JP7442795B2 - 油揚げ類の製造方法及びその製造方法により製造される油揚げ類 - Google Patents

油揚げ類の製造方法及びその製造方法により製造される油揚げ類 Download PDF

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本発明は、歩留まりが高く、揚げ伸びの安定性や肌理の細かさにおいて苦汁を用いたものに劣らない油揚げ類の製造方法、さらに、かかる油揚げ類を連続的に大量生産できる製造法と、それらの製造方法により製造される油揚げ類に関する。
従来、油揚げ類の製造方法としては、大豆を搾汁した豆乳に凝固剤を分散して大豆タンパクと反応し、凝固して作られる豆腐の生地を油で揚げることが一般的である。使用される凝固剤には各種あるが、穏やかな甘みを有して大豆風味を引き立てる凝固剤として、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化カルシウムの無機塩がある。古くから使われている苦汁も塩化マグネシウムが主成分の無機塩である。
しかし、これらの無機塩の苦汁は大豆タンパクとの反応が非常に速攻で凝固が早く、豆乳中に均一に分散する前に部分的に凝固反応が進み、収量も悪く食感も悪くなりやすい。そのため、油揚げ類用の均一な豆腐生地を得るには、バケット内にて豆乳と苦汁の攪拌・分散を行うバッチ式の少量生産に限定され、連続式の大量生産する方法は確立されていなかった。
また、苦汁を用いた従来の油揚げ類は、歩留まりが低く、製造工程で排水(ホエー水)が多く生じるため、その排水処理が問題となっていた。さらに、苦汁を用いたものは味は良いものの、2~3日後には硬くなるという問題もあった。
そこで、近年、豆腐の大量生産において、塩化マグネシウムを主体とした凝固反応速度の速い無機塩を速度コントロールして遅効化した豆腐用凝固剤が使われるようになった。遅延化の方法は速効性の無機塩を多価アルコールやポリグリセリンの脂肪酸部分エステルである乳化剤で油中水型に乳化または分散した無機塩系凝固剤組成物(特許文献1~5)にしたものである。一般には界面活性のある乳化剤で無機塩と食用油脂の界面の界面張力を低下し、乳化して安定化したものが多い。かかる乳化剤を含む乳化にがりは、製造ライン中の豆乳に撹拌機で連続的に分散して豆腐の大量生産に使われる。
しかし、かかる乳化剤を含む乳化にがりを用いて油揚げ類を製造すると、揚げ伸びの安定性や、肌理の細かさでの点で苦汁を使用した油揚げ類より劣り、また、火脹れが多く、製品としては不適切であった。また、凝固後に水分を多く含むため、水切りのためのプレス作業に時間がかかるという問題があった。さらに、乳化にがりそのものが高価なため、油揚げ類の製造用としては普及しにくく、苦汁やグルコノデルタラクトン(GDL)が一般的に使用されているという背景もある。
特許第2912249号 特許第3516298号 特許第4105674号 特開2006-94831号 特許第4801006号
そこで本発明は、歩留まりが高く、揚げ伸びの安定性や肌理の細かさにおいて苦汁を用いたものに劣ることなく、また、苦汁を用いたもののように2~3日後に硬くならず、さらに、水切りのためのプレスが速やかに行うことができる油揚げ類の製造方法、さらに、かかる油揚げ類を連続的に大量生産できる製造方法、および、それらの製造方法で製造された油揚げ類の提供をその課題とするものである。
本発明は、上記課題を解決するものであり、乳化剤を含まない遅効性を有する油中水型乳化にがりである豆腐用の凝固剤と豆乳を低剪断遠心撹拌体により撹拌分散する工程を含む油揚げ類の製造方法である。
また本発明は、乳化剤を含まない遅効性を有する油中水型乳化にがりである豆腐用の凝固剤を豆乳に加える工程と、該凝固剤を加えた豆乳が流通する供給ライン内に設けられた低剪断遠心撹拌体により豆乳と該凝固剤を撹拌分散する工程を含むことを特徴とする油揚げ類の製造方法である。
