JP7434657B1 - プロピレン樹脂組成物の製造方法、および、成形体の製造方法 - Google Patents

プロピレン樹脂組成物の製造方法、および、成形体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリプロピレンを再利用しつつも、曲げ弾性率に比較的優れた成形体を得ることが可能なプロピレン樹脂組成物の製造方法、該プロピレン樹脂組成物の製造方法により得られるプロピレン樹脂組成物、および、該プロピレン樹脂組成物を含む成形体を提供することを課題とする。【解決手段】本発明に係るプロピレン樹脂組成物の製造方法は、500ppm以上50,000ppm以下の水と、プロピレン系重合体と、を含む破砕材を溶融混練する溶融混練工程を含み、前記破砕材が、前記プロピレン系重合体としてヘテロファジックプロピレン重合材料を含み、前記破砕材が、灰分を含み、プロピレン樹脂組成物のメルトフローレート(温度230℃、荷重2.16kg)が12g/10分以上である。【選択図】 なし

Description

本発明は、プロピレン樹脂組成物の製造方法、および、該プロピレン樹脂組成物の製造方法により得られるプロピレン樹脂組成物を成形する成形体の製造方法に関する。
従来、プラスチックのリサイクル手法としては、主に、廃プラスチックを燃焼する際の熱を回収して再利用するサーマルリサイクルが用いられている。ところが、2019年5月に環境省にて「プラスチック資源循環戦略」が策定され、2035年までに使用済みプラスチックを100%リデュース・リサイクル等により有効活用することが明文化された。そういった社会情勢の中、廃プラスチックをプラスチック製品の原料として再利用するマテリアルリサイクルへの要望は高まっている。
特に、ポリプロピレンは、良好な成形加工性を有すると共に、剛性、耐熱性等に優れることから、自動車用部品(例えば、バンパー等の外装部品、ドアトリム、インスツルメントパネル等の内装部品等)、家庭用電気製品の筐体等に広く用いられている。そこで、市場で使用されたポリプロピレンの成形体を回収し、プラスチック製品の原料として再利用することが行われている。
市場から回収したポリプロピレンの成形体を用いて、再利用可能な原料であるプロピレン樹脂組成物を得る方法として、例えば、特許文献1では、回収ポリプロピレン系樹脂を加熱溶融、混練して流動性を調整した加熱溶融物を得る工程、そして該加熱溶融物を固形粒状物に変換する工程を含む再生ポリプロピレン系樹脂粒状物の製造方法が開示されている。
特開2007-277366号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法で得られた再生ポリプロピレン系樹脂粒状物を含む成形体は、曲げ弾性率において改善の余地がある。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、ポリプロピレンを再利用しつつも、曲げ弾性率に比較的優れた成形体を得ることが可能なプロピレン樹脂組成物の製造方法、および、該プロピレン樹脂組成物の製造方法により得られるプロピレン樹脂組成物を成形する成形体の製造方法を提供することを課題とする。
本発明に係るプロピレン樹脂組成物の製造方法は、500ppm以上50,000ppm以下の水と、プロピレン系重合体と、を含む破砕材を溶融混練する溶融混練工程を含み、前記破砕材が、前記プロピレン系重合体としてヘテロファジックプロピレン重合材料を含み、前記破砕材が、灰分を含み、プロピレン樹脂組成物のメルトフローレート(温度230℃、荷重2.16kg)が12g/10分以上である。
本発明に係る成形体の製造方法は、500ppm以上50,000ppm以下の水と、プロピレン系重合体と、を含む破砕材を溶融混練する溶融混練工程を含み、前記破砕材が、前記プロピレン系重合体としてヘテロファジックプロピレン重合材料を含み、前記破砕材が、灰分を含み、メルトフローレート(温度230℃、荷重2.16kg)が12g/10分以上であるプロピレン樹脂組成物を製造する工程と、該プロピレン樹脂組成物を成形する工程と、を含む。
本発明に係る成形体の製造方法は、500ppm以上50,000ppm以下の水と、プロピレン系重合体と、を含む破砕材を溶融混練する溶融混練工程を含み、前記破砕材が、前記プロピレン系重合体としてヘテロファジックプロピレン重合材料を含み、前記破砕材が、灰分を含み、前記溶融混練工程により得られるプロピレン樹脂組成物のメルトフローレート(温度230℃、荷重2.16kg)が12g/10分以上である。
本発明によれば、ポリプロピレンを再利用しつつも、曲げ弾性率に比較的優れた成形体を得ることが可能なプロピレン樹脂組成物の製造方法、および、該プロピレン樹脂組成物の製造方法により得られるプロピレン樹脂組成物を成形する成形体の製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
本実施形態に係るプロピレン樹脂組成物の製造方法は、500ppm以上50,000ppm以下の水と、プロピレン系重合体と、を含む破砕材を溶融混練する溶融混練工程を含む。なお、本明細書において、プロピレン樹脂組成物とは、プロピレン系重合体を含有する組成物を意味する。
<水>
水の含有量は、500ppm以上50,000ppm以下である(ただし、破砕材の全質量を100質量%とする)。水の含有量が500ppm以上であると、曲げ弾性率に比較的優れた成形体を得ることができる。また、水の含有量が50,000ppm以下であると、安定して溶融混練できる。より詳しくは、押出機内で蒸発する水の量を抑えて、押出機の原料投入口に水蒸気が逆流することを抑制するため、押出機内で材料を前方へ送りやすくなる。また、押出機出口から溶融した組成物をストランド状に押出し、水で冷却する過程において、押出した組成物が切れにくくなる。
水の含有量は、破砕材の全質量100質量%に対して、好ましくは800ppm以上であり、より好ましくは1,000ppm以上である。また、水の含有量は、破砕材の全質量100質量%に対して、好ましくは45,000ppm以下であり、より好ましくは40,000ppm以下であり、更に好ましくは30,000ppm以下である。
破砕材に含まれる水は、破砕材を回収した時点で既に該破砕材に含まれている水であってもよいし、破砕材を回収した後に該破砕材に添加される水であってもよい。水の含有量は、破砕材を水で洗う、破砕材に水を添加することにより大きくすることができ、破砕材を乾燥させることにより小さくすることができる。
<プロピレン系重合体>
プロピレン系重合体は、プロピレンに由来する単量体単位を50質量%以上含む重合体である。プロピレン系重合体としては、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレンとプロピレン以外の単量体とのランダム共重合体、ヘテロファジックプロピレン重合材料等が挙げられる。破砕材は、プロピレン系重合体を1種のみ含有してもよく、2種以上含有してもよい。
破砕材は、成形体の剛性および耐衝撃性を向上させる観点から、プロピレン系重合体として、ヘテロファジックプロピレン重合材料を含む。一態様として、破砕材は、プロピレン系重合体としてヘテロファジックプロピレン重合材料およびプロピレン単独重合体を含む。
プロピレン系重合体は、アイソタクチックペンタッド分率が0.961以上である。プロピレン系重合体のアイソタクチックペンタッド分率は、好ましくは0.965以上であり、より好ましくは0.968以上である。また、プロピレン系重合体のアイソタクチックペンタッド分率は、好ましくは1.000以下であり、より好ましくは0.995以下である。
なお、アイソタクチックペンタッド分率とは、ペンタッド単位での、アイソタクチック分率を意味する。すなわち、アイソタクチックペンタッド分率は、ペンタッド単位でみたときに、プロピレンに由来する単量体単位が5個連続してメソ結合した構造の含有割合を示す。なお、対象の成分が共重合体である場合には、プロピレンに由来する単量体単位の連鎖について測定される値をいう。
