JP4409195B2 - 内外装壁 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物のコンクリート躯体壁(ALC壁などを広く含む)の表面に接着材により面材を貼りつけて構成される平滑な内外装壁(内外装用下地を含む)に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンクリートやALC板等の躯体壁面、ウレタン吹付けやウレタンパネル打込み等の断熱壁面は一般に不陸を有しており、そのままでは壁紙などの内外装仕上用下地面とすることは出来ない。
従来、このような壁面に平滑な内外装下地面、内外装面を確保するために、▲1▼躯体壁面等にモルタルなどを塗付ける工法、▲2▼躯体壁面と別途に鋼材,木材などで下地骨組をつくり内外装用ボードを貼り付ける工法、▲3▼躯体壁面に石膏系等の接着材を鏝などで団子状に適当な間隔で塗付け、この接着材塗付け面に内外装用ボードを直貼りする工法(一般にGL工法と呼ばれている)などが用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来工法▲1▼〜▲3▼には以下のような問題がある。
▲1▼仕上げ面まで含めた壁厚が最小で済むが、躯体壁面自体のひび割れや塗りつけたモルタルの乾燥収縮によるひび割れにより、仕上げである壁紙に亀裂が入ったり、下地のひび割れに対応した位置に線状の汚れが生じてしまう。熟練工でないと平滑な下地面を造ることがむずかしい。
▲2▼ボードを鋼材や木材などの下地骨組が必要であるためコストが高く、工期も長い。間柱の寸法と内外装用ボードの厚さ分が必要であるため躯体面から仕上げ面までの寸法が大きくなってしまう(仕上げ面まで含めた壁厚が厚くなってしまう)。
▲3▼この直貼工法によれば、内外装用ボードを貼るときの押し当て具合だけでボード面の位置調整ができ、その後の接着材の硬化によって内外装用ボードを固定することができるため、平滑な内外装下地面を簡便に施工できるという利点がある。また、躯体と内外装用ボードの間に閉じ込められる空気層が薄く仕上げ面まで寸法が小さくて済む(仕上げ面まで含めた壁厚が薄くてすむ)という利点がある。
【0004】
しかしながら、内外装用ボードとして用いられている石膏ボードが使われている一般的な仕様では、オクターブバンドで250Hz〜500Hz帯域の低中音域および2kHz〜4kHz帯域の高音域で遮音性能が躯体壁素地よりも低下してしまう遮音欠損現象が知られている。低中音域での遮音欠損は内外装ボードを質量とし、ボードと躯体壁の間に封入されている空気のバネおよび接着材で点状に支持されたボードの曲げバネによって構成される共振現象による共鳴透過といわれるものである。高音域での遮音欠損はボードに斜めに入射する音波の波長とボードの曲げ振動の波長が一致することによって生じる音波と曲げ振動の一種の共振現象(コインシデンス効果)によるものである。
図15(A)、(B)にコンクリート躯体壁60に均一の厚さの石膏ボード70を直貼りした従来の内外装壁を示す。図16に厚さ75mmの軽量コンクリート製の躯体壁60の両面に、面材として従来の石膏ボード70を用いた直貼り工法壁を施工した場合の遮音性能の測定結果を示す。
躯体壁60単体の遮音性能に比べて、従来の石膏ボード70による直貼り工法壁を施工すると、250Hz帯域付近で共鳴透過による大きな遮音性能の低下(遮音欠損)が見られる。また、4000Hz帯域付近でコインシデンス効果による大きな遮音欠損が見られる。
【0005】
したがって、この工法を集合住宅の戸境壁に用いると、男性の低い声が低中音域の遮音欠損により隣りの住戸に“ボソボソ”という感じで抜けてしまったり、電話の着信音が高音域の遮音欠損により隣りの住戸に筒抜けになってしまうなど、生活環境やプライバシー上問題が生じる。
この工法は事務所ビルやその他の用途の建物において「機械室と会議室」、「会議室と会議室」など遮音性能が要求される壁の仕上げに用いることは望ましくない。
