JP7433619B1 - 吸音パネルの製造方法 - Google Patents

吸音パネルの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7433619B1
JP7433619B1 JP2023172460A JP2023172460A JP7433619B1 JP 7433619 B1 JP7433619 B1 JP 7433619B1 JP 2023172460 A JP2023172460 A JP 2023172460A JP 2023172460 A JP2023172460 A JP 2023172460A JP 7433619 B1 JP7433619 B1 JP 7433619B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
panel
panel base
sound absorbing
adhesive
tightening
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2023172460A
Other languages
English (en)
Inventor
拓人 坂本
Original Assignee
株式会社コスモプロジェクト
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 株式会社コスモプロジェクト filed Critical 株式会社コスモプロジェクト
Priority to JP2023172460A priority Critical patent/JP7433619B1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7433619B1 publication Critical patent/JP7433619B1/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Building Environments (AREA)

Abstract

【課題】軽量で且つ一定の強度を有するとともに、高い寸法精度を有する吸音パネルを製造する。【解決手段】本発明では、(i)吸音パネルの躯体として、薄板材20で構成される枠体2の内側に接着剤4を介してボード状の吸音部材3が嵌め込まれた平面多角形状のパネル基体1を得る(工程(A))ことにより、パネルの軽量化を図り、(ii)このパネル基体1を、対向する辺部間で締付手段5により拘束して締め付けすることで、対向する辺部間距離の寸法出しを行い(工程(B))、引き続き、締付手段5で締め付けしたままで接着剤4を乾燥固化させる(工程(C))ことにより、パネルの強度と寸法精度を確保する、ようにした。【選択図】図2