また本発明は、前記低剪断遠心撹拌体は、軸部により回転可能に軸支され、攪拌体表面に形成された吸入口と吐出口と、該吸入口及び該吐出口を繋ぐ流路を備え、該吸入口は該吐出口よりも軸部寄りに形成されていることを特徴とする油揚げ類の製造方法である。
また本発明は、前記軸部は中空状に形成されるとともに、該軸部において前記攪拌体の吸入口の近傍に空気吐出孔を設け、該軸部の中空部を通してエアを送り込み、該空気吐出孔から吐出させることにより豆乳の攪拌時にエアを混合することを特徴とする油揚げ類の製造方法である。
また本発明は、前記遅効性を有する豆腐用の凝固剤は、油溶性微結晶を含む植物性液状油を油相とし、塩化マグネシウム水溶液を水相とする油中水型乳化物の乳化にがりであることを特徴とする油揚げ類の製造方法である。
さらに本発明は、前記のいずれかの製造方法により製造される油揚げ類である。
本発明にかかる油揚げ類の製造方法によると、遠心力を利用する撹拌体により豆乳と凝固剤を攪拌分散するため、せん断力の強いローターステーター等を用いる場合に比べて攪拌分散力のある低せん断が可能となる。その結果、凝固反応が進む前に凝固剤が豆乳中に均一に分散し、これにより、揚げ伸びが安定し、肌理の細かな油揚げ類の生産が可能となる。
また、本発明にかかる油揚げ類の製造方法によると、凝固剤として乳化剤を含まない遅効性を有する油中水型乳化にがりである豆腐用凝固剤を用いることにより、歩留まりも高く、排水処理の負担を軽減することができる。
また、本発明にかかる油揚げ類の製造方法によると、凝固剤として乳化剤を含まない遅効性を有する油中水型乳化にがりである豆腐用凝固剤を用いることにより、凝固後の水分の除去が容易であり、その結果、水切りのためのプレス作業が速やかにできる。
また、本発明にかかる油揚げ類の連続製造方法によると、遠心力を利用する撹拌体により豆乳と凝固剤を攪拌分散するため、せん断力の強いローターステーター等を用いる場合に比べて、攪拌分散力のあるインライン低せん断が可能となる。その結果、乳化にがりの分散と同時に乳化にがりの油性被膜が破れることがなく、溶出した速効性の無機塩とタンパクが部分的に凝固反応し、形成が始まったタンパク膜を高回転のローターステーターで破断してしまうこともないため、風味を損なうことなく、連続の大量生産が可能となる。
本発明にかかる油揚げ類の製造方法に使用される攪拌体の正面図。 本発明にかかる油揚げ類の製造方法に使用される攪拌体の平面図。 本発明にかかる油揚げ類の製造方法に使用される攪拌体の断面図。 本発明にかかる油揚げ類の製造方法に使用される攪拌体の断面図で羽根を備えたものの断面図。 本発明にかかる油揚げ類の製造方法に使用される製造装置について模式的に表した図。 本発明にかかる油揚げ類の製造方法に使用される撹拌機の一部切り欠き正面図。 図6の撹拌機に備えられた攪拌体の斜視図。
以下、本発明の油揚げ類の製造方法の実施態様を、図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明はこれら実施態様に何ら制約されるものではない。
本発明にかかる油揚げ類の製造方法で第一実施態様ものは、バケット内にて一定量ずつ豆乳と凝固剤の攪拌・分散を行うバッチ式の製造方法であり、一連の作業工程は従来の油揚げ類のバッチ式製造方法と同様であるが、豆乳に凝固剤を混合する攪拌作業において、低剪断遠心撹拌体により凝固剤と豆乳を撹拌分散する点において特徴を有する。
本発明の油揚げ類の製造方法に用いられる低剪断遠心撹拌体とは、撹拌用の羽根を設けておらず、吐出口と吸入口が流路で連通した回転体を回転することで、吐出口の遠心力が吸入口の遠心力より大きくなって水流を発生して撹拌する方式であり、例えば、M-Revо((株)IPMS製、M-Revоは登録商標)及びM-Revоにせん断力を付加するために吸入口に小さな羽を付けたサイレントコア(泰喜物産(株)製)等が挙げられる。
