JP7447832B2 - ステッチ加飾部品およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、基材表面に接着された表皮材の表面側から挿通する糸によってステッチ模様が縫製されたステッチ加飾部品およびその製造方法に関する。
例えば、自動車の内装部品には、硬質の合成樹脂からなる基材の表面を柔らかい表皮材で覆ったものがある。また、このような内装部品では、意匠性の向上を図るための装飾がなされていることがある。例えば、特許文献1には、糸を係止した部品を表皮材と基材との間に表皮材の表面側から挿入することで、表皮材の表面にステッチ模様を施すことが記載されている。
特開2019-64576号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載されたステッチ加工部品およびその製造方法では、以下のような問題があった。すなわち、ステッチ模様が複数あり、複数のステッチ模様の中に略T字状に交差するものがある場合、その交差部に端部が位置するステッチ模様が存在することとなる。そして、例えば、交差部に端部が位置するステッチ模様においては、その交差部における糸の端部が表皮材の表面側に露出してしまった場合などに、意匠性が低下してしまうという問題があった。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、端部と中間部とで交差する複数のステッチ模様を備える意匠性の高いステッチ加飾部品およびその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係るステッチ加飾部品およびその製造方法は、次のような構成を有している。
(1)基材と、前記基材の表面に接着された表皮材とを備え、前記表皮材の表面側から所定の縫い目ピッチで前記基材と前記表皮材との間に挿入した糸係止部材に係止された糸によって、前記表皮材の表面側に形成した複数のステッチ模様を有するステッチ加飾部品であって、
第1のステッチ模様の一端部と第2のステッチ模様の中間部とが略T字状に交差して形成されたステッチ模様の交差部を備え、
前記交差部では、前記基材に貫通孔が形成されていること、
前記交差部における前記第1のステッチ模様の糸の端部は、前記貫通孔から前記基材の裏面側に引き出されて固定されていることを特徴とする。
本発明においては、交差部における第1のステッチ模様の糸の端部は、貫通孔から基材の裏面側に引き出されて固定されている。このため、交差部における第1のステッチ模様の糸の端部が、表皮材の表面側へと露出してしまうことが防止されている。これにより、本発明によれば、端部と中間部とで交差する複数のステッチ模様を備える意匠性の高いステッチ加飾部品が提供されている。
(2)(1)に記載されたステッチ加飾部品において、
前記糸の端部は、前記表皮材の裏面または前記基材の裏面と接着されていることを特徴とする。
本発明においては、交差部における第1のステッチ模様の糸の端部が、表皮材の表面側へと露出してしまうことを適切に防止できる。さらに、第1のステッチ模様の糸の端部の接着による固定を、容易に行うことが可能である。
(3)(1)または(2)に記載されたステッチ加飾部品において、
前記貫通孔は、前記第2のステッチ模様の前記縫い目ピッチよりも狭い幅で形成されていることを特徴とする。
本発明においては、第2のステッチ模様に係る糸係止部材のうち、貫通孔の箇所に位置するものを低減することができる。貫通孔の箇所では、表皮材の裏面側に基材がなく、表皮材が基材に接着されていない。そして、第2のステッチ模様に係る糸係止部材が貫通孔の箇所に位置している場合、その糸係止部材の位置における表皮材の表面が、糸が引っ張られることによって変形してしまうおそれがある。これに対し、貫通孔の箇所に位置する第2のステッチ模様に係る糸係止部材を低減できていることで、表皮材の表面の変形を抑制することができる。これにより、意匠性の高いステッチ加飾部品とすることができる。
(4)(1)から(3)までのいずれか1つに記載されたステッチ加飾部品の製造方法であって、
前記基材を載置するとともに、前記貫通孔に挿入されて前記基材における前記糸係止部材との当接面と面一状に形成された表皮材受け部を有する基材保持具と、
前記糸係止部材を保持して前記基材と前記表皮材との間に挿入する挿入針と、前記挿入針の先端部から前記糸係止部材を押し出す押出ピンと、前記挿入針および前記押出ピンを進退させる駆動機構とを有する針駆動装置とを備え、
前記針駆動装置が、前記糸を係止した前記糸係止部材を保持した状態の前記挿入針の先端部を、前記ステッチ模様の縫い目の位置で前記表皮材の表面側から前記基材と前記表皮材との間に挿入し、前記押出ピンを前進させて前記挿入針の先端部から前記糸係止部材を前記表皮材内に押し出して、前記糸を係止した状態の前記糸係止部材を前記基材と前記表皮材との間または前記表皮材受け部と前記表皮材との間に挿入して前記ステッチ模様を形成するステッチ模様形成工程と、
前記基材保持具から前記基材を取り外した後、前記貫通孔から前記基材の裏面側に引き出した前記糸の端部を固定する糸固定工程と、を有することを特徴とする。