そこで、このような直貼り工法の遮音性能を改善する方法として、接着材と面材をスペーサーを介して接合する方法(例えば特許文献1、特許文献2)や面材側に弾性を有する接着材を線状に塗り付ける方法(例えば、特許文献3、特許文献4)などが提案されているが、施工に手間が掛かる、接着材の使用量の増加及び弾性接着材使用により価格が増加するなどの問題がある。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−147995号公報
【特許文献2】
特開平10−292523号公報
【特許文献3】
特開2001−27028号公報
【特許文献4】
特開2002−121879号公報
【0007】
本発明は前記事情に鑑み案出されたものであって、本発明の目的は、内外装ボード直貼り工法(GL工法)の施工の簡便さや仕上げ寸法を薄くできるという利点を損なうことなく、かつ石膏ボードを用いた一般的な直貼り工法壁に比して良好な遮音性能を有する内外装壁を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため本発明は、コンクリート躯体壁に接着材を介して面材が取着されることで形成される内外装壁であって、前記面材は、2枚の板状部材と、膜材とを含んで構成され、前記各板状部材は、平板部と空間配列部とを備え、前記空間配列部は、リブとこのリブにより互いに仕切られ前記平板部の面方向に沿って並べられ前記平板部とは反対の方向に開放状の多数の空間とで構成され、前記面材は、前記2枚の板状部材の前記空間配列部を向かい合わせそれらの間に膜材を介在させ各板状部材の多数の空間を閉塞した状態で接着されて構成され、前記面材は、2枚の板状部材の一方の平板部を前記コンクリート躯体壁に向けて前記コンクリート躯体壁に取着されていることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
まず、参考例1から説明する。
図1は参考例1に係る内外装壁の正面図、図2は内外装壁の断面図、図3(A)は板状部材の正面図、(B)は(A)のBB断面図を示す。
内外装壁12は、コンクリート躯体壁14と、このコンクリート躯体壁14の表面(躯体と一体になった断熱層がある場合は断熱材面)に取着された面材としての板状部材(セルボード)16で構成されている。
板状部材16は軽量でかつ剛性を有しており、コンクリート躯体壁14の表面に団子状に散在して塗り付けられた接着材18(参考例1では石膏系接着材)によりコンクリート躯体壁14に取着されている。なお、接着材18は帯状に塗り付けてもよい。
【0010】
板状部材16は、図3に示すように、平板部20と、この平板部20の一方に形成された空間配列部22とで一体成形されている。
空間配列部22は、平板部20の一方の面に突設されたリブ24と、このリブ24により互いに仕切られ平板部20の面方向に沿って並べられた多数の開放状の空間26とで構成されている。
板状部材16の一方の面は、平板部20の他方の面をなす平坦面2002により構成され、板状部材16の他方の面は、リブ24の先端面2402で構成されている。平坦面2002は内外装面(内装面あるいは外装面あるいは内装下地面あるいは外装下地面)とされ、先端面2402はコンクリート躯体壁14への接着面とされる。
空間26の形状は、図3(A)、(B)に示すように正六角形(ハニカム)形状であってもよく、図4(A)、(B)に示すように正方形形状であってもよく、あるいは、三角形や円形などであってもよく、あるいはこれらの組み合わせなどであってもよい。また、空間26は規則正しく縦横に整列している必要はなく、ランダムな配列であってもよい。
【0011】
このような軽量でかつ剛性を有する板状部材16として、繊維系パネルや合成樹脂系パネル、木質系パネル(紙を含む)、金属系パネルなどを使用できる。
繊維系パネルとしては、例えば、特開2000−256998号公報や特開2000−96468号公報などで公知のものを使用でき、市販品としては、例えば、太平洋セメント株式会社の商品名「グリッドゴアパネル」などを使用できる。
内外装壁12の施工方法は従来の石膏ボード直貼り工法壁と基本的に同じであり、コンクリート躯体壁14に接着材18を団子状に散在させて塗りつけたところに、リブ24の先端面2402をコンクリート躯体壁14に向け、接着材18に対して(コンクリート躯体壁14側に)板状部材16を押し付け、押し付け具合により、面の出入りを調整して行なう。
