JP2014224172A - 押出ラミネート用樹脂組成物およびそれよりなる積層フィルム - Google Patents

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芳尚 藤井
省治 西尾
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省治 西尾
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Abstract

【課題】低温ヒートシール性、ヒートシール強度、ホットタック性かつ易引裂性に優れた押出ラミネート用樹脂組成物を提供する。
【解決手段】エチレン・ブテン−1共重合体(A)、エチレン・α−オレフィン共重合体(α−オレフィンはヘキセン−1又はオクテン−1)(B)及び高圧法低密度ポリエチレン(C)を含む押出ラミネート用樹脂組成物を用いる。
【選択図】 なし

Description

低温ヒートシール性、ヒートシール強度、ホットタック性かつ易引裂性に優れた押出ラミネート用樹脂組成物およびそれよりなる積層フィルムに関するものである。
食品、医療品・薬品、シャンプー・化粧品等を個別包装する包装材のシーラント層には、従来、低密度ポリエチレンまたはエチレン−酢酸ビニル共重合体が用いられている。特に、エチレン−酢酸ビニル共重合体は、低温ヒートシール性、ヒートシール強度、ホットタック性に優れることや、また、包装された製品を開封する際、包装材が手で容易に引裂くことができる性質(以下、易引裂性)に優れている。しかしながら、該エチレン−酢酸ビニル共重合体は、低密度ポリエチレンと比較して熱分解しやすいため、押出ラミネート加工をする際に、低密度ポリエチレンよりも加工温度を低くする必要がある。このため、低密度ポリエチレンおよびエチレン−酢酸ビニル共重合体を同じ押出ラミネート加工機で使用する場合、各々の樹脂に適した加工温度となるまでの間は、樹脂および時間のロスが発生し、生産効率が悪化する問題がある。
低密度ポリエチレンと同等の温度で押出ラミネート加工が可能で、低温ヒートシール性、ヒートシール強度およびホットタック性が良好となる樹脂組成物として、エチレン−ヘキセン−1共重合体と低密度ポリエチレンをブレンドした樹脂を用いる方法が提案されている(例えば、特許文献1)。しかしながら、該エチレン−ヘキセン−1共重合体と低密度ポリエチレンをブレンドした樹脂を用いた包装材は、従来のエチレン−酢酸ビニル共重合体を用いた包装材と比較して、易引裂性が劣るとの問題がある。
また、易引裂性を向上させる技術として、エチレン−ブテン−1共重合体と低密度ポリエチレンをブレンドした樹脂を用いる方法(例えば、特許文献2)が提案されている。これらの方法は、エチレン−ヘキセン−1共重合体と低密度ポリエチレンをブレンドした樹脂と比較して、易引裂性は向上するものの、ホットタック性は、エチレン−酢酸ビニル共重合体と比較して劣るものであった。
これらの方法では、低温ヒートシール性、ヒートシール強度、ホットタック性かつ易引裂性を十分満足することは困難と言える。
特開平7−026079号公報 特開2012−177034号公報
本発明は、低密度ポリエチレンと同様に高温でのラミネート成形が可能で取り扱いが容易であり、エチレン−酢酸ビニル共重合体相当以上の低温ヒートシール性、ヒートシール強度、ホットタック性かつ易引裂性を有する樹脂組成物を得ることにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定のエチレン−αオレフィン共重合体と高圧法低密度ポリエチレンから構成される樹脂組成物を押出ラミネートに用いることで、得られた包装材が低温ヒートシール性、ヒートシール強度、ホットタック性かつ易引裂性に優れることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、エチレン・ブテン−1共重合体(A)、エチレン・α−オレフィン共重合体(α−オレフィンはヘキセン−1又はオクテン−1)(B)及び高圧法低密度ポリエチレン(C)を含み、上記(A)がメルトフローレート1〜70g/10分、密度880〜940kg/mで、上記(B)がメルトフローレート0.5〜70g/10分、密度880〜940kg/mで、上記(C)がメルトフローレート0.5〜30g/10分、密度910〜940kg/mであり、配合割合が(A)30〜90重量%、(B)5〜50重量%、(C)5〜50重量%((A),(B),(C)の合計は100重量%)である押出ラミネート用樹脂組成物に係るものである。
以下に、本発明について詳細に説明する。