本発明においては、表皮材受け部を有する基材保持具に基材を保持させた状態でステッチ模様形成工程を行う。これにより、基材に貫通孔が設けられている箇所においても、適切にステッチ模様を形成することができる。よって、交差部における第1のステッチ模様の糸の端部が、表皮材の表面側へと露出してしまうことが防止された、意匠性の高いステッチ加飾部品を製造することができる。
(5)(4)に記載されたステッチ加飾部品の製造方法において、
前記糸固定工程では、前記糸の端部をホットメルト接着剤または2液硬化型の接着剤を用いて固定することを特徴とする。
本発明においては、接着剤として、短時間で硬化するホットメルト接着剤または2液硬化型の接着剤を用いる。これにより、意匠性の高いステッチ加飾部品を短時間で製造することができる。
本発明によれば、端部と中間部とで交差する複数のステッチ模様を備える意匠性の高いステッチ加飾部品およびその製造方法が提供されている。
本実施形態に係るステッチ加飾部品を表す斜視図である。 図1に示すステッチ加飾部品のA-A断面図である。 図2に示すステッチ加飾部品のB-B断面図である。 図1に示すステッチ加飾部品のC-C断面図である。 図4に示す矢印Dの方向から見た基材の交差部の図である。 糸係止部材が連結棒に所定のピッチで連結されている係止部材ユニットと挿入針とを表す斜視図である。 図6に示すE矢視図であって、糸係止部材ユニットの先頭の糸係止部材を切り離して挿入針が保持する状態を表す。 図7に示すF矢視図である。 ステッチ模様を形成する加工手順を表す加工断面図であって、(a)は挿入針を縫い目の位置に挿入する前の状態を示し、(b)は押出しピンを前進させて挿入針の先端部から糸係止部材を表皮材内に押し出す状態を示し、(c)は縫い目の位置で、糸を係止した糸係止部材が基材と表皮材との間に挿入されている状態を示す。 第1ステッチ模様の後端部の縫い目の位置に挿入針を挿入する前の状態を示す断面図である。 第1ステッチ模様の後端部における糸の端部を基材の裏面側へ引き出す様子を表す断面図であって、(a)は第1ステッチ模様の後端部における糸の端部が基材の裏面側に引き出される前の状態を示し、(b)は糸の端部を基材の裏面側へと引き出す引出治具を糸へ引っ掛けた状態を示し、(c)は引出治具によって糸の端部が基材の裏面側へと引き出された状態を示す。 第1ステッチ模様の後端部における糸の端部を固定する様子を示す断面図である。 第1ステッチ模様の後端部における糸端部の固定態様の第1の変形例を示す図である。 第1ステッチ模様の後端部における糸端部の固定態様の第2の変形例を示す図である。
次に、本発明に係る実施形態であるステッチ加飾部品およびその製造方法について、図面を参照して詳細に説明する。はじめに、本ステッチ加飾部品の実施例における構造について詳細に説明し、その後、その製造方法について詳細に説明する。
<本ステッチ加飾部品の実施例における構造>
まず、本実施形態に係るステッチ加飾部品の実施例における構造を、図1~図5を用いて説明する。
図1に、本実施形態に係るステッチ加飾部品10を表す斜視図を表す。図1に示すように、本形態のステッチ加飾部品10は、車両の運転席および助手席の前方に配置するインストルメントパネルである。ステッチ加飾部品10は、車両の使用者から視認できる表面が、表皮材2で覆われている。表皮材2の表面である表皮材表面24には、ステッチ模様3が設けられている。ステッチ加飾部品10は、ステッチ模様3として、前後方向に延びる第1ステッチ模様3Aと、左右方向に延びる第2ステッチ模様3Bとを有している。第2ステッチ模様3Bは、ステッチ加飾部品10の左端から右端まで横切っている。すなわち、第2ステッチ模様3Bは、ステッチ加飾部品10の外縁の2つの位置同士をつないでいる。
第1ステッチ模様3Aは、その前端部が、ステッチ加飾部品10の前端まで延びている。これに対し、第1ステッチ模様3Aの後端部35Aは、第2ステッチ模様3Bの中間部35Bまで延びている。中間部35Bは、第2ステッチ模様3Bの両端部の間に位置する部分である。つまり、第1ステッチ模様3Aは、後端部35Aが、ステッチ加飾部品10の外縁を除いた内側の領域に位置している。すなわち、第1ステッチ模様3Aは、ステッチ加飾部品10の外縁の2つの位置同士をつなぐものではなく、少なくとも一端部がステッチ加飾部品10の外縁よりも内側に位置している。そして、ステッチ加飾部品10は、第1ステッチ模様3Aの後端部35Aと、第2ステッチ模様3Bの中間部35BとがT字状に交差して形成された交差部35を備えている。
図2および図3に、ステッチ加飾部品10の断面図を示す。図2は、図1に示すステッチ加飾部品10におけるA-A断面図である。図3は、図2に示すステッチ加飾部品10におけるB-B断面図である。図2、図3に示すように、ステッチ加飾部品10は、基材1と表皮材2とを備える。基材1の基材表面12に、表皮材2の表皮材裏面25が接着されている。また、ステッチ加飾部品10は、表皮材2の表皮材表面24側に、ステッチ模様3を有している。ステッチ模様3は、表皮材表面24側から挿入した糸31によって形成されている。ステッチ模様3を形成する糸31は、ステッチ模様3の縫い目32の位置で、基材1と表皮材2との間に挿入された糸係止部材4によって係止されている。これにより、ステッチ加飾部品10では、基材1の基材裏面14側における構造的要因に影響されずに、表皮材表面24側にステッチ模様3が形成されている。よって、例えば、基材裏面14側に補強リブ11が形成されている場合において、補強リブ11の上方または補強リブ11に隣接した位置にも、ステッチ模様3を容易に形成することができる。
