られたエチレン・α−オレフィン共重合体と表2に示す高圧法低密度ポリエチレン(B−1:東ソー株式会社製 商品名ペトロセン360、B−2:東ソー株式会社製 商品名ペトロセン213)を実施例および比較例に示す比率に配合し、単軸押出機(プラコー社製 口径50mm)を用い150℃の温度にて溶融混練し押出ラミネート用エチレン系樹脂組成物のペレットを得た。
Figure 0004923423
(4)積層体の製造方法
(低温シール性評価用試料の押出ラミネート方法)
上記方法により得られた押出ラミネート用エチレン系樹脂組成物ペレットを90mmΦのスクリューを有する押出ラミネーターの押出機へ供給し、285℃の温度でTダイより押出し、基材上に押出ラミネート用エチレン系樹脂組成物が30μmの厚さになるよう押出ラミネートし、積層体(N)を得た。基材は、厚み25μmのニ軸延伸ポリアミドフィルム(東洋紡績(株)製 商品名東洋紡ハーデンフィルムN1100、以下Nyと記す。)のコロナ処理面にアンカーコート剤(日本曹達株式会社製 商品名チタボンドT−120)を介し、直鎖状低密度ポリエチレン(東ソー株式会社製 ニポロン−Z TZ420)を310℃の温度で20μm押出ラミネートしたものを用いた。
(基材との接着性評価用試料の押出ラミネート方法)
上記方法により得られた押出ラミネート用エチレン系樹脂組成物ペレットを90mmΦのスクリューを有する押出ラミネーターの押出機へ供給し、310℃の温度でTダイより押出し、基材と支持層の間に押出ラミネート用樹脂組成物が15μmの厚さになるよう押出ラミネートし、積層体(AL)を得た。基材は、厚み20μmのアルミニウム箔(住友軽金属工業株式会社製 、以下ALと記す。)を用い、支持層にはPETフィルムと高圧法低密度ポリエチレンをラミネートした積層フィルム(押出ラミネート用エチレン系樹脂組成物との接触面は高圧法低密度ポリエチレン)を用いた。
(5)樹脂、樹脂組成物、積層体の分析方法および物性評価方法
(ヒートシール強度)
(4)積層体の製造方法により得られた積層体(N)の押出ラミネート用エチレン系樹脂組成物面同士を重ね合わせ、圧力0.2MPa、時間1秒、ヒートシール温度140℃の条件で、ヒートシールバーにより押さえてヒートシールを行った。そして、該ヒートシール部分を、引張試験機(島津製作所株式会社製、商品名オートグラフDCS500)を用い、サンプル巾15mm、剥離速度300mm/分、180度剥離での剥離強度を測定し、該剥離強度をヒートシール強度とした。
(低温シール性と耐熱性バランス)
低温シール性は、以下に示す方法により求めた。
(4)積層体の製造方法により得られた積層体(N)の押出ラミネート用エチレン系樹脂組成物面同士を重ね合わせ、圧力0.2MPa、時間1秒、ヒートシール温度80〜140℃の条件で、ヒートシールバーにより押さえてヒートシールを行った。そして、該ヒートシール部分を、引張試験機(島津製作所株式会社製、商品名オートグラフDCS500)を用い、サンプル巾15mm、剥離速度300mm/分、180度剥離での剥離強度を測定し、該剥離強度をヒートシール強度とした。低温シール性は、ヒートシール強度が10N/15mmに達する温度(Ts)とした。該温度が低いほど低温シール性に優れる。
また、耐熱性の評価方法を以下に示す。
示差走査型熱量計[パーキンエルマー(株)製、DSC−7]を用い、装置内で試料を200℃で5分間溶融させた後、10℃/分で30℃まで冷却したものについて、再度10℃/分で昇温させた時に得られる吸熱曲線の最大ピーク位置の温度(Tm)を求めた。このTmを耐熱性の指標とし、Tmが高いほど耐熱性に優れることを示す。
低温シール性と耐熱性のバランスは、Tm/Tsから求めた。Tm/Tsが0.98より高いと低温シール性と耐熱性のバランスに優れることを示す。
(基材との接着性)
(4)積層体の製造方法により得られた積層体(AL)のアルミニウム箔/押出ラミネート用エチレン系樹脂組成物間の接着強度をオートグラフDCS−100引張試験機にて測定した。剥離速度は300mm/分、試験片の巾は15mmである。
実施例1
エチレン・α−オレフィン共重合体として、表1に示す(A−1)を80重量%、高圧法低密度ポリエチレンとして、表2に示す(B−1)を20重量%からなる上記方法により製造された押出ラミネート用エチレン系樹脂組成物を用い、積層体(N)、積層体(AL)を得た。
積層体の物性評価結果を表3に示す。
実施例2
エチレン・α−オレフィン共重合体として、表1に示す(A−2)を80重量%、高圧法低密度ポリエチレンとして、表2に示す(B−1)を20重量%とした以外は実施例1と同様にして、積層体(N)、積層体(AL)を得た。
積層体の物性評価結果を表3に示す。
実施例3
エチレン・α−オレフィン共重合体として、表1に示す(A−3)を80重量%、高圧法低密度ポリエチレンとして、表2に示す(B−1)を20重量%とした以外は実施例1と同様にして、積層体(N)、積層体(AL)を得た。
積層体の物性評価結果を表3に示す。
実施例4
