JP6531347B2 - 機能層形成用インクおよび発光素子の製造方法 - Google Patents

機能層形成用インクおよび発光素子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、機能層形成用インクおよび発光素子の製造方法に関する。
有機エレクトロルミネセンス素子(いわゆる有機EL素子)は、陽極と陰極との間に少なくとも1層の発光性有機層(発光層)を介挿した構造を有する発光素子である。このような発光素子では、陰極と陽極との間に電界を印加することにより、発光層に陰極側から電子が注入されるとともに陽極側から正孔が注入され、発光層中で電子と正孔が再結合することにより励起子が生成し、この励起子が基底状態に戻る際に、そのエネルギー分が光として放出される。
このような有機EL素子の製造方法として、発光層をインクジェット法のような液相プロセスを用いて形成する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような液相プロセスの形成に用いるインクでは、例えば、特許文献1に開示されているように、塗布面の濡れ性を向上させる目的で、溶媒として良溶媒および貧溶媒の混合溶媒を用いることが一般的に行われている。
しかし、従来のインクは、溶媒に貧溶媒が添加されることで、乾燥時の挙動が不安定になり、得られる膜の平坦性を確保することが難しいという問題があった。
特表2008−503870号公報
本発明の目的は、平坦性の高い機能層を形成することができる機能層形成用インクおよび発光素子の製造方法を提供することにある。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
本発明の機能層形成用インクは、機能層の構成材料またはその前駆体からなる溶質と、
前記溶質を溶解させ、かつ、第1沸点を有するとともに第1溶解度パラメーターを有する第1溶媒と、
前記溶質を溶解させ、かつ、前記第1沸点よりも低い第2沸点を有するとともに前記第1溶解度パラメーターよりも小さい第2溶解度パラメーターを有する第2溶媒と、を含み、
前記第1沸点は、290℃以上330℃以下であり、
前記第2沸点は、170℃以上であり、
前記第1沸点と前記第2沸点との差は、40℃以上であり、
前記第2溶解度パラメーターは、9.0(cal/cm1/2以下であり、
全溶媒中における前記第1溶媒の含有量は、50wt%以上80wt%以下であり、
全溶媒中における前記第2溶媒の含有量は、20wt%以上50wt%以下であることを特徴とする。
このような機能層形成用インクによれば、溶質に対して良溶媒となる第1溶媒と貧溶媒となる第2溶媒とが含まれているため、溶質に対する溶解性を確保するとともに、基材上に付与する際に、基材上に濡れ拡がりやすくすることができる。また、第2溶媒の沸点が第1溶媒よりも低く、かつ、溶質に対する第2溶媒の溶解性が第1溶媒よりも低く、その上、1溶媒および第2溶媒の沸点および溶解度パラメーターが最適化されているため、基材上に付与されると、第2溶媒が第1溶媒よりも先に迅速に除去され、基材上に効果的にピニングを生じさせて乾燥時のインクの挙動の安定化を図ることができる。その結果、平坦性の高い機能層を形成することができる。
また、全溶媒中における前記第1溶媒の含有量が50wt%以上80wt%以下であり、全溶媒中における前記第2溶媒の含有量が20wt%以上50wt%以下であることにより、溶質に対する溶解性を確保しつつ、第2溶媒が除去されたときに生じるピニング効果を高めることができる。
[適用例
本発明の機能層形成用インクでは、前記第2溶媒は、脂肪族ジエーテルまたはその誘導体であることが好ましい。
これにより、第2沸点を170℃以上とするとともに、第2溶解度パラメーターを9.0(cal/cm1/2以下とすることができる。また、脂肪族ジエーテルまたはその誘導体は、比較的融点が高く、かつ、無機材料で構成された基材上に濡れ拡がりやすい。また、脂肪族ジエーテルまたはその誘導体は、インクジェットヘッドの接合部に用いられるエポキシ樹脂等の接着剤に対する攻撃性も低い。
[適用例
本発明の機能層形成用インクでは、前記第2溶媒は、ジエチレングリコールまたはジプロピレングリコールのジエーテルまたはモノエーテルアセテートであることが好ましい。
これにより、第2沸点を170℃以上とするとともに、第2溶解度パラメーターを9.0(cal/cm1/2以下とすることができる。また、脂肪族ジエーテルまたはその誘導体は、比較的融点が高く、かつ、無機材料で構成された基材上に濡れ拡がりやすい。また、脂肪族ジエーテルまたはその誘導体は、インクジェットヘッドの接合部に用いられるエポキシ樹脂等の接着剤に対する攻撃性も低い。また、これらジエーテルおよびモノエーテルアセテートは、入手が容易である。
[適用例
本発明の機能層形成用インクでは、前記第1溶媒の粘度は、前記第2溶媒の粘度よりも高いことが好ましい。
これにより、第2溶媒が除去されたときに生じるピニング効果を高めることができる。
[適用例
本発明の機能層形成用インクでは、前記第2溶媒の表面張力が30mN/m以下であることが好ましい。
これにより、基材上に付与された際にインクを濡れ拡がりやすくすることができる。
[適用例
本発明の機能層形成用インクでは、前記機能層は、有機エレクトロルミネッセンス素子に含まれる有機層であることが好ましい。
有機エレクトロルミネッセンス素子の含まれる有機層は、その平坦性が発光分布に大きく影響する。その一方で、かかる有機層を液相プロセスで形成する際、一般に、区画されたバンク内にインクを付与するが、バンクの壁面が撥液性を呈するため、バンク内に付与されたインクの挙動が不安定になりやすい。したがって、かかる有機層を形成するためのインクに本発明を適用することは極めて有用である。
[適用例
本発明の機能層形成用インクでは、前記有機層は、正孔注入層または正孔輸送層であることが好ましい。
正孔注入層または正孔輸送層は、一般に、ITO等の無機材料で構成された陽極上に形成されるが、正孔輸送層または正孔注入層を液相プロセスで形成する際、インクに対する陽極の濡れ性が比較的低いため、インクの挙動が不安定になりやすい。したがって、正孔輸送層または正孔注入層を形成するためのインクに本発明を適用することは極めて有用である。
[適用例8]
本発明の機能層形成用インクでは、前記有機層は、発光層であり、
前記構成材料は、発光材料およびホスト材料を含み、
前記構成材料における前記発光材料の含有量は、0.01wt%以上10wt%以下であることが好ましい。
[適用例9]
本発明の発光素子の製造方法は、本発明の機能層形成用インクを基材上に付与する工程と、
前記第1溶媒および前記第2溶媒を除去することにより、前記機能層の構成材料またはその前駆体からなる層を形成する工程と、を有することを特徴とする。
このような発光素子の製造方法によれば、平坦性の高い有機層を有する発光素子を得ることができる。そのため、得られる発光素子は、発光分布が広い範囲で均一となり、優れた特性を有する。
本発明の機能層形成用インクの成膜時の作用を説明するための図である。 実施形態に係る発光装置(表示装置)を示す断面図である。 (a)は、図2に示す発光装置が備えるバンクの平面図、(b)は、図2に示す発光装置が備える発光素子の断面図である。 図3(b)に示す発光素子の製造方法を説明するための図である。 図3(b)に示す発光素子の製造方法を説明するための図である。 図3(b)に示す発光素子の製造方法を説明するための図である。 図3(b)に示す発光素子の製造方法を説明するための図である。 電子機器の一例であるモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。 電子機器の一例である携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。 電子機器の一例であるディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。
