JP2000170279A

JP2000170279A - 床構造

Info

Publication number: JP2000170279A
Application number: JP10344341A
Authority: JP
Inventors: Masahiro Wada; 雅浩和田; Isao Suganuma; 功菅沼; Takehiro Tanaka; 雄大田中
Original assignee: Yoshino Gypsum Co Ltd
Current assignee: Yoshino Gypsum Co Ltd
Priority date: 1998-12-03
Filing date: 1998-12-03
Publication date: 2000-06-20

Abstract

(57)【要約】【課題】軽量衝撃音及び重量衝撃音に対し遮音効果が
あり、更に経済性があり、且つ防火性を有する床構造を
提供すること。【解決手段】床基板上に、表面に複数の窪み又は両面
に貫通する穴を施した少なくとも１枚の多孔質板、少な
くとも１枚の高密度板状体、及び仕上げ材又は仕上げ下
地材と仕上げ材が順次積層されていることを特徴とする
床構造。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、遮音性及び防火性
に優れ、且つ経済性を考慮した床構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】家屋においては、その階上と階下とは天
井と床とで区画されるが、近年、その床構造は、図３に
示すように、床根太ａの上に合板等の床板ｂを敷いて床
基板２とし、更に木質系床材等の仕上げ材５が施されて
構成されるものが多くなっている。

【０００３】この床構造は、快適な居住空間を保つ上で
主要因に挙げられる遮音性、即ち、ラジオ、テレビ及び
ステレオ等からの高い発生音（以下、室内騒音とい
う。）の空気伝播と固体伝播により階下に伝わる音の減
衰度合いを表示する空間音圧レベル差及び床への軽量衝
撃や重量衝撃による打撃音（以下、それぞれ軽量衝撃音
及び重量衝撃音という。）の遮音性に問題があり、木造
住宅、特に集合住宅においては、解決すべき最重要課題
の１つとされている。この解決策として、図４に示すよ
うに、ゴム系等の軟質遮音シート又は遮音マット１０を
木質系床材５の裏面に貼った木質系遮音床材やグラスマ
ット等を上記床構造に介在させ、遮音性の向上が図られ
てきている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、床構造
に遮音シート又は遮音マット等を介在させることは、床
の軽量衝撃音の遮音性能について改善効果をもたらす
が、これらの材料は高価であり、床構造の建設費用は自
ずと高いものとなる。又、この床構造では、床の重量衝
撃音については殆ど遮音効果が認められない。又、前記
床構造の欠陥として、その床構造が可燃性の素材により
構成されているため、防火性が劣ることが挙げられる。
従って、本発明の目的は、軽量衝撃音及び重量衝撃音に
対して優れた遮音効果があり、更に経済性があり、且つ
防火性を有する床構造を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的は以下の本発明
によって達成される。即ち、本発明は、床基板上に、表
面に複数の窪み又は両面に貫通する穴を施した少なくと
も１枚の多孔質板、少なくとも１枚の高密度板状体、及
び仕上げ材又は仕上げ下地材と仕上げ材が順次積層され
ていることを特徴とする床構造を提供する。

【０００６】本発明者等は、前記問題を鑑みて鋭意研究
したところ、床の構造体中に、多孔質板及び高密度板状
体を積層及び介在させることにより、床の軽量衝撃音及
び重量衝撃音を有効に遮断し、経済性があり且つ防火性
を有する床構造が得られるとの知見を得て本発明を完成
した。

【０００７】

【発明の実施の形態】次に好ましい実施の形態を挙げて
本発明を詳しく説明する。本発明の床構造に使用する多
孔質板とは、石膏ボード、石膏板、ガラス繊維補強石膏
板、抄造繊維石膏板及び硬質石膏板等の表裏両面に複数
の穴が貫通しているか、又は完全に穴が貫通せず表面に
窪みを付けた板状体であって、遮音性及び防火性に優れ
た性能を有するものが挙げられる。上記の多孔質板の密
度（比重）は０．５〜１．６であって、望ましくは０．
６〜１．０である。尚、ここにおける密度とは上記の窪
み或いは貫通孔を含めた多孔質板全体としての密度を意
味している。

