JP2010239095A - プリント配線板用銅箔 - Google Patents

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Abstract

【課題】絶縁基板との接着性が改善されたプリント配線板用銅箔を提供する。
【解決手段】銅箔基材と、該銅箔基材表面の少なくとも一部を被覆する被覆層とを備えたプリント配線板用銅箔であって、該被覆層は銅箔基材表面から順に積層したNi層及びCr層で構成され、該被覆層にはCrが15〜210μg/dm2、Niが15〜440μg/dm2の被覆量で存在し、該被覆層の断面を透過型電子顕微鏡によって観察すると最大厚みが0.5〜5nmであり、最小厚みが最大厚みの80%以上であり、該銅箔は350℃で30分間加熱すると該銅箔基材の表面の平均結晶粒径が5〜30μmとなる、プリント配線板用銅箔。
【選択図】なし

Description

本発明はプリント配線板用の銅箔に関し、特にフレキシブルプリント配線板用の銅箔に関する。
近年の電子機器の小型化、高性能化ニーズの増大に伴い搭載部品の高密度実装化や信号の高周波化が進展し、プリント配線板に対して導体パターンの微細化(ファインピッチ化)や高周波対応等が求められている。
プリント配線板は銅箔に絶縁基板を接着させて銅張積層板とした後に、エッチングにより銅箔面に導体パターンを形成するという工程を経て製造されるのが一般的である。そのため、プリント配線板用の銅箔には絶縁基板との接着性やエッチング性が要求される。
絶縁基板との接着性を向上させるために粗化処理と呼ばれる銅箔表面に凹凸を形成する表面処理を施すことが一般に行われていたが、最近では、銅箔表面に錫、クロム、銅、鉄、コバルト、亜鉛、ニッケル等の金属層又は合金層を形成する方法も使用されるようになった。
特開2000−340911号公報には、蒸着形成によりプリント配線板用銅箔表面に金属クロム層を形成することにより基材と銅箔との接着強度が改善されることが記載されている。
特開2007−207812号公報には、銅箔の表面にNi−Cr合金層を形成し、この合金層の表面に所定厚みの酸化物層を形成させることにより、銅層表面が平滑でアンカー効果が少ない状態においても樹脂基材との接着性が大幅に向上することが記載されている。そして、表面に厚み1〜100nmのNi−Cr合金層が蒸着形成され、該合金層の表面に厚み0.5〜6nmのCr酸化物層が形成され、かつ最表面の平均表面粗さRzJISが2.0μm以下である、プリント配線基板用銅箔が開示されている。
特開2006−222185号公報には、ポリイミド系フレキシブル銅張積層板用表面処理銅箔において、(1)Ni量にして0.03〜3.0mg/dm2含有するNi層又は/及びNi合金層、(2)Cr量にして0.03〜1.0mg/dm2含有するクロメート層、(3)Cr量にして0.03〜1.0mg/dm2含有するCr層又は/Cr合金層、(4)Ni量にして0.03〜3.0mg/dm2含有するNi層又は/及びNi合金層の上に、Cr量にして0.03〜1.0mg/dm2含有するクロメート層、(5)Ni量にして0.03〜3.0mg/dm2含有するNi層又は/及びNi合金層の上にCr量にして0.03〜1.0mg/dm2含有するCr層又は/及びCr合金層を表面処理層として設けることによって、ポリイミド系樹脂層との間で高いピール強度を有し、絶縁信頼性、配線パターン形成時のエッチング特性、屈曲特性の優れたポリイミド系フレキシブル銅張積層板用銅箔が得られることが記載されている。上記のNi量やCr量から表面処理層の厚みを推定するとμmオーダーである。また、実施例では電気めっきを利用して表面処理層を設けたことが記載されている。
特開2000−340911号公報 特開2007−207812号公報 特開2006−222185号公報
銅箔表面にNi層やNi−Cr合金層を設ける方法では、絶縁基板との接着性という基本特性において改善の余地が大きい。特許文献2には、Ni−Cr合金層を設けることで、銅箔の表面を平滑にしても樹脂基材との接着性が高くできる旨の記載があるが未だ改善の余地がある。
