以下、本実施の形態に係る種々のインクジェット画像形成装置について、図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
まず、図2~図4を参照して、第1の実施の形態におけるインクジェット画像形成装置について説明する。ここで、図2は、第1の実施の形態におけるインクジェット画像形成装置1の概略構成を示す斜視図である。また、図3は、インクジェット画像形成装置1の主要な機能構成を示すブロック図である。
インクジェット画像形成装置1は、記録媒体Pを搬送する搬送部2、および記録媒体Pに画像(インクドットによるインク像)を形成する複数のインクジェットヘッド31,33,35,37,39を有する画像形成部3(図3も参照)を備える。
また、インクジェット画像形成装置1は、図3に示すように、印刷ジョブに関する種々のデータが入力および記憶されるデータ入力部10、およびインクジェット画像形成装置1全体の制御を司る制御部40を備える。
図2に示す例では、長尺の布を記録媒体Pとして使用している。一方、インク像が形成される記録媒体Pとしては、普通紙や塗工紙といった紙、布帛またはシート状の樹脂等、表面に着弾したインクを定着させることが可能な種々の媒体を用いることができる。
インクジェット画像形成装置1の搬送部2は、記録媒体Pの搬送方向における下流側に配置された第1搬送ローラー21と、同搬送方向における上流側に配置された第2搬送ローラー22と、これら第1および第2搬送ローラー21,22に架け渡された搬送ベルト20とを有する。
また、搬送部2は、図3に示すように、搬送ベルト20ひいては記録媒体Pを通常の搬送方向に搬送(順送)するためのモーター等の駆動源を有する用紙順送部23と、搬送ベルト20(記録媒体P)を通常の搬送方向とは逆方向に搬送(逆送)するためのモーター等の駆動源を有する用紙逆送部24と、を備える。
搬送部2は、制御部40の制御の下、用紙順送部23のモーターが駆動されることにより、第1搬送ローラー21が図2中の矢印F方向に回転し、搬送ベルト20が順方向に連れ回り回転することで、記録媒体Pを通常の順方向(図2中の矢印A方向)に搬送する。
また、搬送部2は、制御部40の制御の下、用紙逆送部24のモーターが駆動されることにより、第2搬送ローラー22が図2中の矢印R方向に回転し、搬送ベルト20が逆方向に連れ回り回転することで、記録媒体Pを逆方向に搬送する。
データ入力部10は、図示しないPC等の外部装置に接続される入力インターフェース、メモリー等を備える。ここで、メモリーは、例えばHDD(Hard Disk Drive)が用いられ、また、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などが併用されてもよい。
データ入力部10は、制御部40の制御の下、外部装置から印刷ジョブに関するデータ(ジョブ命令、印刷される画像の画像データや種々の設定データなど)を取得(入力および記憶)し、印刷ジョブの実行時に画像データをヘッド駆動部30に出力する。
インクジェット画像形成装置1の画像形成部3は、互いに異なる色のインクを吐出する複数のインクジェットヘッド(以下、単に「ヘッド」という)31~39と、これらヘッドを駆動するヘッド駆動部30と、を備える。
このインクジェット画像形成装置1では、通常の搬送方向の上流側から順に、白色(W)のインクを吐出するWヘッド31、イエロー(Y)のインクを吐出するYヘッド33、マゼンタ(M)のインクを吐出するMヘッド35、シアン(C)のインクを吐出するCヘッド37、およびブラック(K)のインクを吐出するKヘッド39が所定の間隔で並ぶように配列されている。
上記のうち、ヘッド33,35,37,39は、本発明の「第1の画像形成部」に対応し、Wヘッド31は本発明の「第2の画像形成部」に対応する。後述する第2~第6の実施の形態も同様である。
図示しないが、一具体例では、各々のヘッド(31~39)には、インクを貯留する圧力室と、圧力室の壁面に設けられた圧電素子と、ノズルとを各々有する複数の記録素子が設けられている。この記録素子は、圧電素子を変形動作させる駆動信号が入力されると、圧電素子の変形により圧力室が変形して圧力室内の圧力が変化し、圧力室に連通するノズルからインクを吐出する。
図2に示すように、各々のヘッド(31~39)は、記録媒体Pの搬送方向(図2中の矢印A参照)と直交する幅方向(図2中の両矢印c参照)に沿って延びるように配置されている。
ヘッド駆動部30は、制御部40の制御に基づいて、各々のヘッド(31~39)に対して適切なタイミングで、画像データの画素値に対応して圧電素子を変形動作させる駆動信号を供給することにより、対応するヘッド(31~39)のノズルから、当該画素値に応じた量のインクを吐出させる。
図示しないが、制御部40は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、およびROM(Read Only Memory)を有する。
上記のうち、CPUは、ROMに記憶された各種制御用のプログラムや設定データを読み出してRAMに記憶させ、当該プログラムを実行して各種の演算処理を行う。また、CPUは、インクジェット画像形成装置1の全体動作を統括制御する。
RAMは、CPUに作業用のメモリー空間を提供し、一時データを記憶する。なお、RAMは、不揮発性メモリーを含んでいてもよい。
ROMは、CPUにより実行される各種制御用のプログラムや設定データ等を格納する。なお、ROMに代えて、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)やフラッシュメモリー等の書き換え可能な不揮発性メモリーが用いられてもよい。
かかる構成の画像形成装置1では、制御部40の制御下で、搬送部2により記録媒体Pをヘッド(31~39)の下に順次搬送し、使用する色のインクのヘッド(31~39)からインクを吐出することで記録媒体Pに画像を形成し、画像が形成された記録媒体Pを搬送部2により排紙する。
ところで、かかる構成のインクジェット画像形成装置1では、ヘッド(31~39)の配列順ひいてはインクの各色の配列順が予め定められていることから、記録媒体P上に吐出され積層されるインクの吐出順ひいては形成されるインク層の積層順の自由度を確保することができなかった。
具体的には、図2に示すような通常の配列状態のままでは、搬送方向における最上流の位置にWヘッド31があることから、透明の記録媒体PにY、M、C、K等のインクによるカラー画像を形成した上に、白インクによる背景色を形成する、といったことができなかった。
このため、インクジェット画像形成装置1では、例えばY、M、C、K等のインクによるカラー画像を形成した記録媒体Pの上に白インクによる背景層を形成する場合、印刷ジョブの実行に先立って、搬送方向の上流側から、Yヘッド33、Mヘッド35、Cヘッド37、Kヘッド39、およびWヘッド31の順で、配列するヘッドの順番を入れ換える必要がある。かかるヘッドの配列(順番)の入れ換え作業は、ユーザーにとって手間がかかるという難点があった。
あるいは、カラー画像を形成した記録媒体Pの上に白インクによる背景層を形成する他の方策として、搬送方向の下流側にWヘッド31を追加することも考えられる。しかしながら、この場合、Wヘッド31が搬送方向の上流側および下流側の両方に配置されることから、構成および制御が複雑になるのみならず、メンテナンス等においてもコスト高を招くという問題がある。
総じて、インクジェット画像形成装置の従来技術による構成では、インクジェットヘッドの配列の順番を変えずに、異なるインクについての種々の積層態様を実現することができなかった。
上記のような課題に鑑みて、本実施の形態では、インクジェットヘッド(ヘッド31~39)の配列の順番を変えることなく異なるインクについての種々の積層態様を実現するために、制御部40によって以下のような制御を行う構成とする。
まず、制御部40は、記録媒体Pに第1の画像(上記例では白インク以外の色のカラー画像)を形成するように、一以上のインクジェットヘッド(上記例では、Yヘッド33、Mヘッド35、Cヘッド37、Kヘッド39のいずれか一以上)からインクを吐出させる制御を行う。
本発明との関係において、上記の第1の画像(以下、単に「カラー画像」という)を出力するヘッド(Yヘッド33、Mヘッド35、Cヘッド37、Kヘッド39のいずれか一以上)は、「第1の画像形成部」に対応する。
続いて、制御部40は、複数のインクジェットヘッド(画像形成部)のうち第2の画像(上記例では白インクの画像)を形成するインクジェットヘッド(上記例ではWヘッド31)の搬送方向に沿った上流に記録媒体Pを搬送させるように、搬送部2を制御する。