以下、本発明の機能層形成用インクおよび発光素子の製造方法について、図面に示す好適な実施形態に基づいて説明する。なお、各図では、説明の便宜上、各部の縮尺が適宜変更されており、図示の構成は実際の縮尺と必ずしも一致するわけではない。
(機能層形成用インク)
本発明の機能層形成用インク(以下、単に「インク」ともいう)は、機能層の構成材料またはその前駆体からなる溶質と、その溶質を溶解させる溶媒と、を含んでいる。特に、この機能層形成用インクは、溶媒として、第1沸点を有するとともに第1溶解度パラメーターを有する第1溶媒と、第1沸点よりも低い第2沸点を有するとともに第1溶解度パラメーターよりも小さい第2溶解度パラメーターを有する第2溶媒と、を含んでいる。そして、第1沸点は、250℃以上であり、第2沸点は、170℃以上であり、第1沸点と第2沸点との差は、40℃以上であり、第2溶解度パラメーターは、9.0(cal/cm1/2以下である。
このような機能層形成用インクによれば、溶質に対して良溶媒となる第1溶媒と貧溶媒となる第2溶媒とが含まれているため、溶質に対する溶解性を確保するとともに、基材上に付与する際に、基材上に濡れ拡がりやすくすることができる。また、第2溶媒の沸点が第1溶媒よりも低く、かつ、溶質に対する第2溶媒の溶解性が第1溶媒よりも低く、その上、1溶媒および第2溶媒の沸点および溶解度パラメーターが最適化されているため、基材上に付与されると、第2溶媒が第1溶媒よりも先に迅速に除去され、基材上に効果的にピニングを生じさせて乾燥時のインクの挙動の安定化を図ることができる。その結果、平坦性の高い機能層を形成することができる。
以下、本発明の機能層形成用インクの各成分を詳細に説明する。
(溶質)
本発明の機能層形成用インクに含まれる溶質は、機能層の構成材料またはその前駆体からなる。
このような溶質は、成膜の目的とする機能層の種類に応じて決定されるものであり、特に限定されず、各種有機材料を用いることができる。例えば、溶質としては、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)素子の有機層の構成材料またはその前駆体、カラーフィルタの着色層の構成材料またはその前駆体等が挙げられる。
有機エレクトロルミネッセンス素子の含まれる有機層(正孔注入層、正孔輸送層、発光層、中間層等)は、その平坦性が発光分布に大きく影響する。その一方で、かかる有機層を液相プロセスで形成する際、一般に、区画されたバンク内にインクを付与するが、バンクの壁面が撥液性を呈するため、バンク内に付与されたインクの挙動が不安定になりやすい。特に、正孔注入層または正孔輸送層は、一般に、ITO等の無機材料で構成された陽極上に形成されるが、正孔輸送層または正孔注入層を液相プロセスで形成する際、インクに対する陽極の濡れ性が比較的低いため、インクの挙動が不安定になりやすい。したがって、かかる有機層を形成するためのインクに本発明を適用することは極めて有用である。なお、かかる有機層の具体的な材料および形成方法については、後に詳述する。
機能層形成用インク中において、溶質は、後述する溶媒に溶解しているが、一部が溶媒に分散していてもよい。
機能層形成用インク中における溶質の含有率は、機能層形成用インクの用途に応じて決められるものであり、特に限定されないが、例えば、0.01〜10wt%であるのが好ましく、0.05〜5wt%であるのがより好ましい。溶質の含有率が前記範囲内の値であると、成膜用の液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)からの吐出性(吐出安定性)を特に優れたものとすることができる。
(溶媒)
本発明の機能層形成用インクに含まれる溶媒は、沸点および溶解度パラメーターが互いに異なる第1溶媒および第2溶媒を含んでいて、前述した溶質を溶解させるものである。この溶媒は、後述する成膜過程において、その大部分が除去されるものである。
以下、第1溶媒および第2溶媒について詳述する。
[第1溶媒]
第1溶媒は、前述した溶質を溶解させ、かつ、第1沸点を有するとともに第1溶解度パラメーターを有する。
ここで、第1沸点(常温・常圧での沸点)は、250℃以上である。これにより、基材上にインクが付与された際に、第1溶媒が急激に揮発するのを防止し、インクを所望の領域に濡れ拡がらせることができる。このような観点から、第1沸点は、好ましくは、270℃以上350℃以下であり、より好ましくは、290℃以上330℃以下である。これに対し、第1沸点が低すぎると、溶質や第2溶媒の種類、含有量等によっては、基材上にインクが付与された際に、第1溶媒が急激に揮発してしまい、インクが濡れ拡がり難くなる傾向を示す。一方、第1沸点が高すぎると、得られる機能層に第1溶媒が残存しやすくなったり、第1溶媒を除去する際に高い温度が必要となったりして、第1溶媒や溶質の種類等によっては、機能層の特性低下を招く場合がある。
また、第1溶媒の融点は、常圧で常温以下であることが好ましい。これにより、常温常圧下でインクを基材上に付与することができる。
また、第1溶解度パラメーターは、第2溶解度パラメーターよりも大きい。これにより、溶質に対して第1溶媒を良溶媒とするとともに、第1溶媒度パラメーター第2溶解度パラメーターとの差を大きくして、第2溶媒を除去しやすくすることができる。
このような第1溶媒の具体例としては、溶質の種類や量等に応じて決められるものであり、前述したような特性を有するものであれば、特に限定されないが、例えば、ジイソブチル−二塩基性エステル(DBE)、2−イソプロピルナフタレン等が挙げられ、これらのうち1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、全溶媒中における第1溶媒の含有量は、50wt%以上90wt%以下であることが好ましく、60wt%以上90wt%以下であることがより好ましく、60wt%以上80wt%以下であることがさらに好ましい。これにより、溶質に対する溶解性を確保しつつ、第2溶媒が除去されたときに生じるピニング効果を高めることができる。
[第2溶媒]
第2溶媒は、溶質を溶解させ、かつ、第1沸点よりも低い第2沸点を有するとともに第1溶解度パラメーターよりも小さい第2溶解度パラメーターを有する。
ここで、第2沸点は、170℃以上であり、かつ、第1沸点との差が40℃以上である。そして、第2溶解度パラメーターは、9.0(cal/cm1/2以下である。これにより、インクが基材上に付与されたとき、基材上に濡れ拡がりやすくするとともに、第2溶媒が第1溶媒よりも先に迅速に除去され、基材上に効果的にピニングを生じさせて乾燥時のインクの挙動の安定化を図ることができる。このような観点から、第2沸点は、好ましくは、200℃以上300℃以下であり、より好ましくは、240℃以上270℃以下である。これに対し、第2沸点が小さすぎると、インクジェットを用いて成膜する際、インクジェットヘッドの構成によっては、インクジェットヘッドのノズルが詰まりやすくなる。一方、第2沸点が大きすぎると、第1沸点との差が小さくなり、第2溶媒が揮発し難くなり、前述したピニング効果が低下する傾向を示す。
また、第2溶媒の融点は、常圧で常温以下であることが好ましい。これにより、常温常圧下でインクを基材上に付与することができる。
また、第2溶解度パラメーターは、第1溶解度パラメーターよりも小さく、かつ、9.0(cal/cm1/2以下であればよい。これにより、溶質に対して第2溶媒を貧溶媒とするとともに、第1溶媒度パラメーター第2溶解度パラメーターとの差を大きくして、第2溶媒を除去しやすくすることができる。
第2溶媒の粘度は、第1溶媒の粘度よりも低いことが好ましい。これにより、第1溶媒の粘度が第2溶媒の粘度よりも高くなり、第2溶媒が除去されたときに生じるピニング効果を高めることができる。
また、第2溶媒の表面張力は、30mN/s以下であることが好ましい。これにより、基材上に付与された際にインクを濡れ拡がりやすくすることができる。
