JP4215915B2 - 吸音パネル及びこのパネルを用いた吸音内装構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は木造住宅の内装材として用いられる吸音パネルとこの吸音パネルを用いた吸音内装構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、木造住宅においてもインテリアの洋風化や室内の気密化が行われているため室内で発生した音が響き易い構造となっており、特に、500Hz付近の中音域に入る人の話し声やテレビの音声が不明瞭になったり、喧騒感が感じられて室内の雰囲気が悪くなることから、室内で発生する音声を適当に吸収する内装構造が望まれている。このため、従来から壁や天井等の内装仕上げにおいて広く採用されているクロス張り石膏ボードによる内装仕上げでは吸音性に乏しいことからこのようなクロス張り石膏ボードに代えて、表面に多数の小径吸音孔を穿設している吸音板や、ロックウール板のような多孔質板の表面に多数のピン孔加工を施している吸音板が内装材として採用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような吸音板では吸音性が向上する反面、ピン孔等の多数の吸音孔が室内に露出した状態となっているために、意匠性に乏しくて室内環境を損なうと共に吸音孔に埃が溜まって汚れが目立ち易くなるという問題点が生じる。このため、吸音板の表面に多様なデザインが選択可能なクロスを張り付ければよいが、そうすると、吸音孔による吸音機能が著しく阻害されて吸音性が低下するという問題点がある。
【0004】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、室内で多く発生する500Hz付近の中音域の音声を効果的に吸音することができると共に多様なデザインが選択可能なクロス張りを行っても吸音性が何等、低下することはなく、美麗にして優れた内装仕上げを可能にした吸音パネルと、この吸音パネルを用いた吸音内装構造を提供するにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1に係る発明は、吸音パネルに関するものであって、数本の縦枠材と横枠材とを組み合わせてなる枠体の表面に音によって振動する薄い面材を張設していると共に上下左右に隣接する上記縦枠材と横枠材とによって囲まれた各空間部に、枠体と同一厚みを有し且つこの空間部の対角線の長さよりも短い長さに形成されている斜行枠材を上記縦横枠材によって形成されている内隅にその長さ方向の両端を固定させることなく配してこの斜行枠材の表面を上記面材の裏面に貼着していることを特徴としている。
【0006】
さらに、縦枠材と横枠材及び上記斜行枠材とで囲まれた三角形状の各空間部にこの空間部と同じ三角形状のクッション性を有する吸音材を嵌め込んで該吸音材の表面を面材の裏面に貼着してなる構造としている。
【0007】
上記吸音パネルにおいて、請求項2に係る発明は、枠体の裏面に遮音層を設けていることを特徴としている。
【0008】
また、請求項3に係る発明は、上記吸音パネルを用いた吸音内装構造に関するもので、柱や間柱、縦胴縁などの縦軸材と土台や梁、桁、横胴縁などの横軸材とからなる木造軸組構造体と、複数本の縦枠材と横枠材とを組み合わせてなる枠体の表面に音によって振動する薄い面材を張設し且つこの薄い面材の裏面における縦枠材と横枠材とによって囲まれた各空間部に、枠体と同一厚みを有し且つこの空間部の対角線の長さよりも短い長さに形成されている斜行枠材を上記縦横枠材によって形成されている内隅にその長さ方向の両端を固定させることなく配してこの斜行枠材の表面を上記面材の裏面に貼着していると共にこの斜行枠材と上記縦枠材及び横枠材とで囲まれた三角形状の各空間部にこの空間部と同じ三角形状のクッション性を有する吸音材を嵌め込み且つ該吸音材の表面を面材の裏面に貼着してなる吸音パネルとからなり、上記木造軸組構造体の表面にこの吸音パネルの裏面を直接又は補強面材を介して固定し、さらに、この吸音パネルにおける上記音によって振動する薄い面材の表面に化粧層を層着していることを特徴とする
【0009】
【作用】
