JP7439555B2 - 光学部材及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、撥水性及び親水性のいずれかの機能性を備える光学部材及びその製造方法に関する。
写真用や放送用のカメラ等の撮像装置に用いられる単焦点レンズやズームレンズ等の交換レンズは、鏡筒内に複数枚のレンズで構成されているため、各レンズの空気との界面において生じた反射が複数枚のレンズにより増幅される。そのため各レンズ面での反射光量が多いと、透過光量の損失が多いのみならず、レンズ内又はレンズ間での多重反射に起因するフレアやゴーストが生じ易く、コントラストが低くなる。またデジタル化に伴い、カメラ等の撮像部分がフィルムから撮像素子に置き換わり、撮像素子面で反射する光もフレアやゴーストの要因になっている。
各レンズ面での反射光量を抑えるために、交換レンズや撮像素子等の光学素子の表面には反射防止膜が設けられている。例えば、屈折率の異なる誘電体薄膜を互いに組合せて、各層の膜厚を設計中心波長λに対して、1/2λや1/4λとすることにより、干渉効果を利用して、空気と薄膜の界面、薄膜どうしの界面及び薄膜と基板との界面の各界面で生じた反射光が打ち消し合うように設計された多層膜構成の反射防止膜が設けられている。多層膜構成の反射防止膜の最外層には、反射防止性能を上げる為に屈折率が1.38のフッ化マグネシウム(MgF2)が汎用的に施されている。
しかし近年のAIoT化に伴い、デジタルカメラ、ネットワークカメラ、車載カメラといったセンシングカメラ等のデジタルデバイスとして用いられる撮像装置は、あらゆるロケーションやシチュエーションにおいて鮮明な画像を取得できるように、光学性能以外にも撥水/撥油,親水/防曇,防汚等の機能性が付与されていることが求められている。
そのような機能性を付与する方法として、光学部材の基材表面に含フッ素有機ケイ素化合物からなる撥水層を施工したり、吸水性ポリマー、親水性ウレタンアクリレート、光触媒作用による親水効果を有する酸化チタン等の親水層を施工したりすることにより光学部材に撥水性又は親水性を付与する技術が既に知られている。
しかし、今までの撥水性又は親水性を有する光学部材は、環境耐久性が低いという問題があった。
特開平7-104102号公報(特許文献1)は、ガラス基材上に施された反射防止膜の最外層がSiO2からなる密着層上に、光学的膜厚が5nm以下の含フッ素シリコーンからなる撥水層が形成された撥水性反射防止膜を開示している。しかし、高温多湿の環境下に長時間曝されても機能性を維持できるという課題は解決していません。また撥水層が施された光学部材を、親水性又は防曇性を有する光学部材に機能変換させる技術については開示していない。
特開2018-172566号公報(特許文献2)は、1μmを超える膜厚であっても成膜性が良好であり、防曇性に優れ、高温多湿の環境に曝されても防曇性能を持続できる塗膜を提供する目的で、光照射により親水性を発現する金属酸化物と、その金属酸化物の表面に、防曇持続性と耐湿性の向上及び成膜性の向上のために固定化された親水性有機化合物とからなる防曇塗膜を開示している。しかし、特許文献2の防曇塗膜は、水接触角の値が20 deg程度と高く、20 degよりも小さい接触角が求められる装置に用いるには防曇性が不十分である。また高温多湿の環境に曝された前後で水接触角の値が大きく変化し、安定性に欠ける。
特開平7-104102号公報 特開2018-172566号公報
従って本発明の目的は、環境耐久性の高い光学部材を提供することである。
本発明の別の目的は、かかる光学部材を製造する方法を提供することである。
上記課題に鑑み鋭意研究の結果、本発明者らは、基材又はその表面に形成された緻密層の上に、シリカナノ粒子とメソポーラスシリカナノ粒子から構成され、撥水性又は親水性を有する機能性膜を形成することにより、耐擦傷性と環境耐久性の高い光学部材が得られることを発見し、本発明に想到した。
即ち、本発明の一実施態様による光学部材は、基材又はその表面に1層以上の緻密層が形成された基材と、前記基材又は前記緻密層の上に形成された機能性膜とを有する光学部材であって、前記機能性膜は、非多孔質性で球状の複数のシリカナノ粒子と、メソ孔がヘキサゴナル状に配列した複数のメソポーラスシリカナノ粒子とが混在しながら結合していることを特徴とする。
前記シリカナノ粒子及び/又はメソポーラスシリカナノ粒子の表面に、アルキルシリル基及び/又はアルケニルシリル基を有するのが好ましい。
前記機能性膜における前記シリカナノ粒子の前記メソポーラスシリカナノ粒子に対する質量比(シリカナノ粒子/メソポーラスシリカナノ粒子)が1~20であるのが好ましい。
前記機能性膜の空隙率が5~25%であり、純水の接触角が80~120 degであるのが好ましく、40~80℃及び70~95%の高温高湿環境下に48時間以上曝した後の全てにおいて純水の接触角が80~120 degであるのが好ましい。
前記機能性膜の表面にベタイン構造を備えるのが好ましい。
前記機能性膜の空隙率が5~25%であり、純水の接触角が15 deg未満であるのが好ましく、40~80℃及び70~95%の高温高湿環境下に48時間以上曝した後の全てにおいて純水の接触角が20 deg未満であるのが好ましい。
前記機能性膜の屈折率が1.35~1.50であるのが好ましく、前記機能性膜の光学膜厚は35~150 nmであるのが好ましい。
前記シリカナノ粒子のメジアン径は100 nm以下であるのが好ましく、前記メソポーラスシリカナノ粒子のメジアン径は100 nm以下であるのが好ましい。
前記光学部材は、ヘーズ(HAZE)値(曇価)が0.3%以下であるのが好ましい。
本発明の光学部材の製造方法は、基材又はその表面に1層以上の緻密層が形成された基材の上にシリカナノ粒子とメソポーラスシリカナノ粒子から構成されたシリカ微粒子膜を形成した後、プラズマを照射することにより、前記シリカ微粒子膜の表面にシラノール基を形成し、前記シリカ微粒子膜の表面にベタイン構造とシラノール基を有する親水性部材を塗布し、焼成することにより、親水性の機能性膜を得ることを特徴とする。
本発明によれば、撥水性又は親水性を有する光学部材として、耐擦傷性と環境耐久性が高く、それら機能性を維持することのできる光学部材を提供することができる。
本発明の一実施例による光学部材を示す図である。 メソポーラスシリカナノ粒子を示す図である。 本発明の他の実施例による光学部材を示す図である。 実施例1の分光反射率を示すグラフである。 実施例2の分光反射率を示すグラフである。 実施例3の分光反射率を示すグラフである。 実施例4の分光反射率を示すグラフである。 実施例5の分光反射率を示すグラフである。 比較例1の分光反射率を示すグラフである。 比較例2の分光反射率を示すグラフである。 比較例3の分光反射率を示すグラフである。 比較例4の分光反射率を示すグラフである。
[1] 第一の実施態様
図1は本発明の一実施態様による撥水性の光学部材を示す図である。図1に示す光学部材1は、基材10と、基材10の表面に形成された1層以上の緻密層20と、緻密層20の表面に形成された機能性膜30とを有する。
(1) 基材
図1に示す基材10は平板状であるが、本発明はこれに限定されず、レンズ状でも良く、光学部材に用いる基材であれば適用可能である。例えば、表面に曲率を有するレンズ、プリズム、ライトガイド、フィルム又は回折素子でも良い。基材10は、波長587.56 nmのHe光源のd線(以下、単に「d線」とする。)に対して屈折率が1.45~2.75であるのが好ましい。
基材10の材料は特に限定されないが、ガラス、石英、シリコン、カルコゲナイド等を用いても良い。具体的には、FK03、FK5、BK7、SK20、SK14、LAK7、LAK10、LASF016、LASF04 SFL03、LASF08、NPH2、TAFD4、S-FPL53(登録商標)、S-PSL5(登録商標)、S-BSL7(登録商標)、S-BAL50(登録商標)、S-BSM14(登録商標)、S-LAL7(登録商標)、S-LAL10(登録商標)等の光学ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、石英、合成石英、青板ガラス、白板ガラス、ルミセラ(登録商標)、ゼロデュア(登録商標)、蛍石、サファイア等が挙げられる。
(2) 緻密層
