JP2011014647A - プリント配線板用銅箔 - Google Patents

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Abstract

【課題】絶縁基板との接着性及びエッチング性の両方に優れ、ファインピッチ化に適し、製造効率の良好なプリント配線板用銅箔を提供する。
【解決手段】銅箔基材と、該銅箔基材表面の少なくとも一部を被覆する被覆層とを備えたプリント配線板用銅箔であって、該被覆層は、銅箔基材表面から順に積層した、NiとZnとを含む合金層及びCr層で構成され、該Cr層にはCrが18〜180μg/dm2の被覆量で、該合金層にはNiが15〜1000μg/dm2、Znが5〜750μg/dm2の被覆量でそれぞれ存在するプリント配線板用銅箔
【選択図】なし

Description

本発明は、プリント配線板用の銅箔に関し、特にフレキシブルプリント配線板用の銅箔に関する。
プリント配線板はここ半世紀に亘って大きな進展を遂げ、今日ではほぼすべての電子機器に使用されるまでに至っている。近年の電子機器の小型化、高性能化ニーズの増大に伴い搭載部品の高密度実装化や信号の高周波化が進展し、プリント配線板に対して導体パターンの微細化(ファインピッチ化)や高周波対応等が求められている。
プリント配線板は銅箔に絶縁基板を接着させて銅張積層板とした後に、エッチングにより銅箔面に導体パターンを形成するという工程を経て製造されるのが一般的である。そのため、プリント配線板用の銅箔には絶縁基板との接着性やエッチング性が要求される。
絶縁基板との接着性を向上させる技術として、粗化処理と呼ばれる銅箔表面に凹凸を形成する表面処理を施すことが一般に行われている。例えば電解銅箔のM面(粗面)に硫酸銅酸性めっき浴を用いて、樹枝状又は小球状に銅を多数電着せしめて微細な凹凸を形成し、投錨効果によって接着性を改善させる方法がある。粗化処理後には接着特性を更に向上させるためにクロメート処理やシランカップリング剤による処理等が一般的に行われている。
銅箔表面に錫、クロム、銅、鉄、コバルト、亜鉛、ニッケル等の金属層又は合金層を形成する方法も知られている。
しかしながら、粗化処理により接着性を向上させる方法ではファインライン形成には不利である。すなわち、ファインピッチ化により導体間隔が狭くなると、粗化処理部がエッチングによる回路形成後に絶縁基板に残留し、絶縁劣化を起こすおそれがある。これを防止するために粗化表面すべてをエッチングしようとすると長いエッチング時間を必要とし、所定の配線幅が維持できなくなる。
銅箔表面に、例えばNi層やNi−Cr合金層を設ける方法では、絶縁基板との接着性という基本特性において改善の余地が大きい。銅箔表面に、例えばCr層を設ける方法では比較的高い接着性が得られるが、エッチング性に劣り、導体パターン形成のためのエッチング処理を行った後に、Crが絶縁基板面に残る「エッチング残り」が生じやすいという問題がある。
そこで、近年、銅箔表面に第1の金属層を形成し、当該第1の金属層上に、第2の金属層として、絶縁基板との接着性が良好なCr層をエッチング性が良好な程度に薄く形成することで、絶縁基板との良好な接着性及び良好なエッチング性を同時に得ようとする技術が研究・開発されている。
このような技術として、例えば、特許文献1には、ポリイミド系フレキシブル銅張積層板用表面処理銅箔において、Ni量にして0.03〜3.0mg/dm2含有するNi層又は/及びNi合金層の上にCr量にして0.03〜1.0mg/dm2含有するCr層又は/及びCr合金層を表面処理層として設けることによって、ポリイミド系樹脂層との間で高いピール強度を有し、絶縁信頼性、配線パターン形成時のエッチング特性、屈曲特性の優れたポリイミド系フレキシブル銅張積層板用銅箔が得られると記載されている。
特開2006−222185号公報
しかしながら、特許文献1に記載されたような、銅箔表面の被覆層中にNiが多く存在するものは、絶縁基板との密着性及びエッチング性が比較的高いが、まだ改善の余地が残っている。また、Niを多く含む被覆層をスパッタリングにより形成する場合、Niの磁性の影響により該スパッタリングレートが下がり、製造効率が低下するという問題もある。
そこで、本発明は、絶縁基板との接着性及びエッチング性の両方に優れ、製造効率の良好なプリント配線板用銅箔を提供することを課題とする。また、本発明はそのようなプリント配線板用銅箔の製造方法を提供することを別の課題とする。
従来、銅箔基材表面に順にNi層及びCr層を極薄の厚さで設けることで、絶縁基板との良好な接着性を得つつ、同時に良好なエッチング性を得ることができる、という理解があった。これに対し、本発明者らは、さらに絶縁基板との接着性及びエッチング性が高いプリント配線板用銅箔を提供すべく鋭意検討した結果、銅箔基材表面に順にNi−Zn合金層又はCu−Ni−Zn合金層、及び、Cr層をナノメートルオーダーの極薄の厚さで均一に設けた場合には、より優れた絶縁基板との密着性及び優れたエッチング性を有する銅箔の被覆層が得られることを見出した。
