詳細な説明
I. 細胞のエピジェネティック状態を評価するための方法
細胞もしくは細胞組成物(養子細胞療法に関連して使用するための対象由来の初代細胞、例えばT細胞を含有する細胞組成物)の1つまたは複数のゲノム領域についてのエピジェネティックなプロファイルまたはシグネチャを決定するための方法が提供される。いくつかの態様では、該細胞組成物は、組換え受容体、例えばキメラ抗原受容体(CAR)、で細胞を操作する前および操作した後の組成物を含めて、細胞療法の製作または操作に関連した組成物を含む。いくつかの局面では、細胞もしくは細胞組成物のゲノム領域のエピジェネティックなプロファイルもしくはシグネチャおよび/または1つまたは複数のエピジェネティックな特性は、該細胞のある種の特徴または特性に関する情報、例えば、該細胞もしくは細胞組成物の表現型、活性化状態および/もしくは機能に関連するもの、ならびに/または細胞療法による治療の1つまたは複数の転帰を示す、該転帰に関連する、該転帰に相関する、および/もしくは該転帰を予測するものを提供することができる。これらの方法は次のような観察に基づいている;すなわち、特定の遺伝子またはゲノム領域のエピジェネティックな特性、例えばクロマチンアクセシビリティは、転写に依存する方法(例えば、RNAシーケンシング)などの他のシステムでは不可能である、細胞組成物の特徴および特性の詳細で、精巧で、かつ/または包括的な追跡を可能にする。いくつかの局面では、そのようなエピジェネティック特性は、疾患転帰、応答転帰、毒性転帰などの転帰と相関し、かつ/または細胞の表現型、持続性、活性および/もしくは機能と相関することが見出されている。そのような相関関係は、特定の局面では、転写、タンパク質発現を評価する方法などの、既存の分析方法を用いて、および/または細胞内染色によって、観察されない。
ゲノム領域のエピジェネティックな特性に基づいて、かつ/または1つまたは複数のゲノム領域のエピジェネティックなプロファイルから決定されるように、細胞療法による治療の転帰などの、転帰を示す、転帰に関連する、転帰に相関する、かつ/または転帰を予測するゲノム領域を同定するための方法が提供される。また、特定のゲノム領域のエピジェネティック特性に基づいて、養子細胞療法のための細胞組成物もしくは細胞培養組成物を評価する方法も提供される。
提供された方法は、養子細胞療法を施す前に、治療の転帰を予測するゲノム領域を同定するために使用され得る。本明細書では、細胞療法による治療の転帰を予測する1つまたは複数のゲノム領域を同定する方法が提供される。提供された方法は、養子細胞療法の特定の転帰または特性(例えば、所望の応答および/または安全性の転帰)を示す、それに関連する、それに相関する、かつ/またはそれを予測するエピジェネティックなプロファイルを同定するために使用され得る。いくつかの態様では、提供された方法を用いて、例えば該エピジェネティックプロファイルを別のサンプルのものと、および/または参照プロファイルと、比較することによって、投与前に細胞もしくは細胞組成物の1つまたは複数の特性または特徴を評価することができる。いくつかの態様では、該方法は、細胞もしくは細胞の集団の1つまたは複数のゲノム領域のエピジェネティック特性を解析または決定する工程(該細胞もしくは集団は、組換え受容体を含む第2の組成物を生成するように組換え受容体で遺伝子操作される細胞の第1の組成物に含まれるか、または組換え受容体を含む細胞の第2の組成物に含まれる);および該1つまたは複数のゲノム領域にわたって全体的に、そのエピジェネティック特性が細胞療法の転帰を予測する、示す、またはそれと相関する、該1つまたは複数のゲノム領域のうちの1つまたは複数を同定する工程(該細胞療法は該組換え受容体を含む細胞の第2の組成物を投与することを含む)を含む。
いくつかの態様では、提供された方法を用いて、ゲノム領域(例えば、1つまたは複数のゲノム座位、および/または1つまたは複数の遺伝子、例えば遺伝子のパネル)のクロマチンアクセシビリティなどのエピジェネティック特性を測定または定量することによって、細胞療法(例えばCAR+ T細胞療法)と関連して使用される細胞の特徴または特性(例えば、細胞療法に対する応答を予測するかまたは所望の細胞表現型もしくは機能を示す特徴または特性)に関する情報を得ることができる。いくつかの局面では、提供された方法は、細胞療法の転帰(例えば、細胞療法後の応答および/または安全性の転帰)および/または細胞療法の質を改善するなどによって、細胞療法を最適化するかまたは改善することに関連して使用され得る。
いくつかの場合には、これは既存の方法および細胞療法と比べて有利である。というのは、応答を予測することが厄介であったり、最適投与量を決定することが困難であったり、かつ/または細胞療法の質が変わりやすかったりするからである。提供された方法を用いて、投与前に養子細胞療法のための操作細胞の特性および特徴についてのより良い情報を得ることができ、結果として、細胞療法の有効性および安全性を高めるための最適投与量を容易かつ迅速に決定することができる。また、提供された方法を用いて、細胞療法の製作または操作に関連して、例えば、細胞の表現型、活性、持続性または機能に影響を及ぼし得る様々なプロセスパラメータ(例えば、温度、培養条件、その他のパラメータ)の影響に関連して、細胞を同定または特徴付けることもできる。
いくつかの態様では、提供された方法は、細胞療法による治療の転帰を予測する1つまたは複数のゲノム領域を同定するために使用することができ、該方法は、(a)第1の治療用組成物に含まれる細胞もしくは細胞の集団について、1つまたは複数のゲノム領域のエピジェネティック特性のレベルもしくは程度または相対的なレベルもしくは程度を決定または測定する工程;(b)第2の治療用組成物に含まれる細胞もしくは細胞の集団について、該1つまたは複数のゲノム領域の該エピジェネティック特性のレベルもしくは程度または相対的なレベルもしくは程度を決定または測定する工程;および(c)該ゲノム領域の1つまたは複数について(a)での該レベルもしくは程度と(b)での該レベルもしくは程度を比較する工程を含む。
いくつかの態様では、提供された方法は、対象に投与するための細胞組成物を評価するために使用することができ、該方法は、組換え受容体で操作された細胞を含む細胞組成物中の細胞の1つまたは複数のゲノム領域のエピジェネティックプロファイルを解析する工程;および各ゲノム領域のエピジェネティックプロファイルを、個別に、参照プロファイルと比較する工程であって、その比較によって、対象に投与されたときに、該細胞の集団が転帰を示すもしくはもたらすか、またはその可能性が高いかどうかが示される、工程を含む。いくつかの態様では、提供された細胞培養物の評価方法は、アウトプット細胞組成物に含まれる細胞の1つまたは複数のゲノム領域のエピジェネティックプロファイルを解析する工程であって、アウトプット細胞組成物が、1つまたは複数の試験物質または条件の存在下でインプット組成物を培養することによって得られる、工程;および各ゲノム領域のエピジェネティックプロファイルを、個別に参照プロファイルと比較する工程であって、その比較によって、該細胞が所定の表現型、持続性、活性および/または機能を示すか、または示す可能性が高いかどうかが示される、工程を含む。
いくつかの態様では、提供された方法は、細胞療法のための細胞の状態、質、一貫性、表現型、クローン性、均一性、特徴および/または特性を評価するために;養子細胞療法の特定の転帰または特性(例えば、所望の応答および/または安全性の転帰)を示す、それに関連する、それに相関する、かつ/またはそれを予測する細胞もしくは細胞組成物を選択するために;かつ/またはエピジェネティック特性の評価に基づいて、投与用の細胞組成物が最適化もしくは改善され得るように、用量、細胞のタイプ、および/もしくは操作プロセスの1つまたは複数の工程もしくはパラメータを修正または変更するために使用され得る。
いくつかの局面では、提供された方法は、該細胞、例えば養子細胞療法のための細胞、の状態、質、一貫性、表現型、クローン性、均一性、特徴および/または特性を決定するために使用され得る。いくつかの局面では、提供された方法は、遺伝子操作の1つまたは複数の段階における細胞、または遺伝子操作前に対象から得られた細胞組成物、または様々な段階で精製もしくは選択された細胞亜集団、または操作細胞の投与後に対象から得られた細胞に対して使用され得る。いくつかの局面では、該方法は、対象への投与前に該細胞の状態、質、一貫性、表現型、クローン性、均一性、特徴および/または特性を評価するために使用することができ、そして該解析方法からの結果は、治療対象を選択するために;治療計画(投与量と投与頻度および/もしくは追加の治療を含む)を決定するために;かつ/またはより望ましい投与用の細胞組成物を得るために操作もしくは製造プロセスを修正または変更するために;使用することができる。いくつかの態様では、該方法を用いて、有効性が向上しかつ/または有害作用が低下した投与のための、より均一で、予測的に有効性のある細胞組成物を得ることができる。いくつかの局面では、提供された方法を、細胞集団中の細胞を特徴付けるための他の方法またはアッセイ、例えば細胞表面マーカーの発現、細胞の持続性、生存率および/または増殖を測定するためのアッセイと組み合わせてまたは連結して使用して、そのような特徴および/または表現型との相関関係を決定することができる。
いくつかの態様では、様々な変更が可能であり、均等物が様々な態様において置換され得る。さらに、特定の状況、材料、組成物、プロセス、プロセスの行為または工程を、様々な態様の目的、精神または範囲に適合させるために、多くの修正を加えることができる。いくつかの態様では、本明細書で記載され説明される個々の変形態様のそれぞれは、様々な態様の範囲または精神から逸脱することなく、他のいくつかの態様のいずれかの特徴から容易に分離されるかまたはその特徴と容易に組み合わされる、個別の成分および特徴を有する。全てのそのような変更は、本開示に関連する特許請求の範囲内に含まれることが意図される。
II. エピジェネティック/エピジェノミック解析
提供された方法のいずれにおいても、エピジェネティックおよび/またはエピジェノミック解析は、1つの遺伝子座、複数の遺伝子座もしくはゲノム座位、ゲノム領域および/またはゲノムにおける変化または修飾、例えば、クロマチンアクセシビリティ、ヌクレオソーム占有率、ヒストン修飾、空間的染色体コンフォメーション、転写因子占有率および/またはDNAメチル化などを評価し、特徴付けし、かつ解析する工程を含み得る。
いくつかの局面では、該1つまたは複数のゲノム領域はゲノム座位または遺伝子を含む。いくつかの局面では、ゲノム座位はゲノム中の定位置を含み、そしてコード領域、遺伝子のオープンリーディングフレーム、非コード領域、遺伝子間領域、または調節エレメントを含み得る。いくつかの態様では、1つまたは複数のゲノム領域、座位、エレメント、または区間(interval)には、以下が含まれる:コード領域、非コード領域、遺伝子間領域、イントロン、エクソン、近位および遠位シス調節領域、プロモーター領域、エンハンサー領域、上流活性化配列(UAS)、転写産物の非翻訳領域(UTR、例えば3’UTRまたは5’UTR)、非コードRNA生成領域、非コードRNA(ncRNA)遺伝子(例えば、miRNA、siRNA、piRNA、snoRNAまたはlncRNA)、リボソームRNA(rRNA)遺伝子、スモールRNA結合部位、非コードRNA結合部位、偽遺伝子、転写終結部位(TTS)、リピート、テロメア領域、および/またはアクセス可能もしくはアクセス不可能な領域(例えば、オープンクロマチンおよび/またはヘテロクロマチン)。
いくつかの態様において、提供された方法は1つまたは複数のエピジェネティックおよび/またはエピジェノミック解析工程を含む。いくつかの態様では、その解析は大規模解析、例えば複数のゲノム領域、ゲノム座位、遺伝子座の解析、またはゲノムワイド解析を含む。いくつかの態様では、エピジェネティックおよび/またはエピジェノミック解析は、細胞、例えば細胞療法のための操作細胞、のエピジェネティックな特性、状態、および/またはプロファイルを決定することを含む。いくつかの態様では、提供された方法は、細胞または細胞の集団もしくは組成物のエピジェネティック/エピジェノミックな特性、状態、および/またはプロファイルを決定することを含む。いくつかの態様では、該方法は、細胞もしくは細胞組成物のエピジェネティック/エピジェノミックな特性、状態、および/またはプロファイルを評価するために、大規模シーケンシング、例えばハイスループットシーケンシングまたは次世代シーケンシングなどの、シーケンシングの使用を含み得る。いくつかの態様では、該方法は、アッセイから得られた配列をアライメントおよび/もしくはフィルタリングすること、ならびに/またはその配列を参照ゲノムなどのゲノムにマッピングすることを含む。いくつかの局面では、該方法は、配列がマッピングされたゲノムの領域、座位、および/または区間を決定すること、例えば、ゲノムの特定の領域、座位、および/または区間にマッピングされた配列リードのピークを決定することを含む。
いくつかの態様では、提供された方法はまた、例えば、特定の細胞もしくは細胞組成物のエピジェネティック/エピジェノミックな特性および/またはプロファイルを、別の細胞もしくは細胞組成物のそれらと比較することによって、エピジェネティック/エピジェノミックな特性および/またはプロファイルを解析することを含む。いくつかの態様では、提供された方法は、解析または比較のための様々な下流の工程もしくはプロセス、例えばコンピュータにより実行される工程、および/または細胞もしくは細胞組成物の1つまたは複数の特性もしくは特徴を評価するための、該方法の適用を含む。
いくつかの局面では、エピジェネティック/エピジェノミックな特性、状態および/またはプロファイルを、例えばATAC-seqなどのアッセイ、その解析および/または適用を用いて、決定または評価するための例示的な方法は、以下の工程の1つまたは複数を含み得る:1)ATACseqライブラリーの作製;2)リードのトリミングおよびマッピング;3)重複リードの除去;4)ミトコンドリア汚染のフィルタリング;5)非ヌクレオソーム断片のフィルタリング;6)アクセシビリティピークの抽出;7)コンセンサスピークセットの組み立て;8)ピーク中のリードの計数;9)サンプルのクラスタリング;および/または10)差次的アクセシビリティ解析の実施。いくつかの態様では、例示的なエピジェネティックおよび/またはエピジェノミック解析は、クロマチンの状態、例えばクロマチンのアクセシビリティ、開放性または圧縮性の評価を含む。提供された方法のいくつかの態様では、エピジェネティックおよび/またはエピジェノミック解析は、クロマチンアクセシビリティを評価することを含む。いくつかの態様では、クロマチンアクセシビリティ解析は、大規模シーケンシング、例えば、ハイスループットシーケンシングまたは次世代シーケンシングの工程に連結される。いくつかの態様では、クロマチンアクセシビリティを評価する方法は、ヌクレオソーム占有率、ヒストン修飾および/または転写因子占有率の評価を含む。いくつかの態様では、クロマチンアクセシビリティは、DNA挿入エレメント、DNA修飾酵素(例えば、DNaseもしくはMNase)、および/または抗体(例えば、そのフラグメント)を用いて決定される。エピジェネティックおよび/またはエピジェノミック解析の例示的なアッセイには、以下が含まれる:ゲノムのタンパク質結合部位を同定するための、ハイスループットシーケンシングに連結されたクロマチン免疫沈降(ChIP-seq)、塩基対分解能でのDNAメチル化を決定するための亜硫酸水素塩シーケンシング、オープンクロマチンを評価するための、DNaseI-Seq、ハイスループットシーケンシングによるトランスポザーゼ接近可能クロマチンのアッセイ(ATAC-seq)、ならびに染色体の空間的構成を決定するための、染色体コンフォメーションキャプチャー(chromosome conformation capture:3C)法および関連方法、例えば、染色体コンフォメーションキャプチャーオンチップ(chromosome conformation capture-on-chip:4C)、染色体コンフォメーションキャプチャーカーボンコピー(chromosome conformation capture carbon copy:5C)、Hi-C、3C-Seq(ハイスループットシーケンシングによる3C)、4C-Seq、5C-SeqおよびHiC-Seq。いくつかの態様では、エピジェネティックおよび/またはエピジェノミック解析は、ハイスループットシーケンシングによる調節エレメントのホルムアルデヒド支援単離(FAIRE-seq)を含む。
A. エピジェネティック/エピジェノミックプロファイルの決定
提供された方法のいくつかの態様では、エピジェネティックおよび/またはエピジェノミック解析、例えばエピジェネティック/エピジェノミックな特性、状態および/またはプロファイルの決定は、ゲノム領域、座位および/もしくは区間の、かつ/またはゲノムワイドレベルでの、例えばゲノムの大部分もしくはゲノム全体を通しての、クロマチンアクセシビリティの評価を含む。いくつかの局面では、エピジェネティック/エピジェノミックプロファイルは、特定の細胞もしくは細胞組成物の、1つまたは複数のゲノム領域、座位および/もしくは区間での、かつ/またはゲノムワイドレベルでの、エピジェネティック/エピジェノミック特性に基づいて、決定される。
本明細書で提供された解析方法のいずれかのいくつかの態様では、1つまたは複数の工程、機能、プロセスまたはスクリプトを実行するためにコンピュータシステムが使用される。いくつかの態様では、コンピュータシステムは、例えば、リキッドハンドラー(liquid handler)、ブリッジ増幅システム(例えば、Illumina cBot)、および/またはシーケンシングシステム(例えば、Illumina Genome Analyzer、HiSeq、またはMiSeqシステム)などの、解析システムに組み込まれて、その一部となる。いくつかの態様では、コンピュータシステムは解析システムに接続されるか、またはそれに移植される。
1. ATAC-seqを用いたクロマチンアクセシビリティの評価
いくつかの態様では、クロマチンアクセシビリティは、ハイスループットシーケンシング法に連結されたDNA挿入エレメントを用いて評価される。いくつかの態様では、クロマチンアクセシビリティは、ATAC-seq、例えば、その全体が参照により本明細書に組み入れられるUS20160060691に記載の方法およびそこに記載の方法の変形などを用いて評価される。いくつかの態様では、エピジェネティックおよび/またはエピジェノミック解析の例示的なアッセイには、例えば、WO2015102536、WO2015159295、WO2015130968、WO201692070、Dirks et al. Clinical Epigenetics (2016) 8:122;Buenrostro et al., Nat Methods. (2013) 10(12): 1213-1218;Sung et al., Nat Methods. (2016) 13(3): 222-228に記載されるものが含まれ、それらの全体が参照により本明細書に組み入れられる。いくつかの態様では、クロマチンアクセシビリティのアッセイ、例えばATAC-seqは、次のような利点を有する:ライブラリー作製が単純、アッセイ時間が短い(ある種のアッセイには3~4日を要するのに対して、数時間以内に結果が得られる)、超音波処理またはフェノール-クロロホルム抽出が不要、抗体が不要(抗体によって導入され得る制限およびバイアスを排除する)、高感度酵素消化が不要(面倒で高感度の酵素タイトレーションを排除する)、インプットとしてごく少数の細胞のみが必要、およびダイナミックレンジが広い。いくつかの態様では、ATAC-seqなどのクロマチンアクセシビリティのアッセイは、単一アッセイおよび/または単一時点で、組成物中の細胞の状態、質、一貫性、表現型、特徴および/または特性(例えば、ゲノム全体を通してのクロマチンアクセシビリティの状態)のより正確で予測的な評価を提供し、RNAまたはタンパク質の発現レベルなどの他のパラメータを別個に評価する必要がない、といった利点を有する。
いくつかの局面では、エピジェネティック/エピジェノミックな特性、状態および/またはプロファイルを、例えばATAC-seqなどのアッセイを用いて、決定または評価することは、以下の工程の1つまたは複数を含む:(a)クロマチンの単離;(b)タグメンテーション(tagmentation);(c)配列決定;(d)配列マッピング;および/または(e)ピークの決定。いくつかの局面では、エピジェネティック/エピジェノミックな特性、状態および/またはプロファイルを、例えばATAC-seqなどのアッセイを用いて、決定または評価することは、以下の工程の1つまたは複数を含む:(1)細胞もしくは細胞の集団からクロマチンを単離する;(2)クロマチンを挿入酵素複合体で処理して、ゲノムDNAのタグ付加断片を生成させる;(3)タグ付加断片の全部もしくは一部を配列決定して、複数の配列リードを生成する;(4)配列リードをゲノムのゲノム領域にアライメントさせ、フィルタリングし、かつマッピングする;および/または(5)各細胞もしくは細胞の集団の複数のゲノム領域における配列リードのピークを決定する。
いくつかの態様において、クロマチンアクセシビリティを評価するためのアッセイ、例えばATAC-seqは、以下の工程の1つまたは複数を含む:(i)細胞の洗浄と溶解;(ii)タグメンテーション;(iii)DNAのクリーンアップ;(iv)PCR前増幅;(v)定量的PCR(qPCR)増幅;(vi)n回のPCR増幅;(vii)DNAのクリーンアップ;(viii)ライブラリーの作製;ならびに(ix)配列決定。いくつかの態様では、品質管理のためのアッセイまたは工程も行われる。ライブラリー作製および/または品質管理のための例示的な工程は、以下の1つまたは複数を含む:(i)ゲノムDNAの単離および評価;(ii)残留プライマーを除去するためのサイズ選択(例えば、2%アガロースを使用);(iii)DNAのクリーンアップ;(iv)qPCR;(v)DNA定量化;ならびに(vi)ライブラリーの希釈およびプール化。いくつかの態様では、サンプルから作製されたライブラリーは、ハイスループットまたは次世代シーケンシングを用いて配列決定される。いくつかの態様では、本明細書で提供された方法に必要な細胞の数は、一連の細胞希釈物、例えば異なる細胞濃度または細胞数を含むサンプルを用いて試験される。
いくつかの態様では、前記方法の1つまたは複数の工程を実施する場合にサンプルおよびデータの質を決定するために、他のパラメータまたはメトリック(metric)を使用することができる。いくつかの態様では、サンプルおよびデータの質を決定するために使用されるパラメータまたはメトリックには、サンプルあたりのマップされたリードの数、対象のゲノム(例えば、ヒトゲノム)へのアライメントの割合、非冗長なリードの割合、ユニークなリードの数、既知ピーク(陽性対照)の回収率、適切なタグメンテーションを評価するためのqPCR増幅、ゲノムDNAのヌクレオソームバンド評価、および/またはリピートもしくは異なる希釈物間の相関が含まれる。
いくつかの態様において、クロマチンアクセシビリティを評価するためのアッセイ、例えばATAC-seqは、細胞の集団から単離されたクロマチンをDNA挿入エレメント、例えばゲノムDNAのタグ付加断片を生成する挿入酵素複合体、で処理することを含む。この工程では、クロマチンは、クロマチンのオープン領域のゲノムDNAを切断しかつその断片の両末端にアダプターを付加する、Tn5またはMuAなどの挿入酵素を用いてタグメンテーションされる(すなわち、同じ反応で切断されかつタグ付加される)。単離されたゲノムDNAをタグメンテーションするための方法は当技術分野において公知であり(例えば、Caruccio Methods Mol. Biol. 2011 733: 241-55; Kaper et al, Proc. Natl. Acad. Sci. 2013 110: 5552-7; Marine et al, Appl. Environ. Microbiol. 2011 77: 8071-9およびUS20100120098参照)、例えばIllumina社(San Diego, Calif.)から市販されている。そのようなシステムは、ここでの使用に容易に適合させることができる。任意で、クロマチンへの望ましい挿入レベル(例えば、オープン領域で、平均して50~200塩基対ごとに生じる挿入)が得られるように諸条件を調整することができる。
前記アッセイに使用されるクロマチン、例えば、細胞(例えば、対象から得られた細胞)に由来する、ゲノムDNA、ヒストンおよび/または他のクロマチン関連因子を含み得るクロマチンは、任意の適切な方法によって調製することができる。いくつかの態様では、核を単離し、溶解し、そしてクロマチンを、例えば核エンベロープから、さらに精製することができる。いくつかの態様では、クロマチンは、単離された核を反応緩衝液と接触させることによって単離され得る。いくつかの態様では、単離された核は、挿入酵素複合体をクロマチンに接近させる反応緩衝液(挿入酵素複合体と他の必要な試薬を含む)と接触したときに溶解しうる。いくつかの態様では、該アッセイは、細胞の集団から核を単離すること;ならびに単離された核をトランスポザーゼおよびアダプターと組み合わせることを含み、この組み合わせによって、該クロマチンを放出するための核の溶解と、ゲノムDNAのアダプタータグ付加断片の生成との両方が生じる。
ゲノムDNAのタグ付加断片を生成するようにクロマチンを断片化してタグ付加した後、アダプタータグ付加断片の少なくとも一部を配列決定して複数の配列リードを生成する。該断片は、公知のシーケンシング法、例えば次世代またはハイスループットシーケンシング法を用いて、配列決定され得る。例えば、該断片は以下を用いて配列決定することができる:Illuminaのリバーシブルターミネーター法、Rocheのパイロシーケンシング法(454)、Life Technologiesのライゲーションによるシーケンシング法(SOLiDプラットフォーム)、またはLife TechnologiesのIon Torrentプラットフォーム。このような方法の例は、例えば、Margulies et al., Nature 2005 437: 376-80; Ronaghi et al., Analytical Biochemistry 1996 242: 84-9; Shendure et al., Science 2005 309: 1728-32; Imelfort et al., Brief Bioinform. 2009 10:609-18; Fox et al., Methods Mol Biol. 2009;553:79-108; Appleby et al., Methods Mol Biol. 2009;513:19-39およびMorozova et al., Genomics. 2008 92:255-64に記載されており、参照により本明細書に組み入れられる。選択された次世代シーケンシングプラットフォームに適合するフォワードおよびリバース配列決定プライマー部位を、増幅工程の間に該断片の末端に付加することができる。いくつかの態様では、該断片に付加されたタグとハイブリダイズするPCRプライマーを用いて、該断片を増幅してもよく、その場合、PCRに使用されるプライマーは、特定のシーケンシングプラットフォームに適合する5'テールを有する。任意で、使用されるプライマーは分子バーコード(「インデックス」)を含んでもよく、その結果、異なるプールを配列決定の前に一緒に合わせることができ、また、バーコード配列を用いて配列リードを特定のサンプルまで遡ることができる。
いくつかの局面において、前記アッセイは、ある部位での核酸のアクセシビリティを決定することを含み、ここで、該核酸は細胞サンプル由来であり、該アッセイは、挿入酵素を含む複数の分子タグを該核酸に挿入する工程、および該部位でのアクセシビリティを決定するために該分子タグを使用する工程を含む。細胞サンプルは、一次供給源、例えば対象由来の細胞、からのものであり得る。いくつかの態様では、細胞サンプルは、選択されたかつ/または操作もしくは改変された(例えば、組換え受容体を発現するように操作された)対象由来の細胞を含む。細胞サンプルは単一の細胞からなり得る。細胞サンプルは、有限個の細胞(例えば、約500,000個以下の細胞)からなり得る。
いくつかの態様では、前記アッセイは、特定の座位で該核酸および/またはクロマチンに結合している1つまたは複数のタンパク質を同定するために、決定されたアクセシビリティをさらに含む。いくつかの態様では、該タンパク質の少なくとも1つは転写因子である。さらに、該アッセイは、核酸のアクセシビリティマップを作成するために分子タグを使用することを含み得る。
核酸は、分子タグの挿入の間に複数の断片に断片化され得る。いくつかの態様では、それらの断片を増幅することができる。いくつかの態様では、それらの断片を配列決定して複数のシーケンシングリードを生成することができる。これは、所与の部位での核酸のアクセシビリティを決定するために使用され得る。断片は、ハイスループットシーケンシング技術を用いて配列決定することができる。いくつかの態様では、シーケンシングリードを挿入酵素の配列挿入優先性に基づいて正規化することができる。配列決定されたリードの長さは、クロマチン状態のアノテーションを決定するために使用され得る。
前記核酸は、複数の会合分子(association molecule)に結合され得る。会合分子は、例えば、タンパク質、核酸、または糖類であり得る。いくつかの態様では、会合分子はヒストンを含むことができる。他の場合には、会合分子はアプタマーを含むことができる。
挿入酵素は、核酸配列を核酸に挿入することができる任意の酵素であり得る。いくつかの態様では、挿入酵素は、実質的に配列非依存的に核酸配列を核酸に挿入することができる。挿入酵素は原核生物または真核生物の酵素であり得る。挿入酵素の例としては、トランスポザーゼ、HERMES、およびHIVインテグラーゼが挙げられるが、これらに限定されない。トランスポザーゼは、以下のものであり得る:Tnトランスポザーゼ(例えば、Tn3、Tn5、Tn7、Tn10、Tn552、Tn903)、MuAトランスポザーゼ、Vibharトランスポザーゼ(例えば、ビブリオ・ハーベイ(Vibrio harveyi)由来)、Ac-Ds、Ascot-1、Bs1、Cin4、Copia、En/Spm、Fエレメント、hobo、Hsmarl、Hsmar2、IN (HIV)、IS1、IS2、IS3、IS4、IS5、IS6、IS10、IS21、IS30、IS50、IS51、IS150、IS256、IS407、IS427、IS630、IS903、IS911、IS982、IS1031、ISL2、L1、Mariner、Pエレメント、Tam3、Tc1、Tc3、Tel、THE-1、Tn/O、TnA、Tn3、Tn5、Tn7、Tn10、Tn552、Tn903、Tol1、Tol2、Tn10、Ty1、任意の原核生物トランスポザーゼ、または上記のものに関連するおよび/もしくは由来する任意のトランスポザーゼ。いくつかの態様では、トランスポザーゼはTn5トランスポザーゼまたはその誘導体である。
任意で、親トランスポザーゼに関連するおよび/または由来するトランスポザーゼは、親トランスポザーゼの対応するペプチド断片に対して少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のアミノ酸配列相同性を有するペプチド断片を含み得る。ペプチド断片は、長さが少なくとも約10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、400、または500アミノ酸であり得る。例えば、Tn5由来のトランスポザーゼは、長さが50アミノ酸で、親Tn5トランスポザーゼ中の対応する断片と80%相同であるペプチド断片を含み得る。いくつかの態様では、1種または複数種のカチオンの添加によって、挿入を促進および/または誘発することができる。そうしたカチオンは、例えばCa2+、Mg2+およびMn2+のような、二価カチオンであり得る。
分子タグは、シーケンシングアダプター、ロックド核酸(LNA)、ジップ核酸(zip nucleic acid:ZNA)、RNA、アフィニティ反応性分子(例えば、ビオチン、dig)、自己相補性分子、ホスホロチオエート修飾、アジドまたはアルキン基を含み得る。いくつかの態様では、シーケンシングアダプターはバーコードラベルをさらに含むことができる。さらに、バーコードラベルはユニークな配列を含むことができる。そのユニークな配列を用いて、個々の挿入事象を同定することができる。該タグのいずれも、蛍光タグ(例えば、フルオレセイン、ローダミン、Cy3、Cy5、チアゾールオレンジ)をさらに含むことができる。
その上、挿入酵素はアフィニティタグをさらに含むことができる。いくつかの態様では、アフィニティタグは抗体であり得る。その抗体は、例えば、転写因子、修飾ヌクレオソーム、または修飾核酸に結合することができる。修飾核酸の例としては、メチル化またはヒドロキシメチル化DNAが挙げられるが、これらに限定されない。他の場合には、アフィニティタグは一本鎖核酸(例えば、ssDNA、ssRNA)であり得る。いくつかの例では、その一本鎖核酸は標的核酸に結合することができる。さらなる場合には、挿入酵素は核局在化シグナルをさらに含み得る。
いくつかの態様では、細胞、例えば対象由来の細胞は、挿入酵素へのアクセスを可能にするために透過処理され得る。透過処理は、細胞サンプル中の核に最小限の外力が加わるようなやり方で実施することができる。ある場合には、細胞サンプルは透過処理剤を用いて透過処理され得る。透過処理剤の例としては、NP40、ジギトニン、トゥイーン、ストレプトリシン、およびカチオン性脂質が挙げられるが、これらに限定されない。他の場合には、細胞サンプルは低浸透圧ショックおよび/または超音波処理を用いて透過処理され得る。他の場合には、挿入酵素が高度に荷電されていてよく、それによって該酵素は細胞膜を透過することが可能になる。
いくつかの態様では、前記方法は、アッセイから生成された大規模データ、例えばハイスループットシーケンシングデータをアライメントし、マッピングし、かつ/または解析するための工程を含む。いくつかの態様では、生成されたデータの解析は、アライメント、リードメイト(read mate)の固定、PCR重複の除去、マッピングされたリードおよびクオリティリード(quality read)へのフィルタリングおよび/もしくはミトコンドリア配列のフィルタリング、ならびに/またはピーク抽出(peak calling)の1つまたは複数の工程を含む;さらに、ヌクレオソーム位置決め、トランスポゾン挿入部位、ゲノムブラウザ可視化、差次的アクセシビリティ解析、モチーフエンリッチメント、遺伝子オントロジー(GO)エンリッチメントおよび/または転写因子占有率の決定を含めて、さらなる解析または適用の工程を含み得る。いくつかの態様では、他の処理工程は、生データの多重分離(de-multiplexing)、アライメントおよびフィルタリング、ならびにクオリティメトリック(quality metrics)の評価を含む。
いくつかの局面では、前記方法は、配列リードをゲノムのゲノム領域にアライメントさせ、フィルタリングし、かつマッピングするための工程を含む。いくつかの局面では、該方法は、各細胞もしくは細胞の集団について、複数のゲノム領域における配列リードのピークを決定するための工程を含む。いくつかの態様では、本明細書で提供された方法のいずれかは、本明細書で提供された方法の1つまたは複数の工程、機能、プロセスまたはスクリプトから得られた配列結果、例えばエピジェネティック解析から得られた配列をアライメント、フィルタリングおよび/またはマッピングするための1つまたは複数の工程、機能、プロセスまたはスクリプトをさらに含む。いくつかの態様では、該方法は、コンピュータにより実行される、例えば1つまたは複数のコンピュータプログラムを使用しかつ/または計算アルゴリズムの使用を介して実行される、工程、機能、プロセスまたはスクリプトを含む。いくつかの態様では、本明細書で提供された方法の1つまたは複数の工程を実行または実施するためのコンピュータシステム、コンピュータ読み取り可能な命令、ソフトウェア、システム、および/またはデバイスも提供される。いくつかの態様では、本明細書に記載されるような、さらなる解析および/または適用工程はいずれも、コンピュータにより、例えば1つまたは複数のコンピュータプログラムを使用しかつ/または計算アルゴリズムの使用を介して、実行することができる。
いくつかの態様では、前記方法は、本明細書で提供された方法の1つまたは複数の工程から得られた配列、例えば、ATAC-seqを用いたクロマチンアクセシビリティ解析から得られた配列データ、の同定、アライメント、フィルタリング、処理、マッピングおよび/または解析を含む。いくつかの態様では、該配列の同定、アライメント、フィルタリング、処理、マッピングおよび/または解析は、シグナルのピークを得るために使用される配列操作およびアライメントの手順、ならびに/またはさらなる解析および/もしくは適用を行うための手順、例えば本明細書に記載の方法における1つまたは複数のゲノム領域の同定を含む。いくつかの態様では、該配列の同定、アライメント、フィルタリング、処理、マッピングおよび/または解析、ならびに/またはさらなる解析および/もしくは適用を行うための手順は、本明細書に記載される例示的な工程、機能、プロセスまたはスクリプトのいずれか1つまたは複数を、連続的にまたは同時に任意の順序で、含む。いくつかの局面では、該配列の同定、アライメント、フィルタリング、処理、マッピングおよび/もしくは解析のための、ならびに/またはさらなる解析および/もしくは適用を行うための、工程および/または手順はいずれも、計算スクリプト、ツールおよび/またはプロセスを用いて実行することができ、また、例えば様々な計算工程、ツールおよび/またはプロセスをつなぐことによって、接続された工程および/もしくは手順のシリーズまたはコレクションといった、解析パイプラインを形成することができる。いくつかの局面では、該工程、機能、プロセスまたはスクリプトの1つまたは複数は、同様の機能を達成もしくは実行する同様のアルゴリズム、工程、機能、プロセスまたはスクリプトによって置き換えることができる。いくつかの態様では、1つまたは複数の工程の順序は任意の順序であってよく、また、いずれか1つまたは複数の工程、機能、プロセスまたはスクリプトを並列して行ってもよい。
いくつかの態様では、例えばATAC-seqから得られた、該配列の同定、アライメント、フィルタリング、処理、マッピングおよび/または解析の方法は、例えば、ヒトが読み取れるデータシリアライゼーション言語であるYAMLフォーマットの、一組の設定ファイルによって駆動される。いくつかの態様では、設定ファイルは、一般的なパイプラインランパラメータを指定し、例えば、処理に使用されるCPUコア数、および出力ファイルがアップロードされる場所、ならびに各サンプルに関する情報、例えばサンプル名およびサンプル中のシーケンシングリードの種類を指定する。いくつかの態様では、該配列の同定、アライメント、フィルタリング、処理、マッピングおよび/または解析のための工程および/または方法は、提供された設定から、作成する必要があるファイル、ファイルの順序、ならびに処理スクリプトおよびツールを推測する。いくつかの態様では、これらの工程、機能、プロセスまたはスクリプトのそれぞれは、一連のコンピューティングノード(computing node)に分配されるキュー(queue)に追加され得る。いくつかの態様では、ランの間、入力および出力を共通のフォルダおよびファイル命名構造に組織化することができ、また、各ラン中のイベントの記録からlogを生成することができる。いくつかの態様では、該解析の方法は、あるセットアップまたは順序で、工程、機能、プロセスまたはスクリプトを含む。
いくつかの態様では、例えばATAC-seqデータから決定されるような、エピジェネティックおよび/またはエピジェノミックな特性、状態および/またはプロファイルについての解析方法は、例えばヒトが読み取れるデータシリアライゼーション言語での、一組の設定ファイルによって駆動される。いくつかの態様では、設定ファイルは、一般的なパイプラインランパラメータを指定し、例えば、処理に使用されるCPUコア数、および出力ファイルがアップロードされる場所、ならびに各サンプルに関する情報、例えばサンプル名およびサンプル中のシーケンシングリードの種類を指定する。いくつかの態様では、該パイプラインは、提供された設定から、作成する必要があるファイル、ファイルの順序、ならびに処理スクリプトおよびツールを推測する。いくつかの態様では、これらの工程、機能、プロセスまたはスクリプトのそれぞれは、一連のコンピューティングノードに分配されるキューに追加され得る。いくつかの態様では、パイプラインランの間、入力および出力を共通のフォルダおよびファイル命名構造に組織化することができ、また、各ラン中のイベントの記録からlogを生成することができる。いくつかの態様では、該解析の方法は、あるセットアップまたは順序で、工程、機能、プロセスまたはスクリプトを含む。
任意で、該工程、機能、プロセスまたはスクリプトは枝分かれしており、直線的に接続されていない。いくつかの態様では、該工程、機能、プロセスまたはスクリプトは、次世代シーケンシング結果の一般的な計算処理もしくは一般的な解析、例えば圧縮ファイルの解凍に関わる工程、または使用する特定のデータ作成プラットフォーム(例えば、特定の次世代シーケンシングプラットフォーム)のために使用される特定の工程を含む。いくつかの態様では、設定ファイルが該パイプラインに読み込まれ、処理工程、機能、プロセスまたはスクリプトを含む有向非巡回グラフ(directed acyclic graph:DAG)が作成される。
解析セットアップの例示的な方法は、以下に記載される工程を含む。いくつかの態様では、該工程、機能、プロセスまたはスクリプトは、記載された工程、機能、プロセスまたはスクリプトのいずれか1つまたは複数を含む。
いくつかの態様では、該配列の同定、アライメント、フィルタリング、処理、マッピングおよび/もしくは解析またはさらなる解析および/もしくは適用のための、工程および/または方法における1つまたは複数の工程、機能、プロセスまたはスクリプトが自動化される。いくつかの態様では、スクリプト、例えばPerlスクリプトまたはシェルスクリプトを使用して、本明細書に記載の様々な例示的な工程、機能、プロセスまたはスクリプトのいずれかを呼び出すことができる(例えば、Tisdall, Mastering Perl for Bioinformatics, O'Reilly & Associates, Inc., Sebastopol, Calif 2003; Michael, R., Mastering Unix Shell Scripting, Wiley Publishing, Inc., Indianapolis, Ind. 2003参照)。いくつかの態様では、該解析の方法は、例えば、それぞれ任意でC++などのコンパイル型言語で書かれ、その後バイナリとしてコンパイルおよび配布された、1つまたは複数の専用のプログラムにおいて、全体的または部分的に具体化され得る。いくつかの態様では、解析の方法は、既存の配列解析プラットフォーム内のモジュールとして、または既存の配列解析プラットフォーム内の機能を呼び出すことによって、全体的または部分的に実行され得る。いくつかの態様では、解析方法は、単一の開始キュー(例えば、人間の活動、他のコンピュータプログラム、またはマシンから発生したトリガーイベントの1つまたは組み合わせ)に応答して自動的に呼び出される、いくつかの工程、機能、プロセスまたはスクリプトを含む。
いくつかの態様では、解析方法における工程、機能、プロセスもしくはスクリプト、または工程、機能、プロセスもしくはスクリプトの任意の組み合わせは、キューに応答して自動的に起こり得る。出力はコンピュータファイルのフォーマットで提供され得る。いくつかの態様では、出力は、参照ゲノムの配列にアライメントされた核酸の配列などの配列データを含む、FASTAファイル、VCFファイル、テキストファイル、.bedGraphファイル、またはXMLファイルである。
いくつかの態様では、配列リードをコンピュータで解析して、その断片の両端を同定することができる(そこからトランスポゾン切断部位が推測され得る)。いくつかの態様では、断片の一端は、シーケンシングリードの始めにある配列によって定義され、該断片の他端は、第2のシーケンシングリードの始めにある配列によって定義され得る;ここで、第1および第2のシーケンシングリードはペアエンドシーケンシング(例えば、Illuminaのシーケンシングプラットフォームを使用)によって得られ、例えば、ペアエンドリードR1およびR2をもたらす。同じ情報は、より長い配列リード(例えば、両アダプターの配列を有する;一方は一端に、他方は他端にある)の始めと終わりを調べることから得ることができる。いくつかの態様では、単一の配列リードが両方のアダプター配列を含むことができ、その場合には、断片の両端(2つの別々のトランスポザーゼのための2つの切断部位に対応する)を単一の配列リードから推測することができる。該断片の長さは、例えば、断片の両端を、対象となる領域のヌクレオチド配列上にマッピングし、それらの位置の間の塩基対の数を数えることによって、求めることができる。使用する情報は、配列リードの始めおよび/または終わりのヌクレオチド配列を用いて得ることができる。
いくつかの態様では、大規模シーケンシング(例えば、ハイスループットシーケンシングまたは次世代シーケンシング)に基づくエピジェネティックまたはエピジェノミックデータに対応する配列情報、例えば、フォワード(R1)および/またはリバース(R2)リードを含み得るATAC-seqからの結果は、約または少なくとも約106、107、108、2×108、3×108、4×108、5×108、109、1010もしくはそれ以上の標的ポリヌクレオチドリードもしくはクラスターを含むことができ、例えば、反応中の各サンプルについて、約2×106、3×106、4×106、5×106、107、108もしくはそれ以上、約2×106、3×106、4×106、5×106、107、108もしくはそれ以上より少ない、または約2×106、3×106、4×106、5×106、107、108もしくはそれ以上より多い数の標的ポリヌクレオチドもしくはクラスターを含み得る。
いくつかの態様では、ハイスループットシーケンスからの生データ(圧縮形式であり得る)は、任意の格納場所、例えばクラウドベースのストレージなどから取り出すか、またはコンピューティングクラスターにダウンロードすることができる。データを取り出すための例示的なスクリプトまたはツールは、get_bcl、例えば.bclファイルの形式でのベースコール(base call)を含む。いくつかの態様では、シーケンサーランからのデータは、下流ツールを用いて処理するために、例えばスクリプトuntar_bclを用いて、解凍することができる。出力シーケンシングデータは、様々な出力データファイルのタイプまたはフォーマットのいずれかであり得、例えば、*.bcl、*.fasta、*.csfasta、*seq.txt、*qseq.txt、*.fastq、*.sff、*prb.txt、*.sms、*srsおよび/または*.qvがあるが、これらに限定されない。いくつかの態様では、1つまたは複数の処理工程、機能、プロセスまたはスクリプトは、出力シーケンシングデータのフォーマットを、解析方法のさらなる工程で使用され得るか、またはディスプレイ(例えば、特にグラフィカルユーザインタフェース(GUI))に使用され得るフォーマットに変換することを含む。例えば、bcl2fastqというプログラムを使用して、.bcl生ベースコールファイルを圧縮FASTQファイルに変換することができる。ペアエンドランを含む態様では、各サンプルは、フォワードおよびリバースリード(各DNA断片の始めと終わり)にそれぞれ対応する、2つのファイルR1およびR2を有する。
いくつかの態様では、生のシーケンシングリード数は下流の工程のために正規化される。いくつかの態様では、正規化は、サイジングファクター(sizing factor)および分散を推定して、負の二項一般化線形モデルフィットを実行することを含む。いくつかの態様では、そのような工程は、DESeq2などのスクリプトまたはツールを用いて評価することができる。いくつかの態様では、正規化はまた、ピーク内のリードの割合(FRiP;(ピーク内のリード数)/(総リード数)として計算されたシグナルの濃縮を示す)のような尺度に基づいた正規化をも含む。いくつかの態様では、FRiP正規化カウント数は、(例えば、変数betaPriorをtrueに設定して)決定され得る。
いくつかの態様では、前記工程のいずれかによって生成された圧縮ファイルを取り出して解凍するための処理工程。いくつかの態様では、圧縮ファイル、例えば圧縮FASTQファイルを取り出して、そのファイルを、サンプルによって分類された解析ディレクトリに移すための例示的な工程は、get_dataと呼ばれるプログラムを含む。いくつかの態様では、ファイルを解凍するための、例えば下流ツールによって処理され得るように圧縮FASTQファイルを解凍するための、例示的な工程は、unzipと呼ばれるプログラムを含む。
いくつかの局面では、配列のクオリティを示すための統計、例えば、シーケンシングラン、ベースコールのクオリティ、汚染、オーバークラスタリングのための全体的な統計は、スクリプトまたはツール、例えばfastqcを用いて生成することができる。
いくつかの態様では、複数のクラスターについて1つまたは複数のシーケンシングリードで同定された配列は、参照配列、例えば参照ゲノムに位置的にマッピングされる。一般的に、マッピングは、1つの配列をもう1つの配列に沿って配置し、各配列に沿ってギャップを反復的に導入し、これら2つの配列がどの程度マッチするかをスコア付けし、いくつかの局面では、参照配列に沿って様々な位置について繰り返すことを含む。最高得点のマッチがマッピングであると見なされ、これらの配列間の関係の程度についての推測を表している。いくつかの態様では、シーケンシングリードが比較される参照配列は、参照ゲノム、例えば対象と同じ種のメンバーのゲノムである。参照ゲノムは完全でも不完全でもよい。いくつかの態様では、参照ゲノムは、標的ポリヌクレオチドを含む領域のみを含む。いくつかの態様では、参照配列はヒトゲノムを含むか、またはそれからなる。いくつかの態様では、参照配列は、対象またはサンプルが採取される対象以外の1つまたは複数の生物のポリヌクレオチドの配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの態様では、参照配列は、複数の既知配列、例えば、標的ポリヌクレオチド配列を増幅するために使用される全てのプローブ配列(例えば、あらゆる異なる標的ポリヌクレオチドに対するあらゆる配列Bおよび/または配列B’)を含むか、またはそれからなる。一方のプライマーの伸長から生成されたシーケンシングデータ(例えば、フォワードプライマーからのR1配列)は、もう一方のプライマーの伸長から生成されたシーケンシングデータ(例えば、リバースプライマーからのR2配列)と同じまたは異なる参照配列にマッピングされ得る。一方のプライマーの伸長から生成されたシーケンシングデータは、参照配列に2回以上マッピングされてもよく、その場合、各マッピングは異なるマッピングアルゴリズムを使用する。R1配列は、R2配列とは独立してマッピングされ得る。
いくつかの態様では、シーケンシングリードからのリードの位置マッピングのための例示的な工程は、例えば、get_genome、build_bowtie2_index、Index_genome_fastaおよびmap_atac_readsと呼ばれる工程、機能、プロセスまたはスクリプトを含む。位置マッピングのための例示的な工程は、例えば、以下の工程を含む:get_genomeなどのオンラインソースから特定の生物およびバージョンのための適切なゲノムファイルをフェッチするための工程;bowtie2_buildおよび/またはbuild_bowtie2_indexを用いて、リードをゲノムに位置的にマッピングできるように、ゲノムファイルにインデックスを付与するための工程;Index_genome_fastaなどの下流ツールによる位置アクセスを可能にするために、ダウンロードしたゲノムファイルのFASTAインデックスを作成するための工程;ならびにbowtie2および/またはmap_atac_readsを用いて、ATAC-seqシーケンスリードをゲノムにマッピングしてそれらの位置を決定するための工程。
いくつかの態様では、参照ゲノムはヒトゲノムである。いくつかの態様では、参照ゲノム配列はNCBI36/hg18配列である。あるいは、参照ゲノム配列はGRCh37/hg19である。公開配列情報のその他の情報源としては、GenBank、dbEST、dbSTS、EMBL(欧州分子生物学研究所)、およびDDBJ(日本のDNAデータバンク)が挙げられる。配列をアライメントさせるために多数のコンピュータアルゴリズムが利用可能であり、例えば、BLAST (Altschul et al., 1990)、BLITZ (MPsrch) (Sturrock & Collins, 1993)、FASTA (Person & Lipman, 1988)またはBOWTIE (Langmead et al., (2009) Genome Biology 10:R25.1-R25.10)などがあり、これらに限定されない。
マッピングまたはアライメントプログラムの他の例には、以下が含まれる:Kent Informatics (Santa Cruz, Calif.)からのBLAT (Kent, W. J., Genome Research 4: 656-664 (2002));Beijing Genomics Institute (Beijing, Conn.)またはBGI Americas Corporation (Cambridge, Mass.)からのSOAP2;Bowtie (Langmead, et al., Genome Biology, 10:R25 (2009));ELAND (Efficient Large-Scale Alignment of Nucleotide Databases)、またはCASAVA (Consensus Assessment of Sequence and Variation)ソフトウェアのELANDv2コンポーネント(Illumina, San Diego, Calif.);Real Time Genomics, Inc. (San Francisco, Calif.)からのRTG Investigator;Novocraft (Selangor, Malaysia)からのNovoalign;European Bioinformatics Institute (Hinxton, UK)からのExonerate (Slater, G., and Birney, E., BMC Bioinformatics 6:31(2005));University College Dublin (Dublin, Ireland)からのClustal Omega (Sievers F., et al., Mol Syst Biol 7, article 539 (2011));University College Dublin (Dublin, Ireland)からのClustalWまたはClustalX (Larkin M. A., et al., Bioinformatics, 23, 2947-2948 (2007));ならびにEuropean Bioinformatics Institute (Hinxton, UK)からのFASTA (Pearson W. R., et al., PNAS 85(8):2444-8 (1988); Lipman, D. J., Science 227(4693):1435-41 (1985))。いくつかの態様では、該配列のクローン的に増殖したコピーの一端は、ELANDソフトウェアを使用するIllumina Genome Analyzerのためのバイオインフォマティクスアライメント解析によって処理される。いくつかの局面では、その解析はゲノムブラウザ可視化のための工程を含み得る。
いくつかの態様では、参照ゲノムの配列にアライメントされた核酸の配列のような配列データを含む出力ファイルが生成される。他の態様では、該出力は、参照ゲノムに対する対象核酸中の1つまたは複数の突然変異、および/または他のエピジェネティックもしくはエピジェノミックデータのアライメントを記述する、座標または文字列(string)を含む。公知のアライメント文字列には、Simple UnGapped Alignment Report (SUGAR)、Verbose Useful Labeled Gapped Alignment Report (VULGAR)、およびCompact Idiosyncratic Gapped Alignment Report (CIGAR)が含まれる(Ning, Z., et al., Genome Research 11(10):1725-9 (2001))。いくつかの態様では、該出力は配列アラインメントであり、例えば、CIGAR文字列を含む、シーケンスアライメントマップ(SAM)またはバイナリアライメントマップ(BAM)ファイルなどである(SAMフォーマットは、例えば、Li, et al., The Sequence Alignment/Map format and SAMtools, Bioinformatics, 2009, 25(16):2078-9に記載される)。いくつかの態様では、CIGARは、1列に1つのギャップ付きアライメントを表示するか、または含む。CIGARは、CIGAR文字列として報告される、圧縮されたペアワイズアライメントフォーマットである。
いくつかの態様では、アライメントされたシーケンスファイルは、下流のツールを用いた解析のために、異なるファイルフォーマットに変換され得る。いくつかの態様では、そのような変換の工程は、BAMアライメントファイルを、例えばmake_homer_tagdirを用いて、下流のHOMERツールに利用できるファイルフォーマットに変換するための工程を含む。
いくつかの態様では、クラスターからのR1配列は複数の異なる標的ポリヌクレオチドからのフォワード配列を含み、クラスターからのR2配列はリバース配列を含む。各リバース配列が特定の標的ポリヌクレオチドを標的とするように選択される場合、参照配列(例えば参照ゲノム)内のその配列および位置は一般に知られており、同じクラスターからのR1配列は予想されたヌクレオチド距離内に入ることが予期される。予想されたヌクレオチド距離は、断片化されたサンプルポリヌクレオチドを含むサンプルについての平均もしくは中央の断片長に基づくか、またはそのような中央もしくは平均の断片長に基づいて可能性の低い断片長を表す上限閾値距離に基づくことができる。したがって、いくつかの態様では、同じクラスターからのR2配列から該閾値距離よりもさらに遠い位置にアライメントするR1配列は誤っている可能性があり、破棄される。いくつかの態様では、アライメントされた同じクラスターからのR1配列とR2配列との間の参照配列に沿った上限閾値距離(それを超えたクラスターの配列リードは破棄される)は、約1,000、2,500、5,000、7,500、10,000、12,500、15,000、20,000塩基対、もしくはそれ以上、またはそれらを超える。いくつかの態様では、参照配列(例えば参照ゲノム)の非ユニーク領域へのR1配列のアライメントは破棄され、該配列は参照配列内のユニーク配列のより小さいサブセットに再アライメントされる。
いくつかの態様では、シーケンシングリードは重複することがあり、重複配列は初期の位置マッピングおよび/またはアライメントの後に除去され得る。シーケンシングリードがマッピングされる場合、重複リードはアライメントアルゴリズムによって重複としてマークされ得る。例えば、アライメントアルゴリズム内のマーク重複のサブルーチンは、アライメントされた配列のファイル(例えば、*.BAMファイル)中の全てのレコードを調べて、どのリードが他のリードの重複であるかを決定する。いくつかの態様では、重複の2つの一般的なタイプのうちの1つまたは複数が存在し得る:一般的に一次解析ソフトウェアの欠陥に起因し得る光学的重複(optical duplicates)、および複製PCR反応に起因し得るPCR重複。
いくつかの態様では、前記解析方法は、例えば定量的精度を向上させるために、重複リードを除去することを含む。該解析方法のいくつかの態様では、重複配列を除去するための、例えばPCR増幅バイアスおよびクラスターミスコーリングから生じる重複リードをフラグ付けして除去するための、工程、機能、プロセスまたはスクリプトが使用される。いくつかの態様では、そのような工程はデータセット内のノイズの量を減らすことができる。いくつかの態様では、該工程は、マッピング後のリードの命名とインデックス作成の適切なソーティングのためのアルゴリズムまたはプログラム、および染色体ごとにマッピングされたカウント数を与える出力idxstatsファイルを含むことができる。いくつかの態様では、重複の除去およびさらなるインデックス作成のための例示的な工程は、PCR増幅バイアスおよびクラスターミスコーリングから生じる重複リードをフラグ付けして除去するための工程を含み、例えばPicard_remove_duplicatesと呼ばれるスクリプトまたはツールを用いて、データセット内のノイズの量を減らすことができる。いくつかの局面では、Picardもしくは同様のスクリプトまたはツールを使用することによって、例えばatac_insert_size_metricsと呼ばれるスクリプトまたはツールを用いて、回収された断片サイズの分布を計算および視覚化することができ、また、例えばatac_alignment_summaryと呼ばれるスクリプトまたはツールを用いて、ゲノム特徴の様々なタイプへのリードの位置分布に関する統計計算を行うことができる
いくつかの態様では、前記解析は、リードの配列同一性、クオリティ、マッピング位置、または他のシーケンシング特性に基づいて、ミトコンドリアリードおよび/または追加の汚染配列を除去することを含む。いくつかの態様では、該解析方法は、ミトコンドリアゲノムにマッピングされたリード、ミトコンドリアリードおよび/または追加の汚染配列の除去を含む。いくつかの局面では、ミトコンドリアリードはATAC-seqライブラリー中の主要な汚染物質であり、これは配列リードの大半、例えば最大80%を占めることがあり、かつ下流工程の精度を低下させる可能性がある。いくつかの態様では、その除去は、シーケンシングリードの配列同一性、クオリティ、マッピング位置、または他のシーケンシング特性に基づく。いくつかの態様では、ミトコンドリアリードおよび/または追加の汚染配列を除去するための例示的な工程は、filter_mtDNA_readsのための工程を含む。いくつかの態様では、該解析方法は、ミトコンドリアリードを保持して比較することを含む。
いくつかの態様では、解析は、配列リードを特定のエピジェネティック特性、例えばクロマチンアクセシビリティまたはクロマチン占有率を表すサブセットに分離することを含む。いくつかの態様では、配列決定された断片のサイズは、それが前記特性を表す程度またはレベルを決定するために使用され得る。いくつかの態様では、1つまたは複数のゲノム領域、座位、エレメントもしくは区間内のリード数および/または正規化されたリード数は、それが前記特性を表す程度またはレベルを決定するために使用され得る。いくつかの態様では、1つまたは複数のゲノム領域、座位、エレメントもしくは区間におけるシグナルの特定の量または質の差は、それが前記特性を表す程度またはレベルを決定するために使用され得る。
いくつかの態様では、解析は、トランスポザーゼ(例えばTn5トランスポザーゼ)の性質およびライブラリー作製に基づいて配列リードのシフトを考慮するために、マッピングされたリードの位置の一定数、例えば約3、4または5塩基対を特定の鎖方向にシフトすることを含む。いくつかの態様では、リード位置をシフトするための例示的な工程は、shift_atac_alignmentsを含む。