緻密層20は、1層以上の無機層からなるのが好ましい。無機層は、反射防止膜の誘電体膜として通常用いられる無機材料の酸化物の単体でも良いし、混合物又は化合物でも良い。例えば、SiO2、Al2O3、TiO2、ZrO2、ZnO、Ta2O5、Nb2O5、HfO2、CeO2、SnO2、In2O3、Y2O3、Pr6O11及びSb2O3からなる群から選ばれた少なくとも一種が挙げられる。
緻密層20の層構成及び膜厚は、機能性膜30の光学特性や所望の光学機能に応じて、コンピュータシミュレーションを用いて最適値を求める等の方法により、適宜求めることができる。
図1の光学部材1では、基材10の表面に緻密層20が形成されているが、本発明はこれに限らず、緻密層20を設けていなくても良い。その場合、基材10の表面に機能性膜30を直接形成する。
(3) 機能性膜
機能性膜30は、シリカナノ粒子31とメソポーラスシリカナノ粒子32から構成されている。図1に示すように、複数のシリカナノ粒子31と複数のメソポーラスシリカナノ粒子32が混在しながら結合しており、表面に微細な凹凸と内部に空隙を有する多孔質な機能性膜30を形成している。
シリカナノ粒子31のみから成る膜でも、表面に微細な凹凸が形成されているため、構造由来で発現する撥水現象(ロータス効果)により撥水性を備えている。しかし、メソポーラスシリカナノ粒子32は、それ自体が多孔質性を有しており、機能性膜30の微細な凹凸形状表面の比表面積をさらに大きくすることができるので、ロータス効果をさらに大きくすることを可能とする。メソポーラスシリカナノ粒子32は、図2に示すように、メソ孔32aがヘキサゴナル状に配列しているのが好ましい。ヘキサゴナル状とすることで、メソメソポーラスシリカナノ粒子の製造効率を良くすることができ、機械的強度も高くすることができる。図1に示すメソポーラスシリカナノ粒子32は、メソ孔32aが図正面を向いている粒子を32Aとし、側面が図正面を向いている粒子を32Bとしている。
メソポーラスシリカナノ粒子32は基材又は下地層との密着強度が弱いため、メソポーラスシリカナノ粒子32のみでは機能性膜30の十分な機械的強度が得られない。複数のシリカナノ粒子31と複数のメソポーラスシリカナノ粒子32が混在させることにより、十分な機械的強度を有しつつ、機能性膜30の比表面積を大きくすることができる。機能性膜30におけるシリカナノ粒子31のメソポーラスシリカナノ粒子32に対する質量比(シリカナノ粒子/メソポーラスシリカナノ粒子)が1~20であるのが好ましい。上記質量比がこの範囲内にあれば、機械的強度と撥水効果との良好なバランスが得られる。質量比が1を下回る、つまりシリカナノ粒子の質量がメソポーラスシリカナノ粒子の質量を下回る時、膜の機械的強度が維持できなくなる。また、質量比が20を超えると、メソポーラスシリカナノ粒子がほとんど含まれない状態になり、膜の比表面積の増加が期待できなくなる。上記質量比は1.2~10であるのがより好ましい。上記質量比がこの範囲内にあれば、安全率が向上する。
機能性膜30のd線に対する屈折率は1.35~1.50であるのが好ましい。無機層20の表面に形成される機能性膜30は、その屈折率が1.50超であると、反射防止性能が低下する。また屈折率が1.35未満の場合、機能性膜30の空隙率が高くなるため、機械的強度(耐擦傷性)が劣化する。機能性膜30の屈折率は1.39~1.45であるのが好ましく、1.38~1.41であるのがより好ましい。
機能性膜30の空隙率は、屈折率に応じて適宜決定するパラメータであり、機能性膜30の空隙率が高いと屈折率が低くなり、空隙率が低いと屈折率が高くなる。機能性膜30の空隙率は、5~25%であるのが好ましい。空隙率が5%未満の場合、屈折率がシリカ緻密層に近づき、反射防止性能が低下する。また空隙率が25%超であると、機械的強度(耐擦傷性)が劣化する。機能性膜30の空隙率は5~15%であるのがより好ましい。
シリカナノ粒子31は、メジアン径が100 nm以下であるのが好ましい。ここでメジアン径は、粒子の集合の全体積を100%として累積曲線を求めた時、累積値が50%となる点の粒子径であり、動的光散乱法により求められる。メジアン径が100 nm以下であれば、十分な機械的強度を有しつつ、表面に微細な凹凸を有する多孔質な機能性膜が得られる。また、比較的薄い機能性膜を形成できるため、設計自由度が向上する。シリカナノ粒子31のメジアン径は20~100 nmであるのがより好ましく、30~50 nmであるのがさらに好ましい。
メソポーラスシリカナノ粒子32は、メジアン径が100 nm以下であるのが好ましい。メジアン径が100 nm以下であれば、シリカナノ粒子31と結合して十分な機械的強度を有しつつ、表面に微細な凹凸を有する多孔質な機能性膜が得られる。メソポーラスシリカナノ粒子32のメジアン径は20~100 nmであるのがより好ましく、30~50 nmであるのがさらに好ましい。メソポーラスシリカナノ粒子32のメジアン径とシリカナノ粒子31のメジアン径は、どちらが大きくても良いが、メソポーラスシリカナノ粒子32のメジアン径がシリカナノ粒子31のメジアン径より大きいのが好ましい。
機能性膜30は表面の撥水度は適宜設定可能であるが、表面の純水の接触角が80~120 degであるのが好ましい。純水の接触角が80 deg未満であると、撥水性の効果が十分に得られない。また反射防止性能と撥水性をバランス良く得るために、純水の接触角の上限は120 deg程度が望ましい。表面の純水の接触角は105~120 degであるのがより好ましい。
本発明の機能性膜30は、シリカナノ粒子31とメソポーラスシリカナノ粒子32から構成されており、微細な凹凸形状表面の比表面積が非常に大きいため、高温高湿環境下に曝されても撥水性が劣化しにくいという利点を有する。機能性膜30の表面の純水の接触角は、40~80℃及び70~95%の高温高湿環境下に48時間以上曝した後でも80~120 degであるのが好ましく、105~120 degであるのがより好ましい。
機能性膜30の光学膜厚は35~150 nmであるのが好ましい。膜厚が35~150 nmであると、良好な撥水性の機能と光学性能を得られる。機能性膜30の光学膜厚は40~135 nmであるのがより好ましい。
かかる機能性膜30を備えた光学部材は、ヘーズ(HAZE)値(曇価)が0.3%以下であるのが好ましい。それにより、交換レンズのように鏡筒内に複数枚のレンズで構成した場合でも、散乱による透過光量の減少が抑えられる。また光学部材は、波長域が300 nm~2000 nmの光線において、十分な反射防止特性を備え、好適に使用できるのが望ましい。
シリカナノ粒子31及び/又はメソポーラスナノシリカ粒子32には、少なくとも一部の骨格を形成するケイ素原子にアルキル基が結合してなるアルキルシリル基及び/又はケイ素原子にアルケニルが結合してなるアルケニルシリル基が存在していても良い。機能性膜30の表面側に疎水性のアルキルシリル基及び/又はアルケニルシリル基が配向することにより、機能性膜30の撥水性を高めることができる。
アルキルシリル基は、ケイ素原子にアルキル基が1つ結合したモノアルキルシリル基でも良いし、アルキル基が2つ結合したジアルキルシリル基でも良いが、シリカナノ粒子31及び/又はメソポーラスナノシリカ粒子32のSi-O結合による機械的強度を維持しつつ、優れた機能性を付与するために、モノアルキルシリル基であるのが好ましい。アルキル基の具体例は、エチル基、プロピル基、n-ブチル基等が挙げられるが、メチル基が特に好ましい。
アルケニルシリル基は、アルキルシリル基と同様に、ケイ素原子にアルケニル基が1つ結合したモノアルケニルシリル基でも良いし、アルケニル基が2つ結合したジアルケニルシリル基でも良いが、モノアルケニルシリル基であるのが好ましい。アルケニル基の具体例は、ビニル基、アリル基等が挙げられるが、ビニル基が特に好ましい。
アルキルシリル基及び/又はアルケニルシリル基は、機能性膜30の表面側の全体に存在していても良いが、機能性膜30の表面のケイ素原子の20~80%がアルキルシリル基及び/又はアルケニルシリル基を構成しているのが好ましい。20%未満であると撥水効果が低く純水の接触角が低くなり、80%超であるとシリカナノ粒子31及び/又はメソポーラスナノシリカ粒子32間で形成されるシロキサン結合が少なくなり、機能性膜30の機械的強度が低下する。
