JP7443662B2 - 拡声装置 - Google Patents

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本発明は、ユーザが発話した音声を増幅して出力する拡声装置に関する。
拡声装置は、主な要素として、マイク、増幅用アンプ及びスピーカを備え、マイクで収音したユーザの音声を増幅用アンプにより増幅してスピーカから拡声して出力するものであるが、特に、音量を上げた場合、スピーカから出力された拡声音がマイクに入力されて帰還音信号が繰り返し増幅されることによってハウリングが生じることがある。
ハウリングを防止するための先行技術文献としては、例えば、マイクからの入力音声信号に含まれるハウリング音声の成分の周波数を検出するハウリング周波数検出部と、ハウリング周波数検出部で検出された周波数を含む周波数近傍の周波数帯域のみで帰還音を模擬する模擬信号を生成するよう制限する帯域制限部とを備えることで、ハウリング成分の除去を可能にしたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2006-262339号公報
しかしながら、従来の拡声装置は、ハウリング防止回路の構成が複雑でコスト上昇を招くだけでなく、音場が刻々変化するような状況で使用される場合には、十分な効果が得られ難いという問題点を有している。特に、小型の車両、船、ヘリコプター等の移動体内で、マイクとスピーカとの距離が十分に取れない使用環境にあっては、マイクとスピーカとの距離が近く、十分に防音をできないことから、ハウリングが発声しない音量まで絞る必要があり、十分な音達距離を得られ難いという問題点を有する。この問題点は、特に、マイク、増幅用アンプ及びスピーカが一体化したメガホンタイプにあっては顕著である。
本発明は、上記課題に鑑み、従来のような高価なハウリング防止回路を必要としないで、ハウリングの発生を確実に防止した拡声装置を提供することを目的とする。
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
本発明は、音声を増幅して出力する拡声装置において、ユーザが発話した音声を収音可能なマイクと、非操作状態でユーザの音声を前記マイクから出力不能とし、操作状態でユーザの音声を前記マイクから出力可能とするトークスイッチと、前記トークスイッチが操作状態にある期間、前記マイクで収音した音声を録音可能で、かつ所定の契機に基づいて録音音声データを再生可能な音声録音再生部を含む制御部と、前記音声録音再生部で再生された再生音声データを拡声して出力するスピーカと、を備え、前記所定の契機は、前記トークスイッチの操作状態から非操作状態への切り替えたときであり、前記所定の契機に基づいて再生される再生音声データは、前記所定の契機の直前に前記音声録音再生部に録音された音声データであることを特徴とする。
好ましくは、前記制御部は、前記所定の契機に基づいて録音音声データを再生している最中、前記トークスイッチの非操作状態から操作状態への切り替わり信号に基づいて、前記録音音声データの再生を中断する。
本発明によると、マイクへの音声入力とスピーカから出力されるの拡声音にタイムラグを設けることで、従来のような高価なハウリング防止回路を必要としないで、簡単な構成でハウリングを確実に防止して、マイクとスピーカの位置関係に係わらず最大音量での拡声が可能になる。
本発明に係る拡声装置の外観側面図である。 第1実施例に係る拡声装置の概略構成を示すブロック図である。 マイクへの音声入力とスピーカから拡声音が出力されるタイミングを示すタイムチャート図である。 第2実施例に係る拡声装置の概略構成を示すブロック図である。
以下、本発明に係る第1実施例を図1~3に基づいて説明する。
図1は、拡声装置1の外観側面図である。図2は、拡声装置1の概略構成を示すブロック図である。
拡声装置1は、ホーン状の筐体2と、筐体2の下部に設けられ、ユーザが把持するグリップ3とを備えている。