【０００８】これらの多孔質板は、従来公知の製造方法
により製造されるものであり、例えば、上記多孔質板が
石膏ボードである場合には、焼石膏、接着剤、繊維材
料、必要であればその他の添加剤及び水をミキサーで混
練し、得られたスラリーを最終的にボード製品の表裏面
を構成する連続して流れる２枚の板紙又は石膏ボード原
紙の間に流し込み、次いで厚みや幅を決定する成型機を
通過させ、しかる後に表面に機械的に複数の窪みを付け
るか、或いは表裏面に貫通する複数の穴をあけて乾燥及
び裁断工程を経て得られる。又、これらの製造工程中で
窪み或いは貫通孔を設ける方法の他、当該乾燥及び裁断
工程を経たボード製品に複数の窪み或いは貫通孔を二次
工程において施すこともできる。

【０００９】つまり、上記に例示した石膏ボードとは、
石膏を芯とし、グラスティッシュや石膏ボード用原紙で
被覆してなる板状構造体の表面に複数の窪みを有するも
の、或いは表裏面を貫通する複数の穴を有し、それ自体
が断熱性、施工性の他、防火性及び経済性等に優れた特
性を有するものである。ここでいう窪み又は貫通孔は、
必ずしもサイズが等しく且つ全面に均一に施した場合に
限定されない。このような多孔質板の好適な１例として
は、密度０．７、厚さ７ｍｍ、幅９１０ｍｍ、長さ１８
２０ｍｍの多孔質石膏板（吉野石膏（株）製のニューラ
スボード）が挙げられるが、本発明は勿論この具体例に
限定されない。

【００１０】又、上記多孔質板としての石膏ボードの製
造時に、添加剤として防水剤、防かび剤等を前記スラリ
ーに添加することにより、防水性、防かび性等の性能を
付加することも可能である。更に上記多孔質板として、
防炎処理した厚紙も使用可能である。

【００１１】又、本発明の床構造で使用する高密度板状
体とは、石膏板、ガラス繊維補強石膏板、抄造繊維石膏
板及び硬質石膏板等であって、その密度が１．０〜１．
６、望ましくは１．１〜１．４を有し、高密度板状体の
持つ優れた性質に加え、表面硬度をも著しく向上させた
ものであり、従来公知の製造方法により製造されるもの
である。例えば、上記高密度板状体が硬質石膏板である
場合には、焼石膏、接着剤、繊維材料、必要であればそ
の他の添加剤及び水をミキサーで混練し、得られたスラ
リーを最終的にボード製品の表裏面を構成する連続して
流れる２枚の板紙又は石膏ボード原紙の間に流し込み、
次いで厚みや幅を決定する成型機を通過させた後、乾燥
及び裁断工程を経て得られるものである。

【００１２】更に、多孔質板の場合と同様に、その製造
時に添加剤として防水剤、防かび剤等を前記スラリーに
添加することにより、防水性、防かび性等の性質を付加
することもできる。このような高密度板状体の好適な１
例としては、密度１．３、厚さ１２．５ｍｍ、幅６０６
ｍｍ、長さ１８２０ｍｍの硬質石膏板（吉野石膏（株）
製のタイガースーパーハード）が挙げられるが、本発明
は勿論この具体例に限定されない。

【００１３】又、本発明の床構造における床基板とは、
木製や鋼製等の根太或いは根太上に配置された木板、合
板や無機質又は有機質繊維板等の基板、又はコンクリー
トやＡＬＣ板等のスラブで構成されたものをいい、該基
板上に配置される前記多孔質板及び高密度板状体で床構
造を構成する場合、それらの多孔質板同士の目地部（突
き合わせ部）、及び高密度板状体同士の目地部を相互に
ずらすことにより、得られる床構造の遮音性を更に向上
させることができる。

【００１４】尚、コンクリート等のスラブを床基板とし
て本発明の床構造を構成するときは、スラブ面に根太を
設けずに、直接多孔質板、或いは多孔質板と高密度板状
体との積層板をスラブ面に配置したり、又、スラブ面に
砂等を散布してスラブ面をレベル調整した後に、多孔質
板或いは多孔質板と高密度板状体との積層板をスラブ面
に配し、その上に仕上げ材等を施すことができる。

【００１５】高密度板状体或いは多孔質板と高密度板状
体との積層板上に配置する仕上げ材としては、意匠性の
木質系床材やシート等が挙げられ、これらの仕上げ材を
高密度板状体上に配置することによって本発明の遮音性
の床構造は完成される。尚、意匠性のシートの場合は、
一般的には該シートを合板等の捨て張り材に貼ったもの
が設置される。更に、多孔質板と高密度板状体と化粧材
とを積層した複合板を床基材上に配置することによって
遮音性を有する本発明の床構造とすることもできる。勿
論、仕上げ材として畳を使用することもできる。