本発明との関係において、上記の第2の画像(以下、単に「白画像」という)を出力するヘッド(Wヘッド31)は、「第2の画像形成部」に対応する。
さらに、制御部40は、記録媒体Pに第2の画像(すなわち白画像)を形成すべく、対応するインクジェットヘッド(第2の画像形成部としてのWヘッド31)からインクを吐出させる制御を行う。
上記のような制御(一連の処理)を行うことにより、インクジェットヘッドの配列の順番を変えることなく、異なるインクについての種々の積層態様を実現することができる。
したがって、本実施の形態によれば、例えば、透明な記録媒体Pに先にカラー画像を形成した後に、白色の背景画像を形成することができ、この結果、透明な記録媒体Pの裏面からカラー画像を観察することができる。
一具体例では、制御部40は、印刷ジョブの実行時に入力画像のデータ(印刷する画像)を参照して、上述した特徴的な画像形成動作のモードと、通常の画像形成動作(すなわち上流側のヘッドから下流側のヘッドの順にインクを吐出して画像を形成する動作)としての通常モードと、のいずれで画像形成動作を行うかを決定し、決定した画像形成動作の制御を実行する。
すなわち、制御部40は、印刷する画像に応じて、カラー画像(第1の画像)を形成した後に白色の背景画像(第1の画像)を形成するように、記録媒体Pの搬送および画像形成の制御を行う。
このような構成とすることで、少ないヘッド構成を維持し、かつ、各ヘッドの配列を変えることなく、表面観察用の背景色(白画像)を先に記録する、通常(非透明)の記録媒体に適用される通常モードと、裏面観察用の背景色(白画像)をカラー画像の後に記録する、透明な記録媒体用のモードと、の両方を設けることができる。
以下は、透明な記録媒体に適用され、裏面観察用の背景色(白画像)をカラー画像の後に記録する後者のモード(すなわち特徴的な画像形成動作)を、便宜のため「第2の画像形成動作」と称する。
以下、図4のフローチャートを参照して、第1の実施の形態のインクジェット画像形成装置1における画像形成動作について説明する。
ステップS1において、制御部40は、入力画像のデータを参照して、印刷する画像に白色の画素を含むか否か(すなわちWヘッド31によるWインクを吐出するか否か)を判定する。
ここで、制御部40は、白色の画素を含まない(Wインクを吐出しない)と判定した場合(ステップS1、NO)、Wヘッド31を駆動しない通常モードでの画像形成動作の制御(ステップS11~S13)を行って、処理を終了する。
具体的には、制御部40は、通常の搬送方向に記録媒体Pの搬送(すなわち順送)を開始する処理(ステップS11)、Y,M,C,Kのヘッド33,35,37,39を順次駆動してカラー画像を形成する処理(ステップS12)、および記録媒体Pの搬送(順送)を停止させる処理(ステップS13)を順次行って、処理を終了する。
かかる制御により、記録媒体P上に、Y,M,C,Kのインクが順に吐出された画像が形成される。
一方、制御部40は、白色の画素を含む(Wインクを吐出する)と判定した場合(ステップS1、YES)、ステップS2に移行する。ステップS2において、制御部40は、入力画像のデータから、Wインクを他の色(この例ではY,M,C,Kのいずれかの色)の後に吐出するか否かを判定する。
ここで、制御部40は、Wインクを他の色の後に吐出しないと判定した場合(ステップS2、NO)、Wヘッド31を駆動する通常モードでの画像形成動作の制御(ステップS21~S23)を行う。
具体的には、制御部40は、通常の搬送方向に記録媒体Pの搬送(すなわち順送)を開始する処理(ステップS21)、W,Y,M,C,Kのヘッド31,33,35,37,39を順次駆動して、白画像およびカラー画像を形成する処理(ステップS22)、および記録媒体Pの搬送(順送)を停止させる処理(ステップS23)を順次行って、一連の処理を終了する。
かかる制御により、記録媒体P上に、W,Y,M,C,Kのインクが順に吐出された画像が形成される。
一方、制御部40は、Wインクを他の色の後に吐出すると判定した場合(ステップS2、YES)、第2の画像形成動作を行うべく、以下のステップS31~S37の制御を行う。
まず、制御部40は、上述したステップS11およびステップS21の場合と同様に、通常の搬送方向に記録媒体Pの搬送(すなわち順送)を開始するように搬送部2(用紙順送部23)を制御する(ステップS31)。
続くステップS32において、制御部40は、上述したステップS12の場合と同様に、Y,M,C,Kのヘッド33,35,37,39を順次駆動してカラー画像を形成する処理を行う。あるいは、最初に白画像を形成する場合、ステップS32で制御部40は、上述したステップS22の場合と同様に、W,Y,M,C,Kのヘッド31,33,35,37,39を順次駆動して、白画像およびカラー画像を形成する処理を行う。
次のステップS33において、制御部40は、記録媒体Pの順送を停止させるように搬送部2(用紙順送部23)を制御する。
続いて、制御部40は、記録媒体PがWヘッド31の上流側に来るまで、通常とは逆の搬送方向に記録媒体Pを搬送する(すなわち逆送する)制御を行う(ステップS34)。具体的には、ステップS34で制御部40は、搬送ローラー22を図2中の矢印R方向に回転させるように、用紙逆送部24のモーターを駆動制御する。
この後、制御部40は、通常の搬送方向への記録媒体Pの搬送(順送)を開始するように搬送部2(用紙順送部23)を制御し(ステップS35)、白画像を形成するようにWヘッド31を駆動する(ステップS36)。そして、制御部40は、記録媒体Pの順送を停止させるように搬送部2(用紙順送部23)を制御する処理(ステップS37)を経て、第2の画像形成動作の処理を終了する。
かかる制御を行う第1の実施の形態によれば、Wヘッド31の追加または複数のヘッド(31~39)全体の配列を変更することなく、記録媒体P上に、Y,M,C,K,W(またはW,Y,M,C,K,W)のインクが順に吐出された画像を形成することができる。
また、第1の実施の形態によれば、記録媒体Pを逆送できるようにするために、従来と同等のインクジェット画像形成装置に対して用紙逆送部24(図3参照)という比較的簡素かつ低コストな構成を追加することで、上述したようなインクの積層態様についての自由度を得ることができる。
(第2の実施の形態)
次に、図5~図7を参照して、第2の実施の形態におけるインクジェット画像形成装置について説明する。ここで、図5は、第2の実施の形態におけるインクジェット画像形成装置1Aの概略構成を示す側面図である。また、図6は、図5に示すインクジェット画像形成装置1Aの主要な機能を説明するブロック図である。
なお、上述した第1の実施の形態と同一または同等な部分には同一または類似の符号を付して、適宜その説明を省略する。この点、後述する第3の実施の形態以下も同様である。
概して、上述した第1の実施の形態では、制御部40の制御の下、画像形成処理の特徴的な動作として、記録媒体Pの逆送を行う構成とした。これに対し、第2の実施の形態では、制御部40の制御の下、下流側のヘッド(この例ではY,M,C,Kのヘッド33,35,37,39)によって画像形成した後、記録媒体Pを循環的に搬送させて、上流側ヘッド(この例ではWヘッド31)からインクを吐出させる。
すなわち、制御部40は、Wヘッド31による白画像(第2の画像)が形成されるように、カラー画像(第1の画像)が形成された記録媒体Pを、搬送方向の下流側から上流側に向けた循環経路を通すように搬送する制御を行う。
図5に示すように、第2の実施の形態のインクジェット画像形成装置1Aは、記録媒体Pを給送(給紙)する給紙部11、記録媒体Pを搬送する搬送部2A、記録媒体Pに画像(インクドットによるインク像)を形成する複数のヘッド31,33,35,37,39を有する画像形成部3(図6も参照)、および画像が形成された記録媒体Pを排紙する排紙部28を備える。
また、インクジェット画像形成装置1Aは、図6に示すように、印刷ジョブに関する種々のデータが入力および記憶されるデータ入力部10、およびインクジェット画像形成装置1全体の制御を司る制御部40を備える。
さらに、図2(図3)と図5(図6)とを比較して分かるように、第2の実施の形態に係るインクジェット画像形成装置1Aでは、搬送部2Aと、搬送切替部25と、用紙循環部26と、を備えた構成となっている。
ここで、図5および図6に示すように、インクジェット画像形成装置1Aにおいて記録媒体Pを搬送する搬送部2Aは、第1の実施の形態と同様に、記録媒体Pの搬送方向における下流側に配置された第1搬送ローラー21と、同搬送方向における上流側に配置された第2搬送ローラー22と、これら第1および第2搬送ローラー21,22に架け渡された搬送ベルト20とを有する。