また、その場合、長期間の使用にも耐えられる耐熱性、及び、製造工程にける銅箔表面処理から銅張積層板の形成までの間に腐食ガスや湿気によって表面処理された金属が反応することで品質が低下することを防ぐための耐食性が良好となることも見出した。ここで、エッチング性と耐食性とは相反する性能であるが、本発明によれば、両者のバランスが良好となることも見出した。
さらに、Ni−Zn合金層又はCu−Ni−Zn合金層中の各金属元素の成分を調節することで、製造時のスパッタリングレートが上がり、製造効率が良好となることも見出した。
以上の知見を基礎として完成した本発明は一側面において、銅箔基材と、該銅箔基材表面の少なくとも一部を被覆する被覆層とを備えたプリント配線板用銅箔であって、該被覆層は、銅箔基材表面から順に積層した、NiとZnとを含む合金層及びCr層で構成され、該Cr層にはCrが18〜180μg/dm2の被覆量で、該合金層にはNiが15〜1000μg/dm2、Znが5〜750μg/dm2の被覆量でそれぞれ存在するプリント配線板用銅箔である。
本発明に係るプリント配線板用銅箔の一実施形態においては、前記合金層は、さらにCuを含む。
本発明に係るプリント配線板用銅箔の別の一実施形態においては、前記Cr層にはCrが30〜145μg/dm2の被覆量で、前記合金層にはNiが35〜400μg/dm2、Znが15〜80μg/dm2の被覆量でそれぞれ存在する。
本発明に係るプリント配線板用銅箔の更に別の一実施形態においては、前記Cr層にはCrが36〜75μg/dm2の被覆量で、前記被覆層にはCuが40〜250μg/dm2の被覆量でそれぞれ存在する。
本発明に係るプリント配線板用銅箔の更に別の一実施形態においては、前記被覆層の断面を透過型電子顕微鏡によって観察すると最大厚さが0.3〜6.0nmであり、最小厚さが最大厚さの80%以上である。
本発明に係るプリント配線板用銅箔の更に別の一実施形態においては、XPSによる表面からの深さ方向分析から得られた深さ方向(x:単位nm)のクロムの原子濃度(%)をf(x)とし、ニッケルの原子濃度(%)をg(x)とし、亜鉛の原子濃度(%)をh(x)とし、銅の原子濃度(%)をi(x)とし、酸素の原子濃度(%)をj(x)とし、炭素の原子濃度(%)をk(x)とすると、区間[0、1.0]において、∫i(x)dx/(∫f(x)dx+∫g(x)dx+∫h(x)dx+∫i(x)dx+∫j(x)dx+∫k(x)dx)が10%以下を満たす。
XPSによる表面からの深さ方向分析から得られた深さ方向(x:単位nm)の金属クロムの原子濃度(%)をf1(x)とし、酸化物クロム(クロム酸化物中のクロム)の原子濃度(%)をf2(x)とすると、区間[0、1.0]において0≦∫f1(x)dx/∫f2(x)dx≦1.0を満たし、区間[1.0、2.5]において0.1≦∫f1(x)dx/∫f2(x)dx≦1.0を満たす。
本発明に係るプリント配線板用銅箔の更に別の一実施形態においては、XPSによる表面からの深さ方向分析から得られた深さ方向(x:単位nm)の金属クロムの原子濃度(%)をf1(x)とし、酸化物クロムの原子濃度(%)をf2(x)とし、ニッケルの原子濃度(%)をg(x)とし、銅の原子濃度(%)をi(x)とし、区間[0、1.0]において各原子濃度が最大となる表層からの距離をそれぞれF1、F2、Gとすると、F2≦F1≦Gかつg(G)/i(G)≦3を満たす。
本発明に係るプリント配線板用銅箔の更に別の一実施形態においては、XPSによる表面からの深さ方向分析から得られた亜鉛とクロムの深さ方向(x:単位nm)の原子濃度(%)をそれぞれh(x)、f(x)とすると、区間[0、1.0]において0≦∫h(x)dx/∫f(x)dx≦0.5を満たす。
本発明に係るプリント配線板用銅箔の更に別の一実施形態においては、前記銅箔が、ポリイミド硬化相当の熱処理を施したときに前記規定を満たす。
本発明に係るプリント配線板用銅箔の更に別の一実施形態においては、ポリイミド硬化相当の熱処理を施したときに、XPSによる表面からの深さ方向分析から得られた亜鉛とクロムの深さ方向(x:単位nm)の原子濃度(%)をそれぞれh(x)、f(x)とすると、区間[0、1.0]において0.1≦∫h(x)dx/∫f(x)dx≦0.5を満たす。
本発明に係るプリント配線板用銅箔の更に別の一実施形態においては、前記銅箔が、ポリイミド硬化相当の熱処理を施したものである。
本発明に係るプリント配線板用銅箔の更に別の一実施形態においては、絶縁基板に被覆層を接着したプリント配線板用銅箔に対し、絶縁基板を被覆層から剥離した後の被覆層の表面を分析したとき、XPSによる表面からの深さ方向分析から得られたクロムの原子濃度(%)をf(x)とし、金属クロムの原子濃度(%)をf1(x)とし、酸化物クロムの原子濃度(%)をf2(x)とし、金属クロムの濃度が最大となる表層からの距離をFとすると、区間[0、F]において、0.1≦∫f1(x)dx/∫f2(x)dx≦1.0で、∫i(x)dx/(∫f(x)dx + ∫g(x)dx + ∫h(x)dx + ∫i(x)dx + ∫j(x)dx + ∫k(x)dx)が10%以下を満たす。
本発明に係るプリント配線板用銅箔の更に別の一実施形態においては、銅箔基材が圧延銅箔である。
本発明に係るプリント配線板用銅箔の更に別の一実施形態においては、プリント配線板がフレキシブルプリント配線板である。
