JP2022150804A - 積層体用樹脂組成物、積層体及び液体包装袋 - Google Patents

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Abstract

【課題】 低温から高温まで幅広い温度範囲で高速充填が可能な、積層体用樹脂組成物、積層体及び液体包装袋を提供する。【解決手段】(I)基材層、(II)中間層及び(III)シーラント層をこの順序で少なくとも有する積層体の中間層用樹脂組成物であって、(a):回転式レオメータで測定した複素弾性率の絶対値G*=0.1MPaにおける位相角δが、50度~75度である。の特性を有するエチレン系アイオノマーを含むことを特徴とする、中間層用樹脂組成物である。【選択図】 なし

Description

本発明は、新規アイオノマーを用いた積層体の、特に積層体の中間層用樹脂組成物、積層体及び液体包装袋に関するものである。
従来、包装用基材としては、透明性や機械的強度に優れるポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリプロピレン樹脂等が使用されている。しかし、これらの樹脂はヒートシール温度が高く、包装速度を速く出来ないこと、ヒートシール時にフィルムが収縮して包装外観が悪化すること、ヒートシール強度が低いこと等の問題を有している。このため、これらの基材が単独で使用されることは少なく、通常はこれらの基材をラミネート用の基材として用い、その上にポリエチレン系樹脂などをラミネートして得られたヒートシール層を設けた複合フィルムが使用されている。例えば液体包装用基材には、表面基材層上にシーラント層を設けた複合フィルム、あるいは基材上に種々の中間層を積層させ、さらにその上にシーラント層を積層させて得られる包装用フィルムが知られている。
このような複合フィルムのシーラント層用フィルムとしては、当初は低密度ポリエチレン(LDPE)やエチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)等が使用されていたが、LDPEフィルムは高速成形性(加工性)等に優れるものの、低温ヒートシール性、耐熱性及びホットタック性等に難点を有し、EVAは低温ヒートシール性が優れるものの、耐熱性及びホットタック性等に難点を有している。
これらを改良するものとして、特許文献1では基材層上に、特定の物性を有する密度0.910~0.940g/cmのエチレンと炭素数4~10のα-オレフィンとのランダム共重合体、及び高圧法低密度ポリエチレン(以下、HPLDと略称することがある)のブレンド組成物からなるシーラント層を積層した複合フィルムが提案されている。
また、特許文献2では上記複合フィルムのヒートシール強度とホットタック性等を維持し、さらに低温ヒートシール性を改良したラミネート組成物として、メタロセン触媒で製造された特定の温度上昇溶離分別(以下、TREFと略称することがある)特性を示すエチレンと炭素数3~炭素数18のα-オレフィンとの共重合体、及び特定の低密度ポリエチレンのブレンド組成物が提案され、あるいは特許文献3では同様な複合フィルム用ポリエチレン組成物として、メタロセン触媒で製造された密度0.880~0.930g/cm、分子量分布が1.5~4.0であるエチレンと炭素数4~10のα-オレフィンとのランダム共重合体、及び高圧法低密度ポリエチレンからなる組成物が提案されている。
上記のような特定のエチレン-α-オレフィンランダム共重合体と高圧法低密度ポリエチレンとのブレンド組成物からなるシーラント層は、従来の低密度ポリエチレンのシーラント層に比べてヒートシール強度とホットタック性等が優れている。ところが、スープ、ソース、タレ、麺つゆ等の液体包装の場合には、ダイロール式等の自動充填機械を用いて複合フィルム(包装材)の縦、及び横シールを行うため、それぞれ二本の回転ロール間に挟んでシールされて充填袋が形成されることになる。このようなヒートシール方式で上記これらのブレンド組成物からなるシーラントを用いると、ヒートシール部の肉やせが生じ、破袋が起きる、あるいは、基材とシーラント層との剥離が起こるという問題点があった。
このような問題を解消するために、特許文献4では基材とシーラント層間に中間層を設けた多層フィルムが提案されている。このような外層(A)/中間層(B)/内層(C)からなる多層フィルムにおいて、外層(A)及び内層(C)にエチレン-α-オレフィン共重合体(1)、中間層(B)にエチレン-α-オレフィン共重合体(1)より少なくとも0.003g/cm高い密度を有するエチレン-α-オレフィン共重合体(2)と、エチレン-α-オレフィン共重合体(1)と同じ密度又はそれ以下の密度を有するエチレン-α-オレフィン共重合体(3)、及び高圧ラジカル重合法による低密度ポリエチレンからなる樹脂組成物を用いて貼合用共押出多層フィルムとすることが提案されている。
また、特許文献5では少なくとも基材層、中間層及びシーラント層が、この順に積層された多層構造のフィルムの中間層として、直鎖状低密度ポリエチレン(A)と高圧法低密度ポリエチレン(B)との混合比率[(A)/(B)]が70/30~40/60である樹脂組成物からなり、該直鎖状低密度ポリエチレン(A)がエチレンと炭素原子数4以上のα-オレフィンとの共重合体であって、そのメルトフローレートが1~50g/10分であり、密度が0.890~0.930g/cmであり、分子量分布を示すMw/Mnが1.5~4.0のもの、また該高圧法低密度ポリエチレン(B)が2g以上のメルトテンションであるものを用いることが提案されている。
さらに特許文献6では少なくとも基材層、中間層及びシーラント層が、この順に積層された多層構造のフィルムの中間層として、メタロセン触媒より製造された直鎖状低密度ポリエチレン(A)50~95重量%と高圧法低密度ポリエチレン(B)50~5重量%の樹脂組成物を用いることが提案されている。
また、特許文献7及び8には、線状低密度ポリエチレン(L-LDPE)からなるシーラント層と該シーラント層に比べて高密度のL-LDPEからなる中間層と二軸延伸フィルムからなるベースフィルム層との押出し三層構造を有する包装用フィルムが提案されている。
さらに、特許文献9には、基材フィルムと、支持層と、シーラント層とを順に積層する積層体であって、支持層が、チーグラーナッタ系触媒又はメタロセン系シングルサイト触媒を使用して重合した直鎖状低密度ポリエチレン樹脂からなり、シーラント層が特定の2種以上の樹脂をブレンドする組成物から構成される積層体が提案されている。
しかし、自動充填装置を用いてフィルムを製造する際、種々の内容物、基材の違いなどに対応させるために、充填装置の設定条件を調整する必要があるところ、上記特許文献1~9に開示されるような従来のフィルムでは、個々の包材での許容範囲が十分でなく、毎回、充填条件を探索する必要がある等の煩雑さが生じるという問題があり、さらなる充填適性の改良が求められていた。
一方、エチレン系アイオノマーは、特許文献10の通り、エチレン-不飽和カルボン酸共重合体をベース樹脂とし、ナトリウムや亜鉛等の金属イオンで分子間結合した樹脂である。強靭で弾性に富み、かつ柔軟性があり、耐摩耗性、及び透明性等の特徴がある。
現在、市販されているエチレン系アイオノマーとしては、Dupont社が開発したエチレン-メタクリル酸共重合体のナトリウム塩や亜鉛塩「Surlyn(登録商標)」、及び、三井・ダウポリケミカル社が販売している「ハイミラン(登録商標)」等が知られている。
これら現在市販されているエチレン系アイオノマーに用いられるベース樹脂のエチレン-不飽和カルボン酸共重合体には、いずれも、エチレンと不飽和カルボン酸等の極性基含有モノマーを、高圧ラジカル重合法により重合した極性基含有オレフィン共重合体が用いられている。高圧ラジカル重合法は、比較的極性基含有モノマーの種類を選ばずに安価に重合可能であるという利点がある。しかし、この、高圧ラジカル重合法で製造される極性基含有オレフィン共重合体の分子構造は、図1に示すイメージ図のように、多くの長鎖分岐及び短鎖分岐を不規則に有する多分岐型の分子構造であり、強度的には不十分であるという欠点がある。
従来からの触媒を用いた重合方法を用いて、図2に示すイメージ図のように、分子構造が直鎖状の極性基含有オレフィン共重合体を製造する方法が模索されていたが、極性基含有モノマーは一般的に触媒毒となるため重合が難しく、実際に、工業的に安価で安定的な方法で、所望の物性を有する極性基含有オレフィン共重合体を得ることは長年難しいとされていた。
しかしながら近年、本願出願人等により開発された新触媒及び新製造方法を用いることにより、分子構造が実質的に直鎖状の極性基含有オレフィン共重合体を、工業的に安価で安定的に得る方法が提案されている。
そして、エチレン系アイオノマーのベース樹脂となる極性基含有オレフィン共重合体の製造方法として、後周期遷移金属触媒を用い、エチレンとアクリル酸t-ブチルの共重合体を製造し、得られた極性基含有オレフィン共重合体を熱又は酸処理を行うことでエチレン-アクリル酸共重合体に変性した後、金属イオンと反応させ二元アイオノマーを製造することに成功したことが本願出願人等により特許文献11として報告されている。
特公平02-004425号公報 特開平07-026079号公報 特開平8-269270号公報 特開平10-323948号公報 特開平11-010809号公報 特開2001-009997号公報 特開2008-302977号公報 特開2005-289471号公報 特開2004-223728号公報 米国特許第3264272号明細書 特開2016-79408号公報
本願の目的は、上記の従来技術の問題点に鑑み、低温から高温まで幅広い温度範囲で高速充填が可能な、積層体用樹脂組成物、積層体及び液体包装袋を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討をした結果、エチレンと不飽和カルボン酸エステルとから後期遷移金属触媒を用いて得られるエチレン/不飽和カルボン酸エステル共重合体のエステル基が金属含有カルボン酸塩に変換されたエチレン系アイオノマーを含む樹脂組成物を中間層に用いることで、上記問題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨とするところは以下の各項の発明に存する。
本発明の第1の発明によれば、(I)基材層、(II)中間層及び(III)シーラント層を少なくともこの順序で有する積層体の中間層用樹脂組成物であって、下記(a)の特性を有するエチレン系アイオノマーを含むことを特徴とする、中間層用樹脂組成物が提供される。
(a)回転式レオメータで測定した複素弾性率の絶対値G=0.1MPaにおける位相角δが、50度~75度である
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記エチレン系アイオノマーが、エチレン及び/又は炭素数3~20のα-オレフィンに由来する構造単位(A)と、カルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基を有するモノマーに由来する構造単位(B)を必須構成単位として含む共重合体(P)中の、カルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基の少なくとも一部が周期表1族、2族、又は12族から選ばれる少なくとも1種の金属イオンを含有する金属含有カルボン酸塩に変換されてなるエチレン系アイオノマーである、積層体の中間層用樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は第2の発明において、前記共重合体(P)の13C-NMRにより算出されるメチル分岐数が、炭素1,000個当たり50個以下であることを特徴とする、積層体の中間層用樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1~第3のいずれかの発明において、前記共重合体(P)が、共重合体中に前記構造単位(B)を2~20mol%含むことを特徴とする、積層体の中間層用樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1~第4のいずれかの発明において、前記構造単位(A)が、エチレンに由来する構造単位であることを特徴とする、積層体の中間層用樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1~第5のいずれかの発明において、前記共重合体(P)が周期表第8~11族の遷移金属を含む遷移金属触媒を用いて製造されることを特徴とする、積層体の中間層用樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第6の発明において、前記遷移金属触媒がリンスルホン酸又はリンフェノール配位子とニッケル又はパラジウムからなる遷移金属触媒であることを特徴とする、積層体の中間層用樹脂組成物が提供される。