但し、第1の実施の形態と異なり、第2の実施の形態における搬送部2Aでは、第2搬送ローラー22を逆方向に回転させない。すなわち、図6に示す搬送部2Aは、上述した用紙順送部23の構成(モーター等)を備える一方、用紙逆送部24の構成(モーター等)が省略される。
代替的に、第2の実施の形態では、画像が形成された記録媒体Pの搬送方向を切り替えるための搬送切替部25と、画像が形成された記録媒体Pを再び画像形成部3(ヘッド31~39)に向けて搬送(循環搬送)するための用紙循環部26と、が備えられている。
上記のうち、搬送切替部25は、画像が形成された記録媒体Pの搬送方向を、排紙部28または用紙循環部26のいずれかに切り替えるための図示しない切替ゲート等を備える。
搬送切替部25は、制御部40の制御の下、切替ゲートを動作させることで、画像が形成された記録媒体Pの搬送方向(搬送される経路)を、排紙部28側または用紙循環部26側のいずれかに切り替えるように設定する。
用紙循環部26は、上述した搬送ベルト20の下方側に配置されており、制御部40の制御の下、搬送切替部25を通じて供給された記録媒体Pを、再び画像形成部3(ヘッド31~39)に向けて搬送(循環搬送)する役割を担う。
用紙循環部26は、一具体例では、図5中の上方に示す構成と同様の、いわゆるベルト搬送方式の構成とすることができる。用紙循環部26の他の例として、記録媒体Pの搬送経路に、使用される記録媒体Pの長さよりも短い所定間隔で複数の搬送ローラー対を配列した、いわゆるローラー搬送方式の構成としてもよい。
上記のうち、搬送部2Aの下流側の搬送切替部25から用紙循環部26を経て搬送部2Aの上流側に連なる経路(図5参照)は、本発明の「循環経路」に対応する。
給紙部11は、画像形成される記録媒体Pを積層収容し、制御部40の制御の下、かかる記録媒体Pを1枚ずつ画像形成部3および搬送ベルト20等に向けて給送(給紙)する機能を有する。
また、排紙部28は、制御部40の制御の下、搬送切替部25を通じて供給された記録媒体Pを、図示しないトレイ上に積層する機能を有する。
なお、給紙部11および排紙部28は、図8で後述する構成と同等のものが使用でき、かつ公知の構成であることから、ここでの詳細な説明を省略する。
次に、図7のフローチャートを参照して、第2の実施の形態のインクジェット画像形成装置1Aにおける画像形成動作について説明する。
ステップS100において、制御部40は、記録媒体Pの給紙の動作を開始するように給紙部11を制御する。続くステップS101において、制御部40は、入力画像のデータを参照して、印刷する画像に白色の画素を含むか否か(すなわちWヘッド31によるWインクを吐出するか否か)を判定する。
ここで、制御部40は、白色の画素を含まない(Wインクを吐出しない)と判定した場合(ステップS101、NO)、Wヘッド31を駆動しない通常モードでの画像形成動作の制御(ステップS103~S105)を行った後に、記録媒体Pの排紙(ステップS130)および搬送停止(ステップS131)の動作を経て、処理を終了する。
具体的には、制御部40は、上述した搬送切替部25の切替ゲートを排紙側に設定する処理(ステップS103)を行い、記録媒体Pの搬送を開始する処理(ステップS104)、Y,M,C,Kのヘッド33,35,37,39を順次駆動してカラー画像を形成する処理(ステップS105)の後に、記録媒体Pの排紙(ステップS130)等を経て、処理を終了する。
かかる制御により、記録媒体P上に、Y,M,C,Kのインクが順に吐出された画像が形成される。
一方、制御部40は、白色の画素を含む(Wインクを吐出する)と判定した場合(ステップS101、YES)、ステップS102に移行する。ステップS102において、制御部40は、入力画像のデータから、Wインクを他の色(この例ではY,M,C,Kのいずれかの色)の後に吐出するか否かを判定する。
ここで、制御部40は、Wインクを他の色の後に吐出しないと判定した場合(ステップS102、NO)、Wヘッド31を駆動する通常モードでの画像形成動作の制御(ステップS113~S115)を行う。
具体的には、制御部40は、搬送切替部25の切替ゲートを排紙側に設定する処理(ステップS113)を行い、記録媒体Pの搬送を開始する処理(ステップS114)、W,Y,M,C,Kのヘッド31,33,35,37,39を順次駆動して、白画像およびカラー画像を形成する処理(ステップS115)の後に、記録媒体Pの排紙(ステップS130)等を経て、処理を終了する。
かかる制御により、記録媒体P上に、W,Y,M,C,Kのインクが順に吐出された画像が形成される。
一方、制御部40は、Wインクを他の色の後に吐出すると判定した場合(ステップS102、YES)、第2の画像形成動作を行うべく、以下のステップS123~S128の制御を行う。
まず、制御部40は、上記の搬送切替部25の切替ゲートを用紙循環側に設定する処理を行う(ステップS123)。
続いて、制御部40は、上述したステップS104およびステップS114の場合と同様に、記録媒体Pの搬送を開始するように搬送部2A(用紙順送部23)を制御する(ステップS124)。
続くステップS125において、制御部40は、上述したステップS105の場合と同様に、Y,M,C,Kのヘッドを順次駆動してカラー画像を形成する処理を行う。あるいは、最初に白画像を形成する場合、ステップS125で制御部40は、上述したステップS115の場合と同様に、W,Y,M,C,Kのヘッドを順次駆動して、白画像およびカラー画像を形成する処理を行う。
次に、制御部40は、用紙循環部26の駆動源(モーター等)を駆動制御することで、記録媒体Pを循環搬送させる処理(ステップS126)を行い、さらに、搬送切替部25の切替ゲートを排紙側に設定する処理を行う(ステップS127)。
かかる処理により、カラー画像が形成された記録媒体Pは、循環経路(搬送切替部25および用紙循環部26)を通って搬送部2Aの上流側に戻されるように搬送される。
そして、制御部40は、Wヘッド31を駆動して白画像を形成する処理(ステップS128)を行い、続いて、排紙部28による排紙の処理(ステップS130)および搬送部2Aによる記録媒体Pの搬送を停止させる処理(ステップS131)を行った後、一連の処理を終了する。
かかる制御を行う本実施の形態によれば、Wヘッドの追加または複数のヘッド全体の配列を変更することなく、記録媒体P上に、Y,M,C,K,W(またはW,Y,M,C,K,W)のインクが順に吐出された画像を形成することができる。
加えて、第2の実施の形態の構成によれば、先行して画像形成される記録媒体Pが循環経路を通っている間に、次の記録媒体Pへの画像形成も同時平行的に行うことができるので、印刷の生産性を高めることができる。
(第3乃至第5の実施の形態)
次に、図8~図12を参照して、第3~第5の実施の形態に係るインクジェット画像形成装置1Bについて説明する。
図8は、第3から第5の実施の形態に共通する構成を説明する図であり、搬送ドラム方式のインクジェット画像形成装置1Bの概略構成を示す。
図8に示すように、このインクジェット画像形成装置1Bは、給紙部11、画像形成装置本体300、および排紙部28を備えている。また、インクジェット画像形成装置1Bは、搬送方向における画像形成部3の下流側に、エネルギー線照射部60を備えている(図9も参照)。
給紙部11は、記録媒体Pを格納する給紙トレイ111と、給紙トレイ111から画像形成部3に記録媒体Pを搬送して供給する媒体供給部112とを有する。
給紙トレイ111は、一または複数の記録媒体Pを載置可能に設けられた板状の部材である。給紙トレイ111は、給紙トレイ111に載置された記録媒体Pの量(枚数)に応じて上下動するように設けられており、当該上下動方向について、最上の記録媒体Pが媒体供給部112により搬送される位置で保持される。
媒体供給部112は、内側が2本のローラーにより支持された輪状のベルトを備え、このベルト上に記録媒体Pを載置した状態でローラーを回転させることで、記録媒体Pを給紙トレイ111から画像形成装置本体300内へ搬送する。
画像形成装置本体300は、大径(この例では3倍胴)の搬送ドラム53と、受け渡しローラー52と、複数のヘッド31~39が配列される画像形成部3と、エネルギー線照射部60と、複数のローラー56,57,58から構成される搬送切替部25および用紙反転部27(図9を参照)と、を備える。以下、上記の搬送ドラム53を「胴」と呼ぶ場合がある。
搬送ドラム53は、円柱面状の外周曲面(搬送面)53e上に記録媒体Pを保持した状態で、図8の紙面に垂直な方向(以下、「直交方向」と称する)に延びた回転軸の回りで回転することで、記録媒体Pを搬送面53eに沿った搬送方向(図8中の矢印で示す反時計方向)に搬送する。