メソポーラスシリカナノ粒子32の表面及び/又はメソ孔内にも、シリカナノ粒子31と同様にアルキルシリル基及び/又はアルケニルシリル基が存在していても良く、シランカップリング剤で修飾されていても良い。シランカップリング剤としては、例えば、アルキル基が1つ結合したアルコキシシランの具体例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、n-ブチルトリメトキシシラン等のアルキルトリアルコキシシランが挙げられる。アルケニル基が1つ結合したアルコキシシランの具体例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン等のアルケニルトリアルコキシシランが挙げられる。アルキル基が2つ結合したアルコキシシランの具体例としては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン等のジアルキルジアルコキシシランが挙げられる。
(4) 製造方法
(4-1) 無機層の形成方法
無機層20は、真空蒸着法やスパッタリング法等のPVD法やCVD法の乾式プロセス、ゾル-ゲル法やSOG(Spin on glass)等の湿式プロセスにより形成することができる。光学特性や経済性の面から、真空蒸着法が特に好ましい。
(4-2) 機能性膜の形成方法
機能性膜30は、湿式法により形成するのが好ましく、特にゾル-ゲル法が好ましい。すなわち、シリカナノ粒子ゾルとメソポーラスシリカナノ粒子ゾルの混合液を作成し、かかる混合液を塗布、乾燥及び焼成することにより形成する。ゾル-ゲル法は、例えば、国際公開第2002/018982号、国際公開第2006/030848号、特開2006-3562号、特開2006-215542号、特開2007-94150号、特開2008-225210号、特開2008-233403号、特開2009-75583号、特開2009-258711号、「ジャーナル・オブ・ゾルゲル・サイエンス・アンド・テクノロジー(Journal of Sol-Gel Science and Technology)」,2000年,第18巻,219~224頁等に記載の方法により得ることができる。
(4-2-a) シリカナノ粒子ゾルの作成
(1) シリカナノ粒子ゾル
(a) アルコキシシラン
出発原料のアルコキシシランは、テトラアルコキシシランのモノマー又はオリゴマー(縮重合物)が好ましい。4官能のアルコキシシランを用いた場合、比較的大きな粒径を有するコロイド状シリカ粒子のゾルを得ることができる。テトラアルコキシシランは、Si(OR)4[Rは炭素数1~5のアルキル基(メチル、エチル、プロピル、ブチル等)、又は炭素数1~4のアシル基(アセチル等)]により表されるものが好ましい。テトラアルコキシシランの具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、ジエトキシジメトキシシラン等が挙げられる。中でもテトラメトキシシラン及びテトラエトキシシランが好ましい。
(b) 有機溶媒
有機溶媒としては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、tert-ブチルアルコール等のアルコールが好ましく、エタノール、2-プロパノール、1-ブタノールがより好ましい。
(c) 酸性触媒の存在下での加水分解及び縮重合
アルコキシシランに有機溶媒、酸性触媒及び水を添加することにより、加水分解重縮合が進行する。酸性触媒としては、塩酸、硝酸、硫酸、燐酸、酢酸等が挙げられる。酸性触媒を含有するゾルは10~90℃で約15分~24時間加熱・撹拌するのが好ましい。加熱・撹拌により加水分解重縮合が進行する。
有機溶媒とアルコキシシランとの量比は、アルコキシシランの濃度がSiO2換算で0.1~70質量%(シリカ濃度)となるように設定するのが好ましい。シリカ濃度が70質量%超であると、得られるゾル中のシリカ粒子の粒径は大きくなり過ぎ、粘度が増加してゲル化が進行する。一方シリカ濃度が0.1未満であると、得られるゾル中のシリカ粒子の粒径は小さくなり過ぎる。なお有機溶媒/アルコキシシランのモル比としては1×10-1~1×103の範囲が好ましい。
水/アルコキシシランのモル比は1~40が好ましい。水/アルコキシシランのモル比が40超であると、加水分解反応が速く進行し過ぎるため反応の制御が難しく、均一なシリカナノ粒子が得られにくくなる。一方1未満であると、アルコキシシランの加水分解が十分に起こらない。
第一のゾル中のシリカ粒子のメジアン径は60 nm以下であり、好ましくは10~40 nmである。メジアン径は動的光散乱法により測定する。
(2) 表面修飾シリカナノ粒子ゾル
表面にアルキルシリル基及び/又はアルケニルシリル基を有する表面修飾シリカナノ粒子ゾルを作成する方法として、アルコキシシランのシリカ骨格形成化合物からなる第一のゾルとアルキル基及び/又はアルケニル基が修飾されたアルコキシシランのシリカ骨格形成化合物からなる第二のゾルとが混合してなる混合液を用いる方法について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
混合液を用いて表面修飾シリカナノ粒子ゾルを形成する方法は、(i) 上記のシリカナノ粒子ゾル(第一のゾル)を調整し、(ii) アルキル基及び/又はアルケニル基が修飾されたアルコキシシランを酸性触媒下で加水分解及び縮重合して第二のゾルを調整し、(iii) 第一のゾルと第二のゾルを混合する。
(ii) 第二のゾルの調製工程
(a) アルコキシシラン
出発原料は、アルキル基及び/又はアルケニル基が修飾されたアルコキシシランのモノマー又はオリゴマー(縮重合物)が好ましい。アルキル基及び/又はアルケニル基はアルコキシシランに1つ結合しても良いし、アルキル基に関しては2つ結合しても良い。
アルキル基が1つ結合したアルコキシシランの具体例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、n-ブチルトリメトキシシラン等のアルキルトリアルコキシシランが挙げられる。アルケニル基が1つ結合したアルコキシシランの具体例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン等のアルケニルトリアルコキシシランが挙げられる。アルキル基が2つ結合したアルコキシシランの具体例としては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン等のジアルキルジアルコキシシランが挙げられる。
(b) 有機溶媒
有機溶媒としては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、tert-ブチルアルコール等のアルコールが好ましく、エタノール、2-プロパノール、1-ブタノールがより好ましい。
(c) 酸性触媒の存在下での加水分解及び縮重合
アルコキシシランに有機溶媒、酸性触媒及び水を添加することにより、加水分解重縮合が進行する。酸性触媒としては、塩酸、硝酸、硫酸、燐酸、酢酸等が挙げられる。酸性触媒を含有するゾルは10~90℃で約15分~24時間加熱・撹拌するのが好ましい。加熱・撹拌により加水分解重縮合が進行する。
有機溶媒とアルコキシシランとの量比は、アルコキシシランの濃度がSiO2換算で0.1~70質量%(シリカ濃度)となるように設定するのが好ましい。シリカ濃度が70質量%超であると、得られるゾル中のシリカ粒子の粒径は大きくなり過ぎ、粘度が増加してゲル化が進行する。一方シリカ濃度が0.1未満であると、得られるゾル中のシリカ粒子の粒径は小さくなり過ぎる。なお有機溶媒/アルコキシシランのモル比としては1×10-1~1×103の範囲が好ましい。
水/アルコキシシランのモル比は1~40が好ましい。水/アルコキシシランのモル比が40超であると、加水分解反応が速く進行し過ぎるため反応の制御が難しく、均一なシリカナノ粒子が得られにくくなる。一方1未満であると、アルコキシシランの加水分解が十分に起こらない。
第二のゾル中のコロイド状シリカ粒子のメジアン径は80 nm以下であり、好ましくは10~60 nmである。
(iii) 混合工程
上記のようにして得られた第一のゾル及び第二のゾルを混合する。第一及び第二の酸性ゾルを混合した後、10~30℃の室温で10分~3時間程度撹拌するのが好ましい。
第一のゾルに第二のゾルを添加しても良いし、第二のゾルに第一のゾルを添加しても良い。濃度及び流動性を調整し塗布適性を高めるため、展開溶媒に第一のゾル及び第二のゾルを添加しても良い。その際、第一のゾル及び第二のゾルを添加した後、10~30℃の室温で10分~3時間程度撹拌するのが好ましい。展開溶媒は、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、tert-ブチルアルコール等のアルコールが挙げられる。
