JP2004183231A - 内装壁の直貼り工法 - Google Patents

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Akira Takahara
明 高原
Takumi Fujita
巧 藤田
Masami Masuda
雅己 増田
Wataru Nitta
亙 新田
Masanori Okuoka
正規 奥岡
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Abstract

【課題】装飾時の作業性を確保した上で、構造躯体の吸音性能の改善を図る。
【解決手段】本施工法は、コンクリート躯体10の側面壁10Aに板面を貫通してなる吸音孔16Aを備えた吸音ボード16を貼りつけ、更に、それに重ねて吸音ボード16と共に内装壁15を構成する内装ボード17を貼りつけるものである。従って、コンクリート躯体10を透過して室内側に進入する音波が吸音孔16Aによって吸収される。このように、透過した音波が弱まると、音波と内装壁との共鳴現象が起こりにくくなり、特に低周波域での遮音性が改善される。
また、内装ボード17の側面17Aは平滑面となっているから、化粧紙20の貼りつけ、或いはペンキの塗布等の装飾が簡単にでき、仕上がりも良好である。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内装壁の直貼り工法に関する。
【従来の技術】
建築物の側壁の内装工法として、直貼り工法が知られている(特許文献1)。図5に示すように、直貼り工法は建築物のコンクリート躯体10に対し石膏ボード等の内装板Cを、直貼り工法用接着剤21を用いて直接接着するものである。この直貼り工法は、躯体面の精度に関係なく仕上げ面の精度を得ることが出来、又作業が容易で施工コストが安価なことから広く使用されている。
しかしながら、直貼り工法では、コンクリート躯体10と内装板Cとの間に、直貼り工法用接着剤21の厚み分の空気層が形成される。一方、外部から入射した音波はその一部はコンクリート躯体10に吸収されるが、残りは透過する。すると、この透過した音波は内装板Cに達し、内装板Cを振動させる。この時、内装板Cと透過した音波がある低い周波数域で共鳴をおこし、遮音性能が低下(共鳴透過現象)することがが知られており、その対策として新たに遮音対策用の専用部品を追加するなどが検討された。
【0002】
【特許文献1】
特開2001−152571公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ボード自体で吸音を図るものはすでに知られている。この種のボードは例えば石膏ボード、スレートボード、ハードファイバーボード等であり、その板面にはボードを貫通する吸音孔が多数設けられている。これらボードは専ら天井面に使用されることが多く、側面壁に使用されることが無かった。
というのは、側面壁は装飾することが要求されるが、上記のような吸音孔が貫通した形式のものでは化粧紙等を貼りずらく、又ペンキによる装飾では吸音孔を隠すことができない。以上のことから、躯体の側面壁に貼られる内装壁として、装飾が容易にでき、更に、吸音性に優れ、かつ簡易構造であるものの開発が望まれていた。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、構造が簡易で装飾が容易にでき、かつ吸音性能に優れる内装壁の直貼り工法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は構造躯体の側面壁の複数箇所に接着剤を塗布し、一方の側面には多数個の吸音孔が凹設され他方の側面は全体が平滑面に形成された内装壁を、前記吸音孔が凹設された側の側面を前記構造躯体の側面壁に対面させて貼りつけるところに特徴を有する。
【0005】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記構造躯体の側面壁に板面を貫通してなる前記吸音孔を備えた吸音ボートを貼りつけ、それに重ねて、前記吸音ボードと共に前記内装壁を構成するとともに少なくともいずれか一方側の側面が平滑面とされた内装ボードを前記平滑面を室内側に向けて貼りつけるところに特徴を有する。