ここで、基材1は、所要の形状に形成された硬質の合成樹脂からなる。基材1は、例えば、射出成形されたポリプロピレン(PP)樹脂製である。表皮材2は、基材表面12に接着されており、基材1よりも軟質である。本形態の表皮材2は、表面側の延性に優れた表皮21と基材側の発泡層22とで構成されている。表皮21には、高級感やソフト感を醸すため、革調のシボ模様が形成されている。表皮21は、例えば、0.5~0.8mm程度の厚さを有するオレフィン系エラストマ(TPO)樹脂製である。発泡層22は、例えば、3~4mm程度の厚さを有するポリプロピレンフォーム(PPF)樹脂製である。
ステッチ模様3の糸31は、例えば、外径が0.5~0.8mm程度の合成繊維製である。また、糸係止部材4は、ステッチ模様3の縫い目32の位置で糸31を係止する部材であって、例えば、強度上優れたポリアミド系合成樹脂(例えば、ナイロン(登録商標)など)製、またはコスト上優れたポリプロピレン(PP)樹脂製等である。
糸係止部材4は、基材1に当接し、表皮材2の発泡層22によって周囲が覆われている。糸係止部材4は、基材1に沿って延びる抜け止め部41と、抜け止め部41の反基材側(基材1に沿って延びる面と反対側)に形成され糸31を係止する糸係り部42とを有する。糸係止部材4の糸係り部42には、通孔42aが形成されている。糸31は、通孔42a内を通されていることで、糸係り部42に係止されている。
抜け止め部41は、棒状体でその長手方向の大きさが、糸係り部42の同方向の外形寸法より大きく形成されている。また、糸係り部42は、係止した糸31から掛かる負荷が抜け止め部41の長手方向における両端部に略均等に作用するよう、抜け止め部41の長手方向における中央部に形成されている。なお、抜け止め部41の長手方向は、図2に示すように、ステッチ模様3の縫製方向Fと略同一方向に配置されている。また、糸係り部42の厚みは、同方向における抜け止め部41の外形寸法よりも小さく形成されている。
基材表面12には、ステッチ模様3に沿って溝状空隙部121が形成されている。糸係止部材4は、溝状空隙部121内に挿入されており、溝状空隙部121の底面122に当接している。つまり、基材1における溝状空隙部121の底面122が、糸係止部材4との当接面である。また、溝状空隙部121は、略矩形状断面でステッチ模様3に沿って連続状に形成されている。溝状空隙部121の溝幅と溝深さは、少なくとも糸係止部材4の抜け止め部41が挿入されるように形成されている。ここでは、糸係止部材4の糸係り部42が表皮材2の発泡層22内に突出しているが、糸係り部42も含めて、溝状空隙部121内に挿入しても良い。
これにより、表皮材2の発泡層22が薄い場合または発泡層22の剛性が高い場合でも、基材1と表皮材2(21、22)との間に糸係止部材4を無理なく挿入することができる。例えば、基材1が直角または鋭角状に屈曲した箇所等の近傍において、表皮材2の発泡層22が厚み方向に圧縮されている場合でも、糸係止部材4を変形させることなく基材1の溝状空隙部121内に埋め込んで、糸係止部材4の表皮材2側への突出量dを減らすことができる。その結果、基材1と表皮材2との間に挿入した糸係止部材4によって表皮材2の表皮21が変形(凹凸)するのを抑制し、表皮材表面24側に見栄えの良いステッチ模様3を簡単に形成できる。
ここで、本形態のステッチ加飾部品10は、前述したように、第1ステッチ模様3Aの後端部35Aと、第2ステッチ模様3Bの中間部35BとがT字状に交差して形成された交差部35を備えている(図1参照)。この交差部35の構成について詳細に説明する。図4に、ステッチ加飾部品10の交差部35における断面図を示す。図4は、図1に示すステッチ加飾部品10におけるC-C断面図である。
図4に示すように、第1ステッチ模様3Aの後端部35Aは、縫い目32となっており、糸係止部材4が位置している。また、基材1には、交差部35の位置に、貫通孔13が形成されている。貫通孔13は、基材1を厚み方向に貫通している。第1ステッチ模様3Aの後端部35Aに位置する糸係止部材4は、貫通孔13の箇所に位置している。そして、第1ステッチ模様3Aの糸31は、後端部35A側の端部36が、貫通孔13を通って、基材裏面14側へと引き出されている。さらに、糸31の端部36は、本形態では、基材裏面14に、接着剤37によって接着されている。
