JP7432345B2 - シート剥離装置 - Google Patents

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本発明は、被着体に貼付された保護シートを剥離するシート剥離装置に関するものである。
半導体製造分野では、シリコンウェハ等の半導体基板(以下、「被着体」という)の裏面を研削して薄くする工程があり、その工程では被着体の表面に粘着フィルム等から成る保護シートを貼り付けて、被着体の表面に形成されたデバイスを保護している。
被着体に貼付された保護シートを剥離するシート剥離装置として、図6(a)に示すように、リングフレームrfに張設されたダイシングテープdtに被着体wをマウントし、被着体wに貼付された保護シートsの端部に接着テープtを接着し、被着体wを接着テープtに対して相対的に移動させることにより、接着テープtに剥離力を作用させて保護シートsを被着体wから剥離する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平11-16862号公報
しかしながら、特許文献1記載の装置では、図6(b)、(c)に示すように、被着体wの外周部から保護シートsの剥離を開始させる、所謂、きっかけ剥離の際に、接着テープtと保護シートsとの接着面積が広い場合、接着テープtが保護シートsを上方に引っ張って被着体wから剥離させると、被着体wの外周部が保護シートsに追従するように大きく跳ね上がることがあり、被着体wに割れ等のダメージを与える虞がある。
一方、接着テープtと保護シートsとの接触面積が狭い場合、接着テープtが保護シートsに作用させる張力が接着テープtと保護シートsとの粘着力に比べて大きく、接着テープtが保護シートsから外れてしまう虞があった。
そこで、きっかけ剥離の際に、被着体にダメージを与えることなく且つ保護シートを被着体から安定して剥離させるために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係るシート剥離装置は、被着体に貼付された保護シートに剥離テープを介して剥離力を付与して、前記保護シートを剥離するシート剥離装置であって、前記被着体を保持する保持手段と、前記剥離テープを繰り出す繰出手段と、前記剥離テープを前記保護シートに溶着させるヒートスタンプと、を備え、前記ヒートスタンプは、前記保護シートの周縁で前記剥離テープと前記保護シートとを溶着させる第1のヘッドと、前記保護シートの周縁より中心側で前記剥離テープと前記保護シートとを前記第1のヘッドより大面積で溶着させる第2のヘッドと、を備え、前記第1のヘッド及び前記第2のヘッドは、前記剥離テープと前記保護シートとを略同時に溶着し、前記第1のヘッドによる前記剥離テープと前記保護シートとの溶着範囲を介して前記保護シートの周縁が剥離され、続いて前記第2のヘッドによる前記剥離テープと前記保護シートとの溶着範囲を介して前記保護シート全体が剥離される
この構成によれば、第1のヘッドが、保護シートの周縁と剥離テープとを小面積で溶着させて保護シートのきっかけ剥離に適切な接着力を確保し、第2のヘッドが、保護シートの周縁より中心側で保護シートと剥離テープとを大面積で溶着させて保護シート全面の剥離に適切な接着力を確保するため、被着体にダメージを与えることなくきっかけ剥離を行い、且つ剥離テープが保護シートから外れることなく保護シートを被着体から剥離させることができる。
また、本発明に係るシート剥離装置は、前記第2のヘッドが、底面から視て前記保護シートの半径と略同一の曲率半径で形成されていることが好ましい。
この構成によれば、剥離テープが保護シートに作用させる張力が、第2のヘッドが溶着した剥離テープおよび保護シートの溶着領域全体に略均等に作用するため、剥離テープが保護シートから外れることをさらに抑制することができる。
本発明は、被着体にダメージを与えることなくきっかけ剥離を行え、且つ剥離テープが保護シートから外れることなく保護シートを被着体から剥離させることができる。
本発明の一実施形態に係るシート剥離装置を示す斜視図。 シート剥離装置の側面図。 ヒートスタンプを示す斜視図及び底面図。 保護シートを剥離する手順を示す模式図。 図5(a)、(b)は、保護シートが剥離される様子を示す模式図であり、図5(c)は、図5(b)の要部拡大図である。 図6(a)、(b)は、従来のシート剥離装置において、保護シートが剥離される様子を示す模式図であり、図6(c)は、図6(b)の要部拡大図である。
