〔第1実施形態〕
ここでは、本発明の第1実施形態に係る鉄道車両1および鉄道車両1の車内構造100について、図1~図5を参照しつつ以下に説明する。
鉄道車両1は、図1に示すように鉄道車両1の長手方向(以下、「車両長手方向」と称することがある)の両側部を構成する側構体2および側構体3と、車両長手方向の端部を構成する妻構体4とを備えている。
側構体2に、複数の乗降口(11、12)と、複数の窓(13、14)とが形成されている。乗降口(11、12)にそれぞれ扉(21、22)が配置されている。窓13は、車両長手方向に隣り合う乗降口11と乗降口12との間に形成されている。窓14は、妻構体4と妻構体4に最も近い乗降口11との間に形成されている。
図2(a)、図2(b)、図3(a)および図3(b)に鉄道車両1の車内構造100を示している。図2(a)は図1のIIa-IIa線に沿った図であり、車内から窓13を車両幅方向に視た図である。図2(b)は、車内構造100を上方から視た図であり、図2(a)のIIb-IIb線に沿った図である。図3(a)は、図2(a)に示す椅子30および仕切り50をIIIa-IIIa方向から視た図である。図3(b)は、図2(a)に示す椅子40および仕切り60をIIIb-IIIb方向から視た図である。図2(a)および図2(b)では、図中の左右方向を車両長手方向とし、図中の右側を車両前方(以下、単に「前方」と称することがある)、図中の左側を車両後方としている(以下、単に「後方」と称することがある)。車両長手方向と車両幅方向は直交する。
図2(a)および図2(b)に示すように、鉄道車両1の車内には、椅子30および椅子40が配置されている。椅子30および椅子40は、一人掛け用の椅子である。椅子30および椅子40は、図2(a)において、車両長手方向について窓13の両側に配置されている。椅子30は、窓13と乗降口11との間に配置されている。椅子40は、窓13と乗降口12との間に配置されている。
[椅子30とその周囲の多目的スペース]
椅子30は、図2(a)および図2(b)に示すように、座部31と、第1背もたれ部32と、第2背もたれ部33とを有する。第1背もたれ部32と第2背もたれ部33は、1つの共通した部材からなる。
座部31は、座面31aと、第1側面31bと、第2側面31cとを有する(図2(b)参照)。座部31および座面31aは、平面視において、略正方形状である。第1側面31bは、車両長手方向に平行である。第2側面31cは、車両幅方向に平行である。第1側面31bは、座面31aに対して、第1背もたれ部32と反対側に形成されている。第2側面31cは、座面31aに対して、第2背もたれ部33と反対側に形成されている。第1側面31bと第2側面31cとの間に、第1側面31bと第2側面31cとを接続する接続側面31dが形成されている。接続側面31dにより、座部31の角部は面取りされたように丸く形成されている。
第1背もたれ部32は、車両長手方向に平行に配置されている(図2(b)参照)。第1背もたれ部32は、側構体2の内壁面に沿って配置されている。第1背もたれ部32には、座部31側に、車両長手方向に平行な第1背もたれ面32aが形成されている。
第2背もたれ部33は、車両幅方向に平行に配置されている。第2背もたれ部33は、車両長手方向について、座部31に対し、窓13と反対側に配置されている。第2背もたれ部33には、座部31側に、車両幅方向に平行な第2背もたれ面33aが形成されている。第2背もたれ面33aは、背もたれ接続面34aにより、第1背もたれ面32aと接続されている。
椅子30の平面視において、第1背もたれ面32aと第2背もたれ面33aとを含む背もたれ面全体が略L字状になっている。L字状の背もたれ面の隅部は、背もたれ接続面34aにより、面取りされたように丸く形成されている。
上記構成から、椅子30は、(1)第1背もたれ部32に背中をもたれかけるようにする座り方、言い換えると、側構体2に背中を向けて座る座り方と、(2)第2背もたれ部33に背中をもたれかけるようにする座り方、言い換えると、車両の後方を向いて座る座り方との少なくとも2方向からの座り方が可能な椅子である。
第2背もたれ部33に、仕切り50が隣接している。仕切り50は、車両幅方向に平行に配置されている(図2(b)参照)。図3(a)に示すように、仕切り50の上端は、第2背もたれ部33の上端より高位置にある。
図2(b)に示すように、椅子30の周りに、第1多目的スペースS1、第2多目的スペースS2および第3多目的スペースS3が形成されている。椅子30の周りには、椅子30の後方から横まで、多目的スペースが形成されている。本実施形態では、椅子30の前方にもスペースが形成されている。
第1多目的スペースS1は、車両長手方向について、椅子30の後方であって、座部31に対し第2背もたれ部33と反対側に形成されている。第2多目的スペースS2は、車両幅方向について、椅子30の横であって、座部31に対し第1背もたれ部32と反対側に形成されている。第1多目的スペースS1および第2多目的スペースS2は、少なくとも床面Fから座部31の座面31aまでの高さまでの間に形成されている(図2(a)参照)。
第3多目的スペースS3は、図2(b)に示すように、第1多目的スペースS1と車両幅方向に重なり、かつ、第2多目的スペースS2と車両長手方向に重なる場所に形成されている。第3多目的スペースS3は、第1多目的スペースS1および第2多目的スペースS2と同様に、少なくとも床面Fから座部31の座面31aまでの高さまでの間に形成されている(図2(a)参照)。図2(b)に示す第1多目的スペースS1および第3多目的スペースS3は、図2(a)において、窓の前に形成されている。
第1多目的スペースS1、第2多目的スペースS2および第3多目的スペースS3の多目的スペースとは、任意の目的で使用可能なスペースである。多目的スペースは、例えば、スーツケースなどの大きな荷物、ベビーカー、車椅子などを配置するために使用可能なスペースでもあり、同伴する子供が過ごすために使用可能なスペースでもある。後述する第1多目的スペース、第2多目的スペースおよび第3多目的スペースの多目的スペースも同様である。
第1多目的スペースS1の大きさ、第2多目的スペースS2の大きさ、および、第3多目的スペースS3の大きさは、特に限定されない。例えば、第1多目的スペースS1の大きさ、第2多目的スペースS2の大きさ、および、第3多目的スペースS3の大きさは、スーツケースなどの大きな荷物を配置可能な大きさでもよく、ベビーカーを配置可能な大きさでもよく、車椅子スペースとして求められる大きさとしてもよく、人間が立つことができる大きさでもよく、人間が動くことができる大きさでもよい。例えば、第1多目的スペースS1、第2多目的スペースS2および第3多目的スペースS3の隣り合う2つのスペースの合計の大きさが、スーツケースなどの大きな荷物を配置可能な大きさでもよく、ベビーカーを配置可能な大きさでもよく、車椅子スペースとして求められる大きさとしてもよく、人間が動くことができる大きさでもよい。
[椅子40とその周囲の多目的スペース]
椅子40は、図2(a)および図2(b)に示すように、座部41と、第1背もたれ部42と、第2背もたれ部43とを有する。第1背もたれ部42と第2背もたれ部43は、1つの共通した部材からなる。
座部41は、座面41aと、第1側面41bと、第2側面41cとを有する(図2(b)参照)。座部41および座面41aは、平面視において、略正方形状である。第1側面41bは、車両長手方向に平行である。第2側面41cは、車両幅方向に平行である。第1側面41bは、座面41aに対して、第1背もたれ部42と反対側に形成されている。第2側面41cは、座面41aに対して、第2背もたれ部43と反対側に形成されている。第1側面41bと第2側面41cとの間に、第1側面41bと第2側面41cとを接続する接続側面41dが形成されている。接続側面41dにより、座部41の角部は面取りされたように丸く形成されている。
第1背もたれ部42は、車両長手方向に平行に配置されている(図2(b)参照)。第1背もたれ部42は、側構体2の内壁面に沿って配置されている。第1背もたれ部42には、座部41側に、車両長手方向に平行な第1背もたれ面42aが形成されている。
第2背もたれ部43は、車両幅方向に平行に配置されている。第2背もたれ部43は、車両長手方向について、座部41に対し、窓13と反対側に配置されている。第2背もたれ部43には、座部41側に、車両幅方向に平行な第2背もたれ面43aが形成されている。第2背もたれ面43aは、背もたれ接続面44aにより、第1背もたれ面42aと接続されている。
椅子40の平面視において、第1背もたれ面42aと第2背もたれ面43aとを含む背もたれ面全体が略L字状になっている。L字の背もたれ面の隅部は、背もたれ接続面44aにより、面取りされたように丸く形成されている。
上記構成から、椅子40は、(1)乗客が第1背もたれ部42に背中をもたれかけるようにする座り方、言い換えると、側構体2に背中を向けて座る座り方と、(2)乗客が第2背もたれ部43に背中をもたれかけるようにする座り方、言い換えると、車両の前方を向いて座る座り方との少なくとも2方向からの座り方が可能な椅子である。
第2背もたれ部43に仕切り60が隣接して配置されている。仕切り60は、車両幅方向に平行に配置されている(図2(b)参照)。図3(b)に示すように、仕切り60の上端は、第2背もたれ部43の上端より高位置にある。
図2(b)に示すように、椅子40の周りに、第1多目的スペースS11、第2多目的スペースS12および第3多目的スペースS13が形成されている。椅子40の周りには、椅子40の前方から横まで、多目的スペースが形成されている。本実施形態では、椅子30の後方にもスペースが形成されている。
