JP7427044B2 - 表面処理銅箔、銅箔ロール、銅張積層板及びプリント配線板 - Google Patents

表面処理銅箔、銅箔ロール、銅張積層板及びプリント配線板 Download PDF

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Description

本発明は、表面処理銅箔、該表面処理銅箔からなる銅箔ロール、並びに該表面処理銅箔を含む銅張積層板及びプリント配線板に関する。
表面処理銅箔は、リチウムイオン二次電池等の二次電池や、プリント配線板等の様々な用途で用いられている。
通常、銅箔は酸化し易いため、防錆処理として、その表面にZn(亜鉛)やCr(クロム)等の金属を用いた防錆処理(金属防錆処理)や、Si(ケイ素)を含む有機化合物等の有機材料を用いた防錆処理(有機防錆処理)が施されるのが一般的である。例えば、特許文献1では、耐錆性及び耐変色性を有する表面処理銅箔として、銅箔に設けられた有機層を有する表面処理銅箔が提案されている。
特開2021-028165号公報
上記のような防錆処理によれば、一定の防錆効果が期待できる。しかし、銅箔は、例えば製造後3か月から1年程度の長期保存を経て使用されることも多く、その場合、上記のような防錆処理が施された表面処理銅箔であっても、その表面に変色が発生する場合がある。そのような変色は、高湿環境にて保存していた場合に、より顕著であった。
表面処理銅箔の表面における変色は、主に銅箔表面の酸化が原因であると考えられ、銅箔製品としての、外観不良の問題だけでなく、製品自体の性能劣化の懸念も招来するという問題があった。
そこで本発明は、保存環境の湿度によらず、表面処理銅箔を長期間(例えば3か月から1年程度)保存した場合であっても、該銅箔表面における変色を効果的に抑制し得る、長期保存に適した表面処理銅箔、該表面処理銅箔からなる銅箔ロール、並びに該表面処理銅箔を含む銅張積層板及びプリント配線板を提供することを目的とする。
本発明の要旨構成は、以下の通りである。
[1] 一方の面(A)と、他方の面(B)とを有する表面処理銅箔であって、
前記面(A)が、下記要件(I)及び(II)を満たす、表面処理銅箔。
・要件(I):前記表面処理銅箔の表面において、JIS Z 8741:1997に準拠して測定したTDの75度鏡面光沢度GsTD(75°)に対するMDの75度鏡面光沢度GsMD(75°)の鏡面光沢度比R(75°)[GsMD(75°)/GsTD(75°)]が0.90以上1.60以下である。
・要件(II):前記表面処理銅箔の表面において、レーザー顕微鏡で測定した展開面積比(Sdr)が3.00%以下である。
[2] 更に、前記面(B)が、下記要件(III)及び(IV)を満たす、上記[1]に記載の表面処理銅箔。
・要件(III):前記表面処理銅箔の表面において、JIS Z 8741:1997に準拠して測定したTDの75度鏡面光沢度GsTD(75°)に対するMDの75度鏡面光沢度GsMD(75°)の鏡面光沢度比R(75°)[GsMD(75°)/GsTD(75°)]が0.60以上1.50以下である。
・要件(IV):前記表面処理銅箔の表面において、レーザー顕微鏡で測定した展開面積比(Sdr)が300%以下である。
[3] 前記要件(I)において、前記鏡面光沢度比R(75°)[GsMD(75°)/GsTD(75°)]が0.95以上1.50以下である、上記[1]又は[2]に記載の表面処理銅箔。
[4] 前記面(A)において、Zn付着量が0.001mg/dm以上0.800mg/dm以下又はCr付着量が0.001mg/dm以上0.500mg/dm以下である、上記[1]~[3]のいずれか1項に記載の表面処理銅箔。
[5] 前記面(A)において、Si付着量が0.001mg/dm以上0.500mg/dm以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の表面処理銅箔。
[6] 前記要件(IV)において、前記展開面積比(Sdr)が120%以下である、上記[2]~[5]のいずれか1項に記載の表面処理銅箔。
[7] 前記要件(IV)において、前記展開面積比(Sdr)が3.00%以下である、上記[6]に記載の表面処理銅箔。
[8] 電解銅箔である、上記[1]~[7]のいずれか1項に記載の表面処理銅箔。
[9] 前記面(A)が、回転ドラム状カソードからの剥離面に由来する面である、上記[8]のいずれか1項に記載の表面処理銅箔。
[10] 上記[1]~[9]のいずれか1項に記載の表面処理銅箔からなる銅箔ロールであって、
前記面(A)を外側にして、前記面(A)と前記面(B)とが接する状態で巻かれてなる、銅箔ロール。
[11] 上記[1]~[9]のいずれか1項に記載の表面処理銅箔を含む、銅張積層板。
[12] 前記面(B)が、樹脂基材との貼り付け面である、上記[11]に記載の銅張積層板。
[13] 上記[1]~[9]のいずれか1項に記載の表面処理銅箔を含む、プリント配線板。
本発明によれば、保存環境の湿度によらず、表面処理銅箔を長期間保存した場合であっても、該銅箔表面における変色を効果的に抑制でき、長期保存に適した表面処理銅箔、該表面処理銅箔からなる銅箔ロール、並びに該表面処理銅箔を含む銅張積層板及びプリント配線板を提供することができる。
図1は、電解銅箔の製造装置の模式図である。
本発明に従う表面処理銅箔、銅箔ロール、銅張積層板及びプリント配線板の実施形態について、以下で詳細に説明する。
なお、本明細書において、数値の記載に関する「A~B」という用語は、「A以上B以下」(A<Bの場合)又は「A以下B以上」(A>Bの場合)を意味する。また、本発明において、好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
[表面処理銅箔]
本発明の表面処理銅箔(以下、単に「銅箔」ということがある。)は、一方の面(A)と、他方の面(B)とを有する表面処理銅箔であって、前記面(A)が、下記要件(I)及び(II)を満たすことを特徴とする。
・要件(I):前記表面処理銅箔の表面において、JIS Z 8741:1997に準拠して測定したTDの75度鏡面光沢度GsTD(75°)に対するMDの75度鏡面光沢度GsMD(75°)の鏡面光沢度比R(75°)[GsMD(75°)/GsTD(75°)]が0.90以上1.60以下である。
・要件(II):前記表面処理銅箔の表面において、レーザー顕微鏡で測定した展開面積比(Sdr)が3.00%以下である。
を特徴とする。
ここで、MD(Machine Direction)は、銅箔基体(「元箔」ということもある)を製造する際に銅箔基体が流れる方向(RD(Roll Direction)ともいわれることもある)であり、TD(Transverse Direction)は、MDに対して直交の方向である。
本発明によれば、保存環境の湿度によらず、表面処理銅箔を長期間保存した場合であっても、該銅箔表面における変色を効果的に抑制でき、長期保存に適した表面処理銅箔が得られる。
このような効果が得られる詳しい理由は明らかではないが、一つには以下の理由が考えられる。
まず、本発明者等は、銅箔表面における変色について詳しく検討した結果、その主たる要因について以下のように推察した。
通常、銅箔表面は防錆処理が施されているが、長期保存中に、銅箔基体と防錆処理層との間で相互拡散や、合金化等が生じることにより、銅が表面に露出し、銅箔の表面が酸化することがある。