図1~3は、かかる低剪断遠心撹拌体の一例である。本実施態様の撹拌体1は、回転軸に直交する断面が円形状に構成され、具体的には略円筒状に形成される本体と、この本体の底面11bの回転中心部に設けられる1個の吸入口12と、吸入口12より半径方向外側の外周面11cに設けられる複数の吐出口13と、吸入口12と吐出口13を繋ぐ流通路14とを備えている。本実施態様では吸入口12は1個であるのに対し、吐出口13は4個設けられているが、吸入口12と吐出口13の数はこれらに限定されず、例えば、吸入口12を吐出口13の数と同じ複数個としてもよい。その場合、1個の吸入口12と1個の吐出口13を1本の流通路14が繋ぐことになる。なお、本実施態様では、吐出口13は撹拌体1の外周面11cに設けられているが、設ける位置はこれに限らず、例えば、本体の天面11aであってもよい。
このように、撹拌体1の吸入口12を吐出口13よりも回転軸寄りに設けることで、本体が回転軸周りに回転駆動されたときに流通路14内の溶液に遠心力が働き、その結果、吐出口13から溶液をバケット容器内へ吐出し、同時に、吸入口12から溶液を流通路14内に吸入するため、バケット容器内の豆乳と凝固剤は循環され、撹拌されることになる。
更に、撹拌体1は、図4に示すように、吸入口12に連通する吸入通路内に、ここを通る液体を剪断するための羽根15を備えていてもよい。本実施例では、かかる羽根15は、攪拌体1のシャフト16の下端部に溶接止めされて固着されている。
かかる羽根15は、吸入口12から吸い込まれる液体を更に吸い込まれる方向に付勢するようにそれぞれの羽根部分が角度を付けて配設されており、これにより、羽根16自身の機能として剪断力を発揮する他に、吸い込み力を増大させて、より撹拌力を増大させることが達成されることになる。
本発明の油揚げ類の製造方法で使用される凝固剤は、本発明の油揚げ類の製造方法の要件の一つである低せん断力、高分散性能の撹拌体による豆乳中への分散性に寄与できる形態が好ましい。こうした背景から種々検討したところ、本発明においては、乳化剤を含まない遅効性を有する油中水型乳化にがりである豆腐用の凝固剤を用いる。なお、ここで乳化剤を含まないとは、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルのような強力な油中水型乳化剤であるポリグリセリン脂肪酸エステルを含まないことをいう。また、遅効性を有するとは、豆乳中への凝固剤の分散終了から、分散した凝固成分が大豆たんぱくと凝固反応(イオン結合)を開始するまで所定の時間差を有することである。この時間差は、従来の苦汁では5秒以内であるが、遅効性を有する油中水型乳化にがりでは、バッチ式の場合10~40秒が好ましく、連続式インライン分散の場合20~60秒が好ましい。過度な遅効性は苦汁成分の比重差により沈降をもたらし凝固組織は不均一になる。豆乳中に凝固成分が細かく均一に分散されて適度な遅効性をもって凝固した組織は非常に緻密な組織をつくり滑らかで弾力性のある豆腐組織を形成する。
このような凝固剤としては、例えば、特許第6030595号等に記載のもの等が挙げられる。より具体的には、高融点を有する油溶性微結晶を分散、懸濁した植物性液状油を油相とし、塩化マグネシウム水溶液を水相とした油中水型乳化物の乳化にがり等が挙げられる。
高融点を有する油溶性微結晶を分散、懸濁した植物性液状油は、油溶性微結晶を植物性液状油中で室温より高温に加熱等して油溶性微結晶を溶解したのち室温以下に冷却して析出させるか、予め調製した微結晶粉末と植物性液状油を室温で配合して得ることができる。ここで高融点を有する油溶性微結晶は、例えば、カルナウバワックス(融点82℃)、ライスワックス(融点78℃)、ミツロウ(融点62℃)等の天然ワックス、ハイエルシン菜種硬化油(融点72℃)、パーム油硬化油(融点58℃)等の硬化食用油脂、ポリグリセリン飽和脂肪酸フルエステル、またフィトステロール(融点142℃)やコレステロール(融点149℃)等のステロール類等の油溶性で室温よりも高温では溶解するが室温で微結晶となるものであれば特に限定しない。なお、ここで微結晶とは結晶粒径が100μm以下のものをいう。また、植物性液状油はナタネ油、大豆油、コーン油等の室温で液状の食用油である。これら油溶性微結晶や植物性液状油は1種または2種以上を組み合わせてもよい。上記した植物性液状油における高融点を有する油溶性微結晶の含有量は、流動性があって乳化安定性に問題ない範囲であれば特に限定しないが、例えば、0.5~10質量%である。