いくつかの態様では、解析方法は、ATAC-seq断片の配列リードを評価または測定することを含む。DNAのアクセシビリティの程度は該断片のより多くの配列リードと関連しており、その結果、配列リードからのシグナルは、例えばピークコーリングツール、スクリプトもしくはアルゴリズムを用いることによって、検出または測定できるピークを形成する。いくつかの態様では、提供された方法は、アクセス可能であるゲノムの1つまたは複数の領域内のDNAを表す、シグナルのピークを評価、描写、または決定するための工程を含む。いくつかの局面において、配列リードのピークシグナルは、濃縮されたシグナル、バックグラウンドを上回るシグナル、または周囲の領域と比較してより高いシグナルを有する領域である。いくつかの態様では、ATAC-seqピークはゲノム座位領域マップまたはゲノムマップに重ね合わせることができる。ATAC-seq断片、例えばピークシグナルを定量化することによって測定される、アクセシビリティおよび/または占有率シグナルが濃縮または枯渇している領域は、参照ゲノム上にマッピングされたその位置から同定することができる。該領域は、さらなるゲノムおよびエピゲノムのデータ(例えば、ヒストン修飾に関する情報または活性転写の証拠)を取り入れることによって、プロモーター、エンハンサー、インスレーターなどの、様々な調節エレメントのタイプにさらに分類することができる(Buenrostro et al. (2013) Nature Methods, 10:1213-1218)。
いくつかの態様では、アクセス可能な領域、例えばATAC-seq断片は、約5~約20,000bpのサイズであり得、例えば、約10~約10,000bp、約50~約5,000bp、約100~約1,000bp、約200~約900bp、約300~約800bp、約400~約700bp、約500~約600bp、約10~約500bp、約20~約400bp、約30~約300bp、約40~約200bp、約40~約100bp、約50~約100bp、約60~約100bp、約70~約100bp、約80~約100bp、約90~約100bp、約100~約500bp、約200~約500bp、約300~約500bp、約400~約500bp、約100~約400bp、約100~約300bpまたは約100~約200bpのサイズである。
いくつかの態様では、前記方法は、例えばピークコーリングツール、スクリプトまたはアルゴリズムを使用することによって、シグナルのピークを見つけ、決定し、かつ/またはアノテートすることができる工程、機能、プロセスまたはスクリプトを含む。いくつかの態様では、ピークコーリングは、特定のサンプルに対して実施することができ、かつ/または該サンプルの1つまたは複数の生物学的レプリケートに存在することができ、かつ/または1つまたは複数の異なるサンプルに存在することができる。いくつかの態様では、ピークコーリングはシグナルとノイズとの間の識別を可能にする。いくつかの局面では、ピークコーリングは、断片長を推定してリード位置を調整する、局所ノイズを特定する、濃縮された領域もしくはピーク領域を同定する、および/または偽発見率(false discovery rate:FDR)を推定するといった、1つまたは複数の工程を含むことができる。いくつかの局面では、抽出されたピークは広いことがある。いくつかの局面では、抽出されたピークは狭いことがある。様々なピークコーリングスクリプトのいずれも入手可能であり、使用することができる。いくつかの態様では、例示的なピークコーリングスクリプト、アルゴリズムまたはソフトウェアとしては、MACS、MACS2、Epic、SICER、BayesPEak、homer_findPeak、Jmosaics、T-PIC、EDD、GEMまたはSPPが挙げられる。いくつかの局面では、ピークコーリングはMACSまたはMACS2を用いて行われる。いくつかの態様では、例示的なピークコーリング工程、機能、プロセスまたはスクリプトは、アクセシビリティピークを抽出するためのModel-based Analysis of ChIP-Seq(MACS)またはMACS2、例えば本明細書に記載のmacs_callpeaks工程を含むことができる。いくつかの態様では、MACSまたはMACS2ピークコーリングは、対照に対するサンプルピークとサンプルに対する対照ピークの両方を抽出することによって偽発見率(FDR)を推定するためのサンプルスワッピング戦略を使用する。いくつかの態様では、そのようなピークコーリング工程は、正規化のために、全ライブラリーサイズを使用して、データセットの大きい方を該データセットの小さい方に合わせて調整することができる。いくつかの態様では、ピークは、ATAC-seq断片を定量化することによって測定されるアクセシビリティおよび/または占有率シグナルが濃縮または枯渇しているゲノム領域を含む。いくつかの態様では、ピーク領域は10~10,000bpのサイズであり得る。サンプル間のピークの比較は、条件間で活性調節エレメント(例えば、特定の遺伝子または転写因子に関連する)を同定するために下流で使用することができ、かつ/または特定の細胞状態のシグネチャを識別するか、細胞療法の転帰、細胞療法の効力、毒性および/または細胞組成物もしくは培養物の他の特徴を予測するために使用することができる。
他の例示的なピークコーリング工程、機能、プロセスまたはスクリプトは、HOMERを用いてピークを見つけるための工程を含むことができ、いくつかの態様では、homer_findPeaksとして特定されたスクリプトおよび/またはツールを含む。いくつかの態様では、モチーフ、例えば、MACSおよびHOMERによって発見されたピークセット内で共有される濃縮された転写因子結合モチーフを検索するための工程は、例えばhomer_find_motifsと呼ばれるスクリプトまたはツールを用いて、行うことができる。
ピークコーリングの後、他の工程、機能、プロセスまたはスクリプト、例えばピークアノテーション工程(例えば、homer_annotate_peaksまたは他のアノテーション戦略を用いて、関連する可能性が高い最も近い遺伝子を含む追加のメタデータによりピークをアノテートする工程)は、さらなる解析を容易にするために使用され得る。いくつかの態様では、アノテーションのための他の工程は、パイプラインが実行している生物およびゲノムバージョンに関連するトランスクリプトームアノテーションファイルを、例えばget_gtf_annotationを用いて、取り出すこと、および/またはアノテーションのサブセット、例えばタンパク質をコードする転写産物のみを含むアノテートされたトランスクリプトームを、例えばgtf_coding_transcripts_onlyを用いて、取り出すことを含む。
いくつかの局面では、前記方法は、複数の生物学的レプリケートおよび/または2つ以上のサンプルに存在する共通のまたは重複するピークから、コンセンサスピークアクセシビリティなどの、コンセンサスピークセットを生成することを含む。いくつかの態様では、2つ以上のサンプル中の共通のまたは重複するピークからコンセンサスピークを生成するための例示的なピークコーリングスクリプト、アルゴリズムまたはソフトウェアは、DiffBindである。
いくつかの態様では、提供された方法およびアッセイは、細胞のゲノムの領域のエピジェネティックマップ(エピジェネティックプロファイルとも呼ばれる)を作成することを含む。いくつかの局面では、エピジェネティックマップは、全ゲノム、ゲノムの一部、または特定の遺伝子の近くもしくは周辺もしくは内部の複数の異なる領域(例えば、コード配列、遺伝子間スペーサー、調節領域、例えばプロモーターなど)にわたるエピジェネティック状態を描写する。この工程は、配列リードから得られた情報を該領域にマッピングすることによって行うことができる。いくつかの態様では、配列リードは、対象となる領域の表現(例えば、グラフィック表現)にマッピングされるいくつかの数値出力を生成するために、コンピュータにより解析される。マッピングのための例示的な情報としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:(i)トランスポザーゼのための切断部位;(ii)生成された断片のサイズ;(iii)断片長;(iii)長さが定義された範囲の配列リードの位置;および(iv)配列リードの存在量、例えばピークシグナル。
いくつかの態様では、配列リードの存在量、すなわちゲノム領域中の特定の配列が配列リード中に表される回数を計算することができる。特定の場合には、例えばピークコーリングツールを用いて決定されるような、配列リードのピークシグナルを描写するエピジェネティックなプロファイルまたはマップが作成され得る。結果として得られるエピジェネティックマップは、対象となる領域におけるクロマチンの解析を提供することができる。例えば、どの情報がマッピングされるかに応じて、該マップは次のうちの1つまたは複数を示すことができる:該領域に沿ったクロマチンのアクセシビリティ;該領域内の部位についてのDNA結合タンパク質(例えば転写因子)の占有率;該領域内のヌクレオソームフリーDNA;該領域に沿ったヌクレオソームの位置決め;および該領域に沿ったクロマチンの状態。いくつかの態様では、該アッセイは、例えば、あるDNA結合タンパク質が結合する複数の部位にわたって該DNA結合タンパク質のデータを集計することによって、該DNA結合タンパク質の結合部位の全体的な占有率を測定することをさらに含む。任意で、そのマップを、配列情報および該配列に関する情報(例えば、プロモーター、イントロン、エクソン、既知のエンハンサー、転写開始部位、非翻訳領域、ターミネーターなどの位置)でアノテートすることもでき、結果的に、エピジェネティック情報をアノテーションとの関連で見ることができる。いくつかの態様では、コンピュータにより実行されるスクリプトまたはツールは、エピジェネティック/エピジェノミックマップを作成するために使用され得る。例示的な工程は、ゲノムワイドな断片カウントを行い、そのカウントをゲノムブラウザ上で視覚化することを含む。利用可能な例示的なスクリプトまたはツールは、make_homer_ucsc_file(これは断片カウントのゲノムワイドなパイルアップ(pileup)を可能にする、.bedGraphファイルを生成することができる);およびhomer_bedgraph_to_bigwig(これは、bedGraphファイルを、ゲノム全体の断片カバレッジを視覚化するために大部分のゲノムブラウザにより使用される、バイナリ圧縮bigWigファイルに変換することができる)を含む。
いくつかの局面では、前記解析は、遺伝子の特定のエレメントに関連するメトリックを作成することを含む。いくつかの局面では、そのようなメトリックは、アノテートされた遺伝子のプロモーターへの、またはアノテートされた遺伝子のコード領域へのアクセシビリティを含む。いくつかの局面では、該解析は、各遺伝子のプロモーター領域の正規化されたアクセシビリティカウントメトリック(プロモーターアクセシビリティ)などのメトリックを作成することを含む。いくつかの態様では、アノテーションおよびメトリックの作成は、例えば、エピジェネティックなプロファイル、クラスタリングおよび/または生物学的経路解析を比較するなどの、さらなる下流解析に使用され得る。いくつかの態様では、そのような工程は、例えば遺伝子および/または調節エレメントをアノテートするための、スクリプトまたはツールを使用して、コンピュータにより実行することができる。いくつかの態様では、ChIPpeakAnnoまたはHomerなどのツールが使用され得る。いくつかの態様では、調節エレメント、例えばプロモーター領域、または転写開始部位(TSS)を含む領域が定義され得る。いくつかの局面では、TSSは、例えば、近位500bp、1000bp、1500bp、または2000bp上流およびプロモーターの500bp、1000bp、1500bp、または2000bp下流として、定義することができる。いくつかの局面では、カウントは、例えばFRiPに基づいて、正規化することができる。いくつかの局面では、プロモーターアクセシビリティは、遺伝子に関連するメトリックとして使用され得る。
いくつかの態様では、エピジェネティックマップは、活性調節領域および/または該調節領域に結合される転写因子に関する情報を提供することができる。例えば、生成されたシーケンシングリードの長さからヌクレオソーム位置を推測することができる。いくつかの態様では、生成されたシーケンシングリードのサイズ、分布および/または位置から転写因子結合部位を推測することができる。いくつかの態様では、生成されたシーケンシングリードから新規な転写因子結合部位を推測することができる。いくつかの態様では、生成されたシーケンシングリードから新規な転写因子を推測することができる。
いくつかの局面では、生物学的または技術的レプリケートが行われた場合、該レプリケートを評価して、該方法の質および忠実性を評価することができる。いくつかの態様では、区間解析を用いてレプリケートを評価することができる。いくつかの態様では、共通のおよびユニークなピークのベン図(Venn diagram)を用いて、レプリケートを評価することができる。いくつかの態様では、各レプリケートについてのカウント、例えばlog2正規化カウントをX-Yプロット上にプロットし、相関係数、例えばスピアマン(Spearmann)相関を計算してレプリケートを評価することができる。
いくつかの局面では、エピジェネティック/エピジェノミック解析からの配列情報およびデータのクオリティを判断するために、クオリティ管理メトリクスが評価され得る。例示的な管理メトリクスは、ピーク内のリード数の割合(FRiP)、非冗長の割合(Non-Redundant Fraction:NRF)、PCRボトルネック係数(PCR Bottleneck Coefficient:PBC)、相対鎖相互相関(Relative strand cross-correlation:RSC)、正規化鎖相互相関(normalized strand cross-correlation:NSC)、および再現不可能な発見率(Irreproducible Discovery Rate:IDR)を含み、マッピングされない、ペアにならないリード、重複率、mtDNA汚染、ユニークなピークの数、マッピングされたリードの総数(シーケンシング深度)、および有効シーケンス深度(冗長対非冗長)を決定する。いくつかの態様では、サンプルからの配列リードは、15%未満、10%未満、8%未満、または6%未満のペアにならないまたはマッピングされないリードを含む。いくつかの局面では、重複リードの割合はインプットおよびmtDNA汚染に依存し得る。いくつかの局面では、低mtDNAはまた、不十分な濃縮の指標であり得るか、または吸引されたペレットと一致する。いくつかの局面では、マッピングされたリードの総数(シーケンシング深度)は、少なくとも105、106、107、108またはそれ以上のリードである。いくつかの局面では、有効シーケンス深度は少なくとも105、106、107、108またはそれ以上のリードである。いくつかの局面では、低FRiPはサンプルの不十分な濃縮を示し得る。いくつかの局面では、サンプルのFRiPは少なくとも0.05、0.1、0.2、0.3またはそれ以上である。
2. 評価用サンプル
いくつかの態様において、エピジェネティックおよび/またはエピジェノミック状態は、サンプル、例えば細胞もしくは細胞組成物を含むサンプルにおいて測定され、評価され、かつ/または決定される。いくつかの態様では、そのサンプルは、対象から採取、収集、および/または取得された生物学的サンプルであり、かつ/または対象から採取、収集、および/または取得された細胞を含む。特定の態様では、対象は疾患もしくは状態を有し、かつ/または疾患もしくは状態を有することが疑われる。いくつかの態様では、対象は治療法を受けたことがあるか、受けることになるか、または治療法を受ける候補である。いくつかの態様では、その治療法は細胞療法および/または免疫療法を施すことである。特定の態様では、細胞療法は該疾患もしくは状態を治療しかつ/または治療することができる。いくつかの態様では、サンプル中の細胞もしくは細胞組成物は細胞療法のための細胞を含む。いくつかの態様では、その治療法は1つまたは複数の操作された細胞を含む細胞療法である。いくつかの態様では、操作された細胞は組換え受容体を発現する。いくつかの態様において、組換え受容体はキメラ抗原受容体(CAR)または組換えT細胞受容体(TCR)である。
いくつかの態様では、サンプルは、治療を受けたことがある対象、受けることになる対象、または治療を受ける候補である対象から採取、収集および/または取得される。いくつかの態様では、サンプルは、治療前に、例えば細胞療法などの治療法を施す前に、採取、収集および/または取得される。いくつかの態様では、サンプルは、治療後に、例えば細胞療法などの治療法を施した後に、採取、収集および/または取得される。
特定の態様では、サンプルは、細胞もしくは細胞組成物を含むか、それから採取されるか、それから誘導されるか、かつ/またはそれに由来する。いくつかの態様では、細胞はサンプルに含まれる。いくつかの態様では、サンプルは細胞を含み、該細胞は生物学的サンプルおよび/または生物学的サンプルと同じ供給源から採取されるか、それに由来するか、かつ/またはそれから誘導される。いくつかの態様では、細胞、例えば生物学的サンプルからのおよび/または生物学的サンプルと同じ供給源からの細胞は、例えば養子細胞療法で使用するための、操作された細胞の処理および作製に関連して生成されたもの、ならびに/またはそのような使用のために、例えば薬学的に許容される賦形剤および/もしくは凍結保存剤を含む薬学的組成物中に、処方されたものである。いくつかの態様では、前記方法によって評価される、細胞、例えば生物学的サンプルからのおよび/または生物学的サンプルと同じ供給源からの細胞は、いくつかの局面では、対照細胞または参照細胞であり得る。
いくつかの態様では、提供された方法および/または組成物によって評価される、生物学的サンプルの細胞および/または生物学的サンプルと同じ供給源の細胞は、異種核酸および/または異種タンパク質もしくは他の核酸もしくはポリペプチド産物(例えば、組換えタンパク質)をコードする核酸を含むように形質導入されているか、または形質導入されることになる。いくつかの態様では、異種核酸は結合分子をコードし、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)またはトランスジェニックT細胞受容体(TCR)などの、組換え受容体をコードする。いくつかの態様では、該細胞は、そのような細胞の集団、そのような細胞を含む組成物および/またはそのような細胞が濃縮された組成物に含まれており、例えば、結合分子を発現する細胞は、該組成物中の全細胞の少なくとも15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上を占めるか、またはあるタイプの細胞、例えばCD8+および/もしくはCD4+ T細胞などのT細胞を構成する。いくつかの態様では、該細胞は初代T細胞である。中でも、該組成物は、例えば養子細胞療法のために、投与するための薬学的組成物および薬学的製剤である。
いくつかの局面では、サンプル、例えば細胞を含むサンプルは、血液もしくは血液由来サンプルに由来するかまたはそれから単離され、あるいはアフェレーシスもしくは白血球アフェレーシスの産物であるかまたはそれに由来する。例示的なサンプルとしては、以下が挙げられる:全血、末梢血単核球(PBMC)、白血球、骨髄、胸腺、組織生検、腫瘍、白血病、リンパ腫、リンパ節、腸管関連リンパ組織、粘膜関連リンパ組織、脾臓、他のリンパ系組織、肝臓、肺、胃、腸、結腸、腎臓、膵臓、乳房、骨、前立腺、子宮頸部、精巣、卵巣、扁桃腺もしくは他の器官、および/またはそれらに由来する細胞。サンプルは、細胞療法、例えば養子細胞療法の状況下にあって、自己および同種の供給源からのサンプルを含む。
いくつかの態様では、サンプルは、異種核酸および/もしくは異種タンパク質をコードする核酸または他の核酸もしくはポリペプチド産物(例えば、ヒトまたはヒト由来の組換えタンパク質)を発現する遺伝子操作細胞由来のクロマチン調製物を含む。いくつかの態様では、該細胞は一般に真核細胞、例えば哺乳動物細胞であり、典型的にはヒト細胞である。いくつかの態様では、該細胞、例えばサンプルの細胞および/または生物学的サンプルの細胞は、血液、骨髄、リンパ、またはリンパ系器官に由来し、かつ免疫系の細胞、例えば自然免疫または適応免疫の細胞、例えば骨髄性またはリンパ性細胞(リンパ球、典型的にはT細胞および/またはNK細胞を含む)である。その他の例示的な細胞には、幹細胞、例えば、多能性細胞、および人工多能性幹細胞(iPSC)などの多能性幹細胞が含まれる。いくつかの態様では、該細胞は、初代細胞、例えば対象から直接単離されたもの、および/または対象から単離されて凍結されたものである。
いくつかの態様では、該細胞は、CD4+ T細胞および/もしくはCD8+ T細胞などのT細胞、ならびに/またはナチュラルキラー(NK)細胞である。いくつかの態様では、該細胞は、単球または顆粒球、例えば、骨髄性細胞、マクロファージ、好中球、樹状細胞、肥満細胞、好酸球、および/もしくは好塩基球である。いくつかの態様では、該細胞または細胞組成物はT細胞を含む。いくつかの態様では、該細胞または細胞組成物はCD4+ 細胞を含む。いくつかの態様では、該細胞または細胞組成物はCD8+ 細胞を含む。
いくつかの態様では、該細胞および/または参照細胞は任意の供給源由来であり得る。いくつかの態様では、該細胞は、対象、例えばヒト対象、から単離または取得される。いくつかの態様では、該細胞は複数の細胞または細胞の集団を含む。該細胞は、軟部組織から、体液から、またはインビトロで増殖する細胞培養物から単離することができる。いくつかの態様では、クロマチンは、脳、副腎、皮膚、肺、脾臓、腎臓、肝臓、脾臓、リンパ節、骨髄、膀胱、胃、小腸、大腸、筋肉などの、軟部組織由来の細胞から単離することができる。いくつかの態様では、該細胞は対象の体液に由来し、例えば、血液、血漿、唾液、粘液、痰、脳脊髄液、胸膜液、涙液、乳管液、リンパ液、痰、脳脊髄液、滑液、尿、羊水、または精液由来である。いくつかの態様では、該細胞は細胞の培養物、例えば細胞株、から得ることができる。
いくつかの態様では、該細胞は、例えば遺伝子操作などの、改変を以前に受けた細胞を含む。いくつかの態様では、該細胞は、操作または改変された、例えば組換え受容体を発現するように操作された、対象由来の細胞を含む。いくつかの態様では、該細胞は、対象に由来するが、遺伝子操作を受けていない細胞を含む。いくつかの態様では、該細胞は対象由来の細胞を含み、本明細書で提供された方法は、該細胞の操作もしくは改変の前または後の細胞のサンプルにおいて実施され得る。いくつかの態様では、該細胞は、対象からの生物学的サンプル、例えば血液、から選別または精製された細胞を含む。いくつかの態様では、該細胞は特定の細胞表面発現マーカーを発現する細胞のサブセットを含む。
いくつかの態様では、評価される核酸(例えば、ゲノムDNA、染色体DNA)は、血液細胞、例えば全血のサンプルまたは全血中の細胞の亜集団からの血液細胞に由来する。全血中の細胞の亜集団は、血小板、赤血球(red blood cell)(赤血球(erythrocyte))、および白血球(すなわち、好中球、リンパ球、好酸球、好塩基球および単球からなる末梢血白血球)を含む。白血球は、顆粒球(多形核白血球としても知られており、好中球、好酸球および好塩基球を含む)および単核白血球(単球およびリンパ球を含む)の2群にさらに分けることができる。リンパ球はT細胞、B細胞およびNK細胞にさらに分けることができる。末梢血細胞は血液の循環プールに見られ、リンパ系、脾臓、肝臓、または骨髄内に隔離されていない。
いくつかの態様では、細胞の集団は、細胞表面マーカーに対する標識抗体を用いる公知の方法により、細胞の不均一集団(例えば血液)から、蛍光活性化セルソーティング(FACS)または磁気活性化セルソーティング(MACS)のような選別方法によって選択され得る。幹細胞、がん幹細胞および血液細胞のサブセットを含めて、多種多様な細胞をこれらの方法を用いて単離することができる。FACSまたはMACSによって血液から選択され得る例示的な細胞および使用される例示的なマーカーには、以下が含まれる:T細胞(CD3+ CD4+ CD8+)、B細胞(CD19+ CD20+)、樹状細胞(CD11c+ CD20+)、NK細胞(CD56+)、幹細胞/前駆細胞(CD34+;造血幹細胞のみ)、マクロファージ/単球(CD14+ CD33+)、顆粒球(CD66b+)、血小板(CD41+ CD61+ CD62+)、赤血球(CD235a+)、内皮細胞(CD146+)および上皮細胞(CD326+)。これらの細胞のサブセットは、さらなる細胞表面マーカーに対する抗体を用いて単離することができる。
いくつかの態様では、細胞、例えば生物学的サンプルなどのサンプル中の細胞、および/または生物学的サンプルと同じ供給源からの細胞は、遺伝子操作によって導入された1つまたは複数の核酸を含み、それによって、そのような核酸の組換え産物または遺伝子操作産物を発現する。いくつかの態様では、その核酸は異種であり、すなわち、細胞または該細胞から得られたサンプル中には通常存在せず、例えば、別の生物または細胞から得られるものであり、それは、例えば、操作される細胞および/またはそのような細胞の由来となった生物には通常見られない。いくつかの態様では、その核酸は天然に存在せず、例えば、複数の異なる細胞型からの様々なドメインをコードする核酸のキメラな組み合わせを含むものなどの、自然界に見られない核酸である。
いくつかの態様では、エピジェネティックおよび/またはエピジェノミックな特性、状態および/またはプロファイルは、養子細胞療法および対象の治療後モニタリングで使用するために形質導入されるか、形質導入されることになるか、または形質導入された細胞を含めて、形質導入細胞または操作細胞を調製、作製または製造する任意の時点で評価することができる。細胞を処理するための例示的な工程は、細胞の単離、分離、選択、培養(例えば、細胞増殖および/または活性化を誘導するための、細胞の刺激)、形質導入、洗浄、懸濁、希釈、濃縮、および/または製剤化に関与する工程を含み、例えば、公知のおよび/または本明細書に記載のものを含む。特定の態様では、処理工程はウイルスベクター粒子による細胞の形質導入を含み、その場合、形質導入を開始させるために、ウイルスベクター粒子とのインキュベーションの少なくとも一部を閉鎖系またはチャンバー内で実施する。該方法は、追加的におよび/または代替的に、他の処理工程、例えば、細胞の単離、分離、選択、培養(例えば、細胞増殖および/または活性化を誘導するための、細胞の刺激)、洗浄、懸濁、希釈、濃縮、および/または製剤化のための工程を含み得る。いくつかの態様では、該細胞または細胞組成物は、形質導入を受けた後、例えば37℃で、約1日、2日、または3日以上、例えば、一般的に4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日またはそれ以上培養した細胞を含む。
いくつかの態様では、該細胞または細胞組成物は、遺伝子操作製造プロセスの任意の段階での細胞を含む。いくつかの態様では、サンプルは、遺伝子操作製造プロセスの任意の段階の細胞に由来する核酸および/またはクロマチン調製物を含む。例えば、サンプルは、組換え分子および/または異種分子をコードするウイルスベクター粒子で形質導入された細胞からの核酸および/またはクロマチン調製物を含み得る。いくつかの態様では、サンプルは、例えば養子細胞療法に関連して使用するために、組換え抗原受容体(例えば、CAR)をコードする異種核酸による形質導入によって操作され、培養または増殖された細胞、例えば自己または同種の細胞を含む。任意で、サンプルは、凍結保存された、そのような形質導入細胞からの核酸および/またはクロマチン調製物を含み、これは、いくつかの局面では、凍結保存薬物製品(cryopreserved drug product:CDP)と呼ばれる。任意で、サンプルは、対象に投与するために製剤化された、そのような形質導入細胞からの核酸および/またはクロマチン調製物を含み、これは、いくつかの局面では、製剤化薬物製品(formulated drug product:FDP)と呼ばれる。
いくつかの態様では、サンプルは、例えば組換え分子および/または異種分子(例えばCAR)をコードするウイルスベクター粒子により、形質導入された細胞を含む治療法を対象が受けた後に、そのような対象から得られる。いくつかの態様では、対照として、提供された方法は、形質導入および/または遺伝子操作を受けていない患者適合対照サンプル(形質導入に使用される、選別または濃縮細胞を含むサンプルであり得る)に対して実施することができる。いくつかの態様では、そのような患者適合対照サンプルは凍結保存サンプルであり得、これは、任意で、凍結保存材料(cryopreserved material:CMAT)と呼ばれる。いくつかの態様では、核酸および/またはクロマチン調製物は細胞から単離される。いくつかの場合には、核酸および/またはクロマチン調製物は、約1×104、1×105、1×106、1×107個またはそれ以上の細胞から単離される。いくつかの態様では、核酸および/またはクロマチン調製物は1×106個の細胞から単離される。任意で、核酸および/またはクロマチン調製物は、サンプルまたはその選択された部分に含まれる全てのまたは実質的に全ての細胞から単離される。
いくつかの態様では、細胞は、細胞内シグナル伝達および/または細胞増殖を誘導することができる抗原結合試薬(例えば抗体)のような細胞結合剤である、1種または複数種の細胞刺激剤と共にインキュベートされる。いくつかの態様では、細胞は、抗CD3/抗CD28ビーズと共にインキュベートされ、例えば、該ビーズと混合される。
本明細書に記載の方法に従って、サンプルは、1つまたは複数のエピジェネティックおよび/またはエピジェノミック特性、例えばATAC-seqによって決定されるクロマチンアクセシビリティプロファイルについて評価され得る。いくつかの局面では、提供された方法は、様々な操作段階で、例えば組換え受容体を発現させる操作の前または後に、サンプル中の細胞および/または細胞組成物を評価し、かつ/または特徴付けるために使用され得る。いくつかの局面では、エピジェネティックおよび/またはエピジェノミック特性は、投与用の細胞もしくは細胞組成物の質、一貫性および/または特徴を評価するために、かつ/または細胞療法を受ける前に、所望の転帰を示す(例えば、細胞療法に応答する)可能性が高い対象および/または毒性を生じるリスクがあり得る対象を識別するために使用され得る。
いくつかの態様では、サンプルは、細胞を操作する前に採取、収集、および/または取得される。いくつかの態様では、サンプルは、細胞を操作した後に採取、収集、および/または取得される。いくつかの態様では、サンプルは、治療法、例えば細胞療法、で処置されたまたはそれを施された後に採取、収集、および/または取得される。本明細書に記載の方法、キットおよび製品に従って、サンプルは、免疫療法を受ける前または受けた後の1つまたは複数のエピジェネティックおよび/またはエピジェノミック特性について評価され得る。いくつかの態様では、サンプルは、例えば組換え受容体を発現させるように、細胞を操作する前、30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、8時間、10時間、12時間、14時間以内、もしくはそれ以上の時間以内、またはおよそこれらの時間以内、またはおよそこれらの時間で、収集される。いくつかの態様では、サンプルは、例えば組換え受容体を発現させるように、細胞を操作した後、30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、8時間、10時間、12時間、14時間以内、もしくはそれ以上の時間以内、またはおよそこれらの時間以内、またはおよそこれらの時間で収集される。いくつかの態様では、サンプルは、対象からサンプル(例えば血液サンプル)を取得した後、30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、8時間、10時間、12時間、14時間以内、もしくはそれ以上の時間以内、またはおよそこれらの時間以内に収集される。いくつかの態様では、サンプルは、免疫療法(例えば細胞療法)を開始する前、30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、8時間、10時間、12時間、14時間以内、もしくはそれ以上の時間以内、またはおよそこれらの時間以内、またはおよそこれらの時間で収集される。いくつかの態様では、サンプルは、免疫療法(例えば細胞療法)を開始した後、30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、8時間、10時間、12時間、14時間以内、もしくはそれ以上の時間以内、またはおよそこれらの時間以内、またはおよそこれらの時間で収集される。
いくつかの局面では、本明細書で提供された方法のいずれかを使用して、細胞もしくは細胞組成物の前記特性、質および/または一貫性を決定することができる。いくつかの局面では、該方法のいずれかを使用して、記載された時点のいずれか1つまたは複数において、例えば、操作前、操作途中、操作後、対象への細胞の投与前、投与中、および/または投与後に、細胞もしくは細胞組成物の前記特性、質および/または一貫性を評価することができる。
いくつかの態様では、前記アッセイに使用される細胞の集団は、任意の数の細胞、例えば、約500~約106個またはそれ以上の細胞、約500~約100,000個、約500~約50,000個、約500~約10,000個、約50~1000個、約1~500個、約1~100個、約1~50個、または単一の細胞から構成され得る。いくつかの態様では、細胞サンプルは、約1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10,000、15,000、20,000、25,000、30,000、40,000、50,000、60,000、70,000、80,000、90,000、100,000、120,000、140,000、160,000、180,000、200,000、250,000、300,000、350,000、400,000、450,000、500,000、600,000、700,000、800,000、900,000、または1,000,000個以下の細胞を含む。いくつかの態様では、細胞サンプルは、約1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10,000、15,000、20,000、25,000、30,000、40,000、50,000、60,000、70,000、80,000、90,000、100,000、120,000、140,000、160,000、180,000、200,000、250,000、300,000、350,000、400,000、450,000、500,000、600,000、700,000、800,000、900,000、または1,000,000個以上の細胞を含む。いくつかの態様では、本明細書で提供された方法は、他の方法と比較して、より少ない数の細胞を必要とする。
B. エピジェネティック/エピジェノミックプロファイルの処理およびさらなる解析
いくつかの態様では、提供された方法はまた、エピジェネティック/エピジェノミックな特性および/またはプロファイルの1つまたは複数の側面のさらなる処理および/または解析をも含む。いくつかの態様では、提供された方法は、特定の細胞もしくは細胞組成物のエピジェネティック/エピジェノミック特性および/またはプロファイルを別の細胞もしくは細胞組成物のそれらと比較すること(例えば、比較分析および/または差次的分析)、または正規化もしくはさらなる解析工程のためのメトリックおよびカウントを生成することを含む。いくつかの局面では、さらなる処理および/または解析は、ヌクレオソーム占有率解析などの、シーケンス結果を解析するための追加の工程の使用を含む。
いくつかの局面では、様々な追加の処理および/またはさらなる解析のいずれか1つまたは複数は、コンピュータにより実行され得る。いくつかの態様では、処理および/またはさらなる解析は、例えば、差次的アクセシビリティ(差次的ピーク)解析、正規化の尺度、およびヌクレオソーム占有率/位置決めの評価を含み得る。いくつかの態様では、1つまたは複数のゲノム領域を解析して同定する方法、例えば処理および/またはさらなる解析は、本明細書に記載される工程、機能、プロセスまたはスクリプトのいずれか1つまたは複数を、連続的にまたは同時に任意の順序で、含むことができる。該工程、機能、プロセスまたはスクリプトの1つまたは複数は、同様の機能を達成または実行する同様のアルゴリズム、工程、機能、プロセスまたはスクリプトによって置き換えることができる。いくつかの態様では、1つまたは複数の工程の順序は任意の順序であってよく、また、いずれか1つまたは複数の工程、機能、プロセスまたはスクリプトを並行して実施してもよい。
いくつかの態様では、様々な処理および/またはさらなる解析の1つまたは複数は、1つまたは複数のゲノム領域、例えば、コード領域、非コード領域、遺伝子間領域、非翻訳領域、イントロン、エクソン、シス調節領域、スモールRNA結合部位、リピート、テロメア領域、および/またはアクセス可能もしくはアクセス不可能な領域(例えば、オープンクロマチンおよび/またはヘテロクロマチン)の同定を含むことができ、これらの領域は、細胞療法による治療の転帰と相関しており、かつ/または、例えば対象に投与するための、細胞組成物もしくは細胞培養物を評価するために使用することができる。いくつかの態様では、1つまたは複数のゲノム領域は、2つ以上のサンプルにおける、1つまたは複数のゲノム領域のエピジェネティックおよび/またはエピジェノミックプロファイルの差を用いて同定され、該2つ以上のサンプルは、例えば、異なる対象からの、異なる転帰を有する対象からの、異なる治療を受けている対象からの、細胞操作の異なる段階からの、および/または異なる条件にさらされた細胞からの、サンプルである。いくつかの態様では、1つまたは複数のゲノム領域は、エピジェネティックおよび/またはエピジェノミック解析においてシグナルの異なるピークを含む。いくつかの態様では、1つまたは複数のゲノム領域は、2つ以上の異なるサンプル間で異なる統計的パラメータまたはメトリック(例えば、ある領域にわたる平均シグナル、中央シグナル、総計シグナルもしくは合計シグナル)を示す領域を含む。いくつかの態様では、処理および/またはさらなる解析は、閾値化およびクラスター化手法、予測モデリングおよび/または差次的ピークコーリングを含めて、該方法の他の任意工程の枠内で使用することができる。
1. 差次的ピーク解析
いくつかの態様では、該アッセイは、2つ以上のサンプルを比較するために使用され得る。いくつかの態様では、該アッセイは以下の工程を含むことができる:本明細書で提供されたアッセイまたは解析方法を用いて、第1の細胞集団または第1の細胞組成物を解析して第1のエピジェネティックマップを作成する工程;本明細書で提供されたアッセイまたは解析方法を用いて、第2の細胞集団または第2の細胞組成物を解析して第2のエピジェネティックマップを作成する工程;および第1のエピジェネティックマップを第2のエピジェネティックマップと比較して、例えば、クロマチンアクセシビリティまたは転写因子占有率の差異もしくは変化を検出する工程。
いくつかの局面では、該解析は、差次的解析(differential analysis)、例えば、差次的アクセシビリティ解析または差次的ピーク解析を含む。いくつかの局面では、該解析は、2つ以上のサンプルに存在する配列もしくはシグナルのピークを比較すること、および/または2つ以上のサンプル間の特定の配列もしくはシグナルのピークの差次的濃縮を含む。該2つ以上のサンプルは、第1の細胞集団もしくは細胞組成物からの細胞および第2の細胞集団もしくは細胞組成物からの細胞を含み得る。いくつかの局面では、該解析は、2つ以上のサンプルに存在するピークを決定すること、および2つ以上のサンプル間でピークの幅と振幅またはピークの有無を比較することを含む。
いくつかの態様では、2つ以上のサンプル(例えば、細胞集団または細胞組成物)間のピークの比較を用いて、サンプルにおいて差次的にアクセス可能であり、かつ/または特定の細胞状態のシグネチャ(例えば、特定のゲノム領域、エレメントもしくは区間のまたはその付近のピークのシグネチャ)を識別するか、または特定の転帰(例えば、細胞療法の転帰)と相関するもしくはそれを予測する、領域、座位、エレメントまたは区間(例えば、活性調節エレメントを含みかつ/または任意で特定の遺伝子もしくは転写因子に関連する)を同定することができる。
いくつかの態様では、ピークの差は、差次的ピークコーリング工程、機能、プロセス、ツールまたはスクリプト、例えば、DESeq2、DiffBind、MAnorm、csaw、DPChIP、BADS、diffReps、DIME、HMCan-diff、ChIPDiff、MMDiff、THOR、POLYPHEMUS、GenoGAM、normR、chromstaR、PePr、ChIPComp、EpiCentr、ODIN、histoneHMM、ImpulseDE2、QChIPat、SICER、MACS2、unique Peaks、ODIN、RSEG、MAnorm、Homer、DBChIP、multiGPS、edgeR、およびSteinhauser et al. (2016) Briefings in Bioinformatics, 17(6):953-966またはhttps://omictools.com/peak-calling-categoryに記載されるものを使用して、決定することができる。いくつかの局面では、これらの方法を用いて、2つ以上のサンプル間で異なったアクセシビリティを示すピークを同定することができる。いくつかの局面では、これらの方法は、定量的アクセシビリティデータを用いて、複数のサンプルからの差次的結合部位(differentially bound sites)をコンピューティングすることを含む。いくつかの局面では、差次的解析に使用できる例示的なサンプルは、異なる細胞組成物もしくは細胞型(例えば、CD4+もしくはCD8+細胞)、または操作プロセスの異なる段階の細胞(例えば、CMATもしくはCDP)、異なるドナー由来の細胞、または異なる処理(例えば、薬物による処理もしくは薬剤とのインキュベーション)にさらされる細胞を含む。
いくつかの局面では、ピークの差は、差次的ピークコーリング工程、機能、プロセス、ツールまたはスクリプト、例えばDiffBindを使用して決定することができる。いくつかの局面では、解析工程は、2つ以上のサンプル間で異なって存在するゲノム領域、座位および/または区間を同定し、そしてピークセット(オーバーラップおよびマージするピークセットを含む)を処理すること、ピークセット内で区間が重複するシーケンシングリードをカウントすること、およびリード密度の差の証拠に基づいて統計的に有意に異なって存在するピーク部位を同定することを含む。いくつかの態様では、解析工程は、ピークオーバーラップまたはコンセンサスピーク(例えば、解析された2つ以上のサンプルに存在するアクセシビリティピーク)を同定する。いくつかの態様では、オーバーラップを決定した後、3つ以上のライブラリーに見られるピークをフィルタリングして、シーケンシングカウントを抽出する。いくつかの態様では、ピーク内のリードの割合(FRiP;(ピーク内のリード数)/(総リード数)として計算されたシグナルの濃縮を示す)などの尺度が計算される。
いくつかの態様では、2つ以上のサンプル間のピークシグナルの差または変化を決定することができる。いくつかの態様では、あるサンプルを、対照または参照サンプル(例えば、処置されていないサンプル、または所望の特徴もしくは転帰を示すサンプル、例えば本明細書に記載される参照サンプルのいずれか)などの他のサンプルと比較したピークシグナルの倍率変化(fold change)が決定される。いくつかの場合には、データを変換して、対数目盛りでプロットする。特定の態様では、対数変換は、常用対数(log10(x))、自然対数(ln(x))、またはバイナリログ(binary log)(log2(x))である。いくつかの態様では、データを、x軸上に倍率変化、例えばlog2倍率変化を描写し、y軸上に統計的有意性、例えばp値の-log10を描写するボルケーノプロットとしてプロットする。
いくつかの局面では、2つ以上のサンプル間のピークの比較を使用して、例えばサンプル間または条件間で、任意で特定の遺伝子もしくは転写因子に関連する、活性調節エレメントを同定することができ、かつ/または特定の細胞状態のシグネチャを識別するか、転帰(例えば、応答または安全性の転帰)または細胞もしくは細胞組成物の他の特徴を予測することができる。
いくつかの態様では、特徴選択アルゴリズムを含む解析工程を使用して、サンプルにおいて差次的にアクセス可能であり、かつ/または特定の細胞状態のシグネチャ(例えば、特定のゲノム領域、エレメントもしくは区間のまたはその付近のピークのシグネチャ)を識別するか、または特定の転帰(例えば、細胞療法の転帰)と相関するもしくはそれを予測する、領域、座位、エレメントまたは区間を同定することができる。
いくつかの局面では、差次的ピーク解析は、ゲノムワイドな規模で、またはゲノム全体にわたって、または関心対象の特定のゲノム領域、座位、および/もしくは区間で(例えば、関心対象の特定の遺伝子または遺伝子パネルで、もしくはその付近で)実施または評価され得る。いくつかの局面では、差次的ピーク解析は、遺伝子の特定のパネルにおいて、例えば、細胞型の特定、T細胞の分化および/または発生、免疫細胞の機能、免疫表現型および/または転写因子に関連する遺伝子(本明細書に記載の任意の遺伝子または遺伝子のパネル、セットもしくはモジュールを含む)において、実施または評価され得る。
任意の2つのサンプル(例えば、細胞集団または細胞組成物)は、差次的アクセシビリティ解析によって評価することができる。いくつかの局面では、2つ以上の細胞サンプル、例えば細胞組成物は、例えば、細胞の表現型または機能(例えば、T細胞の活性化状態、メモリー表現型、分化状態、エフェクター機能、サイトカイン応答、産生もしくは分泌、細胞溶解活性、輸送もしくは移動能力、持続性もしくは消耗性などの、T細胞の1つまたは複数の表現型または機能)に関連するか、あるいは、例えばウイルスベースの形質導入が介在する、トランスジーンの有無に関連する、1つまたは複数の特性、属性または特徴において異なるか、異なる可能性が高いか、または異なり得る。
いくつかの態様では、第1および第2の細胞サンプルの一方、例えば細胞組成物は、細胞が濃縮されていることが知られており、例えば、そのような細胞の75%超はナイーブ表現型もしくは長命なメモリー表現型を有するか、またはその可能性が高く、他方のサンプル、例えば他の細胞組成物は、未知のまたは未確定のメモリー表現型を有する。いくつかの態様では、第1および第2の細胞サンプルの一方、例えば細胞組成物は、細胞が濃縮されていることが知られており、例えば、そのような細胞の75%超は活性化されており、他方のサンプル、例えば他の細胞組成物は、未知のまたは未確定の活性化状態を有する。いくつかの態様では、第1および第2の細胞サンプルの一方、例えば細胞組成物は、均一または均質であるか、比較的均一または均質であることが知られており、例えば、該組成物またはサンプル中の細胞の85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上は、1つまたは複数の特性、属性、または特徴を示し、例えば、CD4+細胞、CD8+細胞のパーセント、1つまたは複数の活性化マーカー、メモリーマーカー、アポトーシスもしくは細胞健康マーカー、または細胞の表現型もしくは機能を示す他のマーカーのレベルを示す。そのような例では、他方の細胞サンプル、例えば細胞組成物は、該特性、属性または特徴に関して未知のまたは未確定の均一性プロファイルを有する。いくつかの態様では、第1および第2のサンプルの一方、例えば細胞組成物は、細胞あたりのトランスジーン(例えば、ウイルスベクター)の特定の平均コピー数(ベクターコピー数(VCN))を有することが知られており、他方の細胞サンプル、例えば細胞組成物は、未知のまたは未確定のVCNを有する。細胞組成物の所望の特徴、属性または特性の幾つでも、差次的アクセシビリティ解析に関連して使用することができる。
第1および第2の組成物の他の例示的な特性または特徴には、細胞組成物の遺伝子操作、細胞供給源、疾患のタイプまたは状態における差異に関連したものが含まれる。いくつかの態様では、第1の組成物と第2の組成物の一方は、組換え受容体で遺伝子操作される細胞を含み、第1の組成物と第2の組成物の他方は組換え受容体を発現するように操作された細胞を含む。いくつかの態様では、異なるサンプル、例えば第1の細胞組成物と第2の細胞組成物は、異なるドナー由来の、任意で疾患の状態、疾患の重症度、または疾患のタイプに基づいて相違するドナー由来の、初代細胞を含む。いくつかの態様では、異なるサンプル、例えば第1の細胞組成物と第2の細胞組成物は、細胞を操作するための製造プロセスの異なる段階または工程の細胞を含む。いくつかの態様では、異なるサンプル、例えば第1の細胞組成物と第2の細胞組成物は、細胞の活性、表現型または機能を調節する作用物質と接触した細胞を含み、第1および第2の組成物の他方はそのように接触してない同様の細胞を含む。そのような例では、こうした作用物質として、以下が挙げられる:ポリペプチドもしくはタンパク質、ペプチド、抗体、核酸、ウイルスベクターもしくはウイルス調製物、または小分子化合物、例えば、刺激性試薬、任意で抗CD3/抗CD28;免疫調節剤、組換え受容体(例:CAR)に特異的な抗イディオタイプ抗体もしくはその抗原結合フラグメント、免疫チェックポイント阻害剤、代謝経路のモジュレーター、アデノシン受容体アンタゴニスト、キナーゼ阻害剤、抗TGFβ抗体もしくは抗TGFβR抗体、またはサイトカイン。
いくつかの態様では、第1の細胞集団および第2のまたはさらなる細胞集団は、同じ個体から異なる時点に取得される。他の態様では、第1の細胞集団および第2のまたはさらなる細胞集団は、異なる個体の組織から得られた細胞の異なる集団である。いくつかの態様では、第1の細胞集団および第2のまたはさらなる細胞集団は、異なる個体および/または個体群、例えば、異なる疾患の重症度、治療応答、治療転帰、毒性および/もしくは副作用、生理学的応答、細胞の分子的および/もしくは機能的活性、ならびに/または表現型を示す個体または個体群から取得される。いくつかの態様では、異なるサンプル、例えば第1の細胞組成物と第2の細胞組成物は、対象への投与後に、第1および第2の組成物の一方では生じるかまたは生じたが他方では生じない転帰に関連する細胞組成物のサンプルを含む。
前記方法において使用できる比較のための例示的な細胞には、例えば、正常な対象から単離された細胞、遺伝子操作を受けていない対象から単離された細胞、完全奏効を示す対象から単離された細胞、持続的奏効を示す対象から単離された細胞、および/または特定の治療の前もしくは後に対象から単離された細胞が含まれる。いくつかの態様では、該細胞は他のプロセスまたは処理、例えば細胞表面マーカーの発現に基づく選択、または遺伝子操作に供することができる。
いくつかの態様では、差次的ピーク解析は、2つ以上のサンプル、例えば2つ以上の試験サンプルまたはサンプル群、のエピジェネティックプロファイルを比較して、行うことができる。いくつかの態様では、差次的ピーク解析は、1つまたは複数の試験サンプル(例えば、試験される細胞組成物)のアクセシビリティプロファイルを、1つまたは複数の参照サンプルまたは参照プロファイル、例えば、本明細書(例えば、セクションII.C.1)に記載の任意の参照サンプルまたは参照プロファイルのアクセシビリティプロファイルと比較して、行うことができる。
2. 正規化尺度およびメトリック
いくつかの態様では、エピジェネティック/エピジェノミックプロファイルからの配列および/またはピークの解析は、例えば配列および/またはピークの結果を正規化または定量化するための、該結果のさらなる処理または解析を含む。いくつかの局面では、該解析は正規化尺度を採用することを含む。任意で、正規化尺度は、遺伝子に関連するメトリック、例えばアノテートされた遺伝子あたりの正規化されたカウントを生成することを含み得る。いくつかの態様では、アッセイ、例えばATAC-seqなどのクロマチンアクセシビリティアッセイ、からのデータは、閾値および/もしくは値を決定するために、特定の転帰に関連する座位および/もしくは遺伝子を同定するために、かつ/または他のアッセイの結果および解析と比較するために、さらに処理または解析される。例えば、いくつかの態様では、ATAC-seqピークは、ゲノム座位領域マップまたはゲノムマップと重ね合わせた、正規化された頻度などの頻度をプロットすることによって同定することができる。いくつかの態様では、正規化頻度値はFPKMまたはRPKMを含む。いくつかの態様では、本明細書で使用する用語「FPKM」は、1キロベースあたりの、マップされたリード数100万あたりの断片数(Fragments Per Kilobase per Million fragments mapped)を指す。いくつかの態様では、用語「RPKM」は、1キロベースあたりの、マップされたリード数100万あたりのリード数(Reads Per Kilobase per Million reads mapped)を指す。FPKMまたはRPKMは、任意のゲノム特徴(例えば、エクソン、転写産物、トランスポゾンの挿入、ヒストン修飾、ヌクレオソーム占有率、DNAメチル化、または転写因子などのタンパク質の占有率)の存在を定量化するための、または任意のゲノム座標(それにアライメントするシーケンシングリードの存在量によって決定される)の存在を定量化するための単位である。FPKMおよびRPKM測定は、サンプル内およびサンプル間の存在量レベルの比較を容易にするために、ゲノム単位の相対的長さならびにそれにマッピングされるリードの総数によって存在量を正規化する。いくつかの局面では、正規化頻度値は、上位四分位数(upper quartile:UQ)、サイズファクター(size factor:SF)、100万あたりのカウント数(counts per million:CPM)、RPKM(Reads Per Kilobase Million)、FPKM(Fragments Per Kilobase Million)、またはTPM(Transcripts Per Kilobase Million)を含む。
いくつかの態様では、1つまたは複数のゲノム領域、座位、エレメントまたは区間が解析のために選択される。例えば、いくつかの態様では、ゲノム領域、例えばプロモーターまたはエンハンサー領域、からのデータが評価および/または比較される。いくつかの態様では、遺伝子のコード領域内もしくはその周辺、例えば遺伝子の転写領域内(gene body)、からのデータが評価および/または比較される。例えば、いくつかの態様では、遺伝子の転写領域内のFPKMまたはRPKM値の合計が評価および/または比較される。いくつかの態様では、FPKMまたはRPKM値の合計は、1つまたは複数のゲノム領域、例えばゲノム座位について、評価および/または比較される。
いくつかの態様では、参照値および/または正規化値と比較された差異のパターン、例えば参照値または正規化値と比較してより高いまたはより低いクロマチンアクセシビリティが決定される。いくつかの態様では、そのアッセイは、1つまたは複数のゲノム領域(例えば、ゲノム座位)における値の差、例えば正規化値により決定されるクロマチンアクセシビリティ(例えばFPKMまたはRPKM)の差を決定することを含み、例えば、ゲノム内の複数の座位または座位のパネルが決定され比較される。いくつかの態様では、複数の座位または座位のパネル、セットもしくはモジュールは、本明細書に記載されたもののいずれか、または本明細書で提供された方法を用いて同定されたもののいずれかを含む。
いくつかの態様では、1つまたは複数のゲノム領域(例えば、ゲノム座位)における値の差を決定することは、1つまたは複数のゲノム領域(例えば、がん性生物学的サンプルから得られた核酸中のゲノム座位)についてのFPKMまたはRPKM値が、i)該1つまたは複数のゲノム領域(例えば、参照生物学的サンプルから得られた参照核酸中のゲノム座位)のFPKMまたはRPKM値と比べて、平均または合計FPKMもしくはRPKM値の1~20倍(例えば、約1倍、2倍、3倍、4倍または5倍)の変化より大きい;およびii)該1つまたは複数のゲノム領域(例えば、参照生物学的サンプルから得られた参照核酸中のゲノム座位)のFPKMまたはRPKM値と比べて、FPKMまたはRPKM範囲の約10倍以上の減少である;ことを決定することを含む。例えば、いくつかの態様では、その解析は、1つまたは複数のゲノム領域(例えば、ゲノム座位)についての値、例えばFPKMまたはRPKM値を決定すること;本明細書に記載のエピジェネティックおよび/またはエピジェノミック解析のためのアッセイのいずれかに基づいて、1つまたは複数のゲノム領域(例えば、ゲノム座位)についてのシーケンシングタグカウントのマトリックスを作成すること;および参照値または正規化値と比較して値の差を決定することを含む。次いで、その解析は、1つまたは複数の細胞集団(例えば、本明細書に記載のさらなるまたは追加の解析などの、1つまたは複数の処置を受けた1つまたは複数の対象または細胞からの細胞集団)における値の変化または差に基づいたクラスタリング解析、例えば階層的クラスタリングまたは主成分解析(PCA)をさらに含む。
いくつかの態様では、該アッセイは、値の差、例えば正規化値によって決定されるクロマチンアクセシビリティの差を決定することを含み、これは有効なライブラリーサイズについて調整された正規化値を用いて決定され得る。いくつかの態様では、負の二項モデルを使用して、差次的アクセシビリティについて試験することができる。いくつかの態様では、1つまたは複数のゲノム領域、座位、エレメントまたは区間(例えば、ゲノム座位)におけるピークの差、例えば1つまたは複数の異なる条件からのサンプル間の配列リードピークの差を使用して、エピジェノミックおよび/またはエピジェネティックプロファイルの差、例えばクロマチンアクセシビリティの差を決定することができる。
いくつかの態様では、そのような正規化尺度は、コンピュータにより実行されるスクリプトまたはツール、例えばhomer_calculate_per_gene_accessibility_normを使用して、遺伝子の一般的なアクセシビリティを表す、正規化された遺伝子ごとのアクセシビリティ値(normalized per-gene accessibility value)(例えば、正規化FPKM値)を計算することを含む。そのような計算されたメトリックまたはスコアは、例えば他のサンプルと比較するか、または細胞療法の転帰と相関させるなどして、さらなる下流解析に使用することができる。
いくつかの態様では、正規化はまた、ピーク内のリードの割合(FRiP;(ピーク内のリード数)/(総リード数)として計算されるシグナルの濃縮を示す)などの尺度に基づく正規化も含み得る。いくつかの態様では、FRiP正規化カウントは、1つまたは複数の特定のゲノム領域または区間について決定され得る。
3. ヌクレオソーム占有率解析
いくつかの局面では、さらなる処理工程は、エピジェネティック/エピジェノミックプロファイルにおいてヌクレオソームの占有率もしくは位置決めを評価すること、またはヌクレオソームフリー領域(NFR)を同定することを含む。
いくつかの態様では、ピークはNFRを含み、かつ/またはNFRに関連する(例えば、Schep et al., (2015) Genome Research 25:1757-1770参照)。いくつかの局面では、ヌクレオソームフリー領域は、転写開始部位、プロモーターもしくは転写終結部位(例えば、Yadon et al., (2010) Mol. Cell. Biol. 30(21):5110-5122参照)、および/またはより活性化もしくはより分化した状態と関連し得る。いくつかの局面では、NFRは高いゲノムアクセシビリティに関連する。いくつかの態様では、ピークコーリングおよび差次的ピーク解析は、サブヌクレオソームリードのフィルタリング、ピークの検出、ピークごとの挿入部位のカウント、遺伝子ごとのプロモーターおよび/もしくは転写開始部位のピークシグナルの集計、ならびに/または安定的に共有されたピークにおける差次的アクセシビリティの検査などの1つまたは複数の工程を含み得る。いくつかの局面では、エピジェネティックプロファイルは差次的アクセシビリティのピークを同定することを含み、例えば、1つまたは複数のゲノム領域、座位、エレメントまたは区間(例えば、ゲノム座位)におけるピークの差、例えば1つまたは複数の異なる条件からのサンプル間の配列リードピークの差を使用して、エピジェノミックおよび/またはエピジェネティックプロファイルの差、例えば1つまたは複数の異なる条件からのサンプル間のクロマチンアクセシビリティの差を決定することができる。
いくつかの態様では、配列リードは、長さによってグループに分類することができる。いくつかの態様では、一部の配列は、そのサイズに基づいて、ヌクレオソームフリー配列(すなわち、ヌクレオソーム間にあると予測される断片由来の配列)であるとアノテートされ得る(例えば、Schep et al., (2015) Genome Research 25:1757-1770参照)。モノヌクレオソーム、ジヌクレオソームおよびトリヌクレオソームに関連するリードもまた同定され得る。
いくつかの態様では、ヌクレオソーム占有率、ヌクレオソーム位置決めおよび/またはヌクレオソームフリー領域は、例えばヌクレオソーム結合クロマチンに相当し得る特定のサイズの断片を取り出すための、工程、機能、プロセス、ツールまたはスクリプトを用いて決定され得る。いくつかの局面では、特定のサイズの断片、例えば100bp、150bp、200bp、250bpもしくはそれ以上より大きい断片を分離する、またはフィルタリングして取り出すことができる。いくつかの局面では、断片の一部は、ヌクレオソーム結合クロマチンを表すことができる。いくつかの局面では、特定のサイズの断片、例えば100bp、150bp、200bp、250bp、もしくはそれ以上より大きい断片をフィルタリングして取り出すための例示的な工程は、Filter_nucleosomal_fragmentsを含む。いくつかの態様では、そのような工程はシグナルを濃縮することができる。いくつかの局面では、フィルタリングされたリードとフィルタリングされないリードの両方を、それぞれ、オープンクロマチンおよびヌクレオソーム占有クロマチンを推測するためのさらなるまたは下流の解析に使用することができる。いくつかの態様では、ヌクレオソーム占有率は、例えばNucleoATACなどのATAC-Seqデータを用いてヌクレオソームの位置および占有率を呼び出すための、工程、機能、プロセス、ツールまたはスクリプトを用いて決定され得る(例えば、Schep et al., (2015) Genome Res. 25(11): 1757-1770参照)。
C. 解析および適用
いくつかの態様では、提供された方法はまた、エピジェネティック/エピジェノミックな特性および/またはプロファイルの1つまたは複数の側面のさらなる適用および/または解析を含む。いくつかの態様では、提供された方法は、例えば特定の細胞もしくは細胞組成物のエピジェネティック/エピジェノミック特性および/またはプロファイルを、参照サンプルのものおよび/または参照プロファイルと比較する、さらなる解析および/または適用の工程を含む。いくつかの局面では、さらなる解析および/または適用は、シーケンス結果を解析するための追加の標準または方法を用いて、さらなる特徴、特性および/または状態を決定すること;さらなる下流解析、遺伝子サブセット解析、生物学的経路解析、転写占有率解析、もしくはモチーフ解析、クラスタリング解析、および/またはさらなる適用(例えば、細胞療法の転帰との相関または関連)を行うこと;トランスジェニック配列の組込みを評価すること;参照サンプルおよび/または参照プロファイルと比較すること;ならびに/または細胞もしくは細胞組成物の表現型もしくは状態または他の特性を評価することを含む。
いくつかの局面では、様々な追加の解析および/または適用のいずれか1つまたは複数は、コンピュータにより実行することができる。いくつかの態様では、提供された方法は、解析または比較のための様々な下流工程またはプロセス、例えばコンピュータにより実行される工程、ならびに/または細胞もしくは細胞組成物の1つまたは複数の特性もしくは特徴を評価するための、該方法の適用を含む。いくつかの態様では、さらなる解析および/または適用は、例えば、生物学的経路解析、遺伝子オントロジー(GO)エンリッチメント、モチーフエンリッチメント、遺伝子サブセット解析、転写因子占有率、参照プロファイルとの比較、および/または組込み解析、例えばトランスポゾン挿入部位の決定を含むことができる。いくつかの態様では、1つまたは複数のゲノム領域を解析および同定するための方法、例えばさらなる解析および/または適用は、本明細書に記載される例示的な工程、機能、プロセスまたはスクリプトのいずれか1つまたは複数を、連続的にまたは同時に任意の順序で、含むことができる。該工程、機能、プロセスまたはスクリプトの1つまたは複数は、同様の機能を達成または実行する同様のアルゴリズム、工程、機能、プロセスまたはスクリプトによって置き換えることができる。いくつかの態様では、1つまたは複数の工程の順序は任意の順序であってよく、また、いずれか1つまたは複数の工程、機能、プロセスまたはスクリプトを並列して行ってもよい。