Description

本発明は、室内の反響音を軽減し、室内を会話や音楽鑑賞などに適した音響環境に改善するために壁面などに取り付けられる吸音パネルの製造方法に関するものである。
建物内のほとんどの部屋は、壁面どうし(壁と壁、天井と床)が平行面で構成されており、壁や床が音を反射しやすい硬い材質の場合には、音源から出た音が平行な壁面間で繰り返し反射する、いわゆるフラッターエコーが生じる。このフラッターエコーが生じると、残響(反響音)がいつまでも残り、音源から新たに出た音に混ざるため、音の明瞭度が極端に低下し、会話の声やスピーカーからの音が聞きづらい音響環境となる。
従来、上記のようなフラッターエコーを生じさせないために、部屋の壁面に吸音材料を設置することが行われており、吸音材料として様々な提案がなされている。
そのなかで、前面にクロス(装飾布)を張った枠体の内側にポリエステル繊維などからなる吸音材を充填した構造の吸音パネルであって、スチールの壁面に磁石で吸着させて固定・設置するタイプの吸音パネル(例えば、特許文献1)が知られており、この吸音パネルは、所望の吸音効果が得られるとともに、設置に特別な工事を必要とせず、誰でも簡単に設置できる利点がある。また、この吸音パネルは、吸音材に抗菌・抗ウイルス剤成分や消臭剤成分を含ませることができるなど、多機能をもたせることができる。
特開2023-46505号公報
特許文献1に示されるようなタイプの吸音パネルは、壁面に対して密着した状態で磁石などの吸着力でしっかりと固定できるようにするため、軽量であって且つパネルに歪みなどを生じないようにするために一定の強度を有する必要がある。一方、複数枚の吸音パネルを組み合わせて壁面に配置・固定する場合、各吸音パネルの寸法精度が悪いと、うまく組み合わせて壁面に配置することができないので、高い寸法精度(例えば、縦横の寸法やパネル角部(コーナー部)の角度が正確であること)を有することが求められる。ここで、吸音パネルの寸法精度を高くするには、剛性の高い枠体を使用すればよいが、そのような枠体は重量があるため、パネルの軽量化が難しくなる。
吸音パネルを軽量化するには、枠体をベニヤ板などのような木製の薄板材で構成するのが好ましい。しかし、このような枠体の内側に吸音材を嵌め込んでパネル基体を構成した場合、そのパネル基体にミリ単位で寸法誤差(例えば、500mm×500mm程度のサイズのパネルで1~2mm程度の誤差)が生じ、このためパネル角部(コーナー部)の角度にも誤差が生じてしまう問題がある。これは、枠体自体の寸法誤差に加えて、いわゆるSSボードやガラスウールなどで構成される吸音材の密度が全体で均質ではなくバラツキがあるため、吸音材側から枠体に作用する力が均等ではなく、このため枠体に歪みが生じることによるものと考えられる。
また、吸音パネルはインテリアの一部となるため、美しい外観が求められる。しかし、例えば、パネル基体にクロス(装飾布)を張る場合、クロスを美しく張る手法が確立されておらず、このため吸音パネルの外観の仕上がりは、十分の満足できるものではなかった。
したがって本発明の目的は、以上のような従来技術の課題を解決し、軽量で且つ一定の強度を有するとともに、高い寸法精度を有する吸音パネルを製造することができる製造方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、上記の点に加えて外観性にも優れた吸音パネルを製造することができる製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明は、(i)吸音パネルの躯体として、薄板材20で構成される枠体2の内側に接着剤4を介してボード状の吸音部材3が嵌め込まれた平面多角形状のパネル基体1を得る(工程(A))ことにより、パネルの軽量化を図る、(ii)接着剤4が乾燥固化する前のパネル基体1を、対向する辺部間で締付手段5により拘束して締め付けすることで、パネル基体1の対向する辺部間距離の寸法出しを行い(工程(B))、引き続き、締付手段5で締め付けしたままで接着剤4を乾燥固化させる(工程(C))ことにより、パネルの強度と寸法精度を確保する、ようにしたものである。
また、本発明は、以下のような好ましい実施形態を採ることができる。
すなわち、工程(B)において、(i)パネル基体1の対向する辺部の長手方向で間隔をおいた複数箇所において、締付手段5によりパネル基体1を対向する辺部間で拘束して締め付けするとともに、対向する辺部間距離の寸法出しを行うために各締付手段5の締め付け強さを調整することにより、或いは、(ii)締付手段5として型枠11を備える締付治具5xを用い、その型枠11内にパネル基体1を嵌め込み、型枠11の内側寸法に合わせてパネル基体1を対向する辺部間で締め付けすることで、パネル基体1の対向する辺部間距離の寸法出しを行うことにより、パネルの強度と寸法精度をより高めることができる。
また、パネル基体1を構成する枠体2と吸音部材3の組み付け形態を最適化することにより、或いは、接着剤4が乾燥固化したパネル基体1にクロス6を張設する工程(D)を最適化することにより、パネルの外観性を特に高めることができる。
すなわち、上記課題を解決するための本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]薄板材(20)で構成される枠体(2)の内側に接着剤(4)を介してボード状の吸音部材(3)が嵌め込まれた平面多角形状のパネル基体(1)を得る工程(A)と、
接着剤(4)が乾燥固化する前のパネル基体(1)を、対向する辺部間で締付手段(5)により拘束して締め付けし、パネル基体(1)の対向する辺部間距離の寸法出しを行う工程(B)と、
パネル基体(1)を締付手段(5)で締め付けしたままで、接着剤(4)を乾燥固化させる工程(C)と、
接着剤(4)が乾燥固化したパネル基体(1)に、少なくともその前面および側面を覆うようにクロス(6)を張設する工程(D)を有することを特徴とする吸音パネルの製造方法。
[2]上記[1]の製造方法において、
工程(A)では、吸音部材(3)の各側端面に接着剤(4)を介して薄板材(20)を貼り付けることにより、枠体(2)の内側に接着剤(4)を介して吸音部材(3)が嵌め込まれたパネル基体(1)を得ることを特徴とする吸音パネルの製造方法。
[3]上記[2]の製造方法において、
工程(A)または工程(B)において、枠体(2)を構成する薄板材(20)のうち、隣り合う薄板材(20)の端部どうしを連結手段(21)で連結することを特徴とする吸音パネルの製造方法。
[4]上記[1]の製造方法において、
工程(A)では、予め作成された枠体(2)の内側に接着剤(4)を介して吸音部材(3)を嵌め込むことにより、枠体(2)の内側に接着剤(4)を介して吸音部材(3)が嵌め込まれたパネル基体(1)を得ることを特徴とする吸音パネルの製造方法。
[5]上記[1]~[4]のいずれかの製造方法において、
工程(B)では、パネル基体(1)を、対向する辺部間で締付手段(5)により拘束して締め付けするに際し、
パネル基体(1)の対向する辺部の長手方向で間隔をおいた複数箇所において、締付手段(5)によりパネル基体(1)を対向する辺部間で拘束して締め付けするとともに、対向する辺部間距離の寸法出しを行うために各締付手段(5)の締め付け強さを調整することを特徴とする吸音パネルの製造方法。
[6]上記[5]の製造方法において、
締付手段(5)は、パネル基体(1)の対向する辺部間に巻き回してパネル基体(1)を縛ることにより締め付けする紐(5a)であることを特徴とする吸音パネルの製造方法。
[7]上記[1]~[4]のいずれかの製造方法において、
締付手段(5)は、内側にパネル基体(1)を嵌め込むための型枠(11)を備える締付治具(5x)(但し、実質的に締付治具(5x)が型枠(11)からなる場合を含む。)であり、
工程(B)では、締付治具(5x)の型枠(11)内にパネル基体(1)を嵌め込み、型枠(11)の内側寸法に合わせてパネル基体(1)を対向する辺部間で締め付けすることにより、パネル基体(1)の対向する辺部間距離の寸法出しを行うことを特徴とする吸音パネルの製造方法。
[8]上記[1]~[7]のいずれかの製造方法において、
パネル基体(1)において、枠体(2)の幅w(但し、パネル厚さ方向での幅)と吸音部材(3)の厚さtはt>wであり、パネル基体(1)の背面側では、吸音部材(3)の背面と枠体(2)の縁部は略面一であり、パネル基体(1)の前面側では、枠体(2)の縁部から吸音部材(3)の前面が突出していることを特徴とする吸音パネルの製造方法。
[9]上記[1]~[8]のいずれかの製造方法において、
