以下、本実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1(図1Aおよび図1B)は、本実施の形態におけるインクジェット画像形成装置1の概略構成図である。また、図2は、インクジェット画像形成装置1の主要な機能構成を示すブロック図である。
図1Aおよび図1Bは、第1から第3の実施の形態に共通する構成を説明する図であり、搬送ドラム方式のインクジェット画像形成装置1の概略構成を示す。
図1Aに示すように、このインクジェット画像形成装置1は、記録媒体Pを給送(給紙)する給紙部11、搬送部2および画像形成部3等を備えた画像形成装置本体300、および画像が形成された記録媒体Pを排紙する排紙部28を備えている。また、インクジェット画像形成装置1は、搬送方向における後述する画像形成部3の下流側に、エネルギー線照射部60を備えている(図2も参照)。
また、インクジェット画像形成装置1は、図2に示すように、印刷ジョブに関する種々のデータが入力および記憶されるデータ入力部10、およびインクジェット画像形成装置1全体の制御を司る制御部40を備える。
図1Aを参照すると、給紙部11は、記録媒体Pを格納する給紙トレイ111と、給紙トレイ111から画像形成部3に記録媒体Pを搬送して供給する媒体供給部112とを有する。
給紙トレイ111は、一または複数の記録媒体Pを載置可能に設けられた板状の部材である。給紙トレイ111は、給紙トレイ111に載置された記録媒体Pの量(枚数)に応じて上下動するように設けられており、当該上下動方向について、最上の記録媒体Pが媒体供給部112により搬送される位置で保持される。
媒体供給部112は、内側が2本のローラーにより支持された輪状のベルトを備え、このベルト上に記録媒体Pを載置した状態でローラーを回転させることで、記録媒体Pを給紙トレイ111から画像形成装置本体300内へ搬送する。
画像形成装置本体300は、記録媒体Pを搬送する用紙搬送部2として、受け渡しローラー52と、大径(この例では3倍胴)の搬送ドラム53と、複数の搬送ローラー56~59と、を備える。以下、上記の搬送ドラム53を「胴」と呼ぶ場合がある。
上記のうち、主として、搬送ドラム53および搬送ローラー56~59に備えられた後述の爪部によって、記録媒体Pの搬送路ないし搬送先を切り替える搬送切替部25(図2を参照)が構成される。
また、画像形成装置本体300は、後述する複数のインクジェットヘッドが配列される画像形成部3と、記録媒体P上に形成された画像(インク像)を硬化させて記録媒体Pに定着させるためのエネルギー線照射部60と、を備えている。
さらに、画像形成装置本体300は、記録媒体Pの表裏を反転させて送り出すための用紙反転部26を備えている。この例では、主として、搬送ローラー59とスイングアーム部51bとの協働動作により、用紙反転部26の機能が実現される。
受け渡しローラー52は、給紙部11の媒体供給部112により搬送された記録媒体Pを搬送ドラム53に引き渡す。受け渡しローラー52は、その搬送面上で記録媒体Pを保持するために、制御部40の制御により開閉状態が切り替えられる爪部52aを備える。
受け渡しローラー52は、給紙部11の媒体供給部112と搬送ドラム53との間の位置に設けられ、媒体供給部112から搬送された記録媒体Pの一端をスイングアーム部51fで保持して取り上げるとともに爪部52aで保持し、図1A中の矢印で示す時計方向に回転することで、記録媒体Pを搬送ドラム53(いずれかの爪部53a~53c)へと引き渡す。
搬送ドラム53は、円柱面状の外周曲面(搬送面)53e上に記録媒体Pを保持した状態で、図1Aの紙面に垂直な方向(以下、「直交方向」と称する)に延びた回転軸の回りで回転することで、記録媒体Pを搬送面53eに沿った搬送方向(同図中の矢印で示す反時計方向)に搬送する。
搬送ドラム53は、その搬送面53e上で記録媒体Pを保持するために、爪部53a,53b,53c,および図示しない吸気部を備える。
搬送ドラム53に設けられた3つの爪部53a,53b,53cは、受け渡しローラー52および搬送ローラー56,57および58の周長と同じ間隔で配置されている。記録媒体Pは、いずれかの爪部53a~53cにより端部が押さえられ、かつ押圧ローラー70により搬送ドラム53の搬送面に密着するように押圧されるとともに吸気部により搬送面に吸い寄せられることで、搬送ドラム53の搬送面53eに保持される。
搬送ドラム53の爪部53a,53b,53cは、上記の押圧状態が解除される(開方向に動く)ことにより、搬送面53eに保持された記録媒体Pの一端を下流側の搬送ローラー56の爪部56aに受け渡す役割を担う。
図1Bは、押圧ローラー70における押圧機構の概要を示す。図示のように、押圧ローラー70の軸には、押圧ローラー70を付勢する押圧バネ71の一端が設けられており、押圧バネ71の他端には、カムやソレノイド(図示せず)などの押圧力切替部の端部が取り付けられている。
かくして、押圧ローラー70は、押圧バネ71の押圧力(バネ力)によって搬送ドラム53の搬送面53eに付勢される。また、押圧ローラー70は、制御部40の制御によって押圧力切替部が駆動されることにより、押圧バネ71の押圧力を、図1B中の実線で示す位置Aと点線で示す位置Bとの間で変更ないし調整できるようになっている。
なお、上述した押圧ローラー70は、本発明の「押圧部」に対応する。
搬送ドラム53の爪部53a,53b,53cは、制御部40の制御により爪の開状態/閉状態が切り替えられる。具体的には、爪部(53a,53b,53c)は、上流側の受け渡しローラー52の爪部52aから記録媒体Pの一端が受け渡されるタイミングで閉状態となることで、記録媒体Pの一端を保持する。また、爪部(53a,53b,53c)は、下流側の搬送ローラー56に録媒体Pの一端を受け渡すタイミングで開状態となることで、下流側の搬送ローラー56の爪部56aに録媒体Pの一端を受け渡す。
用紙搬送部2(図1Aおよび図2を参照)は、上記の搬送ドラム53を回転させるための図示しない搬送ドラムモーターを有し、制御部40の制御の下、搬送ドラムモーターを駆動して搬送ドラム53を搬送ドラムモーターの回転量に比例した角度だけ回転させることで、記録媒体Pを搬送する。搬送ドラム53および搬送ドラムモーターは、記録媒体Pをインクジェットヘッド33~39のノズル面に対向させて搬送する役割を担っており、本発明の「搬送部」に対応する。
インクジェットヘッド(以下は単に「ヘッド」とも称する)33,35,37,39は、記録媒体Pが保持された搬送ドラム53の回転に応じた適切なタイミングで、搬送ドラム53の搬送面に対向するインク吐出面に設けられたノズル開口部から記録媒体Pに対してインクを吐出して画像を形成する。これらヘッド33~39は、そのインク吐出面と搬送ドラム53の搬送面53eとの間が所定の距離だけ離隔されるように配置される。
図1Aに示す例では、搬送方向の上流側から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各インクにそれぞれ対応する4つのヘッド33,35,37,39が、記録媒体Pの搬送方向上流側からY,M,C,Kの色の順に所定の間隔で並ぶように配列されている。
図示しないが、一具体例では、各々のヘッド(33~39)には、インクを貯留する圧力室と、圧力室の壁面に設けられた圧電素子と、ノズルとを各々有する複数の記録素子が設けられている。この記録素子は、圧電素子を変形動作させる駆動信号が入力されると、圧電素子の変形により圧力室が変形して圧力室内の圧力が変化し、圧力室に連通するノズルからインクを吐出する。
図2を参照すると、データ入力部10は、図示しないPC等の外部装置に接続される入力インターフェース、メモリー等を備える。ここで、メモリーは、例えばHDD(Hard Disk Drive)が用いられ、また、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などが併用されてもよい。
データ入力部10は、制御部40の制御の下、外部装置から印刷ジョブに関するデータ(ジョブ命令、印刷される画像の画像データや種々の設定データなど)を取得(入力および記憶)し、印刷ジョブの実行時に画像データをヘッド駆動部30に出力する。
インクジェット画像形成装置1の画像形成部3は、互いに異なる色のインクを吐出する複数のヘッド33~39と、これらヘッドを駆動するヘッド駆動部30と、を備える。
ヘッド駆動部30は、制御部40の制御に基づいて各々のヘッド(33~39)に対して適切なタイミングで画像データに応じて圧電素子を変形動作させる駆動信号を供給することにより、対応するヘッド(33~39)のノズルから画像データの画素値に応じた量のインクを吐出させる。
図示しないが、制御部40は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、およびROM(Read Only Memory)を有する。
上記のうち、CPUは、ROMに記憶された各種制御用のプログラムや設定データを読み出してRAMに記憶させ、当該プログラムを実行して各種の演算処理を行う。また、CPUは、インクジェット画像形成装置1の全体動作を統括制御する。
RAMは、CPUに作業用のメモリー空間を提供し、一時データを記憶する。なお、RAMは、不揮発性メモリーを含んでいてもよい。
ROMは、CPUにより実行される各種制御用のプログラムや設定データ等を格納する。なお、ROMに代えて、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)やフラッシュメモリー等の書き換え可能な不揮発性メモリーが用いられてもよい。
エネルギー線照射部60は、搬送ドラム53の直交方向の幅に亘って配置された発光部を有する。エネルギー線照射部60は、搬送ドラム53に載置された記録媒体Pに対して発光部から紫外線等のエネルギー線を照射して、記録媒体P上に吐出されたインクに対して所定のエネルギーを付与することにより、記録媒体P上のインクを硬化させて定着させる。
図1Aに示す例では、ヘッド33,35,37,39から紫外線(UV)硬化型のインクが吐出される場合を前提とする。なお、画像形成部3で使用されるインクは、これに限定されず、例えば赤外線や電子線等の他のエネルギー線の照射により乾燥、または、硬化する性質のものであってもよい。
搬送方向におけるエネルギー線照射部60の下流側には、搬送ドラム53に対向する搬送ローラー56,搬送ローラー56に対向する搬送ローラー57,搬送ローラー57に対向する搬送ローラー58および59,搬送ローラー58に対向するベルト搬送部280が設けられている。また、搬送方向における搬送ローラー59の下流側には、搬送ローラー59から搬送される記録媒体Pの後端を保持して取り上げるスイングアーム部51bが設けられている。
上記のうち、搬送ローラー59およびスイングアーム部51bは、記録媒体Pの進行方向の前後ひいては表裏を反転させる用紙反転部26(図2も参照)としての役割を担う。
また、上記の搬送ローラー56,57,58,59には、各々、制御部40の制御により開閉が切り替えられる爪部56a,57a,58a,59aを備えている。
搬送ドラム53および搬送ローラー56等の上述した各爪部は、記録媒体Pの搬送方向を切り替えるための搬送切替部25(図2を参照)の一部をなす。
ベルト搬送部280は、内側が3本のローラーにより支持された輪状の搬送ベルトを有する。ベルト搬送部280は、搬送ローラー57および58から受け渡された記録媒体Pを搬送ベルトにより搬送して、排紙部28に送出する。
排紙部28は、ベルト搬送部280により画像形成装置本体300から送り出された記録媒体Pが載置される板状の排紙トレイ281を有する。