第1多目的スペースS11は、車両長手方向について、椅子40の前方であって、座部41に対し第2背もたれ部43と反対側に形成されている。第2多目的スペースS12は、車両幅方向について、椅子40の横であって、座部41に対し第1背もたれ部42と反対側に形成されている。第1多目的スペースS11および第2多目的スペースS12は、少なくとも床面Fから座部41の座面41aまでの高さに形成されている(図2(a)参照)。
第3多目的スペースS13は、図2(b)に示すように、第1多目的スペースS11と車両幅方向に重なり、かつ、第2多目的スペースS12と車両長手方向に重なる場所に形成されている。第3多目的スペースS13は、第1多目的スペースS11および第2多目的スペースS12と同様に、少なくとも床面Fから座部41の座面41aまでの高さに形成されている(図2(a)参照)。図2(a)において、第1多目的スペースS11および第3多目的スペースS13は、窓の前に形成されている(図2(b)参照)。
第1多目的スペースS11の大きさ、第2多目的スペースS12の大きさおよび第3多目的スペースS13の大きさは、特に限定されない。第1多目的スペースS11の大きさ、第2多目的スペースS12の大きさおよび第3多目的スペースS13の大きさは、例えば、上述した第1多目的スペースS1、第2多目的スペースS2および第3多目的スペースS3の説明で例示した大きさでもよい。また、椅子30と椅子40の間の第1多目的スペースS1および第1多目的スペースS11の合計の大きさが、ベビーカーを配置可能な大きさでもよく、車椅子スペースとして求められる大きさとしてもよく、人間が立つことができる大きさでもよく、人間が動くことができる大きさでもよい。また、窓の前の第1多目的スペースS1、第3多目的スペースS3、第1多目的スペースS11および第3多目的スペースS13の合計の大きさが、ベビーカーを配置可能な大きさでもよく、車椅子スペースとして求められる大きさとしてもよく、人間が立つことができる大きさでもよく、人間が動くことができる大きさでもよい
本実施形態では、図2(a)において、窓13の両側に椅子30および椅子40が配置されている。窓14の前方は、多目的スペースである。窓の前方に、手摺り70が配置されている(図2(b)参照)。手摺り70は、側構体2に取り付けられている。手摺り70は、第1多目的スペースS1および第1多目的スペースS11の上方、または、第1多目的スペースS1および第1多目的スペースS11にあるといえる。
図2(b)では、第1多目的スペースS1、第2多目的スペースS2、第3多目的スペースS3、第1多目的スペースS11、第2多目的スペースS12および第3多目的スペースS13のそれぞれの大きさがほぼ同じであるが、これらの大きさは同じでなくてもよい。また、第1多目的スペースS1を、図2(b)に示す第1多目的スペースS1および第1多目的スペースS11を合わせたスペースと考えてもよい。第1多目的スペースS11を、図2(b)に示す第1多目的スペースS1および第1多目的スペースS11を合わせたスペースと考えてもよい。第3多目的スペースS3を、図2(b)に示す第3多目的スペースS3および第3多目的スペースS13を合わせたスペースと考えてもよい。第3多目的スペースS13を、図2(b)に示す第3多目的スペースS3および第3多目的スペースS13を合わせたスペースと考えてもよい。
次に、車内構造100の使用例を、図4および図5(a)~(c)を参照しつつ説明する。図5(b)は椅子30とその周りの多目的スペースを図5(a)のVb-Vb線に沿ってみた図であり、図5(c)は椅子40とその周りの多目的スペースを図5(a)のVc-Vc線に沿ってみた図である。
図4に示すように、乗客は、椅子30の第1背もたれ部32に背中をもたれかけるように、側構体2に背中を向けて椅子30に座ることができる。乗客は、隣にスーツケースなどの大きな荷物を置くことができる。乗客は、荷物を乗客と横並びに置くことができる。
図4に示すように、乗客は、椅子40の第2背もたれ部43に背中をもたれかけるように、車両の前方を向いて椅子40に座ることができる。乗客の前方に、車椅子を配置することができる。車椅子に乗った乗客が後方を向くように、車椅子を配置することができる。車椅子に乗った乗客と椅子40に座った乗客が向かいあわせになるようにすることができる。車椅子に乗った乗客と椅子40に座った乗客は、向かいあわせになることで、会話などを楽しむことができる。また、車椅子に乗った乗客と椅子40に座った乗客は、窓13から風景を眺めることができる。車椅子に乗った乗客は、手摺り70を利用することができる。
椅子40の後方のスペースに、乗客が立つことができる。乗客は、仕切り60にもたれることができる。仕切り60により、立っている乗客が椅子40に座っている乗客に接しない。
図4に図示していないが、椅子30の前方のスペースにも、乗客が立つことができる。乗客は、仕切り50にもたれかかることができる。
図5(a)および図5(b)に示すように、乗客は、椅子30の第2背もたれ部33に背中をもたれかけるように、車両の後方を向いて椅子30に座ることができる。乗客は、椅子30に座りながら、同伴する子供が窓13から外の景色を眺めるのを見守ることができる。子供は、窓13から風景を眺めることができる。子供は、窓13の前の手摺り70を利用することができる。
図5(a)および図5(c)に示すように、乗客は、椅子40の第1背もたれ部42に背中をもたれかけるように、側構体2に背中を向けて椅子40に座ることができる。乗客は、隣にベビーカーを配置することができる。乗客は、ベビーカーを乗客と横並びに配置することができる。乗客は、椅子40に座りながら、ベビーカーに乗っている乳幼児の世話をしたり、乳幼児を見守ったりすることができる。
本実施形態によると、2方向から座ることができる一人掛け用の椅子(30、40)を利用することにより、乗客により利用しやすい車内構造100および鉄道車両1を提供することができる。
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態に係る鉄道車両および車内構造について、図6および図7を参照しつつ以下に説明する。第2実施形態において第1実施形態と異なる点は、一人掛け用の椅子の位置などである。なお、上述した第1実施形態と同一の構成については同一の符号を用い、その説明を適宜省略する。
図6(a)、図6(b)、図7(a)および図7(b)に鉄道車両の車内構造200を示している。図6(a)は、車内から窓13を車両幅方向に視た図である。図6(b)は、車内構造200を上方から視た図であり、図6(a)のVIb-VIb線に沿った図である。図7(a)は、図7(a)に示す椅子230および仕切り250をVIIa-VIIa方向から視た図である。図7(b)は、図6(a)に示す椅子240および仕切り250をVIIb-VIIb方向から視た図である。図6(a)および図6(b)では、図中の左右方向を車両長手方向とし、図中の右側を車両前方(以下、単に「前方」と称することがある)、図中の左側を車両後方としている(以下、単に「後方」と称することがある)。
図6(a)および図6(b)に示すように、鉄道車両の車内には、椅子230および椅子240が配置されている。椅子230および椅子240は、一人掛け用の椅子である。椅子230および椅子240は、図6(a)において、車両長手方向について窓13が形成された範囲に配置されている。図6(a)において、椅子230および椅子240は窓13の前に配置されている。椅子230および椅子240は、車両長手方向に、仕切り250を介して隣り合っている。椅子230は、乗降口12に近い位置に配置されている。椅子240は、乗降口11に近い位置に配置されている。
[椅子230とその周囲の多目的スペース]
椅子230は、図6(a)および図6(b)に示すように、座部231と、第1背もたれ部232と、第2背もたれ部233とを有する。第1背もたれ部232と第2背もたれ部233は、1つの共通した部材からなる。
座部231は、座面231aと、第1側面231bと、第2側面231cとを有する(図6(b)参照)。座部231および座面231aは、平面視において、略正方形状である。第1側面231bは、車両長手方向に平行である。第2側面231cは、車両幅方向に平行である。第1側面231bは、座面231aに対して、第1背もたれ部232と反対側に形成されている。第2側面231cは、座面231aに対して、第2背もたれ部233と反対側に形成されている。第1側面231bと第2側面231cとの間に、第1側面231bと第2側面231cとを接続する接続側面231dが形成されている。接続側面231dにより、座部231の角部は面取りされたように丸く形成されている。
第1背もたれ部232は、車両長手方向に平行に配置されている(図6(b)参照)。第1背もたれ部232は、側構体2の内壁面に沿って配置されている。第1背もたれ部232には、座部31側に、車両長手方向に平行な第1背もたれ面232aが形成されている。
第2背もたれ部233は、車両幅方向に平行に配置されている。第2背もたれ部233は、車両長手方向について、座部231に対し、乗降口12と反対側に配置されている。第2背もたれ部233には、座部231側に、車両幅方向に平行な第2背もたれ面233aが形成されている。第2背もたれ面233aは、背もたれ接続面234aにより、第1背もたれ面232aと接続されている。
椅子230の平面視において、第1背もたれ面232aと第2背もたれ面233aとを含む背もたれ面全体が略L字状になっている。L字状の背もたれ面の隅部は、背もたれ接続面234aにより、面取りされたように丸く形成されている。
