JP7433366B2 - 加工システム、加工機、加工機の制御方法及びプログラム - Google Patents

加工システム、加工機、加工機の制御方法及びプログラム Download PDF

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Description

本発明は、加工対象物を加工可能な加工機、このような加工機を有する加工システム、このような加工機の制御方法及びプログラムに関する。
加工機として、事前に作成した加工データ(NCデータ)の手順に従い工具を自動的に移動させて加工対象物を加工する、所謂NC工作機械が一般に広く用いられている。また、特許文献1には、NCデータの先頭部分に付加された加工指示情報を読み取り、表示や出力を行うことが記載されている。
特開平5-173624号公報
上述のような加工機は、作業者の指示通りに加工を行うが、作業者が操作や指示を誤ってしまうことは避けられない。そのため、作業者が利用しやすい加工機のユーザーインターフェースが求められている。
本発明の加工システムは、NCデータに基づいて加工対象物を加工可能な加工機と、前記加工機により加工を実行したデータログであるログ情報を表示する表示手段と、前記ログ情報の期間を指定する期間指定手段と、前記期間指定手段に指定された期間内の前記ログ情報のうち、前記表示手段に表示する範囲を選択する範囲選択手段と、を備え、前記範囲選択手段は、ユーザの操作によって前記表示手段に表示する範囲変更され、前記表示手段は、前記データログに含まれるエラー情報に基づいて、前記範囲選択手段により選択された範囲のうちの前記エラー情報のエラーが発生した時間に前記エラーが発生したことを示す表示をすることを特徴とする。
また、本発明の加工機は、NCデータに基づいて加工対象物を加工可能な加工機であって、前記加工機により加工を実行したデータログであるログ情報を表示する表示手段と、前記ログ情報の期間を指定する期間指定手段と、前記期間指定手段に指定された期間内の前記ログ情報のうち、前記表示手段に表示する範囲を選択する範囲選択手段と、を備え、前記範囲選択手段は、ユーザの操作によって前記表示手段に表示する範囲変更され、前記表示手段は、前記データログに含まれるエラー情報に基づいて、前記範囲選択手段により選択された範囲のうちの前記エラー情報のエラーが発生した時間に前記エラーが発生したことを示す表示をすることを特徴とする。
また、本発明の加工機の制御方法は、NCデータに基づいて加工対象物を加工可能な加工機の制御方法において、前記加工機により加工を実行したデータログであるログ情報を表示する表示工程と、前記ログ情報の期間を指定する期間指定工程と、指定された期間内の前記ログ情報のうち、表示する範囲をユーザの操作によって変更する範囲選択工程と、前記データログに含まれるエラー情報に基づいて、前記範囲選択工程により選択された範囲のうちの前記エラー情報のエラーが発生した時間に前記エラーが発生したことを示す表示をする工程と、を備えことを特徴とする。
また、本発明のプログラムは、NCデータに基づいて加工対象物を加工可能な加工機の制御をコンピュータに実行させるプログラムにおいて、前記加工機により加工を実行したデータログであるログ情報を表示する表示工程と、前記ログ情報の期間を指定する期間指定工程と、指定された期間内の前記ログ情報のうち、表示する範囲をユーザの操作によって変更する範囲選択工程と、前記データログに含まれるエラー情報に基づいて、前記範囲選択工程により選択された範囲のうちの前記エラー情報のエラーが発生した時間に前記エラーが発生したことを示す表示をする工程と、を前記コンピュータに実行させる、ことを特徴とする。
本発明によれば、作業者が利用しやすい加工機のユーザーインターフェースを実現できる。
第1の実施形態に係る加工機の斜視図。 第1の実施形態に係る加工機本体の斜視図。 第1の実施形態に係る加工機の制御ブロック図。 第1の実施形態に係るワークの保持部の斜視図。 第1の実施形態に係る、(a)加工システムの制御ブロック図、(b)アプリケーション内の制御ブロック図。 第1の実施形態に係る、(a)加工機の制御の流れを示すフローチャート、(b)エラー表示を示す図。 第1の実施形態に係るNC解析のフローチャート。 第1の実施形態に係るアプリケーション画面の一例を示す図。 第1の実施形態に係るワーク番号変更のフローチャート。 第1の実施形態に係るアプリケーションのログ画面の一例を示す図。 第2の実施形態に係るアプリケーション内の制御ブロック図。 第2の実施形態に係る加工機の制御の流れを示すフローチャート。
<第1の実施形態>
第1の実施形態について、図1ないし図10を用いて説明する。まず、本実施形態の加工機10の全体構成について、図1ないし図3を用いて説明する。
[加工機]
加工機100は、図1に示すように、外装カバー101内に加工機本体40を収容している。外装カバー101は、開閉ドア102を有しており、開閉ドア102を開けることで、ワークの交換が可能となっている。また、ワークの加工中には、開閉ドア102を閉めるようにしている。開閉ドア102の開閉は、不図示のセンサにより検知される。
加工機本体40は、図2に示すように、ベース11と、ベース11から鉛直方向に立ち上がるように設けられたコラム12とを備える。コラム12は、Z軸ステージ23zを介してZ軸方向(鉛直方向、第1方向)に移動自在に主軸頭16を支持している。ベース11上には、Y軸ステージ23y及びX軸ステージ23xを介して回転支持部19が設けられている。
主軸頭16には、主軸5が設けられており、主軸5には、工具13が工具ホルダを介して着脱自在に取り付けられている。主軸5は、不図示のモータにより回転駆動される。また、主軸頭16は、モータ21zの駆動によりZ軸ステージ23zと共にコラム12に対してZ軸方向に往復移動(昇降)する。Z軸ステージ23zは、例えば、モータ21zの駆動により回転する送りねじに沿って移動する部材であり、主軸頭16を支持しつつ、送りねじが回転することでZ軸方向に移動する。したがって、主軸頭16に取り付けられた主軸5及び工具13は、Z軸方向に移動自在である。
回転支持部19は、例えば、歯科用補綴物など工具13により切削加工される加工対象物としてのワークWを、ワーク保持装置50を介して支持する。ワーク保持装置50は、保持部51によりワークWを保持しており、回転支持部19は、保持部51を回転可能に支持する。
保持部51は、回転支持部19の一対の回転部52によりX軸方向両側を回転自在に支持されている。一対の回転部52は、X軸方向の同一直線状に配置され、片方の回転部52が回転支持部19に備えられた不図示のモータの駆動により回転駆動される。これにより、保持部51が回転部52を中心として回転し、ワークWの表面(片側の面)と裏面(反対側の面)とが入れ替わるように回転させることが可能となる。