銅箔表面にCr層を設ける方法では、比較的高い接着性が得られる。しかしながら、Cr層はエッチング性に改善の余地がある。すなわち、Cr層はNi層よりも接着性が高いが、Crはエッチング性に劣るため、導体パターン形成のためのエッチング処理を行った後に、Crが絶縁基板面に残る「エッチング残り」が生じやすい。また、耐熱性が十分でなく、高温環境下に置かれた後に絶縁基板との接着性が有意に低下するという問題もある。このため、プリント配線板のファインピッチ化が進展していく状況下では、有望な手法とは言い難い。一方、クロメート層では接着性に改善の余地がある。
特許文献3に記載の、Ni量にして0.03〜3.0mg/dm2含有するNi層又は/及びNi合金層の上にCr量にして0.03〜1.0mg/dm2含有するCr層又は/及びCr合金層を表面処理層として設けるという手法は、比較的高い接着性とエッチング性が得られるが、特性の改善の余地はやはり残っている。
このような背景の下、本出願人は、銅箔基材表面に順にNi層及びCr層をナノメートルオーダーの極薄の厚みで均一に設けた場合には、優れた絶縁基板との密着性が得られることを見出したことに基づき、PCT/JP2008/073256(本出願時点で未公開)を先に出願した。具体的には、その請求項1に係る発明は、銅箔基材と、該銅箔基材表面の少なくとも一部を被覆する被覆層とを備えたプリント配線板用銅箔であって、(1)該被覆層は銅箔基材表面から順に積層したNi層及びCr層で構成され、(2)該被覆層にはCrが15〜210μg/dm2、Niが15〜440μg/dm2の被覆量で存在し、(3)該被覆層の断面を透過型電子顕微鏡によって観察すると最大厚みが0.5〜5nmであり、最小厚みが最大厚みの80%以上である、プリント配線板用銅箔である。この発明によれば、絶縁基板との接着性及びエッチング性の両方に優れたプリント配線板用銅箔が得られる。
しかしながら、銅箔基材上に上記のようなNi層及びCr層の薄い被覆層を設けても、銅箔基材によっては充分な接着力、特に高温下に置かれた後の接着性(耐熱性)が安定して得られない場合があることが判明した。そこで、本発明は上記先願発明の改良発明を提供することを課題とし、より具体的には、絶縁基板との接着性が改善されたプリント配線板用銅箔及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討したところ、銅箔基材の結晶粒径が絶縁基板との接着性に有意な影響を与えることを見出した。理論によって本発明が限定されることを意図しないが、これは以下の理由によると考えられる。Ni層は、加熱によって銅箔基材の主成分であるCuが材料表面に拡散し、樹脂基板との接着性を低下させるのを防止するバリア機能を果たす。このとき、銅箔基材の結晶粒が小さくなるとそれに応じて結晶粒界が多くなるが、これはNiの拡散経路が多くなることを意味する。熱拡散による原子の移動は結晶粒界を通じて支配的に起きると考えられることからである。
従って、銅箔基材の結晶粒の大きさを調節することによってCuとNiが相互に熱拡散する経路を抑制することができ、銅箔基材と樹脂基板との接着性、特に耐熱性を向上させることができる。本発明者の研究によれば、樹脂基板と接着している銅箔基材表面の結晶粒径が5〜30μmのときに、耐熱性向上効果が高いことが分かった。銅箔基材と樹脂基板は接着時に加熱処理(典型的には350℃で30分間加熱)されるので、このような加熱処理後に表面の平均結晶粒径が5〜30μmに成長する銅箔基材を使用するのが望ましい。
また、銅箔基材を樹脂基板との接着のために加熱する際には、基材のCuと被覆層のNiが多少なりとも相互に熱拡散する。本発明者は、加熱接着後にNiのバリア機能を残存させるためには、加熱接着前の銅箔表面に積層しているNiについて好適な存在形態があると考えて検討を重ねたところ、加熱接着前の銅箔表面について、Niの原子濃度が25%以上である区間を深さ方向に0.5nm以上存在させることが有効であることを見出した。
以上の知見を基礎として完成した本発明は一側面において、
銅箔基材と、該銅箔基材表面の少なくとも一部を被覆する被覆層とを備えたプリント配線板用銅箔であって、
該被覆層は銅箔基材表面から順に積層したNi層及びCr層で構成され、
該被覆層にはCrが15〜210μg/dm2、Niが15〜440μg/dm2の被覆量で存在し、
該被覆層の断面を透過型電子顕微鏡によって観察すると最大厚みが0.5〜5nmであり、最小厚みが最大厚みの80%以上であり、
該銅箔は350℃で30分間加熱すると該銅箔基材の表面の平均結晶粒径が5〜30μmとなる、