工程(C)では、パネル基体(1)を締付手段(5)で締め付けしたままで乾燥室に入れ、接着剤(4)を乾燥固化させることを特徴とする吸音パネルの製造方法。
[10]上記[1]~[9]のいずれかの製造方法において、
工程(D)は、
パネル基体(1)の側面全周に両面接着テープ(7)を、その片面側の接着面を介して貼り付ける工程(d1)と、
パネル基体(1)に、その前面を覆うようにクロス(6)を被せた後、クロス(6)の織目が枠体(2)の縁部の長手方向と一致するように位置合わせした状態で、パネル基体(1)の前面からはみ出したクロス(6)の部分をパネル基体(1)の側面側に折り込んで、その一部分を両面接着テープ(7)の他面側の接着面に貼り付け、クロス(6)をパネル基体(1)に仮止めする工程(d2)と、
パネル基体(1)の側面からはみ出したクロス(6)の部分を、パネル基体(1)の背面側に折り込んでパネル基体(1)の背面に接着剤を介して接着する工程(d3)を有することを特徴とする吸音パネルの製造方法。
[11]上記[10]の製造方法において、
工程(d3)では、パネル基体(1)の背面側に接着されたクロス(6)の部分を、クランプ板(9)でパネル基体(1)との間でクランプし、その状態で接着剤を乾燥固化させることを特徴とする吸音パネルの製造方法。
[12]上記[10]または[11]の製造方法において、
工程(D)は、さらに、パネル角部となるクロス(6)の部分の処理を行う工程(d4)を有し、
該工程(d4)では、パネル角部となるクロス(6)の部分の内側に接着剤を塗布して、当該クロス(6)の部分をパネル基体(1)に沿うように整形し、前記接着剤を乾燥固化させた後、余分なクロス(6)の部分を切除し、さらに、そのクロス切除部にほつれ防止用の接着剤を塗布することを特徴とする吸音パネルの製造方法。
[13]上記[1]~[12]のいずれかの製造方法において、
さらに、パネル背面に、必要に応じて化粧用の被覆材を張り付けた後、パネル取付手段(8)を設ける工程(E)を有することを特徴とする吸音パネルの製造方法。
[14]吸音パネルを製造する際に、薄板材で構成される枠体の内側に接着剤を介してボード状の吸音部材が嵌め込まれた平面多角形状のパネル基体を、その対向する辺部間で締め付けすることにより、パネル基体の対向する辺部間距離の寸法出しを行うための締付治具であって、
内側にパネル基体を嵌め込むための型枠(11)を備えることを特徴とする吸音パネル製造用の締付治具(但し、実質的に締付治具が型枠(11)からなる場合を含む。)。
本発明によれば、軽量で且つ一定の強度を有するとともに、高い寸法精度を有する吸音パネルを製造することができる。
また、本発明において、パネル基体(1)の対向する辺部間距離の寸法出しを行う工程(B)を最適化することにより、特に高い寸法精度を有する吸音パネルを製造することができる。
また、本発明において、パネル基体(1)を構成する枠体(2)と吸音部材(3)の組み付け形態を最適化することにより、或いは、接着剤(4)が乾燥固化したパネル基体(1)にクロス(6)を張設する工程(D)を最適化することにより、上記性能を有することに加えて、特に外観性に優れた吸音パネルを製造することができる。
本発明の一実施形態の工程(A)におけるパネル基体1の組み立て状況を示す斜視図 本発明の一実施形態の工程(A)において得られたパネル基体1を示すもので、図2(a)は斜視図、図2(b)は図2(a)中のb-b線に沿う断面図 本発明の一実施形態の工程(B)において締付手段5で締め付けされた状態のパネル基体1を示すもので、図3(a)は斜視図、図3(b)は平面図 本発明の一実施形態の工程(D)において、パネル基体1の側面全周に両面接着テープ7を貼り付けた状態を示すもので、図4(a)はパネル基体1の斜視図、図4(b)は図4(a)中のb-b線に沿う断面図 本発明の一実施形態の工程(D)において、パネル基体1にクロス6を被せ、クロス6の織目が枠体2の縁部の長手方向と一致するように位置合わせした状態を示す部分平面図 本発明の一実施形態の工程(D)において、図5の工程に続き、パネル基体1の前面からはみ出したクロス6の部分をパネル基体1の側面側に折り込んで、両面接着テープ7の接着面に貼り付け、クロス6をパネル基体1に仮止めした状態を示すもので、パネル基体1およびクロスの一部の縦断面図 本発明の一実施形態の工程(D)において、図6の工程に続き、パネル基体1の側面からはみ出したクロス6の部分を、パネル基体1の背面側に折り込んでパネル基体1の背面に接着剤を介して接着した状態を示すもので、パネル基体1およびクロスの一部の縦断面図 本発明の一実施形態の工程(D)において、図7の工程でパネル基体1の背面側に接着されたクロス6の部分をクランプ板9でクランプした状態を示す説明図(パネル基体1の背面図)であり、図8(a)は、パネル基体1の辺部100a,100cの背面側に接着されたクロス6の部分をクランプ板9でクランプした状態を示す説明図、図8(b)は、パネル基体1の辺部100b,100dの背面側に接着されたクロス6の部分をクランプ板9でクランプした状態を示す説明図 本発明の一実施形態の工程(D)において、パネル角部におけるクロス6の処理の手順(手順の一部)を示す部分斜視図(図9(ア)) 本発明の一実施形態の工程(D)において、パネル角部におけるクロス6の処理の手順(手順の一部)を示す部分斜視図(図9(イ)) 本発明の一実施形態の工程(D)において、パネル角部におけるクロス6の処理の手順(手順の一部)を示す部分斜視図(図9(ウ)) 本発明の一実施形態の工程(D)において、パネル角部におけるクロス6の処理の手順(手順の一部)を示す部分斜視図(図9(エ)) 本発明の一実施形態の工程(D)において、パネル角部におけるクロス6の処理の手順(手順の一部)を示す部分斜視図(図9(オ)) 本発明の一実施形態の工程(D)において、パネル角部におけるクロス6の処理の手順(手順の一部)を示す部分斜視図(図9(カ)) 本発明の一実施形態の工程(D)において、パネル角部におけるクロス6の処理の手順(手順の一部)を示す部分斜視図(図9(キ)) 本発明の一実施形態の工程(D)において、パネル角部におけるクロス6の処理の手順(手順の一部)を示すもので、図9(エ)の状態を他の方向からみた部分斜視図 本発明の一実施形態の工程(E)において、パネル背面にパネル取付手段8(マグネット80)を設けた状態を示す説明図(パネルの背面図) 本発明の他の実施形態の工程(A)におけるパネル基体1の組み立て状況を示す斜視図 本発明の工程(B)で用いる締付手段5の他の実施形態である締付治具5bを示すもので、図13(a)は側面図、図13(b)は平面図 本発明の工程(B)で用いる締付手段5の他の実施形態である締付治具5cを示す平面図 本発明の工程(B)で用いる締付手段5の他の実施形態である締付治具5xと、工程(A)で組み立てられたパネル基体1が工程(B)で締付治具5xに嵌め込まれる過程を示す斜視図 図15に示す締付治具5xの平面図 工程(B)において、図15に示す締付治具5xにパネル基体1を嵌め込んだ状態を示す平面図
本発明の吸音パネルの製造方法は、薄板材20で構成される枠体2(外枠部材)の内側に接着剤4を介してボード状の吸音部材3が嵌め込まれた平面多角形状のパネル基体1を得る工程(A)と、接着剤4が乾燥固化する前のパネル基体1を、対向する辺部間で締付手段5により拘束して締め付けし、パネル基体1の対向する辺部間距離(長さ)の寸法出しを行う工程(B)と、パネル基体1を締付手段5で締め付けしたままで、接着剤4を乾燥固化させる工程(C)と、接着剤4が乾燥固化したパネル基体1に、少なくともその前面(おもて面)および側面を覆うようにクロス6(装飾布)を張設する工程(D)を有する。また、通常は、さらに、パネル基体1の背面に、必要に応じて化粧用の被覆材を張り付けた後、マグネットなどのパネル取付手段8を設ける工程(E)を有する。
本発明により製造される吸音パネルの平面形状(パネルを平置きした状態での形状)は平面多角形であり、例えば、正方形、長方形、正六角形、正八角形などの場合を含む。また、吸音パネルは厚み方向で平坦である必要はなく、任意の立体形状(例えば、山形形状、波形などの曲面形状、凹凸形状など)とすることができる。また、吸音パネルのサイズも特に限定しないが、一般には、パネルを平置きした状態で、縦横のパネル長さが200~1500mm程度、パネル厚みが10~100mm程度となる。
図1~図11は、本発明の製造方法の一実施形態を主に工程順に示したものである。この実施形態は、平面正方形状の吸音パネルを製造する場合を示している。
