JP7447793B2 - インク組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、電荷輸送性物質、金属酸化物ナノ粒子および所定の組成を有する液体担体を含むインク組成物に関する。
例えば、有機系の有機発光ダイオード(OLED)、ポリマー発光ダイオード(PLED)、燐光有機発光ダイオード(PHOLED)、及び有機光起電デバイス(OPV)のような、省エネデバイスにおける有用な進歩があるが、商業化のためのより良い材料加工及び/又はデバイス性能を提供するには更なる改良がなお必要とされている。例えば、有機エレクトロニクスにおいて使用される材料の1つの有望なタイプは、例えば、ポリチオフェン類を含む導電性ポリマーである。しかし、これらの中性及び/又は導電性状態における、ポリマーの純度、加工性、及び不安定性により問題が起こり得る。また、種々のデバイスのアーキテクチャの交互に重なった層に使用されるポリマーの溶解度を非常に良好に制御できること(例えば、特定のデバイスアーキテクチャにおける隣接層間の直交又は交互溶解度特性(orthogonal or alternating solubility properties))が重要である。例えば、正孔注入層(HIL)及び正孔輸送層(HTL)としても知られている、これらの層は、競合する要求、そして非常に薄いが高品質の薄膜の必要性を考慮すると、困難な問題を提起することがある。
典型的なOLEDデバイス積層において、PEDOT:PSSを含むHILのような、大抵のp型ドープポリマーHILの屈折率は、1.5前後であるが、発光材料は一般に、大幅により大きな(1.7以上)屈折率を有する。結果として、EML/HIL(又はHTL/HIL)及びHIL/ITO界面では加算的内部全反射が起こるため、光抽出効率が低下する。
溶解性、熱/化学安定性及び電子エネルギー準位(HOMO及びLUMOなど)などの正孔注入層及び正孔輸送層の特性を制御することによって、これらの化合物を異なる用途に適合させ、かつ発光層、光活性層及び電極などの異なる化合物と共に機能するように適合させることができるようにするための、良好なプラットフォームシステムに対する解決していないニーズが高まっている。良好な溶解度、溶媒抵抗性(intractability)、及び熱安定性の特性が重要である。また重要なのは、特性の中でも、高い透明度、低い吸収率、低い内部反射、OLEDシステム内における低い作動電圧、及びより長い寿命などを保持しながら、HILの抵抗及びHIL層の厚さを調整できることである。特定の応用のためのシステムを構築できること、及びこのような特性の必要バランスを提供できることも重要である。
前記のような導電性ポリマーを用いて、HIL及びHILを初めとする、有機EL素子の電荷輸送性薄膜を形成する方法の1つとして、主として導電性ポリマーを分散または溶解させた液体担体からなるインク組成物を、基板上(多くの場合、正確には、基板上に形成された薄膜電極上)に塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を乾燥させて液体担体を除去することにより、電荷輸送性薄膜を形成する方法が知られている。有機EL素子は水分との接触により劣化するため、このインク組成物は非水系であることが好ましい。更に、電荷輸送性薄膜や、それを用いた有機EL素子の種々の特性を改善すること等を目的として、種々の組成を有する非水系インク組成物が提案されている。
特許文献1には、アミン化合物が添加されたインク組成物が開示されている。該インク組成物中のアミン化合物の存在が、良好な貯蔵寿命と安定性を有するインク組成物をもたらすだけでなく、該インク組成物から形成される薄膜は、優れた均質性を示し、そして該インク組成物から形成されるHILを含むOLEDデバイスは、良好な性能を示す。
特許文献2および3には、金属および/または半金属ナノ粒子が添加されたインク組成物が開示されている。これらのナノ粒子は、有機EL素子における輝度、熱安定性、正孔注入性等の特性改善や、製品毎の特性のばらつき低減等に有用である。
このようなインク組成物を塗布するための方法は種々知られている。そのような方法の一例として、インク組成物を微小な液滴としてノズルから吐出させ、被塗布物に付着させるインクジェット法(液滴吐出法)を挙げることができる。有機EL素子の製造を目的として、インクジェット法を用いて電荷輸送性薄膜を基板上に形成する場合、基板上に形成された薄膜電極(多くの場合、パターニングされた薄膜電極)上にバンク(隔壁)を形成して、薄膜電極上の必要な領域が、バンクで囲まれた膜形成領域となるようにし、その膜形成領域のみに、インクジェット法によりインク組成物を塗布して電荷輸送性薄膜を形成する、という方法がしばしば採用される。
以上のようにして形成される電荷輸送性薄膜は、その厚みが薄膜全体にわたって均一な状態であることが好ましい。しかし現実には、特に上記のようなバンクを用いる方法により形成された場合、電荷輸送性薄膜が厚みの不均一な状態となることがある。そのような状態の一例として、形成された電荷輸送性薄膜の周辺部の厚みが、薄膜の中央から端に向かう方向に沿って増大した状態を挙げることができる。これは、前記膜形成領域内に塗布されたインク組成物がバンクの側面を這い上がることにより、形成される塗膜の周囲の厚みが、塗膜の中央から端(換言すれば、塗膜がバンクの側面と接触する部分)に向かう方向に沿って増大した状態になることに起因し、この状態にある塗膜から形成された電荷輸送性薄膜は、前記の如く厚みの不均一な状態になる。本明細書では、このようにインク組成物がバンクの側面を這い上がる現象を「パイルアップ現象」又は単に「パイルアップ」と称する。
塗布されたインク組成物が、バンクの側面に付着することなく、膜形成領域で厚みの均一な塗膜を形成するようにするため、バンクの、インク組成物(塗膜)と接触する側面を、インク組成物に対し撥液性を示すようにするための処理(例えば、所定のプラズマ処理)に付し、また膜形成領域となる基板(薄膜電極)表面を、インク組成物に対し親液性を示すようにするための処理(例えば、別の所定のプラズマ処理)に付すことが、しばしば行われる。本明細書では、このような処理に付された基板を「撥液バンク付基板」と称する。しかし、撥液バンク付基板を用いてもなお、パイルアップ現象が十分抑制されない場合がある。
前記の通り、電荷輸送性薄膜や、それを用いた有機EL素子の種々の特性の改善等を目的として、インク組成物に種々の付加的な成分がしばしば添加されるが、添加される成分によっては、パイルアップ現象が誘発される場合がある。実際、後述するように、本発明者らは、ある特定の条件下では、インク組成物に金属酸化物ナノ粒子を添加すると、パイルアップ現象の発生が著しくなることを見出している。
パイルアップ現象によって生じる、電荷輸送性薄膜における厚みの不均一性は、薄膜の厚みが増大している部分を通じての電気的欠陥(リーク電流の発生、短絡等)を生じるおそれがあり、これは有機EL素子の寿命短縮につながる。また、このような電荷輸送性薄膜における厚みの不均一性は、これと隣接する発光層における厚みの不均一性をもたらし、これが前記電気的欠陥とも相まって、有機EL素子の発光ムラを引き起こす可能性がある。
パイルアップ現象を抑制する手段としては、例えば、インク組成物の液体担体の組成を適切に調節することが提案されている(特許文献4及び5を参照)。しかし、この場合のインク組成物は、液体担体と導電性物質のみからなるものであり、前記の如く付加的な成分が添加されたインク組成物におけるパイルアップ現象の抑制を意図するものではない。
即ち、電荷輸送性薄膜や有機EL素子の特性の改善等を目的とする付加的な成分が添加されたインク組成物におけるパイルアップ現象を抑制する手段は、これまでに知られていなかった。
国際公開第2016/171935号 国際公開第2017/014945号 国際公開第2017/014946号 国際公開第2016/140205号 特開2015-185640
かかる状況下において、本発明者らは、前記のような付加的な成分が添加されたインク組成物におけるパイルアップ現象を抑制する手段を開発すべく、鋭意研究を行った。その結果意外にも、本発明者らは、電荷輸送性物質と液体担体の組み合わせに、金属酸化物ナノ粒子が添加されてなるインク組成物において、同組成物中における金属酸化物ナノ粒子の分散状態とパイルアップ現象の発生の間に相関があり、分散状態が均一であるほど、パイルアップ現象の発生が顕著になる傾向にあることを見出した。
本発明者らはまた、インク組成物中における金属酸化物ナノ粒子の分散状態には、用いる溶媒、特に有機溶媒の組成が影響し、有機溶媒の組成を特定のものとすることにより、この分散状態が、特に溶媒を揮発させる過程において適切に制御され、パイルアップ現象を抑制することが可能になることを見出した。
本発明者らは更に、前記のような特定の組成を有する有機溶媒を液体担体として用いない場合、パイルアップ現象が抑制されても、得られる有機EL素子のある種の特性、例えば電流効率が却って低下する傾向があったのに対し、前記のような特定の組成を有する有機溶媒を液体担体として用いると、意外にも有機EL素子の特性が過度に低下しないことを見出した。
以上の新たな知見に基づき、本発明を完成するに至った。
従って、本発明の主な目的は、有機EL素子の特性を過度に低下させることなく、厚みの均一な電荷輸送性薄膜を与えるインク組成物を提供することにある。
本発明の上記及びその他の諸目的、諸特徴ならびに諸利益は、添付の図面を参照しながら行なう以下の詳細な説明及び請求の範囲の記載から明らかになる。
すなわち、本発明は、下記の発明を提供する。
1.インク組成物であって、
(a)電荷輸送性物質;
(b)1種以上の金属酸化物ナノ粒子;並びに
(c)液体担体であって、
(c-1)沸点bp(℃)を有する第一の親水性グリコール系溶媒、
(c-2)沸点bp(℃)を有する第二の親水性グリコール系溶媒、および
(c-3)沸点bp(℃)を有する有機溶媒
を含み、
bp<bp<bpである液体担体
を含むインク組成物。
2.前記溶媒(c-3)が、疎水性グリコール系溶媒、ニトリル、アルコール、芳香族エーテル、芳香族エステルまたは芳香族炭化水素である、前項1記載のインク組成物。
3.前記溶媒(c-3)が疎水性グリコール系溶媒である、前項1または2記載のインク組成物。
4.前記溶媒(c-1)および(c-2)がいずれもグリコール溶媒であり、前記溶媒(c-3)がグリコールジエーテル溶媒である、前項1~3記載のいずれか一項記載のインク組成物。
5.bpが180℃以上であり、bpが270℃以上であり、bpが200℃以上、270℃未満である、前項1~4記載のいずれか一項のインク組成物。
6.前記溶媒(c-3)が、1種以上のグリコールジエーテル溶媒を含む2種以上の有機溶媒の混合物である、前項1記載のインク組成物。
7.前記溶媒(c-1)がエチレングリコールであり、前記溶媒(c-2)がトリエチレングリコールである、前項1~6のいずれか一項記載のインク組成物。
8.前記溶媒(c-1)と前記溶媒(c-2)の重量比((c-1):(c-2))が29:1~8:7である、前項1~7記載のいずれか一項のインク組成物。
9.前記溶媒(c-1)の重量が、前記液体担体(c)の総重量に対して16~29%であり、前記溶媒(c-2)の重量が、前記液体担体(c)の総重量に対して14~1%である、前項1~8のいずれか一項記載のインク組成物。
10.前記金属酸化物ナノ粒子(b)が、B、BO、SiO、SiO、GeO、GeO、As、As、As、Sb、TeO、SnO、SnOまたはこれらの混合物を含む、前項1~9のいずれか一項記載のインク組成物。
11.前記金属酸化物ナノ粒子(b)がSiOを含む、前項10記載のインク組成物。
12.前記電荷輸送性物質(a)がポリチオフェンである、前項1~11のいずれか一項記載のインク組成物。
13.前記ポリチオフェンが、下記式(I):
Figure 0007447793000001

[式中、R及びRは、それぞれ独立に、H、アルキル、フルオロアルキル、アルコキシ、フルオロアルコキシ、アリールオキシ、-SOM、又は-O-[Z-O]-Rであるか、あるいは、R及びRは、一緒になって-O-Z-O-を形成する
(式中、
Mは、H、アルカリ金属、アンモニウム、モノアルキルアンモニウム、ジアルキルアンモニウム、又はトリアルキルアンモニウムであり、
Zは、場合によりハロゲン又はYで置換されているヒドロカルビレン基(ここで、Yは、炭素数1~10の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルコキシアルキル基であり、該アルキル基又はアルコキシアルキル基は、任意の位置がスルホン酸基で置換されていてもよい)であり、
pは、1以上の整数であり、そして
は、H、アルキル、フルオロアルキル、又はアリールである)]
で表される繰り返し単位を含むポリチオフェンである、前項12記載のインク組成物。
14.R及びRが、それぞれ独立に、H、フルオロアルキル、-SOM、-O[C(R)-C(R)-O]-R、又は-ORであるか、あるいは、R及びRは、一緒になって-O-(CH-O-(ここで、(CHは、場合によりYで置換されている)を形成し;ここで、Mは、H、アルカリ金属、アンモニウム、モノアルキルアンモニウム、ジアルキルアンモニウム、又はトリアルキルアンモニウムであり、各々のR、R、R、及びRが、それぞれ独立に、H、ハロゲン、アルキル、フルオロアルキル、又はアリールであり;Rが、H、アルキル、フルオロアルキル、又はアリールであり;pが、1、2、又は3であり;Rが、アルキル、フルオロアルキル、又はアリールであり;qが、1、2、又は3であり;そしてYが、炭素数1~10の直鎖又は分岐鎖のアルコキシアルキル基であり、該アルコキシアルキル基は任意の位置がスルホン酸基で置換されていてもよい、前項13記載のインク組成物。
15.RがHであり、RがH以外である、前項14記載のインク組成物。
16.RおよびRが、両方ともH以外である、前項14記載のインク組成物。
17.RおよびRが、それぞれ独立に、-O[C(R)-C(R)-O]-R、又は-ORであるか、あるいは、R及びRは、一緒になって-O-(CH-O-を形成する、前項16記載のインク組成物。
18.RおよびRが、両方とも-O[C(R)-C(R)-O]-Rである、前項17記載のインク組成物。
19.各々のR、R、RおよびRが、それぞれ独立に、H、(C-C)アルキル、(C-C)フルオロアルキルまたはフェニルであり;Rが、(C-C)アルキル、(C-C)フルオロアルキルまたはフェニルである、前項14記載のインク組成物。
20.前記ポリチオフェンが、下記式:
Figure 0007447793000002

(式中、Mは、H、アルカリ金属、アンモニウム、モノアルキルアンモニウム、ジアルキルアンモニウム、又はトリアルキルアンモニウムである)
で表される基、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される繰り返し単位を含む、前項12~14のいずれか一項記載のインク組成物。
21.前記ポリチオフェンがスルホン化されている、前項12~20のいずれか一項記載のインク組成物。
22.前記ポリチオフェンがスルホン化ポリ(3-MEET)である、前項12~21のいずれか一項記載のインク組成物。
23.前記ポリチオフェンが、前記式(I)で表される繰り返し単位を、前記繰り返し単位の総重量に基づいて50重量%より多い、典型的には80重量%より多い、更に典型的には90重量%より多い、更になお典型的には95重量%より多い量で含む、前項12~22のいずれか一項記載のインク組成物。
24.1種以上の酸性基を含む合成ポリマーを更に含む、前項1~23のいずれか一項記載のインク組成物。
25.前記合成ポリマーが、少なくとも1個のフッ素原子および少なくとも1個のスルホン酸(-SOH)残基により置換されている、少なくとも1個のアルキルまたはアルコキシ基であって、場合により少なくとも1個のエーテル結合(-O-)により中断されているアルキルまたはアルコキシ基を含む1個以上の繰り返し単位を含むポリマー酸である、前項24記載のインク組成物。
26.前記ポリマー酸が、下記式(II)で表される繰り返し単位および下記式(III)で表される繰り返し単位:
Figure 0007447793000003