アイソタクチックペンタッド分率は、13C-NMRスペクトルで測定される値である。具体的には、13C-NMRスペクトルによって得られるメチル炭素領域の全吸収ピークの面積に対するmmmmピークの面積の比を、アイソタクチックペンタッド分率とする。なお、13C-NMRスペクトルによるアイソタクチックペンタッド分率の測定方法は、例えば、A.ZambelliらによるMacromolecules,6,925(1973)に記載されている。ただし、13C-スペクトルによって得られる吸収ピークの帰属は、Macromolecules,8,687(1975)の記載に基づくものとする。
プロピレン系重合体のアイソタクチックペンタッド分率は、触媒、ドナー、重合条件等を適切に選択することにより、上記の範囲に調整することができる。また、市販品から、適宜、所望のアイソタクチックペンタッド分率を有するプロピレン系重合体を入手することもできる。
プロピレン系重合体の含有量は、破砕材の全質量100質量%に対して、好ましくは40質量%以上であり、より好ましくは50質量%以上である。また、プロピレン系重合体の含有量は、破砕材の全質量100質量%に対して、好ましくは99質量%以下であり、より好ましくは95質量%以下である。
(プロピレン単独重合体)
プロピレン単独重合体は、極限粘度数([η])が、プロピレン樹脂組成物の溶融時の流動性および成形体の靭性を向上させる観点から、好ましくは0.10dL/g以上4.00dL/g以下であり、より好ましくは0.50dL/g以上3.00dL/g以下であり、更に好ましくは0.70dL/g以上2.00dL/g以下である。
なお、本明細書において、極限粘度数(単位:dL/g)は、以下の方法によって、テトラリンを溶媒として用いて、温度135℃で測定される値である。
ウベローデ型粘度計を用いて濃度0.1g/dL、0.2g/dLおよび0.5g/dLの3点について還元粘度を測定する。還元粘度を濃度に対しプロットし、濃度をゼロに外挿する外挿法により、極限粘度数を求める。外挿法による極限粘度数の計算方法は、例えば、「高分子溶液、高分子実験学11」(1982年共立出版株式会社刊)第491頁に記載されている。
プロピレン単独重合体は、分子量分布(Mw/Mn)が、好ましくは3.0以上であり、より好ましくは4.0以上である。プロピレン単独重合体の分子量分布は、好ましくは15.0以下であり、より好ましくは10.0以下である。プロピレン単独重合体の分子量分布は、好ましくは3.0以上15.0以下であり、より好ましくは4.0以上10.0以下である。
なお、本明細書において、分子量分布は、下記条件のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)で測定される重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を用いて算出される、数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比(Mw/Mn)を意味する。
装置:東ソー株式会社製 HLC-8121 GPC/HT
分離カラム:東ソー株式会社製 GMHHR-H(S)HT 3本
測定温度:140℃
キャリア:オルトジクロロベンゼン
流量:1.0mL/分
試料濃度:約1mg/mL
試料注入量:400μL
検出器:示差屈折
検量線作成方法:標準ポリスチレンを使用
プロピレン単独重合体は、例えば、重合触媒を用いてプロピレンを重合する重合工程を行うことにより製造できる。
重合触媒としては、例えば、チーグラー型触媒;チーグラー・ナッタ型触媒;シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属の化合物およびアルキルアルミノキサンを含む触媒;シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属の化合物、当該遷移金属化合物と反応してイオン性の錯体を形成する化合物および有機アルミニウム化合物を含む触媒;並びに無機粒子(シリカ、粘土鉱物等)に、触媒成分(シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属の化合物、イオン性の錯体を形成する化合物、有機アルミニウム化合物等)を担持して、変性させた触媒等が挙げられる。
前記重合触媒としては、例えば、特開昭61-218606号公報、特開平5-194685号公報、特開平7-216017号公報、特開平9-316147号公報、特開平10-212319号公報、特開2004-182981号公報、特開2010-168545号公報、特開2011-246699号公報等に記載の触媒等が挙げられる。
また、前記重合触媒の存在下でプロピレンを予備重合させて得られた重合体を、重合触媒として用いることもできる。
重合方法としては、例えば、バルク重合、溶液重合、気相重合等が挙げられる。ここで、バルク重合とは、重合温度において液状のオレフィンを媒体として重合を行う方法をいう。溶液重合とは、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の不活性炭化水素溶媒中で重合を行う方法をいう。また、気相重合とは、気体状態の単量体を媒体として、その媒体中で気体状態の単量体を重合する方法をいう。
重合方式としては、例えば、バッチ式、連続式およびこれらの組み合わせが挙げられる。重合方式は、複数の重合反応槽を直列に連結させた多段式であってもよい。
重合方法は、工業的および経済的に優れる観点から、好ましくは、連続式の気相重合法、または、バルク重合法と気相重合法とを連続的に行うバルク-気相重合法である。
重合工程における各種条件(重合温度、重合圧力、単量体濃度、触媒投入量、重合時間等の重合条件)は、目的とする重合体の分子構造に応じて、適宜決定すればよい。
プロピレン単独重合体の製造方法では、重合工程の前または後に他の工程が実施されてもよい。例えば、重合工程の後、重合体中に含まれる残留溶媒、製造時に副生する超低分子量のオリゴマー等を除去するために、必要に応じて重合体を、重合体が融解する温度以下の温度で乾燥してもよい。乾燥方法としては、例えば、特開昭55-75410号公報、特許第2565753号公報等に記載の方法等が挙げられる。
(プロピレンとプロピレン以外の単量体とのランダム共重合体)
プロピレンとプロピレン以外の単量体とのランダム共重合体は、プロピレンに由来する単量体単位とプロピレン以外の単量体に由来する単量体単位とを含有する。前記ランダム共重合体は、該共重合体の全質量100質量%に対して、好ましくは、プロピレン以外の単量体に由来する単量体単位を0.01質量%以上20質量%以下含有する。
プロピレン以外の単量体としては、例えば、エチレン、炭素原子数4~12のα-オレフィン等が挙げられる。本明細書において、α-オレフィンは、α位に炭素-炭素不飽和二重結合を有する脂肪族不飽和炭化水素である。炭素原子数4~12のα-オレフィンとしては、例えば、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ドデセン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン等が挙げられる。
プロピレン以外の単量体は、好ましくは、エチレンおよび炭素原子数4~10のα-オレフィンからなる群より選択される少なくとも一種であり、より好ましくは、エチレン、1-ブテン、1-ヘキセンおよび1-オクテンからなる群より選択される少なくとも一種であり、更に好ましくは、エチレンおよび1-ブテンからなる群より選択される少なくとも一種である。
プロピレンとプロピレン以外の単量体とのランダム共重合体としては、例えば、プロピレン-エチレンランダム共重合体、プロピレン-1-ブテンランダム共重合体、プロピレン-1-ヘキセンランダム共重合体、プロピレン-1-オクテンランダム共重合体、プロピレン-エチレン-1-ブテンランダム共重合体、プロピレン-エチレン-1-ヘキセンランダム共重合体、プロピレン-エチレン-1-オクテンランダム共重合体等が挙げられる。
プロピレンとプロピレン以外の単量体とのランダム共重合体は、極限粘度数([η])が、プロピレン樹脂組成物の溶融時の流動性を向上させる観点から、好ましくは、0.10dL/g以上4.00dL/g以下であり、より好ましくは0.50dL/g以上3.00dL/g以下であり、更に好ましくは、0.70dL/g以上2.00dL/g以下である。