上記構成から、椅子230は、(1)第1背もたれ部232に背中をもたれかけるようにする座り方、言い換えると、側構体2に背中を向けて座る座り方と、(2)第2背もたれ部233に背中をもたれかけるようにする座り方、言い換えると、車両の後方を向いて座る座り方との少なくとも2方向からの座り方が可能な椅子である。
図6(b)に示すように、椅子230の周りに、第1多目的スペースS211、第2多目的スペースS212および第3多目的スペースS213が形成されている。椅子230の周りには、椅子230の後方から横まで、多目的スペースが形成されている。
第1多目的スペースS211は、車両長手方向について、椅子230の後方であって、座部231に対し第2背もたれ部233と反対側に形成されている。第1多目的スペースS211は、椅子230と乗降口12との間に形成されている。第1多目的スペースS211は、少なくとも床面Fから座部231の座面231aまでの高さに形成されている(図6(a)参照)。椅子230と乗降口12との間には、手摺り271が配置されている。手摺り271は、側構体2に取り付けられている。手摺り271は、第1多目的スペースS211の上方または第1多目的スペースS211にあるといえる。
第2多目的スペースS212は、図6(b)に示すように、車両幅方向について、椅子230の横であって、座部231に対し第1背もたれ部232と反対側に形成されている。第2多目的スペースS212は、少なくとも床面Fから座部231の座面231aまでの高さに形成されている(図6(a)参照)。
第3多目的スペースS213は、図6(b)に示すように、第1多目的スペースS211と車両幅方向に重なり、かつ、第2多目的スペースS212と車両長手方向に重なる場所に形成されている。第3多目的スペースS213は、第1多目的スペースS211および第2多目的スペースS212と同様に、少なくとも床面Fから座部231の座面231aまでの高さに形成されている(図6(a)参照)。
第1多目的スペースS211の大きさ、第2多目的スペースS212の大きさ、および、第3多目的スペースS213の大きさは、特に限定されず、例えば、上述した第1実施形態における第1多目的スペースS1、第2多目的スペースS2および第3多目的スペースS3の説明で例示した大きさでもよい。
[椅子240とその周囲の多目的スペース]
椅子240は、図6(a)および図6(b)に示すように、座部241と、第1背もたれ部242と、第2背もたれ部243とを有する。第1背もたれ部242と第2背もたれ部243は、1つの共通した部材からなる。
座部241は、座面241aと、第1側面241bと、第2側面241cとを有する(図6(b)参照)。座部241および座面241aは、平面視において、略正方形状である。第1側面241bは、車両長手方向に平行である。第2側面241cは、車両幅方向に平行である。第1側面241bは、座面241aに対して、第1背もたれ部242と反対側に形成されている。第2側面241cは、座面241aに対して、第2背もたれ部243と反対側に形成されている。第1側面241bと第2側面241cとの間に、第1側面241bと第2側面241cとを接続する接続側面241dが形成されている。接続側面241dにより、座部241の角部は面取りされたように丸く形成されている。
第1背もたれ部242は、車両長手方向に平行に配置されている(図6(b)参照)。第1背もたれ部242は、側構体2の内壁面に沿って配置されている。第1背もたれ部242には、座部241側に、車両長手方向に平行な第1背もたれ面242aが形成されている。
第2背もたれ部243は、車両幅方向に平行に配置されている。第2背もたれ部243は、車両長手方向について、座部231に対し、乗降口11と反対側に配置されている。第2背もたれ部243には、座部241側に、車両幅方向に平行な第2背もたれ面243aが形成されている。第2背もたれ面243aは、背もたれ接続面244aにより、第1背もたれ面242aと接続されている。
椅子240の平面視において、第1背もたれ面242aと第2背もたれ面243aとを含む背もたれ面全体が略L字状になっている。L字の背もたれ面の隅部は、背もたれ接続面244aにより、面取りされたように丸く形成されている。
上記構成から、椅子240は、(1)乗客が第1背もたれ部242に背中をもたれかけるようにする座り方、言い換えると、側構体2に背中を向けて座る座り方と、(2)乗客が第2背もたれ部243に背中をもたれかけるようにする座り方、言い換えると、車両の前方を向いて座る座り方との少なくとも2方向からの座り方が可能な椅子である。
図6(b)に示すように、椅子240の周りに、第1多目的スペースS201、第2多目的スペースS202および第3多目的スペースS203が形成されている。椅子240の周りには、椅子240の前方から横まで、多目的スペースが形成されている。
第1多目的スペースS201は、車両長手方向について、椅子240の前方であって、座部241に対し第2背もたれ部243と反対側に形成されている。第1多目的スペースS201は、椅子240と乗降口11との間に形成されている。第1多目的スペースS201は、少なくとも床面Fから座部241の座面241aまでの高さに形成されている(図6(a)参照)。椅子240と乗降口11との間には、手摺り272が配置されている。手摺り272は、側構体2に取り付けられている。手摺り272は、第1多目的スペースS201の上方または第1多目的スペースS201にあるといえる。
第2多目的スペースS202は、図6(b)に示すように、車両幅方向について、椅子240の横であって、座部241に対し第1背もたれ部242と反対側に形成されている。第2多目的スペースS202は、少なくとも床面Fから座部241の座面241aまでの高さに形成されている(図6(a)参照)。
第3多目的スペースS203は、図6(b)に示すように、第1多目的スペースS201と車両幅方向に重なり、かつ、第2多目的スペースS202と車両長手方向に重なる場所に形成されている。第3多目的スペースS203は、第1多目的スペースS201および第2多目的スペースS202と同様に、少なくとも床面Fから座部241の座面241aまでの高さに形成されている(図6(a)参照)。
第1多目的スペースS201の大きさ、第2多目的スペースS202の大きさおよび第3多目的スペースS203の大きさは、特に限定されず、例えば、上述した第1多目的スペースS1、第2多目的スペースS2および第3多目的スペースS3の説明で例示した大きさでもよい。
第1多目的スペースS201、第2多目的スペースS202、第3多目的スペースS203、第1多目的スペースS211、第2多目的スペースS212および第3多目的スペースS213のそれぞれの大きさは同じでもよく、異なる大きさでもよい。
図6(a)に示すように、椅子230の第2背もたれ部233と、椅子240の第2背もたれ部243とは、仕切り250を介して隣り合っている。図7(a)に示すように、仕切り250の上端は、第2背もたれ部233の上端より高位置にある。図7(b)に示すように、仕切り250の上端は、第2背もたれ部243の上端より高位置にある。
車内構造200を、例えば、以下のように使用することができる。
乗客は、椅子230の第1背もたれ部232に背中をもたれかけるように、側構体2に背中を向けて椅子230に座ることができる。乗客は、隣の多目的スペース(S211、S213など)に、ベビーカー、車椅子、スーツケースなどの大きな荷物などを配置することができる。乗客は、ベビーカー、車椅子、スーツケースなどの大きな荷物を乗客と横並びに配置することができる。
乗客は、椅子230の第2背もたれ部233に背中をもたれかけるように、車両の後方を向いて椅子230に座ることができる。乗客の後方の多目的スペース(S211、S213など)にベビーカーや車椅子を配置し、ベビーカーに乗った乳幼児や車椅子に乗った乗客と椅子230に座った乗客が向かいあわせになるようにすることができる。また、乗客は、椅子230に座りながら、目の前の多目的スペースで過ごす子供を見守ることができる。車椅子に乗った乗客や多目的スペースで過ごす子供は、手摺り272を利用することができる。さらに、乗客は、隣の多目的スペース(S212、S213など)に、大きな荷物などを置くことができる。
乗客は、椅子240の第1背もたれ部242に背中をもたれかけるように、側構体2に背中を向けて椅子240に座ることができる。乗客は、隣の多目的スペース(S201、S203など)に、ベビーカー、車椅子、スーツケースなどの大きな荷物などを配置することができる。乗客は、ベビーカー、車椅子、スーツケースなどの大きな荷物を乗客と横並びに配置することができる。
乗客は、椅子240の第2背もたれ部243に背中をもたれかけるように、車両の前方を向いて椅子240に座ることができる。乗客の前方の多目的スペース(S201、S203など)にベビーカーや車椅子を配置し、ベビーカーに乗った乳幼児や車椅子に乗った乗客と椅子240に座った乗客が向かいあわせになるようにすることができる。また、乗客は、椅子240に座りながら、目の前の多目的スペースで過ごす子供を見守ることができる。車椅子に乗った乗客や多目的スペースで過ごす子供は、手摺り272を利用することができる。さらに、乗客は、隣の多目的スペース(S202、S203など)に、大きな荷物などを置くことができる。
このように、第2実施形態においても、少なくとも2方向から座ることができる一人掛け用の椅子(230、240)を利用することにより、乗客により利用しやすい車内構造200および鉄道車両を提供することができる。