このような第2溶媒は、溶質の種類や量等に応じて決められるものであり、前述したような第2沸点および第2溶解度パラメーターを有するものであれば特に限定されないが、脂肪族ジエーテルまたはその誘導体であることが好ましく、中でも、ジエチレングルコールまたはジプロピレングリコールのジエーテルまたはモノエーテルアセテートであることが好ましい。これにより、第2沸点を170℃以上とするとともに、第2溶解度パラメーターを9.0(cal/cm1/2以下とすることができる。また、脂肪族ジエーテルまたはその誘導体は、比較的融点が高く、かつ、無機材料で構成された基材上に濡れ拡がりやすい。また、脂肪族ジエーテルまたはその誘導体は、インクジェットヘッドの接合部に用いられるエポキシ樹脂等の接着剤に対する攻撃性も低い。また、これらジエーテルおよびモノエーテルアセテートは、入手が容易である。
このようなジエーテルおよびモノエーテルアセテートの具体例としては、例えば、BDB(ジエチレングリコールジブチルエーテル)、BCA(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート)、BDPOM、DPMA(ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、BDM(ジエチレングリコールブチルメチルエーテル)、DPMNP(ジプロピレン グリコールプロピルメチルエーテル)、DMM(ジプロピレングリコール ジメチルエーテル)等が挙げられ、これらのうち1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、全溶媒中における第2溶媒の含有量は、10wt%以上50wt%以下であることが好ましく、10wt%以上40wt%以下であることがより好ましく、20wt%以上40wt%以下であることがさらに好ましい。これにより、溶質に対する溶解性を確保しつつ、第2溶媒が除去されたときに生じるピニング効果を高めることができる。
以上説明したような溶媒は、前述した第1溶媒および第2溶媒以外の他の溶媒が含まれていてもよいが、全溶媒中における他の溶媒の含有量は、前述したような第1溶媒および第2溶媒による効果を好適に発揮させるため、10wt%以下であることが好ましく、5wt%以下であることがより好ましく、3wt%以下であることがさらに好ましい。
以上説明したような機能層形成用インクは、後述するようなインクジェット法(液滴吐出法)を用いた成膜に用いるものである。インクジェット法によれば、比較的簡単かつ確実に、微細なパターンニングを行うことができる。
以下、前述したような機能層形成用インクの成膜時の作用について説明する。
図1は、本発明の機能層形成用インクの成膜時の作用を説明するための図である。
以下、本発明の機能層形成用インクを用いた成膜工程を順次詳細に説明する。
[1]インク付与工程
1−1
まず、図1(a)に示すように、基材50を用意する。
この基材50は、成膜の目的とする膜が形成される対象物であり、特に限定されず、例えば、各種基板や、各種基板を処理や加工等を施したもの等を用いることができる。
1−2
次いで、図1(b)に示すように、基材50上に、前述した機能層形成用インクである機能層形成用インク60を供給する。これにより、基材50上に機能層形成用インク60からなる膜60Aが形成される。
本実施形態では、液滴吐出法により基材50上に機能層形成用インク60を供給する。すなわち、機能層形成用インクを吐出する液滴吐出装置のインクジェットヘッド200から、機能層形成用インク60を液滴として吐出し、基材50上に機能層形成用インク60を供給する。
また、このインク付与工程[1]における雰囲気の温度および圧力は、それぞれ、基材50上に機能層形成用インク60を付与することができれば、特に限定されないが、常温常圧であるのが好ましい。これにより、インク付与工程[1]を簡単に行える。
[2]第1乾燥工程
2−2
次に、基材50上に形成された膜60A(機能層形成用インク60)から第2溶媒を除去することにより、図1(c)に示すように、中間体膜として膜(第1膜)60Bを形成する。
この第1乾燥工程[2]では、第2溶媒の沸点が第1溶媒の沸点よりも低いので、基材50上の膜60A(機能層形成用インク60)から第2溶媒を第1溶媒よりも優先的に揮発・除去することができる。そして、溶質および第1溶媒を主成分とする中間体膜として、膜60Bを形成することができる。これにより、膜60Bは、基材50上にピニングされ、挙動が安定化する。
この第1乾燥工程[2]における雰囲気の温度および圧力は、それぞれ、基材50上の膜60Aから第2溶媒を除去することができれば、特に限定されないが、常温常圧であるのが好ましい。これにより、第1乾燥工程[2]を簡単に行える。また、この場合、前述したインク付与工程[1]とほぼ同時に、基材50上の膜60Aから第2溶媒を除去することができる。
また、例えば基材50が載置されたテーブル(図示せず)に設けられたラバーヒータ(図示せず)により基材50を加熱することにより、第2溶媒の蒸発(除去)を促進させることができる。その場合、基材50の加熱温度は、第1溶媒および第2溶媒の沸点および融点に応じて決められる。
また、第2溶媒の除去に要する時間は、機能層形成用インク60の組成や第1溶媒および第2溶媒の沸点および融点に応じて決められるものであり、特に限定されないが、例えば、10秒以上90秒以下であるのが好ましい。
なお、本工程において、膜60A中の第2溶媒をすべて除去する必要はなく、膜60B中に一部の第2溶媒が残存していてもよい。
[3]第2乾燥工程
3−1
次に、膜60Bから第1溶媒を除去することにより、図1(d)に示すように、溶質を主成分とする膜60Cを得る。
この第1溶媒の除去は、特に限定されないが、減圧下で行うのが好ましい。これにより、第1溶媒を速やかに除去することができる。この場合、例えば加熱機付き真空乾燥機を用いればよい。
前述したように減圧するに際し、その圧力は、特に限定されないが、10Pa以上10−7Pa以下程度であるのが好ましい。
また、上記減圧の時間は、特に限定されないが、1分以上30分以下程度であるのが好ましい。
このようにして得られた膜60Cは、成膜の目的とする機能層の構成材料またはその前駆体で構成されたものとなる。
そして、溶質として前駆体を用いた場合、膜60Cは、必要に応じて、所定の処理が施される。例えば、図1(e)に示すように、加熱処理を行って、目的とする機能層60Dを得る。これにより、溶質が低分子量化合物である場合、その低分子量化合物の重合反応を生じさせる処理を行うことにより、高分子量化合物を含んで構成された膜を得ることができる。また、溶質が樹脂材料である場合、その樹脂材料の架橋反応を生じさせる処理を行うことにより、高分子量化合物を含んで構成された膜を得ることができる。
この加熱は、特に限定されないが、ホットプレートや赤外線、または、基材50が載置されたテーブル(図示せず)に設けられたラバーヒータ(図示せず)により行うことができる。
この加熱温度および加熱時間は、溶質の種類に応じて決められるものであり、特に限定されない。
(発光装置)
次に、本発明の発光素子の製造方法の説明に先立ち、かかる製造方法を用いて製造された発光素子を備える発光装置の一例である表示装置について説明する。
図2は、実施形態に係る発光装置(表示装置)を示す断面図である。なお、以下では、説明の都合上、図2中の上側を「上」、下側を「下」として説明を行う。
図2に示す表示装置100は、複数の発光素子1R、1G、1Bがサブ画素100R、100G、100Bに対応して設けられ、ボトムエミッション構造のディスプレイパネルを構成している。なお、本実施形態では表示装置の駆動方式としてアクティブマトリックス方式を採用した例に説明するが、パッシブマトリックス方式を採用したものであってもよい。