プロピレンとプロピレン以外の単量体とのランダム重合体は、分子量分布(Mw/Mn)が、好ましくは3.0以上であり、より好ましくは4.0以上である。前記分子量分布は、好ましくは10.0以下であり、より好ましくは7.0以下である。プロピレンとプロピレン以外の単量体とのランダム重合体の分子量分布は、好ましくは3.0以上10.0以下であり、より好ましくは4.0以上7.0以下である。
プロピレンとプロピレン以外の単量体とのランダム共重合体は、例えば、上述のプロピレン単独重合体の製造において使用できる重合触媒、重合方法、重合方式、および、重合条件に従って、プロピレンおよびプロピレン以外の単量体を重合することにより製造できる。
(ヘテロファジックプロピレン重合材料)
ヘテロファジックプロピレン重合材料は、プロピレンに由来する単量体単位を80質量%以上含有する重合体I(ただし、該重合体Iの全質量を100質量%とする。)と、エチレンおよび炭素原子数4~12のα-オレフィンからなる群より選択される少なくとも一種のα-オレフィンに由来する単量体単位とプロピレンに由来する単量体単位とを含有する重合体IIと、を含む混合物である。
ヘテロファジックプロピレン重合材料は、例えば、重合体Iを重合する第1の重合工程と、重合体IIを重合する第2の重合工程を実施することにより製造することができる。これらの重合工程は、上述のプロピレン単独重合体の製造において使用できる重合触媒、重合方法、重合方式、および、重合条件に従って実施することができる。
ヘテロファジックプロピレン重合材料は、ヘテロファジックプロピレン重合材料の全質量100質量%に対して、ヘテロファジックプロピレン重合材料に含まれる重合体Iと重合体IIとの合計が100質量%であってもよい。
上述したように、重合体Iは、プロピレンに由来する単量体単位を80質量%以上含有する(ただし、重合体Iの全質量を100質量%とする)。重合体Iは、例えば、プロピレン単独重合体であってもよく、プロピレン以外の単量体に由来する単量体単位を含んでいてもよい。重合体Iが、プロピレン以外の単量体に由来する単量体単位を含む場合、この含有量は、重合体Iの全質量100質量%に対して、例えば、0.01質量%以上20質量%未満であってもよい。
プロピレン以外の単量体としては、例えば、エチレンおよび炭素原子数4以上のα-オレフィンが挙げられる。炭素原子数4以上のα-オレフィンとしては、例えば、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ドデセン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン等が挙げられる。
プロピレン以外の単量体は、好ましくは、エチレンおよび炭素原子数4~10のα-オレフィンからなる群より選択される少なくとも一種であり、より好ましくは、エチレン、1-ブテン、1-ヘキセンおよび1-オクテンからなる群より選択される少なくとも一種であり、更に好ましくは、エチレンおよび1-ブテンからなる群より選択される少なくとも一種である。
プロピレン以外の単量体に由来する単量体単位を含む重合体Iとしては、例えば、プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-1-ブテン共重合体、プロピレン-1-ヘキセン共重合体、プロピレン-1-オクテン共重合体、プロピレン-エチレン-1-ブテン共重合体、プロピレン-エチレン-1-ヘキセン共重合体、プロピレン-エチレン-1-オクテン共重合体等が挙げられる。
重合体Iは、成形体の寸法安定性を良好にする観点から、好ましくは、プロピレン単独重合体、プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-1-ブテン共重合体、または、プロピレン-エチレン-1-ブテン共重合体であり、より好ましくは、プロピレン単独重合体である。
重合体Iは、アイソタクチックペンタッド分率が、好ましくは1.000以下であり、例えば、0.998以下であってもよく、0.995以下であってもよく、0.990以下であってもよく、0.985以下であってもよい。アイソタクチックペンタッド分率の下限は特に限定されないが、例えば、0.900以上であってもよく、0.925以上であってもよく、0.930以上であってもよく、0.961以上であってもよく、0.965以上であってもよく、0.968以上であってもよい。
重合体Iの含有量は、ヘテロファジックプロピレン重合材料の全質量100質量%に対して、好ましくは50質量%以上99質量%以下であり、より好ましくは60質量%以上95質量%以下である。
上述したように、重合体IIは、エチレンおよび炭素原子数4~12のα-オレフィンからなる群より選択される少なくとも一種のα-オレフィンに由来する単量体単位とプロピレンに由来する単量体単位とを含有する。炭素原子数4~12のα-オレフィンとしては、例えば、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ドデセン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン等が挙げられる。
重合体IIは、好ましくは、エチレンおよび炭素原子数4~12のα-オレフィンからなる群より選択される少なくとも一種のα-オレフィンに由来する単量体単位を30質量%以上含有し、かつ、プロピレンに由来する単量体単位を含有する(ただし、重合体IIの全質量を100質量%とする)。
重合体IIにおいて、エチレンおよび炭素原子数4~12のα-オレフィンからなる群より選択される少なくとも一種のα-オレフィンに由来する単量体単位の含有量は、30質量%以上70質量%以下であってもよく、35質量%以上60質量%以下であってもよい(ただし、重合体IIの全質量を100質量%とする)。
重合体IIにおいて、エチレンおよび炭素原子数4~12のα-オレフィンからなる群より選択される少なくとも一種のα-オレフィンは、好ましくは、エチレンおよび炭素原子数4~10のα-オレフィンからなる群より選択される少なくとも一種であり、より好ましくは、エチレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテンおよび1-デセンからなる群より選択される少なくとも一種であり、更に好ましくは、エチレンおよび1-ブテンからなる群より選択される少なくとも一種である。
重合体IIとしては、例えば、プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-エチレン-1-ブテン共重合体、プロピレン-エチレン-1-ヘキセン共重合体、プロピレン-エチレン-1-オクテン共重合体、プロピレン-エチレン-1-デセン共重合体、プロピレン-1-ブテン共重合体、プロピレン-1-ヘキセン共重合体、プロピレン-1-オクテン共重合体、プロピレン-1-デセン共重合体等が挙げられる。これらの中でも、重合体IIは、好ましくは、プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-1-ブテン共重合体、または、プロピレン-エチレン-1-ブテン共重合体であり、より好ましくは、プロピレン-エチレン共重合体である。
重合体IIの含有量は、ヘテロファジックプロピレン重合材料の全質量100質量%に対して、好ましくは1質量%以上50質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上40質量%以下である。
ヘテロファジックプロピレン重合材料において、エチレンおよび炭素原子数4~12のα-オレフィンからなる群より選択される少なくとも一種のα-オレフィンに由来する単量体単位の含有量は、0.3質量%以上35質量%以下であってよく、0.7質量%以上24質量%以下であってもよい(ただし、ヘテロファジックプロピレン重合材料の全質量を100質量%とする)。
ヘテロファジックプロピレン重合材料中のキシレン不溶成分(CXIS成分)の含有量は、ヘテロファジックプロピレン重合材料の全質量100質量%に対して、好ましくは50質量%以上99質量%以下であり、より好ましくは60質量%以上95質量%以下である。
ヘテロファジックプロピレン重合材料中のキシレン可溶成分(CXS成分)の含有量は、ヘテロファジックプロピレン重合材料の全質量100質量%に対して、好ましくは1質量%以上50質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上40質量%以下である。