また、図6(a)に示すように、隣り合う椅子230と椅子240との間に、背もたれ(第2背もたれ部233、第2背もたれ部243)より高い仕切り250が配置されている。これにより椅子230と椅子240にそれぞれ乗客が座ったとき、乗客同士が接しないようになる。特に、椅子230に座った乗客と椅子240に座った乗客が背中合わせに座った状態での急ブレーキ時など、乗客同士の衝突を防ぐ効果を持つ。
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態に係る鉄道車両および車内構造について、図8および図9を参照しつつ以下に説明する。第3実施形態において第1実施形態と異なる点は、一人掛け用の椅子の位置などである。なお、上述した第1実施形態と同一の構成については同一の符号を用い、その説明を適宜省略する。
図8(a)、図8(b)、図9(a)および図9(b)に鉄道車両の車内構造300を示している。図8(a)は、車内から窓13を車両幅方向に視た図である。図8(b)は、車内構造300を上方から視た図であり、図8(a)のVIIIb-VIIIb線に沿った図である。図9(a)は、図8(a)に示す椅子330および仕切り350をIXa-IXa方向から視た図である。図9(b)は、図8(a)に示す椅子340および仕切り350をIXb-IXb方向から視た図である。図8(a)および図8(b)では、図中の左右方向を車両長手方向とし、図中の右側を車両前方(以下、単に「前方」と称することがある)、図中の左側を車両後方としている(以下、単に「後方」と称することがある)。
図8(a)および図8(b)に示すように、鉄道車両の車内には、椅子330および椅子340が配置されている。椅子330および椅子340は、一人掛け用の椅子である。椅子330および椅子340は、図8(a)において、車両長手方向について、乗降口(第2乗降口)11と乗降口(第1乗降口)12との間に、離れて配置されている。椅子330は、乗降口(第1乗降口)12に近い位置に配置されている。椅子340は、乗降口(第2乗降口)11に近い位置に配置されている。本実施形態では、図8(a)において、椅子330と乗降口(第1乗降口)12との距離が、椅子340と乗降口(第2乗降口)11との距離より近い。
[椅子330とその周囲の多目的スペース]
椅子330は、図8(a)および図8(b)に示すように、座部331と、第1背もたれ部332と、第2背もたれ部333とを有する。第1背もたれ部332と第2背もたれ部333は、1つの共通した部材からなる。
座部331は、座面331aと、第1側面331bと、第2側面331cとを有する(図8(b)参照)。座部331および座面331aは、平面視において、略正方形状である。第1側面331bは、車両長手方向に平行である。第2側面331cは、車両幅方向に平行である。第1側面331bは、座面331aに対して、第1背もたれ部332と反対側に形成されている。第2側面331cは、座面331aに対して、第2背もたれ部333と反対側に形成されている。第1側面331bと第2側面331cとの間に、第1側面331bと第2側面331cとを接続する接続側面331dが形成されている。接続側面331dにより、座部331の角部は面取りされたように丸く形成されている。
第1背もたれ部332は、車両長手方向に平行に配置されている(図8(b)参照)。第1背もたれ部332は、側構体2の内壁面に沿って配置されている。第1背もたれ部332には、座部331側に、車両長手方向に平行な第1背もたれ面332aが形成されている。
第2背もたれ部333は、車両幅方向に平行に配置されている。第2背もたれ部333は、車両長手方向について、座部331に対し、乗降口(第1乗降口)12側に配置されている。第2背もたれ部333には、座部331側に、車両幅方向に平行な第2背もたれ面333aが形成されている。第2背もたれ面333aは、背もたれ接続面334aにより、第1背もたれ面332aと接続されている。
椅子330の平面視において、第1背もたれ面332aと第2背もたれ面333aとを含む背もたれ面全体が略L字状になっている。L字状の背もたれ面の隅部は、背もたれ接続面334aにより、面取りされたように丸く形成されている。
上記構成から、椅子330は、(1)第1背もたれ部332に背中をもたれかけるようにする座り方、言い換えると、側構体2に背中を向けて座る座り方と、(2)第2背もたれ部333に背中をもたれかけるようにする座り方、言い換えると、車両の前方を向いて座る座り方との少なくとも2方向からの座り方が可能な椅子である。
第2背もたれ部333に、仕切り350が隣接している。仕切り350は、車両幅方向に平行に配置されている(図8(b)参照)。図9(a)に示すように、仕切り350の上端は、第2背もたれ部333の上端より高位置にある。
図8(b)に示すように、椅子330の周りに、第1多目的スペースS311、第2多目的スペースS312および第3多目的スペースS313が形成されている。椅子330の周りには、椅子330の前方から横まで、多目的スペースが形成されている。本実施形態では、椅子330の後方にもスペースが形成されている。
第1多目的スペースS311は、車両長手方向について、椅子330の前方であって、座部331に対し第2背もたれ部333と反対側に形成されている。第1多目的スペースS311は、椅子330と椅子340との間に形成されている。第1多目的スペースS311は、少なくとも床面Fから座部331の座面331aまでの高さまでの間に形成されている(図8(a)参照)。椅子330と椅子340との間には、手摺り371が配置されている(図8(a)参照)。手摺り371は、側構体2に取り付けられている。手摺り371は、第1多目的スペースS311の上方または第1多目的スペースS311にあるといえる。
第2多目的スペースS312は、図8(b)に示すように、車両幅方向について、椅子330の横であって、座部331に対し第1背もたれ部332と反対側に形成されている。第2多目的スペースS312は、少なくとも床面Fから座部331の座面331aまでの高さまでの間に形成されている(図8(a)参照)。
第3多目的スペースS313は、図8(b)に示すように、第1多目的スペースS311と車両幅方向に重なり、かつ、第2多目的スペースS312と車両長手方向に重なる場所に形成されている。第3多目的スペースS313は、第1多目的スペースS311および第2多目的スペースS312と同様に、少なくとも床面Fから座部331の座面331aまでの高さまでの間に形成されている(図8(a)参照)。
図8(b)に示す第1多目的スペースS311および第3多目的スペースS313は、図8(a)において、窓の前に形成されている。
第1多目的スペースS311の大きさ、第2多目的スペースS312の大きさ、および、第3多目的スペースS313の大きさは、特に限定されず、例えば、上述した第1実施形態における第1多目的スペースS1、第2多目的スペースS2および第3多目的スペースS3の説明で例示した大きさでもよい。
[椅子340とその周囲の多目的スペース]
椅子340は、図8(a)および図8(b)に示すように、座部341と、第1背もたれ部342と、第2背もたれ部343とを有する。第1背もたれ部342と第2背もたれ部343は、1つの共通した部材からなる。
座部341は、座面341aと、第1側面341bと、第2側面341cとを有する(図8(b)参照)。座部341および座面341aは、平面視において、略正方形状である。第1側面341bは、車両長手方向に平行である。第2側面341cは、車両幅方向に平行である。第1側面341bは、座面341aに対して、第1背もたれ部342と反対側に形成されている。第2側面341cは、座面341aに対して、第2背もたれ部343と反対側に形成されている。第1側面341bと第2側面341cとの間に、第1側面341bと第2側面341cとを接続する接続側面341dが形成されている。接続側面341dにより、座部341の角部は面取りされたように丸く形成されている。
第1背もたれ部342は、車両長手方向に平行に配置されている(図8(b)参照)。第1背もたれ部342は、側構体2の内壁面に沿って配置されている。第1背もたれ部342には、座部341側に、車両長手方向に平行な第1背もたれ面342aが形成されている。
第2背もたれ部343は、車両幅方向に平行に配置されている。第2背もたれ部343は、車両長手方向について、座部341に対し、乗降口(第2乗降口)11と反対側に配置されている。第2背もたれ部343には、座部341側に、車両幅方向に平行な第2背もたれ面343aが形成されている。第2背もたれ面343aは、背もたれ接続面344aにより、第1背もたれ面342aと接続されている。
椅子340の平面視において、第1背もたれ面342aと第2背もたれ面343aとを含む背もたれ面全体が略L字状になっている。L字の背もたれ面の隅部は、背もたれ接続面344aにより、面取りされたように丸く形成されている。
上記構成から、椅子340は、(1)第1背もたれ部342に背中をもたれかけるようにする座り方、言い換えると、側構体2に背中を向けて座る座り方と、(2)第2背もたれ部343に背中をもたれかけるようにする座り方、言い換えると、車両の前方を向いて座る座り方との少なくとも2方向からの座り方が可能な椅子である。
第2背もたれ部343に、仕切り360が隣接している。仕切り360は、車両幅方向に平行に配置されている(図8(b)参照)。図9(b)に示すように、仕切り360の上端は、第2背もたれ部343の上端より高位置にある。