塩化マグネシウム水溶液は塩化マグネシウム6水塩を水で溶解したものまたは海水から脱塩処理した粗製海水塩化マグネシウムを水で溶解したものである。この塩化マグネシウム水溶液における塩化マグネシウムの含有量は塩化マグネシウム6水塩として40~80質量%であり、油中水型乳化物の乳化にがりでは20~60質量%である。
上記した高融点を有する油溶性微結晶を分散、懸濁した植物性液状油を油相と、塩化マグネシウム水溶液を水相とした油中水型乳化物は、油相に水相を加えながらホモミキサー等の撹拌機で撹拌して乳化することにより得られる。乳化の条件は乳化液が安定化すれば特に限定はしないが、油溶性微結晶が溶けない温度で乳化するのが好ましく、水相の平均粒子径を50μm以下にするのが好ましい。また、水相と油相は質量比で40~80:60~20とすることが好ましい。
上記した乳化剤を含まない遅効性を有する豆腐用の凝固剤として好ましい態様としては以下のものが挙げられる。菜種油、大豆油、コーン油の植物性液状油に、ライスワックス、カルナバワックス、ミツロウから成る天然ワックスの微結晶を1~5質量%含有する油相を30~50質量%とし、塩化マグネシウム六水塩を50~70質量%含有する塩化マグネシウム水溶液の水相を50~70質量%から成る油中水型乳化物の乳化にがりである。
以上説明した乳化剤を含まない遅効性を有する油中水型乳化にがりである豆腐用の凝固剤としては、上記のように製造したものの他に、市販のものを利用することもできる。具体的な商品名としては、JSにがり(泰喜物産(株)製)等が挙げられる。
以下、本発明にかかる油揚げ類のバッチ式の製造方法において、乳化剤を含まない遅効性を有する油中水型乳化にがりである豆腐用の凝固剤を用いて豆乳から油揚げを製造する一態様を説明する。
まず、75~85℃にした豆乳(固形分8.5質量%)を容器に入れ、乳化剤を含まない遅効性を有する油中水型乳化にがりである豆腐用の凝固剤を添加する。乳化剤を含まない遅効性を有する油中水型乳化にがりである豆腐用の凝固剤の量は、豆乳の濃度や、製造する豆腐の種類にあわせて適宜設定すればよい。具体的に、乳化剤を含まない遅効性を有する油中水型乳化にがりである豆腐用の凝固剤としてJSにがり(塩化マグネシウム6水塩濃度=38質量%:泰喜物産(株)製)を用いる場合であれば、0.7~1.0質量%である。最初に、箱型容器に豆乳10リッターを投入した後、撹拌体1(撹拌体径64Φ)により豆乳を撹拌しながら、乳化剤を含まない遅効性を有する豆腐用の凝固剤を添加し、20秒間撹拌を行ない凝固剤を均一分散する。撹拌の条件は豆乳10Lの場合に、1000~1500rpm程度である。撹拌体1による撹拌を停止し、撹拌体1を豆乳中から取り出した後40秒後に豆乳の凝固が始まる。豆乳凝固開始から20分間熟成し、従来法に従い、崩し、プレスによるホエー水の排水を行い、揚げ生地を得る。あとは、通常の工程である油丁により油揚げに加工すればよい。
斯くして得られる油揚げは、従来の乳化剤を含む豆腐用の凝固剤と、従来の攪拌機を用いて製造した油揚げよりも火膨れすることなく揚げ伸びが安定し、肌理が細かいものとなる。また、従来の塩化マグネシウム水溶液(水にがり)を用いて製造した油揚げよりもホエー水の排水量が少なく、肉厚の高い油揚げができる。よって、同じ肉厚の油揚げを製造するには豆乳量を減らすことができ、歩留りが向上する。
上記の油揚げ類の製造方法は、バッチ式となるため、少量生産には好適であるが、大量に連続して油揚げ類を生産するのには不向きである。そこで、本発明の第二実施態様として、油揚げ類を大量に生産可能な連続製造方法について説明する。なお、かかる油揚げ類の連続製造方法においても、使用される凝固剤は、前述のバッチ式で使用されるものが好ましい。