【００１６】このような構成の床構造において、上記の
多孔質板のみを張設した床構造では、軽量衝撃音の遮音
性には効果があるが、この多孔質板と高密度板状体とを
積層することにより、その床構造は、軽量衝撃音におい
て多孔質板のみを使用した床構造よりも著しい遮音効果
が得られるのみならず、重量衝撃音においても著しい遮
音効果を得ることができる。特に、窪み加工を施した多
孔質板と高密度板状体との組み合わせにおいて、この窪
みのある面と高密度板状体の表裏面のいずれか片面を合
わせることにより更に遮音効果は向上する。

【００１７】又、遮音性をより向上させる床構造とし
て、図示していないが、前記構造に加え、根太及び根太
上に配置された木板や合板等の基板の裏面（階下側）に
グラスウールやロックウール等で構成される面材を遮音
材として直接配置することができる。更に、本発明の床
構造には、従来より使用されている遮音シートや木質系
遮音床材等の遮音材を介在させ、遮音性をより向上させ
ることができる。又、本発明の床構造は、階上と階下を
区画しない１階の床構造としても使用できることは当然
である。

【００１８】

【実施例】次に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更
に具体的に説明する。図１と図２は、本発明の一例を示
す床構造の一部切り欠き斜視図である。

【００１９】実施例１図１に示すように、本発明の床構造１を次のように構築
した。３８×４３ｍｍ角の根太ａが４５５ｍｍピッチで
配列した上に、基板ｂとして厚さ１２ｍｍ、幅９１０ｍ
ｍ、長さ１８２０ｍｍの合板を取り付けて床基板２を構
築し、該床基板２の合板ｂ上に、密度０．７、厚さ７ｍ
ｍ、幅９１０ｍｍ、長さ１８２０ｍｍの多孔質石膏板３
（吉野石膏（株）製のニューラスボード）を積層固定
し、更に、その面に密度１．３、厚さ１２．５ｍｍ、幅
６０６ｍｍ、長さ１８２０ｍｍの硬質石膏板４（吉野石
膏（株）製のタイガースーパーハード）を、その目地部
が前記多孔質石膏板３の目地部とずれるように張設し、
更にその面に厚さ１２ｍｍ、幅３００ｍｍ、長さ１８０
０ｍｍの木質系床仕上げ材５を、その目地部が前記硬質
石膏板４の目地部とずれるように張設し、本発明の床構
造を得た。

【００２０】次いで、天井は図２に示すように、前記そ
れぞれの根太ａに、３８×４３ｍｍ角の吊り木６を４５
５ｍｍ間隔で図に示すように取り付け、更に各吊り木６
の先端部の横に野縁７を格子状に取り付け、厚さ９．５
ｍｍ、幅４５５ｍｍ、長さ９１０ｍｍの天井板８（吉野
石膏（株）製のジプトーン）をその目地部９が野縁面の
中央になるように固定して、階上と階下を隔てる区画構
造を構築した。

【００２１】実施例２実施例１と同様に、床基板２の上に、密度０．７、厚さ
９．５ｍｍ、幅９１０ｍｍ、長さ１８２０ｍｍの多孔質
石膏板３（吉野石膏（株）製のタイガートーン）を固定
し、更に密度１．３、厚さ１２．５ｍｍ、幅６０６ｍ
ｍ、長さ１８２０ｍｍの硬質石膏板４（吉野石膏（株）
製のタイガースーパーハード）をその目地部が前記多孔
質石膏板３の目地部とずれるように張設し、前記と同様
に木質系床仕上げ材５を張設して本発明の床構造を得
た。次いで、天井８についても実施例１と同様に設け、
区画構造を構築した。

【００２２】比較例１実施例１と同様に、図３に示すように、床基板２の上に
実施例１と同様の仕上げ材５を張設し、更に天井を実施
例１と同様に設け、比較例の区画構造を構築した。

【００２３】比較例２実施例１と同様に、図４に示すように、床基板２の上に
厚み６．０ｍｍ、幅９１０ｍｍ、長さ１８２０ｍｍのゴ
ム系の遮音マット１０を張設し、その上に前記と同様に
して木質系床仕上げ材５を張設して比較例の床構造を得
た。次いで天井についても実施例１と同様に天井板設
け、比較例の区画構造を構築した。