なお、本明細書において、キシレン不溶成分(CXIS成分)は、重合体に含まれるp-キシレンに不溶な成分であって、下記方法により得られる固形物を意味する:
重合体約2gを、沸騰しているp-キシレン中で2時間溶解して溶液を得、次いで、該溶液を20℃まで冷却することにより、固形物を析出させる方法。
また、本明細書において、キシレン可溶成分(CXS成分)は、重合体中の「CXIS成分」以外の成分を意味する。
本実施形態において、ヘテロファジックプロピレン重合材料中のCXIS成分は、主として重合体Iから構成され、ヘテロファジックプロピレン重合材料中のCXS成分は、主として重合体IIから構成されると考えられる。
ヘテロファジックプロピレン重合材料としては、例えば、(プロピレン)-(プロピレン-エチレン)重合材料、(プロピレン)-(プロピレン-エチレン-1-ブテン)重合材料、(プロピレン)-(プロピレン-エチレン-1-ヘキセン)重合材料、(プロピレン)-(プロピレン-エチレン-1-オクテン)重合材料、(プロピレン)-(プロピレン-1-ブテン)重合材料、(プロピレン)-(プロピレン-1-ヘキセン)重合材料、(プロピレン)-(プロピレン-1-オクテン)重合材料、(プロピレン)-(プロピレン-1-デセン)重合材料、(プロピレン-エチレン)-(プロピレン-エチレン)重合材料、(プロピレン-エチレン)-(プロピレン-エチレン-1-ブテン)重合材料、(プロピレン-エチレン)-(プロピレン-エチレン-1-ヘキセン)重合材料、(プロピレン-エチレン)-(プロピレン-エチレン-1-オクテン)重合材料、(プロピレン-エチレン)-(プロピレン-エチレン-1-デセン)重合材料、(プロピレン-エチレン)-(プロピレン-1-ブテン)重合材料、(プロピレン-エチレン)-(プロピレン-1-ヘキセン)重合材料、(プロピレン-エチレン)-(プロピレン-1-オクテン)重合材料、(プロピレン-エチレン)-(プロピレン-1-デセン)重合材料、(プロピレン-1-ブテン)-(プロピレン-エチレン)重合材料、(プロピレン-1-ブテン)-(プロピレン-エチレン-1-ブテン)重合材料、(プロピレン-1-ブテン)-(プロピレン-エチレン-1-ヘキセン)重合材料、(プロピレン-1-ブテン)-(プロピレン-エチレン-1-オクテン)重合材料、(プロピレン-1-ブテン)-(プロピレン-エチレン-1-デセン)重合材料、(プロピレン-1-ブテン)-(プロピレン-1-ブテン)重合材料、(プロピレン-1-ブテン)-(プロピレン-1-ヘキセン)重合材料、(プロピレン-1-ブテン)-(プロピレン-1-オクテン)重合材料、(プロピレン-1-ブテン)-(プロピレン-1-デセン)重合材料、(プロピレン-1-ヘキセン)-(プロピレン-1-ヘキセン)重合材料、(プロピレン-1-ヘキセン)-(プロピレン-1-オクテン)重合材料、(プロピレン-1-ヘキセン)-(プロピレン-1-デセン)重合材料、(プロピレン-1-オクテン)-(プロピレン-1-オクテン)重合材料、(プロピレン-1-オクテン)-(プロピレン-1-デセン)重合材料等が挙げられる。
ここで、「(プロピレン)-(プロピレン-エチレン)重合材料」との記載は、「重合体Iがプロピレン単独重合体であり、重合体IIがプロピレン-エチレン共重合体であるヘテロファジックプロピレン重合材料」を意味する。他の類似の表現においても同様である。
ヘテロファジックプロピレン重合材料は、好ましくは、(プロピレン)-(プロピレン-エチレン)重合材料、(プロピレン)-(プロピレン-エチレン-1-ブテン)重合材料、(プロピレン-エチレン)-(プロピレン-エチレン)重合材料、(プロピレン-エチレン)-(プロピレン-エチレン-1-ブテン)重合材料、または、(プロピレン-1-ブテン)-(プロピレン-1-ブテン)重合材料であり、より好ましくは、(プロピレン)-(プロピレン-エチレン)重合材料である。
重合体Iの極限粘度数([η]I)は、好ましくは0.10dL/g以上4.00dL/g以下であり、より好ましくは0.50dL/g以上3.00dL/g以下であり、更に好ましくは0.70dL/g以上2.00dL/g以下である。
重合体IIの極限粘度数([η]II)は、好ましくは1.00dL/g以上10.00dL/g以下であり、より好ましくは2.00dL/g以上10.00dL/g以下であり、更に好ましくは2.00dL/g以上9.00dL/g以下である。
また、重合体Iの極限粘度数([η]I)に対する重合体IIの極限粘度数([η]II)の比([η]II/[η]I)は、好ましくは1以上20以下であり、より好ましくは1以上10以下である。
重合体Iの極限粘度数([η]I)の測定方法としては、例えば、重合体Iを重合する反応器から重合された重合体Iを抜き出し、当該重合体の極限粘度数を測定する方法が挙げられる。
重合体IIの極限粘度数([η]II)は、例えば、ヘテロファジックプロピレン重合材料の極限粘度数([η]Total)、重合体Iの極限粘度数([η]I)、並びに、重合体IIおよび重合体Iの含有量を用いて、下記式(i)により算出できる。
[η]II=([η]Total-[η]I×XI)/XII ・・・(i)
[η]Total:ヘテロファジックプロピレン重合材料の極限粘度数(dL/g)
[η]I:重合体Iの極限粘度数(dL/g)
XI:ヘテロファジックプロピレン重合材料の全質量に対する重合体Iの質量の比(重合体Iの質量/ヘテロファジックプロピレン重合材料の質量)
XII:ヘテロファジックプロピレン重合材料の全質量に対する重合体IIの質量の比(重合体IIの質量/ヘテロファジックプロピレン重合材料の質量)
ここで、XIおよびXIIは、重合時の物質収支から求めることができる。
なお、XIIは、重合体Iの融解熱量およびヘテロファジックプロピレン重合材料の融解熱量を測定し、下記式を用いて算出してもよい。
XII=1-(ΔHf)T/(ΔHf)P
(ΔHf)T:ヘテロファジックプロピレン重合材料の融解熱量(J/g)
(ΔHf)P:重合体Iの融解熱量(J/g)
CXIS成分の極限粘度数([η]CXIS)は、好ましくは0.10dL/g以上4.00dL/g以下であり、より好ましくは0.50dL/g以上3.00dL/g以下であり、更に好ましくは0.70dL/g以上2.00dL/g以下である。
CXS成分の極限粘度数([η]CXS)は、好ましくは1.00dL/g以上10.00dL/g以下であり、より好ましくは2.00dL/g以上10.00dL/g以下であり、更に好ましくは2.00dL/g以上9.00dL/g以下である。
CXIS成分の極限粘度数([η]CXIS)に対するCXS成分の極限粘度数([η]CXS)の比([η]CXS/[η]CXIS)は、好ましくは1以上20以下であり、より好ましくは1以上10以下である。
重合体Iの分子量分布(Mw(I)/Mn(I))は、好ましくは3.0以上であり、より好ましくは4.0以上である。
CXIS成分の分子量分布(Mw(CXIS)/Mn(CXIS))は、好ましくは3.0以上であり、より好ましくは4.0以上である。
プロピレン系重合体のメルトフローレート(MFR)は、プロピレン樹脂組成物の成形加工性を良好にする観点から、好ましくは0.1g/10分以上であり、より好ましくは1g/10分以上300g/10分以下である。プロピレン系重合体のメルトフローレート(MFR)は、5g/10分以上であってもよく、10g/10分以上300g/10分以下であってもよい。
なお、本明細書において、メルトフローレート(MFR)は、JIS K7210-1995に規定された方法に従い、温度230℃、荷重2.16kgの条件で、A法により測定される。
<エチレン-α-オレフィン共重合体>
一態様として、破砕材は、エチレン-α-オレフィン共重合体を含む。エチレン-α-オレフィン共重合体は、エチレン-α-オレフィンランダム共重合体であってもよい。なお、エチレン-α-オレフィン共重合体は、エチレンに由来する単量体単位と、炭素原子数4以上のα-オレフィンに由来する単量体単位と、を含有する共重合体であり、プロピレンに由来する単量体単位を実質的に含まないものを意味する。
エチレン-α-オレフィン共重合体は、該共重合体の全質量100質量%に対して、エチレンに由来する単量体単位の含有量、および、炭素原子数4以上のα-オレフィンに由来する単量体単位の含有量の合計が100質量%であってもよい。