1. 参照エピジェネティック特性またはプロファイル
いくつかの態様では、本明細書に記載されるアッセイ、工程および/または手順の1つまたは複数は、特定のサンプル、例えば特定の細胞、細胞集団もしくは細胞組成物のエピジェネティックおよび/またはエピジェノミックな特性、状態および/もしくはプロファイルを決定するために使用され得る。いくつかの局面では、該方法は、参照細胞もしくは参照細胞組成物、または対照細胞および/もしくは対照細胞組成物のエピジェネティックおよび/またはエピジェノミックな特性、状態および/もしくはプロファイルを決定するために使用される。いくつかの局面では、本明細書に記載されるアッセイ、工程および/または手順の1つまたは複数は、参照エピジェネティック特性、例えば参照エピジェネティックおよび/またはエピジェノミックプロファイルを決定するために使用され得る。いくつかの局面では、そのような特性またはプロファイルのいずれかを使用して、試験サンプル(例えば、他の細胞もしくは細胞組成物)、または試験条件もしくは手順(例えば、細胞もしくは細胞組成物、例えば養子細胞療法のための細胞組成物を生成し、製造しかつ/または操作するための条件もしくは手順)と比較し、かつ/またはそれを評価することができる。いくつかの局面では、さらなる解析および/または適用の方法もしくは手順は、試験サンプルのエピジェネティック/エピジェノミックプロファイルを参照サンプルのそれおよび/または参照プロファイルと比較することを含む。
いくつかの態様では、参照エピジェネティック特性は、参照または対照の細胞サンプル、集団もしくは組成物の、例えばクロマチンアクセシビリティ解析による、エピジェネティック特性を同定することによって決定され得る。いくつかの態様では、参照または対照の細胞サンプルは、既知の属性もしくは特徴を示すか、または既知の属性もしくは特徴を有すると疑われるか、有する可能性が高い。そのような属性または特徴は、例えば、細胞の表現型または機能(例えば、T細胞活性化状態、メモリー表現型、分化状態、エフェクター機能、サイトカイン応答、産生もしくは分泌、細胞溶解活性、輸送もしくは移動能力、持続性もしくは消耗性などの、T細胞の1つまたは複数の表現型または機能を含む)に関連するか、あるいは、例えばウイルスベースの形質導入が介在する、トランスジーンの有無に関連する。いくつかの態様では、参照または対照サンプルは、健康なまたは正常な対象から得られるものである。
いくつかの態様では、参照サンプルは、細胞療法を受けた後に、所望の転帰(例えば、所望の応答または安全性の転帰)を達成し続けた対象に由来するサンプル(例えば、細胞または細胞組成物)を含む。いくつかの態様では、参照サンプルは、細胞療法による治療後に、部分奏効(PR)もしくは完全奏効(CR)、および/または持続的な奏効を達成し続けた対象に由来するサンプルを含む。いくつかの態様では、参照サンプルは、望ましい安全性の転帰、例えば、サイトカイン放出症候群(CRS)もしくは神経毒性(NT)などの毒性の発生の欠如、または重度のCRSもしくは重度のNTの発症の欠如を達成し続けた対象に由来するサンプルである。いくつかの態様では、所望の治療転帰、例えば応答または安全性の転帰には、以下のセクションIIIに記載されるものが含まれる。
いくつかの局面では、参照サンプルは、所望の状態、質、一貫性、表現型、特徴および/または特性を有する細胞もしくは細胞組成物を含み得る。例えば、いくつかの局面では、均一性または一貫性のある細胞を含有する細胞組成物が望ましい。いくつかの態様では、参照サンプルは、一貫性および/もしくは均一性、ならびに/または特定の表現型、状態、質、特徴および/もしくは特性を示すことが公知の、細胞もしくは細胞組成物を含むことができる。いくつかの局面では、参照サンプルは、特定の表現型を示す細胞を特定の比率で含むことができる。いくつかの局面では、参照のエピジェネティックおよび/またはエピジェノミックプロファイルは、記載した参照サンプルのいずれからも得ることができる。
いくつかの態様では、参照プロファイルは、参照サンプルの1つまたは複数のゲノム領域、座位および/または区間におけるエピジェネティック特性もしくは状態のコレクションを含む。いくつかの態様では、参照プロファイルは、参照エピジェネティック/エピジェノミックマップである。いくつかの態様では、参照プロファイルは、複数の細胞組成物(例えば、参照の細胞組成物またはサンプル)の間で、アクセシビリティ解析(任意でクロマチンアクセシビリティ解析)からの配列リードの共通のピークから決定される、エピジェネティックマップである。いくつかの態様では、参照プロファイルは、メトリックおよび/または正規化された値、例えばFPKM値またはプロモーターアクセシビリティ・メトリック、のセットである。
いくつかの態様では、参照プロファイルは、1つまたは複数のゲノム領域のそれぞれについてのエピジェネティック特性の閾値、または1つまたは複数のゲノム領域内の全体的なエピジェネティック特性の閾値を含む。
いくつかの態様では、その閾値は、同じまたは同様の疾患または状態を有する対象に投与されたときに転帰を示すことが分かっている、細胞組成物中の細胞の1つまたは複数のゲノム領域におけるエピジェネティック特性(任意でクロマチンアクセシビリティ)の値もしくはレベルである;あるいは、例えば対象に投与されたとき、1つまたは複数の所望の転帰を示すことが分かっている、複数の細胞組成物のそれぞれの細胞からの1つまたは複数のゲノム領域におけるエピジェネティック特性(任意でクロマチンアクセシビリティ)の平均(average)、中央、または平均(mean)の値もしくはレベルである。いくつかの態様では、その閾値は、正常または健康な対象からの細胞におけるエピジェネティック特性の値もしくはレベルを含む。いくつかの態様では、その閾値は、特定の表現型、例えばナイーブ表現型または長命なメモリー表現型を示す細胞におけるエピジェネティック特性の値もしくはレベルを含む。
いくつかの態様では、提供された方法は、対象に投与するための細胞組成物を評価するために使用することができ、例えば、組換え受容体で操作された細胞を含む細胞組成物中の細胞の1つまたは複数のゲノム領域のエピジェネティックプロファイルを解析し、かつ各ゲノム領域のエピジェネティックプロファイルを個別に参照プロファイルと比較することを含み、ここで、その比較は、細胞の集団が、対象に投与されたとき、転帰、例えば所望の転帰を示すもしくはもたらすか、またはその可能性が高いかどうかを示す。いくつかの態様では、提供された細胞培養物の評価方法は、1つまたは複数の試験物質または条件の存在下でインプット組成物を培養することによって得られた、アウトプット細胞組成物に含まれる細胞の1つまたは複数のゲノム領域のエピジェネティックプロファイルを解析し、かつ各ゲノム領域のエピジェネティックプロファイルを個別に参照プロファイルと比較することを含み、ここで、その比較は、細胞が所定の表現型、持続性、活性および/または機能を示すか、またはその可能性が高いかどうかを示す。
いくつかの態様では、その比較は、1つのサンプル(例えば、試験サンプル)のエピジェネティック/エピジェノミックな特性、状態および/またはプロファイルと、参照サンプルのエピジェネティック/エピジェノミックな特性、状態および/またはプロファイルとの間で行われる。いくつかの局面では、その比較は参照プロファイルを用いて行われる。いくつかの態様では、参照サンプルおよび/または参照プロファイルは、本明細書に記載されたもののいずれかであり得る。いくつかの局面では、参照サンプルは、所望の転帰(例えば、奏効もしくは安全性の転帰)を示す対象由来のサンプル、ならびに/または所望の特性および/もしくは特徴を含むサンプルであり得る。
本明細書で提供された方法はまた、細胞組成物の1つまたは複数の特性または特徴、例えば細胞組成物の一貫性、組成、表現型、機能および/または活性を評価するために使用され得る。いくつかの局面では、細胞組成物のエピジェネティックおよび/またはエピジェノミックプロファイルは、例えば参照細胞組成物を含む、参照サンプルの該プロファイルと比較され得る。いくつかの局面では、該方法を使用して、治療用の適切な細胞組成物を選択または生成することができる。いくつかの局面では、本明細書に記載のアッセイおよび解析は、治療用の細胞(例えば、養子細胞療法用の操作細胞)を選択するために使用することができ、こうした細胞は、より一貫性および/もしくは均一性があり、かつ/または特定の表現型もしくは組成を示し、かつ/または投与後のより一貫した、有効なおよび/もしくは予測可能な転帰と関連すると予測される。いくつかの局面では、本明細書で提供された方法は、有効性および/もしくは安全性に関連し、かつ/またはより明確で一貫性および/もしくは均一性のある細胞組成物に関連する、エピジェネティック/エピジェノミック特性を示す細胞を選択することによって、治療用の細胞の有効性および/または安全性の信頼できる予測材料を提供するために使用され得る。
いくつかの態様では、提供された方法は、対象に投与するための細胞組成物を評価するために使用することができ、例えば、組換え受容体で操作された細胞を含む細胞組成物中の細胞の1つまたは複数のゲノム領域のエピジェネティックプロファイルを解析し、かつ各ゲノム領域のエピジェネティックプロファイルを個別に参照プロファイルと比較することを含み、ここで、その比較は、細胞の集団が、対象に投与されたとき、転帰を示すもしくはもたらすか、またはその可能性が高いかどうか、ならびに/または細胞療法の転帰に関連する一貫した、明確なおよび/もしくは均一な細胞組成物をもたらすか、またはその可能性が高いかどうかを示す。
いくつかの態様では、前記比較により、細胞組成物が転帰(例えば、所望の応答または安全性の転帰)を示すか、またはその可能性が高いことが示される場合には、その細胞組成物を対象に投与することが可能である。
いくつかの態様では、前記比較により、細胞組成物が転帰(例えば、所望の応答または安全性の転帰)を示さないか、またはその可能性が高いことが示される場合には、以下のいずれかである:(i)該細胞組成物を投与前に変更する;(ii)該細胞組成物の用量を投与前に変更する;(iii)該細胞組成物の投与計画を投与前に変更する;(iv)該細胞組成物を1つもしくは複数の他の治療薬と組み合わせて投与する;または(v)該細胞組成物を対象に投与しない。
いくつかの局面では、細胞組成物は、エピジェネティック/エピジェノミック解析の1つまたは複数の結果に基づいて、投与前に変更され得る。例えば、いくつかの局面では、特定の細胞組成物のエピジェネティック/エピジェノミックプロファイルが参照細胞組成物のそれと比較され、かつその比較により、該細胞組成物が転帰(例えば、所望の応答または安全性の転帰)を示さないか、またはその可能性が高いことが示される場合には、細胞療法の前に細胞を操作する1つまたは複数の工程または手順を修正することができる。いくつかの局面では、そのような修正は、組換え受容体で操作された細胞および/または遺伝子操作される細胞を1つまたは複数の試験物質もしくは条件の存在下で培養することを含み得る。いくつかの態様では、1つまたは複数の試験物質または条件は、以下を含む:血清の存在または濃度;培養の時間;刺激剤の存在または量;刺激剤の種類または程度;アミノ酸の存在または量;温度;細胞組成物の起源または細胞型;細胞組成物中の細胞型の比率または割合、任意でCD4+/CD8+細胞比;ビーズの存在または量;細胞密度;静置培養;振とう培養;灌流;ウイルスベクターの種類;ベクターのコピー数;形質導入アジュバントの存在;凍結保存における細胞組成物の細胞密度;組換え受容体の発現の程度;細胞表現型を調節するための化合物の存在。いくつかの態様では、1つまたは複数の試験物質または条件は、試験化合物のライブラリーからの1つまたは複数の化合物を含む。いくつかの態様において、前記比較により、細胞組成物が表現型または機能を有するかまたは有する可能性が高いことが示される場合、該方法はまた、細胞を培養するための該1つまたは複数の試験物質または条件を選択する工程を含む。いくつかの態様において、前記比較により、細胞組成物が表現型または機能を有しないかまたは有しない可能性が高いことが示される場合、該方法はまた、1つまたは複数のさらなる試験物質もしくは条件を用いて、エピジェネティック/エピジェノミック解析および/または他のサンプルとの比較を繰り返す工程を含み得る。
本明細書で提供された方法はまた、診断法(例えば、診断を提供する方法および予後を提供する方法)として、かつ/または適切な対象および/もしくは治療用の細胞を選択するために使用され得る。該方法は、本明細書に記載のアッセイを使用して、細胞(例えば、対象から得られた細胞)におけるエピジェネティックおよび/またはエピジェノミック特徴を解析して、エピジェネティックマップを作成すること;該エピジェネティックマップならびに/またはさらなる解析および/もしくは定量化に基づいて、診断または予後を提供することを含み得る。例えば、本明細書に記載のアッセイおよび解析を用いて、有効性、完全奏効、分子的応答、奏効の持続性、細胞の持続性、細胞安全性の拡大(毒性または副作用の消失もしくは減少)および/または治療(例えば、養子細胞療法)の免疫原性の欠如を予測することができる。いくつかの態様では、本明細書に記載のアッセイおよび解析を用いて、より効果的および/またはより安全であると予測される(例えば、完全奏効または分子的応答に関連する)治療用の細胞、例えば養子細胞療法用の操作細胞選択することができる。本明細書で提供された方法は、ゲノム領域、例えばエピジェネティックおよび/またはエピジェノミック特徴が変化した(例えば、クロマチンアクセシビリティが変化した)ゲノム座位を同定し、有効性および/または安全性に関連するエピジェネティックおよび/またはエピジェノミック特性を示す細胞を選択することによって、治療用の細胞の有効性および/または安全性の信頼できる予測材料を提供するために使用され得る。
いくつかの態様では、提供された方法は、例えば治療対象が再発のリスクにさらされているかどうかを判定するための、予後診断に使用され得る。該方法を用いて、疾患または状態(例えば、がん)の再発を経験する可能性が高い、細胞(例えば、操作細胞)で治療された対象を同定することができ、その結果として、彼らに追加の治療選択肢を提供することができる;そうした治療選択肢には、用量の追加もしくは変更、頻度の変更、および/または追加の作用物質(例えば、組換え受容体を発現する他の細胞、化学療法剤、放射線、生物学的修飾物質、阻害剤および他の適切な治療剤)による治療が含まれる。該方法は、対象において治療に対する長期応答を予測するために使用され得る。
いくつかの態様では、提供された方法は、疾患または状態(例えば、がんまたは腫瘍)を有する対象に対する適切な投与量、頻度、投与計画および/または治療コースを決定するために使用され得る。いくつかの態様では、投与量、例えば養子細胞療法用の細胞の投与量は、投与される細胞の予測された有効性および/または安全性に基づいて、決定することができる。治療コースは、診断後または治療後に対象に対してとられる治療方針を指す。例えば、応答、毒性、再発、広がり、または対象の生存の可能性の判定は、投与量、ならびに施される治療および/または任意の併用療法の程度を決定する際に使用され得る。
いくつかの態様では、提供された方法は、疾患または状態の診断または予後について、特徴付けし、分類し、識別し、等級付けし、病期分類するために、あるいはエピジェネティックパターン(例えば、クロマチンアクセシビリティまたはDNA結合タンパク質占有率のパターン)により特徴付けられる、治療(例えば、養子細胞療法)用の適切な細胞を選択するために使用され得る。例えば、該方法を用いて、操作および投与のために対象から取得された細胞のエピジェネティックマップが、正常な対象からの、または養子細胞療法後にロバストなおよび/もしくは持続的な奏効を示した対象(例えば、完全奏効を示した対象)からの同じタイプの細胞のエピジェネティックマップと比較して、類似しているかまたは異なるかを判定することができる。該方法はまた、治療(例えば、養子細胞療法)に対する個体の感受性を予測するためにも使用され得る。
2. 生物学的経路、PCAおよび他の下流解析
いくつかの局面では、提供されたアッセイおよび解析方法は、他のゲノム解析もしくは機能解析の工程を組み合わせるかまたは適用することを含めて、追加の、さらなるまたは下流の解析を含むことができる。いくつかの局面では、さらなるまたは下流の解析は、該解析または適用の工程のいずれか1つまたは複数と組み合わせて使用され得る。いくつかの局面では、例示的なさらなるまたは下流の解析工程は、閾値化およびクラスター化手法、予測モデリング、遺伝子オントロジー(GO)解析、モチーフ解析および/または主成分解析(PCA)を含むことができる。いくつかの局面では、下流解析方法はいずれもコンピュータにより実行され得る。
いくつかの局面では、さらなるまたは下流の解析はPCAである。いくつかの局面では、PCAは、データの次元数を減らしてデータ内の一般分散を調べ、かつその変動の原因となる主要な推進要因(key driver)を同定するために使用され得る。PCAは、相関関係の可能性がある変数の一連の観測値を、主成分と呼ばれる線形相関のない変数の一連の値に変換するために、直交変換(orthogonal transformation)を使用する。いくつかの局面では、その変換は、第1の主成分が最大の可能な分散を有し(例えば、データ内の可能な限り多くの変動を占め)、次に、それに続く各成分が先行する成分に対して直交するという制約の下で可能な最高の分散を有する、ように定義される。
いくつかの局面では、さらなるまたは下流の解析は、例えば、遺伝子ネットワーク、経路、生物学的プロセスおよび分子機能の解析を含めて、生物学的経路解析を含み得る。いくつかの局面では、同定されたエピジェネティックな特性、プロファイル、ならびに/または1つまたは複数のゲノム領域、座位および/もしくは区間は、生物学的、分子的および/または機能的関係に基づいて、特定の生物学的プロセスまたは経路にリンクされ得る。いくつかの局面では、これらの関係は、経路もしくはプロセスベースのcollapsed association方法に有用であるか、または特定のエピジェネティックな特性および/もしくはプロファイルの表現型への影響を推測するのに有用である。例示的な生物学的経路解析としては、限定するものではないが、以下が挙げられる:生物学的関係を提供するための最も近い遺伝子のリアクトーム(Reactome)経路および遺伝子オントロジー(GO)の生物学的プロセス;表現型の関係を提供するために利用される疾患オントロジー;ならびに分子的および機能的関係を提供するためのタンパク質ドメイン情報および分子機能(遺伝子オントロジーによってアノテートされる)。他の例示的な生物学的経路解析には、以下が含まれる:Ingenuity経路解析(IPA)、Pathway Studio経路解析、KEGGベースの解析、Gene Set Enrichment Analysis(GSEA)、Signaling Pathway Impact Analysis(SPIA)、EnrichNet、GGEA、Signaling Pathway Impact Analysis(SPIA)、およびTopoGSA。生物学的経路解析に使用できる例示的な手法および方法には、Over-Representation AnalysisまたはEnrichment Analysis(ORA)、Functional Class Scoring(FCS)、およびPathway Topology(PT)が含まれる。
いくつかの局面では、さらなるまたは下流の解析はクラスタリング解析、例えば階層的クラスタリングを含み得る。いくつかの局面では、階層的クラスタリングは、上から下へまたは下から上への所定の順序付けを有するクラスターを作成することを含む。いくつかの局面では、階層的クラスタリングは、凝集型(ボトムアップ)または分割型(トップダウン)であり得、凝集型では、各観測値がそれ自体のクラスターで開始して、階層を上に移動するにつれてクラスターのペアがマージされ、分割型では、全ての観測値が1つのクラスターで開始して、階層を下に移動するにつれて分割が再帰的に行われる。階層的クラスタリングは、3つ以上の異なるサンプルからの、1つまたは複数のゲノム位置におけるエピジェネティック/エピジェノミックプロファイルに対して使用することができる。いくつかの局面では、階層的クラスタリングは、例えば各遺伝子のメトリック値を用いて、遺伝子のパネル、セットまたはモジュールのエピジェネティックプロファイルに基づいて行うことができる。いくつかの態様では、階層的クラスタリングは、クラスターの外側のサンプルと比較して、互いにより類似したエピジェネティックプロファイルを示すサンプルのグループまたはクラスターを同定することができる。いくつかの態様では、階層的クラスタリングは、コンピュータに実装されたスクリプト、ツール、またはソフトウェアパッケージ、例えばJMPまたはPheatmap Rを用いて行うことができる。
いくつかの局面では、さらなるまたは下流の解析はモチーフ解析、例えば繰り返し配列またはコンセンサス配列のモチーフを決定することを含み得る。いくつかの局面では、さらなるまたは下流の解析は、転写因子結合モチーフ解析および/または転写因子占有率解析を含み得る。いくつかの態様では、転写因子結合モチーフ解析は、homer_find_motifsなどのスクリプトまたはツールを用いて行うことができる。いくつかの局面では、そのスクリプトまたはツールは、本明細書で提供された方法を使用して決定されたピークセット内で共有される、濃縮された転写因子結合モチーフを検索し得る。
いくつかの態様では、治療のための特定の細胞および/または対象の特徴付けおよび/または評価において遺伝子座のパネルで使用され得る1つまたは複数のゲノム領域(例えば、ゲノム座位)は、1つまたは複数の参照サンプルおよび/または1つまたは複数の異なるサンプルと一緒にクラスタリング解析を用いて、同定することができる。例えば、いくつかの態様では、異なる転帰を示した対象(例えば、完全奏効を示した一部の対象、および部分奏効、進行性疾患または無応答を示した一部の対象)から得られた細胞のエピジェネティックおよび/またはエピジェノミック解析からのデータは、所望の転帰(例えば、完全奏効、毒性の低下、拡大の増加)に関連する座位の特定のパネルを同定するために、階層的クラスタリングまたは主成分解析(PCA)にかけることができる。いくつかの態様では、所望の転帰(例えば、完全奏効、毒性の低下、拡大の増加)を有する対象由来の細胞は、クラスタリング解析および/または比較のための参照値の決定に使用される参照サンプルである。これらの場合のいくつかでは、任意のタイプのエピジェネティックおよび/またはエピジェノミック解析を使用して、所望の転帰(例えば、完全奏効、毒性の低下、拡大の増加)に関連する特定の座位を同定することができる。遺伝子座および/または遺伝子座のパネルが同定されると、試験細胞の集団のエピジェネティックおよび/またはエピジェノミック特性もしくはパターンが決定され、所望の転帰に関連するサンプルまたはグループの対応する特性もしくはパターンと比較され得る;そして、該細胞および/または対象が治療、例えば養子細胞療法による治療、のために選択され得る。いくつかの態様では、1つまたは複数のゲノム領域(例えばゲノム座位)についての閾値参照値(例えば、閾値FPKMまたはRPKM値)を決定して、試験細胞および/または患者を選択するための閾値として使用することができる。いくつかの態様では、試験細胞および/または対象における1つまたは複数のゲノム領域(例えばゲノム座位)のエピジェネティックおよび/またはエピジェノミック特性がさらなるクラスタリング解析にかけられ、1つまたは複数のゲノム領域(例えばゲノム座位)のエピジェネティックおよび/またはエピジェノミック特性が所望の転帰(例えば、完全奏効、毒性の低下、拡大の増加)を有する参照細胞またはグループとクラスターを作る場合には、該細胞および/または対象が治療のために選択される。
いくつかの態様では、クラスタリング解析は、ゲノム区間の、1つまたは複数のゲノム領域(例えばゲノム座位)の、平均および/または合計FPKMもしくはRPKM値に基づいて実施することができる。いくつかの態様では、クラスタリングは、1つまたは複数のゲノム領域(例えばゲノム座位)の遺伝子転写領域(gene body)(例えばコード領域)にわたるFPKMもしくはRPKM値の合計に基づいて行われる。いくつかの態様では、クラスタリング解析は、系統樹、コンステレーションプロットまたは決定木として表される。いくつかの態様では、クラスタリング解析は、特定の地点または特定の区間(例えば、コード領域に関連するもの、または非コード領域に関連するもの)での値、例えばFPKMまたはRPKMに基づいて実施される。
いくつかの態様では、本明細書で提供された解析および方法の結果は、様々なプロットもしくはグラフを用いて表現または視覚化することができる。例示的なプロットまたはグラフには、ベン図、MAプロット(M(log比)およびA(平均値))、主成分解析(PCA)プロット、ボックスプロットおよびヒートマップが含まれる。
いくつかの態様では、該細胞は追加の解析、例えば、分子解析、表現型解析または機能解析にかけることができる。例えば、細胞サンプルは、表現型解析のために蛍光活性化セルソーティング(FACS)および/またはレーザーキャプチャーマイクロダイセクション(laser capture microdissection:LCM)を用いて解析され得る。いくつかの態様では、細胞サンプルおよび/または核酸は複数の部分に分割され得る。該部分を分子タグ(例えば蛍光タグ)に基づいて分割することができる。いくつかの態様では、細胞サンプルおよび/または核酸はソーティングされ得る。分子タグを核酸に挿入した後でソーティングを行うことができる。断片を配列決定する前にソーティングを行うことができる。細胞サンプルの遺伝子転写はまた、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)などの技術を用いて解析され得る。クロマチンアクセシビリティは表現型解析、転写解析または翻訳解析と相関し得る。
いくつかの態様では、エピジェネティックおよび/またはエピジェノミック解析は、他の検出および/または解析方法と組み合わせて、例えば、転写解析、トランスクリプトーム解析、転写因子占有率アッセイ、RNAseq、タンパク質発現、プロテオーム解析、タンパク質修飾解析、機能活性アッセイ、フローサイトメトリーおよび/または細胞内サイトカイン染色などと組み合わせて、使用することができる。いくつかの態様では、1つまたは複数のエピジェネティックおよび/またはエピジェノミック解析(例えばATAC-seq)からの結果と他の解析方法(例えば、ChIPseq、RNAseq解析または細胞内サイトカイン染色)からの結果との間の相関関係が決定される。いくつかの態様では、様々なアッセイまたは解析方法からの結果は強く相関しており、例えば、高い相関係数を有する。いくつかの態様では、様々なアッセイまたは解析方法からの結果は強く相関しておらず、例えば、低い相関係数を有する。いくつかの態様では、その相関は遺伝子および/または座位および/または実験の条件に左右される。いくつかの態様では、該解析方法は、得られたデータを、他のデータセット(例えば、他のエピジェネティックおよび/もしくはエピジェノミックデータセット、ならびに/または他の表現型もしくは生理学的データセット)と比較し、相関させ、かつ/またはさらに解析することを含む。例えば、該解析方法は、得られたデータを、ゲノムワイドな発現データ(例えばRNA-seqデータ)またはゲノムワイドなヌクレオソーム位置決めデータと比較し、相関させ、かつ/または該データをさらに解析することを含む。
いくつかの態様では、エピジェネティックおよび/またはエピジェノミック解析は翻訳後ヒストン修飾の決定を含む。いくつかの態様では、エピジェネティック解析は、ヒストンタンパク質H1、H2A、H2B、H3および/またはH4中の特定の残基のアセチル化、メチル化、リン酸化、ユビキチン化、スモイル化(sumoylation)およびビオチン化などの1つまたは複数のヒストン修飾の検出を含む。
3. 遺伝子パネル解析
いくつかの局面では、追加の、さらなるまたは下流の解析を含めて、前記解析方法はいずれも、1つまたは複数の選択されたゲノム領域または遺伝子座に対して実施され得る。いくつかの局面では、該方法は、1つまたは複数の選択された遺伝子、例えば、遺伝子のサブセット、遺伝子のパネルまたは遺伝子のモジュールに基づいて実施することができる。いくつかの局面では、解析方法はいずれも、ゲノム領域、ゲノム座位での、特定の遺伝子または遺伝子の特定のパネル、モジュールもしくはセット(例えば、同様の活性および/または機能に関連し、かつ/または同時制御もしくは同時発現される遺伝子のパネル、モジュールもしくはセット)でのまたはその付近での、エピジェネティック/エピジェノミック状態を評価するために使用され得る。いくつかの局面では、解析は、予め選択された遺伝子または遺伝子のパネル、モジュールもしくはセットで実施することができる。いくつかの局面では、同様のエピジェネティックおよび/またはエピジェノミックな特性、状態および/またはパターンを示す遺伝子を使用して、関心対象の遺伝子または遺伝子のパネル、モジュールもしくはセット(例えば、転帰または特徴、例えば所望の転帰または特徴に関連する、相関する、またはそれを示すもの)を同定することができるように、解析を実施することができる。いくつかの局面では、そのような遺伝子のパネル、モジュールまたはセットは、試験サンプルを評価するために使用され得る。
いくつかの態様では、遺伝子のパネル、モジュールまたはセットにおいてエピジェネティック/エピジェノミック状態を評価する際に解析するためのゲノム領域、座位および/または区間は、遺伝子の特定のエレメントもしくは部分、または遺伝子に関連するゲノム領域もしくはエレメント(例えば、イントロン、エクソン、シス調節エレメント、プロモーター、エンハンサー、上流活性化配列(UAS)、3'非翻訳領域(UTR)、5'UTR、非コードRNA生成領域、非コードRNA(ncRNA)遺伝子、miRNA遺伝子、siRNA遺伝子、piRNA遺伝子、snoRNA遺伝子、lncRNA遺伝子、リボソームRNA(rRNA)遺伝子、スモールRNA結合部位、非コードRNA結合部位、偽遺伝子または転写終結部位(TTS)など)におけるシグナルを含み得る。
いくつかの態様では、1つまたは複数のゲノム領域、例えばゲノム座位、例えば遺伝子座のパネルは、細胞型の決定、T細胞の分化および/もしくは発生、または転写因子に関連する遺伝子内に、またはそれに隣接して位置付けることができる。いくつかの態様では、1つまたは複数のゲノム領域、例えばゲノム座位は、特定の細胞表現型(例えば、特定の免疫細胞表現型または免疫細胞分化マーカー)に関連する生物学的マーカーまたはインジケータをコードする座位である。例えば、いくつかの態様では、1つまたは複数のゲノム領域、例えばゲノム座位、例えば遺伝子座のパネルは、T細胞の分化および/または機能に関連するマーカー、例えば、サイトカイン遺伝子、免疫調節タンパク質遺伝子、細胞表面マーカー、アポトーシスマーカー、細胞死マーカーおよび/または転写調節因子を含む。いくつかの態様では、1つまたは複数のゲノム領域、例えばゲノム座位、例えば遺伝子座のパネルは、特定の免疫細胞表現型、例えばT細胞表現型、例えば、ナイーブT細胞表現型、初期エフェクター表現型、短期または中期/後期エフェクター表現型、例えば、参照により本明細書に組み入れられるBest et al., Nature Immunology (2013) 14, 404-412に記載されるものに関連する。いくつかの態様において、対象はヒトであり、同定された遺伝子座はヒトゲノムに基づく。
いくつかの局面では、遺伝子のパネル、モジュールまたはセット(例えば、既知の経路もしくは遺伝子群において関連するかまたは同時制御されると記載されたもの)に基づく解析を行うことができる。いくつかの態様では、1つまたは複数のゲノム領域、例えばゲノム座位、例えば遺伝子座のパネルは、T細胞またはT細胞の活性、刺激、機能および/もしくは特定の表現型(例えばCD8+ T細胞)に関連する選択された1つまたは複数の遺伝子座、例えば参照により本明細書に組み入れられるBest et al., Nature Immunology (2013) 14, 404-412に記載されるいずれかを含む。例えば、いくつかの局面では、T細胞の分化状態、エフェクター機能、消耗、もしくは特定のメモリー機能、および/または特定のT細胞亜集団に関与する、またはそれを示すとして同定された遺伝子のパネル、モジュールまたはセットが評価され得る。
いくつかの態様では、1つまたは複数のゲノム領域、例えばゲノム座位、例えば遺伝子座のパネルは、Ifng、Tbet、Lag3、Pd1、Cd25、Foxp3、Il2、Ki67、Tnf、Il13、Il17、Il17a、FoxpおよびFoxp3の中から選択される1つまたは複数の免疫調節遺伝子座を含む。いくつかの態様では、1つまたは複数のゲノム領域、例えばゲノム座位、例えば遺伝子座のパネルは、Ifng、Tbx21、Tnf、Il13、Il2ra、Lag3、Il2、Mki67、Il17a、Pdcd1およびFoxp3の中から選択される1つまたは複数の遺伝子座を含む。いくつかの態様では、遺伝子座のパネルは、IfngおよびPdcd1を含む。いくつかの態様では、遺伝子座のパネルは、Ctla4、Il2ra、Ifng、GzmbおよびIl2などの、初期エフェクター応答に関連する1つまたは複数の遺伝子座を含む。いくつかの態様では、遺伝子座のパネルは、Myc、Id3、Egr2、Tnf、Cd69およびPkm2などの、細胞分裂に関連する1つまたは複数の遺伝子座を含む。いくつかの態様では、遺伝子座のパネルは、Myb、Hist1h3a、Cdk1およびCcd45などの、細胞周期と細胞分裂に関連する1つまたは複数の遺伝子座を含む。いくつかの態様では、遺伝子座のパネルは、Sell、Nsg2、Slfn5およびCnr2などの、ナイーブおよび後期メモリー応答に関連する1つまたは複数の遺伝子座を含む。いくつかの態様では、遺伝子座のパネルは、Ly6a、RplおよびSnoraなどの、初期エフェクターおよび後期メモリーに関連する1つまたは複数の遺伝子座を含む。いくつかの態様では、遺伝子座のパネルは、Id2、Cxcr3、Zeb2、Cx3cr1、Klrg1、S1pr5およびItgamなどの、短期エフェクター応答に関連する1つまたは複数の遺伝子座を含む。いくつかの態様では、遺伝子座のパネルは、Bcl2、Tcf7、Il7rおよびFoxo3などの、メモリー前駆体応答に関連する1つまたは複数の遺伝子座を含む。いくつかの態様では、遺伝子座のパネルは、Cxcr6、S1pr4、S1pr1、Klf2およびKlf3などの、ナイーブ細胞または後期エフェクター応答に関連する1つまたは複数の遺伝子座を含む。いくつかの態様では、遺伝子座のパネルは、Prdm1およびHif2aなどの、短期エフェクター応答またはメモリー応答に関連する1つまたは複数の遺伝子座を含む。いくつかの態様では、遺伝子座のパネルは、Tbx21、Prf1、Bhlhe40、Cd44、Klrc2およびIl12rb1などの、後期エフェクター応答に関連する1つまたは複数の遺伝子座を含む。いくつかの態様では、遺伝子座のパネルは、Dmrta1、Bcl2、Edaradd、Prss12、Cnrip1およびAqp9などの、中期または後期エフェクター応答に関連する1つまたは複数の遺伝子座を含む。いくつかの態様では、遺伝子座のパネルは、Unc5a、Xcl1、Yes1、Cdh1、Myo3b、Dock9およびAtn1などの、後期エフェクター応答に関連する1つまたは複数の遺伝子座を含む。いくつかの態様では、遺伝子座のパネルは、Nr4a1、Cblb、Irf4、Tbx21、Eomes、Ifng、Csf2、Gzmb、Tnfsf10、Gata3、Mir155、Sox21、Ctla4、Lag3、Pdcd1、Actbおよび/またはGapdhの中から選択される1つまたは複数の遺伝子座を含む。いくつかの態様では、遺伝子座のパネルは、細胞の活性化状態を示すことができるハウスキーピング遺伝子、例えばActbまたはGapdhを含む。
いくつかの態様では、投与のための細胞、例えば養子細胞療法のための操作細胞がエフェクター様T細胞とは異なるエピジェネティックおよび/またはエピジェノミック特性を示す場合、該細胞は本明細書で提供された方法に基づいて治療のために選択される。いくつかの態様では、対象由来の細胞がエフェクター様T細胞とは異なるエピジェネティックおよび/またはエピジェノミック特性を示す場合、該対象は操作細胞による治療のために選択される。例えば、T細胞のエフェクター機能またはエフェクター様表現型に関連する1つまたは複数の遺伝子座が比較的低いレベルのクロマチンアクセシビリティを示す場合には、該細胞および/または対象が治療のために選択され得る。
4. トランスジーン組込み解析
いくつかの態様では、前記方法は、細胞に送達もしくは導入された核酸分子または構築物またはトランスジーン(例えば、操作のために、例えば組換え受容体を発現させるために、細胞に導入された構築物)の組込み部位を同定し、かつ/または特徴付けることを含み得る。いくつかの態様では、1つまたは複数の組込み部位は、本明細書に記載の方法から得られた核酸配列(例えば、組み込まれた構築物配列に隣接する核酸配列を含む)に基づいて決定され得る。いくつかの態様では、組込みの数および位置が決定され得る。いくつかの態様では、核酸組込み部位におけるエピジェネティックおよび/またはエピジェノミックプロファイルを決定することができる。いくつかの態様では、組込みのための核酸分子または構築物は、トランスジーン(例えば組換え受容体)をコードするベクター(例えばウイルスベクター)、核酸分子、トランスポゾンおよび/または核酸構築物を含む。いくつかの態様では、該方法は、組み込まれた核酸分子もしくは構築物の数および/または存在量を決定することを含み得る。例えば、いくつかの態様では、核酸、例えばウイルスベクターなどのベクター、または構築物のコピー数は、操作された細胞、例えば組換え受容体を発現するように操作された細胞において決定することができる。いくつかの態様では、該方法は、コードされた遺伝子(例えば、コードされた組換え受容体)の発現レベルを決定することを含む。
いくつかの態様では、該方法は、複数のT細胞もしくはT細胞の集団(例えば、複数の操作T細胞)および/または複数のT細胞もしくはT細胞の集団(例えば、複数の操作T細胞)を含む組成物における、T細胞のクローン性を決定することを含み得る。いくつかの局面では、該方法は、T細胞受容体(TCR)遺伝子(例えば、TCRα、β、γおよび/またはδ鎖の可変領域および/もしくは定常領域をコードする遺伝子)をコードする遺伝子座またはその周辺での、エピジェネティック/エピジェノミック特性および/またはエピジェネティック/エピジェノミックプロファイル(例えばクロマチンアクセシビリティ)を決定することにより、複数のT細胞またはT細胞の集団におけるクローン性を決定するために使用され得る。いくつかの局面では、該方法は、核酸分子(例えば、組換え受容体をコードする核酸配列)の挿入部位を決定することにより、複数のT細胞またはT細胞の集団におけるクローン性を決定するために使用され得る。いくつかの態様では、クローン性の評価は、複数のT細胞またはT細胞の集団、例えば組成物中の複数のT細胞またはT細胞の集団を特徴付けるために使用され得る。いくつかの局面では、そのような決定は、例えば操作細胞の投与量、投与時期および/もしくは投与頻度を含む、治療計画を決定するために、かつ/または培養条件もしくはプロセス条件の必要なまたは好ましい変更を決定するために、使用され得る。
D.例示的な解析スクリプト
名称に束縛されることを望まないが、例示的な配列操作およびアライメント手順、例えば、本明細書において参照されるスクリプトの説明を提供する。このリストは、網羅的または決定的であるようには意図されず、むしろ、本明細書に列挙されるスクリプトは、提供される解析について有用であり得るスクリプトのタイプの例として役立つ。
一部の態様において、これらのスクリプトおよび/または工程は、並行して行われてもよく、かつ/または、分岐様式で組織化されており、従って、複数の工程が同時に、任意の順序で行われ得る。
get_bcl:ハイスループットシーケンサーからの圧縮生データ(.bclファイルの形態のベースコール)を、中間記憶装置ロケーション(一部の態様において、オンクラウドベースの記憶装置)から読み出し、コンピューティングクラスターへダウンロードする。
untar_bcls:シーケンサー実行からのデータを、下流のツールを使用するプロセッシングのために解凍する。
bcl2fastq:ソフトウェアツールbcl2fastqを使用し、生ベースコールファイルをgzip圧縮FASTQファイルへ変換し、これはシーケンシング実行における各リードについての配列およびメタデータを含有する。例示的な態様において、ATAC-Seqからのペアド-エンド実行について、各サンプルは2つのファイル、R1およびR2を有し、これらは、それぞれ、フォワードおよびリバースリード(各DNA断片の開始および終了)に対応する。
get_data:以前の工程からの圧縮FASTQファイルを読み出し、サンプル毎(per-sample)解析ディレクトリへ移す。
unzip:圧縮FASTQファイルを解凍し、それらを下流のツールによって処理できるようにする。
fastqc:シーケンシング実行およびベースコーリングクオリティの全体的な統計、ならびにコンタミネーションまたはオーバークラスタリングの潜在的なサインについての1セットのレポートを作成する。
get_genome:指定された生物およびバージョンについての適切なゲノムファイルを取得する。一部の態様において、これは、オンラインソースおよび/またはデータバンクからを含み得る。
build_bowtie2_index:bowtie2_buildと呼ばれるソフトウェアツールを使用して、リードをゲノムへ位置的にマッピングすることができるように、ゲノムファイルにインデックスを付ける。
Index_genome_fasta:ダウンロードされたゲノムファイルについてFASTAインデックスを作り、下流のツールによる位置的アクセスを可能にする。
map_atac_reads:マッピングソフトウェアbowtie2を使用して、ATAC-seqリードの配列をゲノムへマッピングし戻し、それらの位置を決定する。
Picard_remove_duplicates:ソフトウェアスイート(例えば、Picard)を使用し、PCR増幅バイアスおよびクラスターミスコーリングから生じるデュプリケートリードにフラグを立てそしてこれらを除去し、データセット中のノイズ量を減らす。場合によっては、この工程は、マッピング後のリードの適切なソーティングネーミングおよびインデックス付けを確実にすることができ、1染色体当たりのマッピングされたカウントを提供するidxstatsファイルを出力する。
atac_insert_size_metrics:ソフトウェア(例えば、Picard)を使用し、データセットからリカバーされた断片サイズの分布を計算および視覚化する。
atac_alignment_summary:ソフトウェア(例えば、Picard)を使用し、様々なタイプのゲノム特徴へのリードの位置的分布に関連する統計を計算する。
filter_mtDNA_reads:ミトコンドリアDNAをフィルターアウトする。
shift_atac_alignments:ATAC-seqライブラリー調製中のTn5トランスポザーゼによる4または5塩基対挿入を説明するために、マッピングされた断片の位置をシフトさせる。
Filter_nucleosomal_fragments:100bpより大きい断片をフィルターアウトする。一部の態様において、これらの断片は、フリークロマチンではなくヌクレオソーム結合クロマチンを示し得ることが意図される。この工程は、シグナルの濃縮を可能にし、フィルター化リードおよび非フィルター化リードの両方が、それぞれ、オープンおよびヌクレオソーム占有クロマチンを推測するために下流の解析において使用される。
make_homer_tagdir:BAMアライメントファイルを、下流のHOMERツールによって使用可能なファイル形式へ変換する。
homer_findPeaks:HOMERを使用して、ピークを見つけるために用いられ得る工程。
homer_find_motifs:MACSおよびHOMERによって発見されたピークセット内で共有される濃縮された転写因子結合モチーフを検索する。
homer_annotate_peaks:それらが関連している可能性が高い最も近い遺伝子を含む追加のメタデータでピークにアノテーションを付ける。一部の態様において、この工程は別のアノテーション戦略によって置き換えることがえきる。
get_gtf_annotation:パイプラインが実行している生物およびゲノムバージョンと関連するトランスクリプトームアノテーションファイルを読み出す。
gtf_coding_transcripts_only:トランスクリプトームアノテーションをタンパク質をコードする転写物のみへサブセット化する。
homer_calculate_per_gene_accessibility_norm:遺伝子の全般的アクセシビリティを示す正規化遺伝子毎(per-gene)アクセシビリティ値(例えば、正規化FPKM値)を計算する。
make_homer_ucsc_file:.bedGraphファイルを作成する。一部の態様において、これは、断片カウントのゲノムワイドパイルアップを可能にする。
homer_bedgraph_to_bigwig:bedGraphファイルをバイナリ圧縮bigWigファイルへ変換する。場合によっては、このファイルタイプは、ゲノムブラウザによって使用され、ゲノムにわたる断片カバレッジを視覚化する。
macs_callpeaks:MACS2を使用し、アクセシビリティピークをコールする。一部の局面において、ピークは、ATAC-seq断片を定量化することによって測定されるようなアクセシビリティおよび/または占有シグナルに富むかまたはこれらが失われているゲノム領域を含む。一部の態様において、ピーク領域は10~10,000 bpのサイズであり得る。サンプル間のピークの比較は、条件間で活性調節エレメント(任意で特定の遺伝子もしくは転写因子と関連する)を同定するために下流で使用され得、かつ/または、特定の細胞状態のシグネチャを同定するか、または、細胞療法の転帰、細胞療法のパフォーマンス、細胞組成物もしくは培養物の毒性および/もしくは他の特徴を予測するために使用され得る。
nucleoatac_run:NucleoATACを実行し、これは、ピーク領域内のトランスポザーゼ挿入部位をコールおよびカウントするだけでなく、以前の工程からのデータについての要約表を出力することができるツールである。
スレッショルディングおよびクラスタリングアプローチ、予測モデリングならびに/または差次的ピークコーリングを含む、追加の下流解析を、解析パイプラインのフレームワーク内で使用することができる。
III.治療転帰
提供される方法の一部の態様において、組換え受容体で遺伝子操作される予定であるかまたは組換え受容体で遺伝子操作された細胞の組成物中に含まれる細胞の集団のような、細胞の集団のゲノムのエピジェネティック特性(例えば、クロマチンアクセシビリティ)は、提供される方法に従う細胞療法の治療転帰の発生と相関するかまたは相関し得る。
提供される方法の一部の態様において、組換え受容体で遺伝子操作される予定であるかまたは組換え受容体で遺伝子操作された細胞の組成物中に含まれる細胞の集団のような、細胞の集団のゲノムのエピジェネティック特性(例えば、クロマチンアクセシビリティ)は、提供される方法に従う細胞療法の治療転帰の発生の可能性を予測するかつ/または診断もしくは検出することができる。
一部の態様において、対象は、例えば、対象中の疾患または状態を治療するために、療法、例えば細胞療法を受けたことがあるか、受けているか、または受ける予定である。例えば、一部の態様において、細胞療法は、関心対象の疾患または障害に特異的なキメラ受容体、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)および/または他の組換え抗原受容体を発現する細胞の投与を伴う療法を含む、養子細胞療法、ならびに他の養子免疫細胞および養子T細胞療法である。一部の態様において、養子細胞療法は、組換え受容体、例えば、CARまたは他の組換え抗原受容体を発現する細胞の用量の投与を含む。一部の態様において、キメラ受容体、例えばキメラ抗原受容体は、所望の抗原(例えば、腫瘍抗原)についての特異性を提供するリガンド結合ドメイン(例えば、抗体または抗体断片)と細胞内シグナル伝達ドメインとを組み合わせる1つまたは複数のドメインを含有する。一部の態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、一次活性化シグナルを供給する活性化細胞内ドメイン部分、例えば、T細胞活性化ドメインである。一部の態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、エフェクター機能を促進する補助刺激シグナル伝達ドメインを含むか、または補助刺激シグナル伝達ドメインをさらに含む。一部の態様では、キメラ受容体は遺伝子操作によって免疫細胞に導入されるとT細胞活性を調整することができ、場合によっては、T細胞分化またはホメオスタシスを調整することができ、それによって、例えば、養子細胞療法において使用するための、インビボでの寿命、生存、および/または持続性が改善された遺伝子操作された細胞が得られる。
A.毒性転帰
一部の態様において、治療剤(例えば、CAR T細胞)の投与に対する対象中の毒性転帰は、評価またはモニターすることができる。一部の態様において、毒性転帰は、毒性事象、例えば、サイトカイン放出症候群(CRS)、重度CRS(sCRS)、マクロファージ活性化症候群、腫瘍崩壊症候群、3日以上にわたる少なくとも38℃もしくは約38℃の発熱、および少なくとも20 mg/dLもしくは約20 mg/dLのC反応性タンパク質(CRP)の血漿レベル、神経毒性および/または重度の神経毒性の存在であるかまたはこれらと関連する。一部の態様において、毒性転帰は、徴候、もしくは症状、特定の徴候、および症状、ならびに/またはその量もしくは程度であり、これらの存在または非存在は、対象中の毒性の特定の程度、重症度またはレベルを指定し得る。治療剤(例えば、CAR-T細胞)の望まれない毒性転帰に関連する特定の徴候、症状および/またはその量もしくは程度を指定または決定することは、当業者のレベル内にある。
一部の態様において、毒性転帰は、毒性事象と関連するインジケータである。一部の態様において、毒性転帰は、1つもしくは複数のバイオマーカーの存在もしくは非存在、または、1つもしくは複数のバイオマーカーのレベルの存在もしくは非存在(presence of absence)である。一部の態様において、バイオマーカーは、サイトカイン放出症候群(CRS)、重度CRSまたはCRS関連転帰を示す血清もしくは他の体液または組織中に存在する分子である。一部の態様において、バイオマーカーは、神経毒性または重度の神経毒性を示す血清もしくは他の体液または組織中に存在する分子である。
一部の態様において、毒性事象、例えば、CRS関連転帰、例えば、CRSのインジケータまたは毒性の他の生化学的インジケータの血清レベルが、ベースラインまたは治療前レベル(例えば、治療剤の初回用量の投与の直前のインジケータの血清レベル)の10倍もしくは約10倍を超える、15倍もしくは約15倍を超える、20倍もしくは約20倍を超える、25倍もしくは約25倍を超える、50倍もしくは約50倍を超える、75倍もしくは約75倍を超える、100倍もしくは約100倍を超える、125倍もしくは約125倍を超える、150倍もしくは約150倍を超える、200倍もしくは約200倍を超える、または250倍もしくは約250倍を超える場合、対象は毒性または毒性転帰を示す。
一部の局面において、毒性転帰は、サイトカイン放出症候群(CRS)または重度CRS (sCRS)であるかまたはこれらと関連するかまたはこれらを示す。CRS、例えばsCRSは、場合によっては、養子T細胞療法後に、および他の生物製品が対象に投与された後に起こることがある。Davila et al., Sci Transl Med 6, 224ra25 (2014); Brentjens et al., Sci. Transl. Med. 5, 177ra38 (2013); Grupp et al., N. Engl. J. Med. 368, 1509-1518 (2013); およびKochenderfer et al., Blood 119, 2709-2720 (2012); Xu et al., Cancer Letters 343 (2014) 172-78を参照のこと。
典型的に、CRSは、例えば、T細胞、B細胞、NK細胞、単球、および/またはマクロファージによって媒介される悪化した全身免疫応答によって引き起こされる。このような細胞は、多量の炎症メディエーター、例えば、サイトカインおよびケモカインを放出することがある。サイトカインは急性炎症応答を誘発することがある、および/または微小血管漏出、心不全、もしくは死亡の原因となり得る内皮臓器損傷を誘導することがある。重度の、命に関わるCRSは、肺浸潤および肺損傷、腎不全、または播種性血管内凝固につながる可能性がある。他の重度の、命に関わる毒性には、心毒性、呼吸窮迫、神経毒性、および/または肝不全が含まれ得る。
CAR発現細胞の投与の状況では、CRSは、典型的には、CARを発現する細胞を注入して6~20日後に起こる。Xu et al., Cancer Letters 343 (2014) 172-78を参照されたい。場合によっては、CRSは、CAR T細胞の注入後、6日未満または20日を超える時点で起こる。CRSの発生率およびタイミングは注入時のベースラインサイトカインレベルまたは腫瘍負荷量と関係する場合がある。一般的に、CRSは、インターフェロン(IFN)-γ、腫瘍壊死因子(TNF)-α、および/またはインターロイキン(IL)-2の血清レベルの上昇を伴う。CRSにおいて迅速に誘導され得る他のサイトカインは、IL-1β、IL-6、IL-8、およびIL-10である。
CRSと関連する例示的な徴候または症状には、発熱、硬直、悪寒、低血圧、呼吸困難、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、脳症、アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)/アラニントランスアミナーゼ(ALT)の上昇、腎不全、心臓障害、低酸素、神経障害、および死亡が含まれる。神経学的合併症には、せん妄、発作様活動、錯乱、喚語困難(word-finding difficulty)、失語症、および/または昏迷状態が含まれる。他のCRS関連徴候または転帰には、疲労、悪心、頭痛、発作、頻拍、筋肉痛、発疹、急性血管漏出症候群、肝機能低下、および腎不全が含まれる。一部の局面では、CRSは、1種類または複数種の因子、例えば、血清フェリチン、d-ダイマー、アミノトランスフェラーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、およびトリグリセリドの増加に関連するか、または低フィブリノゲン血症もしくは肝脾腫に関連する。
一部の態様において、CRSと関連する徴候または症状には、以下のうちの1つまたは複数が含まれる:持続性の発熱、例えば、2日以上、例えば、3日以上、例えば、4日以上にわたる、または少なくとも3日間連続した、指定された温度の発熱、例えば、38℃または約38℃を超える発熱;38℃または約38℃を超える発熱;サイトカイン(例えば、IFNγもしくはIL-6)の上昇;ならびに/あるいは毒性の少なくとも1つの臨床徴候、例えば、低血圧(例えば、少なくとも1種類の静脈内血管作動性昇圧薬(intravenous vasoactive pressor)によって測定した時);低酸素(例えば、90%未満または約90%未満の血漿酸素(PO2)レベル);ならびに/あるいは1つまたは複数の神経障害(精神状態変化、鈍麻、および発作を含む)。
例示的なCRS関連転帰には、サイトカインおよびケモカイン、ならびにCRSに関連する他の因子を含む1種類または複数種の因子の増大した、または高い血清レベルが含まれる。さらに、例示的な転帰には、このような因子の1つまたは複数の合成または分泌の増加が含まれる。このような合成または分泌は、T細胞、またはT細胞と相互作用する細胞、例えば、自然免疫細胞もしくはB細胞によるものでもよい。
一部の態様において、1つまたは複数の炎症マーカー、例えば、サイトカインまたはケモカインを、CAR治療の前、間、または後にモニターする。一部の局面において、1つまたは複数のサイトカインまたはケモカインは、IFN-γ、TNF-α、IL-2、IL-1β、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、IL-12、sIL-2Rα、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、またはマクロファージ炎症性タンパク質(MIP)を含む。一部の態様において、IFN-γ、TNF-α、およびIL-6をモニターする。
一部の態様において、1つまたは複数のバイオマーカーの存在は、毒性事象、例えば、CRSまたは神経毒性のグレード、重症度または程度を示す。一部の態様において、毒性転帰は、特定のグレード、重症度または程度の毒性事象、例えば、特定のグレード、重症度または程度のCRSまたは神経毒性である。一部の態様において、あるグレード、重症度または程度についての毒性事象の存在は、用量制限毒性であり得る。一部の態様において、毒性事象の非存在またはあるグレード、重症度または程度を下回る毒性事象の存在は、用量制限毒性の非存在を示し得る。
どの患者が、sCRSを発症するリスクがある可能性が高いかを予測するために、CRSの発症と相関するように思われるCRS判断基準が開発されている(Davilla et al. Science translational medicine. 2014;6(224):224ra25を参照のこと)。因子には、発熱、低酸素、低血圧、神経変化、処置によって誘導される上昇が処置前の腫瘍負荷量およびsCRS症状の両方とよい相関を示すことができる炎症性サイトカインの血清レベルの上昇が含まれる。CRSの診断および管理に関する他のガイドラインは公知である(例えば、Lee et al, Blood. 2014;124(2):188-95を参照のこと)。一部の態様において、CRSグレードを反映する判断基準は、以下の表1に詳述した判断基準である。
一部の態様において、毒性転帰は重度CRSである。一部の態様において、毒性転帰は重度CRSの非存在である(例えば、中程度または軽度のCRS)。一部の態様において、重度CRSは、グレード3以上のCRS、例えば、表1に示したCRSを含む。一部の態様において、重度CRSは、グレード2以上のCRS、例えば、グレード2、3、4または5のCRSを含む。
一部の態様において、毒性転帰(例えば、CRS関連転帰)のレベル、例えば、CRSのインジケータの血清レベルは、ELISAによって測定される。一部の態様において、熱および/またはC反応性タンパク質(CRP)のレベルを測定することができる。一部の態様において、熱および≧15 mg/dLのCRPを有する対象は、重度CRSの発症について高リスクと見なされ得る。一部の態様において、CRS関連血清因子またはCRS関連転帰は、Flt-3L、フラクタルカイン、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、インターロイキン-1ベータ(IL-1β)、IL-2、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、IL-12、インターフェロンガンマ(IFN-γ)、マクロファージ炎症性タンパク質(MIP)-1、MIP-1、sIL-2Rα、または腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)を含む、炎症性サイトカインおよび/またはケモカインのレベルおよび/または濃度の増加を含む。一部の態様において、因子または転帰はC反応性タンパク質(CRP)を含む。CRSについての早期にかつ容易に測定可能なリスク因子であることに加えて、CRPはまた細胞増殖についてのマーカーである。一部の態様において、≧15 mg/dLなど、高レベルのCRPを有すると測定される対象は、CRSを有する。一部の態様において、高レベルのCRPを有すると測定される対象は、CRSを有さない。一部の態様において、CRSの測定は、CRPおよびCRSを示す別の因子の測定を含む。
一部の局面では、毒性転帰は神経毒性であるか、または神経毒性に関連する。一部の態様では、神経毒性の臨床リスクに関連する徴候または症状には、錯乱、せん妄、表出性失語、鈍麻、ミオクローヌス、嗜眠、精神状態変化、痙攣、発作様活動、発作(任意で、脳波(EEG)によって確認される)、高レベルのβアミロイド(Aβ)、高レベルのグルタミン酸、および高レベルの酸素ラジカルが含まれる。一部の態様において、神経毒性は、(例えば、グレード1~5スケールを用いて)重症度に基づいてグレード分類される(例えば、Guido Cavaletti & Paola Marmiroli Nature Reviews Neurology 6, 657-666 (December 2010); National Cancer Institute-Common Toxicity Criteria version 4.03 (NCI-CTCAE v4.03)を参照のこと)。一部の態様において、投与後に、対象が、1)末梢運動神経の炎症または変性を含む末梢性運動ニューロパチーの症状;2)末梢感覚神経の炎症または変性を含む末梢性感覚ニューロパチーの症状、ジセステジア、例えば、異常な感覚および不快な感覚の原因となる感覚認知のゆがみ、神経痛、例えば、神経もしくは神経群に沿った激しく痛い感覚、ならびに/またはパレステジア、例えば、刺激の非存在下での刺痛、しびれ、圧力、冷感、および温感の異常な皮膚感覚の原因となる感覚ニューロンの機能障害の中から、セルフケア(例えば、入浴、衣服の着脱、食事、トイレの使用、服薬)を制限する症状を示すのであれば、対象は、細胞療法またはその用量の細胞の投与に応答または付随して「重度の神経毒性」を発症しているとみなされる。一部の態様では、重度の神経毒性は、グレード3以上の神経毒性、例えば、表2に示した神経毒性を含む。一部の態様において、重度の神経毒性は、グレード2以上の神経毒性、例えば、グレード2、3、4または5の神経毒性を含む。
一部の態様において、毒性転帰は用量制限毒性である。一部の態様において、毒性転帰は用量制限毒性の非存在である。一部の態様において、用量制限毒性(DLT)は、National Cancer Institute (NCI) Common Terminology Criteria for Adverse Events (CTCAE) version 4.0を含む、本明細書に記載される任意のものなどの、特定の毒性を評価するための任意の公知のまたは公表されたガイドラインによって評価されるようなグレード3以上の毒性と定義される。
B.応答転帰
一部の態様において、治療転帰は、細胞療法の応答または有効性転帰、細胞療法の毒性転帰、細胞療法に対する免疫原性応答であるか、または、細胞療法の別の特性または特徴(例えば、対象における細胞の存続または拡大)である。ある態様において、治療転帰は、細胞療法の治療的または予防的有効性転帰である。一部の態様において、細胞療法の応答転帰は、特定の用量での有効性転帰を含む。一部の局面において、細胞療法の治療転帰は、応答を達成するために必要である細胞療法の用量を含む。一部の局面において、細胞の存続および/または拡大を評価する。
一部の態様において、細胞療法の投与に対する対象における応答転帰は、モニターまたは評価することができる。一部の態様において、細胞療法の応答転帰は完全奏効(CR)である。一部の態様において、応答転帰は、対象における疾患負荷量をモニターすることによって評価される。一部の態様において、応答無し、部分奏効または臨床もしくは完全奏効の存在を評価することができる。一部の態様において、細胞療法の応答転帰は、奏効の持続性である。