以下、この実施形態について説明する。
枠体2を構成する薄板材20は、材質に特に制限はなく、例えば、樹脂製や木材・樹脂複合材製などでもよいが、軽量化の観点からベニヤなどの木製とすることが好ましい。また、木製とすることにより、パネルサイズの変更などにも柔軟に対応できる利点がある。
ボード状の吸音部材3は、吸音効果が得られるものであればよく、材質を問わないが、通常、例えば、SSボード、ポリエステル繊維やグラスウールなどの繊維集合体、好ましくは短繊維集合体などで構成される。この短繊維集合体は、ポリエステル繊維などの短繊維を所定の密度に圧縮して板状に成形したものである。具体的には、マトリックス繊維であるポリエステル繊維(例えば、中空ポリエステル繊維)と熱接着性繊維とを混綿し、熱処理により熱接着性繊維を溶融させ、その溶融物によりマトリックス繊維の繊維接点を接着させて得られる短繊維集合体が挙げられる。また、マトリックス繊維としては、ポリエステル繊維に羊毛を加えたものを用いてもよい。
また、吸音部材3は、2種以上の部材を組み合わせたものでもよく、また、実質的な吸音材(例えば上記短繊維集合体)とそれ以外の機能を有する部材(例えば補強部材、消臭シートなどの消臭材料)を組合わせたものでもよい。
図1は、工程(A)におけるパネル基体1の組み立て状況を示すもの(斜視図)である。また、図2は、工程(A)で得られたパネル基体1(吸音パネルの躯体)を示すものであり、図2(a)は斜視図、図2(b)は図2(a)中のb-b線に沿う断面図である。この実施形態では、吸音部材3の各側端面に接着剤4を介して薄板材20を貼り付け、隣り合う薄板材20の端部どうしを連結手段21(例えばタッカー)で連結して枠体2を構成することにより、「薄板材20で構成される枠体2の内側に接着剤4を介してボード状の吸音部材3が嵌め込まれた平面正方形状のパネル基体1」を得ている。
薄板材20の片面側には接着剤4(例えば木工用接着剤)が塗布され、この接着剤4を介して薄板材20が吸音部材3の各側端面に貼り付けられる。
連結手段21の種類は問わないが、本実施形態ではタッカーが用いられている。タッカー両端の針が隣り合う薄板材20の両端部に打ち込まれ、薄板材20どうしが連結される。なお、後述するように、このタッカーなどの連結手段21による薄板材20の端部どうしの連結は、次の工程(B)で行ってもよい。
ここで、図2に示されるようなパネル基体1は、枠体2の幅w(但し、パネル厚さ方向での幅)と吸音部材3の厚さtがt>wであり、パネル基体1の背面103(パネル裏面)側では、吸音部材3の背面と枠体2の縁部は略面一であり、パネル基体1の前面101(パネルおもて面)側では、枠体2の縁部から吸音部材3の前面が突き出た構造が好ましい。この場合、tとwの差、すなわち枠体2の縁部から突き出た吸音部材3の部分の厚さΔtは、0.5~2.0mm程度、好ましくは0.7~1.5mm程度が適当であり、特に1mm前後が最適である。このように吸音部材3に余分な厚さΔtをもたせることにより、クロス6をパネル基体1に張設した際に、枠体2の縁部がクロス6に浮き出ないようにすることができ、その結果、パネル前面側の外縁部(図6および図7の外縁部e)のクロス形状が綺麗に仕上がり、パネルの外観性を特に高めることができる。
また、本発明の工程(A)では、予め作成された枠体2の内側に接着剤4を介して吸音部材3を嵌め込むことにより、枠体2の内側に接着剤4を介して吸音部材3が嵌め込まれたパネル基体1を得ることもできる。図12は、そのような実施形態におけるパネル基体1の組み立て状況を示すもの(斜視図)である。
この実施形態でも、枠体2は、薄板材20を適当な連結手段(図示しないが、例えばタッカー)や接着剤を介して組付けることで構成されている。この枠体2の内側面に接着剤4が塗布され、そこに吸音部材3を嵌め込む。
続く工程(B)では、接着剤4を乾燥固化させる前に、パネル基体1の寸法精度を高めるために、締付手段5を用いてパネル基体1の対向する辺部間距離(長さ)の寸法出しを行う。
ここで、パネル基体1の対向する辺部とは、平面正方形状である図2のパネル基体1の場合には、辺部100aと辺部100c、辺部100bと辺部100dである。また、パネル基体1の対向する辺部間距離の寸法出しとは、対向する辺部間の距離(長さ)が、当該辺部長手方向で一定(均等)となるようにすることであり、同時にパネル角度の精度も高められることになる。
吸音パネルを軽量化するためにベニヤ板などの薄板材20からなる枠体2を用い、その内側に吸音部材3を嵌め込んでパネル基体1を構成する場合、そのままでは、パネル基体1にミリ単位の寸法誤差(例えば、500mm×500mm程度のサイズのパネルで1~2mm程度の誤差)が生じる恐れがあり、このような寸法誤差を生じるとパネル角部(コーナー部)の角度にも誤差が生じてしまう。これは、さきに述べたように、枠体2自体の寸法誤差に加えて、SSボードやガラスウールなどで構成される吸音部材3の密度が全体で均質ではなくバラツキがあるため、吸音部材3側から枠体2に作用する力が均等ではなく、このため枠体2に歪みが生じることによるものと考えられる。この工程(B)では、そのような寸法誤差をなくすべく、接着剤4が乾燥固化する前のパネル基体1を、その対向する辺部間で、すなわち対向する辺部100a-100c間と、対向する辺部100b-100d間で、それぞれ締付手段5により拘束して締め付けし、パネル基体1の対向する辺部間距離(長さ)の寸法出しを行い、対向する辺部間距離が一定の値となる(すなわち辺部長手方向で均等となる)ようにする。このため本実施形態では、締付手段5として、パネル基体1の締め付け強さが調整可能なものを用いる。
この場合、パネル基体1の対向する辺部の長手方向で間隔をおいた複数箇所において、締付手段5によりパネル基体1を対向する辺部間で拘束して締め付けするとともに、対向する辺部間距離の寸法出しを行うために各締付手段5の締め付け強さを調整することが好ましい。ここで、締付手段5により拘束して締め付けする箇所の数は、パネルのサイズなどに応じて決めればよいが、対向する辺部間距離(寸法)を一定(均等)にするために、少なくとも対向する辺部の長手方向中央とその両側位置の3箇所を拘束して締め付けすることが好ましい。
本実施形態では、締付手段5として、パネル基体1の対向する辺部間に巻き回してパネル基体1を縛ることにより締め付けする紐5aが用いられ、パネル基体1の対向する辺部100a-100cと、同じく対向する辺部100a-100cの長手方向で間隔をおいた3箇所において、紐5aでパネル基体1を縛ることにより締め付けを行っている。そして、対向する辺部間距離(寸法)が辺部長手方向で均等となるように、各紐5aの縛る力(強さ)を変えることで締め付け強さを調整している。図3は、その状態を示しており、図3(a)は紐5a(締付手段5)で対向する辺部間が縛られることにより締め付けされた状態のパネル基体1を示す斜視図、図3(b)は同じく平面図である。
ここで、紐5aは、例えばpp製の帯状の荷造りひも等のようなものでよい。
図3の場合には、対向する辺部間距離(長さ)L1,L2が辺部長手方向で一定(均等)となるようにするために、パネル基体1の対向する辺部の長手方向で間隔をおいた3箇所(長手方向中央とその両側位置の3箇所)を紐5aで縛って締め付けしている。
工程(B)においてパネル基体1を拘束して締め付けする形態が、本実施形態のように「パネル基体1の対向する辺部の長手方向で間隔をおいた複数箇所において、締付手段5によりパネル基体1を対向する辺部間で拘束して締め付けするとともに、対向する辺部間距離の寸法出しを行うために各締付手段5の締め付け強さを調整する」という形態である場合、締付手段5としては、例えば、以下に示すような専用の締付治具を用いてもよい。
図13、図14は、それぞれ締付手段5である専用の締付治具の実施形態を示すもので、締付手段5を締付治具5b(図13)、締付治具5c(図14)で構成したものである。図13(a)は締付治具5bの側面図、図13(b)は同じく平面図であり、図14は締付治具5cの平面図である。
図13の締付治具5bは、細長の板状本体50の長手方向の一端部に、パネル基体1の対向する一方の辺部100(例えば図3の辺部100a)に当接する当接部51を設けるとともに、板状本体50の長手方向の他端部に、パネル基体1の対向する他方の辺部100(例えば図3の辺部100c)に当接する当接部材52を、当接部51に対して進退可能に設けたものであり、当接部材52を当接部51に対して進退させることにより、当接部51と当接部材52間でパネル基体1を拘束して締め付けするとともに、締め付け強さを調整できるようにしている。