請求項3の発明は、構造躯体の側面壁の複数箇所に接着剤を塗布して、直接貼りつけられる内装壁であって、前記内装壁には前記構造躯体の側面壁との対向面側に開口し、前記対向面と反対の面側が閉じた非貫通形式の吸音孔が設けられるとともに、前記反対の面は全体が平滑面に形成された構成であるところに特徴を有する。
【0006】
【発明の作用及び効果】
<請求項1の発明>
請求項1の発明によれば、内装壁における構造躯体の側面壁との対向面には吸音孔が設けられているから、構造躯体を透過して室内側に進入する音波が吸収される。このように、透過した音波が弱まると、音波と内装壁との共鳴現象が起こりにくくなり、特に低周波域での遮音性が改善される。また、内装壁の室内空間側の側面は平滑面となっているから、化粧紙の貼りつけ、或いはペンキの塗布等の装飾が簡単にでき、仕上がりも良好である。
更に、内装壁自体に吸音孔を設ける形態としたから、遮音対策用の専用部品を必要とせず構造・施工が簡便である。
【0007】
<請求項2の発明>
請求項2の発明によれば、吸音孔は貫通式のものであるから、吸音ボードとしては吸音用あなあき石膏ボード、スレートボード、ハードファイバーボード等のJIS規格品を使用することができ、材料入手が容易である。また、内装ボードは吸音ボードに重ねて配されるから内装壁自体の強度は維持されるとともに、室内側の側面が平滑面であるため化粧紙の貼りつけ、ペンキの塗布等の装飾作業が容易である。
<請求項3の発明>
請求項3の発明によれば、内装壁は一枚板により構成されるため、構造が単純であり、施工する際の工数も少なくなる。
【0008】
【発明の実施の形態】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態を図1ないし図3によって説明する。
本実施形態は、室内空間を区画するコンクリート躯体10(本発明の構造躯体に相当する)の側面壁10Aに対し内装壁15を直接接着させる直貼り工法により施工するものである。
【0009】
内装壁15は吸音ボード16及び内装ボード17の2枚のボードにより構成されている。吸音ボード16は石膏を主成分とした芯材層の両面をせっこうボード用原紙で被覆し板状に形成されるとともに、この実施形態のものは厚さ寸法が9.5mmとされている。吸音ボード16は板面を貫通してなる吸音孔16Aが多数設けられている。この吸音孔16Aは、吸音ボード16の石膏が固化した後、製造ライン上において板面にドリルを貫通させて形成され、その孔径は約6mmである。また、吸音ボード16のうち内装ボード17と対面する側の側面にはシート状の薄い裏打ち紙(図示せず)が全面に貼付され、前記吸音孔16Aが塞がれている。裏打ち紙は膜振動によって音を吸収する効果を有する。一方、内装ボード17は無孔状の板材であって、吸音ボード16と同様に石膏を主成分としその厚さ寸法は9.5mmである。内装ボード17の側面17Aは両側とも平面加工されており全体が平滑面とされている。
【0010】
以下、図1を参照して内装壁15の施工方法について説明する。
コンクリート躯体10の側面壁10Aは打放し面であり、内装壁15を取り付けるための下地処理が施される。下地処理は側面壁10Aから突出したボルト(図示せず)等の除去及び、表面のよごれ、ごみをブラシによって極力取り除くものである。
下地処理に続いて、石膏系の接着剤を水で混練して作られた直貼り工法用接着剤(本発明の接着剤に相当する)21を側面壁10Aの壁面に対し100mm〜300mm間隔毎に、だんご状に塗付する。
【0011】
その後、側面壁10Aに対し吸音ボード16を裏打ち紙が貼られた側の側面を室内側に向けて貼り合わせるとともに、天井面側に設けられた墨線に吸音ボード16の上縁を、フロア側に設けられた墨線に吸音ボード16の下縁をそれぞれ位置合わせする。これにより、吸音ボード16の奥行き方向の位置が定まる。なお、この状態において吸音ボード16と側面壁10Aとの間には、図1に示すように空気層B(ボンドの厚み分)が形成される。直貼り工法用接着剤21が硬化し、吸音ボード16が側面壁10Aに完全に固定されたら、吸音ボード16に重ねて内装ボード17の取り付けを行う。それには、内装ボード17或いは吸音ボード16の表面に接着剤(この場合、特に種類に指定はなく例えば、市販されている合成接着剤でよい)を塗布し、内装ボード17を吸音ボード16に密着させ両ボード16、17を貼り合わせる。これにて、内装壁15の施工が完了する。