本発明のエチレン・ブテン−1共重合体(A)は、JIS K6922−1(1997年)によるメルトフローレートが1〜70g/10分、好ましくは5〜70g/10分の範囲にあるものである。押出ラミネートにおいて、メルトフローレートが1g/10分未満では、溶融せん断粘度が高くなって押出機への負荷が大きくなるとともに、ドロ−ダウン性も悪くなるために好ましくない。一方、70g/10分を超える場合は、ホットタック性が悪くなり、また、押出成形された溶融膜の端部の安定性が悪く、ネックインも大きくなるなど成膜安定性が悪くなるため好ましくない。
このエチレン・ブテン−1共重合体(A)は、JIS K6922−1(1997年)で測定した密度が880〜940kg/mの範囲にある。密度が940kg/mを超える場合は、エチレン・ブテン−1共重合体(A)の融点が高くなり、低温ヒートシール性が悪化するため好ましくない。一方、密度が880kg/m未満であると、フィルムの自己粘着性が増して、ブロッキング現象が起こるため好ましくない。
本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体(B)は、エチレン・ヘキセン−1共重合体又はエチレン・オクテン−1共重合体(B)である。エチレン・α−オレフィン共重合体(B)は、JIS K6922−1(1997年)によるメルトフローレートが0.5〜70g/10分、好ましくは0.5〜5g/10分の範囲にあるものである。メルトフローレートが0.5g/10分未満では、溶融せん断粘度が高くなって押出機への負荷が大きくなるとともに、ドロ−ダウン性も悪くなるために好ましくない。一方、70g/10分を超える場合は、ホットタック性が悪くなり、また、ヒートシール強度が低くなるため好ましくない。
このエチレン・α−オレフィン共重合体(B)は、JIS K6922−1(1997年)で測定した密度が880〜940kg/mの範囲にある。密度が940kg/mを超える場合は、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の融点が高くなり、低温ヒートシール性およびホットタック性が悪化するため好ましくない。一方、密度が880kg/m未満であると、ヒートシール強度が低く、好ましくない。
エチレン・ブテン−1共重合体、エチレン・ヘキセン−1共重合体およびエチレン・オクテン−1共重合体の製造方法は、特に限定するものではなく、メタロセン触媒の存在下において、エチレンとブテン−1、エチレンとヘキセン−1、ないしエチレンとオクテン−1とを共重合する方法が、コストパフォーマンスや本発明の押出ラミネート用樹脂組成物を押出ラミネート成形に供し得られた積層フィルムの低温ヒートシール性、ヒートシール強度、ホットタック性が良好かつ易引裂性のバランスに優れるため好ましい。メタロセン触媒とは、有機環状化合物を配位子として有する遷移金属化合物、活性化助触媒および有機金属化合物からなるものが用いられる。
メタロセン触媒は、1種類に限定されるものではなく、2種類以上用いることにより、低温ヒートシール性とホットタック性が良好となるので好ましい。
メタロセン触媒の構成成分の一つである活性化助触媒としては、特に限定はなく、公知のものはすべて使用することができる。具体的には、下記一般式(5)で表されるプロトン酸、一般式(6)で表されるイオン化イオン性化合物、一般式(7)で表されるルイス酸、一般式(8)で表されるルイス酸性化合物、粘土鉱物、塩化マグネシウム化合物、スルホン酸塩、またはカルボン酸誘導体などを挙げることができる。
[HR][E(Ar)] (5)
[GR ][E(Ar)] (6)
[D][E(Ar)] (7)
E(Ar) (8)
(式中、Hは水素原子であり、Eはホウ素原子またはアルミニウム原子である。Rはエーテル類、脂肪族アミン類、芳香族アミン類、ホスフィン類等のルイス塩基、RはRで例示したルイス塩基または置換もしくは無置換のシクロペンタジエニル基である。Gはリチウム原子、鉄原子または銀原子であり、Dはカルボニウムカチオンまたはトロピリウムカチオンである。Arは互いに同じでも異なっていてもよく、アリール基、アラルキル基、ハロゲン,炭化水素基もしくはヘテロ原子含有炭化水素基で置換されたアリール基もしくはアラルキル基、または炭化水素基もしくはヘテロ原子含有炭化水素基を有するシリル基で置換されたアリール基もしくはアラルキル基であり、好ましくはアリール基、ハロゲン原子,炭化水素基もしくはヘテロ原子含有炭化水素基で置換されたアリール基、または炭化水素基もしくはヘテロ原子含有炭化水素基を有するシリル基で置換されたアリール基である。pは0、1または2である。)