この実施形態の締付治具5bは、細長の板状本体50の長手方向の両端に立ち上がり部500,501が設けられ、一方の立ち上がり部500が当接部51を構成している。一方、当接部材52は、ネジ軸部521と、その先端に保持された当接部520からなり、ネジ軸部521が他方の立ち上がり部501に形成されたネジ孔53に螺装されることにより、板状本体50(立ち上がり部501)に保持されている。なお、ネジ軸部521の後端には、ネジ軸部521を回転操作するための摘み522が設けられている。そして、ネジ軸部521を回転させてネジ孔53に対して進退させることにより、当接部材52を当接部51に対して進退可能とし、パネル基体1の対向する辺部の締め付け強さを調整できるようにしている。
なお、ネジ軸部521を回転させた際に、当接部520がネジ軸部521と一体的に回転しないようにするために、ネジ軸部521の先端部は当接部520に対して回転自在に接続されることが好ましい。
この締付治具5bは、図3の紐5aと同様に、パネル基体1の対向する辺部の長手方向に沿った複数箇所において、パネル基体1を拘束して締め付けするとともに、対向する辺部間距離の寸法出しを行うために各締付治具5bの締め付け強さを調整することが好ましい。すなわち、対向する辺部間距離が辺部長手方向で一定(均等)となるように各締付治具5bの締め付け強さを調整することが好ましい。
なお、この締付治具5bを用いる場合、例えば、パネル基体1を対向する辺部100a-100c間で拘束して締め付けする締付治具5bは、板状本体50がパネル基体1の前面101側に位置するようにパネル基体1に取り付けし、パネル基体1を対向する辺部100b-100d間で拘束して締め付けする締付治具5bは、板状本体50がパネル基体1の背面103側に位置するようにパネル基体1に取り付けすればよい。
図14の締付治具5cは、内側にパネル基体1が配される平面四角形状の枠体54と、この枠体54の対向する側壁部540a,540cのうちの一方の側壁部540cと、同じく対向する側壁部540b,540dのうちの一方の側壁部540dに、それぞれ他方の側壁部540a,540bに対して進退可能に設けられる当接部材55を備えている。この当接部材55は、側壁部540c,540dの長手方向で間隔をおいた複数箇所(本実施形態ではそれぞれ3箇所)に設けられており、上記のように進退可能とすることで締め付け強さを調整できるようにしている。
各当接部材55は、枠体54の内側に配される当接部550と、この当接部550を保持するネジ軸部551を備え、このネジ軸部551が側壁部540c,540dに形成されたネジ孔56に螺装されることにより、側壁部540c,540dに保持されている。なお、ネジ軸部551の後端には、ネジ軸部551を回転操作するための摘み552が設けられている。そして、ネジ軸部551を回転させてネジ孔56に対して進退させることにより、当接部材55をそれぞれ対向する側壁部540a,540bに対して進退可能とし、パネル基体1の対向する辺部の締め付け強さを調整できるようにしている。
なお、ネジ軸部551を回転させた際に、当接部550がネジ軸部551と一体的に回転しないようにするために、ネジ軸部551の先端部は当接部550に対して回転自在に接続されることが好ましい。
この締付治具5cでは、枠体54の内側にパネル基体1を配し、このパネル基体1の対向する辺部100a-100cと、対向する辺部100b-100dのうち、辺部100a,100bを枠体54の側壁部540a,540bの内側にそれぞれ当接させた状態で、側壁部540c,540dにそれぞれ保持された複数の当接部材55を辺部100c,100dに当接させ、側壁部540a,540bとの間でパネル基体1を拘束して締め付けするとともに、適宜進退させることで締め付け強さを調整する。
したがって、この締付治具5cでも、図3の紐5aと同様に、パネル基体1の対向する辺部の長手方向に沿った複数箇所において、パネル基体1を拘束して締め付けするとともに、対向する辺部間距離の寸法出しを行うために各当接部材55の締め付け強さを調整する。すなわち、対向する辺部間距離が辺部長手方向で一定(均等)となるように各当接部材55の締め付け強さを調整する。
なお、枠体54は底板付きのもの、すなわち上部が開放した浅い箱形のものであってもよい。
工程(B)では、締付手段5として、予めパネル基体1の目標寸法(正規の寸法)に合わせて作成された型枠を用い、この型枠にパネル基体1を嵌め込むことで、パネル基体1を対向する辺部間で締め付けし、対向する辺部間距離(長さ)の寸法出しを行うようにしてもよい。図15~図17は、その一実施形態を示すものであり、図15は、締付手段5を構成する締付治具5xと、工程(A)で組み立てられたパネル基体1が工程(B)で締付治具5xに嵌め込まれる過程を示す斜視図、図16は締付治具5xの平面図、図17は締付治具5xにパネル基体1を嵌め込んだ状態を示す平面図である。
この実施形態で用いる締付手段5は、内側にパネル基体1を嵌め込むための型枠11を備える締付治具5xであり、この実施形態では、支持板12の上面に枠部材110a~110dが4角形状に並べられ、支持板12に固定されることで型枠11が構成されている。本実施形態では、この型枠11内にパネル基体1を嵌め込み、締付することで寸法出しを行うため、当然のことながら、この型枠11の内側(型内)寸法は、パネル基体1の目標寸法(正規の寸法)に合わせて構成されている。
枠部材110a~110dは細長の四角柱状の部材である。また、支持板12には、型枠11の内側部分の一部に窓穴120が設けられ、軽量化が図られている。
型枠11は4隅の部分を欠いた構造(すなわち4隅で枠部材110が途切れ、スペース13がある構造)を有しているが、これは、本実施形態では、パネル基体1を型枠11内に嵌め込んだ状態で、枠体2を構成する薄板材20の端部どうしをタッカーなどの連結手段21で連結する関係上、連結手段21の取付作業性を確保する(例えばタッカーを打ちやすくする)ためである。ただし、型枠11は、内側にパネル基体1を嵌め込むことで、パネル基体1を対向する辺部間で締め付けすることができればよいので、その構造は本実施形態に限定されるものではなく、例えば、欠けた部分のない完全な枠体(型枠)であってもよいし、枠体(型枠)の途中に欠けた部分(不連続な部分)があってもよい。
支持板12や枠部材110a~110dの材質は問わないが、支持板12は木製または樹脂製が好ましく、枠部材110a~110dはアルミなどの金属製の角パイプで構成するのが好ましい。
なお、締付治具5xは、実質的に型枠11からなる構造(すなわち、型枠材のみで構成されるような構造)であってもよい。
この実施形態では、工程(B)において、締付治具5xの型枠11内にパネル基体1を嵌め込み、型枠11の内側寸法に合わせてパネル基体1を対向する辺部間で締め付けすることにより、パネル基体1の対向する辺部間距離(長さ)の寸法出しを行う。すなわち、型枠11内に嵌め込まれたパネル基体1は、型枠11を構成する枠部材110a,110c間で、対向する辺部100a-100c間が締め付けされ、同じく枠部材110b,110d間で、対向する辺部100b-100間が締め付けされ、それぞれ対向する辺部間距離(長さ)の寸法出しがなされる。
なお、図17に示すように、この実施形態では工程(B)で型枠11内にパネル基体1を嵌め込んだ状態で、隣り合う薄板材20の両端部へのタッカーの打ち込み(連結手段21による薄板材20の端部どうしの連結)がなされる。
続く工程(C)では、パネル基体1を締付手段5(例えば、紐5aや締付治具5b,5c,5xなど)で締め付けしたままで、接着剤4を乾燥固化させる。この工程では、接着剤4を常温下で自然乾燥により固化させてもよいし、より短い時間で接着剤4を乾燥固化させることができる乾燥室(例えば、温風式の乾燥室)を利用してもよい。この工程(C)が完了したら、パネル基体1から締付手段5(例えば、紐5aや締付治具5b,5c,5xなど)を取り外す。
続く工程(D)では、接着剤4が乾燥固化したパネル基体1に、少なくともその前面101および側面102を覆うようにクロス6を張設する。
クロス6には、一般的な織布や不織布のほかに、例えば、ガラス繊維織物などの不燃性の織布を用いてもよい。
この工程(D)では、パネル基体1に綺麗にクロス6を張設することが望まれることから、例えば、以下のような工程(d1)~(d3)を順に行うことが好ましく、望ましくは、さらに工程(d4)を行うことが好ましい。