さらに、本発明の第8の発明によれば、少なくとも(I)基材層、(II)中間層及び(III)シーラント層がこの順序で積層されてなり、該(II)中間層に前記第1~第7の発明のいずれかに記載の積層体の中間層用樹脂組成物を含む、積層体が提供される。
さらに、本発明の第9の発明によれば、第8の発明における、積層体を用いた液体包装袋が提供される。
自動充填機での液体包装袋等に利用される積層体において、中間層として、実質的に直鎖状構造である本発明のアイオノマーを含む積層体用樹脂組成物を用いているので、耐圧強度が高く、低温から高温まで幅広いシール温度範囲での高速充填を可能とし、上記自動充填適性を満足するようになる。
また、この積層体を用いた液体包装袋は、破袋が起こらず自動充填機での液体の高速充填が可能となる。
高圧ラジカル重合法で製造される極性基含有オレフィン共重合体の多分岐型の分子構造のイメージ図である。図中の丸印は極性基を表す。 分子構造が直鎖状の極性基含有オレフィン共重合体のイメージ図である。図中の丸印は極性基を表す。
本発明は、少なくとも中間に中間層を有する3層以上の層を有する積層体、特には(I)基材層、(II)中間層及び(III)シーラント層を少なくともこの順序で有する積層体において、該(II)中間層を構成し、特定のアイオノマーを含有してなることを特徴とする積層体用樹脂組成物であり、それを用いた積層体及び液体包装袋である。
以下、本発明に関わるアイオノマー、アイオノマーを含有する積層体用樹脂組成物、積層体及び液体包装袋などについて、項目ごとに詳細に説明する。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸又はメタクリル酸を意味する。また、本明細書において数値範囲を示す「~」とは、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。また、本明細書において、共重合体とは、少なくとも一種の単位(A)と、少なくとも一種の単位(B)とを含む、二元系以上の共重合体を意味する。
また、本明細書において、アイオノマーとは、前記構造単位(A)と、前記構造単位(B)の少なくとも一部が金属含有カルボン酸塩に変換されている構造単位(B’)とを含み、更に前記構造単位(B)を含んでいてもよい、2元系以上の共重合体のアイオノマーを意味する。
1.アイオノマー
本発明に用いられるアイオノマーは、回転式レオメータで測定した複素弾性率の絶対値G=0.1MPaにおける位相角δが、50度~75度であり、実質的に直鎖状であるエチレン系アイオノマーである。ここで、「エチレン系アイオノマー」とは、炭素-炭素二重結合の重合反応により得られ、少なくとも一部に金属含有カルボン酸塩の構造を含む重合体を意味する。より具体的には、本発明に用いられるアイオノマーは、エチレン及び/又は炭素数3~20のα-オレフィンに由来する構造単位(A)と、カルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基を有するモノマーに由来する構造単位(B)を必須構成単位として含む共重合体(P)中の、カルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基の少なくとも一部が周期表1族、2族、又は12族から選ばれる少なくとも1種の金属イオンを含有する金属含有カルボン酸塩に変換されていることを特徴とする。
(1)構造単位(A)
構造単位(A)はエチレン及び炭素数3~20のα-オレフィンから選ばれる1種以上のモノマーに由来する構造単位である。
本発明のα-オレフィンは構造式:CH=CHRで表される、炭素数3~20のα-オレフィンである(Rは炭素数1~18の炭化水素基であり、直鎖構造であっても分岐を有していてもよい)。α-オレフィンの炭素数は、より好ましくは、3~12である。
構造単位(A)の具体例として、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、3-メチル-1-ブテン、及び4-メチル-1-ペンテン等に由来する構造単位が挙げられ、エチレンに由来する構造単位であってもよい。
また、構造単位(A)は、一種類であってもよいし、複数種であってもよい。
二種の組み合わせとしては、エチレン-プロピレン、エチレン-1-ブテン、エチレン-1-ヘキセン、エチレン-1-オクテン、プロピレン-1-ブテン、プロピレン-1-ヘキセン、及びプロピレン-1-オクテン等に由来する構造単位が挙げられる。
三種の組み合わせとしては、エチレン-プロピレン-1-ブテン、エチレン-プロピレン-1-ヘキセン、エチレン-プロピレン-1-オクテン、プロピレン-1-ブテン-ヘキセン、及びプロピレン-1-ブテン-1-オクテン等に由来する構造単位が挙げられる。
本発明においては、構造単位(A)としては、好ましくは、エチレンに由来する構造単位を必須で含み、必要に応じて1種以上の炭素数3~20のα-オレフィンに由来する構造単位をさらに含んでもよい。
構造単位(A)中のエチレンに由来する構造単位は、構造単位(A)の全molに対して、65~100mol%であってもよく、70~100mol%であってもよい。
耐衝撃性の点から前記構造単位(A)が、エチレンに由来する構造単位であってもよい。
(2)構造単位(B)
構造単位(B)は、カルボキシ基及び/又はジカルボン酸無水物基を有するモノマーに由来する構造単位である。なお、構造単位(B)は、カルボキシ基及び/又はジカルボン酸無水物基を有するモノマーに由来する構造単位と同じ構造であることを表し、後述の製造方法において述べるように、必ずしもカルボキシ基及び/又はジカルボン酸無水物基を有するモノマーを用いて製造されたものでなくてもよい。
カルボキシ基を有するモノマーとしては具体的にはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ノルボルネンジカルボン酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸などの不飽和カルボン酸が挙げられ、ジカルボン酸無水物基を有するモノマーとしては無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物、3,6-エポキシ-1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸無水物、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ-9-エン-4,5-ジカルボン酸無水物、2,7-オクタジエン-1-イルコハク酸無水物などの不飽和ジカルボン酸無水物が挙げられる。
カルボキシ基及び/又はジカルボン酸無水物基を有するモノマーに由来する構造単位として、工業的入手の容易さの点から好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、又は5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物に由来する構造単位が挙げられ、特にアクリル酸に由来する構造単位であってもよい。
また、カルボキシ基及び/又はジカルボン酸無水物基を有するモノマーに由来する構造単位は、一種類であってもよいし、複数種であってもよい。
なお、ジカルボン酸無水物基は空気中の水分と反応して開環し、一部がジカルボン酸となる場合があるが、本発明の主旨を逸脱しない範囲においてならば、ジカルボン酸無水物基が開環していてもよい。
(3)共重合体(P)
本発明で用いるアイオノマーのベース樹脂となる共重合体(P)は、エチレン及び/又は炭素数3~20のα-オレフィンに由来する構造単位(A)と、カルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基を有するモノマーに由来する構造単位(B)とを必須構成単位として含み、これらが実質的に直鎖状に共重合、好ましくはランダム共重合していることを特徴とする。ここで、「実質的に直鎖状」とは、共重合体が分岐を有していないか又は分岐構造が現れる頻度が小さく、共重合体を直鎖状とみなしうる状態であることを指す。具体的には、後述する条件下で共重合体の位相角δが50度以上である状態を指す。
本発明に関わる共重合体は、構造単位(A)及び、構造単位(B)をそれぞれ1種類以上含有し、合計2種以上のモノマー単位を含むことが必要であり、前記(A)及び(B)以外の任意の構造単位を含んでいてもよい。用いられる任意のモノマーは単独でもよく、2種類以上を組み合わせてもよい。
本発明に関わる共重合体の構造単位と構造単位量について説明する。
エチレン及び/又は炭素数3~20のα-オレフィン(A)、カルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基を有するモノマー(B)、並びに(A)及び(B)以外の任意のモノマーそれぞれ1分子に由来する構造を、共重合体中の1構造単位と定義する。
そして、共重合体中の構造単位全体を100mol%とした時に各構造単位の比率をmol%で表したものが構造単位量である。
・エチレン及び/又は炭素数3~20のα-オレフィン(A)の構造単位量:
本発明に関わる構造単位(A)の構造単位量は、下限が60.0mol%以上、好ましくは70.0mol%以上、より好ましくは80.0mol%以上、さらに好ましくは85.0mol%以上、さらにより好ましくは90.0mol%以上、特に好ましくは91.2mol%以上であり、上限が97.9mol%以下、好ましくは97.5mol%以下、より好ましくは97.0mol%以下、さらに好ましくは96.5mol%以下から選択される。
エチレン及び/又は炭素数3~20のα-オレフィン(A)に由来する構造単位量が60.0mol%よりも少なければ共重合体の靱性が劣り、97.9mol%よりも多ければ共重合体の結晶化度が高くなり、透明性が悪くなる場合がある。
・カルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基を有するモノマー(B)の構造単位量:
本発明に関わる構造単位(B)の構造単位量は、下限が2.0mol%以上、好ましくは2.9mol%以上であり、より好ましくは5.2mol%以上、上限が20.0mol%以下、好ましくは15.0mol%以下、より好ましくは10.0mol%以下、さらに好ましくは8.0mol%以下、特に好ましくは6.0mol%以下、最も好ましくは5.6mol%以下から選択される。
カルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基を有するモノマー(B)に由来する構造単位量が2.0mol%よりも少なければ、共重合体の極性の高い異種材料との接着性が充分ではなく、20.0mol%より多ければ共重合体の充分な機械物性が得られない場合がある。
更に、用いられるカルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基を有するモノマーは単独でもよく、2種類以上を合わせて用いてもよい。