特に、銅箔表面には、製造過程で行う処理に起因する、MDに沿って伸びたスジ状の凹凸が存在する。このわずかな凹凸形状に応じて、防錆処理の厚さが異なるため、その厚さの違いにより防錆能力に差が生じる。その結果、スジ状に存在する防錆処理の薄い部分では、長期保存中に、銅の酸化が進行し易くなると考えられる。
また、特に有機防錆処理は、均一な処理が難しく、MDに沿って処理ムラも発生し易い傾向がある。そのため、MDに沿って局所的に防錆材料で被覆されない箇所又は被覆厚さが非常に薄い箇所が生じる場合がある。そのような箇所では、長期保存中に、銅の酸化が進行し易くなると考えられる。
上記のように、銅箔表面においてMDに沿って存在する銅の酸化が進行し易い部分は、長期保存後に、MDに沿ったスジ状の変色(以下、「MDスジ状変色」ということある)として現れることがあり、このようなMDスジ状変色が、銅箔を長期保存した際に生じる、銅箔表面における変色の主な要因であると推察される。また、上記のようなMDスジ状変色は、銅箔表面が平滑な面であるほど、視認し易くなる傾向にある。
一方で、銅箔表面の変色は、通常、保存環境の湿度にも大きく影響される。例えばデシケータ等の除湿環境下であれば、銅箔表面の変色の発生スピードを抑えることができる。これは、湿度が高い環境では、銅箔表面で局所電池が形成され、銅の酸化が進行し易くなるが、除湿することでその進行を抑制できるためと考えられる。
しかし、銅箔製品の保存環境を除湿環境下にすることは現実的に難しい。そのため、除湿環境下でなくても銅箔表面の変色の発生を抑制できることが望まれている。
そこで、本発明者等が鋭意検討を重ねた結果、銅箔の一方の面(A)の表面を上記所定の表面形状に制御することにより、特に、銅箔を長期保存した際に生じる、銅箔表面におけるMDスジ状変色を効果的に防ぐことができることを見出した。詳細なメカニズムは明らかではないが、銅箔の面(A)を、展開面積比(Sdr)が3.00%以下となるような平滑な面(要件(II))とし、且つ、鏡面光沢度比R(75°)が0.90以上1.60以下となるような異方性を持つ面(要件(I))とすることで、面(A)における、防錆処理による処理厚さの違いや処理ムラの発生を効果的に抑制でき、これにより長期保存中の銅の酸化の進行を抑制できると考えられる。
また、このような本発明の表面処理銅箔は、例えばプリント配線板用途に好適に用いられる。本発明の表面処理銅箔を用いた場合には、優れた伝送特性を実現し得る。
以下、本発明の表面処理銅箔について詳しく説明する。
まず、本発明の表面処理銅箔は、表裏面のうち、一方の面を「面(A)」とし、他方の面を「面(B)」と定義する。すなわち、本発明の表面処理銅箔は、一方の面(A)と、他方の面(B)とを有する(以下、単に「面(A)」及び「面(B)」と称することがある)。
また、本発明の表面処理銅箔は、銅箔基体の両面(面(A)及び面(B))に、防錆処理層を含む表面処理皮膜を有する。防錆処理層は、銅の酸化を抑制する効果を有する層であればよく、金属防錆処理による処理層でもよいし、有機防錆処理による処理層であってもよく、これらを併用してもよい。
また、上記表面処理皮膜は、更に粗化処理層を含んでもよい。特に、面(B)において、表面処理皮膜は、粗化処理層を含んでいることが好ましい。粗化処理層は、銅箔基体の表面に粗化粒子を形成してなる。
また、上記表面処理皮膜は、必要に応じて、その他の層を含んでもよい。
なお、面(A)及び面(B)において、それぞれの表面処理皮膜の層構成は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
また、表面処理銅箔の表面とは、表面処理銅箔の最表面(表裏面)であり、表面処理皮膜の表面である。
また、上記銅箔基体は、電解銅箔であっても、圧延銅箔であってもよく、好ましくは電解銅箔である。銅箔基体の厚さは、例えば5~210μmであり、好ましくは10~70μmである。
また、銅箔基体が電解銅箔である場合、表面処理銅箔は電解銅箔であり、面(A)は、電解銅箔の回転ドラム状カソード(以下、単に「ドラム状カソード」という。)からの剥離面に由来する面(以下、「ドラム面」という)であってもよいし、ドラム面とは反対側の面(以下、「非ドラム面」という。)であってもよいが、好ましくはドラム面である。以下に、電解銅箔の製造方法の一例を示して説明する。
図1は、電解銅箔の製造装置の模式図である。電極は、回転ドラム状のチタンやステンレス鋼からなるカソード1と、同心円状に対向する貴金属酸化物を被覆した電極や鉛電極等の不溶性アノード2とで構成される。この両電極間に硫酸銅電解液3を装置下部から流し込み、電流を印加することで、ドラム状カソードの表面に銅めっきが析出する。ドラム状カソード1は所定の速度で回転しており、析出した銅めっきは電解銅箔6として連続的にドラム状カソード表面から剥離して巻き取られる。電解銅箔6において、ドラム状カソード面側はドラム面5と称呼するが、一般的には光沢面(S面)と呼称される場合もある。また、ドラム面5の反対面は非ドラム面4と称呼するが、一般的には析出面又はマット面(M面)と呼称される場合もある。
<面(A)>
表面処理銅箔の面(A)は、表面処理銅箔の表裏面のうち、一方の面(表面)であり、銅箔基体の表面に防錆処理層を含む表面処理皮膜を有する面である。
本発明では、面(A)において、下記要件(I)及び(II)を満たすことにより、銅箔表面におけるMDスジ状変色を防止することができる。
・要件(I):前記表面処理銅箔の表面において、JIS Z 8741:1997に準拠して測定したTDの75度鏡面光沢度GsTD(75°)に対するMDの75度鏡面光沢度GsMD(75°)の鏡面光沢度比R(75°)[GsMD(75°)/GsTD(75°)]が0.90以上1.60以下である。
・要件(II):前記表面処理銅箔の表面において、レーザー顕微鏡で測定した展開面積比(Sdr)が3.00%以下である。
(要件(I))
本発明では、製造過程で行う処理に起因する、銅箔表面のMDのスジ状凹凸に着目している。しかし、このようなスジ状の凹凸は非常に微細であるため、従来の銅箔表面の観察手法を単独で用いても、適切に評価することが難しかった。例えば、レーザー顕微鏡や白色干渉顕微鏡等では銅箔表面を垂直方向から観察するため、非常に微細な凹凸を有する表面の特性を正確に表すことが難しい。また、走査型電子顕微鏡(SEM)による断面観察といった直接的な2次元の形状観察においても、微細な凹凸を有する表面の3次元的特性を正確に定義することは難しい。
そのため、従来の手法だけでは、技術的な面で、銅箔表面の厳密な評価に限界があった。そこで、本発明では、銅箔表面の評価方法の一手法として、JIS Z 8741:1997に準拠して測定する鏡面光沢度により銅箔表面の特徴を規定し、評価することとした。具体的には、以下の手法により行う。
通常、鏡面光沢度の測定は、一方向から単一の受光角で測定評価することが一般的である。しかしながら、本発明の表面処理銅箔の表面は非常に平滑であるため、一方向からの測定ではその表面形状を十分に評価することは困難であった。
そこで本発明者等は、MDとTDの二方向から所定の受光角を使って鏡面光沢度を測定し、その比を算出することにより、銅箔の表面形状の異方性を評価する方法に着目した。