【0012】
こうして施工された内装壁15には仕上げに室内装飾が施される。ここでは化粧紙20の貼りつけを例にとって説明する。化粧紙20は、例えば塩化ビニル系や、紙、不織布などの素材を用いたシート状をなす。一方、内装ボード17の側面17Aは平滑面となっているから簡単に化粧紙20を張り合わせることができ、また化粧紙20の表面は、凹凸が出来ず平滑となるから仕上がりがよい。更に、吸音孔16Aは板面を貫通する形式のものであるから、吸音ボード16としては吸音用あなあき石膏ボード、スレートボード、ハードファイバーボード等のJIS規格品を使用することができ、材料入手が容易である。
【0013】
ところで、内装壁15はコンクリート躯体10と共に、室内を区画するものであるから、要求品質として遮音性が挙げられるが、従来の直貼り工法(遮音対策を特に設けないもの)によるもの(コンクリート躯体10に無孔の内装板Cのみを貼り付けるもの)では以下のような問題点があった。図5に示すように、室外からの音波は、その一部についてはコンクリート躯体10に吸収されるが、残りはコンクリート躯体10を透過して室内側に進入し内装板Cを振動させる。この時、内装板Cと透過した音波がある低い周波数域で共鳴をおこし、遮音性能が低下する(共鳴透過現象)。しかし、本実施形態の直貼り工法(以下、本施工法とする)では、側面壁10Aに対して吸音孔16Aを設けた吸音ボード16を対面させて取り付けるから、コンクリート躯体10を透過した音波は吸音孔16Aによって吸収され、内装壁15と透過した音波との共鳴が起こり難くなる。更に、本施工法は、この吸音ボード16に対し重ねて内装ボード17を取り付けるものであるから、前述したように内装壁15の装飾性、及びその作業性を損なうことがない。
また、内装壁15は吸音ボード16側に貫通形式の吸音孔16Aが設けられているが、内装ボード17側は無孔状であるから全体の強度が大きく低下することがない。更に、内装壁15自体に吸音構造(吸音ボード16)を設けたから、遮音対策用の専用部品を新たに追加する場合に比べて構造も簡便である。
【0014】
また、遮音性能についての確認試験を行った。確認試験としては、各施工法により施工された壁体について音響透過損失(▲1▼式にて示す)を計測するものである。尚、音響透過損失はその値が大きいほど遮音性に優れる。
音響透過損失=10Log(Ei)−10Log(Eo)・・・・・・▲1▼
Ei=入射音のエネルギー
Eo=透過音のエネルギーである。
【0015】
具体的には、コンクリート躯体10のみの場合、コンクリート躯体10に対し従来の直貼り工法により内装板を施工した場合、本施工法により内装壁15を施工した場合についてそれぞ音響透過損失を測定し、その比較を行った(図3参照)。一般に、音響透過損失は壁の質量と周波数に比例する(質量則)ことが知られており、同図に示すようにコンクリート躯体10のみの場合も同様である。また、従来工法は中心周波数が約500ヘルツ以上の帯域においてはコンクリート躯体10のみの場合に比較して音響透過損失が大きくなっており高域での特性が幾らか向上しているが、中心周波数が約100〜500ヘルツの帯域にある時には、コンクリート躯体10のみ場合に比べて音響透過損失が低下している(共鳴透過現象)。
【0016】
一方、本施工法のものでは中心周波数が約500ヘルツ以上の帯域では従来工法と同様の特性であり、中心周波数が約100〜500ヘルツである帯域においても、従来工法で見られた音響透過損失の低下が改善され、その値はコンクリート躯体10のみの場合とほぼ等しくなっている。このように、本施工法のものでは、低周波帯域から高周波帯域の全域において音響透過損失の低下が見られず、周波数特性の改善が図られている。
尚、本計測は、以下の試材を使用しJIS規格A1416に基づいて測定を行った。
【0017】
コンクリート躯体10としては3400mm×3000mm×150mm(縦×横×厚さ)のものを使用した。
本施工法には、板面に孔径6mmの吸音孔を22mmピッチに貫通させた吸音ボード16と無孔状の内装ボード17を使用した。吸音ボード16及び内装ボード17は共に厚さ9.5mm、面密度は6.7kg/mのものをそれぞれ使用した。吸音ボード16における内装ボードとの対向面には、全面に裏打ち紙を貼りつけた。
従来工法には、本施工法に使用した内装ボードを2枚重ねした。2枚重ねとしたのは、本施工法の場合とボードの厚みを揃えるためである。