このように、ステッチ加飾部品10では、交差部35における第1ステッチ模様3Aの糸31の端部36は、基材1に固定されている。つまり、第1ステッチ模様3Aの糸31の端部36は、使用者に見えない位置に固定されている。これにより、ステッチ加飾部品10は、交差部35の見栄えが良く、意匠性が高い。さらに、第1ステッチ模様3Aの糸31の端部36は基材1に固定されているため、表皮材表面24側に露出してしまうことが抑制されている。すなわち、例えば、第1ステッチ模様3Aの後端部35Aにおける糸31に使用者の指等が引っ掛かり、糸31の端部36が表皮材2側に引っ張られたとしても、縫い目32が解れて糸31の端部36が表皮材表面24に露出してしまうことが防止されている。よって、ステッチ加飾部品10は、高い意匠性が、長期間、安定して維持される。また、接着剤37による糸31の端部36の固定は、容易に行うことが可能である。
図5は、図4に示す矢印Dの方向から見たときの基材1を示す図である。図5には、二点鎖線により、第1ステッチ模様3Aおよび第2ステッチ模様3Bを示している。図5には、第2ステッチ模様3Bの縫い目32の間隔であるピッチPと、貫通孔13の幅Wとを示している。幅Wは、第2ステッチ模様3Bの縫製方向Fにおける貫通孔13の大きさである。
図5に示すように、貫通孔13の幅Wは、第2ステッチ模様3Bの縫い目32のピッチPよりも狭いものである。これにより、第2ステッチ模様3Bの縫い目32の位置は、貫通孔13の箇所に多くとも1つとなるようにされている。本形態においては、第2ステッチ模様3Bは、縫い目32の位置が、貫通孔13を跨ぐように設けられている。すなわち、第2ステッチ模様3Bは、表皮材裏面25側に基材1の貫通孔13が存在する範囲に、縫い目32が配置されないように形成されている。
前述したように、ステッチ模様3の縫い目32の位置には、糸係止部材4が配置されている。糸係止部材4は、貫通孔13以外の位置では、抜け止め部41が、互いに接着された基材1と表皮材2との間に挿入されている。これにより、糸係止部材4は、強固に固定されている。一方、基材1に貫通孔13が設けられている箇所では、表皮材2が基材1に接着されていない。よって、貫通孔13に対応する位置に糸係止部材4を設けた場合、そこに例えば糸31によって引っ張られる力が作用した際に、糸係止部材4の抜け止め部41が抜けてしまうことはないものの、表皮材表面24における縫い目32の位置が盛り上がるように変形してしまうおそれがある。このような変形は、貫通孔13の箇所に配置される第2ステッチ模様3Bに係る糸係止部材4が少ないほど低減できる。本形態では、貫通孔13の幅Wは、第2ステッチ模様3Bの縫い目32のピッチPよりも狭くされていることで、第2ステッチ模様3Bの縫い目32の位置を、貫通孔13と重ならないように設けることが可能となっている。これにより、第2ステッチ模様3Bの縫い目32の箇所にて、表皮材2の変形が抑制されている。よって、ステッチ加飾部品10は、表皮材表面24の変形が生じにくく、意匠性の高いものとなっている。
<本ステッチ加飾部品の製造方法>
次に、本ステッチ加飾部品の製造方法を、図6~図12を用いて説明する。本形態では、ステッチ加飾部品の製造にて、ステッチ模様を形成するステッチ模様形成工程と、第1ステッチ模様の糸の端部を固定する糸固定工程とをこの順で行う。
図6~図10は、ステッチ模様形成工程を説明するための図である。図6に、糸係止部材が連結棒に所定のピッチで連結されている係止部材ユニットと挿入針との斜視図を示す。図7に、図6に示すE矢視図であって、糸係止部材ユニットの先頭の糸係止部材を切り離して挿入針が保持する状態を表す。図8に、図7に示すF矢視図を表す。図9に、ステッチ模様を形成する加工手順を表す加工断面図を示し、(a)は挿入針を縫い目の位置に挿入する前の状態を示し、(b)は押出しピンを前進させて挿入針の先端部から糸係止部材を表皮材内に押し出す状態を示し、(c)は縫い目の位置で、糸を係止した糸係止部材が基材と表皮材との間に挿入されている状態を示す。図10に、第1ステッチ模様の後端部の縫い目の位置に挿入針を挿入する前の状態を示す断面図を示す。
図11、図12は、糸固定工程を説明するための図である。図11に、第1ステッチ模様の後端部における糸の端部を基材の裏面側へ引き出す様子を表す断面図を示し、(a)は第1ステッチ模様の後端部における糸の端部が基材の裏面側に引き出される前の状態を示し、(b)は糸の端部を基材の裏面側へと引き出す引出治具を糸へ引っ掛けた状態を示し、(c)は引出治具によって糸の端部が基材の裏面側へと引き出された状態を示す。図12に、第1ステッチ模様の後端部における糸の端部を固定する様子を示す。
図6に示すように、まず、複数の糸係止部材4が、直線状に形成された案内棒45に所定のピッチで連結されている係止部材ユニット40を予め製作する。係止部材ユニット40では、各抜け止め部41が案内棒45に対して直交する方向へ向けて平行に配置され、抜け止め部41の中央部でそれぞれ連結片44を介して案内棒45に等間隔で連結されている。連結片44は、抜け止め部41の中央部に接続されている。連結片44の抜け止め部41に対する接続部44aは、切り離しが簡単に行えるように薄肉化されている。また、糸係り部42の通孔42aは、案内棒45の長手方向(軸方向)に沿って一直線状に配置されている。各糸係り部42の通孔42aには、糸31が挿通されている。