[式中、
各々のR、R、R、R、R、R10およびR11は、独立に、H、ハロゲン、フルオロアルキルまたはペルフルオロアルキルであり;
Xは、-[OC(R)-C(R)]-O-[CR-SOHであって、各々のR、R、R、R、RおよびRは、独立に、H、ハロゲン、フルオロアルキルまたはペルフルオロアルキルであり;qは、0~10であり;zは、1~5である]を含む、前項25記載のインク組成物。
27.前記合成ポリマーが、少なくとも1個のスルホン酸(-SOH)残基を含む1個以上の繰り返し単位を含むポリエーテルスルホンである、前項24記載のインク組成物。
28.1種以上のアミン化合物を更に含む、前項1~27のいずれか一項記載のインク組成物。
29.前記アミン化合物が、第三級アルキルアミン化合物と、第三級アルキルアミン化合物以外のアミン化合物とを含む、前項28記載のインク組成物。
30.前記第三級アルキルアミン化合物以外のアミン化合物が、第一級アルキルアミン化合物である、前項29記載のインク組成物。
31.前記第一級アルキルアミン化合物が、エチルアミン、n-ブチルアミン、t-ブチルアミン、n-ヘキシルアミン、2-エチルヘキシルアミン、n-デシルアミンおよびエチレンジアミンからなる群より選択される少なくとも1種である、前項30記載のインク組成物。
32.前記第一級アルキルアミン化合物が、2-エチルヘキシルアミンまたはn-ブチルアミンである、前項30記載のインク組成物。
本発明のインク組成物を用いると、これを撥液バンク基板に塗布して乾燥させ、電荷輸送性薄膜を形成する際のパイルアップ現象が抑制されるので、厚みの均一な電荷輸送性薄膜が容易に得られる。更に、本発明のインク組成物は、有機EL素子の特性を過度に低下させることがない。
実施例1~5及び比較例1で得られた電荷輸送性薄膜の断面の形状を比較するグラフである。下のパネルは、上のパネルにおける開口部80~90μmの部分の拡大図である。 実施例6~7及び比較例1で得られた電荷輸送性薄膜の断面の形状を比較するグラフである。下のパネルは、上のパネルにおける開口部80~90μmの部分の拡大図である。
本明細書に使用されるとき、「a」、「an」、又は「the」という用語は、特に断りない限り「1つ(1個)以上」又は「少なくとも1つ(1個)」を意味する。
本明細書に使用されるとき、「~を含む(comprises)」という用語は、「本質的に~からなる」及び「~からなる」を包含する。「~を含む(comprising)」という用語は、「本質的に~からなる」及び「~からなる」を包含する。
「~がない(free of)」という句は、この句により修飾される材料の外部添加がないこと、及び当業者には公知の分析手法(例えば、ガス又は液体クロマトグラフィー、分光光度法、光学顕微鏡法など)により観測できる検出可能な量のこの材料が存在しないことを意味する。
本発明を通して、種々の刊行物が参照により取り込まれる。参照により本明細書に取り込まれる該刊行物における任意の言語の意味が、本発明の言語の意味と矛盾するならば、特に断りない限り、本発明の言語の意味が優先するものである。
本明細書に使用されるとき、有機基に関して「(C-C)」(ここで、x及びyは、それぞれ整数である)という用語は、この基が、1個の基に炭素原子x個から炭素原子y個までを含んでよいことを意味する。
本明細書に使用されるとき、「アルキル」という用語は、一価の直鎖又は分岐の飽和炭化水素基、更に典型的には、一価の直鎖又は分岐の飽和(C-C40)炭化水素基、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ヘキシル、2-エチルヘキシル、オクチル、ヘキサデシル、オクタデシル、エイコシル、ベヘニル、トリアコンチル、及びテトラコンチルなどを意味する。
本明細書に使用されるとき、「フルオロアルキル」という用語は、1個以上のフッ素原子で置換されている、本明細書中と同義のアルキル基、更に典型的には(C-C40)アルキル基を意味する。フルオロアルキル基の例は、例えば、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ペルフルオロアルキル、1H,1H,2H,2H-ペルフルオロオクチル、ペルフルオロエチル、及び-CHCFを含む。
本明細書に使用されるとき、「ヒドロカルビレン」という用語は、炭化水素、典型的には(C-C40)炭化水素から2個の水素原子を除去することにより形成される二価の基を意味する。ヒドロカルビレン基は、直鎖、分岐又は環状であってよく、そして飽和又は不飽和であってよい。ヒドロカルビレン基の例は、メチレン、エチレン、1-メチルエチレン、1-フェニルエチレン、プロピレン、ブチレン、1,2-ベンゼン、1,3-ベンゼン、1,4-ベンゼン、及び2,6-ナフタレンを含むが、これらに限定されない。
本明細書に使用されるとき、「アルコキシ」という用語は、-O-アルキル(ここで、アルキル基は、本明細書中と同義である)として示される一価の基を意味する。アルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、及びtert-ブトキシを含むが、これらに限定されない。
本明細書に使用されるとき、「アリール」という用語は、1個以上の6員炭素環を含有する一価の不飽和炭化水素基であって、この不飽和が、3個の共役二重結合により表されうる基を意味する。アリール基は、単環式アリール及び多環式アリールを含む。多環式アリールとは、2個以上の6員炭素環を含有する一価の不飽和炭化水素基であって、この不飽和が、3個の共役二重結合により表されうる基であって、隣接する環が、1個以上の結合若しくは二価の架橋基により相互に結合しているか、又は一緒になって縮合している基のことをいう。アリール基の例は、フェニル、アントラセニル、ナフチル、フェナントレニル、フルオレニル、及びピレニルを含むが、これらに限定されない。
本明細書に使用されるとき、「アリールオキシ」という用語は、-O-アリール(ここで、アリール基は、本明細書中と同義である)として示される一価の基を意味する。アリールオキシ基の例は、フェノキシ、アントラセノキシ、ナフトキシ、フェナントレノキシ、及びフルオレノキシを含むが、これらに限定されない。
本明細書に記載の任意の置換基又は基は、1個以上の炭素原子で、1個以上の同じか又は異なる本明細書に記載の置換基によって、場合により置換されていてもよい。例えば、ヒドロカルビレン基は、アリール基又はアルキル基で更に置換されていてもよい。本明細書に記載の任意の置換基又は基はまた、1個以上の炭素原子で、例えば、F、Cl、Br、及びIのようなハロゲン;ニトロ(NO)、シアノ(CN)、並びにヒドロキシ(OH)からなる群より選択される1個以上の置換基によって、場合により置換されていてもよい。
本明細書に使用されるとき、「正孔キャリア化合物」とは、正孔の移動を容易にすることができる(即ち、正電荷キャリア)か、かつ/又は例えば、電子デバイスにおいて電子の移動をブロックできる任意の化合物のことをいう。正孔キャリア化合物は、電子デバイスの、典型的には有機電子デバイス(例えば、有機発光デバイスなど)の層(HTL)、正孔注入層(HIL)及び電子ブロック層(EBL)中で有用な化合物を含む。
本明細書に使用されるとき、正孔キャリア化合物、例えば、ポリチオフェンに関する「ドープされた」という用語は、この正孔キャリア化合物が、ドーパントにより促進される、化学変換、典型的には酸化又は還元反応、更に典型的には酸化反応を受けたことを意味する。本明細書に使用されるとき、「ドーパント」という用語は、正孔キャリア化合物、例えば、ポリチオフェンを酸化又は還元する、典型的には酸化する物質のことをいう。本明細書で、正孔キャリア化合物が、ドーパントにより促進される、化学変換、典型的には酸化又は還元反応、更に典型的には酸化反応を受けるプロセスは、「ドーピング反応」又は単純に「ドーピング」と呼ばれる。ドーピングは、ポリチオフェンの特性を変えるが、この特性は、電気的特性(抵抗率及び仕事関数など)、機械的特性、及び光学的特性を含んでよいが、これらに限定されない。ドーピング反応の過程で、正孔キャリア化合物は、帯電し、そしてドーパントは、ドーピング反応の結果として、ドープされた正孔キャリア化合物に対して逆荷電した対イオンになる。本明細書に使用されるとき、物質は、ドーパントと称されるためには、正孔キャリア化合物を化学反応させるか、酸化するか、又は還元し、典型的には酸化しなければならない。正孔キャリア化合物と反応しないが、対イオンとして作用しうる物質は、本発明ではドーパントとはみなされない。したがって、正孔キャリア化合物、例えば、ポリチオフェンに関する「ドープされていない」という用語は、この正孔キャリア化合物が、本明細書に記載のドーピング反応を受けていないことを意味する。
本発明は、インク組成物であって、
(a)電荷輸送性物質;
(b)1種以上の金属酸化物ナノ粒子;並びに
(c)液体担体であって、
(c-1)沸点bp(℃)を有する第一の親水性グリコール系溶媒、
(c-2)沸点bp(℃)を有する第二の親水性グリコール系溶媒、および
(c-3)沸点bp(℃)を有する有機溶媒
を含み、
bp<bp<bpである液体担体
を含むインク組成物に関する。
本開示のインク組成物は、非水系でもよく水が含まれていても良いが、インクジェット塗布におけるプロセス適合性の観点、インクの保存安定性の観点または組成物から得られる電荷輸送性薄膜を用いたOLEDの低電圧化若しくは長寿命化の観点で、非水系であることが好ましい。本明細書に使用されるとき、「非水系」は、本開示のインク組成物中の水の総量が、インク組成物の総量に対して0~2重量%であることを意味する。典型的には、インク組成物中の水の総量は、インク組成物の総量に対して0~1重量%、更に典型的には0~0.5重量%である。ある実施態様において、本開示のインク組成物には水が実質的に存在しない。
本発明のインク組成物は、電荷輸送性物質(a)を含む。電荷輸送性物質(a)として使用しうる物質は種々知られているが、本発明においては、ポリチオフェンを電荷輸送性物質(a)として用いることが好ましい。
本発明における電荷輸送性物質(a)として使用しうるポリチオフェンは、平均分子量1,000~1,000,000の、チオフェン誘導体由来の複数の構造単位(同一であっても異なっていてもよい)で構成される化合物である。ポリチオフェン中において、隣接する2個の前記構造単位は互いに結合している。また、ポリチオフェンに2種以上の異なる前記構造単位が含まれる場合、前記構造単位は任意の順序で配列されていてよい。
好ましい一態様においては、平坦性に優れ、有機EL素子に適用した場合に優れた寿命特性を与える電荷輸送性薄膜を再現性よく得る観点から、本発明の組成物が含むポリチオフェン化合物に、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)は包含されない。
本発明のある態様においては、その上に塗布によって機能膜が形成される際にその塗膜のはじき等を抑制し平坦性に優れる膜を再現性よく実現できる電荷輸送性薄膜を与える組成物を得る観点等から、本発明の組成物が含むポリチオフェン化合物は、フッ素原子を含有しない。
本開示の使用に適したポリチオフェンは、下記式(I):
Figure 0007447793000004

[式中、R及びRは、それぞれ独立に、H、アルキル、フルオロアルキル、アルコキシ、フルオロアルコキシ、アリールオキシ、-SOM、又は-O-[Z-O]-Rであるか、あるいは、R及びRは、一緒になって-O-Z-O-を形成し、ここで、Mは、H、アルカリ金属、アンモニウム、モノアルキルアンモニウム、ジアルキルアンモニウム、又はトリアルキルアンモニウムであり、Zは、場合によりハロゲン又はYで置換されているヒドロカルビレン基(ここで、Yは、炭素数1~10の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルコキシアルキル基であり、該アルキル基又はアルコキシアルキル基は、任意の位置がスルホン酸基で置換されていてもよい)であり、pは、1以上の整数であり、そしてRは、H、アルキル、フルオロアルキル、又はアリールである]
で表される繰り返し単位を含む、ポリチオフェンである。ポリチオフェンは、単独でも、二種以上を併用してもよい。
一実施態様において、R及びRは、それぞれ独立に、H、フルオロアルキル、-SOM、-O[C(R)-C(R)-O]-R、又は-ORであるか、あるいは、R及びRは、一緒になって-O-(CH-O-(ここで、(CHは、場合によりYで置換されている)を形成し;ここで、Mは、H、アルカリ金属、アンモニウム、モノアルキルアンモニウム、ジアルキルアンモニウム、又はトリアルキルアンモニウムであり、各々のR、R、R、及びRは、それぞれ独立に、H、ハロゲン、アルキル、フルオロアルキル、又はアリールであり;Rは、H、アルキル、フルオロアルキル、又はアリールであり;pは、1、2、又は3であり;Rは、アルキル、フルオロアルキル、又はアリールであり;qは、1、2、又は3であり、そしてYは、炭素数1~10の直鎖又は分岐鎖のアルコキシアルキル基であり、該アルコキシアルキル基は任意の位置がスルホン酸基で置換されていてもよい。
一実施態様において、Rは、Hであり、そしてRは、H以外である。このような実施態様において、繰り返し単位は、3-置換チオフェンから誘導される。
ポリチオフェンは、レジオランダム型又はレジオレギュラー型化合物であってよい。その非対称構造のため、3-置換チオフェンの重合から、繰り返し単位間の3種の可能性ある位置化学結合を含有するポリチオフェン構造の混合物が生成する。2個のチオフェン環が結合するとき利用可能なこの3種の配向は、2,2’、2,5’、及び5,5’カップリングである。2,2’(即ち、頭-頭)カップリング及び5,5’(即ち、尾-尾)カップリングは、レジオランダム型カップリングと呼ばれる。対照的に、2,5’(即ち、頭-尾)カップリングは、レジオレギュラー型カップリングと呼ばれる。位置規則性(regioregularity)の程度は、例えば、約0~100%、又は約25~99.9%、又は約50~98%でありうる。位置規則性は、例えば、NMR分光法を用いる等の、当業者には公知の標準法により決定することができる。
ある実施態様において、ポリチオフェンは、レジオレギュラー型である。ある実施態様において、ポリチオフェンの位置規則性は、少なくとも約85%、典型的には少なくとも約95%、更に典型的には少なくとも約98%であってよい。ある実施態様において、位置規則性の程度は、少なくとも約70%、典型的には少なくとも約80%であってよい。更に他の実施態様において、レジオレギュラー型ポリチオフェンは、少なくとも約90%の位置規則性の程度を、典型的には少なくとも約98%の位置規則性の程度を有する。
3-置換チオフェンモノマー(該モノマーから誘導されるポリマーを含む)は、市販されているか、又は当業者には公知の方法により製造することができる。側基を持つレジオレギュラー型ポリチオフェンを含む、合成方法、ドーピング法、及びポリマー特性評価は、例えば、McCulloughらの米国特許第6,602,974号及びMcCulloughらの米国特許第6,166,172号に提供される。
別の実施態様において、R及びRは、両方ともH以外である。このような実施態様において、繰り返し単位は、3,4-二置換チオフェンから誘導される。
一実施態様において、R及びRは、それぞれ独立に、-O[C(R)-C(R)-O]-R、又は-ORであるか、あるいは、R及びRは、一緒になって-O-(CH-O-を形成する。一実施態様において、R及びRは、両方とも-O[C(R)-C(R)-O]-Rである。R及びRは、同一であっても異なっていてもよい。
一実施態様において、各々のR、R、R、及びRは、それぞれ独立に、H、(C-C)アルキル、(C-C)フルオロアルキル、又はフェニルであり;そしてRは、(C-C)アルキル、(C-C)フルオロアルキル、又はフェニルである。
一実施態様において、R及びRは、それぞれ-O[CH-CH-O]-Rである。一実施態様において、R及びRは、それぞれ-O[CH(CH)-CH-O]-Rである。
一実施態様において、Rは、メチル、プロピル、又はブチルである。
一実施態様において、qは、2である。
一実施態様において、-O-(CH-O-は、1つ以上の位置がYで置換されている。一実施態様において、-O-(CH-O-は、1つの位置がYで置換されている。
一実施態様において、qは、2であり、Yは、3-スルホブトキシメチル基である。この場合、-O-(CH-O-基は、1つの位置が3-スルホブトキシメチル基で置換されていると、好ましい。
一実施態様において、ポリチオフェンは、下記式:
Figure 0007447793000005

で表される基(式中、Mは、H、アルカリ金属、アンモニウム、モノアルキルアンモニウム、ジアルキルアンモニウム、又はトリアルキルアンモニウムである)、及びこれらの組合せからなる群より選択される繰り返し単位を含む。
当業者には明らかであろうが、下記式:
Figure 0007447793000006

で示される繰り返し単位は、下記式:
Figure 0007447793000007

3-(2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ)チオフェン[本明細書では3-MEETと呼ばれる]
で示される構造により表されるモノマーから誘導され;下記式:
Figure 0007447793000008

で示される繰り返し単位は、下記式:
Figure 0007447793000009

(式中、Mは、H、アルカリ金属、アンモニウム、モノアルキルアンモニウム、ジアルキルアンモニウム、又はトリアルキルアンモニウムである)
スルホン化3-(2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ)チオフェン[本明細書ではスルホン化3-MEETと呼ばれる]
で示される構造により表されるモノマーから誘導され;下記式:
Figure 0007447793000010

で示される繰り返し単位は、下記式:
Figure 0007447793000011

3,4-ビス(2-(2-ブトキシエトキシ)エトキシ)チオフェン[本明細書では3,4-ジBEETと呼ばれる]
で示される構造により表されるモノマーから誘導され;下記式:
Figure 0007447793000012

で示される繰り返し単位は、下記式:
Figure 0007447793000013

3,4-ビス((1-プロポキシプロパン-2-イル)オキシ)チオフェン[本明細書では3,4-ジPPTと呼ばれる]
で示される構造により表されるモノマーから誘導され、そして下記式:
Figure 0007447793000014

で示される繰り返し単位は、下記式:
Figure 0007447793000015

3,4-エチレンジオキシチオフェン
で示される構造により表されるモノマーから誘導される。
3,4-二置換チオフェンモノマー(該モノマーから誘導されるポリマーを含む)は、市販されているか、又は当業者には公知の方法により製造することができる。例えば、3,4-二置換チオフェンモノマーは、3,4-ジブロモチオフェンを、式:HO-[Z-O]-R又はHOR[式中、Z、R、R及びpは、本明細書中と同義である]で与えられる化合物の金属塩、典型的にはナトリウム塩と反応させることにより生成させることができる。
3,4-二置換チオフェンモノマーの重合は、最初に3,4-二置換チオフェンモノマーの2及び5位を臭素化して、対応する3,4-二置換チオフェンモノマーの2,5-ジブロモ誘導体を形成することにより実施される。次にニッケル触媒の存在下での3,4-二置換チオフェンの2,5-ジブロモ誘導体のGRIM(グリニャールメタセシス)重合により、ポリマーを得ることができる。このような方法は、例えば、米国特許第8,865,025号に記載されており、これは、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。チオフェンモノマーを重合する別の既知の方法は、酸化剤として、2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノン(DDQ)のような金属非含有有機酸化剤を用いるか、又は、例えば塩化鉄(III)、塩化モリブデン(V)、及び塩化ルテニウム(III)のような遷移金属ハロゲン化物を用いる、酸化重合によるものである。
金属塩、典型的にはナトリウム塩に変換され、そして3,4-二置換チオフェンモノマーを生成させるのに使用されうる、式:HO-[Z-O]-R又はHORを有する化合物の例は、トリフルオロエタノール、エチレングリコールモノヘキシルエーテル(ヘキシルセロソルブ)、プロピレングリコールモノブチルエーテル(Dowanol(商標) PnB)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(エチルカルビトール)、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル(Dowanol(商標) DPnB)、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル(フェニルカルビトール)、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(Dowanol(商標) DPM)、ジイソブチルカルビノール、2-エチルヘキシルアルコール、メチルイソブチルカルビノール、エチレングリコールモノフェニルエーテル(Dowanol(商標) Eph)、プロピレングリコールモノプロピルエーテル(Dowanol(商標) PnP)、プロピレングリコールモノフェニルエーテル(Dowanol(商標) PPh)、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル(プロピルカルビトール)、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(ヘキシルカルビトール)、2-エチルヘキシルカルビトール、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル(Dowanol(商標) DPnP)、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(Dowanol(商標) TPM)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メチルカルビトール)、及びトリプロピレングリコールモノブチルエーテル(Dowanol(商標) TPnB)を含むが、これらに限定されない。
本開示の式(I)で表される繰り返し単位を有するポリチオフェンは、重合によるその形成に続いて、更に修飾することができる。例えば、3-置換チオフェンモノマーから誘導される1種以上の繰り返し単位を有するポリチオフェンは、水素が、スルホン化によるスルホン酸基(-SOH)のような置換基によって置換されうる、1個以上の部位を有していてもよい。
本明細書に使用されるとき、ポリチオフェンに関連する「スルホン化」という用語は、そのポリチオフェンが、1個以上のスルホン酸基(-SOH)を含むことを意味する。(当該ポリチオフェンは、「スルホン化ポリチオフェン」とも言う。)
典型的には、-SOH基の硫黄原子は、ポリチオフェンの基本骨格に直接結合しており、側基には結合していない。本開示の目的には、側基は、理論的に又は実際にポリマーから脱離されても、ポリマー鎖の長さを縮めない一価基である。スルホン化ポリチオフェンポリマー及び/又はコポリマーは、当業者には公知の任意の方法を用いて製造することができる。例えば、ポリチオフェンを、例えば、発煙硫酸、硫酸アセチル、ピリジンSO等のような、スルホン化試薬と反応させることによりスルホン化することができる。別の例では、スルホン化試薬を用いてモノマーをスルホン化し、次に既知の方法及び/又は本明細書に記載の方法により重合することができる。当業者には明らかであろうが、スルホン酸基は、塩基性化合物、例えば、アルカリ金属水酸化物、アンモニア及びアルキルアミン(例えば、モノ-、ジ-及びトリアルキルアミン、例えば、トリエチルアミン等)の存在下で、対応する塩又は付加体の形成をもたらし得る。よって、ポリチオフェンに関連する「スルホン化」という用語は、このポリチオフェンが、1個以上の-SOM基(ここで、Mは、アルカリ金属イオン(例えば、Na、Li、K、Rb、Cs等)、アンモニウム(NH )、モノ-、ジ-、及びトリアルキルアンモニウム(トリエチルアンモニウム等)であってよい)を含んでもよいという意味を含む。
共役ポリマーのスルホン化及びスルホン化共役ポリマー(スルホン化ポリチオフェンを含む)は、Seshadriらの米国特許第8,017,241号に記載されており、これは、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
また、スルホン化ポリチオフェンについては、国際公開第2008/073149号及び国際公開第2016/171935号に記載されており、これは、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
一実施態様において、ポリチオフェンは、スルホン化されている。
一実施態様において、スルホン化ポリチオフェンは、下記式(I):
Figure 0007447793000016

[式中、R及びRは、それぞれ独立に、H、アルキル、フルオロアルキル、アルコキシ、フルオロアルコキシ、アリールオキシ、又は-O-[Z-O]-R(式中、Zは、場合によりハロゲン化されているヒドロカルビレン基であり、pは、1以上の整数であり、そして、Rは、H、アルキル、フルオロアルキル、又はアリールである)である。
但し、R及びRのいずれかは、-SOM(Mは、H、アルカリ金属、アンモニウム、モノアルキルアンモニウム、ジアルキルアンモニウム、又はトリアルキルアンモニウムである。)である。]
で表される繰り返し単位を含む。
ある実施態様において、スルホン化ポリチオフェンは、式(I)[式中、各々のR及びRが、それぞれ独立に、H、フルオロアルキル、-O[C(R)-C(R)-O]-R、又は-ORであり;ここで、各々のR、R、R、及びRは、それぞれ独立に、H、ハロゲン、アルキル、フルオロアルキル、又はアリールであり;Rは、H、アルキル、フルオロアルキル、又はアリールであり;pは、1、2、又は3であり;そしてRは、アルキル、フルオロアルキル、又はアリールである。
但し、R及びRのいずれかは、-SOM(Mは、H、アルカリ金属、アンモニウム、モノアルキルアンモニウム、ジアルキルアンモニウム、又はトリアルキルアンモニウムである。)である。]
で表される繰り返し単位を含む。
ある実施態様において、Rが、-SOM(Mは、H、アルカリ金属、アンモニウム、モノアルキルアンモニウム、ジアルキルアンモニウム、又はトリアルキルアンモニウムである。)であり、そしてRが、-SOM以外である。Mは、好ましくは、モノアルキルアンモニウム、ジアルキルアンモニウム、又はトリアルキルアンモニウムであり、より好ましくはトリアルキルアンモニウムである。
ある実施態様において、Rが、-SOMであり、そしてRが、-O[C(R)-C(R)-O]-R、又は-ORである。
ある実施態様において、Rが、-SOMであり、そしてRが、-O[C(R)-C(R)-O]-Rである。
ある実施態様において、Rが、-SOMであり、そしてRが、-O-CHCH-O-CHCH-O-CHである。
ある実施態様において、スルホン化ポリチオフェンは、下記式(I):
Figure 0007447793000017