本発明は更に別の一側面において、本発明に係る銅箔を備えた銅張積層板である。
本発明に係る銅張積層板の一実施形態においては、銅箔がポリイミドに接着している構造を有する。
本発明は更に別の一側面において、本発明に係る銅張積層板を材料としたプリント配線板である。
絶縁基板との接着性及びエッチング性の両方に優れ、ファインピッチ化に適し、製造効率の良好なプリント配線板用銅箔が得られる。
実施例3の銅箔(スパッタ上がり)のTEM写真(断面)である。 実施例3の銅箔(スパッタ上がり)のXPSによる各元素のデプスプロファイルである。 実施例3の銅箔(ポリイミドワニス硬化相当の熱処理後)のXPSによる各元素のデプスプロファイルである。
(銅箔基材)
本発明に用いることのできる銅箔基材の形態に特に制限はないが、典型的には圧延銅箔や電解銅箔の形態で用いることができる。一般的には、電解銅箔は硫酸銅めっき浴からチタンやステンレスのドラム上に銅を電解析出して製造され、圧延銅箔は圧延ロールによる塑性加工と熱処理を繰り返して製造される。屈曲性が要求される用途には圧延銅箔を適用することが多い。
銅箔基材の材料としてはプリント配線板の導体パターンとして通常使用されるタフピッチ銅や無酸素銅といった高純度の銅の他、例えばSn入り銅、Ag入り銅、Cr、Zr又はMg等を添加した銅合金、Ni及びSi等を添加したコルソン系銅合金のような銅合金も使用可能である。なお、本明細書において用語「銅箔」を単独で用いたときには銅合金箔も含むものとする。
本発明に用いることのできる銅箔基材の厚さについても特に制限はなく、プリント配線板用に適した厚さに適宜調節すればよい。例えば、5〜100μm程度とすることができる。但し、ファインパターン形成を目的とする場合には30μm以下、好ましくは20μm以下であり、典型的には7〜20μm程度である。
本発明に使用する銅箔基材には粗化処理をしないのが好ましい。従来は特殊めっきで表面にμmオーダーの凹凸を付けて表面粗化処理を施し、物理的なアンカー効果によって樹脂との接着性を持たせるケースが一般的であった。しかしながら一方でファインピッチや高周波電気特性は平滑な箔が良いとされ、粗化箔では不利な方向に働くからである。また、粗化処理工程が省略されるので、経済性・生産性向上の効果もある。従って、本発明で使用される箔は、特別に粗化処理をしない箔である。
(被覆層)
銅箔基材の表面の少なくとも一部は合金層及びCr層で順に被覆される。合金層は、NiとZnとを含み、又は、CuとNiとZnとを含む。以下、これらの合金層をそれぞれNi−Zn合金層、Cu−Ni−Zn合金層とよぶ。Ni−Zn合金層又はCu−Ni−Zn合金層、及び、Cr層は被覆層を構成する。被覆する箇所には特に制限は無いが、絶縁基板との接着が予定される箇所とするのが一般的である。被覆層の存在によって絶縁基板との接着性が向上する。また、本発明の被覆層におけるNi−Zn合金層又はCu−Ni−Zn合金層は、Ni単独の層よりも銅箔表面に対する接着性が良い。一般に、銅箔と絶縁基板の間の接着力は高温環境下に置かれると低下する傾向にあるが、これは銅が表面に熱拡散し、絶縁基板と反応することにより引き起こされると考えられる。本発明では、予め銅の拡散防止に優れるNi−Zn合金層又はCu−Ni−Zn合金層を銅箔基材の上に設けたことで、銅の熱拡散が防止できる。ここで、銅の拡散防止のために設けるCu−Ni−Zn合金層には、表面へ拡散させたくない銅が含まれているが、銅を合金化しているため、表面への拡散は無く、良好な接着性を有すると共に、エッチング性にも悪影響を及ぼさない。
また、Ni−Zn合金層又はCu−Ni−Zn合金層よりも絶縁基板との接着性に優れたCr層を合金層の上に設けることで更に絶縁基板との接着性を向上することができる。Cr層の厚さはNi−Zn合金層又はCu−Ni−Zn合金層の存在のおかげで薄くできるので、エッチング性への悪影響を軽減することができる。なお、本発明でいう接着性とは常態での接着性の他、高温下に置かれた後の接着性(耐熱性)及び腐食性ガス下や高湿度下に置かれた後の接着性(耐食性及び耐湿性)も指す。
本発明に係るプリント配線板用銅箔においては、被覆層は極薄で厚さが均一である。このような構成にしたことで絶縁基板との接着性が向上した理由は明らかではないが、Ni−Zn合金又はCu−Ni−Zn合金被覆の上に最表面として樹脂との接着性に非常に優れているCr単層被膜を形成したことで、イミド化時の高温熱履歴後(約350℃にて数時間程度)も高接着性を有する単層被膜構造を保持しているためと推測される。また、被覆層を極薄にするとともにNi−Zn合金又はCu−Ni−Zn合金とCrの二層構造としてCrの使用量を減らしたことにより、エッチング性が向上したと考えられる。
具体的には、本発明に係る被覆層は以下の構成を有する。
(1)Cr、Ni−Zn合金又はCu−Ni−Zn合金被覆層の同定
本発明においては、銅箔素材の表面の少なくとも一部はNi−Zn合金層又はCu−Ni−Zn合金層、及び、Cr層の順に被覆される。これら被覆層の同定はXPS、若しくはAES等表面分析装置にて表層からアルゴンスパッタし、深さ方向の化学分析を行い、夫々の検出ピークの存在によってNi−Zn合金層又はCu−Ni−Zn合金層、及び、Cr層を同定することができる。また、夫々の検出ピークの位置から被覆された順番を確認することができる。