本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。なお、以下では、構成要素の数、数値、量、範囲等に言及する場合、特に明示した場合及び原理的に明らかに特定の数に限定される場合を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも構わない。
また、構成要素等の形状、位置関係に言及するときは、特に明示した場合及び原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似又は類似するもの等を含む。
また、図面は、特徴を分かり易くするために特徴的な部分を拡大する等して誇張する場合があり、構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
図1は、シート剥離装置1の正面図である。図2は、シート剥離装置1の側面図である。シート剥離装置1は、被着体Wの裏面研削を行うにあたって被着体Wの表面を保護するために粘着された保護シートS(BGテープ)を剥離するものである。被着体Wは、例えば、シリコンウェハ等の半導体基板であるが、これに限定されるものではない。
被着体Wは、保護シートSを上面側にした状態でダイシングテープDTを介してリングフレームRFにマウントされたものである。ダイシングテープDTは、紫外線硬化テープ等である。
シート剥離装置1は、被着体Wを載置する保持テーブル2を備えている。保持テーブル2の上面側には、吸着面21が設けられている。
吸着面21は、図示しない真空源又は圧縮空気源に接続されている。真空源が起動すると、吸着面21に載置された被着体Wが吸着面21に吸着保持される。また、圧縮空気源が起動すると、被着体Wと吸着面21との吸着が解除される。
保持テーブル2は、図示しない移動手段を介してスライド方向(図2の紙面右から左)に移動可能に設けられている。
シート剥離装置1は、帯状の剥離テープTを繰り出し可能な繰出手段3を備えている。繰出手段3は、送りローラー31と、巻取ローラー32と、第1~第4のガイドローラー33~36と、押圧部材37と、を備えている。
送りローラー31は、帯状の剥離テープTを繰り出し可能に支持している。巻取ローラー32は、剥離テープTに繰出力を付与して巻き取る。第1~第4のガイドローラー33~36及び押圧部材37は、剥離テープTに張力を作用させるとともに剥離テープTの軌道を規制するように適当な位置に配置されている。
シート剥離装置1は、剥離テープTを保護シートSに貼着する貼付手段4を備えている。貼付手段4は、ヒートスタンプ41と、ヒートスタンプ41を上下に昇降させる図示しないシリンダと、を備えている。
ヒートスタンプ41は、図3(a)に示すように、第1のヘッド42と、第2のヘッド43と、を備えている。第1のヘッド42及び第2のヘッド43は、スライド方向の前方から後方に向かってこの順に僅かに隙間を空けて並設されている。第1のヘッド42及び第2のヘッド43は、所定温度に昇温された状態で剥離テープTに押し付けられることにより、剥離テープTと保護シートSとを溶着させる。
第1のヘッド42は、下面44が被着体Wの周縁に対向するように配置されている。下面44は、図3(b)に示すように、底面から視て保護シートSの半径と略同径の扇環状に形成されている。
第2のヘッド43の下面45は、下面44より広面積で形成されている。具体的には、下面45は、下面44に比べて、スライド方向及びスライド方向に垂直な幅方向(図2の紙面垂直方向)にそれぞれ幅広に形成されている。下面45の前方縁46は、底面から視て保護シートSの半径と略同一の曲率半径になるように湾曲して設定され、下面45の後方縁47は、幅方向に平行に形成されている。
なお、第1のヘッド42及び第2のヘッド43の形状は、上述したものに限定されないことは言うまでもない。また、第1のヘッド42及び第2のヘッド43は、単一のヒートスタンプに設けられたものに限定されず、独立した2つのヒートスタンプにそれぞれ設けられても構わない。また、剥離テープTと保護シートSとを粘着させるヘッドの数は、3個以上であっても構わない。
シート剥離装置1は、規制手段としての規制ローラー5を備えている。規制ローラー5は、保護シートSが剥離し始める位置(剥離開始位置)の略上方に約2~3mm程度離間して配置されている。規制ローラー5は、剥離テープTの繰出をスムーズに行えるように、図示しない略水平に取り付けられた支持軸回りに回転自在に設けられている。