プリント配線板用銅箔である。
本発明に係るプリント配線板用銅箔の別の一実施形態においては、XPSによって被覆層を表面から深さ方向分析したときにニッケルの原子濃度25%以上である区間が0.5nm以上存在する。
本発明に係るプリント配線板用銅箔の更に別の一実施形態においては、XPSによる表面からの深さ方向分析から得られた全クロム及び酸素の深さ方向(x:単位nm)の原子濃度(%)をそれぞれf(x)、g(x)とすると、区間[1.0、2.5]において、0.6≦∫f(x)dx/∫g(x)dx≦2.2を満たす。
本発明に係るプリント配線板用銅箔の更に別の一実施形態においては、XPSによる表面からの深さ方向分析から得られた金属クロム及びクロム酸化物の深さ方向(x:単位nm)の原子濃度(%)をそれぞれf1(x)、f2(x)とすると、区間[0、1.0]において、0.1≦∫f1(x)dx/∫f2(x)dx≦1.0を満たし、区間[1.0、2.5]において、0.8≦∫f1(x)dx/∫f2(x)dx≦2.0を満たす。
本発明に係るプリント配線板用銅箔の更に別の一実施形態においては、XPSによる表面からの深さ方向分析から得られた深さ方向(x:単位nm)のクロムの原子濃度(%)をf(x)とし、酸素の原子濃度(%)をg(x)とし、銅の原子濃度(%)をh(x)とし、ニッケルの原子濃度(%)をi(x)とし、炭素の原子濃度(%)をj(x)すると、区間[0、1.0]において、∫h(x)dx/(∫f(x)dx + ∫g(x)dx + ∫h(x)dx + ∫i(x)dx + ∫j(x)dx)が1.0%以下である。
本発明に係るプリント配線板用銅箔の更に別の一実施形態においては、プリント配線板はフレキシブルプリント配線板である。
本発明に係るプリント配線板用銅箔の更に別の一実施形態においては、ポリイミドワニスを乾燥体で25μmになるよう被覆層上に塗布し、空気下乾燥機で120℃で30分乾燥する工程と、更に窒素流量を10L/minに設定した高温加熱炉において350℃で30分加熱する工程とを経てポリイミドフィルムを被覆層上に接着し、次いで、温度150℃で空気雰囲気下の高温環境下に168時間放置してからポリイミドフィルムを180°剥離法(JIS C 6471 8.1)に従って被覆層から剥離した後の被覆層の断面を透過型電子顕微鏡によって観察すると最大厚みが0.5〜5nmであり、最小厚みが最大厚みの70%以上である。
本発明は別の一側面において、スパッタリング法によって銅箔基材表面の少なくとも一部を厚さ0.2〜5.0nmのNi層及び厚さ0.2〜3.0nmのCr層で順に被覆することを含み、該銅箔基材は350℃で30分間加熱すると表面の平均結晶粒径が5〜30μmとなる特性を有する、プリント配線板用銅箔の製造方法である。
本発明は更に別の一側面において、本発明に係るプリント配線板用銅箔を材料とした銅張積層板である。
本発明に係る銅張積層板の一実施形態においては、銅箔基材の表面の平均結晶粒径が5〜30μmである。
本発明に係る銅張積層板の別の一実施形態においては、銅箔がポリイミドに接着している構造を有する。
本発明は更に別の一側面において、本発明に係る銅張積層板を材料としたプリント配線板である。
本発明によれば、絶縁基板との接着性が改善されたプリント配線板用銅箔を提供することができる。
銅箔基材にNi層及びCr層をそれぞれ1nmの厚みでスパッタリングしたときのXPSによるデプスプロファイルの例である。 Ni層及びCr層からなる被覆層の断面のTEM写真である。
1.銅箔基材
本発明に用いることのできる銅箔基材の形態に特に制限はないが、典型的には圧延銅箔や電解銅箔の形態で用いることができる。一般的には、電解銅箔は硫酸銅めっき浴からチタンやステンレスのドラム上に銅を電解析出して製造され、圧延銅箔は圧延ロールによる塑性加工と熱処理を繰り返して製造される。屈曲性が要求される用途には圧延銅箔を適用することが多い。
銅箔基材の材料としてはプリント配線板の導体パターンとして通常使用されるタフピッチ銅や無酸素銅といった高純度の銅の他、例えばSn入り銅、Ag入り銅、Cr、Zr又はMg等を添加した銅合金、Ni及びSi等を添加したコルソン系銅合金のような銅合金も使用可能である。なお、本明細書において用語「銅箔」を単独で用いたときには銅合金箔も含むものとする。