・共重合体の炭素1,000個当たりの分岐数:
本発明の共重合体においては、弾性率を高くし、充分な機械物性を得る点から、13C-NMRにより算出されるメチル分岐数が、炭素1,000個当たり、上限が50個以下であってもよく、5個以下であってもよく、1個以下であってもよく、0.5個以下であってもよく、下限は、特に限定されず、少なければ少ないほどよい。またエチル分岐数が炭素1,000個当たり、上限が3.0個以下であってもよく、2.0個以下であってもよく、1.0個以下であってもよく、0.5個以下であってもよく、下限は、特に限定されず、少なければ少ないほどよい。さらにブチル分岐数が炭素1,000個当たり、上限が7.0個以下であってもよく、5.0個以下であってもよく、3.0個以下であってもよく、0.5個以下であってもよく、下限は、特に限定されず、少なければ少ないほどよい。
・共重合体中のカルボキシ基及び/又はジカルボン酸無水物基を有するモノマーに由来する構造単位量、及び分岐数の測定方法:
本発明の共重合体中のカルボキシ基及び/又はジカルボン酸無水物基を有するモノマーに由来する構造単位量、及び炭素1,000個当たりの分岐数は13C-NMRスペクトルを用いて求められる。13C-NMRは以下の方法によって測定する。
試料200~300mgをo-ジクロロベンゼン(CCl)と重水素化臭化ベンゼン(CBr)の混合溶媒(CCl/CBr=2/1(体積比))2.4ml及び化学シフトの基準物質であるヘキサメチルジシロキサンと共に内径10mmφのNMR試料管に入れて窒素置換した後封管し、加熱溶解して均一な溶液としてNMR測定試料とする。
NMR測定は10mmφのクライオプローブを装着したブルカー・ジャパン(株)のAV400M型NMR装置を用いて120℃で行う。
13C-NMRは、試料の温度120℃、パルス角を90°、パルス間隔を51.5秒、積算回数を512回以上、逆ゲートデカップリング法で測定する。
化学シフトはヘキサメチルジシロキサンの13Cシグナルを1.98ppmに設定し、他の13Cによるシグナルの化学シフトはこれを基準とする。
得られた13C-NMRにおいて、共重合体が有するモノマー又は分岐に特有のシグナルを同定し、その強度を比較することで、共重合体中の各モノマーの構造単位量、及び分岐数を解析することができる。モノマー又は分岐に特有のシグナルの位置は公知の資料を参照することもできるし、試料に応じて独自に同定することもできる。このような解析手法は、当業者にとって一般的に行いうるものである。
・重量平均分子量(Mw)と分子量分布(Mw/Mn):
本発明の共重合体の重量平均分子量(Mw)は、機械的強度や耐衝撃性などの物性を充分にする点から、下限が通常1,000以上であり、好ましくは6,000以上、より好ましくは10,000以上であり、共重合体の溶融粘度が高くなり過ぎるのを抑制して成形加工を容易にする点から、上限が通常2,000,000以下であり、好ましくは1,500,000以下であり、より好ましくは1,000,000以下であり、更に好ましくは800,000以下であり、最も好ましくは100,000以下である。
Mwが1,000未満では共重合体の機械的強度や耐衝撃性などの物性が充分ではなく、Mwが2,000,000を超えると共重合体の溶融粘度が非常に高くなり、共重合体の成形加工が困難となる場合がある。
本発明の共重合体の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は、共重合体及びアイオノマーの成形を始めとした各種加工性を十分にする点から、下限が通常1.5以上であり、好ましくは1.6以上であり、より好ましくは1.9以上であり、共重合体及びアイオノマーの機械物性の点から、上限が通常4.0以下であり、好ましくは3.5以下であり、より好ましくは2.3以下である。
また、本発明においては(Mw/Mn)を分子量分布パラメーターと表現することがある。
本発明に関わる共重合体の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)はゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)によって求められる。また、分子量分布パラメーター(Mw/Mn)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)によって、更に数平均分子量(Mn)を求め、MwとMnの比、Mw/Mnを算出するものである。
本発明に関わるGPCの測定方法の一例は以下の通りである。
(測定条件)
使用機種:ウォーターズ社製150C
検出器:FOXBORO社製MIRAN1A・IR検出器(測定波長:3.42μm)
測定温度:140℃
溶媒:オルトジクロロベンゼン(ODCB)
カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本)
流速:1.0mL/分
注入量:0.2mL
(試料の調製)
試料はODCB(0.5mg/mLのBHT(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール)を含む)を用いて1mg/mLの溶液を調製し、140℃で約1時間を要して溶解させる。
(分子量(M)の算出)
標準ポリスチレン法により行い、保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。使用する標準ポリスチレンは例えば、東ソー社製の、(F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000)の銘柄、昭和電工製単分散ポリスチレン(S-7300、S-3900、S-1950、S-1460、S-1010、S-565、S-152、S-66.0、S-28.5、S-5.05、の各0.07mg/ml溶液)などである。各々が0.5mg/mLとなるようにODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.2mL注入して較正曲線を作成する。較正曲線は最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。分子量(M)への換算に使用する粘度式[η]=K×Mαは以下の数値を用いる。
ポリスチレン(PS):K=1.38×10-4、α=0.7
ポリエチレン(PE):K=3.92×10-4、α=0.733
ポリプロピレン(PP):K=1.03×10-4、α=0.78
・融点(Tm、℃):
本発明の共重合体の融点は、示差走査型熱量計(DSC)により測定した吸熱曲線の最大ピーク温度によって示される。最大ピーク温度とは、DSC測定において、縦軸に熱流(mW)、横軸に温度(℃)をとった際に得られる吸熱曲線に複数ピークが示された場合、そのうちベースラインからの高さが最大であるピークの温度の事を示し、ピークが1つだった場合には、そのピークの温度の事を示している。
本発明の共重合体の融点は、耐熱性の点から、下限が50℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましく、70℃以上であることが更に好ましく、充分な接着性を得る点から、上限が140℃以下であることが好ましく、138℃以下がより好ましく、135℃以下が更に好ましい。
本発明において、融点は、例えば、エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製のDSC(DSC7020)を使用し、試料約5.0mgをアルミパンに詰め、10℃/分で200℃まで昇温し、200℃で5分間等温保持後、10℃/分で20℃まで降温し、20℃で5分間等温保持後、再度、10℃/分で200℃まで昇温させる際の吸収曲線より求めることができる。
・結晶化度(%):
本発明の共重合体においては、示差走査熱量測定(DSC)により観測される結晶化度は、特に限定されないが、0%を超え、30%以下であることが好ましく、0%を超え、25%以下であることが更に好ましく、5%を超え、25%以下であることが特に好ましく、7%以上、24%以下であることが最も好ましい。
本発明において、結晶化度は、例えば、上記融点の測定と同じ手順でのDSC測定により得られる融解吸熱ピーク面積から融解熱(ΔH)を求め、その融解熱を高密度ポリエチレン(HDPE)の完全結晶の融解熱293J/gで除することにより求めることができる。
・共重合体の分子構造:
本発明に関わる共重合体の分子鎖末端は、エチレン及び/又は炭素数3~20のα-オレフィンの構造単位(A)であってもよく、カルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基を有するモノマーの構造単位(B)であってもよく、(A)及び(B)以外の任意のモノマーの構造単位であってもよい。
また、本発明に関わる共重合体は、エチレン及び/又は炭素数3~20のα-オレフィンの構造単位(A)、カルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基を有するモノマーの構造単位(B)、及び任意のモノマーのランダム共重合体、ブロック共重合体、並びにグラフト共重合体等が挙げられる。これらの中では、構造単位(B)を多く含むことが可能なランダム共重合体であってもよい。
一般的な三元系の共重合体の分子構造例(1)を下記に示す。
ランダム共重合体とは、下記に示した分子構造例(1)のエチレン及び/又は炭素数3~20のα-オレフィンの構造単位(A)とカルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基を有するモノマーの構造単位(B)と任意のモノマーの構造単位(C)とが、ある任意の分子鎖中の位置においてそれぞれの構造単位を見出す確率が、その隣接する構造単位の種類と無関係な共重合体である。
下記のように、共重合体の分子構造例(1)は、エチレン及び/又は炭素数3~20のα-オレフィンの構造単位(A)とカルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基を有するモノマーの構造単位(B)と任意のモノマーの構造単位(C)とが、ランダム共重合体を形成している。
Figure 2022150804000001
なお、グラフト変性によってカルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基を有するモノマーの構造単位(B)を導入した共重合体の分子構造例(2)も参考に掲載すると、エチレン及び/又は炭素数3~20のα-オレフィンの構造単位(A)及び任意のモノマーの構造単位(C)とが共重合された共重合体の一部が、カルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基を有するモノマーの構造単位(B)にグラフト変性される。
Figure 2022150804000002
また、共重合体におけるランダム共重合性は種々の方法により確認することが可能であるが、共重合体のコモノマー含量と融点との関係からランダム共重合性を判別する手法が特開2015-163691号公報及び特開2016-079408号公報に詳しく述べられている。上記文献から共重合体の融点(Tm、℃)が-3.74×[Z]+130(ただし、[Z]はコモノマー含量/mol%である)よりも高い場合はランダム性が低いと判断できる。
本発明に関わる共重合体は示差走査熱量測定(DSC)により観測される融点(Tm、℃)と、カルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基を有するモノマーの構造単位(B)及び任意のモノマーの構造単位(C)の合計の含有量[Z](mol%)とが下記の式(I)を満たすことが好ましい。
50<Tm<-3.74×[Z]+130・・・(I)