【００２４】比較例３実施例１と同様に、図５に示すように、床基板２の上に
厚み９．５ｍｍ、幅９１０ｍｍ、長さ１８２０ｍｍの表
面の窪み又は貫通孔を持たない普通石膏ボード１１（吉
野石膏（株）製９．５ｍｍタイガーボード）を固定
し、更に密度１．３、厚さ１２．５ｍｍ、幅６０６ｍ
ｍ、長さ１８２０ｍｍの硬質石膏板４（吉野石膏（株）
製タイガースーパーハード）をその目地部が前記普通
石膏ボード１１の目地部とずれるように張設し、その上
に前記と同様にして木質系床仕上げ材５を張設して比較
例の床構造を得た。次いで天井についても実施例１と同
様に設け、比較例の区画構造を構築した。

【００２５】次に、各実施例と比較例における床と天井
からなる階上と階下を隔てる各区画構造につき、床衝撃
音レベルの測定をＪＩＳＡ１４１８に従って測定し
た。尚、防火性については、床構造の構成から建設省告
示第１４５３号に基づいて判断した。これらの結果を表
１に示す。

【００２６】実施例１の床構造を用いた区画構造は、比
較例１の従来の床構造を用いた区画構造と比較し、軽量
衝撃音及び重量衝撃音ともに著しい遮音効果が認められ
た。又、実施例２においては、実施例１に使用した石膏
ラスボードに代えて、全面に貫通孔を均一に有する穴あ
き石膏ボードであるタイガートーンを使用した場合であ
っても、重量衝撃音及び軽量衝撃音において実施例１と
同等の効果を有する床構造を構築することができた。更
に、実施例１及び実施例２の床構造を用いた区画構造
は、比較例３の区画構造と比較すると、重量床衝撃音の
遮音、防火性及び経済性は同様であるが、軽量床衝撃音
の遮音に著しく優れていることが分かる。

【００２７】又、実施例１及び実施例２の区画構造の防
火性は、各区画構造を構成する床構造の部分が、建設省
告示第１４５３号の準耐火４５分の性能に相当するの
で、比較例１及び比較例２より向上したものとなる。こ
れらに加え、比較例２との比較により、従来のゴム系遮
音マットを使用した床構造と比べ、特に重量衝撃音の遮
音性能について著しい効果があり、且つ遮音マットを使
用した床構造よりも優れた防火性能を有する経済性の高
い床構造を構築することができる。

【００２８】表１床衝撃音レベル、防火性及び経済
性ＬＬ：軽量床衝撃音、ＬＨ：重量床衝撃音

【００２９】

【発明の効果】本発明によれば、多孔質板及び高密度板
状体を床構造体中に介在させることにより、従来の遮音
マット等を使用しない床構造或いは遮音マット等を床構
造中に介在させた床構造と比較しても軽量及び重量衝撃
音について優れた遮断効果を有し、且つこれらの床構造
よりも優れた防火性能、更には高い経済性を備えた床構
造を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一例を示す床構造の斜視図

【図２】図１の本発明の床構造の階下に、一般的な天
井構造Ａを設けた階上と階下を隔てる区画構造の斜視図

【図３】比較例１の床構造の斜視図

【図４】比較例２の床構造の斜視図

【図５】比較例３の床構造の斜視図

【符号の説明】

１：床構造２：根太と基板で構成された床基板３：多孔質板４：高密度板状体５：仕上げ材６：根太ａに取り付けた吊り木７：吊り木に取り付けた野縁８：野縁に取り付けた天井板９：目地部１０：ゴム系の遮音マット１１：普通石膏ボードａ：根太ｂ：基板Ａ：天井構造

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者田中雄大東京都足立区江北２−１−１吉野石膏株式会社技術研究所内Ｆターム(参考） 2E001 DE01 DF02 FA11 GA11 GA81 HA03 4F100 AE06C AP00 AT00A AT00B AT00C AT00D BA04 BA07 BA10A BA10D DC11B DC14B GB08 HB00D JA13B JA14C JH01 JJ07 YY00B YY00C

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】床基板上に、表面に複数の窪み又は両面
に貫通する穴を施した少なくとも１枚の多孔質板、少な
くとも１枚の高密度板状体、及び仕上げ材又は仕上げ下
地材と仕上げ材が順次積層されていることを特徴とする
床構造。
【請求項２】高密度板状体の密度が１．０〜１．６で
あり、多孔質板の密度が０．５〜１．６である請求項１
に記載の床構造。
【請求項３】高密度板状体の密度が１．１〜１．４で
あり、多孔質板の密度が０．６〜１．０である請求項２
に記載の床構造。
【請求項４】高密度板状体が石膏系高密度板状体であ
り、多孔質板が石膏を成分とする板状体である請求項
１、２又は３に記載の床構造。