上述のように、回転支持部19は、Y軸ステージ23y及びX軸ステージ23xを介してベース11上に設けられている。Y軸ステージ23yは、モータ21y(図2)の駆動によりZ軸方向に直交するY軸方向(水平方向、第2方向)に往復移動する。X軸ステージ23xは、モータ21xの駆動によりZ軸方向及びY軸方向に直交するX軸方向(水平方向、第3方向)に往復移動する。Y軸ステージ23y及びX軸ステージ23xは、例えば、モータの駆動により回転する送りねじに沿って移動する部材であり、送りねじが回転することでそれぞれY軸方向及びX軸方向に移動する。このようなX軸、Y軸、Z軸の各ステージを動作させる機構は、上述の送りねじ機構に限らず、例えばラックアンドピニオンのような他の機構であっても良い。
本実施形態では、Y軸ステージ23yがベース11に対してY軸方向に往復移動自在に支持されており、X軸ステージ23xがY軸ステージ23yに対してX軸方向に往復移動自在に支持されている。そして、X軸ステージ23xに回転支持部19が固定されている。したがって、回転支持部19は、X軸ステージ23x及びY軸ステージ23yによりX軸方向及びY軸方向に移動自在である。
また、回転支持部19のコラム12側には、工具マガジン18が回転支持部19と一体に設けられている。工具マガジン18には、それぞれ工具ホルダ53と一体に形成された複数種類の工具が保持された状態でX軸方向に沿って並べて配置されている。そして、主軸5に取り付ける工具を交換可能としている。なお、工具ホルダ53は、主軸5に保持される部分で、工具と一体に形成されていても良いし、別体に形成されていても良い。なお、本実施形態では、チャック付の工具13を工具ホルダ53に取り付けた上で、主軸5の工具保持用のチャック部が工具ホルダ53を介して保持する2重チャックの構成となっている。但し、主軸5に直接工具を取り付けても良い。工具の交換は、作業者が行っても良いし、加工機100により自動で行っても良い。
工具の交換を自動で行う場合には、X軸ステージ23x及びY軸ステージ23yにより工具マガジン18の工具13が入っていない空きスペースを主軸5の下方に移動させる。そして、Z軸ステージ23zにより主軸5を下降させ、主軸5に設けられたチャックなどの着脱装置を動作させることで、主軸5に取り付けられている工具13を外して工具マガジン18の空きスペースに工具13を配置する。次いで、Z軸ステージ23zにより主軸5を上昇させると共に、X軸ステージ23xにより工具マガジン18の交換したい工具13が配置されている位置を主軸5の下方に移動させる。そして、再度、Z軸ステージ23zにより主軸5を下降させ、着脱装置を動作させることで、主軸5に交換したい工具13を装着する。なお、工具13は、例えば、ドリルやエンドミルである。
また、工具マガジン18には、工具13の長さを検知可能な工具長センサ43が設けられている。加工機100は、例えば、電源投入時などの任意のタイミングやユーザーの指示などにより工具13の長さを工具長センサ43により検知する。この際、X軸、Y軸、Z軸の各ステージを動作させて、主軸5に取り付けられた工具13を工具長センサ43に押し込む。工具長センサ43は、タッチセンサを工具13が押し込まれる量に応じて工具13の長さを検知する。また、この場合に、工具マガジン18に収容されている全ての工具の長さを検知するようにしても良い。
このような加工機100によりワークWを加工する場合には、工具13が取り付けられた主軸5を回転させつつ、Z軸ステージ23zにより主軸5を昇降させることで、ワークWの加工面(上面)を工具13により切削する。この際、X軸ステージ23x及びY軸ステージ23yにより、ワーク保持装置50を介してワークWを支持する回転支持部19を移動させつつ、主軸5を昇降させることで、ワークWの加工面の任意の位置を切削加工可能である。また、保持部51に保持されているワークWは、回転支持部19により回転可能であるため、加工機100は、ワークWの表面と裏面とを加工可能である。
なお、上述の説明では、主軸5をZ軸方向に移動させ、ワークWを保持するワーク保持装置50をX軸方向及びY軸方向に移動させた。但し、加工機は、例えば、主軸5をZ軸方向に移動させることに加えて、X軸方向とY軸方向の何れかの方向に移動させ、ワーク保持装置50を残りの方向に移動させる構成であっても良い。また、ワーク保持装置50を回転以外の移動をさせずに、主軸5をX、Y、Z軸の3方向に移動させる構成であっても良いし、主軸5を移動させずに、ワーク保持装置50をX、Y、Z軸の3方向に移動させる構成であっても良い。要は、主軸5とワーク保持装置50の移動方向の設定は、それぞれ任意である。
次に、上述の加工機100の制御部30について、図2を参照しつつ図3を用いて説明する。図3に示すように、加工機100は、制御部30と加工機本体40とを備える。このうちの制御部30は、演算手段であるCPU31、入出力ポート(I/O)32、各モータドライバ33x、33y、33z、主軸コントローラ34、データ入力部35などを備える。CPU31は、入力されたデータや信号に基づいて各種の演算を行う。
I/O32は、加工機本体40のエアーブロー部41、集塵装置42、工具長センサ43に接続される。なお、エアーブロー部41は、主軸5に取り付けた工具にエアーを吹き付けて、工具を冷却すると共に工具に付着した切粉を除去するものである。また、工具から除去した切粉や加工後にワーク保持装置50内に存在する切粉などの異物は、ワーク保持装置50に設けた切粉吸引部44から吸引され、集塵装置42により集められる。また、工具長センサ43は、上述のように工具の長さを検知して制御部30に信号を送る。
制御部30に設けた各モータドライバ33x、33y、33zは、CPU31からの指令に基づいて各モータ21x、21y、21zを駆動するためのプログラムである。各モータ21x、21y、21zには、それぞれエンコーダ45x、45y、45zを設けている。エンコーダ45x、45y、45zは、例えば、各モータ21x、21y、21zの回転軸の回転回数や回転角度、回転方向を検知する。そして、各モータ21x、21y、21zの駆動により各ステージ23x、23y、23zが実際に移動した量(実際の位置)を検知する。
主軸コントローラ34は、主軸5を回転させる不図示のモータを制御して、主軸(スピンドル)5の回転速度を制御するためのプログラムである。また、データ入力部35は、加工対象物の形状データ入力部35aと、加工データ読み込み部35bと、データ記憶部35cとを有する。そして、データ入力部35aで入力されたデータ及び読み込み部35bで読み込んだデータをデータ記憶部35cに記憶する。CPU31は、データ記憶部35cに記憶されたデータに基づいて各種の演算を行い、各モータドライバ33x、33y、33zなどに指令を送る。
各モータ21x、21y、21zは、上述のように、データ入力部35で入力されたデータに基づいてCPU31が演算した指令により、各モータドライバ33x、33y、33zにより駆動される。この時、CPU31は、各モータドライバ33x、33y、33zに指令した各ステージ23x、23y、23zの移動量(位置)をデータ記憶部35cに記憶させる。これと同時に、各エンコーダ45x、45y、45zにより検知した検知結果も、データ記憶部35cに記憶される。
このように制御部30により加工機本体40の各部を制御することにより、上述のようにワーク保持装置50に保持されたワークWに所定の加工を施す。また、加工は、連続して行う場合と、所定量加工する毎に主軸5及び各ステージを停止させる場合がある。何れにしても、各ステージ23x、23y、23zは、各ステッピングモータ21x、21y、21zが指令に基づいて駆動されることにより移動する。