共重合体の融点(Tm、℃)が-3.74×[Z]+130(℃)よりも高い場合はランダム共重合性が低い為、衝撃強度など機械物性が劣り、融点が50℃よりも低い場合は耐熱性が劣る場合がある。
さらに本発明に関わる共重合体は、その分子構造を直鎖状とする観点から、遷移金属触媒の存在下で製造されたものであることが好ましい。
なお、高圧ラジカル重合法プロセスによる重合、金属触媒を用いた重合など、製造方法によって共重合体の分子構造は異なることが知られている。
この分子構造の違いは製造方法を選択する事によって制御が可能であるが、例えば、特開2010-150532号公報に記載されている様に、回転式レオメータで測定した複素弾性率によっても、その分子構造を推定する事ができる。
・複素弾性率の絶対値G=0.1MPaにおける位相角δ:
本発明の共重合体においては、回転式レオメータで測定した複素弾性率の絶対値G=0.1MPaにおける位相角δは、下限が50度以上であってもよく、51度以上であってもよく、54度以上であってもよく、56度以上であってもよく、58度以上であってもよく、上限が75度以下であってもよく、70度以下であってもよい。
より具体的には、回転式レオメータで測定した複素弾性率の絶対値G=0.1MPaにおける位相角δ(G=0.1MPa)が50度以上である場合、共重合体の分子構造は直鎖状の構造であって、長鎖分岐を全く含まない構造か、機械的強度に影響を与えない程度の少量の長鎖分岐を含む程度の実質的に直鎖上の構造であることを示す。
また、回転式レオメータで測定した複素弾性率の絶対値G=0.1MPaにおける位相角δ(G=0.1MPa)が50度より低い場合、共重合体の分子構造は長鎖分岐を過多に含む構造を示し、機械的強度が劣るものとなる。
回転式レオメータで測定した複素弾性率の絶対値G=0.1MPaにおける位相角δは、分子量分布と長鎖分岐の両方の影響を受ける。しかし、Mw/Mn≦4、より好ましくはMw/Mn≦3である共重合体に限れば長鎖分岐の量の指標になり、その分子構造に含まれる長鎖分岐が多いほどδ(G=0.1MPa)値は小さくなる。なお、共重合体のMw/Mnが1.5以上であれば、当該分子構造が長鎖分岐を含まない構造である場合でもδ(G=0.1MPa)値が75度を上回ることはない。
本発明において、複素弾性率の測定方法は、以下の通りである。
試料を厚さ1.0mmの加熱プレス用モールドに入れ、表面温度180℃の熱プレス機中で5分間予熱後、加圧と減圧を繰り返すことで溶融樹脂中の残留気体を脱気し、更に4.9MPaで加圧し、5分間保持する。その後、試料を表面温度25℃のプレス機に移し替え、4.9MPaの圧力で3分間保持することで冷却し、厚さが約1.0mmの試料からなるプレス板を作成する。試料からなるプレス板を直径25mm円形に加工したものをサンプルとし、動的粘弾性特性の測定装置としてRheometrics社製ARES型回転式レオメータを用い、窒素雰囲気下において以下の条件で動的粘弾性を測定する。
・プレート:φ25mm パラレルプレート
・温度:160℃
・歪み量:10%
・測定角周波数範囲:1.0×10-2~1.0×10 rad/s
・測定間隔:5点/decade
複素弾性率の絶対値G(Pa)の常用対数logGに対して位相角δをプロットし、logG=5.0に相当する点のδ(度)の値をδ(G=0.1MPa)とする。測定点の中にlogG=5.0に相当する点がないときは、logG=5.0前後の2点を用いて、logG=5.0におけるδ値を線形補間で求める。また、測定点がいずれもlogG<5であるときは、logG値が大きい方から3点の値を用いて2次曲線でlogG=5.0におけるδ値を補外して求める。
・共重合体の製造について:
本発明に関わる共重合体は、その分子構造を直鎖状とする観点から、遷移金属触媒の存在下で製造されたものであることが好ましい。
・重合触媒:
本発明に関わる共重合体の製造に用いる重合触媒の種類は、構造単位(A)、構造単位(B)、及び任意の構造単位を共重合することが可能なものであれば特に限定されないが、例えば、キレート性配位子を有する第5~11族の遷移金属化合物が挙げられる。
好ましい遷移金属の具体例としては、バナジウム原子、ニオビウム原子、タンタル原子、クロム原子、モリブデン原子、タングステン原子、マンガン原子、鉄原子、白金原子、ルテニウム原子、コバルト原子、ロジウム原子、ニッケル原子、パラジウム原子、銅原子などが挙げられる。これらの中で好ましくは、第8~11族の遷移金属であり、さらに好ましくは第10族の遷移金属であり、特に好ましくはニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)である。これらの金属は、単一であっても複数を併用してもよい。
キレート性配位子は、P、N、O、及びSからなる群より選択される少なくとも2個の原子を有しており、二座配位(bidentate)又は多座配位(multidentate)であるリガンドを含み、電子的に中性又は陰イオン性である。Brookhartらによる総説に、キレート性配位子の構造が例示されている(Chem.Rev.,2000,100,1169)。
キレート性配位子としては、好ましくは、二座アニオン性P、O配位子が挙げられる。二座アニオン性P、O配位子として例えば、リンスルホン酸、リンカルボン酸、リンフェノール、リンエノラートが挙げられる。キレート性配位子としては、他に、二座アニオン性N、O配位子が挙げられる。二座アニオン性N、O配位子として例えば、サリチルアルドイミナ-トやピリジンカルボン酸が挙げられる。キレート性配位子としては、他に、ジイミン配位子、ジフェノキサイド配位子、及びジアミド配位子等が挙げられる。
キレート性配位子から得られる金属錯体の構造は、置換基を有してもよいアリールホスフィン化合物、アリールアルシン化合物又はアリールアンチモン化合物が配位した下記構造式(a)又は(b)で表される。
Figure 2022150804000003

Figure 2022150804000004

[構造式(a)、及び構造式(b)において、
Mは、元素の周期表の第5~11族のいずれかに属する遷移金属、即ち前述したような種々の遷移金属を表す。
は、酸素、硫黄、-SO-、又は-CO-を表す。
は、炭素又はケイ素を表す。
nは、0又は1の整数を表す。
は、リン、砒素又はアンチモンを表す。
53及びR54は、それぞれ独立に、水素又は炭素数1ないし30のヘテロ原子を含有してもよい炭化水素基を表す。
55は、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、又は炭素数1ないし30のヘテロ原子を含有してもよい炭化水素基を表す。
56及びR57は、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、炭素数1ないし30のヘテロ原子を含有してもよい炭化水素基、OR52、CO52、COM’、C(O)N(R51、C(O)R52、SR52、SO52、SOR52、OSO52、P(O)(OR522-y(R51、CN、NHR52、N(R52、Si(OR513-x(R51、OSi(OR513-x(R51、NO、SOM’、POM’、P(O)(OR52M’又はエポキシ含有基を表す。
51は、水素又は炭素数1ないし20の炭化水素基を表す。
52は、炭素数1ないし20の炭化水素基を表す。
M’は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、4級アンモニウム又はフォスフォニウムを表し、xは、0から3までの整数、yは、0から2までの整数を表す。
なお、R56とR57が互いに連結し、脂環式環、芳香族環、又は酸素、窒素、若しくは硫黄から選ばれるヘテロ原子を含有する複素環を形成してもよい。この時、環員数は5~8であり、該環上に置換基を有していても、有していなくてもよい。
は、Mに配位したリガンドを表す。
また、R53とLが互いに結合して環を形成してもよい。]
より好ましくは、下記構造式(c)で表される遷移金属錯体である。
Figure 2022150804000005

[構造式(c)において、
Mは、元素の周期表の第5~11族のいずれかに属する遷移金属、即ち前述したような種々の遷移金属を表す。
は、酸素、硫黄、-SO-、又は-CO-を表す。
は、炭素又はケイ素を表す。
nは、0又は1の整数を表す。
は、リン、砒素又はアンチモンを表す。
53及びR54は、それぞれ独立に、水素又は炭素数1ないし30のヘテロ原子を含有してもよい炭化水素基を表す。
55は、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、又は炭素数1ないし30のヘテロ原子を含有してもよい炭化水素基を表す。
58、R59、R60及びR61は、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、炭素数1ないし30のヘテロ原子を含有してもよい炭化水素基、OR52、CO52、COM’、C(O)N(R51、C(O)R52、SR52、SO52、SOR52、OSO52、P(O)(OR522-y(R51、CN、NHR52、N(R52、Si(OR513-x(R51、OSi(OR513-x(R51、NO、SOM’、POM’、P(O)(OR52M’又はエポキシ含有基を表す。
51は、水素又は炭素数1ないし20の炭化水素基を表す。
52は、炭素数1ないし20の炭化水素基を表す。
M’は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、4級アンモニウム又はフォスフォニウムを表し、xは、0から3までの整数、yは、0から2までの整数を表す。
なお、R58~R61から適宜選択された複数の基が互いに連結し、脂環式環、芳香族環、又は酸素、窒素、若しくは硫黄から選ばれるヘテロ原子を含有する複素環を形成してもよい。この時、環員数は5~8であり、該環上に置換基を有していても、有していなくてもよい。
は、Mに配位したリガンドを表す。
また、R53とLが互いに結合して環を形成してもよい。]
ここで、キレート性配位子を有する第5~11族の遷移金属化合物の触媒としては、代表的に、いわゆる、SHOP系触媒及びDrent系触媒等の触媒が知られている。
SHOP系触媒は、置換基を有してもよいアリール基を有するリン系リガンドがニッケル金属に配位した触媒である(例えば、WO2010-050256号公報を参照)。
また、Drent系触媒は、置換基を有してもよいアリール基を有するリン系リガンドがパラジウム金属に配位した触媒である(例えば、特開2010-202647号公報を参照)。
・共重合体の重合方法:
本発明に関わる共重合体の重合方法は限定されない。
重合方法としては、媒体中で少なくとも一部の生成重合体がスラリーとなるスラリー重合、液化したモノマー自身を媒体とするバルク重合、気化したモノマー中で行う気相重合、又は、高温高圧で液化したモノマーに生成重合体の少なくとも一部が溶解する高圧イオン重合などが挙げられる。
重合形式としては、バッチ重合、セミバッチ重合、又は連続重合のいずれの形式でもよい。
また、リビング重合を行ってもよいし、連鎖移動を併発しながら重合を行ってもよい。
更に、重合の際には、いわゆるchain shuttling agent(CSA)を併用し、chain shuttling反応や、coordinative chain transfer polymerization(CCTP)を行ってもよい。
具体的な製造プロセス及び条件については、例えば、特開2010-260913号公報、及び特開2010-202647号公報等に開示されている。
・共重合体へのカルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基の導入方法:
本発明に関わる共重合体へのカルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基の導入方法は特に限定されない。