エチレン・α−オレフィン共重合体として、表1に示す(A−1)を95重量%、高圧法低密度ポリエチレンとして、表2に示す(B−1)を5重量%とした以外は実施例1と同様にして、積層体(N)、積層体(AL)を得た。
積層体の物性評価結果を表3に示す。
実施例5
エチレン・α−オレフィン共重合体として、表1に示す(A−1)を60重量%、高圧法低密度ポリエチレンとして、表2に示す(B−2)を40重量%とした以外は実施例1と同様にして、積層体(N)、積層体(AL)を得た。
積層体の物性評価結果を表3に示す。
Figure 0004923423
比較例1
エチレン・α−オレフィン共重合体として、表1に示す(A−4)を80重量%、高圧法低密度ポリエチレンとして、表2に示す(B−1)を20重量%とした以外は実施例1と同様にして、積層体(N)、積層体(AL)を得た。
積層体の物性評価結果を表4に示すが、低温シール性と耐熱性のバランス、および基材との接着性に劣っていた。
比較例2
エチレン・α−オレフィン共重合体として、表1に示す(A−1)を99重量%、高圧法低密度ポリエチレンとして、表2に示す(B−1)を1重量%とした以外は実施例1と同様にして、積層体(N)、積層体(AL)を得ようと試みたが、ネックインが大きすぎるため積層体を得ることができなかった。
比較例3
エチレン・α−オレフィン共重合体として、表1に示す(A−4)を40重量%、高圧法低密度ポリエチレンとして、表2に示す(B−1)を60重量%とした以外は実施例1と同様にして、積層体(N)、積層体(AL)を得た。
積層体の物性評価結果を表4に示すが、ヒートシール強度、および基材との接着性に劣っていた。
比較例4
エチレン・α−オレフィン共重合体として、表1に示す(A−5)を60重量%、高圧法低密度ポリエチレンとして、表2に示す(B−2)を40重量%とした以外は実施例1と同様にして、積層体(N)、積層体(AL)を得た。
積層体の物性評価結果を表4に示すが、ヒートシール強度、および基材との接着性に劣っていた。
Figure 0004923423

Claims (5)

  1. 以下に示す(a1)〜(a4)を満たし、塩酸ジメチルアニリニウムとモンモリロナイトからなる変性モンモリロナイト、ジフェニルメチレン(4‐フェニル‐1−インデニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド及びトリイソブチルアルミニウムからなるメタロセン触媒(A)と、塩酸ジメチルアニリニウムとモンモリロナイトからなる変性モンモリロナイト、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド及びトリイソブチルアルミニウムからなるメタロセン触媒(B)を用いて重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体50〜97重量%と、以下に示す(b1)〜(b2)を満たす高圧ラジカル重合法により得られる低密度ポリエチレン3〜50重量%からなることを特徴とする押出ラミネート用エチレン系樹脂組成物。
    (a1)JIS K6922−1(1997年)による密度が860〜940kg/m
    (a2)JIS K6922−1(1997年)によるメルトマスフローレートが5g/10分以上100g/10分以下
    (a3)温度上昇溶離分別(TREF)によって得られる溶出微分曲線のピークが2つ以上あり、かつピークの最高温度が50〜90℃の範囲にある
    (a4)ゲルパーミエーションクロマトグラフィにて測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が2〜4
    (b1)JIS K6922−1(1997年)による密度が910〜935kg/m
    (b2)JIS K6922−1(1997年)によるメルトマスフローレートが0.1〜10g/10分
  2. エチレン・α−オレフィン共重合体の温度上昇溶離分別(TREF)によって得られる溶出微分曲線のピークが2つ以上あり、かつピークの最高温度が60〜85℃の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の押出ラミネート用エチレン系樹脂組成物。
  3. エチレン・α−オレフィン共重合体が単一の反応器において重合されてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の押出ラミネート用エチレン系樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のエチレン系樹脂組成物を押出ラミネート成形して得られる積層体。
  5. エチレン・α−オレフィン共重合体の融点(Tm)と積層体のヒートシール強度が10N/15mmに達する温度(Ts)との比(Tm/Ts)が0.98以上であることを特徴とする請求項4に記載の積層体。
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