さらにメタロセン触媒に用いられる有機金属化合物としては、少なくとも1つの炭化水素基を有する周期表第1、2、13族の金属原子、スズ原子または亜鉛原子を有するものであり、特に限定するものではないが、例えば、下記一般式(9)、(10)または(11)で表される化合物を挙げることができる。
(RAl (9)
(式中、Rは互いに同じでも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アミノ基、アルコキシ基、または炭化水素基で置換されたアミノ基もしくはアルコキシ基を示し、そのうち少なくとも1つは炭化水素基である。)
(RMg (10)
(式中、Rは互いに同じでも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン、炭化水素基、アミノ基、アルコキシ基、または炭化水素基で置換されたアミノ基もしくはアルコキシ基を示し、そのうち少なくとも1つは炭化水素基である。)
Li (11)
(式中、Rは水素原子または炭化水素基である。)
メタロセン触媒調製の際の遷移金属化合物および活性化助触媒の量比は、活性化助触媒が一般式(5)、(6)、(7)、(8)で表される化合物、スルホン酸塩またはカルボン酸誘導体である場合、遷移金属化合物:活性化助触媒=10:1〜1:1000のモル比が好ましく用いられ、特に好ましくは3:1〜1:100の範囲が用いられる。また、さらに有機金属化合物を用いる際の遷移金属化合物と有機金属化合物の比は特に制限はないが、遷移金属化合物:有機金属化合物の金属原子当たりのモル比は100:1〜1:100000の範囲が好ましく用いられ、さらに好ましくは1:1〜1:10000の範囲が用いられる。有機金属化合物の使用量が10000倍モルを超えると脱灰の工程を考慮する必要がある。また、触媒安定性および触媒毒の除去の観点を考えあわせると、遷移金属化合物:有機金属化合物を1:1〜1:1000のモル比で使用することが特に好ましい。
なお、上記の各成分の比率において、各メタロセン触媒の使用量の比率は特に制限がなく、任意の量で用いることができる。
メタロセン触媒を調製する方法について特に制限はなく、各成分に対して不活性な溶媒またはモノマーを溶媒として用いて混合する方法が挙げられる。また、上述した触媒成分を反応させる順番についても特に制限はなく、この処理を行う温度、処理時間も特に制限はない。
また、メタロセン触媒を用いる際、オレフィン類を通常の方法で予備重合させてなるメタロセン触媒の存在下に、エチレン・ブテン−1共重合体、エチレン・ヘキセン−1共重合体、ないしエチレン・オクテン−1共重合体を製造することもできる。その際、高い触媒活性と粒子の移送を容易とし、安定な製造が実現される。
メタロセン触媒を用いて予備重合を行う方法に関しては、メタロセン触媒とオレフィン類が重合しうる条件であれば特に限定されない。
以下に、上記の触媒系を用いて実質的にポリマーが溶融あるいは溶解した状態で、エチレン・ブテン−1共重合体、エチレン・ヘキセン−1共重合体、ないしエチレン・オクテン−1共重合体を安定的に生産する方法を示す。
エチレン・ブテン−1共重合体、エチレン・ヘキセン−1共重合体、ないしエチレン・オクテン−1共重合体は、共重合体の融点以上の重合温度下、重合圧力40〜400MPaの高圧状態で重合される。
反応温度は共重合体の融点〜300℃が好ましく、共重合体の融点より30℃以上高い温度〜300℃が反応器や後処理工程の制約の点から特に好ましい。反応器部位で温度を変更できる場合は、反応器内で温度変化を持たせる方法が分子量分布の広いポリマーを製造する際に好ましく用いられる。温度変化の度合いは特に制限されないが、30℃以上反応器下部(ポリマー排出側)を高く保つことが生産性を向上させ、分子量分布を広げる際に有利である。
反応圧力は40〜400MPaの範囲が好ましく、特に好ましくは実用性を考慮すると40〜200MPaの範囲である。
本触媒を反応器に供給する方法に特に制限はないが、1ヶ所より供給されても、複数ヶ所から供給されてもかまわない。好ましくは2ヶ所以上の複数ヶ所から供給することにより、分子量分布等をより容易に制御することができる。
また、重合時に水素などを用いて分子量の調節を行うことも可能である。共重合体は、重合終了後に従来既知の方法により分離回収され、乾燥して得ることができる。
本発明の高圧法低密度ポリエチレン(C)は、JIS K6922−1(1997年)によるメルトマスフローレートが0.5〜30g/10分の範囲にある。MFRが0.5g/10分未満の場合は押出負荷が高くなり、また押出ラミネート用樹脂組成物を押出ラミネート加工に供し得られた積層フィルムの外観が悪化し好ましくない。MFRが30g/10分を超えるものはネックインが大きくなるために、好ましくない。