本発明の主旨を逸脱しない範囲においては種々の方法によりカルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基を導入することができる。
カルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基の導入方法は、例えば、カルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基を有するコモノマーを直接共重合する方法や、他のモノマーを共重合した後、変性によりカルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基を導入する方法などが挙げられる。
変性によりカルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基を導入する方法としては、例えばカルボン酸を導入する場合、アクリル酸エステルを共重合した後に加水分解し、カルボン酸に変化する方法やアクリル酸t-ブチルを共重合した後、加熱分解によりカルボン酸に変化させる方法等が挙げられる。
上記、加水分解又は加熱分解する際に、反応を促進させる添加剤として、従来公知の酸・塩基触媒を使用してもよい。酸・塩基触媒としては特に制限されないが、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸水素ナトリウムや炭酸ナトリウムなどのアルカリ金属、アルカリ土類金属の炭酸塩、モンモリロナイトなどの固体酸、塩酸、硝酸、硫酸などの無機酸、ギ酸、酢酸、安息香酸、クエン酸、パラトルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸などの有機酸などを適宜用いることが出来る。
反応促進効果、価格、装置腐食性等の観点から水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、トリフルオロ酢酸、パラトルエンスルホン酸が好ましく、トリフルオロ酢酸、パラトルエンスルホン酸がより好ましい。
(4)アイオノマー
本発明に関わるアイオノマーは、本発明の共重合体の構造単位(B)のカルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基の少なくとも一部が周期表1族、2族、又は12族から選ばれる少なくとも1種の金属イオンを含有する金属含有カルボン酸塩に変換された、実質的に直鎖状構造を有するアイオノマーである。なお、アイオノマーは、後述のとおりアイオノマーベース樹脂に金属塩を作用させることにより得られ、その際に重合体の分子鎖を切断するような反応は通常起こらない。このため、コモノマーのモル比、分岐の程度、ランダム性等の構造に関するパラメーターは、通常はアイオノマーベース樹脂とアイオノマーとの間で保存されている。
・アイオノマーの構造:
本発明に関わるアイオノマーは本発明に関わる共重合体と同様に実質的に直鎖状構造を有することから、回転式レオメータで測定した複素弾性率の絶対値G=0.1MPaにおける位相角δが、50度~75度であることを特徴とする。位相角δの下限は51度以上であってもよく、位相角δの上限は64度以下であってもよい。
位相角δ(G=0.1MPa)が50度より低い場合、アイオノマーの分子構造は長鎖分岐を過多に含む構造を示し、機械的強度が劣るものとなる。前述のとおり、Mw/Mn≦4であれば位相角δの値は長鎖分岐の量の指標になる。アイオノマーのMw/Mnが1.5以上であれば、当該分子構造が長鎖分岐を含まない構造である場合でもδ(G=0.1MPa)値が75度を上回ることはない。
・アイオノマーの融点(Tm、℃):
本発明に関わるアイオノマーの融点は、耐熱性の点から、下限が50℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましく、70℃以上であることが更に好ましく、充分な接着性を得る点から、上限が140℃以下であることが好ましく、138℃以下がより好ましく、135℃以下が更に好ましい。
・結晶化度(%):
本発明のアイオノマーにおいては、示差走査熱量測定(DSC)により観測される結晶化度は、特に限定されないが、0%を超え、30%以下であることが好ましく、0%を超え、25%以下であることが更に好ましく、5%を超え、25%以下であることが特に好ましく、7%以上、24%以下であることが最も好ましい。
結晶化度が、0%であるとアイオノマーの靱性が充分ではなく、結晶化度が、30%より高い場合は共重合体の透明性が劣るものとなる場合がある。なお、結晶化度は透明性の指標となり、アイオノマーの結晶化度が低くなればなるほど、その透明性が優れると判断することができる。
・金属イオン:
本発明に関わるアイオノマーに含まれる金属イオンは、特に限定されず、従来公知のアイオノマーに用いられる金属イオンを含むことができる。金属イオンとしては、中でも、周期表1族、2族、又は12族の金属イオンであることが好ましく、Li、Na、K、Rb、Cs、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+及びZn2+からなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。特に好ましくは、Li、Na、K、Mg2+、Ca2+、及びZn2+、更に好ましくは、Na、及びZn2+からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
これらの金属イオンを必要に応じて2種以上混合して含むことができる。
・中和度(mol%):
金属イオンの含有量としては、ベースポリマーとしての共重合体中のカルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基の少なくとも一部又は全部を中和する量を含むことが好ましく、好ましい中和度(平均中和度)としては、5~95mol%、より好ましくは10~90mol%、さらに好ましくは20~80mol%である。
中和度が高いと、アイオノマーの引張強度及び引張破壊応力が高く、引張破壊ひずみが小さくなるが、アイオノマーのメルトフローレート(MFR)が低くなる傾向がある。一方、中和度が低いと、適度なMFRのアイオノマーが得られるが、引張弾性率及び引張破壊応力は低く、引張破壊ひずみが高くなる傾向がある。
なお、中和度は、共重合体中のカルボキシ基及び/又はジカルボン酸無水物基に含まれ得るカルボキシ基の合計mol量に対する、金属イオンの価数×mol量の合計mol量の割合から求めることができる。
ジカルボン酸無水物基はカルボン酸塩を形成する際に、開環してジカルボン酸となるため、ジカルボン酸無水物基1molにつき、2molのカルボキシ基を有するものとして前記カルボキシ基の合計mol量を求める。また、例えばZn2+等の二価の金属イオンは、1molにつき、2molのカルボキシ基と塩を形成できるものとして、2×mol量により中和度の分子の合計mol量を算出する。
・アイオノマーの製造方法:
本発明に関わるアイオノマーは、上述のとおりの共重合体へのカルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基の導入方法によって得たエチレン及び/又は炭素数3~20のα-オレフィン/不飽和カルボン酸の共重合体を、周期表1族、2族、又は12族から選ばれる少なくとも1種の金属イオンを含有する金属塩により処理し金属含有カルボン酸塩に変換する変換工程を経ることにより得てもよい。また、本発明に関わるアイオノマーはエチレン及び/又は炭素数3~20のα-オレフィン/不飽和カルボン酸エステル共重合体を加熱し、該共重合体中の少なくとも一部のエステル基を、周期表1族、2族、又は12族から選ばれる少なくとも1種の金属イオンを含有する金属含有カルボン酸塩に変換する加熱変換工程を経ることにより得てもよい。
重合体にカルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基を導入してからアイオノマーを製造する場合、その製造方法は、例えば、以下のとおりである。すなわち、エチレン/メタクリル酸(MAA)共重合体などの金属イオンを捕捉する物質と金属塩を場合により加熱して混練することで金属イオン供給源を作製し、ついでアイオノマーベース樹脂に当該金属イオン供給源を所望の中和度となる量投入し、混練することで得ることができる。
また、加熱変換工程においては、(i)エチレン及び/又は炭素数3~20のα-オレフィン/不飽和カルボン酸エステル共重合体を加熱し、加水分解又は加熱分解によりエチレン及び/又は炭素数3~20のα-オレフィン/不飽和カルボン酸共重合体にした後、周期表1族、2族、又は12族の金属イオンを含有する化合物と反応させることで、該エチレン及び/又は炭素数3~20のα-オレフィン/不飽和カルボン酸共重合体中のカルボン酸を該金属含有カルボン酸塩に変換してもよく、また、(ii)エチレン及び/又は炭素数3~20のα-オレフィン/不飽和カルボン酸エステル共重合体を加熱し、該共重合体のエステル基を加水分解又は加熱分解させながら、周期表1族、2族、又は12族の金属イオンを含有する化合物と反応させることで、前記エチレン及び/又は炭素数3~20のα-オレフィン/不飽和カルボン酸エステル共重合体中のエステル基部分を前記金属含有カルボン酸塩に変換してもよい。
さらに金属イオンを含有する化合物は、周期表1族、2族、又は12族の金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、酢酸塩、ギ酸塩などであってもよい。
金属イオンを含有する化合物は、粒状あるいは微粉状で反応系に供給してもよく、水や有機溶媒に溶解又は分散させた後、反応系に供給してもよく、エチレン/不飽和カルボン酸共重合体やオレフィン共重合体をベースポリマーとするマスターバッチを作製し、反応系に供給してもよい。反応を円滑に進行させるためにはマスターバッチを作製し、反応系に供給する方法が好ましい。
さらにまた、金属イオンを含有する化合物との反応はベント押出機、バンバリーミキサー、ロールミルの如き種々の型の装置により、溶融混練することによって行ってもよく、反応はバッチ式でも連続法でもよい。反応によって副生する水及び炭酸ガスを脱気装置により排出することにより、円滑に反応を行うことができることからベント押出機のような脱気装置付きの押出機を用い連続的に行うことが好ましい。
金属イオンを含有する化合物との反応に際し、反応を促進させるために、少量の水を注入してもよい。
エチレン及び/又は炭素数3~20のα-オレフィン/不飽和カルボン酸エステル共重合体を加熱する温度は、エステルがカルボン酸になる温度であればよく、加熱温度が低すぎる場合はエステルがカルボン酸に変換されず、高すぎる場合には脱カルボニル化や共重合体の分解が進む場合がある。従って、本発明の加熱温度は、好ましくは80℃~350℃、より好ましくは100℃~340℃、更に好ましくは150℃~330℃、更により好ましくは200℃~320℃の範囲で行われる。
反応時間は加熱温度やエステル基部分の反応性等により変わるが、通常1分~50時間であり、より好ましくは2分~30時間であり、更に好ましくは2分~10時間であり、よりさらに好ましくは2分~3時間であり、特に好ましくは3分~2時間である。
上記工程において、反応雰囲気下に特に制限はないが、一般に不活性ガス気流下で行われるほうが好ましい。不活性ガスの例としては、窒素、アルゴン、二酸化炭素雰囲気が使用できる。少量の酸素や空気の混入があってもよい。
上記工程で用いる反応器としては、特に制限は無いが、共重合体を実質的に均一に攪拌できる方法であれば何ら限定されず、攪拌器を装備したガラス容器やオートクレーブ(AC)を用いてもよいし、ブラベンダープラストグラフ、一軸あるいは二軸押出機、強力スクリュー型混練機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール等の従来知られているいかなる混練機も使用することができる。