一部の態様において、部分奏効(PR)または完全奏効(CR)は、治療剤が、対象における疾患または状態の拡大または負荷を減少させるかまたは防止するものである。例えば、疾患または状態が腫瘍である場合、治療剤(例えば、CAR T細胞)での治療前と比較して、腫瘍サイズ、嵩、転移、骨髄中の芽細胞のパーセンテージもしくは分子的に検出可能ながんの減少、および/または、予後もしくは生存または腫瘍負荷と関連する他の症状の改善が存在する場合、疾患負荷の減少が存在するかまたはある。
一部の局面において、NHLを有する対象などの、対象における奏効率は、Lugano判断基準に基づく。(Cheson et al., (2014) JCO 32(27):3059-3067; Johnson et al., (2015) Radiology 2:323-338; Cheson, B.D. (2015) Chin Clin Oncol 4(1):5)。一部の局面において、応答評価は、臨床方法、血液学的方法、および/または分子的方法のうち任意の方法を利用する。一部の局面において、Lugano判断基準を用いて評価される応答は、適宜、ポジトロン放出断層撮影法(PET)-コンピュータ断層撮影法(CT)および/またはCTの使用を伴う。PET-CT評価は、FDG-avidリンパ腫についてのフルオロデオキシグルコース(FDG)の使用をさらに含んでもよい。一部の局面において、FDG-avid組織学において応答を評価するのにPET-CTが用いられる場合、5ポイントスケールが用いられる場合がある。いくつかの点において、この5ポイントスケールは、以下の判断基準を含む:1、バックグラウンドを上回る取り込みなし;2、≦縦隔の取り込み;3、>縦隔であるが、≦肝臓の取り込み;4、中程度、>肝臓の取り込み;5、肝臓より著しく多い取り込みおよび/または新たな病変部;X、リンパ腫と関連する可能性が低い新たな取り込み領域。
一部の局面では、Lugano判断基準を用いて説明されるような完全奏功は、様々な測定可能な部位での完全代謝奏功と完全放射線学的奏功(complete radiologic response)を伴う。一部の局面では、これらの部位にはリンパ節とリンパ外部位が含まれ、この場合、CRは、PET-CTを使用した時に5ポイントスケールで、残存腫瘤の有無にかかわらず1、2、または3のスコアで表される。一部の局面では、ワルダイエル輪または節外性部位では、多量の生理的取り込みにより、または(例えば、化学療法もしくは骨髄性コロニー刺激因子を用いる)脾臓内もしくは骨髄内での活性化により、取り込みが正常な縦隔および/または肝臓より多い場合がある。この状況では、最初に関与した部位の取り込みが、組織に多量の生理的取り込みがあったとしても周囲の正常組織を超えなければ、完全代謝奏功が推測され得る。一部の局面では、応答はCTを用いてリンパ節において評価され、この場合、CRは、疾患のリンパ外部位はなく、標的リンパ節/節性腫瘤は病変部の最長横径(LDi)が≦1.5cmまで退縮しなければならないと説明される。さらなる評価部位には骨髄が含まれる。この場合、PET-CTに基づく評価は、骨髄にFDG-avid疾患の証拠が無いことを示さなければならず、CTに基づく評価は正常形態を示さなければならず、これらが不確かであれば、IHC陰性でなければならない。さらなる部位には臓器腫脹の評価が含まれる場合があり、臓器腫脹は正常まで退縮しなければならない。一部の局面では、測定されなかった病変部および新たな病変部が評価され、これらは、CRの場合では存在してはならない(Cheson et al., (2014) JCO 32(27):3059-3067; Johnson et al., (2015) Radiology 2:323-338; Cheson, B.D. (2015) Chin Clin Oncol 4(1):5)。
一部の局面において、Lugano判断基準を用いて説明されるような部分奏効(PR)は、様々な測定可能な部位での部分的な代謝および/または放射線学的奏功を伴う。一部の局面において、これらの部位にはリンパ節とリンパ外部位が含まれ、この場合、PRは、PET-CTを使用した時に、ベースラインと比較して減少した取り込みおよび任意のサイズの残存腫瘤を伴う4または5のスコアで表される。合間で、そのような所見は、応答疾患を示し得る。処置の終了時で、そのような所見は、残存病変を示し得る。一部の局面において、応答は、CTを使用してリンパ節において評価され、この場合、PRは、6つまでの標的測定可能節および節外部位の合計プロダクト寸法(SPD)の≧50%縮小と表される。病変がCTでの測定には小さすぎる場合、5 mm × 5 mmがデフォルト値として割り当てられ;病変がもはや目に見えない場合、値は0 mm × 0 mmであり;5 mm × 5 mmを超えるが正常よりは小さい節については、実測値が計算に用いられる。さらなる評価部位には骨髄が含まれ、この場合、PET-CTに基づく評価は、正常な骨髄中の取り込みよりも高いが、ベースラインと比較して減少した残存取り込みを示すべきである(容認された化学療法からの反応的変化と適合性のある拡散した取り込み)。一部の局面において、節性応答の状況において骨髄中の持続性の病巣変化が存在する場合、MRIもしくは生検、またはインターバルスキャンでのさらなる評価が考慮されるべきである。一部の局面において、さらなる部位には臓器腫脹の評価が含まれる場合があり、この場合、脾臓は、正常を超えて長さが>50%退縮していなければならない。一部の局面において、測定されなかった病変部および新たな病変部が評価され、これらは、PRの場合、非存在/正常、退縮でなければならず、しかし増加してはならない。応答無し/安定した疾患(SD)または進行性疾患(PD)もまた、PET-CTおよび/またはCTに基づく評価を使用して測定することができる。(Cheson et al., (2014) JCO 32(27):3059-3067; Johnson et al., (2015) Radiology 2:323-338; Cheson, B.D. (2015) Chin Clin Oncol 4(1):5)。
いくつかの点において、無増悪生存期間(PFS)とは、がんなどの疾患が処置されている間、および処置された後の、対象が疾患と共に生きているが、疾患が悪化しない時間の長さと説明される。一部の局面では、全奏効(OR)とは、測定可能な応答と説明される。一部の局面では、全奏効率(ORR)は、CRまたはPRを果たした患者の割合と説明される。一部の局面では、全生存期間(OS)とは、がんなどの疾患の診断日または処置開始のいずれからの、疾患と診断された対象が生存している時間の長さと説明される。一部の局面では、無再発生存期間(event-free survival)(EFS)とは、がんの処置が終了した後の、対象に、処置が阻止または遅延するように設計されている、ある特定の合併症または事象がないままの時間の長さと説明される。これらの事象は、がんの再発、またはある特定の症状、例えば、骨に広がったがんによる骨痛の発症、または死亡を含んでもよい。
一部の態様において、奏効期間(DOR)という尺度は、腫瘍応答の文書化から疾患進行までの時間を含む。一部の態様において、奏効を評価するためのパラメータは、持続性奏効、例えば、療法の開始からの期間後に持続する奏効および/または療法に対する長続きする陽性応答を含むことができる。一部の態様において、持続性奏効は、療法の開始後およそ1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、18または24ヶ月での奏効率によって示される。一部の態様において、奏効は3ヶ月を超えてまたは6ヶ月を超えて持続性である。一部の態様において、持続性奏効は、療法の投与後3ヶ月で測定される奏効、例えば、3ヶ月奏効である。一部の態様において、持続性奏効は、療法の投与後6ヶ月で測定される奏効、例えば、6ヶ月奏効である。
一部の局面では、腫瘍縮小効果(objective tumor response)を確かめるために、一部の局面では、固形がんにおける腫瘍縮小効果を確かめるために、RECIST判断基準が用いられる(Eisenhauer et al., European Journal of Cancer 45 (2009) 228-247.)。一部の局面では、RECIST判断基準は標的病変部に対する腫瘍縮小効果を確かめるために用いられる。いくつかの点において、RECIST判断基準を用いて確かめられる完全奏功は、全ての標的病変部が消失することといわれ、(標的でも非標的でも)あらゆる病理学的リンパ節の短軸が10mm未満まで短くなっていなければならない。他の局面では、RECIST判断基準を用いて確かめられる部分奏効は、ベースラインの直径の和を基準として、標的病変部の直径の和が少なくとも30%減少することといわれる。他の局面では、進行(PD)は、研究されている最小の和(これは、ベースラインの和が、研究されている最小の和であればベースラインの和を含む)を基準として、標的病変部の直径の和が少なくとも20%増加することといわれる。上記の和は20%の相対的増加に加えて、少なくとも5mmの絶対的増加も示さなければならない(一部の局面では、1つまたは複数の新たな病変部が現れることも進行だとみなされる)。他の局面では、安定(SD)は、研究されている直径の最小の和を基準として、PRの資格を得るほどには十分に縮小しておらず、PDの資格を得るほどには十分に増大していないといわれる。
一部の態様では、疾患または状態は腫瘍であり、疾患負荷の減少は腫瘍のサイズの減少である。一部の態様において、疾患負荷の減少は、対象またはその体液もしくは器官もしくは組織中の疾患細胞の負荷または数、腫瘍の質量または体積、または転移の程度または範囲などの、1つまたは複数の因子の減少によって示される。一部の態様において、疾患負荷、例えば、腫瘍負荷は、形態学的疾患および/または微小残存病変の範囲について評価またはモニターされ得る。
一部の態様では、対象における疾患または状態の負荷量が検出、評価、または測定される。疾患負荷量は、一部の局面では、対象にある、または対象の臓器、組織、もしくは体液、例えば、血液もしくは血清にある疾患細胞または疾患関連細胞、例えば、腫瘍細胞の総数を検出することによって検出されてもよい。一部の態様において、疾患負荷量、例えば、腫瘍負荷量は、固形腫瘍の質量および/または転移の数もしくは程度を測定することによって評価される。一部の局面では、対象の生存、ある特定の期間内での生存、生存の程度、無再発生存もしくは無症状生存(symptom-free survival)または無再発生存(relapse-free survival)の存在もしくは期間が評価される。一部の態様では、前記疾患または状態の任意の症状が評価される。一部の態様では、疾患負荷量または状態負荷量の尺度が指定される。
一部の態様において、疾患負荷量は、対象における、または対象の臓器、組織、もしくは体液における、例えば、腫瘍の臓器もしくは組織または別の位置、例えば、転移を示す位置における疾患の細胞の総数を包含してもよい。例えば、腫瘍細胞は、ある特定の血液腫瘍の状況では血液中または骨髄中で検出および/または定量されてもよい。
疾患負荷量は、一部の態様では、腫瘍の質量、転移の数もしくは程度、および/または骨髄に存在する芽細胞のパーセントを含んでもよい。
一部の態様において、対象は白血病を有する。疾患負荷量の程度は、血液または骨髄における残存白血病を評価することによって確かめることができる。
一部の局面では、対象、例えば、慢性リンパ性白血病(CLL)を有する対象における奏効率は、International Workshop on Chronic Lymphocytic Leukemia (IWCLL)効果判断基準に基づいている(Hallek, et al., Blood 2008, Jun 15; 111(12): 5446-5456)。一部の局面では、これらの判断基準は以下の通りに説明される。完全寛解(CR)は、一部の局面では、免疫表現型決定によって末梢血クローンリンパ球が存在しないこと、リンパ節腫脹が存在しないこと、肝腫大または脾腫大が存在しないこと、全身症状が存在しないことおよび十分な血球数を必要とする。不完全な骨髄回復を伴う完全寛解(CRi)とは、一部の局面では、上記のCRであるが血球数が正常でないCRといわれる。部分寛解(PR)とは、一部の局面では、リンパ球数が≧50%低下するか、リンパ節腫脹が≧50%軽減するか、または肝臓もしくは脾臓が≧50%縮小すると共に、末梢血数が改善することといわれる。進行(progressive disease)(PD)とは、一部の局面では、リンパ球数が>5x109/Lまで≧50%増加するか、リンパ節腫脹が≧50%増大するか、肝臓もしくは脾臓の大きさが≧50%拡大するか、リッチャートランスフォーメーション(Richter’s transformation)があるか、CLLによる新たな血球減少があるといわれる。安定(stable disease)とは、一部の局面では、CR、CRi、PR、PDの判断基準を満たさないことといわれる。
一部の態様では、前記用量の細胞を投与して1ヶ月以内に、対象のリンパ節のサイズが20mm未満もしくは約20mm未満、サイズが10mm未満もしくは約10mm未満、またはサイズが10mm未満もしくは約10mm未満であれば、対象はCRまたはORを示す。
一部の態様では、対象の骨髄において(または前記方法に従って処置された対象の50%超、60%超、70%超、80%超、90%超、もしくはそれより多くの骨髄において)、CLLの指標クローン(index clone)が検出されない。一部の態様では、CLLの指標クローンはIgHディープシークエンシングによって評価される。一部の態様では、指標クローンは、細胞を投与して1ヶ月後、2ヶ月後、3ヶ月後、4ヶ月後、5ヶ月後、6ヶ月後、12ヶ月後、18ヶ月後、もしくは24ヶ月後、または約1ヶ月後、約2ヶ月後、約3ヶ月後、約4ヶ月後、約5ヶ月後、約6ヶ月後、約12ヶ月後、約18ヶ月後、もしくは約24ヶ月後、または少なくとも1ヶ月後、2ヶ月後、3ヶ月後、4ヶ月後、5ヶ月後、6ヶ月後、12ヶ月後、18ヶ月後、もしくは24ヶ月後、または少なくとも約1ヶ月後、約2ヶ月後、約3ヶ月後、約4ヶ月後、約5ヶ月後、約6ヶ月後、約12ヶ月後、約18ヶ月後、もしくは約24ヶ月後の時間で検出されない。
一部の態様において、治療剤での治療前の骨髄中の芽細胞のパーセントと比較して、骨髄中の芽細胞のパーセントが減少している場合、応答転帰が存在する。一部の態様において、治療前の骨髄中の芽細胞の数またはパーセントと比較して、骨髄中の芽細胞の数またはパーセンテージが、少なくともまたは少なくとも約20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%またはそれ以上、低下または減少している場合、疾患負荷量の減少が存在する。
一部の態様において、対象が形態学的疾患を示さない(非形態学的疾患)かまたは実質的な形態学的疾患を示さない場合、対象は応答を示す。一部の態様において、対象は、例えば、光学顕微鏡によって検出された時に骨髄に5%超または5%の芽細胞があれば、形態学的疾患を示す。一部の態様において、対象は、骨髄に5%未満の芽細胞があれば完全寛解または臨床寛解を示す。
一部の態様において、対象が、治療前に形態学的疾患を示し、かつ、治療後に分子疾患(例えば、例えば、フローサイトメトリーまたは定量的PCRによって検出されるように、分子的に検出可能である、微小残存病変(MRD))有りまたは無しで完全寛解(例えば、骨髄中の5%未満の芽細胞)を示す場合、対象は、低減または減少した疾患負荷量を示す。一部の態様において、対象が、治療前に分子疾患を示し、かつ、治療後に分子疾患を示さない場合、対象は、低減または減少した疾患負荷量を示す。
一部の態様において、対象は完全寛解を示すことがあるが、少ない割合の、(光学顕微鏡法により)形態学的に検出不可能な残存白血病細胞が存在する。骨髄に5%未満の芽細胞を示し、かつ分子的に検出可能ながんを示せば、対象は微小残存病変(MRD)を示すといわれる。一部の態様では、分子的に検出可能ながんは、少数の細胞の高感度検出を可能にする様々な任意の分子的技法を用いて評価することができる。
一部の態様において、細胞療法の応答転帰は分子応答転帰である。一部の局面では、このような技法には、ユニークなIg/T細胞受容体遺伝子再編成、または染色体転座によって生じた融合転写物を確かめることができるPCRアッセイが含まれる。一部の態様では、フローサイトメトリーを用いて、白血病特異的免疫表現型に基づいてがん細胞を特定することができる。一部の態様では、がんの分子的検出によって、100,000個の正常細胞の中で1個と少ない白血病細胞もしくは芽細胞、または10,000個の正常細胞の中で1個の白血病細胞もしくは芽細胞を検出することができる。一部の態様では、例えば、PCRまたはフローサイトメトリーによって100,000個の細胞の中で少なくとも1個もしくは1個超の白血病細胞が検出されれば、対象は、分子的に検出可能な微小残存病変(MRD)を示す。
一部の態様では、場合によっては、PCRまたはフローサイトメトリー法を用いて白血病細胞が対象において検出できないように、対象の疾患負荷量は、分子的に検出不可能であるか、またはMRD-である。
一部の態様において、応答転帰は、CRの非存在または完全奏効(CR)の存在であり、ここで、対象は、微小残存病変または分子検出が可能な疾患状態を達成するかまたは示す。一部の態様において、応答転帰は、分子的に検出可能な疾患を有するCRの存在または分子的に検出可能な疾患を有さないCRの存在である。一部の態様において、対象は、本明細書に記載されるような方法、例えば、フローサイトメトリーまたはqPCR法によって分子疾患または骨髄中の芽細胞を評価する方法を使用して、疾患負荷量について評価される。
本明細書において提供される方法の一部の態様では、応答は、完全奏功(CR)および/または全奏効(OR)によって決定され;かつ/または、対象は、細胞の用量を投与して1ヶ月以内に、CR、OR、サイズが20mm未満もしくは約20mm未満のリンパ節を示し;かつ/または、疾患もしくは状態、例えば、CLLもしくはNHLの指標クローンは、対象の骨髄において(または前記方法に従って処置された対象の50%超の骨髄において)、任意で、IgHディープシークエンシングによって評価された時に、任意で、細胞用量を投与して1ヶ月後、2ヶ月後、3ヶ月後、4ヶ月後、5ヶ月後、6ヶ月後、12ヶ月後、18ヶ月後、もしくは24ヶ月後、または約1ヶ月後、約2ヶ月後、約3ヶ月後、約4ヶ月後、約5ヶ月後、約6ヶ月後、約12ヶ月後、約18ヶ月後、もしくは約24ヶ月後、あるいは少なくとも1ヶ月後、2ヶ月後、3ヶ月後、4ヶ月後、5ヶ月後、6ヶ月後、12ヶ月後、18ヶ月後、もしくは24ヶ月後、または少なくとも約1ヶ月後、約2ヶ月後、約3ヶ月後、約4ヶ月後、約5ヶ月後、約6ヶ月後、約12ヶ月後、約18ヶ月後、もしくは約24ヶ月後の時間で検出されない。
一部の局面において、毒性転帰および/または宿主免疫応答の存在もしくは非存在を評価する。一部の態様において、細胞療法の応答転帰は免疫応答の欠如である。一部の態様において、毒性転帰および応答転帰についての情報は、対象において一緒に評価され得、例えば、並行してまたはほぼ同時にもしくは実質的に同時に評価され得、対象に投薬決定または適応処置を知らせるために使用され得る。
一部の態様において、毒性転帰または応答転帰は、存在し、かつ/または評価もしくはモニターすることができる。一部の態様において、毒性転帰および応答転帰は、毒性転帰および応答転帰が存在する時にモニターされる。一部の態様において、毒性転帰または応答転帰が評価される時は、毒性もしくは有効性の徴候が対象において検出可能である期間内にもしくはほぼその期間内に、または、非応答もしくは毒性と関連する有害転帰が対象において検出可能でない時である。一部の態様において、前記期間は、毒性転帰および/または応答転帰が対象においてピークに達した時に近いかまたは実質的に近い。
一部の態様において、たった単一の用量の治療剤が投与される期間に、毒性転帰または応答転帰は、存在するか、または評価もしくはモニターすることができる。養子細胞療法の状況では、ある特定の「用量」の投与は、ある特定の量または数の細胞を、単回組成物投与および/または中断されない(uninterrupted)単回投与、例えば、単回注射または連続注入として投与することを包含し、ある特定の量または数の細胞を、3日以下の指定された期間にわたって複数の個々の組成物または注入の形で提供される分割用量として投与することも包含する。従って、ある状況では、初回用量は、1つの時点で与えられるか、または開始する、指定された数の細胞の単回投与または連続投与である。しかしながら、ある状況では、初回用量は、3日以下の期間にわたって、例えば、3日もしくは2日にわたって1日1回の、複数回の注射もしくは注入の形で投与されるか、または1日にわたって複数回の注入によって投与される。
用語「分割用量」は、複数日にわたって投与されるように分割された用量を指す。このタイプの投薬は本発明の方法に包含され、単一用量とみなされる。
本明細書において使用される場合、「初回用量」は、所定の用量のタイミングを記載するために使用され、これは、場合によっては、唯一の用量であり得、または、これに、1つまたは複数の繰り返しまたは追加の用量が続き得る。この用語は、対象に、ある用量の治療剤が今までに与えられたことがないこと、あるいはさらに、対象に、ある用量の同じまたは実質的に同じ治療剤が今までに与えられたことがないことを意味するとは必ずしも限らない。
一部の態様において、毒性転帰および応答転帰は、毒性転帰と関連する1つまたは複数の症状または事象および応答転帰と関連する1つまたは複数の症状または事象をモニターすることによって評価することができる。
IV.養子細胞療法用の細胞の操作
一部の態様において、提供される方法は、養子細胞療法用の細胞を評価するために使用することができる。提供される方法のいずれかにおいて、細胞療法についての細胞のエピジェネティックおよび/またはエピゲノミック解析は、ゲノム座位もしくはゲノム中の変化または修飾、例えば、クロマチンアクセシビリティ、ヌクレオソーム占有率、ヒストン修飾、空間的染色体コンフォメーション、転写因子占有率、および/またはDNAメチル化を評価および解析するための工程を含むことができる。一部の態様において、提供される方法は、細胞の1つまたは複数のエピジェネティックおよび/またはエピゲノミック解析工程を伴う。一部の局面において、エピジェネティックおよび/またはエピゲノミック解析は、細胞の遺伝子操作前に行われる。場合によっては、エピジェネティックおよび/またはエピゲノミック解析は、細胞が組換え受容体で遺伝子操作された後に行われる。
一部の態様において、解析は、大規模解析、例えば、複数の遺伝子座の解析または細胞のゲノムワイド解析を含む。一部の態様において、エピジェネティックおよび/またはエピゲノミック解析は、細胞、例えば、細胞療法用の操作細胞の、エピジェネティック特性を決定することを含む。一部の態様において、細胞療法は、T細胞療法、例えば、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)療法、トランスジェニックTCR療法またはキメラ抗原受容体(CAR)発現T細胞療法である。
A.細胞
細胞は、一般的に、真核細胞、例えば、哺乳動物細胞であり、典型的には、ヒト細胞、例えば、ヒト対象から誘導され、例えば組換え受容体を発現するように、操作されたヒト細胞である。一部の態様において、前記細胞は血液、骨髄、リンパ、またはリンパ系臓器に由来し、免疫系の細胞、例えば、自然免疫もしくは適応免疫の細胞、例えば、リンパ球、典型的にはT細胞および/またはNK細胞を含む骨髄系細胞またはリンパ系細胞である。他の例示的な細胞には、幹細胞、例えば、人工多能性幹細胞(iPSC)を含む多分化能性幹細胞および多能性幹細胞が含まれる。前記細胞は、典型的には、初代細胞、例えば、対象から直接単離された、および/または対象から単離され、凍結された細胞である。一部の態様において、前記細胞には、T細胞または他の細胞タイプの1つまたは複数のサブセット、例えば、全T細胞集団、CD4+細胞、CD8+細胞、およびその部分母集団、例えば、機能、活性化状態、成熟度、分化能、増殖、再循環、局在化、および/もしくは持続の能力、抗原特異性、抗原受容体のタイプ、特定の臓器もしくは区画における存在、マーカーもしくはサイトカイン分泌プロファイル、ならびに/または分化の程度によって規定されるT細胞または他の細胞タイプの1つまたは複数のサブセットが含まれる。処置しようとする対象に関して、前記細胞は同種異系および/または自己由来でもよい。前記方法の中には既製の方法が含まれる。一部の局面において、例えば、既製の技術の場合、前記細胞は多能性および/または多分化能性であり、例えば、幹細胞、例えば、人工多能性幹細胞(iPSC)である。一部の態様において、前記方法は、対象から細胞を単離する段階、細胞を調製、処理、培養、および/または操作する段階、ならびに凍結保存前または凍結保存後に細胞を同じ対象に再導入する段階を含む。
T細胞ならびに/またはCD4+T細胞および/もしくはCD8+T細胞のサブタイプおよび部分母集団の中には、ナイーブT(TN)細胞、エフェクターT細胞(TEFF)、メモリーT細胞およびそのサブタイプ、例えば、幹細胞メモリーT(TSCM)、セントラルメモリーT(TCM)、エフェクターメモリーT(TEM)、または高度に分化したエフェクターメモリーT細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、未熟T細胞、成熟T細胞、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、粘膜関連インバリアント(mucosa-associated invariant)T(MAIT)細胞、天然および適応性の調節性T(Treg)細胞、ヘルパーT細胞、例えば、TH1細胞、TH2細胞、TH3細胞、TH17細胞、TH9細胞、TH22細胞、濾胞ヘルパーT細胞、α/βT細胞、ならびにδ/γT細胞がある。
一部の態様において、前記細胞はナチュラルキラー(NK)細胞である。一部の態様において、前記細胞は、単球または顆粒球、例えば、骨髄系細胞、マクロファージ、好中球、樹状細胞、マスト細胞、好酸球、および/または好塩基球である。
一部の態様では、前記細胞は、遺伝子工学を介して導入された1つまたは複数の核酸を含み、それによって、このような核酸の組換え産物または遺伝子操作された産物を発現する。一部の態様では、前記核酸は異種であり、すなわち、細胞または細胞から得られた試料に通常は存在せず、例えば、別の生物または細胞から得られたものであり、これは、例えば、操作される細胞および/またはこのような細胞が得られる生物に普通は見出されない。一部の態様では、前記核酸は天然に存在せず、例えば、複数の異なる細胞タイプに由来する様々なドメインをコードする核酸のキメラ組み合わせを含む核酸を含む、自然界で見出されない核酸である。
B.操作用の細胞の調製
一部の態様では、操作された細胞の調製は1つまたは複数の培養段階および/または調製段階を含む。トランスジェニック受容体、例えば、CARをコードする核酸を導入するための細胞は、試料、例えば、生物学的試料、例えば、対象から得られた試料または対象に由来する試料から単離されてもよい。一部の態様では、細胞が単離される対象は、前記疾患もしくは状態を有するか、細胞療法を必要とするか、または細胞療法が適用される対象である。対象は、一部の態様では、特定の治療介入、例えば、養子細胞療法を必要とし、このために細胞が単離、処理、および/または操作される、ヒトである。
従って、前記細胞は、一部の態様では、初代細胞、例えば、初代ヒト細胞である。前記試料には、対象から直接採取した組織、液体、および他の試料、ならびに1つまたは複数の処理段階、例えば、分離、遠心分離、遺伝子操作(例えば、ウイルスベクターを用いた形質導入)、洗浄、および/またはインキュベーションに起因する試料が含まれる。生物学的試料は、生物学的供給源から直接得られた試料でもよく、処理された試料でもよい。生物学的試料には、体液、例えば、血液、血漿、血清、脳脊髄液、滑液、尿および汗、組織および臓器試料が、これらから得られた処理済み試料を含めて含まれるが、これに限定されない。
一部の局面において、前記細胞が得られる、または単離される試料は血液もしくは血液由来試料であるか、アフェレーシスもしくは白血球搬出法による生成物であるか、またはこれから得られる。例示的な試料には、全血、末梢血単核球(PBMC)、白血球、骨髄、胸腺、組織生検材料、腫瘍、白血病、リンパ腫、リンパ節、消化管に関連するリンパ系組織、粘膜に関連するリンパ系組織、脾臓、他のリンパ系組織、肝臓、肺、胃、腸、結腸、腎臓、膵臓、乳房、骨、前立腺、子宮頸部、精巣、卵巣、扁桃腺、もしくは他の臓器、および/またはこれらに由来する細胞が含まれる。試料には、細胞療法、例えば、養子細胞療法の状況では、自己供給源および同種異系供給源に由来する試料が含まれる。
一部の局面において、第二用量の細胞は、初回用量と同じアフェレーシス生成物に由来する。一部の態様において、複数の用量、例えば、初回用量、第二用量、第三用量など、の細胞は、同じアフェレーシス生成物に由来する。
他の態様において、第二(または他の後続)用量の細胞は、初回(または他の先行)用量の細胞が由来するものとは異なるアフェレーシス生成物に由来する。
一部の態様において、前記細胞は細胞株、例えば、T細胞株に由来する。前記細胞は、一部の態様では、異種供給源から、例えば、マウス、ラット、非ヒト霊長類、およびブタから得られる。
一部の態様において、前記細胞の単離には、1つまたは複数の調製段階および/または親和性に基づかない細胞分離段階が含まれる。一部の例では、例えば、望ましくない成分を除去するために、望ましい成分を濃縮するために、細胞を溶解するか、または特定の試薬に対して感受性のある細胞を除去するために、1種類または複数種の試薬の存在下で細胞が洗浄、遠心分離、および/またはインキュベートされる。一部の例では、細胞は、密度、粘着性、サイズ、特定の成分に対する感受性および/または耐性などの1つまたは複数の特性に基づいて分離される。
一部の例では、対象の循環血に由来する細胞は、例えば、アフェレーシスまたは白血球搬出法によって得られる。試料は、一部の局面では、T細胞、単球、顆粒球、B細胞、他の有核白血球を含むリンパ球、赤血球、および/または血小板を含有し、一部の局面では、赤血球および血小板以外の細胞を含有する。
一部の態様において、例えば、血漿画分を除去するために、および後の処理段階のために前記細胞を適切な緩衝液または培地に入れるために、対象から収集した血球は洗浄される。一部の態様において、前記細胞はリン酸緩衝食塩水(PBS)で洗浄される。一部の態様において、洗浄溶液には、カルシウムおよび/もしくはマグネシウムならびに/または多くの、もしくは全ての二価カチオンが無い。一部の局面において、洗浄段階は半自動「フロースルー」遠心機(例えば、Cobe 2991 cell processor, Baxter)によって製造業者の説明書に従って成し遂げられる。一部の局面において、洗浄段階はタンジェンシャルフロー濾過(TFF)によって製造業者の説明書に従って成し遂げられる。一部の態様において、洗浄後に、前記細胞は、様々な生体適合性緩衝液、例えば、Ca++/Mg++を含まないPBSで再懸濁される。ある特定の態様において、血球試料の成分は除去され、前記細胞は培養培地に直接、再懸濁される。
一部の態様において、前記方法には、密度に基づく細胞分離方法、例えば、赤血球溶解による末梢血からの白血球の調製、およびPercoll勾配またはFicoll勾配による遠心分離が含まれる。
一部の態様において、単離方法には、細胞における、1種類または複数種の特定の分子、例えば、表面マーカー、例えば、表面タンパク質、細胞内マーカー、または核酸の発現または存在に基づく様々な細胞タイプの分離が含まれる。一部の態様において、このようなマーカーに基づいて分離するための任意の公知の方法を使用することができる。一部の態様において、分離は親和性または免疫親和性に基づく分離である。例えば、単離は、一部の局面では、例えば、このようなマーカーに特異的に結合する抗体または結合パートナーとインキュベートし、その後に、一般的に洗浄段階を行い、抗体または結合パートナーに結合している細胞を、抗体または結合パートナーに結合していない細胞から分離することによって、1種類または複数種のマーカー、典型的には細胞表面マーカーの細胞発現または発現レベルに基づいて細胞および細胞集団を分離することを含む。
このような分離段階は、さらに使用するために、試薬に結合した細胞が保持される正の選択に基づいてもよく、および/または抗体または結合パートナーに結合していない細胞が保持される負の選択に基づいてもよい。一部の例では、さらに使用するために両画分とも保持される。一部の局面において、不均質な集団の中にある細胞タイプを特異的に特定する抗体が利用できない場合、望ましい集団以外の細胞によって発現されるマーカーに基づいて分離が最も良く行われるように、負の選択が特に有用な場合がある。
分離によって、特定のマーカーを発現する特定の細胞集団または細胞が100%濃縮または除去される必要はない。例えば、特定のタイプの細胞、例えば、マーカーを発現する細胞の正の選択または濃縮とは、このような細胞の数またはパーセントが増加することを指すが、このマーカーを発現しない細胞が完全に無くなる必要はない。同様に、特定のタイプの細胞、例えば、マーカーを発現する細胞の負の選択、除去、または枯渇とは、このような細胞の数またはパーセントが減少することを指すが、このような細胞が全て完全に取り除かれる必要はない。
一部の例では、複数回の分離段階が行われ、この場合、ある段階に由来する正に選択された画分または負に選択された画分は別の分離段階、例えば、後の正の選択または負の選択に供される。一部の例では、1回の分離段階で、例えば、それぞれが負の選択のために標的とされるマーカーに特異的な複数種の抗体または結合パートナーと細胞をインキュベートすることによって、同時に、複数種のマーカーを発現する細胞を枯渇することができる。同様に、様々な細胞タイプの表面に発現している複数種の抗体または結合パートナーと細胞をインキュベートすることによって、複数の細胞タイプを同時に正に選択することができる。
例えば、一部の局面において、特定のT細胞部分母集団、例えば、1種類もしくは複数種の表面マーカーが陽性の細胞または高レベルの1種類もしくは複数種の表面マーカーを発現する細胞、例えば、CD28+、CD62L+、CCR7+、CD27+、CD127+、CD4+、CD8+、CD45RA+、および/またはCD45RO+T細胞が正の選択法または負の選択法によって単離される。
例えば、CD3+、CD28+T細胞は、抗-CD3/抗-CD28結合磁気ビーズ(例えば、DYNABEADS(登録商標)M-450 CD3/CD28 T Cell Expander)を用いて正に選択することができる。
一部の態様において、単離は、特定の細胞集団を正の選択によって濃縮することによって、または特定の細胞集団を負の選択によって枯渇させることによって行われる。一部の態様において、正の選択または負の選択は、それぞれ、正に選択された細胞または負に選択された細胞の表面に発現している1種類もしくは複数種の表面マーカー(マーカー+)または比較的高いレベルで発現している1種類もしくは複数種の表面マーカー(マーカーhigh)に特異的に結合する1種類または複数種の抗体または他の結合剤と細胞をインキュベートすることによって成し遂げられる。
一部の態様において、T細胞は、非T細胞、例えば、B細胞、単球、または他の白血球の表面に発現しているマーカー、例えば、CD14の負の選択によってPBMC試料から分離される。一部の局面において、CD4+ヘルパーおよびCD8+細胞傷害性T細胞を分離するために、CD4+選択段階またはCD8+選択段階が用いられる。このようなCD4+集団およびCD8+集団は、1つまたは複数のナイーブ、メモリー、および/またはエフェクターT細胞部分母集団の表面で発現しているか、または比較的多量に発現しているマーカーを対象にした正の選択または負の選択によって部分母集団にさらに選別することができる。
一部の態様において、さらに、CD8+細胞は、ナイーブ、セントラルメモリー、エフェクターメモリー、および/またはセントラルメモリー幹細胞について、例えば、それぞれの部分母集団に関連する表面抗原に基づいた正の選択または負の選択によって濃縮または枯渇される。一部の態様において、効力を高めるために、例えば、長期生存、増殖、および/または投与後の生着を改善するために、セントラルメモリーT(TCM)細胞の濃縮が行われる。一部の局面において、この効力は、このような部分母集団において特にロバストである。Terakura et al. (2012) Blood.1:72-82; Wang et al. (2012) J Immunother. 35(9):689-701を参照されたい。一部の態様において、TCMが濃縮されたCD8+T細胞およびCD4+T細胞を組み合わせると効力がさらに高まる。
態様において、メモリーT細胞は、CD8+末梢血リンパ球のCD62L+サブセットおよびCD62L-サブセットの両方に存在する。PBMCは、例えば、抗CD8抗体および抗CD62L抗体を用いて、CD62L-CD8+画分および/またはCD62L+CD8+画分について濃縮または枯渇することができる。
一部の態様において、セントラルメモリーT(TCM)細胞の濃縮は、CD45RO、CD62L、CCR7、CD28、CD3、および/またはCD127の正の、または多量の表面発現に基づいている。一部の局面において、セントラルメモリーT(TCM)細胞の濃縮は、CD45RAおよび/またはグランザイムBを発現するか、または多量に発現する細胞を対象にした負の選択に基づいている。一部の局面において、TCM細胞が濃縮されたCD8+集団の単離は、CD4、CD14、CD45RAを発現する細胞の枯渇と、CD62Lを発現する細胞を対象にした正の選択または濃縮によって行われる。一局面において、セントラルメモリーT(TCM)細胞の濃縮は、CD4発現に基づいて選択された細胞の負の画分から開始して行われ、この画分は、CD14およびCD45RAの発現に基づく負の選択と、CD62Lに基づく正の選択に供される。このような選択は一部の局面では同時に行われ、他の局面では連続して、どちらの順序でも行われる。一部の局面において、CD4に基づく分離から正の画分および負の画分が両方とも保持され、この方法の後の段階において、任意で、1つまたは複数のさらなる正の選択段階または負の選択段階の後に用いられるように、CD8+細胞集団または部分母集団の調製において用いられた同じCD4発現に基づく選択段階が、CD4+細胞集団または部分母集団を作製するのにも用いられる。
特定の例では、PBMC試料または他の白血球試料はCD4+細胞の選択に供される。この場合、負の画分および正の画分が両方とも保持される。次いで、負の画分は、CD14およびCD45RAまたはCD19の発現に基づく負の選択と、セントラルメモリーT細胞に特徴的なマーカー、例えば、CD62LまたはCCR7に基づく正の選択に供される。この場合、正の選択および負の選択はどちらの順序でも行われる。
CD4+Tヘルパー細胞は、細胞表面抗原を有する細胞集団を特定することによってナイーブ細胞、セントラルメモリー細胞、およびエフェクター細胞に選別される。CD4+リンパ球は標準的な方法によって得ることができる。一部の態様において、ナイーブCD4+Tリンパ球は、CD45RO-、CD45RA+、CD62L+、CD4+T細胞である。一部の態様において、セントラルメモリーCD4+細胞はCD62L+およびCD45RO+である。一部の態様において、エフェクターCD4+細胞はCD62L-およびCD45RO-である。
一例では、負の選択によってCD4+細胞を濃縮するために、モノクローナル抗体カクテルは、典型的には、CD14、CD20、CD11b、CD16、HLA-DR、およびCD8に対する抗体を含む。一部の態様において、正の選択および/または負の選択のために細胞の分離を可能にするために、抗体または結合パートナーは固体支持体またはマトリックス、例えば、磁気ビーズまたは常磁性ビーズに結合される。例えば、一部の態様において、前記細胞および細胞集団は、免疫磁気(または親和性磁気(affinitymagnetic))分離法を用いて分離または単離される(Methods in Molecular Medicine, vol. 58: Metastasis Research Protocols, Vol. 2: Cell Behavior In Vitro and In Vivo, p 17-25 Edited by: S. A. Brooks and U. Schumacher(著作権)Humana Press Inc., Totowa, NJにおいて概説される)。
一部の局面において、分離しようとする細胞の試料または組成物は、小さな、磁化可能な、または磁気に反応する材料、例えば、磁気に反応する粒子または微粒子、例えば、常磁性ビーズ(例えば、DynalbeadsまたはMACSビーズ)とインキュベートされる。磁気に反応する材料、例えば、粒子は、一般的に、分離することが望ましい細胞または細胞集団、例えば、負に選択する、または正に選択することが望ましい細胞または細胞集団の表面に存在する分子、例えば、表面マーカーに特異的に結合する結合パートナー、例えば、抗体に直接的または間接的に取り付けられる。
一部の態様において、磁性粒子または磁気ビーズは、抗体または他の結合パートナーなどの特異的結合メンバーに結合される、磁気に反応する材料を含む。磁気分離方法において用いられる多くの周知の磁気に反応する材料がある。適切な磁性粒子には、参照により本明細書に組み入れられる、Molday,米国特許第4,452,773号、および欧州特許明細書EP452342Bに記載の磁性粒子が含まれる。コロイドサイズの粒子、例えば、Owen 米国特許第4,795,698号およびLiberti et al.,米国特許第5,200,084号に記載のコロイドサイズの粒子が他の例である。
インキュベーションは、一般的に、磁性粒子または磁気ビーズに取り付けられている、抗体または結合パートナーまたはこのような抗体もしくは結合パートナーに特異的に結合する分子、例えば、二次抗体もしくは他の試薬が、もし細胞表面分子が試料中の細胞の表面に存在すれば細胞表面分子に特異的に結合する条件下で行われる。
一部の局面において、試料は磁場の中に置かれ、磁気に反応する粒子または磁化可能な粒子が取り付けられている細胞は磁石に引き付けられ、非標識細胞から分離される。正の選択の場合、磁石に引き付けられる細胞が保持される。負の選択の場合、引き付けられなかった細胞(非標識細胞)が保持される。一部の局面において、同じ選択段階の間に正の選択と負の選択の組み合わせが行われ、正の画分および負の画分が保持され、さらに処理されるか、またはさらなる分離段階を受ける。
ある特定の態様において、磁気に反応する粒子は一次抗体または他の結合パートナー、二次抗体、レクチン、酵素、もしくはストレプトアビジンでコーティングされる。ある特定の態様において、磁性粒子は、1種類または複数種のマーカーに特異的な一次抗体のコーティングを介して細胞に取り付けられる。ある特定の態様において、前記細胞はビーズではなく、一次抗体または結合パートナーで標識され、次いで、細胞タイプ特異的な二次抗体または他の結合パートナー(例えば、ストレプトアビジン)でコーティングされた磁性粒子が添加される。ある特定の態様において、ストレプトアビジンでコーティングされた磁性粒子が、ビオチン化した一次抗体または二次抗体と一緒に用いられる。
一部の態様において、後でインキュベート、培養、および/または操作される細胞に、磁気に反応する粒子を取り付けたままにしておく。一部の局面において、患者に投与するために、前記粒子を細胞に取り付けたままにしておく。一部の態様において、磁化可能な粒子または磁気に反応する粒子は細胞から取り除かれる。磁化可能な粒子を細胞から取り除くための方法は公知であり、例えば、競合する非標識抗体、および磁化可能な粒子、または切断可能なリンカーと結合体化した抗体の使用を含む。一部の態様において、磁化可能な粒子は生分解性である。
一部の態様において、親和性に基づく選択は、磁気活性化細胞選別(MACS)(Miltenyi Biotec, Auburn, CA)を介した選択である。磁気活性化細胞選別(MACS)システムは、磁化粒子が取り付けられている細胞を高純度で選択することができる。ある特定の態様において、MACSは、外部磁場が印加された後に、非標的種および標的種が連続して溶出されるモードで動作する。すなわち、取り付けられなかった種が溶出される間に、磁化粒子に取り付けられた細胞は所定の位置に保たれる。次いで、この第1の溶出段階が完了した後に、磁場に閉じ込められ、溶出しないようにされていた種は、このような種が溶出および回収が可能なように何らかのやり方で遊離される。ある特定の態様において、非標的細胞は標識され、不均質な集団細胞から枯渇される。
ある特定の態様において、単離または分離は、前記方法の単離段階、細胞調製段階、分離段階、処理段階、インキュベーション段階、培養段階、および/または製剤化段階の1つまたは複数を行うシステム、装置、または器具を用いて行われる。一部の局面において、前記システムは、例えば、誤り、使用者の操作、および/または汚染を最小限にするために、これらの各段階を閉じた、または無菌の環境において行うのに用いられる。一例では、システムは、国際特許出願公開番号WO2009/072003またはUS20110003380A1に記載のシステムである。
一部の態様において、システムまたは器具は、統合システム型もしくは自立型システムにおいて、および/または自動的に、もしくはプログラム可能なやり方で、単離段階、処理段階、操作段階、および製剤化段階の1つまたは複数、例えば、全てを行う。一部の局面において、システムまたは器具は、使用者が、処理段階、単離段階、操作段階、および製剤化段階の様々な局面をプログラムする、制御する、そのアウトカムを評価する、および/または調整するのを可能にする、システムまたは器具と通信するコンピュータおよび/またはコンピュータプログラムを備える。
一部の局面において、例えば、閉じた無菌のシステムにおいて細胞を臨床規模レベルで自動分離するために、分離段階および/または他の段階はCliniMACSシステム(Miltenyi Biotec)を用いて行われる。構成要素には、内蔵型マイクロコンピュータ、磁気分離ユニット、蠕動ポンプ、および様々なピンチ弁が含まれる場合がある。内蔵型コンピュータは、一部の局面では、機器の全構成要素を制御し、反復手順を統一された順序で行うようにシステムに命令する。磁気分離ユニットは、一部の局面では、可動性の永久磁石および選択カラム用のホルダを備える。蠕動ポンプはチューブセット全体にわたる流速を制御し、ピンチ弁と一緒に、緩衝液がシステムを制御されて流れ、細胞が絶え間なく懸濁されるのを確かなものにする。
CliniMACSシステムは、一部の局面では、滅菌した非発熱性の溶液に溶解して供給される、抗体に結合した磁化可能な粒子を使用する。一部の態様において、細胞は磁性粒子で標識された後に、余分な粒子を除去するために洗浄される。次いで、細胞調製バッグがチューブセットに接続され、そして次にチューブセットは緩衝液含有バックおよび細胞収集バッグに接続される。チューブセットは、プレカラムおよび分離カラムを含む予め組み立てられた滅菌チューブからなり、使い捨て専用である。分離プログラムが開始した後に、システムは分離カラムに細胞試料を自動的にアプライする。標識された細胞はカラム内に保持されるのに対して、標識されなかった細胞は一連の洗浄段階によって除去される。一部の態様において、本明細書に記載の方法と共に使用するための細胞集団は標識されず、カラム内に保持されない。一部の態様において、本明細書に記載の方法と共に使用するための細胞集団は標識され、カラム内に保持される。一部の態様において、磁場が取り除かれた後に、本明細書に記載の方法と共に使用するための細胞集団はカラムから溶出され、細胞収集バッグ内に収集される。
ある特定の態様において、分離段階および/または他の段階はCliniMACS Prodigyシステム(Miltenyi Biotec)を用いて行われる。CliniMACS Prodigyシステムには、一部の局面では、細胞を自動洗浄し、遠心分離によって分画する細胞処理ユニット(cell processing unity)が付いている。CliniMACS Prodigyシステムはまた、内蔵カメラと、供給源の細胞産物の巨視的な層を識別することによって最適な細胞分画エンドポイントを決定する画像認識ソフトウェアも備えている場合がある。例えば、末梢血は赤血球、白血球、および血漿の層に自動的に分離される。CliniMACS Prodigyシステムはまた、細胞培養プロトコール、例えば、細胞分化および増殖、抗原添加、ならびに長期細胞培養を行う内臓型細胞発育チャンバーも備えている場合がある。インプットポートを用いると、培地を無菌的に取り出し、補充することができる。細胞は、内臓型顕微鏡を用いてモニタリングすることができる。例えば、Klebanoff et al. (2012) J Immunother. 35(9): 651-660, Terakura et al. (2012) Blood.1:72-82、およびWang et al. (2012) J Immunother. 35(9):689-701を参照されたい。
一部の態様において、本明細書に記載の細胞集団はフローサイトメトリーを介して収集および濃縮(または枯渇)される。フローサイトメトリーでは、複数種の細胞表面マーカーについて染色された細胞が流体の流れに入って運ばれる。一部の態様において、本明細書に記載の細胞集団は、分取スケール(preparative scale)(FACS)選別を介して収集および濃縮(または枯渇)される。ある特定の態様において、本明細書に記載の細胞集団は、FACSに基づく検出系と組み合わせて微小電気機械システム(MEMS)チップを用いることによって収集および濃縮(または枯渇)される(例えば、WO 2010/033140, Cho et al. (2010) Lab Chip 10, 1567-1573; およびGodin et al. (2008) J Biophoton. 1(5):355-376を参照されたい)。どちらの場合でも、細胞は複数種のマーカーで標識することができ、それによって、詳細に明らかにされたT細胞サブセットを高純度で単離することが可能になる。
一部の態様において、正の選択および/または負の選択のために分離を容易にするために、抗体または結合パートナーは1種類または複数種の検出可能なマーカーで標識される。例えば、分離は蛍光標識抗体との結合に基づいてもよい。一部の例では、1種類または複数種の細胞表面マーカーに特異的な抗体または他の結合パートナーの結合に基づく細胞の分離は、流体の流れの中で、例えば、分取スケール(FACS)および/または微小電気機械システム(MEMS)チップを備える蛍光標識細胞分取(FACS)によって、例えば、フローサイトメトリー検出系と組み合わせて行われる。このような方法を用いると、複数種のマーカーに基づいて正の選択および負の選択を同時に行うことができる。
一部の態様において、調製方法は、単離、インキュベーション、および/または操作の前または後に細胞を凍結、例えば、凍結保存するための段階を含む。一部の態様において、凍結段階およびその後の解凍段階によって、細胞集団の中にある顆粒球が取り除かれ、単球がある程度まで取り除かれる。一部の態様において、例えば、血漿および血小板を取り除く洗浄段階の後に、前記細胞は凍結溶液に懸濁される。様々な任意の公知の凍結溶液およびパラメータを一部の局面で使用することができる。一例は、20%DMSOおよび8%ヒト血清アルブミン(HSA)を含有するPBS、または他の適切な細胞凍結培地を使用することを伴う。次いで、DMSOおよびHSAの最終濃度がそれぞれ10%および4%になるように、これを培地で1:1に希釈する。次いで、細胞は一般的に1分につき1°の速度で-80℃まで凍結され、液体窒素貯蔵タンクの気相の中で保管される。
一部の態様において、前記細胞は遺伝子操作の前に、または遺伝子操作に関連してインキュベートおよび/または培養される。インキュベーション段階は、培養、発育、刺激、活性化、および/または増殖を含んでもよい。一部の態様において、前記組成物または細胞は刺激条件または刺激薬剤の存在下でインキュベートされる。このような条件は、遺伝子操作のために、例えば、組換え抗原受容体を導入するために、集団内の細胞の増殖(proliferation)、増殖(expansion)、活性化、および/もしくは生存を誘導するように、抗原曝露を模倣するように、ならびに/または細胞を初回刺激(prime)するように設計された条件を含む。
条件は、特定の培地、温度、酸素含有量、二酸化炭素含有量、時間、薬剤、例えば、栄養分、アミノ酸、抗生物質、イオン、および/または刺激因子、例えば、サイトカイン、ケモカイン、抗原、結合パートナー、融合タンパク質、組換え可溶性受容体、ならびに細胞を活性化するように設計された他の任意の薬剤のうち1つまたは複数を含んでもよい。
一部の態様において、刺激条件または刺激薬剤には、TCR複合体の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化することができる1種類または複数種の薬剤、例えば、リガンドが含まれる。一部の局面において、この薬剤は、T細胞におけるTCR/CD3細胞内シグナル伝達カスケードをオンにするか、または開始する。このような薬剤は、抗体、例えば、TCRに特異的な抗体、例えば抗CD3を含み得る。一部の態様において、刺激条件は、補助刺激受容体を刺激することができる、1つまたは複数の薬剤、例えばリガンド、例えば抗CD28を含む。一部の態様において、このような薬剤、および/またはリガンドは、ビーズなどの固体支持体へ結合されてもよく、かつ/または、1種類もしくは複数種のサイトカインであってもよい。任意で、増殖方法は、抗CD3および/または抗CD28の抗体を(例えば、少なくとも約0.5ng/mlの濃度で)培養培地に添加する段階をさらに含んでもよい。一部の態様において、刺激薬剤には、IL-2、IL-15、および/またはIL-7を含む。一部の態様においては、IL-2の濃度は、少なくとも約10単位/mLである。
一部の局面において、インキュベーションは、Riddellらへの米国特許第6,040,177号、Klebanoff et al.(2012) J Immunother. 35(9): 651-660、Terakura et al. (2012) Blood.1:72-82、および/またはWang et al. (2012) J Immunother. 35(9):689-701に記載の技法などの技法に従って行われる。
一部の態様において、T細胞は、(例えば、結果として生じた細胞集団が、増殖させようとする初期集団内でTリンパ球1個につき少なくとも約5個、10個、20個、もしくは40個またはそれより多いPBMCフィーダー細胞を含有するように)フィーダー細胞、例えば、非分裂末梢血単核球(PBMC)を培養開始組成物に添加し、培養物を(例えば、T細胞の数を増やすのに十分な時間にわたって)インキュベートすることによって増殖される。一部の局面において、非分裂フィーダー細胞は、γ線を照射したPBMCフィーダー細胞を含んでもよい。一部の態様において、細胞分裂を阻止するために、PBMCに約3000~3600ラドの範囲のγ線が照射される。一部の局面において、フィーダー細胞が培養培地に添加された後に、T細胞の集団が添加される。
一部の態様において、刺激条件は、ヒトTリンパ球の増殖に適した温度、例えば、少なくとも約25℃、一般的には少なくとも約30度、および一般的には37℃または約37℃を含む。任意で、インキュベーションは、フィーダー細胞として非分裂性のEBV形質転換リンパ芽球様細胞(LCL)を添加する段階をさらに含んでもよい。LCLに、約6000~10,000ラドの範囲のγ線を照射することができる。LCLフィーダー細胞は、一部の局面では、LCLフィーダー細胞と初回Tリンパ球との比が少なくとも約10:1などの任意の適切な量で提供される。
態様において、抗原特異的T細胞、例えば、抗原特異的CD4+および/またはCD8+T細胞は、ナイーブまたは抗原特異的なTリンパ球を抗原で刺激することによって得られる。例えば、サイトメガロウイルス抗原に対する抗原特異的T細胞株またはクローンは、感染対象からT細胞を単離し、前記細胞をインビトロで同じ抗原で刺激することによって作製することができる。
一部の態様において、細胞の培養または処理に関する任意の1つまたは複数の条件または薬剤は、提供される方法に従って、クロマチンアクセシビリティなどのエピジェネティック解析によって決定されるような細胞の表現型または機能または特徴に対するそれらの効果について、変更または試験および評価され得る。一部の態様において、薬剤または条件は、細胞の培養物へ添加され得、細胞は、細胞の表現型または機能を示す1つまたは複数のゲノム領域のエピジェネティック特性について評価され得る。一部の態様において、ナイーブ細胞または長寿命のメモリー細胞の同定を示す遺伝子または遺伝子のパネルが評価される。一部の態様において、エフェクター細胞またはエフェクターメモリー細胞などの、細胞のエフェクターライフ機能を示す遺伝子または遺伝子のパネルが評価される。そのような遺伝子の例を提供する。
C.細胞によって発現される組換え受容体
細胞は、一般に、組換え受容体を発現する。受容体には、抗原受容体、例えば、機能的非TCR抗原受容体、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)、および他の抗原結合受容体、例えば、トランスジェニックT細胞受容体(TCR)が含まれ得る。受容体には、他のキメラ受容体、例えば、特定のリガンドへ結合し、かつ、CAR中に存在するものと同様の膜貫通ドメインおよび/または細胞内シグナル伝達ドメインを有する受容体も含まれ得る。受容体の中には、抗原受容体、およびその1つまたは複数の成分を含有する受容体がある。組換え受容体は、キメラ受容体、例えば、リガンド結合ドメインまたはその結合断片と細胞内シグナル伝達ドメインまたは領域とを含有するもの、機能的非TCR抗原受容体、キメラ抗原受容体(CAR)、およびT細胞受容体(TCR)、例えば、組換えまたはトランスジェニックTCR、キメラ自己抗体受容体(CAAR)、ならびに前述のものうちのいずれかの成分を含み得る。組換え受容体、例えばCARは、一般に、一部の局面ではリンカーおよび/または膜貫通ドメインを介して、1つまたは複数の細胞内シグナル伝達成分へ連結された細胞外抗原(またはリガンド)結合ドメインを含む。
1.キメラ抗原受容体(CAR)
一部の態様では、操作細胞、例えばT細胞は、特定の抗原(またはマーカーもしくはリガンド)、例えば、特定の細胞タイプの表面上に発現される抗原について特異性を有するCARを発現する。一部の態様では、抗原はポリペプチドである。一部の態様では、それは糖質または他の分子である。一部の態様では、抗原は、正常な、または標的ではない細胞もしくは組織と比較して、前記疾患または状態の細胞、例えば、腫瘍細胞または病原性細胞の表面で選択的に発現しているか、または過剰発現している。他の態様では、前記抗原は正常細胞の表面で発現している、および/または操作された細胞の表面で発現している。
特定の態様において、組換え受容体、例えばキメラ受容体は、細胞内シグナル伝達領域を含有し、これは、細胞質シグナル伝達ドメインもしくは領域(交換可能に細胞内シグナル伝達ドメインもしくは領域とも呼ばれる)、例えば、T細胞において一次活性化シグナルを誘導することができる細胞質(細胞内)領域、例えば、T細胞受容体(TCR)成分の細胞質シグナル伝達ドメインもしくは領域(例えば、CD3ゼータ(CD3ζ)鎖のゼータ鎖の細胞質シグナル伝達ドメインもしくは領域またはその機能的変種もしくはシグナル伝達部分)を含み、かつ/または、免疫受容活性化チロシンモチーフ(ITAM)を含む。
一部の態様において、キメラ受容体は、リガンド(例えば、抗原)抗原へ特異的に結合する細胞外リガンド結合ドメインをさらに含有する。一部の態様において、キメラ受容体は、抗原へ特異的に結合する細胞外抗原認識ドメインを含有するCARである。一部の態様において、リガンド、例えば抗原は、細胞の表面上に発現されたタンパク質である。一部の態様において、CARはTCR様CARであり、抗原は、処理されたペプチド抗原、例えば、細胞内タンパク質のペプチド抗原であり、これは、TCRのように、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子の状況において細胞表面上で認識される。
CARを含む例示的な抗原受容体、ならびにこのような受容体を操作するための方法およびこのような受容体を細胞に導入するための方法には、例えば、国際特許出願公開番号WO200014257、WO2013126726、WO2012/129514、WO2014031687、WO2013/166321、WO2013/071154、WO2013/123061、米国特許出願公開番号US2002131960、US2013287748、US20130149337、米国特許第6,451,995号、同第7,446,190号、同第8,252,592号、同第8,339,645号、同第8,398,282号、同第7,446,179号、同第6,410,319号、同第7,070,995号、同第7,265,209号、同第7,354,762号、同第7,446,191号、同第8,324,353号、および同第8,479,118号、ならびに欧州特許出願番号EP2537416に記載のもの、ならびに/またはSadelain et al., Cancer Discov. 2013 April; 3(4): 388-398; Davila et al. (2013) PLoS ONE 8(4): e61338; Turtle et al., Curr. Opin. Immunol., 2012 October; 24(5): 633-39; Wu et al., Cancer, 2012 March 18(2): 160-75に記載のものが含まれる。一部の局面では、抗原受容体には、米国特許第7,446,190号に記載のCARおよび国際特許出願公開番号WO/2014055668 A1に記載のCARが含まれる。CARの例には、上述の任意の刊行物、例えば、WO2014031687、US 8,339,645、US 7,446,179、US 2013/0149337、米国特許第7,446,190号、米国特許第8,389,282号、Kochenderfer et al., 2013, Nature Reviews Clinical Oncology, 10, 267-276 (2013); Wang et al. (2012) J. Immunother. 35(9): 689-701; およびBrentjens et al., Sci Transl Med. 2013 5(177)に開示されるCARが含まれる。国際特許公開番号WO2014031687、米国特許第8,339,645号、同第7,446,179号、同第7,446,190号、および同第8,389,282号、ならびに米国特許出願公開番号US 2013/0149337も参照されたい。キメラ受容体の中にはキメラ抗原受容体(CAR)がある。キメラ受容体、例えば、CARは、一般的に、細胞外抗原結合ドメイン、例えば、抗体分子の一部、一般的に、抗体の可変重(VH)鎖領域および/または可変軽(VL)鎖領域、例えば、scFv抗体断片を含む。
一部の態様において、特定の抗原(またはマーカーまたはリガンド)、例えば、養子療法によって標的化しようとする特定の細胞タイプにおいて発現している抗原、例えば、がんマーカー、および/または減弱応答を誘導することを目的とした抗原、例えば、正常細胞もしくは非罹患細胞タイプの表面において発現している抗原に対する特異性をもつCARが構築される。従って、CARは、典型的には、細胞外部分に、1つもしくは複数の抗原結合分子、例えば、1つもしくは複数の抗原結合断片、ドメイン、もしくは部分、または1つもしくは複数の抗体可変ドメイン、および/または抗体分子を含む。一部の態様において、CARは、抗体分子の1つまたは複数の抗原結合部分、例えば、モノクローナル抗体(mAb)の可変重鎖(VH)および可変軽鎖(VL)に由来する単鎖抗体断片(scFv)を含む。
一部の態様において、抗体またはその抗原結合部分は、抗原受容体などの組換え受容体の一部として細胞の表面に発現させる。抗原受容体の中には、機能的非TCR抗原受容体、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)がある。一般的に、ペプチド-MHC複合体に向けられたTCR様特異性を示す抗体または抗原結合断片を含有するCARはまた、TCR様CARと呼ばれることもある。一部の態様において、TCR様CARのMHC-ペプチド複合体に特異的な細胞外抗原結合ドメインは、一部の局面ではリンカーおよび/または膜貫通ドメインを介して、1つまたは複数の細胞内シグナル伝達成分へ連結される。一部の態様において、そのような分子は、典型的には、天然抗原受容体(例えばTCR)を介したシグナル、および、任意で、このような受容体と補助刺激受容体の組み合わせを介したシグナルを模倣するか、またはこれに似せることができる。