また、図6~図9に示すように、糸係止部材4を保持して基材1と表皮材2との間に挿入する挿入針51と、挿入針51から糸係止部材4を押し出す押出しピン52と、挿入針51および押出しピン52を針軸方向Mへ進退させる駆動機構53とを有する針駆動装置5を備えている。針駆動装置5には、係止部材ユニット40が案内棒45の軸方向Nへ移動可能に装着されている。なお、挿入針51および押出しピン52の駆動機構53は、特に限定しないが、ラック&ピニオン機構でも、流体シリンダ機構でもよい。
また、図6に示すように、挿入針51および押出しピン52は、案内棒45から切り離される先頭の糸係止部材4の抜け止め部41と同一軸心上に、進退可能に配置されている。挿入針51は、先端部511が傾斜状にカットされた略円筒状の中空針である。押出しピン52は、挿入針51の中空部内に装着されている。挿入針51には、先端部511の基端側から針軸方向Mに沿ってスリット溝512が形成されている。挿入針51の内径は、円柱体に形成された抜け止め部41の外径と略同一径に形成されている。また、スリット溝512の溝幅は、糸係り部42の抜け止め部41との接続箇所である首部が挿通可能に形成されている。
また、図6~図8に示すように、挿入針51を針軸方向Mへ移動させると、連結片44の接続部44aが切り離されて、挿入針51の中空部内には、円柱体に形成された抜け止め部41が先端部511から挿入される。このとき、スリット溝512には、糸係り部42の首部が挿通される。この状態で、抜け止め部41と押出しピン52とが当接し、糸係止部材4が挿入針51に保持される。また、糸係止部材4が挿入針51に保持された状態では、円環体に形成された糸係り部42は、挿入針51の外周側へ突出している。
また、図9に示すように、針駆動装置5は、糸31を係止した糸係止部材4を保持した状態の挿入針51の先端部511を、ステッチ模様3の縫い目32の位置で表皮材表面24側から基材1と表皮材2との間に挿入した後または挿入すると同時に、押出しピン52を前進させて挿入針51の先端部511から糸係止部材4を表皮材2内に押し出して、糸31を係止した状態の糸係止部材4を基材1と表皮材2との間に挿入させる。
具体的には、抜け止め部41の長手方向が、ステッチ模様3の縫製方向Fと略同一方向となるように、糸係止部材4を基材1と表皮材2との間に挿入させる場合には、図9(a)に示すように、挿入針51の先端部511が縫い目32の位置に近接し、挿入針51の基端側が縫製方向Fに対して斜め上方へ向くように、挿入針51を傾斜させる。この挿入針51の表皮材2(21、22)に対する傾斜角θは、30度~70度の範囲内が好ましい。ここで、傾斜角θが30度より小さいと、縫い目32の孔が楕円状となりステッチ模様3の見栄え品質が低下する恐れがある。一方、傾斜角θが70度より大きいと、抜け止め部41の屈曲が生じる恐れがあり、傾斜角θは、30度~70度の範囲内が好ましい。
次に、図9(b)に示すように、挿入針51の先端部511を表皮材2内に挿入させた状態で、押出しピン52を前進させる。抜け止め部41は、押出しピン52に押されて、挿入針51の先端部511から離脱する。挿入針51の傾斜角θは、30度~70度の範囲内であるので、抜け止め部41は基材1における溝状空隙部121の底面122を滑りながら前進し、図9(c)に示すように、糸係り部42を上方に向けたまま、糸係止部材4が基材1と表皮材2との間に挿入される。
また、図6~図8に示すように、針駆動装置5は、案内棒45を所定のピッチずつ軸方向Nへ移動させながら、案内棒45に連結された次の糸係止部材4を切り離し、切り離された糸係止部材4を挿入針51に保持させて表皮材2内に挿入し、基材1と表皮材2との間に挿入させることによって、ステッチ模様3の糸31を連続的に縫製することができる。また、針駆動装置5を図示しないロボット装置に装着させて、本ステッチ加飾部品10のステッチ模様3を自動的に縫製させることができる。
また、図9に示すように、針駆動装置5によるステッチ模様3の縫製は、基材1を基材保持具60に保持させた状態で行う。基材1は、基材裏面14にて、基材保持具60の載置面61に載置されている。これにより、基材1を適切に固定しつつステッチ模様3の縫製を行うことができる。
ここで、本形態のステッチ加飾部品10は、前述したように、第1ステッチ模様3Aの後端部35Aと、第2ステッチ模様3Bの中間部35BとがT字状に交差して形成された交差部35を備えている(図1等参照)。交差部35における第2ステッチ模様3Bの中間部35Bについては、上記の図9で説明したように縫製を行うことができる。ただし、第2ステッチ模様3Bについては、縫い目32のピッチPを考慮し、縫い目32の位置が貫通孔13の範囲を避けることができるように、縫製動作を開始する始点が定められている。第2ステッチ模様の始点および終点はそれぞれ、ステッチ加飾部品10の外縁に位置している。
また、交差部35における第1ステッチ模様3Aの後端部35Aについては、基材1に貫通孔13が設けられている。そこで、本形態では、図10に示すように、基材1を保持する基材保持具60として、基材1の貫通孔13の位置に表皮材受け部65を有するものを用いている。図10に示すように、基材保持具60の表皮材受け部65は、載置面61よりも表皮材2の側へと突出しており、載置された基材1の貫通孔13の内部に挿入されている。また、表皮材受け部65の突出方向における先端に位置する表皮材受け面65aは、基材1における溝状空隙部121の底面122と面一状に形成されている。