なお、図1Aに示すインクジェット画像形成装置1では、搬送ドラム53と、搬送ドラム53に対向する受け渡しローラー52,搬送ローラー56との間、および他の搬送ローラー間との間に所定の隙間が設けられている。かかる隙間が設けられることにより、仮に記録媒体P上に形成されたインクの硬化(定着)が十分でない場合にも、記録媒体Pの画像形成面が対向するローラーに密着または擦られることでインク像が損なわれる等の不具合を防止ないし抑制することができる。この点、後述する図6および図19に示すインクジェット画像形成装置1Aおよび1Eの構成も同様である。
かかる構成の画像形成装置1では、制御部40の制御下で、以下のような画像形成の動作が行われる。
すなわち、印刷ジョブの実行時に、制御部40の制御信号に基づいて、給紙部11から画像形成装置本体300の用紙搬送部2に向けて記録媒体Pが給紙(給送)され、用紙搬送部2の搬送ドラム53により記録媒体Pがヘッド(33~39)の下に搬送される。
続いて、画像形成装置1では、入力画像を構成する色に対応するヘッド(33~39)からインクを吐出することにより、記録媒体P上に該当色のインクドットが着弾されて、画像(インク像)が形成される。搬送ドラム53に保持された状態でインク像が形成された記録媒体Pは、搬送ドラム53が図1A中の反時計方向に回転することにより、エネルギー線照射部60に向けて搬送される。
続いて、画像形成装置1では、定着プロセスの実行により、エネルギー線照射部60から記録媒体P上のインク像にエネルギー線(この例ではUV光)を照射する。かかる定着プロセスの実行により、記録媒体P上のインクが硬化し、当該画像が用紙に定着する。
かくして、定着プロセスを経た記録媒体Pは、片面印刷で終了する場合には、搬送ドラム53から、搬送ローラー56(爪部56a)、搬送ローラー57(爪部57a)、搬送ローラー58(爪部58a)、およびベルト搬送部280の順に受け渡されるように搬送され、排紙部28の排紙トレイ281上に積載される。
より具体的には、記録媒体Pの搬送方向を排紙側に設定した場合、制御部40の制御の下、以下の動作を行う。制御部40は、記録媒体Pの先端を保持した搬送ドラム53の爪部(53a,53b,53cのいずれか)が搬送ローラー56に対向する位置に来たときに当該爪部(53a~53cのいずれか)を開くとともに、搬送ローラー56の爪部56aを閉じるように制御する。かかる動作により、記録媒体Pは、搬送ドラム53から搬送ローラー56に渡される。
次いで、制御部40は、搬送ローラー56の爪部56aが搬送ローラー57に対向する位置に来たときに、当該爪部56aを開き、搬送ローラー57の爪部57aを閉じるように制御する。かかる動作により、記録媒体Pは、搬送ローラー56から搬送ローラー57に渡される。
さらに、制御部40は、搬送ローラー57の爪部57aが搬送ローラー58に対向する位置に来たときに、当該爪部57aを開き、搬送ローラー58の爪部58aを閉じるように制御する。かかる動作により、記録媒体Pは、搬送ローラー57から搬送ローラー58に渡され、この後、ベルト搬送部280を通じて排紙部28に搬送される。
なお、片面印刷の場合でも、例えば重ね塗りなどの特殊な印刷を行う等のため、記録媒体Pを循環的に搬送する場合には、記録媒体Pの搬送方向を循環側に設定して、制御部40の制御により以下の動作を行う。制御部40は、記録媒体Pの先端を保持した搬送ドラム53の爪部(53a,53b,53cのいずれか)が搬送ローラー56に対向する位置に来たときに当該爪部(53a~53cのいずれか)を閉じたままとし、搬送ローラー56の爪部56aを閉じたままとする。この場合、記録媒体Pは、搬送ドラム53に保持された状態を維持しながら、画像形成部3に向けて循環的に搬送される。
一方、両面印刷を行う場合、定着プロセスを経た記録媒体Pは、搬送ドラム53から、搬送ローラー56(爪部56a)、搬送ローラー57(爪部57a)、および搬送ローラー59(爪部59a)の順に受け渡されるように搬送される。
以下、記録媒体Pの表裏を反転させる際の動作について説明する。制御部40は、記録媒体Pの搬送方向(進行方向)の先端を搬送ローラー59に設けられた爪部59aで保持して、搬送ローラー59によって記録媒体Pを図1中の時計方向に搬送する動作を行う。
続いて、制御部40は、記録媒体Pの後端がスイングアーム部51bに対抗する位置に来たときに、スイングアーム部51bを図1A中の反時計方向(図1A中の点線を参照)に回転させながらスイングアーム部51bの先端に設けられた図示しない爪部を閉じると同時に、搬送ローラー59の爪部59aを開く制御を行う。かかる動作により、記録媒体Pが搬送ローラー59からスイングアーム部51bに引き渡される。
次いで、制御部40は、スイングアーム部51bを図1A中の時計方向に回転させ(図1A中の実線を参照)、搬送ドラム53の爪部53a,53b,53cのいずれかがスイングアーム部51bの対向位置に来たときに、スイングアーム部51bの先端の不図示の爪部を開くとともに搬送ドラム53の爪部(53a~53cのいずれか)を閉じる制御を行う。かかる動作により、記録媒体Pの表裏が反転し、その後、記録媒体Pは、搬送ドラム53によって画像形成部3(ヘッド33~39)に向けて搬送される。
この後、ヘッド(33~39)からインクが吐出されて裏面(第2面)に画像が形成された記録媒体Pは、上述した定着プロセスを経て排紙部28の排紙トレイ281上に積載される。
ところで、本実施の形態のように、エネルギー硬化型のインクを使用するとともに、エネルギー線照射部60からエネルギー線(UV光等)を照射して定着プロセスを行うインクジェット画像形成装置1では、以下のような種々の問題が指摘されている。
すなわち、エネルギー線照射部60から照射されるエネルギー線の利用効率が低いため、エネルギー硬化型のインクを十分に硬化すなわち記録媒体Pに定着させるために、消費電力が大きくなる問題がある。
また、使用される記録媒体Pの種類、記録媒体P上に形成ないし積層されるインク像の厚さや層数等によっては、エネルギー線照射部60からエネルギー線が照射されてもインクが十分に硬化しないケースが発生し得る。
これに対し、上述した特許文献1に記載のインクジェット画像形成装置では、エネルギー線の利用効率を高めるために、記録媒体Pの表面(画像形成面)および裏面(非画像形成面)の両側からエネルギー線(紫外線)を照射する構成を提案している。
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、紫外線照射部が少なくとも2つ必要となり、かつ各々の紫外線照射部を、記録媒体の搬送経路を挟むように互いに反対側に配置する必要がある。かかる構成を採用した場合、画像形成装置の低コスト化の要請に応えることができない問題がある。
また、複数のエネルギー線照射部の各々からエネルギー線を記録媒体Pの表面および裏面に向けて一度に照射する構成を採用する場合、記録媒体Pの温度上昇(発熱量の増加)の速度が上がりやすいことから、記録媒体Pの種類等によっては適さない場合がある。具体的には、用紙の表面および裏面に対して2つのエネルギー線照射部から略同時にエネルギー線を照射する場合、例えば記録媒体Pが熱に弱いものである場合には、急激な温度上昇に伴って当該記録媒体が変形する或いは記録媒体にダメージが発生しやすくなる等の問題もある。
加えて、図1Aに示すような搬送ドラム方式の場合、すなわち記録媒体Pの非画像形成面を搬送ドラム53の搬送面53eに付着させて記録媒体Pを搬送する構成の場合、記録媒体Pの非画像形成面に対向する位置に2つめのエネルギー線照射部(60)を配置することは、技術的に困難である。
上述した問題点に鑑みて、本実施の形態では、エネルギー線照射部を二つ設ける構成を採用せず、一つのエネルギー線照射部60によって、記録媒体Pの画像形成面(表面すなわち第一面)のみならず、非画像形成面(裏面すなわち第二面)に対してもエネルギー線の照射を行う構成を設けることとした。
より具体的には、本実施の形態では、記録媒体Pの表裏を反転させる機構(反転搬送部)を利用し、かかる反転搬送部を通じて表裏が反転された記録媒体Pの非画像形成面側に、エネルギー線照射部60によってエネルギー線を照射する構成とする。
ここで、反転搬送部は、両面印刷の動作で使用される既存の反転機構(この実施の形態では用紙反転部26)を用いることができる。一方、両面印刷の機能を備えない機種の場合、例えば、公知の反転機構を追加することで対応できる。
かくして、本実施の形態では、印刷ジョブの実行時に、制御部40は、以下の処理ないし制御を追加的に実行する。すなわち、制御部40は、必要に応じて、用紙反転部26を通じて記録媒体Pの表裏を反転させ、表裏が反転した記録媒体Pの非画像形成面側に、エネルギー線照射部60によりエネルギー線を再びまたは追加的(補完的)に照射する制御を行う。
かかる構成によれば、一つのエネルギー線照射部60によって記録媒体Pの表裏両面に対してエネルギー線を照射することができるので、紫外線照射部(UV光源等)の数を増やす必要がなく、低コスト化や小型化等の要請に応えることができ、かつ、エネルギー(電力)消費量や記録媒体Pの温度上昇(発熱量の増加)の速度を抑制することができる。
また、本実施の形態によれば、一つのエネルギー線照射部という従来構成を維持しつつ、記録媒体Pに吐出されたインクを高いエネルギー効率で硬化させ、使用環境や記録媒体Pの種類等によらずインクの硬化性や記録媒体Pとの密着性を高めることができる。
なお、本実施の形態では、記録媒体Pの画像形成面に対するエネルギー線の照射タイミングと、非画像形成面に対するエネルギー線の照射タイミングとの間で時間差(タイムラグ)が生じるが、必要に応じて搬送速度の調整を行って、当該タイムラグの値を調整することもできる。
したがって、本実施の形態によれば、記録媒体Pの発熱量の管理も容易となり、ひいては、記録媒体Pが熱に弱い場合でも定着性の向上を図ることができる。
総じて、本実施の形態によれば、低コスト化等の要請に応えるとともに、記録媒体P上に吐出されたインク像について、記録媒体Pへの定着効率の向上を図ることができる。
以下、図3のフローチャートを参照して、第1の実施の形態における画像形成時の処理について説明する。第1の実施の形態および後の第2の実施の形態では、印刷ジョブが、記録媒体Pの表面(第1面)にのみ画像を形成する片面印刷の場合を前提とする。また、第1の実施の形態では、制御部40は、予め定められた画像形成条件(ここでは記録媒体Pの種類)に応じて、通常の画像形成処理を行うか、上述した用紙反転を通じての特徴的な画像形成処理を行うかを決定する。
印刷ジョブの実行の際に、制御部40は、胴回転すなわち搬送ドラム53の回転を開始させるように、搬送ドラムモーターを駆動制御する(ステップS5)。続いて、制御部40は、記録媒体Pの給紙動作を開始するように給紙部11(媒体供給部112等)を制御する(ステップS10)。
そして、制御部40は、用紙プロファイル等のユーザー設定情報から記録媒体Pの種類を特定し、使用する記録媒体Pが透明の記録媒体であるか否かを判定する(ステップS11)。
ここで、制御部40は、記録媒体Pが透明の記録媒体ではないと判定した場合(ステップS11、NO)、搬送切替部25(図2参照)を排紙側に設定し(ステップS12)、上述した通常の画像形成動作(以下、通常モードともいう)の制御(ステップS13~S14)を行った後に、記録媒体Pの排紙(ステップS21)および胴すなわち搬送ドラム53の回転停止(ステップS22)の動作を経て、処理を終了する。
具体的には、制御部40は、搬送切替部25(上述した各爪部の開閉状態)を排紙側に設定する処理(ステップS12)を行い、Y,M,C,Kのヘッド33,35,37,39を順次駆動してカラー画像を形成する処理(ステップS13)を行う。