搬送ドラム53は、その搬送面53e上で記録媒体Pを保持するために、爪部53a,53b,53c,および図示しない吸気部を備える。
搬送ドラム53に設けられた3つの爪部53a,53b,53cは、後述するローラー52,56,57および58の周長と同じ間隔で配置されている。記録媒体Pは、搬送ドラム53のいずれかの爪部53a~53cにより端部が押さえられ、かつ吸気部により搬送面53eに吸い寄せられることで、搬送面53e上に保持される。
これら爪部53a,53b,53cは、上流側のローラー52の爪部52aから受け渡される記録媒体Pの一端を保持するとともに、かかる記録媒体Pの一端を下流側のローラー56の爪部56aに受け渡す役割を担う。
搬送ドラム53の爪部53a,53b,53cは、制御部40の制御により爪の開状態/閉状態が切り替えられる。具体的には、爪部(53a,53b,53c)は、上流側のローラー52の爪部52aから記録媒体Pの一端が受け渡されるタイミングで閉状態となることで、記録媒体Pの一端を保持する。また、爪部(53a,53b,53c)は、下流側のローラー56に記録媒体Pの一端を受け渡すタイミングで開状態となることで、下流側のローラー56の爪部56aに録媒体Pの一端を受け渡す。
搬送部2B(図9も参照)は、上記の搬送ドラム53を回転させるための図示しない搬送ドラムモーターを有し、制御部40の制御の下、搬送ドラムモーターを駆動して搬送ドラム53を搬送ドラムモーターの回転量に比例した角度だけ回転させることで、記録媒体Pを搬送する。搬送ドラム53および搬送ドラムモーターは、記録媒体Pをインクジェットヘッド31~39のノズル面)に対向させて搬送する役割を担っており、本発明の「搬送部」に対応する。
また、搬送ドラム53は、白画像(第2の画像)が形成されるように、カラー画像(第1の画像)が形成された記録媒体Pを保持した状態で回転することにより、搬送方向の下流側から上流側に戻す「回転部材」としての機能を備える。
受け渡しローラー52は、給紙部11の媒体供給部12により搬送された記録媒体Pを搬送ドラム53に引き渡す。受け渡しローラー52は、その搬送面上で記録媒体Pを保持するために、制御部40の制御により開閉状態が切り替えられる爪部52aを備える。
受け渡しローラー52は、給紙部11の媒体供給部112と搬送ドラム53との間の位置に設けられ、媒体供給部112から搬送された記録媒体Pの一端をスイングアーム部51fで保持して取り上げるとともに爪部52aで保持し、図8中の矢印で示す時計方向に回転することで、記録媒体Pを搬送ドラム53(上述したいずれかの爪部53a~53c)へと引き渡す。
ヘッド31,33,35,37,39は、記録媒体Pが保持された搬送ドラム53の回転に応じた適切なタイミングで、搬送ドラム53の搬送面に対向するインク吐出面に設けられたノズル開口部から記録媒体Pに対してインクを吐出して画像を形成する。これらヘッド31~39は、そのインク吐出面と搬送ドラム53の搬送面53eとの間が所定の距離だけ離隔されるように配置される。
図8に示す例では、上述した第1および第2の実施の形態と同様に、ホワイト(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各インクにそれぞれ対応する5つのヘッド31,33,35,37,39が、記録媒体Pの搬送方向上流側からW,Y,M,C,Kの色の順に所定の間隔で並ぶように配列されている。
エネルギー線照射部60は、搬送ドラム53の直交方向の幅に亘って配置された発光部を有する。エネルギー線照射部60は、搬送ドラム53に載置された記録媒体Pに対して発光部から紫外線等のエネルギー線を照射して、記録媒体P上に吐出されたインクに対して所定のエネルギーを付与することにより、記録媒体P上のインクを硬化させて定着させる。
エネルギー線照射部60は、記録媒体Pの画像形成面にエネルギー線を照射するものであり、本発明の「画像形成面照射部」に対応する。
図8に示す例では、ヘッド31,33,35,37,39から紫外線(UV)硬化型のインクが吐出される場合を仮定する。なお、ヘッド31,33,35,37,39から吐出されるインクは、これに限定されず、例えば赤外線や電子線等の他のエネルギー線の照射により乾燥、または、硬化する性質のものであってもよい。
搬送方向におけるエネルギー線照射部60の下流側には、搬送ドラム53に対向する搬送ローラー56,搬送ローラー56に対向する搬送ローラー57,搬送ローラー57に対向する搬送ローラー58および59,搬送ローラー58に対向するベルト搬送部280が設けられている。また、搬送方向における搬送ローラー59の下流側には、搬送ローラー59から搬送される記録媒体Pの後端を保持して取り上げるスイングアーム部51bが設けられている。
上記のうち、搬送ローラー59およびスイングアーム部51bは、記録媒体Pの進行方向の前後ひいては表裏を反転させる用紙反転部27(図9も参照)としての役割を担う。
以下、記録媒体Pの表裏を反転させる際の動作について説明する。制御部40は、記録媒体Pの搬送方向(進行方向)の先端を搬送ローラー59に設けられた爪部59aで保持して、搬送ローラー59によって記録媒体Pを図8中の時計回りに搬送する動作を行う。
続いて、制御部40は、記録媒体Pの後端がスイングアーム部51bに対抗する位置に来たときに、スイングアーム部51bを図8中の反時計方向に回転させながらスイングアーム部51bの先端に設けられた図示しない爪部を閉じると同時に、搬送ローラー59の爪部59aを開く制御を行う。かかる動作により、記録媒体Pが搬送ローラー59からスイングアーム部51bに引き渡される。
次いで、制御部40は、スイングアーム51bを図8中の時計方向に回転させ、搬送ドラム53の爪部53a,53b,53cのいずれかがスイングアーム部51bの対向位置に来たときに、スイングアーム部51bの先端の不図示の爪部を開くとともに搬送ドラム53の爪部(53a~53cのいずれか)を閉じる制御を行う。かかる動作により、記録媒体Pの表裏が反転し、その後、記録媒体Pは、搬送ドラム53によって画像形成部3に向けて搬送される。
上記の搬送ローラー56,57,58,59には、各々、制御部40の制御により開閉が切り替えられる爪部56a,57a,58a,59aを備えている。
搬送ドラム53および搬送ローラー56等の上述した各爪部は、記録媒体Pの搬送方向を切り替えるための搬送切替部25(図9を参照)の一部をなす。
具体的には、記録媒体Pの搬送方向を排紙側に設定した場合、制御部40の制御の下、以下の動作を行う。制御部40は、記録媒体Pの先端を保持した搬送ドラム53の爪部(53a,53b,53cのいずれか)が搬送ローラー56に対向する位置に来たときに当該爪部(53a~53cのいずれか)を開くとともに、搬送ローラー56の爪部56aを閉じるように制御する。かかる動作により、記録媒体Pは、搬送ドラム53から搬送ローラー56に渡される。
次いで、制御部40は、搬送ローラー56の爪部56aが搬送ローラー57に対向する位置に来たときに、当該爪部56aを開き、搬送ローラー57の爪部57aを閉じるように制御する。かかる動作により、記録媒体Pは、搬送ローラー56から搬送ローラー57に渡される。
さらに、制御部40は、搬送ローラー57の爪部57aが搬送ローラー58に対向する位置に来たときに、当該爪部57aを開き、搬送ローラー58の爪部58aを閉じるように制御する。かかる動作により、記録媒体Pは、搬送ローラー57から搬送ローラー58に渡され、この後、ベルト搬送部280を通じて排紙部28に搬送される。
一方、記録媒体Pの搬送方向を循環側に設定した場合、制御部40の制御により以下の動作を行う。制御部40は、記録媒体Pの先端を保持した搬送ドラム53の爪部(53a,53b,53cのいずれか)が搬送ローラー56に対向する位置に来たときに当該爪部(53a~53cのいずれか)を閉じたままとし、搬送ローラー56の爪部56aを開いたままとする。この場合、記録媒体Pは、搬送ドラム53に保持された状態を維持しながら、画像形成部3に向けて循環的に搬送される。
ベルト搬送部280は、内側が3本のローラーにより支持された輪状の搬送ベルトを有する。ベルト搬送部280は、搬送ローラー57および58から受け渡された記録媒体Pを搬送ベルトにより搬送して、排紙部28に送出する。
排紙部28は、ベルト搬送部280により画像形成装置本体300から送り出された記録媒体Pが載置される板状の排紙トレイ281を有する。