室内で発生した音の波動が吸音パネルに伝搬してこの吸音パネルの枠体に張っている薄い面板が振動し、さらに、この振動が面板の裏面側における縦枠材と横枠材とで囲まれた空間部の空気層に伝わる。この空間部には吸音材が充填されてあり、該吸音材によって上記面板の振動波を吸収して吸音が行われる。このように、面板の振動を利用した吸音であるために、面板の表面に多数の吸音孔を設ける必要がなく、この面板の表面に通気性に乏しく音が抜け難いビニルクロスなどのクロスを張ったり、塗装によって化粧層を施しても吸音性が低下するような虞れはなく、化粧層による優れた室内の壁面化粧性を発揮させることができる。
【0010】
また、面板の振動を利用した吸音は、多孔性吸音板と異なって高音域の吸音性は劣るが、室内において最も多く発生する人の話し声やテレビの音声等の中音域の音に対しては良好な吸音が行われる。このように、音の波動の伝搬によって面板に振動を発生させるには、薄い面板を用いると共にこの面板を張設する縦枠材と横枠材とによって囲まれた面積をできるだけ広くしているが、面板が吸湿によって膨らんで外観を損することになるので、縦枠材と横枠材とで囲まれた空間部における面板裏面に斜行枠材を貼着してこの斜行枠材によって面板の膨れを抑止しているものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の具体的な実施の形態を図面について説明すると、図1〜図3において、1は縦幅が1820mm、横幅が910mm 、厚みが7mm の縦長矩形状の枠体で、合板又は中比重繊維板(以下、MDFとする)などの木質材からなる数本の縦枠材1a、1bと同じく同一木質材からなる数本の横枠材1c、1dとを組み合わせてなるものである。より詳しくは幅が50mmで厚みが7mmの木質材からなる両側縦枠材1a、1aと上下横枠材1c、1cとにより外郭枠を形成し、この外郭枠の上下横枠材1c、1cの長さ方向の中央部対向面間に幅が50mmで厚みが7mmの木質材からなる中間縦枠材1bを組み込み、さらに、この中間縦枠材1bと両側縦枠材1a、1aとの対向する側端面の上部間の下部間とに幅が100mm で厚みが7mmの木質材からなる中間横枠材1dを組み込んで、外郭枠内をこれらの中間横枠材1dと中間縦枠材1bにより330 ×507mm の複数個(図においては6個)の空間部2を区画、形成してなるものである。
【0012】
このように形成している枠体1の表面には全面に亘って音によって振動する薄い面板3が張設されている。即ち、面板3は枠体1と同大、同形の一枚の縦長矩形状板からなり、この面板3の裏面に枠体1を形成している上記縦枠材1a、1b及び横枠材1c、1dが貼着された構造となっており、これらの縦枠材1a、1bと横枠材1c、1dとによって区分されて裏面を上記空間部2に露呈させている面板3の各部は、音の波動が表面側に伝搬した時にその周囲の縦横枠材部を支点として振動するように構成されている。
【0013】
このような面板3としては、振動がし易く且つ強度、切断加工性、表面に対しての化粧層を形成するためのクロス貼着適正や塗装適正に鑑みて合板やMDF等の木質板を用いることが好ましいが、その他の無機質板、プラスチック板、金属板も上記条件を満たせば使用してもよい。この面板3の厚みは、例えば、振動がし易くて強度においても優れている合板を使用した場合には2.5 〜5.5mm 程度に形成している。一方、上記枠体1においても、合板やMDF等の木質板に限らず、強度や切断加工性の点で満足することができれば特に材料は限定されない。この枠体1と面板3との厚みの比率は、面板3の質量や厚さ、ヤング率等によって変わるが、枠体1の厚みを面板3の厚みの2〜10倍程度が好ましい。
【0014】
さらに、枠体1における縦枠材1a、1bと横枠材1c、1dとにより区画されている上記各空間部2内には、斜行枠材4とクッション性を有する吸音材5とが配設され、これらの斜行枠材4及び吸音材5を空間部2に露出している上記面板3の裏面に貼着することにより吸音パネルAを構成している。
【0015】
上記斜行枠材4は枠体1と同一厚みで同一材料からなり、且つ幅は枠体1の外郭を形成している縦横枠材と同一幅の50mmに形成されてあり、長さは枠体1の縦横枠材によって囲まれた上記空間部2の対角線の長さよりも僅かに短い長さに形成されている。そして、この斜行枠材4はその長さ方向を空間部2の対角線上に配してその表面を面板3の裏面に長さ方向の両端が枠体1の縦横枠材によって形成されている内隅に固定させることなく近接又は接触させた状態で貼着されていて、面板3が湿気等の水分の吸収によって伸びた際の膨らみの発生を抑える役目を果している。
【0016】