続いて、制御部40は、カラー画像が形成された記録媒体Pにエネルギー線を照射する処理(ステップS14)を行った後に、搬送ドラム53に保持されている記録媒体Pの一端を、搬送ローラー56,58,ベルト搬送部280の順で受け渡し、記録媒体Pの排紙(ステップS21)および胴回転停止(ステップS22)を経て、処理を終了する。
かかる制御により、記録媒体P上に、Y,M,C,Kのインクが順に吐出された画像が形成される。
一方、制御部40は、記録媒体Pが透明な媒体であると判定した場合(ステップS11、YES)、追加的な定着処理が必要であると判断して、ステップS15に移行する。
ステップS15において、制御部40は、搬送切替部25(図2参照)を用紙反転側に設定する。
続いて、制御部40は、画像形成動作の制御(ステップS16)を行い、カラー画像が形成された記録媒体Pにエネルギー線を照射する処理(ステップS17)を行った後に、記録媒体Pの反転動作(ステップS18)の処理を実行する。
すなわち、ステップS18において、制御部40は、搬送ドラム53に保持されている記録媒体Pの一端(搬送方向の先端)を、搬送ローラー56および57の各爪部、搬送ローラー57および58の各爪部、搬送ローラー57および59の各爪部へと順次受け渡す制御を行う。
そして、制御部40は、搬送ローラー59の爪部59aに保持されている記録媒体Pの搬送方向の先端が図1A中の右側に移動し、同後端がスイングアーム部51bに対向する位置に来たときに、スイングアーム部51bを図1A中の反時計方向(同図中の点線を参照)に回転させながらスイングアーム部51bの先端に設けられた図示しない爪部を閉じると同時に、搬送ローラー59の爪部59aを開く制御を行う。かかる制御により、記録媒体Pが搬送ローラー59からスイングアーム部51bに引き渡される。
次いで、制御部40は、スイングアーム部51bを図1A中の時計方向に回転させ(同図中の実線を参照)、搬送ドラム53の爪部53a,53b,53cのいずれかがスイングアーム部51bの対向位置に来たときに、スイングアーム部51bの先端の不図示の爪部を開くとともに搬送ドラム53の爪部(53a~53cのいずれか)を閉じる制御を行う。
かかる制御により、記録媒体Pの表裏が反転し、その後、記録媒体Pは、表裏および搬送方向の先端/後端が反転された状態で搬送ドラム53によって画像形成部3(ヘッド33~39)に向けて搬送される。
なお、このとき、制御部40は、搬送ドラム53に対する記録媒体Pの押圧力を、画像形成時(ステップS13またはステップS16)よりも弱くする(小さくする)制御を行ってもよい。
具体的には、制御部40の制御の下、上述した押圧力切替部が駆動されることにより、図1Bに示すように、押圧ローラー70を付勢する押圧バネ71の他端位置を、同図中の位置Aから位置Bに変更(移動)する。かかる動作により、搬送ドラム53における記録媒体Pの押圧力を、画像形成時よりも弱くすることができる。
加えて、制御部40は、必要に応じて各々のヘッド(33~39)を搬送ドラム53の搬送面53eから所定の距離だけ離間するように退避させる制御を行ってもよい。かかる制御により、記録媒体Pは、画像形成部3(ヘッド33~39)の近傍を搬送されるときに、記録媒体Pの表面に画像が形成されるときと比べて、ヘッド33~39(各々のノズル面)と記録媒体Pとの間の距離を大きくすることができる。この場合、制御部40は、本発明の「距離調整部」に対応する。
すなわち、ステップS18で記録媒体Pの表裏を反転させた後は、記録媒体Pにおけるインク像の形成面が搬送ドラム53の搬送面53eに対向するため、例えばインク像の硬化(定着)が不十分な場合に、インクが搬送面53eに転移して印刷品質が低下するおそれがある。
かかる問題に対処するため、また、本実施の形態では記録媒体Pの裏面への画像形成(インク吐出)を行わないことから、後述するステップS20でエネルギー線照射部60からエネルギー線を照射する処理の前に上記のような制御を行うとよい。
続いて、制御部40は、搬送切替部25(上述した各爪部の開閉状態)を排紙側に設定する処理を行い(ステップS19)、記録媒体Pの裏面(非画像形成面)に向けてエネルギー線を照射するように、エネルギー線照射部60を制御する(ステップS20)。
このとき、制御部40は、インクの種類、カバレッジ、透明な記録媒体Pの厚み、温湿度等の画像形成条件に応じた必要十分な量のエネルギー線を照射するように、エネルギー線照射部60の出力を設定する。
したがって、ステップS20における非画像形成面に向けてのエネルギー線の照射量(エネルギー線照射部60に設定される照射出力)は、ステップS17における画像形成面(インク像)に向けてのエネルギー線の照射量(エネルギー線照射部60に設定される照射出力)と異なり得る。
なお、多くの場合、制御部40は、ステップS20での非画像形成面に向けてのエネルギー線の照射量(エネルギー線照射部60に設定される照射出力)は、ステップS17での画像形成面(インク像)に向けてのエネルギー線の照射量よりも小さく設定すれば足りる。
あるいは、制御部40は、上述した画像形成条件に応じて、ステップS17での画像形成面(インク像)に向けてのエネルギー線の照射量と、ステップS20での非画像形成面に向けてのエネルギー線の照射量と、のいずれか一方、または両方を調整してもよい。このような調整を行うことで、例えば熱に弱い記録媒体Pにインク像を形成する場合であっても、当該記録媒体Pに対する定着プロセス実行時のダメージ等の発生を抑制することができる。
そして、制御部40は、記録媒体Pの排紙(ステップS21)および胴すなわち搬送ドラム53の回転停止(ステップS22)の動作を経て、処理を終了する。
このように、エネルギー線照射部(60)を追加することなく、記録媒体Pの種類に応じて記録媒体Pの裏面から追加的にエネルギー線照射の処理を行う本実施の形態によれば、記録媒体Pの種類(この例では透明か否かの別)に応じた適切な定着処理を行うことにより、インクの硬化性や記録媒体Pとの密着性を高めることができる。
また、記録媒体Pが透明の記録媒体では、インク像(画像)と記録媒体Pとの界面におけるインクの硬化(定着)状態に不良がある場合、当該不良部分のインクが記録媒体から剥離し画像に欠陥が生じたり、周囲に未硬化インクが転移して汚染してしまう恐れがあるが、本実施の形態によれば、このような問題を有効に防止することができる。すなわち、本実施の形態によれば、透明な記録媒体Pに吐出されたインクを高いエネルギー効率で硬化させ、インクの硬化性や記録媒体Pとの密着性を高めることができる。
したがって、本実施の形態によれば、低コストおよび簡素な構成を維持しつつ、透明な記録媒体P上に吐出されたインク像について、定着効率の向上を図ることができる。
(第2の実施の形態)
次に、図4のフローチャートを参照して、第2の実施の形態に係る画像形成等の処理内容について説明する。なお、上述した第1の実施の形態の処理(図3参照)と同一の処理については同一のステップ番号を付して、適宜その説明を省略する。
図3と図4とを比較して分かるように、第2の実施の形態では、上述したステップS11に対応する判定処理の内容が異なっている。すなわち、上述した第1の実施の形態では、制御部40は、記録媒体Pの種類(透明か否か)によって追加的な定着処理を行うか否かを決定している。
これに対して、第2の実施の形態では、制御部40は、他の画像形成条件(主としてインクの量および物性、言い換えると記録媒体Pに形成する画像の態様)によって追加的な定着処理を行うか否かを決定する。
印刷ジョブの実行の際に、制御部40は、上述したステップS5およびステップS10の制御を行う。かかる制御により、給紙部11から給紙された記録媒体Pは、媒体供給部112および受け渡しローラー52を経由して、図1中の反時計方向に回転している搬送ドラム53のいずれかの爪部(53a~53c)によって、その搬送方向先端が保持されながら搬送される。
そして、制御部40は、データ入力部10により取得された、印刷画像の画像データから、以下の条件式を満足するか否かを判定する(ステップS11A)。
Vmax>E ・・・(条件式)
上記の条件式において、「Vmax」は、記録媒体P上に記録された各領域毎のYMCKのインクが硬化し、記録媒体に密着するために必要なエネルギー線のエネルギー量である。一方、「E」は、エネルギー線照射部60から記録媒体P上のインク像に照射されるエネルギー線の最大エネルギー量である。
すなわち、ステップS11Aにおいて、制御部40は、エネルギー線照射部60から出力し得る最大エネルギー量が、記録媒体Pの画像形成面に形成されたインク像の領域のうち最大のエネルギー量を要する領域での必要エネルギー量よりも小さいか否かを判定する。
ここで、「Vmax」の値は、下記の「必要エネルギー量」の算出式を領域毎に適用することで求めることができる。
必要エネルギー量Vmax=(Vy×Ty)+(Vm×Tm)+(Vc×Tc)+(Vk×Tk)
上記のうち、Vy,Vm,Vc,Vkは、記録媒体Pの各領域毎のY,M,C,Kインクの吐出量である。一方、Ty,Tm,Tc,Tkは、単位付着量のY,M,C,Kインクをそれぞれ硬化させるために必要なエネルギー量を表す係数である。
すなわち、上記の算出式は、記録媒体P上の画像形成領域において、最大で4色のインク像が印刷され得ること、Y,M,C,Kインクの各々の付着量が異なり得ること、Y,M,C,Kインクの各々の硬化に必要なエネルギー線のエネルギー量が異なること、を考慮したものである。
かくして、制御部40は、Vmax>Eではない、すなわちEがVmax以上であると判定した場合(ステップS11A、NO)、エネルギー線照射部60からインク像に必要十分なエネルギー量が照射されると判断して、ステップS12~ステップS14の処理を行う。
すなわち、制御部40は、搬送切替部25(上述した各爪部の開閉状態)を排紙側に設定する処理(ステップS12)を行い、Y,M,C,Kのヘッド33,35,37,39を順次駆動してカラー画像を形成する処理(ステップS13)を実行する。
続いて、制御部40は、カラー画像が形成された記録媒体Pにエネルギー線を照射する処理(ステップS14)を行った後に、搬送ドラム53に保持されている記録媒体Pの一端を、搬送ローラー56,58,ベルト搬送部280の順で受け渡し、記録媒体Pの排紙(ステップS21)等を経て、処理を終了する。
かかる制御により、記録媒体P上に、Y,M,C,Kのインクが順に吐出された画像が形成され、かつ、エネルギー線照射部60から記録媒体Pの画像形成面に必要十分なエネルギー線が照射されることによってインクが十分に硬化(定着)される。
一方、制御部40は、Vmax>Eである(ステップS11A、YES)と判定した場合、記録媒体P上のインクに対してエネルギー線照射部60から硬化(定着)に必要十分なエネルギー線が照射できないと判断して、ステップS15~ステップS20の処理を行う。
すなわち、制御部40は、搬送切替部25(上述した各爪部の開閉状態)を用紙反転側に設定する処理(ステップS15)を行い、Y,M,C,Kのヘッド33,35,37,39を順次駆動してカラー画像を形成する処理(ステップS16)を実行する。
続くステップS17において、制御部40は、カラー画像が形成された記録媒体P(画像形成面)にエネルギー線を照射するようにエネルギー線照射部60を制御し、この後、ステップS18に移行する。
ステップS18において、制御部40は、用紙反転部26(搬送ローラー59およびスイングアーム部51b)を制御して、上述したように、記録媒体Pの進行方向の前後ひいては表裏を反転させるスイッチバック搬送動作を実行する。