そして、板状部材16は、リブ24の先端面2402をコンクリート躯体壁14から離間させた状態で取着され、平坦面2002は外側に向けられ、参考例1では、平坦面2002が鉛直面に沿うように配置されている。
なお、接着材18の塗付け量や塗付け間隔は従来の直貼り工法と同様であってもよく、あるいは、1ヶ所ごとの塗付け量や塗付け間隔がランダムであっても差し支えない。
【0012】
参考例1の内外装壁12では、従来の均質平板を用いた直貼り工法壁と同様に低中音域において、板状部材16の質量と、板状部材16とコンクリート躯体壁14の間に封入されている空気層28のバネおよび接着材18で点状に支持された板状部材16の曲げバネで構成される共振系による共鳴透過による遮音量の低下が発生するが、板状部材16は、平板部20とリブ24で構成されており、平板部20をリブ24が拘束するため、均質平板よりも低次の振動モードすなわち低中音域における振動減衰が大きく、共振や共鳴による遮音性能の低下量を小さくすることができる。
また、従来の均質平板を用いた直貼り工法壁と同様に高音域において、空気音の波長と板状部材16の曲げ振動の波長が一致することによって生じるコインシデンス効果により遮音量の低下が発生するが、平板部20とリブ24で構成される板状部材16は、面材として必要な強度を石膏ボードなどの均質平板よりも軽量で得られるため、コインシデンス効果による遮音低下が発生する周波数(コインシデンス限界周波数)を聴感上影響の少ない高音域にシフトすることができる。
【0013】
また、板状部材16の接着面には、多数の空間26が開放状に形成されているため、取着時に、接着材18が空間26内にランダムな深さで侵入し硬化することによって、板状部材16の接着面が平面であるときに比べて接触面積が大きくなり、板状部材16の振動に対するダンピングが働くことによって遮音性能の向上に有効となる。
また、接着材18が空間26内にランダムな深さで侵入し硬化し固定することによって、接着面が平面の場合に比べ背後空気層の厚さがランダムになり、空気バネによる明確な共振現象が出にくい。
【0014】
図5に内外装壁12の実施例を示す。
コンクリート躯体壁14は、厚さ75mmの軽量コンクリート製である。
図3の板状部材16をコンクリート躯体壁14の両面に取着して内外装壁12を構成した。
板状部材16として、特開2000−256998号公報、特開2000−96498号公報に示される製造方法によって製造された繊維系パネル[木材繊維や再生紙などの原料を加熱圧縮成形して作られるパネル](厚さ:9.5mm、平板厚さ:約1.7mm、リブ厚さ:3mm、凹部形状:1辺7mmの六角形、原料:古紙、見掛けの密度:200〜300kg/m、ヤング率:0.8×10〜1.2×10N/m)を用いた。
比較例として、同じコンクリート躯体壁14の両面に、面材として厚さ75mmの石膏ボードを取着した内外装壁を作成した。
【0015】
図6に実施例、比較例の遮音性能(音響透過損失)の測定結果を示す。この遮音性能(音響透過損失)測定結果は、日本工業規格 JIS A 1416:2000「実験室における建築部材の空気音遮断性能の測定方法」のタイプI試験室(残響室)による測定方法により測定したものである。
なお、図6において、白丸を実線で結んだ曲線が実施例の測定結果であり、黒丸を点線で結んだ曲線が比較例の測定結果であり、黒丸を実線で結んだ曲線がコンクリート躯体壁単独での測定結果を示す。
図6に示されるように、低音域における共鳴透過は比較例では、低音域における共鳴透過が250Hz帯域に集中してしまい、遮音性能がコンクリート躯体壁14の性能に比べて大きく低下するのに対して、実施例では、空気層厚のランダム化により共鳴透過を起す周波数の分散化と、リブ24による制振効果によって、従来品の250Hz帯域におけるような極端な遮音欠損は改善効果されている。
また、実施例では、500Hz帯域以上の中高音域では、コインシデンス効果による遮音性能の低下も見られずコンクリート躯体壁14単独の場合よりも高い遮音性能が得られている。