(2)付着量
一方、これらNi−Zn合金層又はCu−Ni−Zn合金層、及び、Cr層は非常に薄いため、XPS、AESでは正確な厚さの評価が困難である。そのため、本願発明においては、Ni−Zn合金層又はCu−Ni−Zn合金層、及び、Cr層の厚さは単位面積当たりの被覆金属の重量で評価することとした。本発明に係るCr層にはCrが18〜180μg/dm2、Ni−Zn合金層又はCu−Ni−Zn合金層にはNiが15〜1000μg/dm2、Znが5〜750μg/dm2の被覆量でそれぞれ存在する。また、Cu−Ni−Zn合金層のCu被覆量は、50〜400μg/dm2である。Crが18μg/dm2未満だと十分なピール強度が得られず、Crが180μg/dm2を超えるとエッチング性が有意に低下する傾向にある。Niが15μg/dm2未満、Znが5μg/dm2未満、Cuが40μg/dm2未満だと十分なピール強度が得られず、Niが1000μg/dm2、Znが750μg/dm2、Cuが250μg/dm2をそれぞれ超えるとエッチング性が有意に低下する傾向にある。Crの被覆量は好ましくは30〜145μg/dm2、より好ましくは36〜75μg/dm2であり、Niの被覆量は好ましくは35〜400μg/dm2、Znの被覆量は好ましくは15〜80μg/dm2である。
純Ni層をスパッタリングする場合にはターゲットとして純Niを用いるが、この純Niターゲットは磁性が強く、マグネトロンスパッタリング等でスパッタリングを行うとスパッタリングレートが低くなり製造効率が悪い。これに対し、本発明に係るNi−Zn合金層又はCu−Ni−Zn合金層は、Ni以外にZn(及びCu)を含んでおり、製造時のスパッタリングレートを高めて製造効率を良好にしている。
(3)透過型電子顕微鏡(TEM)による観察
本発明に係る被覆層の断面を透過型電子顕微鏡によって観察したとき、最大厚さは0.3〜6.0nm、好ましくは0.5〜3.0nmであり、最小厚さが最大厚さの80%以上、好ましくは85%以上で、非常にばらつきの少ない被覆層である。被覆層厚さが0.3nm未満だと耐熱試験、耐湿試験において、ピール強度の劣化が大きく、厚さが6.0nmを超えると、エッチング性が低下するためである。厚さの最小値が最大値の80%以上である場合、この被覆層の厚さは、非常に安定しており、耐熱試験後も殆ど変化がない。TEMによる観察では被覆層中のNi−Zn合金層又はCu−Ni−Zn合金層、及び、Cr層の明確な境界は見出しにくく、単層のように見える(図1参照)。本発明者の検討結果によればTEM観察で見出される被覆層はCrを主体とする層と考えられ、Ni−Zn合金層又はCu−Ni−Zn合金層はその銅箔基材側に存在するとも考えられる。そこで、本発明においては、TEM観察した場合の被覆層の厚さは単層のように見える被覆層の厚さと定義する。ただし、観察箇所によっては被覆層の境界が不明瞭なところも存在し得るが、そのような箇所は厚さの測定箇所から除外する。
本発明の構成により、Cuの拡散が抑制されるため、安定した厚さを有すると考えられる。本発明の銅箔は、ポリイミドフィルムと接着し、耐熱試験(温度150℃で空気雰囲気下の高温環境下に168時間放置)を経た後に樹脂を剥離した後においても、被覆層の厚さは殆ど変化なく、最大厚さが0.3〜6.0nmであり、最小厚さにおいても最大厚さの80%以上、好ましくは85%維持されることが可能である。
(4)被覆層表面の酸化状態
まず、被覆層最表面(表面から0〜1.0nmの範囲)には内部の銅が拡散していないことが、接着強度を高める上では望ましい。従って、本発明に係るプリント配線板用銅箔では、XPSによる表面からの深さ方向分析から得られた深さ方向(x:単位nm)のクロムの原子濃度(%)をf(x)とし、ニッケルの原子濃度(%)をg(x)とし、亜鉛の原子濃度(%)をh(x)とし、銅の原子濃度(%)をi(x)とし、酸素の原子濃度(%)をj(x)とし、炭素の原子濃度(%)をk(x)とすると、区間[0、1.0]において、∫i(x)dx/(∫f(x)dx+∫g(x)dx+∫h(x)dx+∫i(x)dx+∫j(x)dx+∫k(x)dx)が10%以下を満たすことが好ましい。
また、被覆層最表面のすぐ下の深さ1.0〜2.5nmにおいては、酸素濃度が小さく、クロムが金属状態で存在していることが望ましい。クロムは酸化された状態よりも金属状態のほうが内部の銅の拡散を防ぐ能力が高く、耐熱性を向上させることができるからである。ただし、酸素を厳密に制御することに伴うコストや、最表面にはある程度酸素が存在してクロムが酸化されているほうがエッチング性がよいといった観点からは、そのすぐ下の層において完全に酸素を消滅することは現実的ではない。従って、本発明に係るプリント配線板用銅箔は、XPSによる表面からの深さ方向分析から得られた深さ方向(x:単位nm)の金属クロムの原子濃度(%)をf1(x)とし、酸化物クロムの原子濃度(%)をf2(x)とすると、区間[1.0、2.5]において0.1≦∫f1(x)dx/∫f2(x)dx≦1.0を満たすのが好ましい。