本実施態様の油揚げ類の連続製造方法は、乳化剤を含まない遅効性を有する豆腐用凝固剤を、遠心回転式撹拌機を使って供給ライン内で豆乳に分散するインライン方式で油揚げ類の連続生産を行うものである。
以下、本発明の油揚げ類の連続製造方法およびその製造方法に使用される製造装置の実施態様を、図5~7に基づいて具体的に説明する。なお、本発明はこれら実施態様に何ら制約されるものではない。
図5は、本発明にかかる油揚げ類の製造装置について模式的に表したものである。図に示すように、本発明の油揚げ類製造装置は、豆乳を貯蔵する豆乳タンク2、該豆乳タンク2から撹拌機4へと豆乳を供給するための供給ライン7aと、該供給ライン7aの途中に設けられた供給ポンプ8a、また、豆腐用凝固剤を貯蔵するための凝固剤タンク3と、該凝固剤タンク3から凝固剤を供給ライン7aへと供給するための供給ライン7bと、該供給ライン7bの途中に設けられた供給ポンプ8bと、さらに、撹拌機4から排出される豆乳を成型ベルト5に供給するための供給ライン7cと、供給ライン7cにより供給される豆乳を凝固させ、崩し、プレス脱水した後にカットを行う成型ベルト5と、成型ベルト5から提供される豆腐生地を揚げるためのフライヤー6を備える。なお、本実施態様では、撹拌機4により凝固剤が攪拌分散された豆乳はベルトコンベヤー式の成型ベルト5に吐出されるが、これを成型用の型箱に吐出するようにしても良い。
本実施態様では、攪拌機4の手前の供給ライン7aに乳化にがりの供給ライン7bを接続し、これにより凝固剤を直接添加しているが、これを前もって羽撹拌等で軽く予備分散してから供給ライン7a内の豆乳に添加してもよい。また、撹拌機4を駆動させると水流が発生するので豆乳は自動的に供給ライン7a内を流れるが、凝固剤及び豆乳は供給ポンプ8a、8bを使って流量を調整するのが好ましい。
本発明の攪拌機4について、図6によりさらに詳しく説明する。攪拌機4は、撹拌体10と、撹拌体10を取り付けるためのシャフト41、それらを内部に収める筒状のケーシング42、ケーシング42の上部に設けられ、シャフト41を介して攪拌体10に回転を与える駆動部43とを備える。さらに、ケーシング42の上部であって、撹拌体10が設けられている位置よりも上方には、供給ライン7cの取り付け口45が、また、ケーシング42の下部には、供給ライン7aの取り付け口44がそれぞれ設けられている。
シャフト41は、その回転軸がケーシング42の軸心とほぼ一致するように設けられ、その上端側は駆動部43に連結され、また、その下端部側は軸受部材46により回転自在に軸支されている。軸受部材46は、その中央にシャフト41を挿入するための孔部461が穿設されており、さらに、その孔部461の周囲には、豆乳を流通させるための開口部462が設けられている。
また、シャフト41の中間の任意の位置には撹拌体10が取り付けられている。かかる撹拌体10は、その底面111bに設けられた吸入口112およびその天面111aに設けられた吐出口113と、該吸入口112及び該吐出口113を繋ぐ流路114を備える。攪拌体10は、シャフト41に対して、底面111bが豆乳の流れの上流側、すなわち、取り付け口44側、また、天面111aが下流側、すなわち取り付け口45側になるように取り付けられる。
図7は、本発明にかかる攪拌体10の一実施態様を表す斜視図である。なお、本実施態様では、理解を容易にするために吸入口112、吐出口113および流路114はそれぞれ2つずつのみ図示しているが、これらの数は2つに限定されない。図に示すように、攪拌体10は、回転軸L1に直交する断面が円形状となるように形成することが好ましく、その全体形状については特に限定されないが、加工のしやすさからも、所定の厚みを有する円柱状ないしは円盤状とすることが好ましい。攪拌体10の中心部には、シャフト41を挿入する孔部115が穿設されており、該孔部115に挿入されたシャフト41は、溶接などで攪拌体10に固定してもよいが、留め金などを加工して固定してもよい。