【0016】
したがって、参考例1によれば、従来の石膏ボードなどの均質平板を用いる代わりに、複数のリブ24と多数の空間26からなる空間配列部22と、平板部20とが一体成形することにより得られる軽量でかつ剛性の高い板状部材16を用いることにより遮音性能を向上させるものであるため、従来の石膏ボード直貼り工法の施工の簡便さをそのままに、従来の石膏ボードを用いた直貼り工法に比べて遮音性能が向上した内外装用壁12が得られる。
また、板状部材16は、従来の石膏ボードと同等の厚さで内外装用下地ボードとしての必要な強度が確保されるため、従来の石膏ボード直貼り工法と同等の壁厚(仕上げ面までの厚さ)で、石膏ボード直貼り工法に比べて遮音性能が向上した内外装壁12が得られる。
【0017】
次に、参考例2について説明する。なお、以下の参考例、実施の形態について参考例1と同様な箇所、部材には同一の符号を付して説明する。
図7は参考例2に係る内外装壁の断面図を示す。
参考例2の内外装壁12Aでは、板状部材16(図3)が薄膜材30を備えており、この薄膜材30は、リブ24の先端面2402に取着されている。
薄膜材30としては、例えば、石膏ボード原紙や不織布などが用いられ、薄膜材30は接着材によりリブ24の先端面2402に、一枚、あるいは複数枚が重ね合わせて取着されている。なお、このような薄膜材30として、石膏ボード原紙や不織布以外の薄肉の繊維系パネルや、合成樹脂系パネル、木質系パネル(紙を含む)、金属系パネルなどを用いることができる。
【0018】
参考例2では、リブ24の先端面2402に薄膜材30が取着されることから、薄膜材30により閉塞された空間26が多数形成されることになる。
内外装壁12Aの施工方法は、コンクリート躯体壁14に接着材18を団子状に散在させて塗りつけたところに、薄膜材30をコンクリート躯体壁14に向け、接着材18に対して(コンクリート躯体壁14側)に板状部材16を押し付け、押し付け具合により、面の出入りを調整して行ない、薄膜材30がコンクリート躯体壁14から離間させた状態で取着され、平坦面2002は外側に向けられる。
【0019】
図8に内外装壁12Aの実施例を示す。
コンクリート躯体壁14は、厚さ75mmの軽量コンクリート製である。
薄膜材30を備えた板状部材16をコンクリート躯体壁14の両面に取着して内外装壁12Aを構成した。
板状部材16として、特開2000−256998、特開2000−96498に示される製造方法によって製造された繊維系パネル[木材繊維や再生紙などの原料を加熱圧縮成形して作られるパネル](厚さ:9.5mm、平板厚さ:約1.7mm、リブ厚さ:3mm、凹部形状:1辺7mmの六角形、原料:古紙、見掛けの密度:200〜300kg/m、ヤング率:0.8×10〜1.2×10N/m)を用いた。
比較例として、同じコンクリート躯体壁14の両面に、面材として厚さ75mmの石膏ボードを取着した内外装壁を作成した。
【0020】
図9に参考例2の内外装壁12Aの実施例、比較例の遮音性能(音響透過損失)の測定結果を示す。
なお、図9において、白丸を実線で結んだ曲線が実施例の測定結果であり、黒丸を点線で結んだ曲線が比較例の測定結果であり、黒丸を実線で結んだ曲線がコンクリート躯体壁単独での測定結果を示す。
図9に示されるように、従来の石膏ボードを用いた比較例と比較して、実施例では、軽量で曲げ剛性が高いため低音域における共鳴透過による遮音性能(音響透過損失)の低下する周波数が高音側に移動しており、且つリブ24による制振効果により低下量が改善されている。
また、630Hz帯域以上の中高音域では、コインシデンス効果による遮音性能の低下も見られずコンクリート躯体壁14単独の場合よりも高い遮音性能が得られている。
したがって、このような第2の実施の形態によっても、従来の石膏ボード直貼り工法の施工の簡便さをそのまま残し、従来の石膏ボードを用いた直貼り工法に比べて遮音性能が向上した内外装用壁12Aが得られ、また従来の石膏ボード直貼り工法と同等の壁厚(仕上げ面までの厚さ)で、石膏ボード直貼り工法に比べて遮音性能が向上した内外装壁12Aが得られる。