炭素原子数4以上のα-オレフィンとしては、例えば、炭素原子数4~12のα-オレフィンが挙げられる。炭素原子数4~12のα-オレフィンとしては、例えば、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン等が挙げられる。炭素原子数4~12のα-オレフィンは、好ましくは、1-ブテン、1-ヘキセン、または、1-オクテンである。炭素原子数4~12のα-オレフィンは、ビニルシクロプロパン、ビニルシクロブタン等の環状構造を有するα-オレフィンであってもよい。
エチレン-α-オレフィン共重合体としては、例えば、エチレン-1-ブテン共重合体、エチレン-1-ヘキセン共重合体、エチレン-1-オクテン共重合体、エチレン-1-デセン共重合体、エチレン-(3-メチル-1-ブテン)共重合体、エチレンと環状構造を有するα-オレフィンとの共重合体等が挙げられる。
エチレン-α-オレフィン共重合体において、炭素原子数4以上のα-オレフィンに由来する単量体単位の含有量は、エチレン-α-オレフィン共重合体の全質量100質量%に対して、好ましくは1質量%以上49質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上49質量%以下であり、更に好ましくは24質量%以上49質量%以下である。
エチレン-α-オレフィン共重合体の密度は、成形体の耐衝撃性の観点から、好ましくは0.85g/cm以上0.89g/cm以下であり、より好ましくは0.85g/cm以上0.88g/cm以下であり、更に好ましくは0.85g/cm以上0.87g/cm以下である。
エチレン-α-オレフィン共重合体の温度190℃、荷重2.16kgでのメルトフローレートは、好ましくは、0.1g/10分以上80g/10分以下である。メルトフローレートは、JIS K7210-1995に規定された方法に従い、温度190℃、荷重2.16kgの条件で、A法により測定することができる。
エチレン-α-オレフィン共重合体の含有量は、破砕材の全質量100質量%に対して、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは5質量%以上である。また、エチレン-α-オレフィン共重合体の含有量は、破砕材の全質量100質量%に対して、好ましくは50質量%以下であり、より好ましくは30質量%以下である。
エチレン-α-オレフィン共重合体は、重合触媒を用いて、エチレンおよび炭素原子数4以上のα-オレフィンを重合することにより製造できる。
重合触媒としては、例えば、メタロセン触媒に代表される均一系触媒、チーグラー・ナッタ型触媒等が挙げられる。
均一系触媒としては、例えば、シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属の化合物およびアルキルアルミノキサンを含む触媒;シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属の化合物、当該遷移金属化合物と反応してイオン性の錯体を形成する化合物および有機アルミニウム化合物を含む触媒;並びに無機粒子(シリカ、粘土鉱物等)に、触媒成分(シクロペンタジエニル環を有する周期表第4族の遷移金属の化合物、イオン性の錯体を形成する化合物、有機アルミニウム化合物等)を担持して変性させた触媒等が挙げられる。
チーグラー・ナッタ型触媒としては、例えば、チタン含有固体状遷移金属成分と有機金属成分とを組み合わせた触媒等が挙げられる。
エチレン-α-オレフィン共重合体としては、市販品を用いてもよい。市販のエチレン-α-オレフィン共重合体としては、例えば、ダウ・ケミカル日本株式会社製エンゲージ(登録商標)、三井化学株式会社製タフマー(登録商標)、株式会社プライムポリマー製ネオゼックス(登録商標)、ウルトゼックス(登録商標)、住友化学株式会社製エクセレンFX(登録商標)、スミカセン(登録商標)、エスプレンSPO(登録商標)等が挙げられる。
<充填材>
一態様として、破砕材は、充填材を含む。充填材としては、無機充填材、有機充填材が挙げられる。破砕材は、充填材を1種のみ含有してもよく、2種以上含有してもよい。
無機充填材としては、例えば、ガラス、ケイ酸塩鉱物、アルミナ、シリカ、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、バリウム・フェライト、ストロンチウム・フェライト、酸化ベリリウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸塩鉱物、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、塩基性硫酸マグネシウム、亜硫酸カルシウム、カーボンブラック、硫化カドミウム等が挙げられる。
有機充填材としては、例えば、ポリエステル、芳香族ポリアミド、セルロース、ビニロン等が挙げられる。
充填材の形状は、板状であってもよく、針状であってもよく、繊維状であってもよい。
充填材は、成形体の剛性、耐衝撃性および寸法安定性を向上させる観点から、好ましくは無機充填材であり、より好ましくは板状ケイ酸塩鉱物であるタルクである。
充填材の平均粒子径D50[L]は、成形体の剛性、耐衝撃性および寸法安定性を向上させる観点から、好ましくは20.0μm以下であり、より好ましくは15.0μm以下である。充填材の平均粒子径D50[L]は、好ましくは2.0μm以上であり、より好ましくは4.0μm以上である。充填材の平均粒子径D50[L]は、好ましくは2.0μm以上20.0μm以下であり、より好ましくは4.0μm以上15.0μm以下である。
充填材の平均粒子径D50[S]は、成形体の剛性、耐衝撃性および寸法安定性を向上させる観点から、好ましくは5.0μm以下であり、より好ましくは3.0μm以下である。充填材の平均粒子径D50[S]は、好ましくは0.5μm以上であり、より好ましくは1.0μm以上である。充填材の平均粒子径D50[S]は、好ましくは0.5μm以上5.0μm以下であり、より好ましくは1.0μm以上3.0μm以下である。
充填材の平均粒子径D50[L]と平均粒子径D50[S]との比(D50[L]/D50[S])は、成形体の剛性および寸法安定性を向上させる観点から、好ましくは1.5以上であり、より好ましくは2.5以上である。D50[L]/D50[S]は、好ましくは10以下であり、より好ましくは8以下である。D50[L]/D50[S]は、好ましくは1.5以上10以下であり、より好ましくは1.5以上8以下または2.5以上10以下であり、更に好ましくは2.5以上8以下である。
本明細書において、「平均粒子径D50[L]」とは、JIS R1629に規定された方法に従い、レーザー回析法により測定された体積基準の粒子径分布測定データに基づいて決定されるものであり、該粒子径分布測定データにおいて、粒子径が小さい側からの粒子数の累積が50%に達したときの粒子径(50%相当粒子径)を意味する。このように定義される粒子径は、一般に「50%相当粒子径」と称され、「D50」で表記される。
本明細書において、「平均粒子径D50[S]」とは、JIS R1619に規定された方法に従い、遠心沈降法により測定された体積基準の粒子径分布測定データに基づいて決定されるものであり、該粒子径分布測定データにおいて、粒子径が小さい側からの粒子数の累積が50%に達したときの粒子径(50%相当粒子径)を意味する。
充填材の平均粒子径D50[L]と平均粒子径D50[S]との比(D50[L]/D50[S])が大きいほど、成形体の剛性および寸法安定性に優れる。
充填材の含有量は、破砕材の全質量100質量%に対して、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは5質量%以上である。また、充填材の含有量は、破砕材の全質量100質量%に対して、好ましくは50質量%以下であり、より好ましくは30質量%以下である。
破砕材は灰分を含む。灰分とは、破砕材を600℃で60分加熱後に灰として残った成分を意味する。灰分量は以下の方法により求められる。
[灰分量の測定方法]