しかし、鏡面光沢度を測定する際の受光角としては、これまで60度又は85度により評価するのが一般的であったが、この場合銅箔の表面形状の異方性を適切に評価することは困難であった。例えば、受光角が60度の場合は、光の入射角が小さいために、本発明の銅箔の表面のような非常に平滑な表面については、適切に評価できなかった。また、受光角が85度である場合は、表面形状の感度が高すぎることで、二方向から測定した鏡面光沢度の差が小さくなってしまう傾向にあり、二方向からの鏡面光沢度比を算出して評価するには不適切であった。
そこで本発明者等は、鏡面光沢度を測定する際の受光角として75度に着目し、該受光角でMDとTDの二方向の鏡面光沢度を測定し、その比を算出、評価することにより、これまで適切な評価が困難であった非常に平滑な銅箔表面に対しても、その表面形状の異方性を適切に評価できることを見出した。
面(A)は、表面処理銅箔の表面において、JIS Z 8741:1997に準拠して測定したTDの75度鏡面光沢度GsTD(75°)に対するMDの75度鏡面光沢度GsMD(75°)の鏡面光沢度比R(75°)[GsMD(75°)/GsTD(75°)]が0.90以上1.60以下である。鏡面光沢度比R(75°)は、銅箔表面における表面形状の異方性を表していると考えられる。鏡面光沢度比R(75°)が上記範囲外であると、長期保存、特に高湿環境下で、MDスジ状変色が発生し易くなる傾向がある。鏡面光沢度比R(75°)は、好ましくは0.95以上1.50以下であり、より好ましくは0.95以上1.40以下であり、更に好ましくは0.95以上1.30以下である。
なお、TDの75度鏡面光沢度GsTD(75°)は、例えば30%以上250%以下であり、好ましくは80%以上220%以下である。また、MDの75度鏡面光沢度GsMD(75°)は、例えば80%以上300%以下であり、好ましくは150%以上250%以下である。
なお、上記各鏡面光沢度Gsは、実施例に記載の方法により測定することができる。
(要件(II))
上述のように、面(A)は非常に平滑な面である。このような面(A)は、表面処理銅箔の表面において、レーザー顕微鏡で測定した展開面積比(Sdr)が3.00%以下である。展開面積比(Sdr)が上記範囲外であると、長期保存、特に高湿環境下で、MDスジ状変色が発生し易くなる傾向がある。展開面積比(Sdr)は、好ましくは1.50%以下であり、より好ましくは1.00%以下である。なお、下限は例えば0.01%以上である。
なお、展開面積比(Sdr)は、実施例に記載の方法により測定することができる。
上記のような表面形状を満たす面(A)は、銅箔基体の表面に平坦化処理が施されてなる面であることが好ましい。このような処理が施されることで、面(A)における表面形状を所望の範囲に制御し易くなる。
また面(A)は、防錆処理層を含む表面処理皮膜を有する面である。防錆処理層は、金属防錆処理や、Siを含む有機化合物等を用いた有機防錆処理により形成できる。
上記防錆処理層が、少なくとも金属防錆処理による処理層である場合、防錆処理層はZn及びCrの少なくとも一方を含むことが好ましい。
防錆処理層がZn及びCrの少なくとも一方を含む場合、面(A)において、Zn及びCr付着量は、それぞれ例えば1.000mg/dm以下とすることができる。また、銅箔表面の変色を効果的に抑制する観点からは面(A)において、Zn付着量は0.001mg/dm以上0.800mg/dm以下、又はCr付着量は0.001mg/dm以上0.500mg/dm以下であることが好ましい。
ここで、Zn付着量は、銅箔表面の変色をより効果的に抑制する観点から、より好ましくは0.005mg/dm以上0.800mg/dm以下である。また、Cr付着量は、銅箔表面の変色をより効果的に抑制する観点から、より好ましくは0.005mg/dm以上0.500mg/dm以下である。更に、銅箔表面の変色をより効果的に抑制する観点から、防錆処理層はZn及びCrの両方を含んでいることが好ましく、面(A)におけるZn及びCrの各付着量はそれぞれ上記範囲内であることが好ましい。
また、上記防錆処理層が、少なくとも有機防錆処理による処理層である場合、防錆処理層はSi(ケイ素)を含むことが好ましい。
防錆処理層がSiを含む場合、面(A)において、Si付着量は、例えば1.000mg/dm以下とすることができる。また、銅箔表面の変色を効果的に抑制する観点からは、面(A)において、Si付着量は、好ましくは0.001mg/dm以上0.500mg/dm以下、より好ましくは0.003mg/dm以上0.500mg/dm以下である。
更に、防錆効果を高める観点からは、上記防錆処理層は、金属防錆処理による処理層及び有機防錆処理による処理層の両方を含んでもよく、その場合、表面処理皮膜はZn及びCrの少なくとも一方と、Siとを含むことが好ましい。このとき、面(A)におけるZn、Cr及びSiの各付着量はそれぞれ上記範囲内であることが好ましい。
また、Crレスの観点からは、防錆処理層は主として有機防錆剤を用いて形成されることが望ましく、その場合、面(A)において、表面処理皮膜はSiを含むことが好ましく、Crを実質的に含まないことがより好ましい。具体的には、面(A)において、Siの付着量は上記範囲内であることが好ましく、Crの付着量は0.001mg/dm未満であることがより好ましい。
なお、面(A)における、各成分の付着量は、実施例に記載の方法により測定することができる。
<面(B)>
表面処理銅箔の面(B)は、表面処理銅箔の表裏面のうち、上記面(A)に対する、他方の面(裏面)である。
本発明の表面処理銅箔において、面(B)の表面形状は適宜調整することができ、例えば、面(B)は、表面処理銅箔の表面において、JIS Z 8741:1997に準拠して測定したTDの75度鏡面光沢度GsTD(75°)に対するMDの75度鏡面光沢度GsMD(75°)の鏡面光沢度比R(75°)[GsMD(75°)/GsTD(75°)]が0.50以上1.60以下であり、レーザー顕微鏡で測定した展開面積比(Sdr)が310%以下であることが好ましい。
また、銅箔表面の変色を更に抑制する観点から、面(B)は、下記要件(III)及び(IV)を満たすことがより好ましい。
通常、銅箔製品はロール状に製造し、保存するのが一般的である。ロール状に巻かれた状態では、面(A)と面(B)とが対向するように配置される。このような状態で銅箔を保存する場合、面(B)の表面形状によっては、面(A)に擦れを生じさせることがある。その結果、面(A)に金属防錆処理や有機防錆処理を施していても、面(B)の接触により、防錆処理層が部分的に削られて銅が露出し(擦れムラ)、長期保存中に酸化が進行して、銅箔表面に変色が生じることがある。
本発明者等はこのような銅箔表面の変色についても鋭意検討を行った結果、面(B)において、下記要件(III)及び(IV)を満たすことで、面(B)から面(A)への擦れを低減でき、面(A)への擦れムラに起因した変色を防ぐことができることを見出した。
すなわち、本発明では、銅箔表面の変色を更に抑制する観点から、面(B)において、下記要件(III)及び(IV)を満たすことが好ましい。
・要件(III):前記表面処理銅箔の表面において、JIS Z 8741:1997に準拠して測定したTDの75度鏡面光沢度GsTD(75°)に対するMDの75度鏡面光沢度GsMD(75°)の鏡面光沢度比R(75°)[GsMD(75°)/GsTD(75°)]が0.60以上1.50以下である。