規制ローラー5の表面(ガイド面51)には、剥離テープTが不用意に付着しないよう、例えば、ガイド面51をフッ素樹脂でコーティングしたり、ガイド面51にローレット加工を施すのが好ましい。これにより、剥離テープTの繰出をスムーズに行うことができる。
なお、規制手段は、上述した形態に限定されるものではなく、例えば、滑りの良い円弧状のガイド面を備えた扇形柱を用いて、剥離テープTの撓みを押えこむように撓み方向を規制するものであっても構わない。
また、ガイド面の滑りが良く、剥離テープTの繰出をスムーズに行えるのであれば、支持軸回りに回転不能に構成し、剥離テープTをガイド面51上で摺動させるように構成されても構わない。
次に、シート剥離装置1の動作について、図面に基づいて説明する。図4は、保護シートSを剥離する手順を示す図である。
まず、厚み約20μm、直径約400mmの被着体Wを保持テーブル2に吸着させた後に、図4(a)に示すように、ヒートスタンプ41の下方に被着体Wの外周部が配置されるように、保持テーブル2を移動させる。
次に、図4(b)に示すように、シリンダを駆動してヒートスタンプ41を降下させ、第1のヘッド42及び第2のヘッド43が剥離テープTに接触して180℃のスタンプ温度で加熱・押圧することにより、剥離テープTと保護シートSの外周部とが溶着される。第1のヘッド42及び第2のヘッド43の溶着範囲は、下面44、45の形状に応じて設定され、第2のヘッド43の溶着範囲は、第1のヘッド42の溶着範囲が比較的大きく形成される。保護シートSのうち第1のヘッド42によって剥離テープTが溶着された位置が、保護シートSの剥離開始位置となる。
次に、図4(c)に示すように、シリンダを駆動してヒートスタンプ41を上昇させた後に、図4(d)に示すように、剥離開始位置を規制ローラー5に接近させるように(図4(d)の紙面左側に向けて)、保持テーブル2を移動させる。規制ローラー5の長さは、被着体Wの直径より大きく、例えば400mmに設定される。剥離テープTは、剥離開始位置より保持テーブル2の進行方向の前方側に膨らむような側面から視て横向きの略U字状に撓む。
次に、図4(e)に示すように、保持テーブル2をさらに移動させると、規制ローラー5が、剥離テープTに接触して、規制ローラー5が、剥離テープTの撓みを略垂直方向に、換言すれば、剥離テープTと保護シートSとで成す角度(剥離角度Θ)が小さくなるように、規制ローラー5が、剥離テープTの撓みを押え込む。
次に、図4(f)に示すように、保持テーブル2をさらに移動させると、剥離テープTに作用する張力によって、剥離テープTの撓みが略垂直方向に押し込まれたまま、保護シートSを被着体Wから剥離する剥離力が保護シートSに作用する。なお、保護シートSが剥離し始める際の保持テーブル2の移動速度は、例えば1mm/sに設定される。
ここで、保護シートSが被着体Wから剥離し始める、所謂、きっかけ剥離における保護シートSの挙動について、図5に基づいて具体的に説明する。
まず、図5(a)に示すように、保護シートSの外周部が被着体Wから剥離する直前では、剥離テープTが規制ローラー5に接触することで下方に押え込まれるため、剥離テープTと保護シートSとで成す角度(剥離角度Θ)が小さい状態で撓んでいる。
そして、保持テーブル2が移動すると、図5(b)、(c)に示すように、従来と比べて小さい剥離角度Θを維持したまま、保護シートSが被着体Wから剥離される。
これにより、保護シートSに作用する剥離力の垂直方向成分が低減されて、被着体Wが保護シートSに追従して跳ね上がることが抑制され、被着体Wにダメージを与えることなく保護シートSを剥離することができる。
そして、図4(f)に示すように、被着体Wの外周部の保護シートSが完全に剥離した後には、保持テーブル2をさらに移動させて、保護シートS全面を被着体Wから剥離させる。
ここで、保護シートSと剥離テープTとが第1のヘッド42のみによって溶着されている場合、剥離テープTが保護シートSに作用させる張力が剥離テープTと保護シートSとの粘着力を上回り、剥離テープTが保護シートSから外れてしまう虞がある。
しかしながら、第2のヘッド43が、保護シートSと剥離テープTとを幅方向に亘って広範囲を溶着することにより、剥離テープTが保護シートSに作用させる単位面積当たりの張力が小さくなり、剥離テープTが保護シートSから外れることを抑制する。