このように構成される本実施形態の加工機100は、コンピュータ制御により自動加工を行うNC工作機械である。具体的には、パーソナルコンピュータ(PC)などの外部端末を用いてCAD/CAMシステムにより加工データ(NCデータ)を作成し、このデータに基づいて数値制御によりワークWの加工を行う。このために、加工機100には、加工機100に指令を行うPCなどの外部端末が接続される。なお、加工機100自体に、数値制御が可能なCPUやメモリを搭載したコンピュータが設けられていても良い。
ここで、歯科の分野において、歯科用補綴物として単冠用のブロック(ワーク)を切削加工する加工機が提供されており、複数個の単冠用ブロックを専用の治具(保持部)にて固定し、連続して加工を行うことができる加工機がある。このような加工機を扱う場合、作業者(オペレーター、ユーザー)は、CAMソフトにて3次元データから加工データ(NCデータ)を生成し、その加工データを加工機に入力することで加工を実施する。
このような構成の場合、作業者はCAMソフトにて加工データを作成する段階で、保持部のどの位置のブロックを加工するかを選択する。そのうえで保持部にブロックを取り付ける。そして、加工データの加工座標と、ブロックの取り付け座標が合っていることにより、ワークの加工面に対して適切な加工が行われている。なお、本実施形態は、歯科用に限定されるものではなく、他のワークの切削、研磨、切断等の加工を行う加工システムや加工機に適用できる。以下の説明では、歯科加工用の加工機を用いて説明を行う。
[ワークの保持部]
本実施形態では、ワークWとして複数個の単冠用ブロックを専用の治具(保持部51)にて固定し、これをワーク保持装置50に組み付けることで加工を行うようにしている。このような複数のワーク(ブロック)Wを保持する保持部51について、図4を用いて説明する。
保持部51は、フレーム51aを有し、複数のワークWをフレーム51aに対してそれぞれ固定ネジ51bにて固定される。本実施形態の場合、このような各ワークWの固定機構は、1つの保持部51に対して12個ある。これらの固定機構は、それぞれに対してワーク番号51cが割り振られている。また、保持部51は、固定ネジ穴51dを有し、この固定ネジ穴51dにネジを挿通して、加工機100のワーク保持装置50の所定のネジ穴にネジを螺合することで固定される。
加工機100は、上記の構成により主軸5とワークWを保持した保持部51をX、Y、Z軸の3方向に相対移動させると共に、保持部51を回転させることで、ワークWの表面又は裏面に対して所定の切削加工を実施する。即ち、加工機100は、複数の加工領域内にそれぞれ配置された複数の加工対象物(ワークW)を加工可能である。加工領域は、ワーク番号に対応したX軸方向及びY軸方向の所定の領域である。本実施形態では、最大12個の加工領域を有する。即ち、保持部51は、最大12個までワークWを取り付けることができる。このため、加工機100は、一度の加工オペレーションで、最大12個のワークWを加工することができる。
[加工システム]
次に、本実施形態の加工システム1000について、図5(a)、(b)を用いて説明する。図5(a)に示すように、本実施形態の加工システム1000は、上述した加工機100と、PC200と、表示手段としてのディスプレイ300とを有する。PC200は、後述する実行部215により加工機100により加工するNCデータに基づいて加工機100に加工を実行させる。このため、加工システム1000は、加工機100と、実行部215と、ディスプレイ300とを備えたものである。加工機100の構成は上述した通りなので、以下、PC200及びディスプレイ300を主として説明する。
PC200は、CPU200aなどの演算装置、RAM、ROMなどのメモリやストレージを備えたものである。また、PC200は、キーボードやマウスなどの入力装置204も備える。なお、ディスプレイ300がタッチパネルを備えるものであれば、このタッチパネルも入力装置204に含まれる。入力装置204は、キーボード、マウス、タッチパネルなど、PC200を操作できるものであれば良く、これらのうちの少なくとも何れかであっても良い。PC200には、加工機100のデータ記憶部35cにNCデータ(以下、単に「NC」と呼ぶ場合もある)を入力するために、専用のアプリケーション203がインストールされている。このアプリケーション203は、記憶手段としてのストレージ202に記憶されている。
そして、このPC200は、加工機100に接続されている。接続する方式は、本実施形態ではEthernetとしているが、USBやRS232Cなど、別の通信方式でも良い。このPC200は、ディスプレイ300が接続されており、CAM画面301やアプリケーション画面302をディスプレイ300上に表示する。加工機のCPU31は、アプリケーション203からの要求により、加工機の状態(データログ)を定期的、一定期間毎に、PC200のアプリケーション203に送信している。
また、加工機100に入力するNCは、CAMソフト201にて作成する。本実施形態では、CAMソフト201をアプリケーション203がインストールされた同一のPC200上にインストールしておき、同一PC200上のストレージ202にNCを記憶している。また、ストレージ202は、CAMソフト201で作成された複数のNCを記憶可能である。
なお、必要なのはNCなので、CAMソフト201はアプリケーション203と同じPC200にインストールされている必要はない。例えば、CAMソフト201がインストールされている別のPCをネットワークで繋ぎ、NCを共有し、アプリケーション203がNCにアクセスする方式でも良い。
作業者は、予めワークWを加工したい形状に対応したNCを用意しておく。図4で説明した通り、保持部51には最大12個のワークWをセットできるが、どのワーク番号のワークに対して加工を行うかの指定は、本実施形態ではNCを作成する段階で行う。そのため、NC作成の段階では既にどのワーク番号を加工するかが決まっている。
ここで、NCは、加工対象となるワーク番号(ワーク位置、加工領域)に関する座標データ、加工の速さや主軸5の回転速度などのデータが含まれるファイルである。また、NCには、複数のデータを含むことができ、1つのNCに対して複数のワーク番号の加工データを含めることができる。但し、あるワーク番号のワークの加工は必ず1つのNCで行われる。即ち、あるワーク番号のワークの加工が複数の異なるNCに跨ることはない。このため、1つのNCでは、1個のワーク又は複数のワークの加工が実行される。加工機100は、各ワーク番号に対応した加工領域を認識し、NCの指示通りに動作することで加工領域内にあるワークWの加工を行う。
次に、アプリケーション203について、図5(b)を用いて説明する。アプリケーション203は、追加手段としての選択部211、解析手段としての解析部212、登録手段としての登録部213、報知手段としての報知部214、実行手段としての実行部215、変更手段としての変更部216などのプログラムを有する。このアプリケーション203の処理は、PC200のCPU200aにより実行される。