かかる制御により、記録媒体Pは、搬送方向の後端がスイングアーム部51bに跳ね上げられて搬送ドラム53のいずれかの爪部(53a~53c)に保持され、この後は表裏および搬送方向の先端/後端が反転された状態で搬送ドラム53により搬送される。
なお、第2の実施の形態でも、上述した第1の実施の形態と同様に、各々のヘッド(33~39)を退避させ、記録媒体Pを保持する際の押圧ローラー70の押圧力を、画像形成時(ステップS13またはステップS16)よりも弱くする制御を行ってもよい。
続くステップS19において、制御部40は、搬送切替部25(各爪部の開閉状態)を排紙側に設定する処理を行う。次のステップS20において、制御部40は、記録媒体Pの裏面すなわち非画像形成面にエネルギー線を照射するようにエネルギー線照射部60を制御して、記録媒体P上のインクを完全に硬化(すなわち記録媒体Pに定着)させる処理を行う。
具体的には、ステップS20において、制御部40は、上述したステップS16において記録媒体P上のインク像を完全に硬化(記録媒体Pに定着)させることができなかった差分としてのエネルギー線の線量(エネルギー量)をエネルギー線照射部60から出力させる制御を行う。
かかる追加的な定着プロセスの制御を行うことにより、必要十分なエネルギー量が記録媒体Pのインク像に供給され、記録媒体Pを傷めることなく且つ消費電力を抑えながら、記録媒体P上のインク像を完全に硬化(記録媒体Pに定着)させることができる。
続いて、制御部40は、カラー画像が硬化(定着)されている記録媒体Pの一端を、搬送ドラム53の爪部(53a~53cのいずれか)から、搬送ローラー56,57,58,ベルト搬送部280の順で受け渡し、記録媒体Pの排紙(ステップS21)等を経て、処理を終了する。
(第3の実施の形態)
次に、図5のフローチャートを参照して、第3の実施の形態に係る画像形成処理について説明する。なお、上述した第1の実施の形態の処理(図3参照)と同一の処理については同一のステップ番号を付して、適宜その説明を省略する。
図3と図5とを比較して分かるように、第3の実施の形態では、上述したステップS11に対応するステップに、両面印刷を行うか否かの判定(ステップS11-2)が追加されている。また、第3の実施の形態では、両面印刷を行う場合のステップS25~ステップS31の処理が追加されている。
印刷ジョブの実行の際に、制御部40は、上述したステップS5およびステップS10の制御を行う。かかる制御により、給紙部11から給紙された記録媒体Pは、媒体供給部112および受け渡しローラー52を経由して、図1A中の反時計方向に回転している搬送ドラム53のいずれかの爪部(53a~53c)によって、その搬送方向先端が保持されながら搬送される。
そして、制御部40は、用紙プロファイル等のユーザー設定情報を参照して、使用する記録媒体Pが透明の記録媒体であるか否かを判定する(ステップS11)。
ここで、制御部40は、記録媒体Pが透明の記録媒体であると判定した場合(ステップS11、YES)、上述したステップS15~S20の処理を経て、第1および第2の実施の形態の場合と同様に、記録媒体Pの排紙(ステップS210)および胴すなわち搬送ドラム53の回転停止(ステップS220)の動作を経て、処理を終了する。
一方、制御部40は、記録媒体Pが透明の記録媒体ではないと判定した場合(ステップS11、NO)、ステップS11-2に移行する。ステップS11-2において、制御部40は、印刷ジョブのデータを参照して、両面印刷を行うか否かを判定する。
ここで、制御部40は、両面印刷を行わないと判定した場合(ステップS11-2、NO)、上述したステップS12~S14の処理を経て、第1および第2の実施の形態の場合と同様に、記録媒体Pの排紙(ステップS210)および胴すなわち搬送ドラム53の回転停止(ステップS220)の動作を経て、処理を終了する。
一方、制御部40は、両面印刷を行うと判定した場合(ステップS11-2、YES)、以下のステップS25~ステップS31の処理を経て、第1および第2の実施の形態の場合と同様に、記録媒体Pの排紙(ステップS210)および胴すなわち搬送ドラム53の回転停止(ステップS220)の動作を経て、処理を終了する。
すなわち、ステップS25において、制御部40は、搬送切替部25(上述した各爪部の開閉状態)を用紙反転側に設定する処理を行い、Y,M,C,Kのヘッド33,35,37,39を順次駆動してカラー画像を形成する処理(ステップS26)を行う。
次に、制御部40は、カラー画像が形成された記録媒体Pにエネルギー線を照射する処理(ステップS27)を行った後に、記録媒体Pの反転動作(ステップS28)の処理を実行する。かかるステップS28の処理は、図4で上述したステップS18と同様であるため、詳述を省略する。
続いて、制御部40は、搬送切替部25(上述した各爪部の開閉状態)を排紙側に設定する処理を行い(ステップS29)、再びY,M,C,Kのヘッド33,35,37,39を順次駆動してカラー画像を形成する処理(ステップS30)を行う。
そして、制御部40は、カラー画像が形成された記録媒体Pの第二面に向けてエネルギー線を照射するように、エネルギー線照射部60を制御する(ステップS31)。
そして、制御部40は、記録媒体Pの排紙(ステップS210)および胴すなわち搬送ドラム53の回転停止(ステップS220)の動作を経て、処理を終了する。
このように、本実施の形態によれば、両面印刷を行うために記録媒体Pを反転搬送する場合と、片面印刷かつ記録媒体Pの非画像形成面へのエネルギー線照射のために記録媒体Pを反転搬送する場合とで、同一の装置または機構を兼用することができるので、装置の小型化や低コスト化を図ることができる。
(第4の実施の形態)
次に、図6~図8を参照して、第4の実施の形態について説明する。
図6は、第4の実施の形態および後述する第5の実施の形態に共通するインクジェット画像形成装置1Aの概略を示す図である。また、図7は、かかるインクジェット画像形成装置1Aのブロック構成を示す図である。
図1と比較して分かるように、図6に示すインクジェット画像形成装置1Aでは、白色のインクを吐出するWヘッド31が追加して配列されている(図7も参照)。なお、図6に示すように、インクジェット画像形成装置1Aにおいて、Wヘッド31は、搬送方向における最下流、すなわちKヘッド39の下流の位置に配列されている。
言い換えると、インクジェット画像形成装置1Aでは、通常の画像形成方法により、透明な記録媒体Pに対してYMCKのインクによるカラー画像を形成した後、背景色としての白色を最上層として形成できるようなインクジェットヘッドの配置となっている。
また、インクジェット画像形成装置1Aでは、制御部40は、印刷のモードを判別する機能、具体的には、記録媒体Pへの画像形成に白インクを使用するか否かを判定する機能を追加的に備えている。
すなわち、第4の実施の形態では、画像形成部3として背景色を印刷するインクジェットヘッド(この例ではWヘッド31)を備え、背景色の画像を形成する場合に、記録媒体Pの非画像形成面にエネルギー線照射部60からエネルギー線照射を行う構成する。
以下、図8のフローチャートを参照して、第4の実施の形態における画像形成時の処理について説明する。なお、上述した第1の実施の形態の処理(図3参照)と同一の処理については同一のステップ番号を付して、適宜その説明を省略する。また、上述した第1の実施の形態の処理(図3参照)に対応する処理については類似するステップ番号を付している。かかる点につき、後述する第5の実施の形態以下も同様である。
図3と図8とを比較して分かるように、第4の実施の形態では、上述したステップS11に対応する判定処理の内容、および当該判定後の処理の一部が異なっている。
印刷ジョブの実行の際に、制御部40は、上述したステップS5およびステップS10の制御を行う。かかる制御により、給紙部11から給紙された記録媒体Pは、媒体供給部112および受け渡しローラー52を経由して、図6中の反時計方向に回転している搬送ドラム53のいずれかの爪部(53a~53c)によって、その搬送方向先端が保持されながら搬送される。
続くステップS11-3において、制御部40は、記録媒体Pに形成する画像として背景色(この例では白インク)を使用するか否かを判定する。
なお、本発明との関係において、ステップS11-3は、その後の処理ないし制御を選択的に実行するために、画像形成条件(すなわち画像形成部3が所定の画像形成材料(白インク)を用いて画像を形成するか否か)を判別する処理である。
ここで、制御部40は、白インクを使用しないと判定した場合(ステップS11-3、NO)、上述したステップS12~ステップS14の処理、およびステップS21およびS22の処理を経て処理を終了する。
一方、制御部40は、白インクを使用すると判定した場合(ステップS11-3、YES)、搬送切替部25(上述した各爪部の開閉状態)を用紙反転側に設定する処理(ステップS15)を行って、ステップS16Aに移行する。
ステップS16Aにおいて、制御部40は、Y,M,C,K,Wのヘッド33,35,37,39,31を順次駆動して、記録媒体P上にカラー画像および白画像(この例では背景色の画像)を形成する処理(ステップS16A)を行う。
続くステップS17Aにおいて、制御部40は、カラー画像および白画像が形成された記録媒体P(画像形成面)にエネルギー線を照射するようにエネルギー線照射部60を制御し、この後、上述したステップS18~ステップS20の処理を行う。
かかるステップS18~ステップS20の処理が行われることにより、エネルギー線照射部60から記録媒体Pの裏面(非画像形成面)にエネルギー線が照射されて、記録媒体P上のインクが完全に硬化(すなわち記録媒体Pに定着)される。
続いて、制御部40は、カラー画像が硬化(定着)されている記録媒体Pの一端を、搬送ドラム53の爪部(53a~53cのいずれか)から、搬送ローラー56,57,58,ベルト搬送部280の順で受け渡し、記録媒体Pの排紙(ステップS21)等を経て、処理を終了する。
(第5の実施の形態)
以下、図9のフローチャートを参照して、第5の実施の形態における画像形成制御の処理について説明する。
図4と図9とを比較して分かるように、第5の実施の形態では、第2の実施の形態に対して、Wヘッド31に対する制御が加わっている点が異なっている。
すなわち、この第5の実施の形態では、制御部40は、ステップS11AにおいてVmax>Eではないと判定した場合(ステップS11A、NO)、エネルギー線照射部60から必要十分なエネルギー量が照射されると判断して、ステップS12~ステップS14Aの処理を行う。
ここで、「Vmax」は、記録媒体P上に記録された各領域毎の白インクも加えたYMCKWのインクが硬化し、記録媒体に密着するために必要なエネルギー線のエネルギー量であり、Vmax=(Vy×Ty)+(Vm×Tm)+(Vc×Tc)+(Vk×Tk)+(Vw×Tw)であり、Vwは、Vy,Vm,Vc,Vkと同様、記録媒体Pの各領域毎のWインクの吐出量、Twは、Ty,Tm,Tc,Tkと同様、単位付着量のWインクを硬化させるために必要なエネルギー量を表す係数である。
すなわち、制御部40は、搬送切替部25(上述した各爪部の開閉状態)を排紙側に設定する処理(ステップS12)を行い、Y,M,C,K,Wのヘッド33,35,37,39,31を順次駆動してカラー画像および背景色となる白画像を形成する処理(ステップS13A)を行う。
続いて、制御部40は、カラー画像および白画像が形成された記録媒体Pにエネルギー線を照射する処理(ステップS14A)を行った後に、搬送ドラム53に保持されている記録媒体Pの一端を、搬送ローラー56,58,ベルト搬送部280の順で受け渡し、記録媒体Pの排紙(ステップS21)等を経て、処理を終了する。