なお、図8に示すインクジェット画像形成装置1Bでは、搬送ドラム53と、搬送ドラム53に対向するローラー52,56との間、および他の搬送ローラー間との間に所定の隙間を設けてもよい。かかる隙間が設けられることにより、仮に記録媒体P上に形成されたインクの硬化(定着)が十分でない場合にも、記録媒体Pの画像形成面が対向するローラーに密着または擦られることでインク像が損なわれる等の不具合を防止ないし抑制することができる。この点、後述する図13および図16のインクジェット画像形成装置1Cおよび1Dの構成も同様である。
(第3の実施の形態に係る画像形成処理)
以下、図10のフローチャートを参照して、第3の実施の形態に係る画像形成処理について説明する。
印刷ジョブの実行の際に、制御部40は、胴回転すなわち搬送ドラム53の回転を開始させるように、搬送ドラムモーターを駆動制御する(ステップS50)。続いて、制御部40は、給紙動作を開始するように給紙部11(媒体供給部112等)を制御する(ステップS100)。
そして、制御部40は、入力画像のデータを参照して、印刷する画像に白色の画素を含むか否か(すなわちWヘッド31によるWインクを吐出するか否か)を判定する(ステップS101)。
ここで、制御部40は、白色の画素を含まない(Wインクを吐出しない)と判定した場合(ステップS101、NO)、搬送切替部25(図9参照)を排紙側に設定し(ステップS133)、Wヘッド31を駆動しない通常モードでの画像形成動作の制御(ステップS134~S135)を行った後に、記録媒体Pの排紙(ステップS160)および胴すなわち搬送ドラム53の回転停止(ステップS161)の動作を経て、処理を終了する。
具体的には、制御部40は、搬送切替部25(上述した各爪部の開閉状態)を排紙側に設定する処理(ステップS133)を行い、Y,M,C,Kのヘッド33,35,37,39を順次駆動してカラー画像を形成する処理(ステップS134)を行う。
続いて、制御部40は、画像が形成された記録媒体Pにエネルギー線を照射する処理(ステップS135)を行った後に、搬送ドラム53に保持されている記録媒体Pの一端を、搬送ローラー56,58,ベルト搬送部280の順で受け渡し、記録媒体Pの排紙(ステップS160)等を経て、処理を終了する。
かかる制御により、記録媒体P上に、Y,M,C,Kのインクが順に吐出された画像が形成される。
一方、制御部40は、白色の画素を含む(Wインクを吐出する)と判定した場合(ステップS101、YES)、ステップS102に移行する。ステップS102において、制御部40は、入力画像のデータから、Wインクを他の色(この例ではY,M,C,Kのいずれかの色)の後に吐出するか否かを判定する。
ここで、制御部40は、Wインクを他の色の後に吐出しないと判定した場合(ステップS102、NO)、搬送切替部25を排紙側に設定し(ステップS143)、Wヘッド31を駆動する通常モードでの画像形成動作の制御(ステップS144~S145)を行った後に、記録媒体Pの排紙(ステップS160)および胴(搬送ドラム53)の回転停止(ステップS161)の動作を経て、処理を終了する。
すなわち、制御部40は、搬送切替部25(上述した各爪部の開閉状態)を排紙側に設定する処理(ステップS143)を行い、W,Y,M,C,Kのヘッド31,33,35,37,39を順次駆動して、白画像およびカラー画像を形成する処理(ステップS144)を行う。
続いて、制御部40は、これらの画像が形成された記録媒体Pにエネルギー線を照射する処理(ステップS145)を行った後に、搬送ドラム53に保持されている記録媒体Pの一端を、搬送ローラー56,58,ベルト搬送部280の順で受け渡し、記録媒体Pの排紙(ステップS160)等を経て、処理を終了する。
かかる制御により、記録媒体P上に、W,Y,M,C,Kのインクが順に吐出された画像が形成される。
一方、制御部40は、Wインクを他の色の後に吐出すると判定した場合(ステップS102、YES)、以下のステップS153~S159の制御を行う。
まず、制御部40は、搬送切替部25(上述した各爪部の開閉状態)を用紙循環側に設定する処理を行う(ステップS153)。
続くステップS154において、制御部40は、上述したステップS134の場合と同様に、Y,M,C,Kのヘッド33,35,37,39を順次駆動して、記録媒体P上にカラー画像を形成する処理を行う。あるいは、最初に白画像を形成する場合、ステップS154で制御部40は、上述したステップS144の場合と同様に、W,Y,M,C,Kのヘッド31,33,35,37,39を順次駆動して、記録媒体P上に白画像およびカラー画像を形成する処理を行う。
さらに、ステップS155において、制御部40は、記録媒体P上のカラー画像(あるいは白画像およびカラー画像)にエネルギー線を照射するように、エネルギー線照射部60を制御する。
次に、制御部40は、記録媒体Pを胴(搬送ドラム53)上で循環させる(対応する爪部53a~53cを閉じたままとする)ように搬送する制御を行い(ステップS156)、続いて搬送切替部25(上述した各爪部の開閉状態)を排紙側に設定する処理を行う(ステップS157)。
かかる処理により、カラー画像が形成された記録媒体Pは、搬送ドラム53の爪部(53a~53cのいずれか)および搬送面53eで保持された状態で搬送ドラム53が1回転することにより、Wヘッド31の位置する上流側に戻される。
そして、制御部40は、Wヘッド31を駆動して記録媒体P上に白画像を形成する処理(ステップS158)およびエネルギー線照射部60によりかかる白画像にエネルギー線を照射する処理(ステップS159)を行った後、排紙(ステップS160)および記録媒体Pの搬送を停止させる処理(ステップS161)を経て、一連の処理を終了する。
かかる制御を行う本実施の形態によれば、Wヘッド31の追加または複数のヘッド(31~39)の配列を変更することなく、記録媒体P上に、Y,M,C,K,W(またはW,Y,M,C,K,W)のインクが順に吐出された画像を形成することができる。
また、このインクジェット画像形成装置1Bでは、搬送方向における下流側のヘッド(33,35,37,39)によりインク像が形成された記録媒体Pを胴(搬送ドラム53)上に保持したまま更に1回転させた後、上流側のWヘッド31でインク像を形成する構成を備える。かかる構成によれば、上述した第1または第2の構成と比較して、下流側のヘッド(33,35,37,39)から記録媒体P上に吐出されたインク像と、上流側のヘッド(31)から記録媒体P上に吐出されたインク像との位置ずれをより抑えることができるメリットがある。
また、第3の実施の形態に係る制御では、搬送方向における下流側のヘッド(33,35,37,39)によりインク像が形成された記録媒体Pに対してエネルギー線照射部60により直ちにエネルギー線を照射し、その後、上流側のWヘッド31によりインク像が追加的に形成された記録媒体Pに対してもエネルギー線照射部60により直ちにエネルギー線を照射する。
言い換えると、エネルギー線照射部60は、制御部40の制御の下、下流側のヘッド33~39(第1の画像形成部)によりインクが吐出された後および上流側のWヘッド31(第2の画像形成部)によりインクが吐出された後の各々のタイミングで、エネルギー線を照射する。
かかる制御を行うことで、上流側のWヘッド31によりインク像が追加的に形成された段階の記録媒体Pに対して1回だけエネルギー線照射部60によりエネルギー線を照射する場合と比較して、以下のようなメリットがある。
すなわち、Y,M,C,K,Wの5層のインクが積層される場合、記録媒体P上のインク(各インクからなる層)の厚みが増すことで、エネルギー線照射部60によりエネルギー線を照射した際にインクの硬化(特に下層のインクの硬化)が不十分となるおそれがある。これに対して、第3の実施の形態に係る制御では、エネルギー線照射部60によるエネルギー線の照射を2回行うことから、インクの硬化が不十分となる不具合を防止ないし抑制することができる。
(第4の実施の形態)
次に、図11のフローチャートを参照して、第4の実施の形態に係る画像形成処理について説明する。
印刷ジョブの実行の際に、制御部40は、胴すなわち搬送ドラム53の回転を開始させるように搬送ドラムモーターを駆動制御する(ステップS50)。続いて、制御部40は、給紙動作を開始するように給紙部11(媒体供給部112等)を制御する(ステップS100)。
そして、制御部40は、入力画像のデータを参照して、印刷する画像に白色の画素を含むか否か(すなわちWヘッド31によるWインクを吐出するか否か)を判定する(ステップS101)。
ここで、制御部40は、白色の画素を含まない(Wインクを吐出しない)と判定した場合(ステップS101、NO)、搬送切替部25(図9参照)を排紙側に設定し(ステップS133)、Wヘッド31を駆動しない通常モードでの画像形成動作の制御(ステップS134~S135)を行った後に、記録媒体Pの排紙(ステップS160)および胴すなわち搬送ドラム53の回転停止(ステップS161)の動作を経て、処理を終了する。これら各ステップの処理内容は、第3の実施の形態の場合と同様である。