また、絶縁基板に被覆層を接着したプリント配線板用銅箔に対し、絶縁基板を被覆層から剥離した後の被覆層の表面を分析したとき、XPSによる表面からの深さ方向分析から得られたクロムの原子濃度(%)をf(x)とし、金属クロムの原子濃度(%)をf1(x)とし、酸化物クロムの原子濃度(%)をf2(x)とし、金属クロムの濃度が最大となる表層からの距離をFとすると、区間[0、F]において、0.1≦∫f1(x)dx/∫f2(x)dx≦1.0で、∫i(x)dx/(∫f(x)dx + ∫g(x)dx + ∫h(x)dx + ∫i(x)dx + ∫j(x)dx + ∫k(x)dx)が10%以下を満たすのが好ましい。
また、被覆層最表面においては、クロムは金属クロムとクロム酸化物が両方存在しているが、内部の銅の拡散を防止し、接着力を確保する観点では金属クロムの方が望ましいものの、良好なエッチング性を得る上ではクロム酸化物の方が望ましい。そこで、エッチング性と接着力の両立を図る上では、XPSによる表面からの深さ方向分析から得られた深さ方向(x:単位nm)の金属クロムの原子濃度(%)をf1(x)とし、酸化物クロムの原子濃度(%)をf2(x)とすると、区間[0、1.0]において0≦∫f1(x)dx/∫f2(x)dx≦1.0を満たすことが好ましい。また、XPSによる表面からの深さ方向分析から得られた深さ方向(x:単位nm)の金属クロムの原子濃度(%)をf1(x)とし、酸化物クロムの原子濃度(%)をf2(x)とし、ニッケルの原子濃度(%)をg(x)とし、銅の原子濃度(%)をi(x)とし、区間[0、1.0]において各原子濃度が最大となる表層からの距離をそれぞれF1、F2、Gとすると、F2≦F1≦Gかつg(G)/i(G)≦3を満たすことが好ましい。
また、上述の被覆層表面の酸化状態の規定は、銅箔がポリイミド硬化相当の熱処理を施したときにも満たすことが好ましい。
さらに、被覆層最表面において、絶縁基板との接着力に優れたクロムに加えて亜鉛が共存していると、さらに接着性が向上することを見出した。一方で接着界面の亜鉛量が過多になると、接着界面におけるクロム濃度が相対的に低下するので、接着力は劣化する。そこで、XPSによる表面からの深さ方向分析から得られた亜鉛及びクロムの深さ方向(x:単位nm)の原子濃度(%)をそれぞれh(x)、f(x)とすると、区間[0、1.0]において0≦∫h(x)dx/∫f(x)dx≦0.5を満たすことが好ましい。
また、ポリイミド硬化相当の熱処理を施したときに、XPSによる表面からの深さ方向分析から得られた亜鉛とクロムの深さ方向(x:単位nm)の原子濃度(%)をそれぞれh(x)、f(x)とすると、区間[0、1.0]において0.1≦∫h(x)dx/∫f(x)dx≦0.5を満たすことが好ましい。
クロム濃度及び酸素濃度はそれぞれ、XPSによる表面からの深さ方向分析から得られたCr2p軌道及びO1s軌道のピーク強度から算出する。また、深さ方向(x:単位nm)の距離は、SiO2換算のスパッタレートから算出した距離とする。クロム濃度はクロム酸化物濃度と金属クロム濃度の合計値であり、クロム酸化物濃度と金属クロム濃度に分離して解析することが可能である。
(本発明に係る銅箔の製法)
本発明に係るプリント配線板用銅箔は、スパッタリング法により形成することができる。すなわち、スパッタリング法によって銅箔基材表面の少なくとも一部を、厚さ0.25〜5.0nm、好ましくは0.5〜4.0nmのNi−Zn合金層又はCu−Ni−Zn合金層及び厚さ0.25〜2.5nm、好ましくは0.3〜2.0nm、より好ましくは0.5〜1.0nmのCr層で順に被覆することにより製造することができる。電気めっきでこのような極薄の被膜を積層すると、厚さにばらつきが生じ、耐熱・耐湿試験後にピール強度が低下しやすい。
ここでいう厚さとは上述したXPSやTEMによって決定される厚さではなく、スパッタリングの成膜速度から導き出される厚さである。あるスパッタリング条件下での成膜速度は、0.1μm(100nm)以上スパッタを行い、スパッタ時間とスパッタ厚さの関係から計測することができる。当該スパッタリング条件下での成膜速度が計測できたら、所望の厚さに応じてスパッタ時間を設定する。なおスパッタは、連続又はバッチ何れで行っても良く、被覆層を本発明で規定するような厚さで均一に積層することができる。スパッタリング法としては直流マグネトロンスパッタリング法が挙げられる。
(プリント配線板の製造)
本発明に係る銅箔を用いてプリント配線板(PWB)を常法に従って製造することができる。以下に、プリント配線板の製造例を示す。
まず、銅箔と絶縁基板を貼り合わせて銅張積層板を製造する。銅箔が積層される絶縁基板はプリント配線板に適用可能な特性を有するものであれば特に制限を受けないが、例えば、リジッドPWB用に紙基材フェノール樹脂、紙基材エポキシ樹脂、合成繊維布基材エポキシ樹脂、ガラス布・紙複合基材エポキシ樹脂、ガラス布・ガラス不織布複合基材エポキシ樹脂及びガラス布基材エポキシ樹脂等を使用し、FPC用にポリエステルフィルムやポリイミドフィルム等を使用する事ができる。