かかる制御により、記録媒体P上に、Y,M,C,K,Wのインクが順に吐出された画像が形成される。
一方、制御部40は、Vmax>Eである(ステップS11A、YES)と判定した場合、エネルギー線照射部60から必要十分なエネルギー量が照射されないと判断して、ステップS15~ステップS20の処理を行う。
すなわち、制御部40は、搬送切替部25(上述した各爪部の開閉状態)を用紙反転側に設定する処理(ステップS15)を行い、Y,M,C,K,Wのヘッド33,35,37,39,31を順次駆動して、カラー画像および白画像を形成する処理(ステップS16A)を行う。
続くステップS17Aにおいて、制御部40は、カラー画像および白画像が形成された記録媒体P(画像形成面)にエネルギー線を照射するようにエネルギー線照射部60を制御し、この後、ステップS18に移行する。
ステップS18において、制御部40は、上述のように、用紙反転部26(搬送ローラー59およびスイングアーム部51b)を制御して、記録媒体Pの進行方向の前後ひいては表裏を反転させるスイッチバック搬送動作を実行する。
続くステップS19において、制御部40は、搬送切替部25(各爪部の開閉状態)を排紙側に設定する処理を行う。次のステップS20において、制御部40は、記録媒体Pの裏面すなわち非画像形成面にエネルギー線を照射するようにエネルギー線照射部60を制御して、記録媒体P上のインクを完全に硬化(すなわち記録媒体Pに定着)させる処理を行う。
かかる制御を行うことにより、必要十分なエネルギー量が記録媒体Pのインク像に供給され、記録媒体Pを傷めることなく且つ消費電力を抑えながら、記録媒体P上のインク像(この例ではカラー画像および白画像)を完全に硬化(記録媒体Pに定着)させることができる。
続いて、制御部40は、カラー画像が硬化(定着)されている記録媒体Pの一端を、搬送ドラム53の爪部(53a~53cのいずれか)から、搬送ローラー56,57,58,ベルト搬送部280の順で受け渡し、記録媒体Pの排紙(ステップS21)等を経て、処理を終了する。
(第6の実施の形態)
次に、図10~図12を参照して、第6の実施の形態について説明する。
図10は、第6の実施の形態におけるインクジェット画像形成装置1Bの概略を示す図である。また、図11は、インクジェット画像形成装置1Bの制御系の構成を示すブロック図である。
図1または図6と対比して分かるように、図10に示すインクジェット画像形成装置1Bは、搬送ベルト20によって記録媒体Pを搬送するベルト搬送式の構成を採用している。また、インクジェット画像形成装置1Bは、図6で上述したインクジェット画像形成装置1A(第4および第5の実施の形態)と同様に、通常の搬送方向における最下流に、すなわちKヘッド39の下流の位置にWヘッド31を配列している。
すなわち、インクジェット画像形成装置1Aと同様に、このインクジェット画像形成装置1Bも、通常の画像形成方法により、透明な記録媒体Pに対してYMCKのインクによるカラー画像を形成した後、背景色としての白色を最上層として形成できるようなインクジェットヘッドの配置となっている。
次に、主として上述した実施の形態の構成と異なる部分について説明する。インクジェット画像形成装置1Bは、記録媒体Pを搬送する用紙搬送部2B、および記録媒体Pに画像(インクドットによるインク像)を形成する複数のインクジェットヘッド31,33,35,37,39を有する画像形成部3(図11も参照)を備える。
図10に示す例では、記録媒体Pとして透明のシート材を使用する場合を想定する。一方、インク像が形成される記録媒体Pとしては、普通紙や塗工紙といった紙、布帛またはシート状の樹脂、長尺の紙または布帛等、表面に着弾したインクを定着させることが可能な種々の記録媒体を用いることができる。
インクジェット画像形成装置1Bは、かかる記録媒体Pを用紙搬送部2Bに給送(給紙)する給紙部11、画像が形成された記録媒体Pを排紙する排紙部28を備える。
また、インクジェット画像形成装置1Bは、図11に示すように、印刷ジョブに関する種々のデータが入力および記憶されるデータ入力部10、およびインクジェット画像形成装置1全体の制御を司る制御部40を備える。
さらに、インクジェット画像形成装置1Bは、記録媒体P上の画像(インク)を硬化ないし定着させるためのエネルギー線(UV光など)を照射するエネルギー線照射部60を備える。
インクジェット画像形成装置1Bの用紙搬送部2Bは、記録媒体Pの搬送方向における下流側に配置された第1搬送ローラー21と、同搬送方向における上流側に配置された第2搬送ローラー22と、これら第1および第2搬送ローラー21,22に架け渡された搬送ベルト20とを有する。
また、用紙搬送部2Bは、第1および第2搬送ローラー21,22を駆動するための不図示の搬送モーターを備える。かかる搬送モーターは、制御部40の制御の下、搬送ベルト20ひいては記録媒体Pの搬送方向を、通常方向(すなわちYヘッド33側からエネルギー線照射部60側に進む方向)または逆方向(エネルギー線照射部60側からYヘッド33側に進む方向)とするように、当該モーターの回転方向が切り替えられる。
加えて、インクジェット画像形成装置1Bは、画像が形成された記録媒体Pの搬送方向を切り替えるための搬送切替部25と、画像が形成された記録媒体Pの表裏を反転させて再びエネルギー線照射部60および画像形成部3(ヘッド31等)に供給するための用紙反転部26と、が備えられている。
上記のうち、搬送切替部25は、画像が形成された記録媒体Pの搬送方向を、排紙部28または用紙反転部26のいずれかに切り替えるための図示しない切替ゲート等を備える。
搬送切替部25は、制御部40の制御の下、切替ゲートを動作させることで、画像が形成された記録媒体Pの搬送方向(搬送される経路)を、排紙部28側または用紙反転部26側のいずれかに切り替えるように設定する。
用紙反転部26は、上述した搬送切替部25の下方側に配置されており、制御部40の制御の下、搬送切替部25を通じて供給された記録媒体Pを、エネルギー線照射部60側に向けて搬送する役割を担う。
用紙反転部26は、一具体例では、記録媒体Pが搬送される搬送路を形成する用紙ガイドと、かかる用紙ガイドに沿って配置された搬送ローラー対を備えた、いわゆるローラー搬送方式の構成とすることができる。
排紙部28は、制御部40の制御の下、搬送切替部25を通じて供給された記録媒体Pを、図示しないトレイ上に積層する機能を有する。
なお、給紙部11および排紙部28は、図1Aで上述した構成と同等のものが使用でき、かつ公知の構成であることから、ここでの詳細な説明を省略する。
次に、図12のフローチャートを参照して、第6の実施の形態のインクジェット画像形成装置1Bにおける画像形成制御の処理について説明する。なお、以下の説明では、画像形成時にYMCKWの全てのヘッド(33~39,31)からインクを吐出する場合を前提とする。
印刷ジョブの実行にあたり、制御部40は、記録媒体Pの給紙の動作を開始するように給紙部11を制御し(ステップS100)、続いて記録媒体Pの搬送動作を開始するように用紙搬送部2Bを制御する(ステップS110)。
続いて、制御部40は、Y,M,C,K,Wのヘッド(33~39,31)を順次駆動して、記録媒体P上にカラー画像と白画像を形成する制御を行う(ステップS120)。
さらに、制御部40は、記録媒体P上の画像形成面(印刷面)にエネルギー線を照射するように、エネルギー線照射部60の出力を制御して(ステップS130)、ステップS140に移行する。
ステップS140において、制御部40は、記録媒体Pの裏面にエネルギー線を照射する(エネルギー線裏面照射有り)か否かを判定する。
かかる判定は、上述した図3のステップS11の基準(透明の記録媒体Pであるか否か)、図4のステップS11Aの基準(Vmax>Eであるか否か)、図8のステップS11-3の基準(白インクを使用するか否か)の内、予めユーザーにより選択的に設定された基準を用いることができる。他の例として、制御部40は、使用されるインクや印刷画像のカバレッジ等とともに、上述した複数の基準を参酌して、記録媒体Pの裏面にエネルギー線を照射する(エネルギー線裏面照射有り)か否かを、総合的な観点から決定してもよい。
かくして、制御部40は、記録媒体Pの裏面にエネルギー線を照射しない(エネルギー線裏面照射なし)と判定した場合(ステップS140、NO)、通常モードでの画像形成処理を実行すべく、後述するステップS150~S170の処理を行わずにステップS200に移行する。
すなわち、制御部40は、上述した搬送切替部25の切替ゲートを排紙側に設定する処理(ステップS200)、および記録媒体Pを排紙部28に排紙する処理(ステップS210)の後、記録媒体Pの搬送を停止するように用紙搬送部2Bを制御して(ステップS220A)、一連の処理を終了する。
一方、制御部40は、記録媒体Pの裏面にエネルギー線を照射する(エネルギー線裏面照射有り)と判定した場合(ステップS140、YES)、ステップS150に移行する。
ステップS150において、制御部40は、上述した搬送切替部25の切替ゲートを用紙反転側に設定する処理を行う。続いて、制御部40は、用紙反転部26の上述した搬送ローラーを駆動して、搬送切替部25を介して反転搬送路に供給された記録媒体Pを用紙ガイドに沿って搬送することにより、記録媒体Pの表裏を反転させる(ステップS160)。
そして、制御部40は、記録媒体Pを通常と逆方向に搬送するように用紙搬送部2Bの搬送方向を切り替えるとともに、表裏の反転した記録媒体Pの裏面(非画像形成面)にエネルギー線を照射するように、エネルギー線照射部60を制御する(ステップS170)。
この例では、制御部40は、記録媒体Pの進行方向の後端が用紙搬送部2Bを抜けるタイミングで用紙搬送部2Bの上述した搬送モーターの回転方向を切り替える制御を行って、搬送ベルト20を図10中の時計方向に回転させることにより、記録媒体Pを逆方向に搬送させる。
かかる制御を行うことにより、必要十分なエネルギー量が記録媒体Pのインク像に供給され、消費電力を抑えながら、記録媒体P上のインク像を完全に硬化(記録媒体Pに定着)させることができる。
この後、制御部40は、上述した搬送切替部25の切替ゲートを排紙側に設定する処理(ステップS200)、および記録媒体Pを排紙部28に排紙する処理(ステップS210)の後、記録媒体Pの搬送を停止するように用紙搬送部2Bを制御して(ステップS220A)、一連の処理を終了する。
(第7の実施の形態)
次に、図13~図15を参照して、第7の実施の形態について説明する。
図13は、第7の実施の形態におけるインクジェット画像形成装置1Cの概略を示す図である。また、図14は、かかるインクジェット画像形成装置1Cのブロック構成を示す図である。
図10と対比して分かるように、図13に示すインクジェット画像形成装置1Cは、Wヘッド31の配列が異なる、すなわち第7の実施の形態ではWヘッド31が通常の搬送方向における最上流側に配置されていること以外は、上述したインクジェット画像形成装置1Bと同等の構成を備える。
言い換えると、第7の実施の形態におけるインクジェット画像形成装置1Cでは、通常の画像形成方法により、例えば記録媒体Pに対して背景色としての白色(層)を形成した後に、YMCKのインクによるカラー画像を形成できるようなインクジェットヘッドの配置となっている。
次に、図15のフローチャートを参照して、第7の実施の形態のインクジェット画像形成装置1Cにおける画像形成制御の処理について説明する。
印刷ジョブの実行の際、制御部40は、記録媒体Pの給紙の動作を開始するように給紙部11を制御し(ステップS100)、続いて記録媒体Pの搬送動作を開始するように用紙搬送部2Bを制御して(ステップS110)、ステップS111に移行する。