第一のゾル/第二のゾルの固形分質量比は0.05~10であるのが好ましい。この比が0.05未満であると、シリカナノ粒子にアルキルシリル基またはアルケニルシリル基が多量に形成され、シリカナノ粒子の結合力が低下し、耐擦傷性が低くなる。この比が10超であると、機能性膜の表面に存在するアルキルシリル基及び/又はアルケニルシリル基が少ないため、撥水性が十分でない。第一のゾル/第二のゾルの固形分質量比は0.1~2であるのがより好ましい。
(4-2-b) メソポーラスシリカナノ粒子ゾルの作成
メソポーラスシリカナノ粒子ゾルは、(i) 溶媒、酸性触媒、アルコキシシラン、カチオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤を含む混合溶液をエージングしてアルコキシシランを加水分解・重縮合させ、(ii) 得られたシリケートを含む酸性ゾルに塩基性触媒を添加することにより、非イオン性界面活性剤で被覆され、かつカチオン性界面活性剤をメソポーラスシリカナノ粒子の細孔内に有するメソポーラスシリカナノ粒子のゾルを調製し、(iii) 上記ゾル中のメソポーラスシリカナノ粒子を外包する非イオン性界面活性剤及びメソポーラスシリカナノ粒子の細孔内に内包されるカチオン性界面活性剤を除去した後、メソポーラスシリカナノ粒子を分離し、(iv) メソポーラスシリカ粒子を超音波分散法を用いて有機溶媒中に分散させることにより製造することができるが、本発明はこれに限定されない。
(1) 界面活性剤修飾メソポーラスシリカナノ粒子の製造方法
(a) 原料
(a-1) アルコキシシラン
アルコキシシランはモノマーでも、オリゴマーでも良い。アルコキシシランモノマーはアルコキシル基を3つ以上有するのが好ましい。アルコキシル基を3つ以上有するアルコキシシランを出発原料とすることにより、優れた均一性を有するメソポーラスシリカ多孔質膜が得られる。アルコキシシランモノマーの具体例としてはメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等が挙げられる。アルコキシシランオリゴマーとしては、上述のモノマーの重縮合物が好ましい。アルコキシシランオリゴマーはアルコキシシランモノマーの加水分解・重縮合により得られる。アルコキシシランオリゴマーの具体例として、一般式RSiO1.5(ただしRは有機官能基を示す。)により表されるシルセスキオキサンが挙げられる。
(a-2) 界面活性剤
(i) カチオン性界面活性剤
カチオン性界面活性剤としては4級アンモニウム塩が好ましく、ハロゲン化アルキルトリメチルアンモニウム、ハロゲン化アルキルトリエチルアンモニウム、ハロゲン化ジアルキルジメチルアンモニウム、ハロゲン化アルキルメチルアンモニウム、ハロゲン化アルコキシトリメチルアンモニウム等が挙げられる。ハロゲン化アルキルトリメチルアンモニウムとして、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム等が挙げられる。ハロゲン化アルキルトリメチルアンモニウムとして、塩化n-ヘキサデシルトリメチルアンモニウム等が挙げられる。ハロゲン化ジアルキルジメチルアンモニウムとして、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム等が挙げられる。ハロゲン化アルキルメチルアンモニウムとして、塩化セチルメチルアンモニウム、塩化ステアリルメチルアンモニウム、塩化ベンジルメチルアンモニウム等が挙げられる。ハロゲン化アルコキシトリメチルアンモニウムとして、塩化オクタデシロキシプロピルトリメチルアンモニウム等が挙げられる。また、4級アンモニウム塩においてハロゲンが臭素でも良い。この場合として、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、臭化テトラヘキシルアンモニウム、臭化テトラヘプチルアンモニウム、臭化デシルトリメチルアンモニウム、臭化テトラ-n-オクチルアンモニウム、臭化テトラプロピルアンモニウム、臭化テトラオクチルアンモニウム、臭化テトラデシルトリメチルアンモニウム、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、臭化オクタデシルトリメチルアンモニウム、臭化ドデシルトリメチルアンモニウム、臭化デシルトリメチルアンモニウム、臭化オクチルトリメチルアンモニウム、臭化ヘキシルトリメチルアンモニウム。
(ii) 非イオン性界面活性剤
非イオン性界面活性剤として、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロックコポリマー、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等が挙げられる。エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロックコポリマーとして、例えば式:RO(C2H4O)a-(C3H6O)b-(C2H4O)cR(但し、a及びcはそれぞれ10~120を表し、bは30~80を表し、Rは水素原子又は炭素数1~12のアルキル基を表す)で表されるものが挙げられる。このブロックコポリマーの市販品として、例えばPluronic(登録商標、BASF社)が挙げられる。ポリオキシエチレンアルキルエーテルとして、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等が挙げられる。
(a-3) 触媒
(i) 酸性触媒
酸性触媒の例として塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸やギ酸、酢酸等の有機酸が挙げられる。
(ii) 塩基性触媒
塩基性触媒の例としてアンモニア、アミン、NaOH及びKOHが挙げられる。好ましいアミンの例としてアルコールアミン及びアルキルアミン(例えばメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、n-ブチルアミン、n-プロピルアミン等)が挙げられる。
(a-4) 溶媒
溶媒としては純水を用いることができる。
(b) 形成方法
(b-1) 酸性条件での加水分解・重縮合
純水に酸性触媒を添加して酸性溶液を調製し、カチオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤の混合溶液を調製した後、アルコキシシランを添加し、加水分解・重縮合する。酸性溶液のpHは1~3とするのが好ましく、約2とするのがより好ましい。アルコキシシランのシラノール基の等電点は約pH2であるので、pH2付近では酸性溶液中でシラノール基が安定的に存在する。溶媒/アルコキシシランのモル比は30~300にするのが好ましい。このモル比を30未満とすると、アルコキシシランの重合度が高くなり過ぎる。一方300超とすると、アルコキシシランの重合度が低くなり過ぎる。
カチオン性界面活性剤/溶媒のモル比は1×10-4~3×10-3とするのが好ましく、これによりメソ細孔の規則性に優れたメソポーラスシリカナノ粒子が得られる。このモル比は、1.5×10-4~2×10-3がより好ましい。
カチオン性界面活性剤/アルコキシシランのモル比は1×10-1~3×10-1が好ましい。このモル比を1×10-1未満とすると、メソポーラスシリカナノ粒子のメソ孔の構造の形成が不十分となる。一方3×10-1超とすると、メソポーラスシリカナノ粒子の粒径が大きくなり過ぎる。このモル比は、1.5×10-1~2.5×10-1がより好ましい。
非イオン性界面活性剤/アルコキシシランのモル比は3.5×10-3以上~2.5×10-2未満である。このモル比を3.5×10-3未満とすると、メソポーラスシリカナノ粒子の粒子径制御が困難になる。一方2.5×10-2以上とすると、メソポーラスシリカナノ粒子分散水系ゾルの粘度が高くなりハンドリングが難しくなる。
カチオン性界面活性剤/非イオン性界面活性剤のモル比は8超~60以下とするのが好ましく、これによりメソ細孔の規則性に優れたメソポーラスシリカナノ粒子が得られる。このモル比は、10~50がより好ましい。
アルコキシシランを含む溶液を0.5~24時間程度エージングする。具体的には、20~25℃で溶液を速く撹拌する。エージングにより加水分解・重縮合が進行し、シリケート(アルコキシシランを出発物質とするオリゴマー)を含有する酸性ゾルが生成する。