この、高圧法低密度ポリエチレン(C)は、JIS K6922−1(1997年)で測定した密度が910〜940kg/mの範囲にある。さらに好ましくは密度が910〜930kg/mの範囲にある。940kg/mを超える場合は、融点が高く低温ヒートシール性が悪化し好ましくない。一方、密度が910kg/m未満であると、フィルムの自己粘着性が増して、ブロッキングが起こるので好ましくない。
また、この高圧法低密度ポリエチレン(C)は、従来公知の高圧ラジカル重合法により得ることができ、本発明の範囲において便宜選択される。
本発明のエチレン・ブテン−1共重合体(A)とエチレン・α−オレフィン共重合体(B)と、高圧法低密度ポリエチレン(C)の配合割合は、(A)が30〜90重量%、(B)が5〜50重量%、(C)が5〜50重量%である。
より好ましくは、(A)が50〜80重量%、(B)が10〜40重量%、(C)が10〜40重量%である。
(A)の配合割合が30重量%未満の場合、易引裂性が劣る。一方、90重量%を超える場合、ホットタック性が低く、好ましくない。
(B)の配合割合が5重量%未満の場合、ホットタック性が劣る。一方、50重量%を超える場合、易引裂性が劣り、好ましくない。
(C)の配合割合が5重量%未満の場合、押出ラミネート時のネックインが大きくなり、加工性が低下し、好ましくなし。一方、50重量%を超える場合、ヒートシール強度が不十分となり、好ましくない。
本発明における押出ラミネート用樹脂組成物は、エチレン・ブテン−1共重合体(A)、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)、および高圧法低密度ポリエチレン(C)のペレットをドライブレンドしたものであってもよいが、単軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリー、二本ロール等で溶融混練したものの方が、品質の安定したものが得られるので好ましい。
また、本発明における押出ラミネート用樹脂組成物は、必要に応じて、酸化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤等、ポリオレフィン樹脂に一般的に用いられている添加剤を添加してもかまわない。
本発明の押出ラミネート用樹脂組成物は、押出ラミネート成形法、サンドウィッチラミネート法、共押出ラミネート法等の各種成形法により各種基材にラミネートし、本発明の押出ラミネート用樹脂組成物を少なくとも一層を有する積層フィルムとすることができる。
押出ラミネート加工に供する際、基材との良好な接着性を得るため、ダイより押出された本発明の押出ラミネート用樹脂組成物は250℃〜350℃の温度でダイより押出すことが好ましい。また押出ラミネート用樹脂組成物からなる溶融フィルムの少なくとも基材と接する面は、空気もしくはオゾンガスにより酸化されていてもよい。空気による酸化反応を進行させる場合、ダイより押出された本発明の押出ラミネート用樹脂組成物の温度は270℃以上であることが好ましく、オゾンガスによる酸化反応を進行させる場合は、ダイより押出された本発明の押出ラミネート用樹脂組成物の温度は250℃以上であることが好ましい。またオゾンガスの処理量としては、ダイより押出された本発明の押出ラミネート用樹脂組成物よりなるフィルム1m当たり0.5mg以上であることが好ましい。
また基材との接着性を高めるため、基材の接着面に対してアンカーコート剤処理、コロナ放電処理、フレーム処理、プラズマ処理などの公知の表面処理を施してもよい。
また、上記基材としては合成高分子重合体フィルム及びシート、金属箔、紙類、セロファン等が挙げられる。例えばポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成高分子重合体からなるフィルム及びシート、等が挙げられる。更に、これら高分子重合体フィルム及びシートはさらにアルミニウム蒸着、アルミナ蒸着、二酸化珪素蒸着されたものでもよい。また、これら高分子重合体フィルム及びシートはさらにウレタン系インキ等を用い印刷されたものでもよい。
金属箔としては、アルミニウム箔、銅箔などが例示でき、また紙類としてはクラフト紙、上質紙、グラシン紙、板紙等が挙げられる。
本発明の押出ラミネート用樹脂組成物は、低密度ポリエチレンと同様に高温でのラミネート成形が可能でハンドリング(取り扱い)が容易であり、エチレン−酢酸ビニル共重合体相当以上の低温ヒートシール性、ヒートシール強度、ホットタック性かつ易引裂性に優れることから、スナック菓子、インスタントラーメン等の乾燥食品、スープ、味噌、漬物、飲料等の水物飲食品、薬、輸液バッグ等の医薬品、シャンプー、化粧品など広範囲にわたる包装材料として非常に有用である。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