ルツボを、電気炉を用いて600℃で60分加熱し、ルツボを取り出してデシケーター中で1時間冷却した後に精密天秤で秤量する。破砕材をルツボに10g秤量し、電気炉を用いて600℃で60分加熱し、完全灰化させる。次いで、ルツボをデシケーター中で1時間冷却した後に精密天秤で灰分の質量を0.1mg単位まで測定し、破砕材に対する灰分量(質量%)を算出する。
灰分の含有量は、破砕材の全質量100質量%に対して、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは5質量%以上である。また、灰分の含有量は、破砕材の全質量100質量%に対して、好ましくは50質量%以下であり、より好ましくは30質量%以下である。
破砕材が充填材を含む場合、充填材の大半は破砕材の灰分に含まれる。破砕材が充填材を含む場合、充填材の含有量は、概ね破砕材の灰分量に対応すると考えられる。
<破砕材>
破砕材とは、成形体を粉砕して得られるものである。成形体は、市場から回収されたものであってもよいし、工程内で回収したものであってもよい。
回収される破砕材の原料としては、例えば、自動車用部品、包装容器(食品用レトルトパウチ、詰め替え用パウチ、洗剤ボトル等)、家庭用電気製品の筐体、事務用品(トレー等)、家庭用日用品(コンタクトレンズケース等)が挙げられる。自動車用部品としては、例えば、自動車の内装部品(インスツルメントパネル、ドアトリム等)、自動車の外装部品(バンパー等)、その他の自動車用部品(バッテリーケース等)が挙げられる。一態様として、破砕材は、少なくとも一部が自動車用部品から回収した材料に由来する。
破砕材の原料には、用途に応じてエチレン-α-オレフィン共重合体等の耐衝撃性を高めるエラストマー成分、無機充填材等の充填材、中和剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、造核剤、滑剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、着色剤(無機顔料、有機顔料、顔料分散剤等)、難燃剤等の添加剤が含まれていてもよい。回収プロセスとしては、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
工程内で回収される破砕材は、該破砕材を製造する任意の工程で回収することができる、任意の工程としては、例えば、破砕工程、精製工程、溶融工程、他物質との混練工程、ペレット形態への成形工程等が挙げられる。精製工程としては、例えば、水、水性および/または油性薬剤による洗浄、微生物処理、磁力選別、比重選別等が挙げられる。成形工程としては、特に限定されるものではなく、例えば、射出成形等が挙げられる。
破砕材は、例えば、最大寸法が10~15mmであり、孔径15mmのパンチングスクリーンを通過する大きさとすることができる。
破砕材のメルトフローレート(MFR、温度230℃、荷重2.16kg)は、好ましくは1g/10分以上100g/10分以下であり、より好ましくは12g/10分以上70g/10分以下であり、更に好ましくは15g/10分以上40g/10分以下である。破砕材のMFRは、得られるプロピレン樹脂組成物の成形加工性を向上させる観点から、好ましくは10g/10分以上である。破砕材のMFRは、得られる成形体の衝撃強度を向上させる観点から、好ましくは100g/10分以下である。
以下の方法により求められる、破砕材中のキシレン不溶成分(CXIS成分)の含有量は、好ましくは40質量%以上99質量%以下であり、より好ましくは50質量%以上95質量%以下である。以下の方法により求められる、破砕材中のキシレン可溶成分(CXS成分)の含有量は、好ましくは1質量%以上60質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上50質量%以下である。
<CXIS成分およびCXS成分の含有量の測定方法>
破砕材を4g秤量し、円筒ろ紙とソックスレー抽出管を用いて、沸騰キシレンで5時間還流する。次いで、抽出液をロータリーエバポレーターで減圧濃縮して、ポリマー成分を得る。得られたポリマー成分を秤量する(以下、「ポリマー成分の質量」を「a」とする)。ポリマー成分aを2g秤量し、沸騰キシレンで2時間加熱溶解する。次いで、20℃まで冷却した後、ろ紙を用いてろ別する。ろ別したろ液を、ロータリーエバポレーターで減圧濃縮して、CXS成分を得る。得られたCXS成分を秤量する(以下、「CXS成分の質量」を「b」とする)。破砕材中のCXIS成分およびCXS成分の含有量は、数値aおよびbを用いて下記式により算出する。
CXS成分量(質量%)=(b/a)×100
CXIS成分量(質量%)=100-CXS成分量(質量%)
破砕材中のCXIS成分は、主として、破砕材に含まれるヘテロファジックプロピレン重合材料の重合体I、および/またはプロピレン単独重合体から構成されると考えられる。破砕材中のCXS成分は、主として、破砕材に含まれるヘテロファジックプロピレン重合材料の重合体II、および/またはエチレン-α-オレフィン共重合体から構成されると考えられる。
一態様として、前記溶融混練工程は、破砕材と、バージンプロピレン系重合体と、を溶融混練する工程である。バージンプロピレン系重合体は、重合工程を含むプロセスによるプロピレン系重合体の製造後、自動車等の製品またはその部品に成形されておらず、かつ、何らかの最終用途に使用されていない、プロピレン系重合体を意味する。他の「バージンxxx」も同様である。なお、プロピレン系重合体については、上述の通りである。
前記溶融混練工程は、破砕材と、リサイクルプロピレン系重合体と、を溶融混練する工程であってもよい。リサイクルプロピレン系重合体は、一旦、成形等の加工が施された後に、あるいは何らかの最終用途に使用された後に、回収工程を経て、再使用されるプロピレン系重合体を意味する。他の「リサイクルxxx」も同様である。なお、プロピレン系重合体については、上述の通りである。
一態様として、溶融混練工程は、破砕材と、バージンエチレン-α-オレフィン共重合体と、を溶融混練する工程である。前記溶融混練工程は、破砕材と、リサイクルエチレン-α-オレフィン共重合体と、を溶融混練する工程であってもよい。エチレン-α-オレフィン共重合体のバージン材およびリサイクル材は、前記リサイクルプロピレン系重合体に含まれていてもよい。なお、エチレン-α-オレフィン共重合体については、上述の通りである。
一態様として、溶融混練工程は、破砕材と、バージン充填材と、を溶融混練する工程である。前記溶融混練工程は、破砕材と、リサイクル充填材と、を溶融混練する工程であってもよい。充填材のバージン材およびリサイクル材は、前記リサイクルプロピレン系重合体に含まれていてもよい。
一態様として、溶融混練工程は、破砕材と、バージンプロピレン系重合体と、バージンエチレン-α-オレフィン共重合体と、バージン充填材と、を溶融混練する工程である。
<溶融混練工程>
プロピレン樹脂組成物は、上述の破砕材を溶融混練することにより得られる。溶融混練時の温度は、180℃以上であってもよく、180℃以上300℃以下であってもよく、180℃以上250℃以下であってもよい。
溶融混練には、バンバリーミキサー、単軸押出機、二軸同方向回転押出機等を使用することができる。
破砕材に含まれる各原料成分の混練順序は、特に限定されるものではない。例えば、全成分を一括に混練してもよく、一部の成分を混練した後、得られた混練物と他の成分とを混練してもよい。
<プロピレン樹脂組成物>
プロピレン樹脂組成物は、500ppm以上50,000ppm以下の水と、プロピレン系重合体と、を含む破砕材を溶融混練する溶融混練工程により得られる。
プロピレン樹脂組成物の形状は、特に制限されるものではなく、例えば、ストランド状、シート状、平板状、または、ペレット状の形態であってもよい。ペレット状の樹脂組成物は、例えば、ストランド状の樹脂組成物を形成した後、これを適当な長さに裁断することにより製造できる。
プロピレン樹脂組成物の成形加工性、および、成形体を製造する場合の生産安定性を向上させる観点から、成形体に成形加工する前のプロピレン樹脂組成物の形状は、好ましくは、長さが1~50mm程度のペレット状である。