貼り合わせの方法は、リジッドPWB用の場合、ガラス布などの基材に樹脂を含浸させ、樹脂を半硬化状態まで硬化させたプリプレグを用意する。プリプレグと銅箔の被覆層を有する面を重ね合わせて加熱加圧させることにより行うことができる。
フレキシブルプリント配線板(FPC)用の場合、ポリイミドフィルム又はポリエステルフィルムと銅箔の被覆層を有する面をエポキシ系やアクリル系の接着剤を使って接着することができる(3層構造)。また、接着剤を使用しない方法(2層構造)としては、ポリイミドの前駆体であるポリイミドワニス(ポリアミック酸ワニス)を銅箔の被覆層を有する面に塗布し、加熱することでイミド化するキャスティング法や、ポリイミドフィルム上に熱可塑性のポリイミドを塗布し、その上に銅箔の被覆層を有する面を重ね合わせ、加熱加圧するラミネート法が挙げられる。キャスティング法においては、ポリイミドワニスを塗布する前に熱可塑性ポリイミド等のアンカーコート材を予め塗布しておくことも有効である。
本発明に係る銅箔の効果はキャスティング法を採用してFPCを製造したときに顕著に表れる。すなわち、接着剤を使用せずに銅箔と樹脂とを貼り合わせようとするときには銅箔の樹脂への接着性が特に要求されるが、本発明に係る銅箔は樹脂、とりわけポリイミドとの接着性に優れているので、キャスティング法による銅張積層板の製造に適しているといえる。
本発明に係る銅張積層板は各種のプリント配線板(PWB)に使用可能であり、特に制限されるものではないが、例えば、導体パターンの層数の観点からは片面PWB、両面PWB、多層PWB(3層以上)に適用可能であり、絶縁基板材料の種類の観点からはリジッドPWB、フレキシブルPWB(FPC)、リジッド・フレックスPWBに適用可能である。
銅張積層板からプリント配線板を製造する工程は当業者に周知の方法を用いればよく、例えばエッチングレジストを銅張積層板の銅箔面に導体パターンとしての必要部分だけに塗布し、エッチング液を銅箔面に噴射することで不要銅箔を除去して導体パターンを形成し、次いでエッチングレジストを剥離・除去して導体パターンを露出することができる。
以下、本発明の実施例を示すが、これらは本発明をより良く理解するために提供するものであり、本発明が限定されることを意図するものではない。
(例1:実施例1〜14)
銅箔基材として、厚さ18μmの圧延銅箔(日鉱金属製C1100)及び電解銅箔の無粗化処理箔を用意した。圧延銅箔と電解銅箔の表面粗さ(Rz)は、それぞれ0.7μm、1.5μmであった。
この銅箔の片面に対して、以下の条件であらかじめ銅箔基材表面に付着している薄い酸化膜を逆スパッタにより取り除き、Ni−Zn合金層又はCu−Ni−Zn合金層、及び、Cr層を順に成膜した。被覆層の厚さは成膜時間を調整することにより変化させた。
・装置:バッチ式スパッタリング装置(アルバック社、型式MNS−6000)
・到達真空度:1.0×10-5Pa
・スパッタリング圧:0.2Pa
・逆スパッタ電力:RF100W
・ターゲット:
合金層用=下記表1に示す各種ターゲット組成のNi−Zn合金層又はCu−Ni−Zn合金層
なお、ターゲット組成及び被膜合金組成は、構成元素によりスパッタ速度が異なるため、必ずしも互いに同一とはならない。
Cr層用=Cr(純度3N)
・スパッタリング電力:50W
・成膜速度:各ターゲットについて出力2.5W/cm2で約0.2μm成膜し、3次元測定器で厚さを測定し、単位時間当たりのスパッタレートを算出した。
被覆層を設けた銅箔に対して、以下の手順により、ポリイミドフィルムを接着した。
(1)7cm×7cmの銅箔に対しアプリケーターを用い、宇部興産製Uワニス−A(ポリイミドワニス)を乾燥体で25μmになるよう塗布。
(2)(1)で得られた樹脂付き銅箔を空気下乾燥機で130℃30分乾燥。
(3)窒素流量を10L/minに設定した高温加熱炉において、350℃で30分加熱し、樹脂硬化。
また、上記ポリイミドフィルムの接着試験とは別に、「耐熱試験」として、被覆層を設けた銅箔にポリイミドフィルムを接着させずにそのまま窒素雰囲気下で350℃、2時間加熱した。
<付着量の測定>
50mm×50mmの銅箔表面の被覆層をHNO3(2重量%)とHCl(5重量%)を混合した溶液に溶解し、その溶液中の各金属濃度をICP発光分光分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製、SFC−3100)にて定量し、単位面積当たりの金属量(μg/dm2)を算出した。各試料について5回測定し、その平均値を付着量とした。ターゲットとして銅合金を使用した場合の付着量については、同条件でTi箔上に成膜したときの分析値を表2及び4に記載した。
<XPSによる測定>
被覆層のデプスプロファイルを作成した際のXPSの稼働条件を以下に示す。
・装置:XPS測定装置(アルバックファイ社、型式5600MC)
・到達真空度:3.8×10-7Pa
・X線:単色AlKα、X線出力300W、検出面積800μmφ、試料と検出器のなす角度45°
・イオン線:イオン種Ar+、加速電圧3kV、掃引面積3mm×3mm、スパッタリングレート2.3nm/min(SiO2換算)
・XPSの測定結果において、クロム酸化物と金属クロムの分離はアルバック社製解析ソフトMulti Pak V7.3.1を用いて行った。