図8(b)に示すように、椅子340の周りに、第1多目的スペースS301、第2多目的スペースS302および第3多目的スペースS303が形成されている。椅子340の周りには、椅子340の前方から横まで、多目的スペースが形成されている。
第1多目的スペースS301は、車両長手方向について、椅子340の前方であって、座部341に対し第2背もたれ部343と反対側に形成されている。第1多目的スペースS301は、図8(a)において、椅子340と乗降口(第2乗降口)11との間に形成されている。第1多目的スペースS301は、少なくとも床面Fから座部341の座面341aまでの高さまでの間に形成されている(図8(a)参照)。椅子340と乗降口(第2乗降口)11との間には、手摺り372が配置されている(図8(a)参照)。手摺り372は、側構体2に取り付けられている。手摺り372は、第1多目的スペースS301の上方または第1多目的スペースS301にあるといえる。
第2多目的スペースS302は、図8(b)に示すように、車両幅方向について、椅子340の横であって、座部341に対し第1背もたれ部342と反対側に形成されている。第2多目的スペースS302は、少なくとも床面Fから座部341の座面341aまでの高さまでの間に形成されている(図8(a)参照)。
第3多目的スペースS303は、図8(b)に示すように、第1多目的スペースS301と車両幅方向に重なり、かつ、第2多目的スペースS302と車両長手方向に重なる場所に形成されている。第3多目的スペースS303は、第1多目的スペースS301および第2多目的スペースS302と同様に、少なくとも床面Fから座部341の座面341aまでの高さまでの間に形成されている(図8(a)参照)。
第1多目的スペースS301の大きさ、第2多目的スペースS302の大きさ、および、第3多目的スペースS303の大きさは、特に限定されず、例えば、上述した第1実施形態における第1多目的スペースS1、第2多目的スペースS2および第3多目的スペースS3の説明で例示した大きさでもよい。
車内構造300を、例えば、以下のように使用することができる。
乗客は、椅子330の第1背もたれ部332に背中をもたれかけるように、側構体2に背中を向けて椅子230に座ることができる。乗客は、隣の多目的スペース(S311、S313など)に、ベビーカー、車椅子、スーツケースなどの大きな荷物などを置くことができる。乗客は、ベビーカー、車椅子、スーツケースなどの大きな荷物を乗客と横並びに置くことができる。
乗客は、椅子330の第2背もたれ部333に背中をもたれかけるように、車両の前方を向いて椅子330に座ることができる。乗客は、椅子330に座りながら、目の前の多目的スペース(S311、S313など)で同伴する子供が窓13から外の景色を眺めるのを見守ることができる。また、多目的スペース(S311、S313など)が図8(a)に示すスペースより車両長手方向にやや広い場合、乗客の前方の多目的スペース(S311、S313など)にベビーカーや車椅子を配置し、ベビーカーに乗った乳幼児や車椅子に乗った乗客と椅子330に座った乗客が向かいあわせになるようにすることができる。子供や車椅子に乗った乗客は、手摺り371を利用することができる。また、乗客は、隣の多目的スペース(S312、S313など)に、大きな荷物などを置くことができる。
乗客は、椅子340の第1背もたれ部242に背中をもたれかけるように、側構体2に背中を向けて椅子340に座ることができる。乗客は、隣の多目的スペース(S301、S303など)に、ベビーカー、車椅子、スーツケースなどの大きな荷物などを配置することができる。乗客は、ベビーカー、車椅子、スーツケースなどの大きな荷物を乗客と横並びに置くことができる。
乗客は、椅子340の第2背もたれ部343に背中をもたれかけるように、車両の前方を向いて椅子340に座ることができる。乗客の前方の多目的スペース(S301、S303など)にベビーカーや車椅子を配置し、ベビーカーに乗った乳幼児や車椅子に乗った乗客と椅子340に座った乗客が向かいあわせになるようにすることができる。また、乗客は、椅子340に座りながら、目の前の多目的スペースで同伴する子供が窓13から外の景色を眺めるのを見守ることができる。子供や車椅子に乗った乗客は、手摺り372を利用することができる。さらに、乗客は、隣の多目的スペース(S302、S303など)に、大きな荷物などを置くことができる。
このように、第3実施形態においても、少なくとも2方向から座ることができる一人掛け用の椅子(330、340)を利用することにより、乗客により利用しやすい車内構造300および鉄道車両を提供することができる。
また、椅子330の後方のスペースに、乗客が立つことができる。乗客は、仕切り350にもたれることができる。仕切り350により、立っている乗客が椅子330に座っている乗客に接しない。
また、椅子340の第2背もたれ部343に仕切り360が隣接して配置されていることにより、椅子340と、その後方の第1多目的スペースS311とが仕切られる。これにより、椅子330に座った乗客および第1多目的スペースS311を利用する乗客と、椅子340に座った乗客とが、快適に過ごすことができる。
〔第4実施形態〕
次に、本発明の第4実施形態に係る鉄道車両および車内構造について、図10を参照しつつ以下に説明する。第4実施形態において第1実施形態と異なる点は、一人掛け用の椅子の位置などである。なお、上述した第1実施形態と同一の構成については同一の符号を用い、その説明を適宜省略する。
図10(a)、図10(b)および図10(c)に鉄道車両の車内構造400を示している。図10(a)は、車内から窓14を車両幅方向に視た図である。図10(b)は、車内構造400を上方から視た図であり、図10(a)のXb-Xb線に沿った図である。図10(c)は、図10(a)に示す椅子430をXc-Xc方向から視た図である。図10(a)および図10(b)では、図中の左右方向を車両長手方向とし、図中の右側を車両前方(以下、単に「前方」と称することがある)、図中の左側を車両後方としている(以下、単に「後方」と称することがある)。
図10(a)~図10(c)に示すように、鉄道車両の車内には、一人掛け用の椅子430が配置されている。椅子430は、座部431と、第1背もたれ部432と、第2背もたれ部433とを有する。第1背もたれ部432と第2背もたれ部433は、1つの共通した部材からなる。
座部431は、座面431aと、第1側面431bと、第2側面431cとを有する(図10(b)参照)。座部431および座面431aは、平面視において、略正方形状である。第1側面431bは、車両長手方向に平行である。第2側面431cは、車両幅方向に平行である。第1側面431bは、座面431aに対して、第1背もたれ部432と反対側に形成されている。第2側面431cは、座面431aに対して、第2背もたれ部433と反対側に形成されている。第1側面431bと第2側面431cとの間に、第1側面431bと第2側面431cとを接続する接続側面431dが形成されている。接続側面431dにより、座部431の角部は面取りされたように丸く形成されている。
第1背もたれ部432は、車両長手方向に平行に配置されている(図10(b)参照)。第1背もたれ部432は、側構体2の内壁面に沿って配置されている。第1背もたれ部432には、座部431側に、車両長手方向に平行な第1背もたれ面432aが形成されている。
第2背もたれ部433は、車両幅方向に平行に配置されている。第2背もたれ部433は、妻構体4の内壁面に沿って配置されている。第2背もたれ部433には、座部431側に、車両幅方向に平行な第2背もたれ面433aが形成されている。第2背もたれ面433aは、背もたれ接続面434aにより、第1背もたれ面432aと接続されている。
椅子430の平面視において、第1背もたれ面432aと第2背もたれ面433aとを含む背もたれ面全体が略L字状になっている。L字状の背もたれ面の隅部は、背もたれ接続面434aにより、面取りされたように丸く形成されている。
上記構成から、椅子430は、(1)第1背もたれ部432に背中をもたれかけるようにする座り方、言い換えると、側構体2に背中を向けて座る座り方と、(2)第2背もたれ部433に背中をもたれかけるようにする座り方、言い換えると、妻構体4に背中を向けて座る座り方との少なくとも2方向からの座り方が可能な椅子である。
図10(b)に示すように、椅子430の周りに、第1多目的スペースS401、第2多目的スペースS402および第3多目的スペースS403が形成されている。椅子430の周りには、椅子430の後方から横まで、多目的スペースが形成されている。
第1多目的スペースS401は、車両長手方向について、椅子430の後方であって、座部431に対し第2背もたれ部433と反対側に形成されている。第1多目的スペースS401は、椅子430と乗降口11との間に形成されている。乗降口11は、側構体2に形成された、妻構体4に最も近い乗降口である。第1多目的スペースS401は、少なくとも床面Fから座部431の座面431aまでの高さに形成されている(図10(a)参照)。椅子430と乗降口11との間には、手摺り470が配置されている。手摺り470は、側構体2に取り付けられている。手摺り470は、第1多目的スペースS401の上方または第1多目的スペースS401にあるといえる。
第2多目的スペースS402は、図10(b)に示すように、車両幅方向について、椅子430の横であって、座部431に対し第1背もたれ部432と反対側に形成されている。第2多目的スペースS402は、少なくとも床面Fから座部431の座面431aまでの高さに形成されている(図10(a)参照)。