・要件(IV):前記表面処理銅箔の表面において、レーザー顕微鏡で測定した展開面積比(Sdr)が300%以下である。
(要件(III))
面(B)は、表面処理銅箔の表面において、JIS Z 8741:1997に準拠して測定したTDの75度鏡面光沢度GsTD(75°)に対するMDの75度鏡面光沢度GsMD(75°)の鏡面光沢度比R(75°)[GsMD(75°)/GsTD(75°)]が0.60以上1.50以下であることが好ましい。鏡面光沢度比R(75°)は、上記範囲内であると面(A)への擦れムラに起因した変色を効果的に抑制することができる。鏡面光沢度比R(75°)は、より好ましくは0.70以上1.40以下であり、更に好ましくは0.80以上1.30以下である。
なお、TDの75度鏡面光沢度GsTD(75°)は、例えば0.5%以上250%以下であり、好ましくは10%以上220%以下である。また、MDの75度鏡面光沢度GsMD(75°)は、例えば0.5%以上300%以下であり、好ましくは10%以上250%以下である。
なお、上記各鏡面光沢度Gsは、実施例に記載の方法により測定することができる。
(要件(IV))
面(B)もまた、平滑な面であることが好ましい。面(B)は、表面処理銅箔の表面において、レーザー顕微鏡で測定した展開面積比(Sdr)が300%以下であることが好ましい。展開面積比(Sdr)は、300%以下であると、面(A)への擦れムラに起因した変色を効果的に抑制することができる。また、展開面積比(Sdr)は、好ましくは120%以下であり、より好ましくは10.0%以下、更に好ましくは3.00%以下である。特に、展開面積比(Sdr)を好ましくは120%以下、より好ましくは3.00%以下とすることで、プリント配線板用途に用いた場合に、伝送特性を更に向上できる。また、展開面積比(Sdr)を3.00%以下とすることで、面(A)及び面(B)の両面が共に非常に平滑な表面処理銅箔とすることができる。また、下限は例えば0.01%以上である。
なお、展開面積比(Sdr)は、実施例に記載の方法により測定することができる。
<表面処理銅箔の製造方法>
次に、本発明の表面処理銅箔の好ましい製造方法について、その一例を説明する。
銅箔基体(元箔)への後処理として、面(A)に対応する側の銅箔基体の表面に平坦化処理を施すことが好ましい。例えば後述する条件で平坦化処理を施すことで、面(A)の表面形状を上記要件(I)及び(II)を満たすものとすることができる。
(銅箔基体)
銅箔基体としては、粗大な凹凸が存在しない平滑で光沢のある表面を持つ、電解銅箔や圧延銅箔を用いることが好ましい。中でも、生産性やコストの観点で電解銅箔を用いることが好ましく、特に面(A)に対応する面としては、電解銅箔のドラム面を用いることが好ましい。要件(I)及び(II)を満たす面(A)を形成するのに適したドラム面形状を得る観点から、電解銅箔製造に使用するドラム状カソード表面は、#1000番~#2500番のバフで研磨されていることが好ましい。
〔面(A)に対応する面への処理〕
面(A)の表面形状を上記要件(I)及び(II)を満たすものとする観点から、面(A)に対応する銅箔基体表面には、平坦化処理を施すことが好ましい。また、平坦化処理は、防錆処理の前に行うことがより好ましく、〔A1〕平坦化処理及び〔A2〕防錆処理の順に行うことがより好ましい。
〔A1〕平坦化処理
平坦化処理としては、ピロリン酸銅液を用いた直流アノード溶解等の処理が挙げられる。以下、ピロリン酸銅液を用いた直流アノード溶解を例に、好適な処理条件を例示する。なお、下記条件は平坦化処理の好ましい一例であり、本発明の効果を妨げない範囲で、他の処理を行ってもよいし、必要に応じて添加剤の種類や量、電解条件等を適宜変更、調整することもできる。
・ピロリン酸銅液を用いた直流アノード溶解
下記の電解液組成を有するピロリン酸銅水溶液を用い、下記の条件で直流アノード溶解を行うことが好ましい。下記条件を満たすことで、面(A)の表面形状を上記要件(I)及び(II)を満たすものとすることができる。
<電解液組成(ピロリン酸銅水溶液)>
ピロリン酸銅三水和物 :70~120g/L
ピロリン酸カリウム :300~400g/L
アンモニア :0.25~1.3g/L
エチルキサントゲン酸カリウム :10~30mg/L
<カソード及びアノード>
カソード :無酸素銅
アノード :面(A)に対応する銅箔基体表面
<電解条件>
液温 :15~55℃
電流密度 :5~65A/dm
溶解時間 :3~80秒
電荷密度 :30.0~1800.0C/dm
〔A2〕防錆処理
防錆処理は、上記平坦化処理後の面(A)に対して施すことが好ましい。防錆処理としては、金属防錆処理及び有機防錆処理のいずれであってもよい。以下、それぞれの好適な処理条件を例示する。なお、下記条件は好ましい一例であり、本発明の効果を妨げない範囲で、必要に応じて添加剤の種類や量、電解条件を適宜変更、調整することができる。
・金属防錆処理
金属防錆処理としては、Ni、Zn及びCr等による金属めっき処理が挙げられ、中でもZnめっき処理及びCrめっき処理が好適である。
このような金属防錆処理によれば、表面処理銅箔の用途や目的とする特性に応じて、所定の金属めっき処理を適宜選択し、必要に応じて組み合わせることで、所望の構成を有する金属防錆処理層を形成することができる。
金属防錆処理層は、単層であってもよいが、二層以上の複層であってもよい。複層の具体例としては、銅箔基体側から、Znを含有する層及びCrを含有する層の二層の構成や、Niを含有する層、Znを含有する層及びCrを含有する層の三層の構成を有する金属防錆処理層が挙げられる。
Znを含有する層は、耐熱性を更に向上させる必要がある場合に形成することが好ましい。Znを含有する層(耐熱層)は、例えば亜鉛、又は亜鉛を含有する合金、即ち、亜鉛(Zn)-錫(Sn)、亜鉛(Zn)-ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)-コバルト(Co)、亜鉛(Zn)-銅(Cu)、亜鉛(Zn)-クロム(Cr)及び亜鉛(Zn)-バナジウム(V)の中から選択される少なくとも1種の亜鉛を含有する合金で形成することが好ましい。
Crを含有する層は、耐食性を更に向上させる必要がある場合に形成することが好ましい。Crを含有する層(耐食層)としては、例えばCrめっきにより形成されるクロム層、クロメート処理により形成されるクロメート層が挙げられる。
Niを含有する層は、例えば銅箔基体や粗化処理層中の銅(Cu)が樹脂基材側に拡散し、銅害が発生して密着性が低下することがある場合に、銅箔基体又は粗化処理層とシランカップリング剤層との間に形成することが好ましい。Niを含有する層(下地層)は、ニッケル(Ni)、ニッケル(Ni)-リン(P)、ニッケル(Ni)-亜鉛(Zn)の中から選択される少なくとも1種で形成することが好ましい。
・有機防錆処理
有機防錆処理としては、有機防錆剤を用いた防錆処理が挙げられるが、具体的にはSiを含む有機化合物を用いた防錆処理が好適である。
Siを含む有機化合物としては、エポキシ系シラン、アミノ系シラン、ビニル系シラン、メタクリル系シラン、アクリル系シラン、スチリル系シラン、ウレイド系シラン、メルカプト系シラン、スルフィド系シラン、イミダゾール系シラン及びイソシアネート系シランのいずれか1種以上を含有するシランカップリング剤が好ましい。