なお、以下に説明する拡声装置1は、筐体2に後述のマイク5、制御部7、増幅用アンプ8及びスピーカ9を一体化したメガホンタイプに適用した例を説明するが、本発明は本実施例に限定されるものでなく、マイク5、制御部7、増幅用アンプ8及びスピーカ9、並びに図示略の電源を独立した独立タイプ、またはマイク5をワイヤレスマイクとしたワイヤレスタイプにも適用可能である。
グリップ3には、自動復帰型押しボタン式の録音トークスイッチ4と、拡声装置1の各種電気部品に電力を供給するための図示略の電池とが設けられる。
筐体2には、ユーザの音声を収音するためのマイク5と、マイク5で収音した音声を録音及び再生可能な音声録音再生部6を含む制御部7と、音声録音再生部6から出力される再生音声データを増幅する増幅用アンプ8と、再生音声データを拡声して出力するスピーカ9とが収容されている。また、筐体2又はグリップ3には、図示略の電源スイッチが設けられる。
録音トークスイッチ4は、常時は非操作状態のオフ状態にあり、ユーザによる操作(押込み操作)で、操作している間だけオン状態(操作状態)に切り替わる構成であって、非操作状態でユーザの音声をマイク5から出力不能とし、操作状態でユーザの音声をマイク5から出力可能とすることで、操作状態にある期間、マイク5で収音したユーザの音声を音声録音再生部6の記憶部に一旦録音し、非操作状態に切り替わることで、直前に録音した録音音声データを再生してスピーカ9から出力させる場合に使用される。
音声録音再生部6は、録音トークスイッチ4がオン状態にある期間、マイク3から出力されるユーザの音声を記憶部に録音し、録音トークスイッチ4がオン状態からオフ状態に切り替わったことを契機に、オフ状態に切り替わる直前に録音した録音音声データを再生する。ユーザの音声を記憶する録音処理では、マイク3から出力される音声信号(アナログ信号)を音声データにA/D変換して音声録音再生部6の記憶部に記憶させる。録音処理は、録音トークスイッチ4がオン状態の期間だけ行われ、録音トークスイッチ4がリリースされてオフ状態に切り替わると、これを契機に録音処理を終了して、即座に再生処理が行われる。再生処理は、音声のデータを音声信号(アナログ信号)にD/A変換する処理が行われる。
好ましくは、音声録音再生部6の録音処理は、音声録音再生部6の記憶部に音声データが既に録音されている場合には、録音音声データを全て消去する指示と共に行われる。
なお、音声録音再生部6の録音処理及び再生処理は、録音トークスイッチ4からのオン信号、オフ信号に基づく制御部7の指令に基づいて行われる。また、音声録音再生部6の記憶部は、制御部7に予め組み込まれたメモリーとしても良いし、着脱可能なUSBメモリー又はSDメモリーカード等のフラッシュメモリーとしても良い。
次に、拡声装置1の作用について説明する。図3は、ユーザが発話した音声と、マイク5で収音したユーザの音声がスピーカ9から出力されるタイミングを説明するためのタイムチャート図である。
録音トークスイッチ4を操作してオフ状態からオン状態に切り替えると(図3に示すA点)、これを契機に、制御部7が音声録音再生部6に対してマイク5で収音したユーザの音声を録音する録音処理の開始の指示を行い、録音トークスイッチ4をリリースするまで(図3に示すB点)、録音処理を継続させる。録音処理を行っている間(図3に示すA点とB点の間の期間)は、リアルタイムでスピーカ9から出力されない。
そして、録音トークスイッチ4がリリースしてオン状態からオフ状態に切り替わると(図3に示すB点)、これを契機に、制御部7が音声録音再生部6に対して録音処理の終了の指示を行うと共に、直前に音声録音再生部6の記憶部に録音された録音音声データを再生する再生処理の開始の指示を行う。これにより、音声録音再生部6から出力された再生音声データは、ユーザが発話したときから当該発話時間(図3に示すA点とB点との間の時間)に相当するタイムラグをもって、増幅用アンプ8で増幅されてスピーカ9から最大音量で拡声されて出力される。なお、スピーカ9から出力される音量は、最大音量になるように予め設定されている。