ボードはコンクリート躯体10の両面に貼り付けることとし、壁全体の厚さは210mmとした。尚、コンクリート躯体10から内装壁15の表面までの厚さ寸法(図1のA寸法)は30mmである。
【0018】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態を図4によって説明する。
第1実施形態においては、内装壁15を吸音ボード16と内装ボード17により構成したが、第2実施形態では1枚の板材により構成している。すなわち、第2実施形態の内装壁30はコンクリート躯体10の側面壁10Aとの対向面30Aに開口し、対向面30Aと反対側の面30Bが閉じた非貫通形式の吸音孔30Cが設けられるとともに、反対の面30Bは全体が平滑面に形成されている。尚、施工方法は、内装壁30をコンクリート躯体10に対し直貼り工法用接着剤21により直接貼り付けるものであるため重複した部品には同一符号を付し、重複した説明を省略する。
【0019】
このように内装壁30はコンクリート躯体10の側面壁10Aとの対向面30A側に吸音孔30Cが設けられているため、第1実施形態と同様に吸音性に優れる。また、この吸音孔30Cは非貫通形式のものであり、反対側の面30Bは平滑面となっているので装飾する際の作業性にも優れる。
更に、内装壁30が一枚板の構成であることから、構造が単純であり施工が容易であり、施工する際の工数も少なくなる。
【0020】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0021】
(1)第1・2実施形態においては、コンクリート躯体10と内装壁15の貼り付けには石膏系の接着剤21を使用したが、アクリル系やエポキシ樹脂系等の有機質系接着剤や、無機質系接着剤を使用するものであってもよい。
【0022】
(2)第1・2実施形態においては、吸音孔16Aは規格品を使用する都合上孔径をほぼ6mmとしたが、なるべく小さな孔を多数設けると有効である。
【0023】
(3)第1・2実施形態においては、内装壁15の装飾を化粧紙20によって行ったが、ペンキ等により装飾を行ってもよい。
【0024】
(4)第1・2実施形態においては、内装壁15をコンクリート躯体10に対して貼りつけたが、構造躯体としては特にコンクリート躯体10に限定されるものではなく、ブロックや軽量気泡コンクリート等に対して施工するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態における内装壁の構造を示す断面図
【図2】吸音ボードの正面図
【図3】音響透過損失の周波数特性を表すグラフ
【図4】第2実施形態における内装壁の構造を示す断面図
【図5】従来例の断面図
【符号の説明】
10…コンクリート躯体(構造躯体)
10A…側面壁
15…内装壁
16…吸音ボード
16A…吸音孔
17…内装ボード

Claims (3)

  1. 構造躯体の側面壁の複数箇所に接着剤を塗布し、
    一方の側面には多数個の吸音孔が凹設され他方の側面は全体が平滑面に形成された内装壁を、前記吸音孔が凹設された側の側面を前記構造躯体の側面壁に対面させて貼りつける内装壁の直貼り工法。
  2. 前記構造躯体の側面壁に板面を貫通してなる前記吸音孔を備えた吸音ボートを貼りつけ、それに重ねて、
    前記吸音ボードと共に前記内装壁を構成するとともに少なくともいずれか一方側の側面が平滑面とされた内装ボードを、前記平滑面を室内側に向けて貼りつけることを特徴とする請求項1記載の内装壁の直貼り工法。
  3. 構造躯体の側面壁の複数箇所に接着剤を塗布して、直接貼りつけられる内装壁であって、
    前記内装壁には前記構造躯体の側面壁との対向面側に開口し、前記対向面と反対の面側が閉じた非貫通形式の吸音孔が設けられるとともに、前記反対の面は全体が平滑面に形成された構成であることを特徴とする内装壁。
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JP2007016422A (ja) * 2005-07-05 2007-01-25 Daiwa House Ind Co Ltd 遮音壁の構造

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