ステップS111において、制御部40は、印刷画像に白が有るか否か、すなわち記録媒体Pに形成する画像として白インクを使用するか否かを判定する。
ここで、制御部40は、白インクを使用しないと判定した場合(ステップS111、NO)、Wインクを吐出しない通常の画像形成処理(ステップS113)および画像形成面にエネルギー線照射部60からエネルギー線を照射する処理(ステップS114)を経て、ステップS140の判定処理に移行する。
一方、制御部40は、白インクを使用する(白有り)と判定した場合(ステップS111、YES)、ステップS112に移行して、白インクを他のインクの後に吐出するか否かを判定する。
ここで、制御部40は、白インクを他のインクの後に吐出しないと判定した場合(ステップS112、NO)、各ヘッドの配列順に従った通常の画像形成処理(ステップS115)および画像形成面にエネルギー線照射部60からエネルギー線を照射する処理(ステップS116)を経て、ステップS140の判定処理に移行する。
すなわち、制御部40は、ステップS115において、W,Y,M,C,Kのヘッド31,33,35,37,39を順次駆動して白画像およびカラー画像を形成する処理を行い、ステップS116において、記録媒体Pの画像形成面にエネルギー線を照射するようにエネルギー線照射部60を制御して、ステップS140に移行する。
一方、制御部40は、白インクを他のインクの後に吐出すると判定した場合(ステップS112、YES)、以下のステップS117~ステップS119の処理を経て、ステップS140の判定処理に移行する。
すなわち、ステップS117において、制御部40は、Y,M,C,Kのヘッド33,35,37,39を順次駆動してカラー画像を形成する処理を行う。
続くステップS118において、制御部40は、記録媒体PがWヘッド31の上流側に来るまで、通常とは逆の搬送方向に記録媒体Pを搬送する(すなわち逆送する)制御を行う。具体的には、ステップS118で制御部40は、搬送ローラー21,22を図13中の時計方向に回転させるように、用紙搬送部2Bの搬送モーターを駆動制御する。
この後、制御部40は、通常の搬送方向への記録媒体Pの搬送(順送)を開始するように用紙搬送部2B(搬送モーター)を制御し、白画像を形成するようにWヘッド31を駆動する(ステップS118-1)。そして、制御部40は、記録媒体Pの画像形成面にエネルギー線を照射するようにエネルギー線照射部60を制御して(ステップS119)、ステップS140に移行する。
上述したステップS114,S116,S119のいずれかの処理により記録媒体Pの印刷面(画像形成面)にエネルギー照射が行われた後のステップS140において、制御部40は、記録媒体Pの裏面にエネルギー線を照射する(エネルギー線裏面照射有り)か否かを判定する。かかる判定の基準は上述した通りである。
かくして、制御部40は、記録媒体Pの裏面にエネルギー線を照射しない(エネルギー線裏面照射なし)と判定した場合(ステップS140、NO)、通常モードでの画像形成処理を実行すべく、ステップS150~S170の処理を行わずにステップS200に移行する。
すなわち、制御部40は、上述した搬送切替部25の切替ゲートを排紙側に設定する処理(ステップS200)、および記録媒体Pを排紙部28に排紙する処理(ステップS210)の後、記録媒体Pの搬送を停止するように用紙搬送部2Bを制御して(ステップS220A)、一連の処理を終了する。
一方、制御部40は、記録媒体Pの裏面にエネルギー線を照射する(エネルギー線裏面照射有り)と判定した場合(ステップS140、YES)、図12で上述したステップS150~ステップS170の処理を行った後、上述したステップS200~ステップS220Aの処理を経て、終了する。
このように、第7の実施の形態のインクジェット画像形成装置1Bによれば、制御部40の制御の下、記録媒体Pを順送しつつ、下流側のヘッド(33,35,37)によって記録媒体Pにインク像(カラー画像)を形成し(ステップS117)、記録媒体Pの少なくとも一部を搬送方向における上流側のヘッド(Wヘッド31)の上流まで逆方向に搬送させた後(ステップS118)、記録媒体Pを順送しながら搬送方向における上流側のヘッド(Wヘッド31)によって記録媒体Pに画像(例えば背景画像)を形成し(ステップS118-1)、記録媒体Pの画像形成面側にエネルギー線照射部60からエネルギー線を照射し(ステップS119)、その後、当該記録媒体Pの表裏を反転させて(ステップS160)、記録媒体Pの非画像形成面側にエネルギー線照射部60から再度エネルギー線を照射する制御を行う(ステップS170)。
かかる第7の実施の形態の構成および制御によれば、低コストおよび簡素な構成を維持しつつ、定着効率の向上を図ることができる。
また、第7の実施の形態によれば、例えば、非透明の記録媒体P用に白画像等の背景色(第2の画像)を先に形成する動作モードと、透明の記録媒体P用に当該背景色を後で形成する動作モードとを、制御部40によって選択的に実行することができる。
また、第7の実施の形態における用紙搬送部2Bは、搬送方向の上流側に配置されたWヘッド31から吐出される背景色(第2の画像)を後で記録する動作モードにおいて、カラー画像(第1の画像)が形成された記録媒体Pを下流側から上流側に向けて逆送させる構成となっている(ステップS118を参照)。
かかる構成を備えた第7の実施の形態によれば、図1等の構成と比較して分かるように、簡素な構成でありながら、記録媒体Pに対して白インクの画像を先に形成する動作モード(ステップS115、ステップS116)と、記録媒体Pに対して白インクの画像を後で形成する動作モード(ステップS117~ステップS119)との両方を実行することができる。
(第8の実施の形態)
次に、図16~図18を参照して、第8の実施の形態について説明する。
図16は、第8の実施の形態におけるインクジェット画像形成装置1Dの概略を示す図である。また、図17は、かかるインクジェット画像形成装置1Dのブロック構成を示す図である。
図10、図13と対比して分かるように、図16に示すインクジェット画像形成装置1Dは、Wヘッド31が通常の搬送方向における最上流側に配置されている点は図13の構成例と同様であり、一方、記録媒体Pの表裏を反転させる用紙反転部26の構成が異なっている。
すなわち、第8の実施の形態に係るインクジェット画像形成装置1Dでは、用紙搬送部2Bと、搬送切替部25と、用紙反転部26と、用紙循環部27と、を備えた構成となっている(図17も参照)。
ここで、図16および図17に示すように、インクジェット画像形成装置1Dにおいて記録媒体Pを搬送する用紙搬送部2Bは、第6および第7の実施の形態と同様に、記録媒体Pの搬送方向における下流側に配置された第1搬送ローラー21と、同搬送方向における上流側に配置された第2搬送ローラー22と、これら第1および第2搬送ローラー21,22に架け渡された搬送ベルト20とを有する。
但し、第6および第7の実施の形態と異なり、第8の実施の形態における用紙搬送部2Bでは、各搬送ローラー21,22を逆方向に回転させない。
代替的に、第8の実施の形態では、用紙反転部26として、制御部40の制御の下、記録媒体Pの進行方向の前後を逆にすることによって記録媒体Pの表裏を反転させる、いわゆるスイッチバック搬送方式の構成を採用している。
すなわち、用紙反転部26は、後述する用紙循環部27から供給された記録媒体Pの進行方向の先端側を図16中の下方に連なる搬送経路に導き(下向き矢印参照)、かかる搬送経路に配置されたスイッチバックローラー26Rの回転方向を切り替えることで、記録媒体Pの後端を進行方向の先端として(上向き矢印参照)、搬送ベルト20の上流側に供給する。
また、第8の実施の形態では、画像が形成された記録媒体Pを再び画像形成部3(ヘッド31~39)に向けて搬送するための用紙循環部27が設けられている。
用紙循環部27は、上述した搬送ベルト20の下方側に配置されており、制御部40の制御の下、搬送切替部25から供給された記録媒体Pを、上述した用紙反転部26または直接搬送ベルト20の上流側に向けて、循環的に搬送する役割を担う。
用紙循環部27は、一具体例では、図16中の上方に示す構成と同様の、いわゆるベルト搬送方式の構成とすることができる。用紙循環部27の他の例として、記録媒体Pの搬送経路に、使用される記録媒体Pの長さよりも短い所定間隔で複数の搬送ローラー対を配列した、いわゆるローラー搬送方式の構成としてもよい。
次に、図18のフローチャートを参照して、第8の実施の形態のインクジェット画像形成装置1Dにおける画像形成等の処理について説明する。
印刷ジョブの実行の際、制御部40は、記録媒体Pの給紙の動作を開始するように給紙部11を制御し(ステップS100)て、ステップS111に移行する。なお、第8の実施の形態では、上述した第7の実施の形態の処理(図15のステップS110を参照)とは異なり、この時点では未だ記録媒体Pの搬送動作を開始しない。
ステップS111において、制御部40は、印刷画像に白が有るか否か、すなわち記録媒体Pに形成する画像として白インクを使用するか否かを判定する。
ここで、制御部40は、白インクを使用しないと判定した場合(ステップS111、NO)、記録媒体Pの搬送動作を開始するように用紙搬送部2Bを制御し(ステップS111-1)、この後、第7の実施の形態と同様の処理(ステップS113およびステップS114)を実行する。
すなわち、制御部40は、記録媒体Pの搬送動作の開始後に、Wインクを吐出しない通常の画像形成処理(ステップS113)および画像形成面にエネルギー線照射部60からエネルギー線を照射する処理(ステップS114)を経て、ステップS140の判定処理に移行する。
一方、制御部40は、白インクを使用する(白有り)と判定した場合(ステップS111、YES)、ステップS112に移行して、白インクを他のインクの後に吐出するか否かを判定する。
ここで、制御部40は、白インクを他のインクの後に吐出しないと判定した場合(ステップS112、NO)、記録媒体Pの搬送動作を開始するように用紙搬送部2Bを制御し(ステップS112-1)、この後、第7の実施の形態と同様の処理(ステップS115およびステップS116)を実行する。
すなわち、制御部40は、記録媒体Pの搬送動作の開始後に、W,Y,M,C,Kのヘッド31,33,35,37,39を順次駆動して白画像およびカラー画像を形成する処理を行う(ステップS115)。続くステップS116において、制御部40は、記録媒体Pの画像形成面にエネルギー線を照射するようにエネルギー線照射部60を制御して、ステップS140に移行する。
一方、制御部40は、白インクを他のインクの後に吐出すると判定した場合(ステップS112、YES)、以下のステップS112-2~ステップS118-2の処理を経て、ステップS140の判定処理に移行する。
すなわち、制御部40は、ステップS112-2で搬送切替部25(切替ゲート)を用紙循環部27に連なる経路(用紙循環側)に設定し、続くステップS112-3で記録媒体Pの搬送動作を開始するように用紙搬送部2Bを制御する。
続いて、制御部40は、ステップS117において、Y,M,C,Kのヘッド33,35,37,39を順次駆動してカラー画像を形成する処理を行い、ステップS117-1において、記録媒体Pの画像形成面にエネルギー線を照射するようにエネルギー線照射部60を制御して、ステップS118Aに移行する。
ステップS118Aにおいて、制御部40は、記録媒体PがWヘッド31の上流側に来るまで、記録媒体Pを循環的に搬送するように、用紙循環部27等を制御する。