選択部211は、加工機100により加工するNCを追加可能なプログラムで、本実施形態では、ストレージ202に記憶された複数のNCから加工機100により加工するNCを選択するものである。例えば、作業者は、予め用意した複数のNCをストレージ202に記憶させておく。そして、加工機100により加工を行う場合に、加工する順番やワークWがセットされたワーク番号に応じて、複数のNCから加工を行うNCを選択する。例えば、選択部211は、ディスプレイ300のアプリケーション画面302に複数のNCを表示し、作業者がこの画面から選択できるようにする。
解析部212は、選択部211で選択されたNCを解析するプログラムである。具体的には、解析部212は、選択されたNCがどの加工領域、即ち、ワーク番号に対応するものかなどを解析する。
登録部213は、加工機100の加工を制御するNCを複数登録可能である。本実施形態では、登録部213は、選択部211により選択された(追加された)NCを登録可能なプログラムである。具体的には、登録部213は、解析部212により解析されたNCにより特定される加工領域(ワーク番号)に応じて、選択されたNCを登録するか否かを判断するプログラムである。
報知部214は、本実施形態の場合、ディスプレイ300に所定の画面を表示させるプログラムであり、エラー表示部221及び登録表示部222の各プログラムも有する。このような報知部214は、ディスプレイ300に所定の画面を表示させることで、作業者に所定の情報を報知する。なお、報知部214は、所定の情報を音声或いは警告音などの音により作業者に知らせるプログラム、或いは、音及び画面表示の両方により所定の情報を知らせるプログラムであっても良い。
実行部215は、登録部213により登録されたNCに基づいて加工機100に加工を実行させるプログラムである。即ち、実行部215は、加工機100のデータ記憶部35cにNCを送り、加工機100のCPU31に加工を実行させる。
変更部216は、登録部213により登録されたNCデータにより特定される加工領域(ワーク番号)を変更可能なプログラムである。
[加工機の制御]
次に、本実施形態の加工機100の制御について説明する。まず、制御の概略を説明する。作業者は、まず、入力装置204を用いてアプリケーション203を操作し、加工したい形状に対応するNCを加工予約として登録する。即ち、選択部211によりNCを選択し、登録部213がそのNCを登録する。ここで、複数のワークを加工する場合は、最大12個のワーク番号に対応するNCを登録する。作業者は、登録が完了したら、アプリケーション画面302上の加工開始ボタン85(後述する図8参照)を押す。
なお、このようにディスプレイ300の画面上に表示されているボタンなどの操作は、例えば、入力装置204のマウスにより該当箇所をクリックするなどで行う、或いは、ディスプレイ300がタッチパネルであれば、手指などで該当箇所をタッチすることで行う。以下の説明で、アプリケーション203を操作するとは、入力装置204により操作することである。
アプリケーション203の実行部215は、加工開始ボタン85が押されたら、NCを加工機100に入力し、加工開始の指示を出す。加工機100は、開始指示がきたら受信したNCに従い、加工を実行する。
このように作業者がNCを選択する際、作業者が操作ミスをし、間違ったNCを選択すると、期待通りの加工ができない。即ち、NCでは加工するワーク番号が決まっているため、選択したNCが、既に登録されて加工の実行を待っているNCや加工中のNCのワーク番号と重複した場合には、例えば、1つのワークに複数のNCが実行されるなど、期待通りの加工が行えない。また、作業者が途中でミスに気付いて加工を停止するなどした場合、再度、NCの登録を行ったり、ワークを交換したりするなどの作業が発生する虞がある。
そこで、本実施形態では、このようなミスが発生しても、誤った加工が行われたりしないような加工機100のユーザーインターフェースを提供する。具体的には、アプリケーション203の報知部214は、選択部211により加工領域が重複する、即ち、ワーク番号が重複する複数のNCが選択された場合に、その旨を報知するようにしている。以下、図6(a)、(b)を用いて説明する。なお、アプリケーション203は、以下の、選択工程(追加工程)、登録工程、実行工程、報知工程を有する加工機の制御方法をコンピュータとしてのPC200のCPU200aに実行させるプログラムである。
作業者は、加工を開始するため、事前準備としてCAMソフト201でNCを作成し、そのNCに対応する位置で保持部(ワーク固定治具)51にワークをセットする。また、作業者は、予め用意した複数のNCをPC200のストレージ202に記憶させておく。そして、アプリケーション203をインストールしたPC200は、加工機100と接続しておく。
事前準備ができたら作業者は、アプリケーション203を操作し、選択部211により加工したい形状に対応したNCを選択する(S101)。即ち、ディスプレイ300のアプリケーション画面302に複数のNCを表示し、作業者がこの画面から加工機100により加工するNCを選択する(選択工程)。なお、本実施形態では、この選択工程が追加工程に相当する。
アプリケーション203は、選択部211によりNCが選択されたら、解析部212によりそのNCを解析し、そのNCが加工するワーク位置(加工領域、ワーク番号)を割り出す(S102)。即ち、解析部212は、登録部213により登録される前のNCデータが複数の加工領域(ワーク位置)のうちの何れかの加工領域(ワーク位置)を加工するNCデータであるかを解析する。この解析処理の詳細は後述する。
ワーク位置の解析が完了したら、登録部213が、これまで登録したNCにより特定されるワーク位置と重複していないかを確認する(S103)。即ち、登録部213は、選択部211により選択された第1のNCデータにより特定される加工領域(ワーク位置)が、既に登録部213により登録された第2のNCデータにより特定される加工領域(ワーク位置)と重複するか否かを判断する。言い換えれば、比較手段でもある登録部213が、登録部213により登録されたNCデータの加工領域(ワーク位置)と、解析部212によって解析された登録される前のNCデータの加工領域(ワーク位置)を比較する。
そして、ワーク位置が重複していない場合、即ち、選択部211により選択された第1のNCデータにより特定されるワーク位置が空いている場合(S103のYes)、登録部213は、正しいオペレーションであると判断して、第1のNCデータを登録する(S104、登録工程)。
登録表示部222は、ディスプレイ300のアプリケーション画面302の予約リスト83(図8参照)に、登録されたNCデータにより特定されるワーク番号を表示する(S105)。この際、ワーク番号確認画面82(図8参照)にも登録されたNCに関する情報が表示される。その後、アプリケーション画面302の加工開始ボタン85が押されると、実行部215は、予約リスト83に基づいて加工機100に加工を実行させる(S106、実行工程)。