以下に、試料調整方法および物性の測定方法を示す。
(1)押出ラミネート用樹脂組成物の製造方法
エチレン・ブテン−1共重合体(A)と、エチレン・ヘキセン−1共重合体あるいはエチレン・オクテン−1共重合体(B)と高圧法低密度ポリエチレン(C)を実施例および比較例に示す比率に配合し、単軸押出機(プラコー社製 口径50mm)を用い、150℃の温度にて溶融混練し押出ラミネート用樹脂組成物のペレット(D)を得た。
(2)積層フィルムの製造方法
(ヒートシール強度、低温ヒートシール性、ホットタック性評価用試料の押出ラミネート方法)
上記方法により得られた押出ラミネート用樹脂組成物ペレットを90mmΦのスクリューを有する押出ラミネーターの押出機へ供給し、290℃の温度でTダイより押出し、基材上に押出ラミネート用樹脂組成物が30μmの厚さになるよう押出ラミネートし、積層フィルム(E)を得た。基材は、厚み25μmの二軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡績(株)製 商品名東洋紡エステルフィルムE5100、以下PETと記す。)のコロナ処理面にアンカーコート剤(日本曹達株式会社製 商品名チタボンドT−120)を介し、低密度ポリエチレン(東ソー株式会社製 商品名ペトロセン203)を330℃の温度で20μm押出ラミネートしたものを用いた。
(易引裂性評価用試料の押出ラミネート方法)
上記方法により得られた押出ラミネート用樹脂組成物ペレットを90mmΦのスクリューを有する押出ラミネーターの押出機へ供給し、290℃の温度でTダイより押出し、厚み20μmのアルミニウム箔(住友軽金属工業株式会社製、以下ALと記す。)上に押出ラミネート用樹脂組成物が30μmの厚さになるよう押出ラミネートし、積層フィルム(F)を得た。
(3)メルトマスフローレート(MFR)
JIS K6922−1(1997年)に準拠して測定した。
(4)密度
JIS K6922−1(1997年)に準拠して測定した。
(5)ヒートシール強度および低温ヒートシール性
積層フィルムの製造方法により得られた積層フィルム(E)の押出ラミネート用樹脂組成物面同士を重ね合わせ、圧力0.2MPa、時間1秒、ヒートシール温度を80〜140℃の範囲で、ヒートシールバーにより押さえてヒートシールを行った。そして、該ヒートシール部分を、引張試験機(島津製作所株式会社製、商品名オートグラフDCS500)を用い、サンプル巾15mm、剥離速度300mm/分、180度剥離での剥離強度を測定した。ヒートシール温度140℃でヒートシールした試料の該剥離強度をヒートシール強度とした。また、ヒートシール強度が10N/15mmに達する温度(Ts)を低温シール性の指標とした。ヒートシール強度は、エチレン−酢酸ビニル共重合体(東ソー株式会社製、ウルトラセン625、MFR14g/10分、密度934kg/m、酢酸ビニル含有率15重量%)(G)を押出ラミネートして得られた積層フィルムのヒートシール強度と同等以上を良とした。また、Tsは、エチレン−酢酸ビニル共重合体(ウルトラセン625)(G)と同等以下であれば良とした。
(6)ホットタック性
積層フィルムの製造方法により得られた積層フィルム(E)の押出ラミネート用樹脂組成物面同士を重ね合わせ、圧力0.2MPa、時間1秒、シール長さ20mmで45gの荷重を掛けながら、ヒートシール温度80〜140℃の条件で、ヒートシールを行った。
シールバーが開放されると同時に、荷重によって剥離されるシール部分の距離を測定した。剥離距離が30mm以下となるヒートシール温度巾をホットタック性の指標とした。該ヒートシール温度巾がエチレン−酢酸ビニル共重合体(東ソー株式会社製 商品名ウルトラセン625)(G)を押出ラミネートして得られた積層フィルムと同等以上を良とした。
(7)易引裂性
積層フィルムの製造方法により得られた積層フィルム(F)の引取方向を縦方向、積層フィルムの幅方向を横方向として、JIS Z7128−2に準拠してエルメンドルフ引裂強度を測定し、易引裂性の指標とした。エルメンドルフ引裂強度が、エチレン−酢酸ビニル共重合体(東ソー株式会社製、商品名ウルトラセン625)(G)を押出ラミネートして得られた積層フィルムと同等以下を良とした。
表1〜4に実施例、比較例で用いた樹脂の物性値を示す。
実施例1