・工程(d1): 図4に示すように、パネル基体1の側面102の全周に両面接着テープ7を、その片面側の接着面を介して貼り付ける。図4は、その状態を示すものであり、図4(a)はパネル基体1の斜視図、図4(b)は図4(a)中のb-b線に沿う断面図である。
・工程(d2): パネル基体1に、その前面101を覆うようにクロス6を被せた後、図5に示すようにクロス6の織目が枠体2の縁部200の長手方向と一致するように位置合わせする。図5は、その状態を示す部分平面図である。
そして、そのように位置合わせした状態で、図6に示すように、パネル基体1の前面101からはみ出したクロス部分60をパネル基体1の側面102側に折り込んで、その一部分を両面接着テープ7の他面側の接着面に貼り付け、クロス6をパネル基体1に仮止めする。図6は、その状態を示すものであり、パネル基体1およびクロス6の一部の縦断面図である。
・工程(d3): 図6に示すようにパネル基体1の側面102からはみ出したクロス部分600を、図7に示すようにパネル基体1の背面103側に折り込んでパネル基体1(吸音部材3)の背面103に接着剤(例えば、木工用接着剤。以下同様)を介して接着する。図7は、その状態を示すものであり、パネル基体1およびクロス6の一部の縦断面図である。
この場合、図8に示すように、パネル基体1の背面103側に接着されたクロス部分600を、クランプ板9でパネル基体1との間でクランプし、その状態で接着剤を乾燥固化させることが好ましい。図8は、接着されたクロス部分600をクランプ板9でクランプした状態を示す説明図(パネル基体1の背面図)である。
図6に示すようにパネル基体1の側面102からはみ出したクロス部分600をパネル基体1の背面103に接着する場合、まず、図8(a)に示すように、パネル基体1の辺部100a,100c側のクロス部分600xをパネル基体1の背面103側に折り込んでパネル基体1の背面103に接着剤を介して接着し、このクロス部分600xにクランプ板9を当て、パネル基体1との間でクランプする。クランプ板9は、適当な締結具10(例えばクリップ等)でパネル基体1に締結され、所定のクランプ力でクロス部分600xをクランプすることが好ましい。そして、この状態で接着剤を乾燥固化させる。接着剤は常温下で自然乾燥により固化させてもよいし、より短い時間で接着剤を乾燥固化させることができる乾燥室(例えば、温風式の乾燥室)を利用してもよい。
次いで、図8(b)に示すように、パネル基体1の辺部100b,100d側のクロス部分600yをパネル基体1の背面103側に折り込んでパネル基体1の背面103に接着剤を介して接着する。そして、図8(a)の場合と同様に、このクロス部分600yにクランプ板9を当て、パネル基体1との間でクランプし、その状態で接着剤を乾燥固化させる。
・工程(d4): パネル角部(コーナー部)となるクロス部分60の処理を行う。すなわち、パネル角部となるクロス部分60の内側に接着剤を塗布して、当該クロス部分60をパネル基体1の角部に沿うように整形(すなわち、パネル基体1の角部に沿った形に整形)する。そして、前記接着剤を乾燥固化させた後、余分な(不要な)クロス部分60を切除し、さらに、そのクロス切除部にほつれ防止用の接着剤を塗布し、この工程(d4)を完了する。
図9(図9-1~図9-7)の(ア)~(キ)および図10は、パネル角部(コーナー部)におけるクロス6の処理の手順の一例を示した部分斜視図であり、上述した工程(d3)の一部と工程(d4)の具体例を示している。なお、図9のパネル基体1については、枠体2および吸音部材3の図示は省略してある。
図9(ア)は、工程(d3)において、パネル基体1の辺部100a(および辺部100c)側のクロス部分600xをパネル基体1の背面103側に折り込んでパネル基体1の背面103に接着剤を介して接着した状態を示している。図9(ア)には図示しないが、このクロス部分600xの接着の際には、図8(a)に示すようにクランプ板9でクロス部分600xをクランプした状態で接着剤を乾燥固化させる。接着剤が乾燥固化したら、図9(イ)に示すように、クロス部分600のコーナー部分(図中二点鎖線で囲った四角形の部分)を切除する。
次いで、図9(ウ)に示すように、パネル基体1の辺部100b(および辺部100d)側のクロス部分600yをパネル基体1の背面103側に折り込んでパネル基体1の背面103に接着剤を介して接着する。クロス部分600yをパネル基体1の背面103側に折り込んだ状態でパネル基体1からはみ出たクロス部分600yは、接着剤が乾燥固化した後に切除されるが、クロス部分600yをパネル基体1の背面103側に折り込む際には、図9(ウ)に示すように、パネル角部(角部の稜線)に連なるクロス部分600yが折りたたまれた状態になる。なお、図9(ウ)には図示しないが、このクロス部分600yの接着の際にも、図8(b)に示すようにクランプ板9でクロス部分600yをクランプした状態で接着剤を乾燥固化させる。接着剤が乾燥固化したら、図9(エ)および図10に示すように、クロス部分600yの一部、すなわちパネル角部(角部の稜線)に連なるクロス部分600yを残して他の余分なクロス部分600y(図中二点鎖線で囲った部分)を切除する。なお、図10は、図9(エ)の状態を他の方向からみた部分斜視図である。
次いで、図9(オ)に示すように、残ったクロス部分600y(2枚に折りたたまれたクロス部分)の内側のパネル角部となる部分に接着剤を塗布(注入)し、図9(カ)に示すように、そのクロス部分600yをパネル基体1の角部に沿うように整形(すなわち、パネル基体1の角部に沿った形に整形)する。この状態で接着剤を乾燥固化させるが、整形されたクロス部分600yをクリップなどで固定した状態で接着剤を乾燥固化させてもよい。
接着剤が乾燥固化したら、図9(キ)に示すように、クロス部分600y(図中二点鎖線で囲った部分)を切除し,さらに、そのクロス切除部gにほつれ防止用の接着剤を塗布し、この接着剤を乾燥固化させることでパネル角部のクロス6の処理を完了する。
続く工程(E)では、パネル基体1の背面103に、必要に応じて化粧用の被覆材を張り付けた後、パネルを壁面などに取付(装着)するためのパネル取付手段8を設ける。このパネル取付手段8としては、磁石による吸着式、接着テープ(例えば両面接着テープ)などによる接着式、機械的な掛着式など任意の手段を適用できるが、設置の容易性・簡便性の観点から壁面(磁石が吸着可能な壁面)に磁石で吸着させる方式が好ましい。図11は、パネル(パネル基体1)の背面にそのようなパネル取付手段8(マグネット80)を設けた状態を示す説明図(パネルの背面図)である。本実施形態では、パネル(パネル基体1)の背面の複数箇所(4箇所)にマグネット80(マグネットシート)が取り付けられ、このマグネット80を壁面に吸着させることで、壁面に対して着脱可能に取り付けられるようにしてある。なお、磁石が吸着しない壁面に取り付ける場合には、当該壁面にアイアンシートを接着し、このアイアンシートを介して磁石を吸着させればよい。
マグネット80としては、通常、本実施形態のようにマグネットシートが用いられるが、これに限定されない。
なお、吸音パネルを取り付ける壁面とは、狭義の壁面だけでなく天井面やパーテーションの壁面などを含む。
本実施形態では、以上のような工程により吸音パネルが製造される。
なお、吸音部材3には、(i)抗菌・抗ウイルス剤成分を付着させることで抗菌・抗ウイルス機能を付加する、(ii)消臭剤成分を付着させることで消臭機能を付加する、のいずれか若しくは両方を施すことができる。これらの場合、吸音部材に抗菌・抗ウイルス剤や消臭剤を含浸させたり、スプレー塗布することなどにより、それぞれの成分を吸音部材に付着させることができる。
1 パネル基体
2 枠体
3 吸音部材
4 接着剤
5 締付手段
5a 紐
5b,5c,5x 締付治具
6 クロス
7 両面接着テープ
8 パネル取付手段
9 クランプ板
10 締結手段
11 型枠
12 支持板
13 スペース
20 薄板材
21 連結手段
50 板状本体
51 当接部
52 当接部材
53 ネジ孔
54 枠体
55 当接部材
56 ネジ孔
60 クロス部分
80 マグネット
100a,100b,100c,100d 辺部
101 前面
102 側面
103 背面
110a,110b,110c,110d 枠部材
120 窓穴
200 縁部
500,501 立ち上がり部
520 当接部
521 ネジ軸部
522 摘み
540a,540b,540c,540d 側壁部
550 当接部
551 ネジ軸部
552 摘み
600,600x,600y,600y クロス部分
e 外縁部
g クロス除去部

