JP7448878B2 - 車両の前部構造 - Google Patents
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Description
ところで、電力変換装置は、小型軽量化が進められている。この特徴を生かして電力変換装置は、パワーユニット収容室のうち、最前部に配置して、同電力変換装置の前部(車両前後方向)と、パワーユニット収容室の最前部に配置されるフロントメンバ、具体的には例えば車幅方向に延在するアッパーバーとを、固定ブラケットで固定して、電力変換装置をパワーユニット収容室の前部に据え付ける技術が研究されている。
従来では、特許文献1にも開示されているように電力変換装置をトレイ構造により、フロントクロスメンバの上方で支えたり、トレイ構造と電力変換装置間に別途、専用の変形可能部材を設けて、電力変換装置を衝撃力から保護したりすることが行われている。
しかも、引用文献1の技術を用いて電力変換装置を保護するためには、別途、複雑な構造の変形可能部材が求められる。このため、コスト的な負担が強いられたり、複雑になるなどの問題も指摘されており、フロントメンバとの固定で据え付けた電力変換装置を、前突時の衝撃力から保護可能とした技術が要望されている。
この衝撃力の逃げにより、フロントメンバの後退変位は抑えられ、フロントメンバと電力変換装置との干渉が抑えられる。
図1は、例えばPHEVやEVなどといった車両の前部構造を示していて、図1中の符号1はパワーユニット収容室を示している。このパワーユニット収容室1内にパワーユニットを構成する主要機器(図示しない)が収められる。
符号3は、パワーユニット収容室1の最前部の上側に配置されたアッパーバー(本願のフロントメンバに相当)を示している。アッパーバー3は、車両の車幅方向に沿って延在している。このアッパーバー3の両端側には、車両後方へJ形状に屈曲する屈曲部5が形成されている。
こうしたパワーユニット収容室1内の片側には、アッパーバー3と近接して電力変換装置11が収められる。電力変換装置11は、筐体内に電力変換回路や制御回路などを収めて構成され、小型軽量化が図られている。こうした電力変換装置11がゆえに、アッパーバー3の後方側、例えば屈曲部5と直近となる位置での電力変換装置11のレイアウトを実現させている。ちなみに、図2に示されるように電力変換装置11の前部(車両前後方向)の中段には、外部機器のコネクタ13と接続可能な端子部15が設けられている。
電力変換装置11の前部の下段両側には、図1-3に示されるように所定のスパンで固定座部17が設けられる。また上段両側には固定座部17より短いスパンでボス状の固定座部19が設けられる。ちなみに、端子部15やコネクタ13は、固定座部17のスパン内に配置される。
具体的には図2および図4に示されるように固定ブラケット21の本体部は、アッパーバー3の屈曲部5の上面や同屈曲部5の周辺の上面までの領域と重なり合うJ形状の上壁部31と、上壁部31の後方端(電力変換装置11側)から屈曲部5の背面や同屈曲部5の周辺の背面と重なるよう下方へ突き出た壁部35とを有して構成される。つまり、壁部35は、屈曲部5の車両後方側に延在している。
こうした固定ブラケット21による電力変換装置11の固定により、車両の前突時、アッパーバー3に加わる衝撃力を壁部35で受けると、アッパーバー3の屈曲部5に伝わり、他の車体骨格部材へ逃がせる。なお、固定ブラケット21の脚部39aと脚部39bには、固定ブラケット21の位置決めを行う位置決め部としての小孔41aが設けてある。
てある。
例えば図2-図4に示されるようにプロテクタ16は、電力変換装置11に接続されるコネクタ13の直近上方を覆う上壁51と、上壁51の後端部(車両前後方向)から、電力変換装置11の片側の固定座部19に向かうように延在させたL形状の脚部53と、上壁51の車幅方向中央側の側端部(車幅方向中央側)から、固定部41間に配置された固定座部55に向かって延在させた逆L形の脚部57(いずれも本願の固定部に相当)とを有している。
このプロテクタ16により、たとえ車両の前突時、アッパーバー3が過剰に後退変位され、コネクタ13がアッパーバー3と干渉するおそれになっても、脆弱とされるコネクタ13の干渉だけは防げる。
具体的には、振動抑制ブラケット27の電力変換装置11側に設けた左右一対の固定部61のうちの片側と、プロテクタ16の脚部53とは、共通のボルト部材65にて、一緒に電力変換装置11の固定座部19に対して共締めされる。残る固定部61は、残る固定座部19にボルト止めされる。
つまり、電力変換装置11の据付後は、振動抑制ブラケット27を外すだけで、プロテクタ6を固定している個所が減るので、プロテクタ16を止めている最少本数のボルトを取り去る作業だけですみ、迅速にコネクタ13のメンテナンスが行える構造となっている。
今、車両において前突を生じ、アッパーバー3に衝撃力Fが加わるとする。