MFRが32g/10分、密度が900kg/mであるエチレン・ブテン−1共重合体(A−1、東ソー株式会社製、商品名ニポロン−L 09L52A)を72重量%、MFRが2g/10分、密度が904kg/mであるエチレン・ヘキセン−1共重合体(B−1、東ソー株式会社製、商品名ニポロン−Z 04P71D)を8重量%、MFRが1.6g/10分、密度が919kg/mである高圧法低密度ポリエチレン(C−1、東ソー株式会社製、商品名ペトロセン360)を20重量%になるよう配合し、単軸押出機(プラコー社製 口径50mm)を用い150℃の温度にて溶融混練し押出ラミネート用樹脂組成物のペレット(D−1)を得た。
上記ペレット(D−1)を90mmΦのスクリューを有する押出ラミネーターの押出機へ供給し、290℃の温度でTダイより押出し、基材上に押出ラミネート用樹脂組成物が30μmの厚さになるよう押出ラミネートし、積層フィルム(E−1)を得た。基材は、厚み25μmのニ軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡績(株)製、商品名東洋紡エステルフィルムE5100、以下PETと記す。)のコロナ処理面にアンカーコート剤(日本曹達株式会社製、商品名チタボンドT−120)を介し、低密度ポリエチレン(東ソー株式会社製、商品名ペトロセン203)を330℃の温度で20μm押出ラミネートしたものを用いた。
また、比較のため、エチレン−酢酸ビニル共重合体(商品名ウルトラセン625)(G)を90mmΦのスクリューを有する押出ラミネーターの押出機へ供給し、240℃の温度でTダイより押出し、基材上に押出ラミネート用樹脂組成物が30μmの厚さになるよう押出ラミネートし、積層フィルム(E−2)を得た。基材は、厚み25μmのニ軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡績(株)製、商品名東洋紡エステルフィルムE5100、以下PETと記す。)のコロナ処理面にアンカーコート剤(日本曹達株式会社製、商品名チタボンドT−120)を介し、低密度ポリエチレン(東ソー株式会社製、商品名ペトロセン203)を330℃の温度で20μm押出ラミネートしたものを用いた。
上記積層フィルム(E−1)および(E−2)の低温ヒートシール性、ヒートシール強度、ホットタック性を測定した。積層フィルム(E−1)の低温ヒートシール性、ヒートシール強度、ホットタック性を表5に示した。 積層フィルム(E−2)の低温ヒートシール性、ヒートシール強度、ホットタック性を表6に示した。
ヒートシール強度が10N/15mmとなる温度が87℃であり、比較したエチレン−酢酸ビニル共重合体の温度97℃よりも小さく、低温ヒートシール性は良好であった。
ヒートシール強度は55N/15mmであり、比較したエチレン−酢酸ビニル共重合体の45N/15mmよりも大きく、ヒートシール強度は良好であった。
ヒートシール部の剥離距離が30mm以下となる温度は105〜125℃であり、比較したエチレン−酢酸ビニル共重合体の110〜125℃よりも広い温度範囲となることから、ホットタック性は良好であった。
上記ペレット(D−1)を90mmΦのスクリューを有する押出ラミネーターの押出機へ供給し、290℃の温度でTダイより押出し、厚み20μmのアルミニウム箔(住友軽金属工業株式会社製 、以下ALと記す。)上に押出ラミネート用樹脂組成物が30μmの厚さになるよう押出ラミネートし、積層フィルム(F−1)を得た。
また、比較のため、エチレン−酢酸ビニル共重合体(ウルトラセン625)(G)を90mmΦのスクリューを有する押出ラミネーターの押出機へ供給し、240℃の温度でTダイより押出し、厚み20μmのアルミニウム箔(住友軽金属工業株式会社製 、以下ALと記す。)上に押出ラミネート用樹脂組成物が30μmの厚さになるよう押出ラミネートし、積層フィルムを得た(F−2)。
上記積層フィルム(F−1)および(F−2)のエルメンドルフ引裂強度を測定した。積層フィルム(F−1)のエルメンドルフ引裂強度を表5に示した。積層フィルム(F−2)のエルメンドルフ引裂強度を表6に示した。
引裂強度は縦方向が13N/mm、横方向が22N/mmであり、比較したエチレン−酢酸ビニル共重合体の縦方向が17N/mm、横方向が36N/mmよりも小さく、易引裂性は良好であった。
実施例2
MFRが32g/10分、密度が900kg/mであるエチレン・ブテン−1共重合体(A−1)を64重量%、MFRが2g/10分、密度が904kg/mであるエチレン・ヘキセン−1共重合体(B−1)を16重量%とした以外は、実施例1と同様に積層フィルムを得た。評価結果を表5に示した。低温ヒートシール性、ヒートシール強度、ホットタック性、易引裂性は良好であった。
実施例3