【0021】
次に、第の実施の形態について説明する。
図10は第の実施の形態に係る内外装壁の断面図を示す。
の実施の形態の内外装壁12Bでは、コンクリート躯体壁14に取着される面材が、第1の実施の形態で用いた板状部材16(図3)が2枚と、第2の実施の形態で用いた薄膜材30とを備えている。
そして、面材は、2枚の板状部材16の空間配列部22を向かい合わせ、それらの間に薄膜材30を介在させた状態で接着されて構成されている。薄膜材30は、一枚でもよく、あるいは複数枚が重ね合わせて取着されたものでもよい。
の実施の形態では、薄膜材30の両面に、それぞれ閉塞された多数の空間26が形成されることになる。
内外装壁12Bの施工方法は、コンクリート躯体壁14に接着材18を団子状に散在させて塗りつけたところに、一方の板状部材16の平板部20をコンクリート躯体壁14に向け、接着材18に対して(コンクリート躯体壁14側)に面材を押し付け、押し付け具合により、面の出入りを調整して行ない、一方の平板部20がコンクリート躯体壁14から離間させた状態で取着され、他方の平板部20の平坦面2002は外側に向けられる。
【0022】
図11に第の実施の形態の内外装壁12Bの実施例を示す。
コンクリート躯体壁14は、厚さ75mmの軽量コンクリート製である。
2枚の板状部材16と薄膜材30からなる面材をコンクリート躯体壁14の両面に取着して内外装壁12Bを構成した。
板状部材16として、特開2000−256998、特開2000−96498に示される製造方法によって製造された繊維系パネル[木材繊維や再生紙などの原料を加熱圧縮成形して作られるパネル](厚さ:9.5mm、平板厚さ:約1.7mm、リブ厚さ:3mm、凹部形状:1辺7mmの六角形、原料:古紙、見掛けの密度:200〜300kg/m3、ヤング率:0.8×109〜1.2×109N/m2)を用いた。
比較例として、同じコンクリート躯体壁14の両面に、面材として厚さ75mmの石膏ボードを取着した内外装壁を作成した。
【0023】
図12に実施例、比較例の遮音性能(音響透過損失)の測定結果を示す。
なお、図12において、白丸を実線で結んだ曲線が実施例の測定結果であり、黒丸を点線で結んだ曲線が比較例の測定結果であり、黒丸を実線で結んだ曲線がコンクリート躯体壁単独での測定結果を示す。
図12に示されるように、従来の石膏ボードを用いた比較例と比較して、実施例では、面材が軽量で曲げ剛性が高いため低音域における共鳴透過による遮音性能(音響透過損失)の低下する周波数が高音側に移動しており、且つリブ24による制振効果により低下量が改善されている。
4kHz帯域でコインシデンス効果による遮音性能の低下現象が見らるものの、石膏ボードを用いた比較例と比べ、遮音欠損の程度は改善されている。
したがって、このような第の実施の形態によっても、従来の石膏ボード直貼り工法の施工の簡便さをそのまま残し、従来の石膏ボードを用いた直貼り工法に比べて遮音性能が向上した内外装用壁12Bが得られ、また従来の石膏ボード直貼り工法と同等の壁厚(仕上げ面までの厚さ)で、石膏ボード直貼り工法に比べて遮音性能が向上した内外装壁12Bが得られる。
【0024】
次に、参考例3について説明する。
図13は参考例3に係る内外装壁の断面図を示す。
参考例3の内外装壁12Cでは、板状部材16(図3)が、参考例2における薄膜材30に代えて平板部40を備えており、この平板部40は、リブ24の先端面2402に取着されている。なお、平板部20とリブ24とは一体成形され、平板部40はこれとは別に成形されている。
したがって、参考例3では、平板部20,40が互いに対向して平行するように2つ設けられ、空間配列部22はこれら2つの平板部40,40の間に設けられている。
そして、このような構成からなる面材は、2つの平板部20,40の一方をコンクリート躯体壁14に向けてコンクリート躯体壁14に取着されている。
なお、平板部20とリブ24と平板部40とは無論一体成形されているものであってもよい。