[式中、R及びRは、それぞれ独立に、H、アルキル、フルオロアルキル、アルコキシ、フルオロアルコキシ、アリールオキシ、又は-O-[Z-O]-R(式中、Zは、場合によりハロゲン化されているヒドロカルビレン基であり、pは、1以上の整数であり、そして、Rは、H、アルキル、フルオロアルキル、又はアリールである)である]
で表される繰り返し単位を含むポリチオフェンのスルホン化により得られる。
ある実施態様において、スルホン化ポリチオフェンは、式(I)[式中、R及びRは、それぞれ独立に、H、フルオロアルキル、-O[C(R)-C(R)-O]-R、又は-ORであり;ここで、各々のR、R、R、及びRは、それぞれ独立に、H、ハロゲン、アルキル、フルオロアルキル、又はアリールであり;Rは、H、アルキル、フルオロアルキル、又はアリールであり;pは、1、2、又は3であり;そしてRは、アルキル、フルオロアルキル、又はアリールである]で表される繰り返し単位を含むポリチオフェンのスルホン化により得られる。
ある実施態様において、Rは、Hであり、そしてRは、H以外である。このような実施態様において、繰り返し単位は、3-置換チオフェンから誘導される。
スルホン化ポリチオフェンは、レジオランダム型又はレジオレギュラー型化合物でありうるポリチオフェンから得られる。その非対称構造のため、3-置換チオフェンの重合から、繰り返し単位間の3種の可能性ある位置化学結合を含有するポリチオフェン構造の混合物が生成する。2個のチオフェン環が結合するとき利用可能なこの3種の配向は、2,2’、2,5’、及び5,5’カップリングである。2,2’(即ち、頭-頭)カップリング及び5,5’(即ち、尾-尾)カップリングは、レジオランダム型カップリングと呼ばれる。対照的に、2,5’(即ち、頭-尾)カップリングは、レジオレギュラー型カップリングと呼ばれる。位置規則性(regioregularity)の程度は、例えば、約0~100%、又は約25~99.9%、又は約50~98%でありうる。位置規則性は、例えば、NMR分光法を用いる等の、当業者には公知の標準法により決定することができる。
3-置換チオフェンモノマー(該モノマーから誘導されるポリマーを含む)は、市販されているか、又は当業者には公知の方法により製造することができる。側基を持つレジオレギュラー型ポリチオフェンを含む、合成方法、ドーピング法、及びポリマー特性評価は、例えば、McCulloughらの米国特許第6,602,974号及びMcCulloughらの米国特許第6,166,172号に提供される。共役ポリマーのスルホン化及びスルホン化共役ポリマー(スルホン化ポリチオフェンを含む)は、Seshadriらの米国特許第8,017,241号に記載されている。
ある実施態様において、Rは、Hであり、そしてRは、-O[C(R)-C(R)-O]-R、又は-ORである。ある実施態様において、Rは、Hであり、そしてRは、-O[C(R)-C(R)-O]-Rである。
ある実施態様において、各々のR、R、R、及びRは、それぞれ独立に、H、(C-C)アルキル、(C-C)フルオロアルキル、又はフェニルであり;R及びRは、それぞれ独立に、H、(C-C)アルキル、(C-C)フルオロアルキル、又はフェニルである。
ある実施態様において、Rは、-O[CH-CH-O]-Rである。ある実施態様において、Rは、-ORである。
金属塩、典型的にはナトリウム塩に変換することができ、そしてチオフェンモノマーに結合して3-置換チオフェン(次にこれを使用して、スルホン化すべきポリチオフェンを生成させる)を形成させることができる、式:HO[C(R)-C(R)-O]-R又はHORを有する化合物の例は、トリフルオロエタノール、エチレングリコールモノヘキシルエーテル(ヘキシルセロソルブ)、プロピレングリコールモノブチルエーテル(Dowanol(商標) PnB)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(エチルカルビトール)、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル(Dowanol(商標) DPnB)、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル(フェニルカルビトール)、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(Dowanol(商標) DPM)、ジイソブチルカルビノール、2-エチルヘキシルアルコール、メチルイソブチルカルビノール、エチレングリコールモノフェニルエーテル(Dowanol(商標) Eph)、プロピレングリコールモノプロピルエーテル(Dowanol(商標) PnP)、プロピレングリコールモノフェニルエーテル(Dowanol(商標) PPh)、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル(プロピルカルビトール)、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(ヘキシルカルビトール)、2-エチルヘキシルカルビトール、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル(Dowanol(商標) DPnP)、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(Dowanol(商標) TPM)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メチルカルビトール)、及びトリプロピレングリコールモノブチルエーテル(Dowanol(商標) TPnB)を含むが、これらに限定されない。
ある実施態様において、Rは、H、メチル、プロピル、又はブチルである。ある実施態様において、Rは、CHCFである。
ある実施態様において、スルホン化ポリチオフェンは、下記式:
Figure 0007447793000018

で示される繰り返し単位を含むポリチオフェンをスルホン化することにより得られる。
当業者には明らかであろうが、下記式:
Figure 0007447793000019

で示される繰り返し単位は、下記式:
Figure 0007447793000020

3-(2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ)チオフェン[本明細書では3-MEETと呼ばれる]
で示される構造により表されるモノマーから誘導される。
したがって、下記式:
Figure 0007447793000021

で示される繰り返し単位を含むポリチオフェンのスルホン化により、スルホン化ポリ(3-MEET)が生じる。
ある実施態様において、ポリチオフェンは、スルホン化ポリ(3-MEET)である。
本開示に使用されるポリチオフェンは、ホモポリマー又はコポリマー(統計的、ランダム、勾配、及びブロックコポリマーを含む)であってよい。モノマーA及びモノマーBを含むポリマーとしては、ブロックコポリマーは、例えば、A-Bジブロックコポリマー、A-B-Aトリブロックコポリマー、及び-(AB)-マルチブロックコポリマーを含む。ポリチオフェンは、他のタイプのモノマー(例えば、チエノチオフェン、セレノフェン、ピロール、フラン、テルロフェン、アニリン、アリールアミン、及びアリーレン(例えば、フェニレン、フェニレンビニレン、及びフルオレン等)等)から誘導される繰り返し単位を含んでもよい。
ある実施態様において、ポリチオフェンは、式(I)で表される繰り返し単位を、繰り返し単位の総重量に基づいて50重量%より多い、典型的には80重量%より多い、更に典型的には90重量%より多い、更になお典型的には95重量%より多い量で含む。
当業者には明らかであろうが、重合に使用される出発モノマー化合物の純度に応じて、形成されるポリマーは、不純物から誘導される繰り返し単位を含有してもよい。本明細書に使用されるとき、「ホモポリマー」という用語は、1つのタイプのモノマーから誘導される繰り返し単位を含むポリマーを意味するものであるが、不純物から誘導される繰り返し単位を含有してもよい。ある実施態様において、ポリチオフェンは、基本的に全ての繰り返し単位が、式(I)で表される繰り返し単位である、ホモポリマーである。
ポリチオフェンは、典型的には約1,000~1,000,000g/molの間の数平均分子量を有する。更に典型的には、この共役ポリマーは、約5,000~100,000g/molの、更になお典型的には約10,000~約50,000g/molの間の数平均分子量を有する。数平均分子量は、例えば、ゲル透過クロマトグラフィーのような、当業者に公知の方法により決定することができる。
一実施態様においては、前記のポリチオフェンを、還元剤で処理した後に用いる。
ポリチオフェン等の共役ポリマーでは、それらを構成する繰り返し単位の一部において、その化学構造が「キノイド構造」と呼ばれる酸化型の構造となっている場合がある。用語「キノイド構造」は、用語「ベンゼノイド構造」に対して用いられるもので、芳香環を含む構造である後者に対し、前者は、その芳香環内の二重結合が環外に移動し(その結果、芳香環は消失する)、環内に残る他の二重結合と共役する2つの環外二重結合が形成された構造を意味する。当業者にとって、これらの両構造の関係は、ベンゾキノンとヒドロキノンの構造の関係から容易に理解できるものである。種々の共役ポリマーの繰り返し単位についてのキノイド構造は、当業者にとって周知である。前記式(I)で表されるポリチオフェンの繰り返し単位に対応するキノイド構造を、下記式(I’)に示す。
Figure 0007447793000022