一部の態様において、組換え受容体、例えば、キメラ受容体(例えば、CAR)は、抗原(またはリガンド)へ、結合する、例えば特異的に結合する、リガンド結合ドメインを含む。キメラ受容体によって標的化される抗原の中には、養子細胞療法を介して標的化しようとする疾患、状態、または細胞タイプの状況において発現している抗原がある。疾患および状態の中には、血液がん、免疫系のがん、例えば、リンパ腫、白血病、および/または骨髄腫、例えば、B、T、および骨髄性の白血病、リンパ腫、ならびに多発性骨髄腫を含むがんおよび腫瘍を含む、増殖性、新生物性、および悪性の疾患および障害がある。
一部の態様では、抗原(またはリガンド)はポリペプチドである。一部の態様では、それは糖質または他の分子である。一部の態様では、抗原(またはリガンド)は、正常な、または標的ではない細胞もしくは組織と比較して、前記疾患または状態の細胞、例えば、腫瘍細胞または病原性細胞の表面で選択的に発現しているか、または過剰発現している。他の態様では、前記抗原は正常細胞の表面で発現している、および/または操作された細胞の表面で発現している。
一部の態様において、CARは、細胞の表面で発現している抗原、例えば、インタクトな抗原を特異的に認識する抗体または抗原結合断片(例えば、scFv)を含有する。
一部の態様において、抗原(またはリガンド)は、腫瘍抗原またはがんマーカーである。一部の態様において、抗原(またはリガンド) 抗原は、αvβ6インテグリン(avb6インテグリン)、B細胞成熟抗原(BCMA)、B7-H3、B7-H6、炭酸脱水酵素9 (CA9、CAIXまたはG250としても公知)、がん-精巣抗原、がん/精巣抗原1B (CTAG、NY-ESO-1およびLAGE-2としても公知)、がん胎児性抗原(CEA)、サイクリン、サイクリンA2、C-Cモチーフケモカインリガンド1 (CCL-1)、CD19、CD20、CD22、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、CD44v6、CD44v7/8、CD123、CD138、CD171、上皮成長因子タンパク質(EGFR)、切断型上皮成長因子タンパク質(tEGFR)、III型上皮成長因子受容体突然変異(type III epidermal growth factor receptor mutation)(EGFR vIII)、上皮糖タンパク質2 (EPG-2)、上皮糖タンパク質40 (EPG-40)、エフリンB2、エフリン受容体A2 (EPHa2)、エストロゲン受容体、Fc受容体様5 (FCRL5;Fc受容体ホモログ5またはFCRH5としても公知)、胎児アセチルコリン受容体(胎児AchR)、葉酸結合タンパク質(FBP)、葉酸受容体アルファ、ガングリオシドGD2、O-アセチル化GD2 (OGD2)、ガングリオシドGD3、糖タンパク質100 (gp100)、Gタンパク質共役型受容体5D (GPCR5D)、Her2/neu (受容体チロシンキナーゼerb-B2)、Her3 (erb-B3)、Her4 (erb-B4)、erbB二量体、ヒト高分子量メラノーマ関連抗原(HMW-MAA)、B型肝炎表面抗原、ヒト白血球抗原A1 (HLA-A1)、ヒト白血球抗原A2 (HLA-A2)、IL-22受容体アルファ(IL-22Ra)、IL-13受容体アルファ2 (IL-13Ra2)、キナーゼ挿入ドメイン受容体(kdr)、カッパ軽鎖、L1細胞接着分子(L1-CAM)、L1-CAMのCE7エピトープ、ロイシンリッチリピート含有8ファミリーメンバーA (LRRC8A)、ルイスY、メラノーマ関連抗原(MAGE)-A1、MAGE-A3、MAGE-A6、メソテリン、c-Met、マウスサイトメガロウイルス(CMV)、ムチン1 (MUC1)、MUC16、ナチュラルキラーグループ2メンバーD (NKG2D)リガンド、メランA (MART-1)、神経細胞接着分子(NCAM)、腫瘍胎児抗原、メラノーマ優先発現抗原(PRAME)、プロゲステロン受容体、前立腺特異抗原、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、受容体チロシンキナーゼ様オーファン受容体1 (ROR1)、サバイビン、栄養膜糖タンパク質(TPBG、5T4としても公知)、腫瘍関連糖タンパク質72 (TAG72)、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)、血管内皮増殖因子受容体2 (VEGFR2)、ウィルムス腫瘍1 (WT-1)、病原体特異的抗原、またはユニバーサルタグと関連する抗原、および/またはビオチン化分子、および/またはHIV、HCV、HBVもしくは他の病原体によって発現される分子であるかまたはこれらを含む。前記受容体によって標的とされる抗原は、一部の態様では、B細胞悪性腫瘍に関連する抗原、例えば、多数の公知のB細胞マーカーのいずれかを含む。一部の態様では、抗原は、CD20、CD19、CD22、ROR1、CD45、CD21、CD5、CD33、Igκ、Igλ、CD79a、CD79b、またはCD30であるかまたはこれらを含む。
一部の態様において、抗原は、病原体特異的抗原または病原体発現抗原であるかまたはこれらを含む。一部の態様において、抗原は、ウイルス抗原(例えば、HIV、HCV、HBVなどに由来するウイルス抗原)、細菌抗原、および/または寄生生物抗原である。
一部の態様において、抗体または抗原結合断片(例えば、scFv)は、抗原、例えばCD19を特異的に認識する。
一部の態様では、scFvおよび/またはVHドメインはFMC63に由来する。FMC63は、一般的に、ヒト由来のCD19を発現するNalm-1および-16細胞に対して作製されたマウスモノクローナルIgG1抗体を指す(Ling, N. R., et al. (1987). Leucocyte typing III. 302)。FMC63抗体は、SEQ ID NO:38に示したCDRH1、およびSEQ ID NO:39に示したCDRH2、およびSEQ ID NO:40または54に示したCDRH3、ならびにSEQ ID NO:35に示したCDRL1、およびSEQ ID NO:36または55に示したCDR L2、およびSEQ ID NO:37または56に示したCDR L3配列を含む。FMC63抗体は、SEQ ID NO:41のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)、およびSEQ ID NO:42のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。一部の態様では、svFvは、SEQ ID NO:35のCDRL1配列、SEQ ID NO:36のCDRL2配列、およびSEQ ID NO:37のCDRL3配列を含む可変軽鎖、ならびに/またはSEQ ID NO:38のCDRH1配列、SEQ ID NO:39のCDRH2配列、およびSEQ ID NO:40のCDRH3配列を含む可変重鎖を含む。一部の態様では、scFvは、SEQ ID NO:41に示したFMC63の可変重鎖領域、およびSEQ ID NO:42に示したFMC63の可変軽鎖領域を含む。一部の態様では、可変重鎖および可変軽鎖はリンカーによって接続される。一部の態様では、リンカーはSEQ ID NO:59に示される。一部の態様では、scFvは、順に、VHと、リンカーと、VLとを含む。一部の態様では、scFvは、順に、VLと、リンカーと、VHとを含む。一部の態様では、svFcは、SEQ ID NO:57に示したヌクレオチド配列、またはSEQ ID NO:57と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を示す(eHibit)配列によってコードされる。一部の態様では、scFvは、SEQ ID NO:43に示したアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:43と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を示す配列を含む。
一部の態様において、scFvはSJ25C1に由来する。SJ25C1は、ヒト由来のCD19を発現するNalm-1および-16細胞に対して作製されたマウスモノクローナルIgG1抗体である(Ling, N. R., et al. (1987). Leucocyte typing III. 302)。SJ25C1抗体は、それぞれSEQ ID NO:47-49に示したCDRH1、H2、およびH3、ならびにそれぞれSEQ ID NO:44-46に示したCDRL1、L2、およびL3配列を含む。SJ25C1抗体は、SEQ ID NO:50のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)、およびSEQ ID NO:51のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。一部の態様では、svFvは、SEQ ID NO:44のCDRL1配列、SEQ ID NO:45のCDRL2配列、およびSEQ ID NO:46のCDRL3配列を含む可変軽鎖、ならびに/またはSEQ ID NO:47のCDRH1配列、SEQ ID NO:48のCDRH2配列、およびSEQ ID NO:49のCDRH3配列を含む可変重鎖を含む。一部の態様では、scFvは、SEQ ID NO:50に示したSJ25C1の可変重鎖領域、およびSEQ ID NO:51に示したSJ25C1の可変軽鎖領域を含む。一部の態様では、可変重鎖および可変軽鎖はリンカーによって接続される。一部の態様では、リンカーはSEQ ID NO:52に示される。一部の態様では、scFvは、順に、VHと、リンカーと、VLとを含む。一部の態様では、scFvは、順に、VLと、リンカーと、VHとを含む。一部の態様では、scFvは、SEQ ID NO:53に示したアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:53と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を示す配列を含む。
いくつかの態様において、CARは、TCR様の抗体、例えばMHC-ペプチド複合体として細胞表面上に提示される細胞内抗原(例えば腫瘍関連抗原)を特異的に認識する抗体または抗原結合性フラグメント(例えばscFv)を含有する。いくつかの態様において、MHC-ペプチド複合体を認識する抗体またはその抗原結合部分は、抗原受容体などの組換え受容体の一部として、細胞上に発現させることができる。抗原受容体には、キメラ抗原受容体(CAR)などの機能的非TCR抗原受容体が含まれる。一般に、ペプチド-MHC複合体に対してTCR様の特異性を呈する抗体または抗原結合性フラグメントを含有するCARを、TCR様CARということもできる。
「主要組織適合遺伝子複合体」(MHC)とは、多形のペプチド結合部位またはペプチド結合溝であって、いくつかの例では、細胞機構によってプロセシングされたペプチド抗原などといったポリペプチドのペプチド抗原と複合体を形成することができるものを含有するタンパク質、一般的には糖タンパク質を指す。場合により、MHC分子は、T細胞上の抗原受容体、例えばTCRまたはTCR様抗体によって認識されうるコンフォメーションで抗原を提示するために、例えばペプチドとの複合体、すなわちMHC-ペプチド複合体として、細胞表面上に提示され、または発現されうる。一般に、MHCクラスI分子は、膜を貫通するα鎖、場合によっては3つのαドメインと、非共有結合的に会合したβ2ミクログロブリンとを有するヘテロ二量体である。一般に、MHCクラスII分子は、典型的にはどちらも膜を貫通している、2つの膜貫通糖タンパク質αおよびβとから構成される。MHC分子は、ペプチドを結合するための1つまたは複数の抗原結合部位と、適当な抗原受容体による認識に必要な配列とを含有する、MHCの有効部分を含みうる。いくつかの態様において、MHCクラスI分子は、サイトゾル中で生じたペプチドを細胞表面に送達し、そこでMHC-ペプチド複合体はT細胞によって、例えば一般的にはCD8+ T細胞によって、ただし場合によってはCD4+ T細胞によって、認識される。いくつかの態様において、MHCクラスII分子は、小胞系中で生じたペプチドを細胞表面に送達し、そこでそれらは、典型的にはCD4+ T細胞によって認識される。一般に、MHC分子は、一群の連鎖した遺伝子座によってコードされており、それらはマウスではH-2、ヒトではヒト白血球抗原(HLA)と、総称されている。したがって、通例、ヒトMHCをヒト白血球抗原(HLA)と呼ぶこともできる。
用語「MHC-ペプチド複合体」または「ペプチド-MHC複合体」またはそれらの変形は、ペプチド抗原とMHC分子との複合体または会合物、例えば一般的には、MHC分子の結合溝または結合クレフトにおけるペプチドの非共有結合的相互作用によるものを指す。いくつかの態様において、MHC-ペプチド複合体は、細胞の表面に存在し、または提示される。いくつかの態様において、MHC-ペプチド複合体は、TCR、TCR様CARまたはそれらの抗原結合部分などの抗原受容体によって、特異的に認識されうる。
いくつかの態様において、ポリペプチドのペプチド、例えばペプチド抗原またはペプチドエピトープは、例えば抗原受容体による認識のために、MHC分子と会合することができる。一般に、ペプチドは、より長い生物学的分子、例えばポリペプチドまたはタンパク質のフラグメントに由来しまたは基づく。いくつかの態様において、ペプチドは典型的には約8~約24アミノ酸長である。いくつかの態様において、ペプチドは、MHCクラスII複合体における認識のために、9~22アミノ酸または約9~22アミノ酸の長さを有する。いくつかの態様において、ペプチドは、MHCクラスI複合体における認識のために、8~13アミノ酸または約8~13アミノ酸の長さを有する。いくつかの態様では、MHC分子との関連においてペプチドが認識されると、例えばMHC-ペプチド複合体が認識されると、TCRまたはTCR様CARなどの抗原受容体は、T細胞応答、例えばT細胞増殖、サイトカイン生産、細胞傷害性T細胞応答または他の応答を誘導する、T細胞への活性化シグナルを生成し、またはトリガーする。
一部の態様において、TCR様の抗体または抗原結合部分は、公知であるか、または公知の方法によって生成することができる(例えば、米国特許出願公開番号US 2002/0150914; US 2003/0223994; US 2004/0191260; US 2006/0034850; US 2007/00992530; US20090226474; US20090304679; および国際PCT公開番号WO 03/068201を参照されたい)。
いくつかの態様において、MHC-ペプチド複合体に特異的に結合する抗体またはその抗原結合部分は、特異的MHC-ペプチド複合体を含有する免疫原の有効量で宿主を免疫することによって生産することができる。場合により、MHC-ペプチド複合体のペプチドは、MHCに結合する能力を有する抗原、例えば腫瘍抗原、例えばユニバーサル腫瘍抗原、骨髄腫抗原または後述する他の抗原のエピトープである。いくつかの態様では、次に、免疫応答を引き出すために有効量の免疫原が宿主に投与され、ここでは、免疫原が、MHC分子の結合溝におけるペプチドの三次元的提示に対する免疫応答を引き出すのに十分な期間にわたって、その三次元形状を保つ。次に、宿主から収集された血清をアッセイして、MHC分子の結合溝におけるペプチドの三次元的提示を認識する所望の抗体が生産されているかどうかを決定する。いくつかの態様において、抗体が、MHC-ペプチド複合体を、MHC分子単独、関心対象のペプチド単独、およびMHCと無関係なペプチドとの複合体と、区別できることを確認するために、生産された抗体を評価することができる。次に、所望の抗体を単離することができる。
いくつかの態様において、MHC-ペプチド複合体に特異的に結合する抗体またはその抗原結合部分は、ファージ抗体ライブラリーなどの抗体ライブラリーディスプレイ法を使って生産することができる。いくつかの態様では、例えばライブラリーのメンバーが、1つまたは複数のCDRの1つまたは複数の残基において、突然変異を起こしている、突然変異型のFab、scFVまたは他の抗体形態のファージディスプレイライブラリーを作製することができる。例えば、米国特許出願公開番号US20020150914、US2014/0294841; およびCohen CJ. et al. (2003) J Mol. Recogn. 16:324-332を参照されたい。
用語「抗体」は、本明細書では、最も広義に使用され、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を包含し、インタクト抗体および抗原に特異的に結合する能力を有する機能的(抗原結合性)抗体フラグメント、例えば、フラグメント抗原結合(Fab)フラグメント、F(ab')2フラグメント、Fab'フラグメント、Fvフラグメント、組換えIgG(rIgG)フラグメント、可変重鎖(VH)領域、一本鎖抗体フラグメント、例えば一本鎖可変フラグメント(scFv)、および単一ドメイン抗体(例えばsdAb、sdFv、ナノボディ)フラグメントを含む。この用語は、免疫グロブリンの遺伝子改変型および/または他の修飾型、例えばイントラボディ、ペプチボディ、キメラ抗体、完全ヒト抗体、ヒト化抗体、およびヘテロコンジュゲート抗体、多重特異性(例えば二重特異性)抗体、ダイアボディ、トリアボディ、およびテトラボディ、タンデム・ジ-scFv、タンデム・トリ-scFvを包含する。別段の言明がある場合を除き、用語「抗体」は、その機能的抗体フラグメントを包含すると理解されるべきである。この用語は、インタクト抗体、すなわち完全長抗体も包含し、任意のクラスまたはサブクラスの抗体、例えばIgGおよびそのサブクラス、IgM、IgE、IgA、ならびにIgDを含む。
いくつかの態様において、抗原結合タンパク質、抗体およびその抗原結合性フラグメントは、完全長抗体の抗原を特異的に認識する。いくつかの態様において、抗体の重鎖および軽鎖は完全長であるか、または抗原結合部分(Fab、F(ab')2、Fvまたは一本鎖Fvフラグメント(scFv))であることができる。別の態様において、抗体重鎖定常領域は、例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、IgD、およびIgEから選ばれ、具体的には例えばIgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4から選ばれ、より具体的には、IgG1(例えばヒトIgG1)である。別の態様において、抗体軽鎖定常領域は例えばカッパまたはラムダから選ばれ、具体的にはカッパである。
ここに提供される抗体には、抗体フラグメントが含まれる。「抗体フラグメント」とは、インタクトな抗体ではない分子であって、インタクトな抗体のうち、インタクトな抗体が結合する抗原に結合する部分を含む分子を指す。抗体フラグメントの例として、Fv、Fab、Fab'、Fab'-SH、F(ab')2;ダイアボディ;線状抗体;可変重鎖(VH)領域、一本鎖抗体分子、例えばscFvおよび単一ドメインVH抗体(single-domain VH single antibody);ならびに抗体フラグメントから形成された多重特異性抗体が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。特定の態様において、抗体は、可変重鎖領域および/または可変軽鎖領域を含む一本鎖抗体フラグメント、例えばscFvである。
「可変領域」または「可変ドメイン」という用語は、抗体重鎖または抗体軽鎖のうち、抗原への抗体の結合に関与するドメインを指す。ネイティブ抗体の重鎖および軽鎖の可変ドメイン(それぞれVHおよびVL)は一般に類似する構造を有し、各ドメインは4つの保存されたフレームワーク領域(FR)と3つのCDRとを含んでいる(例えば、Kindt et al. Kuby Immunology, 6th ed., W.H. Freeman and Co., page 91 (2007)を参照されたい)。抗原結合特性を付与するには単一のVHドメインまたはVLドメインで十分でありうる。さらにまた、特定の抗原に結合する抗体は、その抗原に結合する抗体からのVHドメインまたはVLドメインを使って、それぞれ相補的なVLドメインまたはVHドメインのライブラリーをスクリーニングすることにより、単離することができる。例えば、Portolano et al., J. Immunol. 150:880-887 (1993); Clarkson et al., Nature 352:624-628 (1991)を参照されたい。
単一ドメイン抗体は、抗体の重鎖可変ドメインの全部もしくは一部または抗体の軽鎖可変ドメインの全部もしくは一部を含む抗体フラグメントである。一定の態様において、単一ドメイン抗体はヒト単一ドメイン抗体である。いくつかの態様において、CARは、抗原、例えば腫瘍細胞またはがん細胞などの標的となるべき細胞または疾患のがんマーカーまたは細胞表面抗原、例えば本明細書に記載のまたは公知のターゲット抗原のいずれかに、特異的に結合する抗体重鎖ドメインを含む。
抗体フラグメントは、例えば限定するわけではないが、インタクトな抗体のタンパク質分解的消化および組換え宿主細胞による生産などといった、さまざまな技法によって製造することができる。いくつかの態様において、抗体は、組換え生産されたフラグメント、例えば自然には見いだされない編成を含むフラグメント、例えば2つ以上の抗体領域または抗体鎖が合成リンカー(例えばペプチドリンカー)で連結されているもの、および/または天然のインタクトな抗体の酵素消化では生産され得ないものである。いくつかの態様において、抗体フラグメントはscFvである。
「ヒト化」抗体は、CDRアミノ酸残基のすべてまたは実質上すべてが非ヒトCDRに由来し、FRアミノ酸残基のすべてまたは実質上すべてがヒトFRに由来する抗体である。ヒト化抗体は、任意で、ヒト抗体由来の抗体定常領域の少なくとも一部分を含みうる。非ヒト抗体の「ヒト化型」とは、典型的には、親非ヒト抗体の特異性およびアフィニティを保ちつつヒトに対する免疫原性を低減するためにヒト化を受けた、非ヒト抗体の変異体を指す。いくつかの態様では、ヒト化抗体中のいくつかのFR残基が、例えば抗体の特異性またはアフィニティを回復または改良するために、非ヒト抗体(例えばCDR残基の由来源である抗体)の対応残基で置換される。
従って、一部の態様において、TCR様CARを含む、キメラ抗原受容体は、抗体または抗体断片を含有する細胞外部分を含む。一部の態様において、抗体または断片はscFvを含む。一部の局面において、キメラ抗原受容体は、抗体または断片を含有する細胞外部分、および細胞内シグナル伝達領域を含む。一部の態様において、細胞内シグナル伝達領域は細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、一次シグナル伝達ドメイン、T細胞において一次活性化シグナルを誘導することができるシグナル伝達ドメイン、T細胞受容体(TCR)成分のシグナル伝達ドメイン、および/または免疫受容活性化チロシンモチーフ(ITAM)を含むシグナル伝達ドメインであるかまたはこれらを含む。
いくつかの態様において、CARなどの組換え受容体、例えばその抗体部分は、スペーサーをさらに含み、このスペーサーは、免疫グロブリン定常領域またはその変異体もしくは修飾型の少なくとも一部分、例えばヒンジ領域、例えばIgG4ヒンジ領域、ならびに/またはCH1/CLおよび/もしくはFc領域であるか、それを含むことができる。いくつかの態様において、組換え受容体は、スペーサーおよび/またはヒンジ領域をさらに含む。一部の態様では、定常領域または定常部分はヒトIgG、例えば、IgG4またはIgG1の定常領域または定常部分である。一部の局面では、定常領域の一部は、抗原認識成分、例えば、scFvと膜貫通ドメインとの間にあるスペーサー領域として役立つ。スペーサーは、スペーサーが存在しない場合と比較して、抗原結合に続く細胞の応答性を増加させる長さであることができる。例示的なスペーサー、例えばヒンジ領域としては、国際特許出願公開番号WO2014031687に記載されているものが挙げられる。いくつかの例において、スペーサーは、12アミノ酸長または約12アミノ酸長であるか、12アミノ酸長を超えない。例示的なスペーサーとしては、少なくとも約10~229アミノ酸、約10~200アミノ酸、約10~175アミノ酸、約10~150アミノ酸、約10~125アミノ酸、約10~100アミノ酸、約10~75アミノ酸、約10~50アミノ酸、約10~40アミノ酸、約10~30アミノ酸、約10~20アミノ酸、または約10~15アミノ酸を有するもの(列挙した範囲のいずれかの端点間の任意の整数を含む)が挙げられる。いくつかの態様において、スペーサー領域は、約12アミノ酸以下、約119アミノ酸以下、または約229アミノ酸以下を有する。例示的なスペーサーとしては、IgG4ヒンジのみ、CH2ドメインおよびCH3ドメインに連結されたIgG4ヒンジ、またはCH3ドメインに連結されたIgG4ヒンジが挙げられる。例示的なスペーサーとしては、Hudecek et al. (2013) Clin. Cancer Res., 19:3153、Hudecek et al. (2015) Cancer Immunol Res. 3(2): 125-135、または国際特許出願公開番号WO2014031687、米国特許第8,822,647号もしくは出願公開番号US2014/0271635に記載されているものが挙げられるが、それらに限定されるわけではない。一部の態様では、定常領域または定常部分は、ヒトIgG、例えば、IgG4またはIgG1の定常領域または定常部分である。一部の態様では、スペーサーは、SEQ ID NO:1に示した配列を有し、SEQ ID NO:2に示した配列によってコードされる。一部の態様では、スペーサーは、SEQ ID NO:3に示した配列を有する。一部の態様では、スペーサーは、SEQ ID NO:4に示した配列を有する。
一部の局面において、スペーサーは、ポリペプチドスペーサーであり、これは、(a)免疫グロブリンヒンジの全てもしくは一部またはその改変されたバージョンを含むか、またはそれからなるか、あるいは約15個以下のアミノ酸を含み、CD28細胞外領域もCD8細胞外領域も含まないか;(b)免疫グロブリンヒンジ、任意でIgG4ヒンジの、全てもしくは一部またはその改変されたバージョンを含むか、またはそれからなる、および/あるいは約15個以下のアミノ酸を含み、CD28細胞外領域もCD8細胞外領域も含まないか;あるいは(c)12アミノ酸長もしくは約12アミノ酸長である、および/あるいは免疫グロブリンヒンジ、任意でIgG4の、全てもしくは一部またはその改変されたバージョンを含むか、またはそれからなるか;あるいは(d) SEQ ID NO: 1、3~5、27~34もしくは58に示されるアミノ酸配列、または前述の配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の、もしくはそれより大きい配列同一性を有する、前述の配列のいずれかの変種を含むか、またはそれからなるか;あるいは(e)式X1PPX2Pを含むか、またはそれからなり、式中、X1がグリシン、システイン、またはアルギニンであり、X2がシステインまたはスレオニンである。
一部の態様では、定常領域または定常部分はIgDの定常領域または定常部分である。一部の態様では、スペーサーは、SEQ ID NO:5に示した配列を有する。一部の態様では、スペーサーは、SEQ ID NO:1、3、4、または5のいずれかに対して少なくともまたは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはこれより多い配列同一性を示すアミノ酸配列を有する。
この抗原認識ドメインは、一般的に、1つまたは複数の細胞内シグナル伝達成分、例えば、抗原受容体複合体、例えば、CARの場合はTCR複合体を介した活性化、および/または別の細胞表面受容体を介したシグナルを模倣するシグナル伝達成分に連結される。シグナルは、一部の態様において免疫賦活性かつ/または補助刺激性であり得る。一部の態様において、それは抑制性、例えば、免疫抑制性であり得る。従って、一部の態様では、抗原結合成分(例えば、抗体)は、1つまたは複数の膜貫通および細胞内シグナル伝達ドメインおよび/または領域に連結される。一部の態様において、膜貫通ドメインは細胞外ドメインに融合される。一態様では、前記受容体、例えば、CARにおいて前記ドメインの1つと天然で結合している膜貫通ドメインが用いられる。場合によっては、膜貫通ドメインは、受容体複合体の他のメンバーとの相互作用を最小にするために、このようなドメインと、同じまたは異なる表面膜タンパク質の膜貫通ドメインとの結合を避けるように選択されるか、またはアミノ酸置換によって改変される。
膜貫通ドメインは一部の態様では天然供給源または合成供給源のいずれかに由来する。供給源が天然の場合、前記ドメインは、一部の局面では、任意の膜結合タンパク質または膜貫通タンパク質に由来する。膜貫通領域としては、T細胞受容体のα鎖、β鎖、もしくはζ鎖、CD28、CD3ε、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154に由来するもの(すなわち、少なくとも、これらの膜貫通領域を含むもの)、および/またはそれらの機能的変異体を含有する膜貫通領域、例えば、その構造的(例えば膜貫通)特性の実質的部分を保っているものが挙げられる。一部の態様において、膜貫通ドメインは、CD4、CD28、またはCD8、例えばCD8アルファに由来する膜貫通ドメイン、またはその機能的変異体である。膜貫通ドメインは一部の態様では合成である。一部の局面では、合成膜貫通ドメインは、主に、疎水性残基、例えば、ロイシンおよびバリンを含む。一部の局面では、フェニルアラニン、トリプトファン、およびバリンのトリプレットが合成膜貫通ドメインの各末端に見られる。一部の態様では、連結は、リンカー、スペーサー、および/または膜貫通ドメインによるものである。
細胞内シグナル伝達ドメインの中には、天然抗原受容体を介したシグナル、このような受容体と補助刺激受容体の組み合わせを介したシグナル、および/または補助刺激受容体のみを介したシグナルを模倣するか、またはこれに似せる細胞内シグナル伝達ドメインがある。一部の態様では、短いオリゴペプチドリンカーまたはポリペプチドリンカー、例えば、2~10アミノ酸長のリンカー、例えば、グリシンおよびセリン、例えば、グリシン-セリンダブレットを含有するリンカーがCARの膜貫通ドメインと細胞質シグナル伝達ドメインとの間に存在し、その間に連結を形成する。
受容体、例えばCARは、一般に、少なくとも1つの細胞内シグナル伝達成分を含む。一部の態様では、前記受容体は、TCR複合体の細胞内成分、例えば、T細胞活性化および細胞傷害性を媒介するTCR CD3鎖、例えば、CD3ζ鎖を含む。従って、一部の局面では、抗原結合部分は1つまたは複数の細胞シグナル伝達モジュールに連結される。一部の態様では、細胞シグナル伝達モジュールは、CD3膜貫通ドメイン、CD3細胞内シグナル伝達ドメイン、および/または他のCD膜貫通ドメインを含む。一部の態様では、前記受容体、例えば、CARは、1種類または複数種のさらなる分子、例えば、Fc受容体γ、CD8、CD4、CD25、またはCD16の一部をさらに含む。例えば、一部の局面では、CARまたは他のキメラ受容体には、CD3-ゼータ(CD3-ζ)またはFc受容体γと、CD8、CD4、CD25、またはCD16とのキメラ分子が含まれる。
一部の態様では、CARまたは他のキメラ受容体が連結されると、前記受容体の細胞質ドメインまたは細胞内シグナル伝達ドメインおよび/もしくは領域は、免疫細胞、例えば、CARを発現するように操作されたT細胞の正常なエフェクター機能または応答の少なくとも1つを活性化する。例えば、ある状況では、CARは、T細胞の機能、例えば、細胞溶解活性またはTヘルパー活性、例えば、サイトカインまたは他の因子の分泌を誘導する。一部の態様では、抗原受容体成分または補助刺激分子の細胞内シグナル伝達ドメインの切断された部分が、例えば、エフェクター機能シグナルを伝達するのであれば、インタクトな免疫賦活性鎖の代わりに用いられる。一部の態様では、細胞内シグナル伝達ドメインおよび/または領域は、T細胞受容体(TCR)の細胞質配列を含み、一部の局面では、天然の状況では、このような受容体と協調して、抗原受容体結合後にシグナル伝達を開始するように働く補助受容体の細胞質配列、および/またはそのような分子の任意の誘導体もしくは変異体、および/または同じ機能的能力を有する任意の合成配列も含む。
天然TCRの状況では、完全活性化には、一般的に、TCRを介したシグナル伝達だけでなく補助刺激シグナルも必要とされる。従って、一部の態様では、完全活性化を促進するには、二次シグナルまたは補助刺激シグナルを発生させるための成分もCARに含まれる。他の態様では、CARは、補助刺激シグナルを発生させるための成分を含まない。一部の局面では、さらなるCARが同じ細胞において発現され、二次シグナルまたは補助刺激シグナルを発生させるための成分を提供する。
T細胞活性化は、一部の局面では、2種類の細胞質シグナル伝達配列:TCRを介して抗原依存的一次活性化を開始する細胞質シグナル伝達配列(一次細胞質シグナル伝達配列)、および抗原非依存的に二次シグナルまたは補助刺激シグナルを供給するように働く細胞質シグナル伝達配列(二次細胞質シグナル伝達配列)によって媒介されると説明される。一部の局面では、CARは、このようなシグナル伝達成分の一方または両方を含む。
一部の局面では、CARは、天然設定においてTCR複合体の一次活性化を促進するシグナル伝達分子またはドメイン由来の一次細胞質シグナル伝達配列を含む。刺激するように働く一次細胞質シグナル伝達配列は、免疫受容活性化チロシンモチーフ、すなわちITAMとして知られるシグナル伝達モチーフを含有してもよい。ITAMを含有する一次細胞質シグナル伝達配列の例には、TCRまたはCD3ζ鎖、FcRγ、CD3γ、CD3δおよびCD3εまたはFcRβに由来する一次細胞質シグナル伝達配列が含まれる。一部の態様では、CARにある細胞質シグナル伝達分子は、CD3ζに由来する細胞質シグナル伝達ドメイン、その一部、またはCD3ζに由来する配列を含有する。
一部の態様では、CARは、補助刺激受容体、例えば、CD28、4-1BB、OX40、DAP10、およびICOSのシグナル伝達ドメインおよび/または膜貫通部分を含む。一部の局面では、同じCARが活性化成分と補助刺激成分を両方とも含む。
一部の態様では、あるCARには活性化ドメインが含まれるのに対して、同じ細胞上に存在する、別の抗原を認識する別のCARによって補助刺激成分が提供される。一部の態様では、CARは活性化または刺激CAR、補助刺激CARを含み、両方とも同じ細胞上に発現される(WO2014/055668を参照されたい)。一部の局面では、前記細胞は1種類または複数種の刺激もしくは活性化CARおよび/または補助刺激CARを含む。一部の態様では、前記細胞は、阻害性CAR(iCAR、Fedorov et al., Sci. Transl. Medicine, 5(215) (December, 2013)を参照されたい。例えば、前記疾患もしくは状態に関連する、および/または前記疾患もしくは状態に特異的な抗原以外の抗原を認識するCAR。例えば、オフターゲット効果を小さくするために、疾患標的指向CARを通じて送達された活性化シグナルは、阻害性CARとそのリガンドが結合することによって減弱または阻害される)をさらに含む。
一部の態様において、CARなどの、組換え受容体の細胞内シグナル伝達成分は、CD3ζ細胞内ドメインおよび補助刺激シグナル伝達領域を含む。ある特定の態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3(例えば、CD3-ζ)細胞内ドメインと連結したCD28膜貫通およびシグナル伝達ドメインを含む。一部の態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζ細胞内ドメインと連結したキメラCD28およびCD137(4-1BB、TNFRSF9)補助刺激ドメインを含む。
一部の態様では、CARは、細胞質部分に、1つまたは複数の、例えば、2つ以上の、補助刺激ドメインおよび活性化ドメイン、例えば、一次活性化ドメインを含む。例示的なCARは、CD3ζ、CD28、および4-1BBの細胞内成分を含む。
一部の態様では、CARまたは他の抗原受容体は、マーカー、例えば、前記受容体の形質導入もしくは前記受容体を発現させるための細胞の操作を確認するのに用いられ得る細胞表面マーカー、細胞表面受容体の切断型バージョン、例えば切断型EGFR(tEGFR)をさらに含む。一部の局面では、マーカーは、CD34、NGFR、または上皮増殖因子受容体の全てまたは一部(例えば、切断型)(例えば、tEGFR)を含む。一部の態様では、マーカーをコードする核酸は、リンカー配列、例えば、切断可能なリンカー配列、例えば、T2Aをコードするポリヌクレオチドに機能的に連結される。例えば、マーカー、任意で、リンカー配列は、公開された特許出願番号WO2014031687に開示されるような任意のものでよい。例えば、マーカーは、任意で、リンカー配列、例えば、T2A切断可能リンカー配列に連結された切断型EGFR(tEGFR)でもよい。一部の態様では、マーカーは、T細胞上に天然で見出されないか、もしくはT細胞の表面に天然で見出されない分子、例えば、細胞表面タンパク質、またはその一部である。
一部の態様では、前記分子は、非自己分子、例えば、非自己タンパク質、すなわち、前記細胞が養子移入される宿主の免疫系が「自己」と認識しない分子である。
一部の態様では、マーカーは治療機能を果たさない、および/または遺伝子操作するための、例えば、首尾良く操作された細胞を選択するためのマーカーとして使用する以外の効果をもたらさない。他の態様では、マーカーは治療用分子でもよく、何らかの望ましい効果を別の方法で発揮する分子、例えばインビボで遭遇する細胞にとってのリガンド、例えば養子移入されてリガンドと出会ったときに、細胞の応答を強化しかつ/または弱めるための補助刺激分子または免疫チェックポイント分子であってもよい。
場合によっては、CARは、第一世代CAR、第二世代CAR、および/または第三世代CARと呼ばれる。一部の局面では、第一世代CARは、抗原が結合した時に、CD3鎖によって誘導されるシグナルしか生じないCARである。一部の局面では、第二世代CARは、このようなシグナルと補助刺激シグナルを生じるCAR、例えば、CD28またはCD137などの補助刺激受容体に由来する細胞内シグナル伝達ドメインを含むCARである。一部の局面では、第三世代CARは、異なる補助刺激受容体の複数の補助刺激ドメインを含むCARである。
一部の態様では、キメラ抗原受容体は、抗原結合ドメイン、例えば、抗体または抗原結合抗体断片(例えばscFvまたはFv)を含有する細胞外部分を含む。一部の局面では、キメラ抗原受容体は、抗体または断片を含有する細胞外部分と、細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。一部の態様では、抗体または断片はscFvまたは単一ドメインVH抗体を含み、細胞内ドメインはITAMを含有する。一部の局面では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3-ゼータ(CD3ζ)鎖のゼータ鎖のシグナル伝達ドメインを含む。一部の態様では、キメラ抗原受容体は、細胞外ドメインと細胞内シグナル伝達ドメインを連結する膜貫通ドメインを含む。一部の局面では、膜貫通ドメインはCD28の膜貫通部分を含有する。一部の態様では、キメラ抗原受容体は、T細胞補助刺激分子の細胞内ドメインを含有する。細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインは直接的または間接的に連結することができる。一部の態様では、細胞外ドメインおよび膜貫通は、スペーサー、例えば、本明細書に記載の任意のスペーサーによって連結される。一部の態様では、前記受容体は、膜貫通ドメインが得られた分子の細胞外部分、例えば、CD28細胞外部分を含有する。一部の態様では、キメラ抗原受容体は、T細胞補助刺激分子に由来する細胞内ドメインまたはその機能的変種を、例えば、膜貫通ドメインと細胞内シグナル伝達ドメインとの間に含む。一部の局面では、T細胞補助刺激分子はCD28または41BBである。
例えば、一部の態様では、CARは、抗体、例えば、抗体断片と、CD28の膜貫通部分もしくはその機能的変種であるか、またはそれを含む膜貫通ドメインと、CD28のシグナル伝達部分もしくはその機能的変種およびCD3ζのシグナル伝達部分もしくはその機能的変種を含む細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の態様では、CARは、抗体、例えば、抗体断片と、CD28の膜貫通部分もしくはその機能的変種であるか、またはそれを含む膜貫通ドメインと、4-1BBのシグナル伝達部分もしくはその機能的変種およびCD3ζのシグナル伝達部分もしくはその機能的変種を含む細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部のこのような態様では、前記受容体は、Ig分子の一部、例えば、ヒトIg分子の一部、例えば、Igヒンジ、例えば、IgG4ヒンジを含むスペーサー、例えば、ヒンジのみのスペーサーをさらに含む。
一部の態様では、前記組換え受容体、例えば、CARの膜貫通ドメインは、ヒトCD28の膜貫通ドメインもしくはその変種、例えば、ヒトCD28(アクセッション番号P10747.1)の27-アミノ酸膜貫通ドメインであるか、または、SEQ ID NO:8に示したアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:8と少なくともまたは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の、もしくはそれより大きい配列同一性を示すアミノ酸配列を含む膜貫通ドメインである。一部の態様では、組換え受容体の膜貫通ドメイン含有部分は、SEQ ID NO:9に示したアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:9と少なくともまたは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の、もしくはそれより大きい配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
一部の態様では、細胞内シグナル伝達領域は、ヒトCD28の細胞内補助刺激シグナル伝達ドメインまたはその機能的変種もしくは部分、例えば、その41アミノ酸ドメイン、および/または、天然CD28タンパク質の位置186-187においてLL→GG置換のあるそのようなドメインを含む。一部の態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、SEQ ID NO:10もしくは11に示したアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:10もしくは11と少なくともまたは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の、もしくはそれより大きい配列同一性を示すアミノ酸配列を含んでもよい。一部の態様では、細胞内領域は、4-1BBの細胞内補助刺激シグナル伝達ドメインまたはその機能的変種もしくは部分、例えば、ヒト4-1BB(アクセッション番号Q07011.1)の42-アミノ酸細胞質ドメインまたはその機能的変種もしくは部分、例えば、SEQ ID NO:12に示したアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:12と少なくともまたは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の、もしくはそれより大きい配列同一性を示すアミノ酸配列を含む。
一部の態様では、細胞内シグナル伝達領域は、ヒトCD3鎖、任意で、CD3ζ刺激シグナル伝達ドメインまたはその機能的変種、例えば、ヒトCD3ζ(アクセッション番号:P20963.2)のアイソフォーム3の112 AA細胞質ドメイン、または米国特許第7,446,190号もしくは米国特許第8,911,993号に記載のCD3ζシグナル伝達ドメインを含む。一部の態様では、細胞内シグナル伝達領域は、SEQ ID NO:13、14、もしくは15に示したアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:13、14、もしくは15と少なくともまたは少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の、もしくはそれより大きい配列同一性を示すアミノ酸配列を含む。
一部の局面では、スペーサーは、IgGのヒンジ領域しか含まず、例えば、IgG4またはIgG1のヒンジしか含まず、例えば、SEQ ID NO:1に示した、ヒンジのみのスペーサーを含む。他の態様では、スペーサーは、CH2ドメインおよび/またはCH3ドメインに連結された、Igヒンジ、例えば、IgG4ヒンジである。一部の態様では、スペーサーは、例えば、SEQ ID NO:3に示した、CH2ドメインおよびCH3ドメインに連結された、Igヒンジ、例えば、IgG4ヒンジである。一部の態様では、スペーサーは、例えば、SEQ ID NO:4に示した、CH3ドメインだけに連結された、Igヒンジ、例えば、IgG4ヒンジである。一部の態様では、スペーサーは、グリシン-セリンリッチ配列もしくは他の可撓性リンカー、例えば、公知の可撓性リンカーであるか、またはこれらを含む。
一部の態様では、キメラ抗原受容体はT細胞補助刺激分子の細胞内ドメインを含む。一部の局面では、T細胞補助刺激分子はCD28または41BBである。
例えば、一部の態様では、CARは、抗体、例えば、scFvを含む抗体断片と、スペーサー、例えば、免疫グロブリン分子の一部、例えば、ヒンジ領域および/または重鎖分子の1つもしくは複数の定常領域を含むスペーサー、例えば、Ig-ヒンジ含有スペーサーと、CD28由来膜貫通ドメインの全てまたは一部を含む膜貫通ドメインと、CD28由来細胞内シグナル伝達ドメインと、CD3ζシグナル伝達ドメインを含む。一部の態様では、CARは、抗体または断片、例えば、scFvと、スペーサー、例えば、任意のIg-ヒンジ含有スペーサーと、CD28由来膜貫通ドメインと、4-1BB由来細胞内シグナル伝達ドメインと、CD3ζ由来シグナル伝達ドメインを含む。
一部の態様では、このようなCAR構築物をコードする核酸分子は、T2Aリボソームスキップエレメントおよび/またはtEGFR配列をコードする配列を、例えば、CARをコードする配列の下流にさらに含む。一部の態様では、抗原受容体(例えば、CAR)を発現するT細胞はまた、(例えば、同じ構築物から2種類のタンパク質を発現するように、T2Aリボソームスイッチによって分けられたCARおよびEGFRtをコードする構築物を導入することによって)非免疫原性選択エピトープとして切断型EGFR(EGFRt)を発現させ、次いで、このような細胞を検出するためのマーカーとして使用できるように作製することもできる(例えば、米国特許第8,802,374号を参照されたい)。
用語「ポリペプチド」および「タンパク質」は、アミノ酸残基のポリマーを指すために同義に用いられ、最小の長さに限定されない。提供される受容体を含むポリペプチドと、他のポリペプチド、例えば、リンカーまたはペプチドは、天然アミノ酸残基および/または非天然アミノ酸残基を含むアミノ酸残基を含んでもよい。これらの用語はまた、ポリペプチドの発現後修飾、例えば、グリコシル化、シアリル化、アセチル化、およびリン酸化も含む。一部の局面では、ポリペプチドは、タンパク質が望ましい活性を維持する限り、自然または天然の配列に対して修飾を含有してもよい。これらの修飾は、部位特異的変異誘発を介した修飾のように意図的なものでもよく、タンパク質を産生する宿主の変異またはPCR増幅によるエラーを介した修飾のように偶発的なものでもよい。
2.T細胞受容体(TCR)
一部の態様において、腫瘍、ウイルスまたは自己免疫タンパク質の抗原のような、標的ポリペプチドのペプチドエピトープまたはT細胞エピトープを認識するT細胞受容体(TCR)またはその抗原結合部分を発現する操作細胞、例えば、T細胞を提供する。
一部の態様において、「T細胞受容体」または「TCR」は、可変αおよびβ鎖(それぞれ、TCRαおよびTCRβとしても公知)もしくは可変γおよびδ鎖(それぞれ、TCRαおよびTCRβとしても公知)またはそれらの抗原結合部分を含有し、MHC分子へ結合されたペプチドへ特異的に結合することができる、分子である。一部の態様において、TCRはαβ型である。典型的に、αβ型およびγδ型で存在するTCRは、一般に構造上は類似しているが、それらを発現するT細胞は、別々の解剖学的位置または機能を有し得る。TCRは、細胞の表面に見いだされるか、または可溶型で見いだされ得る。一般に、TCRは、T細胞(またはTリンパ球)の表面上に見いだされ、そこで、一般的には、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子に結合した抗原の認識を担っている。
別段の言明がある場合を除き、用語「TCR」は、完全なTCRならびにその抗原結合部分または抗原結合断片を包含すると理解されるべきである。一部の態様において、TCRは、インタクトまたは完全長TCRであり、αβ型のTCRまたはγδ型のTCRを含む。一部の態様において、TCRは、完全長TCR未満であるが、MHC分子中に結合している特異的抗原ペプチドへ結合する、例えば、MHC-ペプチド複合体へ結合する、抗原結合部分である。場合によっては、TCRの抗原結合部分または断片は、完全長またはインタクトTCRの構造ドメインの一部分だけを含有することができるが、完全なTCRが結合するペプチドエピトープ、例えば、MHC-ペプチド複合体に依然として結合することができる。場合によっては、抗原結合部分は、特異的MHC-ペプチド複合体に結合するための結合部位を形成するのに十分な、TCRの可変ドメイン、例えばTCRの可変α鎖および可変β鎖を含有する。一般に、TCRの可変鎖は、ペプチド、MHCおよび/またはMHC-ペプチド複合体の認識に関与する相補性決定領域を含有する。
一部の態様において、TCR鎖の可変ドメインは、超可変ループ、または相補性決定領域(CDR)を含有し、これらは、一般に、抗原認識ならびに結合能力および特異性への主要な寄与物である。一部の態様において、TCRのCDRまたはそれらの組み合わせは、所定のTCR分子の抗原結合部位の全てまたは実質的に全てを形成する。TCR鎖の可変領域内の様々なCDRは、一般に、フレームワーク領域(FR)によって隔てられており、これらは、一般に、CDRと比較して、TCR分子間でより少ない可変性を示す(例えば、Jores et al., Proc. Nat’l Acad. Sci. U.S.A. 87:9138, 1990; Chothia et al., EMBO J. 7:3745, 1988を参照されたい。また、Lefranc et al., Dev. Comp. Immunol. 27:55, 2003も参照されたい)。一部の態様において、CDR3は、抗原結合または特異性を担う主要CDRであり、または、抗原認識について、および/またはペプチド-MHC複合体のプロセシングされたペプチド部分との相互作用について、所定のTCR可変領域上の3つのCDRの中で最も重要である。一部の状況では、アルファ鎖のCDR1は、ある抗原性ペプチドのN末端部と相互作用することができる。一部の状況では、ベータ鎖のCDR1は、ペプチドのC末端部と相互作用することができる。一部の状況では、CDR2は、MHC-ペプチド複合体のMHC部分との相互作用またはその認識に最も強く寄与するか、またはこれらを担う主要CDRである。一部の態様において、β鎖の可変領域は、さらなる超可変領域(CDR4またはHVR4)を含有することができ、これは、一般に、スーパー抗原結合に関与するが、抗原認識には関与しない(Kotb (1995) Clinical Microbiology Reviews, 8:411-426)。
一部の態様において、TCRは、定常ドメイン、膜貫通ドメインおよび/または短い細胞質テールも含有しうる(例えば、Janeway et al., Immunobiology: The Immune System in Health and Disease, 3rd Ed., Current Biology Publications, p. 4:33, 1997参照)。一部の局面において、TCRの各鎖は、1つのN末端免疫グロブリン可変ドメイン、1つの免疫グロブリン定常ドメイン、膜貫通領域、およびC末端の短い細胞質テールを有しうる。一部の態様において、TCRは、シグナル伝達の媒介に関与するCD3複合体の不変(invariant)タンパク質と会合する。
いくつかの態様において、TCR鎖は1つまたは複数の定常ドメインを含有する。例えば、所定のTCR鎖(例えばα鎖またはβ鎖)の細胞外部分は、2つの免疫グロブリン様ドメイン、例えば、可変ドメイン(例えば、VαまたはVβ;Kabatナンバリング(Kabat et al., “Sequences of Proteins of Immunological Interest, US Dept. Health and Human Services, Public Health Service National Institutes of Health, 1991, 5th ed.)に基づいて、典型的にはアミノ酸1~116)と、細胞膜に隣接する定常ドメイン(例えば、α鎖定常ドメインもしくはCα、Kabatナンバリングに基づいて典型的には鎖の位置117~259、または、β鎖定常ドメインもしくはCβ、Kabatに基づいて典型的には鎖の位置117~295)とを含有しうる。例えば、いくつかの例において、これら2つの鎖によって形成されるTCRの細胞外部分は、2つの膜近位定常ドメインと、2つの膜遠位可変ドメインとを含有し、これらの可変ドメインは、各々、CDRを含有する。TCRドメインの定常ドメインは短い接続配列を含有し得、そこではシステイン残基がジスルフィド結合を形成することで、TCRの2つの鎖を連結している。いくつかの態様では、TCRが定常ドメイン中に2つのジスルフィド結合を含有するように、TCRはα鎖およびβ鎖のそれぞれに追加のシステイン残基を有しうる。
いくつかの態様において、TCR鎖は膜貫通ドメインを含有する。いくつかの態様において、膜貫通ドメインは正に荷電している。場合により、TCR鎖は細胞質テールを含有する。場合により、この構造は、TCRがCD3およびそのサブユニットのような他の分子と会合することを可能にする。例えば、定常ドメインを膜貫通領域と共に含有するTCRは、そのタンパク質を細胞膜に固定して、CD3シグナリング装置または複合体の不変サブユニットと会合することができる。CD3シグナル伝達サブユニット(例えば、CD3γ、CD3δ、CD3εおよびCD3ζ鎖)の細胞内テールは、TCR複合体のシグナリング能力に関与する1つまたは複数の免疫受容活性化チロシンモチーフまたはITAMを含有する。
いくつかの態様において、TCRは、2つの鎖αおよびβ(または任意でγおよびδ)のヘテロ二量体であるか、一本鎖TCRコンストラクトであることができる。いくつかの態様において、TCRは、1つまたは複数のジスルフィド結合などによって連結された、2本の別個の鎖(α鎖とβ鎖またはγ鎖とδ鎖)を含有するヘテロ二量体である。
一部の態様において、TCRは、実質的に完全長のコード配列が容易に入手可能である、Vα、β鎖の配列などの、公知のTCR配列から作製することができる。細胞源から、V鎖配列を含む、完全長TCR配列を得るための方法は、周知である。一部の態様において、TCRをコードする核酸は、例えば、所定の細胞内のもしくは所定の細胞から単離されたTCRをコードする核酸のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅、または公に入手可能であるTCR DNA配列の合成によって、様々な供給源から得ることができる。
いくつかの態様では、TCRは、生物学的供給源から、例えば細胞から、例えばT細胞(例えば細胞傷害性T細胞)、T細胞ハイブリドーマ、または他の公に利用できる供給源から得られる。いくつかの態様において、T細胞はインビボ単離細胞から得ることができる。一部の態様において、TCRは、胸腺によって選択されたTCRである。一部の態様において、TCRは、ネオエピトープ拘束(neoepitope-restricted)TCRである。一部の態様において、T細胞は、培養T細胞ハイブリドーマまたは培養T細胞クローンであることができる。一部の態様において、TCRまたはその抗原結合部分またはその抗原結合断片は、TCRの配列についての知識から合成的に作製することができる。
一部の態様において、TCRは、標的ポリペプチド抗原、またはその標的T細胞エピトープに対する候補TCRのライブラリーをスクリーニングすることから同定または選択されたTCRから作製される。TCRライブラリーは、PBMC、脾臓または他のリンパ器官中に存在する細胞を含む、対象から単離されたT細胞由来のVαおよびVβのレパートリーの増幅によって作製され得る。場合によっては、T細胞は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)から増幅され得る。一部の態様において、TCRライブラリーは、CD4+またはCD8+細胞から作製され得る。一部の態様において、TCRは、正常または健康な対象(a normal of healthy subject)のT細胞供給源から増幅され得る(即ち、正常TCRライブラリー)。一部の態様において、TCRは、罹患対象のT細胞供給源から増幅され得る(即ち、罹患TCRライブラリー)。一部の態様において、縮重プライマーが、ヒトから得られた、T細胞などの、サンプルにおいてRT-PCRによってなど、VαおよびVβの遺伝子レパートリーを増幅するために使用される。一部の態様において、scTvライブラリーは、ナイーブVαおよびVβライブラリーから組み立てられ得、ここで、増幅産物は、クローン化されるか、またはリンカーによって分離されるように組み立てられる。対象および細胞の供給源に依存して、ライブラリーはHLA対立遺伝子特異的であり得る。あるいは、一部の態様において、TCRライブラリーは、親またはスキャフォールドTCR分子の突然変異誘発または多様化によって作製され得る。一部の局面において、TCRは、例えばαまたはβ鎖の、突然変異誘発によるなど、指向進化(directed evolution)へ供される。一部の局面において、TCRのCDR内の特定の残基が変更される。一部の態様において、選択されたTCRは、親和性成熟によって改変され得る。一部の態様において、抗原特異的T細胞は、例えば、ペプチドに対するCTL活性を評価するためのスクリーニングによって、選択され得る。一部の局面において、例えば抗原特異的T細胞上に存在する、TCRは、例えば、結合活性、例えば、抗原についての特定の親和性またはアビディティによって、選択され得る。
一部の態様において、遺伝子操作された抗原受容体には、組換えT細胞受容体(TCR)および/または天然T細胞からクローニングされたTCRが含まれる。一部の態様において、標的抗原(例えば、がん抗原)に対する高親和性T細胞クローンが特定され、患者から単離され、細胞に導入される。一部の態様では、標的抗原に対するTCRクローンは、ヒト免疫系遺伝子(例えば、ヒト白血球抗原系、すなわちHLA)を用いて操作されたトランスジェニックマウスにおいて作製されている。例えば、腫瘍抗原を参照されたい(例えば、Parkhurst et al. (2009) Clin Cancer Res. 15:169-180およびCohen et al. (2005) J Immunol. 175:5799-5808を参照されたい)。一部の態様では、標的抗原に対するTCRを単離するためにファージディスプレイが用いられる(例えば、Varela-Rohena et al. (2008) Nat Med. 14:1390-1395およびLi (2005) Nat Biotechnol. 23:349-354を参照されたい)。
一部の態様において、TCRまたはその抗原結合部分は、改変または操作されたものである。一部の態様において、指向進化法は、特異的MHC-ペプチド複合体についてのより高い親和性を有するなど、変更された特性を有するTCRを作製するために使用される。一部の態様において、指向進化は、酵母ディスプレイ(Holler et al. (2003) Nat Immunol, 4, 55-62; Holler et al. (2000) Proc Natl Acad Sci U S A, 97, 5387-92)、ファージディスプレイ(Li et al. (2005) Nat Biotechnol, 23, 349-54)、またはT細胞ディスプレイ(Chervin et al. (2008) J Immunol Methods, 339, 175-84)を含むが、これらに限定されない、ディスプレイ法によって達成される。一部の態様において、ディスプレイアプローチは、既知、親または参照TCRを操作または改変することを伴う。例えば、場合によっては、野生型TCRが、突然変異TCRを産生するためのテンプレートとして使用され得、ここで、CDRの1つまたは複数の残基が突然変異させられており、そして、所望の標的抗原についてのより高い親和性などの、所望の変更された特性を有する突然変異体が、選択される。
一部の態様において、関心対象のTCRの産生または作製における使用のための標的ポリペプチドのペプチドは、公知であるか、または当業者によって容易に同定され得る。一部の態様において、TCRまたは抗原結合部分の作製における使用に適したペプチドは、下記の標的ポリペプチドなどの、関心対象の標的ポリペプチド中のHLA拘束モチーフの存在に基づいて決定され得る。一部の態様において、ペプチドは、利用可能なコンピュータ予測モデルを使用して同定される。一部の態様において、MHCクラスI結合部位を予測するために、そのようなモデルとしては、ProPred1(Singh and Raghava (2001) Bioinformatics 17(12):1236-1237)、およびSYFPEITHI(Schuler et al. (2007) Immunoinformatics Methods in Molecular Biology, 409(1): 75-93 2007を参照のこと)が挙げられるが、これらに限定されない。一部の態様において、MHC拘束エピトープはHLA-A0201であり、これは、全ての白色人種のおよそ39~46%において発現され、従って、TCRまたは他のMHC-ペプチド結合分子の調製における使用のためのMHC抗原の適切な選択を示す。
コンピュータ予測モデルを使用してのHLA-A0201結合モチーフならびにプロテアソームおよび免疫プロテアソームについての切断部位は、公知である。MHCクラスI結合部位を予測するために、そのようなモデルとしては、ProPred1(Singh and Raghava, ProPred: prediction of HLA-DR binding sites. BIOINFORMATICS 17(12):1236-1237 2001により詳細に記載される)、およびSYFPEITHI(Schuler et al. SYFPEITHI, Database for Searching and T-Cell Epitope Prediction. in Immunoinformatics Methods in Molecular Biology, vol 409(1): 75-93 2007を参照のこと)が挙げられるが、これらに限定されない。
一部の態様において、TCRまたはその抗原結合部分は、組換え産生された天然タンパク質またはその突然変異型であり得、ここで、1つまたは複数の特性、例えば、結合特性が変更されている。一部の態様において、TCRは、様々な動物種、例えば、ヒト、マウス、ラット、または他の哺乳動物のうちの1つに由来し得る。TCRは、細胞結合型または可溶型であり得る。一部の態様において、提供される方法の目的について、TCRは、細胞の表面上に発現された細胞結合型である。