このような参考例3によっても、前記参考例2と同様な効果が奏され、したがって、従来の石膏ボード直貼り工法の施工の簡便さをそのまま残し、従来の石膏ボードを用いた直貼り工法に比べて遮音性能が向上した内外装用壁12Cが得られ、また従来の石膏ボード直貼り工法と同等の壁厚(仕上げ面までの厚さ)で、石膏ボード直貼り工法に比べて遮音性能が向上した内外装壁12Cが得られる。
【0025】
次に、参考例4について説明する。
図14は参考例4に係る内外装壁の断面図を示す。
参考例4の内外装壁12Dでは、面材として、図3に示す板状部材16が2枚重ね合わせて用いられている。
すなわち、一方の板状部材16の平板部20に、他方の板状部材16のリブ24の先端面2402が接着材により固定されている。
そして、面材は、コンクリート躯体壁14に接着材18を団子状に散在させて塗りつけたところに、リブ24の先端面2402をコンクリート躯体壁14に向け、接着材18に対して押し付けられて取着され、平坦面2002は外側に向けられている。
このような参考例4によっても、前記参考例1と同様な効果が奏され、したがって、従来の石膏ボード直貼り工法の施工の簡便さをそのまま残し、従来の石膏ボードを用いた直貼り工法に比べて遮音性能が向上した内外装用壁12Dが得られ、また従来の石膏ボード直貼り工法と同等の壁厚(仕上げ面までの厚さ)で、石膏ボード直貼り工法に比べて遮音性能が向上した内外装壁12Dが得られる。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、従来の石膏ボード直貼り工法の施工の簡便さをそのままにして、従来の石膏ボードを用いた直貼り工法に比べて遮音性能を向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 参考例1に係る内外装壁の正面図である。
【図2】 内外装壁の断面図である。
【図3】 (A)は板状部材の正面図、(B)は(A)のBB断面図である。
【図4】 (A)は板状部材の正面図、(B)は(A)のBB断面図である。
【図5】 内外装壁の実施例の断面図である。
【図6】 実施例、比較例の遮音性能(音響透過損失)の測定結果を示す図である。
【図7】 参考例2に係る内外装壁の断面図である。
【図8】 参考例2の内外装壁の実施例の断面図である。
【図9】 参考例2の内外装壁の実施例、比較例の遮音性能(音響透過損失)の測定結果を示す図である。
【図10】 第の実施の形態に係る内外装壁の断面図である。
【図11】 第の実施の形態の内外装壁の実施例の断面図である。
【図12】 第の実施の形態の実施例、比較例の遮音性能(音響透過損失)の測定結果を示す図である。
【図13】 図13は参考例3に係る内外装壁の断面図である。
【図14】 図14は参考例4に係る内外装壁の断面図である。
【図15】 (A)、(B)は従来の内外装壁の断面図である。
【図16】 従来の内外装壁の遮音性能(音響透過損失)の測定結果を示す図である。
【符号の説明】
12 内外装壁
14 コンクリート躯体壁
16 板状部材
18 接着材
20 平板部
22 空間配列部
24 リブ
26 空間
30 薄膜材
40 平板部

Claims (2)

  1. コンクリート躯体壁に接着材を介して面材が取着されることで形成される内外装壁であって、
    前記面材は、2枚の板状部材と、膜材とを含んで構成され、
    前記各板状部材は、平板部と空間配列部とを備え、
    前記空間配列部は、リブとこのリブにより互いに仕切られ前記平板部の面方向に沿って並べられ前記平板部とは反対の方向に開放状の多数の空間とで構成され、
    前記面材は、前記2枚の板状部材の前記空間配列部を向かい合わせそれらの間に膜材を介在させ各板状部材の多数の空間を閉塞した状態で接着されて構成され、
    前記面材は、2枚の板状部材の一方の平板部を前記コンクリート躯体壁に向けて前記コンクリート躯体壁に取着されている、
    ことを特徴とする内外装壁。
  2. 前記接着材は、コンクリート躯体壁に団子状に散在して塗り付けられ、あるいは、帯状に塗り付けられることを特徴とする請求項記載の内外装壁。
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