プロピレン樹脂組成物は、上記以外の他の成分を含んでいてよい。他の成分としては、例えば、熱可塑性樹脂(ポリスチレン類(例えばポリスチレン、ポリ(p-メチルスチレン)、ポリ(α-メチルスチレン)、AS(アクリロニトリル/スチレン共重合)樹脂)、ABS(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合)樹脂、AAS(特殊アクリルゴム/アクリロニトリル/スチレン共重合)樹脂、ACS(アクリロニトリル/塩素化ポリエチレン/スチレン共重合)樹脂、ポリクロロプレン、塩素化ゴム、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル系樹脂、エチレン/ビニルアルコール共重合樹脂、フッ素樹脂、ポリアセタール、グラフト化ポリフェニレンエーテル樹脂およびポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル樹脂(例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート)、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、芳香族ポリエステル樹脂、ポリブタジエン、1,2-ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン/ブタジエン共重合体、ブタジエン/アクリロニトリル共重合体、天然ゴム等)、エポキシ樹脂、ジアリルフタレートプリポリマー、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、エピクロルヒドリンゴム、アクリルゴム、更にはバイオ原料から抽出された植物由来のモノマーを重合して製造されるPLA樹脂(ポリ乳酸)、中和剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、造核剤、滑剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、加工助剤、有機系過酸化物、着色剤(無機顔料、有機顔料、顔料分散剤等)、発泡剤、発泡核剤、可塑剤、難燃剤、架橋剤、架橋助剤、高輝度化剤、抗菌剤、光拡散剤等が挙げられる。他の成分は、バージン材であってよく、リサイクル材であってもよく、リサイクルする際の原料に含まれていてもよく、リサイクルプロピレン系重合体と共に、プロピレン樹脂組成物の製造の原料に含まれていてもよい。
プロピレン樹脂組成物のメルトフローレート(温度230℃、荷重2.16kg)は、12g/10分以上である。プロピレン樹脂組成物のMFRは、好ましくは12g/10分以上100g/10分以下であり、より好ましくは12g/10分以上70g/10分以下であり、更に好ましくは15g/10分以上40g/10分以下である。プロピレン樹脂組成物のMFRは、成形加工性を向上させる観点から、好ましくは15g/10分以上である。プロピレン樹脂組成物のMFRは、得られる成形体の衝撃強度を向上させる観点から、好ましくは100g/10分以下である。
プロピレン樹脂組成物の密度は、好ましくは1.30g/cm以下であり、より好ましくは1.20g/cm以下であり、更に好ましくは1.10g/cm以下である。また、プロピレン樹脂組成物の密度は、好ましくは0.80g/cm以上であり、より好ましくは0.85g/cm以上であり、更に好ましくは0.90g/cm以上である。なお、密度は、JIS K7112に記載のA法である水中置換法にて測定される。
<成形体>
本実施形態に係る成形体は、上述のプロピレン樹脂組成物を含む。すなわち、上述のプロピレン樹脂組成物は、成形して成形体を形成させるための材料として用いることができる。上述のプロピレン樹脂組成物は、好ましくは、射出成形用材料として用いることができる。以下、プロピレン樹脂組成物を射出成形用材料として用いて製造される射出成形体の一例について説明する。
射出成形体は、射出成形法により製造できる。射出成形法としては、例えば、一般的な射出成形法、射出発泡成形法、超臨界射出発泡成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、ガスアシスト射出成形法、サンドイッチ成形法、サンドイッチ発泡成形法、インサート・アウトサート成形法等が挙げられる。射出成形体の形状は、特に限定されるものではない。
射出成形体は、例えば、自動車材料用途、家電材料用途、コンテナー用途等に用いることができ、好ましくは、自動車内外装用途に用いることができる。自動車内外装部品としては、例えば、ドアトリム、ピラー、インストルメントパネル、バンパー等が挙げられる。
本実施形態に係る成形体の製造方法は、500ppm以上50,000ppm以下の水と、プロピレン系重合体と、を含む破砕材を溶融混練する溶融混練工程を含み、前記破砕材が、前記プロピレン系重合体としてヘテロファジックプロピレン重合材料を含み、前記破砕材が、灰分を含み、メルトフローレート(温度230℃、荷重2.16kg)が12g/10分以上であるプロピレン樹脂組成物を製造する工程と、該プロピレン樹脂組成物を成形する工程と、を含む。
本実施形態に係る成形体の製造方法は、500ppm以上50,000ppm以下の水と、プロピレン系重合体と、を含む破砕材を溶融混練する溶融混練工程を含み、前記破砕材が、前記プロピレン系重合体としてヘテロファジックプロピレン重合材料を含み、前記破砕材が、灰分を含み、前記溶融混練工程により得られるプロピレン樹脂組成物のメルトフローレート(温度230℃、荷重2.16kg)が12g/10分以上である。
本発明は、以下の態様を含む。
[1]500ppm以上50,000ppm以下の水と、プロピレン系重合体と、を含む破砕材を溶融混練する溶融混練工程を含み、前記破砕材が、前記プロピレン系重合体としてヘテロファジックプロピレン重合材料を含み、前記破砕材が、灰分を含み、プロピレン樹脂組成物のメルトフローレート(温度230℃、荷重2.16kg)が12g/10分以上である、プロピレン樹脂組成物の製造方法。
[2]前記破砕材は、少なくとも一部が自動車用部品から回収した材料に由来する、[1]に記載のプロピレン樹脂組成物の製造方法。
[3]前記破砕材が、前記プロピレン系重合体としてプロピレン単独重合体を含む、[1]または[2]に記載のプロピレン樹脂組成物の製造方法。
[4]前記プロピレン系重合体は、アイソタクチックペンタッド分率が0.961以上である、[1]~[3]のいずれか一つに記載のプロピレン樹脂組成物の製造方法。
[5]前記破砕材が、エチレン-α-オレフィン共重合体を含む、[1]~[4]のいずれか一つに記載のプロピレン樹脂組成物の製造方法。
[6]前記破砕材が、充填材を含む、[1]~[5]のいずれか一つに記載のプロピレン樹脂組成物の製造方法。
[7]前記充填材が、無機充填材である、[6]に記載のプロピレン樹脂組成物の製造方法。
[8]前記溶融混練工程が、前記破砕材と、バージンプロピレン系重合体と、を溶融混練する工程である、[1]~[7]のいずれか一つに記載のプロピレン樹脂組成物の製造方法。
[9]前記溶融混練工程が、前記破砕材と、バージンエチレン-α-オレフィン共重合体と、を溶融混練する工程である、[1]~[8]のいずれか一つに記載のプロピレン樹脂組成物の製造方法。
[10]前記溶融混練工程が、前記破砕材と、バージン充填材と、を溶融混練する工程である、[1]~[9]のいずれか一つに記載のプロピレン樹脂組成物の製造方法。
[11]前記溶融混練工程が、前記破砕材と、バージンプロピレン系重合体と、バージンエチレン-α-オレフィン共重合体と、バージン充填材と、を溶融混練する工程である、[1]~[10]のいずれか一つに記載のプロピレン樹脂組成物の製造方法。
[12]500ppm以上50,000ppm以下の水と、プロピレン系重合体と、を含む破砕材を溶融混練する溶融混練工程を含み、前記破砕材が、前記プロピレン系重合体としてヘテロファジックプロピレン重合材料を含み、前記破砕材が、灰分を含み、メルトフローレート(温度230℃、荷重2.16kg)が12g/10分以上であるプロピレン樹脂組成物を製造する工程と、該プロピレン樹脂組成物を成形する工程と、を含む、成形体の製造方法。
[13]500ppm以上50,000ppm以下の水と、プロピレン系重合体と、を含む破砕材を溶融混練する溶融混練工程を含み、前記破砕材が、前記プロピレン系重合体としてヘテロファジックプロピレン重合材料を含み、前記破砕材が、灰分を含み、前記溶融混練工程により得られるプロピレン樹脂組成物のメルトフローレート(温度230℃、荷重2.16kg)が12g/10分以上である、成形体の製造方法。