表示装置100は、回路基板20と、回路基板20上に設けられた複数の発光素子1R、1G、1Bと、封止基板40と、を有している。
回路基板20は、基板21と、基板21上に設けられた層間絶縁膜22、複数のスイッチング素子23および配線24と、を有している。
基板21は、実質的に透明(無色透明、着色透明または半透明)とされる。これにより、各発光素子1R、1G、1Bからの光を基板21側から光を取り出すことができる。基板21の構成材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、ポリアミド、ポリエーテルサルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアリレートのような樹脂材料や、石英ガラス、ソーダガラスのようなガラス材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、発光素子1R、1G、1Bからの光を基板21とは反対側から取り出すトップエミッション構造とする場合は、基板21は、不透明基板であってもよく、かかる不透明基板としては、例えば、アルミナのようなセラミックス材料で構成された基板、ステンレス鋼のような金属基板の表面に酸化膜(絶縁膜)を形成したもの、樹脂材料で構成された基板等が挙げられる。
このような基板21上には、複数のスイッチング素子23がマトリクス状に配列されている。各スイッチング素子23は、各発光素子1R、1G、1Bに対応して設けられ、各発光素子1R、1G、1Bを駆動するための駆動用トランジスタである。
このような各スイッチング素子23は、シリコンからなる半導体層231と、半導体層231上に形成されたゲート絶縁層232と、ゲート絶縁層232上に形成されたゲート電極233と、ソース電極234と、ドレイン電極235と、を有している。
このような複数のスイッチング素子23を覆うように、絶縁材料で構成された層間絶縁膜22が形成されている。この層間絶縁膜22には、配線24が設けられている。
層間絶縁膜22上には、各スイッチング素子23に対応して発光素子1R、1G、1Bが設けられている。発光素子1Rは、層間絶縁膜22上に、陽極3(第1電極)、積層体10(10R)、11、陰極9(第2電極)がこの順に積層されている。本実施形態では、各発光素子1R、1G、1Bの陽極3は、画素電極を構成し、各スイッチング素子23のドレイン電極235に配線24を介して電気的に接続されている。また、発光素子1Rの陰極9は、発光素子1G、1Bの陰極9と共通電極とされている。また、発光素子1Rの積層体11は、発光素子1G、1Bと共通となっている。
また、発光素子1G、1Bの構成は、それぞれ、発光素子1Rと同様に構成することができる。ここで、発光素子1R、1G、1Bの積層体10R、10G、10B(特に発光層)を互いに異ならせることにより、異なる色を発光させることができる。例えば、発光素子1Rは、赤色発光し、発光素子1Gは、緑色発光し、発光素子1Bは、青色発光する。
隣接する発光素子1R、1G、1B同士の間には、隔壁31(バンク)が設けられている。また、このような発光素子1R、1G、1Bは、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂で構成された樹脂層32を介して、封止基板40が接合されている。
前述したように本実施形態の各発光素子1R、1G、1Bはボトムエミッション型であるため、封止基板40は、透明基板であっても、不透明基板であってもよく、封止基板40の構成材料としては、前述した基板21と同様の材料を用いることができる。
(発光素子)
次に、発光素子1R、1G、1Bを詳細に説明する。
図3(a)は、図2に示す発光装置が備えるバンクの平面図、図3(b)は、図2に示す発光装置が備える発光素子の断面図である。
図3に示す発光素子(エレクトロルミネッセンス素子)1は、前述した発光素子1R、1G、1Bを構成するものであり、前述したように、陽極3(第1電極)と陰極9(第2電極)との間に積層体10、11が介挿されている。この積層体10は、図3に示すように、陽極3側から陰極9側へ、正孔注入層4と正孔輸送層5(第1層)と発光層6(第2層)とがこの順で積層されている。また、積層体11は、陽極3側から陰極9側へ、電子輸送層7と電子注入層8とがこの順に積層されている。
すなわち、発光素子1は、陽極3と陰極9との間に、陽極3側から陰極9側へ、正孔注入層4と正孔輸送層5と発光層6と電子輸送層7と電子注入層8とがこの順に積層されている。
このような発光素子1にあっては、発光層6に対し、陰極9側から電子が供給(注入)されるとともに、陽極3側から正孔が供給(注入)される。そして、発光層6では、正孔と電子とが再結合し、この再結合に際して放出されたエネルギーによりエキシトン(励起子)が生成し、エキシトンが基底状態に戻る際にエネルギー(蛍光やりん光)を放出(発光)する。
以下、発光素子1の各部の構成を簡単に説明する。
(陽極)
陽極3は、正孔注入層4を介して正孔輸送層5に正孔を注入する電極である。この陽極3の構成材料としては、仕事関数が大きく、導電性に優れる材料を用いるのが好ましい。
陽極3の構成材料としては、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、In、SnO、Sb含有SnO、Al含有ZnO等の酸化物、Au、Pt、Ag、Cuまたはこれらを含む合金等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
(陰極)
一方、陰極9は、電子注入層8を介して電子輸送層7に電子を注入する電極である。この陰極9の構成材料としては、仕事関数の小さい材料を用いるのが好ましい。
陰極9の構成材料としては、例えば、Li、Mg、Ca、Sr、La、Ce、Er、Eu、Sc、Y、Yb、Ag、Cu、Al、Cs、Rbまたはこれらを含む合金等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(例えば、複数層の積層体等)用いることができる。
特に、陰極9の構成材料として合金を用いる場合には、Ag、Al、Cu等の安定な金属元素を含む合金、具体的には、MgAg、AlLi、CuLi等の合金を用いるのが好ましい。かかる合金を陰極9の構成材料として用いることにより、陰極9の電子注入効率および安定性の向上を図ることができる。
また、本実施形態の発光素子1は、ボトムエミッション型であるため、陰極9は、光透過性を有していなくてもよい。
(正孔注入層)
正孔注入層4は、陽極3からの正孔注入効率を向上させる機能を有するものである。
この正孔注入層4の構成材料(正孔注入材料)としては、特に限定されないが、例えば、TAPC((1,1-ビス[4-(ジ-p-トリル)アミ.ノフェニル]シクロヘキサン)) :4,4'-Cyclohexylidenebis[N,N-bis(4-methylphenyl)aniline])、TPD(N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス-(3-メチルフェニル)-1,1’ビフェニル-4,4’-ジアミン)、α−NPD(N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス-(1-ナフチル)-1,1’ビフェニル-4,4’-ジアミン)、m−MTDATA(4,4’,4”−トリス(N−3−メチルフェニルアミノ)−トリフェニルアミン:4,4’,4”-Tris(N-3-methylphenyl-N-phenylamino)-triphenylamine)、2−TNATA(4,4’,4”−トリス(N, N−(2−ナフチル)フェニルアミノ)トリフェニルアミン)、TCTA(4,4’,4”−トリ(N−カルバゾル基)トリフェニルアミン:Tris-(4-carbazoyl-9-yl-phenyl)-amine)、TDAPB(1,3,5−トリス−(N,N−ビス−(4−メトキシ−フェニル)−アミノフェニル)−ベンゼン:1,3,5-tris[4-(diphenylamino)phenyl]benzene)、スピローTAD、HTM1(Tri-p-tolylamineHTM2,1,1-bis[(di-4-tolylamino) phenyl]cyclohexane)、HTM2(1,1-bis[(di-4-tolylamino) phenyl]cyclohexane)、TPT1(1,3,5-tris(4-pyridyl)-2,4,6-triazin)、TPTE(Triphenylamine-tetramer)等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