具体的には、ステップS118Aで制御部40は、搬送切替部25から供給された記録媒体Pの先端側が、用紙循環部27から、用紙反転部26のスイッチバックローラー26Rが配置された搬送経路を通らずに、直接、搬送ベルト20の上流側に向けて循環させるように、用紙循環部27等を制御する。
かかる制御により、記録媒体Pは、表裏すなわち画像形成面および進行方向が変わることなく、搬送ベルト20の上流側に搬送される。
続いて、制御部40は、Wヘッド31を駆動して、カラー画像が形成された記録媒体Pに背景等の白画像を形成する処理(ステップS118-1)およびエネルギー線照射部60からエネルギー線を照射する処理(ステップS118-2)を行った後に、ステップS140の判定処理に移行する。
上述したステップS114,S116,S118-2のいずれかの処理により記録媒体Pの印刷面(画像形成面)にエネルギー照射が行われた後のステップS140において、制御部40は、記録媒体Pの裏面にエネルギー線を照射する(エネルギー線裏面照射有り)か否かを判定する。かかる判定の基準は上述した通りである。
かくして、制御部40は、記録媒体Pの裏面にエネルギー線を照射しない(エネルギー線裏面照射なし)と判定した場合(ステップS140、NO)、通常モードでの画像形成処理を実行すべく、ステップS150A~S170Aの処理を行わずにステップS200に移行する。
すなわち、制御部40は、上述した搬送切替部25の切替ゲートを排紙側に設定する処理(ステップS200)、および記録媒体Pを排紙部28に排紙する処理(ステップS210)の後、記録媒体Pの搬送を停止するように用紙搬送部2Bを制御して(ステップS220A)、一連の処理を終了する。
一方、制御部40は、記録媒体Pの裏面にエネルギー線を照射する(エネルギー線裏面照射有り)と判定した場合(ステップS140、YES)、図12等と同様のステップS150A~ステップS170Aの処理を行った後、上述したステップS200~ステップS220Aの処理を経て、終了する。
すなわち、ステップS150Aにおいて、制御部40は、上述した搬送切替部25の切替ゲートを用紙循環側に設定する処理を行い、この後、用紙反転部26(スイッチバックローラー26R等)を制御して記録媒体Pをスイッチバック搬送する制御を行う(ステップS160)。かかる制御により、記録媒体Pは、その裏面(非画像形成面)を上側として用紙搬送部2Bに送り込まれる。
そして、制御部40は、表裏の反転した記録媒体Pの裏面(非画像形成面)にエネルギー線を照射するように、エネルギー線照射部60を制御し(ステップS170A)、この後、上述したステップS200等の処理を経て、一連の処理を終了する。
このように、インクジェット画像形成装置1Dでは、制御部40の制御の下、記記録媒体Pを順送しながら下流側のヘッド(33,35,37,39)によって記録媒体Pにカラー画像を形成した後(ステップS117)、記録媒体Pを循環的に搬送し(ステップS118A)、上流側のヘッド(Wヘッド31)によって記録媒体Pに画像を形成し(ステップS118-1)、記録媒体Pの画像形成面側にエネルギー線照射部60によりエネルギー線を照射し、その後、当該記録媒体Pの表裏を反転させて(ステップS160)、記録媒体Pの非画像形成面側にエネルギー線照射部60により再度エネルギー線を照射する(ステップS170A)。
かかる第8の実施の形態の構成および制御によれば、低コストおよび簡素な構成を維持しつつ、定着効率の向上を図ることができる。
また、第8の実施の形態では、白画像(第2の画像)を後で形成する動作モード(ステップS112-2~S118-2)において、カラー画像(第1の画像)が形成された記録媒体Pを、搬送方向の下流側から上流側に向けた循環経路を通すように搬送する(ステップS118A)とともに、用紙反転部26(スイッチバック搬送部)により、用紙循環部27の経路から分岐する経路に記録媒体Pを搬送し、当該記録媒体Pの進行方向の先端が後端となるように、記録媒体Pのスイッチバック搬送を行う。
かかる第8の実施の形態によれば、低コストおよび簡素な構成を維持しつつ、記録媒体Pに対して白インクの画像を先に形成する動作モード(ステップS112-1~S116)と、記録媒体Pに対して白インクの画像を後で形成する動作モード(ステップS112-2~S118-2)との両方を実行することができる。
さらに、図13と図16とを比較して分かるように、図16に示す第8の実施の形態の構成によれば、先行して画像形成される記録媒体Pが用紙循環部27または用紙反転部26の経路を通っている間に、次の記録媒体Pへの画像形成も同時平行的に行うことができる。したがって、第8の実施の形態によれば、印刷の生産性をより高めることができる。
(第9の実施の形態)
次に、図19~図21を参照して、第9の実施の形態について説明する。
図19は、第9ないし第12の実施の形態に共通する構成としてのインクジェット画像形成装置1Eの概略を示す図である。また、図20は、かかるインクジェット画像形成装置1Eのブロック構成を示す図である。
図6と対比して分かるように、図19に示すインクジェット画像形成装置1Eは、Wヘッド31が通常の搬送方向における最上流側に配置されている点で、図1および図6の構成例と異なっている。他の点は、図1Aおよび図1Bで説明したインクジェット画像形成装置1と同等であるため、他の構成の説明を省略する。
次に、図21のフローチャートを参照して、第9の実施の形態のインクジェット画像形成装置1Eにおける画像形成制御の処理について説明する。
印刷ジョブの実行の際に、制御部40は、胴回転すなわち搬送ドラム53の回転を開始させるように、搬送ドラムモーターを駆動制御する(ステップS5)。続いて、制御部40は、記録媒体Pの給紙動作を開始するように給紙部11(媒体供給部112等)を制御して(ステップS10)、ステップS111に移行する。
ステップS111において、制御部40は、印刷画像に白が有るか否か、すなわち記録媒体Pに形成する画像として白インクを使用するか否かを判定する。
ここで、制御部40は、白インクを使用しないと判定した場合(ステップS111、NO)、Wインクを吐出しない通常の画像形成処理(ステップS113)および画像形成面にエネルギー線照射部60からエネルギー線を照射する処理(ステップS114)を経て、ステップS140の判定処理に移行する。
一方、制御部40は、白インクを使用する(白有り)と判定した場合(ステップS111、YES)、ステップS112に移行して、白インクを他のインクの後に吐出するか否かを判定する。
ここで、制御部40は、白インクを他のインクの後に吐出しないと判定した場合(ステップS112、NO)、各ヘッドの配列順に従った通常の画像形成処理(ステップS115)および画像形成面にエネルギー線照射部60からエネルギー線を照射する処理(ステップS116)を経て、ステップS140の判定処理に移行する。
一方、制御部40は、白インクを他のインクの後に吐出すると判定した場合(ステップS112、YES)、以下のステップS112-2~ステップS118-2の処理を経て、ステップS140の判定処理に移行する。
すなわち、ステップS112-2において、制御部40は、搬送切替部25の切替ゲートを用紙循環側に設定する処理を行う。
続いて、制御部40は、Y,M,C,Kのヘッド33,35,37,39を順次駆動して記録媒体Pにカラー画像を形成する処理を行い(ステップS117)、続いて記録媒体P上のカラー画像にエネルギー線を照射する処理を行う(ステップS117-1)。
続くステップS118Aにおいて、制御部40は、記録媒体PがWヘッド31の上流側に来るまで、記録媒体Pを循環的に搬送するように、用紙搬送部2を制御する。
かかる制御により、記録媒体Pは、表裏すなわち画像形成面および進行方向が変わることなく、画像形成部3の上流側に搬送される。
そして、制御部40は、Wヘッド31を駆動してカラー画像が形成された記録媒体Pに背景等の白画像を形成する処理(ステップS118-1)およびエネルギー線照射部60から白画像にエネルギー線を照射する処理(ステップS118-2)を行った後に、ステップS140の判定処理に移行する。
上述したステップS114,S116,S118-2のいずれかの処理により記録媒体Pの印刷面(画像形成面)にエネルギー照射が行われた後のステップS140において、制御部40は、記録媒体Pの裏面にエネルギー線を照射する(エネルギー線裏面照射有り)か否かを判定する。かかる判定の基準は上述した通りである。
かくして、制御部40は、記録媒体Pの裏面にエネルギー線を照射しない(エネルギー線裏面照射なし)と判定した場合(ステップS140、NO)、通常モードでの画像形成処理を実行すべく、ステップS150A~S170Aの処理を行わずにステップS200に移行する。
すなわち、制御部40は、上述した搬送切替部25の切替ゲートを排紙側に設定する処理(ステップS200)、および記録媒体Pを排紙部28に排紙する処理(ステップS210)の後、胴(搬送ドラム53)の回転を停止するように用紙搬送部2Bを制御して(ステップS220)、一連の処理を終了する。
一方、制御部40は、記録媒体Pの裏面にエネルギー線を照射する(エネルギー線裏面照射有り)と判定した場合(ステップS140、YES)、搬送切替部25(各爪部)を用紙循環側に設定する処理を行う(ステップS150A)。この後、制御部40は、用紙反転部26(搬送ローラー59およびスイングアーム部51b等)を制御して記録媒体Pの表裏を反転させて搬送する制御を行う(ステップS160)。
そして、制御部40は、表裏および進行方向の反転した記録媒体Pの裏面(非画像形成面)にエネルギー線を照射するように、エネルギー線照射部60を制御し(ステップS170A)、この後、上述したステップS200等の処理を経て、一連の処理を終了する。
このように、インクジェット画像形成装置1Eでは、第1または第4の実施の形態と同様に、記録媒体Pを搬送する搬送部として、記録媒体Pを保持しながら回転する回転部材としての搬送ドラム53を備え、制御部40の制御の下、上述した図21のフローチャートに従った動作が実行される。
すなわち、第9の実施の形態の構成および制御では、搬送ドラム53(いずれかの爪部)で記録媒体Pを保持しつつ、下流側のヘッド(33,35,37,39)によって記録媒体Pにインク像(カラー画像)を形成し(ステップS117)、記録媒体Pの画像形成面側にエネルギー線照射部60によってエネルギー線を照射する(ステップS117-1)。
この後、記録媒体Pを搬送ドラム53上に保持したままもう1回転し(ステップS118A)、上流側のヘッド(Wヘッド31)によって画像を形成し(ステップS118-1)、記録媒体Pの画像形成面側にエネルギー線照射部60によってエネルギー線を照射し(ステップS118-2)、その後、記録媒体Pの表裏を反転させて当該記録媒体Pを再び搬送ドラム53で保持して(ステップS160)、当該記録媒体Pの非画像形成面側にエネルギー線照射部60によってエネルギー線を照射する(ステップS170A)。
かかる第9の実施の形態の構成および制御によれば、下流側のヘッド(33,35,37,39)により形成される画像と、上流側のヘッド(Wヘッド31)により形成される画像と、の位置ずれを抑えることができる。
また、第9の実施の形態の構成および制御では、下流側のヘッド(33,35,37,39)および上流側のヘッド(Wヘッド31)により形成される各々の画像(インク像)を、記録媒体Pの画像形成面に吐出後に、当該画像形成面に対して直ちにエネルギー線を照射する(ステップS114,S116,S117-1,S118-2等参照)。
かかる処理を行うことにより、例えば、下流側のヘッド(33,35,37,39)から吐出されたインク像(画像)と上流側のヘッド(Wヘッド31)から吐出されたインク像(画像)とが重なって印刷された場合に、インクの厚み増加に伴ってインクの硬化が不十分となる等を防止することができる。