この衝撃力Fによりアッパーバー3には、車両後方側へ変位させる作用が生ずる。
ここで、アッパーバー3と電力変換装置11との間は近いため(近接)、そのままでは、電力変換装置11と干渉されることが懸念される。
このため、アッパーバー3に加わる衝撃力Fは、アッパーバー3の屈曲部5に沿って延在する壁部35で受ける。すると、衝撃力Fは、図1中の矢印方向のように壁部35を通じて、アッパーバー3の屈曲部5(屈曲方向)へ分散され、他の車体骨格部材へ逃げる。
所定値以上の衝撃力Fがアッパーバー3に加わる場合、図4中の矢印のように振動抑制ブラケット27や固定ブラケット21の脚部39a,39bが車両後方側へ変形し始め、衝撃力Fを吸収する。これにより、アッパーバー3の過剰な後退変位が抑えられる。
以上、本実施形態のように固定ブラケット21は、屈曲部5の背面に沿う壁部35を設け、加わる衝撃力Fを屈曲部5から逃がすようにしたので、アッパーバー3特有の形状(屈曲部5:有)を活用して、車両の前突時の衝撃力から電力変換装置11を保護することができる。しかも、衝撃力Fを受ける壁部35は、固定ブラケット21を兼ねるため、別途、衝撃を吸収する構造は不要であり、簡単、かつコスト的な負担は少なくてすむ。
そのうえ、電力変換装置11に接続されたコネクタ13は、プロテクタ16で保護されるので、たとえアッパーバー3が過剰に後退変位しても、脆弱部となるコネクタ13に対する干渉は防ぐことができる。
特に振れの生じやすい電力変換装置11の上段側に振動抑制ブラケット27を配置して振動を抑える場合、固定ブラケット21の上側に振動抑制ブラケット27を配置し、振動抑制ブラケット27のアッパーバー3側を、固定ブラケット21の固定部37bと共締めして固定し、振動抑制ブラケット27の電力変換装置11側を、プロテクタ16の脚部53と共締めして固定したことにより、迅速にコネクタ13のメンテナンスが行える。
5 屈曲部
11 電力変換装置
13 コネクタ
16 プロテクタ
21 固定ブラケット(固定部材)
27 振動抑制ブラケット(振動抑制部材)
35 壁部
37a,37b 固定ブラケットの固定部
39a 固定ブラケットの脚部(第一脚部)
39b 固定ブラケットの脚部(第二脚部)
53,57 プロテクタの脚部(固定部)
61,63 振動抑制部材の固定部
Claims (6)
- 車両の車幅方向に沿って延び、端側に車両後方側に屈曲する屈曲部を有するフロントメンバと、前記フロントメンバの車両後方側に配置された電力変換装置と、前記フロントメンバと前記電力変換装置の車両前後方向前部とを固定する固定部材と、
を有する車両の前部構造であって、
前記固定部材は、
前記フロントメンバの車両後方側の背面に車両の車幅方向に沿って形成される壁部を有し、
前記壁部の一端側は前記屈曲部に沿って延在し、さらに前記屈曲部の車両後方側に沿って延在する
ことを特徴とする車両の前部構造。 - 前記固定部材は、
前記フロントメンバと固定される固定部と、
前記壁部のフロントメンバ側から前記電力変換装置へ突き出す第一脚部と、前記壁部の車両後方側に延在側から前記電力変換装置へ突き出す第二脚部を有し、
前記電力変換装置の前部と固定される
ことを特徴とする請求項1に記載の車両の前部構造。 - 前記電力変換装置の車両前後方向前部は、外部機器のコネクタが接続可能とされ、
かつ前記電力変換装置の車両前後方向前部には、前記コネクタを保護するプロテクタが設けられる
ことを特徴とする請求項1と請求項2のいずれか一つに記載の車両の前部構造。 - 前記コネクタは、前記電力変換装置の車両前後方向前部の中段に配置され、
前記固定部材の固定部は、前記コネクタが接続される位置よりも上方の位置で固定され、
前記固定部材の第一、第二脚部は、前記コネクタが接続される位置よりも下方の位置で固定される
ことを特徴とする請求項3に記載の車両の前部構造。 - 前記フロントメンバと前記電力変換装置の車両前後方向前部との間は、前記電力変換装置の振動を抑える振動抑制部材でさらに連結される
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一つに記載の車両の前部構造。 - 前記フロントメンバと前記電力変換装置の車両前後方向前部との間は、前記電力変換装置の振動を抑える振動抑制部材でさらに連結され、
前記振動抑制部材は、前記固定部材の上側に配置され、
前記プロテクタは、前記電力変換装置と固定される固定部を有し、
前記振動抑制部材の前記フロントメンバ側の固定部が、前記固定部材の固定部と一緒に前記フロントメンバに固定され、
前記振動抑制部材の電力変換装置側の固定部が、前記プロテクタの固定部と一緒に前記電力変換装置に固定される
ことを特徴とする請求項3と請求項4のいずれか一つに記載の車両の前部構造。
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