[式中、R及びRは、式(I)において定義された通りである。]
このキノイド構造は、前記のドーピング反応によって生じ、ポリチオフェン等の共役ポリマーに電荷輸送性を付与する「ポーラロン構造」及び「バイポーラロン構造」と称される構造の一部を成すものである。これらの構造は公知である。有機EL素子の作成において、「ポーラロン構造」及び/又は「バイポーラロン構造」の導入は必須であり、実際、有機EL素子作成時、電荷輸送性ワニスから形成された電荷輸送性薄膜を焼成処理するときに、前記のドーピング反応を意図的に起こさせて、これを達成している。このドーピング反応を起こさせる前の共役ポリマーにキノイド構造が含まれているのは、共役ポリマーが、その製造過程(特に、共役ポリマーをスルホン化する場合、そのスルホン化工程)において、ドーピング反応と同等の、意図しない酸化反応を起こしたためと考えられる。
ポリチオフェンに含まれるキノイド構造の量と、ポリチオフェンの有機溶媒に対する分散性の間には相関があり、キノイド構造の量が多くなると、分散性は低下する。このため、インク組成物から電荷輸送性薄膜が形成された後でのキノイド構造の導入は問題を生じないが、前記の意図しない酸化反応により、ポリチオフェンにキノイド構造が過剰に導入されていると、インク組成物の製造に支障をきたす。ポリチオフェンにおいて、有機溶媒に対する分散性が製品毎にばらつくことがあることが知られているが、その原因の1つは、前記の意図しない酸化反応によりポリチオフェンに導入されたキノイド構造の量が、各々のポリチオフェンの製造条件の差に応じて変動することであると考えられる。
そこで、ポリチオフェンを、還元剤を用いる還元処理に付すと、ポリチオフェンにキノイド構造が過剰に導入されていても、還元によりキノイド構造が減少し、ポリチオフェンの有機溶媒に対する分散性が向上するため、均質性に優れた電荷輸送性薄膜を与える良好なインク組成物を、安定的に製造することが可能になる。
この還元処理に用いる還元剤は、前記式(I’)で表される、ポリチオフェンのキノイド構造を還元して、非酸化型の構造、即ち、前記式(I)で表される、ポリチオフェンのベンゼノイド構造に変換することができるものである限り特に制限はなく、例えば、アンモニア水、ヒドラジン等を使用することが好ましい。還元剤の量は、処理すべきポリチオフェン100重量部に対し、通常0.1~10重量部、好ましくは0.5~2重量部である。
還元処理の方法及び条件に特に制限はない。例えば、適当な溶媒の存在下又は非存在下、単にポリチオフェンを還元剤と接触させることにより、この処理を行うことができる。通常、ポリチオフェンを28%アンモニア水中で撹拌する(例えば、室温にて終夜)などの、比較的温和な条件下での還元処理により、ポリチオフェンの有機溶媒に対する分散性は十分に向上する。
ポリチオフェンがスルホン化されている場合、必要であれば、スルホン化ポリチオフェンを対応するアンモニウム塩、例えばトリアルキルアンモニウム塩(スルホン化ポリチオフェンアミン付加体)に変換した後に、還元処理に付してもよい。
なお、この還元処理によりポリチオフェンの溶媒に対する分散性が変化する結果、処理の開始時には反応系に溶解していなかったポリチオフェンが、処理の完了時には溶解している場合がある。そのような場合には、ポリチオフェンと非相溶性の有機溶剤(アセトン,イソプロピルアルコールなど)を反応系に添加して、ポリチオフェンの沈殿を生じさせ、濾過する等の方法により、ポリチオフェンを回収することができる。
本開示のインク組成物は、場合により他の正孔キャリア化合物を更に含んでいてもよい。
オプションの正孔キャリア化合物は、例えば、低分子量化合物又は高分子量化合物を含む。オプションの正孔キャリア化合物は、非ポリマーであってもポリマーであってもよい。非ポリマー正孔キャリア化合物は、架橋性低分子及び架橋していない低分子を含むが、これらに限定されない。非ポリマー正孔キャリア化合物の例は、N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-N,N’-ビス(フェニル)ベンジジン(CAS # 65181-78-4);N,N’-ビス(4-メチルフェニル)-N,N’-ビス(フェニル)ベンジジン;N,N’-ビス(2-ナフタレニル)-N,N’-ビス(フェニルベンジジン)(CAS # 139255-17-1);1,3,5-トリス(3-メチルジフェニルアミノ)ベンゼン(m-MTDABとも呼ばれる);N,N’-ビス(1-ナフタレニル)-N,N’-ビス(フェニル)ベンジジン(CAS # 123847-85-8、NPB);4,4’,4”-トリス(N,N-フェニル-3-メチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(m-MTDATAとも呼ばれる、CAS # 124729-98-2);4,4’N,N’-ジフェニルカルバゾール(CBPとも呼ばれる、CAS # 58328-31-7);1,3,5-トリス(ジフェニルアミノ)ベンゼン;1,3,5-トリス(2-(9-エチルカルバジル-3)エチレン)ベンゼン;1,3,5-トリス[(3-メチルフェニル)フェニルアミノ]ベンゼン;1,3-ビス(N-カルバゾリル)ベンゼン;1,4-ビス(ジフェニルアミノ)ベンゼン;4,4’-ビス(N-カルバゾリル)-1,1’-ビフェニル;4,4’-ビス(N-カルバゾリル)-1,1’-ビフェニル;4-(ジベンジルアミノ)ベンズアルデヒド-N,N-ジフェニルヒドラゾン;4-(ジエチルアミノ)ベンズアルデヒド ジフェニルヒドラゾン;4-(ジメチルアミノ)ベンズアルデヒド ジフェニルヒドラゾン;4-(ジフェニルアミノ)ベンズアルデヒド ジフェニルヒドラゾン;9-エチル-3-カルバゾールカルボキシアルデヒド ジフェニルヒドラゾン;銅(II)フタロシアニン;N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-N,N’-ジフェニルベンジジン;N,N’-ジ[(1-ナフチル)-N,N’-ジフェニル]-1,1’-ビフェニル)-4,4’-ジアミン;N,N’-ジフェニル-N,N’-ジ-p-トリルベンゼン-1,4-ジアミン;テトラ-N-フェニルベンジジン;チタニル フタロシアニン;トリ-p-トリルアミン;トリス(4-カルバゾール-9-イルフェニル)アミン;及びトリス[4-(ジエチルアミノ)フェニル]アミンを含むが、これらに限定されない。
オプションのポリマー正孔キャリア化合物は、ポリ[(9,9-ジヘキシルフルオレニル-2,7-ジイル)-alt-co-(N,N’-ビス{p-ブチルフェニル}-1,4-ジアミノフェニレン)];ポリ[(9,9-ジオクチルフルオレニル-2,7-ジイル)-alt-co-(N,N’-ビス{p-ブチルフェニル}-1,1’-ビフェニレン-4,4’-ジアミン)];ポリ(9,9-ジオクチルフルオレン-co-N-(4-ブチルフェニル)ジフェニルアミン)(TFBとも呼ばれる)及びポリ[N,N’-ビス(4-ブチルフェニル)-N,N’-ビス(フェニル)-ベンジジン](一般にポリ-TPDと呼ばれる)を含むが、これらに限定されない。
他のオプションの正孔キャリア化合物は、例えば、2010年11月18日に公開の米国特許公開2010/0292399号;2010年5月6日に公開の2010/010900号;及び2010年5月6日に公開の2010/0108954号に記載されている。本明細書に記載のオプションの正孔キャリア化合物は、当該分野において公知であり、そして市販されている。
式(I)に従う繰り返し単位を含むポリチオフェンは、ドープされていてもドープされていなくともよい。
ある実施態様において、式(I)に従う繰り返し単位を含むポリチオフェンは、ドーパントでドープされている。ドーパントは当該分野において公知である。例えば、米国特許第7,070,867号;米国公開2005/0123793号;及び米国公開2004/0113127号を参照のこと。ドーパントは、イオン性化合物であってよい。ドーパントは、カチオン及びアニオンを含むことができる。式(I)に従う繰り返し単位を含むポリチオフェンをドープするために、1種以上のドーパントを使用してもよい。
イオン性化合物のカチオンは、例えば、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、又はAuであってよい。
イオン性化合物のカチオンは、例えば、金、モリブデン、レニウム、鉄、及び銀カチオンであってよい。
幾つかの実施態様において、ドーパントは、アルキル、アリール、及びヘテロアリールスルホナート又はカルボキシラートを含む、スルホナート又はカルボキシラートを含んでもよい。本明細書に使用されるとき、「スルホナート」とは、-SOM基(ここで、Mは、H又はアルカリ金属イオン(例えば、Na、Li、K、Rb、Csなど);又はアンモニウム(NH )であってよい)のことをいう。本明細書に使用されるとき、「カルボキシラート」とは、-COM基(ここで、Mは、H又はアルカリ金属イオン(例えば、Na、Li、K、Rb、Csなど);又はアンモニウム(NH )であってよい)のことをいう。スルホナート及びカルボキシラートドーパントの例は、ベンゾアート化合物、ヘプタフルオロブチラート、メタンスルホナート、トリフルオロメタンスルホナート、p-トルエンスルホナート、ペンタフルオロプロピオナート、及びポリマースルホナート類、ペルフルオロスルホナート含有アイオノマー類などを含むが、これらに限定されない。
幾つかの実施態様において、ドーパントは、スルホナートもカルボキシラートも含まない。
幾つかの実施態様において、ドーパントは、スルホニルイミド(例えば、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドなど);アンチモナート(例えば、ヘキサフルオロアンチモナートなど);アルセナート(例えば、ヘキサフルオロアルセナートなど);リン化合物(例えば、ヘキサフルオロホスファートなど);及びボラート(例えば、テトラフルオロボラート、テトラアリールボラート、及びトリフルオロボラートなど)を含んでよい。テトラアリールボラート類の例は、テトラキスペンタフルオロフェニルボラート(TPFB)のようなハロゲン化テトラアリールボラート類を含むが、これらに限定されない。トリフルオロボラート類の例は、(2-ニトロフェニル)トリフルオロボラート、ベンゾフラザン-5-トリフルオロボラート、ピリミジン-5-トリフルオロボラート、ピリジン-3-トリフルオロボラート、及び2,5-ジメチルチオフェン-3-トリフルオロボラートを含むが、これらに限定されない。
本明細書に開示されるとおり、ポリチオフェンは、ドーパントでドープされていてもよい。ドーパントは、例えば、ポリチオフェンとの、例えば、1つ以上の電子移動反応を受けることによって、ドープされたポリチオフェンが生成する材料であってよい。ドーパントは、適切な電荷均衡する対アニオンを提供するように選択することができる。反応は、当該分野において公知のとおり、ポリチオフェンとドーパントの混合により起こり得る。例えば、ドーパントは、ポリマーからカチオン-アニオンドーパント(金属塩など)への自発電子移動を受けて、共役ポリマーを、アニオンが会合しているその酸化型の形態で、遊離金属と共に残すことができる。例えば、LebedevらのChem. Mater., 1998, 10, 156-163を参照のこと。本明細書に開示されるとおり、ポリチオフェン及びドーパントとは、反応することによりドープされたポリマーを形成する成分のことをいう場合がある。ドーピング反応は、電荷キャリアが生成される電荷移動反応であってよく、この反応は、可逆的であっても不可逆的であってもよい。幾つかの実施態様において、銀イオンは、銀金属及びドープされたポリマーへの又はこれらからの電子移動を受けることができる。
最終配合物において、組成物は、元の成分の組合せとは明確に異なるものであってよい(即ち、ポリチオフェン及び/又はドーパントは、混合前と同じ形態で最終組成物中に存在してもしなくともよい)。
幾つかの実施態様では、ドーピングプロセスから反応副産物を除去してもよい。例えば、銀のような金属は、濾過によって除去することができる。
例えば、ハロゲン及び金属を除去するために、材料を精製することができる。ハロゲンは、例えば、塩化物、臭化物及びヨウ化物を含む。金属は、例えば、ドーパントのカチオン(ドーパントのカチオンの還元型を含む)、又は触媒若しくは開始剤残留物から残された金属を含む。金属は、例えば、銀、ニッケル、及びマグネシウムを含む。量は、例えば、100ppm未満、又は10ppm未満、又は1ppm未満であってよい。
銀含量を含む金属含量は、特に50ppmを超える濃度では、ICP-MSにより測定することができる。
ある実施態様において、ポリチオフェンがドーパントでドープされるとき、ポリチオフェンとドーパントを混合することにより、ドープされたポリマー組成物が形成される。混合は、当業者には公知の任意の方法を用いて達成されうる。例えば、ポリチオフェンを含む溶液を、ドーパントを含む別の溶液と混合することができる。ポリチオフェン及びドーパントを溶解するのに使用される溶媒は、1種以上の本明細書に記載の溶媒であってよい。反応は、当該分野において公知のとおり、ポリチオフェンとドーパントの混合により起こり得る。生じるドープされたポリチオフェン組成物は、組成物に基づいて、約40重量%~75重量%のポリマー及び約25重量%~55重量%のドーパントを含む。別の実施態様において、ドープされたポリチオフェン組成物は、組成物に基づいて、約50重量%~65重量%のポリチオフェン及び約35重量%~50重量%のドーパントを含む。典型的には、ポリチオフェンの重量は、ドーパントの重量よりも大きい。典型的には、ドーパントは、約0.25~0.5m/ruの量のテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸銀のような銀塩であってよい(ここで、mは、銀塩のモル量であり、そしてruは、ポリマー繰り返し単位のモル量である)。
ドープされたポリチオフェンは、当業者には公知の方法により(例えば、溶媒の回転蒸発などにより)単離されて、乾燥又は実質乾燥材料(粉末など)が得られる。残留溶媒の量は、乾燥又は実質乾燥材料に基づいて、例えば、10重量%以下、又は5重量%以下、又は1重量%以下であってよい。乾燥又は実質乾燥粉末は、1種以上の新しい溶媒に再分散又は再溶解することができる。
本発明のインク組成物は、1種以上の金属酸化物ナノ粒子(b)を含む。ナノ粒子とは、一次粒子についての平均粒子径がナノメートルのオーダー(典型的には500nm以下)である微粒子を意味する。金属酸化物ナノ粒子とは、ナノ粒子に成形された金属酸化物を意味する。
金属酸化物ナノ粒子(b)における金属は、通常の意味での金属に加え、半金属も包含する。通常の意味での金属は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよく、スズ(Sn)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)及びW(タングステン)からなる群より選択される1種以上を用いることが好ましいが、それらに限定されない。
一方、半金属とは、化学的及び/又は物理的性質が金属と非金属の中間である元素を意味する。半金属の普遍的な定義は確立されていないが、本発明では、ホウ素(B)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)及びテルル(Te)の計6元素を半金属とする。これらの半金属は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよく、また通常の意味での金属と組み合わせて用いてもよい。
金属酸化物ナノ粒子(b)は、ホウ素(B)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、スズ(Sn)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)及びW(タングステン)からなる群より選択される1種以上の金属の酸化物を含むことが好ましい。金属が2種以上の金属の組み合わせである場合、金属酸化物は、個々の単独の金属の酸化物の混合物であってもよく、複数の金属を含む複合酸化物であってもよい。金属酸化物の具体的な例としては、B、BO、SiO、SiO、GeO、GeO、As、As、As、Sb、Sb、TeO、SnO、ZrO、Al、ZnO等を挙げることができるが、これらに限定されない。
一実施態様において、金属酸化物ナノ粒子(b)は、B、BO、SiO、SiO、GeO、GeO、As、As、As、SnO、SnO、Sb、TeO又はこれらの混合物を含む。他の一実施態様において、金属酸化物ナノ粒子(b)は、SiOを含む。
金属酸化物ナノ粒子(c)に関し、一次粒子についての平均粒子径は、通常1nm以上、500nm以下、好ましくは1nm以上、250nm以下、より好ましくは約1nm以上、約100nm以下、更に好ましくは1nm以上、50nm以下、特に好ましくは約2nm以上、約30nm以下、最も好ましくは3nm以上、25nm以下の範囲である。一次粒子の平均粒子径を測定する方法の例としては、例えば、透過電子顕微鏡(TEM)を用いる方法、BET法で求めた比表面積から算出する方法などを挙げることができる。
TEMを用いる平均粒子径の測定方法は種々知られているが、その一例として、円相当径に基づく方法を挙げることができる。これは、TEM(例えば、透過型電子顕微鏡HT7700(株式会社日立ハイテクノロジーズ製))を用いて得られる粒子の投影画像を画像処理ソフトウェアで処理することにより、各粒子の円相当径を求め、それらの円相当径の数平均として、平均粒子径を求める方法である。円相当径はヘイウッド径とも呼ばれ、粒子の投影画像の面積と同じ面積を持つ円の直径である。この方法では、典型的には、TEMと共に提供される、TEMの製造販売元が作成した画像処理ソフトウェアを用いて、投影画像の処理を行う。
金属酸化物ナノ粒子(b)は、1種以上の有機キャッピング基を含んでもよい。この有機キャッピング基は、反応性であっても非反応性であってもよい。反応性有機キャッピング基の例としては、紫外線又はラジカル開始剤により架橋できる有機キャッピング基を挙げることができる。一実施態様において、金属酸化物ナノ粒子(b)は、1種以上の有機キャッピング基を含む。
金属酸化物ナノ粒子(b)は、1種以上の有機キャッピング基を含んでもよいが、本発明の有機溶媒との相溶性の観点からは、有機キャッピングされていない、即ち表面処理されていない金属酸化物ナノ粒子が好ましい。
金属酸化物ナノ粒子(b)は、公知の方法により製造することもできるが、市販品としても入手可能である。市販の金属酸化物ナノ粒子は通常、分散液の形態にある。好ましくは、市販されている金属酸化物ナノ粒子の非水系分散液を用いる。適切な市販の金属酸化物ナノ粒子の例としては、SiOナノ粒子が種々の溶媒(例えば、メタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N,N-ジメチルアセトアミド、エチレングリコール、イソプロパノール、メタノール、エチレングリコールモノプロピルエーテル、シクロヘキサノン、酢酸エチル、トルエン及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタートなど)に分散した非水系分散液であるORGANOSILICASOL(商標)(日産化学工業株式会社製)を挙げることができる。
本発明のインク組成物における金属酸化物ナノ粒子(b)の含有量は、金属酸化物ナノ粒子(b)と電荷輸送性物質(a)(ドープされたもの及びドープされていないものを含む)の合計重量に対する重量百分率で表される。金属酸化物ナノ粒子(b)の含有量は、金属酸化物ナノ粒子(b)と電荷輸送性物質(a)の合計重量に対し、通常は約1重量%~約98重量%、好ましくは約2重量%~約95重量%、より好ましくは約5重量%~約90重量%、更に好ましくは約10重量%~約90重量%である。一実施態様において、金属酸化物ナノ粒子(b)の含有量は、金属酸化物ナノ粒子(c)と電荷輸送性物質(a)の合計重量に対し、約20重量%~約98%、好ましくは約25重量%~約95重量%である。
本発明のインク組成物は、所定の組成を有する液体担体(c)を含む。液体担体(c)の組成は、本発明において重要である。以下、この組成に関しより詳細に説明する。
先に述べたように、インク組成物をインクジェット法で基板に塗布して電荷輸送性薄膜を形成する際、基板として撥液バンク付基板を用いてもなお、パイルアップ現象により、得られる電荷輸送性薄膜が厚みの不均一な状態となることがある。このようなパイルアップ現象は特に、金属酸化物ナノ粒子が添加されたインク組成物において発生しやすいことが、本発明者らにより確認された。その原因は明らかになっていないが、インク組成物中に分散している金属酸化物ナノ粒子が、組成物中の他の成分、基板表面又はバンク側面との何らかの相互作用の結果、乾燥過程中にバンク側面へ移動し、更にバンクに沿って這い上がるために、パイルアップ現象が発生すると考えられている。
そこで、インク組成物中における金属酸化物ナノ粒子の挙動と、パイルアップ現象の関連性を本発明者らが検討した結果、インク組成物中における金属酸化物ナノ粒子の分散状態が均一であるほど、パイルアップ現象の発生が顕著になる傾向にあること、即ち、インク組成物中における金属酸化物ナノ粒子の分散状態とパイルアップ現象の発生の間に相関があることが認められた。このことは、この分散状態を適切に制御することで、パイルアップ現象を抑制することが可能になることを示唆するものである。
インク組成物中における金属酸化物ナノ粒子の分散状態には、用いる液体担体の組成が影響する。そこで、液体担体の組成を特定のものとすることにより、この分散状態が、特に液体担体を揮発させる過程において適切に制御され、パイルアップ現象を抑制することが可能になると推定された。
有機溶媒は、金属酸化物ナノ粒子に対する相溶性の相対的な程度に基づき、相溶性が高い溶媒(以降「高相溶性溶媒」と称する)と低い溶媒(以降「低相溶性溶媒」と称する)に分類しうる。金属酸化物ナノ粒子は、高相溶性溶媒中では、同溶媒全体に均一に分散するが、低相溶性溶媒中では、金属酸化物ナノ粒子に対する相溶性に応じた程度の凝集を伴う、不均一な分散状態をとる。高相溶性溶媒と低相溶性溶媒の混合物中では、分散状態はそれらの中間であり、溶媒中の高相溶性溶媒と低相溶性溶媒の量比に応じて変動する。
一方、複数の溶媒の混合物からなる液体担体を含むインク組成物が基板上に塗布され、その液体担体が揮発するときには、当然ながら沸点のより低い溶媒が先に揮発する。このため、揮発が進行するにつれて、液体状態で残留している液体担体の組成が変化する。液体担体が高相溶性溶媒と低相溶性溶媒を含む場合、この揮発過程において、残留している液体担体中のそれらの量比が変化し、これに応じて金属酸化物ナノ粒子の分散状態も変化する。そこで、沸点および金属酸化物ナノ粒子に対する相溶性が適切な溶媒の組み合わせを選択し、残留する液体担体の組成を適切に制御することにより、液体担体中での金属酸化物ナノ粒子の分散状態を制御し、パイルアップ現象を抑制することができる。
揮発過程において低相溶性溶媒が先に全て揮発し、高相溶性溶媒のみが最後まで残留する場合、金属酸化物ナノ粒子は、揮発過程の最終段階まで凝集せずインク組成物全体に均一に分散しているので、均質な電荷輸送性薄膜を得ることが容易になる。しかし、例えば上記のバンクを用いる成膜方法を採用した場合、バンク近傍まで移動する金属酸化物ナノ粒子の量が相対的に多くなるので、パイルアップ現象が発生しやすくなり、平坦な電荷輸送性薄膜を得ることが困難となる。
一方、高相溶性溶媒が先に全て揮発し、低相溶性溶媒のみが最後まで残留する場合、揮発過程の最終段階で、金属酸化物ナノ粒子の分散状態が不均一となり、バンク近傍まで移動する金属酸化物ナノ粒子の量が相対的に少なくなるので、パイルアップ現象が抑制され、平坦な電荷輸送性薄膜を得ることが容易となる。しかし、金属酸化物ナノ粒子が過度に凝集するので、均質な電荷輸送性薄膜を得ることが困難となる。
従って、電荷輸送性薄膜の形成を適切に行うためには、液体担体の揮発過程の最終段階において、金属酸化物ナノ粒子が、前記分散状態の中間、即ち完全に均一ではない、ある程度の凝集を伴う分散状態にあることが好ましい。
本発明者らは種々検討の結果、パイルアップ現象を抑制しつつ、平坦性を担保した成膜を可能にするためには、低相溶性溶媒に、それよりも沸点の低い第一の高相溶性溶媒と、少量の、それよりも沸点の高い第二の高相溶性溶媒を組み合わせてなる液体担体を用いることが有効であることを見出した。
前記したように、液体担体の揮発過程の最終段階では、金属酸化物ナノ粒子が、完全に均一ではない、適度の凝集を伴う分散状態にある方が好ましい。そのような分散状態は、金属酸化物ナノ粒子が、少量の高相溶性溶媒を含む低相溶性溶媒からなる液体担体に分散しているときに達成される。そのような組成の液体担体を用いると、液体担体の揮発過程において、第一の高相溶性溶媒の大部分が先に揮発する結果、残存する液体担体は、少量の第一の高相溶性溶媒が、少量の第二の高相溶性溶媒と共に、低相溶性溶媒に含まれている組成となり、この組成は、適度の凝集を伴う、金属酸化物ナノ粒子の好ましい分散状態をもたらす。揮発が進行し、第一の高相溶性溶媒が全て揮発した後も、低相溶性溶媒よりも沸点の高い第二の高相溶性溶媒が揮発過程の最終段階まで残存するので、低相溶性溶媒の大部分が揮発するまで、低相溶性溶媒に少量の第二の高相溶性溶媒が含まれる組成が維持される。この結果、揮発が更に進行し、残存する液体担体の量が、パイルアップ現象の問題を生じないほど少なくなるまで、前記の好ましい分散状態が保たれる。
また前記の通り、前記のような特定の組成を有する液体担体を用いずにパイルアップ現象を抑制しようとすると、有機EL素子のある種の特性が却って低下する傾向がみられる場合がある。ところが、前記のような液体担体を含む本発明のインク組成物を用いて電荷輸送性薄膜を形成し、それを有機EL素子の作成に用いると、意外にも、従来の液体担体を用いた場合に比して、得られる有機EL素子の特性低下がさほど顕著でなく、特に電流効率の低下が抑制されることが、本発明者らにより確認された。
このように、金属酸化物ナノ粒子を、特定の組成を有する液体担体と組み合わせて用いることで、有機EL素子の特性の過度の低下を回避しつつ、パイルアップ現象を抑制することができる。前記の通り、パイルアップ現象により電荷輸送性薄膜の厚みが不均一になると、有機EL素子の寿命が短縮される恐れがあるが、このパイルアップ現象の抑制により、有機EL素子の寿命を延長させることができる。
本発明のインク組成物において使用される液体担体は、
(c-1)沸点bp(℃)を有する第一の親水性グリコール系溶媒、
(c-2)沸点bp(℃)を有する第二の親水性グリコール系溶媒、および
(c-3)沸点bp(℃)を有する有機溶媒
を含む。前記溶媒(c-3)は、前記低相溶性溶媒に相当し、前記溶媒(c-1)は、前記溶媒(c-3)よりも沸点が低く、前記第一の高相溶性溶媒に相当し、前記溶媒(c-2)は、前記溶媒(c-3)よりも沸点が高く、前記第二の高相溶性溶媒に相当する。従って、沸点bp、bpおよびbpは、bp<bp<bpとの関係を満足する。プロセス適合性および成膜性の観点から、bp、bp及びbpは各々、180℃以上、270℃以上及び200℃以上270℃未満であることがより好ましい。
また上記条件を満たす範囲で、bpとbpは20℃以上差があることが好ましく、bpとbpは10℃以上差があることが好ましく、bpとbpは70℃以上差があることが好ましい。さらに、bpの差が20℃以上ある2種の前記溶媒(c-3)を組み合わせて用いることがより好ましい。
ある態様において、bpは180℃以上であり、bpは270℃以上であり、bpは200℃以上、270℃未満である。
前記溶媒(c-1)及び(c-2)としては、親水性グリコール系溶媒が用いられる。まず、この親水性グリコール系溶媒を含むグリコール系溶媒につき説明する。
用語「グリコール」は、広義には2個のアルコール性水酸基を有する有機化合物の総称であるが、本発明において「グリコール系溶媒」とは、下記式(y):
-O-(R-O)-R (y)
(式中、
それぞれのRは、各々独立に、直鎖状、分岐状又は環状の、炭素数2以上の非置換アルキレン基であり;
及びRは、各々独立に、水素原子であるか、直鎖状、分岐状又は環状の、炭素数1以上の非置換アルキル基であるか、或いは直鎖状又は分岐状の、炭素数2以上の非置換脂肪族アシル基であり;
nは、1以上の整数である)
で表される化学構造を有する有機溶媒を意味する。
前記式(y)中、それぞれのRは、使用する条件下で液体であり、かつ最終的に揮発させることができるグリコール系溶媒を与えるものであれば特に限定されないが、各々独立に、直鎖状のC-C非置換アルキレン基であることが好ましく;R及びRは、使用する条件下で液体であり、かつ最終的に揮発させることができるグリコール系溶媒を与えるものであれば特に限定されないが、各々独立に、水素原子であるか、直鎖状、分岐状又は環状のC-C非置換アルキル基であるか、或いは直鎖状又は分岐状のC-C非置換脂肪族アシル基であり;nは、1~6の整数であることが好ましい。前記Rは、C又はC非置換アルキレン基であることが特に好ましい。また前記nは、1~4の整数であることが特に好ましい。
前記アルキル基としては、直鎖状、分岐状又は環状C-C非置換アルキル基が好ましく、直鎖状C-C非置換アルキル基がより好ましく、メチル基及びn-ブチル基が特に好ましい。
前記アシル基としては、直鎖状又は分岐状C-C非置換脂肪族アシル基が好ましく、直鎖状C-C非置換アシル基がより好ましく、アセチル基及びプロピオニル基が特に好ましい。
このようなグリコール系溶媒を含む液体担体を用いるインク組成物は、インクジェット法による塗布に特に適している。
前記グリコール系溶媒のうち、前記式(y)中のR及びRがいずれも水素原子である化学構造を有する有機溶媒を、本発明においては「グリコール溶媒」と称する。
グリコール溶媒の例には、エチレングリコール、プロピレングリコール及びそのオリゴマー(2量体~4量体、例えばジエチレングリコール)が含まれるが、これらに限定されない。
前記グリコール系溶媒のうち、前記式(y)中のR及びRの一方が水素原子であり、他方が非置換アルキル基である化学構造を有する有機溶媒を、本発明においては「グリコールモノエーテル溶媒」と称する。グリコールモノエーテル溶媒は、前記グリコール溶媒のモノアルキルエーテルに相当する。
グリコールモノエーテル溶媒の例には、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル(ヘキシルセロソルブ)、プロピレングリコールモノブチルエーテル(Dowanol PnB)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(エチルカルビトール)、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル(Dowanol DPnB)、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(Dowanol DPM)、プロピレングリコールモノプロピルエーテル(Dowanol PnP)、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル(プロピルカルビトール)、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(ヘキシルカルビトール)、2-エチルヘキシルカルビトール、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル(Dowanol DPnP)、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(Dowanol TPM)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メチルカルビトール)及びトリプロピレングリコールモノブチルエーテル(Dowanol TPnB)が含まれるが、これらに限定されない。
前記グリコール系溶媒のうち、前記式(y)中のR及びRがいずれも非置換アルキル基である化学構造を有する有機溶媒を、本発明においては「グリコールジエーテル溶媒」と称する。グリコールジエーテル溶媒は、前記グリコール溶媒のジアルキルエーテルに相当する。
グリコールジエーテル溶媒の例には、エチレングリコールジエーテル(1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン及び1,2-ジブトキシエタンなど);ジエチレングリコールジエーテル(ジエチレングリコールジメチルエーテル及びジエチレングリコールジエチルエーテルなど);プロピレングリコールジエーテル(プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル及びプロピレングリコールジブチルエーテルなど);ジプロピレングリコールジエーテル(ジプロピレングリコールメチル-n-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル及びジプロピレングリコールジブチルエーテルなど);並びに本明細書に言及されるエチレングリコール及びプロピレングリコールエーテルのより高次の類似体(すなわち、トリ-及びテトラ類似体、例えば、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル及びテトラエチレングリコールジメチルエーテル)が含まれるが、これらに限定されない。
前記グリコール系溶媒のうち、前記式(y)中のR及びRの一方が水素原子であり、他方が非置換脂肪族アシル基である化学構造を有する有機溶媒を、本発明においては「グリコールモノエステル溶媒」と称する。グリコールモノエステル溶媒は、前記グリコール溶媒の脂肪族カルボン酸モノエステルに相当する。
グリコールモノエステル溶媒の例には、エチレングリコールモノアセタート、プロピレングリコールモノアセタート、1,4-ブタンジオールモノアセタート、1,3-ブチレングリコールモノアセタート及びより高次のグリコールエーテル類似体(ジ-、トリ-及びテトラ類似体など、例えばトリエチレングリコールモノアセタート)が含まれるが、これらに限定されない。
前記グリコール系溶媒のうち、前記式(y)中のR及びRがいずれも非置換脂肪族アシル基である化学構造を有する有機溶媒を、本発明においては「グリコールジエステル溶媒」と称する。グリコールジエステル溶媒は、前記グリコール溶媒の脂肪族カルボン酸ジエステルに相当する。
グリコールジエステル溶媒の例には、エチレングリコールジアセタート、プロピレングリコールジアセタート、1,4-ブタンジオールジアセタート、1,3-ブチレングリコールジアセタート及びより高次のグリコールエーテル類似体(ジ-、トリ-及びテトラ類似体など、例えばトリエチレングリコールジアセタート)が含まれるが、これらに限定されない。
前記グリコール系溶媒のうち、前記式(y)中のR及びRの一方が非置換アルキル基であり、他方が非置換脂肪族アシル基である化学構造を有する有機溶媒を、本発明においては「グリコールエステルエーテル溶媒」と称する。グリコールエステルエーテル溶媒は、前記グリコールモノエーテル溶媒の脂肪族カルボン酸モノエステルに相当する。
グリコールエステルエーテル溶媒の例には、エチレングリコールモノエーテルアセタート(例えばエチレングリコールモノメチルエーテルアセタート、2-エトキシエチルアセタート及び2-ブトキシエチルアセタート)、プロピレングリコールモノエーテルアセタート(例えばプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート)及びより高次のグリコールエーテル類似体(ジ-、トリ-及びテトラ類似体など、例えばジエチレングリコールモノメチルエーテルアセタート及びジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート)が含まれるが、これらに限定されない。
前記グリコール系溶媒は、その化学構造に基づき「親水性グリコール系溶媒」と「疎水性グリコール系溶媒」に分類される。本発明において、「親水性グリコール系溶媒」は前記グリコール系溶媒のうちの前記グリコール溶媒を指し、「疎水性グリコール系溶媒」は前記グリコールモノエーテル溶媒、グリコールジエーテル溶媒、グリコールモノエステル溶媒、グリコールジエステル溶媒およびグリコールエステルエーテル溶媒の総称である。
親水性グリコール系溶媒である前記溶媒(c-1)の好ましい例としては、低分子量・低沸点の前記グリコール溶媒、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールが挙げられるが、これらに限定されない。プロセス適合性および成膜性の観点から、エチレングリコールが特に好ましい。
同じく親水性グリコール系溶媒である前記溶媒(c-2)の好ましい例としては、前記溶媒(c-1)よりも高分子量・高沸点の前記グリコール溶媒、例えばトリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられるが、これらに限定されない。プロセス適合性および成膜性の観点から、トリエチレングリコールが特に好ましい。
ある態様において、 前記溶媒(c-1)はエチレングリコールであり、前記溶媒(c-2)はトリエチレングリコールである。
一方、前記溶媒(c-3)として用いられる有機溶媒は、bp<bp<bpの関係を満足する限り、特に限定されない。また前記溶媒(c-3)は、2種以上の有機溶媒を含む混合溶媒であってもよい。この場合、それら2種以上の有機溶媒がいずれもbp<bp<bpの関係を満足する。
ある態様において、前記溶媒(c-3)は、疎水性グリコール系溶媒、ニトリル、アルコール、芳香族エーテル、芳香族エステルまたは芳香族炭化水素である。プロセス適合性および成膜性の観点から、前記溶媒(c-3)として前記疎水性グリコール系溶媒、即ちグリコールモノエーテル溶媒、グリコールジエーテル溶媒、グリコールモノエステル溶媒、グリコールジエステル溶媒および/またはグリコールエステルエーテル溶媒を用いることが好ましい。
ある態様において、前記溶媒(c-1)および(c-2)はいずれもグリコール溶媒であり、前記溶媒(c-3)がグリコールジエーテル溶媒である。
成膜性の観点から、前記溶媒(c-3)は混合溶媒であることがより好ましい。この混合溶媒は2種類以上のグリコールモノエーテル溶媒又はグリコールジエーテル溶媒を含むことが好ましいが、溶液の均一性を高めるために、少なくとも1種類のグリコールモノエーテルを含むことが特に好ましい。それらの中でも、ジエチレングリコールブチルメチルエーテルとジエチレングリコールモノブチルエーテル又はジエチレングリコールブチルメチルエーテルとジエチレングリコールモノイソブチルエーテルの組み合わせが好ましく、ジエチレングリコールブチルメチルエーテルとジエチレングリコールモノブチルエーテルの組み合わせを含むことが最も好ましい。ある態様において、前記溶媒(c-3)は、1種類以上のグリコールジエーテル溶媒を含む2種類以上の有機溶媒の混合物である。
前記液体担体(c)は、非グリコール系溶媒、即ち前記グリコール系溶媒以外の有機溶媒を含んでいてもよい。非グリコール系溶媒の例としては、芳香族エステル類、脂肪族及び芳香族ケトン類、有機硫黄溶媒(ジメチルスルホキシド(DMSO)、2,3,4,5-テトラヒドロチオフェン-1,1-ジオキシド(テトラメチレンスルホン;スルホラン)等)、テトラヒドロフラン(THF)、テトラヒドロピラン(THP)、テトラメチルウレア(TMU)、N,N’-ジメチルプロピレンウレア、アルキル化ベンゼン類(キシレン及びその異性体など)、ハロゲン化ベンゼン類、N-メチルピロリジノン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジクロロメタン、アセトニトリル、ジオキサン類、酢酸エチル、安息香酸エチル、安息香酸メチル、炭酸ジメチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、3-メトキシプロピオニトリル、3-エトキシプロピオニトリル、フマル酸ジエチル、安息香酸ブチル、プロピレンカーボーネート又はこれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。これらのうち、成膜性の観点から、フマル酸ジエチル、安息香酸ブチルおよびプロピレンカーボーネートが好ましい。
脂肪族及び芳香族ケトン類は、アセトン、アセトニルアセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、メチルイソブテニルケトン、2-ヘキサノン、2-ペンタノン、アセトフェノン、エチルフェニルケトン、シクロヘキサノン及びシクロペンタノンを含むが、これらに限定されない。幾つかの実施態様において、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン及びアセトンのような、ケトンに対してα位に位置する炭素上にプロトンを有するケトン類は回避される。
電荷輸送性物質を完全に若しくは部分的に可溶化するか、又は電荷輸送性物質を膨潤させる、他の有機溶媒もまた考慮される。このような他の溶媒は、湿潤性、粘度、形態制御のようなインク特性を調節するために、種々の量で液体担体に含まれていてもよい。
本発明に係る使用に好適な更に他の有機溶媒は、エーテル、例えばアニソール、エトキシベンゼン、ジメトキシベンゼンを含む。
更に、アルコール類として、メタノール、エタノール、トリフルオロエタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、t-ブタノール等の脂肪族アルコール、ベンジルアルコール、2-(ベンジルオキシ)エタノール、芳香族エーテル類として、メチルアニソール、ジメチルアニソール、エチルアニソール、ブチルフェニルエーテル、ブチルアニソール、ペンチルアニソール、ヘキシルアニソール、ヘプチルアニソール、オクチルアニソール、フェノキシトルエン、芳香族炭化水素類として、ペンチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、ヘプチルベンゼン、オクチルベンゼン、ノニルベンゼン、シクロヘキシルベンゼンまたはテトラリン等を用いることもできる。
本明細書に開示されるように、本明細書に開示される有機溶媒を、例えば基板湿潤性、溶媒除去の容易性、粘性、表面張力及び出射性などのインク特性を改善するために、液体担体中に種々の割合で使用することができる。
いくつかの実施態様において、非プロトン非極性溶媒の使用は、プロトンに感受性であるエミッター技術を備えるデバイス(例えば、PHOLEDなど)の寿命を延ばすという追加の利益を提供することができる。
ある実施態様において、液体担体は、ジメチルスルホキシド、テトラメチルウレア又はそれらの混合物を含む。
先に述べたように、液体担体の揮発過程において、前記溶媒(c-1)の大部分が揮発した後には、前記溶媒(c-2)が、少量の前記溶媒(c-1)及び(c-3)を含む組成となることが、パイルアップ現象を抑制しつつ平坦な薄膜を形成する上で重要である。これを達成するためには、前記溶媒(c-1)、(c-2)及び(c-3)の量比が適切であることが好ましい。この観点から、前記溶媒(c-1)と前記溶媒(c-2)の重量比((c-1):(c-2))が29:1~8:7であることが好ましく、9:1~3:7であることがより好ましく、5:1~23:7であることが最も好ましい。前記溶媒(c-1)の、前記液体担体(c)の総重量に対する重量比が16~29%であることが好ましく、16~27%であることがより好ましく、20~25%であることが更に好ましく、23~25%であることが最も好ましい。前記溶媒(c-2)の、前記液体担体(c)の総重量に対する重量比が、14~1%であることが好ましく、14~3%であることがより好ましく、10~5%であることが更に好ましく、7~5%であることが最も好ましい。前記溶媒(c-1)、(c-2)及び(c-3)の、前記液体担体(c)の総重量に対する重量比が、各々23~25%、7~5%、70%であることが最も好ましい。
本発明のインク組成物中の液体担体の量は、インク組成物の総量に対して、約50重量%~約99重量%、典型的には約75重量%~約98重量%、更に典型的には約90重量%~約95重量%である。
なお後述するように、本発明のインク組成物は、電荷輸送性物質等の各成分を、有機溶媒中の溶液又は分散液(ストック溶液)の形態で混合することにより調製することができる。この操作の結果インク組成物に添加された有機溶媒は、液体担体の一部と見なされる。
また液体担体は、アノード又は発光層のような、デバイス中の他の層との使用及び加工に適応させたものであってもよい。
一実施態様において、本発明のインク組成物は、1種以上のアミン化合物を更に含む。
本発明のインク組成物における使用に適したアミン化合物は、エタノールアミン類及びアルキルアミン類を含むが、これらに限定されない。
適切なエタノールアミン類の例は、ジメチルエタノールアミン[(CHNCHCHOH]、トリエタノールアミン[N(CHCHOH)]、及びN-tert-ブチルジエタノールアミン[t-CN(CHCHOH)]を含む。
アルキルアミン類は、第一級、第二級、及び第三級アルキルアミン類を含む。第一級アルキルアミン類の例は、例えば、エチルアミン[CNH]、n-ブチルアミン[CNH]、t-ブチルアミン[CNH]、n-ヘキシルアミン[C13NH]、2-エチルヘキシルアミン[C17NH]、n-デシルアミン[C1021NH]、及びエチレンジアミン[HNCHCHNH]を含む。第二級アルキルアミン類は、例えば、ジエチルアミン[(CNH]、ジ(n-プロピルアミン)[(n-CNH]、ジ(イソプロピルアミン)[(i-CNH]、及びジメチルエチレンジアミン[CHNHCHCHNHCH]を含む。第三級アルキルアミン類は、例えば、トリメチルアミン[(CHN]、トリエチルアミン[(CN]、トリ(n-ブチル)アミン[(CN]、及びテトラメチルエチレンジアミン[(CHNCHCHN(CH]を含む。
ある実施態様において、アミン化合物は、第三級アルキルアミンである。ある実施態様において、アミン化合物は、トリエチルアミンである。
ある実施態様において、アミン化合物は、第三級アルキルアミン化合物と、第三級アルキルアミン化合物以外のアミン化合物との混合物である。ある実施態様において、第三級アルキルアミン化合物以外のアミン化合物は、第一級アルキルアミン化合物である。ある実施態様において、該第一級アルキルアミン化合物は、エチルアミン、n-ブチルアミン、t-ブチルアミン、n-ヘキシルアミン、2-エチルヘキシルアミン、n-デシルアミンおよびエチレンジアミンからなる群より選択される少なくとも1種であり、この中でも、2-エチルヘキシルアミンまたはn-ブチルアミンが好ましい。
アミン化合物の量は、インク組成物の総量に対する重量百分率として調節及び測定することができる。ある実施態様において、アミン化合物の量は、インク組成物の総量に対して、少なくとも0.01重量%、少なくとも0.10重量%、少なくとも1.00重量%、少なくとも1.50重量%、又は少なくとも2.00重量%である。ある実施態様において、アミン化合物の量は、インク組成物の総量に対して、約0.01~約2.00重量%、典型的には約0.05重量%~約1.50重量%、更に典型的には約0.1重量%~約1.0重量%である。このアミン化合物の少なくとも一部が、スルホン化共役ポリマーとのアンモニウム塩、例えばトリアルキルアンモニウム塩(スルホン化ポリチオフェンアミン付加体)の形態で存在していてもよい。
なお、このアミン化合物は通常、最終的なインク組成物を調製する際に添加するが、それ以前の時点で予め添加しておいてもよい。例えば、先に述べたように、スルホン化共役ポリマーにアミン化合物を添加して、対応するアンモニウム塩、例えばトリアルキルアンモニウム塩(スルホン化ポリチオフェンアミン付加体)に変換した後に、還元処理に付してもよいし、還元処理されたスルホン化共役ポリマーの溶液にアミン化合物(例えばトリエチルアミン)を添加して、スルホン化共役ポリマーをアンモニウム塩(例えばトリエチルアンモニウム塩)として、粉末の形態で沈殿させ、これを回収してもよい。
このような処理の方法に特に制限はないが、例えば、還元処理されたスルホン化ポリチオフェンに水およびトリエチルアミンを加えて溶解し、これを加熱下(例えば60℃)に撹拌した後、得られた溶液にイソプロピルアルコールおよびアセトンを添加して、スルホン化共役ポリマーのトリエチルアンモニウム塩の沈殿を生じさせ、これを濾過して回収する等の方法を採用し得る。
本発明のインク組成物は、正孔注入層(HIL)又は正孔輸送層(HTL)中で有用であることが知られている1種以上のマトリックス化合物を場合により更に含んでもよい。
オプションのマトリックス化合物は、低分子量又は高分子量化合物であってよく、そして本明細書に記載のポリチオフェンとは異なる。マトリックス化合物は、例えば、ポリチオフェンとは異なる、合成ポリマーであってよい。例えば、2006年8月10日に公開の米国特許公開2006/0175582号を参照のこと。合成ポリマーは、例えば、炭素基本骨格を含むことができる。幾つかの実施態様において、合成ポリマーは、酸素原子又は窒素原子を含む少なくとも1個のポリマー側基を有する。合成ポリマーは、ルイス塩基であってもよい。典型的には、合成ポリマーは、炭素基本骨格を含み、そして25℃を超えるガラス転移点を有する。合成ポリマーはまた、25℃以下のガラス転移点及び/又は25℃を超える融点を有する、半結晶性又は結晶性ポリマーであってもよい。合成ポリマーは、1種以上の酸性基、例えば、スルホン酸基を含んでもよい。
ある実施態様において、本発明のインク組成物は、1種以上の酸性基を含む合成ポリマーを更に含む。
ある実施態様において、合成ポリマーは、少なくとも1個のフッ素原子及び少なくとも1個のスルホン酸(-SOH)残基により置換されている、少なくとも1個のアルキル又はアルコキシ基であって、場合により少なくとも1個のエーテル結合(-O-)基により中断されているアルキル又はアルコキシ基を含む、1個以上の繰り返し単位を含むポリマー酸である。
ある実施態様において、ポリマー酸は、式(II)に従う繰り返し単位及び式(III)に従う繰り返し単位:
Figure 0007447793000023