MFRが32g/10分、密度が900kg/mであるエチレン・ブテン−1共重合体(A−1)を56重量%、MFRが2g/10分、密度が904kg/mであるエチレン・ヘキセン−1共重合体(B−1)を24重量%とした以外は、実施例1と同様に積層フィルムを得た。評価結果を表5に示した。低温ヒートシール性、ヒートシール強度、ホットタック性は、良好であった。
実施例4
MFRが40g/10分、密度が893kg/mであるエチレン・ブテン−1共重合体(A−2、東ソー株式会社製、商品名ニポロン−L 04L54A)を64重量%、MFRが2g/10分、密度が904kg/mであるエチレン・ヘキセン−1共重合体(B−1)を16重量%とした以外は、実施例1と同様に積層フィルムを得た。評価結果を表5に示した。低温ヒートシール性、ヒートシール強度、ホットタック性は、良好であった。
実施例5
MFRが30g/10分、密度が912kg/mであるエチレン・ブテン−1共重合体(A−3、東ソー株式会社製、商品名ニポロン−L 10L51A)を64重量%、MFRが2g/10分、密度が904kg/mであるエチレン・ヘキセン−1共重合体(B−1)を16重量%とした以外は、実施例1と同様に積層フィルムを得た。評価結果を表5に示した。低温ヒートシール性、ヒートシール強度、ホットタック性は、良好であった。
実施例6
MFRが32g/10分、密度が900kg/mであるエチレン・ブテン−1共重合体(A−1)を74重量%、MFRが2g/10分、密度が904kg/mであるエチレン・ヘキセン−1共重合体(B−1)を16重量%、MFRが1.6g/10分、密度が919kg/mである高圧法低密度ポリエチレン(C−1)を10重量%とした以外は、実施例1と同様に積層フィルムを得た。評価結果を表5に示した。低温ヒートシール性、ヒートシール強度、ホットタック性は、良好であった。
実施例7
MFRが32g/10分、密度が900kg/mであるエチレン・ブテン−1共重合体(A−1)を54重量%、MFRが2g/10分、密度が904kg/mであるエチレン・ヘキセン−1共重合体(B−1)を16重量%、MFRが1.6g/10分、密度が919kg/mである高圧法低密度ポリエチレン(C−1)を30重量%とした以外は、実施例1と同様に積層フィルムを得た。評価結果を表6に示した。低温ヒートシール性、ヒートシール強度、ホットタック性は、良好であった。
実施例8
MFRが32g/10分、密度が900kg/mであるエチレン・ブテン−1共重合体(A−1)を64重量%、MFRが4g/10分、密度が902kg/mであるエチレン・ヘキセン−1共重合体(B−2、東ソー株式会社製、商品名ニポロン−Z 05P51A)を16重量%、MFRが1.6g/10分、密度が919kg/mである高圧法低密度ポリエチレン(C−1)を20重量%とした以外は、実施例1と同様に積層フィルムを得た。評価結果を表6に示した。低温ヒートシール性、ヒートシール強度、ホットタック性は、良好であった。
実施例9
MFRが32g/10分、密度が900kg/mであるエチレン・ブテン−1共重合体(A−1)を65重量%、MFRが3g/10分、密度が875kg/mであるエチレン・オクテン−1共重合体(B−3、ダウケミカル製、商品名アフィニティーKC8852G)を15重量%、MFRが1.6g/10分、密度が919kg/mである高圧法低密度ポリエチレン(C−1)を20重量%とした以外は、実施例1と同様に積層フィルムを得た。評価結果を表6に示した。低温ヒートシール性、ヒートシール強度、ホットタック性は、良好であった。
比較例1
MFRが32g/10分、密度が900kg/mであるエチレン・ブテン−1共重合体(A−1)を80重量%、MFRが1.6g/10分、密度が919kg/mである高圧法低密度ポリエチレン(C−1)を20重量%とした以外は、実施例1と同様に積層フィルムを得た。評価結果を表6に示した。
剥離距離が30mm以下となるヒートシール温度がなく、ホットタック性が劣っていた。
比較例2
MFRが4g/10分、密度が902kg/mであるエチレン・ヘキセン−1共重合体(B−2)を80重量%、MFRが1.6g/10分、密度が919kg/mである高圧法低密度ポリエチレン(C−1)を20重量%とした以外は、実施例1と同様に積層フィルムを得た。評価結果を表6に示した。
エルメンドルフ引裂強度が、縦方向、横方向のいずれもエチレン−酢酸ビニル共重合体よりも高く、易引裂性に劣っていた。
比較例3
MFRが8g/10分、密度が919kg/mである高圧法低密度ポリエチレン(C−2、東ソー株式会社製、商品名ペトロセン203)100重量%を90mmΦのスクリューを有する押出ラミネーターの押出機へ供給し、330℃の温度でTダイより押出し、基材上に押出ラミネート用樹脂組成物が30μmの厚さになるよう押出ラミネートし積層フィルム(E)を得た。