アイオノマーベース樹脂に対し金属イオンが導入され、アイオノマーとなったかどうかは、得られた樹脂のIRスペクトルを測定してカルボン酸(二量体)のカルボニル基に由来するピークの減少を調べることによって確認することができる。中和度も同じく、前述のモル比からの計算のほか、カルボン酸(二量体)のカルボニル基に由来するピークの減少と、カルボン酸塩基のカルボニル基に由来するピークの増加を調べることによって、確認することができる。
・アイオノマー物性:
本発明に用いるアイオノマー、特に液体包装用途に好適なアイオノマーとしては、後述する実施例の欄に記載した測定条件下において、下記物性のいずれか又はそれらを組み合わせて有するものである。
・MFR:
本発明のアイオノマーにおいては、温度190℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレート(MFR)が、0.01~30g/10分であり、好ましくは0.1~15g/10分であり、より好ましくは0.5~20g/10分である。
アイオノマーのMFRがこの範囲であると、成形が容易である。
・引張弾性率:
本発明のアイオノマーにおいては、引張弾性率が20MPa以上、好ましくは20~350MPaであり、好ましくは20~300MPaである。
アイオノマーの引張弾性率がこの範囲であると、積層体としたときの密着性が良好となる。また、弾性率の面での設計が困難となることなくアイオノマーを製造することができる。
・引張衝撃強度:
本発明のアイオノマーにおいては、引張衝撃強度が100KJ/m以上である。
アイオノマーの引張衝撃強さがこの範囲であると、擦れ等があっても、破損する恐れが小さくなる。引張衝撃強さの上限は当業者にとって用いられる材料から得られる範囲において特に制限はない。
2.積層体用樹脂組成物
本発明におけるアイオノマーはイオン架橋により単体でも押出ラミネート成形が可能であるが、性能を損なわない範囲で、常法に従い、他のオレフィン系重合体やゴム等のほか、防曇剤、有機あるいは無機フィラー、酸化防止剤、有機あるいは無機系顔料、紫外線防止剤、飽和もしくは不飽和脂肪酸アミド、飽和もしくは不飽和高級脂肪酸の金属塩等の滑剤、分散剤、核剤、架橋剤等の公知の添加剤を添加し、樹脂組成物としてもよい。ここでの「樹脂組成物」には、アイオノマーの重量比率が100重量%のもの、すなわち、アイオノマー単体の材料も含まれる。
本発明の樹脂組成物のメルトフローレート(MFR)は1.0~100g/10分の範囲、好ましくは2.0~50g/10分の範囲、より好ましくは2.0~20g/10分の範囲である。上記MFRの範囲とすることで、押出し負荷を低く抑え延展性が良好になる等、良好な成形加工性が得られるほか、ネックインが大きくならず、成膜時の膜の安定性が向上する。
本発明の樹脂組成物の配合は、従来の樹脂組成物配合法として一般に用いられる公知の方法により配合することができる。その一例としてはアイオノマー、及びその他の添加可能な添加剤等を単にドライブレンドすることにより行える。また他の例としてはアイオノマー、及び所望により各種添加剤をタンブラー、リボンブレンダー又はヘンシェルミキサー等の混合機を使用してドライブレンドした後、単軸押出機、二軸押出機等の公知の連続式溶融混練機により溶融混合し、押出してペレットを調製することによって該樹脂組成物を得ることができる。
3.積層体
本発明の積層体とは、少なくとも3以上の樹脂層が積層されてなるものであり、より具体的には(I)基材層、(II)中間層及び(III)シーラント層を少なくともこの順序で有しており、(II)中間層として上記積層体用樹脂組成物を用いてなる。また、該積層体は、好ましくは(II)中間層及び(III)シーラント層が、押出ラミネート法又は共押出ラミネート法により、(I)基材層に積層される。これらの方法を用いることにより、積層体の生産性に優れる。
(1)(I)基材層
(I)基材層としては、紙、アルミニウム箔、セロファン、織布、不織布、高分子重合体などのフィルムが挙げられ、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー、ポリプロピレン、ポリ-1-ブテン、ポリ-4-メチルペンテン-1等のオレフィン重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル等のビニル共重合体、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン7、ナイロン10、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、ポリメタキシリレンアジパミド等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリビニルアルコール、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリカーボネート等のフィルムを挙げることができる。(I)基材層として用いるフィルムは、1種類でもよく、2種類以上を用いてもよい。また、該フィルムは、基材の種類によっては延伸加工を行ったものでもよい。延伸加工を行ったフィルムとしては、例えば、一軸、又は二軸延伸ポリプロピレンフィルム、延伸ナイロンフィルム、延伸ポリエチエンテレフタレートフィルム、延伸ポリスチレンフィルムなどが挙げられる。さらに、上記フィルム上にポリ塩化ビニリデンやポリビニルアルコールなどをコーティングしたものや、アルミ、アルミナやシリカ、又はアルミナ及びシリカの混合物を蒸着したものを基材層(I)として用いてもよい。液体や粘体を含む内容物の包装用フィルムの場合、基材層(I)は、二軸延伸ナイロンフィルムや二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、又はそれら基材上にシリカやアルミナを蒸着したものを用いることができる。
(2)(III)シーラント層
(III)シーラント層としては、特に限定されず、従来公知のエチレン系樹脂組成物を用いることができ、例えば、エチレン・α-オレフィン共重合体や、エチレン・α-オレフィン共重合体とHPLDとのブンレンド組成物などを用いることができる。
通常、積層体を製造する方法としては、例えば、ドライラミネート法、ウェットラミネート法、押出法、サンドイッチラミネート法、共押出法等が挙げられる。例えば、ドライラミネーション等に使用する包装用フィルムは、カレンダー法、空冷インフレーション法、水冷インフレーション法、Tダイ成形法など任意の方法が挙げられる。また、押出法の場合は、押出ラミネート法、ドライラミネート法、サンドイッチラミネート法、共押出ラミネート法(接着層を設けない共押出、接着層を設ける共押出、接着樹脂を配合する共押出等を含む)等の方法がある。
本発明の積層体は、積層体全体の厚み、各層の厚みや各層の厚み比については特に制限はなく、内容物や用途等に応じて適宜選択することができる。積層体全体の厚みは、例えば、40~120μm、基材層の厚みは10~40μm、中間層の厚みは20~40μm、シーラント層の厚みは10~40μm程度である。また、積層の際は、基材表面の接着性をよくするために、予め基材層上にコロナ放電処理、オゾン処理、フレーム処理等の表面処理を行うことができる。さらに、接着性増強等のために、予め基材上にアンカーコート剤を塗布してから積層することができる。アンカーコート剤としては、イソシアネート系、ポリエチレンイミン系、ポリブタジエン系等のものが挙げられる。
本発明の積層体は、種々の包装材、例えば食品包装材、医療用包装材、エンジンオイルなどの工業材料包装材等として用いることができる。中でも、液体を含む内容物の包装材として好適に用いることができる。例えば、液体、繊維及び粉体等の固形状の不溶物を含む液体並びに粘体等の流体を内容物として収容するための液体包装袋として用いることができる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例における物性の測定と評価は、以下に示す方法によって実施した。また、表中のno dataは未測定を意味し、not detectedは検出限界未満を意味する。
1.測定と評価
(1)複素弾性率の絶対値G=0.1MPaにおける位相角δの測定
1)試料の準備、測定
試料を厚さ1.0mmの加熱プレス用モールドに入れ、表面温度180℃の熱プレス機中で5分間予熱後、加圧と減圧を繰り返すことで溶融樹脂中の残留気体を脱気し、更に4.9MPaで加圧し、5分間保持した。その後、表面温度25℃のプレス機に移し替え、4.9MPaの圧力で3分間保持することで冷却し、厚さが約1.0mmの試料からなるプレス板を作製した。試料からなるプレス板を直径25mm円形に加工したものをサンプルとし、動的粘弾性特性の測定装置としてRheometrics社製ARES型回転式レオメータを用い、窒素雰囲気下において以下の条件で動的粘弾性を測定した。
(測定条件)
プレート:φ25mm(直径) パラレルプレート
温度:160℃
歪み量:10%
測定角周波数範囲:1.0×10-2~1.0×10 rad/s
測定間隔:5点/decade
複素弾性率の絶対値G*(Pa)の常用対数logG*に対して位相角δをプロットし、logG=5.0に相当する点のδ(度)の値をδ(G=0.1MPa)とした。測定点の中にlogG=5.0に相当する点がないときは、logG=5.0前後の2点を用いて、logG=5.0におけるδ値を線形補間で求めた。また、測定点がいずれもlogG<5であるときは、logG値が大きい方から3点の値を用いて2次曲線でlogG=5.0におけるδ値を補外して求めた。
(2)重量平均分子量(Mw)及び分子量分布パラメーター(Mw/Mn)の測定
重量平均分子量(Mw)はゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)によって求めた。また、分子量分布パラメーター(Mw/Mn)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)によって、更に数平均分子量(Mn)を求め、MwとMnの比、Mw/Mnによって算出した。
測定は下記の手順及び条件に従って行った。
1)試料の前処理
試料にカルボン酸基が含まれる場合は、例えばジアゾメタンやトリメチルシリル(TMS)ジアゾメタンなどを用いたメチルエステル化などのエステル化処理を行い測定に用いた。また、試料にカルボン酸塩基が含まれる場合は酸処理を行い、カルボン酸塩基をカルボン酸基へと変性した後、上記のエステル化処理を行い測定に用いた。
2)試料溶液の調製
4mLバイアル瓶に試料3mg及びo-ジクロロベンゼン3mLを秤り採り、スクリューキャップ及びテフロン(登録商標)製セプタムで蓋をした後、センシュー科学製SSC-7300型高温振とう機を用いて150℃で2時間振とうを行った。振とう終了後、不溶成分がないことを目視で確認した。
3)測定
ウォーターズ社製Alliance GPCV2000型に昭和電工製高温GPCカラムShowdex HT-G×1本及び同HT-806M×2本を接続し、溶離液にo-ジクロロベンゼンを使用し、温度145℃、流量:1.0mL/分下にて測定を行った。
4)較正曲線
カラムの較正は、昭和電工製単分散ポリスチレン(S-7300、S-3900、S-1950、S-1460、S-1010、S-565、S-152、S-66.0、S-28.5、S-5.05、の各0.07mg/ml溶液)、n-エイコサン及びn-テトラコンタンの測定を上記と同様の条件にて行い、溶出時間と分子量の対数値を4次式で近似した。なお、ポリスチレン分子量(MPS)とポリエチレン分子量(MPE)の換算には次式を用いた。
PE=0.468×MPS
(3)メルトフローレート(MFR)
MFRは、JIS K-7210(1999年)の表1-条件7に従い、温度190℃、荷重21.18N(=2.16kg)の条件で測定した。