一部の態様において、TCRは完全長TCRである。一部の態様において、TCRは抗原結合部分である。一部の態様において、TCRは二量体TCR(dTCR)である。一部の態様において、TCRは単鎖TCR(sc-TCR)である。一部の態様において、dTCRまたはscTCRは、WO 03/020763、WO 04/033685、WO2011/044186に記載されるような構造を有する。
一部の態様において、TCRは、膜貫通配列に対応する配列を含有する。一部の態様において、TCRは、細胞質配列に対応する配列を含有する。一部の態様において、TCRは、CD3とのTCR複合体を形成することができる。一部の態様において、dTCRまたはscTCRを含む、TCRのいずれかは、シグナル伝達ドメインへ連結され得、これはT細胞の表面上に活性TCRをもたらす。一部の態様において、TCRは細胞の表面上に発現される。
一部の態様において、dTCRは、第1のポリペプチド(ここで、TCRα鎖可変領域配列に対応する配列は、TCRα鎖定常領域細胞外配列に対応する配列のN末端へ融合されている)、および第2のポリペプチド(ここで、TCRβ鎖可変領域配列に対応する配列は、TCRβ鎖定常領域細胞外配列に対応する配列のN末端へ融合されている)を含有し、第1および第2のポリペプチドはジスルフィド結合によって連結されている。一部の態様において、結合は、天然二量体αβTCR中に存在する天然鎖間ジスルフィド結合に対応し得る。一部の態様において、鎖間ジスルフィド結合は、天然TCR中に存在しない。例えば、一部の態様において、1つまたは複数のシステインが、dTCRポリペプチド対の定常領域細胞外配列中へ組込まれ得る。場合によっては、天然および非天然ジスルフィド結合の両方が望ましい場合がある。一部の態様において、TCRは、膜へ固定するために膜貫通配列を含有する。
一部の態様において、dTCRは、可変αドメイン、定常αドメイン、および定常αドメインのC末端へ結合された第1の二量体化モチーフを含有するTCRα鎖と、可変βドメイン、定常βドメイン、および定常βドメインのC末端へ結合された第1の二量体化モチーフを含むTCRβ鎖とを含有し、ここで、第1および第2の二量体化モチーフは容易に相互作用し、第1の二量体化モチーフ中のアミノ酸と第2の二量体化モチーフ中のアミノ酸との間に共有結合を形成し、TCRα鎖およびTCRβ鎖を一緒に連結する。
一部の態様において、TCRはscTCRである。典型的に、scTCRは、公知の方法を使用して作製することができる;例えば、Soo Hoo, W. F. et al. PNAS (USA) 89, 4759 (1992); Wulfing, C. and Pluckthun, A., J. Mol. Biol. 242, 655 (1994); Kurucz, I. et al. PNAS (USA) 90 3830 (1993); PCT国際公開番号WO 96/13593、WO 96/18105、WO99/60120、WO99/18129、WO 03/020763、WO2011/044186; およびSchlueter, C. J. et al. J. Mol. Biol. 256, 859 (1996)を参照のこと。一部の態様において、scTCRは、導入された非天然ジスルフィド鎖間結合を含有し、TCR鎖の会合を促進する(例えば、PCT国際公開番号WO 03/020763を参照のこと)。一部の態様において、scTCRは、非ジスルフィド連結された切断TCRであり、ここで、そのC末端へ融合された異種ロイシンジッパーが鎖会合を促進する(例えば、PCT国際公開番号WO99/60120を参照のこと)。一部の態様において、scTCRは、ペプチドリンカーを介してTCRβ可変ドメインへ共有結合されたTCRα可変ドメインを含有する(例えば、PCT国際公開番号WO99/18129を参照のこと)。
一部の態様において、scTCRは、TCRα鎖可変領域に対応するアミノ酸配列によって構成される第1セグメントと、TCRβ鎖定常ドメイン細胞外配列に対応するアミノ酸配列のN末端へ融合されたTCRβ鎖可変領域配列に対応するアミノ酸配列によって構成される第2セグメントと、第2セグメントのN末端へ第1セグメントのC末端を連結するリンカー配列とを含有する。
一部の態様において、scTCRは、α鎖細胞外定常ドメイン配列のN末端へ融合されたα鎖可変領域配列によって構成される第1セグメントと、配列β鎖細胞外定常および膜貫通配列のN末端へ融合されたβ鎖可変領域配列によって構成される第2セグメントと、任意で、第2セグメントのN末端へ第1セグメントのC末端を連結するリンカー配列とを含有する。
一部の態様において、scTCRは、β鎖細胞外定常ドメイン配列のN末端へ融合されたTCRβ鎖可変領域配列によって構成される第1セグメントと、配列α鎖細胞外定常および膜貫通配列のN末端へ融合されたα鎖可変領域配列によって構成される第2セグメントと、任意で、第2セグメントのN末端へ第1セグメントのC末端を連結するリンカー配列とを含有する。
一部の態様において、第1および第2のTCRセグメントを連結するscTCRのリンカーは、TCR結合特異性を保持しながら、単一のポリペプチド鎖を形成することができる任意のリンカーであり得る。一部の態様において、リンカー配列は、例えば、式-P-AA-P-を有し得、式中、Pはプロリンであり、AAはアミノ酸配列を示し、ここで、アミノ酸はグリシンおよびセリンである。一部の態様において、第1および第2セグメントは、それらの可変領域配列がそのような結合について配向されるように、対形成される。従って、場合によっては、リンカーは、第1セグメントのC末端と第2セグメントのN末端との(逆もまた同様)間の隔たりに橋を架けるために十分な長さを有するが、標的リガンドへのscTCRの結合を遮断するかまたは低減させるほど長すぎない。一部の態様において、リンカーは、10~45個もしくは約10~約45個のアミノ酸、例えば、10~30個のアミノ酸または26~41個のアミノ酸残基、例えば、29、30、31または32個のアミノ酸を含有し得る。一部の態様において、リンカーは式-PGGG-(SGGGG)
5-P-を有し、式中、Pはプロリンであり、Gはグリシンであり、Sはセリンである(SEQ ID NO:22)。一部の態様において、リンカーは配列
を有する。
一部の態様において、scTCRは、β鎖の定常ドメインの免疫グロブリン領域の残基へα鎖の定常ドメインの免疫グロブリン領域の残基を連結する共有結合的ジスルフィド結合を含有する。一部の態様において、天然TCR中の鎖間ジスルフィド結合は存在しない。例えば、一部の態様において、1つまたは複数のシステインが、scTCRポリペプチドの第1および第2セグメントの定常領域細胞外配列中へ組込まれ得る。場合によっては、天然および非天然ジスルフィド結合の両方が望ましい場合がある。
導入された鎖間ジスルフィド結合を含有するdTCRまたはscTCRの一部の態様において、天然ジスルフィド結合は存在しない。一部の態様において、天然鎖間ジスルフィド結合を形成する天然システインのうちの1つまたは複数は、別の残基へ、例えば、セリンまたはアラニンへ置換される。一部の態様において、導入されたジスルフィド結合は、第1および第2セグメント上の非システイン残基をシステインへ変異させることによって形成することができる。TCRの例示的な非天然ジスルフィド結合は、PCT国際公開番号WO2006/000830に記載されている。
一部の態様において、TCRまたはその抗原結合断片は、10-5~10-12 Mまたは約10-5~約10-12 Mならびにその中の全ての個々の値および範囲の、標的抗原についての平衡結合定数を有する親和性を示す。一部の態様において、標的抗原は、MHC-ペプチド複合体またはリガンドである。
一部の態様において、αおよびβ鎖などの、TCRをコードする核酸は、PCR、クローニングまたは他の好適な手段よって増幅させ、好適な発現ベクター中へクローン化することができる。発現ベクターは、任意の好適な組換え発現ベクターであり得、任意の好適な宿主を形質転換またはトランスフェクトするために使用することができる。好適なベクターには、増殖および拡大または発現または両方のために設計されたもの、例えば、プラスミドおよびウイルスが含まれる。
一部の態様において、ベクターは、pUCシリーズ(Fermentas Life Sciences)、pBluescriptシリーズ(Stratagene, LaJolla, Calif.)、pETシリーズ(Novagen, Madison, Wis.)、pGEXシリーズ(Pharmacia Biotech, Uppsala, Sweden)、またはpEXシリーズ(Clontech, Palo Alto, Calif.)のベクターであり得る。場合によっては、バクテリオファージベクター、例えば、λG10、λGT11、λZapII (Stratagene)、λEMBL4、およびλNM1149も使用することができる。一部の態様において、植物発現ベクターが使用され得、pBI01、pBI101.2、pBI101.3、pBI121およびpBIN19 (Clontech)を含む。一部の態様において、動物発現ベクターはpEUK-Cl、pMAMおよびpMAMneo (Clontech)を含む。一部の態様において、ウイルスベクター、例えば、レトロウイルスベクターが使用される。
一部の態様において、組換え発現ベクターは、標準組換えDNA技術を使用して調製され得る。一部の態様において、ベクターは、ベクターがDNAベースであるかRNAベースであるかを考慮に入れて、必要に応じて、ベクターが導入される宿主のタイプ(例えば、細菌、真菌、植物または動物)に特異的な調節配列、例えば、転写および翻訳開始および終止コドンを含有し得る。一部の態様において、ベクターは、TCRまたは抗原結合部分(または他のMHC-ペプチド結合分子)をコードするヌクレオチド配列へ機能的に連結された非天然プロモーターを含有することができる。一部の態様において、プロモーターは、非ウイルスプロモーターまたはウイルスプロモーター、例えば、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、SV40プロモーター、RSVプロモーター、およびマウス幹細胞ウイルスの長末端反復中に見られるプロモーターであり得る。他の公知のプロモーターも意図される。
一部の態様では、T細胞クローンが得られた後に、TCRα鎖およびβ鎖は単離され、遺伝子発現ベクターにクローニングされる。一部の態様では、TCRα遺伝子およびβ遺伝子は、両鎖が同時発現するようにピコルナウイルス2Aリボソームスキップペプチドを介して連結される。一部の態様では、TCRの遺伝子移入は、レトロウイルスベクターもしくはレンチウイルスベクターを介して、またはトランスポゾンを介して成し遂げられる(例えば、Baum et al. (2006) Molecular Therapy: The Journal of the American Society of Gene Therapy. 13:1050-1063; Frecha et al. (2010) Molecular Therapy: The Journal of the American Society of Gene Therapy. 18:1748-1757; およびHackett et al. (2010) Molecular Therapy: The Journal of the American Society of Gene Therapy. 18:674-683を参照されたい)。
一部の態様において、TCRをコードするベクターを作製するために、αおよびβ鎖を、関心対象のTCRを発現するT細胞クローンから単離された全cDNAからPCR増幅し、発現ベクター中にクローニングする。一部の態様において、αおよびβ鎖を同じベクター中にクローニングする。一部の態様において、αおよびβ鎖を異なるベクター中にクローニングする。一部の態様において、作製されたαおよびβ鎖を、レトロウイルス、例えばレンチウイルスベクター中へ組込む。
3.キメラ自己抗体受容体(CAAR)
一部の態様において、組換え受容体は、キメラ自己抗体受容体(CAAR)である。一部の態様において、CAARは自己抗体に特異的である。一部の態様において、CAARを発現する細胞、例えば、CAARを発現するように操作されたT細胞は、正常抗体発現細胞ではなく、自己抗体発現細胞に特異的に結合しそしてこれを死滅させるために使用され得る。一部の態様において、CAAR発現細胞は、自己免疫疾患などの、自己抗原の発現と関連する自己免疫疾患を治療するために使用することができる。一部の態様において、CAAR発現細胞は、自己抗体を最終的に産生しそして細胞表面上に自己抗体を提示するB細胞を標的化し、これらのB細胞を治療介入のための疾患特異的標的としてマークすることができる。一部の態様において、CAAR発現細胞は、抗原特異的キメラ自己抗体受容体を使用して病原性B細胞を標的化することによって、自己免疫疾患における病原性B細胞を効率的に標的化および死滅化するために使用することができる。一部の態様において、組換え受容体は、CAAR、例えば、米国特許出願公開番号US 2017/0051035に記載される任意のCAARである。
一部の態様において、CAARは、自己抗体結合ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内シグナル伝達領域を含む。一部の態様において、細胞内シグナル伝達領域は、細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、一次シグナル伝達ドメイン、T細胞において一次活性化シグナルを誘導することができるシグナル伝達ドメイン、T細胞受容体(TCR)成分のシグナル伝達ドメイン、および/または免疫受容活性化チロシンモチーフ(ITAM)を含むシグナル伝達ドメインであるかまたはこれらを含む。一部の態様において、細胞内シグナル伝達領域は、二次または補助刺激シグナル伝達領域(二次細胞内シグナル伝達領域)を含む。
一部の態様において、自己抗体結合ドメインは、自己抗原またはその断片を含む。自己抗原の選択は、標的化される自己抗体のタイプに依存し得る。例えば、自己抗原は、特定の疾患状態(例えば、自己免疫疾患、例えば、自己抗体媒介自己免疫疾患)と関連する標的細胞(例えばB細胞)上の自己抗体を認識するために、選択され得る。一部の態様において、自己免疫疾患は尋常性天疱瘡(PV)を含む。例示的な自己抗原としてはデスモグレイン1 (Dsg1)およびDsg3が挙げられる。
4.多重標的化
一部の態様において、本細胞および方法は、例えばそれぞれが同じまたは異なる(same of a different)抗原を認識し、典型的にはそれぞれが異なる細胞内シグナル伝達成分を含む、2つ以上の遺伝子操作された受容体の、細胞での発現などといった、多重標的化戦略を含む。そのような多重標的化戦略は、例えば、国際特許出願公開番号WO 2014055668 A1(例えばオフターゲット、例えば正常細胞上では個別に存在するが、処置しようとする疾患または状態の細胞上にのみ一緒に存在する2つの異なる抗原を標的とする、活性化CARと補助刺激CARの組み合わせが記載されている)およびFedorov et al., Sci. Transl. Medicine, 5(215) (December, 2013)(活性化CARと阻害性CARとを発現する細胞、例えば活性化CARは、正常細胞または非疾患細胞と処置しようとする疾患または状態の細胞との両方に発現する1つの抗原に結合し、阻害性CARは、正常細胞または処置することが望まれていない細胞だけに発現する別の抗原に結合するものが記載されている)に記載されている。
例えば、一部の態様において、細胞は、一般に、第1の受容体によって認識される抗原、例えば第1の抗原への特異的結合時に、細胞への活性化または刺激シグナルを誘導することができる、第1の遺伝子操作された抗原受容体(例えばCARまたはTCR)を発現する受容体を含む。一部の態様において、細胞は、第2の遺伝子操作された抗原受容体(例えばCARまたはTCR)、例えば一般に第2の受容体によって認識される第2の抗原への特異的結合時に、免疫細胞への補助刺激シグナルを誘導することができるキメラ補助刺激受容体をさらに含む。一部の態様では、第1の抗原と第2の抗原とが同じである。一部の態様では、第1の抗原と第2の抗原とが異なる。
一部の態様において、第1および/または第2の遺伝子操作された抗原受容体(例えばCARまたはTCR)は、細胞への活性化または刺激シグナルを誘導することができる。一部の態様において、受容体は、ITAMまたはITAM様モチーフを含有する細胞内シグナル伝達成分を含む。一部の態様において、第1の受容体によって誘導される活性化は、細胞におけるシグナル伝達およびタンパク質発現の変化を伴い、ITAMリン酸化および/またはITAM媒介シグナル伝達カスケードの開始、結合した受容体の近傍での免疫シナプスの形成および/または分子(例えばCD4またはCD8など)のクラスタリング、NF-κBおよび/またはAP-1などの1つまたは複数の転写因子の活性化、および/またはサイトカインなどの因子の遺伝子発現の誘導、増殖、および/または生存などといった、免疫応答の開始をもたらす。
一部の態様において、第1および/または第2の受容体は、CD28、CD137(4-1BB)、OX40、および/またはICOSなどの補助刺激受容体の細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の態様において、第1および第2の受容体は異なる補助刺激受容体の細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一態様では、第1の受容体がCD28補助刺激シグナル伝達領域を含有し、かつ第2の受容体が4-1BB補助刺激シグナル伝達領域を含有するか、またはその逆である。
一部の態様において、第1および/または第2の受容体は、ITAMまたはITAM様モチーフを含有する細胞内シグナル伝達ドメインと補助刺激受容体の細胞内シグナル伝達ドメインをどちらも含む。
一部の態様において、第1の受容体はITAMまたはITAM様モチーフを含有する細胞内シグナル伝達ドメインを含有し、第2の受容体は補助刺激受容体の細胞内シグナルを含有する。同じ細胞内で誘導された活性化または刺激シグナルと組み合わされた補助刺激シグナルは、免疫応答、例えばロバストで持続的な免疫応答、例えば遺伝子発現の増加、サイトカインおよび他の因子の分泌、ならびに殺細胞などのT細胞媒介エフェクター機能をもたらすシグナルである。
一部の態様では、第1の受容体のライゲーションだけでも、第2の受容体のライゲーションだけでも、ロバストな免疫応答は誘導されない。一部の局面では、一方の受容体だけがライゲーションされると、細胞は、抗原に対して寛容化されるか、非応答性になり、または阻害され、かつ/または、増殖し、もしくは因子類を分泌し、またはエフェクター機能を実行するように誘導されることがない。しかし、一部のそのような態様において、例えば第1および第2の抗原を発現する細胞との遭遇時などに、複数の受容体がライゲーションされると、例えば1つまたは複数のサイトカインの分泌、増殖、持続性、および/または標的細胞の細胞毒性殺滅などの免疫エフェクター機能の実行によって示される完全な免疫活性化または刺激などといった、望ましい応答が達成される。
一部の態様において、2つの受容体は、一方の受容体によるその抗原への結合は細胞を活性化するかまたは応答を誘導するが、第2の阻害性受容体によるその抗原への結合はその応答を抑制するかまたは弱めるシグナルを誘導するような形で、細胞への活性化シグナルおよび阻害性シグナルを、それぞれ誘導する。その例は、活性化CARと阻害性CAR、すなわちiCARとの組み合わせである。例えば活性化CARは、ある疾患または状態において発現するが正常細胞にも発現する抗原に結合し、阻害性受容体は、正常細胞には発現するが前記疾患または状態の細胞には発現しない別個の抗原に結合するような戦略を使用することができる。
一部の態様では、ある特定の疾患または状態と関連する抗原が非疾患細胞上に発現しており、かつ/または操作された細胞自体にも一過性に(例えば遺伝子工学との関連での刺激時に)または永続的に発現する場合に、多重標的化戦略が使用される。そのような場合は、2つの別々の個別に特異的な抗原受容体のライゲーションを要求することにより、特異性、選択性、および/または効力が改善されうる。
一部の態様では、複数の抗原、例えば第1および第2の抗原が、標的となる細胞、組織または疾患もしくは状態において、例えばがん細胞上に発現する。一部の局面において、前記細胞、組織、疾患または状態は、多発性骨髄腫または多発性骨髄腫細胞である。一部の態様では、前記複数の抗原のうちの1つまたは複数は、一般に、細胞治療の標的となることが望まれない細胞、例えば正常なまたは罹患していない細胞または組織、および/または操作された細胞自体にも発現する。そのような態様では、細胞の応答を達成するために複数の受容体のライゲーションを要求することによって、特異性および/または効力が達成される。
D.組成物および製剤
一部の態様において、エピジェネティックおよび/またはエピゲノミック解析を含む本明細書に記載される方法によって、操作細胞を提供する。一部の態様において、細胞、例えば、組換え受容体で遺伝子操作された細胞(例えば、CAR-T細胞)を、組成物として提供し、これは、薬学的組成物および製剤、例えば、ある特定の用量で投与するための、またはある特定の用量を分けて投与するための数の細胞を含む単位用量形態組成物を含む。薬学的組成物および製剤は、一般に、1つまたは複数の任意選択の薬学的に許容される担体または賦形剤を含む。一部の態様において、前記組成物は、少なくとも1つの追加の治療剤を含む。
用語「薬学的製剤」は、薬学的製剤に含まれる活性成分の生物学的活性が有効になるような形をとり、製剤が投与される対象に対して容認できないほどの毒性がある、さらなる成分を含有しない調製物を指す。
「薬学的に許容される担体」とは、対象に無毒な、活性成分以外の、薬学的製剤中にある成分を指す。薬学的に許容される担体には、緩衝液、賦形剤、安定剤、または保存剤が含まれるが、これに限定されない。
一部の局面では、担体の選択は、一つには、特定の細胞によって、および/または投与方法によって決定される。従って、様々な適切な製剤がある。例えば、薬学的組成物は保存剤を含有してもよい。適切な保存剤には、例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウム、および塩化ベンザルコニウムが含まれ得る。一部の局面では、2種類以上の保存剤の混合物が用いられる。保存剤またはその混合物は典型的には全組成物の重量に対して約0.0001%~約2%の量で存在する。担体は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980)に記載されている。薬学的に許容される担体は、一般的に、使用される投与量および濃度でレシピエントに無毒であり、緩衝液、例えば、リン酸、クエン酸、および他の有機酸;アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化物質;保存剤(例えば、オクタデシルジメチルベンジル塩化アンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルアルコールもしくはベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えば、メチルパラベンもしくはプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリジン;グルコース、マンノース、もしくはデキストリンを含む、単糖、二糖、および他の糖質;キレート剤、例えば、EDTA;糖、例えば、スクロース、マンニトール、トレハロース、もしくはソルビトール;塩を形成する対イオン、例えば、ナトリウム;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);ならびに/または非イオン界面活性剤、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)を含むが、これに限定されない。
一部の局面では、緩衝剤が前記組成物に含まれる。適切な緩衝剤には、例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、リン酸、リン酸カリウム、ならびに様々な他の酸および塩が含まれる。一部の局面では、2種類以上の緩衝剤の混合物が用いられる。緩衝剤またはその混合物は典型的には全組成物の重量に対して約0.001%~約4%の量で存在する。投与可能な薬学的組成物を調製するための方法は公知である。例示的な方法は、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Lippincott Williams & Wilkins; 21st ed. (May 1, 2005)において、さらに詳細に説明されている。
前記製剤は水溶液を含み得る。前記製剤または組成物はまた、前記細胞で処置される特定の適応症、疾患、または状態に有用な複数種の活性成分、好ましくは前記細胞を補足する活性を有する活性成分も含有してよく、この場合、それぞれの活性は互いに悪影響を及ぼさない。このような活性成分は、所期の目的に有効な量で組み合わせられて適切に存在する。従って、一部の態様では、薬学的組成物は、他の薬学的に活性な薬剤または薬物、例えば、化学療法剤、例えば、アスパラギナーゼ、ブスルファン、カルボプラチン、シスプラチン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、メトトレキセート、パクリタキセル、リツキシマブ、ビンブラスチン、および/またはビンクリスチンをさらに含む。
薬学的組成物は、一部の態様では、細胞を、前記疾患または状態を処置または予防するのに有効な量、例えば、治療的有効量または予防的有効量で含む。治療効力または予防効力は、一部の態様では、処置される対象を定期的に評価することによってモニタリングされる。望ましい投与量は、細胞の単回大量瞬時投与によって送達されてもよく、細胞の複数回大量瞬時投与によって送達されてもよく、細胞の連続注入投与によって送達されてもよい。
細胞および組成物は、標準的な投与技法、製剤、および/または装置を用いて投与され得る。細胞について、投与は自家投与でもよく、または異種投与でもよい。例えば、ある対象から免疫応答性細胞または前駆細胞を入手し、同じ対象または異なる適合性の対象に投与することができる。末梢血に由来する免疫応答性細胞またはその子孫(例えば、インビボ、エクスビボ、またはインビトロで得られる)を、カテーテル投与を含む局所注射、全身注射、局所注射、静脈内注射、または非経口投与を介して投与することができる。治療用組成物(例えば、遺伝子組換えされた免疫応答性細胞を含有する薬学的組成物)が投与される時に、一般的に、注射用単位剤形(溶液、懸濁液、エマルジョン)の形で製剤化される。
製剤には、経口投与、静脈内投与、腹腔内投与、皮下投与、肺投与、経皮投与、筋肉内投与、鼻腔内投与、頬投与、舌下投与、または坐剤投与のための製剤が含まれる。一部の態様では、前記細胞集団は非経口投与される。本明細書で使用する用語「非経口」は、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、直腸投与、腟投与、および腹腔内投与を含む。一部の態様では、前記細胞は、静脈内注射、腹腔内注射、または皮下注射による末梢全身送達を用いて対象に投与される。
組成物は、一部の態様では、滅菌した液体調製物、例えば、等張性水溶液、懸濁液、エマルジョン、分散液として提供されるか、または粘性のある組成物として提供され、これらは、一部の局面では、選択されたpHまで緩衝化されてもよい。液体調製物は、通常、ゲル、他の粘性のある組成物、および固体組成物より調製しやすい。さらに、液体組成物の方が、投与するのに、特に、注射によって投与するのに若干便利である。他方で、粘性のある組成物は、特定の組織との長い接触期間をもたらすように適切な粘性の範囲内で製剤化することができる。液体組成物または粘性のある組成物は、例えば、水、食塩水、リン酸緩衝食塩水、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール)、およびその適切な混合物を含有する、溶媒または分散媒でもよい担体を含んでもよい。
滅菌注射液は、前記細胞を溶媒の中に取り入れて、例えば、適切な担体、希釈剤、または賦形剤、例えば、滅菌水、生理食塩水、グルコース、デキストロースなどと混合して調製することができる。前記組成物は、望ましい投与経路および調製物に応じて、補助物質、例えば、湿潤剤、分散剤、または乳化剤(例えば、メチルセルロース)、pH緩衝剤、ゲル化または粘性を高める添加剤、保存剤、着香剤、および/または着色剤を含有することができる。一部の局面では、適切な調製物を調製するために標準的な教科書が調べられる場合がある。
抗菌性保存剤、抗酸化物質、キレート剤、および緩衝液を含む、前記組成物の安定性および無菌性を向上させる様々な添加剤を添加することができる。微生物の作用は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸によって防止することができる。注射用薬学的剤形の長期吸収は、吸収を遅延する薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを使用することによって引き起こすことができる。
インビボ投与のために使用しようとする製剤は一般的に無菌である。無菌性は、容易に、例えば、滅菌濾過膜で濾過することによって成し遂げられ得る。
V.投与方法
一部の態様において、提供される方法は、一般に、組換え分子、例えば組換え受容体、例えばCAR、他のキメラ受容体、または他の抗原受容体、例えばトランスジェニックTCRを発現する細胞の用量を、疾患または状態、例えば、その成分が組換え分子、例えば受容体によって特異的に認識されかつ/または処置される疾患または状態を有する対象へ投与する工程を伴う。一部の態様において、エピジェネティクスおよび/またはエピゲノミクスを評価するために提供される方法を使用して、細胞を解析する。一部の局面において、エピジェネティックおよび/またはエピゲノミック解析は、遺伝子操作の前および/または後に細胞に対して行うことができる。投与は、一般に、疾患または状態の1つまたは複数の症状の改善をもたらし、かつ/または、疾患もしくは状態またはその症状を処置または予防する。
処置される疾患または状態は、抗原の発現が、疾患 状態または障害の病因に関連かつ/または関与する、例えば、そのような疾患、状態、または障害を引き起こすか、これらを悪化させるか、または他の方法でこれらに関与する、任意のものであり得る。例示的な疾患および状態には、細胞の悪性疾患またはトランスフォーメーションと関連する疾患または状態(例えば、がん)、自己免疫疾患もしくは炎症疾患、または、例えば、細菌、ウイルスもしくは他の病原体によって引き起こされる、感染症が含まれ得る。処置され得る様々な疾患および状態と関連する抗原を含む、例示的な抗原は、本明細書に記載される。特定の態様において、キメラ抗原受容体またはトランスジェニックTCRは、疾患または状態と関連する抗原へ特異的に結合する。
疾患、状態、および障害の中には、固形腫瘍、血液悪性腫瘍、およびメラノーマを含み、局所および転移性の腫瘍を含む腫瘍、感染症、例えば、ウイルスまたは他の病原体、例えば、HIV、HCV、HBV、CMV、HPVによる感染、ならびに寄生生物疾患、ならびに自己免疫性疾患および炎症性疾患がある。一部の態様において、疾患または状態は、腫瘍、がん、悪性腫瘍、新生物、または他の増殖性の疾患もしくは障害である。このような疾患には、白血病、リンパ腫、例えば、慢性リンパ性白血病(CLL)、ALL、非ホジキンリンパ腫、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、難治性濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、無痛性B細胞リンパ腫、B細胞悪性腫瘍、結腸がん、肺がん、肝臓がん、乳がん、前立腺がん、卵巣がん、皮膚がん、メラノーマ、骨がん、および脳がん、卵巣がん、上皮がん、腎細胞がん、膵臓腺がん、ホジキンリンパ腫、子宮頸がん、結腸直腸がん、グリア芽細胞腫、神経芽細胞腫、ユーイング肉腫、髄芽腫、骨肉腫、滑膜肉腫、ならびに/または中皮腫が含まれるが、これに限定されない。
一部の態様において、疾患または状態は腫瘍であり、初回用量の投与前に、対象の腫瘍負荷が多いか、例えば、固形腫瘍が大きいか、または疾患に関連する、例えば、腫瘍の細胞の数が多いか、もしくは容積が大きい。一部の局面において、対象の転移数が多い、および/または転移が広範囲に局在している。一部の局面において、対象の腫瘍負荷は少なく、対象に転移はほとんどない。一部の態様において、用量のサイズまたはタイミングは対象における初期疾患負荷によって決定される。例えば、一部の局面において、対象には、低疾患負荷の状況では、初回用量において比較的少ない数の細胞が投与され得るが、用量はより多くてもよい。
一部の態様において、疾患または状態は、ウイルス感染、レトロウイルス感染、細菌感染、および原生動物感染、免疫不全症、サイトメガロウイルス(CMV)、エプスタイン-バーウイルス(EBV)、アデノウイルス、BKポリオーマウイルスなどがあるが、これに限定されない感染性の疾患または状態である。一部の態様において、疾患または状態は、自己免疫性または炎症性の疾患または状態、例えば、関節炎、例えば、慢性関節リウマチ(RA)、I型糖尿病、全身性エリテマトーデス(SLE)、炎症性腸疾患、乾癬、硬皮症、自己免疫性甲状腺疾患、グレーブス病、クローン病、多発性硬化症、喘息、および/または移植に関連する疾患もしくは状態である。
一部の態様において、疾患または障害と関連する抗原は、以下からなる群より選択される抗原であるかまたはこれらを含む:αvβ6インテグリン(avb6インテグリン)、B細胞成熟抗原(BCMA)、B7-H3、B7-H6、炭酸脱水酵素9 (CA9、CAIXまたはG250としても公知)、がん-精巣抗原、がん/精巣抗原1B (CTAG、NY-ESO-1およびLAGE-2としても公知)、がん胎児性抗原(CEA)、サイクリン、サイクリンA2、C-Cモチーフケモカインリガンド1 (CCL-1)、CD19、CD20、CD22、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、CD44v6、CD44v7/8、CD123、CD138、CD171、上皮成長因子タンパク質(EGFR)、切断型上皮成長因子タンパク質(tEGFR)、III型上皮成長因子受容体突然変異(EGFR vIII)、上皮糖タンパク質2 (EPG-2)、上皮糖タンパク質40 (EPG-40)、エフリンB2、エフリン受容体A2 (EPHa2)、エストロゲン受容体、Fc受容体様5 (FCRL5;Fc受容体ホモログ5またはFCRH5としても公知)、胎児アセチルコリン受容体(胎児AchR)、葉酸結合タンパク質(FBP)、葉酸受容体アルファ、胎児アセチルコリン受容体、ガングリオシドGD2、O-アセチル化GD2 (OGD2)、ガングリオシドGD3、糖タンパク質100 (gp100)、Gタンパク質共役型受容体5D (GPCR5D)、Her2/neu (受容体チロシンキナーゼerbB2)、Her3 (erb-B3)、Her4 (erb-B4)、erbB二量体、ヒト高分子量メラノーマ関連抗原(HMW-MAA)、B型肝炎表面抗原、ヒト白血球抗原A1 (HLA-A1)、ヒト白血球抗原A2 (HLA-A2)、IL-22受容体アルファ(IL-22Ra)、IL-13受容体アルファ2 (IL-13Ra2)、キナーゼ挿入ドメイン受容体(kdr)、カッパ軽鎖、L1細胞接着分子(L1CAM)、L1-CAMのCE7エピトープ、ロイシンリッチリピート含有8ファミリーメンバーA (LRRC8A)、ルイスY、メラノーマ関連抗原(MAGE)-A1、MAGE-A3、MAGE-A6、メソテリン、c-Met、マウスサイトメガロウイルス(CMV)、ムチン1 (MUC1)、MUC16、ナチュラルキラーグループ2メンバーD (NKG2D)リガンド、メランA (MART-1)、神経細胞接着分子(NCAM)、腫瘍胎児抗原、メラノーマ優先発現抗原(PRAME)、プロゲステロン受容体、前立腺特異抗原、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、受容体チロシンキナーゼ様オーファン受容体1 (ROR1)、サバイビン、栄養膜糖タンパク質(TPBG、5T4としても公知)、腫瘍関連糖タンパク質72 (TAG72)、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)、血管内皮増殖因子受容体2 (VEGFR2)、ウィルムス腫瘍1 (WT-1)、病原体特異的もしくは病原体発現抗原、またはユニバーサルタグと関連する抗原、および/またはビオチン化分子、および/またはHIV、HCV、HBVもしくは他の病原体によって発現される分子。
本明細書で使用する「処置(treatment)」(およびその文法上の語尾変化、例えば、「処置する(treat)」または「処置する(treating)」)とは、疾患もしくは状態もしくは障害、あるいはこれらに関連する症状、副作用もしくは転帰、または表現型の完全または部分的な回復または低減を指す。処置の望ましい効果には、疾患の発生または再発の阻止、症状の緩和、疾患のあらゆる直接的または間接的な病理学的結果の減少、転移の阻止、疾患進行速度の減少、疾患状態の回復または軽減、および寛解または予後の改善が含まれるが、これに限定されない。これらの用語は、疾患の完治、あるいはあらゆる症状、または全ての症状もしくは転帰に及ぼす影響の完全な除去を必ずしも意味しない。
本明細書で使用する「疾患の発症を遅らせる」とは、疾患(例えば、がん)の発症を延ばす、邪魔する、遅くする、減速する、安定化する、抑制する、および/または延期することを意味する。この遅れは、病歴および/または処置されている個体に応じて様々な長さの時間になることがある。当業者に明らかなように、十分な、または大きな遅れは、実際には、個体が疾患を発症しない点では予防を含む。例えば、転移の発症などの末期がんを遅らせることができる。
本明細書で使用する「予防する」は、疾患の素因がある可能性があるが、まだ疾患と診断されていない対象において、疾患の発生または再発に関する予防を提供することを含む。一部の態様では、提供される細胞および組成物は、疾患の発症を遅らせるのに、または疾患の進行を遅くするのに用いられる。
本明細書で使用する、機能または活性を「抑制する」ということは、関心対象の条件もしくはパラメータ以外は同じ条件と比較した時に、または別の条件と比較した時に機能または活性を低減することである。例えば、腫瘍成長を抑制する細胞は、前記細胞の非存在下での腫瘍成長の速度と比較して腫瘍成長の速度を低減する。
投与の文脈において、薬剤、例えば、薬学的製剤、細胞、または組成物の「有効量」とは、望ましい結果、例えば、治療結果または予防結果を成し遂げるのに、必要な投与量/量で、かつ期間にわたって、有効な量を指す。
薬剤、例えば、薬学的製剤または細胞の「治療的有効量」とは、望ましい治療結果、例えば、疾患、状態、もしくは障害を処置するための望ましい治療結果、および/または処置の薬物動態学的効果もしくは薬力学的効果を成し遂げるのに、必要な投与量で、かつ期間にわたって、有効な量を指す。治療的有効量は、対象の疾患状態、年齢、性別、および体重、ならびに投与される細胞集団などの要因に応じて変化する場合がある。一部の態様では、提供される方法は、有効量、例えば、治療的有効量の前記細胞および/または組成物を投与する段階を伴う。
「予防的有効量」とは、望ましい予防結果を成し遂げるのに、必要な投与量で、かつ期間にわたって、有効な量を指す。典型的には、疾患の前にまたは疾患の初期段階に対象において予防用量が用いられるので、予防的有効量は治療的有効量より少ないが、必ず治療的有効量より少ないとは限らない。少ない腫瘍負荷量の状況では、予防的有効量は一部の局面では治療的有効量より多い。
養子細胞療法のために細胞を投与するための方法は公知であり、提供される方法および組成物に関連して用いられる場合がある。例えば、養子T細胞療法方法は、例えば、Gruenbergらへの米国特許出願公開第2003/0170238号; Rosenbergへの米国特許第4,690,915号; Rosenberg (2011) Nat Rev Clin Oncol. 8(10):577-85)に記載されている。例えば、Themeli et al. (2013) Nat Biotechnol. 31(10): 928-933; Tsukahara et al. (2013) Biochem Biophys Res Commun 438(1): 84-9; Davila et al. (2013) PLoS ONE 8(4): e61338を参照されたい。
一部の態様では、細胞療法、例えば、養子細胞療法、例えば、養子T細胞療法は、細胞療法を受けようとする対象から、またはこのような対象に由来する試料から細胞が単離される、および/または別の方法で調製される自家移入によって行われる。従って、一部の局面では、前記細胞は、対象、例えば、処置および細胞を必要とする患者に由来し、単離および処理された後に同じ対象に投与される。
一部の態様では、細胞療法、例えば、養子細胞療法、例えば、養子T細胞療法は、細胞療法を受けようとする対象、または細胞療法を最終的に受ける対象以外の対象、例えば、第1の対象から、細胞が単離される、および/または別の方法で調製される同種異系移入によって行われる。このような態様では、次いで、前記細胞は、同じ種の異なる対象、例えば、第2の対象に投与される。一部の態様では、第1の対象および第2の対象は遺伝的に同一である。一部の態様では、第1の対象および第2の対象は遺伝的に似ている。一部の態様では、第2の対象は第1の対象と同じHLAクラスまたはスーパータイプを発現する。
前記細胞は、任意の適切な手段によって、例えば、大量瞬時注入によって、注射、例えば、静脈内注射または皮下注射、眼内注射、眼周囲注射、網膜下注射、硝子体内注射、経中隔注射、強膜下注射、脈絡膜内注射、前房内注射、結膜下(subconjectval)注射、結膜下(subconjuntival)注射、テノン嚢下注射、眼球後注射、眼球周囲注射、または後強膜近傍(posterior juxtascleral)送達によって投与することができる。一部の態様では、前記細胞は、非経口投与、肺内投与、および鼻腔内投与によって、所望であれば、局所処置の場合、病巣内投与によって投与される。非経口注入には、筋肉内投与、静脈内投与、動脈内投与、腹腔内投与、胸腔内投与、頭蓋内投与、または皮下投与が含まれる。一部の態様では、ある特定の用量が前記細胞の単回大量瞬時投与によって投与される。一部の態様では、ある特定の用量が、前記細胞の複数回大量瞬時投与によって、例えば、3日以下の期間にわたって投与されるか、または前記細胞の連続注入投与によって投与される。
疾患の予防または処置のために、適切な投与量は、治療される疾患のタイプ、細胞または組換え受容体のタイプ、疾患の重症度および経過、細胞が治療目的または予防目的で投与されるかどうか、以前の療法、患者の病歴、および細胞に対応する応答、ならびに主治医の判断に左右されることがある。前記組成物および細胞は、一部の態様では、一度に、または一連の処置にわたって対象に適切に投与される。
一部の態様では、前記細胞は、組み合わせ処置の一部として、例えば、別の治療介入、例えば、抗体または操作された細胞または受容体または他の薬剤、例えば、細胞傷害剤または治療剤と同時に、または任意の順番で連続して投与される。従って、前記細胞は、一部の態様では、1種類もしくは複数種のさらなる治療剤と共に、または別の治療介入と共に同時に、または任意の順番で連続して同時投与される。ある状況では、前記細胞は、前記細胞集団が1種類もしくは複数種のさらなる治療剤の効果を強化するような十分に短い期間で別の療法と一緒に同時投与されるか、または逆もまた同じである。一部の態様では、前記細胞は、1種類または複数種のさらなる治療剤の前に投与される。一部の態様では、前記細胞は、1種類または複数種のさらなる治療剤の後に投与される。一部の態様では、1種類または複数種のさらなる薬剤は、例えば、持続性を強化するために、サイトカイン、例えば、IL-2または他のサイトカインを含む。一部の態様において、前記方法は、例えば、用量の投与前に腫瘍負荷を低減するために、化学療法剤、例えば、コンディショニング化学療法剤を投与することを含む。
免疫枯渇(例えば、リンパ球枯渇)療法を用いて対象をプレコンディショニングすると、一部の局面において、養子細胞療法(ACT)の効果を改善することができる。
従って、一部の態様において、前記方法は、細胞療法の開始前に、プレコンディショニング薬剤、例えば、リンパ球枯渇剤または化学療法剤、例えば、シクロホスファミド、フルダラビン、またはその組み合わせを対象に投与する工程を含む。例えば、細胞療法の開始の少なくとも2日前に、例えば、少なくとも3日前、4日前、5日前、6日前、または7日前に、対象にプレコンディショニング薬剤が投与されてもよい。一部の態様において、細胞療法の開始の7日前を超えずに、例えば、6日前、5日前、4日前、3日前、または2日前を超えずに、対象にプレコンディショニング薬剤が投与される。
一部の態様において、対象は、20mg/kg~100mg/kgまたは約20mg/kg~約100mg/kg、例えば、40mg/kg~80mg/kgまたは約40mg/kg~約80mg/kgの用量のシクロホスファミドを用いてプレコンディショニングされる。一部の局面において、対象は、60mg/kgまたは約60mg/kgのシクロホスファミドを用いてプレコンディショニングされる。一部の態様において、シクロホスファミドは、単一用量で投与されてもよく、複数の用量で投与されてもよく、例えば、毎日、1日おきに、または3日ごとに投与されてもよい。一部の態様において、シクロホスファミドは1日または2日にわたって1日1回投与される。一部の態様では、リンパ球枯渇剤がシクロホスファミドを含む場合、対象には100mg/m2~500mg/m2もしくは約100mg/m2~約500mg/m2、例えば、200mg/m2~400mg/m2もしくは約200mg/m2~約400mg/m2、または250mg/m2~350mg/m2もしくは約250mg/m2~約350mg/m2(両端の値を含む)の用量のシクロホスファミドが投与される。場合によっては、対象には約300mg/m2のシクロホスファミドが投与される。一部の態様では、シクロホスファミドは、単一用量で投与されてもよく、複数の用量で投与されてもよく、例えば、毎日、1日おきに、または3日ごとに投与されてもよい。一部の態様では、シクロホスファミドは、例えば、1~5日、例えば、3~5日にわたって毎日投与される。場合によっては、細胞療法を開始する前に、対象には約300mg/m2のシクロホスファミドが3日にわたって毎日投与される。
一部の態様では、リンパ球枯渇剤がフルダラビンを含む場合、対象には1mg/m2~100mg/m2もしくは約1mg/m2~約100mg/m2、例えば、10mg/m2~75mg/m2もしくは約10mg/m2~約75mg/m2、15mg/m2~50mg/m2もしくは約15mg/m2~約50mg/m2、20mg/m2~40mg/m2もしくは約20mg/m2~約40mg/m2、または24mg/m2~35mg/m2もしくは約24mg/m2~約35mg/m2(両端の値を含む)の用量のフルダラビンが投与される。場合によっては、対象には約30mg/m2のフルダラビンが投与される。一部の態様では、フルダラビンは、単一用量で投与されてもよく、複数の用量で投与されてもよく、例えば、毎日、1日おきに、または3日ごとに投与されてもよい。一部の態様では、フルダラビンは、例えば、1~5日、例えば、3~5日にわたって毎日投与される。場合によっては、細胞療法を開始する前に、対象には約30mg/m2のフルダラビンが3日にわたって毎日投与される。
一部の態様では、リンパ球枯渇剤は、薬剤の組み合わせ、例えば、シクロホスファミドとフルダラビンの組み合わせを含む。従って、薬剤の組み合わせは、任意の用量または投与計画、例えば、本明細書に記載の用量または投与計画のシクロホスファミドと、任意の用量または投与計画、例えば、本明細書に記載の用量または投与計画のフルダラビンを含んでもよい。例えば、一部の局面では、初回用量または後続用量の前に、60mg/kg(約2g/m2)のシクロホスファミドと3~5用量の25mg/m2フルダラビンが対象に投与される。
前記細胞が対象(例えば、ヒト)に投与されたら、操作された細胞集団の生物学的活性は、一部の局面では、多数の公知の方法のどの方法でも測定される。評価するパラメータには、インビボでは、例えば、イメージングによる、またはエクスビボでは、例えば、ELISAもしくはフローサイトメトリーによる、操作された、もしくは天然のT細胞または他の免疫細胞と抗原との特異的結合が含まれる。ある特定の態様では、操作された細胞が標的細胞を破壊する能力が、当技術分野において公知の任意の適切な方法、例えば、細胞傷害性アッセイ、例えば、Kochenderfer et al., J. Immunotherapy, 32(7): 689-702 (2009)、およびHerman et al. J. Immunological Methods, 285(1): 25-40 (2004)に記載の細胞傷害性アッセイを用いて測定することができる。ある特定の態様では、前記細胞の生物学的活性はまた、ある特定のサイトカイン、例えば、CD107a、IFNγ、IL-2、およびTNFの発現および/または分泌をアッセイすることでも測定することができる。一部の局面では、生物学的活性は、臨床転帰、例えば、腫瘍負荷量または腫瘍量(tumor load)の低減を評価することによって測定される。一部の局面では、毒性転帰、細胞の持続性および/もしくは増殖、ならびに/または宿主免疫応答の存在もしくは非存在が評価される。
ある特定の態様では、操作された細胞は、治療効力または予防効力が向上するように任意の数のやり方で改変される。例えば、集団によって発現される操作されたCARまたはTCRは、ターゲッティング部分と直接的に、またはリンカーを介して間接的にコンジュゲートすることができる。化合物、例えば、CARまたはTCRをターゲッティング部分にコンジュゲートする手法は当技術分野において公知である。例えば、Wadwa et al., J. Drug Targeting 3: 111 (1995)および米国特許第5,087,616号を参照されたい。
一部の態様では、前記細胞は、組み合わせ処置の一部として、例えば、別の治療介入、例えば、抗体または操作された細胞または受容体または薬剤、例えば、細胞傷害剤または治療剤と同時に、または任意の順番で連続して投与される。前記細胞は、一部の態様では、1種類もしくは複数種のさらなる治療剤と共に、または別の治療介入と共に同時に、または任意の順番で連続して同時投与される。ある状況では、前記細胞は、前記細胞集団が1種類もしくは複数種のさらなる治療剤の効果を強化するような十分に短い期間で別の療法と一緒に同時投与されるか、または逆もまた同じである。一部の態様では、前記細胞は、1種類または複数種のさらなる治療剤の前に投与される。一部の態様では、前記細胞は、1種類または複数種のさらなる治療剤の後に投与される。一部の態様では、1種類または複数種のさらなる薬剤は、例えば、持続性を強化するために、サイトカイン、例えば、IL-2を含む。
A.投薬
一部の態様において、提供される方法に従って、かつ/または、提供される製造品もしくは組成物で、ある用量の細胞が対象に投与される。一部の態様において、用量のサイズおよびタイミングは、対象における特定の疾患または状態の関数として決定される。場合によっては、提供された説明を考慮して、特定の疾患に対する用量のサイズまたはタイミングを経験的に決定し得る。
一部の態様において、細胞の用量は、2x105個もしくは約2x105個の細胞/kg~2x106個もしくは約2x106個の細胞/kg、例えば、4x105もしくは約4x105個の細胞/kg~1x106もしくは約1x106個の細胞/kg、または6x105もしくは約6x105個の細胞/kg~8x105もしくは約8x105個の細胞/kgを含む。一部の態様では、細胞の用量は、対象の体重1キログラムにつき2x105個以下の細胞(例えば、抗原発現細胞、例えば、CAR発現細胞)(細胞/kg)、例えば、3x105細胞/kg以下もしくは約3x105細胞/kg以下、4x105細胞/kg以下もしくは約4x105細胞/kg以下、5x105細胞/kg以下もしくは約5x105細胞/kg以下、6x105細胞/kg以下もしくは約6x105細胞/kg以下、7x105細胞/kg以下もしくは約7x105細胞/kg以下、8x105細胞/kg以下もしくは約8x105細胞/kg以下、9x105細胞/kg以下もしくは約9x105細胞/kg以下、1x106細胞/kg以下もしくは約1x106細胞/kg以下、または2x106細胞/kg以下もしくは約2x106細胞/kg以下を含む。一部の態様では、細胞の用量は、対象の体重1キログラムにつき、少なくとも2x105個、もしくは少なくとも約2x105個、もしくは2x105個、もしくは約2x105個の細胞(例えば、抗原発現細胞、例えば、CAR発現細胞)(細胞/kg)、例えば、少なくとも3x105細胞/kg、もしくは少なくとも約3x105細胞/kg、もしくは3x105細胞/kg、もしくは約3x105細胞/kg、少なくとも4x105細胞/kg、もしくは少なくとも約4x105細胞/kg、もしくは4x105細胞/kg、もしくは約4x105細胞/kg、少なくとも5x105細胞/kg、もしくは少なくとも約5x105細胞/kg、もしくは5x105細胞/kg、もしくは約5x105細胞/kg、少なくとも6x105細胞/kg、もしくは少なくとも約6x105細胞/kg、もしくは6x105細胞/kg、もしくは約6x105細胞/kg、少なくとも7x105細胞/kg、もしくは少なくとも約7x105細胞/kg、もしくは7x105細胞/kg、もしくは約7x105細胞/kg、少なくとも8x105細胞/kg、もしくは少なくとも約8x105細胞/kg、もしくは8x105細胞/kg、もしくは約8x105細胞/kg、少なくとも9x105細胞/kg、もしくは少なくとも約9x105細胞/kg、もしくは9x105細胞/kg、もしくは約9x105細胞/kg、少なくとも1x106細胞/kg、もしくは少なくとも約1x106細胞/kg、もしくは1x106細胞/kg、もしくは約1x106細胞/kg、または少なくとも2x106細胞/kg、もしくは少なくとも約2x106細胞/kg、もしくは2x106細胞/kg、もしくは約2x106細胞/kgを含む。
養子細胞療法の状況では、ある特定の「用量」の投与は、ある特定の量または数の細胞を、単回組成物投与および/または中断されない単回投与、例えば、単回注射または連続注入として投与することを包含し、ある特定の量または数の細胞を、3日以下の指定された期間にわたって複数の個々の組成物または注入の形で提供される分割用量として投与することも包含する。従って、ある状況では、用量は、1つの時点で与えられるか、または開始する、指定された数の細胞の単回投与または連続投与である。しかしながら、ある状況では、用量は、3日以下の期間にわたって、例えば、3日もしくは2日にわたって1日1回の、複数回の注射もしくは注入の形で投与されるか、または1日にわたって複数回の注入によって投与される。
従って、一部の局面において、細胞は単一の薬学的組成物に入れられて投与される。
一部の態様において、細胞は複数の組成物に入れられて投与され、複数の組成物は合わさって単一用量の細胞を含有する。
従って、前記用量のうちの1つまたは複数は、一部の局面において、分割用量として投与されてもよい。例えば、一部の態様では、前記用量は2日または3日にわたって対象に投与されてもよい。分割投薬のための例示的な方法は、初日に用量の25%を投与する段階と、2日目に用量の残りの75%を投与する段階を含む。他の態様では、初日に用量の33%が投与されてもよく、2日目に残りの67%が投与されてもよい。一部の局面では、初日に用量の10%が投与され、2日目に用量の30%が投与され、3日目に用量の60%が投与される。一部の態様では、分割用量は3日を超えて広げられることはない。
一部の態様において、複数の用量が、一部の局面においては、初回用量と第二用量との間のタイミングに関するものと同じタイミングガイドラインを用いて、例えば、初回用量と複数の後続用量を投与することによって与えられ、それぞれの後続用量は、初回用量または前の用量の投与の後、約28日より長い時点で与えられる。
ある態様において、細胞、または細胞の個々のサブタイプ集団が、約100万~約1000億個の細胞の範囲で、および/または体重1キログラムあたりの細胞の量で、例えば、100万~約500億個の細胞(例えば、約500万個の細胞、約2500万個の細胞、約5億個の細胞、約10億個の細胞、約50億個の細胞、約200億個の細胞、約300億個の細胞、約400億個の細胞、または前述の値のいずれか2つによって規定された範囲)、例えば、約1000万~約1000億個の細胞(例えば、約2000万個の細胞、約3000万個の細胞、約4000万個の細胞、約6000万個の細胞、約7000万個の細胞、約8000万個の細胞、約9000万個の細胞、約100億個の細胞、約250億個の細胞、約500億個の細胞、約750億個の細胞、約900億個の細胞、または前述の値のいずれか2つによって規定された範囲)、場合によっては、約1億個の細胞~約500億個の細胞(例えば、約1億2000万個の細胞、約2億5000万個の細胞、約3億5000万個の細胞、約4億5000万個の細胞、約6億5000万個の細胞、約8億個の細胞、約9億個の細胞、約30億個の細胞、約300億個の細胞、約450億個の細胞)(またはこれらの範囲の間にある任意の値)の量でおよび/または体重1キログラムあたりの量で、対象に投与される。投与量は、疾患もしくは障害に特有の特質、ならびに/または患者および/もしくは他の処置に応じて変化することがある。
一部の態様において、遺伝子操作された細胞の用量は、1 x 105~5 x 108もしくは約1 x 105~約5 x 108個の全CAR発現T細胞、1 x 105~2.5 x 108もしくは約1 x 105~約2.5 x 108個の全CAR発現T細胞、1 x 105~1 x 108もしくは約1 x 105~約1 x 108個の全CAR発現T細胞、1 x 105~5 x 107もしくは約1 x 105~約5 x 107個の全CAR発現T細胞、1 x 105~2.5 x 107もしくは約1 x 105~約2.5 x 107個の全CAR発現T細胞、1 x 105~1 x 107もしくは約1 x 105~約1 x 107個の全CAR発現T細胞、1 x 105~5 x 106もしくは約1 x 105~約5 x 106個の全CAR発現T細胞、1 x 105~2.5 x 106もしくは約1 x 105~約2.5 x 106個の全CAR発現T細胞、1 x 105~1 x 106もしくは約1 x 105~約1 x 106個の全CAR発現T細胞、1 x 106~5 x 108もしくは約1 x 106~約5 x 108個の全CAR発現T細胞、1 x 106~2.5 x 108もしくは約1 x 106~約2.5 x 108個の全CAR発現T細胞、1 x 106~1 x 108もしくは約1 x 106~約1 x 108個の全CAR発現T細胞、1 x 106~5 x 107もしくは約1 x 106~約5 x 107個の全CAR発現T細胞、1 x 106~2.5 x 107もしくは約1 x 106~約2.5 x 107個の全CAR発現T細胞、1 x 106~1 x 107もしくは約1 x 106~約1 x 107個の全CAR発現T細胞、1 x 106~5 x 106もしくは約1 x 106~約5 x 106個の全CAR発現T細胞、1 x 106~2.5 x 106もしくは約1 x 106~約2.5 x 106個の全CAR発現T細胞、2.5 x 106~5 x 108もしくは約2.5 x 106~約5 x 108個の全CAR発現T細胞、2.5 x 106~2.5 x 108もしくは約2.5 x 106~約2.5 x 108個の全CAR発現T細胞、2.5 x 106~1 x 108もしくは約2.5 x 106~約1 x 108個の全CAR発現T細胞、2.5 x 106~5 x 107もしくは約2.5 x 106~約5 x 107個の全CAR発現T細胞、2.5 x 106~2.5 x 107もしくは約2.5 x 106~約2.5 x 107個の全CAR発現T細胞、2.5 x 106~1 x 107もしくは約2.5 x 106~約1 x 107個の全CAR発現T細胞、2.5 x 106~5 x 106もしくは約2.5 x 106~約5 x 106個の全CAR発現T細胞、5 x 106~5 x 108もしくは約5 x 106~約5 x 108個の全CAR発現T細胞、5 x 106~2.5 x 108もしくは約5 x 106~約2.5 x 108個の全CAR発現T細胞、5 x 106~1 x 108もしくは約5 x 106~約1 x 108個の全CAR発現T細胞、5 x 106~5 x 107もしくは約5 x 106~約5 x 107個の全CAR発現T細胞、5 x 106~2.5 x 107もしくは約5 x 106~約2.5 x 107個の全CAR発現T細胞、5 x 106~1 x 107もしくは約5 x 106~約1 x 107個の全CAR発現T細胞、1 x 107~5 x 108もしくは約1 x 107~約5 x 108個の全CAR発現T細胞、1 x 107~2.5 x 108もしくは約1 x 107~約2.5 x 108個の全CAR発現T細胞、1 x 107~1 x 108もしくは約1 x 107~約1 x 108個の全CAR発現T細胞、1 x 107~5 x 107もしくは約1 x 107~約5 x 107個の全CAR発現T細胞、1 x 107~2.5 x 107もしくは約1 x 107~約2.5 x 107個の全CAR発現T細胞、2.5 x 107~5 x 108もしくは約2.5 x 107~約5 x 108個の全CAR発現T細胞、2.5 x 107~2.5 x 108もしくは約2.5 x 107~約2.5 x 108個の全CAR発現T細胞、2.5 x 107~1 x 108もしくは約2.5 x 107~約1 x 108個の全CAR発現T細胞、2.5 x 107~5 x 107もしくは約2.5 x 107~約5 x 107個の全CAR発現T細胞、5 x 107~5 x 108もしくは約5 x 107~約5 x 108個の全CAR発現T細胞、5 x 107~2.5 x 108もしくは約5 x 107~約2.5 x 108個の全CAR発現T細胞、5 x 107~1 x 108もしくは約5 x 107~約1 x 108個の全CAR発現T細胞、1 x 108~5 x 108もしくは約1 x 108~約5 x 108個の全CAR発現T細胞、1 x 108~2.5 x 108もしくは約1 x 108~約2.5 x 108個の全CAR発現T細胞、または2.5 x 108~5 x 108もしくは約2.5 x 108~約5 x 108個の全CAR発現T細胞を含む。
一部の態様において、遺伝子操作された細胞の用量は、少なくとももしくは少なくとも約1 x 105個のCAR発現細胞、少なくとももしくは少なくとも約2.5 x 105個のCAR発現細胞、少なくとももしくは少なくとも約5 x 105個のCAR発現細胞、少なくとももしくは少なくとも約1 x 106個のCAR発現細胞、少なくとももしくは少なくとも約2.5 x 106個のCAR発現細胞、少なくとももしくは少なくとも約5 x 106個のCAR発現細胞、少なくとももしくは少なくとも約1 x 107個のCAR発現細胞、少なくとももしくは少なくとも約2.5 x 107個のCAR発現細胞、少なくとももしくは少なくとも約5 x 107個のCAR発現細胞、少なくとももしくは少なくとも約1 x 108個のCAR発現細胞、少なくとももしくは少なくとも約2.5 x 108個のCAR発現細胞、または少なくとももしくは少なくとも約5 x 108個のCAR発現細胞を含む。