この斜行枠材4によって矩形状の各空間部2は三角形状の空間部2a、2aに2分割されてあり、これらの三角形状空間部2a、2aに吸音材5を充填して該吸音材5の表面を面板3の裏面に貼着している。このような吸音材5としては、連続気泡を有する多孔質でクッション性に優れた発泡ウレタン等の合成樹脂発泡体や不織布、グラスウール、ロックウール等の繊維材料が用いられ、このような材料によって予め上記三角形状の空間部2aに嵌合可能な大きさ、即ち空間部2aと同じ三角形状で厚みが枠体1の厚みに略等しい厚みを有する吸音材5に形成しておき、この吸音材5を各空間部2aに嵌め込んで面板3の裏面に貼着している。
【0017】
上記吸音材5は、板振動が生じ易いように薄く形成している面板3を補強する役目も行っている。即ち、面板3に衝撃が加わった際に、この吸音材5のクッションによって衝撃力を吸収して面板3の破損を防止するように構成している。
【0018】
6は枠体1の裏面に張設した裏張りシートで、斜行枠材4や吸音材5を被覆して下地パネルAの意匠性を高めているものである。このような裏張りシート6としては不織布が好ましいが、不織布に代えて遮音シートを用いてもよく、遮音シートを用いた場合には吸音パネルA全体の遮音性を向上させることができる。このような遮音シートとしては、塩化ビニル、オレフィン等の樹脂に鉄粉等の金属粉や硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の無機粉体を混入してなるシート状に成形してなるものが用いられ、この遮音シートを裏張りシート6として枠体1の裏面に張設することによって遮音層を設けているものである。
【0019】
次に、このように構成した下地パネルAの製造方法について簡単に説明する。まず、面板3、例えば縦幅が1820mm、横幅が910mm 、厚みが2.5mm の合板よりなる面板3の片面(裏面)全面に酢酸ビニル接着剤等の適宜な接着剤を塗布したのち、この面板3の裏面における両側縁辺部と上下縁辺部とにMDFよりなる上記寸法を有する両側縦枠材1a、1aと上下横枠材1c、1cを配して上記接着剤により固着することにより外郭枠を形成すると共にこの外郭枠で囲まれた面板3の裏面上に同じくMDFよりなる中間縦枠材1bと上下中間横枠材1d、1dとを配設して上記接着剤により面板3の裏面に固着することにより外郭枠内を複数個の空間部2に区画する。
【0020】
しかるのち、各空間部2内にMDFよりなる斜行枠材4をこれらの空間部2の対角線状に配設して空間部2に露出している面板3の裏面に上記接着剤によって固着することより各空間部2を三角形状の空間部2a、2aに二分割し、次いで、これらの空間部2a、2a内に該空間部2aと略同一大きさ、同一形状に形成している例えばウレタン樹脂発泡体よりなる吸音材5を嵌め込んでその表面を面板3の裏面に上記接着剤によって固着する。さらに、縦横の枠材1a〜1d及び斜行枠材4の裏面と吸音材5の裏面とに接着剤を塗布し、面板3と同大、同形の不織布よりなる裏張りシート6を枠体1の裏面に重ね合わせて該接着剤により一体に貼着することによって吸音パネルAを得るものである。なお、この吸音パネルAを構成している枠体1や面板3、斜行枠材4、吸音材5は、先に述べたように適宜な材質から形成しておいてもよいことは勿論である。また、この吸音パネルAの面板3の表面にクロス10を張着してクロス張り吸音パネルを構成しておいてもよく、クロス張りに代えて塗装による表面化粧層を設けた吸音パネルを構成しておいてもよい。
【0021】
図4〜図6はこの吸音パネルAを用いた吸音内装構造の実施例を示すもので、木造住宅における壁体の骨材を構成している木造軸組構造体Bの室内側の面に上記吸音パネルAを複数枚、並列状態に張り付けることによって構成している。
【0022】
この吸音内装構造を構成を更に詳しく説明すると、木造軸組構造体Bは、所定間隔毎に立設している柱或いは間柱、縦胴縁からなる縦軸材7と土台や梁、桁、横胴縁などの横軸材8との組み合わせて接合、連結してなる。なお、図においては、縦軸材7として柱、間柱を、横架材8として横胴縁を示しており、これらの縦軸材7と横軸材8とはそれぞれ450mm のピッチ間隔でもって組み合わせている。さらに、この木造軸組構造体Bにおける室内側に面した全面に9.5mm 厚の合板又は石膏ボードからなる複数枚の補強面板9を並列状態に張設して釘やビス等で木造軸組構造体Bに固着してあり、木造軸組構造体Bとこの補強面板9とによって吸音パネルAの下地材を構成している。
【0023】