[式中、各々のR、R、R、R、R、R10、及びR11は、独立に、H、ハロゲン、フルオロアルキル、又はペルフルオロアルキルであり;そしてXは、-[OC(R)-C(R)]-O-[CR-SOHであって、各々のR、R、R、R、R及びRは、独立に、H、ハロゲン、フルオロアルキル、又はペルフルオロアルキルであり;qは、0~10であり;zは、1~5である]を含む。
ある実施態様において、各々のR、R、R及びRは、独立に、Cl又はFである。ある実施態様において、各々のR、R及びRは、Fであり、Rは、Clである。ある実施態様において、各々のR、R、R及びRは、Fである。
ある実施態様において、各々のR、R10及びR11は、Fである。
ある実施態様において、各々のR、R、R、R、R及びRは、独立に、F、(C-C)フルオロアルキル、又は(C-C)ペルフルオロアルキルである。
ある実施態様において、各々のR及びRは、Fであり;qは、0であり;zは、2である。
ある実施態様において、各々のR、R及びRは、Fであり、Rは、Clであり;各々のR及びRは、Fであり;qは、0であり;zは、2である。
ある実施態様において、各々のR、R、R及びRは、Fであり;各々のR及びRは、Fであり;qは、0であり;zは、2である。
式(II)に従う繰り返し単位の数(「n」)対式(III)に従う繰り返し単位の数(「m」)の比は、特に限定されない。n:m比は、典型的には9:1~1:9、更に典型的には8:2~2:8である。ある実施態様において、n:m比は、9:1である。ある実施態様において、n:m比は、8:2である。
本発明の使用に適したポリマー酸は、当業者には公知の方法を用いて合成されるか、又は商業的供給元から得られる。例えば、式(II)に従う繰り返し単位及び式(III)に従う繰り返し単位を含むポリマーは、式(IIa)により表されるモノマーを式(IIIa)により表されるモノマー:
Figure 0007447793000024

[式中、Zは、-[OC(R)-C(R)]-O-[CR-SOFであって、R、R、R、R、R及びR、q、及びzは、本明細書中と同義である]と、公知の重合方法により共重合し、続いてスルホニルフルオリド基の加水分解によりスルホン酸基に変換することによって製造されうる。
例えば、テトラフルオロエチレン(TFE)又はクロロトリフルオロエチレン(CTFE)は、スルホン酸の前駆体基を含む1種以上のフッ素化モノマー(例えば、FC=CF-O-CF-CF-SOF;FC=CF-[O-CF-CR12F-O]-CF-CF-SOF(ここで、R12は、F又はCFであり、そしてqは、1~10である);FC=CF-O-CF-CF-CF-SOF;及びFC=CF-OCF-CF-CF-CF-SOFなど)と共重合されうる。
ポリマー酸の当量は、ポリマー酸に存在する酸基1モル当たりのポリマー酸の質量(グラム)として定義される。ポリマー酸の当量は、約400~約15,000gポリマー/mol酸、典型的には約500~約10,000gポリマー/mol酸、更に典型的には約500~8,000gポリマー/mol酸、更になお典型的には約500~2,000gポリマー/mol酸、更にいっそう典型的には約600~約1,700gポリマー/mol酸である。
このようなポリマー酸は、例えば、E.I. DuPontにより商品名 NAFION(登録商標)の下で販売されているもの、Solvay Specialty Polymersにより商品名 AQUIVION(登録商標)の下で販売されているもの、又はAsahi Glass Co.により商品名 FLEMION(登録商標)の下で販売されているものである。
ある実施態様において、合成ポリマーは、少なくとも1個のスルホン酸(-SOH)残基を含む1個以上の繰り返し単位を含むポリエーテルスルホンである。
ある実施態様において、ポリエーテルスルホンは、式(IV):
Figure 0007447793000025

に従う繰り返し単位、並びに式(V)に従う繰り返し単位及び式(VI)に従う繰り返し単位:
Figure 0007447793000026

[式中、R12~R20は、それぞれ独立に、H、ハロゲン、アルキル、又はSOHであるが、ただし、R12~R20の少なくとも1個は、SOHであり;そしてR21~R28は、それぞれ独立に、H、ハロゲン、アルキル、又はSOHであるが、ただし、R21~R28の少なくとも1個は、SOHであり、そしてR29及びR30は、それぞれH又はアルキルである]からなる群より選択される繰り返し単位を含む。
ある実施態様において、R29及びR30は、それぞれアルキルである。ある実施態様において、R29及びR30は、それぞれメチルである。
ある実施態様において、R12~R17、R19、及びR20は、それぞれHであり、そしてR18は、SOHである。
ある実施態様において、R21~R25、R27、及びR28は、それぞれHであり、そしてR26は、SOHである。
ある実施態様において、ポリエーテルスルホンは、式(VII):
Figure 0007447793000027

[式中、aは、0.7~0.9であり、そしてbは、0.1~0.3である]により表される。
ポリエーテルスルホンは、スルホン化されていてもいなくともよい、他の繰り返し単位を更に含んでもよい。
例えば、ポリエーテルスルホンは、式(VIII):
Figure 0007447793000028

[式中、R31及びR32は、それぞれ独立に、H又はアルキルである]で示される繰り返し単位を含んでもよい。
本明細書に記載の任意の2個以上の繰り返し単位は、一緒になって繰り返し単位を形成することができ、そしてポリエーテルスルホンは、このような繰り返し単位を含んでもよい。例えば、式(IV)に従う繰り返し単位は、式(VI)に従う繰り返し単位と合わせられて、式(IX):
Figure 0007447793000029

に従う繰り返し単位を与えうる。
同様に、例えば、式(IV)に従う繰り返し単位は、式(VIII)に従う繰り返し単位と合わせられて、式(X):
Figure 0007447793000030