さらに、第9の実施の形態によれば、図1Aで上述した構成に対してWヘッド31を追加することにより、非透明の記録媒体P用に白画像等の背景色(第2の画像)を先に形成する動作モードと、透明の記録媒体P用に当該背景色を後で形成する動作モードとを、制御部40によって選択的に実行することができる。
(第10の実施の形態)
次に、図22のフローチャートを参照して、第10の実施の形態における画像形成制御の処理について説明する。
図21と図22とを比較して分かるように、第10の実施の形態における画像形成制御の処理は、図21のステップS112に対応する判定の内容が異なっている。
すなわち、第10の実施の形態では、制御部40は、ステップS111において印刷画像に白が有る(記録媒体Pに形成する画像として白インクを使用する)と判定した(ステップS111、YES)後のステップS112Aにおいて、白インクを他のインクより前に吐出するか否かを判定する。
ここで、制御部40は、白インクを他のインクの前に吐出すると判定した場合(ステップS112A、YES)、図21の例と同様に、各ヘッドの配列順に従った通常の画像形成処理(ステップS115)および画像形成面にエネルギー線照射部60からエネルギー線を照射する処理(ステップS116)を経て、ステップS140の判定処理に移行する。
ここで、制御部40は、白インクを他のインクの前に吐出しないと判定した場合(ステップS112A、NO)、図21で上述したステップS112-2~ステップS118-2の処理を経て、ステップS140の判定処理に移行する。
なお、ステップS140以降の処理は図21の例と同様であるため、説明を省略する。
(第11の実施の形態)
次に、図23のフローチャートを参照して、第11の実施の形態における画像形成制御の処理について説明する。
次に、図21と図23のフローチャートを比較して分かるように、第11の実施の形態における画像形成制御の処理では、図21のステップS117-1に対応する処理を行わない。
すなわち、図1Aのインクジェット画像形成装置1(第1の実施の形態)で上述したように、図19に示すインクジェット画像形成装置1Eでも、搬送ドラム53と、搬送ドラム53に対向する受け渡しローラー52,搬送ローラー56との間、および他の搬送ローラー間との間に所定の隙間が設けられている。
第11の実施の形態では、かかる隙間を利用して、最初の定着処理(図21のステップS117-1)を省略し、記録媒体Pに全ての画像(第1の画像および第2の画像)が形成された後に、一度に定着処理を行うようにする。
かかる第11の実施の形態では、制御部40は、ステップS112において白インクを他の色の後に吐出すると判定した場合(ステップS112、YES)、第10の実施の形態と同様に、搬送切替部25の切替ゲートを用紙循環側に設定する処理を行う(ステップS112-2)。
続いて、制御部40は、Y,M,C,Kのヘッド33,35,37,39を順次駆動して記録媒体Pにカラー画像を形成する処理を行い(ステップS117)、その後、カラー画像にエネルギー線を照射する処理(図21のステップS117-1参照)を行うことなく、ステップS118Aに移行する。
ステップS118Aにおいて、制御部40は、記録媒体PがWヘッド31の上流側に来るまで、記録媒体Pを循環的に搬送するように、搬送ドラム53(搬送モーター)を制御する。
かかる制御により、記録媒体Pは、表裏すなわち画像形成面および進行方向が変わることなく、画像形成部3の上流側に搬送される。
なお、記録媒体P上のカラー画像は、この時点では未だ記録媒体Pに対して定着していないが、所定以上の粘度のインクを使用すれば上述したローラー間の隙間により、他のローラー(56,52など)に転移することが有効に防止される。
続いて、制御部40は、Wヘッド31を駆動してカラー画像が形成された記録媒体Pに背景等の白画像を形成する処理(ステップS118-1)およびエネルギー線照射部60から白画像およびカラー画像にエネルギー線を照射する処理(ステップS118-2A)を行った後に、ステップS140の判定処理に移行する。
このように、インクジェット画像形成装置1Eでは、第1または第4の実施の形態と同様に、記録媒体Pを搬送する搬送部として、記録媒体Pを保持しながら回転する回転部材としての搬送ドラム53を備え、制御部40の制御の下、上述した図23のフローチャートに従った動作を実行することもできる。
すなわち、第11の実施の形態の構成および制御では、第9の実施の形態と同様に、搬送ドラム53(いずれかの爪部)で記録媒体Pを保持しつつ、下流側のヘッド(33,35,37,39)によって記録媒体Pにインク像(カラー画像)を形成する(ステップS117)。
一方、第11の実施の形態の構成および制御では、この後、記録媒体Pの画像形成面側にエネルギー線照射部60によってエネルギー線を照射する処理(図21のステップS117-1を参照)を行わない。
第11の実施の形態では、制御部40は、ステップS117の後、記録媒体Pを搬送ドラム53上に保持したままもう1回転させ(ステップS118A)、上流側のヘッド(Wヘッド31)によって画像を形成し(ステップS118-1)、記録媒体Pの画像形成面側にエネルギー線照射部60によってエネルギー線を照射する(ステップS118-2A)。その後、制御部40は、記録媒体Pの表裏を反転させて(ステップS160)、当該記録媒体Pを再び搬送ドラム53で保持して、当該記録媒体Pの非画像形成面側にエネルギー線照射部60によってエネルギー線を照射する(ステップS170A)制御を行う。
かかる第11の実施の形態の構成および制御によれば、第9の実施の形態と同様に、下流側のヘッド(33,35,37,39)により形成される画像と、上流側のヘッド(Wヘッド31)により形成される画像と、の位置ずれを抑えることができる。
また、第9の実施の形態と比較して、第11の実施の形態の制御では、1回目の画像形成時にエネルギー線照射部60によるエネルギー線照射の処理を行わず、かかるエネルギー線の照射を最後(この例では2回目)の画像形成時にまとめて(一時のタイミングで)行っており(ステップS118-2A)、かかる制御によれば、以下のようなメリットがある。
すなわち、1回目の画像形成時にエネルギー線照射を行って記録媒体P上のインク像を硬化させる場合、2回目(Wインク)の画像形成時に、Wヘッド31から吐出されるWインクが、硬化された他の色のインク層により弾かれて、Wインクの画像が劣化する場合がある。これに対して、エネルギー線照射部60によるエネルギー線の照射を2回目の画像形成時にまとめて行う本制御によれば、上記のような不具合の発生を防止ないし抑制することができる。また、エネルギー線の照射回数を1回に減らすことにより、消費エネルギーを節約することができる。さらに、記録媒体Pが熱に弱いものである場合には、エネルギー線の照射回数を1回に減らすことにより記録媒体の熱による変形やダメージを抑えることができる。
(第12の実施の形態)
次に、図24のフローチャートを参照して、第12の実施の形態における画像形成制御の処理について説明する。
図3のフローチャートと比較して分かるように、第12の実施の形態における画像形成制御の処理は、記録媒体Pが透明である場合(ステップS11、YES)の処理として、記録媒体Pへのエネルギー線の照射を、必要とする回数分行うことができるようになっている(ステップS18-2等を参照)。
具体的には、制御部40は、図3で上述したように、カラー画像が形成された記録媒体Pにエネルギー線を照射する処理(ステップS17)を行った後に、記録媒体Pの反転動作(ステップS18)の処理を実行する。
続いて、制御部40は、記録媒体Pの裏面に向けてエネルギー線を照射するように、エネルギー線照射部60を制御し(ステップS18-1)、この後、ステップS18-2に移行する。
ステップS18-2において、制御部40は、記録媒体Pの裏面に向けてもう一回エネルギー線を照射するか否かを判定する。
ここで、制御部40は、もう一回エネルギー線を照射するか否かを判定するために、上述した記録媒体Pの種類や、第2の実施の形態で上述したインクの吐出量やインクに対するエネルギー線の透過率などを総合的に勘案して、記録媒体Pとインクとの界面でインクが硬化するかを基準として判定する。
言い換えると、ステップS18-2において、制御部40は、ステップS18-1でのエネルギー線照射によって記録媒体Pとインクとの界面でインクが硬化するか否かを判断し、硬化しないと判断した場合、もう一回エネルギー線を照射すると判定する(ステップS18-2、YES)。
概して、記録媒体Pに対するエネルギー線の透過率が低い場合、同透過率が高い場合に比べて、裏面から照射されたエネルギー線が記録媒体Pに吸収され、記録媒体Pとインクの界面に到達するエネルギーが減少して同界面におけるインクの硬化ひいては記録媒体Pへの定着度合いが下がることから、記録媒体Pの裏面に向けてエネルギー線を照射する回数を増やす必要がある。ここで、記録媒体Pに対するエネルギー線の透過率の程度は、記録媒体Pの厚みや種別から特定することができる。
また、画像形成面側からエネルギー線を照射した際に、インクと記録媒体との界面への到達率が低い場合、同到達率が高い場合に比べて、同界面におけるインクの硬化ひいては記録媒体Pへの定着度合いが下がることになる。したがって、上記の到達率が低い場合には、記録媒体Pの裏面に向けてエネルギー線を照射する回数を増やす必要があり得る。
ここで、インクに対するエネルギー線の透過率の程度は、上記のように、記録媒体Pへのインクの吐出量やインクに対するエネルギー線の透過率からある程度特定することができる。
かくして、制御部40は、上記の界面でインクが硬化すると判断した場合、記録媒体Pの裏面に向けてもう一回エネルギー線を照射しない(ステップS18-2、NO)と判定し、搬送切替部25を排紙側に設定する処理を行い(ステップS19)、排紙(ステップS21)および胴回転停止(ステップS22)の処理を経て一連の制御を終了する。
一方、制御部40は、界面でインクが硬化しないと判断した場合、記録媒体Pの裏面に向けてもう一回エネルギー線を照射する(ステップS18-2、YES)と判定し、搬送切替部25を循環側に設定する処理を行い(ステップS18-3)、上述したステップS18-1に戻る。
続いて、制御部40は、上述したステップS18-1、S18-2(YES)、ステップS18-3のループを、記録媒体Pとインクとの界面におけるインクの硬化ひいては記録媒体Pへの定着に必要な分だけ繰り返す。
この後、制御部40は、記録媒体Pの裏面に向けてもう一回エネルギー線を照射しない(ステップS18-2、NO)と判定し、搬送切替部25(各爪部の開閉状態)を排紙側に設定する処理を行い(ステップS19)、排紙(ステップS21)等の処理を経て処理を終了する。
かくして、第12の実施の形態によれば、記録媒体Pとの界面におけるインクの硬化(定着)をより確実に実現することができる。
以上、詳細に説明したように、本発明を適用した種々の実施の形態によれば、1つのエネルギー線照射部を使用しつつ高いエネルギー効率でインクを硬化させることができ、低コストおよび簡素な構成としつつ、定着性の向上を図ることができる。
なお、上述した構成は、適宜、組み合わせることができる。
上述した説明では、各実施の形態の特徴的構成をインクジェット画像形成装置に適用した場合について例示した。一方、上述した各実施の形態の特徴的構成は、エネルギー線硬化型の画像記録材料を使用した他の方式の画像形成装置にも適用することができる。
その他、上記実施の形態および実施例は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。