(4)引張試験
試料をJIS K7151(1995年)に記載の方法(冷却方法A)で厚さ1mmのシートを作製し、これを打抜いて作製したJIS K7162(1994年)に記載の5B形小型試験片を用いて、JIS K7161(1994年)に従って温度23℃の条件下において引張試験を行い、引張弾性率、引張破壊応力及び引張破壊ひずみを測定した。なお、試験速度は10mm/分とした。
(5)融点及び結晶化度
融点は、示差走査型熱量計(DSC)により測定した吸熱曲線のピーク温度によって示される。測定にはエスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製のDSC(DSC7020)を使用し、次の測定条件で実施した。
試料約5.0mgをアルミパンに詰め、10℃/分で200℃まで昇温し、200℃で5分間保持した後に10℃/分で30℃まで降温させた。30℃で5分間保持した後、再度、10℃/分で昇温させる際の吸収曲線のうち、最大ピーク温度を融点Tmとし、融解吸熱ピーク面積から融解熱(ΔH)を求め、その融解熱を高密度ポリエチレン(HDPE)の完全結晶の融解熱293J/gで除することにより、結晶化度(%)を求めた。
(6)カルボキシ基及び/又はジカルボン酸無水物基を有するモノマー、及び非環状モノマー由来の構造単位量と炭素1,000個当たりの分岐数の測定方法
本発明の共重合体中のカルボキシ基及び/又はジカルボン酸無水物基を有するモノマー、及び非環状モノマーに由来する構造単位量、及び炭素1,000個当たりの分岐数は13C-NMRスペクトルを用いて求められる。13C-NMRは以下の方法によって測定した。
試料200~300mgをo-ジクロロベンゼン(CCl)と重水素化臭化ベンゼン(CBr)の混合溶媒(CCl/CBr=2/1(体積比))2.4ml及び化学シフトの基準物質であるヘキサメチルジシロキサンと共に内径10mmφのNMR試料管に入れて窒素置換した後封管し、加熱溶解して均一な溶液としてNMR測定試料とした。
NMR測定は10mmφのクライオプローブを装着したブルカー・ジャパン(株)のAV400M型NMR装置を用いて120℃で行った。
13C-NMRは、試料の温度120℃、パルス角を90°、パルス間隔を51.5秒、積算回数を512回以上、逆ゲートデカップリング法で測定した。
化学シフトはヘキサメチルジシロキサンの13Cシグナルを1.98ppmに設定し、他の13Cによるシグナルの化学シフトはこれを基準とした。
1)試料の前処理
試料にカルボン酸塩基が含まれる場合は酸処理を行うことにより、カルボン酸塩基をカルボキシ基へと変性した後に測定に用いた。また試料にカルボキシ基が含まれる場合は、例えばジアゾメタンやトリメチルシリル(TMS)ジアゾメタンなどを用いたメチルエステル化などのエステル化処理を適宜行ってもよい。
2)カルボキシ基及び/又はジカルボン酸無水物基を有するモノマー、及び非環状モノマー由来の構造単位量の算出
tBAのt-ブチルアクリレート基の四級炭素シグナルは、13C-NMRスペクトルの79.6~78.8に検出される。これらのシグナル強度を用い、以下の式からコモノマー量を算出した。
tBA総量(mol%)=I(tBA)×100/〔I(tBA)+I(E)〕
ここで、I(tBA)、I(E)はそれぞれ、以下の式で示される量である。
I(tBA)=I79.6~78.8
I(E)=(I180.0~135.0+I120.0~5.0-I(tBA)×7)/2
なお、各モノマーの構造単位量が不等号を含む「<0.1」で示されている場合、共重合体中の構成単位として存在しているが有効数字を考慮して0.1mol%未満の量であることを意味する。
3)炭素1,000個当たりの分岐数の算出
共重合体には、主鎖に分岐が単独で存在する孤立型と、複合型(主鎖を介して分岐と分岐が対面した対面タイプ、分岐鎖中に分岐のあるbranched-branchタイプ、及び連鎖タイプ)が存在する。
以下は、エチル分岐の構造の例である。なお、対面タイプの例において、Rはアルキル基を表す。
Figure 2022150804000006
炭素1,000個当たりの分岐数は、以下の式のI(分岐)項に、下記のI(B1)、I(B2)、I(B4)のいずれかを代入し求める。B1はメチル分岐、B2はエチル分岐、B4はブチル分岐を表す。メチル分岐数はI(B1)を用い、エチル分岐数はI(B2)を用い、ブチル分岐数はI(B4)を用いて求める。
分岐数(個/炭素1,000個当たり)=I(分岐)×1000/I(total)
ここで、I(total)、I(B1)、I(B2)、I(B4)は以下の式で示される量である。
I(total)=I180.0~135.0+I120.0~5.0
I(B1)=(I20.0~19.8+I33.2~33.1+I37.5~37.3)/4
I(B2)=I8.6~7.6+I11.8~10.5
I(B4)=I14.3~13.7-I32.2~32.0
ここで、Iは積分強度を、Iの下つき添字の数値は化学シフトの範囲を示す。例えばI180.0~135.0は180.0ppmと135.0ppmの間に検出した13Cシグナルの積分強度を示す。
帰属は、非特許文献Macromolecules 1984, 17, 1756-1761、Macromolecules 1979,12,41を参考にした。
なお、各分岐数が不等号を含む「<0.1」で示されている場合、共重合体中の構成単位として存在しているが有効数字を考慮して0.1mol%未満の量であることを意味する。また、not detectedは検出限界未満を意味する。
(7)赤外吸収スペクトル
試料を180℃にて3分間溶融し、圧縮成形して、厚さ50μm程度のフィルムを作製する。このフィルムをフーリエ変換赤外分光分析により分析して、赤外吸収スペクトルを得た。
(測定条件)
製品名:FT/IR-6100 日本分光株式会社製
測定手法:透過法
検出器:TGS(Triglycine sulfate)
積算回数:16~512回
分解能:4.0cm-1
測定波長:5000~500cm-1
(8)引張衝撃強さ
1)引張衝撃強さ試験サンプルの作製方法
試料を、厚さ1mmの加熱プレス用モールドに入れ、表面温度180℃の熱プレス機中で5分間予熱後、加圧と減圧を繰り返すことで試料を溶融すると共に試料中の残留気体を脱気し、更に4.9MPaで加圧し、5分間保持した。その後、4.9MPaの圧力をかけた状態で、10℃/分の速度で徐々に冷却し、温度が室温付近まで低下したところでモールドから成形板を取り出した。得られた成形板を温度23±2℃、湿度50±5℃の環境下で48時間以上、状態調節した。状態調節後のプレス板からASTM D1822 Type-Sの形状の試験片を打ち抜き、引張衝撃強さ試験サンプルとした。
2)引張衝撃強さ試験条件
上記試験片を用い、JIS K 7160-1996のB法を参考として引張衝撃強さを測定した。なお、JIS K 7160-1996と異なるのは、試験片の形状のみである。その他測定条件等に関しては、JIS K 7160-1996に準じた方法で試験を実施した。
(9)充填評価
1)充填条件
得られた積層体を、液体自動充填包装機(大成ラミック社製)を用いて、次の条件で液体を充填した。
(測定条件)
シール温度:(縦)163℃、(横)145~185℃
包装形態:三方シール
袋寸法:幅75mm×縦63mmピッチ
充填物:水 30℃(常温充填)
充填量:約15g
充填速度:20m/分、25m/分
2)充填適性の判定基準
上記の条件で横シール温度、及び充填速度を変更して充填を行い、外観観察及び下記の耐圧条件にて、破袋、又はシール後退、水漏れの有無を評価した。
(耐圧条件)
耐圧試験機(小松製作所社製)にて100kgで1分間荷重をかけた。
(評価基準)
○:横シール外観が良好であり、耐圧評価で破袋や水漏れがなく、発泡が見られなかった。
×:横シール外観が良好であるが、耐圧評価で破袋や後退、水漏れがあった。
△:耐圧評価で破袋や水漏れがないが、横シール外観にシワ、発泡が見られた。
2.樹脂材料
[実施例1]
(1)金属錯体の合成
1)B-423/Ni錯体の合成
1-1)配位子B-423:2-ビス(2,6-ジメトキシフェニル)ホスファノ-6-(2,6-ジイソプロピルフェニル)フェノールの合成
Figure 2022150804000007

以下のスキームに従って配位子B-423を合成した。
なお、以降の化学式中、-OMOMとはメトキシメトキシ基(-OCHOCH)を表す。
Figure 2022150804000008
1-1-1)化合物2の合成
特許文献WO2010/050256に従って合成した。
1-1-2)化合物3の合成
化合物2(2.64g、10.0mmol)のTHF(5.0ml)溶液にiso-PrMgCl(2M、5.25ml)を0℃で加えた。反応混合物を25℃で1時間撹拌した後、PCl(618mg、4.50mmol)を-78℃で加えた。
反応混合物を25℃まで3時間かけて昇温し、黄色懸濁液を得た。溶媒を減圧留去し、黄色固体を得た。この混合物を精製することなく、次の反応に用いた。
1-1-3)化合物5の合成
化合物4(30g、220mmol)のTHF(250ml)溶液にn-BuLi(2.5M、96ml)を0℃で加え、30℃で1時間撹拌した。この溶液にB(OPr)(123g、651mmol)を-78℃で加え、30℃で2時間撹拌して白色懸濁液を得た。
塩酸(1M)を加えてpH=6~7に調整し、有機層を濃縮して混合物を得た。
得られた混合物を石油エーテル(80ml)で洗浄し、化合物5を26g得た。
1-1-4)化合物7の合成
化合物5(5.00g、27.5mmol)、化合物6(4.42g、18.3mmol)、Pd(dba)(168mg、0.183mmol)、s-Phos(2-Dicyclohexylphosphino-2’,6’-dimethoxybiphenyl)(376mg、0.916mmol)、KPO(7.35g、34.6mmol)を反応容器に量りとり、トルエン(40ml)を加えた。この溶液を110℃で12時間反応させ、黒色懸濁液を得た。
O(50ml)を加え、EtOAc(55ml×3)で抽出した。
有機層を食塩水(20ml)で洗浄してNaSOで脱水した。
有機層を濾過して溶媒を減圧留去した後、シリカゲルカラムで精製することにより1.3gのオイル状物質を得た。
1-1-5)化合物8の合成
化合物7(6.5g、22mmol)のTHF(40ml)溶液にn-BuLi(2.5M、9.15ml)を0℃で滴下し、30℃に昇温して1時間撹拌した。この反応溶液を-78℃に冷却してCuCN(2.1g,23mmol)を加え、30℃で1時間撹拌した。
反応溶液を-78℃に冷却して化合物3(6.7g、20mmol)のTHF(40ml)溶液を加え、30℃で12時間撹拌して白色の懸濁液を得た。
懸濁液にHO(50ml)を加えると白色沈殿が生じた。
白色沈殿を濾過で回収してジクロロメタン(20ml)に溶解させ、アンモニア水(80ml)を加えて3時間撹拌した。
生成物をジクロロメタン(50ml×3)で抽出してNaSOで脱水した後、濃縮して黄色のオイル状物質を得た。このオイル状物質をシリカゲルカラムで精製し、化合物8を2.9g得た。
1-1-6)B-423の合成
化合物8(2.9g、4.8mmol)のジクロロメタン(20ml)溶液にHCl/EtOAc(4M、50ml)を0℃で加え、30℃で2時間撹拌して淡黄色溶液を得た。
溶媒を減圧留去した後、ジクロロメタン(50ml)を加えた。
飽和NaHCO水溶液(100ml)で洗浄し、B-423を2.5g得た。
得られた配位子B-423のNMR帰属値を以下に示す。
(NMR)
H NMR(CDCl、δ、ppm):7.49(t、1H)、7.33(t、1H)、7.22(m、4H)、6.93(d、1H)、6.81(t、1H)、6.49(dd、4H)、6.46(br、1H)、3.56(s、12H)、2.63(sept、2H)、1.05(d、6H)、1.04(d、6H);
31P NMR(CDCl、δ、ppm):-61.6(s).