に従う繰り返し単位を与えうる。
ある実施態様において、ポリエーテルスルホンは、式(XI):
Figure 0007447793000031

[式中、aは、0.7~0.9であり、そしてbは、0.1~0.3である]により表される。
少なくとも1個のスルホン酸(-SOH)残基を含む1個以上の繰り返し単位を含むポリエーテルスルホンは、市販されており、例えば、スルホン化ポリエーテルスルホンは、Konishi Chemical Ind. Co., Ltd.によりS-PESとして販売されている。
オプションのマトリックス化合物は、平坦化剤であってもよい。マトリックス化合物又は平坦化剤は、例えば、有機ポリマー(例えば、ポリ(スチレン)又はポリ(スチレン)誘導体;ポリ(酢酸ビニル)又はその誘導体;ポリ(エチレングリコール)又はその誘導体;ポリ(エチレン-co-酢酸ビニル);ポリ(ピロリドン)又はその誘導体(例えば、ポリ(1-ビニルピロリドン-co-酢酸ビニル));ポリ(ビニルピリジン)又はその誘導体;ポリ(メタクリル酸メチル)又はその誘導体;ポリ(アクリル酸ブチル);ポリ(アリールエーテルケトン);ポリ(アリールスルホン);ポリ(エステル)又はその誘導体;あるいはこれらの組合せなど)のような、ポリマー又はオリゴマーからなっていてよい。
ある実施態様において、マトリックス化合物は、ポリ(スチレン)又はポリ(スチレン)誘導体である。
ある実施態様において、マトリックス化合物は、ポリ(4-ヒドロキシスチレン)である。
オプションのマトリックス化合物又は平坦化剤は、例えば、少なくとも1種の半導体マトリックス成分からなっていてよい。この半導体マトリックス成分は、本明細書に記載のポリチオフェンとは異なる。半導体マトリックス成分は、典型的には主鎖及び/又は側鎖に正孔運搬単位を含む繰り返し単位からなる、半導体低分子又は半導体ポリマーであってよい。半導体マトリックス成分は、中性型であっても、又はドープされていてもよく、典型的には有機溶媒(例えば、トルエン、クロロホルム、アセトニトリル、シクロヘキサノン、アニソール、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン、安息香酸エチル及びこれらの混合物など)に可溶性及び/又は分散性である。
オプションのマトリックス化合物の量は、ドープされているかドープされていないポリチオフェンの量に対する重量百分率として調節及び測定することができる。ある実施態様において、オプションのマトリックス化合物の量は、ドープされているかドープされていないポリチオフェンの量に対して、0~約99.5重量%、典型的には約10重量%~約98重量%、更に典型的には約20重量%~約95重量%、更になお典型的には約25重量%~約45重量%である。0重量%である実施態様において、このインク組成物には、マトリックス化合物がない。
ある実施態様において、式(I)に従う繰り返し単位を含むポリチオフェンは、ドーパントでドープされている。ドーパントは当該分野において公知である。例えば、米国特許第7,070,867号;米国公開2005/0123793号;及び米国公開2004/0113127号を参照のこと。ドーパントは、イオン性化合物であってよい。ドーパントは、カチオン及びアニオンを含むことができる。式(I)に従う繰り返し単位を含むポリチオフェンをドープするために、1種以上のドーパントを使用してもよい。
イオン性化合物のカチオンは、例えば、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、又はAuであってよい。
イオン性化合物のカチオンは、例えば、金、モリブデン、レニウム、鉄、及び銀カチオンであってよい。
幾つかの実施態様において、ドーパントは、アルキル、アリール、及びヘテロアリールスルホナート又はカルボキシラートを含む、スルホナート又はカルボキシラートを含んでもよい。本明細書に使用されるとき、「スルホナート」とは、-SOM基(ここで、Mは、H又はアルカリ金属イオン(例えば、Na、Li、K、Rb、Csなど);又はアンモニウム(NH )であってよい)のことをいう。本明細書に使用されるとき、「カルボキシラート」とは、-COM基(ここで、Mは、H又はアルカリ金属イオン(例えば、Na、Li、K、Rb、Csなど);又はアンモニウム(NH )であってよい)のことをいう。スルホナート及びカルボキシラートドーパントの例は、ベンゾアート化合物、ヘプタフルオロブチラート、メタンスルホナート、トリフルオロメタンスルホナート、p-トルエンスルホナート、ペンタフルオロプロピオナート、及びポリマースルホナート類、ペルフルオロスルホナート含有アイオノマー類などを含むが、これらに限定されない。
幾つかの実施態様において、ドーパントは、スルホナートもカルボキシラートも含まない。
幾つかの実施態様において、ドーパントは、スルホニルイミド(例えば、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドなど);アンチモナート(例えば、ヘキサフルオロアンチモナートなど);アルセナート(例えば、ヘキサフルオロアルセナートなど);リン化合物(例えば、ヘキサフルオロホスファートなど);及びボラート(例えば、テトラフルオロボラート、テトラアリールボラート、及びトリフルオロボラートなど)を含んでよい。テトラアリールボラート類の例は、テトラキスペンタフルオロフェニルボラート(TPFB)のようなハロゲン化テトラアリールボラート類を含むが、これらに限定されない。トリフルオロボラート類の例は、(2-ニトロフェニル)トリフルオロボラート、ベンゾフラザン-5-トリフルオロボラート、ピリミジン-5-トリフルオロボラート、ピリジン-3-トリフルオロボラート、及び2,5-ジメチルチオフェン-3-トリフルオロボラートを含むが、これらに限定されない。
ドーパントは、例えば、共役ポリマーとの、例えば、1つ以上の電子移動反応を受けることによって、ドープされたポリチオフェンが生成する材料であってよい。ドーパントは、適切な電荷均衡する対アニオンを提供するように選択することができる。反応は、当該分野において公知のとおり、ポリチオフェンとドーパントの混合により起こり得る。例えば、ドーパントは、ポリマーからカチオン-アニオンドーパント(金属塩など)への自発電子移動を受けて、共役ポリマーを、アニオンが会合しているその酸化型の形態で、遊離金属と共に残すことができる。例えば、LebedevらのChem. Mater., 1998, 10, 156-163を参照のこと。本明細書に開示されるとおり、ポリチオフェン及びドーパントとは、反応することによりドープされたポリマーを形成する成分のことをいう場合がある。ドーピング反応は、電荷キャリアが生成される電荷移動反応であってよく、この反応は、可逆的であっても不可逆的であってもよい。幾つかの実施態様において、銀イオンは、銀金属及びドープされたポリマーへの又はこれらからの電子移動を受けることができる。
最終配合物において、組成物は、元の成分の組合せとは明確に異なるものであってよい(即ち、ポリチオフェン及び/又はドーパントは、混合前と同じ形態で最終組成物中に存在してもしなくともよい)。
ドーパントとしては、無機酸、有機酸、有機または無機酸化剤等が用いられる。
有機酸としては、ポリマー有機酸及び/又は低分子有機酸(非ポリマー有機酸)が用いられる。
一実施形態では、有機酸はスルホン酸であり、その塩(-SOM(ここで、Mは、アルカリ金属イオン(例えば、Na、Li、K、Rb、Csなど)、アンモニウム(NH )、モノ-、ジ-、及びトリアルキルアンモニウム(トリエチルアンモニウムなど))でもよい。該スルホン酸のなかでも、アリールスルホン酸が好ましい。
幾つかの実施態様において、ドーパントの具体例としては、塩化水素、硫酸、硝酸、リン酸等の無機強酸;塩化アルミニウム(III)(AlCl)、四塩化チタン(IV)(TiCl)、三臭化ホウ素(BBr)、三フッ化ホウ素エーテル錯体(BF・OEt)、塩化鉄(III)(FeCl)、塩化銅(II)(CuCl)、五塩化アンチモン(V)(SbCl)、五フッ化砒素(V)(AsF)、五フッ化リン(PF)、トリス(4-ブロモフェニル)アルミニウムヘキサクロロアンチモナート(TBPAH)等のルイス酸;ポリスチレンスルホン酸等のポリマー有機酸;ベンゼンスルホン酸、トシル酸、カンファースルホン酸、ヒドロキシベンゼンスルホン酸、5-スルホサリチル酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、国際公開第2005/000832号に記載されている1,4-ベンゾジオキサンジスルホン酸誘導体、国際公開第2006/025342号に記載されているアリールスルホン酸誘導体、特開2005-108828号公報に記載されているジノニルナフタレンスルホン酸誘導体等の低分子有機酸(非ポリマー有機酸);7,7,8,8-テトラシアノキノジメタン(TCNQ)、2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノン(DDQ)、ヨウ素、ヘテロポリ酸化合物等の有機または無機酸化剤を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
好ましい一態様においては、平坦性に優れ、OLEDに適用した場合に優れた寿命特性を与える電荷輸送性薄膜を再現性よく得る観点から、本発明の性組成物が含むアリールスルホン酸に、ポリスチレンスルホン酸(PSS)は包含されない。
幾つかの実施態様において、ドーパントは、アリールスルホン酸化合物、ヘテロポリ酸化合物、長周期型周期表の第13族または15族に属する元素を含むイオン化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含む。
特に好ましいドーパントとしては、ポリスチレンスルホン酸等のポリマー有機酸、5-スルホサリチル酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、国際公開第2005/000832号に記載されている1,4-ベンゾジオキサンジスルホン酸誘導体、特開2005-108828号公報に記載されているジノニルナフタレンスルホン酸誘導体等の低分子有機酸(非ポリマー有機酸)を挙げることができる。また、下記式(2)で示されるスルホン酸誘導体も、好適に用いることができる。
Figure 0007447793000032

〔式中、Xは、O、SまたはNHを表し、Aは、Xおよびn個の(SOH)基以外の置換基を有していてもよいナフタレン環またはアントラセン環を表し、Bは、非置換もしくは置換の炭化水素基、1,3,5-トリアジン基、または非置換もしくは置換の下記式(3)もしくは(4):
Figure 0007447793000033

で示される基(式中、WおよびWは、それぞれ独立して、O、S、S(O)基、S(O)基、または非置換もしくは置換基が結合したN、Si、P、P(O)基を示す。Wは単結合でもよい。R46~R59はそれぞれ独立して水素原子またはハロゲン原子を表す。)を表し、nは、Aに結合するスルホン酸基数を表し、1≦n≦4を満たす整数であり、qは、BとXとの結合数を示し、1≦qを満たす整数である。〕
式(3)または(4)のR46~R59は好ましくはフッ素原子であり、全てフッ素原子であることがより好ましい。式(3)のWは単結合が好ましい。最も好ましいのは式(3)におけるWが単結合であり、R46~R53が全てフッ素原子である。
本発明に係るアリールスルホン酸化合物は、更に下記式(6)で示されるものを用いることもできる。
Figure 0007447793000034

(式中、Xは、O、SまたはNHを表し、Arは、アリール基を表し、nは、スルホン基数を表し、1~4を満たす整数である。)
前記式(6)中、Xは、O、SまたはNHを表すが、合成が容易であることから、特に、Oが好ましい。
nは、ナフタレン環に結合するスルホン基数を表し、1~4を満たす整数であるが、当該化合物に高電子受容性および高溶解性を付与することを考慮すると、n=1または2が好ましい。中でも、下記式(7)で示される化合物が、好適である。
Figure 0007447793000035

(式中、Arは、アリール基を表す。)
式(6)および式(7)におけるアリール基としては、フェニル基、キシリル基、トリル基、ビフェニル基、ナフチル基等のアリール基が挙げられ、これらのアリール基は置換基を有していてもよい。
この置換基としては、水酸基、アミノ基、シラノール基、チオール基、カルボキシル基、リン酸基、リン酸エステル基、エステル基、チオエステル基、アミド基、ニトロ基、シアノ基、一価炭化水素基、オルガノオキシ基、オルガノアミノ基、オルガノシリル基、オルガノチオ基、アシル基、スルホン基、ハロゲン原子等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらのアリール基の中でも特に下記式(8)で示されるアリール基が好適に用いられる。
Figure 0007447793000036

(式中、R60~R64は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のハロゲン化アルキル基、炭素数2~10のハロゲン化アルケニル基を示す。)
式(8)中、ハロゲン原子としては、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素原子のいずれでもよいが、本発明においては、特にフッ素原子が好適である。
炭素数1~10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、2-エチルヘキシル基、n-デシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
炭素数1~10のハロゲン化アルキル基としては、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、1,1,2,2,2-ペンタフルオロエチル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル基、1,1,2,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロピル基、4,4,4-トリフルオロブチル基、3,3,4,4,4-ペンタフルオロブチル基、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチル基、1,1,2,2,3,3,4,4,4-ノナフルオロブチル基等が挙げられる。
炭素数2~10のハロゲン化アルケニル基としては、パーフルオロビニル基、パーフルオロプロペニル基(アリル基)、パーフルオロブテニル基等が挙げられる。
これらの中でも、有機溶剤に対する溶解性をより高めることを考慮すると、特に、下記式(9)で示されるアリール基を用いることが好ましい。
Figure 0007447793000037

(式中、R62は、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のハロゲン化アルキル基、炭素数2~10のハロゲン化アルケニル基を示す。)
式(9)中、R62は特に、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルキニル基、ニトロ基が好ましく、トリフルオロメチル基、パーフルオロプロペニル基、ニトロ基がより好ましい。
更に、下記式(5a)またはZで表されるアニオンと、その対カチオンからなるイオン化合物も、ドーパントとして好適に用いることができる。
Figure 0007447793000038

(式中、Eは長周期型周期表の第13族または15族に属する元素を表し、Ar~Arは、各々独立に、置換基を有しても良い芳香族炭化水素基又は置換基を有しても良い芳香族複素環基を表わす。)
式(5a)中、Eは長周期型周期表の第13族または15族に属する元素の中でもホウ素、ガリウム、リン、アンチモンが好ましく、ホウ素がより好ましい。
式(5a)中、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基の例示としては、5又は6員環の単環又は2~4縮合環由来の1価の基が挙げられる。中でも、化合物の安定性、耐熱性の点から、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環由来の1価の基が好ましい。
更に、Ar~Arのうち少なくとも1つの基が、フッ素原子又は塩素原子を置換基として1つ又は2つ以上有することがより好ましい。特に、Ar~Arの水素原子がすべてフッ素原子で置換されたパーフルオロアリール基であることが最も好ましい。パーフルオロアリール基の具体例としては、ペンタフルオロフェニル基、ヘプタフルオロ-2-ナフチル基、テトラフルオロ-4-ピリジル基等が挙げられる。
としては、下記式(5b)で表されるイオン、水酸化物イオン、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、シアン化物イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、硫酸イオン、亜硫酸イオン、過塩素酸イオン、過臭素酸イオン、過ヨウ素酸イオン、塩素酸イオン、亜塩素酸イオン、次亜塩素酸イオン、リン酸イオン、亜リン酸イオン、次亜リン酸イオン、ホウ酸イオン、イソシアン酸イオン、水硫化物イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ヘキサクロロアンチモン酸イオン;酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、安息香酸イオン等のカルボン酸イオン;メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸イオン等のスルホン酸イオン;メトキシイオン、t-ブトキシイオン等のアルコキシイオンなどが挙げられる。
Figure 0007447793000039

(式中、Eは、長周期型周期表の第15族に属する元素を表わし、Xは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子を表す。)
式(5b)中、E2は、リン原子、ヒ素原子、アンチモン原子が好ましく、化合物の安定性、合成及び精製のし易さ、毒性の点から、リン原子が好ましい。
Xは化合物の安定性、合成及び精製のし易さの点からフッ素原子、塩素原子であることが好ましく、フッ素原子であることが最も好ましい。
上述した中でも、下記式(10)、(11)、(12)、(13):
Figure 0007447793000040