かかる制御により、記録媒体P上に、Y,M,C,Kのインクが順に吐出された画像が形成される。
一方、制御部40は、白色の画素を含む(Wインクを吐出する)と判定した場合(ステップS101、YES)、ステップS102に移行する。ステップS102において、制御部40は、入力画像のデータから、Wインクを他の色(この例ではY,M,C,Kのいずれかの色)の後に吐出するか否かを判定する。
ここで、制御部40は、Wインクを他の色の後に吐出しないと判定した場合(ステップS102、NO)、搬送切替部25を排紙側に設定し(ステップS143)、Wヘッド31を駆動する通常モードでの画像形成動作の制御(ステップS144~S145)を行った後に、記録媒体Pの排紙(ステップS160)および胴すなわち搬送ドラム53の回転停止(ステップS161)の動作を経て、処理を終了する。これら各ステップの処理内容も、第3の実施の形態の場合と同様である。
かかる制御により、記録媒体P上に、W,Y,M,C,Kのインクが順に吐出された画像が形成される。
一方、制御部40は、Wインクを他の色の後に吐出すると判定した場合(ステップS102、YES)、以下のステップS153~S159の制御を行う。なお、図10と図11とを比較して分かるように、この第4の実施の形態では、上述したステップS155の処理を行わない。
まず、制御部40は、搬送切替部25(上述した各爪部の開閉状態)を用紙循環側に設定する処理を行う(ステップS153)。
続くステップS154において、制御部40は、上述したステップS134の場合と同様に、Y,M,C,Kのヘッド33,35,37,39を順次駆動して、カラー画像を形成する処理を行う。あるいは、最初に白画像を形成する場合、ステップS154で制御部40は、上述したステップS144の場合と同様に、W,Y,M,C,Kのヘッド31,33,35,37,39を順次駆動して、白画像およびカラー画像を形成する処理を行う。
次に、制御部40は、記録媒体Pを胴(搬送ドラム53)上で循環させるように搬送する制御を行い(ステップS156)、搬送切替部25(各爪部の開閉状態)を排紙側に設定する処理を行う(ステップS157)。かくして、この実施の形態では、記録媒体P上の画像にエネルギー線を照射する処理(図10のステップS155を参照)を行わない。
さらに、制御部40は、Wヘッド31を駆動して白画像を形成する処理(ステップS158)およびエネルギー線照射部60により、記録媒体P上のカラー画像および白画像にエネルギー線を照射する処理(ステップS159A)を行う。そして、制御部40は、排紙すなわち記録媒体Pを排紙部28に向けて搬送する制御(ステップS160)および記録媒体Pの搬送を停止させる制御(ステップS161)を行って、一連の処理を終了する。
かかる制御を行う本実施の形態によれば、Wヘッド31の追加または複数のヘッド(31~39)の配列を変更することなく、記録媒体P上に、Y,M,C,K,W(またはW,Y,M,C,K,W)のインクが順に吐出された画像を形成することができる。
また、第4の実施の形態に係る上述の制御、すなわち1回目の画像形成時にエネルギー線照射部60によるエネルギー線照射の処理を行わず、かかるエネルギー線の照射を最後(この例では2回目)の画像形成時にまとめて(一時のタイミングで)行う本制御によれば、以下のようなメリットがある。
すなわち、1回目の画像形成時にエネルギー線照射を行って記録媒体P上のインク像を硬化させる場合、2回目(Wインク)の画像形成時に、Wヘッド31から吐出されるWインクが、硬化された他の色のインク層により弾かれて、Wインクの画像が劣化する場合がある。これに対して、エネルギー線照射部60によるエネルギー線の照射を2回目の画像形成時にまとめて行う本制御によれば、上記のような不具合の発生を防止ないし抑制することができる。
(第5の実施の形態)
次に、図12のフローチャートを参照して、第5の実施の形態に係る画像形成処理について説明する。第5の実施の形態は、記録媒体P上に形成されたインク像に対する定着(エネルギー線照射)の処理を2回行う点では第3の実施の形態と共通する。
一方、この第5の実施の形態では、2回目の画像形成処理で記録媒体P上に形成された最終的なインク像に対して、エネルギー線照射部60によるエネルギー線の照射を2回行う点が、第3の実施の形態の制御とは異なっている。
なお、第5の実施の形態の特徴点を明確にするため、以下は、上述した処理と同様の処理(同一のステップ番号の処理)についての説明を適宜省略する。
まず、制御部40は、上述したステップS50,S100,およびS101の処理を順に実行する。
ここで、制御部40は、白色の画素を含まない(Wインクを吐出しない)と判定した場合(ステップS101、NO)、第3の実施の形態と同様に、ステップS133~S135の処理を行った後に、記録媒体Pの排紙(ステップS160)および胴(搬送ドラム53)の回転停止(ステップS161)の制御を行って、処理を終了する。
かかる制御により、記録媒体P上に、Y,M,C,Kのインクが順に吐出された画像が形成される。
一方、制御部40は、白色の画素を含む(Wインクを吐出する)と判定した場合(ステップS101、YES)、上述と同様に、入力画像のデータから、Wインクを他の色(この例ではY,M,C,Kのいずれかの色)の後に吐出するか否かを判定する(ステップS102)。
ここで、制御部40は、Wインクを他の色の後に吐出しないと判定した場合(ステップS102、NO)、搬送切替部25(搬送ドラム53等の爪部)を用紙循環側に設定し(ステップS143A)、Wヘッド31を駆動する通常モードでの画像形成動作の制御(ステップS144~S145)を行った後に、ステップS146に移行する。
ステップS146において、制御部40は、1回目の定着処理が完了した記録媒体Pを胴(搬送ドラム53)上で循環させるように搬送する処理を行う。続いて、制御部40は、搬送切替部25を排紙側に設定し(ステップS147)、エネルギー線照射部60により白画像とカラー画像とにエネルギー線を照射する処理(ステップS148)を行った後、排紙(ステップS160)および記録媒体Pの搬送を停止させる処理(ステップS161)を経て、一連の処理を終了する。
かかる制御により、記録媒体P上に、W,Y,M,C,Kのインクが順に吐出された画像が形成される。
一方、制御部40は、Wインクを他の色の後に吐出すると判定した場合(ステップS102、YES)、以下のステップS153~S159-4の制御を行う。
まず、制御部40は、搬送切替部25(各爪部の開閉状態)を用紙循環側に設定する処理を行う(ステップS153)。
続くステップS154において、制御部40は、上述したステップS134の場合と同様に、Y,M,C,Kのヘッド33,35,37,39を順次駆動して、カラー画像を形成する処理を行う。あるいは、最初に白画像を形成する場合、ステップS154で制御部40は、上述したステップS144の場合と同様に、W,Y,M,C,Kのヘッド31,33,35,37,39を順次駆動して、記録媒体Pに白画像およびカラー画像を形成する処理を行う。
次に、制御部40は、記録媒体Pを胴(搬送ドラム53)上で循環させるように搬送する制御を行う(ステップS156)。続いて、制御部40は、Wヘッド31を駆動して記録媒体Pに白画像を形成する処理(ステップS158)およびエネルギー線照射部60により当該記録媒体Pにエネルギー線を照射する処理(ステップS159-1)を行った後、ステップS159-2に移行する。
ステップS159-2において、制御部40は、記録媒体Pを胴(搬送ドラム53)上で再び循環させるように搬送する制御を行う。続いて、制御部40は、搬送切替部25(各爪部の開閉状態)を排紙側に設定し(ステップS159-3)、エネルギー線照射部60により記録媒体P上のカラー画像と白画像にエネルギー線を照射する処理(ステップS159-4)を行う。
この後、制御部40は、排紙(ステップS160)および記録媒体Pの順送を停止させる処理(ステップS161)を経て、一連の処理を終了する。
かかる制御を行う本実施の形態によれば、Wヘッドの追加または複数のヘッド全体の配列を変更することなく、記録媒体P上に、Y,M,C,K,W(またはW,Y,M,C,K,W)のインクが順に吐出された画像を形成することができる。
また、上述したような処理を行う第5の実施の形態によれば、上述した第3の実施の形態から得られるメリット(インクが硬化不十分となることの抑制)および第4の実施の形態から得られるメリット(2回目の画像形成時のインクが弾かれることの抑制)の両方のメリットが得られる。