図に示すように、吸入口112は吐出口113よりも攪拌体10の回転軸L1寄りに形成されており、これにより、それらを繋ぐ流路114は、吸入口112から吐出口113へ至るにしたがって、回転軸L1から離間するように傾斜する。かかる吸入口112と吐出口113の相対的な位置関係により、攪拌体10が回転したときに、吸入口112と吐出口113との間で遠心力の差異が発生し、豆乳が吸入口112から吸引されるとともに、吐出口113から吐出される。なお、吸入口112と吐出口113の形状や数は特に限定されず、また、流路114は直線状に限らず、曲線状に形成してもよい。
吐出口112の中心から吸入口113の中心を結ぶ直線L2と、攪拌体10の回転軸L1との間で形成される角度は、回転による遠心力の差が生じれば良く、特に限定しない。しかし、攪拌10の厚みと吐出口113と吸入口112の開口径に関係するため、10度以上60度以下が好ましく、30度以上60度以下がさらに好ましい。10度未満では遠心力が弱くなり、60度を超えると攪拌体10自体を薄くして吸入口112と吐出口113を作る必要があり、加工が難しくなる。さらに、攪拌体10の材質は特に限定しないが運転条件からステンレスが好ましい。
また、攪拌体10はシャフト41に対して一個のみ設けてもよいが、これを複数個として多段になるように設けてもよい。その場合、上下で隣接する攪拌体10の間には適度な間隔を設けることが好ましい。このように、攪拌体10を多段に設けることにより、更なる攪拌分散効果を得ることができる。
攪拌体10は、駆動部43によりシャフト41を介して伝えられた回転力で回転するが、その回転速度は処理速度や吐出口113と吸入口112の開口径、流路114の内径、角度、吐出口113、吸入口112および流路114の数、さらには攪拌体10の個数などによって変更するのが好ましく、特に1000rpmから2500rpmの範囲が好ましい。これはインライン高速高せん断の撹拌機の5000rpmから10000rpmに比べて低速である。
さらに、シャフト41を中空状に形成するとともに、攪拌体10の吸入口112の近傍に空気吐出孔(図示せず)を設けても良く、かかるシャフト41の中空部を通してエアを送り込み、空気吐出孔から吐出させることにより、豆乳の攪拌時にエアも混合することができる。かかるエアレーションにより、伸びの良い、きれいな油揚げ用の凝固が可能となる。
本発明の撹拌機4は、撹拌羽根で撹拌する撹拌装置とは異なり、豆乳と凝固剤の混合物が、攪拌体に形成されている流路内を通過して吐出口から吐出される際に、遠心力により連続的に混合分散されるというものである。このように、本発明の撹拌機4は遠心力を利用するため、機械的なせん断を行うローターステーター等に比べてせん断力は弱いものの、混合分散力のあるインライン低せん断が可能となり、キャビテーションを起こさない特徴がある。
本発明の攪拌機4の働きは以下の通りである。まず、凝固剤が添加された豆乳が取り付け口44からケーシング42内へと送り込まれる。内部に取り込まれた豆乳は、軸受け部材46の開口部462を通って攪拌体10方向へと送られる。攪拌体10は駆動部43により回転しているため、攪拌体10に達した豆乳は、攪拌体10の回転によりもたらされる遠心力によって吸入口112から吸引され、流路114を通過し、吐出口113から吐出される。その際、豆乳と凝固剤は十分に攪拌分散され、最終的に取り付け口45から供給ライン7cへと吐出される。
本発明の油揚げ類の製造方法で使用される凝固剤は、本発明の油揚げ類の製造方法の要件の一つである低せん断力、高分散性能の撹拌体による豆乳中への分散性に寄与できる形態が好ましい。こうした背景から種々検討したところ、高融点を有する油溶性微結晶を分散、懸濁した植物性液状油を油相とし、塩化マグネシウム水溶液を水相とする油中水型乳化物の乳化にがりが有用である。
以下、本発明に係る油揚げ類の連続式の製造方法において、遅効性を有する乳化にがり用いて豆乳から油揚げを製造する一態様を図に示す製造装置に従い説明する。