以下、実施例を挙げて本発明について更に具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例では、以下の原料を使用した。
成分A:破砕材
下記(A-1)~(A-4)の破砕材を準備した。
(A-1)自動車バンパー由来の、プロピレン系重合体を含む破砕材
水分量:372ppm
メルトフローレート(MFR)(230℃、2.16kg荷重):42.0g/10分
灰分量:18.1質量%
CXIS量:70.0質量%
CXS量:30.0質量%
(A-2)自動車バンパー由来の破砕材
(A-1)自動車バンパー由来の破砕材1kgと、水10.1gと、をポリエチレン製の袋に入れてブレンドし、均一化させ、自動車バンパー由来の破砕材A-2を得た。
水分量:1,415ppm
(A-3)自動車バンパー由来の破砕材
(A-1)自動車バンパー由来の破砕材1kgと、水30.9gと、をポリエチレン製の袋に入れてブレンドし、均一化させ、自動車バンパー由来の破砕材A-3を得た。
水分量:32,932ppm
(A-4)自動車バンパー由来の破砕材
(A-1)自動車バンパー由来の破砕材1kgと、水52.5gと、をポリエチレン製の袋に入れてブレンドし、均一化させ、自動車バンパー由来の破砕材A-4を得た。
水分量:42,065ppm
水分量、MFR、灰分量、CXIS成分およびCXS成分の含有量は、以下の方法により算出した。
(1)水分量
破砕材を0.5g秤量し、カールフィッシャー水分計(日東精工アナリテック株式会社製:CA-200)を用いて、200℃で275mL/minの窒素気流下の条件で水分量(ppm)を測定した。
(2)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)
JIS K7210-1995に規定された方法に従い、温度230℃、荷重2.16kgの条件で、A法により測定した。
(3)灰分量
ルツボを、電気炉を用いて600℃で60分加熱し、ルツボを取り出してデシケーター中で1時間冷却した後に精密天秤で秤量した。破砕材をルツボに10g秤量し、電気炉を用いて600℃で60分加熱し、完全灰化させた。次いで、ルツボをデシケーター中で1時間冷却した後に精密天秤で灰分の質量を0.1mg単位まで測定し、破砕材に対する灰分量(質量%)を算出した。
(4)CXIS成分およびCXS成分の含有量
破砕材を4g秤量し、円筒ろ紙とソックスレー抽出管を用いて、沸騰キシレンで5時間還流した。次いで、抽出液をロータリーエバポレーターで減圧濃縮して、ポリマー成分を得た。得られたポリマー成分を秤量した(以下、「ポリマー成分の質量」を「a」とする)。ポリマー成分aを2g秤量し、沸騰キシレンで2時間加熱溶解した。次いで、20℃まで冷却した後、ろ紙を用いてろ別した。ろ別したろ液を、ロータリーエバポレーターで減圧濃縮して、CXS成分を得た。得られたCXS成分を秤量した(以下、「CXS成分の質量」を「b」とする)。破砕材中のCXIS成分およびCXS成分の含有量は、数値aおよびbを用いて下記式により算出した。
CXS成分量(質量%)=(b/a)×100
CXIS成分量(質量%)=100-CXS成分量(質量%)
<実施例1~3および比較例1>
(プロピレン樹脂組成物の製造)
準備した各成分を、テクノベル(株)製 二軸混練機KZW-15/45MG(シリンダー内径15.5mm、スクリュー外径15.0mm、L/D=45)を用いて、溶融混練することによりペレット状のプロピレン樹脂組成物を得た。
溶融混練の条件は、シリンダー温度200℃;スクリュー回転数500rpm;スクリーンメッシュは100メッシュと50メッシュの2枚重ね;押出量6kg/hrとした。評価結果を表1に示す。
(メルトフローレート(MFR)の測定)
得られたプロピレン樹脂組成物のメルトフローレート(MFR)は、JIS K7210-1995に規定された方法に従い、温度230℃、荷重2.16kgの条件で、A法により測定した。結果を表1に示す。
(曲げ弾性率およびロックウェル硬度評価用射出成形体の製造)
得られたプロピレン樹脂組成物をJIS K7152に記載されている範囲の以下の条件で射出成形して、曲げ弾性率およびロックウェル硬度評価用の射出成形体を製造した。射出成形機で溶融されたプロピレン樹脂組成物は、ゲートから金型キャビティ内へ射出成形機により供給された。
射出成形機:東洋機械金属社製、Si30III(型締力30トン、シリンダー径18mm)
シリンダー温度:220℃
金型温度:50℃
射出速度:20mm/秒
冷却時間:30秒
(曲げ弾性率の測定)
上述の射出成形して得られた厚みが4mmである試験片を、JIS K7203に規定された方法に従い、以下の条件で曲げ弾性率を測定した。結果を表1に示す。
スパン長さ:64mm
荷重速度:2mm/分
測定温度:23℃
(ロックウェル硬度の測定)
上述の射出成形体から厚みが4mmである試験片を切り出し、ASTM D785に準拠し、ロックウェル硬度計(明石製作所社製、ARK-F1000)を用いて、Rスケールにて測定した。結果を表1に示す。
表1の結果から分かるように、本発明の構成要件をすべて満たす各実施例のプロピレン樹脂組成物は、ポリプロピレンを再利用しつつも、曲げ弾性率に比較的優れた成形体を得ることができる。

Claims (11)

  1. 500ppm以上50,000ppm以下の水と、プロピレン系重合体と、を含む破砕材を溶融混練する溶融混練工程を含み、
    前記破砕材が、前記プロピレン系重合体としてヘテロファジックプロピレン重合材料を含み、
    前記破砕材が、灰分を含み、
    プロピレン樹脂組成物のメルトフローレート(温度230℃、荷重2.16kg)が12g/10分以上100g/10分以下である、プロピレン樹脂組成物の製造方法。
  2. 前記破砕材は、少なくとも一部が自動車用部品から回収した材料に由来する、請求項1に記載のプロピレン樹脂組成物の製造方法。
  3. 前記破砕材が、前記プロピレン系重合体としてプロピレン単独重合体を含む、請求項1または2に記載のプロピレン樹脂組成物の製造方法。
  4. 前記プロピレン系重合体は、アイソタクチックペンタッド分率が0.961以上である、請求項1または2に記載のプロピレン樹脂組成物の製造方法。
  5. 前記破砕材が、エチレン-α-オレフィン共重合体を含む、請求項1または2に記載のプロピレン樹脂組成物の製造方法。
  6. 前記溶融混練工程が、前記破砕材と、バージンプロピレン系重合体と、を溶融混練する工程である、請求項1または2に記載のプロピレン樹脂組成物の製造方法。
  7. 前記溶融混練工程が、前記破砕材と、バージンエチレン-α-オレフィン共重合体と、を溶融混練する工程である、請求項1または2に記載のプロピレン樹脂組成物の製造方法。
  8. 前記溶融混練工程が、前記破砕材と、バージン充填材と、を溶融混練する工程である、請求項1または2に記載のプロピレン樹脂組成物の製造方法。
  9. 前記溶融混練工程が、前記破砕材と、バージンプロピレン系重合体と、バージンエチレン-α-オレフィン共重合体と、バージン充填材と、を溶融混練する工程である、請求項1または2に記載のプロピレン樹脂組成物の製造方法。
  10. 500ppm以上50,000ppm以下の水と、プロピレン系重合体と、を含む破砕材を溶融混練する溶融混練工程を含み、前記破砕材が、前記プロピレン系重合体としてヘテロファジックプロピレン重合材料を含み、前記破砕材が、灰分を含み、メルトフローレート(温度230℃、荷重2.16kg)が12g/10分以上100g/10分以下であるプロピレン樹脂組成物を製造する工程と、
    該プロピレン樹脂組成物を成形する工程と、
    を含む、成形体の製造方法。
  11. 500ppm以上50,000ppm以下の水と、プロピレン系重合体と、を含む破砕材を溶融混練する溶融混練工程を含み、
    前記破砕材が、前記プロピレン系重合体としてヘテロファジックプロピレン重合材料を含み、
    前記破砕材が、灰分を含み、
    前記溶融混練工程により得られるプロピレン樹脂組成物のメルトフローレート(温度230℃、荷重2.16kg)が12g/10分以上100g/10分以下である、成形体の製造方法。
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