(b-2) 塩基性条件での加水分解・重縮合
酸性ゾルに塩基性触媒を添加して溶液を塩基性にし、さらに加水分解・重縮合し、反応を完結させる。これによりメソポーラスシリカナノ粒子を含有する水系ゾルが得られる。溶液のpHは9~12となるように調整するのが好ましい。
塩基性触媒を添加することにより、カチオン性界面活性剤ミセルの周囲にシリケート骨格が形成されて、規則的な六方配列が成長することによりシリカとカチオン性界面活性剤とが複合した粒子が形成される。この複合粒子は成長に伴って表面の有効電荷が減少するので、表面に非イオン性界面活性剤が吸着する。その結果、非イオン性界面活性剤で被覆され、かつカチオン性界面活性剤をメソポーラスシリカナノ粒子の細孔内に有する界面活性剤修飾メソポーラスシリカナノ粒子32の水系ゾルが得られる[例えば今井宏明、「化学工業」、化学工業社、2005年9月、第56巻、第9号、pp.688-693]。このメソポーラスシリカナノ粒子の形成過程において、非イオン性界面活性剤の吸着により、上記複合粒子の成長が抑制されるので、以上のような二種類の界面活性剤を用いた調製方法により得られるメソポーラスシリカナノ粒子は、平均粒径が200 nm以下で、かつメソ細孔の規則性に優れている。
(2) 界面活性剤の除去
(a) 非イオン性界面活性剤の除去
メソポーラスシリカナノ粒子32を外包する非イオン性界面活性剤を除去する。非イオン性界面活性剤が修飾されたメソポーラスシリカナノ粒子32を有機溶媒に分散させようとすると、水和された非イオン性界面活性剤がメソポーラスシリカナノ粒子32と有機溶媒との間を隔てて、メソポーラスシリカナノ粒子32が有機溶媒に分散しにくい。そのため非イオン性界面活性剤を除去することにより、メソポーラスシリカナノ粒子32の有機溶媒への分散性が向上する。
非イオン性界面活性剤の除去はアルコールを用いて行うのが好ましい。具体的には、メソポーラスシリカナノ粒子を含有する水系ゾルをアルコール中に添加し、攪拌混合した後、メソポーラスシリカナノ粒子と溶液成分とに遠心分離する。遠心分離された上澄みの溶液成分を除去することにより、非イオン性界面活性剤が除去されたメソポーラスシリカナノ粒子32の湿潤物が得られる。
非イオン性界面活性剤の除去過程及び後述するカチオン性界面活性剤の除去過程に用いるアルコールは炭素数1~4の第1級及び第2級アルコールであるのが好ましい。具体的には、エタノール、メタノール、イソプルピルアルコール等が挙げられる。メソポーラスシリカナノ粒子を含有する水系ゾルとアルコールの体積比は、メソポーラスシリカナノ粒子含有水系ゾル:アルコール=1:1~1:10であるのが好ましい。得られた湿潤物を再度アルコール中に添加し、上述の撹拌・遠心分離工程を複数回繰り返しても良く、3サイクル以上行うのがより好ましい。
(b) カチオン性界面活性剤の除去
非イオン性界面活性剤が除去されたメソポーラスシリカナノ粒子32の細孔32a内に内包されるカチオン性界面活性剤を除去する。カチオン性界面活性剤の除去は塩酸/アルコール系混合溶液を用いて行うのが好ましい。具体的には、メソポーラスシリカナノ粒子32を含有する湿潤ゲルを塩酸/アルコール系混合溶液中に添加し、攪拌することにより、メソポーラスシリカナノ粒子32に内包されるカチオン性界面活性剤を抽出・除去する。得られた混合溶液を遠心分離した後、その上澄みを除去することにより、メソポーラスシリカナノ粒子32の湿潤ゲルが得られる。得られた湿潤ゲルをアルコール系溶媒に添加し、撹拌・遠心分離工程を複数回繰り返し洗浄することで、塩酸が洗浄・除去されたメソポーラスシリカナノ粒子32の湿潤ゲルが得られる。
カチオン性界面活性剤の除去工程に用いる塩酸/アルコール系混合液の体積比は塩酸(35%):アルコール=1:99~20:80であるのが好ましい。これにより、メソポーラスシリカナノ粒子に内包されるカチオン性界面活性剤を十分に除去することができる。アルコールは非イオン性界面活性剤の除去に用いたものと同じものを用いることができる。攪拌及び遠心分離の回転数及び時間は非イオン性界面活性剤の除去工程と同じでも良い。
このようにアルコールによる洗浄と塩酸/アルコール系混合溶液による洗浄の2つの洗浄工程を行うことにより、メソポーラスシリカナノ粒子32を外包する非イオン性界面活性剤と、メソポーラスシリカナノ粒子32に内包されるカチオン性界面活性剤とを除去することができ、表面修飾されていないメソポーラスシリカナノ粒子32を含有する湿潤ゲルが得られる。メソポーラスシリカナノ粒子32に内包されるカチオン性界面活性剤の除去工程を行う前に、メソポーラスシリカナノ粒子32を外包する非イオン性界面活性剤の除去工程を行うのが望ましい。カチオン性界面活性剤を先に除去すると、粒子細孔が壊れる恐れがある。また非イオン性界面活性剤の除去工程を行い、カチオン性界面活性剤の除去工程を行った後に、再度非イオン性界面活性剤の除去工程を行なっても良い。
(3) 有機溶媒への分散
得られたメソポーラスシリカナノ粒子32を超音波分散法を用いて有機溶媒中に分散させる。超音波照射は超音波ホモジナイザーを用いて行うことができる。超音波照射法は、発振周波数:10~30 kHz、照射出力:150~1200 W及び超音波処理時間:5~180分の条件下で、攪拌しながら氷浴中で行うのが好ましい。表面修飾されていないメソポーラスシリカナノ粒子は凝集し易く2次粒子を形成し易いという問題があるが、超音波照射を施すことにより、外的力を照射し粒子間のインタラクションを弱めて分散させることができる。メソポーラスシリカナノ粒子が有機溶媒中に分散しやすい理由としては、メソポーラスシリカナノ粒子が持つナノ粒子効果による影響が大きいと考えられる。従って、通常、シリカ粒子といった無機材料を有機溶媒中に分散する際、無機粒子表面にシランカップリング剤等の表面修飾を施し、表面改質をする必要があったが、本発明においては、その表面改質を必要とせず、有機溶媒中に多くのメソポーラスシリカナノ粒子32を分散することができる。
有機溶媒は本発明に適用可能なものであれば特に限定されないが、アルコール類、グリコール類、ケトン類、カルボン酸エステル類を使用することができる。具体的には、ハンドリング性、レベリング性及び均一成膜性に優れ、メソポーラスシリカナノ粒子を分散可能なメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール等の炭素数1~4の第1級及び第2級アルコール、アセトン、メチルエチルケトン、4-メチル-2-ペンタノン、5-メチル-2-ヘキサノン、5-メチル-3-ヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸-n-ブチル、エチレングリコールモノメチル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が好ましい。
超音波分散法によりメソポーラスシリカナノ粒子32を有機溶媒中に分散させた後、さらに遠心分離を行い、その上澄みを採取して残存する界面活性剤と一部凝集したメソポーラスナノ粒子とコンタミを抽出・除去しても良い。
(4) 表面修飾
表面にアルキルシリル基及び/又はアルケニルシリル基を有する表面修飾メソポーラスシリカナノ粒子32を作成する場合、非イオン性界面活性剤とカチオン性界面活性剤が除去されたメソポーラスシリカナノ粒子32にさらに表面修飾を行っても良い。例えば、シランカップリング剤の加水分解物を作成し、非イオン性界面活性剤とカチオン性界面活性剤が除去されたメソポーラスシリカナノ粒子のゾルに、シランカップリング剤の加水分解物の水/メタノール溶液を添加し、超音波照射しながら強攪拌することにより、シランカップリング剤で表面修飾されたメソポーラスシリカナノ粒子の水/メタノール分散液(水系ゾル)が得られる。
(4-2-c) 混合
得られたシリカナノ粒子ゾル及びメソポーラスシリカナノ粒子ゾルを混合し、塗工液を作製する。シリカナノ粒子ゾル及びメソポーラスシリカナノ粒子ゾルを混合した後、10~30℃の室温で10分~3時間程度撹拌するのが好ましい。