図12に示す例では、白画像およびカラー画像が形成された記録媒体Pに対するエネルギー線照射部60によるエネルギー照射を、ステップS159-1とステップS159-4の2回行う構成とした。
他の制御例として、使用するインクや記録媒体Pの種類等によっては、白画像およびカラー画像を構成するインクが十分に硬化するように、ステップS159-2~ステップS159-4の処理をN回行う(すなわち必要な回数だけ繰り返す)ことができる。すなわち、記録媒体Pを循環(1回転)させてエネルギー線を照射する動作を、当該記録媒体Pが保持された搬送ドラム53の回転毎に繰り返し行ってもよい。
この場合、制御部40は、記録媒体Pに形成する画像(例えば画像の色数や濃度など)に応じて、上記の必要な回数(すなわちNの数)を決定し、決定されたNの数だけ記録媒体Pを循環(1回転)させてエネルギー線を照射する処理を繰り返すようにする。
あるいは、制御部40は、記録媒体の種類(例えば、坪量、紙種など)に応じて、上記の必要な回数(すなわちNの数)を決定し、決定されたNの数だけ記録媒体Pを循環(1回転)させてエネルギー線を照射する処理を繰り返す制御を行ってもよい。
上記のような構成とすることにより、先に形成したインク像と記録媒体Pとの界面が硬化不十分になるおそれがある場合のみエネルギー線を照射することができるので、不要なエネルギー消費や発熱等を抑制することができる。また、インクの硬化に必要十分なエネルギー線を照射することにより、インク硬化不良の発生を防止しつつ、エネルギー線の照射時間が長くなって印刷の生産性が低下することを抑制できる。
なお、使用するインクや記録媒体Pの種類等によっては、図12のステップS154とステップS156との間に、エネルギー線照射部60によりエネルギー線を照射する処理(図10で上述したステップS155の制御)を行ってもよい。この場合、上述した第3の実施の形態から得られる効果(インクが硬化不十分となることの抑制)が高められる。
(第6の実施の形態)
次に、図13~図15を参照して、第6の実施の形態におけるインクジェット画像形成装置1Cの構成および処理について説明する。なお、上述した実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。
図13は、第6の実施の形態におけるインクジェット画像形成装置1Cの概要構成を示す図である。図8で説明したインクジェット画像形成装置1Bと比較して分かるように、第6の実施の形態におけるインクジェット画像形成装置1Cでは、搬送方向におけるエネルギー線照射部60の下流側かつ排紙部28の上流側に、記録媒体Pにエネルギー線を照射するエネルギー線照射部65が設けられている。
本実施の形態において、エネルギー線照射部65は、記録媒体Pにおける裏面すなわち画像が形成されていない非画像面にエネルギー線を照射する役割を担っており、本発明の「非画像形成面照射部」に対応する。
エネルギー線照射部65につき、以下は、上流側のエネルギー線照射部60と区別するため「エネルギー線裏面照射部65」と呼ぶ(図14を参照)。
このエネルギー線裏面照射部65は、上述したエネルギー線照射部60と同等の構成を有し、制御部40の制御信号によって稼働する。かかるエネルギー線裏面照射部65を設けた本実施の形態によれば、例えば、透明な記録媒体Pの裏面からエネルギー線を照射することにより、先に形成したインク像(カラー画像)と記録媒体Pとの界面が硬化不十分となることを防止することができる。
一具体例では、制御部40は、記録媒体P上に吐出されるインク像(インクの層数や厚みなど)が定義された入力画像データを参照し、必要がある(すなわち記録媒体Pとインクとの界面のインクが硬化(固着)しない)と判断した場合、エネルギー線裏面照射部65からエネルギー線を照射するように制御する。
すなわち、制御部40は、記録媒体Pに形成する画像に基づいて、記録媒体Pとインクとの界面でインクが硬化するか否かを判定し、硬化しないと判定した場合、エネルギー線裏面照射部65(非画像形成面照射部)にエネルギー線を照射させる。
あるいは、制御部40は、使用される記録媒体Pの種類(透明度や坪量など)を参照し、必要がある(すなわち記録媒体Pとインクとの界面のインクが硬化(固着)しない)と判断した場合、エネルギー線裏面照射部65からエネルギー線を照射するように制御する。
すなわち、制御部40は、記録媒体Pの種類に基づいて、記録媒体Pとインクとの界面でインクが硬化するか否かを判定し、硬化しないと判定した場合、エネルギー線裏面照射部65(非画像形成面照射部)にエネルギー線を照射させる。
このような構成とすることにより、先に形成したインク像と記録媒体Pとの界面が硬化不十分になるおそれがある場合のみエネルギー線裏面照射部65からエネルギー線が照射されるので、不要なエネルギー消費や発熱等を抑制することができる。また、インクの硬化に必要十分なエネルギー線を記録媒体Pの非画像形成面(裏面)から照射することにより、インク硬化不良の発生を防止しつつ、エネルギー線の照射時間が長くなって印刷の生産性が低下することを抑制できる。
以下、図15のフローチャートを参照して、第6の実施の形態における画像形成動作について説明する。
まず、制御部40は、上述したステップS50,S100,およびS101の処理を順に実行する。
ここで、制御部40は、白色の画素を含まない(Wインクを吐出しない)と判定した場合(ステップS101、NO)、第3の実施の形態と同様に、ステップS133~S135の処理を行った後に、記録媒体Pの排紙(ステップS160)および胴(搬送ドラム53)の回転停止(ステップS161)の動作を経て、処理を終了する。
かかる制御により、記録媒体P上に、Y,M,C,Kのインクが順に吐出された画像が形成される。
一方、制御部40は、白色の画素を含む(Wインクを吐出する)と判定した場合(ステップS101、YES)、上述と同様に、入力画像のデータから、Wインクを他の色(この例ではY,M,C,Kのいずれかの色)の後に吐出するか否かを判定する(ステップS102)。
ここで、制御部40は、Wインクを他の色の後に吐出しないと判定した場合(ステップS102、NO)、搬送切替部25を排紙側に設定し(ステップS143)、第3の実施の形態と同様に、ステップS144およびS145の処理を行った後に、記録媒体Pの排紙(ステップS160)および胴すなわち搬送ドラム53の回転停止(ステップS161)の動作を経て、処理を終了する。
かかる制御により、記録媒体P上に、W,Y,M,C,Kのインクが順に吐出された画像が形成される。
一方、制御部40は、Wインクを他の色の後に吐出すると判定した場合(ステップS102、YES)、以下のステップS153~S159-6の制御を行う。
まず、制御部40は、搬送切替部25(各爪部の開閉状態)を用紙循環側に設定する処理を行う(ステップS153)。
続くステップS154において、制御部40は、上述したステップS134の場合と同様に、Y,M,C,Kのヘッド33,35,37,39を順次駆動してカラー画像を形成する処理を行う。あるいは、最初に白画像を形成する場合、ステップS154で制御部40は、上述したステップS144の場合と同様に、W,Y,M,C,Kのヘッド31,33,35,37,39を順次駆動して、白画像およびカラー画像を形成する処理を行う。
次に、制御部40は、記録媒体Pを胴(搬送ドラム53)上で循環させるように搬送する制御を行い(ステップS156)、搬送切替部25(各爪部の開閉状態)を排紙側に設定する(ステップS157)。したがって、1回目の画像形成動作では、エネルギー線裏面照射部65によるエネルギー線の照射処理を行わない。
さらに、制御部40は、Wヘッド31を駆動して白画像を形成する処理(ステップS158)およびエネルギー線照射部60によりカラー画像と白画像にエネルギー線を照射する処理(ステップS159-5)を行った後、ステップS159-6に移行する。
ステップS159-6において、制御部40は、エネルギー線裏面照射部65を制御して、記録媒体P上の裏面(非画像形成面)にエネルギー線を照射する処理を行う。
この後、制御部40は、排紙(ステップS160)および記録媒体Pの順送を停止させる処理(ステップS161)を経て、一連の処理を終了する。
かかる制御を行う本実施の形態によれば、Wヘッドの追加または複数のヘッド全体の配列を変更することなく、記録媒体P上に、Y,M,C,K,W(またはW,Y,M,C,K,W)のインクが順に吐出された画像を形成することができる。
また、上述したような処理を行う第6の実施の形態によれば、上述した第4の実施の形態から得られるメリット(2回目の画像形成時のインクが弾かれることの抑制)が得られるとともに、以下のようなメリットも得られる。