このような正孔注入層4の平均厚さは、特に限定されないが、5〜150nm程度であるのが好ましく、10〜100nm程度であるのがより好ましい。
(正孔輸送層)
正孔輸送層5は、陽極3から正孔注入層4を介して注入された正孔を発光層6まで輸送する機能を有するものである。
この正孔輸送層5の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、TFB(poly(9,9-dioctyl-fluorene-co-N-(4- butylphenyl)-diphenylamine))等のトリフェニルアミン系ポリマー等のアミン系化合物、ポリフルオレン誘導体(PF)やポリパラフェニレンビニレン誘導体(PPV)、ポリパラフェニレン誘導体(PPP)、ポリビニカルバゾール(PVK)、ポリチオフェン誘導体、ポリメチルフェニルシラン(PMPS)を含むポリシラン系などの高分子有機材料が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、前述した正孔注入層4の構成材料を正孔輸送層5の構成材料として用いることもできる。
このような正孔輸送層5の平均厚さは、特に限定されないが、10〜150nm程度であるのが好ましく、10〜100nm程度であるのがより好ましい。
なお、正孔輸送層5は、省略することができる。この場合、正孔注入層4が正孔輸送層5の機能も兼ねることとなる。
(発光層)
発光層6は、正孔輸送層5に接して設けられている。この発光層6は、発光材料を含んで構成されている。
この発光材料としては、特に限定されず、各種蛍光材料、燐光材料を1種または2種以上組み合わせて用いることができる。発光素子1を前述した発光素子1Rに用いる場合には、発光材料として赤色蛍光材料または赤色燐光材料が用いられ、発光素子1を前述した発光素子1Gに用いる場合には、発光材料として緑色蛍光材料または緑色燐光材料が用いられ、発光素子1を発光素子1Bとして用いる場合には、発光材料として青色蛍光材料または青色燐光材料が用いられる。
赤色蛍光材料としては、赤色の蛍光を発するものであれば特に限定されず、例えば、ジインデノペリレン誘導体等のペリレン誘導体、ユーロピウム錯体、ベンゾピラン誘導体、ローダミン誘導体、ベンゾチオキサンテン誘導体、ポルフィリン誘導体、ナイルレッド、2−(1,1−ジメチルエチル)−6−(2−(2,3,6,7−テトラヒドロ−1,1,7,7−テトラメチル−1H,5H−ベンゾ(ij)キノリジン−9−イル)エテニル)−4H−ピラン−4H−イリデン)プロパンジニトリル(DCJTB)、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン(DCM)等を挙げられる。
赤色燐光材料としては、赤色の燐光を発するものであれば特に限定されず、例えば、イリジウム、ルテニウム、白金、オスミウム、レニウム、パラジウム等の金属錯体が挙げられ、これら金属錯体の配位子の内の少なくとも1つがフェニルピリジン骨格、ビピリジル骨格、ポルフィリン骨格等を持つものも挙げられる。より具体的には、トリス(1−フェニルイソキノリン)イリジウム、ビス[2−(2’−ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジネート−N,C’]イリジウム(アセチルアセトネート)(btp2Ir(acac))、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−12H,23H−ポルフィリン−白金(II)、ビス[2−(2’−ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジネート−N,C’]イリジウム、ビス(2−フェニルピリジン)イリジウム(アセチルアセトネート)が挙げられる。
緑色蛍光材料としては、緑色の蛍光を発するものであれば特に限定されず、例えば、クマリン誘導体、キナクリドン誘導体等のキナクリドンおよびその誘導体、9,10−ビス[(9−エチル−3−カルバゾール)−ビニレニル]−アントラセン、ポリ(9,9−ジヘキシル−2,7−ビニレンフルオレニレン)、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−コ−(1,4−ジフェニレン−ビニレン−2−メトキシ−5−{2−エチルヘキシルオキシ}ベンゼン)]、ポリ[(9,9−ジオクチル−2,7−ジビニレンフルオレニレン)−オルト−コ−(2−メトキシ−5−(2−エトキシルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレン)]等が挙げられる。
緑色燐光材料としては、緑色の燐光を発するものであれば特に限定されず、例えば、イリジウム、ルテニウム、白金、オスミウム、レニウム、パラジウム等の金属錯体が挙げられ、具体的には、ファク−トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(Ir(ppy)3)、ビス(2−フェニルピリジネート−N,C’)イリジウム(アセチルアセトネート)、ファク−トリス[5−フルオロ−2−(5−トリフルオロメチル−2−ピリジン)フェニル−C,N]イリジウム等が挙げられる。
青色蛍光材料としては、青色の蛍光を発するものであれば、特に限定されず、例えば、ジスチリルジアミン系化合物等のジスチリルアミン誘導体、フルオランテン誘導体、ピレン誘導体、ペリレンおよびペリレン誘導体、アントラセン誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、クリセン誘導体、フェナントレン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、テトラフェニルブタジエン、4,4’−ビス(9−エチル−3−カルバゾビニレン)−1,1’−ビフェニル(BCzVBi)、ポリ[(9.9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−コ−(2,5−ジメトキシベンゼン−1,4−ジイル)]、ポリ[(9,9−ジヘキシルオキシフルオレン−2,7−ジイル)−オルト−コ−(2−メトキシ−5−{2−エトキシヘキシルオキシ}フェニレン−1,4−ジイル)]、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−コ−(エチルニルベンゼン)]等が挙げられる。
青色燐光材料としては、青色の燐光を発するものであれば、特に限定されず、例えば、イリジウム、ルテニウム、白金、オスミウム、レニウム、パラジウム等の金属錯体が挙げられ、具体的には、ビス[4,6−ジフルオロフェニルピリジネート−N,C’]−ピコリネート−イリジウム、トリス[2−(2,4−ジフルオロフェニル)ピリジネート−N,C’]イリジウム、ビス[2−(3,5−トリフルオロメチル)ピリジネート−N,C’]−ピコリネート−イリジウム、ビス(4,6−ジフルオロフェニルピリジネート−N,C’)イリジウム(アセチルアセトネート)等が挙げられる。