音声録音再生部6の再生処理(図3に示すB点とC点との間の期間)は、録音トークスイッチ4がオフ状態にある期間だけ実行される。また、録音トークスイッチ4がオフ状態にある期間は、マイク4からの音声が出力不能であって、マイク4とスピーカ9間の電気的接続が実質的に切断されているため、マイク4とスピーカ9とが互いに接近した状況であっても、スピーカ9から出力される再生音を最大音量としてもハウジングは発生することはない。
そして、音声録音再生部6の記憶部に録音された録音音声データの再生が全て終えた後、引き続いてメッセージを報知する場合には、再度、録音トークスイッチ4をオフ状態からオン状態に切り替えて、メッセージを音声録音再生部6の記憶部に録音したあと、再度、録音トークスイッチ4をオン状態からオフ状態に切り替えて、直前に録音した録音音声データを再生する。これ以降もメッセージを報知する場合には、この操作を繰り返す。
また、録音トークスイッチ4の操作状態から非操作状態への切り替えを契機(図3に示すD点)に基づいて、音声録音再生部6が直前に録音した録音音声データを再生している最中、録音トークスイッチ4の非操作状態から操作状態への切り替え信号が制御部7に送信されると(図3に示すE点)、制御部7は、音声録音再生部6に録音されている録音音声データの再生が途中であっても、録音音声データの再生処理を中断させる再生中断処理を音声録音再生部6に対して指令する。
好ましくは、音声録音再生部6の記憶部に録音する時間は、15秒~30秒程度とする。このようにすると、1フレーズごとに録音・再生が繰り返されて、ユーザが発話したときから当該発話がスピーカ9から出力されるまでのタイムラグを短くできるので、相手側(聴取者)に対してメッセージを聞き取りやすくして確実に報知可能である。
上述により、本実施例によると、マイク5への音声入力とスピーカ9から出力される拡声音にタイムラグ(時間差)を設けることで、簡単な構成でハウリングを確実に防止でき、マイク5とスピーカ9の位置関係に係わらず、音達距離に応じたスピーカを自由に選択して、最大音量での拡声音の出力が可能になる。
また、音声録音再生部6に録音された録音音声を再生してスピーカ9から出力される契機を、録音トークスイッチ4のオン状態からオフ状態への切り替え時とすることで、特別な操作を要することなく、ユーザが発話した音声を即座にスピーから9から出力させることでき、迅速にメッセージを報知することができる。
特に、拡声装置1を小型の車両、船、ヘリコプター等のように移動しながら使用する場合には、リアルタイムの拡声音でなくとも要件や注意事項を確実に報知することが重要であるので、ユーザの発話からタイムラグがあっても、大音量の拡声音をスピー9から出力させるほうが好ましい。
また、小型の車両、船、ヘリコプター等のように狭い空間でマイク5とスピーカ9との距離が十分に取れない場合には、極めて有効である。例えば、海上保安庁等の小さい船艇では、大きなスピーカを積むことが困難であることから、音声指令を相手方に報知するためには相手方に接近する必要があるが、本実施例の拡声装置1を使用することで、音声指令を相手方に接近することなく相手方に確実に報知可能である。
図4は、第2実施例に係る拡声装置1の概略構成を示すブロック図である。第2実施例に係る拡声装置1は、前記第1実施例の構成要素に対して、リアルタイムトークスイッチ10(図1参照)、音量調整スイッチ11(図1参照)、モード切替部12及び音量調整部13を付加した構成である。なお、音量調整スイッチ11及び音量調整部13は、従来技術と同一構成のものを採用可能であるため、詳細説明については省略する。また、前記第1実施例と同一要素については、前記第1実施例と同一の符号を図面に付して、詳細説明は省略する。
リアルタイムトークスイッチ10は、グリップ3に設けられる自動復帰型押しボタン式であって、常時は非操作状態のオフ状態にあり、ユーザにより操作(押込み操作)されている期間だけオン状態(操作状態)に切り替わる構成であって、マイク5で収音したユーザの音声を音声録音再生部6の記憶部に録音させることなく、ユーザが発話した音声をリアルタイムでスピーから9から出力させる場合に使用される。