・測定はスパッタによる成膜後、接着強度測定時のポリイミド硬化条件(350℃×30分)よりも過酷な条件の熱処理(350℃×120分)を施した状態、そして絶縁基板剥離後の皮膜を分析した。
<TEMによる測定>
被覆層をTEMによって観察したときのTEMの測定条件を以下に示す。表中に示した厚さは観察視野中に写っている被覆層全体の厚さを1視野について50nm間の厚さの最大値、最小値を測定し、任意に選択した3視野の最大値と最小値を求め、最大値、及び最大値に対する最小値の割合を百分率で求めた。また、表中、「耐熱試験後」のTEM観察結果とは、試験片の被覆層上に上記手順によりポリイミドフィルムを接着させた後、試験片を下記の高温環境下に置き、得られた試験片からポリイミドフィルムを180°剥離法(JIS C 6471 8.1)に従って剥離した後のTEM像である。図1に、TEMによるスパッタ直後の観察写真を例示的に示す。
・装置:TEM(日立製作所社、型式H9000NAR)
・加速電圧:300kV
・倍率:300000倍
・観察視野:60nm×60nm
<接着性評価>
上記のようにしてポリイミドを積層した銅箔について、ピール強度を積層直後(常態)、温度150℃で空気雰囲気下の高温環境下に168時間放置した後(耐熱性)、及び、温度40℃相対湿度95%空気雰囲気下の高湿環境下に96時間放置した後(耐湿性)の3つの条件で測定した。ピール強度は180°剥離法(JIS C 6471 8.1)に準拠して測定した。
<エッチング性評価>
上記のようにして作製した銅箔の該被覆層に白いテープを貼り付け、エッチング液(塩化銅二水和物、塩化アンモニウム、アンモニア水、液温50℃)に7分間浸漬させた。その後、テープに付着したエッチング残渣の金属成分をICP発光分光分析装置により定量し、以下の基準で評価した。
×:エッチング残渣が140μg/dm2以上
△:エッチング残渣が70μg/dm2以上140μg/dm2未満
〇:エッチング残渣が70μg/dm2未満
測定条件及び測定結果を表2及び表3に示す。SP/SPは、Ni−Zn合金又はCu−Ni−Zn合金、Crともスパッタにて被覆したことを示す。
(例2:比較例1〜7)
例1で使用した圧延銅箔基材の片面にスパッタ時間を変化させ、Niターゲットを用いて被膜を形成し、比較例1とした。また、同様に、表4に示す各ターゲットを用いて被膜を形成し、比較例2〜7とした。被覆層を設けた銅箔に対して、例1と同様の手順により、ポリイミドフィルムを接着した。
(例3:比較例8〜9)
特開平6−81157号に記載のめっき処理方法に従い、例1で使用した圧延銅箔基材の片面に電気めっきでNi−Zn層を施した後、クロメート処理を行い比較例8及び9とした。次に、これらの被覆層を設けた銅箔に対して、例1と同様の手順により、ポリイミドフィルムを接着した。以下に電気めっき条件を示す。
(Zn−Ni合金めっき条件)
Zn 20g/l
Ni 10g/l
pH4
液温 50℃
電流密度 1A/dm2
めっき時間 2秒
(電解クロメート処理条件)
2Cr27 5g/l
KOH 30g/l
pH11
液温 55℃
電流密度 1A/dm2
めっき時間 15秒、40秒
比較例1〜9の評価結果を表4及び5に示す。
(実施例の評価)
表2に示すように、実施例1〜14は、いずれも良好なピール強度及びエッチング性を有している。参考用に、実施例3の銅箔のスパッタ上がり及びポリイミドワニス硬化相当の熱処理後のXPSによる各デプスプロファイルを図2〜3に示す。
また、実施例1〜14は、いずれも上記製造時のスパッタリングレートが良好であり、Ni−Zn合金又はCu−Ni−Zn合金:3.0〜5.7nm/min、Cr:2.7nm/minであった。
(比較例の評価)
比較例1は被覆層中のNi付着量が同程度である実施例3と比較すると、各種ピール強度が低かった。
比較例2は、被覆層中のZnが5μg/dm2未満であり、ピール強度が不良であった。
比較例3は、被覆層中のNiが15μg/dm2未満であり、ピール強度が不良であった。
比較例4は、被覆層中のZnが750μg/dm2超であり、エッチング性が不良であった。また、Znが接着界面に多く存在したためにピール強度が不良であった。
比較例5は、被覆層中のNiが1000μg/dm2超であり、エッチング性が不良であった。また、Znが接着界面に多く存在したためにピール強度が不良であった。
比較例6は、被覆層中のCrが18μg/dm2未満であり、ピール強度が不良であった。
比較例7は、被覆層中のCrが180μg/dm2超であり、エッチング性が不良であった。
比較例8は、実施例と比較してクロメート層の厚みが均一ではなく、ピール強度が不良であった。
比較例9は、クロメート層の厚みは均一になり、ピール強度が良好であったが、エッチング性が不良であった。
また、比較例1は、製造時のスパッタリングレートが、Ni:3nm/min、Cr:2.7nm/minであり、実施例と比較して低かった。これは、比較例1がNi−Zn合金層又はCu−Ni−Zn合金層の代わりにNi層を形成したものであるため、磁性が強く、スパッタリングレートに悪影響を及ぼしたことによるものと考えられる。

Claims (18)