また、有機防錆処理によって有機防錆処理層を形成する方法としては、例えば、上記平坦化処理後の面(A)に、直接又は金属防錆処理層を介して、有機化合物溶液を塗布した後、風乾(自然乾燥)又は加熱乾燥して形成する方法が挙げられる。塗布された有機化合物溶液は、溶液中の溶媒(例えば水)が蒸発することで、有機防錆処理層となる。なお、Siを含む有機化合物がシランカップリング剤である場合、50~180℃で加熱乾燥すると、シランカップリング剤と銅箔の反応が促進される点で好適である。
なお、上記のような防錆処理層は、その厚みが非常に薄いため、表面処理銅箔の表面形状に影響を与えるものではない。そのため、表面処理銅箔の表面形状は、防錆処理前の形状、例えば上記平坦化処理後の面(A)の形状で実質的に決定される。
〔面(B)に対応する面への処理〕
面(B)に対応する銅箔基体表面には、防錆処理を施すことが好ましく、必要に応じて、防錆処理の前に粗化処理又は平坦化処理を施してもよい。
防錆処理及び平坦化処理は、面(A)に対応する面への処理において例示した条件で行うことができる。
また、粗化処理は、以下に好適な処理条件を例示するが、下記条件は好ましい一例であり、本発明の効果を妨げない範囲で、必要に応じて添加剤の種類や量、電解条件を適宜変更、調整することができる。また、粗化処理を行う場合は、〔B1〕粗化処理及び〔B2〕防錆処理の順に行うことが好ましい。
〔B1〕粗化処理
粗化処理として、面(B)に対応する銅箔基体表面に対し、ロール・ツー・ロール方式で、粗化めっき処理及び固定めっき処理の2段階の電気めっき処理を行い、粗化処理層を形成することが好ましい。粗化めっき処理及び固定めっき処理の好適な条件を以下に示す。なお、下記条件を満たすことで、面(B)の表面形状を上記のような好適な形状に制御することができる。
・粗化めっき処理
下記の硫酸銅水溶液を用い、下記の条件で電気めっき処理を行うことが好ましい。
<電解液組成(硫酸銅水溶液)>
硫酸銅五水和物 :銅(原子)換算で、40~80g/L
硫酸 :80~200g/L
<電解条件>
液温 :15~35℃
電流密度 :5~90A/dm
処理時間 :0.5~50秒
電荷密度 :10~500C/dm
処理速度 :8~20m/分
・固定めっき処理
下記の硫酸銅水溶液を用い、下記の条件で電気めっき処理を行うことが好ましい。
<電解液組成(硫酸銅水溶液)>
硫酸銅五水和物 :銅(原子)換算で、70~150g/L
硫酸 :100~200g/L
<電解条件>
液温 :40~60℃
電流密度 :1~10A/dm
処理時間 :2~20秒
電荷密度 :2~100C/dm
処理速度 :8~20m/分
〔B2〕防錆処理
防錆処理は、面(A)に対応する面への処理において例示した条件で行うことができる。
具体的には、上記粗化処理後の面(B)に、Ni、Zn、Crの順に金属めっきを施して金属防錆処理層を形成した後、更にSiを含む有機化合物により有機防錆処理層を形成することが好ましい。
[銅箔ロール]
本発明の表面処理銅箔は、ロール状に製造し、巻き付けられて保存される場合に、特に好適である。
本発明の表面処理銅箔からなる銅箔ロールは、上記面(A)を外側にして、上記面(A)と上記面(B)とが接する状態で巻かれてなる。
本発明の銅箔ロールは、表面処理銅箔をロール状に保存することにより、保存面積を低減できると共に、ロールの内側では銅箔表面に対する外気の影響を最小限にできるため、銅箔の長期保存に好適である。
また、従来の銅箔ロールでは、銅箔の表面と裏面とが対向するように配置された際に、裏面の状態によっては、表面に擦れを生じさせることがあった。その結果、表面に金属防錆処理や有機防錆処理が施されていても、裏面の接触により、防錆処理層が削られて銅が露出し、保存中に酸化が進行して、銅箔表面に変色が生じることがあった。
しかし、本発明の銅箔ロールは、特に上記面(B)が上記要件(III)及び(IV)を満たすことで、上記面(B)から上記面(A)への擦れを低減でき、上記面(A)への擦れムラに起因した変色を防ぐことができる。
[用途]
本発明の表面処理銅箔は、銅張積層板の製造、更にはプリント配線板の製造に好適に用いられる。
このような本発明の表面処理銅箔を含む銅張積層板は、特に高周波帯域での伝送特性に優れるプリント配線板の製造に好適に用いられ、優れた効果を発揮する。
更に、本発明の表面処理銅箔を含むプリント配線板は、高周波帯域(特に1~100GHzの高周波帯域)で使用される高周波帯域用プリント配線板として使用される場合に好適である。
本発明の表面処理銅箔を含む銅張積層板は、公知の方法により形成することができる。具体的には、銅張積層板は、通常、表面処理銅箔と樹脂基材(絶縁基板)とを、表面処理銅箔の粗化面(貼着面)と樹脂基材とが向かい合うように、積層貼着することにより製造されるのが一般的である。特に、本発明の表面処理銅箔を用いる場合は、銅張積層板において、上記面(B)が、樹脂基材との貼り付け面であることが好ましい。これにより樹脂基材との密着性が良好となる。また、この場合、上記面(A)がレジスト面となるため、伝送特性を向上できる。
近年、5Gや、beyond5Gの到来に伴い、銅箔に対してより優れた伝送特性が求められている。
これまで、銅箔の伝送特性の改善に関しては、銅箔の樹脂基材との貼り付け面に対し、表面に形成する粗化粒子の大きさを小さくするアプローチが主流であった。しかし、上記のような伝送特性の更なる向上の要求に対しては、このようなアプローチだけでは限界があり、伝送特性の更なる向上に有効な方策が求められていた。
そこで本発明者等は、検討を重ねた結果、銅箔の樹脂基材との貼り付け面だけでなく、レジスト面についてもその表面形状を工夫することで、伝送特性が向上し得ることを見出した。具体的には、本発明の表面処理銅箔を用いることにより、伝送特性を向上できることを見出した。
すなわち、本発明の表面処理銅箔は、面(A)において、下記要件(I)及び(II)を満たすことを特徴とするものであり、該面(A)をレジスト面とすることにより、伝送特性を向上できることを見出した。
・要件(I):前記表面処理銅箔の表面において、JIS Z 8741:1997に準拠して測定したTDの75度鏡面光沢度GsTD(75°)に対するMDの75度鏡面光沢度GsMD(75°)の鏡面光沢度比R(75°)[GsMD(75°)/GsTD(75°)]が0.90以上1.60以下である。
・要件(II):前記表面処理銅箔の表面において、レーザー顕微鏡で測定した展開面積比(Sdr)が3.00%以下である。
なお、樹脂基材としては、例えば、フレキシブル樹脂基板又はリジット樹脂基板等が挙げられるが、本発明の表面処理銅箔は、高周波帯域での伝送特性及び高い密着性が要求されるリジット樹脂基板との組み合わせにおいて特に好適である。
また、プリント配線板用銅張積層板を製造する場合には、シランカップリング剤層を有する表面処理銅箔と、樹脂基材とを加熱プレスによって貼り合わせることにより製造すればよい。なお、樹脂基材上にシランカップリング剤を塗布し、シランカップリング剤が塗布された樹脂基材と、最表面に防錆処理層を有する表面処理銅箔とを加熱プレスによって貼り合わせることにより作製されたプリント配線板用銅張積層板も、上記シランカップリング剤層を有する表面処理銅箔を用いた場合と同等の効果を有する。
また、本発明の表面処理銅箔を含むプリント配線板は、公知の方法により形成することができる。具体的には、上記プリント配線板用銅張積層板を用いて形成すればよい。そのようなプリント配線板は、上記プリント配線板用銅張積層板を備えることが好ましい。