一方、S103で、ワーク位置が重複している場合、即ち、選択部211により選択されたNCデータにより特定されるワーク位置が空いていない場合(S103のNo)、登録部213は、このNCデータを登録しない。そして、報知部214のエラー表示部221は、ディスプレイ300のアプリケーション画面302にエラーを表示する(S107)。言い換えれば、報知部214は、選択部211によりワーク番号が重複する複数のNCデータが選択された場合に、その旨、即ち、エラーをディスプレイ300に表示する。
本実施形態の構成では、1つのワークに対し、NCは必ず1つであるため、同じ位置を加工するNCが選ばれるのは作業ミスであることが考えられる。そのため、これまで登録したNCのワーク位置と、同じ位置を加工するNCが選択された場合には、選択エラーとし、作業者にその旨を通知し、NCの登録を失敗とする。
具体的には、報知部214は、選択部211により選択された第1のNCデータにより特定されるワーク番号が、既に選択部211により選択され、且つ、登録部213により登録された第2のNCデータにより特定されるワーク番号と重複する場合、その旨を報知する。本実施形態では、報知部214のエラー表示部221が、図6(b)に示すように、ディスプレイ300上にエラー表示303を表示する。エラー表示303は、例えば、NC名と、選択エラーである旨の表示である。
このように、ディスプレイ300には、登録部213によるNCの登録の可否の結果により、ワーク番号が表示されたり、選択エラーが表示されたりする。即ち、ディスプレイ300は、登録部213による比較結果に基づいて、表示を変更する。
実行部215は、第2のNCデータと重複するワーク番号を含む第1のNCデータの直前に登録されたNCデータに基づく加工まで加工機100に実行させてから、加工機100の加工を中止する。例えば、この第1のNCデータが選択されるまでに複数のNCデータが既に登録されている場合、これら複数のNCデータに基づく加工を実行してから加工機100を停止する。
なお、実行部215は、この第1のNCデータの選択後或いはエラー表示後に、直ぐに加工機100の加工を停止しても良い。或いは、この第1のNCデータは登録されていないため、第1のNCデータに基づく加工は行わず、第1のNCデータの後に、ワーク番号が重複しないNCデータが登録された場合には、加工を中止せずに、このNCデータに基づく加工を行うようにしても良い。要は、第1のNCデータに基づく加工が実行されなければ、加工を中止しても、加工を継続しても良い。
また、上述した説明では、NCデータの登録前に登録されているNCデータとワーク位置が重複しているか否かの判定を行っているが、選択されたNCデータについて、重複の判定をせずに登録し、NCデータに基づく加工を実行する前に、扉の開閉やワークの交換を行わずに、既に加工が実行されたNCデータとワーク位置が重複しているか否かの判定を行ってもよい。
具体的には、選択部211によりNCが選択されると、解析部212はNCの解析を行い、NCデータを登録する。そして、加工開始ボタン85が押されると、実行部215が加工機100に加工を実行させる前に、比較手段でもある登録部213が、既に加工が実行されたNCデータのワーク位置と、加工を実行させようとしているNCデータのワーク位置を比較する。
[NCの解析処理]
次に、図6(a)のS102におけるNCの解析処理について、図7を用いて説明する。アプリケーション203の解析部212は、図6(a)のS101でNCが選択されたら、そのNCのファイルを開く(S201)。そして、このファイルの読み出しを行う(S202)。ファイルの読み出しは、例えば、100行毎に1行行う。即ち、ファイルの行数が膨大であるため、ファイルの行を間引きして読み出す。これにより解析速度を向上させることができる。但し、間引きの幅が大きすぎると解析精度が低下するため、本実施形態では100行毎に読み出しを行っているが、この間引きの行数は適宜設定可能である。
解析部212は、このようにファイルの読み出しを行い、読み出せたかどうか、即ち、データがあるか否かを判定する(S203)。読み出せた場合は(S203のYes)、座標解析を行い、NCが示すワーク位置を取り出す(S204)。そして、そのワーク位置がどのワーク番号に相当するかを確認し、該当するワーク番号のカウンタをインクリメントする(S205)。
ここで、S205のワーク番号の確認は、S204で取り出した位置が、どのワーク番号を加工するかを判定することで行う。例えば以下の条件の場合を考える。
ワーク番号1(X軸:-45.25~-30.75の範囲内、Y軸:10.5~28.5の範囲内)
ワーク番号2(X軸:-26.25~-11.75の範囲内、Y軸:10.5~28.5の範囲内)
ワーク番号3(X軸:-7.25~7.25の範囲内、Y軸:10.5~28.5の範囲内)
この場合、S204での座標解析結果が「X軸:-35.00、Y軸:20.00」であった場合、ワーク番号1の範囲内であるため、ワーク番号1のカウンタをインクリメントする。同様に、S204での座標解析結果が「X軸:-13.24、Y軸:22.19」であった場合、ワーク番号2のカウンタをインクリメントし、S204での座標解析結果が「X軸:0.00、Y軸:12.37」であった場合、ワーク番号3のカウンタをインクリメントする。
この処理をNCが全て読み出されるまで続ける(S202~S205)。NCデータを全て読み出したら(S203のNo)、ワーク番号のカウンタを確認し、閾値を超えているカウンタに対応するワーク番号が、NCで加工対象となるワーク番号であると判定する(S206)。
[アプリケーションの操作の一例]
次に、本実施形態のアプリケーション画面302を用いたアプリケーション203の操作の一例について、図6(a)を参照しつつ、図8を用いて説明する。ディスプレイ300(図5(a))に表示されるアプリケーション画面302は、予約画面81とワーク番号確認画面82によって構成されている。
作業者は、図6(a)のS101のようにNCの選択を行う場合、別途表示される予めストレージ202に記憶された複数のNCを示す画面から、加工対象となるNCを選択し、予約画面81にドラッグアンドドロップする。すると、アプリケーション203は、S102のように、NCの解析を実行する。
そして、NCの解析が完了し、選択されたNCにより特定されるワーク番号が重複しない場合には(S103のYes)、予約リスト83に、そのNCの情報を登録する(S104)。予約リスト83には、NC名、ワーク番号、状態、進捗などの情報を表示する。図8では4つのNCを登録した時を表示している。なお、図6(a)のS103で、選択されたNCにより特定されるワーク番号が重複する場合には(S103のNo)、そのNCは登録されず、予約リスト83にも表示されない。
ワーク番号確認画面82は、ワーク位置情報87と、ワーク情報88とから構成される。ワーク位置情報87は、保持部51の各ワーク番号に対応した位置に、それぞれ登録されたNCにより特定されるワークが表示される。即ち、予約画面81にワークが登録されていない段階では、ワーク位置情報87には、保持部51しか表示されない。そして、NCを登録する毎に、そのNCの加工対象となるワーク番号のワークがワーク位置情報87に表示される。図8の予約リスト83に示すように、4つのNCが登録された場合は、ワーク番号1、3、4、5、8、10、12が加工対象となるので、それらのワーク番号が表示される。このように、ディスプレイ300は、登録部213により登録されたNCデータが複数の加工領域(ワーク番号)のうちの何れかの加工領域(ワーク番号)を加工するものであるかを表示する。