そして、この下地材の面板9上に上記吸音パネルAの裏面に張設している裏張りシート6を重ね合わせて釘やビス或いはパネル固定用の特殊なビスであるコーススレッドフレキ等の固定具を木造軸組構造体Bに打ち込むことにより吸音パネルAを木造軸組構造体Bに固定している。なお、吸音パネルAは上述したように薄くて壁下地材としては強度が低いために上記のように木造軸組構造体Bに補強面板9を捨て張りし、この補強面板9上に固定しているが、特に強度を必要としない部位については補強面材9用いることなく木造軸組構造体Bに吸音パネルAを直接固定する場合がある。
【0024】
上記吸音パネルAは複数枚、互いにその対向端面を接合させた状態で木造軸組構造体Bに張設している補強面板9上に並列に張り付けられているが、図4においては、この吸音パネルAと実質的に同一構造を有し、且つ縦幅の異なる吸音パネルA'を組み合わせて吸音内装壁を構成してあり、さらに、面一に連続した吸音パネルA、A'における室内側に面した薄い面板3の表面にクロス10を接着剤によって貼着するか、或いは、塗装を施して表面化粧層を形成した吸音内装構造を構成している。
【0025】
なお、面板3上に上記クロス10を貼着する前に、吸音下地パネルA、A'における薄い面板3の四方端縁部を面取りしておくと共に該面板表面をサンダー掛けして毛羽立ちを除去しておき、木造軸組構造体Bの補強面板9上に張設した際に隣接する吸音パネルA、A又はA'、A'の面板3、3同士の接合端面で形成される上記面取りによる断面V字状の目地部をパテ処理したのち、クロス10を張り付けるか塗装を施して表面化粧層を形成する。この場合、吸音パネルA、A'は吸音下地パネルとなるが、このような処理は図6に示すように、予め、面板表面にクロス10や塗装等の表面化粧層を施している吸音パネルA、A'を用いて木造軸組構造体Bに張設している補強面板9上に並列に張り付けた場合には必要としない。
【0026】
このように構成したクロス張り吸音内装構造を施工している室内で話し声やテレビ等による音声が発生した場合、その音の波動が吸音パネルA、A'におけるクロス張りしている薄い面板3に伝搬して縦横の枠材1a〜1dによって区画された各空間部2に対応する面板部分がその四方縁辺部を固定している枠材を支点として表裏方向に振動し、空間部2内に充填、配設している吸音材5によって振動波が吸収されて吸音されるものである。
【0027】
次に、上記吸音パネルAを実施例1とし、この吸音パネルAの面板表面にクロスを張着してなるパネルを実施例2とする一方、吸音パネルAと同一厚みのロックウール板の表面に多数のピン穴加工を施してなる吸音板を比較例1とし、この吸音板の表面にクロスを張着してなる板を比較例2、吸音板と同一厚みを有する無穴の石膏ボードを比較例3として周波数と吸音率とのそれぞれの関係を図7に表示する。
【0028】
この図から明らかなように、比較例1の吸音板は、低音域から高音域の全領域に亘って比較例3の無穴の石膏ボードよりも優れた吸音性を発揮するが、この比較例1の吸音板にクロスを張着してなる比較例2は、比較例3の石膏ボードと同じレベルにまで吸音性が低下している。これに対して、本発明の実施例1及びこの実施例1の表面にクロスを張着してなる実施例2は、クロスの張着の有無に吸音性が殆ど影響されることなく低音域から高音域の全領域に亘って略同じ挙動を示し、特に、500Hz前後の中音域で比較例1と略同じレベルの吸音性能を発揮している。
【0029】
【発明の効果】
以上のように本発明の吸音パネルによれば、数本の縦枠材と横枠材とを組み合わせてなる枠体の表面に音によって振動する薄い面材を張設しているので、室内で発生した音の波動を吸音パネルの枠体に張っている薄い面板の振動と面板裏面側の空気層とによって吸収することができるものであり、さらに、上記上下左右に隣接する上記縦枠材と横枠材とによって囲まれた各空間部に、枠体と同一厚みを有し且つこの空間部の対角線の長さよりも短い長さに形成されている斜行枠材を上記縦横枠材によって形成されている内隅にその長さ方向の両端を固定させることなく配してこの斜行枠材の表面を上記面材の裏面に貼着し、さらに、縦枠材と横枠材及び上記斜行枠材とで囲まれた三角形状の各空間部にこの空間部と同じ三角形状のクッション性を有する吸音材を嵌め込んで該吸音材の表面を面材の裏面に貼着してなるものであるから、音の波動が面板に伝搬すると、縦横の枠材によって区画された各空間部に対応する該面板部分がその四方縁辺部を固定している枠材を支点として表裏方向に振動して各空間部内に充填、配設している吸音材によって振動波を吸収させて確実に吸音することができ、このように、面板の振動を利用した吸音であるために、面板の表面に多数の吸音孔を設ける必要がなく、この面板の表面に通気性に乏しくて音が抜け難いクロスを張っても、或いは、塗装を施しても吸音性を低下させることはなく、従って、吸音下地パネル表面に所望のクロスや塗装等の化粧層を設けて該化粧層による優れた室内の壁面化粧性を発揮させることができる。