また、本発明の表面処理銅箔は、リチウムイオン二次電池等の負極集電体としても好適に用いることができる。
本発明の表面処理銅箔を含む負極集電体は、公知の方法により形成することができる。具体的には、銅箔の表面に、負極活物質層としてカーボン粒子等を塗布し、乾燥し、更にプレスすることで、形成される。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の一例に過ぎない。本発明は、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含み、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
以下に、本発明を実施例に基づき更に詳細に説明するが、以下は本発明の一例である。
(製造例1:銅箔基体の準備)
銅箔基体として、下記カソード及びアノードを用い、下記組成の硫酸銅電解液を使用して、下記電解条件により、厚さ18μmである、ロール状の電解銅箔(両面光沢箔)を作製した。
<カソード及びアノード>
カソード :#1000~#2500のバフ研磨により、表面の粗さを調整されたチタン製の回転ドラム
アノード :寸法安定性陽極DSA(登録商標)
<電解液組成>
硫酸銅五水和物 :銅(原子)換算で80g/L
硫酸 :70g/L
塩素濃度 :25mg/L
(添加剤)
・3-メルカプト-1-プロパンスルホン酸ナトリウム :2mg/L
・ヒドロキシエチルセルロース :10mg/L
・低分子量膠(分子量3000) :50mg/L
<電解条件>
液温 :55℃
電流密度 :45A/dm
(製造例2:銅箔基体の準備)
銅箔基体として、無酸素銅に各種の微量元素を添加したインゴットを圧延機で繰り返し圧延し、厚さ18μmである、ロール状の圧延銅箔(両面光沢箔)を作製した。
(比較製造例1:銅箔基体の準備)
銅箔基体として、下記カソード及びアノードを用い、下記組成の硫酸銅電解液を使用して、下記電解条件により、厚さ70μmである、ロール状の電解銅箔(両面光沢箔)を作製した。
<カソード及びアノード>
カソード :#2000のバフ研磨により、表面の粗さを調整されたチタン製の回転ドラム
アノード :寸法安定性陽極DSA(登録商標)
<電解液組成>
硫酸銅五水和物 :銅(原子)換算で80g/L
硫酸 :140g/L
塩素濃度 :25mg/L
(添加剤)
・ビス-3-スルホプロピルジスルファイド2ナトリウム(SPS) :5mg/L
・DDAC重合体(センカ株式会社製、ユニセンスFPA100L) :30mg/L
<電解条件>
液温 :50℃
電流密度 :60A/dm
(実施例1)
実施例1では、製造例1で作製した電解銅箔を銅箔基体として用い、該銅箔基体に対して以下の処理を行い、表面処理銅箔を得た。以下詳しく説明する。
〔面(A)に対応する面への処理〕
まず、銅箔基体である製造例1で作製した電解銅箔のドラム面を面(A)として、該面(A)に対し、下記の条件で〔A1〕平坦化処理及び〔A2〕防錆処理をこの順に施した。
〔A1〕平坦化処理
平坦化処理として、銅箔基体の面(A)に対し、下記の電解液組成を有するピロリン酸銅水溶液を用い、下記の条件で直流アノード溶解を行った。
<電解液組成(ピロリン酸銅水溶液)>
ピロリン酸銅三水和物 :100g/L
ピロリン酸カリウム :350g/L
アンモニア :0.75g/L
エチルキサントゲン酸カリウム :20mg/L
<カソード及びアノード>
カソード :無酸素銅
アノード :製造例1で作製した電解銅箔のドラム面
<電解条件>
電解液の液温、アノード電流密度、溶解時間及び電荷密度を表1に記載の通りとした。
〔A2〕防錆処理
防錆処理として、上記〔A1〕平坦化処理後の面(A)に対し、下記の条件で有機防錆処理を施した。
・有機防錆処理
上記〔A1〕平坦化処理後の面(A)に、濃度2質量%のN-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン水溶液を塗布し、100℃で乾燥させ、有機防錆処理層を形成した。
〔面(B)に対応する面への処理〕
次に、上記面(A)の反対面である面(B)として、製造例1で作製した電解銅箔の非ドラム面に対し、下記の条件で〔B1〕粗化処理及び〔B2〕防錆処理を、この順に施した。
〔B1〕粗化処理
粗化処理として、銅箔基体の面(B)に対し、ロール・ツー・ロール方式で、粗化めっき処理及び固定めっき処理の2段階の電気めっき処理を行い、粗化処理層を形成した。粗化めっき処理及び固定めっき処理は、以下の条件で行った。
・粗化めっき処理
下記の硫酸銅水溶液を用い、下記の条件で電気めっき処理を行った。
<電解液組成>
硫酸銅五水和物 :銅(原子)換算で60g/L
硫酸 :100g/L
<電解条件>
電流密度、処理時間及び電荷密度を表1に記載の通りとした。その他の条件は以下の通りである。
液温 :30℃
処理速度 :11m/分
・固定めっき処理
下記の硫酸銅水溶液を用い、下記の条件で電気めっき処理を行った。
<電解液組成>
硫酸銅五水和物 :銅(原子)換算で100g/L
硫酸 :150g/L
<電解条件>
液温 :50℃
電流密度 :5A/dm
処理時間 :10秒
電荷密度 :50C/dm
処理速度 :11m/分
〔B2〕防錆処理
防錆処理として、上記〔B1〕粗化処理後の面(B)に対し、下記の条件で、金属防錆処理及び有機防錆処理を、この順に施した。
・金属防錆処理
上記〔B1〕粗化処理後の面(B)に、下記の条件で、Ni、Zn、Crの順に金属めっきを施して、金属防錆処理層を形成した。
<Niめっき条件>
Ni :40g/L
BO :5g/L
液温 :20℃
pH :3.6
電流密度 :0.2A/dm
処理時間 :10秒
<Znめっき条件>
Zn :2.5g/L
NaOH :40g/L
液温 :20℃
電流密度 :0.3A/dm
処理時間 :5秒
<Crめっき条件>
Cr :5g/L
液温 :30℃
pH :2.2
電流密度 :5A/dm
処理時間 :5秒
・有機防錆処理
上記にて形成した金属防錆処理層(特に、最表面のCrめっき層)の上に、濃度0.2質量%の3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン水溶液を塗布し、100℃で乾燥させ、有機防錆処理層を形成した。
(実施例2)
実施例2は、面(B)に対して〔B1〕粗化処理を行わなかった以外は、表1に記載の条件の下、実施例1と同様の方法で、表面処理銅箔を得た。
(実施例3)
実施例3は、銅箔基体である製造例1で作製した電解銅箔の非ドラム面を面(A)とし、ドラム面を面(B)とした以外は、表1に記載の条件の下、実施例1と同様の方法で表面処理銅箔を得た。
(実施例4)
実施例4は、面(A)に対しては〔A2〕防錆処理として、下記の条件で、金属防錆処理及び有機防錆処理を、この順に行い、面(B)に対しては〔B1〕粗化処理を行わなかった以外は、表1に記載の条件の下、実施例3と同様の方法で表面処理銅箔を得た。
・金属防錆処理
上記〔A1〕平坦化処理後の面(A)に、下記の条件で、Zn、Crの順に金属めっきを施して、金属防錆処理層を形成した。
<Znめっき条件>
電流密度以外は、上記〔B2〕防錆処理におけるZnめっき条件と同じ。なお、電流密度は表1に記載の条件とした。
<Crめっき条件>
電流密度以外は、上記〔B2〕防錆処理におけるCrめっき条件と同じ。なお、電流密度は表1に記載の条件とした。