以上のような発光材料は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、発光層6中には、前述した発光材料の他に、発光材料がゲスト材料として添加されるホスト材料が含まれていてもよい。このホスト材料は、正孔と電子とを再結合して励起子を生成するとともに、その励起子のエネルギーを発光材料に移動(フェルスター移動またはデクスター移動)させて、発光材料を励起する機能を有する。このようなホスト材料を用いる場合、例えば、ゲスト材料である発光材料をドーパントとしてホスト材料にドープして用いることができる。
このようなホスト材料としては、用いる発光材料に対して前述したような機能を発揮するものであれば、特に限定されないが、例えば、ナフタセン誘導体、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体のようなアセン誘導体(アセン系材料)、ジスチリルアリーレン誘導体、ペリレン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアミン誘導体、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体(Alq)等のキノリノラト系金属錯体、トリフェニルアミンの4量体等のトリアリールアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、シロール誘導体、ジカルバゾール誘導体、オリゴチオフェン誘導体、ベンゾピラン誘導体、トリアゾール誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、キノリン誘導体、4,4’−ビス(2,2’−ジフェニルビニル)ビフェニル(DPVBi)等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることもできる。
前述したような発光材料(ゲスト材料)およびホスト材料を用いる場合、発光層6中における発光材料の含有量(ドープ量)は、0.01〜10wt%であるのが好ましく、0.1〜5wt%であるのがより好ましい。発光材料の含有量をこのような範囲内とすることで、発光効率を最適化することができる。
このような発光層6の平均厚さは、特に限定されないが、10〜150nm程度であるのが好ましく、10〜100nm程度であるのがより好ましい。また、発光層6は、積層された複数の発光層で構成されていてもよく、その場合、任意の発光層間に発光しない中間層が介在していてもよい。
(電子輸送層)
電子輸送層7は、陰極9から電子注入層8を介して注入された電子を発光層6に輸送する機能を有するものである。
電子輸送層7の構成材料(電子輸送材料)としては、例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq)等の8−キノリノールなしいその誘導体を配位子とする有機金属錯体などのキノリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ペリレン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、キノキサリン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ニトロ置換フルオレン誘導体等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
電子輸送層7の平均厚さは、特に限定されないが、0.5〜100nm程度であるのが好ましく、1〜50nm程度であるのがより好ましい。
なお、この電子輸送層7は、省略することができる。
(電子注入層)
電子注入層8は、陰極9からの電子注入効率を向上させる機能を有するものである。
この電子注入層8の構成材料(電子注入材料)としては、例えば、各種の無機絶縁材料、各種の無機半導体材料が挙げられる。
このような無機絶縁材料としては、例えば、アルカリ金属カルコゲナイド(酸化物、硫化物、セレン化物、テルル化物)、アルカリ土類金属カルコゲナイド、アルカリ金属のハロゲン化物およびアルカリ土類金属のハロゲン化物等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらを主材料として電子注入層を構成することにより、電子注入性をより向上させることができる。特にアルカリ金属化合物(アルカリ金属カルコゲナイド、アルカリ金属のハロゲン化物等)は仕事関数が非常に小さく、これを用いて電子注入層8を構成することにより、発光素子1は、高い輝度が得られるものとなる。
アルカリ金属カルコゲナイドとしては、例えば、LiO、LiO、NaS、NaSe、NaO等が挙げられる。アルカリ土類金属カルコゲナイドとしては、例えば、CaO、BaO、SrO、BeO、BaS、MgO、CaSe等が挙げられる。アルカリ金属のハロゲン化物としては、例えば、CsF、LiF、NaF、KF、LiCl、KCl、NaCl等が挙げられる。アルカリ土類金属のハロゲン化物としては、例えば、CaF、BaF、SrF、MgF、BeF等が挙げられる。
また、無機半導体材料としては、例えば、Li、Na、Ba、Ca、Sr、Yb、Al、Ga、In、Cd、Mg、Si、Ta、SbおよびZnのうちの少なくとも1つの元素を含む酸化物、窒化物または酸化窒化物等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
電子注入層8の平均厚さは、特に限定されないが、0.1〜1000nm程度であるのが好ましく、0.2〜100nm程度であるのがより好ましく、0.2〜50nm程度であるのがさらに好ましい。
なお、この電子注入層8は、省略することができる。
以上のように構成されている発光素子1は、積層体10の各層(正孔注入層4、正孔輸送層5および発光層6)が図3(a)に示すような隔壁31内に液相プロセスを用いて形成される。ここで、正孔注入層4、正孔輸送層5および発光層6の少なくとも1つの層の形成に用いるインクを前述した機能層形成用インクとする。すなわち、前述した機能層形成用インクの溶質として、正孔注入層4、正孔輸送層5または発光層6の構成材料またはその前駆体を用いる。
(発光素子の製造方法)
次に、本発明の発光素子の製造方法について、前述した発光素子1を製造する場合を例に説明する。
図4〜図7は、それぞれ、図2(a)に示す発光素子の製造方法を説明するための図である。
発光素子1の製造方法は、[1]陽極3を形成する工程と、[2]正孔注入層4を形成する工程と。[3]正孔輸送層5を形成する工程と、[4]発光層6を形成する工程と、[5]電子輸送層7、電子注入層8および陰極9を形成する工程と、を有する。以下、各工程を順次説明する。
[1]
まず、基板21を用意し、図4(a)に示すように、この基板21上に陽極3を形成した後、隔壁31を形成する。
陽極3は、例えば、基板21上に、蒸着法、CVD法等の気相成膜法を用いて電極材料を成膜した後、これをエッチング等を用いてパターニングすることにより得られる。
また、隔壁31は、陽極3が露出するようにフォトリソグラフィー法等を用いてパターニングすること等により形成することができる。
ここで、隔壁31の構成材料は、耐熱性、撥液性、インク溶剤耐性、基板21等との密着性等を考慮して選択される。具体的には、隔壁31の構成材料としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂のような有機材料や、SiOのような無機材料が挙げられる。
また、陽極3および隔壁31の形成後、必要に応じて、陽極3および隔壁31の表面に酸素プラズマ処理を施してもよい。これにより、陽極3の表面に親液性を付与すること、陽極3および隔壁31の表面に付着する有機物を除去(洗浄)すること、陽極3の表面付近の仕事関数を調整すること等を行うことができる。
ここで、酸素プラズマ処理の条件としては、例えば、プラズマパワー100〜800W程度、酸素ガス流量50〜100mL/min程度、被処理部材(陽極3)の搬送速度0.5〜10mm/sec程度、基板21の温度70〜90℃程度とするのが好ましい。