【0030】
さらに、本発明は上述したように面板の振動を利用して吸音を行うものであるので、従来の多孔性吸音板と異なって高音域の吸音性は劣るが、室内において最も多く発生する人の話し声やテレビの音声等の中音域の音に対しては良好な吸音機能を発揮し、良好な室内環境を形成することができる。また、音の波動の伝搬によって振動を発生する薄い面板の裏面にクッション性を有する吸音材を貼着しているので、面板が衝撃力を受けた場合にこの吸音材によって緩衝して面板の破損を防止することができると共に、面板に貼着している斜行枠材によって面板の吸湿による膨れを確実に抑止することができ、長期間に亘って見栄えのよい外観を維持することができる。その上、上記枠体の裏面に遮音層を設けておくことによって一層優れた吸音作用を発揮させることができる。
【0031】
また、請求項4に係る発明によれば、柱や間柱、縦胴縁などの縦軸材と梁や桁、横胴縁などの横軸材とからなる木造軸組構造体の表面に直接、又は補強面材を介して上記吸音パネルの枠体の裏面を固定し、この吸音パネルにおける上記音によって振動する薄い面材の表面にクロスや塗装等の化粧層を設けてなる吸音内装構造であるから、補強面材を設けた場合には薄い吸音パネルを該補強面材によって補強して所定の強度の壁下地を形成することができると共に、吸音下地パネルの面板と吸音材とによって上述したように室内に発生する音を吸音させることができ且つ化粧層によって優れた化粧性を奏する内装構造を容易に施工し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】吸音パネルの一部切欠正面図、
【図2】その一部切欠背面図、
【図3】横断面図、
【図4】吸音内装構造の一部切欠正面図、
【図5】その横断面図、
【図6】施工状態な示す一部切欠斜視図、
【図7】本発明吸音パネルと従来の吸音板との周波数ー吸音率線図。
【符号の説明】
A 吸音パネル
1 枠体
2 空間部
3 音によって振動する薄い面板
4 斜行枠材
5 吸音材
B 木造軸組構造体
7 縦軸材
8 横架材
9 補強面
10 クロス
Claims (3)
- 数本の縦枠材と横枠材とを組み合わせてなる枠体の表面に音によって振動する薄い面材を張設していると共に上下左右に隣接する上記縦枠材と横枠材とによって囲まれた各空間部に、枠体と同一厚みを有し且つこの空間部の対角線の長さよりも短い長さに形成されている斜行枠材を上記縦横枠材によって形成されている内隅にその長さ方向の両端を固定させることなく配してこの斜行枠材の表面を上記面材の裏面に貼着してあり、さらに、縦枠材と横枠材及び上記斜行枠材とで囲まれた三角形状の各空間部にこの空間部と同じ三角形状のクッション性を有する吸音材を嵌め込んで該吸音材の表面を面材の裏面に貼着してなることを特徴とする吸音パネル。
- 枠体の裏面に遮音層を設けていることを特徴とする請求項1に記載の吸音パネル。
- 柱や間柱、縦胴縁などの縦軸材と土台や梁、桁、横胴縁などの横軸材とからなる木造軸組構造体と、複数本の縦枠材と横枠材とを組み合わせてなる枠体の表面に音によって振動する薄い面材を張設し且つこの薄い面材の裏面における縦枠材と横枠材とによって囲まれた各空間部に、枠体と同一厚みを有し且つこの空間部の対角線の長さよりも短い長さに形成されている斜行枠材を上記縦横枠材によって形成されている内隅にその長さ方向の両端を固定させることなく配してこの斜行枠材の表面を上記面材の裏面に貼着していると共にこの斜行枠材と上記縦枠材及び横枠材とで囲まれた三角形状の各空間部にこの空間部と同じ三角形状のクッション性を有する吸音材を嵌め込み且つ該吸音材の表面を面材の裏面に貼着してなる吸音パネルとからなり、上記木造軸組構造体の表面にこの吸音パネルの裏面を直接又は補強面材を介して固定し、さらに、この吸音パネルにおける上記音によって振動する薄い面材の表面に化粧層を層着していることを特徴とする吸音内装構造。
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