本形態では、第1ステッチ模様3Aの後端部35Aは、第1ステッチ模様3Aの縫製を開始する始点である。そして、図10に示すように、第1ステッチ模様3Aの後端部35Aに係る糸係止部材4についても、針駆動装置5により、他の糸係止部材4と同様にして表皮材2の裏側へと挿入することができる。すなわち、第1ステッチ模様3Aの後端部35Aの位置にて、表皮材表面24側から挿入された糸係止部材4の抜け止め部41は、表皮材受け部65の表皮材受け面65aを滑りながら前進する。これにより、第1ステッチ模様3Aの後端部35Aの縫い目32の位置では、糸係止部材4は、表皮材受け部65と表皮材2との間に挿入される。
第1ステッチ模様3Aは、後端部35Aの縫い目32の位置に糸係止部材4を挿入した後には、その位置から第1ステッチ模様3Aの縫製方向Fに沿って針駆動装置5を移動させつつ、各縫い目32の位置にて、糸係止部材4を基材1と表皮材2との間に挿入させる。これにより、第1ステッチ模様3Aに係る糸31を連続的に縫製することができる。
図11(a)に示すように、ステッチ模様形成工程後において、第1ステッチ模様3Aの後端部35A側の糸31の端部36は、表皮材表面24側に露出している。また、ステッチ模様形成工程後の糸固定工程では、基材1は基材保持具60から取り外されている。このため、糸固定工程では、基材裏面14側における貫通孔13の周辺は開放されており、塞がれていない。そして、糸固定工程ではまず、第1ステッチ模様3Aの糸31の端部36を、基材裏面14側へと引き出す。
糸31の端部36の基材裏面14側への引き出しには、図11(b)に示すように、先端に湾曲形状のフック部71を有する引出治具70を用いる。そして、引出治具70のフック部71を、基材裏面14側より貫通孔13の内部に挿入し、第1ステッチ模様3Aに係る糸31に引っ掛ける。糸31におけるフック部71を引っ掛ける位置は、第1ステッチ模様3Aの後端部35Aに位置する糸係止部材4によって係止されている位置よりも端部36側である。次に、図11(c)に示すように、引出治具70を表皮材2から遠ざかる向きに移動させる。これにより、引出治具70のフック部71に引っ掛けられた糸31の端部36側は、基材裏面14側へと引き出される。
続いて、図12に示すように、基材裏面14側へと引き出された糸31の端部36を、基材裏面14の所定箇所に接着する。接着には、硬化前には液状の接着剤を用いることができる。すなわち、接着ノズル80の先端81から液状の接着剤37を吐出させ、糸31の端部36と基材裏面14とを接着する。接着剤37は、吐出された後、例えば、時間の経過によって硬化する。これにより、糸31の端部36が基材裏面14に固定される。接着剤37としては、例えば、ホットメルト接着剤または2液硬化型の接着剤を用いることが好ましい。他の種類の接着剤と比較して、硬化に要する時間が比較的短いからである。接着に要する時間が短い接着剤37を用いることで、ステッチ加飾部品10を短時間で製造することができる。
<作用効果>
以上、詳細に説明したように、本実施形態に係るステッチ加飾部品10は、表皮材表面24側から基材1と表皮材2との間に挿入した糸係止部材4に係止された糸によって、表皮材表面24側に形成した第1ステッチ模様3Aと第2ステッチ模様3Bとを有する。また、第1ステッチ模様3Aの後端部35Aと第2ステッチ模様3Bの中間部35BとがT字状に交差して形成された交差部35を備えている。交差部35では、基材1に貫通孔13が形成されている。そして、交差部35における第1ステッチ模様3Aの糸31の端部36は、貫通孔13から基材裏面14側に引き出されて固定されている。これにより、糸31の端部36は、表皮材表面24側に露出せず、使用者から見えない。また、例えば、糸31の端部36に、表皮材2の側から引っ張る力が作用してしまったとしても、解れてしまうことが防止されている。このため、ステッチ加飾部品10は、高い意匠性を長期に渡って維持できる。よって、意匠性の高いステッチ加飾部品が実現されている。
また、ステッチ加飾部品10では、交差部35における第1ステッチ模様3Aの糸31の端部36は、基材裏面14と接着により固定されている。よって、交差部35における第1ステッチ模様3Aの糸31の端部36が、表皮材表面24側へと露出してしまうことを適切に防止できる。さらに、接着による糸31の端部36の固定は、容易に行うことが可能である。
また、ステッチ加飾部品10では、貫通孔13の幅Wは、第2ステッチ模様3Bの縫い目32のピッチPよりも狭い。このため、第2ステッチ模様3Bにおける貫通孔13の箇所に位置する糸係止部材4を低減することができる。さらに、第2ステッチ模様3Bの糸係止部材4は、貫通孔13の付近にて、貫通孔13を跨いで設けることが可能となっている。これにより、第2ステッチ模様3Bの糸係止部材4は、貫通孔13と重ならない位置に設けられている。よって、第2ステッチ模様3Bにおける貫通孔13の付近の糸31が引っ張られたとしても、接着された基材1と表皮材2との間に挿入された糸係止部材4が、浮き上がってしまうことが防止されている。すなわち、第2ステッチ模様3Bの縫い目32の位置における表皮材表面24の変形が防止されている。よって、ステッチ加飾部品10は、高い意匠性を安定して維持できる。