1-2)B-423/Ni錯体の合成
以下の操作は、全て窒素雰囲気下で行った。
以下、ニッケルアセチルアセトンをNi(acac)2と記載する。
Ni(acac)2(90.0mg、0.35mol)をトルエン(30mL)に溶解させ、配位子として上記で得られたB-423(200mg、0.36mmol)に加えた。
反応溶液を室温で10分撹拌後、溶媒を減圧留去して濃赤紫色固体を得た。
この生成物をヘキサン(10mL×2)で洗浄し、減圧乾燥することで赤紫色固体を得た(収量247g、収率99%)。得られた金属錯体のNMR帰属値を以下に示す。
(NMR)
HNMR(C,δ,ppm):7.65(d,1H)、7.25-7.35(m,3H)、7.07(t,2H)、6.97(d,1H)、6.51(t,1H)、6.26(d,4H)、4.83(brs,1H)、3.44(s,12H)、3.14(sept,2H)、1.44(d,6H)、1.29(s,6H)、1.21(d,6H).
(2)アイオノマーの製造
1)製造例1
1-1)アイオノマーベース樹脂前駆体の製造
遷移金属錯体B-423/Niを用いて、エチレン/アクリル酸tBu共重合体を製造した。特開2016-79408号公報に記載された製造例1又は製造例3を参考に前駆体の製造を行い、金属触媒種、金属触媒量、トリオクチルアルミニウム(TNOA)量、トルエン量、コモノマー種、コモノマー濃度、エチレン分圧、重合温度、重合時間など、適宜変更した製造条件及び製造結果を表1、得られた前駆体1の物性を表2に示す。
1-2)アイオノマーベース樹脂の製造
内容積1.6mの攪拌翼付きSUS316L製のオートクレーブに、得られた製造例1の共重合体を100kgとパラトルエンスルホン酸一水和物を2.0kg、トルエンを173L投入し、105℃で4時間撹拌した。イオン交換水173Lを投入し撹拌、静置した後、水層を抜き出した。以後、抜き出した水層のpHが5以上となるまで、イオン交換水の投入と抜き出しを繰り返し行った。残った溶液を42mmφベント装置付二軸押出機(L/D=42)に投入し、ベントを真空に引くことで溶媒を留去した。さらに押出機先端のダイスから連続的にストランドの形で押出される樹脂を水中で冷却しカッターで切断することにより樹脂のペレットを得た。
得られた樹脂のIRスペクトルにおいて、tBu基に由来する850cm-1付近のピークの消失及び、エステルのカルボニル基に由来する1730cm-1付近のピークの減少と、カルボン酸(二量体)のカルボニル基に由来する1700cm-1付近のピークの増加を観測した。
これにより、t-Buエステルの分解及びカルボン酸の生成を確認し、アイオノマーベース樹脂1を得た。得られた樹脂の物性を表3、表4に示す。以下の表において、「E」「AA」はそれぞれ、ベース樹脂中に含有されている構造単位としての「エチレン」「アクリル酸」の略号である。
1-3)アイオノマーの製造
1-3-1)Znイオン供給源の作製
東芝機械製26mmφベント装置付き二軸押出機(L/D=64)に、エチレン/メタクリル酸(MAA)共重合体(三井・ダウポリケミカル(株)製 銘柄:Nucrel N1050H)を54.5wt%、酸化亜鉛を45wt%、ステアリン酸亜鉛を0.5wt%の配合比率となるように連続的に投入し、バレル設定温度150℃、スクリュー回転数150rpmの混練条件で、混練中に発生するガス及び水を真空ポンプにてベント部分より除去しながら押出を行った。さらに押出機先端のダイスから連続的にストランドの形で押出される樹脂を水中で冷却しカッターで切断することによりZnイオン供給源のペレットを得た。
1-3-2)アイオノマーの作製
東芝機械製26mmφベント装置付き二軸押出機(L/D=65)に、樹脂1とZnイオン供給源を所望の中和度となるような配合比率で連続的に投入し、バレル設定温度200℃、スクリュー回転数150rpmの混練条件で、投入樹脂量100部に対して4部の割合で水を注入しつつ、混練中に発生するガス及び水を真空ポンプにてベント部分より除去しながら押出を行った。さらに押出機先端のダイスから連続的にストランドの形で押出される樹脂を水中で冷却しカッターで切断することによりアイオノマーのペレットを得た。
得られた樹脂のIRスペクトルにおいて、カルボン酸(二量体)のカルボニル基に由来する1700cm-1付近のピークが減少し、カルボン酸塩基のカルボニル基に由来する1560cm-1付近のピークが増加していた。カルボン酸(二量体)のカルボニル基に由来する1700cm-1付近のピークの減少量から所望の中和度のアイオノマー1が作製できていることを確認した。得られたアイオノマー1の物性を表5、表6に示す。
(3)アイオノマーを用いた積層体の作製
アイオノマー1を積層体樹脂組成物として積層体を作製した。押出ラミネート装置を用い、幅300mm、厚み15μmの二軸延伸ナイロンフィルム(東洋紡社製ハーデンフィルムN2102)を基材層として、その上に、2液系アンカーコート剤(大日精化製セイカダイン溶液)をボウズロールにて塗工しながら、またラミネート部にてオゾン吹きつけを行いながら、中間層として積層体用樹脂組成物を被覆厚み15μm、シーラント層としてエチレン・α-オレフィン共重合体組成物(日本ポリエチレン株式会社製 カーネルKC460S(MFR:8.0g/10分、密度:0.905g/cm))を被覆厚み25μmで溶融共押出ラミネート加工を行った。押出ラミネート装置は、口径40mmφの押出機に装着したTダイスから押し出される樹脂の温度が290℃になるように設定し、冷却ロール表面温度25℃、ダイス幅400mm、ダイリップ開度0.8mmで引き取り加工速度が30m/分の場合に被覆厚みがそれぞれ上記の厚みになるように押出量を調整した。加工後の積層体を40℃のオーブン内にて48時間のエージングを行った後、幅150mmにスリットすることで評価用の積層体を得た。充填適性の測定結果を表7に示す。
[実施例2]
(1)金属錯体の合成
実施例1と同様のB-423/Ni錯体を合成した。
(2)アイオノマーの製造
2)製造例2
2-1)アイオノマーベース樹脂前駆体の製造
製造例1において、金属触媒量、トリオクチルアルミニウム(TNOA)量、トルエン量、コモノマー量、エチレン分圧、重合温度、重合時間など、適宜変更した製造条件及び製造結果を表1、得られた前駆体2の物性を表2に示す。
2-2)アイオノマーベース樹脂の製造
製造例1と同様にして、アイオノマーベース樹脂2を得た。得られた樹脂の物性を表3、表4に示す。
2-3)アイオノマーの製造
アイオノマーベース樹脂2を用い、Znイオン供給源を所望の中和度となるように適宜調節し投入した以外は、製造例1と同様にして、アイオノマー2を製造した。得られたアイオノマー2の物性を表5、表6に示す。
(3)アイオノマーを用いた積層体の作製
アイオノマー1に代わり、アイオノマー2を積層体樹脂組成物として用いた以外は実施例1と同様に溶融共押出ラミネート加工を行った。充填適性の測定結果を表7に示す。
[比較例1]
エチレンとメタクリル酸とメタクリル酸亜鉛の共重合体であって、高圧ラジカル法プロセスによって製造されたアイオノマー樹脂(三井・ダウポリケミカル(株)製 銘柄:HIMILAN HIM1652)を用いた。物性を表8、表9に示す。
・アイオノマーを用いた積層体の作製
アイオノマー1に代わり、HIM1652を積層体樹脂組成物として用いた以外は実施例1と同様に溶融共押出ラミネート加工を行った。充填適性の測定結果を表10に示す。
[比較例2]
アイオノマー樹脂ではない、押出ラミネート向けmLLDPE(MFR:8.5、密度:0.914g/cm)を用いた。物性を表8、表9に示す。
・アイオノマーを用いた積層体の作製
アイオノマー1に代わり、mLLDPEを積層体樹脂組成物として用いた以外は実施例1と同様に溶融共押出ラミネート加工を行った。充填適性の測定結果を表10に示す。
Figure 2022150804000009
Figure 2022150804000010
Figure 2022150804000011
Figure 2022150804000012
Figure 2022150804000013
Figure 2022150804000014
Figure 2022150804000015
Figure 2022150804000016
Figure 2022150804000017
Figure 2022150804000018
<実施例と比較例の結果の考察>
表7及び表10から、実施例は比較例に対し、充填時の外観が良好であり、横シール温度が低温から高温まで幅広い温度範囲で高速液体充填が可能であった。これは、本発明におけるエチレン系アイオノマーが、従来のアイオノマーと異なり実質的に直鎖状の分子構造を有することによるためと考えられる。
本発明は、自動充填機での液体や粘体用の包装袋等の包装材料として、特定の組成及び物性を有するエチレン系アイオノマーを含む積層体用樹脂組成物を中間層として用いることで、低温から高温まで幅広いシール温度範囲で高速充填が可能なことから、各種包装用フィルムに使用される。特に液体包装袋として有用である。

Claims (9)

  1. (I)基材層、(II)中間層及び(III)シーラント層をこの順序で少なくとも有する積層体の中間層用樹脂組成物であって、下記(a)の特性を有するエチレン系アイオノマーを含むことを特徴とする、中間層用樹脂組成物。
    (a)回転式レオメータで測定した複素弾性率の絶対値G=0.1MPaにおける位相角δが、50度~75度である
  2. 前記エチレン系アイオノマーが、エチレン及び/又は炭素数3~20のα-オレフィンに由来する構造単位(A)と、カルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基を有するモノマーに由来する構造単位(B)を必須構成単位として含む共重合体(P)中の、カルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基の少なくとも一部が周期表1族、2族、又は12族から選ばれる少なくとも1種の金属イオンを含有する金属含有カルボン酸塩に変換されてなるエチレン系アイオノマーである請求項1記載の中間層用樹脂組成物。
  3. 前記共重合体(P)の13C-NMRにより算出されるメチル分岐数が、炭素1,000個当たり50個以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の積層体の中間層用樹脂組成物。
  4. 前記共重合体(P)が、共重合体中に前記構造単位(B)を2~20mol%含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の積層体の中間層用樹脂組成物。
  5. 前記構造単位(A)が、エチレンに由来する構造単位であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の積層体の中間層用樹脂組成物。
  6. 前記共重合体(P)が周期表第8~11族の遷移金属を含む遷移金属触媒を用いて製造されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の積層体の中間層用樹脂組成物。
  7. 前記遷移金属触媒がリンスルホン酸又はリンフェノール配位子とニッケル又はパラジウムからなる遷移金属触媒であることを特徴とする、請求項6に記載の積層体の中間層用樹脂組成物。
  8. 少なくとも(I)基材層、(II)中間層及び(III)シーラント層がこの順序で積層されてなり、該(II)中間層に請求項1~7のいずれかに記載の積層体の中間層用樹脂組成物を含む、積層体。
  9. 請求項8に記載の積層体を用いた液体包装体。
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