一部の態様において、細胞療法は、以下の細胞数を含む用量の投与を含む:1 x 105~5 x 108もしくは約1 x 105~約5 x 108個の全ての組換え受容体発現細胞、全T細胞、もしくは全末梢血単核細胞(PBMC)、5 x 105~1 x 107もしくは約5 x 105~約1 x 107個の全ての組換え受容体発現細胞、全T細胞、もしくは全末梢血単核細胞(PBMC)、または1 x 106~1 x 107もしくは約1 x 106~約1 x 107個の全ての組換え受容体発現細胞、全T細胞、もしくは全末梢血単核細胞(PBMC)(各々両端の値を含む)。一部の態様において、細胞療法は、以下の細胞数を含む細胞の用量の投与を含む:少なくとももしくは少なくとも約1 x 105個の全ての組換え受容体発現細胞、全T細胞、もしくは全末梢血単核細胞(PBMC)、例えば、少なくとももしくは少なくとも1 x 106個、少なくとももしくは少なくとも約1 x 107個、少なくとももしくは少なくとも約1 x 108個のそのような細胞。一部の態様において、前記数は、CD3+またはCD8+の、場合によってはさらに組換え受容体を発現する(例えば、CAR+)細胞の総数に関する。一部の態様において、細胞療法は、以下の細胞数を含む用量の投与を含む:1 x 105~5 x 108もしくは約1 x 105~約5 x 108個のCD3+もしくはCD8+全T細胞またはCD3+もしくはCD8+組換え受容体発現細胞、5 x 105~1 x 107もしくは約5 x 105~約1 x 107個のCD3+もしくはCD8+全T細胞またはCD3+もしくはCD8+組換え受容体発現細胞、または1 x 106~1 x 107もしくは約1 x 106~約1 x 107個のCD3+もしくはCD8+全T細胞またはCD3+もしくはCD8+組換え受容体発現細胞(各々両端の値を含む)。一部の態様において、細胞療法は、以下の細胞数を含む用量の投与を含む:1 x 105~5 x 108もしくは約1 x 105~約5 x 108個の全てのCD3+/CAR+もしくはCD8+/CAR+細胞、5 x 105~1 x 107もしくは約5 x 105~約1 x 107個の全てのCD3+/CAR+もしくはCD8+/CAR+細胞、または1 x 106~1 x 107もしくは約1 x 106~約1 x 107個の全てのCD3+/CAR+もしくはCD8+/CAR+細胞(各々両端の値を含む)。
一部の態様において、前記用量のT細胞は、CD4+ T細胞、CD8+ T細胞、またはCD4+およびCD8+ T細胞を含む。
一部の態様において、例えば、対象がヒトである場合、前記用量のCD8+ T細胞(CD4+およびCD8+ T細胞を含む用量中を含む)は、約1 x 106~5 x 108個の全組換え受容体(例えば、CAR)発現CD8+細胞、例えば、約5 x 106~1 x 108個の範囲のこのような細胞、このような細胞、1 x 107、2.5 x 107、5 x 107、7.5 x 107、1 x 108、もしくは5 x 108個の全てのこのような細胞、または前述の値のいずれか2つの間の範囲を含む。一部の態様において、患者に複数の用量が投与され、前記用量の各々、または全用量は前述の値のいずれかの範囲内でもよい。一部の態様において、細胞の用量は、以下の投与を含む:1 x 107~0.75 x 108もしくは約1 x 107~約0.75 x 108個の全ての組換え受容体発現CD8+ T細胞、1 x 107~2.5 x 107個の全ての組換え受容体発現CD8+ T細胞、1 x 107~0.75 x 108もしくは約1 x 107~約0.75 x 108個の全ての組換え受容体発現CD8+ T細胞(各々両端の値を含む)。一部の態様において、細胞の用量は、以下の投与を含む:1 x 107もしくは約1 x 107、2.5 x 107もしくは約2.5 x 107、5 x 107もしくは約5 x 107、7.5 x 107もしくは約7.5 x 107、1 x 108もしくは約1 x 108、または5 x 108もしくは約5 x 108個の全ての組換え受容体発現CD8+ T細胞。
一部の態様において、細胞、例えば、組換え受容体発現T細胞の用量は、単一用量として対象へ投与されるか、または、2週間、1ヶ月間、3ヶ月間、6ヶ月間、1年間またはそれ以上の期間内に1回のみ投与される。
一部の態様において、用量は、対象体重1キログラムあたり約105~約106個のこのような細胞の範囲内の数の細胞、組換え受容体(例えば、CAR)発現細胞、T細胞、もしくは末梢血単核細胞(PBMC)、および/または対象体重1キログラムあたり約105個以下もしくは約106個以下のこのような細胞の数のこのような細胞を含有する。例えば、一部の態様において、初回用量または後続用量は、対象体重1キログラムあたり1x105個もしくは約1x105個より少ないもしくはそれ以下、2x105個もしくは約2x105個より少ないもしくはそれ以下、5x105個もしくは約5x105個より少ないもしくはそれ以下、または1x106個もしくは約1x106個より少ないもしくはそれ以下のこのような細胞を含む。一部の態様において、初回用量は、対象体重1キログラムあたり1x105個もしくは約1x105個、2x105個もしくは約2x105個、5x105個もしくは約5x105個、または1x106個もしくは約1x106個のこのような細胞、あるいは前述の値のいずれか2つの間の範囲内にある値を含む。特定の態様において、細胞の数および/または濃度は組換え受容体(例えば、CAR)発現細胞の数を指す。他の態様において、細胞の数および/または濃度は、投与される全ての細胞、T細胞、または末梢血単核細胞(PBMC)の数または濃度を指す。
一部の態様において、例えば、対象がヒトである場合、用量は、約1 x 108個より少ない全組換え受容体(例えば、CAR)発現細胞、T細胞、もしくは末梢血単核細胞(PBMC)、例えば、約1 x 106~1 x 108個の範囲のこのような細胞、例えば、2 x 106、5 x 106、1 x 107、5 x 107、または1 x 108個もしくは全てのこのような細胞(or total such cells)、または前述の値のいずれか2つの間の範囲を含む。
一部の態様において、用量は、対象1 m2あたり約1 x 108個より少ない全組換え受容体(例えば、CAR)発現細胞、T細胞、もしくは末梢血単核細胞(PBMC)細胞、例えば、対象1 m2あたり約1 x 106~1 x 108個の範囲のこのような細胞、例えば、対象1 m2あたり2 x 106、5 x 106、1 x 107、5 x 107、または1 x 108個のこのような細胞、または前述の値のいずれか2つの間の範囲を含有する。
ある態様において、用量中の細胞、組換え受容体(例えば、CAR)発現細胞、T細胞、または末梢血単核細胞(PBMC)の数は、対象体重1キログラムあたり約1 x 106個より多いこのような細胞、例えば、体重1キログラムあたり2 x 106、3 x 106、5 x 106、1 x 107、5 x 107、1 x 108、1 x 109、もしくは1 x 1010個のこのような細胞、および/または対象1 m2あたり1 x 108、もしくは1 x 109、1 x 1010個のこのような細胞、もしくは合計(or total)、または前述の値のいずれか2つの間の範囲である。
一部の局面において、用量のサイズは、1つまたは複数の判断基準、例えば、前処置、例えば、化学療法に対する対象の応答、対象における疾患負荷量、例えば、腫瘍量、嵩、サイズ、または転移の程度、度合い、もしくはタイプ、ステージ、ならびに/あるいは対象が毒性転帰、例えば、CRS、マクロファージ活性化症候群、腫瘍崩壊症候群、神経毒性を発症する可能性または発生率、ならびに/あるいは投与される細胞および/または組換え受容体に対する宿主免疫応答に基づいて決定される。
一部の局面において、用量のサイズは、対象における疾患または状態の負荷量によって決定される。例えば、一部の局面において、用量において投与される細胞の数は、細胞の用量の投与開始直前の対象に存在する腫瘍負荷量に基づいて決定される。一部の態様において、初回用量および/または後続用量のサイズは疾患負荷量と逆相関がある。一部の局面では、多疾患負荷量の状況のように、少数の細胞、例えば、対象体重1キログラムあたり約1x106個未満の細胞が対象に投与される。他の態様では、低疾患負荷量の状況のように、多数の細胞、例えば、対象体重1キログラムあたり約1x106個を超える細胞が対象に投与される。
一部の局面において、エピジェネティック特性の評価の結果、例えば、ATAC-seq解析からのプロファイルは、例えば、操作細胞の投与の用量、タイミングおよび/または頻度を含む、治療レジメンを決定するために使用することができる。一部の局面において、本明細書に記載される方法を使用して決定されるような、細胞組成物、例えば、操作細胞組成物または対象から得られた操作前細胞組成物の特徴および/または特性は、治療についての対象を選択しかつ/または治療についての適切な用量を決定するために使用することができる。一部の態様において、本明細書に記載される方法は、投与される組成物中の細胞の臨床用量を評価するために使用することができる。
VI.キットおよび製造品
キットおよび製造品、例えば、本明細書に提供される方法を行うための試薬、例えば、細胞、例えば操作用の細胞中の、1つまたは複数のゲノム領域、例えばゲノム座位でのエピジェネティック特性を評価するための試薬を含有するキットおよび製造品をさらに提供する。一部の態様において、キットはまた、他のパラメータを評価するためか、または、1つまたは複数のゲノム領域、例えばゲノム座位について追加のエピジェネティックおよび/またはエピゲノミック解析を行うための試薬を含む。
一部の態様において、核酸、挿入酵素および挿入エレメントを含むキットを提供し、ここで:挿入エレメントは、所定の配列を含む核酸を含むことができ、挿入酵素はアフィニティタグをさらに含むことができる。一部の態様において、キットは、会合分子、例えば、核酸と会合するタンパク質(例えば、ヒストン)または核酸(例えば、アプタマー)をさらに含む。一部の態様において、アフィニティタグは抗体であり得る。一部の態様において、抗体は、転写因子、修飾ヌクレオソームおよび/または修飾核酸に結合することができる。修飾核酸の例としては、メチル化またはヒドロキシメチル化DNAが挙げられるが、これらに限定されない。アフィニティタグはまた、一本鎖核酸(例えば、ssDNA、ssRNA)であり得る。一部の態様において、一本鎖核酸は標的核酸へ結合され得る。場合によっては、挿入酵素は、核局在化シグナルをさらに含むことができる。
一部の態様において、キットは、さらに以下を含む:(a)細胞の集団から核を単離するための試薬;(b)トランスポザーゼおよびトランスポゾンタグ、ならびに(c)トランスポザーゼ反応緩衝液、ここで、インビトロで反応緩衝液、トランスポザーゼおよびアダプターと核とを混ぜ合わせることが、クロマチンを放出するための核の溶解と、ゲノムDNAのアダプタータグ付加断片の生成との両方を生じさせるように、キットのコンポーネントは構成されている。
一部の態様において、キットは、以下を含むことができる:(a)細胞溶解緩衝液;(b)アフィニティタグを含む挿入酵素;および(c)核酸を含む挿入エレメントであって、該核酸が所定の配列を含む、挿入エレメント。挿入酵素は、例えば、トランスポザーゼであり得る。挿入酵素はまた、一緒に連結されている2つ以上の酵素部分を含むことができる。
一部の態様において、キットは、他のコンポーネント、例えば:PCRプライマー、PCR試薬、例えば、ポリメラーゼ、緩衝液、ヌクレオチド、追加のアッセイのための試薬、例えば、細胞内サイトカイン染色、フローサイトメトリー、クロマチン免疫沈降ならびに/または追加のエピジェネティックおよび/もしくはエピゲノミック解析のための試薬を任意で含有する。一部の態様において、追加のアッセイのための試薬は、特定の分子の発現またはレベルを測定するためにインビトロアッセイを行うためのコンポーネントを含む。場合によっては、インビトロアッセイは、イムノアッセイ、アプタマーに基づくアッセイ、組織学的アッセイもしくは細胞学的アッセイ、またはmRNA発現レベルアッセイである。一部の態様において、インビトロアッセイは、酵素結合免疫測定法(ELISA)、イムノブロッティング、免疫沈降、ラジオイムノアッセイ(RIA)、免疫染色、フローサイトメトリーアッセイ、表面プラズモン共鳴(SPR)、化学ルミネセンスアッセイ、ラテラルフローイムノアッセイ、阻害アッセイ、およびアビディティアッセイより選択される。一部の局面において、試薬は、分子に特異的に結合する結合試薬である。場合によっては、結合試薬は、抗体もしくはその抗原結合断片、アプタマー、または核酸プローブである。キットの様々なコンポーネントは、個別の容器中に存在してもよく、または、ある相溶性のコンポーネントは、単一の容器中へ予め組み合わせてもよい。一部の態様において、キットは、提供される方法を実施するためにキットのコンポーネントを使用するための説明書さらに含有する。
VII.定義
特に定義のない限り、本明細書において用いられる専門用語、注釈、ならびに他の技術用語および科学用語または専門語は全て、クレームされた対象が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有することが意図される。場合によっては、理解しやすいように、および/または容易に参照できるように、一般的に理解されている意味を有する用語が本明細書において定義される。本明細書における、このような定義の記載が、必ず、当技術分野において一般的に理解されているものと、かなり大きく異なると解釈することはしてはならない。
本願において言及された、特許文書、科学文献、およびデータベースを含む刊行物は全て、それぞれ個々の刊行物が個々に参照により組み入れられるのと同じ程度に、全ての目的のためにその全体が参照により組み入れられる。本明細書において示された定義が、参照により本明細書に組み入れられる特許、出願、公開された出願、および他の刊行物に示された定義と相違するか、または他の点で一致しない場合、参照により本明細書に組み入れられる定義ではなく、本明細書において示された定義が優先される。
本明細書において用いられるセクションの見出しは、系統立ててまとめることだけを目的とし、説明された対象を限定すると解釈してはならない。
本明細書において使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、特に文脈によってはっきり示されていない限り複数の指示物を含む。例えば、「1つの(a)」または「1つの(an)」は「少なくとも1つの」または「1つまたは複数の」を意味する。本明細書に記載される局面およびバリエーションは、局面およびバリエーション「からなること」および/またはこれら「から本質的になること」を含む。
用語「約」は、本明細書において使用される場合、この技術分野の当業者に容易に分かる、それぞれの値の通常の誤差範囲を指す。本明細書における「約」のついた値またはパラメータについての言及は、その値またはパラメータそのものに向けられた態様を含む(およびその態様について説明している)。例えば、「約X」を指す説明は「X」の説明を含む。
本開示全体を通じて、クレームされた対象の様々な局面が範囲の形で示される。範囲の形での説明は単なる便宜および簡略のためであり、クレームされた対象の範囲に対する融通の利かない限定として解釈してはならないと理解されるはずである。従って、範囲の説明は、可能性のある全ての部分範囲ならびにその範囲内にある個々の数値を具体的に開示したとみなされるはずである。例えば、値の範囲が示された場合、その範囲の上限と下限との間の、間にあるそれぞれの値と、その述べられた範囲内にある他の任意の述べられた値または間にある値が、クレームされた対象に包含されると理解される。これらのさらに小さな範囲の上限および下限は、独立して、その小さな範囲に含まれてもよく、その述べられた範囲内にある、明確に除外されるあらゆる限界を条件としてクレームされた対象に包含される。述べられた範囲が限界の一方または両方を含む場合、それらの含まれる限界のいずれかまたは両方を除外する範囲もまた、クレームされた対象に含まれる。このことは範囲の幅に関係なく適用される。
本明細書において使用される場合、組成物とは、細胞を含む、2種類以上の産物、物質、または化合物の任意の混合物を指す。組成物は、溶液、懸濁液、液体、粉末、ペースト、水性、非水性、またはその任意の組み合わせでもよい。
本明細書において使用される場合、細胞または細胞集団が特定のマーカーについて「陽性」であるという記載は、特定のマーカー、典型的には表面マーカーが細胞の表面に、または細胞の中に検出可能に存在することを指す。表面マーカーを指している場合、この用語は、フローサイトメトリーによって、例えば、マーカーに特異的に結合する抗体で染色し、この抗体を検出することによって検出される時に表面発現が存在することを指す。ここで、染色は、フローサイトメトリーによって、他の点では同一の条件下で、アイソタイプが一致する対照を用いた同じ手順を行って検出される染色をかなり上回るレベルで、および/またはマーカーが陽性であることが分かっている細胞のレベルと実質的に類似するレベルで、および/またはマーカーが陰性であることが分かっている細胞のレベルよりかなり高いレベルで検出することができる。
本明細書において使用される場合、細胞または細胞集団が特定のマーカーについて「陰性」であるという記載は、特定のマーカー、典型的には表面マーカーが細胞の表面に、または細胞の中に実質的に検出可能に存在することが無いことを指す。表面マーカーを指している場合、この用語は、フローサイトメトリーによって、例えば、マーカーに特異的に結合する抗体で染色し、この抗体を検出することによって検出される時に表面発現が存在しないことを指す。ここで、染色は、フローサイトメトリーによって、他の点では同一の条件下で、アイソタイプが一致する対照を用いた同じ手順を行って検出される染色をかなり上回るレベルで、および/またはマーカーが陽性であることが分かっている細胞のレベルよりかなり低いレベルで、および/またはマーカーが陰性であることが分かっている細胞のレベルと比較して実質的に類似するレベルで検出されない。
用語「ベクター」は、本明細書において使用される場合、連結されている別の核酸を増やすことができる核酸分子を指す。この用語は、自己複製核酸構造であるベクター、ならびにベクターが導入されている宿主細胞のゲノムに組み込まれたベクターを含む。ある特定のベクターは、機能的に連結されている核酸の発現を起こすことができる。このようなベクターは本明細書において「発現ベクター」と呼ばれる。
本明細書において使用される場合、「対象」とは、哺乳動物、例えば、ヒトまたは他の動物であり、典型的にはヒトである。
VIII.例示的態様
提供する態様には以下のものがある:
1. 細胞療法による治療の転帰の予測となる1つまたは複数のゲノム領域を同定する方法であって、
(a)細胞もしくは細胞集団の1つまたは複数のゲノム領域のエピジェネティック特性を解析または決定する工程であって、該細胞もしくは集団が、(i)組換え受容体を含む第2の組成物を生成するように該組換え受容体で遺伝子操作される細胞の第1の組成物中、または(ii)該組換え受容体を含む細胞の第2の組成物中に含まれる、工程;および
(b)該1つまたは複数のゲノム領域にわたって全体的に、エピジェネティック特性が細胞療法の転帰を予測する、示す、またはそれと相関する、該1つまたは複数のゲノム領域のうちの1つまたは複数を同定する工程であって、該細胞療法が該組換え受容体を含む細胞の第2の組成物を投与することを含む、工程
を含む、方法。
2. 前記転帰が、任意で、完全奏効、部分奏効、進行性疾患、分子的に検出可能な疾患、再発、奏効の持続性、効果に関連するもしくは効果を示す転帰、または毒性に関連するもしくは毒性を示す転帰である、態様1の方法。
3. 細胞療法による治療の転帰を予測する1つまたは複数のゲノム領域を同定する方法であって、
(a)第1の治療用組成物に含まれる細胞または細胞の集団についての1つまたは複数のゲノム領域のエピジェネティック特性のレベルもしくは程度または相対的なレベルもしくは程度を決定または測定する工程;
(b)第2の治療用組成物に含まれる細胞または細胞の集団についての該1つまたは複数のゲノム領域の該エピジェネティック特性のレベルもしくは程度または相対的なレベルもしくは程度を決定または測定する工程;
(c)該ゲノム領域の1つまたは複数について、(a)における該レベルまたは程度と、(b)における該レベルまたは程度とを比較する工程
を含む、方法。
4. (a)において決定または測定されたレベルまたは程度が、(b)において決定または測定されたレベルまたは程度と比較して異なる、任意で有意に異なる、該1つまたは複数のゲノム領域のうちの1つまたは複数を同定する工程をさらに含む、態様3の方法。
5. 複数のゲノム領域のそれぞれについて、(a)において検出または測定されたレベルまたは程度と(b)において検出または測定されたレベルまたは程度との間の差または有意差によって、該エピジェネティック特性またはその程度もしくはレベルが、第1および第2の治療用組成物の一方では生じるかまたは生じたが他方では生じない転帰と相関する、それを予測する、その可能性もしくはリスクを予測することが示され、該転帰が、任意で、完全奏効、部分奏効、進行性疾患、分子的に検出可能な疾患、再発、奏効の持続性、効果に関連するもしくは効果を示す転帰、または毒性に関連するもしくは毒性を示す転帰である、態様3または態様4の方法。
6. 前記ゲノム領域がゲノム座位または遺伝子を含む、態様1~5のいずれかの方法。
7. 前記ゲノム領域が遺伝子のオープンリーディングフレームを含む、態様1または態様2の方法。
8. エピジェネティック特性がクロマチンアクセシビリティ、ヌクレオソーム占有率、ヒストン修飾、空間的染色体コンフォメーション、転写因子占有率、およびDNAメチル化の中から選択される、態様1~7のいずれかの方法。
9. エピジェネティック特性がクロマチンアクセシビリティである、態様1~8のいずれかの方法。
10. エピジェネティック特性がクロマチンアクセシビリティ、クロマチンアクセシビリティのレベルもしくは程度、クロマチンアクセシビリティの相対的なレベルもしくは程度を含む;および/または
エピジェネティック特性が該ゲノム領域にわたるクロマチンアクセシビリティの程度もしくはレベル、その相対的な程度もしくはレベル、またはそのプロファイルもしくはマップを含む;
態様1~9のいずれかの方法。
11. クロマチンアクセシビリティが、ハイスループットシーケンシングによるトランスポザーゼ接近可能クロマチンのアッセイ(ATAC-seq)またはハイスループットシーケンシングに連結されたクロマチン免疫沈降(ChIP-seq)によって測定される、態様8~10のいずれかの方法。
12. クロマチンアクセシビリティがATAC-seqにより測定される、態様8~11のいずれかの方法。
13. エピジェネティック特性を解析する工程が、該1つまたは複数のゲノム領域の各々またはそのサブセットに沿って、エピジェネティック特性に関連するかまたはそれを示す配列リードのプロファイル、任意でクロマチンアクセシビリティに関連するかまたはそれを示す配列リードのプロファイルを示すエピジェネティックマップを作成することを含み、かつ/または
該ゲノム領域の長さに沿った複数の部位もしくは部分の各々について、エピジェネティックなリードアウト、任意でクロマチンアクセシビリティを示す1つまたは複数の配列リードを該部位もしくは部分において生成させることを含み、ここで、該1つまたは複数の配列リードの量が、該部位もしくは部分における該エピジェネティック特性、任意でクロマチンアクセシビリティ、の程度もしくはレベルを示す、
態様1~12のいずれかの方法。
14. 前記の解析する工程が、任意で、該ゲノム領域にわたって、該エピジェネティックなリードアウトの全体的な程度もしくはレベルを決定すること、任意でアクセシビリティの全体的な程度もしくはレベルを決定することをさらに含む、態様13の方法。
15. エピジェネティック特性を解析する工程が、該1つまたは複数のゲノム領域にわたってクロマチンアクセシビリティの値もしくはレベルを決定、測定または定量することを含む、態様1~14のいずれかの方法。
16. エピジェネティック特性を解析する工程が、該1つまたは複数のゲノム領域またはそのサブセットにわたって、エピジェネティック特性、任意でクロマチンアクセシビリティに関連するかまたはそれを示す値もしくはレベルを決定、測定または定量することを含む、態様1~14のいずれかの方法。
17. 前記の値もしくはレベルが、該1つまたは複数のゲノム領域の各々またはそのサブセット内のFPKM(fragments per kilobase per million of mapped reads:1キロベースあたりの、マップされたリード数100万あたりの断片数)値であるか、またはFPKM値を決定することを含む、態様15または態様16の方法。
18. 前記の値もしくはレベルが、該1つまたは複数のゲノム領域の各々またはそのサブセット内のFPKM値であるか、またはFPKM値を合計もしくは総計することを含む、態様15~17のいずれかの方法。
19. 工程(a)および(b)が、組換え受容体で操作された細胞を含む第2の細胞組成物をそれぞれ独立して投与された複数の対象に対して実施される、態様1~18のいずれかの方法。
20. 各ゲノム領域またはそのサブセットについて、複数の対象のそれぞれについての細胞療法の転帰にマッピングされた各ゲノム座位の配列リードの値もしくはレベルを含むディスプレイを作製する、態様16~19のいずれかの方法。
21. 前記ディスプレイがヒートマップ、散布図、階層的クラスタリングおよび/またはコンステレーションプロットを含む、態様20の方法。
22. 前記1つまたは複数のゲノム領域を同定することが、細胞療法の転帰に基づいてクラスター解析を実施することを含む、態様20または態様21の方法。
23. 細胞療法の転帰を示すまたはそれと相関する該1つまたは複数のゲノム領域を同定することが、同じまたは同様の転帰を有する対象の少なくとも大多数が該ディスプレイにおいて一緒にクラスターを作るかどうかを判定することを含む、態様20または態様21の方法。
24. 同じまたは同様の転帰を有する対象の少なくとも55%、60%、70%、80%、90%、95%またはそれ以上が該ディスプレイにおいて一緒にクラスターを作る場合に、ゲノム領域が同定される、態様23の方法。
25. 前記細胞の全ゲノムが解析される、態様1~24のいずれかの方法。
26. 前記細胞のゲノムの一部が解析される、態様1~24のいずれかの方法。
27. 前記ゲノムの一部が、細胞の表現型、活性化状態、活性化シグナルの強度、もしくはエフェクター機能に関連するもしくはそれを示すか、またはそれに関連するもしくはそれを示す可能性が高い1つまたは複数のゲノム領域、任意で1つまたは複数のゲノム座位を含む、態様26の方法。
28. 細胞療法の転帰が、細胞療法の応答、毒性、免疫原性、または表現型もしくは機能;完全奏効、部分奏効、進行性疾患、分子的に検出可能な疾患、再発、奏効の持続性、効果に関連するもしくはそれを示す転帰、または毒性に関連するもしくはそれを示す転帰である、態様1~27のいずれかの方法。
29. 前記応答が、完全奏効、部分奏効、進行性疾患、または分子的に検出可能な疾患である、態様28の方法。
30. 前記毒性が、サイトカイン放出症候群(CRS)、重度CRS、グレード3以上のCRS、神経毒性、重度の神経毒性、グレード3以上の神経毒性、および/または脳浮腫である、態様28の方法。
31. 前記毒性が用量制限毒性(DLT)である、態様28または態様30の方法。
32. 2~50、2~20、2~10、2~5、5~50、5~20、5~10、10~50、10~20、もしくは20~50、または約2~50、約2~20、約2~10、約2~5、約5~50、約5~20、約5~10、約10~50、約10~20、もしくは約20~50のゲノム領域のエピジェネティック特性が解析される、態様1~31のいずれかの方法。
33. 2つ以上のゲノム領域を含むパネルが同定される、態様1~32のいずれかの方法。
34. 第1の細胞組成物および第2の細胞組成物が、対象から選択されたまたは単離された初代細胞を含む、態様1~33のいずれかの方法。
35. 前記細胞が免疫細胞である、態様1~34のいずれかの方法。
36. 免疫細胞がT細胞またはNK細胞である、態様1~35のいずれかの方法。
37. T細胞がCD4+および/またはCD8+ T細胞である、態様1~36のいずれかの方法。
38. 細胞の第2の組成物が解析される、態様1~37のいずれかの方法。
39. 細胞の第2の組成物が組換え受容体をコードする核酸を含む、態様1~38のいずれかの方法。
40. 前記核酸分子がウイルスベクターに含まれる、態様39の方法。
41. ウイルスベクターが、アデノウイルス、レンチウイルス、レトロウイルス、ヘルペスウイルス、またはアデノ随伴ウイルスベクターである、態様40の方法。
42. 第1の細胞組成物および/または第2の細胞組成物が、1つまたは複数の条件または作用物質の存在下でインプット組成物を培養することによって生成される、態様1~41のいずれかの方法。
43. 前記1つまたは複数のゲノム領域が、細胞の活性化状態またはエフェクター状態に関与するかまたは関与する可能性が高い遺伝子を含む、態様1~42のいずれかの方法。
44. 対象に投与するための細胞組成物を評価する方法であって、
(a)組換え受容体で操作された細胞を含む細胞組成物に含まれる細胞の1つまたは複数のゲノム領域のエピジェネティックプロファイルを解析する工程;および
(b)各ゲノム領域のエピジェネティックプロファイルを、個別に、参照プロファイルと比較する工程であって、その比較によって、該細胞の集団が、対象に投与されたとき、転帰を示すもしくはもたらすか、またはその可能性が高いかどうかが示される、工程
を含む、方法。
45. 細胞療法の転帰が、細胞療法の応答、毒性、免疫原性、または表現型もしくは機能;完全奏効、部分奏効、進行性疾患、分子的に検出可能な疾患、再発、奏効の持続性、効果に関連するもしくはそれを示す転帰、または毒性に関連するもしくはそれを示す転帰である、態様44の方法。
46. 前記応答が完全奏効または部分奏効である、態様45の方法。
47. 前記比較によって、前記細胞組成物が転帰を示すまたは示す可能性が高いことが示される場合に、該細胞組成物を対象に投与する、態様44~46のいずれかの方法。
48. 前記比較によって、前記細胞組成物が転帰を示さないまたは示さない可能性が高いことが示される場合には、
(i)該細胞組成物が変更された細胞組成物を投与する;
(ii)細胞の用量が変更された該細胞組成物を投与する;
(iii)対象に投与される細胞の投与計画が変更された該細胞組成物を投与する;
(iv)1つもしくは複数の他の治療剤と組み合わせて該細胞組成物を投与する;または
(v)対象に該細胞組成物を投与しない
のいずれかである、態様47の方法。
49. 変更された細胞組成物を投与する前に、変更された細胞組成物に含まれる細胞に対して工程(a)および(b)を繰り返す、態様48の方法。
50. 細胞の投与計画を変更することが、初回用量の細胞を対象に投与した後で、第2用量の細胞を対象に投与することを含む、態様49の方法。
51. 後続の用量の細胞が、初回用量の細胞を投与してから少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、または12ヶ月後に投与される、態様50の方法。
52. 前記1つまたは複数のゲノム領域が、細胞療法に対する応答に関連するか、またはそれを示す、態様44~51のいずれかの方法。
53. 参照プロファイルが、該1つもしくは複数のゲノム領域の各々のエピジェネティック特性についての閾値、または該1つもしくは複数のゲノム領域内の全体的なエピジェネティック特性についての閾値を含む、態様44~52のいずれかの方法。
54. 前記閾値が、
同じまたは同様の疾患または状態を有する対象に投与されたときに転帰を示すことが分かっている、細胞組成物の細胞内の該1つまたは複数のゲノム領域におけるエピジェネティック特性、任意でクロマチンアクセシビリティの値またはレベルである、あるいは
該対象に投与されたときに転帰を示すことが分かっている、複数の細胞組成物のそれぞれの細胞からの該1つまたは複数のゲノム領域におけるエピジェネティック特性、任意でクロマチンアクセシビリティの平均(average)、中央、または平均(mean)の値またはレベルである、
態様53の方法。
55. 前記閾値が、正常または健康な対象からの細胞におけるエピジェネティック特性の値もしくはレベルを含む、態様44~54のいずれかの方法。
56. 前記閾値が、ナイーブな表現型または長命なメモリー表現型を示す細胞におけるエピジェネティック特性の値もしくはレベルを含む、態様44~55のいずれかの方法。
57. 細胞培養物を評価する方法であって、
(a)1つまたは複数の試験物質または条件の存在下でインプット細胞組成物を培養することによって得られたアウトプット細胞組成物に含まれる細胞の1つまたは複数のゲノム領域のエピジェネティックプロファイルを解析する工程;および
(b)各ゲノム領域のエピジェネティックプロファイルを、個別に、参照プロファイルと比較する工程であって、その比較によって、該細胞が所定の表現型もしくは機能を示すか、または示す可能性が高いかどうかが示される、工程
を含む、方法。
58. 所定の表現型もしくは機能が、該細胞のエフェクター機能もしくは活性化状態を示し、かつ/または該細胞がナイーブな表現型もしくは長命なメモリー表現型を有することを示す、態様57の方法。
59. 前記1つまたは複数の試験物質または条件が、血清の存在もしくは濃度;培養時間;刺激剤の存在もしくは量;刺激剤の種類もしくは程度;アミノ酸の存在もしくは量;温度;インプット組成物の供給源もしくは細胞型;インプット組成物中の細胞型の比もしくはパーセンテージ、任意でCD4+/CD8+ 細胞比;ビーズの存在もしくは量;細胞密度;静置培養;振とう培養;灌流;ウイルスベクターの種類;ベクターコピー数;形質導入アジュバントの存在;凍結保存におけるインプット組成物の細胞密度;組換え受容体の発現の程度;または細胞表現型を調節する化合物の存在を含む、態様57または態様58の方法。
60. 前記1つまたは複数の試験物質または条件が、試験化合物のライブラリーからの1つまたは複数の化合物を含む、態様58または態様59の方法。
61. 前記比較によって、該細胞組成物が表現型もしくは機能を有するかまたは有する可能性が高いことが示される場合、該細胞を培養するための該1つまたは複数の試験物質または条件を選択する工程を含む、態様57~60のいずれかの方法。
62. 前記比較によって、該細胞組成物が表現型もしくは機能を有しないまたは有しない可能性が高いことが示される場合、1つまたは複数のさらなる試験物質または条件を用いて工程(a)および(b)を繰り返す工程を含む、態様57~60のいずれかの方法。
63. 参照プロファイルが、該1つもしくは複数のゲノム領域の各々のエピジェネティック特性についての閾値、または該1つもしくは複数のゲノム領域内の全体的なエピジェネティック特性についての閾値を含む、態様57~62のいずれかの方法。
64. 前記閾値が、
表現型もしくは機能を示すことが分かっている、参照細胞組成物の細胞内の該1つまたは複数のゲノム領域におけるエピジェネティック特性、任意でクロマチンアクセシビリティ、の値もしくはレベルである;あるいは、
表現型もしくは機能を示すことが分かっている、複数の参照細胞組成物のそれぞれの細胞からの該1つまたは複数のゲノム領域におけるエピジェネティック特性、任意でクロマチンアクセシビリティ、の平均(average)、中央、または平均(mean)の値もしくはレベルである;
態様63の方法。
65. 参照細胞組成物が、ナイーブT細胞、長命なメモリーT細胞、セントラルメモリーT細胞(Tcm)、または幹様メモリーT細胞(Tcsm)を示す表現型を有する、態様64の方法。
66. エピジェネティック特性を解析する工程が、該1つまたは複数のゲノム領域にわたってクロマチンアクセシビリティの値もしくはレベルを決定、測定または定量することを含む、態様44~65のいずれかの方法。
67. エピジェネティック特性を解析する工程が、該1つまたは複数のゲノム領域またはそのサブセットにおいて、エピジェネティック特性、任意でクロマチンアクセシビリティに関連するかまたはそれを示す配列リードの値もしくはレベルを決定、測定または定量することを含む、態様44~66のいずれかの方法。
68. 値もしくはレベルを決定、測定または定量することが、該1つまたは複数のゲノム領域の各々またはそのサブセット内のFPKM(fragments per kilobase per million of mapped reads:1キロベースあたりの、マップされたリード数100万あたりの断片数)値を決定することを含む、態様66または態様67の方法。
69. 値もしくはレベルを決定、測定または定量することが、該1つまたは複数のゲノム領域の各々またはそのサブセット内のFPKM値を合計または総計することを含む、態様66~68のいずれかの方法。
70. 前記1つまたは複数のゲノム領域が、少なくとも2~50、2~20、2~10、2~5、5~50、5~20、5~10、10~50、10~20、または20~50のゲノム領域を含むパネルを含む、態様1~69のいずれかの方法。
71. 前記1つまたは複数のゲノム領域が、細胞のエフェクター様機能または活性化状態に関連するかまたはそれを示す1つまたは複数のゲノム座位を含む、態様27~70のいずれかの方法。
72. 前記1つまたは複数のゲノム領域が、Nr4a1、Cblb、Irf4、Tbx21、Eomes、Ifng、Il2ra、Il2、Csf2、Gzmb、Tnfsf10、Gata3、Mir155、Sox21、Ctla4、Lag3、およびPdcd1からなる群より選択される遺伝子座を含む、態様27~71のいずれかの方法。
73. 前記1つまたは複数のゲノム領域が、Ctla4、Il2ra、Il2、Ifng、およびGzmbからなる群より選択されるゲノム座位を含む、態様27~72のいずれかの方法。
74. 前記ゲノム領域がゲノム座位または遺伝子を含む、態様27~73のいずれかの方法。
75. 前記ゲノム領域が遺伝子のオープンリーディングフレームを含む、態様27~74のいずれかの方法。
76. 前記エピジェネティック特性が、クロマチンアクセシビリティ、ヌクレオソーム占有率、ヒストン修飾、空間的染色体コンフォメーション、転写因子占有率、およびDNAメチル化の中から選択される、態様27~75のいずれかの方法。
77. 前記エピジェネティック特性がクロマチンアクセシビリティである、態様27~76のいずれかの方法。
78. クロマチンアクセシビリティが、ハイスループットシーケンシングによるトランスポザーゼ接近可能クロマチンのアッセイ(ATAC-seq)またはハイスループットシーケンシングに連結されたクロマチン免疫沈降(ChIP-seq)によって測定される、態様77の方法。
79. クロマチンアクセシビリティがATAC-seqにより測定される、態様77または態様78の方法。
80. 前記細胞が対象由来のサンプルから得られる、態様1~79のいずれかの方法。
81. 前記細胞が免疫細胞、任意でT細胞、任意でCD4+および/またはCD8+ T細胞である、態様80の方法。
82. 組換え受容体が疾患もしくは状態に関連する抗原に結合し、それを認識し、それを標的とする;および/または
組換え受容体がT細胞受容体もしくは機能的非T細胞受容体である;および/または
組換え受容体がキメラ抗原受容体(CAR)である;
態様1~81のいずれかの方法。
83. CARが、抗原に特異的に結合する細胞外抗原認識ドメインとITAMを含む細胞内シグナル伝達ドメインとを含み、任意で、細胞内シグナル伝達ドメインがCD3ゼータ(CD3ζ)鎖の細胞内ドメインを含む;および/または
CARが共刺激シグナル伝達領域をさらに含み、任意で、共刺激シグナル伝達領域がCD28もしくは4-1BBのシグナル伝達ドメインを含む;
態様82の方法。
84. 複数の細胞を含む細胞組成物であって、パネル中の1つまたは複数の遺伝子のエピジェネティック特性のレベルまたは値が、該組成物中の細胞の少なくとも50%で閾値を上回るか、または下回る、細胞組成物。
85. 前記レベルまたは値が、該組成物中の細胞の少なくとも60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%またはそれ以上で閾値を上回るか、または下回る、態様84の細胞組成物。
86. 前記閾値が、
表現型もしくは機能を示すことが分かっている、参照細胞組成物の細胞内の該1つまたは複数のゲノム領域におけるエピジェネティック特性、任意でクロマチンアクセシビリティ、の値もしくはレベルである;あるいは、
表現型もしくは機能を示すことが分かっている、複数の参照細胞組成物のそれぞれの細胞からの該1つまたは複数のゲノム領域におけるエピジェネティック特性、任意でクロマチンアクセシビリティ、の平均(average)、中央、または平均(mean)の値もしくはレベルである;
態様84または態様85の細胞組成物。
87. 参照細胞組成物が、ナイーブT細胞、長命なメモリーT細胞、セントラルメモリーT細胞(Tcm)、または幹様メモリーT細胞(Tcsm)を表す表現型を有する、態様84~86のいずれかの細胞組成物。
88. 前記パネルが、2~50、2~20、2~10、2~5、5~50、5~20、5~10、10~50、10~20、もしくは20~50、または約2~50、約2~20、約2~10、約2~5、約5~50、約5~20、約5~10、約10~50、約10~20、もしくは約20~50のゲノム領域を含む、態様84~87のいずれかの組成物。
89. 細胞療法による治療の転帰に関連する1つまたは複数のゲノム領域を同定する方法であって、
(a)細胞もしくは細胞集団の1つまたは複数のゲノム領域のエピジェネティック特性を解析または決定する工程であって、該細胞もしくは集団が、(i)組換え受容体を含む第2の組成物を生成するように該組換え受容体で遺伝子操作される細胞の第1の組成物、または(ii)該組換え受容体を含む細胞の第2の組成物に含まれる、工程;および
(b)該1つまたは複数のゲノム領域にわたって全体的に、エピジェネティック特性が細胞療法の転帰を予測する、示す、またはそれと相関する、該1つまたは複数のゲノム領域のうちの1つまたは複数を同定する工程であって、該細胞療法が該組換え受容体を含む細胞の第2の組成物を対象または対象のグループに投与することを含む、工程
を含む、方法。
90. 前記転帰が、有効性、応答、持続性、毒性、もしくは免疫原性に関連するかまたはそれを示す転帰である、態様89の方法。
91. 前記転帰が応答であり、該応答が、完全奏効、部分奏効、進行性疾患、分子的に検出可能な疾患、再発、または奏効の持続性である、態様90の方法。
92. 前記転帰が毒性であり、該毒性が、サイトカイン放出症候群(CRS)、重度CRS、グレード3以上のCRS、神経毒性、重度の神経毒性、グレード3以上の神経毒性、および/または脳浮腫である、90の方法。
93. 前記毒性が用量制限毒性(DLT)である、態様90または92の方法。
94. 第1の組成物が、CD4+初代ヒトT細胞および/もしくはCD8+初代ヒトT細胞について濃縮されている、ならびに/または
第2の組成物が、CD4+初代ヒトT細胞および/もしくはCD8+初代ヒトT細胞について濃縮されている、
態様89~93のいずれかの方法。
95. 細胞組成物の1つまたは複数の特性または特徴を決定するための方法であって、
T細胞組成物の1つまたは複数のゲノム領域のエピジェネティック特性を解析または決定する工程を含み、
該T細胞組成物がCD4+初代ヒトT細胞および/またはCD8+初代ヒトT細胞について濃縮されている、方法。
96. 前記細胞組成物が、(i)組換え受容体を含む第2のT細胞組成物を生成するように該組換え受容体で遺伝子操作される細胞の第1のT細胞組成物、または(ii)該組換え受容体を含む細胞の第2のT細胞組成物である、態様95の方法。
97. 前記細胞組成物が、70%超もしくは約70%超、75%超もしくは約75%超、80%超もしくは約80%超、85%超もしくは約85%超、90%超もしくは約90%超、95%超もしくは約95%超、または98%超もしくは約98%超のCD4+および/もしくはCD8+初代ヒトT細胞を含む、ならびに/または
前記細胞組成物が、本質的にCD4+および/もしくはCD8+初代ヒトT細胞からなる、
態様84~96のいずれかの方法。
98. 前記1つまたは複数のゲノム領域のそれぞれのエピジェネティック特性を、個別に、
異なる細胞組成物からの細胞の対応するエピジェネティック特性と、および/または
参照プロファイル、任意で細胞組成物の属性もしくは特徴を示すかまたはそれと相関することが公知の参照プロファイルと
比較する工程をさらに含む、態様95~97の方法。
99. 前記比較が、
前記細胞組成物内の細胞の状態、表現型、もしくは機能、任意で活性化、エフェクター、もしくはメモリーの状態;該細胞組成物内の細胞の一貫性もしくは均一性;該細胞の組成物が、対象または対象のグループに投与されたとき、転帰を示すもしくはもたらすか、またはその可能性が高いかどうか;外因性核酸の組込みの位置、存在量もしくは頻度;該細胞組成物内の細胞のクローン性;および/または該細胞組成物中の操作細胞の割合もしくは頻度
を示すか、またはそれと相関する、態様98の方法。
100. 細胞組成物の属性または特徴に関連するエピジェネティック特性を決定または同定するための方法であって、
(a)第1の細胞組成物に含まれる細胞もしくは細胞集団の1つもしくは複数のゲノム領域のエピジェネティック特性のレベルもしくは程度または相対的なレベルもしくは程度を決定または測定する工程;
(b)第2の細胞組成物に含まれる細胞もしくは細胞集団の該1つもしくは複数のゲノム領域の該エピジェネティック特性のレベルもしくは程度または相対的なレベルもしくは程度を決定または測定する工程;および
(c)(a)での該レベルもしくは程度と(b)での該レベルもしくは程度を比較する工程であって、該1つもしくは複数のゲノム領域のエピジェネティック特性のレベルもしくは程度の差、任意で有意差が、第1および第2の組成物の一方の細胞に存在するが他方には存在しない属性もしくは特徴を示すかまたはそれと相関する、エピジェネティック特性の存在を同定または決定する、工程
を含む、方法。
101. 第1の組成物と第2の組成物の一方が組換え受容体で遺伝子操作される細胞を含み、かつ第1の組成物と第2の組成物の他方が該組換え受容体を発現するように操作された細胞を含む、
第1の組成物および第2の組成物が、異なるドナー由来の、任意で疾患状態、疾患の重症度、または疾患のタイプに基づいて異なるドナー由来の、初代細胞を含む、
第1の組成物および第2の組成物が、細胞を操作するための作業プロセスの異なる段階または工程の細胞を含む、
第1の組成物と第2の組成物の一方が、細胞の活性、表現型もしくは機能を調節する作用物質と接触させた細胞を含み、第1の組成物と第2の組成物の他方が、そのように接触させてない同様の細胞を含む、または
第1の組成物と第2の組成物の一方が、対象への投与後に、第1および第2の組成物の一方では生じるかまたは生じたが他方では生じない転帰に関連する細胞組成物のサンプルを含む、
態様100の方法。
102. 前記作用物質が、ポリペプチドもしくはタンパク質、ペプチド、抗体、核酸、ウイルスベクターもしくはウイルス調製物、または小分子化合物である、態様101の方法。
103. 前記作用物質が、刺激性試薬、任意で抗CD3/抗CD28;免疫調節剤、CARに特異的な抗イディオタイプ抗体もしくはその抗原結合フラグメント、免疫チェックポイント阻害剤、代謝経路のモジュレーター、アデノシン受容体アンタゴニスト、キナーゼ阻害剤、抗TGFβ抗体もしくは抗TGFβR抗体、またはサイトカインである、態様101または102の方法。
104. 第1の組成物の属性または特徴が、
状態、表現型、もしくは機能、任意で活性化、エフェクターもしくはメモリーの状態、表現型、もしくは機能;外因性核酸の組込みの位置、存在量、もしくは頻度;該細胞組成物内の細胞のクローン性;該細胞組成物中の操作細胞の割合もしくは頻度;および/または該細胞の組成物が対象または対象のグループに投与されたとき、転帰を示すもしくはもたらすか、またはその可能性が高いかどうか
を示す、態様100~103のいずれかの方法。
105. 前記転帰が、有効性、応答、持続性、毒性、または免疫原性に関連するかまたはそれを示す転帰である、態様100または104の方法。
106. 前記転帰が応答であり、該応答が、完全奏効、部分奏効、進行性疾患、分子的に検出可能な疾患、再発、または奏効の持続性である、態様105の方法。
107. 前記転帰が毒性であり、該毒性が、サイトカイン放出症候群(CRS)、重度CRS、グレード3以上のCRS、神経毒性、重度の神経毒性、グレード3以上の神経毒性、および/または脳浮腫である、106の方法。
108. 前記毒性が用量制限毒性(DLT)である、態様106または107の方法。
109. 複数回繰り返される、態様1100~108のいずれかの方法。
110. 第1の組成物と第2の組成物の一方の大部分に存在するが他方には存在しないエピジェネティック特性が同定または決定される、態様109の方法。
111. 細胞組成物の属性または特徴を評価する方法であって、
(a)組換え受容体で操作された細胞および/もしくは組換え受容体により遺伝子操作される細胞を含む細胞組成物に含まれる細胞もしくは細胞集団の1つまたは複数のゲノム領域のエピジェネティック特性を解析する工程;および
(b)該1つまたは複数のゲノム領域のエピジェネティック特性を、個別に、参照プロファイルと比較する工程であって、その比較によって、該細胞の組成物がその属性もしくは特徴を示すか、または示す可能性が高いかどうかが示される、工程
を含む、方法。
112. 前記属性または特徴が、
状態、表現型、もしくは機能、任意で活性化、エフェクターもしくはメモリーの状態、表現型、もしくは機能;外因性核酸の組込みの位置、存在量、もしくは頻度;該細胞組成物内の細胞のクローン性;該細胞組成物中の操作細胞の割合もしくは頻度;および/または該細胞の組成物が対象または対象のグループに投与されたとき、転帰を示すもしくはもたらすか、またはその可能性が高いかどうか
を示す、態様111の方法。
113. 前記属性または特徴は、該細胞の組成物が対象または対象のグループに投与されたとき、転帰を示すもしくはもたらすか、またはその可能性が高いかどうかであり、前記方法は、対象に投与するための該細胞組成物を評価するためである、態様113または112の方法。
114. 前記転帰が、効果、応答、持続性、毒性、または免疫原性に関連するかまたはそれを示す転帰である、態様112または113の方法。
115. 前記転帰が応答であり、該応答が、完全奏効、部分奏効、進行性疾患、分子的に検出可能な疾患、再発、または奏効の持続性である、態様114の方法。
116. 前記転帰が毒性であり、該毒性が、サイトカイン放出症候群(CRS)、重度CRS、グレード3以上のCRS、神経毒性、重度の神経毒性、グレード3以上の神経毒性、および/または脳浮腫である、115の方法。
117. 前記毒性が用量制限毒性(DLT)である、態様115または116の方法。
118. 前記比較によって、該細胞組成物が所望の転帰を示すかまたは示す可能性が高いことが示される場合に、該細胞組成物を対象に投与する、態様111~117のいずれかの方法。
119. 前記比較によって、該細胞組成物が所望の転帰を示さないかまたは示さない可能性が高いことが示される場合には、
(i)該細胞組成物が変更された細胞組成物を投与する;
(ii)細胞の用量が変更された該細胞組成物を投与する;
(iii)対象に投与される細胞の投与計画が変更された該細胞組成物を投与する;
(iv)1つもしくは複数の他の治療剤と組み合わせて該細胞組成物を投与する;または
(v)対象に該細胞組成物を投与しない
のいずれかである、態様111~118のいずれかの方法。
120. 所望の転帰が、完全奏効、部分奏効、もしくは持続的奏功であり、かつ/またはグレード3以下の神経毒性、すなわちグレード1もしくはグレード2の神経毒性であるか、グレード3以下のCRS、すなわちグレード1もしくはグレード2のCRSであるか、いかなるグレードの神経毒性もしくはいかなるグレードのCRSも含まない、態様118または119の方法。
121. 前記細胞組成物中の細胞を操作するための1つまたは複数の工程において1つまたは複数の作用物質または条件を変えることによって、前記細胞組成物が変更される、態様119または120の方法。
122. 前記1つまたは複数の作用物質または条件が、
血清の存在もしくは濃度;培養時間;刺激剤の存在もしくは量;刺激剤の種類もしくは程度;アミノ酸の存在もしくは量;温度;細胞組成物の供給源もしくは細胞型;細胞組成物中の細胞型の比もしくはパーセンテージ、任意でCD4+/CD8+ 細胞比;ビーズの存在もしくは量;細胞密度;静置培養;振とう培養;灌流;ウイルスベクターの種類;ベクターコピー数;形質導入アジュバントの存在;凍結保存における細胞組成物の細胞密度;組換え受容体の発現の程度;または細胞表現型を調節する化合物の存在
から選択される、態様121の方法。
123. 変更された細胞組成物を投与する前に、変更された細胞組成物に含まれる細胞に対して工程(a)および(b)を繰り返す、態様121または122の方法。
124. 細胞の投与計画を変更することが、初回用量の細胞を対象に投与した後で、第2用量の細胞を対象に投与することを含む、態様123の方法。
125. 後続の用量の細胞が、初回用量の細胞を投与してから少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、または12ヶ月後に投与される、態様124の方法。
126. 参照プロファイルが、該1つもしくは複数のゲノム領域の各々のエピジェネティック特性についての閾値、または該1つもしくは複数のゲノム領域内の全体的なエピジェネティック特性についての閾値を含む、態様111~125のいずれかの方法。
127. 前記閾値が、
同じまたは同様の疾患または状態を有する対象に投与されたときに所望の転帰を示すことが分かっている、細胞組成物の細胞内の該1つまたは複数のゲノム領域におけるエピジェネティック特性、任意でクロマチンアクセシビリティに関連するかまたはそれを示す値またはレベルである、
対象のグループに個別に投与された複数の細胞組成物のそれぞれの細胞からの該1つもしくは複数のゲノム領域におけるエピジェネティック特性、任意でクロマチンアクセシビリティに関連するかもしくはそれを示す、平均(average)、中央、もしくは平均(mean)の値もしくはレベルであるか、または該値もしくはレベルの標準偏差内である(ここで、該グループの各対象は投与後に所望の転帰を示し続けた)、あるいは
正常もしくは健康な対象からの同様の細胞組成物におけるエピジェネティック特性に関連するかまたはそれを示す値もしくはレベルである、
態様126の方法。
128. 前記比較が差次的アクセシビリティ解析を含む、および/または
参照プロファイルが、該1つまたは複数のゲノム領域内の配列リードのピークを含む参照エピジェネティックマップを含む、
態様111~125のいずれかの方法。
129. 参照エピジェネティックマップが、同じまたは同様の疾患または状態を有する対象への該細胞もしくは細胞組成物の投与後に、所望の転帰を示すことが分かっている細胞組成物のアクセシビリティ解析、任意でクロマチンアクセシビリティから決定される、
参照エピジェネティックマップが、対象のグループに個別に投与された複数の細胞組成物の間で、アクセシビリティ解析、任意でクロマチンアクセシビリティからの配列リードの共通のピークから決定され、該グループの各対象は投与後に所望の転帰を示し続けた、または
参照エピジェネティックマップが、正常もしくは健康な対象からの同様の細胞組成物のアクセシビリティ解析、任意でクロマチンアクセシビリティから決定される、
態様128の方法。
130. 細胞組成物を評価する方法であって、
(a)1つまたは複数の試験物質もしくは条件の存在下でインプット組成物を培養することによって得られた、アウトプット細胞組成物に含まれる細胞の、および/またはインプット組成物に含まれる細胞の、1つまたは複数のゲノム領域のエピジェネティック特性を解析する工程;ならびに
(b)該1つまたは複数のゲノム領域のエピジェネティック特性を、個別に、参照プロファイルと比較する工程であって、その比較によって、該細胞が所定の特徴もしくは属性を示すか、または示す可能性が高いかどうかが示される、工程
を含む、方法。
131. 所定の特徴または属性が、
前記組成物内の細胞の状態、表現型、もしくは機能;該細胞組成物内の細胞の一貫性もしくは均一性;外因性核酸の組込みの位置、存在量、もしくは頻度;該細胞組成物内の細胞のクローン性;および/または該細胞組成物中の操作細胞の割合もしくは頻度
である、態様130の方法。
132. 所定の表現型または属性が、
前記細胞のエフェクター機能もしくは活性化状態を示し、かつ/または該細胞がナイーブな表現型もしくは長命なメモリー表現型を有することを示す、状態、表現型、または機能
である、態様131の方法。
133. 前記1つまたは複数の試験物質または条件が、
血清の存在もしくは濃度;培養時間;刺激剤の存在もしくは量;刺激剤の種類もしくは程度;アミノ酸の存在もしくは量;温度;インプット組成物の供給源もしくは細胞型;インプット組成物中の細胞型の比もしくはパーセンテージ、任意でCD4+/CD8+ 細胞比;ビーズの存在もしくは量;細胞密度;静置培養;振とう培養;灌流;ウイルスベクターの種類;ベクターコピー数;形質導入アジュバントの存在;凍結保存におけるインプット組成物の細胞密度;組換え受容体の発現の程度;または細胞表現型を調節する化合物の存在
を含む、態様131または132の方法。
134. 前記1つまたは複数の試験物質または条件が、試験化合物のライブラリーからの1つまたは複数の化合物を含む、態様131~133のいずれかの方法。
135. 前記比較によって、該細胞組成物が所望の特徴または属性を有するかまたは有する可能性が高いことが示される場合、該細胞を培養するための1つまたは複数の試験物質または条件を選択する工程、および/あるいは対象に投与するための該細胞組成物を選択する工程を含む、態様131~134のいずれかの方法。
136. 前記比較によって、該細胞組成物が所望の特徴または属性を有しないかまたは有しない可能性が高いことが示される場合、1つまたは複数のさらなる試験物質または条件を用いて工程(a)および(b)を繰り返す工程を含む、態様131~134のいずれかの方法。
137. 参照プロファイルが、該1つもしくは複数のゲノム領域の各々のエピジェネティック特性についての閾値、または該1つもしくは複数のゲノム領域内の全体的なエピジェネティック特性についての閾値を含む、態様131~136のいずれかの方法。
138. 前記閾値が、
所望の属性または特徴を示すことが公知の、細胞組成物の細胞内の該1つまたは複数のゲノム領域におけるエピジェネティック特性、任意でクロマチンアクセシビリティに関連するかまたはそれを示す、値またはレベルである、
所望の属性または特徴を示すことが公知の、複数の細胞組成物のそれぞれの細胞からの該1つもしくは複数のゲノム領域におけるエピジェネティック特性、任意でクロマチンアクセシビリティに関連するかもしくはそれを示す、平均(average)、中央、もしくは平均(mean)の値もしくはレベルであるかまたは該値もしくはレベルの標準偏差内である、
態様137の方法。
139. 前記比較が差次的アクセシビリティ解析を含む、および/または
参照プロファイルが、該1つもしくは複数のゲノム領域内の配列リードのピークを含む参照エピジェネティックマップを含む、
態様131~136のいずれかの方法。
140. 参照エピジェネティックマップが、所望の属性または特徴を示すことが公知の細胞組成物のアクセシビリティ解析、任意でクロマチンアクセシビリティから決定される、
参照エピジェネティックマップが、所望の属性または特徴を示すことが公知の複数の細胞組成物の間で、アクセシビリティ解析、任意でクロマチンアクセシビリティからの配列リードの共通のピークから決定される、
態様139の方法。
141. 所望の転帰または特徴が、ナイーブT細胞、長命メモリーT細胞、セントラルメモリーT細胞(Tcm)、または幹様メモリーT細胞(Tcsm)を示す表現型または機能である、態様131~140のいずれかの方法。
142. 前記ゲノム領域がゲノム座位または遺伝子を含む、態様89~141のいずれかの方法。
143. 前記ゲノム領域が、コード領域、遺伝子のオープンリーディングフレーム、非コード領域、遺伝子間領域、または調節エレメントを含む、態様89~142のいずれかの方法。
144. 前記ゲノム領域が遺伝子のオープンリーディングフレームを含む、態様89~143のいずれかの方法。
145. 前記ゲノム領域が遺伝子間領域または調節エレメントを含む、態様89~143のいずれかの方法。
146. 前記ゲノム領域が、イントロン、エクソン、シス調節エレメント、プロモーター、エンハンサー、上流活性化配列(UAS)、3'非翻訳領域(UTR)、5'UTR、非コードRNA生成領域、非コードRNA(ncRNA)遺伝子、miRNA遺伝子、siRNA遺伝子、piRNA遺伝子、snoRNA遺伝子、lncRNA遺伝子、リボソームRNA(rRNA)遺伝子、スモールRNA結合部位、非コードRNA結合部位、偽遺伝子、転写終結部位(TTS)、リピート、テロメア領域、アクセス可能なクロマチン領域、アクセス不可能なクロマチン領域、オープンクロマチン領域、および/またはヘテロクロマチン領域を含む、態様89~143および145のいずれかの方法。
147. エピジェネティック特性が、クロマチンアクセシビリティ、ヌクレオソーム占有率、ヒストン修飾、空間的染色体コンフォメーション、転写因子占有率、およびDNAメチル化の中から選択される、態様89~146のいずれかの方法。
148. エピジェネティック特性がクロマチンアクセシビリティである、態様89~147のいずれかの方法。
149. エピジェネティック特性が、クロマチンアクセシビリティ、クロマチンアクセシビリティのレベルもしくは程度、クロマチンアクセシビリティの相対的なレベルもしくは程度を含む、および/または
エピジェネティック特性が、該ゲノム領域のクロマチンアクセシビリティの程度もしくはレベル、その相対的な程度もしくはレベル、またはそのプロファイルもしくはマップを含む、
態様89~148のいずれかの方法。
150. クロマチンアクセシビリティが、ハイスループットシーケンシングによるトランスポザーゼ接近可能クロマチンのアッセイ(ATAC-seq)またはハイスループットシーケンシングに連結されたクロマチン免疫沈降(ChIP-seq)によって測定される、態様147~149のいずれかの方法。
151. クロマチンアクセシビリティがATAC-seqにより測定される、態様147~150のいずれかの方法。
152. エピジェネティック特性を評価することが、
(1)細胞または細胞集団からクロマチンを単離すること、
(2)クロマチンを挿入酵素複合体(insertional enzyme complex)で処理して、ゲノムDNAのタグ付加断片を生成させること、
(3)タグ付加断片の全部もしくは一部を配列決定して、複数の配列リードを生成すること、
(4)配列リードをゲノムのゲノム領域にアライメントさせ、フィルタリングし、かつマッピングすること、および
(5)各細胞または細胞集団について複数のゲノム領域における配列リードのピークを決定または同定すること
を含む、態様147~151のいずれかの方法。
153. エピジェネティック特性を解析または評価することが、配列リードのピークを比較すること、および任意で、2つ以上の細胞または細胞組成物からのサンプル間で異なっている配列リードのピークを同定することをさらに含む、態様152の方法。
154. 配列リードのピークが、
濃縮されている、バックグラウンドを上回る、かつ/または周囲の領域の配列リードと比較してより高いピークシグナル、レベル、または値を有する、配列リード
を含む、態様152または153の方法。
155. エピジェネティック特性を解析または評価することが、2つ以上の細胞集団からのサンプル間で異なっている配列リードのピークを含むとして同定されたゲノム領域のモチーフ解析、転写因子占有率解析、および/または生物学的経路解析を行うことをさらに含む、態様152~154のいずれかの方法。
156. エピジェネティック特性を解析または評価することが、配列リードのピークを含むゲノム領域内のヌクレオソームの位置を決定することをさらに含む、態様152~155のいずれかの方法。
157. エピジェネティック特性を解析することが、
前記1つまたは複数のゲノム領域の各々またはそのサブセットに沿って、エピジェネティック特性に関連するかまたはそれを示す配列リード、任意でクロマチンアクセシビリティに関連するかまたはそれを示す配列リードのプロファイルを示すエピジェネティックマップを作成することを含む、および/あるいは