また、ステッチ加飾部品10の製造方法は、ステッチ模様形成工程と、糸固定工程とを有する。ステッチ模様形成工程では、基材1を載置する基材保持具60と、糸係止部材4を保持して基材1と表皮材2との間に挿入する挿入針51と、挿入針51から糸係止部材4を押し出す押出しピン52と、挿入針51および押出しピン52を進退させる駆動機構53とを有する針駆動装置5とを用いる。基材保持具60は、載置された基材1の貫通孔13に挿入される表皮材受け部65を有する。表皮材受け部65の表皮材2側の表皮材受け面65aは、基材1における溝状空隙部121の底面122と面一状に形成されている。そして、ステッチ模様形成工程では、針駆動装置5は、糸31を係止した糸係止部材4を保持した状態の挿入針51の先端部511を、ステッチ模様3の縫い目32の位置で表皮材表面24側から基材1と表皮材2との間に挿入した後または挿入すると同時に、押出しピン52を前進させて挿入針51の先端部511から糸係止部材4を表皮材2内に押し出して、糸31を係止した状態の糸係止部材4を基材1と表皮材2との間または表皮材受け部65と表皮材2との間に挿入してステッチ模様3を形成する。これにより、基材1の貫通孔13の箇所においても、ステッチ模様3を適切に形成することができる。また、基材保持具60から基材1を取り外した後の糸固定工程では、貫通孔13から基材裏面14側に糸31の端部36を引き出し、引き出した糸31の端部36を固定する。これにより、糸31の端部36が表皮材表面24側に露出していない、意匠性の高いステッチ加飾部品10を製造することができる。
また、ステッチ加飾部品10の製造方法の糸固定工程では、糸31の端部36の固定に接着剤37を用いる。また、接着剤37として、ホットメルト接着剤または2液硬化型の接着剤を用いる。これにより、糸31の端部36の固定を短時間で行うことができる。
<変形例>
上述した実施形態は、本発明の要旨を変更しない範囲で変更することができる。例えば、糸係止部材としては、上記の実施形態にて説明した糸係止部材4に限らず、糸31を係止しつつ、基材1と表皮材2との間に挿入されて保持されるものを用いることができる。
また、上記の実施形態では、交差部35において、第1ステッチ模様3Aの後端部35Aと、第2ステッチ模様3Bの中間部35Bとが、T字に交差することとして説明した。すなわち、第1ステッチ模様3Aは、後端部35Aから、第2ステッチ模様3Bの中間部35Bに対して直角をなす方向に延びていることとして説明した。しかし、交差部35では、第2ステッチ模様3Bの中間部35Bに対し、第1ステッチ模様3Aが傾斜する方向に延びていてもよい。すなわち、交差部35は、第1ステッチ模様3Aと第2ステッチ模様3Bとが略T字状に交差して形成されたものであればよい。
また、上記の実施形態では、交差部35における第1ステッチ模様3Aの後端部35Aには、糸係止部材4が存在するものとして説明した。しかし、第1ステッチ模様3Aの後端部35Aには、糸係止部材4はなくてもよい。すなわち、第1ステッチ模様3Aの後端部35Aの糸係止部材4は、ステッチ模様形成工程の後、糸固定工程にて糸31の端部36を基材裏面14側に引き出す際に除去することとしてもよい。また、上記の実施形態では、交差部35における第1ステッチ模様3Aの糸31の端部36は、基材1の基材裏面14に直接、接着剤37によって固定されていることとして説明した。しかし、例えば、基材裏面14には、糸31の端部36を固定するための突起があってもよい。このような例を図13に示す。すなわち、図13の例では、基材裏面14に、糸31の端部36を引っ掛ける突起15が設けられている。糸31の端部36は、突起15の側面に巻き付けられつつ、接着剤37によって固定されている。このような構成である場合には、糸31の端部36を、より強固に固定することが可能である。また、図13の構成である場合、その製造方法では、糸固定工程において、基材裏面14側へと引き出した糸31の端部36を突起15の側面に巻き付けつつ、その巻きつけられた状態で、接着剤37を塗布すればよい。また、図13には、第1ステッチ模様3Aの後端部35Aに糸係止部材4がない例を示している。このような場合、ステッチ模様形成工程においては第1ステッチ模様3Aの後端部35Aの縫い目32の位置に糸係止部材4を挿入し、その後、例えば、糸31の端部36を基材裏面14側へと引き出す際に、糸係止部材4についても一緒に引き出して除去することとすればよい。また、糸31の端部36の固定方法は、接着に限られるものではなく、例えば、カシメ等によるものであってもよい。