すなわち、エネルギー線裏面照射部65により記録媒体Pの裏面(非画像形成面)にもエネルギー線を照射する本実施の形態によれば、下流側のヘッド(33,35,37,39)により吐出されたいずれかの色インクと記録媒体Pとの界面の領域のインク(層)が硬化不十分となることを防止することができる。
以上のように、第1~第6の実施の形態のインクジェット画像形成装置では、記録媒体Pの搬送方向の下流側に設けられ、記録媒体Pに第1の画像(YMCKのカラー画像)を形成する第1の画像形成部(ヘッド33,35,37,39)と、搬送方向の上流側に設けられ、第1の画像(カラー画像)が形成された記録媒体Pに第2の画像(白画像)を形成する第2の画像形成部(Wヘッド31)と、第2の画像(白画像)が形成されるように、第1の画像(カラー画像)が形成された記録媒体Pを第2の画像形成部(Wヘッド31)に向けて搬送する搬送部(制御部40および各種の機構)と、を備える。
かかる構成によれば、Wヘッド31(第2の画像形成部)を追加すること或いは複数のヘッド全体の配列を変更することなく、記録媒体P上に、Y,M,C,K,W(またはW,Y,M,C,K,W)のインクが順に吐出された画像を形成することができる。
したがって、上述したインクジェット画像形成装置によれば、搬送方向における上流側に配置されたWヘッド31から吐出される白画像を、1回の印刷ジョブにおいて第2の画像として印刷できる。このため、例えば、透明な記録媒体P上に先にカラー画像を形成し、背景画像としての白画像を追加的に印刷して、記録媒体Pの裏面から観察することが可能となる。
上述した種々の実施の形態では、制御部40は、印刷する画像(入力画像データの内容)、具体的には、白画像の有無および印刷順により、特徴的な画像形成動作を行うか否かを決定(判定)し、かかる決定(判定)結果に応じた画像形成動作を行うこととした。
代替的または付加的な他の例として、制御部40は、例えば用紙プロファイルに設定された紙種情報から、印刷に使用する記録媒体Pの種類を特定し、特定された種類に応じて特徴的な画像形成動作を行うか否かを決定(判定)し、かかる決定(判定)結果に応じた画像形成動作を行ってもよい。一具体例では、制御部40は、例えば記録媒体Pが透明である場合に、上述した特徴的な画像形成動作を行うようにしてもよい。
かかる構成とすることにより、例えば、非透明な記録媒体P上に形成されたカラー画像の上に白画像の背景画像が形成されてしまい、記録媒体Pのいずれの面からもカラー画像が観察できないといった誤動作の防止を強化することができる。
(第7の実施の形態)
次に、図16の概要図および図17のフローチャートを参照して、第7の実施の形態のインクジェット画像形成装置について説明する。
図8の構成例と比較して分かるように、図16に示す第7の実施の形態に係るインクジェット画像形成装置1Dは、Wヘッド31の配列が異なっている(すなわち5つのヘッドのうちの最下流側に配置されている)こと以外は、図8の例と同様である(図9も参照)。
かかる第7の実施の形態では、上述した第1~第6の実施の形態とは異なり、搬送方向の最下流側に配列されたWヘッド31が本発明の「第1の画像形成部」に対応し、その上流側に配列されたY,M,C,Kのヘッド(33,35,37,39)が本発明の「第2の画像形成部」に対応する。
言い換えると、第7の実施の形態では、通常の搬送および画像形成の制御により、透明の記録媒体PにY、M、C、Kのインクによるカラー画像を形成した上に、白インクによる背景色を形成するための配列となっている。
また、第7の実施の形態では、上述した特徴的な制御を行うことにより、通常の配列(すなわち上流側からWYMCKの配列)の場合と同様に、記録媒体Pに白インクによる背景色を形成した上に、Y、M、C、Kのインクによるカラー画像を形成できるようになっている。
以下、図17のフローチャートを参照して、第7の実施の形態における画像形成動作について説明する。
まず、制御部40は、上述したステップS50,S100,およびS101の処理を順に実行する。
ここで、制御部40は、白色の画素を含まない(Wインクを吐出しない)と判定した場合(ステップS101、NO)、第3の実施の形態と同様に、ステップS133~S135の処理を行った後に、記録媒体Pの排紙(ステップS160)および胴(搬送ドラム53)の回転停止(ステップS161)の動作を経て、処理を終了する。
かかる制御により、記録媒体P上に、Y,M,C,Kのインクが順に吐出された画像が形成される。
一方、制御部40は、白色の画素を含む(Wインクを吐出する)と判定した場合(ステップS101、YES)、ステップS102Aに移行する。
ステップS102Aにおいて、制御部40は、入力画像のデータから、Wインクを他の色(この例ではY,M,C,Kのいずれかの色)よりも先に吐出するか否かを判定する。
ここで、制御部40は、Wインクを他の色よりも先に吐出しないと判定した場合(ステップS102A、NO)、搬送切替部25を排紙側に設定し(ステップS143)、ステップS144Aに移行する。
ステップS144Aにおいて、制御部40は、Y,M,C,K,およびWのヘッド33,35,37,39,31を順次駆動して、記録媒体P上にカラー画像および白画像を形成する処理を行う。
続いて、制御部40は、エネルギー線照射部60によりカラー画像および白画像にエネルギー線を照射する処理(ステップS145)を行った後、記録媒体Pの排紙(ステップS160)および胴(搬送ドラム53)の回転停止(ステップS161)の動作を経て、処理を終了する。
かかる制御により、記録媒体P上に、Y,M,C,K,Wのインクが順に吐出された画像が形成される。
一方、制御部40は、Wインクを他の色よりも先に吐出すると判定した場合(ステップS102A、YES)、上述した搬送切替部25を用紙循環側に設定し(ステップS153)、ステップS154Aに移行する。
ステップS154Aにおいて、制御部40は、Wヘッド31を駆動して、記録媒体P上に白画像を形成する。
次に、制御部40は、白画像が形成された記録媒体Pを胴(搬送ドラム53)上で循環させるように搬送する制御を行い(ステップS156)、上述の搬送切替部25を排紙側に設定し(ステップS157)、ステップS158Aに移行する。
ステップS158Aにおいて、制御部40は、Y,M,C,およびKのヘッド33,35,37,39を順次駆動して、白画像が形成されている記録媒体P上にカラー画像を追加的に形成する処理を行う。あるいは、最後に白画像も形成する場合、ステップS158Aで制御部40は、Y,M,C,K,およびWのヘッド33,35,37,39,31を順次駆動して、白画像が形成されている記録媒体P上にカラー画像および白画像を追加的に形成する処理を行う。
続くステップS159-7において、制御部40は、エネルギー線照射部60を制御して、記録媒体P上の画像(複数のインク層)にエネルギー線を照射する処理を行う。
この後、制御部40は、排紙(ステップS160)および記録媒体Pの搬送を停止させる処理(ステップS161)を経て、一連の処理を終了する。
かかる制御を行う本実施の形態によれば、Wヘッド31の配列が通常状態から異なる場合であっても、Wヘッド31の追加または複数のヘッド全体の配列を通常状態に戻すことなく、記録媒体P上に、Y,M,C,K,W(またはW,Y,M,C,K,W)のインクが順に吐出された画像を形成することができる。
また、この第7の実施の形態によれば、図11で上述した第4の実施の形態と同様の効果が得られる。
上述した実施の形態では、主に、「第2の画像形成部」が一つのヘッド(Wヘッド31)で、「第1の画像形成部」がヘッド一つ以上(Yヘッド33、Mヘッド35、Cヘッド37、Kヘッド39のいずれか一以上)の場合を説明した。一方、「第2の画像形成部」は複数のヘッドであってもよく、また、「第1の画像形成部」が一つのヘッドであってもよい。
上述した各実施の形態の構成は、適宜、組み合わせることができる。例えば、上述したエネルギー線照射部60を図2や図5等の構成に付加してもよい。他の例として、Wヘッド31だけエネルギー線硬化型のインクを吐出する構成、或いはこの逆すなわちYMCKのヘッド33~39だけエネルギー線硬化型のインクを吐出する構成としてもよい。
上述した説明では、各実施の形態の特徴的構成をインクジェット画像形成装置に適用した場合について例示した。一方、上述した各実施の形態の特徴的構成は、熱転写方式などの他の方式の画像形成装置にも適用することができる。
その他、上記実施の形態および実施例は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。