まず、85~90℃にした豆乳(固形分:8.5質量%)を豆乳タンク2に入れ、遅効性を有する乳化にがり(JSにがり(塩化マグネシウム6水塩38質量%:泰喜物産製))を凝固剤タンク3に入れる。そして、豆乳タンク2から供給ライン7aを介して撹拌機4へと豆乳を供給するとともに、凝固剤タンク3から供給ライン7bを介して供給ライン7a内を流れる豆乳に凝固剤を添加する。遅効性を有する乳化にがりの量は、豆乳の濃度や、製造する豆腐の種類にあわせて適宜設定すればよい。前記設定においては、対豆乳JSにがり量は0.7~1.0質量%が好ましい。供給ライン7a内において添加された乳化にがりは、豆乳とともに撹拌機4内に送り込まれ、撹拌機4内を通過する際に撹拌体10により豆乳中に撹拌分散される。その後、供給ライン7cを介して成型ベルト5上に連続的に吐出される。その後、成型ベルト5上において凝固した豆乳を崩し、プレス脱水して揚げ生地を形成した後カットし、その後、フライヤー6にて油揚げに加工される。
斯くして得られる油揚げは、従来の乳化剤を含む豆腐用の凝固剤と、従来の攪拌機を用いた製造した油揚げよりも火膨れすることなく揚げ伸びが安定し、歩留まりが高く、肌理が細かいものとなる。さらに、かかる連続式の製造方法によれば、油揚げ類の成型ベルトラインを用いた連続大量生産が可能となる。
尚、前述の成型ベルトラインを用いた連続式の製造方法で、凝固剤を供給ライン内で豆乳に分散するインライン方式において、凝固剤として速攻性の塩化マグネシウム水溶液を用いる場合、配管内での凝固物による目詰まりをもたらし、実用に供しない。
本発明の油揚げ類の製造方法は、油揚げの他に、がんもどき、厚揚げ等の豆腐生地の製造に使うことができる。
1 … … 攪拌体
2 … … 豆乳タンク
3 … … 凝固剤タンク
4 … … 攪拌機
5 … … 成型ベルト
6 … … フライヤー
7a、7b、7c … … 供給ライン
8a、8b … … 供給ポンプ
10 … … 攪拌体
11a … … 天面
11b … … 底面
11c … … 周壁面
12 … … 吸入口
13 … … 吐出口
14 … … 流路
15 … … 羽根
16 … … シャフト
41 … … シャフト
42 … … ケーシング
43 … … 駆動部
44 … … 軸受部材
45 … … 台座
111a … … 天面
111b … … 底面
112 … … 吸入口
113 … … 吐出口
114 … … 流路
115 … … 孔部
461 … … 孔部
462 … … 開口部
L1 … … 回転軸
L2 … … 吐出口の中心から吸入口の中心を結ぶ直線

Claims (5)

  1. 乳化剤を含まない遅効性を有する油中水型乳化にがりである豆腐用の凝固剤と豆乳を、撹拌用の羽を有していない低剪断遠心撹拌体により撹拌分散する工程を含む油揚げ類の製造方法。
  2. 乳化剤を含まない遅効性を有する油中水型乳化にがりである豆腐用の凝固剤を豆乳に加える工程と、該凝固剤を加えた豆乳が流通する供給ライン内に設けられた、撹拌用の羽を有していない低剪断遠心撹拌体により豆乳と該凝固剤を撹拌分散する工程を含むことを特徴とする油揚げ類の製造方法。
  3. 前記低剪断遠心撹拌体は、軸部により回転可能に軸支され、攪拌体表面に形成された吸入口と吐出口と、該吸入口及び該吐出口を繋ぐ流路を備え、該吸入口は該吐出口よりも軸部寄りに形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の油揚げ類の製造方法。
  4. 前記軸部は中空状に形成されるとともに、該軸部において前記攪拌体の吸入口の近傍に空気吐出孔を設け、該軸部の中空部を通してエアを送り込み、該空気吐出孔から吐出させることにより豆乳の攪拌時にエアを混合することを特徴とする請求項3に記載の油揚げ類の製造方法。
  5. 前記遅効性を有する豆腐用の凝固剤は、油溶性微結晶を含む植物性液状油を油相とし、塩化マグネシウム水溶液を水相とする油中水型乳化物の乳化にがりであることを特徴とする請求項1または2に記載の油揚げ類の製造方法。
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