なお、このようにワーク位置情報87に表示されるワークは、ワークが加工中である場合、ワークの加工が終了した場合、ワークが加工待ちである場合に応じて、色を変えたり、表示を半透明にしたりして、これらの場合を区別できるようにしても良い。また、ワークの表面を加工するのか裏面を加工するのか、ワークの向きなどのワークの姿勢も表示しても良い。
ワーク情報88には、登録されたNCにより加工するワークの情報を表示する。ワーク情報には、ワークのサイズ(S、M、L)、色(A42、A43、他)、向き(V、H)などの情報がある。なお、NCにこのようなワークの情報が付加されていない場合には、表示されない。
また、予約画面81に表示されたNCは、例えば、そのNCに基づく加工が終わってもそのまま表示しておき、作業者がそのファイルを消すまで残すようにする。これは、作業者が加工が終わったNCの内容を確認するためである。この場合、ワーク番号確認画面82にもそのNCの情報は残ったままである。なお、加工を終了したNCを自動的に消すようにしても良い。
これらの情報により、作業者は、各ワーク番号にどのようなワークを設置すればいいかが一目でわかるようになる。また、上記4つのNCが登録されている状態で、もし、作業者が操作ミスをし、既に登録済みのNCと同じワーク番号のNCを選択した場合、S103にてNoと判定し、S107にてエラーを表示され、そのNCは登録されることはない。
上述のようにNCの登録が完了すると、作業者が加工開始ボタン85を押す事で、加工が開始される。アプリケーション203は加工が開始されると、予約リスト83の上から順に加工を実行する。即ち、図示の場合「nc_test_1」のNCから加工が開始される。加工が開始されると、予約リスト83の状態項目が、実行待ちから加工中に切り替わる。そして、加工進捗に応じて、予約リスト83の進捗が表示される。加工が完了すると、加工が完了したNCの進捗が100%となり、状態が完了となる。
また、作業者が予約リスト83に表示されている複数のNCによる加工を実行する順番を変えたい場合は、予約リスト83で実行待ちの項目をドラッグアンドドロップし、順番を入れ替えることで加工順を変えることができる。
更に、予約画面81には、加工機100の状態を示す状態表示84と、作業者が手動で加工機100の加工を停止する加工停止ボタン86も表示されている。図示の例の場合、「nc_test_1」のNCを実行しているため、状態表示84の表示は「加工中」となっている。また、加工中や次のNCの加工が開始される前などに加工機100の加工を停止したい場合には、作業者が加工停止ボタン86を押すことで、加工機100の動作が停止する。
[ワーク番号変換機能]
上述した本実施例の構成の場合、NCを出力した段階で、ワーク番号が決まってしまっている。このため、仮に作業者のミスで別のワーク番号にてNCを出力してしまった場合、再度、NCを作り直さなければならない。このため、本実施形態では、アプリケーション203の変更部216(図5(b))により、登録部213により登録されたNCデータにより特定される加工領域(ワーク番号)を変更可能としている。そして、このようなミスをした場合でも、手戻りでの作業工数を減らすようにしている。図9は、このように変更部216によりワーク番号を変更するワーク番号変換機能についてのフローチャートである。
ワーク番号変換機能では、例えば予約リスト83にNCを登録した段階で、ワーク番号確認画面82上で、当初予定していたワーク番号とは違う番号が表示された場合に、予約画面81かワーク番号確認画面82にて、そのワーク番号を変更できるようにしている。そして、その変更が行われたら、図9のフローチャートでの変換処理を行う。
変更部216は、まず、変換前のワーク番号と変換後のワーク番号から、表面と裏面における座標変換式を作成しておく(S301)。例えば、ワーク番号1を加工する予定で作成したNCが、予約リストに登録され、ワーク番号確認画面で確認したところ、ワーク番号3を加工するNCだったとする。作業者は、このNCに対して、ワーク番号を3から1に変更するオペレーションを実施する。このオペレーションが行われたら、変更部216はワーク番号3から1に表面、裏面でのそれぞれの平行移動に必要な式を求める。式は単純にX+A(X:座標、A:変換後の座標までのオフセット)でも、アフィン変換による平行移動でも問題ない。
そして、変更部216は、NCのファイルを開き(S302)、1行ずつ読み出す(S303)。この時、行情報(データ)が読み出せなかったら(S304のNo)、NCの変換がすべて完了したとし、処理を終了する。
一方、S304で、データを読み出せる場合は(S304のYes)、まず表裏解析を行う(S305)。即ち、読み出したNCがワークの表面或いは裏面を加工することを指示するコードであるかを確認する。そして、NCが指示する座標を解析する(S306)。そして、解析結果が表面だった場合は(S307のYes)、S306で解析した座標をS301で作成した表面用の変換式にて平行移動させた時の座標を求める(S308)。そして、変更部216は、S306で解析したNCを、S308で求めた変換後の座標を指示するNCに書き換える(S309)。
同様に、S307で裏面の場合は(S307のNo)、S306で解析した座標をS301で作成した裏面用の変換式にて平行移動させた時の座標を求める(S310)。そして、変更部216は、S306で解析したNCを、S310で求めた変換後の座標を指示するNCに書き換える(S309)。このようなNCの書き換えをNC全てに行うことで座標変換させたNCができあがる。
また、上述した説明では、ワーク番号確認画面82上で、当初予定していたワーク番号とは違う番号が表示された場合に、予約画面81かワーク番号確認画面82にて、そのワーク番号を変更できるようにしているが、ワーク位置が重複している場合に(図6のS103のNo)、ワーク番号を変更できるようにしてもよい。その場合、報知部214は、エラー表示303と共に、ワーク番号の変換を行うか否かの選択ボタンをディスプレイに表示する。
また、上述した説明では、作業者がワーク番号を変更するオペレーションを実施してワーク番号の変更を行っていたが、ワーク位置が重複していると判定された場合、変更部216は、重複していないワーク番号(空いているワーク番号)を一つ特定し、特定されたワーク番号を変換後のワーク番号として、図9のフローチャートにおける処理を行ってもよい。
また、重複していないワーク番号が複数特定された場合は、複数のワーク番号をディスプレイに表示して、作業者がワーク番号を変更するオペレーションを実施するようにしてもよい。
[ログ画面の一例]
本実施形態のアプリケーション203は、接続されている加工機100のデータログ(以下、単に「ログ」という)を定期的にとっている。アプリケーション203は、アプリケーション画面302において、このログ情報を作業者に視覚的に表示できるようにしている。このためにアプリケーション画面302は、図8に示した画面と、次述する図10に示す画面を切り替え可能である。図10は、ログを視覚的に表示したログ画面の一例である。