<有機防錆処理>
上記にて形成した金属防錆処理層(特に、最表面のCrめっき層)の上に、濃度2質量%のN-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン水溶液を塗布し、100℃で乾燥させ、有機防錆処理層を形成した。
(実施例5~13)
実施例5~13は、面(A)に対して、〔A2〕防錆処理として、下記の条件で金属防錆処理のみを行った以外は、表1に記載の条件の下、実施例1と同様の方法で表面処理銅箔を得た。
・金属防錆処理
上記〔A1〕平坦化処理後の面(A)に、下記条件で、Zn及び/又はCrめっきを施して、金属防錆処理層を形成した。
<Znめっき条件>
電流密度以外は、上記〔B2〕防錆処理におけるZnめっき条件と同じ。なお、電流密度は表1に記載の条件とした。
<Crめっき条件>
電流密度以外は、上記〔B2〕防錆処理におけるCrめっき条件と同じ。なお、電流密度は表1に記載の条件とした。
(実施例14)
実施例14は、銅箔基体として製造例2で作製した圧延銅箔を用い、該圧延銅箔の一方の面を面(A)とし、他方の面を面(B)とした以外は、表1に記載の条件の下、実施例8と同様の方法で表面処理銅箔を得た。
(比較例1)
比較例1は、銅箔基体として比較製造例1で作製した電解銅箔を用い、該電解銅箔の非ドラム面を面(A)とし、ドラム面を面(B)とし、面(A)に対しては〔A1〕平坦化処理を行わず、面(B)に対しては〔B1〕粗化処理を行わなかった以外は、表1に記載の条件の下、実施例8と同様の方法で表面処理銅箔を得た。
(比較例2)
比較例2は、銅箔基体として製造例1で作製した電解銅箔を用い、該電解銅箔の非ドラム面を面(A)とし、ドラム面を面(B)とし、面(A)に対しては〔A1〕平坦化処理を行わずに、下記の条件で電解研磨を行い、面(B)に対しては〔B1〕粗化処理を行わなかった以外は、表1に記載の条件の下、実施例8と同様の方法で表面処理銅箔を得た。
・電解研磨
銅箔基体の面(A)に対し、下記の電解液組成を有するリン酸-硫酸水溶液を用い、下記の条件で電解研磨を行った。
<リン酸-硫酸水溶液の組成>
リン酸 :67質量%
硫酸 :10質量%
水 :23質量%
<電解研磨条件>
定電圧 :10V/cm
処理時間 :60秒
(比較例3)
比較例3は、面(A)に対しては上記〔A1〕平坦化処理において、下記の電解液組成を有するピロリン酸銅水溶液を用い、面(B)に対しては〔B1〕粗化処理を行わなかった以外は、表1に記載の条件の下、実施例8と同様の方法で表面処理銅箔を得た。
<電解液組成(ピロリン酸銅水溶液)>
ピロリン酸銅三水和物 :80g/L
ピロリン酸カリウム :300g/L
アンモニア :0.25g/L
(比較例4及び5)
比較例4及び5は、表1に記載の条件の下、実施例1と同様の方法で、表面処理銅箔を得た。
(比較例6)
比較例6は、表1に記載の条件の下、実施例8と同様の方法で、表面処理銅箔を得た。
(評価)
上記実施例及び比較例に係る表面処理銅箔について、下記に示す特性評価を行った。各特性の評価条件は下記の通りであり、特に断らない限り、各測定は室温(25℃±2℃)にて行った。結果を表2に示す。
[鏡面光沢度]
表面処理銅箔の面(A)及び面(B)について、光沢度計(日本電色工業株式会社製、VG7000)を使用し、JIS Z 8741:1997に基づき、TDの75度鏡面光沢度Gs(75°)及びMDの75度鏡面光沢度Gs(75°)をそれぞれ測定した。なお、測定は、表面処理銅箔の長手方向(搬送方向、MD)及び長手方向に対して直交方向(TD)に、受光角75°で、各5回実施した。各方向毎に、測定値(N=5)を平均して、各平均値をそれぞれの75度鏡面光沢度Gs(75°)とした。更に75度鏡面光沢度Gs(75°)から、各TDの75度鏡面光沢度GsTD(75°)に対するMDの75度鏡面光沢度GsMD(75°)の鏡面光沢度比R(75°)[GsMD(75°)/GsTD(75°)]を算出した。
また、上記75度鏡面光沢度Gs(75°)の場合と同様の方法で、表面処理銅箔の面(A)について、各方向毎に60度鏡面光沢度Gs(60°)を測定し、TDの60度鏡面光沢度GsTD(60°)に対するMDの60度鏡面光沢度GsMD(60°)の鏡面光沢度比R(60°)[GsMD(60°)/GsTD(60°)]を算出した。
[展開面積比(Sdr)]
表面処理銅箔の面(A)及び面(B)について、共焦点レーザー顕微鏡(株式会社キーエンス製、VK-X1050及びVK-X1000)を使用し、ISO25178に従って、展開面積比(Sdr)を測定した。測定は、それぞれ任意の5点で実施し、測定値(N=5)を平均して、該平均値をそれぞれの面の展開面積比(Sdr)とした。
なお、共焦点レーザー顕微鏡の対物レンズ倍率は100倍、スキャンモードはレーザーコンフォーカル、測定サイズは2048×1536、測定品質は高精細、ピッチは0.08μmとした。
また、Sdrの演算は、以下に示すフィルター処理及び演算条件で行った。
画像処理 :平滑化処理(3×3、メディアン)
Sフィルター :無し
F-operation :平面傾き補正
Lフィルター :0.025μm(ガウシアン)
演算対象面積 :100μm×100μm
[Zn、Cr及びSi付着量]
表面処理銅箔の面(A)について、走査型蛍光X線分析装置(株式会社リガク製、ZSX Primus IV)を使用し、蛍光X線分析法で分析することにより、Zn、Cr及びSi付着量をそれぞれ測定した。なお、各原子の量は、既知の標準試料を用いて得た検量線を使って定量した。
[面(A)における変色の評価]
面(A)における変色の評価として、以下の変色試験を行い、以下の評価基準で評価した。
(変色試験)
変色試験は、表面処理銅箔の面(A)を外側にして、面(A)と面(B)とが接する状態で巻かれてなる、銅箔ロールを用いて、以下の条件で行った。
(1)常態保存
温度20℃±2℃、湿度3%RH以下に維持したデシケータに、上記銅箔ロールを保存し、1か月、3か月、12か月ごとに、銅箔を1mの大きさで3枚ずつ切断して、評価用サンプルを得た。
(2)高湿保存
上記銅箔ロールを、温度20℃±2℃、湿度50%RH±5%RHに維持した恒温恒湿槽に保存し、1か月、3か月、12か月ごとに、銅箔を1mの大きさで3枚ずつ切断して、評価用サンプルを得た。
(観察)
上記で得たそれぞれの評価用サンプルに対し、以下の条件で、面(A)における変色の有無を評価した。
<1>まず、上記で得た評価用サンプル3枚の全てについて面(A)をそのままの状態で観察し、面(A)における変色の有無を確認した。ここで、3枚の評価用サンプルのいずれか少なくとも1枚に変色が確認されたものについては、「C(不可)」と評価した。
<2>上記<1>で3枚の評価用サンプルのいずれにも変色が確認されなかった表面処理銅箔について、更に以下の試験を行い、面(A)における表面特性を更に評価(S~B)した。
<2-1>まず、上記で得た評価用サンプル(1m)を0.3mの大きさで切断し、試験片5枚を切り出した。次に、該5枚の試験片を、高度加速寿命試験装置(Espec社製、EHS-222(M))内で、濡れ飽和制御で、温度110℃±2℃、湿度100%RHの環境下で、24時間保持した。その後、5枚の試験片全てについて面(A)を観察し、変色の有無を確認した。ここで、5枚の試験片いずれか少なくとも1枚に変色が確認されたものについては、「B(可)」と評価し、5枚の試験片のいずれにも変色が確認されなかったものについては下記<2-2>の評価を行った。