また、この酸素プラズマ処理の後、CF等のフッ素系ガスを処理ガスとしてプラズマ処理するのが好ましい。これにより、有機材料である感光性樹脂からなる隔壁31の表面のみにフッ素系ガスが反応して撥液化される。これによって、隔壁31内に付与される液体が不本意に濡れ拡がるのを低減することができる。
[2]
次に、図4(b)に示すように、インクジェットヘッド200から正孔注入層形成用のインク4aを隔壁31内の陽極3上(基材)に付与する。
インク4aは、正孔注入層4の構成材料またはその前駆体を溶質として溶媒に溶解させてなるものである。ここで、インク4aを前述した機能層形成用インクとすることができる。その際、溶媒として、前述したような沸点および溶解度パラメーターの条件を満たす第1溶媒および第2溶媒を用いる。
その後、陽極3上のインク4aを乾燥(脱溶媒または脱分散媒)し、必要に応じて加熱処理することにより、図5(a)に示すように、正孔注入層4を形成する。
乾燥は、例えば、大気圧または減圧雰囲気中での放置、加熱処理、不活性ガスの吹付け等により行うことができる。
以上のように、インク4aを用いた液相プロセスにより、正孔注入層4が形成される。なお、正孔注入層4を蒸着法、CVD法等の気相プロセスによって形成してもよい。
[3]
次に、図5(b)に示すように、インクジェットヘッド200Aから正孔輸送層形成用のインク5aを隔壁31内の正孔注入層4上に付与する。
インク5aは、正孔輸送層5の構成材料またはその前駆体を溶質として溶媒に溶解させてなるものである。ここで、インク5aを前述した機能層形成用インクとすることができる。その際、溶媒として、前述したような沸点および溶解度パラメーターの条件を満たす第1溶媒および第2溶媒を用いる。
その後、正孔注入層4上のインク5aを乾燥(脱溶媒または脱分散媒)し、必要に応じて加熱処理することにより、図6(a)に示すように、正孔輸送層5を形成する。
乾燥は、例えば、大気圧または減圧雰囲気中での放置、加熱処理、不活性ガスの吹付け等により行うことができる。
以上のように、インク5aを用いた液相プロセスにより、正孔輸送層5が形成される。
[4]
次に、図6(b)に示すように、インクジェットヘッド200Bから発光層形成用のインク6a(液体)を隔壁31内の正孔輸送層5上に付与する。
インク6aは、発光層6の構成材料またはその前駆体を溶質として溶媒に溶解させてなるものである。ここで、インク6aを前述した機能層形成用インクとすることができる。その際、溶媒として、前述したような沸点および溶解度パラメーターの条件を満たす第1溶媒および第2溶媒を用いる。
その後、正孔輸送層5上のインク6aを乾燥(脱溶媒または脱分散媒)し、必要に応じて加熱処理することにより、図7(a)に示すように、発光層6を形成する。
乾燥は、例えば、大気圧または減圧雰囲気中での放置、加熱処理、不活性ガスの吹付け等により行うことができる。
以上のように、インク6aを用いた液相プロセスにより、発光層6が形成される。
[5]
次に、発光層6上に、電子輸送層7、電子注入層8および陰極9をこの順で形成する。これにより、発光素子1が得られる。
電子輸送層7、電子注入層8および陰極9は、それぞれ、例えば、真空蒸着等の乾式メッキ法等を用いた気相プロセスにより形成することができる。なお、電子輸送層7、電子注入層8および陰極9は、それぞれ、液相プロセスを用いて形成してもよい。
以上のような工程を経て、発光素子1が得られる。
(電子機器)
図8は、電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。
この図において、パーソナルコンピュータ1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示部を備える表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。
このパーソナルコンピュータ1100において、表示ユニット1106が備える表示部が前述の表示装置100で構成されている。
図9は、電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。
この図において、携帯電話機1200は、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206とともに、表示部を備えている。
携帯電話機1200において、この表示部が前述の表示装置100で構成されている。
図10は、電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。なお、この図には、外部機器との接続についても簡易的に示されている。
ここで、通常のカメラは、被写体の光像により銀塩写真フィルムを感光するのに対し、ディジタルスチルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
ディジタルスチルカメラ1300におけるケース(ボディー)1302の背面には、表示部が設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成になっており、被写体を電子画像として表示するファインダとして機能する。
ディジタルスチルカメラ1300において、この表示部が前述の表示装置100で構成されている。
ケースの内部には、回路基板1308が設置されている。この回路基板1308は、撮像信号を格納(記憶)し得るメモリが設置されている。
また、ケース1302の正面側(図示の構成では裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。
撮影者が表示部に表示された被写体像を確認し、シャッタボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、回路基板1308のメモリに転送・格納される。
また、このディジタルスチルカメラ1300においては、ケース1302の側面に、ビデオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とが設けられている。そして、図示のように、ビデオ信号出力端子1312にはテレビモニタ1430が、デ−タ通信用の入出力端子1314にはパーソナルコンピュータ1440が、それぞれ必要に応じて接続される。さらに、所定の操作により、回路基板1308のメモリに格納された撮像信号が、テレビモニタ1430や、パーソナルコンピュータ1440に出力される構成になっている。
このような電子機器は、優れた信頼性を有する。
なお、電子機器は、図8のパーソナルコンピュータ(モバイル型パーソナルコンピュータ)、図9の携帯電話機、図10のディジタルスチルカメラの他にも、例えば、テレビや、ビデオカメラ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、ラップトップ型パーソナルコンピュータ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニタ、電子双眼鏡、POS端末、タッチパネルを備えた機器(例えば金融機関のキャッシュディスペンサー、自動券売機)、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電表示装置、超音波診断装置、内視鏡用表示装置)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシミュレータ、その他各種モニタ類、プロジェクター等の投射型表示装置等に適用することができる。
以上、本発明の機能層形成用インクおよび発光素子の製造方法を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものでない。