図10のログ表示画面は、開始日時91、終了日時92、ログ解析ボタン93、タイムライン表示94、ミリングバー長さグラフ95、エラー集計グラフ96、エラー詳細リスト97、ミニマップ99により構成される。作業者は、まず、ログを確認したい期間を決める。そしてその期間を開始日時91と終了日時92に入力する。図10では、2018年1月5日~2018年2月1日のログを指定している。
期間の指定ができたらログ解析ボタン93を押す。するとタイムライン表示94、ミリングバー長さグラフ95、エラー集計グラフ96、エラー詳細リスト97、ミニマップ99が表示される。
タイムライン表示94では、時間毎の加工機100の状態、発生したエラー、NCの登録状況、加工状況、ミリングバー(工具13)の情報の確認ができる。タイムライン表示94及びミニマップ99は、横軸を時間としており、例えば、PC200が備えるマウス操作などにより表示する時間を変更することができる。
ミニマップ99は、上述のように開始日時91と終了日時92で指定された期間において、タイムライン表示94のイベントと同じ属性が分かるように表示される。表示の方法は、色、形状、色と形状の組み合わせ等、対応関係がわかるように表示されていれば各種変形が考えられる。
タイムライン表示94は、ミニマップ99上で範囲選択部98により選択した範囲の詳細を拡大して表示する。範囲選択部98は、例えば、ミニマップ99上をスライド可能で、作業者が所定の範囲の時間を選べるようになっている。なお、範囲選択部98は、タイムライン表示94に表示する時間の範囲も変更できるようにしても良い。なお、ミニマップ99では、一部の情報(例えば、加工状態)のみを表示し、タイムライン表示94において、この一部の情報及び他の情報を表示するようにしても良い。
ミリングバー長さグラフ95は、ミリングバーの長さの変遷をグラフにて確認することができる。上述したように、ミリングバー(工具13)の長さは、工具長センサ43により定期的に測定している。なお、図示の例では、ミニマップ99上で範囲選択部98により選択された範囲(タイムライン表示94に表示されている期間)のミリングバーの長さの変遷を示しているが、上述のように開始日時91と終了日時92で指定された期間(ミニマップ99に表示されている期間)におけるミリングバーの長さの変遷を示すようにしても良い。また、この場合、タイムライン表示94に表示されている期間と、ミニマップ99に表示されている期間の何れかにおけるミリングバーの長さの変遷を選択できるようにしても良い。
エラー集計グラフ96は、上述のように開始日時91と終了日時92で指定された期間内に発生した各エラーを円グラフにて表示している。このグラフにて、どのエラーが最も発生しているかが一目でわかる。そして、エラー詳細リスト97にて発生したエラーの日時を確認できる。なお、ドア開きは、図1に示した開閉ドア102が開いたことを不図示のセンサにより検知した場合である。このドア開きは、通常、ワークの交換などにより作業者が開閉ドア102を開閉したものであると考えられるため、エラー集計グラフ96に集計しないようにしても良い。
また、エラーの例としては、ミリングバーの長さが異常に短くなった場合などのミリングバー異常、加工機100が有する何れかのモータの負荷が大きくなるなどのモータ異常、作業者が加工機100を緊急停止した場合などの異常停止などが挙げられる。
本実施形態では、ログ表示画面を使用することで、作業者は、これまでに行ってきた操作内容を簡単に把握することができる。そして、ログを解析することで、加工機100の故障予兆を判断し、インターロック及び警告画面の表示にて、事前に故障を防ぐことができる。一例として、ミリングバー長さをログにて解析し、所定の長さより短くなっていた場合に、異常として判断する。この時、ミリングバーの長さの変化率が急激である場合は、ミリングバーに折れが発生した可能性があるため、警告画面を表示するなどして、作業者にミリングバーの折れである旨を通知する。また、ミリングバーの長さの変化率が緩やかである場合は、消耗によるものであると判断し、作業者にミリングバーの交換を促す旨を通知する。本実施形態においては、ミリングバーの長さを表示できるようにするために、電源投入時に、加工機が、ミリングバーの交換動作を行い、工具ホルダ内の利用可能性のある複数のミリングバーの長さをタッチセンサにより測定している。
上述のように本実施形態の場合、作業者が利用しやすい加工機のユーザーインターフェースを実現できる。具体的には、NCを選択する作業において、これまで登録したNCのワーク位置と、同じ位置を加工するNCが選択された場合には、選択エラーとし、作業者にその旨を通知するようにしている。即ち、アプリケーション203の報知部214は、選択部211によりワーク番号が重複する複数のNCデータが選択された場合に、その旨、即ち、エラーを表示する。そして、実行部215は、それまでに登録されたNCデータにより特定されるワーク番号と、選択されたNCデータにより特定されるワーク番号とが重複する場合には、選択されたNCデータの加工を行わないようにしている。
このため、作業者(ユーザ)は、誤ったNCデータを選択したことを把握でき、作業者が使いやすいユーザーインターフェースを実現できる。また、加工機100が誤ったNCデータによる加工を行うことを防止でき、期待通りの加工が行えなくなることを抑制したり、ミスによるNCの再登録やワークの交換といった手間を低減できる。また、ワーク番号を間違えた場合には、図9で説明したように、手戻りでの作業工数を減らすことができる。
また、アプリケーション203は、図8に示したアプリケーション画面302を表示可能であるため、作業者が、登録されたNCのワーク番号などの状態を簡単に把握でき、更には、各ワーク番号にどのようなワークを設置すればいいかが一目でわかるようになる。
更に、アプリケーション203は、図10に示したログ表示画面を表示可能であるため、作業者は、所望の期間における加工状態などの情報を視覚的に把握し易く、故障の予兆や、工具などの交換時期などの予測を行い易くなる。このように、本実施形態のアプリケーション203は、作業者が使いやすいユーザーインターフェースを実現できる。
<第2の実施形態>
第2の実施形態について、図11及び図12を用いて説明する。なお、本実施形態では、加工機100Aの保持部51(図2、4参照)がそれぞれのワーク番号の位置にワークがセットされたことを検知するワーク検知部46を備えている。その他の構成及び作用は、上述の第1の実施形態と同様であるため、同様の構成については説明及び図示を省略又は簡略にし、以下、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
図11に示すように、加工機100Aは、保持部51の加工領域(ワーク番号に対応した位置)に加工対象物(ワーク)が配置されたことを検知可能な検知手段としてのワーク検知部46を有する。ワーク検知部46は、各ワーク番号に対応した位置にそれぞれ配置され、実際のその位置にワークがセットされたことを検知可能である。