第3多目的スペースS403は、図10(b)に示すように、第1多目的スペースS401と車両幅方向に重なり、かつ、第2多目的スペースS402と車両長手方向に重なる場所に形成されている。第3多目的スペースS403は、第1多目的スペースS401および第2多目的スペースS402と同様に、少なくとも床面Fから座部431の座面431aまでの高さに形成されている(図10(a)参照)。
第1多目的スペースS401の大きさ、第2多目的スペースS402の大きさ、および、第3多目的スペースS403の大きさは、特に限定されず、例えば、上述した第1実施形態における第1多目的スペースS1、第2多目的スペースS2および第3多目的スペースS3の説明で例示した大きさでもよい。
車内構造400を、例えば、以下のように使用することができる。
乗客は、椅子430の第1背もたれ部432に背中をもたれかけるように、側構体2に背中を向けて椅子430に座ることができる。乗客は、隣の多目的スペース(S401、S403など)に、ベビーカー、車椅子、スーツケースなどの大きな荷物などを配置することができる。乗客は、ベビーカー、車椅子、スーツケースなどの大きな荷物を乗客と横並びに配置することができる。
乗客は、椅子430の第2背もたれ部433に背中をもたれかけるように、車両の後方を向いて椅子430に座ることができる。言い換えると、乗客は、妻構体4に背中を向けて椅子430に座ることができる。乗客の後方の多目的スペース(S401、S403など)にベビーカーや車椅子を配置し、ベビーカーに乗った乳幼児や車椅子に乗った乗客と椅子430に座った乗客が向かいあわせになるようにすることができる。また、乗客は、椅子430に座りながら、目の前の多目的スペースで過ごす子供を見守ることができる。車椅子に乗った乗客や多目的スペースで過ごす子供は、手摺り470を使用することができる。さらに、乗客は、隣の多目的スペース(S402、S403など)に、大きな荷物などを置くことができる。
このように、第4実施形態においても、少なくとも2方向から座ることができる一人掛け用の椅子430を利用することにより、乗客により利用しやすい車内構造400および鉄道車両を提供することができる。
〔第5実施形態〕
次に、本発明の第5実施形態に係る鉄道車両および車内構造について、図11を参照しつつ以下に説明する。第5実施形態において第1実施形態と異なる点は、一人掛け用の椅子の位置などである。なお、上述した第1実施形態と同一の構成については同一の符号を用い、その説明を適宜省略する。
図11(a)、図11(b)および図11(c)に鉄道車両の車内構造500を示している。図11(a)は、車内から窓14を車両幅方向に視た図である。図11(b)は、車内構造500を上方から視た図であり、図11(a)のXIb-XIb線に沿った図である。図11(c)は、図11(a)に示す椅子530をXIc-XIc方向から視た図である。図11(a)および図11(b)では、図中の左右方向を車両長手方向とし、図中の右側を車両前方(以下、単に「前方」と称することがある)、図中の左側を車両後方としている(以下、単に「後方」と称することがある)。
図11(a)~図11(c)に示すように、鉄道車両の車内には、一人掛け用の椅子530が配置されている。椅子530は、妻構体4と、乗降口11との間に配置されている。乗降口11は、側構体2に形成された、妻構体4に最も近い乗降口である。椅子530は、座部531と、第1背もたれ部532と、第2背もたれ部533とを有する。第1背もたれ部532と第2背もたれ部533は、1つの共通した部材からなる。
座部531は、座面531aと、第1側面531bと、第2側面531cとを有する(図11(b)参照)。座部531および座面531aは、平面視において、略正方形状である。第1側面531bは、車両長手方向に平行である。第2側面531cは、車両幅方向に平行である。第1側面531bは、座面531aに対して、第1背もたれ部532と反対側に形成されている。第2側面531cは、座面531aに対して、第2背もたれ部533と反対側に形成されている。第1側面531bと第2側面531cとの間に、第1側面531bと第2側面531cとを接続する接続側面531dが形成されている。接続側面531dにより、座部531の角部は面取りされたように丸く形成されている。
第1背もたれ部532は、車両長手方向に平行に配置されている(図11(b)参照)。第1背もたれ部532は、側構体2の内壁面に沿って配置されている。第1背もたれ部532には、座部531側に、車両長手方向に平行な第1背もたれ面532aが形成されている。
第2背もたれ部533は、車両幅方向に平行に配置されている。第2背もたれ部533には、座部531側に、車両幅方向に平行な第2背もたれ面533aが形成されている。第2背もたれ面533aは、背もたれ接続面534aにより、第1背もたれ面532aと接続されている。
椅子530の平面視において、第1背もたれ面532aと第2背もたれ面533aとを含む背もたれ面全体が略L字状になっている。L字状の背もたれ面の隅部は、背もたれ接続面534aにより、面取りされたように丸く形成されている。
上記構成から、椅子530は、(1)第1背もたれ部532に背中をもたれかけるようにする座り方、言い換えると、側構体2に背中を向けて座る座り方と、(2)第2背もたれ部533に背中をもたれかけるようにする座り方、言い換えると、車両の前方を向いて座る座り方との少なくとも2方向からの座り方が可能な椅子である。
第2背もたれ部533に、仕切り550が隣接して配置されている。仕切り550は、車両幅方向に平行に配置されている(図11(b)参照)。図11(c)に示すように、仕切り550の上端は、第2背もたれ部533の上端より高位置にある。
図11(b)に示すように、椅子530の周りに、第1多目的スペースS501、第2多目的スペースS502および第3多目的スペースS503が形成されている。椅子530の周りには、椅子530の前方から横まで、多目的スペースが形成されている。
第1多目的スペースS501は、車両長手方向について、椅子530の前方であって、座部531に対し第2背もたれ部533と反対側に形成されている。第1多目的スペースS501は、椅子530と妻構体4との間に形成されている。第1多目的スペースS501は、少なくとも床面Fから座部531の座面531aまでの高さに形成されている(図11(a)参照)。椅子530と妻構体4との間には、手摺り570が配置されている。手摺り570は、側構体2に取り付けられている。手摺り570は、第1多目的スペースS501の上方または第1多目的スペースS501にあるといえる。
第2多目的スペースS502は、図11(b)に示すように、車両幅方向について、椅子530の横であって、座部531に対し第1背もたれ部532と反対側に形成されている。第2多目的スペースS502は、少なくとも床面Fから座部531の座面531aまでの高さに形成されている(図11(a)参照)。
第3多目的スペースS503は、図11(b)に示すように、第1多目的スペースS501と車両幅方向に重なり、かつ、第2多目的スペースS502と車両長手方向に重なる場所に形成されている。第3多目的スペースS503は、第1多目的スペースS501および第2多目的スペースS502と同様に、少なくとも床面Fから座部531の座面531aまでの高さに形成されている(図11(a)参照)。
第1多目的スペースS501および第3多目的スペースS503は、図11(a)において、窓14の前に形成されている。
第1多目的スペースS501の大きさ、第2多目的スペースS502の大きさ、および、第3多目的スペースS503の大きさは、特に限定されず、例えば、上述した第1実施形態における第1多目的スペースS1、第2多目的スペースS2および第3多目的スペースS3の説明で例示した大きさでもよい。
車内構造500を、例えば、以下のように使用することができる。
乗客は、椅子530の第1背もたれ部532に背中をもたれかけるように、側構体2に背中を向けて椅子530に座ることができる。乗客は、隣の多目的スペース(S501、S503など)に、ベビーカー、車椅子、スーツケースなどの大きな荷物などを配置することができる。乗客は、ベビーカー、車椅子、スーツケースなどの大きな荷物を乗客と横並びに配置することができる。
乗客は、椅子530の第2背もたれ部533に背中をもたれかけるように、車両の前方を向いて椅子530に座ることができる。乗客は、椅子530に座りながら、目の前の多目的スペース(S501、S503など)で同伴する子供が窓13から外の景色を眺めるのを見守ることができる。子供は、手摺り570を使用することができる。また、椅子530が図11(a)に示す位置よりやや後方である場合、乗客の前方の多目的スペース(S501、S503など)にベビーカーや車椅子を配置し、ベビーカーに乗った乳幼児や車椅子に乗った乗客と椅子430に座った乗客が向かいあわせになるようにすることができる。また、乗客は、隣の多目的スペース(S502、S503など)に、大きな荷物などを置くことができる。
このように、第5実施形態においても、少なくとも2方向から座ることができる一人掛け用の椅子530を利用することにより、乗客により利用しやすい車内構造500および鉄道車両を提供することができる。
また、椅子530の後方のスペースに、乗客が立つことができる。乗客は、仕切り550にもたれることができる。仕切り550により、立っている乗客が椅子530に座っている乗客に接しない。
〔椅子の変形例〕
上述した第1~第5実施形態では、例えば、図2(b)に示すように、椅子30の座部31が、平面視において、略正方形形状である。また、第1背もたれ面32aと第2背もたれ面33aとを含む背もたれ面全体が略L字状である。しかし、椅子の座部および背もたれ面は、上述した形状に限定されず、変更可能である。例えば、以下に説明する変形例1又は変形例2に示す座部および背もたれ面としてもよい。