例えば、前述した実施形態では、発光素子が1層の発光層を有するものについて説明したが、発光層が2層以上であってもよい。また、発光層の発光色としては、前述した実施形態のR、G、Bに限定されない。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.発光素子の製造
(実施例1)
<1> まず、平均厚さ0.5mmの透明なガラス基板を用意した。次に、この基板上に、スパッタ法により、平均厚さ100nmのITO電極(陽極)を形成した。その後、アクリル系樹脂で構成される絶縁層を形成した後、この絶縁層をフォトリソグラフィー法を用いてITO電極を露出するようにパターニングすることで隔壁(バンク)を形成した。この隔壁の平面視形状は、長さ300μm、幅100μmの長方形とし、隔壁の高さを2μmとした。
そして、基板をアセトン、2−プロパノールの順に浸漬し、超音波洗浄した後、酸素プラズマ処理およびアルゴンプラズマ処理を施した。これらのプラズマ処理は、それぞれ、基板を70〜90℃に加温した状態で、プラズマパワー100W、ガス流量20sccm、処理時間5secで行った。
<2> 次に、正孔輸送層形成用インク(機能層形成用インク)を、隔壁内にインクジェット法により充填してITO電極上付与した後に、これを減圧乾燥した後に加熱処理(焼成)することにより、平均厚さ50nmの正孔輸送層を形成した。
ここで、正孔輸送層形成用インクとして、溶質(正孔輸送材料)であるTFB(poly(9,9-dioctyl-fluorene-co-N-(4- butylphenyl)-diphenylamine)):0.45gを、第1溶媒である2−イソプロピルナフタレン(2−iPrNaph):70gと、BDPOM:30gとの混合溶媒(質量比70:30)に溶解した溶液を用いた。また、焼成は、窒素で満たされたグローブボックス内で行い、焼成温度を180℃とし、焼成時間を30分間とした。
<3> 次に、発光層形成用インクを、隔壁内にインクジェット法により充填して正孔輸送層上に付与した後に、これを減圧乾燥した後に加熱処理(焼成)することにより、平均厚さ20nmの発光層を形成した。
ここで、発光層形成用インクとして、CBP(4,4’−ビス(9−ジカルバゾイル)−2,2’−ビフェニル)、Ir(ppy)3(Fac−トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム)を重量比90:10で混合したテトラロン溶液(濃度1wt%)を用いた。また、乾燥は、発光層形成用インク付与直後に常圧から5Paまで5分間かけて減圧した。また、焼成は、窒素で満たされたグローブボックス内で行い、焼成温度を180℃とし、焼成時間を30分間とした。
<4> 次に、発光層上に、Alqを真空蒸着法により成膜し、平均厚さ20nmの電子輸送層を形成した。
<5> 次に、電子輸送層上に、フッ化リチウム(LiF)を真空蒸着法により成膜し、平均厚さ0.5nmの電子注入層を形成した。
<6> 次に、電子注入層上に、Alを真空蒸着法により成膜した。これにより、Alで構成される平均厚さ150nmの陰極を形成した。
以上の工程により、発光素子を製造した。
(実施例2〜24、比較例1〜20)
正孔輸送層形成用インク(機能層形成用インク)の第1溶媒および第2溶媒の種類および含有量を表1に示すようにした以外は、前述した実施例1と同様にして発光素子を製造した。
Figure 0006531347
2.評価
上述したようにして製造した各発光素子を発光させて、輝度分布を測定し、以下に示す基準に従い評価を行った。
◎:発光強度のバラツキが5%以下の領域の幅が画素の全体幅に対して90%以上
○:発光強度のバラツキが5%以下の領域の幅が画素の全体幅に対して85%以上90%未満
×:発光強度のバラツキが5%以下の領域の幅が画素の全体幅に対して85%未満
このような評価の結果を表1に示す。
表1からわかるように、各実施例に係る発光素子は、各比較例に係る発光素子に比較して、発光強度のバラツキが小さく、かつ、発光領域が広い。これは、各実施例の正孔輸送層が平坦でかつ厚さが均一であることにより、発光層に均一にキャリアが輸送されるためと推察される。
1‥‥発光素子
1B‥‥発光素子
1G‥‥発光素子
1R‥‥発光素子
3‥‥陽極
4‥‥正孔注入層
4a‥‥インク
5‥‥正孔輸送層
5a‥‥インク
6‥‥発光層
6a‥‥インク
7‥‥電子輸送層
8‥‥電子注入層
9‥‥陰極
10‥‥積層体
10R‥‥積層体
10G‥‥積層体
10B‥‥積層体
11‥‥積層体
20‥‥回路基板
21‥‥基板
22‥‥層間絶縁膜
23‥‥スイッチング素子
24‥‥配線
31‥‥隔壁
32‥‥樹脂層
40‥‥封止基板
50‥‥基材
60‥‥機能層形成用インク
60A‥‥膜
60B‥‥膜
60C‥‥膜
60D‥‥機能層
100‥‥表示装置
100R‥‥サブ画素
100G‥‥サブ画素
100B‥‥サブ画素
200‥‥インクジェットヘッド
200A‥‥インクジェットヘッド
200B‥‥インクジェットヘッド
231‥‥半導体層
232‥‥ゲート絶縁層
233‥‥ゲート電極
234‥‥ソース電極
235‥‥ドレイン電極
1100‥‥パーソナルコンピュータ
1102‥‥キーボード
1104‥‥本体部
1106‥‥表示ユニット
1200‥‥携帯電話機
1202‥‥操作ボタン
1204‥‥受話口
1206‥‥送話口
1300‥‥ディジタルスチルカメラ
1302‥‥ケース
1304‥‥受光ユニット
1306‥‥シャッタボタン
1308‥‥回路基板
1312‥‥ビデオ信号出力端子
1314‥‥入出力端子
1430‥‥テレビモニタ
1440‥‥パーソナルコンピュータ

Claims (9)

  1. 機能層の構成材料またはその前駆体からなる溶質と、
    前記溶質を溶解させ、かつ、第1沸点を有するとともに第1溶解度パラメーターを有する第1溶媒と、
    前記溶質を溶解させ、かつ、前記第1沸点よりも低い第2沸点を有するとともに前記第1溶解度パラメーターよりも小さい第2溶解度パラメーターを有する第2溶媒と、を含み、
    前記第1沸点は、290℃以上330℃以下であり、
    前記第2沸点は、170℃以上であり、
    前記第1沸点と前記第2沸点との差は、40℃以上であり、
    前記第2溶解度パラメーターは、9.0(cal/cm1/2以下であり、
    全溶媒中における前記第1溶媒の含有量は、50wt%以上80wt%以下であり、
    全溶媒中における前記第2溶媒の含有量は、20wt%以上50wt%以下であることを特徴とする機能層形成用インク。
  2. 前記第2溶媒は、脂肪族ジエーテルまたはその誘導体である請求項に記載の機能層形成用インク。
  3. 前記第2溶媒は、ジエチレングリコールまたはジプロピレングリコールのジエーテルまたはモノエーテルアセテートである請求項に記載の機能層形成用インク。
  4. 前記第1溶媒の粘度は、前記第2溶媒の粘度よりも高い請求項1ないしのいずれか1項に記載の機能層形成用インク。
  5. 前記第2溶媒の表面張力が30mN/m以下である請求項1ないしのいずれか1項に記載の機能層形成用インク。
  6. 前記機能層は、有機エレクトロルミネッセンス素子に含まれる有機層である請求項1ないしのいずれか1項に記載の機能層形成用インク。
  7. 前記有機層は、正孔注入層または正孔輸送層である請求項に記載の機能層形成用インク。
  8. 前記有機層は、発光層であり、
    前記構成材料は、発光材料およびホスト材料を含み、
    前記構成材料における前記発光材料の含有量は、0.01wt%以上10wt%以下である請求項6に記載の機能層形成用インク。
  9. 請求項1ないし8のいずれか1項に記載の機能層形成用インクを基材上に付与する工程と、
    前記第1溶媒および前記第2溶媒を除去することにより、前記機能層の構成材料またはその前駆体からなる層を形成する工程と、を有することを特徴とする発光素子の製造方法。
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