Claims (14)

  1. 薄板材(20)で構成される枠体(2)の内側に接着剤(4)を介してボード状の吸音部材(3)が嵌め込まれた平面多角形状のパネル基体(1)を得る工程(A)と、
    接着剤(4)が乾燥固化する前のパネル基体(1)を、対向する辺部間で締付手段(5)により拘束して締め付けし、パネル基体(1)の対向する辺部間距離の寸法出しを行う工程(B)と、
    パネル基体(1)を締付手段(5)で締め付けしたままで、接着剤(4)を乾燥固化させる工程(C)と、
    接着剤(4)が乾燥固化したパネル基体(1)に、少なくともその前面および側面を覆うようにクロス(6)を張設する工程(D)を有することを特徴とする吸音パネルの製造方法。
  2. 工程(A)では、吸音部材(3)の各側端面に接着剤(4)を介して薄板材(20)を貼り付けることにより、枠体(2)の内側に接着剤(4)を介して吸音部材(3)が嵌め込まれたパネル基体(1)を得ることを特徴とする請求項1に記載の吸音パネルの製造方法。
  3. 工程(A)または工程(B)において、枠体(2)を構成する薄板材(20)のうち、隣り合う薄板材(20)の端部どうしを連結手段(21)で連結することを特徴とする請求項2に記載の吸音パネルの製造方法。
  4. 工程(A)では、予め作成された枠体(2)の内側に接着剤(4)を介して吸音部材(3)を嵌め込むことにより、枠体(2)の内側に接着剤(4)を介して吸音部材(3)が嵌め込まれたパネル基体(1)を得ることを特徴とする請求項1に記載の吸音パネルの製造方法。
  5. 工程(B)では、パネル基体(1)を、対向する辺部間で締付手段(5)により拘束して締め付けするに際し、
    パネル基体(1)の対向する辺部の長手方向で間隔をおいた複数箇所において、締付手段(5)によりパネル基体(1)を対向する辺部間で拘束して締め付けするとともに、対向する辺部間距離の寸法出しを行うために各締付手段(5)の締め付け強さを調整することを特徴とする請求項1に記載の吸音パネルの製造方法。
  6. 締付手段(5)は、パネル基体(1)の対向する辺部間に巻き回してパネル基体(1)を縛ることにより締め付けする紐(5a)であることを特徴とする請求項5に記載の吸音パネルの製造方法。
  7. 締付手段(5)は、内側にパネル基体(1)を嵌め込むための型枠(11)を備える締付治具(5x)(但し、実質的に締付治具(5x)が型枠(11)からなる場合を含む。)であり、
    工程(B)では、締付治具(5x)の型枠(11)内にパネル基体(1)を嵌め込み、型枠(11)の内側寸法に合わせてパネル基体(1)を対向する辺部間で締め付けすることにより、パネル基体(1)の対向する辺部間距離の寸法出しを行うことを特徴とする請求項1に記載の吸音パネルの製造方法。
  8. パネル基体(1)において、枠体(2)の幅w(但し、パネル厚さ方向での幅)と吸音部材(3)の厚さtはt>wであり、パネル基体(1)の背面側では、吸音部材(3)の背面と枠体(2)の縁部は略面一であり、パネル基体(1)の前面側では、枠体(2)の縁部から吸音部材(3)の前面が突出していることを特徴とする請求項1に記載の吸音パネルの製造方法。
  9. 工程(C)では、パネル基体(1)を締付手段(5)で締め付けしたままで乾燥室に入れ、接着剤(4)を乾燥固化させることを特徴とする請求項1に記載の吸音パネルの製造方法。
  10. 工程(D)は、
    パネル基体(1)の側面全周に両面接着テープ(7)を、その片面側の接着面を介して貼り付ける工程(d1)と、
    パネル基体(1)に、その前面を覆うようにクロス(6)を被せた後、クロス(6)の織目が枠体(2)の縁部の長手方向と一致するように位置合わせした状態で、パネル基体(1)の前面からはみ出したクロス(6)の部分をパネル基体(1)の側面側に折り込んで、その一部分を両面接着テープ(7)の他面側の接着面に貼り付け、クロス(6)をパネル基体(1)に仮止めする工程(d2)と、
    パネル基体(1)の側面からはみ出したクロス(6)の部分を、パネル基体(1)の背面側に折り込んでパネル基体(1)の背面に接着剤を介して接着する工程(d3)を有することを特徴とする請求項1に記載の吸音パネルの製造方法。
  11. 工程(d3)では、パネル基体(1)の背面側に接着されたクロス(6)の部分を、クランプ板(9)でパネル基体(1)との間でクランプし、その状態で接着剤を乾燥固化させることを特徴とする請求項10に記載の吸音パネルの製造方法。
  12. 工程(D)は、さらに、パネル角部となるクロス(6)の部分の処理を行う工程(d4)を有し、
    該工程(d4)では、パネル角部となるクロス(6)の部分の内側に接着剤を塗布して、当該クロス(6)の部分をパネル基体(1)に沿うように整形し、前記接着剤を乾燥固化させた後、余分なクロス(6)の部分を切除し、さらに、そのクロス切除部にほつれ防止用の接着剤を塗布することを特徴とする請求項10または11に記載の吸音パネルの製造方法。
  13. さらに、パネル背面に、必要に応じて化粧用の被覆材を張り付けた後、パネル取付手段(8)を設ける工程(E)を有することを特徴とする請求項1に記載の吸音パネルの製造方法。
  14. 吸音パネルを製造する際に、薄板材で構成される枠体の内側に接着剤を介してボード状の吸音部材が嵌め込まれた平面多角形状のパネル基体を、その対向する辺部間で締め付けすることにより、パネル基体の対向する辺部間距離の寸法出しを行うための締付治具であって、
    内側にパネル基体を嵌め込むための型枠(11)を備えることを特徴とする吸音パネル製造用の締付治具(但し、実質的に締付治具が型枠(11)からなる場合を含む。)。
JP2023172460A 2023-10-04 2023-10-04 吸音パネルの製造方法 Active JP7433619B1 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2023172460A JP7433619B1 (ja) 2023-10-04 2023-10-04 吸音パネルの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2023172460A JP7433619B1 (ja) 2023-10-04 2023-10-04 吸音パネルの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP7433619B1 true JP7433619B1 (ja) 2024-02-20