[変形例1]
図12に示す椅子640は、座部641と、第1背もたれ部642と、第2背もたれ部643とを有する。第1背もたれ部642と第2背もたれ部643は、1つの共通した部材からなる。
座部641は、座面641aと、第1側面641bと、第2側面641cと、湾曲側面641dとを有する。座部641は、湾曲側面641dによって確定された湾曲部641Dを有する。第1側面641bは、車両長手方向に平行である。第2側面641cは、車両幅方向に平行である。第1側面641bは座面641aに対して、第1背もたれ部642と反対側に形成されている。第2側面641cは、座面641aに対して、第2背もたれ部643と反対側に形成されている。
第1側面641bと第2側面641cとの間に、第1側面641bと第2側面641cとを接続する湾曲側面641dが形成されている。湾曲側面641dは、外側に向かって凸状に湾曲している。「外側」とは、椅子640の平面視において、第1背もたれ部642および/または第2背もたれ部643から離れる方向である。
第1背もたれ部642は、車両長手方向に平行に配置されている。第1背もたれ部642は、側構体2の内壁面に沿って配置されている。第1背もたれ部642には、座部641側に、車両長手方向に平行な第1背もたれ面642aが形成されている。
第2背もたれ部643は、車両幅方向に平行に配置されている。第2背もたれ部643には、座部641側に、車両幅方向に平行な第2背もたれ面643aが形成されている。
第1背もたれ面642aと第2背もたれ面643aとの間に、第1背もたれ面642aと第2背もたれ面643aとを接続する背もたれ湾曲面644aが形成されている。背もたれ湾曲面644aは、座部641と反対側に向かって凸状に湾曲している。
上記構成の椅子640により、乗客は、椅子640の湾曲部640Dで膝を曲げて座部641に座ることにより、自然な姿勢で、第1背もたれ面642aと第2背もたれ面643aとの間の背もたれ湾曲面644aに背中を向けて座ることができる。これにより、(1)第1背もたれ部642に背中をもたれかけるようにする座り方(図13(a)参照)と、(2)第2背もたれ部643に背中をもたれかけるようにする座り方(図13(b)参照)とに加え、これら以外の方向を向いた座り方(例えば、図13(c)~(e)参照)が可能である。
具体的には、乗客は湾曲部641Dで膝を曲げて座るとき、以下のように、車両幅方向または車両長手方向に対して傾斜した方向を向いて座ることができる。
・図13(c)に示すように、自然な姿勢で、車両幅方向に対して少し傾斜した方向を向いて座ることができる。
・図13(d)に示すように、自然な姿勢で、車両幅方向(または車両長手方向)に対し約45°傾斜した方向を向いて座ることができる。
・図13(e)に示すように、自然な姿勢で、車両長手方向に対し少し傾斜した方向を向いて座ることができる。
このように3方向以上から座りやすい一人用の椅子640を提供できるため、主に乗客の移動に使用される鉄道車両の車内構造として、乗客がさらに利用しやすい車内構造を提供することができる。
また、図13(c)~図13(e)に示すように、乗客は、湾曲部641Dで膝を曲げて座った場合、車内の平面視において、乗客が向いた方向に、第3多目的スペースS613だけ、または、第1多目的スペースS611若しくは第2多目的スペースS612と第3多目的スペースS613とが、存在するため、第3多目的スペースS613を有効に利用できる。また、第3多目的スペースS613の両側の第1多目的スペースS611および第2多目的スペースS612を有効に利用できる。
また、図12に示すように、椅子640の平面視において、「第1側面641bの車両長手方向の長さlb」は、「座面641aの車両長手方向最大長さLb」の1/2以下であることが好ましい。また、椅子640の平面視において、「第2側面641cの車両幅方向の長さlc」は、「座面641aの車両幅方向最大長さLc」の1/2以下であることが好ましい。
第1側面641bおよび第2側面641cが上記長さである場合、これらの間の湾曲側面641dの割合が大きくなることにより、湾曲部640Dの割合が大きくなる。これにより、乗客が湾曲部641Dで膝を曲げて座るとき、座る向きの自由度が高くなる。
なお、椅子640には、車両長手方向に平行な第1側面641bと、車両幅方向に平行な第2側面641cとが存在する。第1側面641bが存在することにより、図13(a)に示すように、(1)乗客は、自然な姿勢で第1背もたれ部642に背中をもたれかけるように座りやすい。第2側面641cが存在することにより、図13(b)に示すように、(2)乗客は、自然な姿勢で第2背もたれ部643に背中をもたれかけるように座りやすい。
乗客は、車両長手方向と車両幅方向とがなす角(90°)の範囲で(図13(e)参照)、様々な方向を向いて座ることができる。
なお、図12において、「座部641の第1側面641bの車両長手方向の長さlb」の下限は特に限定されない。第1側面641bが少しででも存在することにより、図13(a)に示すように、乗客は、第1背もたれ部642に背中をもたれかけるように座りやすい。
また、図12において、「座部641の第2側面641cの車両幅方向の長さlc」の下限は特に限定されない。第2側面641cが少しでも存在することにより、図13(b)に示すように、乗客は、第2背もたれ部643に背中をもたれかけるように座りやすい。
図12および図13(a)~(e)には、座部641の平面視において、「第1側面641bの車両長手方向の長さlb」が「座面641aの車両長手方向の最大長さLb」の1/2であり、「第2側面641bの車両幅方向の長さlc」が「座面641aの車両幅方向の最大長さLc」の1/2である場合を示しているが、これに限定されない。
例えば、座部641の平面視において、「第1側面641bの車両長手方向の長さlb」が、「座面641aの車両長手方向の最大長さLb」の1/4以上でもよい。例えば、座部641の平面視において、「第2側面641bの車両幅方向の長さlc」が、「座面641aの車両幅方向の最大長さLc」の1/4以上でもよい。
さらに、図12において、椅子640の平面視において、「第1背もたれ面642aの車両長手方向の長さhb1」は、「第1背もたれ面642aの先端642atから第2背もたれ面643aまでの車両長手方向の最大長さ」(図12では「Lb」)の3/5以下であることが好ましい。例えば、「第1背もたれ面642aの車両長手方向の長さhb1」は、「第1背もたれ面642aの先端642atから第2背もたれ面643aまでの車両長手方向の最大長さ」(図12では「Lb」)の1/2以下であってもよい。椅子640の平面視における「第1背もたれ面642aの先端642at」とは、椅子640の平面視において、第1背もたれ面642aの車両長手方向の両端のうち、第2背もたれ面643aから遠い一端である。
また、椅子640の平面視において、「第2背もたれ面643aの車両幅方向の長さhc1」は、「第2背もたれ面643aの先端643atから第1背もたれ面642aまでの車両幅方向の最大長さ」(図12では「Lc」)の3/5以下であることが好ましい。例えば、「第2背もたれ面643aの車両幅方向の長さhc1」は、「第2背もたれ面643aの先端643atから第1背もたれ面642aまでの車両幅方向の最大長さ」(図12では「Lc」)の1/2以下であってもよい。椅子640の平面視における「第2背もたれ面643aの先端643at」とは、椅子640の平面視において、第2背もたれ面643aの車両幅方向の両端のうち、第1背もたれ面642aから遠い一端である。
第1背もたれ面642aおよび第2背もたれ面643aが上記長さである場合、これらの間の背もたれ湾曲面644aの割合が大きくなる。これにより、乗客が背もたれ湾曲面644aに背中を持たれかけるように、湾曲部640Dに座りやすい。
また、椅子640に、車両長手方向に平行な第1背もたれ面642aが存在することにより、(1)乗客は、図13(a)に示すように、第1背もたれ部642に背中をもたれかけるように座りやすい。椅子640に、車両幅方向に平行な第2背もたれ面643aが存在することにより、(2)乗客は、図13(b)に示すように、第2背もたれ部643に背中をもたれかけるように座りやすい。
上記により、様々な方向から座りやすい椅子640を提供することができる。
なお、図12において、「第1背もたれ面642aの車両長手方向の長さhb1」の下限は特に限定されない。座部641に第1背もたれ面642aが少しでも形成されていることにより、図13(a)に示すように、乗客は、第1背もたれ部642に背中をもたれかけるように座りやすい。
また、図12において、椅子640の平面視において、「第2背もたれ面643aの車両幅方向の長さhc1」の下限は特に限定されない。座部641に第2背もたれ面643aが少しでも形成されていることにより、図13(b)に示すように、乗客は、第2背もたれ部643に背中をもたれかけるように座りやすい。
例えば、座部641の平面視において、第1背もたれ面642aの車両長手方向の長さが、座面641aの車両長手方向の最大長さLbの1/4以上でもよい。例えば、座部641の平面視において、第2背もたれ面643aの車両幅方向の長さが、座面641aの車両幅方向の最大長さLcの1/4以上でもよい。