該ゲノム領域の長さに沿った複数の部位または部分の各々について、エピジェネティックなリードアウト、任意でクロマチンアクセシビリティを示す1つまたは複数の配列リードを該部位または部分で生成させることを含み、ここで、該1つまたは複数の配列リードの量が、該部位または部分における該エピジェネティック特性、任意でクロマチンアクセシビリティの程度またはレベルを示す、
態様89~156のいずれかの方法。
158. 前記解析することが、任意で、該ゲノム領域にわたって、該エピジェネティック特性の全体的な程度またはレベルを決定すること、任意でアクセシビリティの全体的な程度またはレベルを決定することをさらに含む、態様157の方法。
159. エピジェネティック特性を解析することが、該1つまたは複数のゲノム領域にわたってクロマチンアクセシビリティの値またはレベルを決定、測定、または定量することを含む、態様89~158のいずれかの方法。
160. エピジェネティック特性を解析することが、該1つまたは複数のゲノム領域またはそのサブセットにわたって、エピジェネティック特性、任意でクロマチンアクセシビリティに関連するかまたはそれを示す値またはレベルを決定、測定、または定量することを含む、態様89~159のいずれかの方法。
161. 前記値もしくはレベルが、該1つもしくは複数のゲノム領域の各々またはそのサブセット内のFPKM(fragments per kilobase per million of mapped reads:1キロベースあたりの、マップされたリード数100万あたりの断片数)値であるか、またはFPKM値を決定することを含む、態様127、138、159または160の方法。
162. 前記値またはレベルが、該1つもしくは複数のゲノム領域の各々またはそのサブセット内のFPKM(fragments per kilobase per million of mapped reads)値であるか、またはFPKM値を合計もしくは総計することを含む、態様127、138、および159~161のいずれかの方法。
163. 前記解析が、前記リードの配列同一性、質、マッピング位置、または他のシーケンシング特性に基づいて、ミトコンドリアリードおよび/または追加の汚染配列を除去するための工程を含む、態様89~162のいずれかの方法。
164. 前記解析が、定量的精度を改善するために重複リードを除去するための工程を含む、態様89~163のいずれかの方法。
165. 前記解析が、配列リードを、特定のエピジェネティック特性、任意でクロマチンアクセシビリティまたはクロマチン占有率を表すサブセットに分離するための工程を含み、配列決定された断片のサイズが、該エピジェネティック特性を表す程度またはレベルを決定するために使用される、態様89~164のいずれかの方法。
166. 工程(a)および(b)が、組換え受容体で操作された細胞を含む第2の細胞組成物をそれぞれ独立して投与された複数の対象からの細胞組成物に対して実施される、態様89~94および142~165のいずれかの方法。
167. 各ゲノム領域またはそのサブセットについて、複数の対象のそれぞれについての細胞療法の転帰にマッピングされた各ゲノム座位の配列リードの値またはレベルを含むディスプレイを作製する、態様89~94および142~166のいずれかの方法。
168. ディスプレイがヒートマップ、散布図、階層的クラスタリング、および/またはコンステレーションプロットを含む、態様167の方法。
169. 前記1つまたは複数のゲノム領域を同定することが、細胞療法の転帰に基づいてクラスター解析を実施することを含む、態様89~169および142~169のいずれかの方法。
170. 細胞療法の転帰を示すまたはそれと相関する前記1つまたは複数のゲノム領域を同定することが、同じまたは同様の転帰を有する対象の少なくとも大多数が該ディスプレイにおいて一緒にクラスターを作るかどうかを判定することを含む、態様89~169および142~169のいずれかの方法。
171. 同じまたは同様の転帰を有する対象の少なくとも55%、60%、70%、80%、90%、95%またはそれ以上が該ディスプレイにおいて一緒にクラスターを作る場合に、ゲノム領域が同定される、態様170の方法。
172. 前記細胞の全ゲノムが解析される、態様89~171のいずれかの方法。
173. 前記細胞のゲノムの一部が解析される、態様89~172のいずれかの方法。
174. 前記ゲノムの一部が、
細胞の表現型、活性化状態、活性化シグナルの強度、もしくはエフェクター機能に関連するもしくはそれを示すか、またはそれに関連するもしくはそれを示す可能性が高い、1つまたは複数のゲノム領域、任意で1つまたは複数のゲノム座位
を含む、態様173の方法。
175. 前記解析が、主成分解析(PCA)、生物学的経路解析、遺伝子オントロジー(GO)解析、および/またはモチーフ解析を実施することをさらに含む、態様89~174のいずれかの方法。
176. 前記解析が、T細胞メモリー表現型、T細胞活性化状態、エフェクター機能、サイトカイン応答、輸送、持続性、または消耗性に関連する1つまたは複数のゲノム領域の生物学的経路解析および/または遺伝子サブセット解析を含む、態様175の方法。
177. 前記1つまたは複数のゲノム領域が、細胞のエフェクター様機能または活性化状態に関連するかまたはそれを示す1つまたは複数のゲノム座位を含む、態様174~176のいずれかの方法。
178. 該1つまたは複数のゲノム領域が、Nr4a1、Cblb、Irf4、Tbx21、Eomes、Ifng、Il2ra、Il2、Csf2、Gzmb、Tnfsf10、Gata3、Mir155、Sox21、Ctla4、Lag3、およびPdcd1からなる群より選択される遺伝子座を含む、態様174~177のいずれかの方法。
179. 前記1つまたは複数のゲノム領域が、Ctla4、Il2ra、Il2、Ifng、およびGzmbからなる群より選択されるゲノム座位を含む、態様174~178のいずれかの方法。
180. 2~50、2~20、2~10、2~5、5~50、5~20、5~10、10~50、10~20、もしくは20~50、または約2~50、約2~20、約2~10、約2~5、約5~50、約5~20、約5~10、約10~50、約10~20、もしくは約20~50のゲノム領域のエピジェネティック特性が解析される、または
少なくとも2、3、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、もしくはそれ以上のゲノム領域のエピジェネティック特性が解析される、または
1つのゲノム領域のみのエピジェネティック特性が解析される、
態様89~180のいずれかの方法。
181. 2つ以上のゲノム領域を含むパネルが同定される、態様89~180のいずれかの方法。
182. トランスジーンの組込みを評価する方法であって、組換え受容体で遺伝子操作された細胞または細胞組成物において、トランスジーンの核酸配列を含む1つまたは複数のゲノム領域のエピジェネティック特性を決定する工程を含む、方法。
183. 前記遺伝子操作が、細胞組成物の1つまたは複数の細胞内に、組換え受容体をコードする核酸を導入することによって行われる、態様182の方法。
184. 前記導入が、前記核酸を含むウイルスベクターによる形質導入によるものである、態様183の方法。
185. エピジェネティック特性がクロマチンアクセシビリティである、態様182~184のいずれかの方法。
186. エピジェネティック特性が、クロマチンアクセシビリティ、クロマチンアクセシビリティのレベルもしくは程度、クロマチンアクセシビリティの相対的なレベルもしくは程度を含む、および/または
エピジェネティック特性が、該ゲノム領域のクロマチンアクセシビリティの程度もしくはレベル、その相対的な程度もしくはレベル、またはそのプロファイルもしくはマップを含む、
態様182~185のいずれかの方法。
187. クロマチンアクセシビリティが、ハイスループットシーケンシングによるトランスポザーゼ接近可能クロマチンのアッセイ(ATAC-seq)またはハイスループットシーケンシングに連結されたクロマチン免疫沈降(ChIP-seq)によって測定される、態様182~186のいずれかの方法。
188. クロマチンアクセシビリティがATAC-seqにより測定される、態様182~187のいずれかの方法。
189. エピジェネティック特性を評価することが、
(1)細胞または細胞集団からクロマチンを単離すること、
(2)クロマチンを挿入酵素複合体で処理して、ゲノムDNAのタグ付加断片を生成させること、
(3)タグ付加断片の全部もしくは一部を配列決定して、複数の配列リードを生成すること、
(4)配列リードをゲノムのゲノム領域にアライメントさせ、フィルタリングし、かつマッピングすること、および
(5)各細胞または細胞集団について複数のゲノム領域における配列リードのピークを決定または同定すること
を含む、態様188の方法。
190. エピジェネティック特性を解析または評価することが、トランスジーンの核酸配列にマッピングされるかまたはそれに一致する配列リードのピークを決定することをさらに含む、態様189の方法。
191. 配列リードのピークが、
濃縮されている、バックグラウンドを上回る、かつ/または周囲の領域の配列リードと比較してより高いピークシグナル、レベル、または値を有する、配列リード
を含む、態様182~190のいずれかの方法。
192. エピジェネティック特性を解析することが、
トランスジーンの核酸配列を含むゲノム領域の、エピジェネティック特性に関連するかまたはそれを示す配列リード、任意でクロマチンアクセシビリティに関連するかまたはそれを示す配列リードのプロファイルを示すエピジェネティックマップを作成することを含み、かつ/または
該ゲノム領域の長さに沿ったトランスジーンの核酸配列を含むゲノム領域について、エピジェネティックなリードアウト、任意でクロマチンアクセシビリティを示す1つまたは複数の配列リードを該領域で生成させることを含み、ここで、該1つまたは複数の配列リードの量が、該領域における該エピジェネティック特性、任意でクロマチンアクセシビリティ、の程度もしくはレベルを示す、
態様182~191のいずれかの方法。
193. エピジェネティック特性を決定することが、トランスジーンの核酸配列を含むゲノム領域にわたってクロマチンアクセシビリティの値またはレベルを決定、測定、または定量することを含む、態様182~192のいずれかの方法。
194. エピジェネティック特性を決定することが、トランスジーンの核酸配列を含むゲノム領域にわたって、エピジェネティック特性、任意でクロマチンアクセシビリティに関連するかまたはそれを示す値またはレベルを決定、測定、または定量することを含む、態様182~193のいずれかの方法。
195. 前記細胞組成物、任意で細胞の第1の組成物および/または第2の組成物が、対象由来のサンプルから得られたおよび/または対象から選択もしくは単離された初代細胞を含む、態様89~194のいずれかの方法。
196. 前記細胞が免疫細胞である、態様89~195のいずれかの方法。
197. 免疫細胞がT細胞またはNK細胞である、態様89~196のいずれかの方法。
198. T細胞がCD4+および/またはCD8+ T細胞である、態様89~197のいずれかの方法。
199. 組換え受容体が、疾患もしくは状態に関連する抗原に結合する、それを認識する、もしくはそれを標的とする、および/または
組換え受容体がT細胞受容体もしくは機能的非T細胞受容体である、および/または
組換え受容体がキメラ抗原受容体(CAR)である、
態様89~198のいずれかの方法。
200. CARが、抗原に特異的に結合する細胞外抗原認識ドメインと、ITAMを含む細胞内シグナル伝達ドメインとを含み、任意で、細胞内シグナル伝達ドメインがCD3ゼータ(CD3ζ)鎖の細胞内ドメインを含む、および/または
CARが、任意でCD28もしくは4-1BBのシグナル伝達ドメインを含む共刺激シグナル伝達領域をさらに含む、
態様199の方法。
IX.実施例
以下の実施例は、例示を目的として含まれるにすぎず、本発明の範囲を限定することを意図しない。
実施例1:サンプル調製およびATAC-seqによるCAR T細胞クロマチンアクセシビリティの解析
キメラ抗原受容体で遺伝子操作されたCD4+/CD8+ T細胞の組成物を、シーケンシングによるトランスポザーゼ接近可能クロマチンのアッセイ (ATAC-Seq)を使用してクロマチンアクセシビリティについて評価した。
CD4+および/またはCD8+ T細胞を、ヒト末梢血単核細胞(PBMC)の白血球搬出からの免疫親和性に基づく濃縮によって単離した。単離されたCD4+/CD8+T細胞を、活性化し、抗-CD19 CARをコードするウイルスベクターで形質導入した。ウイルスベクター構築物は切断型EGFR (EGFRt)をさらにコードし、これはCAR発現についての代理マーカーとして役立った;EGFRtコード領域はT2Aスキップ配列によってCAR配列から分離された。形質導入後、細胞を培養で増殖させ、凍結保存によって凍結させた。対象19人から合計43個の凍結保存操作細胞組成物(CDP)を調製した。対象のうちの18人とマッチしたが、遺伝子操作へ供されなかったCD4+/CD8+細胞組成物もまた、凍結保存し(CMAT)、評価した。任意で、CMATサンプルを、解析のために、ナイーブT細胞(TN)、セントラルメモリーT細胞(TCM)、エフェクターおよびエフェクターメモリーT細胞(TE+EM)またはエフェクターメモリーRA(TEMRA)として表現型によって分離した。ATAC-Seq解析用のライブラリーを作製するために、細胞を解凍し、洗浄し、溶解させた。DNAを、次いで、二本鎖DNAの断片化の媒介およびDNA断片への合成オリゴヌクレオチドのライゲーションの両方を行う酵素(Tn5トランスポザーゼ)を用いて断片化およびタグ付加した(「タグメンテーションした(tagmented)」)。サンプルを、次いで、カラムを用いて清浄化し、続いて、PCR増幅およびカラム精製のサイクルを5回行った。qPCR増幅をサンプルに対して行い、通常の増幅が全てのサンプルにおいて観察され、これは、首尾よくタグメンテーションされたDNAを示す。ライブラリー作製の成功を、ヌクレオソームバンディングに基づいて定性的に決定した。Agilent D1000電気泳動プロファイルを、ライブラリーサイズ分布について、サイズ選択されたDNAに対して実行し、これは、定量化についての補正係数として使用した。サイズ選択は、シーケンシングに干渉し得る残存するプライマーおよびプライマー二量体を除去した。次いで、qPCR希釈物を作製し、ライブラリーをシーケンシングのためにプールした。シーケンシング後、DNAを参照ゲノムに対してアラインした(Langmead et al. Genome Biol. (2009) 10:R25)。全マップリード、ゲノムへの%アライメント、非冗長フラクション(冗長性)、ミトコンドリアDNA汚染、有効なシーケンス深さに、ならびにゲノムワイドアクセシビリティピークおよびピーク内のリードの割合(FRiP)ついてのメトリクスを含む、様々なシーケンシングメトリクスを使用して、配列データを品質について解析した。上述の方法を使用して作製されたライブラリーにわたって平均で、リードの>97%が参照ゲノムへアラインされたことが観察された。
品質検査に不合格であったリードのフィルターアウト、デュプリケートの除去、およびリードメイトの固定を含む、データの質を保証するめの追加の処理工程を行った。ヌクレオソームポジショニング、トランスポゾン挿入部位、および転写因子占有率を同定し、ゲノムブラウザを用いてデータを視覚化した(米国特許出願公開番号US 20160060691)。
ピークコーリングを行い、アクセシブルなクロマチンを有する配列リードを同定した。クロマチンアクセシビリティを定量化するために、一部の研究において、FPKM(Fragments Per Kilobase per Million fragments mapped)を、各遺伝子本体内で決定し、他のものにおいて、ピークアクセシビリティを、DESeq2ソフトウェアを用いてFRiP正規化シーケンシングタグカウントに基づいて計算した。全ての場合において、共通のピークおよびユニークなピークを、インターバル解析によって同定し、次いで、定量化および/または差次的アクセシビリティを、遺伝子本体FPKM値またはFRIP正規化ピークカウントの下流インターロゲーションによって行った。これらのカウントメトリクスを、他のアッセイとの直接の相関性について使用し、遺伝子モジュール解析へインプットし、または関心対象の様々なグループ間の差異についてインターロゲートした。後の研究を含めて、およそ450個のATAC-seqライブラリーをシーケンシングした。
実施例2:フローサイトメトリーおよびATAC-seqによるT細胞のマーカーの評価
ATAC-Seqを使用し、遺伝子操作された細胞を含有する細胞組成物中のT細胞活性化状態または応答と関連する遺伝子のクロマチンアクセシビリティを評価し、細胞内サイトカイン染色(ICS;任意で、細胞内フローサイトメトリーと呼ばれる)による同じ遺伝子のタンパク質発現と比較した。実施例1に記載されるように産生された、抗-CD19 CARを発現する遺伝子操作されたヒトT細胞を解凍した。フローサイトメトリーによるタンパク質マーカーの評価のために、細胞を、ゴルジ阻害剤の存在下で酢酸ミリスチン酸ホルボール(PMA)/イオノマイシンで培養中に再刺激し、そしてフローサイトメトリーによって評価した。遺伝子のクロマチンアクセシビリティを測定するために、遺伝子操作された細胞を、さらなる再刺激なしで、実施例1に概説されたようにATAC-seqによって評価した。
表E1は、多変量相関を用いて決定されたような各マーカーの相関性についてのp値を提供する。図1Aおよび1Bは、ATAC-seqによって測定されたような、各タンパク質をコードする遺伝子(それぞれ、IfngおよびPdcd1)でのアクセスビリティ(y軸に示す)に対する、ICSによって測定されたような、インターフェロン-ガンマ(IFNγ)およびプログラム細胞死タンパク質1(PD-1)産生(x軸に示す)それぞれの代表的な相関性を示す。表1に示されるように、ある特定のサイトカインマーカーの発現は、クロマチンアクセシビリティとの有意な相関性を示したが、評価したT細胞マーカーのうちの多くのタンパク質発現およびクロマチンアクセシビリティの程度の間に統計的に有意な相関性はなかった。
別の研究において、ATAC-seqを、一般に上述のように行い、IFNγおよびIL-2をコードする遺伝子(それぞれ、IfngおよびIl2)でのクロマチンアクセシビリティを評価した。IFNγおよびIL-2の産生を、酢酸ミリスチン酸ホルボール(PMA)/イオノマイシンでの6時間再刺激後にICSによって評価した。図1Cに示されるように、IFNγをコードする遺伝子でのクロマチンアクセシビリティは、ICSによって測定されたようなIFNγの産生と相関し、R2値は0.579であり、スピアマンの順位相関係数(ρ)は0.7536であり、prob > |ρ|は0.0012であった。図1Dに示されるように、IL-2をコードする遺伝子でのクロマチンアクセシビリティは、IL-2の産生と相関し、R2値は0.229であり、スピアマンの順位相関係数(ρ)は0.5679であり、prob > |ρ|は0.0272であった。
表E1および図1A~1D中の結果は、場合によっては、所与の遺伝子についてのクロマチンのアクセシビリティは、遺伝子の発現または細胞の活性化後の他の転帰を予測し得かつ/またはこれらと相関し得るという知見と一致している。
ICSおよびATAC-seqを使用し、上述の方法を使用してB細胞悪性腫瘍を治療するために自己対象へ投与された操作T細胞を含有するCDPサンプルから得られたCD4+細胞またはCD8+細胞中の例示的なT細胞マーカーの免疫表現型(それぞれ、タンパク質発現またはクロマチンアクセシビリティ)を評価した。ICSおよびATAC-seqの結果を、独立して、自己由来操作細胞での治療に対する対象の応答転帰(完全奏効(CR)、進行性疾患(PD)、または部分奏効(PR))とさらに相関させた。代表的な遺伝子についてのサイトカインアクセシビリティのレベルまたはICSによるタンパク質発現のレベルを決定し、階層的クラスターに表示し、応答転帰によってアノテーションを付けた。対照として、正常ドナー(ND)細胞中のT細胞マーカーのレベルもICSおよびATAC-Seqによって評価した。図2は、CD4+ CDPサンプルおよびCD8+ CDPサンプルの免疫表現型検査データにおける応答クラスタリングを示す。図2に示されるように、CD8+ CDPサンプル中でATAC-seqによって測定されたようなサイトカイン産生は、応答転帰と相関した。応答転帰との相関性はICSによって観察されなかった。
実施例3:ATAC-seqによるクロマチンアクセシビリティの全ゲノム評価
ATAC-seqを使用する全ゲノム解析を、実施例1において上述されたように産生された抗-CD19 CARを発現する遺伝子操作されたヒトT細胞を含有するCDPからの解凍されたCD8+細胞に対して行った。ATAC-seqの結果を、独立して、治療が完全奏効(CR)、進行性疾患(PD)または部分奏効(PR)をもたらしたかどうかに基づく、自己由来操作細胞での治療に対する対象の応答転帰とさらに相関させた。アスタリスクは細胞投与開始後3ヶ月でCRからPDへ変わった対象を示す。正常ドナー(ND)CD8+細胞の全ゲノム解析もATAC-seqによって評価した。階層的クラスタリングを、各遺伝子の遺伝子本体にわたるFPKMの合計によって計算されたような、各遺伝子についてのクロマチンアクセシビリティの差異に基づいて行い、これは、各遺伝子について低(青色)から高(赤色)へスケーリングされた。
自己由来CDPが投与された9人の対象の各々からのCDP由来の細胞中の複数の遺伝子についてのクロマチンアクセシビリティの代表的な全ゲノム解析を、図3Aに示す。図3Bは、応答群によるATAC-seqデータにおいて観察されたCD8+ CDPクラスタリングを示すクラスタリング決定木(コンステレーションプロット)を示す(PRおよびPDサンプルでクラスター化されたCR患者は、3ヶ月でPDへ変わった)。
上記からの標的化遺伝子パネルの選択サブセットを、さらに解析し、階層的クラスターとして図4Aに示し、コンステレーションプロットとして図4Bに示した。上記と同様に、示された特定の遺伝子についてのCD8+ CDPクラスタリングが、応答群によってATAC-seqデータにおいて観察された。
実施例4:ATAC-seqによるCD8+ CAR T細胞中のクロマチンアクセシビリティの評価
対象から得られたが抗-CD19 CARで操作されなかったT細胞を含有する、凍結保存されたCMATサンプルを、表現型に基づいて、ナイーブT細胞(TN)、セントラルメモリーT細胞(TCM)、エフェクター細胞およびエファクターメモリーT細胞(TE+EM)、またはエフェクターメモリーRA(TEMRA)へ分離した。各サブセットからの細胞を、Immgen Consortium (Best et al., Nature Immunology (2013) 14:404-412)によって同定されたメモリーCD8+ T細胞モジュールからの選択された遺伝子サブセットを示した6つの遺伝子パネルの各々のクロマチンアクセシビリティについて評価した。階層的クラスタリングを、各遺伝子の遺伝子本体にわたるFPKMの合計によって計算されたような、各遺伝子についてのクロマチンアクセシビリティの差異に基づいて行い、これは、各遺伝子について低(青色)から高(赤色)へスケーリングされた。評価された細胞タイプについての各遺伝子パネルについてのクロマチンアクセシビリティのシグネチャプロファイルを、図5Aに示す。結果は、遺伝子サブセットのこれらのパネルのクロマチンアクセシビリティは、細胞の表現型エフェクター様状態を示すことを実証した。
同じ遺伝子パネルを使用し、実施例1において上述されたように産生された抗-CD19 CARを発現する遺伝子操作されたヒトT細胞を含有するCDPからの解凍されたCD8+細胞におけるクロマチンアクセシビリティを評価した。正常ドナー(ND)CD8+細胞もATAC-seqによって評価した。ATAC-seqの結果を、独立して、治療が完全寛解(CR)、進行性疾患(PD)または部分奏効(PR)をもたらしたかどうかに基づく、自己由来操作細胞での治療に対する対象の応答転帰とさらに相関させた。図5Bに示されるように、PRおよびPDの証拠を示した対象由来のCD8+ CDPは、CRまたはNDの証拠を示した対象と比較して、エフェクター様表現型と関連する遺伝子のクロマチンアクセシビリティによって決定されたように、エフェクター様表現型をより多く有するようである。
実施例5:選択された遺伝子座でのATAC-seqによるCD8+クロマチンアクセシビリティの評価
実施例1において上述されたように産生された抗-CD19 CARを発現する遺伝子操作されたヒトT細胞を含有するCDPからの解凍されたCD8+細胞を、T細胞のシグナルおよびエフェクター機能の強度と関連する遺伝子座で、各遺伝子の遺伝子本体にわたるFPKMの合計によって計算されるような、クロマチンアクセシビリティについてさらに解析した。ATAC-seqの結果を、独立して、治療が完全奏効(CR)、進行性疾患(PD)または部分奏効(PR)をもたらしたかどうかに基づく、自己由来操作細胞での治療に対する対象の応答転帰とさらに相関させた。正常ドナー(ND)CD8+細胞もATAC-seqによって評価した。
図6Aおよび6Bに示されるように、pdcd1を除いて、全ての試験された遺伝子のクロマチンアクセシビリティのより高いfpkmレベルは、部分奏効または進行性疾患の発生と相関した。pdcd1遺伝子座のクロマチンアクセシビリティのより低いfpkmレベルは、部分奏効または進行性疾患の発生と相関した。T細胞の活性化状態を追跡する、ハウスキーピング遺伝子ActbおよびGapdhは、PRおよびPDにおいて増加し、これは、PRまたはPDの発生へ進んだ対象へ投与されたCDPサンプルからの細胞はより活性化された状態にあり得ることを示している。これらの結果は、これらの遺伝子または遺伝子のパネルが、細胞療法での治療に対する応答転帰を予測するためのエピジェネティックマーカーであり得ることを実証した。
実施例6:レナリドマイドの存在または非存在におけるCAR T細胞中の遺伝子発現およびクロマチンアクセシビリティ解析
遺伝子発現およびクロマチンアクセシビリティを、レナリドマイドの存在または非存在下における、刺激時のCAR T細胞において評価した。
4人の異なる独立したドナーから作製された、抗-BCMA CAR発現T細胞を、レナリドマイドの存在または非存在において、24時間(24 hr + stim)もしくは7日間(d7 + stim)50μg/mL BCMAコンジュゲート化ビーズで刺激したか、または24時間(24 hr)刺激無しで培養した。CAR発現細胞を、遺伝子発現についてはRNAシーケンシング(RNA-seq)によって、シーケンシングによるトランスポザーゼ接近可能クロマチンのアッセイ(ATAC-seq)によって、評価した。
培養された抗-BCMA CAR発現細胞から単離されたRNAから調製された相補DNA (cDNA)に対して、RNA-seqを行った。一般的にBuenrostro et al., Nat Methods. (2013) 10(12): 1213-1218に記載されるように、ATAC-seqを行った。ATAC-seqアクセシビリティピークを、MACS2を使用してコールし(q<0.01)、コンセンサスセットを、DiffBindを使用して、2つ以上のサンプル中に存在する重複ピークから作成した。
主成分分析(PCA)を、DESeq2正規化カウントから作成された、RNA-seqおよびATAC-seqデータセットについて行った。差次的発現(DE、RNA-seqについて)またはコンセンサスピークアクセシビリティ(DA、ATAC-seqについて)を計算し、24時間および7日間でのドナー効果(ドナー1~4)および処置効果(レナリドマイド対ビヒクル)をモデル化した。差次的遺伝子座選択カットオフは、RNA-seqについてはq≦0.05およびlog2倍率変化≧0.5、またはATAC-seqについてはq≦0.1であった。遺伝子オントロジー(GO)エンリッチメント解析を行い、活性化zスコアを、Ingenuity Pathway Analysis software (Qiagen, Inc.)を使用してq<0.1で差次的発現される遺伝子のサブセットに対して決定し、各処置条件内のドナー効果を説明した。モチーフエンリッチメント解析を、7日間刺激(d7 + stim) ATAC-seqデータについて、バックグラウンドとしてコンセンサスピークセットを使用して、HOMERソフトウェアを用いて、レナリドマイドの存在下でよりアクセシブルであることが示されたピークについて行った。
ゲノム上のクロマチンアクセシビリティまたは遺伝子発現にわたる全体的な多様性を示す、PCAの結果を、図7A(遺伝子発現;RNA-seq結果に基づく)および図7B(クロマチンアクセシビリティ;ATAC-seq結果に基づく)に示す。遺伝子発現またはクロマチンアクセシビリティの変動に寄与した主な要因は培養時間および刺激の存在であったことが観察されたため、グループを示すために楕円形を描いた。レナリドマイドの存在下で培養された細胞(円)は、レナリドマイドの非存在下で培養された細胞(三角形、ビヒクル)とは異なる全体的な遺伝子発現およびクロマチンアクセシビリティを示し、これは、各ドナーおよび培養条件におけるレナリドマイド処置効果を示している。レナリドマイド処置について、変化の全般的な方向(三角形と円との間の点線によって示される)は、各ドナーにおいて同様であり、変化の程度は、刺激有りまたは無しで24時間培養された細胞中の変化と比較して、刺激有りで7日間培養された細胞中で全般的により大きかった。
図8A~8Dは、レナリドマイドの存在下での遺伝子発現(図8Aおよび8B、それぞれ、刺激有りでの24時間および7日間培養後)またはクロマチンアクセシビリティ(図8Cおよび8D、それぞれ、刺激有りでの24時間および7日間培養後)の変化を示す。示されるように、遺伝子発現およびクロマチンアクセシビリティに対するレナリドマイドの効果は、24時間培養と比較して、7日間培養においてより大きかった。レナリドマイドの存在下での7日間の培養後、遺伝子発現変化によって示されるように合計583個の遺伝子が変更され(図8B)、一方、2804個のピークでのクロマチンアクセシビリティが変化した(図8D)。これらの結果は、レナリドマイド処置がCAR-T細胞の転写プロファイルおよびエピジェネティックプロファイルの両方を変更させたことを示した。
濃縮された差次的発現遺伝子であった生物学的シグナル伝達経路(図9Aおよび9B)を同定した。生物学的経路に対する効果の方向性および有意性を、24時間(図9A)または7日間(図9B)で示す。結果は、レナリドマイドの存在がT細胞活性化およびシグナル伝達に関与する遺伝子の発現を増加させたことを示した。結果は、レナリドマイドの存在および非存在下で差次的に調節される経路が、免疫シナプスに関連する遺伝子、サイトカインシグナル伝達に関与する遺伝子、およびT細胞活性化経路に関与する遺伝子の濃縮を示すことを示した。
T細胞活性化およびシグナル伝達に関与する遺伝子を含む、遺伝子の選択されたサブセットについて、レナリドマイドの存在下での遺伝子発現およびクロマチンアクセシビリティ変化を、刺激有りで7日間培養された細胞について、比較した。図10は、RNA-seqによって測定された対応の遺伝子発現変化に対してプロットされた、個々のクロマチンアクセシビリティピーク(菱形)および各遺伝子についての平均クロマチンアクセシビリティ変化(円)を示し、これは、2つの方法間のシグナルの一致を示す。
7日間培養においてレナリドマイドの存在下でアクセシビリティが増加したピークについてのモチーフエンリッチメント解析の結果を、図11に示す。T細胞活性化およびシグナル伝達に関与すると理解される、様々な転写因子に結合することが予想されるモチーフを、レナリドマイドの存在下でアクセシビリティが増加したピークにおいて濃縮した。
結果は、レナリドマイドの存在下でのCAR発現T細胞の機能活性の増加と一致した。
実施例7:細胞操作の異なる段階にある細胞におけるクロマチンアクセシビリティプロファイル解析
例示的な免疫遺伝子(例えば、サイトカイン、ケモカイン、細胞表面マーカー)でのまたは付近でのクロマチンアクセシビリティを、実施例1に記載された例示的な抗-CD19 CARでの遺伝子操作前および後の細胞組成物からのサンプル間で評価および比較した。凍結保存されたCD4+またはCD8+操作細胞組成物(CDP)または操作へ供されなかったマッチしたサンプル(CMAT)から、サンプルを解凍した。場合によっては、CMATサンプルを、解析のためにナイーブT細胞(TN)、セントラルメモリーT細胞(TCM)、エフェクターおよびエフェクターメモリーT細胞(TE+EM)またはエフェクターメモリーRA(TEMRA)として表現型によって分離した。実質的に実施例1に記載されるように、ライブラリーを作製した。
bowtie (Langmead et al., (2009) Genome Biology 10:R25.1-R25.10)またはbowtie2を使用することなどによって、ATAC-seqリードをアラインし、参照ゲノムへマッピングし戻し、それらの位置を決定し、そして解析した。デュプリケートの除去、ミトコンドリアDNAのフィルターアウト、ATAC-seqライブラリー調製中のTn5トランスポザーゼによる4または5塩基対挿入を説明するためのマッピング断片の位置のシフト、および100塩基対(bp)より大きい断片(これらは、場合によっては、ヌクレオソームフリークロマチンではなくヌクレオソーム結合クロマチンを示し得る)のフィルターアウトを含む、追加の処理工程を行った。ヌクレオソームポジショニング(例えば、NucleoATACを使用)、トランスポゾン挿入部位、および転写因子占有率も評価した。ATAC-seq断片を定量化することによって測定されるようなアクセシビリティおよび/または占有シグナルに富むかまたはこれらが失われているゲノム領域を含む、アクセシビリティピークの同定を、MACS2を使用して行った。
細胞表面マーカー遺伝子についての例示的なプロファイルを図12Aおよび12Bに示す。示されるように、クロマチンアクセシビリティピークは特定の表面マーカーの発現と相関した(例えば、アクセシビリティピークは、CD8+細胞においてはCD3ε、CD8aおよびCD8bをコードする遺伝子にまたはこれらの付近に存在し、アクセシビリティピークは、CD4+細胞においてはCD3εおよびCD4をコードする遺伝子にまたはこれらの付近に存在した)。マッチしたCDPおよびCMAT細胞サンプル中の他の免疫遺伝子でのまたは付近でのクロマチンアクセシビリティピークにおいていくつかの差異が観察され、製造中の細胞の状態および/または表現型の変化と一致した。
実施例8:細胞の亜集団におけるピークプロファイルのゲノミックインターバル解析
実施例1に記載されるような、同一のドナーからのCD8+ CDP細胞およびCD8+ CMAT細胞を、以下のように表面マーカー発現および表現型に基づいて亜集団へ分離した:CD27+CCR7+、CD27+CCR7-、CD27-CCR7-、ナイーブT細胞(TN)、セントラルメモリーT細胞(TCM)、エフェクター細胞およびエファクターメモリーT細胞(TE+EM)ならびにエフェクターメモリーRA(TEMRA)。一般に実施例7に記載されるように、ATAC-seqを亜集団に対して行った。アクセシビリティピークを決定し、細胞の亜集団間で共通のまたは重複するピークおよびユニークなピークを評価することによってゲノミックインターバル解析へ供した。
CDPおよびCMATサンプルの異なる亜集団間での共通のおよびユニークなピークの解析は、CDPサンプルが、遥かにより多くのユニークなアクセシビリティピークを含有したことを示し、これは、刺激および遺伝子操作へ供されたCDPサンプル中のクロマチンアクセシビリティの増加を示す。CMATアクセシビリティピークの大部分は、CDPサンプルピークと共通した。CD27+ CCR7+ CMATサンプルのアクセシビリティプロファイルは、TN、TCM、TE+EMおよびTEMRAサンプルのアクセシビリティプロファイルと実質的な重複を示したが、CD27+ CCR7+ CDPは、より多くのユニークなアクセシビリティピークを含有した。
CCR7遺伝子付近の遺伝子間領域およびコーディング領域中のピークプロファイルを、CD27+CCR7+、CD27+CCR7-およびCD27-CCR7-細胞、ならびにバルクCD8+細胞において比較した。図13Aに示されるように、CCR7+細胞は、CCR7-細胞と同様のピークプロファイルをCCR7遺伝子のコーディング領域にわたって示したが、CCR7+細胞においてコーディング領域の上流の遺伝子間領域にピークが観察され、これは、細胞におけるCCR7の発現と関連する上流エンハンサー部位を示す。
CD27+CCR7+ CDP細胞、CD27+CCR7- CDP細胞およびCD27-CCR7- CDP細胞の全体的なピークプロファイルを、遺伝子アクセシビリティ解析へ供した。最大数のユニークなピークが、CD27+CCR7+ CDP集団について観察された。図13Bは、遺伝子の遺伝子間領域、イントロン領域およびプロモーター領域内を含む、細胞集団についての様々なゲノム位置内のアクセシビリティピークの分布を示す。
これらの結果は、遺伝子をコードする配列内だけでなく、遺伝子のコーディング領域周囲のアクセシビリティが、細胞状態に関する情報を提供することができるという結論と一致している。
実施例9:ゲノミックアクセシビリティおよびピークプロファイルならびに操作T細胞が投与された対象における応答転帰
CDP細胞組成物中のゲノミックアクセシビリティおよびピークプロファイルと、操作T細胞が投与された対象における応答転帰との関係を、評価した。CD4+およびCD8+ CDP細胞アクセシビリティピークプロファイルを、一般に上記実施例1および3に記載されるように、自己由来操作細胞組成物が投与された対象についてATAC-seqによって決定した。
CD4+およびCD8+ CDP細胞中のゲノミックアクセシビリティピークおよびヌクレオソームフリー領域の全体的な数、ならびに応答転帰(1ヶ月CR、3ヶ月CR、1ヶ月PD、3ヶ月PD、またはPR)を評価した。ATAC-seqアクセシビリティピークを、MACS2を使用してコールし、ヌクレオソームフリー領域を、実施例7に記載される、NucleoATACを使用して決定した。図14Aに示されるように、CD8+ CDP細胞において、全体的なゲノミックアクセシビリティピークおよびヌクレオソームフリー領域の数は、3ヶ月CRを示した対象と比較して、PDまたはPRを示した対象において、より高かったことが観察され、これは、より大きなゲノムワイドアクセシビリティを示す。ピークヌクレオソームフリー領域の測定は、クロマチンアクセシビリティピークを測定する解析と同様の結果をもたらした。異なる応答転帰を有する対象における2つの例示的な免疫関連遺伝子(遺伝子1および遺伝子2)付近のゲノム領域での、サンプル間で異なるアクセシビリティピークを示す、例示的な差次的アクセシビリティピークプロファイルを、図14B~14Dに示す。示されるように、例示的な遺伝子座付近でのアクセシビリティは、3ヶ月でCRを示した対象と比較して、3ヶ月でPDを示した対象においてより高かった。
実施例10:キメラ抗原受容体をコードするベクターの組込みの評価
ATAC-seqを使用し、操作細胞におけるキメラ抗原受容体(CAR)をコードするウイルスベクターの組込みに関する様々なパラメータを評価した。
抗-CD19 CARをコードするウイルスベクター(CAR組込み体)での形質導入によって抗-CD19 CARを発現するように操作されたCDP細胞組成物に対して、一般に実施例1および7に記載されるように、ATAC-seqを行った。CMAT細胞組成物、および空のウイルスベクター(空の組込み体)が形質導入された細胞を、対照として使用した。ATAC-seqリードからの配列を、アライメント工程中に人工染色体として前記構築物を処理することによって、CARをコードする核酸配列とアラインした。組込み体(ATAC-seq CAR組込み体)のスケール化数を、(アラインされたリード x リード長) / (構築物サイズ))として計算した。受信者動作特性(ROC)曲線を、偽陽性率に対して真陽性率をプロットすることによって作成し、曲線下面積(AUC)を決定した。
図15Aおよび15Bに示されるように、解析は、CARをコードする核酸配列は、ATACseqシグナルによって示されるように、操作されたCDP細胞中にのみ組込まれ、CMAT細胞中には組込まれず、かつ、ゲノム中のアクセシブルな領域中へ組込まれたことを示した。CAR組込み体のAUC(95%信頼区間)は1であり、CI低二項(CI low binomial)は0.61847であり、CI高二項(CI high binomial)は0.6397であり;空の組込み体のAUCは0.9766であり、CI低二項は0.056865であり、CI高二項は0.63939であった。結果は、操作細胞のゲノムへの、組換えベクター、例えばウイルスベクター、例えばCARをコードするベクターの組込みを評価するATAC-seq法の有用性と一致している。
別の研究において、ATAC-seqを使用して決定されたような組込み体の数、および定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)によって決定されたようなベクターコピー数(VCN)を、CMAT中および抗-CD19 CAR T細胞CDP組成物において、比較した。図16Aに示されるように、ATAC-seqリードは、CDP細胞中のCARエをコードする配列へマッピングされ、CMAT細胞中ではマッピングされなかった。ATAC-seqによって決定されたような組込み体のスケール化数と、qPCRによって決定されたようなVCNとの相関性を、図16Bに示す(ノンパラメトリックなスピアマンのρ: 0.3121、確率 > |ρ|: 0.2073)。
ATAC-seqによる組込み体およびVCNをまた、自己由来抗-CD19 CAR+ CDP操作細胞組成物が投与された対象からの抗-CD19 CAR+ CD4+およびCD8+ T細胞において評価した。図17Aおよび17B(正常ドナーサンプルを除外)に示されるように、より高い組込み体数が、PDまたはPRを達成した対象からのCD8+ CDP細胞において観察され、これは、ある個体におけるCAR構築物の発現が、総VCNが同様であり得る場合でさえ、クロマチンアクセシビリティに依存して異なり得るという観察と一致した。
ユニークな組込み部位を、異なる応答転帰(1ヶ月CR、3ヶ月CR、1ヶ月PD、3ヶ月PD、またはPR)を達成した対象からのCD4+およびCD8+ CDP細胞において、不明のクローン性の50,000個の細胞にわたって不一致なリード対をマッピングすることによって評価した。結果を図18に示す。結果は、相対的に類似しているVCNを有する異なる対象において、CAR構築物の発現は細胞のエピジェネティック状態および健康に起因して変動し得、異なる応答または持続性応答転帰がもたらされるという観察と一致する。
実施例11:T細胞受容体(TCR)遺伝子座でのアクセシビリティ
クロマチンアクセシビリティピークプロファイルを、異なる抗-CD19 CAR+ T細胞CDP T細胞組成物およびCMAT T細胞組成物において、または抗-CD19 CAR+ T細胞の投与を受けた対象からのCD8+ 抗-CD19 CAR+ T細胞において、T細胞受容体(TCR)鎖をコードする遺伝子座にわたって評価した。
図19Aに示されるように、TCRベータ鎖をコードする遺伝子座にわたるアクセシビリティピークは、7人の例示的な対象からのCD8+ CMATサンプルにおいて異なると観察された。NDまたはCRもしくはPDを達成した対象中のCD8+ CDPサンプル中の全体的なTCRアクセシビリティおよび%変動係数(CV)を、図19Bに示す。図19Cに示されるように、異なる応答転帰を達成した対象は、TCR遺伝子座にわたって様々な相対的なTCRアクセシビリティを示し、PRまたはPDを有した対象からのサンプルはよりオリゴクローナルであった。結果は、TCR遺伝子座の領域でのアクセシビリティの差異を評価する、および細胞の組成物内のT細胞のクローン性を全般的に評価する、ATAC-seq解析の有用性と一致する。
実施例12:細胞操作の異なる段階にある異なるドナー由来の細胞におけるクロマチンアクセシビリティプロファイルおよび追加の解析
異なるキメラ抗原受容体での遺伝子操作前および後の、3人の異なる健康なドナーからのCD4+/CD8+ T細胞の組成物を、主成分分析(PCA)、差次的アクセシビリティ解析、生物学的経路解析、および遺伝子の選択されたサブセットでの解析を含む追加の下流解析と共に、ATAC-seqを使用してクロマチンアクセシビリティについて評価した。
CD4+および/またはCD8+ T細胞を、PBMCの白血球搬出からの免疫親和性に基づく濃縮によって、3人の健康なドナー(ドナー1、2および3)から単離し、凍結保存した(CMAT、操作前)。単離されたCD4+/CD8+T細胞を、24時間活性化し、2つの異なる抗-CD19 CARもしくは抗-BCMA CARのうちの1つをコードする、ウイルスベクターで形質導入したか、または対照としてモック形質導入を行い、そして凍結保存した(CDP、凍結保存操作細胞組成物)。一般に上記実施例1に記載されるように、細胞をATAC-seq解析へ供した。
得られた配列をマッピングし、ATAC-seqアクセシビリティピークを、MACS2を使用してコールした。生のシーケンシングカウントをDESeq2パッケージで処理し、サイジング因子、分散推定値を推定し、負の二項分布の一般化線形モデルフィットを行った。ピーク内のリードの割合(FRiP;(ピーク中のリード数)/(総リード数)として計算される、シグナルの濃縮を示す)-正規化カウントを、真(True)へ設定されたbetaPriorで抽出した。生データを、上記のように、非多重化し、アラインし、品質規格に対してフィルターした後、それらをインポートし、以下の解析工程をRで行った。ピークにChIPpeakAnnoパッケージまたはHomerソフトウェアでアノテーションを付けた。転写開始部位 (TSS)領域を、プロモーターの近位2000 bp上流および500 bp下流と規定した。群解析のためのピーク重複およびコンセンサスピークをDiffBindパッケージで行った。重複を計算した後、2つを超えるライブラリー中に見出されたピークをフィルターし、シーケンシングカウントを抽出した。得られた配列およびピークを、データの一貫性および忠実度を保証するために、様々なシーケンシング品質管理メトリクスを使用して解析し、これらは、アンマップド、アンペアードおよびデュプリケートリード(unmapped, unpaired and duplicate reads)、ミトコンドリアDNAの割合、シーケンス深さ、CARをコードする構築物へマッピングするリード、0.1以下の偽発見率(FDR)を有するMACS2ピークの数、FriP、およびユニークなピークの数を含んだ。
クラスタリング解析を、様々なサンプルの全体的なエピジェネティックプロファイルに基づいて行った。結果は、サンプルは、先ず、サンプルのタイプ(例えば、CMATまたはCDP)に基づいて、次いで、ドナーに基づいて、そして、CDPについては、最後に、構築物のタイプに基づいて、クラスター化する傾向があることを示した。
主成分分析(PCA)を次元縮小のために行い、データの全体的分散を調べ、異なるドナー由来のCMATおよび様々なCDPサンプル上の、コンセンサスピーク(例えば、2つ以上のサンプル中に存在するピーク)についての重要なドライバーを解析した(PC1、変動の33.996%に寄与する;CDPとCMATとの差異と関連する;PC2、変動の10.13%に寄与する;T細胞状態と関連する)。31個の主成分をこの工程中に計算した。結果は、操作後に3つの異なるCDPをもたらす、異なるドナー由来の、3つの異なるCMATのパターンを示し、これは、上述のクラスタリングデータと一致した。操作のために使用された様々な異なるCAR構築物が、PCA解析において同様のプロファイルを生じさせた。
差次的アクセシビリティ解析を、DESeq2パッケージで作られたモデルを使用して行った。差次的結果を抽出し、有意性ピークを、0.1の偽発見率(FDR、またはq)をパスするものと割り当てた。全てのドナー由来のCDPおよびCMATについての、例示的な差次的アクセシビリティ解析からの結果を、図20Aに示す。Ingenuity Canonical Pathway, Biofunctions and Predicted Upstream Regulators解析を使用するGene Set Enrichment Analysis (GSEA)に基づいて、差次的ピークを用いる生物学的経路解析を行った。結果は、T細胞応答に関与する様々な経路、免疫細胞活性および/または機能に関するシグナル伝達経路、免疫細胞に関する生体機能、ならびに免疫機能に関する遺伝子の予想される上流の調節因子における、差次的ピークの濃縮を示した。
遺伝子モジュール解析を、以下の遺伝子の選択されたモジュールを使用して行った:「T細胞モジュール」における遺伝子(Chaussabel et al., (2008), Immunity 29(1): 150-164);「サイトカイン」モジュールにおける遺伝子(Immgen Consortium (Best et al., Nature Immunology (2013) 14:404-412));Th1.細胞モジュール、CD8pos.TEMモジュールおよびCD4pos.TEMモジュールにおける遺伝子(xCell (Aran et al. Genome Biology (2017) 18:220; http://xcell.ucsf.edu/));「メモリー」モジュール(Weng et al., (2012) Nat Rev Immunol. 12(4):306-15))、ケモカイン受容体遺伝子を含む「輸送」モジュール、および「消耗(exhaustion)」モジュール(Martinez et al., (2015) Immunity 42(2):265-278)。FRiP正規化カウントまたはFPKMカウントを遺伝子モジュール解析のために使用した。FRiP正規化カウントの場合、プロモーターでのピークを、遺伝子レベルメトリックについての代用物として使用した。カウントをlog2変換し、カラースケールへグラフ式にアラインした。階層的クラスタリングを、JMPソフトウェアまたはPheatmap Rパッケージを用いて行った。
各遺伝子のプロモーター領域についての正規化アクセシビリティカウントメトリック(プロモーターアクセシビリティ)に基づくクラスタリング解析は、CDPサンプルから分離したCMATサンプルのクラスタリングを示し、CMATおよびCDPプロファイルの解析は、操作プロセスが、メモリーT細胞(TMEM)およびエフェクター細胞シグネチャの検出可能な変動を減らすようであることを示した。結果はまた、異なるドナーから、異なるエピジェネティック状態を有する、多様な操作細胞組成物(CDP)が生成され得ることを示した。
「T細胞モジュール」、「メモリーT細胞モジュール」および「輸送モジュール」遺伝子についてのCDPサンプルのクラスタリング解析は、異なるドナーからのCDPが一般に一緒にクラスター化し、ドナーを識別することを示した。「サイトカイン」モジュールおよび「消耗」モジュール中の遺伝子の例示的な個々のプロモーターでのプロモーターアクセシビリティの結果を、図20B(「サイトカイン」)および20C(「消耗」)に示す。
結果は、例えば製造プロセス中の、T細胞の異なる状態を識別するためのメトリックとしてのプロモーターアクセシビリティの有用性と一致している。
実施例13:クロマチンアクセシビリティ解析および操作T細胞が投与された対象における処置転帰
クロマチンアクセシビリティプロファイルを、キメラ抗原受容体(CAR)を発現する自己由来操作細胞が投与された、臨床研究中の対象からのCMATおよびCDPサンプルにおいて評価した。アクセシビリティプロファイルを、ある応答転帰を達成した対象または毒性を示した対象において、決定および比較した。
A.対象および細胞組成物
再発性または難治性(R/R)侵攻型非ホジキンリンパ腫(NHL)を有する成人ヒト対象に、抗-CD19 CARを発現する自己由来操作CD4+および/またはCD8+ T細胞を投与した。操作細胞の作製のために、CD4+/CD8+ T細胞を、PBMCの白血球搬出からの免疫親和性に基づく濃縮によって単離し、凍結保存した(CMAT、操作前)。単離されたCD4+/CD8+T細胞を、活性化し、抗-CD19 CARをコードするウイルスベクターで形質導入し、このウイルスベクターは、抗-CD19 scFv、免疫グロブリン由来のスペーサー、CD28由来の膜貫通ドメイン、4-1BB由来の補助刺激領域、およびCD3ゼータ細胞内シグナル伝達ドメインを含有した。このウイルスベクターは、切断型受容体をコードする配列さらに含有し、これは、CAR発現についての代理マーカーとして役立ち;T2Aリボソームスキップ配列によってCAR配列から分離された。結果として生じた操作細胞を凍結保存した(CDP、凍結保存操作細胞組成物)。
B.ATAC-seqおよび品質メトリクス
24人の対象からの合計82個のCD4+またはCD8+ CMATまたはCDPサンプルを、一般に実施例1に記載されるように、ATAC-seqによってアッセイした。得られた配列をマッピングし、ATAC-seqアクセシビリティピークを、MACS2を使用してコールした。得られた配列およびピークを、データの一貫性および忠実度を保証するために、アンマップド、アンペアードおよびデュプリケートリード、ミトコンドリアDNAの割合、有効なシーケンス深さ、0.1以下の偽発見率(FDR)を有するMACS2ピークの数、ピーク内のリードの割合(FRiP)、およびユニークなピークの数を含む、様々なシーケンシング品質管理メトリクスを使用して解析した。7つのサンプルを低い濃縮および/またはデータ忠実度のために除外した。
場合によっては、テクニカルリプリケートサンプルを得てアッセイした。インターバル解析、PCA、ピークオーバーラップおよびピーク中のLog2正規化カウントを、テクニカルリプリケートについて評価し、スピアマン相関係数を計算した。結果は、リプリケートが、大きな重複および高い相関係数を伴って、非常に類似しているプロファイルを示すことを示した。
C.CD4+およびCD8+ CDPおよびCMATの解析
各遺伝子のプロモーター領域についての正規化アクセシビリティカウントメトリック(プロモーターアクセシビリティ)を、CD4+およびCD8+細胞集団中の各遺伝子座でのクロマチンアクセシビリティに基づいて、細胞タイプの確認としてCDPおよびCMAT細胞集団中のCD4およびCD8Aプロモーターで評価した。CD4プロモーターでのアクセシビリティに対するCD8Aプロモーターでのアクセシビリティの比率を決定した。図21に示されるように、CD8A:CD4アクセシビリティ比は、CDPおよびCMATサンプルの両方について、各組成物のCD4+またはCD8+状態を反映した。
主成分分析(PCA)を、全てのサンプルについてのコンセンサスピーク(144,591ピーク)に対して行った。結果は、一般に、PCAプロット上の異なるクラスターにおいて、CMAT CD4+サンプルが一緒にクラスター化し、CMAT CD8+細胞が一緒にクラスター化したことを示した。CD4+ CDPサンプルおよびCD8+ CDPサンプルは、同じグループ内でクラスター化する傾向があり、CD4+ CDPサンプルおよびCD8+ CDPサンプルは、CD4またはCD8発現に基づいてサブクラスターを形成した。結果は、操作プロセスが、CD4+およびCD8+細胞についての全体的なプロファイルの変動を減少させることを示した。比較で、操作前では、CD4+およびCD8+サンプルはより変化に富んだプロファイルを示した。
総コンセンサスピークセット(CDPについて122,495ピーク、CMATについて106,867ピーク)を使用するクラスタリング解析を、CD4+およびCD8+ CDPサンプルにおいて行った。結果は、CMATおよびCDPサンプルの両方について、CD4+またはCD8+細胞タイプが典型的に一緒にクラスター化したことを示した。
D.臨床転帰に関する解析
差次的アクセシビリティ解析を、操作細胞組成物の投与後、異なる応答転帰または毒性転帰の達成へ進んだ対象由来のサンプルにおいて、異なるアクセシビリティを有するピークについて、行った。
図22Aは、完全奏効(CR)(最善の全体的な奏効(BOR)として)、3ヶ月時点での持続性奏効(3MO)または6ヶ月時点での持続性奏効(6MO)を達成した対象と比較しての、進行性疾患(PD)を有した対象における、より高いまたはより低いアクセシビリティを有するピークについてのlog2倍率変化および調整されたp値を、サンプル中に差次的に存在した対応のピーク数と共に示す。多数の差次的にアクセシブルなピークが、3ヶ月および6ヶ月応答解析において存在し、これは、細胞組成物中のエピジェネティック状態が、3または6ヶ月時点でPDを有した対象と比較して、CRを達成した対象について異なったことを示している。ピーク重複解析は、6ヶ月応答解析において差次的にアクセシブルであることが示されたピークの多くが、3ヶ月応答解析におけるピークと重複し、BOR解析におけるピークの一部も、3ヶ月応答解析におけるピークと重複したことを示した。
図22Bは、グレード0~2 Ntxを有した対象と比較しての、グレード3~5神経毒性(Ntx)を示した対象における、または、グレード0~1 CRSを有した対象と比較しての、グレード2~5サイトカイン放出症候群(CRS)を示した対象における、より高いまたはより低いアクセシビリティを有するピークについてのlog2倍率変化および調整されたp値を、サンプル中に差次的に存在した対応のピーク数と共に示す。重複解析は、ピークの一部のみが、Ntx解析とCRS解析との間で重複したことを示した。結果は、NtxおよびCRSの両方について群間で多数の差次的アクセシビリティピークを示す。
E.臨床転帰に関するCMATおよびCDPの解析
一般に上述されるような、コンセンサスピークセット上の正規化カウントに対するPCA、および異なる応答転帰または毒性転帰を達成した対象からのCDPまたはCMATサンプル中の差次的アクセシビリティ解析。CDPサンプルについてのPCA(コンセンサスセット:112,495ピーク)は、一般に、CD4+およびCD8+サンプルが細胞タイプ(CD4+またはCD8+細胞)に基づいてクラスター化することを示した。CMATサンプルのPCA(コンセンサスセット:106,867ピーク)も、一般に、サンプルが、細胞タイプ(CD4+またはCD8+)に基づいてクラスター化したが、これらのサンプルはCDPサンプルほどしっかりとはクラスター化しなかったことを示し、これは、可変性が、CDPサンプル内の可変性と比較して、異なるCMATサンプル内でより大きかったことを示す。
BOR、3ヶ月および6ヶ月応答についての、応答転帰についての差次的アクセシビリティ解析を、CDPサンプル中およびCMATサンプルにおいて別々に行った。図23A(CDP)および23B(CMAT)に示されるように、多数のピークが、CDPサンプルにおいて3および6ヶ月応答解析について差次的にアクセシブルであったが、ほんの僅かなピークが、CMATサンプルにおいて差次的にアクセシブルであった。重複解析は、CDPについて、差次的にアクセシブルなピークの多くが、3および6ヶ月応答解析において重複したが、BORピークとの各々の重複は低く、CMATについてはほんの僅かなピークが存在および重複したことを示した。
NtxおよびCRSについての差次的アクセシビリティ解析を、CDPおよびCMATサンプルにおいて別々に行った。図23C(CDP)に示されるように、僅かなピークがNtxについて差次的にアクセシブルであると示され、一方、より多数のピークが、グレード2~5 CRSを有する対象について差次的にアクセシブルであった。図23D(CMAT)に示されるように、非常に多数のピークが、Ntxについて差次的にアクセシブルであると観察されたが、僅かなピークがCRSについて差次的にアクセシブルであった。CDPおよびCMATサンプルの両方についての重複解析は、NtxおよびCRS解析間で非常に僅かな重複ピークを示す。
結果は、CDPのみを調べることは、差次的アクセシビリティピークを臨床転帰へ割り当てるこのモデルの全体的な能力を低減させ、CMATのみを調べることは、差次的アクセシビリティピークを応答およびCRSへ割り当てるこのモデルの能力を低減させることを示し、これは、CDP状態をインターロゲートすることは、CRSの潜在的な発症に関して情報を与え得るという観察と一致している。Ntxについて、CMATを調べることは、非常に多数の差次的アクセシビリティピークを保持し、これは、出発T細胞および疾患状態は、神経毒性の潜在的な発症に関して情報を与え得るという観察と一致している。
結果は、臨床転帰、例えば、応答または安全性転帰と相関し得る細胞タイプにおける潜在的な差異を同定し、かつ、臨床転帰と関連するエピジェネティック特性または特徴を同定する、ATACseq解析の有用性を実証している。
実施例14:CAR T細胞の解析におけるクロマチンアクセシビリティ解析についての改変ATAC-seq法
改変ATAC-seq法を使用し、キメラ抗原受容体で遺伝子操作されたCD8+ T細胞におけるクロマチンアクセシビリティプロファイルを評価し、実施例1に一般に記載されるATAC-seq法と比較した。
NHLを有する対象由来のCD8+ CDPサンプル、および健康なドナー由来のCD8+ CMATサンプルを、Corces et al. (2017) Nature Methods 14:959-962に一般に記載されるような改変ATACseq解析、または実施例1に一般に記載されるようなATAC-seq法(標準ATAC-seq)へ供した。改変は、洗浄バッファーへのPBSの添加、溶解バッファーへのTween-20およびジギトニンの添加、ならびに転移反応へのPBS、Tween-20およびジギトニンの添加、ならびに異なるDNA精製カラムの使用を含んだ。
得られた配列をマッピングし、ATAC-seq アクセシビリティピークを、MACS2を使用してコールした。改変または標準ATAC-seqから得られた配列およびピークを、データの一貫性および忠実度を保証するために、アンマップド、アンペアードおよびデュプリケートリード、ミトコンドリアDNAの割合、有効なシーケンス深さ、0.1以下の偽発見率(FDR)を有するMACS2ピークの数、ピーク内のリードの割合(FRiP)、およびユニークなピークの数を含む、様々なシーケンシング品質管理メトリクスを使用して解析した。ミトコンドリアDNAの割合は、改変ATACseqを使用して得られたいくつかのサンプルにおいてより低かった。
図24Aは、0.1未満のFDRを有する同定されたピークの数を示す。図24Bは、3つのテクニカルリプリケートを用いての、改変または標準ATAC-seqを使用するCD8+ CDPおよびCMATサンプルにおける、FRiPによって示されるような濃縮を示す。結果は、同定されたピークの数が、改変ATAC-seqを使用してより高く、濃縮シグナルが、改変ATACseqを使用して調製されたサンプルにおいて実質的により高かったことを示す。
ピーク重複解析は、ピーク重複が、標準および改変ATAC-seq法の両方を使用して、サンプルのテクニカルリプリケート間で高かったことを示した。標準および改変ATACseqピーク間の重複は、標準ATACseqピークのほぼ全てが、改変ATACseqからのピーク中に存在し、改変ATACseqを使用して処理されたサンプル中にはより多くのピークが存在したことを示した。サンプル間相関性は、テクニカルリプリケート間でおよび異なる方法にわたって高かった。差次的アクセシビリティ解析、ゲノム・ビューア・ビジュアライゼーション、T細胞、消耗、サイトカインおよび短期エフェクターおよびメモリーモジュールに関する遺伝子モジュールを使用するクラスタリング解析、ならびにGene Set Enrichment Analysis (GSEA)は、標準および改変ATAC-seq法を使用して得られたデータ間で一致した結果を示す。
結果は、改変ATAC-seq法が、減少したミトコンドリアリードの割合、増加した複雑性および効率、濃縮されたシグナル、ならびにサンプルにわたる増加した技術的再現性を伴うデータを生じさせたことを示した。標準および改変ATACseqからの結果の差次的解析および生物学的経路解析において、一致したパターンが観察された。
本発明は、特定の開示された態様に範囲が限定されるようには意図されず、これらは、例えば本発明の様々な局面を説明するために提供される。記載される組成物および方法に対する様々な改変物が、本明細書における説明および教示から明らかとなるであろう。そのような変形物は、本開示の真の範囲および精神から逸脱することなく実施され得、本開示の範囲内に入るように意図される。