で示されるアニオンとカチオンの組合せであるイオン化合物(特許第5381931号(特許文献5)参照)を好適に用いることができる。
また、ヘテロポリ酸化合物も、ドーパントとして特に好ましい。ヘテロポリ酸化合物は、代表的に式(A)で示されるKeggin型あるいは式(B)で示されるDawson型の化学構造で示される、ヘテロ原子が分子の中心に位置する構造を有し、バナジウム(V)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)等の酸素酸であるイソポリ酸と、異種元素の酸素酸とが縮合してなるポリ酸である。このような異種元素の酸素酸としては、主にケイ素(Si)、リン(P)、ヒ素(As)の酸素酸が挙げられる。
ヘテロポリ酸化合物の具体例としては、リンモリブデン酸、ケイモリブデン酸、リンタングステン酸、リンタングストモリブデン酸、ケイタングステン酸等が挙げられるが、得られる薄膜を備えた有機EL素子の特性を考慮すると、リンモリブデン酸、リンタングステン酸、ケイタングステン酸が好適であり、リンタングステン酸がより好ましい。
なお、これらのヘテロポリ酸化合物は、公知の合成法によって合成して用いてもよいが、市販品としても入手可能である。例えば、リンタングステン酸(Phosphotungstic acid hydrate、または12-Tungstophosphoric acid n-hydrate,化学式:H(PW1240)・nHO)や、リンモリブデン酸(Phosphomolybdic acid hydrate、または12-Molybdo(VI)phosphoric acid n-hydrate,化学式:H3(PMo1240)・nHO(n≒30))は、関東化学(株)、和光純薬(株)、シグマアルドリッチジャパン(株)、日本無機化学工業(株)、日本新金属(株)等のメーカーから入手可能である。
ある実施態様においては、ドーパントとしてその前駆体である、下記式(1)で表されるスルホン酸エステル化合物を用いることもできる。
Figure 0007447793000042
式(1)中、R~Rは、それぞれ独立に、水素原子、又は直鎖状若しくは分岐状の炭素数1~6のアルキル基を表し、Rは、置換されていてもよい炭素数2~20の1価炭化水素基を表す。
前記直鎖状若しくは分岐状のアルキル基としては、特に限定されないが、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ヘキシル基等が挙げられる。これらのうち、炭素数1~3のアルキル基が好ましい。
前記炭素数2~20の1価炭化水素基としては、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基等のアルキル基、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基等のアリール基等が挙げられる。
~Rのうち、R又はRが、炭素数1~3の直鎖アルキル基であり、残りが、水素原子であることが好ましい。更に、Rが、炭素数1~3の直鎖アルキル基であり、R~Rが、水素原子であることが好ましい。前記炭素数1~3の直鎖アルキル基としては、メチル基が好ましい。また、R5としては、炭素数2~4の直鎖アルキル基又はフェニル基が好ましい。
式(1)中、Aは、-O-又は-S-を表すが、-O-が好ましい。Aは、ナフタレン又はアントラセンから誘導される(n+1)価の基を表すが、ナフタレンから誘導される基が好ましい。Aは、パーフルオロビフェニルから誘導されるm価の基を表す。
式(1)中、mは、2≦m≦4を満たす整数を表すが、2が好ましい。nは、1≦n≦4を満たす整数を表すが、2が好ましい。
幾つかの実施態様では、ドーピングプロセスから反応副産物を除去してもよい。例えば、銀のような金属は、濾過によって除去することができる。
例えば、ハロゲン及び金属を除去するために、材料を精製することができる。ハロゲンは、例えば、塩化物、臭化物及びヨウ化物を含む。金属は、例えば、ドーパントのカチオン(ドーパントのカチオンの還元型を含む)、又は触媒若しくは開始剤残留物から残された金属を含む。金属は、例えば、銀、ニッケル、及びマグネシウムを含む。量は、例えば、100ppm未満、又は10ppm未満、又は1ppm未満であってよい。
銀含量を含む金属含量は、特に50ppmを超える濃度では、ICP-MSにより測定することができる。
ある実施態様において、ポリチオフェンがドーパントでドープされるとき、ポリチオフェンとドーパントを混合することにより、ドープされたポリマー組成物が形成される。混合は、当業者には公知の任意の方法を用いて達成されうる。例えば、ポリチオフェンを含む溶液を、ドーパントを含む別の溶液と混合することができる。ポリチオフェン及びドーパントを溶解するのに使用される溶媒は、1種以上の本明細書に記載の溶媒であってよい。反応は、当該分野において公知のとおり、ポリチオフェンとドーパントの混合により起こり得る。生じるドープされたポリチオフェン組成物は、組成物に基づいて、約40重量%~75重量%のポリマー及び約25重量%~55重量%のドーパントを含む。別の実施態様において、ドープされたポリチオフェン組成物は、組成物に基づいて、約50重量%~65重量%のポリチオフェン及び約35重量%~50重量%のドーパントを含む。典型的には、ポリチオフェンの重量は、ドーパントの重量よりも大きい。典型的には、ドーパントは、約0.25~0.5m/ruの量のテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸銀のような銀塩であってよい(ここで、mは、銀塩のモル量であり、そしてruは、ポリマー繰り返し単位のモル量である)。
本発明のインク組成物中の全固形分(%TS)は、インク組成物の総量に対して、約0.1重量%~約50重量%、典型的には約0.3重量%~約40重量%、更に典型的には約0.5重量%~約15重量%、更になお典型的には約1重量%~約5重量%である。
本明細書に記載のインク組成物は、当業者には公知の任意の適切な方法により調製することができる。例えば、1つの方法において、最初の水性混合物は、本明細書に記載のポリチオフェンの水性分散液を、必要に応じてポリマー酸の水性分散液、必要に応じて別のマトリックス化合物、及び必要に応じて追加の溶媒と混合することにより調製される。混合物中の水を含む溶媒を、典型的には蒸発により次に除去する。生じる乾燥生成物を、ジメチルスルホキシドのような1種以上の有機溶媒に溶解又は分散させ、加圧下で濾過することにより、混合物が生成する。このような混合物に、場合によりアミン化合物を加えてもよい。この混合物を次に金属酸化物ナノ粒子の分散液と混合することにより、最終のインク組成物が生成する。
別の方法において、本明細書に記載のインク組成物は、ストック溶液から調製することができる。例えば、本明細書に記載のポリチオフェンのストック溶液は、水性分散液からポリチオフェンを乾燥状態で、典型的には蒸発により単離することによって調製することができる。乾燥されたポリチオフェンは、次に1種以上の有機溶媒、及び場合によりアミン化合物と合わせられる。必要に応じて、本明細書に記載のポリマー酸のストック溶液は、水性分散液からポリマー酸を乾燥状態で、典型的には蒸発により単離することによって調製することができる。乾燥されたポリマー酸は、次に1種以上の有機溶媒と合わせられる。他のオプションのマトリックス材料のストック溶液は、同様に製造することができる。金属酸化物ナノ粒子のストック溶液は、例えば、市販の分散液を、1種以上の有機溶媒であって、市販の分散液に含まれる溶媒(単数又は複数)と同一であっても異なっていてもよい有機溶媒で希釈することにより、製造することができる。各ストック溶液の所望の量を次に合わせることにより、本発明のインク組成物を形成する。
更に別の方法において、本明細書に記載のインク組成物は、本明細書に記載のとおり乾燥状態で個々の成分を単離するが、ストック溶液を調製する代わりに、乾燥状態の成分を合わせて、次に1種以上の有機溶媒に溶解することによりインク組成物を提供することによって、調製することができる。
本発明のインク組成物は、基板上の薄膜として注型及びアニーリングすることができる。
よって、本発明はまた、正孔運搬薄膜の形成方法であって、
1)基板を本明細書に開示のインク組成物でコーティングすること;及び
2)基板上のコーティングをアニーリングすることにより、正孔運搬薄膜を形成すること
を含む方法に関する。
基板上のインク組成物のコーティングは、例えば、回転注型、スピンコーティング、ディップ注型、ディップコーティング、スロットダイコーティング、インクジェット印刷、グラビアコーティング、ドクターブレード法、及び例えば、有機電子デバイスの作製のための当該分野において公知の任意の他の方法を含む、当該分野において公知の方法によって実行することができる。インクジェット印刷により基板をインク組成物でコーティングすることが好ましい。
基板は、可撓性であっても剛性であっても、有機であっても無機であってもよい。適切な基板化合物は、例えば、ガラス(例えば、ディスプレイガラスを含む)、セラミック、金属、及びプラスチック薄膜を含む。
本明細書に使用されるとき、「アニーリング」という用語は、本発明のインク組成物でコーティングされた基板上に硬化層、典型的には薄膜を形成するための任意の一般的プロセスのことをいう。一般的アニーリングプロセスは、当業者には公知である。典型的には、インク組成物でコーティングされた基板から溶媒を除去する。溶媒の除去は、例えば、大気圧未満の圧力にコーティングされた基板を付すことにより、かつ/又は基板に積層されたコーティングをある温度(アニーリング温度)まで加熱し、この温度をある期間(アニーリング時間)維持し、そして次に生じた層、典型的には薄膜をゆっくり室温まで冷却させることにより達成できる。
アニーリングの工程は、インク組成物でコーティングされた基板を、当業者には公知の任意の方法を用いて加熱することにより、例えば、オーブン中又はホットプレート上で加熱することにより実行することができる。アニーリングは、不活性環境、例えば、窒素雰囲気又は希ガス(例えば、アルゴンガスなど)雰囲気下で実行することができる。アニーリングは、空気雰囲気で実行してもよい。
ある実施態様において、アニーリング温度は、約25℃~約350℃、典型的には150℃~約325℃、更に典型的には約200℃~約300℃、更になお典型的には約230~約300℃である。
アニーリング時間は、アニーリング温度が維持される時間である。アニーリング時間は、約3~約40分間、典型的には約15~約30分間である。
ある実施態様において、アニーリング温度は、約25℃~約350℃、典型的には150℃~約325℃、更に典型的には約200℃~約300℃、更になお典型的には約250~約300℃であり、そしてアニーリング時間は、約3~約40分間、典型的には約15~約30分間である。
本発明は、本明細書に記載の方法により形成される正孔運搬薄膜に関する。
可視光の透過は重要であり、そして薄膜の厚さが大きいところでの良好な透過(低い吸光)は特に重要である。例えば、本発明の方法により製造された薄膜は、約380~800nmの波長を有する光の、少なくとも約85%、典型的には少なくとも90%の透過率(典型的には、基板を伴う)を示すことができる。ある実施態様において、透過率は少なくとも約90%である。
1つの実施態様において、本発明の方法により製造された薄膜は、約5nm~約500nm、典型的には約5nm~約150nm、更に典型的には約50nm~120nmの厚さを有する。
ある実施態様において、本発明の方法により製造された薄膜は、少なくとも約90%の透過率を示し、そして約5nm~約500nm、典型的には約5nm~約150nm、更に典型的には約50nm~120nmの厚さを有する。ある実施態様において、本発明の方法により製造された薄膜は、少なくとも約90%の透過率(%T)を示し、そして約50nm~120nmの厚さを有する。
本発明の方法により製造された薄膜は、最終デバイスの電子的特性を向上させるのに使用される電極又は追加の層を場合により含有する基板上に製造することができる。得られる薄膜は、1種以上の有機溶媒に対して抵抗性である場合が有り、これらの溶媒は、その後デバイスの作製中にコーティング又は堆積される層のための、インク中の液体担体として使用される溶媒になり得る。薄膜は、例えば、トルエンに対して抵抗性であり、トルエンは、その後デバイスの作製中にコーティング又は堆積される層のためのインク中の溶媒になり得る。
本発明はまた、本明細書に記載の方法により調製される薄膜を含むデバイスに関する。本明細書に記載のデバイスは、例えば、溶解法を含む当該分野において公知の方法により製造することができる。標準法によりインクを適用し、そして溶媒を除去することができる。本明細書に記載の方法により調製される薄膜は、デバイス中のHIL及び/又はHTL層であってよい。
方法は、当該分野において公知であり、そして例えば、OLED及びOPVデバイスを含む、有機電子デバイスを作製するために利用することができる。当該分野において公知の方法は、輝度、効率、及び寿命を測定するために利用することができる。有機発光ダイオード(OLED)は、例えば、米国特許第4,356,429号及び4,539,507号(Kodak)に記載されている。発光する導電性ポリマーは、例えば、米国特許第5,247,190号及び5,401,827号(Cambridge Display Technologies)に記載されている。デバイスアーキテクチャ、物理的原理、溶解法、多層化、混合、並びに化合物の合成及び配合は、Kraftら、“Electroluminescent Conjugated Polymers-Seeing Polymers in a New Light,” Angew. Chem. Int. Ed., 1998, 37, 402-428に記載されており、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
Sumationから入手できる化合物、Merck Yellow、Merck Blue、American Dye Sources (ADS)から、Kodak(例えば、A1Q3など)から、及び実にAldrichから入手できる化合物(BEHP-PPVなど)のような、種々の導電性ポリマー、さらには有機分子を含む、当該分野において公知であり、かつ市販されている発光体を使用することができる。このような有機エレクトロルミネセント化合物の例は、以下を含む:
(i)ポリ(p-フェニレンビニレン)及びフェニレン残基上の種々の位置で置換されているその誘導体;
(ii)ポリ(p-フェニレンビニレン)及びビニレン残基上の種々の位置で置換されているその誘導体;
(iii)ポリ(p-フェニレンビニレン)及びフェニレン残基上の種々の位置で置換されており、そしてまたビニレン残基上の種々の位置で置換されているその誘導体;
(iv)ポリ(アリーレンビニレン)であって、アリーレンが、ナフタレン、アントラセン、フリレン、チエニレン、オキサジアゾールなどのような残基であってよい、ポリ(アリーレンビニレン);
(v)ポリ(アリーレンビニレン)の誘導体であって、アリーレンが、上記(iv)中と同様であってよく、そして更にアリーレン上の種々の位置に置換基を有する、誘導体;
(vi)ポリ(アリーレンビニレン)の誘導体であって、アリーレンが、上記(iv)中と同様であってよく、そして更にビニレン上の種々の位置に置換基を有する、誘導体;
(vii)ポリ(アリーレンビニレン)の誘導体であって、アリーレンが、上記(iv)中と同様であってよく、そして更にアリーレン上の種々の位置に置換基を、及びビニレン上の種々の位置に置換基を有する、誘導体;
(viii)(iv)、(v)、(vi)、及び(vii)中の化合物のような、アリーレンビニレンオリゴマーと非共役オリゴマーとのコポリマー;並びに
(ix)ポリ(p-フェニレン)及びフェニレン残基上の種々の位置で置換されているその誘導体(ポリ(9,9-ジアルキルフルオレン)などのようなラダーポリマー誘導体を含む);
(x)ポリ(アリーレン)であって、アリーレンが、ナフタレン、アントラセン、フリレン、チエニレン、オキサジアゾールなどのような残基であってよい、ポリ(アリーレン);及びアリーレン残基上の種々の位置で置換されているその誘導体;
(xi)(x)中の化合物のようなオリゴアリーレンと非共役オリゴマーとのコポリマー;
(xii)ポリキノリン及びその誘導体;
(xiii)ポリキノリンと、可溶性を提供するために、フェニレン上で例えば、アルキル又はアルコキシ基により置換されているp-フェニレンとのコポリマー;
(xiv)ポリ(p-フェニレン-2,6-ベンゾビスチアゾール)、ポリ(p-フェニレン-2,6-ベンゾビスオキサゾール)、ポリ(p-フェニレン-2,6-ベンゾイミダゾール)、及びその誘導体のような、リジッドロッドポリマー、並びにその誘導体;
(xv)ポリフルオレン単位を持つポリフルオレンポリマー及びコポリマー。
好ましい有機発光ポリマーは、緑色、赤色、青色、若しくは白色光を放射するSUMATIONの発光ポリマー(Light Emitting Polymers)(「LEP」)又はそのファミリー、コポリマー、誘導体、又はこれらの混合物を含み;SUMATIONのLEPは、Sumation KKから入手できる。他のポリマーは、Covion Organic Semiconductors GmbH, Frankfurt, Germany(今やMerck(登録商標)に所有されている)から入手できるポリスピロフルオレン様ポリマーを含む。
あるいは、ポリマーよりむしろ、蛍光又は燐光を放射する有機低分子が有機エレクトロルミネセント層として使える。低分子有機エレクトロルミネセント化合物の例は、(i)トリス(8-ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Alq);(ii)1,3-ビス(N,N-ジメチルアミノフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール(OXD-8);(iii)オキソ-ビス(2-メチル-8-キノリナト)アルミニウム;(iv)ビス(2-メチル-8-ヒドロキシキノリナト)アルミニウム;(v)ビス(ヒドロキシベンゾキノリナト)ベリリウム(BeQ);(vi)ビス(ジフェニルビニル)ビフェニレン(DPVBI);及びアリールアミン置換ジスチリルアリーレン(DSAアミン)を含む。
このようなポリマー及び低分子化合物は、当該分野において周知であり、そして例えば、米国特許第5,047,687号に記載されている。
デバイスは、多くの場合、例えば、溶解法又は真空法、更には印刷法及びパターン形成法により調製できる多層構造を用いて作製することができる。詳しくは、正孔注入層(HIL)のための本明細書に記載の実施態様であって、正孔注入層としての使用のために本組成物が配合される実施態様の利用を、効果的に実行することができる。
デバイス中のHILの例は以下を含む:
1)PLED及びSMOLEDを含むOLED中の正孔注入;例えば、PLED中のHILには、共役が炭素又はケイ素原子を巻き込む、全ての分類の共役ポリマー発光体を使用することができる。SMOLED中のHILでは、以下が例である:蛍光発光体を含有するSMOLED;燐光発光体を含有するSMOLED;HIL層に加えて1種以上の有機層を含むSMOLED;及び低分子層が、溶液若しくはエアゾール噴霧から、又は任意の他の処理方法により処理されているSMOLED。さらに、他の例は、以下を含む:デンドリマー又はオリゴマー有機半導体系のOLED中のHIL;両極性発光FETであって、HILが、電荷注入を調節するため又は電極として使用されるFET中のHIL;
2)OPV中の正孔抽出層;
3)トランジスタ中のチャネル材料;
4)論理ゲートのような、トランジスタの組合せを含む回路中のチャネル材料;
5)トランジスタ中の電極材料;
6)コンデンサ中のゲート層;
7)化学センサーであって、ドーピングレベルの調節が、感知すべき種と導電性ポリマーとの関係により達成されるセンサー;
8)バッテリー中の電極又は電解質材料。
種々の光活性層をOPVデバイスに使用することができる。光起電デバイスは、例えば、米国特許第5,454,880号;6,812,399号;及び6,933,436号に記載されるような、例えば、導電性ポリマーと混合されたフラーレン誘導体を含む光活性層により調製することができる。光活性層は、導電性ポリマーの混合物、導電性ポリマーと半導体ナノ粒子との混合物、及びフタロシアニン、フラーレン、及びポルフィリンのような低分子の二重層を含むことができる。
一般的電極化合物及び基板、さらには封入化合物を使用することができる。
1つの実施態様において、カソードは、Au、Ca、Al、Ag、又はこれらの組合せを含む。1つの実施態様において、アノードは、酸化インジウムスズを含む。1つの実施態様において、発光層は、少なくとも1種の有機化合物を含む。
例えば、中間層のような界面修飾層、及び光学スペーサー層を使用することができる。
電子輸送層を使用することができる。
本発明はまた、本明細書に記載のデバイスの製造方法に関する。
ある実施態様において、デバイスの製造方法は、以下を含む:基板を提供すること;例えば、酸化インジウムスズのような透明導電体を基板上に積層すること;本明細書に記載のインク組成物を提供すること;透明導電体上にインク組成物を積層することにより、正孔注入層又は正孔輸送層を形成すること;正孔注入層又は正孔輸送層(HTL)上に活性層を積層すること;及び活性層上にカソードを積層すること。
本明細書に記載されるとおり、基板は、可撓性であっても剛性であっても、有機であっても無機であってもよい。適切な基板化合物は、例えば、ガラス、セラミック、金属、及びプラスチック薄膜を含む。
別の実施態様において、デバイスの製造方法は、本明細書に記載のインク組成物を、OLED、光起電デバイス、ESD、SMOLED、PLED、センサー、超コンデンサ、カチオン変換器、薬物放出デバイス、エレクトロクロミック素子、トランジスタ、電界効果トランジスタ、電極モディファイア、有機電界トランジスタ用の電極モディファイア、アクチュエータ、又は透明電極中の、HIL又はHTL層の一部として適用することを含む。
HIL又はHTL層を形成するためのインク組成物の積層は、当該分野において公知の方法(例えば、回転注型、スピンコーティング、ディップ注型、ディップコーティング、スロットダイコーティング、インクジェット印刷、グラビアコーティング、ドクターブレード法、及び例えば、有機電子デバイスの作製のための当該分野において公知の任意の他の方法を含む)により実行することができる。インクジェット印刷によりインク組成物を積層することが好ましい。
1つの実施態様において、HIL層は、熱的にアニーリングされる。1つの実施態様において、HIL層は、約25℃~約350℃、典型的には150℃~約325℃の温度で熱的にアニーリングされる。1つの実施態様において、HIL層は、約25℃~約350℃、典型的には150℃~約325℃の温度で、約3~約40分間、典型的には約15~約30分間熱的にアニーリングされる。
1つの実施態様において、HIL層は、約5nm~約500nm、典型的には約5nm~約150nm、更に典型的には約50nm~120nmの厚さを有する。
ある実施態様において、HIL層は、少なくとも約90%の透過率を示し、そして約5nm~約500nm、典型的には約5nm~約150nm、更に典型的には約50nm~120nmの厚さを有する。ある実施態様において、HIL層は、少なくとも約90%の透過率(%T)を示し、そして約50nm~120nmの厚さを有する。
本発明のインク組成物及び有機EL素子は、以下の非限定的な例により更に説明される。
以下の実施例で用いる略号の意味は、次の通りである。
MMA:メチルメタクリレート
HEMA:2-ヒドロキシエチルメタクリレート
HPMA:4-ヒドロキシフェニルメタクリレート
HPMA-QD:4-ヒドロキシフェニルメタクリレート1molと、1,2-ナフトキノン-2-ジアジド-5-スルホニルクロリド1.1molの縮合反応によって合成される化合物
CHMI:N-シクロヘキシルマレイミド
PFHMA:2-(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート
MAA:メタクリル酸
AIBN:α、α’-アゾビスイソブチロニトリル
QD1:α、α、α’-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼン1molと、1,2-ナフトキノン-2-ジアジド-5-スルホニルクロリド1.5molの縮合反応によって合成される化合物
GT-401:ブタンテトラカルボン酸テトラ(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)修飾ε-カプロラクトン(商品名:エポリードGT-401(株式会社ダイセル製))
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
CHN:シクロヘキサノン
以下の実施例において使用される成分を、以下の表1及び2にまとめる。
Figure 0007447793000043