このような本実施形態の加工機100Aの制御について、図12のフローチャートを用いて説明する。なお、図12は、図6のフローチャートに対してS108を追加しただけである。このため、S101~S107は、図6と同じであるため説明を省略する。
S103において、選択部211により選択されたNCデータにより特定されるワーク位置(ワーク番号)が空いている場合(S103のYes)、アプリケーション203は、そのワーク番号に実際にワークがセットされているか否かをワーク検知部46の検知結果により判断する(S108)。ワーク検知部46がワークを検知していれば(S108のYes)、登録部213がこのNCデータを登録する(S104)。
一方、S108で、ワーク検知部46がワークを検知しない場合(S108のNo)、登録部213は、第1のNCデータを登録せず、報知部214のエラー表示部221は、ディスプレイ300のアプリケーション画面302にエラーを表示する(S107)。このエラー表示は、ワークが選択されたワーク番号にセットされていない旨の表示であっても良いし、図6(b)に示した表示であっても良い。
即ち、本実施形態の場合、登録部213は、選択部211により選択された第3のNCデータにより特定される加工領域(ワーク位置)が、既に登録された第4のNCデータにより特定される加工領域と重複しない場合であっても、ワーク検知部46が第3のNCデータにより特定される加工領域でワークを検知しない場合には、第3のNCデータを登録しない。
このような本実施形態の場合、ワークをセットすることを忘れた場合などに、その旨が表示され、作業者が利用しやすい加工機100Aのユーザーインターフェースを実現できる。
<他の実施形態>
追加手段は、上述の選択部211以外に、直接、NCをストレージ202に追加するものであっても良い。即ち、CAMソフト201により作成したNCを追加手段により追加した場合に、解析部212がNCを解析し、これに基づいて、登録部213がNCの登録の可否を判断するようにしても良い。
上述の各実施形態では、図5(a)に示したように、加工システム1000が、加工機100と、PC200と、ディスプレイ300とを備えた構成について説明した。但し、加工機自体が、PC200及びディスプレイ300の機能を備えていても良い。即ち、加工機が、選択部211、登録部213、報知部214、実行部215などのプログラムを有するアプリケーション203を備えており、更に、エラー表示などの各種の表示が可能なディスプレイ300を備えていても良い。
98・・・範囲選択部/100、100A・・・加工機/200・・・PC/203・・・アプリケーション(プログラム)/300・・・ディスプレイ(表示手段)/1000・・・加工システム

Claims (11)

  1. NCデータに基づいて加工対象物を加工可能な加工機と、
    前記加工機により加工を実行したデータログであるログ情報を表示する表示手段と、
    前記ログ情報の期間を指定する期間指定手段と、
    前記期間指定手段に指定された期間内の前記ログ情報のうち、前記表示手段に表示する範囲を選択する範囲選択手段と、を備え、
    前記範囲選択手段は、ユーザの操作によって前記表示手段に表示する範囲変更され
    前記表示手段は、前記データログに含まれるエラー情報に基づいて、前記範囲選択手段により選択された範囲のうちの前記エラー情報のエラーが発生した時間に前記エラーが発生したことを示す表示をすることを特徴とする加工システム。
  2. 前記表示手段は、前記期間指定手段により指定した期間の種類の異なる複数の前記エラー情報を各エラーの種類ごとに件数を分けて円グラフに表示することを特徴とする請求項1に記載の加工システム。
  3. 前記表示手段は、同じ属性の前記エラー情報について、色及び形状の少なくともいずれか一方対応させて表示することを特徴とする請求項1に記載の加工システム。
  4. 前記表示手段に情報を表示させるコンピュータと、
    前記コンピュータを操作するマウスと、を備え、
    前記ユーザの操作は、前記マウスの操作であることを特徴とする請求項1に記載の加工システム。
  5. 前記表示手段は、前記期間指定手段により指定された期間の一部を選択可能なミニマップを表示し、
    前記範囲選択手段は、前記ミニマップ上で範囲をスライドさせることで一部の期間を選択可能であることを特徴とする請求項1に記載の加工システム。
  6. 前記表示手段は、前記期間指定手段により指定された期間の一部を選択可能なミニマップを表示するとともに、前記ミニマップ上の前記範囲選択手段により選択された期間をタイムライン表示し、
    前記表示手段は、前記タイムライン表示として、前記エラー情報、及び、前記加工機の加工状態の時間軸を合わせて表示することを特徴とする請求項1に記載の加工システム。
  7. 前記表示手段は、前記加工機の工具の長さを表示することを特徴とする請求項1に記載の加工システム。
  8. 前記工具の長さは、前記工具を収容する工具マガジンに設けられたタッチセンサにより測定されることを特徴とする請求項7に記載の加工システム。
  9. NCデータに基づいて加工対象物を加工可能な加工機であって、
    前記加工機により加工を実行したデータログであるログ情報を表示する表示手段と、
    前記ログ情報の期間を指定する期間指定手段と、
    前記期間指定手段に指定された期間内の前記ログ情報のうち、前記表示手段に表示する範囲を選択する範囲選択手段と、を備え、
    前記範囲選択手段は、ユーザの操作によって前記表示手段に表示する範囲変更され
    前記表示手段は、前記データログに含まれるエラー情報に基づいて、前記範囲選択手段により選択された範囲のうちの前記エラー情報のエラーが発生した時間に前記エラーが発生したことを示す表示をすることを特徴とする加工機。
  10. NCデータに基づいて加工対象物を加工可能な加工機の制御方法において、
    前記加工機により加工を実行したデータログであるログ情報を表示する表示工程と、
    前記ログ情報の期間を指定する期間指定工程と、
    指定された期間内の前記ログ情報のうち、表示する範囲をユーザの操作によって変更する範囲選択工程と、
    前記データログに含まれるエラー情報に基づいて、前記範囲選択工程により選択された範囲のうちの前記エラー情報のエラーが発生した時間に前記エラーが発生したことを示す表示をする工程と、を備えことを特徴とする加工機の制御方法。
  11. NCデータに基づいて加工対象物を加工可能な加工機の制御をコンピュータに実行させるプログラムにおいて、
    前記加工機により加工を実行したデータログであるログ情報を表示する表示工程と、
    前記ログ情報の期間を指定する期間指定工程と、
    指定された期間内の前記ログ情報のうち、表示する範囲をユーザの操作によって変更する範囲選択工程と、
    前記データログに含まれるエラー情報に基づいて、前記範囲選択工程により選択された範囲のうちの前記エラー情報のエラーが発生した時間に前記エラーが発生したことを示す表示をする工程と、を前記コンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
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