該積層フィルム(F)の低温ヒートシール性、ヒートシール強度、ホットタック性を測定した。測定結果を表6に示した。低温ヒートシール性、ヒートシール強度、ホットタック性は、エチレン−酢酸ビニル共重合体と比較して、劣っていた。
MFRが8g/10分、密度が919kg/mである高圧法低密度ポリエチレン(C−2)100重量%を90mmΦのスクリューを有する押出ラミネーターの押出機へ供給し、330℃の温度でTダイより押出し、厚み20μmのアルミニウム箔(住友軽金属工業株式会社製 、以下ALと記す。)上に押出ラミネート用樹脂組成物が30μmの厚さになるよう押出ラミネートし、積層フィルム(F)を得た。
該積層フィルム(F)のエルメンドルフ引裂強度を測定した。評価結果を表6に示した。
引裂強度は縦方向および横方向の何れも、エチレン−酢酸ビニル共重合体と比較して優れていた。
比較例4
MFRが14g/10分、密度が935kg/m、JIS K6924−2に準拠して測定した酢酸ビニル含有率が15wt%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(ウルトラセン625)(G)100重量%を90mmΦのスクリューを有する押出ラミネーターの押出機へ供給し、240℃の温度でTダイより押出し、基材上に押出ラミネート用樹脂組成物が30μmの厚さになるよう押出ラミネートし積層フィルム(E)を得た。
該積層フィルム(E)の低温ヒートシール性、ヒートシール強度、ホットタック性を測定した。測定結果を表6に示した。
MFRが14g/10分、密度が935kg/m、JIS K6924−2に準拠して測定した酢酸ビニル含有率が15wt%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(ウルトラセン625)100重量%を90mmΦのスクリューを有する押出ラミネーターの押出機へ供給し、240℃の温度でTダイより押出し、厚み20μmのアルミニウム箔(住友軽金属工業株式会社製 、以下ALと記す。)上に押出ラミネート用樹脂組成物が30μmの厚さになるよう押出ラミネートし、積層フィルム(F)を得た。
該積層フィルム(F)のエルメンドルフ引裂強度を測定した。評価結果を表6に示した。
Figure 2014224172
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Figure 2014224172
Figure 2014224172
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Claims (4)

  1. エチレン・ブテン−1共重合体(A)、エチレン・α−オレフィン共重合体(α−オレフィンはヘキセン−1又はオクテン−1)(B)及び高圧法低密度ポリエチレン(C)を含み、上記(A)がメルトフローレート1〜70g/10分、密度880〜940kg/mで、上記(B)がメルトフローレート0.5〜70g/10分、密度880〜940kg/mで、上記(C)がメルトフローレート0.5〜30g/10分、密度910〜940kg/mであり、配合割合が(A)30〜90重量%、(B)5〜50重量%、(C)5〜50重量%((A),(B),(C)の合計は100重量%)である押出ラミネート用樹脂組成物。
  2. (A)がメルトフローレート5〜70g/10分、密度890〜930kg/mで、(B)がメルトフローレート0.5〜5g/10分、密度880〜940kg/mで、(C)がメルトフローレート0.5〜30g/10分、密度910〜930kg/mであり、配合割合が(A)50〜80重量%、(B)10〜40重量%、(C)10〜40重量%である請求項1に記載の押出ラミネート用樹脂組成物。
  3. (A)および(B)がメタロセン触媒を用いて重合されてなる請求項1又は2に記載する押出ラミネート用樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の押出ラミネート用樹脂組成物よりなる層を少なくとも一層を有する積層フィルム。
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JP2020050789A (ja) * 2018-09-27 2020-04-02 大日本印刷株式会社 植物由来ポリエチレンを含むシーラントフィルム用ポリエチレン系樹脂組成物およびシーラントフィルム

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