シリカナノ粒子ゾルにメソポーラスシリカナノ粒子ゾルを添加しても良いし、第二のゾルにメソポーラスシリカナノ粒子ゾルを添加しても良い。塗工液の濃度及び流動性を調整し塗布適性を高めるため、展開溶媒にシリカナノ粒子ゾル及びメソポーラスシリカナノ粒子ゾルを添加しても良い。その際、シリカナノ粒子ゾル及びメソポーラスシリカナノ粒子ゾルを添加した後、10~30℃の室温で10分~3時間程度撹拌するのが好ましい。展開溶媒は、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、tert-ブチルアルコール等のアルコールが挙げられる。混合液中のSiO2換算でのシリカ濃度は、0.05~10質量%であることが好ましい。混合液中のシリカ濃度が、10質量%超であると粘度が高く成膜性が低下して、レベリング性も劣化する。一方シリカ濃度が0.05質量%未満であると、固形分濃度が低過ぎて成膜時の膜厚が薄くなりすぎて、基材上への撥水性や親水性といった機能性の附与がしづらくなる。
混合液中のシリカナノ粒子とメソポーラスシリカナノ粒子のメジアン径は100 nm以下であるのが好ましい。メジアン径が100 nm以下であれば、十分な機械的強度を有しつつ、表面に微細な凹凸を有する多孔質な機能性膜が得られる。メジアン径は50~80 nm以下であるのがより好ましい。
(4-2-d) 塗布工程
塗工液を基材の表面に塗布する方法としては、ディップコート法、スプレーコート法、スピンコート法、印刷法等が挙げられる。レンズのような三次元構造物に塗布する場合、ディップコート法が好ましい。ディップコート法における引き上げ速度は約0.1~10 mm/秒であるのが好ましい。塗工液中のシリカの濃度は0.05~10質量%が好ましい。
(4-2-e) 焼成工程
塗布膜の焼成条件は所望の空隙率及び撥水度に応じて適宜選択する。機能性膜の空隙率(屈折率)は、シリカゾルを成膜後に焼成して焼き固める温度で制御できる。またシリカゾルの焼成温度が高いと、水酸基の残留が小さくなり、撥水度が大きくなる。焼成温度は250~400℃であるのが好ましい。焼成温度が250℃未満であると、耐擦傷性及び撥水性が不十分である。焼成温度が400℃超であると、機能性膜の空隙率が小さくなり、屈折率が大きくなる上に、アルキルシリル基及び/又はアルケニルシリル基のアルキル基及び/又はアルケニル基の焼失が起こり、撥水効果が低減する。焼成温度は300~350℃であるのがより好ましい。
焼成時間は0.5~3時間であるのが好ましい。焼成時間が0.5時間未満であると、機能性膜を構成するシリカナノ粒子及びメソポーラスナノシリカ粒子と基材及び/又は緻密層との結合が不十分で、機能性膜の耐擦傷性や密着性といった機械的強度が不十分である。焼成時間が3時間超であると、機能性膜表面のアルキル基及び/又はアルケニルシリル基が消失し、撥水性が劣化する。焼成時間は1~2時間であるのがより好ましい。
[2] 第二の実施態様
図3は本発明の他の実施態様による親水性の光学部材を示す図である。図3に示す光学部材2は、基材10と、基材10の表面に形成された緻密層20と、緻密層20の表面に形成された機能性膜40とを有する。
(1) 基材,無機層
基材10及び緻密層20は第一の実施態様の基材10及び緻密層20と同じものを用いることができる。また第一の実施態様と同様に、緻密層20を形成しなくても良い。その場合、基材10の表面に機能性膜40を直接形成する。
(2) 機能性膜
機能性膜40は、シリカナノ粒子41とメソポーラスシリカナノ粒子42から構成されたシリカ微粒子膜43と、その表面に形成されたシラノール基とベタイン構造を有する親水性膜44とを備えている。シリカ微粒子膜43は、第一の実施態様の機能性膜30と同じものを用いることができる。ベタイン構造は、親水性ポリマーとして一般的に用いられるものであれば特に限定されないが、例えばベタイン基を含むメタクリル酸エステルが挙げられる。ベタイン基は、例えばカルボキシベタイン基が挙げられる。
シリカ微粒子膜43の表面にベタイン構造を有する親水性膜44を備えることにより、機能性膜40に親水性を付与することができる。シリカ微粒子膜43は、機能性膜30と同様に複数のシリカナノ粒子41と複数のメソポーラスシリカナノ粒子42が混在しながら結合してなり、表面に微細な凹凸を有しており、複数のメソポーラスシリカナノ粒子42はそれ自体が多孔質性を有している。そのため、シリカ微粒子膜43の微細な凹部の表面やメソポーラスシリカナノ粒子42のメソ孔内にベタイン構造を形成することにより、機能性膜40は耐摩耗性に優れ、かつ高温高湿の環境に曝されても親水性を持続することができる。それにより、親水性の効果を持続的に発現させることができる。図3に示すメソポーラスシリカナノ粒子42は、メソ孔が図正面を向いている粒子を42Aとし、側面が図正面を向いている粒子を42Bとしている。
シラノール基は、シリカ微粒子膜43の微細な凹部の外表面やメソポーラスシリカナノ粒子42のメソ孔内の全体に存在していても良いが、外表面及びメソ孔内に骨格として存在するケイ素原子の20~80%の割合で存在しているのが好ましい。20%未満であるとベタイン構造と形成するシロキサン結合の数が少なくなり、親水性の附与がしづらくなり親水性が低下する。80%超であると、シリカ微粒子間で形成されるシロキサン結合に、そのシラノール基が用いられていないことになり、結果シロキサン結合が少なくなり、シリカ微粒子膜の機械的強度が低下する。
シリカ微粒子膜43は、第一の実施態様の機能性膜30と同様に、アルキルシリル基及び/又はアルケニルシリル基を有していても良い。後述するようにシラノール基がアルキルシリル基及び/又はアルケニルシリル基を置換して形成され、シリカ微粒子膜43の外表面側のアルキルシリル基及び/又はアルケニルシリル基が20~60%の割合で存在していても良いし、ほとんど残存していない方が好ましい。
機能性膜40は表面のベタイン構造の厚さは10 nm以下であるのが好ましい。膜厚が10 nm超であると、反射防止特性が劣化する。また膜厚が1nm未満であると、親水性が不十分である。ベタイン構造の厚さは1~5nmであるのがより好ましい。
機能性膜40は表面の親水度は適宜設定可能であるが、表面の純水の接触角が15 deg未満であるのが好ましい。純水の接触角が15 deg超であると、親水性の効果が十分に得られない。また水滴付着時の視認性が良好になる為には、純水の接触角は5deg以下であることが望ましい。
機能性膜40は、上述したように、高温高湿の環境に曝されても親水性を持続することができるという利点を有する。機能性膜40の表面の純水の接触角は、40~80℃及び70~95%の高温高湿環境下に48時間以上曝した後でも20 deg未満であるのが好く、10 deg未満であるのがより好ましい。
(3) 製造方法
(3-1) 無機層の形成方法
無機層20は第一の実施態様の無機層20と同様に形成することができる。
(3-2) 機能性膜40の形成方法
機能性膜40の形成方法は、例えば、第一の実施態様の機能性膜30と同様に、シリカナノ粒子41とメソポーラスシリカナノ粒子42から構成され、アルキルシリル基及び/又はアルケニルシリル基を有するシリカ微粒子膜を形成した後、外表面及びメソ孔にシラノール基を形成する工程を行う。シラノール基の形成方法は、例えば、シリカ微粒子膜の外表面に酸素プラズマを照射することにより、シリカナノ粒子41とメソポーラスシリカナノ粒子42の外表面及びメソ孔のSi-O-Siといったシロキサン結合のSi-O結合やアルキルシリル基及び/又はアルケニルシリル基のSi-C結合を切断し、そこに新たにシラノール基を形成する方法が挙げられる。なお、Si-O結合の結合エネルギーが101 kcal/molであるのに対し、Si-C結合の結合エネルギーは58~80 kcal/molと小さいため、Si-C結合が存在した方がシラノール基を形成しやすく好ましい。酸素プラズマは、例えばプラズマクリーナーを用いて、酸素を50~100cc/分の流量で供給しながら、10~100 Paの減圧下、100~1500 Wの照射強度で0.5~10分間酸素プラズマを照射するのが好ましい。なお、酸素以外にも窒素ガス及び/又はヘリウム、アルゴンといった希ガスを用いたプラズマを用いても良い。
ベタイン構造とシラノール基を有する親水性部材を含むゾルを塗工液として機能性膜40の表面に塗布及び/又は浸漬する。親水性部材は、例えばベタイン基を含むメタクリル酸エステルが挙げられる。成膜方法としては、ディップコート法、スプレーコート法、スピンコート法、印刷法、含侵・浸漬法等が挙げられる。基材10がレンズのような三次元構造物に塗布する場合、ディップコート法が好ましい。
塗布した塗工液を焼成する。焼成温度は80℃以上130℃未満であるのが好ましい。焼成温度が80℃未満であると密着性が弱く親水性の機能が劣化し易い。焼成温度が130℃以上であると親水性の官能基が変質して親水性機能が劣化する。焼成時間は1分~1時間であるのが好ましい。得られた親水性膜を必要に応じて洗浄しても良い。洗浄は例えば純水でリンスすることにより行うことができる。