また、上記の実施形態では、交差部35における第1ステッチ模様3Aの糸31の端部36は、基材裏面14側に引き出され、基材裏面14に固定されるものとして説明した。しかし、例えば、糸31の端部36は、図14に示すように、表皮材裏面25に接着剤37によって固定されていてもよい。図14は、第1ステッチ模様3Aの後端部35Aの糸係止部材4が、表皮材裏面25側に挿入された後、除去された例である。なお、糸31の端部36を基材1に固定する場合と表皮材2に固定する場合とを比較した場合、基材1に固定する場合の方が、意匠性を高く維持できる傾向にある。表皮材2に固定されている場合、糸31に端部36を表皮材表面24側へと引っ張る力が作用した際に、端部36が固定されている表皮材2の部分が盛り上がるように変形する可能性がある。これに対し、表皮材2よりも剛性の高い基材1に固定されている場合には、糸31に端部36を表皮材表面24側へと引っ張る力が作用した際にも、変形が生じにくいからである。
また、上記の実施形態では、前後方向に延びる第1ステッチ模様3Aの後端部35Aと、左右方向に延びる第2ステッチ模様3Bの中間部35Bとが交差した交差部35を有するステッチ加飾部品10の例について具体的に説明した。しかし、ステッチ模様3の縫製方向は単なる一例であり、異なる方向としてもよい。すなわち、交差部にて第2ステッチ模様の中間部と交差するのは、第1ステッチ模様の一方の端部であればよい。また、上記の実施形態では、第1ステッチ模様3Aの一方の端部と交差する第2ステッチ模様3Bの箇所を、第2ステッチ模様3Bの中央付近に位置する中間部35Bである例について説明した。しかし、第1ステッチ模様の一方の端部と交差する第2ステッチ模様の箇所は、第2ステッチ模様3Bの両端の間に位置する中間部であればよく、中央付近に限られるものではない。
また、上記の実施形態では、第1ステッチ模様3Aの後端部35Aが、第1ステッチ模様3Aの縫製を開始する始点である例について説明した。しかし、第1ステッチ模様3Aの後端部35Aは、第1ステッチ模様3Aの縫製を終了する終点としてもよい。
本発明は、基材表面に接着された表皮材の表面側から挿通する糸によってステッチ模様が縫製されたステッチ加飾部品およびその製造方法として利用できる。
1 基材
2 表皮材
3 ステッチ模様
3A 第1ステッチ模様
3B 第2ステッチ模様
4 糸係止部材
5 針駆動装置
10 ステッチ加飾部品
12 基材表面
13 貫通孔
14 基材裏面
24 表皮材表面
25 表皮材裏面
31 糸
32 縫い目
35 交差部
35A 後端部
35B 中間部
36 端部
37 接着剤
51 挿入針
52 押出しピン
53 駆動機構
60 基材保持具
65 表皮材受け部
122 底面(当接面)
511 先端部
P 縫い目のピッチ
W 貫通孔の幅

Claims (5)

  1. 基材と、前記基材の表面に接着された表皮材とを備え、前記表皮材の表面側から所定の縫い目ピッチで前記基材と前記表皮材との間に挿入した糸係止部材に係止された糸によって、前記表皮材の表面側に形成した複数のステッチ模様を有するステッチ加飾部品であって、
    第1のステッチ模様の一端部と第2のステッチ模様の中間部とが略T字状に交差して形成されたステッチ模様の交差部を備え、
    前記交差部では、前記基材に貫通孔が形成されていること、
    前記交差部における前記第1のステッチ模様の糸の端部は、前記貫通孔から前記基材の裏面側に引き出されて固定されていることを特徴とするステッチ加飾部品。
  2. 請求項1に記載されたステッチ加飾部品において、
    前記糸の端部は、前記表皮材の裏面または前記基材の裏面と接着されていることを特徴とするステッチ加飾部品。
  3. 請求項1または請求項2に記載されたステッチ加飾部品において、
    前記貫通孔は、前記第2のステッチ模様の前記縫い目ピッチよりも狭い幅で形成されていることを特徴とするステッチ加飾部品。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載されたステッチ加飾部品の製造方法であって、
    前記基材を載置するとともに、前記貫通孔に挿入されて前記基材における前記糸係止部材との当接面と面一状に形成された表皮材受け部を有する基材保持具と、
    前記糸係止部材を保持して前記基材と前記表皮材との間に挿入する挿入針と、前記挿入針の先端部から前記糸係止部材を押し出す押出ピンと、前記挿入針および前記押出ピンを進退させる駆動機構とを有する針駆動装置とを備え、
    前記針駆動装置が、前記糸を係止した前記糸係止部材を保持した状態の前記挿入針の先端部を、前記ステッチ模様の縫い目の位置で前記表皮材の表面側から前記基材と前記表皮材との間に挿入し、前記押出ピンを前進させて前記挿入針の先端部から前記糸係止部材を前記表皮材内に押し出して、前記糸を係止した状態の前記糸係止部材を前記基材と前記表皮材との間または前記表皮材受け部と前記表皮材との間に挿入して前記ステッチ模様を形成するステッチ模様形成工程と、
    前記基材保持具から前記基材を取り外した後、前記貫通孔から前記基材の裏面側に引き出した前記糸の端部を固定する糸固定工程と、を有することを特徴とするステッチ加飾部品の製造方法。
  5. 請求項4に記載されたステッチ加飾部品の製造方法において、
    前記糸固定工程では、前記糸の端部をホットメルト接着剤または2液硬化型の接着剤を用いて固定することを特徴とするステッチ加飾部品の製造方法。
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