<2-2>上記で得た評価用サンプル(1m)を0.3mの大きさで切断し、試験片5枚を切り出した。次に、該5枚の試験片を、高度加速寿命試験装置(同上)内で、濡れ飽和制御で、温度110℃±2℃、湿度100%RHの環境下で、96時間保持した。その後、5枚の試験片全てについて面(A)を観察し、変色の有無を確認した。ここで、5枚の試験片いずれか少なくとも1枚に変色が確認されたものについては、「A(良)」と評価し、5枚の試験片のいずれにも変色が確認されなかったものについては「S(優)」と評価した。
(評価基準)
S(優) :上記<1>、<2-1>及び<2-2>のいずれでも変色無し
A(良) :上記<1>及び<2-1>のいずれでも変色なし、<2-2>で変色あり
B(可) :上記<1>で変色なし、上記<2-1>で変色あり
C(不可) :上記<1>で変色あり
(総合評価)
更に、上記評価結果をまとめて、以下の基準で、変色の抑制効果を総合評価した。
<合格>
S :全ての評価でS
A+ :高湿保存12か月の評価がA、その他の評価がS
A :常態保存12か月及び高湿保存12か月の評価が共にA、その他の評価がA又はS
B++ :高湿保存12か月の評価がB、その他の評価がA又はS(少なくとも1つSが存在する)
B+ :高湿保存12か月の評価がB、その他の評価がA
B :高湿保存3か月以上の評価がB、その他の評価がA又はS
C+ :常態保存12か月及び高湿保存3か月以上の評価がいずれもB、その他の評価がA又はS
C :常態保存3か月以上及び高湿保存3か月以上の評価がいずれもB、その他の評価がA又はS
<不合格>
D :Cの評価あり
[伝送特性の評価]
伝送特性の評価として、高周波帯域での伝送損失を測定した。詳細を以下に説明する。
ポリフェニレンエーテル系低誘電率樹脂基材(メグトロン7、パナソニック株式会社製、厚さ60μm)と表面処理銅箔を張り合わせて伝送特性測定用の基板を作製した。該基板は構造をストリップライン構造とし、導体長さを400mm、導体厚さを18μm、導体幅を0.14mm、全体の厚さを0.39mmとし、特性インピーダンスが50Ωになる様に設計した。
また、表面処理銅箔と樹脂基材との張り合わせは、表面処理銅箔の面(B)が樹脂基材と向かい合うように銅箔を重ね、面圧3.5MPa、200℃の条件で2時間プレスすることにより実施した。
上記伝送特性測定用の基板について、ベクトルネットワークアナライザE8364C(KEYSIGHTTECHNOLOGIES社)を用いて、40GHzにおける伝送損失を測定し、導体長さからdB/m単位で算出した。
伝送損失の測定値は、絶対値が小さいほど伝送損失が少なく、伝送特性が良好であることを意味する。得られた測定値を指標にして、下記評価基準に基づき伝送特性を評価した。
S :40GHzにおける伝送損失の絶対値が44.0dB未満
A :40GHzにおける伝送損失の絶対値が44.0dB以上50.0dB以下
B :40GHzにおける伝送損失の絶対値が50.0dB超
表2に示されるように、面(A)において、鏡面光沢度比R(75°)[GsMD(75°)/GsTD(75°)]が0.90以上1.60以下(要件(I))、及び展開面積比(Sdr)が3.00%以下(要件(II))を満たす表面処理銅箔は、銅箔ロールとして長期保存しても、保存環境の湿度によらず、表面における変色を効果的に抑制できることが確認された(実施例1~14)。
一方、上記要件(I)及び要件(II)の少なくとも一方を満たさない表面処理銅箔は、常態保存では12か月で変色が発生しており、高湿保存では3か月で変色が発生していることが確認された(比較例1~6)。
また、本発明の表面処理銅箔をプリント配線板用途に用いた場合、伝送特性に優れたプリント配線板が得られることが確認された。特に、面(B)における展開面積比(Sdr)が120%以下である表面処理銅箔を用いた場合には、伝送特性を更に向上できることが確認された(実施例1~4、6、9及び12)。
1 カソード
2 不溶性アノード
3 硫酸銅電解液
4 非ドラム面(M面)
5 ドラム面(S面)
6 電解銅箔

Claims (13)

  1. 一方の面(A)と、他方の面(B)とを有する表面処理銅箔であって、
    前記表面処理は、防錆処理を含み、
    前記面(A)が、防錆処理層を含み、下記要件(I)及び(II)を満たす、表面処理銅箔。
    ・要件(I):前記表面処理銅箔の表面において、JIS Z 8741:1997に準拠して測定したTDの75度鏡面光沢度GsTD(75°)に対するMDの75度鏡面光沢度GsMD(75°)の鏡面光沢度比R(75°)[GsMD(75°)/GsTD(75°)]が0.90以上1.60以下である。
    ・要件(II):前記表面処理銅箔の表面において、レーザー顕微鏡で測定した展開面積比(Sdr)が3.00%以下である。
  2. 更に、前記面(B)が、防錆処理層を含み、下記要件(III)及び(IV)を満たす、請求項1に記載の表面処理銅箔。
    ・要件(III):前記表面処理銅箔の表面において、JIS Z 8741:1997に準拠して測定したTDの75度鏡面光沢度GsTD(75°)に対するMDの75度鏡面光沢度GsMD(75°)の鏡面光沢度比R(75°)[GsMD(75°)/GsTD(75°)]が0.60以上1.50以下である。
    ・要件(IV):前記表面処理銅箔の表面において、レーザー顕微鏡で測定した展開面積比(Sdr)が300%以下である。
  3. 前記要件(I)において、前記鏡面光沢度比R(75°)[GsMD(75°)/GsTD(75°)]が0.95以上1.50以下である、請求項1又は2に記載の表面処理銅箔。
  4. 前記面(A)において、Zn付着量が0.001mg/dm以上0.800mg/dm以下又はCr付着量が0.001mg/dm以上0.500mg/dm以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の表面処理銅箔。
  5. 前記面(A)において、Si付着量が0.001mg/dm以上0.500mg/dm以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の表面処理銅箔。
  6. 前記要件(IV)において、前記展開面積比(Sdr)が120%以下である、請求項2~5のいずれか1項に記載の表面処理銅箔。
  7. 前記要件(IV)において、前記展開面積比(Sdr)が3.00%以下である、請求項6項に記載の表面処理銅箔。
  8. 電解銅箔である、請求項1~7のいずれか1項に記載の表面処理銅箔。
  9. 前記面(A)が、回転ドラム状カソードからの剥離面に由来する面である、請求項8に記載の表面処理銅箔。
  10. 請求項1~9のいずれか1項に記載の表面処理銅箔からなる銅箔ロールであって、
    前記面(A)を外側にして、前記面(A)と前記面(B)とが接する状態で巻かれてなる、銅箔ロール。
  11. 請求項1~9のいずれか1項に記載の表面処理銅箔を含む、銅張積層板。
  12. 前記面(B)が、樹脂基材との貼り付け面である、請求項11に記載の銅張積層板。
  13. 請求項1~9のいずれか1項に記載の表面処理銅箔を含む、プリント配線板。
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