モード切替部12は、リアルタイムトークスイッチ10がオフ状態にあって、録音トークスイッチ4がオン状態にある期間、マイク5で収音したユーザの音声を音声録音再生部6の記憶部に録音可能とする録音モードに保持され、そして、録音トークスイッチ4がオフ状態にあって、リアルタイムトークスイッチ10がオン状態にある期間、マイク5で収音したユーザの音声を音声録音再生部6の記憶部に録音させることなく、スピーカ9からリアルタイムで出力可能とするリアルタイムモードに切り替わる。モード切替部12が録音モードにある場合には、録音トークモード4をオン状態とすることで、前記第1実施例と同様にユーザの音声はデータ録音再生部6に録音されて、録音トークスイッチ4をオフ状態とすることで、再生処理されて、再生音声データがスピーカ9から出力される。
音量調整スイッチ11は、マイク5で収音したユーザの音声のスピーカ9から出力される音量を調整する場合に使用される。
音量調整部13は、ハウリング防止回路を内蔵して、音量調整スイッチ11の操作に応じて、リアルタイムトークスイッチ10がオン状態にある時、音量調整スイッチ11の操作に応じてスピーカ9から出力される拡声音の音量を調整する。
第2実施例においては、前記第1実施例の作用効果に加えて、拡声装置1における使用状況に応じて、リアルタイムモード、及び録音モードに切替可能であるため、利便性の向上を図ることができるという、作用効果を奏する。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、本実施形態に対して、種々の変形、変更、追加、省略等を行った実施形態にも適用可能である。例えば、次のようなことが考えられる。
(a)上述の実施形態では、録音トークスイッチ4及びリアルタイムトークスイッチ10を押しボタンスイッチとしたが、これに代えて、例えば、スライドスイッチ、ロッカスイッチ、トグルスイッチまたはその他のスイッチとする。
(b)記憶部に録音された音声データが上限に達した場合、その旨をユーザに報知するための表示灯を設ける。
(c)音声を記憶部に録音している最中、記憶部の記憶量が上限に達した場合には、録音トークスイッチ4がオン状態であっても、自動的に録音を停止して、録音音声データが再生されてスピーカ9から出力させるようにする。
(d)拡声装置1を独立タイプまたはワイヤレスタイプとして、録音トークスイッチ4等のスイッチ類及び制御部7をマイク5と一体化する。
(E)第1実施例において、制御部7と増幅用アンプ8間に音量調整部を設け、筐体2又はグリップ3に音量調整スイッチを設ける。このようにすると、録音再生部6から出力される再生音声の音量を調整できる。
1 拡声装置 2 筐体
3 グリップ 4 録音トークスイッチ(トークスイッチ)
5 マイク 6 音声録音再生部
7 制御部 8 増幅用アンプ
9 スピーカ 10 リアルタイムトークスイッチ
11 音量調整スイッチ 12 モード切替部
13 音量調整部

Claims (1)

  1. 音声を増幅して出力する拡声装置において、
    ユーザが発話した音声を収音可能なマイクと、
    非操作状態でユーザの音声を前記マイクから出力不能とし、操作状態でユーザの音声を前記マイクから出力可能とするトークスイッチと、
    前記トークスイッチが操作状態にある期間、前記マイクで収音した音声を録音可能で、かつ所定の契機に基づいて録音音声データを再生可能な音声録音再生部を含む制御部と、
    前記音声録音再生部で再生された再生音声データを拡声して出力するスピーカと、を備え、
    前記所定の契機は、前記トークスイッチの操作状態から非操作状態への切り替えたときであり、
    前記所定の契機に基づいて再生される再生音声データは、前記所定の契機の直前に前記音声録音再生部に録音された音声データであり、
    前記制御部は、前記所定の契機に基づいて録音音声データを再生している最中、前記トークスイッチの非操作状態から操作状態への切り替わり信号に基づいて、前記録音音声データの再生を中断することを特徴とする拡声装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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