Figure 0007447793000044
以下の実施例においては、下記式で表されるアリールスルホン酸が用いられることがある。
Figure 0007447793000045
[1]電荷輸送性物質の調製
[製造例1]
S-ポリ(3-MEET)アミン付加物の調製
S-ポリ(3-MEET)の水性分散液(水中0.598%固形物)500gを、トリエチルアミン0.858gと混合し、得られた混合物を回転蒸発により蒸発乾固した。次いで得られた残留物を、真空オーブンを用いて50℃で一晩更に乾燥して、S-ポリ(3-MEET)アミン付加物を、黒色粉末の生成物3.8gとして得た。
[製造例2]
製造例1で得られたS-ポリ(3-MEET)アミン付加物2.00gを、28%アンモニア水(純正化学(株)製)100mLに溶解させ、得られた溶液を室温にて終夜撹拌した。得られた反応混合物を、アセトン1500mLによる再沈殿処理に付し、析出物をろ過にて回収した。得られた析出物を、水20mL及びトリエチルアミン(東京化成工業(株)製)7.59gに再度溶解させ、60℃で1時間撹拌した。得られた反応混合物を冷却後、イソプロピルアルコール1000mLとアセトン500mLの混合溶媒による再沈殿処理に付し、析出物をろ過にて回収した。得られた析出物を、0mmHg、50℃にて1時間真空乾燥し、アンモニア水で処理した電荷輸送性物質であるS-ポリ(3-MEET)-A 1.30gを得た。
[2]電荷輸送性ワニスの調製
[実施例1]
初めに、D66-20BS水溶液の溶媒をエバボレーターにて留去し、得られた残留物を減圧乾燥機にて80℃で1時間減圧乾燥させ、D66-20BSの粉末を得た。得られた粉末を用いて、D66-20BSの5wt%エチレングリコール溶液を作製した。溶液の調製は、ホットスターラーを用いる、400rpm、80℃での1時間の撹拌により行った。
次に、別の容器を用意し、製造例2にて得たS-ポリ(3-MEET)-A 0.020gを、エチレングリコール(関東化学(株)製)1.59g、トリエチレングリコール(関東化学(株)製)0.49g、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル(東京化成工業(株)製)1.95g、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(関東化学(株)製)4.88g及び2-エチルヘキシルアミン(東京化成工業(株)製)0.032gに溶解させた。溶液の調製は、ホットスターラーを用いる、80℃での1時間の撹拌により行った。次いで、得られた溶液に、D66-20BSの5wt%エチレングリコール溶液を0.20g加え、得られた混合物を、スターラーを用いて400rpm、室温で10分間撹拌した。最後に、EG-STを0.83g加え、得られた混合物を、スターラーを用いて400rpm、室温10分間撹拌し、得られた分散液を孔径0.2μmのPPシリンジフィルターでろ過して、2wt%の電荷輸送性ワニスを得た。
[実施例2]
溶媒をエチレングリコール(関東化学(株)製)1.59g、トリエチレングリコール(関東化学(株)製)0.49g、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル(東京化成工業(株)製)2.93g、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル(関東化学(株)製)3.91gに変更した以外は実施例1と同様の方法で、電荷輸送性ワニスBを得た。
[実施例3]
溶媒をエチレングリコール(関東化学(株)製)1.33g、トリエチレングリコール(関東化学(株)製)0.68g、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル(東京化成工業(株)製)2.93g、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(関東化学(株)製)3.91gに変更し、EG-ST 0.83gを、EG-ST 0.75g及びEGシリカゾル(2) 0.15gに変更した以外は実施例1と同様の方法で、電荷輸送性ワニスCを得た。
[実施例4]
溶媒をエチレングリコール(関東化学(株)製)1.52g、トリエチレングリコール(関東化学(株)製)0.49g、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル(東京化成工業(株)製)2.93g、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(関東化学(株)製)3.91gに変更し、EG-ST 0.83gを、EG-ST 0.75gおよびEGシリカゾル(2) 0.15gに変更した以外は実施例1と同様の方法で、電荷輸送性ワニスDを得た。
[実施例5]
溶媒をエチレングリコール(関東化学(株)製)1.03g、トリエチレングリコール(関東化学(株)製)0.98g、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル(東京化成工業(株)製)2.93g、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(関東化学(株)製)3.91gに変更し、EG-ST 0.83gを、EG-ST 0.75gおよびEGシリカゾル(2) 0.15gに変更した以外は実施例1と同様の方法で、電荷輸送性ワニスGを得た。
[比較例1]
溶媒をエチレングリコール(関東化学(株)製)0.62g、ジエチレングリコール(関東化学(株)製)1.47g、ジエチレングリコールジブチルエーテル(東京化成工業(株)製)1.95g、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(関東化学(株)製)4.88gに変更した以外は実施例1と同様の方法で、電荷輸送性ワニスFを得た。
実施例1~5及び比較例1で用いた溶媒組成を下記表3に示す。
Figure 0007447793000046
[実施例6]
初めに、エバポレーターを用い、MT-ST中に含まれるメタノールをTPGに溶媒置換を実施し、20.6wt%のシリカ分散液、TPG-STを得た。
上記式(b-1)で表されるアリールスルホン酸(アリールスルホン酸B)が10質量%含まれるプロピレングリコール溶液を調製した。溶液の調製はホットスターラーを用い、400rpm、50℃で1時間撹拌させた。
次に、別の容器を用意し、製造例2にて得たS-ポリ(3-MEET)-A 0.020gを、プロピレングリコール(純正化学(株)製)0.71g、トリプロピレングリコール(関東化学(株)製)2.391g、プロピレンカーボネート(東京化成工業(株)製)2.930g、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル(富士フイルム和光純薬(株)製)0.977g、マロン酸ジイソプロピル(東京化成工業(株)製)1.954g及び2-エチルヘキシルアミン(東京化成工業(株)製)0.032gに溶解させた。溶液の調製は、ホットスターラーを用い、80℃での1時間の撹拌により行った。次いで、得られた溶液に、上記式(b-1)の10wt%プロピレングリコール溶液を0.30g加え、得られた混合物を、スターラーを用いて400rpm、室温で10分間撹拌した。次いで、TPG-STを0.68g加え、得られた混合物を、スターラーを用いて400rpm、室温で10分間撹拌した。最後に、KBM-7103(信越化学工業(株)製)を0.01g加え、得られた混合物を、スターラーを用いて400rpm、室温で10分間撹拌し、得られた分散液を孔径0.2μmのPPシリンジフィルターでろ過して、2wt%の電荷輸送性ワニスHを得た。
[実施例7]
上記式(b-1)で表されるアリールスルホン酸(アリールスルホン酸B)が10質量%含まれるジプロピレングリコール溶液を調製した。溶液の調製はホットスターラーを用い、400rpm、50℃で1時間撹拌させた。
次に、別の容器を用意し、製造例2にて得たS-ポリ(3-MEET)-A 0.020gを、ジプロピレングリコール(純正化学(株)製)0.71g、トリプロピレングリコール(関東化学(株)製)1.414g、プロピレンカーボネート(東京化成工業(株)製)1.954g、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(東京化成工業(株)製)1.954g、マロン酸ジイソプロピル(東京化成工業(株)製)2.930g及び2-エチルヘキシルアミン(東京化成工業(株)製)0.032gに溶解させた。溶液の調製は、ホットスターラーを用い、80℃での1時間の撹拌により行った。次いで、得られた溶液に、上記式(b-1)の10wt%プロピレングリコール溶液を0.30g加え、得られた混合物を、スターラーを用いて400rpm、室温で10分間撹拌した。次いで、実施例6で作成したTPG-STを0.68g加え、得られた混合物を、スターラーを用いて400rpm、室温で10分間撹拌した。最後に、KBM-7103(信越化学工業(株)製)を0.01g加え、得られた混合物を、スターラーを用いて400rpm、室温で10分間撹拌し、得られた分散液を孔径0.2μmのPPシリンジフィルターでろ過して、2wt%の電荷輸送性ワニスIを得た。
実施例6~7における溶媒の組成(wt%)を下記表4に示す。
Figure 0007447793000047
[3]ポジ型感光性樹脂組成物の調製
[数平均分子量及び重量平均分子量の測定]
以下の合成例に従って得られた共重合体の数平均分子量及び重量平均分子量を、下記条件下でのゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した。
・クロマトグラフ:島津製作所(株)製GPC装置
検出器(RID10A)
送液ユニット(LC-20AD)
カラムオーブン(CTO20A)
・カラム:Shodex KF-804L及び803L(昭和電工製)を直列に接続して使用
・溶離液:テトラヒドロフラン
・流速:1ml/分
・カラム温度:40℃
なお、下記の数平均分子量(以下、Mnと称す。)及び重量平均分子量(以下、Mwと称す。)は、ポリスチレン換算値にて表される。
<合成例1>
MMA 10.0g、HEMA 12.5g、CHMI 20.0g、HPMA 2.50g、MAA 5.00g、AIBN 3.20gをPGME 79.8gに溶解し、60℃乃至100℃にて20時間反応させることにより、アクリル重合体溶液(固形分濃度40質量%)を得た(P1)。得られたアクリル重合体P1のMnは3,700、Mwは6,100であった。
<合成例2>
HPMA-QD 2.50g、PFHMA 7.84g、MAA 0.70g、CHMI 1.46g、AIBN 0.33gをCHN 51.3gに溶解し、110℃にて20時間撹拌して反応させることにより、アクリル重合体溶液(固形分濃度20質量%)を得た(P2)。得られたアクリル重合体P2のMnは4,300、Mwは6,300であった。
合成例1で得られたP1 5.04g、合成例2で得られたP2 0.05g、QD1 0.40g、GT-401 0.09g、PGMEA 6.42gを混合し、室温で3時間撹拌して均一な溶液とすることにより、ポジ型感光性樹脂組成物を調製した。
[4]バンク付基板の作製
(株)テクノビジョン製UV-312を用いて10分間オゾン洗浄したITO-ガラス基板上に、スピンコーターを用いて、前記工程[3]にて得られたポジ型感光性樹脂組成物を塗布した後、基板をホットプレート上でのプリベーク(温度100℃で120秒間加熱)に付して、膜厚1.2μmの薄膜を形成した。この薄膜に、長辺200μm、短辺100μmの長方形が多数描かれたパターンのマスクを介して、キヤノン(株)製紫外線照射装置PLA-600FAにより、紫外線(365nmにおける光強度:5.5mW/cm)を一定時間照射した。その後、薄膜を1.0%TMAH水溶液に120秒間浸漬して現像を行った後、超純水による薄膜の流水洗浄を20秒間行った。次いで、この長方形パターンが形成された薄膜をポストベーク(温度230℃で30分間加熱)に付して硬化させ、バンク付基板を作製した。
[5]成膜性評価
前記工程[4]にて得られたバンク付基板上の長方形の開口部(膜形成領域)に、クラスターテクノロジー(株)製 Inkjet Designerを用いて、実施例1~7、比較例1で得られた電荷輸送性ワニスを吐出し、得られた塗膜を、10Pa以下の減圧度(真空度)で15分減圧乾燥し、その後ホットプレートにて230℃で30分乾燥させて、電荷輸送性薄膜を形成した。
実施例1~7及び比較例1で得られた電荷輸送性薄膜の断面の形状を、微細形状測定機ET4000A((株)小坂研究所製)にて測定した。得られた結果を、開口部のそれぞれ図1(実施例1~5と比較例1)及び図2(実施例6~7と比較例1)に示す。
実施例1~5と比較例1を比較すると(図1)、実施例にて得られた電荷輸送性薄膜断面の形状は、比較例で得られた薄膜断面のそれと比較して、バンク近傍での膜の這い上がり(膜厚の増加)が明らかに少ない。即ち実施例では、比較例に比してパイルアップが抑制されている。以上の結果から、本発明の非水系インク組成物を用いることにより、電荷輸送性薄膜形成時のパイルアップの抑制が可能となることが確認された。そしてこのことにより、本発明の非水系インク組成物を用いて得られる有機EL素子において、電気的欠陥に伴う寿命短縮や、発光層の不均一な厚みに伴う発光ムラが、他の特性を過度に低下させることなく、大幅に改善されることが期待される。
実施例6~7と比較例1を比較すると(図2)、実施例にて得られた電荷輸送性薄膜断面の形状は、比較例で得られた薄膜断面のそれと比較して、バンク近傍での膜の這い上がり(膜厚の増加)が明らかに少ない。即ち実施例では、比較例に比してパイルアップが抑制されている。
[6]有機EL素子の作製および特性評価
実施例1、6~7及び比較例1で得られたワニスを、各々スピンコーターを用いてバンク付ITO基板に塗布した後、大気下、10Pa以下の減圧度(真空度)で15分減圧乾燥した。次に、乾燥させた基板をグローブボックス内に挿入し、230℃で30分間焼成し、基板上に50nmの薄膜を形成した。バンク付ITO基板としては、パターニングされた膜厚150nmの酸化インジウム錫(ITO)薄膜電極が表面に形成された25mm×25mm×0.7tのガラス基板の電極面に、膜厚1.1μmのポリイミド樹脂膜を形成し、この膜をパターニング(2×2mm角の正方形が多数描かれたパターン)してバンクを形成することにより作成したバンク付ITO基板を用い、その使用前に、Oプラズマ洗浄装置(150W、30秒間)によって表面上の不純物を除去した。
次いで、薄膜を形成したITO基板に対し、蒸着装置(真空度1.0×10-5Pa)を用いて、α-NPD(N,N’-ジ(1-ナフチル)-N,N’-ジフェニルベンジジン)を0.2nm/秒にて30nm成膜した。次に、関東化学社製の電子ブロック材料HTEB-01を10nm成膜した。次いで、新日鉄住金化学社製の発光層ホスト材料NS60と発光層ドーパント材料Ir(PPy)を共蒸着した。共蒸着は、Ir(PPy)の濃度が6%になるように蒸着レートをコントロールし、40nm積層させた。次いで、Alq、フッ化リチウムおよびアルミニウムの薄膜を順次積層して、有機EL素子を得た。この際、蒸着レートは、Alqおよびアルミニウムについては0.2nm/秒、フッ化リチウムについては0.02nm/秒の条件でそれぞれ行い、膜厚は、それぞれ20nm、0.5nmおよび80nmとした。
なお、空気中の酸素、水等の影響による特性劣化を防止するため、有機EL素子は封止基板により封止した後、その特性を評価した。封止は、以下の手順で行った。酸素濃度2ppm以下、露点-76℃以下の窒素雰囲気中で、有機EL素子を封止基板の間に収め、封止基板を接着剤(((株)MORESCO製、モレスコモイスチャーカット WB90US(P))により貼り合わせた。この際、捕水剤(ダイニック(株)製,HD-071010W-40)を有機EL素子と共に封止基板内に収めた。貼り合わせた封止基板に対し、UV光を照射(波長:365nm、照射量:6,000mJ/cm)した後、80℃で1時間、アニーリング処理して接着剤を硬化させた。
Figure 0007447793000048
上記で得られた有機EL素子のうち、実施例1及び比較例1で得られたワニスを用いて作製したものに関して、輝度10000cd/mで駆動した場合における駆動電圧、電流密度および発光効率、並びに輝度寿命LT70(初期輝度10000cd/mが30%減衰するまでの時間)を測定した。結果を表5に示す。
Figure 0007447793000049
また、上記で得られた有機EL素子のうち、実施例6~7及び比較例1で得られたワニスを用いて作製したものに関して、輝度10000cd/mで駆動した場合における駆動電圧、電流密度および発光効率、並びに輝度寿命LT70(初期輝度10000cd/mが30%減衰するまでの時間)を測定した。結果を表6に示す。
Figure 0007447793000050
表5及び6に示されるように、本発明の非水系インク組成物を用いて作成した有機EL素子において、電流効率が向上し、輝度寿命が延長されており、パイルアップの抑制が反映されている。

Claims (32)

  1. インク組成物であって、
    (a)電荷輸送性物質;
    (b)1種以上の金属酸化物ナノ粒子;並びに
    (c)液体担体であって、
    (c-1)沸点bp(℃)を有する第一の親水性グリコール系溶媒、
    (c-2)沸点bp(℃)を有する第二の親水性グリコール系溶媒、および
    (c-3)沸点bp(℃)を有する有機溶媒
    を含み、
    bp<bp<bpであり、
    bp が180℃以上であり、bp が270℃以上であり、bp が200℃以上、270℃未満である、液体担体
    を含むインク組成物。
  2. 前記溶媒(c-3)が、疎水性グリコール系溶媒、ニトリル、アルコール、芳香族エーテル、芳香族エステルまたは芳香族炭化水素である、請求項1記載のインク組成物。
  3. 前記溶媒(c-3)が疎水性グリコール系溶媒である、請求項1または2記載のインク組成物。
  4. 前記溶媒(c-1)および(c-2)がいずれもグリコール溶媒であり、前記溶媒(c-3)がグリコールジエーテル溶媒である、請求項1~3のいずれか一項記載のインク組成物。
  5. 前記溶媒(c-3)が、1種以上のグリコールジエーテル溶媒を含む2種以上の有機溶媒の混合物である、請求項1記載のインク組成物。
  6. 前記溶媒(c-1)がエチレングリコールである、請求項1~のいずれか一項記載のインク組成物。
  7. 前記溶媒(c-2)がトリエチレングリコールである、請求項1~6のいずれか一項記載のインク組成物。
  8. 前記溶媒(c-1)と前記溶媒(c-2)の重量比((c-1):(c-2))が29:1~8:7である、請求項1~7のいずれか一項記載のインク組成物。
  9. 前記溶媒(c-1)の重量が、前記液体担体(c)の総重量に対して16~29%であり、前記溶媒(c-2)の重量が、前記液体担体(c)の総重量に対して14~1%である、請求項1~8のいずれか一項記載のインク組成物。
  10. 前記金属酸化物ナノ粒子(b)が、B、BO、SiO、SiO、GeO、GeO、As、As、As、Sb、TeO、SnO、SnOまたはこれらの混合物を含む、請求項1~9のいずれか一項記載のインク組成物。
  11. 前記金属酸化物ナノ粒子(b)がSiOを含む、請求項10記載のインク組成物。
  12. 前記電荷輸送性物質(a)がポリチオフェンである、請求項1~11のいずれか一項記載のインク組成物。
  13. 前記ポリチオフェンが、下記式(I):
    Figure 0007447793000051

    [式中、R及びRは、それぞれ独立に、H、アルキル、フルオロアルキル、アルコキシ、フルオロアルコキシ、アリールオキシ、-SOM、又は-O-[Z-O]-Rであるか、あるいは、R及びRは、一緒になって-O-Z-O-を形成する
    (式中、
    Mは、H、アルカリ金属、アンモニウム、モノアルキルアンモニウム、ジアルキルアンモニウム、又はトリアルキルアンモニウムであり、
    Zは、場合によりハロゲン又はYで置換されているヒドロカルビレン基(ここで、Yは、炭素数1~10の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルコキシアルキル基であり、該アルキル基又はアルコキシアルキル基は、任意の位置がスルホン酸基で置換されていてもよい)であり、
    pは、1以上の整数であり、そして
    は、H、アルキル、フルオロアルキル、又はアリールである)]
    で表される繰り返し単位を含むポリチオフェンである、請求項12記載のインク組成物。
  14. 及びRが、それぞれ独立に、H、フルオロアルキル、-SOM、-O[C(R)-C(R)-O]-R、又は-ORであるか、あるいは、R及びRは、一緒になって-O-(CH-O-(ここで、(CHは、場合によりYで置換されている)を形成し;ここで、Mは、H、アルカリ金属、アンモニウム、モノアルキルアンモニウム、ジアルキルアンモニウム、又はトリアルキルアンモニウムであり、各々のR、R、R、及びRが、それぞれ独立に、H、ハロゲン、アルキル、フルオロアルキル、又はアリールであり;Rが、H、アルキル、フルオロアルキル、又はアリールであり;pが、1、2、又は3であり;Rが、アルキル、フルオロアルキル、又はアリールであり;qが、1、2、又は3であり;そしてYが、炭素数1~10の直鎖又は分岐鎖のアルコキシアルキル基であり、該アルコキシアルキル基は任意の位置がスルホン酸基で置換されていてもよい、請求項13記載のインク組成物。
  15. がHであり、RがH以外である、請求項14記載のインク組成物。
  16. およびRが、両方ともH以外である、請求項14記載のインク組成物。
  17. およびRが、それぞれ独立に、-O[C(R)-C(R)-O]-R、又は-ORであるか、あるいは、R及びRは、一緒になって-O-(CH-O-を形成する、請求項16記載のインク組成物。
  18. およびRが、両方とも-O[C(R)-C(R)-O]-Rである、請求項17記載のインク組成物。
  19. 各々のR、R、RおよびRが、それぞれ独立に、H、(C-C)アルキル、(C-C)フルオロアルキルまたはフェニルであり;Rが、(C-C)アルキル、(C-C)フルオロアルキルまたはフェニルである、請求項14記載のインク組成物。
  20. 前記ポリチオフェンが、下記式:
    Figure 0007447793000052

    (式中、Mは、H、アルカリ金属、アンモニウム、モノアルキルアンモニウム、ジアルキルアンモニウム、又はトリアルキルアンモニウムである)
    で表される基、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される繰り返し単位を含む、請求項12~14のいずれか一項記載のインク組成物。
  21. 前記ポリチオフェンがスルホン化されている、請求項12~20のいずれか一項記載のインク組成物。
  22. 前記ポリチオフェンがスルホン化ポリ(3-MEET)である、請求項12~21のいずれか一項記載のインク組成物。
  23. 前記ポリチオフェンが、前記式(I)で表される繰り返し単位を、前記繰り返し単位の総重量に基づいて50重量%より多い、典型的には80重量%より多い、更に典型的には90重量%より多い、更になお典型的には95重量%より多い量で含む、請求項12~22のいずれか一項記載のインク組成物。
  24. 1種以上の酸性基を含む合成ポリマーを更に含む、請求項1~23のいずれか一項記載のインク組成物。
  25. 前記合成ポリマーが、少なくとも1個のフッ素原子および少なくとも1個のスルホン酸(-SOH)残基により置換されている、少なくとも1個のアルキルまたはアルコキシ基であって、場合により少なくとも1個のエーテル結合(-O-)により中断されているアルキルまたはアルコキシ基を含む1個以上の繰り返し単位を含むポリマー酸である、請求項24記載のインク組成物。
  26. 前記ポリマー酸が、下記式(II)で表される繰り返し単位および下記式(III)で表される繰り返し単位:
    Figure 0007447793000053

    [式中、
    各々のR、R、R、R、R、R10およびR11は、独立に、H、ハロゲン、フルオロアルキルまたはペルフルオロアルキルであり;
    Xは、-[OC(R)-C(R)]-O-[CR-SOHであって、各々のR、R、R、R、RおよびRは、独立に、H、ハロゲン、フルオロアルキルまたはペルフルオロアルキルであり;qは、0~10であり;zは、1~5である]を含む、請求項25記載のインク組成物。
  27. 前記合成ポリマーが、少なくとも1個のスルホン酸(-SOH)残基を含む1個以上の繰り返し単位を含むポリエーテルスルホンである、請求項24記載のインク組成物。
  28. 1種以上のアミン化合物を更に含む、請求項1~27のいずれか一項記載のインク組成物。
  29. 前記アミン化合物が、第三級アルキルアミン化合物と、第三級アルキルアミン化合物以外のアミン化合物とを含む、請求項28記載のインク組成物。
  30. 前記第三級アルキルアミン化合物以外のアミン化合物が、第一級アルキルアミン化合物である、請求項29記載のインク組成物。
  31. 前記第一級アルキルアミン化合物が、エチルアミン、n-ブチルアミン、t-ブチルアミン、n-ヘキシルアミン、2-エチルヘキシルアミン、n-デシルアミンおよびエチレンジアミンからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項30記載のインク組成物。
  32. 前記第一級アルキルアミン化合物が、2-エチルヘキシルアミンまたはn-ブチルアミンである、請求項30記載のインク組成物。
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