シラノール基に更に分子内にシラノール基とベタイン構造を有する化合物を、シラノール同士の脱水縮合により結合させ、機能性膜40の微細な凹凸の表面やメソポーラスシリカナノ粒子32のメソ孔内に親水性を有するベタイン構造を備える親水性膜44を形成する。これにより、親水性の効果を持続的に発現させることができる。
本発明の機能性膜は優れた屈折率特性と、撥水性又は親水性の優れた機能性を有し、波長域が300 nm~2000 nmの光線に使用される光学部材に好適に用いることができる。かかる光学部材は、例えばテレビカメラ、ビデオカメラ、デジタルカメラ、車載カメラ、顕微鏡、望遠鏡等の光学機器に搭載するレンズ、プリズム、フィルター等が挙げられる。
以下実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。メジアン径は粒度分布測定装置(LB-550、株式会社堀場製作所製)を用いて測定した。
[1-1 撥水性シリカナノ粒子ゾルの作製]
100 mlの二口ナスフラスコにテトラエトキシシラン3.91 gとpH2の塩酸水溶液1.35 gを入れ、アリーン冷却器をつけて、60℃で2時間撹拌・還流した。得られたゾルに、エタノール4.62 gと2-プロパノール10.73 gを添加し10分間撹拌して、テトラエトキシシランが加水分解重合したゾルAを得た。続いて、新たに100 mlの二口ナスフラスコを用意し、そこにメチルトリエトキシシラン10.3 gとpH3の酢酸水溶液3.04 gを入れ、アリーン冷却器をつけて、60℃で2時間撹拌・還流した。得られたゾルに、エタノール1.08 g、2-プロパノール2.52 gを添加し10分間撹拌して、メチルトリエトキシシランが加水分解重合したゾルBを得た。これらとは別に、2-プロパノール64.71 gと1-ブタノール7.42 gを100 mlディスポビーカーに入れて撹拌し、予め撥水性シリカナノ粒子ゾルの展開溶媒を作製した。この展開溶媒に、上記で作製したゾルAを4.12 g、ゾルBを3.33 g添加して、更に10分間撹拌して、撥水性シリカナノ粒子ゾルを作製した。シリカナノ粒子のメジアン径は47.6 nmであった。
[1-2A メソポーラスシリカナノ粒子ゾル(2時間撹拌ゾル)の作製]
(1-2A-1) メソポーラスシリカナノ粒子分散液(水系ゾル)の作製
0.01 Nの塩酸(pH2)40gに、塩化n-ヘキサデシルトリメチルアンモニウム(CTAC:カチオン性界面活性剤、関東化学株式会社製)1.21g、及びブロックコポリマー HO(C2H4O)106-(C3H6O)70-(C2H4O)106-H(商品名「Pluronic F127」:非イオン性界面活性剤、Sigma-Aldrich社製)2.14 gを添加し、25℃で0.5時間撹拌し、テトラエトキシシラン(関東化学株式会社製)4.00 gを添加し、25℃で2時間撹拌した後、28質量%のアンモニア水(和光純薬工業株式会社製)3.94 gを添加してpHを10.8とし、25℃で0.5時間撹拌し、水系ゾルを得た。
(1-2A-2) メソポーラスシリカナノ粒子の表面に修飾された非イオン性界面活性剤の抽出除去
得られた水系ゾルを20 ml採取し、エタノール(1級試薬、和光純薬工業株式会社製)80 mlと混合して強攪拌することで、水系ゾル中の非イオン性界面活性剤を抽出した。この溶液を遠心分離機(テーブルトップ遠心機2410、久保田商事株式会社製)を用いて4000 rpmで20分間遠心分離し、非イオン性界面活性剤が溶解した上澄みを除去した。この抽出・除去の工程を3サイクル実施し、カチオン性界面活性剤が内包されたメソポーラスシリカナノ粒子の湿潤物を得た。
(1-2A-3) メソポーラスシリカナノ粒子に内包されているカチオン性界面活性剤の抽出除去
上記で得られたメソポーラスシリカナノ粒子の湿潤物全量を35~37質量%の塩酸水溶液(和光純薬工業株式会社製):エタノール=10 ml:90 mlの混合溶液に添加し、18時間攪拌することで、メソポーラスシリカナノ粒子中に内包されるカチオン性界面活性剤を抽出した。この溶液を4000 rpmで20分間遠心分離し、カチオン性界面活性剤が溶解した上澄みを除去した。上澄みを除去した湿潤物にエタノールを添加し強攪拌することで塩酸を抽出し、この溶液を4000 rpmで20分間遠心分離することで塩酸が溶解した上澄みを除去した。この塩酸の除去工程を3サイクル実施しすることで、メソポーラスシリカナノ粒子の粒子表面に界面活性剤が修飾されておらず、細孔内にも界面活性剤が内包されていないメソポーラスシリカナノ粒子の湿潤物を得た。
(1-2A-4) メソポーラスシリカナノ粒子の表面修飾
酢酸(特級、富士フイルム和光純薬株式会社製)を水と混合しpH 4.00に調製した酸性溶液27.0gに、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(サイラエースS-710、JNC株式会社製)3.0 g及びメタノール(特級、富士フイルム和光純薬株式会社製)20.0 gを混合し、25℃で1.0時間攪拌してシランカップリング剤(サイラエースS-710)の加水分解物を得た。
非イオン性界面活性剤とカチオン性界面活性剤が除去されたメソポーラスシリカナノ粒子のエタノール湿潤物6.0 gとメタノール(特級、富士フイルム和光純薬式会社製)48.0 gとを混合し、得られたシランカップリング剤の加水分解物の水/メタノール溶液6.0 gを添加して室温で18時間撹拌した後、超音波ホモジナイザー(US-600T、株式会社日本精機製作所製)を用いて1時間超音波照射(19.5 kHz, 600 W)しながら強攪拌することで、シランカップリング剤で表面修飾されたメソポーラスシリカナノ粒子の水/メタノール分散液を得た。表面修飾メソポーラスシリカナノ粒子(2時間撹拌ゾル)のメジアン径は36.7 nmであった。
[1-2B メソポーラスシリカナノ粒子ゾル(24時間撹拌ゾル)の作製]
メソポーラスシリカナノ粒子分散液(水系ゾル)の作製において撹拌時間を24時間にした以外、上述の工程[1-2A] と同様に、表面修飾メソポーラスシリカナノ粒子の分散液を作製した。表面修飾メソポーラスシリカナノ粒子(24時間撹拌ゾル)のメジアン径は54.4 nmであった。
[1-3 撥水性シリカナノ粒子ゾルと表面修飾メソポーラスシリカナノ粒子ゾルの混合液の作製]
(1-3A) 撥水性シリカナノ粒子ゾルと表面修飾メソポーラスシリカナノ粒子ゾル(2時間撹拌ゾル)との混合液の作製
工程[1-1] で作製した撥水性シリカナノ粒子ゾル30 mlと、工程[1-2A] で作製した表面修飾メソポーラスシリカナノ粒子ゾル(2時間撹拌ゾル)20 mlを混合し、撥水性シリカゾルAとした。撥水性シリカゾルAのメジアン径は63.6 nmであった。
(1-3B) 撥水性シリカナノ粒子ゾルと表面修飾メソポーラスシリカナノ粒子ゾル(24時間撹拌ゾル)との混合液の作製
工程[1-1] で作製した撥水性シリカナノ粒子ゾル30 mlと、工程[1-2B] で作製した表面修飾メソポーラスシリカナノ粒子ゾル(24時間撹拌ゾル)20 mlを混合し、撥水性シリカゾルBとした。撥水性シリカゾルBのメジアン径は72.5 nmであった。
実施例1
[撥水性光学部材/ガラス基材+撥水性シリカゾルA]
BK7ガラス平板(直径:30 mm、屈折率:1.518)上に工程(1-3A) で作製した撥水性シリカゾルAを引き上げ速度にして5mm/secで2回ディップコート(重ね塗り)し、得られた成膜基材をイナートオーブンに投入し、330℃で1.5時間焼成して、撥水性光学部材を作製した。
実施例2
[撥水性光学部材/ガラス基材+撥水性シリカゾルB]
撥水性シリカゾルAの代わりに工程(1-3B) で作製した撥水性シリカゾルBを用いた以外は実施例1と同様にして、撥水性光学部材を作製した。
実施例3
[撥水性光学部材/ガラス基材+SiO2緻密層+撥水性シリカゾルB]
BK7ガラス平板(直径:30 mm、屈折率:1.518)上に、電子ビーム式の蒸着源を有する装置を用いて、真空蒸着法によりSiO2単層の緻密層を形成した。BK7ガラス平板単体の代わりにSiO2緻密層を有するBK7ガラス平板を用いた以外は実施例2と同様にして、撥水性光学部材を作製した。
実施例4
[親水性光学部材/ガラス基材+撥水性シリカゾルB+LAMBIC-771W]