図12および図13(a)~(e)には、座部641の平面視において、「第1背もたれ面642aの車両長手方向の長さhb1」が「第1背もたれ面642aの先端642atから第2背もたれ面643aまでの車両長手方向の最大長さ」(図12では「Lb」)の1/2であり、「第2背もたれ面643aの車両幅方向の長さhc1」が、「第2背もたれ面643aの先端643atから第1背もたれ面642aまでの車両幅方向の最大長さ」(図12では「Lc」)の1/2である場合を示しているが、これらに限定されない。
また、図12および図13(a)~(e)に示す椅子640は、平面視において、座部641の側面と、第1背もたれ部642および第2背もたれ部643を含む背もたれ面全体とが、同じ形状である。しかし、座部641の側面と、背もたれ面全体とが、同じ形状でなくてもよい。
[変形例2]
図14に示す椅子740は、座部741と、第1背もたれ部742と、第2背もたれ部743とを有する。第1背もたれ部742と第2背もたれ部743は、1つの共通した部材からなる。
座部741は、座面741aと、湾曲側面741dとを有する。座部741は、側面として、湾曲側面741dのみを有する。湾曲側面741dは、外側に向かって凸状に湾曲している。「外側」とは、椅子740の平面視において、第1背もたれ部742および/または第2背もたれ部743から離れる方向である。座部741は、湾曲側面741dによって確定された湾曲部741Dを有している。
第1背もたれ部742は、車両長手方向に平行に配置されている。第1背もたれ部742は、側構体2の内壁面に沿って配置されている。第1背もたれ部742には、座部741側に、車両長手方向に平行な第1背もたれ面742aが形成されている。
第2背もたれ部743は、車両幅方向に平行に配置されている。第2背もたれ部743には、座部741側に、車両幅方向に平行な第2背もたれ面743aが形成されている。
第1背もたれ面742aと第2背もたれ面743aとの間に、第1背もたれ面742aと第2背もたれ面743aとを接続する背もたれ湾曲面744aが形成されている。背もたれ湾曲面744aは、座部741と反対側に向かって凸状に湾曲している。
上記構成によると、座部741の側面全体が湾曲しているため、乗客は、座部741のどの位置に座っても乗客の足に座部が当たらない。乗客は、第1背もたれ部742と第2背もたれ部743との間でどの方向を向いてもよいため、乗客の座る方向の自由度が高い。
また、座部741の側面(湾曲側面741d)の両端部も湾曲している。これにより、乗客は第1背もたれ部742または第2背もたれ部743の横に座ったとき、横の第1背もたれ部742側または第2背もたれ部743側に体をひねる、または、腕の位置をずらすなどができる。
例えば、図15(a)に示すように、(1)乗客は、自然な姿勢で第1背もたれ部742に背中をもたれかけるようにする座った状態から、乗客の横の第2背もたれ部743側に体をひねるなどすることができる(図15(b)参照)。
また、図15(c)に示すように、(2)乗客は、自然な姿勢で第2背もたれ部743に背中をもたれかけるようにする座った状態から、乗客の横の第1背もたれ部742側に体をひねるなどすることができる(図15(d)参照)。
また、例えば、図15(e)に示すように、(3)乗客は、自然な姿勢で第1背もたれ面742aと第2背もたれ面743aとの間の背もたれ湾曲面744aに背中を向けて座ることができる。この場合、車内の平面視において、乗客が向いた方向に、第3多目的スペースS713だけ、または、第1多目的スペースS711若しくは第2多目的スペースS712と第3多目的スペースS713とが、存在するため、第3多目的スペースS713を有効に利用できる。また、第3多目的スペースS713の両側の第1多目的スペースS711および第2多目的スペースS712を有効に利用できる。さらに、乗客は、背もたれ湾曲面744aに背中を向けて座った状態から、体を左右両側にひねるなどすることができる。
上記より、乗客は、車両長手方向と車両幅方向とがなす角(90°)より大きい角度(例えば、110°)の範囲で(図15(a)参照)、様々な方向を向いて座ることができる。
図14に示すように、座部741が側面として湾曲側面741dのみを有する場合でも、車両長手方向に平行な第1背もたれ面742aが存在することにより、(1)乗客は、図15(a)に示すように、第1背もたれ部642に背中をもたれかけるように座りやすい。椅子740に、車両幅方向に平行な第2背もたれ面743aが存在することにより、(2)乗客は、図15(c)に示すように、第2背もたれ部743に背中をもたれかけるように座りやすい。
図14において、「第1背もたれ面742aの車両長手方向の長さhb2」は、変形例1と同様に、「第1背もたれ面742aの先端742atから第2背もたれ面743aまでの車両長手方向の最大長さ」(図14では「Lb」)の3/5以下であることが好ましい。椅子740の平面視における「第1背もたれ面742aの先端742at」とは、椅子740の平面視において、第1背もたれ面742aの車両長手方向の両端のうち、第2背もたれ面743aから遠い一端である。 図14には、「第1背もたれ面742aの車両長手方向の長さhb2」が「第1背もたれ面742aの先端742atから第2背もたれ面743aまでの車両長手方向の最大長さ」(図14では「Lb」)の3/5である場合を示しているが、これに限定されない。
図14において、「第2背もたれ面743aの車両長手方向の長さhc2」は、変形例1と同様に、「第2背もたれ面743aの先端743atから第1背もたれ面742aまでの車両長手方向の最大長さ」(図14では「Lc」)の3/5以下であることが好ましい。椅子740の平面視における「第2背もたれ面743aの先端743at」とは、椅子740の平面視において、第2背もたれ面743aの車両幅方向の両端のうち、第1背もたれ面742aから遠い一端である。
図14には、「第2背もたれ面743aの車両長手方向の長さhc2」が「第2背もたれ面743aの先端743atから第1背もたれ面742aまでの車両長手方向の最大長さ」(図14では「Lc」)の3/5である場合を示しているが、これに限定されない。
また、図14および図15(a)~(e)には、座部741の湾曲側面741dが円弧状である場合を示している。しかし、湾曲側面741dが円弧状でなくてもよい。
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
例えば、上述した第1実施形態では、図2(a)に示すように、椅子30の第2背もたれ部33に仕切り50が隣接して配置されている。椅子40の第2背もたれ部43に仕切り60が隣接して配置されている。上述した第3実施形態では、図8(a)に示すように、椅子330の第2背もたれ部333に仕切り350が隣接して配置されている。椅子340の第2背もたれ部343に仕切り360が隣接して配置されている。上述した第5実施形態では、図11(a)に示すように、椅子530の第2背もたれ部533に仕切り550が隣接して配置されている。しかし、これらの実施形態において、椅子の第2背もたれ部に仕切りが隣接していなくてもよい。椅子の第2背もたれ部に仕切りが隣接しておらず、第2背もたれ部が上方に長くてもよい。上方に長い第2背もたれ部が、仕切りの代替となる。
また、上述した第2実施形態において、図6(a)および図6(b)に示すように、椅子230および椅子240は、仕切り250を介して隣り合っている。しかし、椅子230および椅子240は、仕切り250を介さずに隣り合っていてもよい。
また、上述した第2実施形態において、図6(a)および図6(b)に示すように、椅子230の第2背もたれ部233と椅子240の第2背もたれ部243とが仕切り250を介して隣り合っている。しかし、第2背もたれ部233と第2背もたれ部243は、仕切りを介さずに隣り合ってもよい。第2背もたれ部233と第2背もたれ部243が仕切りを介さずに隣り合っておらず、第2背もたれ部233および/または第2背もたれ部243が上方に長くてもよい。上方に長い第2背もたれ部233および/または第2背もたれ部243が、仕切りの代替となる。また、第2背もたれ部233と第2背もたれ部243とが、1つの共通した部材からなるものでもよい。第2背もたれ部233と第2背もたれ部243とが1つの共通した部材からなり、この1つの共通した部材が上方に長くてもよい。1つの共通した上方に長い部材が、2つの椅子の背もたれになることに加え、仕切りの代替となる。
また、上述した第4実施形態の車内構造400(図10参照)と第5実施形態の車内構造500(図11参照)は、鉄道車両の長手方向前方の端部の車内構造である。しかし、第4実施形態の車内構造400と第5実施形態の車内構造500は、鉄道車両の長手方向後方の端部にも採用可能である。
また、上述した第1~5実施形態および変形例1、2において、第1背もたれ部と第2背もたれ部とが1つの共通した部材からなる。しかし、第1背もたれ部と第2背もたれ部とが別部材で、これらが隣接することにより第1背もたれ部と第2背もたれ部との隙間が殆どなくてもよい。また、第1背もたれ部と第2背もたれ部とが別部材で、これらが接続されていてもよい。
また、上述した第1~5実施形態および変形例1、2において、一人掛け用の椅子(30、40、230、240、330、340、430、530、640、740)が折り畳み式でなく、固定式である場合、一人掛け用の椅子はいつでも座れる状態であるため、ベビーカー、車椅子、スーツケースなどの大きな荷物や子供などを同伴した乗客は、椅子にすぐに座れる。また、乗客の手がふさがっていても、手がふさがったまま乗客は椅子に座ることができる。一人掛け用の椅子が固定式であるとは、例えば、一人掛け用の椅子の座部と第1背もたれ部と第2背もたれ部とが折り畳めず、常に図2~図15に示す状態である。