さらに、下面45の前方縁46が、保護シートSの半径と略同一の曲率半径に形成されていることにより、前方縁46が幅方向に平行に形成された場合と比較して、剥離テープTが保護シートSに作用させる張力が溶着領域の隅部に集中することなく縁部全体に略均等に作用するため、剥離テープTが保護シートSから外れることをさらに抑制することができる。
なお、保持テーブル2の移動速度は、保護シートSが被着体Wから剥離する面積に応じて変更するのが好ましい。
例えば、図4(e)に示すように、保護シートSの剥離当初は、保護シートSと被着体Wとの接着面積が狭く、被着体Wに作用する単位面積当たりの剥離力が大きくなりがちである。したがって、保持テーブル2の移動速度は、小さいのが好ましい。
一方、図4(f)に示すように、保護シートSの剥離がある程度進行した後には、保護シートSと被着体Wとの接着面積が広くなり、被着体Wに作用する単位面積当たりの剥離力は小さくなる。したがって、保持テーブル2の移動速度を加速させることができ、例えば4~5mm/sに設定される。
このように、保持テーブル2の移動速度を適宜変更することにより、被着体Wを損傷することなく、保護シートSの剥離に要する時間を短縮することができる。
また、保持テーブル2を垂直方向にスライド可能に構成する等して、保持テーブル2と規制ローラー5との間隔を調整可能に構成されるのが好ましい。これにより、規制ローラー5と保持テーブル2との距離が調整でき、剥離テープTの材質、硬さ、脆さ等に応じて撓みの曲率半径を適宜変更することができる。例えば、剥離テープTの撓みの曲率半径が小さくなれば、保護シートSに作用する剥離力の垂直成分が低減されるため、きっかけ剥離の際の被着体Wの跳ね上がりを抑制することができる。
このようにして、本実施形態に係るシート剥離装置1は、第1のヘッド42が、保護シートSの周縁と剥離テープTとを小面積で溶着させて保護シートSのきっかけ剥離に適切な接着力を確保し、第2のヘッド43が、保護シートSの周縁より中心側で保護シートSと剥離テープTとを大面積で溶着させて保護シートS全面の剥離に適切な接着力を確保するため、被着体Wにダメージを与えることなくきっかけ剥離を行い、且つ剥離テープTが保護シートSから外れることなく保護シートSを被着体Wから剥離させることができる。
また、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り、上記以外にも種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。また、上述した実施形態及び各変形例は、互いに組み合わせても構わない。
1 ・・・シート剥離装置
2 ・・・保持テーブル
21 ・・・吸着面
3 ・・・繰出手段
31 ・・・送りローラー
32 ・・・巻取ローラー
37 ・・・押圧部材
4 ・・・貼付手段
41 ・・・ヒートスタンプ
42 ・・・第1のヘッド
43 ・・・第2のヘッド
44 ・・・(第1のヘッドの)下面
45 ・・・(第2のヘッドの)下面
46 ・・・前方縁
47 ・・・後方縁
5 ・・・規制ローラー
51 ・・・ガイド面
DT ・・・ダイシングテープ
RF ・・・リングフレーム
S ・・・保護シート
T ・・・剥離テープ
W ・・・被着体

Claims (2)

  1. 被着体に貼付された保護シートに剥離テープを介して剥離力を付与して、前記保護シートを剥離するシート剥離装置であって、
    前記被着体を保持する保持手段と、
    前記剥離テープを繰り出す繰出手段と、
    前記剥離テープを前記保護シートに溶着させるヒートスタンプと、
    を備え、
    前記ヒートスタンプは、
    前記保護シートの周縁で前記剥離テープと前記保護シートとを溶着させる第1のヘッドと、
    前記保護シートの周縁より中心側で前記剥離テープと前記保護シートとを前記第1のヘッドより大面積で溶着させる第2のヘッドと、
    を備え
    前記第1のヘッド及び前記第2のヘッドは、前記剥離テープと前記保護シートとを略同時に溶着し、
    前記第1のヘッドによる前記剥離テープと前記保護シートとの溶着範囲を介して前記保護シートの周縁が剥離され、続いて前記第2のヘッドによる前記剥離テープと前記保護シートとの溶着範囲を介して前記保護シート全体が剥離されることを特徴とするシート剥離装置。
  2. 前記第2のヘッドは、底面から視て前記保護シートの半径と略同一の曲率半径で形成されていることを特徴とする請求項1記載のシート剥離装置。
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