実施例2と同様に作製した撥水性光学部材を、プラズマクリーナー(PDC210、ヤマト科学株式会社製)に投入し、酸素を100 cc/分の流量で供給しながら、48 Paの減圧下、500 Wの照射強度で5分間酸素プラズマを照射した。このガラス基材を、親水膜形成用ゾルLAMBIC-771W(大阪有機化学工業株式会社製)を純水で2倍希釈した溶液中に18時間浸漬し、その後引き上げた基材を120℃で1時間加熱後、純水でリンスすることにより、親水性光学部材を作製した。
実施例5
[親水性光学部材/ガラス基材+SiO2緻密層+撥水性シリカゾルB+LAMBIC-771W]
LF5ガラス平板(直径:30 mm、屈折率:1.585)を用いた以外は実施例3と同様にして、SiO2緻密層を有するLF5ガラス平板を作成した。BK7ガラス平板単体の代わりに、上記のSiO2緻密層を有するLF5ガラス平板を用いた以外は実施例4と同様にして、親水性光学部材を作製した。
比較例1
[撥水性光学部材/ガラス基材+撥水性シリカナノ粒子]
BK7ガラス平板(直径:30 mm、屈折率:1.518)上に工程[1-1] で作製した撥水性シリカナノ粒子ゾルを引き上げ速度にして5mm/secで2回ディップコート(重ね塗り)し、得られた成膜基材をイナートオーブンに投入し、330℃で1.5時間焼成して、撥水性光学部材を作製した。
比較例2
[撥水性光学部材/ガラス基材+SiO2緻密層+撥水性シリカナノ粒子]
BK7ガラス平板単体の代わりに、実施例2で作成したSiO2緻密層を有するBK7ガラス平板を用いた以外は比較例1と同様にして、撥水性光学部材を作製した。
比較例3
[撥水性光学部材/ガラス基材+撥水性シリカナノ粒子+LAMBIC-771W]
比較例1と同様に作製した撥水性光学部材を、プラズマクリーナー(PDC210、ヤマト科学株式会社製)に投入し、酸素を100 cc/分の流量で供給しながら、48 Paの減圧下、500 Wの照射強度で5分間酸素プラズマを照射した。このガラス基材を、親水膜形成用ゾルLAMBIC-771W(大阪有機化学工業株式会社製)を純水で2倍希釈した溶液中に18時間浸漬し、その後引き上げた基材を120℃で1時間加熱後、純水でリンスすることにより、親水性光学部材を作製した。
比較例4
[撥水性光学部材/ガラス基材+SiO2緻密層+撥水性シリカナノ粒子+LAMBIC-771W]
LF5ガラス平板(直径:30 mm、屈折率:1.585)を用いた以外は比較例2と同様にして、SiO2緻密層を有するLF5ガラス平板を作成した。BK7ガラス平板単体の代わりに、上記のSiO2緻密層を有するLF5ガラス平板を用いた以外は比較例3と同様にして、親水性光学部材を作製した。
[分光反射率の測定]
実施例1~5及び比較例1~4で作製した光学部材について、分光反射率の測定を行った。分光反射率は、レンズ反射率測定機(USPM-RU、オリンパス株式会社製)を使用して、380~780 nmの波長域について入射角0°で測定した。得られた結果を図4~図12に示す。
[ヘーズ値の測定]
実施例1~5及び比較例1~4で作製した光学部材のヘーズ値(曇価)をヘーズメーター(HM-150N、株式会社村上色彩技術研究所製)を用いて測定した。得られた結果を表1に示す。
[純水の接触角の測定]
実施例1~5及び比較例1~4で作製した光学部材の純水の接触角を接触角測定装置(協和科学株式会社製)を用いて測定した。得られた結果を表1に示す。
[耐傷性の評価方法]
基材表面の機能性膜を、1kg/cm2の圧力をかけながら3600 mm/分の速度で20 mm×20 mmの不織布(商品名「スピックレンズワイパー」、小津産業株式会社製)で30回擦り、表面の傷を目視で確認し以下の基準で評価した。得られた結果を表1に示す。
<判定基準>
機能性膜の一部に傷は付いたが剥離はしなかった・・・○
機能性膜に傷が付き一部剥離または反射色が変化した・・・△
機能性膜が全部剥離した・・・×
[密着性の評価方法]
基材表面の機能性膜の1cm×1cmの領域にセロハンテープを貼付した後、セロハンテープを45度方向に引っ張りながら剥離し、表面の剥離状況を目視で確認し以下の基準で評価した。得られた結果を表1に示す。
<判定基準>
機能性膜が全く剥離しなかった・・・○
機能性膜が一部剥離した・・・△
機能性膜が全部剥離した・・・×
[加速試験(耐湿試験)]
実施例1~5及び比較例1~4で作製した光学部材について、60℃/90%RHの高温高湿環境下に48時間暴露し、それぞれの評価項目(反射分光特性、ヘーズ値、耐擦傷性、密着性、純水接触角)の耐湿試験前後の物性値変化を確認した。得られた結果を図4~図12及び表1に示す。
Figure 0007439555000001
表1(続き)
Figure 0007439555000002
表1及び図4~12に示すように、実施例1~3の光学部材は、反射防止特性を維持しつつ、耐擦傷性・密着性に優れ、かつ優れた撥水性を備えており、実施例4及び5の反射防止膜は、反射防止特性を維持しつつ、耐擦傷性・密着性に優れ、親水性の機能性も備えており、高温高湿下の環境下に曝しても機能性が維持されていた。
比較例1及び2の光学部材は、機能性膜がシリカナノ粒子のみから構成されているため、シリカナノ粒子とメソポーラスシリカナノ粒子から構成された機能性膜を有する実施例1~5の光学部材と比べて、純水の接触角が小さく、撥水性が劣るという結果となった。比較例3及び4の光学部材は、シリカナノ粒子のみから構成された機能性膜に、表面にベタイン構造を付与しているため、高温高湿下の環境下に曝した後、純水の接触角が20 deg以上と大きくなり、親水性が劣化した。
10・・・基材
20・・・無機層
30,40・・・機能性膜
31,41・・・シリカナノ粒子
32,42・・・メソポーラスシリカナノ粒子
43・・・シリカ微粒子膜
44・・・親水性膜

Claims (16)

  1. 基材又はその表面に1層以上の緻密層が形成された基材と、前記基材又は前記緻密層の上に形成された機能性膜とを有する光学部材であって、
    前記機能性膜は、非多孔質性で球状の複数のシリカナノ粒子と、メソ孔がヘキサゴナル状に配列した複数のメソポーラスシリカナノ粒子とが混在しながら結合していることを特徴とする光学部材。
  2. 請求項1に記載の光学部材において、アルキルシリル基及び/又はアルケニルシリル基を、前記シリカナノ粒子及び/又はメソポーラスシリカナノ粒子の表面に有する光学部材。
  3. 請求項1又は2に記載の光学部材において、前記機能性膜における前記シリカナノ粒子の前記メソポーラスシリカナノ粒子に対する質量比が1~20である光学部材。
  4. 請求項1~3のいずれかに記載の光学部材において、前記機能性膜の空隙率が5~25%であり、純水の接触角が80~120 degである光学部材。
  5. 請求項4に記載の光学部材において、40~80℃及び70~95%の高温高湿環境下に48時間以上曝した後の全てにおいて純水の接触角が80~120 degである撥水性光学部材。
  6. 請求項1~5のいずれかに記載の光学部材において、前記機能性膜の表面にベタイン構造を備える光学部材。
  7. 請求項に記載の光学部材において、前記機能性膜の空隙率が5~25%であり、純水の接触角が15 deg未満である光学部材。
  8. 請求項に記載の光学部材において、40~80℃及び70~95%の高温高湿環境下に48時間以上曝した後の全てにおいて純水の接触角が20 deg未満である光学部材。
  9. 請求項1~のいずれかに記載の光学部材において、前記機能性膜の屈折率が1.35~1.50である光学部材。
  10. 請求項1~のいずれかに記載の光学部材において、前記機能性膜の光学膜厚は35~150 nmである光学部材。
  11. 請求項1~10のいずれかに記載の光学部材において、前記メソポーラスシリカナノ粒子のメソ孔がヘキサゴナル状に配列している光学部材。
  12. 請求項1~11のいずれかに記載の光学部材において、前記シリカナノ粒子のメジアン径が100 nm以下である光学部材。
  13. 請求項1~12のいずれかに記載の光学部材において、前記メソポーラスシリカナノ粒子のメジアン径が100 nm以下であることを特徴とする光学部材。
  14. 請求項1~13のいずれかに記載の光学部材において、ヘーズ値が0.3%以下であることを特徴とする光学部材。
  15. 請求項1~14のいずれかに記載の光学部材を備える光学機器。
  16. 請求項15の光学機器を備える撮像装置。
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