Family

ID=89904455

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2023172460A Active JP7433619B1 (ja) 2023-10-04 2023-10-04 吸音パネルの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7433619B1 (ja)

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009157177A (ja) 2007-12-27 2009-07-16 Kosai Felt Kk 吸音材と吸音材製造方法

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009157177A (ja) 2007-12-27 2009-07-16 Kosai Felt Kk 吸音材と吸音材製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8281538B2 (en) Wallboard repair system and method
JP7433619B1 (ja) 吸音パネルの製造方法
JP2001081878A (ja) 吸音パネル及び音響パネル
JP2996913B2 (ja) 部材の接着固定方法および接着固定構造
JPS649421B2 (ja)
JPH01235764A (ja) 壁構造
JPH0249286Y2 (ja)
JPH07247624A (ja) 建築用パネル
JPH072826Y2 (ja) 間仕切壁構造
JPH04297654A (ja) パネル状床材
US20240171902A1 (en) Flat panel loudspeaker with overhanging panel and method of installation thereof
JP2004183231A (ja) 内装壁の直貼り工法
JP2004116118A (ja) 構造用パネル
KR20170003841U (ko) 경량보드 및 그 고정장치
JPH05280140A (ja) 吸音パネル
JPH08120878A (ja) 建築用内装材
JPH0972078A (ja) フローリング仕上げ二重床
JPS5936448Y2 (ja) 段ボ−ル製枠材
JPH0475128B2 (ja)
JPH11270121A (ja) 木質直貼り防音床材
JPS5846185Y2 (ja) 建築用の下地材
JP2588331Y2 (ja) 間仕切りパネル
JPS597936Y2 (ja) 防湿目地構造
JP2001011968A (ja) 建築用パネル
JP2000170279A (ja) 床構造

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20231130

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20231130

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20240130

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20240130

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7433619

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150