  1. 銅箔基材と、該銅箔基材表面の少なくとも一部を被覆する被覆層とを備えたプリント配線板用銅箔であって、該被覆層は、銅箔基材表面から順に積層した、NiとZnとを含む合金層及びCr層で構成され、該Cr層にはCrが18〜180μg/dm2の被覆量で、該合金層にはNiが15〜1000μg/dm2、Znが5〜750μg/dm2の被覆量でそれぞれ存在するプリント配線板用銅箔。
  2. 前記合金層は、さらにCuを含む請求項1に記載のプリント配線板用銅箔。
  3. 前記Cr層にはCrが30〜145μg/dm2の被覆量で、前記合金層にはNiが35〜400μg/dm2、Znが15〜80μg/dm2の被覆量でそれぞれ存在する請求項1又は2に記載のプリント配線板用銅箔。
  4. 前記Cr層にはCrが36〜75μg/dm2の被覆量で存在する請求項3に記載のプリント配線板用銅箔。
  5. 前記被覆層の断面を透過型電子顕微鏡によって観察すると最大厚さが0.3〜6.0nmであり、最小厚さが最大厚さの80%以上である請求項1〜4のいずれかに記載のプリント配線板用銅箔。
  6. XPSによる表面からの深さ方向分析から得られた深さ方向(x:単位nm)のクロムの原子濃度(%)をf(x)とし、ニッケルの原子濃度(%)をg(x)とし、亜鉛の原子濃度(%)をh(x)とし、銅の原子濃度(%)をi(x)とし、酸素の原子濃度(%)をj(x)とし、炭素の原子濃度(%)をk(x)とすると、区間[0、1.0]において、∫i(x)dx/(∫f(x)dx+∫g(x)dx+∫h(x)dx+∫i(x)dx+∫j(x)dx+∫k(x)dx)が10%以下を満たす請求項1〜5のいずれかに記載のプリント配線板用銅箔。
  7. XPSによる表面からの深さ方向分析から得られた深さ方向(x:単位nm)の金属クロムの原子濃度(%)をf1(x)とし、酸化物クロムの原子濃度(%)をf2(x)とすると、区間[0、1.0]において0≦∫f1(x)dx/∫f2(x)dx≦1.0を満たし、区間[1.0、2.5]において0.1≦∫f1(x)dx/∫f2(x)dx≦1.0を満たす請求項1〜6のいずれかに記載のプリント配線板用銅箔。
  8. XPSによる表面からの深さ方向分析から得られた深さ方向(x:単位nm)の金属クロムの原子濃度(%)をf1(x)とし、酸化物クロムの原子濃度(%)をf2(x)とし、ニッケルの原子濃度(%)をg(x)とし、銅の原子濃度(%)をi(x)とし、区間[0、1.0]において各原子濃度が最大となる表層からの距離をそれぞれF1、F2、Gとすると、F2≦F1≦Gかつg(G)/i(G)≦3を満たす請求項1〜7のいずれかに記載のプリント配線板用銅箔。
  9. XPSによる表面からの深さ方向分析から得られた亜鉛とクロムの深さ方向(x:単位nm)の原子濃度(%)をそれぞれh(x)、f(x)とすると、区間[0、1.0]において0≦∫h(x)dx/∫f(x)dx≦0.5を満たす請求項1〜8のいずれかに記載のプリント配線板用銅箔。
  10. 前記銅箔が、ポリイミド硬化相当の熱処理を施したときに前記規定を満たす請求項6〜9の何れかに記載のプリント配線板用銅箔。
  11. XPSによる表面からの深さ方向分析から得られた亜鉛とクロムの深さ方向(x:単位nm)の原子濃度(%)をそれぞれh(x)、f(x)とすると、区間[0、1.0]において0.1≦∫h(x)dx/∫f(x)dx≦0.5を満たす請求項10に記載のプリント配線板用銅箔。
  12. 前記銅箔が、ポリイミド硬化相当の熱処理を施したものである請求項6〜11の何れかに記載のプリント配線板用銅箔。
  13. 絶縁基板に被覆層を接着したプリント配線板用銅箔に対し、絶縁基板を被覆層から剥離した後の被覆層の表面を分析したとき、XPSによる表面からの深さ方向分析から得られた深さ方向(x:単位nm)のクロムの原子濃度(%)をf(x)とし、ニッケルの原子濃度(%)をg(x)とし、亜鉛の原子濃度(%)をh(x)とし、銅の原子濃度(%)をi(x)とし、酸素の原子濃度(%)をj(x)とし、炭素の原子濃度(%)をk(x)とし、金属クロムの原子濃度(%)をf1(x)とし、酸化物クロムの原子濃度(%)をf2(x)とし、金属クロムの濃度が最大となる表層からの距離をFとすると、区間[0、F]において、0.1≦∫f1(x)dx/∫f2(x)dx≦1.0で、∫i(x)dx/(∫f(x)dx + ∫g(x)dx + ∫h(x)dx + ∫i(x)dx + ∫j(x)dx + ∫k(x)dx)が10%以下を満たす請求項1〜12のいずれかにプリント配線板用銅箔。
  14. 銅箔基材は圧延銅箔である請求項1〜13のいずれかに記載のプリント配線板用銅箔。
  15. プリント配線板はフレキシブルプリント配線板である請求項1〜14のいずれかに記載のプリント配線板用銅箔。
  16. 請求項1〜15のいずれかに記載の銅箔を備えた銅張積層板。
  17. 銅箔がポリイミドに接着している構造を有する請求項16に記載の銅張積層板。
  18. 請求項16又は17に記載の銅張積層板を材料としたプリント配線板。
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