本発明に用いることのできる銅箔基材の厚さについても特に制限はなく、プリント配線板用に適した厚さに適宜調節すればよい。例えば、5〜100μm程度とすることができる。但し、ファインパターン形成を目的とする場合には30μm以下、好ましくは20μm以下であり、典型的には10〜20μm程度である。
本発明で使用する銅箔基材は、銅箔基材と樹脂基板を当業界で一般的な加熱条件、例えば350℃で30分間の加熱条件で接着すると、被覆層と接する側の表面の平均結晶粒径が5〜30μmの範囲に落ち着くことが望ましい。接着後の平均結晶粒径が当該範囲であると、その後に高温下に置かれてもNiとCuの相互拡散が抑制され、Cuが樹脂基板との界面に到達しにくくなり、その結果、接着性の低下が防止される。
樹脂基板との加熱接着後に、銅箔基材表面の平均結晶粒径が5μm未満だと、原子の拡散経路となる結晶粒界が多く、高温下に置かれたときにNiとCuの相互拡散が起こりやすくなる。この結果、Cuが樹脂基板との界面にまで容易に到達し、樹脂基板と銅箔基材の接着力を弱めやすい。従って、樹脂基板と加熱接着して銅張積層板とした後の銅箔基材表面の平均結晶粒径は5μm以上とすべきであり、8μm以上とするのが好ましく、銅箔基材の屈曲性を考慮すれば10μm以上とするのがより好ましい。
一方で、平均結晶粒径を大きくしていくと、今度は結晶粒界が少なくなっていき、拡散経路も減少していく。すると、高温下に置かれたときに局所的な拡散が進行しやすくなり、その部分で著しく樹脂基板と銅箔基材の接着力が低下するという現象が生じ、望ましくない。従って、樹脂基板と加熱接着して銅張積層板とした後の銅箔基材表面の平均結晶粒径は30μm以下とすべきであり、20μm以上とするのが好ましく、15μm以上とするのがより好ましい。
なお、樹脂基板との加熱接着後に、上記のような大きさの銅箔基材表面の平均結晶粒径を得るためには、樹脂基板との加熱接着前の銅箔基材表面の状態が一定の条件を満たしている必要があると考えられるが、加熱接着前の銅箔基材は、圧延上がりのため、表面の平均結晶粒径の測定が困難である。そこで、本発明で使用する銅箔基材を、特性によって規定することとしている。
350℃で30分間の加熱後に、表面の平均結晶粒径が上記範囲になるような銅箔基材は、最終冷間圧延前の結晶粒径と、最終冷間圧の圧下率を調整することよって行うことができる。具体的には、結晶粒径を大きくしたい場合は最終冷間圧延前の結晶粒径を小さくし、圧下率(加工度)を上げる。小さくしたい場合は最終圧延前の結晶粒径を大きくし、圧下率を下げる。
なお、銅箔基材表面にNi及びCrをスパッタリングする時の熱履歴や、樹脂基材を塗布した後の乾燥工程(例:120℃で30分間)等によって、銅箔基材表面の平均結晶粒径が変化することはほとんどなく、無視できる程度である。
また、厳密に言えば、銅箔基材は被覆層と接している面の結晶粒径が問題であるが、樹脂と積層した後に測定することは困難である。また、被覆層と接している面と反対側の面は結晶粒径が実質的に同等であるから、樹脂と接着した後は、被覆層と接している面と反対側の面の結晶粒径を測定すればよい。
本発明に使用する銅箔基材には粗化処理をしないのが好ましい。従来は特殊めっきで表面にμmオーダーの凹凸を付けて表面粗化処理を施し、物理的なアンカー効果によって樹脂との接着性を持たせるケースが一般的であった。しかしながら一方でファインピッチや高周波電気特性は平滑な箔が良いとされ、粗化箔では不利な方向に働くからである。また、粗化処理工程が省略されるので、経済性・生産性向上の効果もある。従って、本発明で使用される箔は、特別に粗化処理をしない箔である。
2.被覆層
銅箔基材の表面の少なくとも一部はNi層及びCr層で順に被覆される。Ni層及びCr層は被覆層を構成する。被覆する箇所には特に制限は無いが、絶縁基板との接着が予定される箇所とするのが一般的である。被覆層の存在によって絶縁基板との接着性が向上する。一般に、銅箔と絶縁基板の間の接着力は高温環境下に置かれると低下する傾向にあるが、これは銅が表面に熱拡散し、絶縁基板と反応することにより引き起こされると考えられる。本発明では、予め銅の拡散防止に優れるNi層を銅箔基材の上に設けたことで、銅の熱拡散が防止できる。また、Ni層よりも絶縁基板との接着性に優れたCr層をNi層の上に設けることで更に絶縁基板との接着性を向上することができる。Cr層の厚さはNi層の存在のおかげで薄くできるので、エッチング性への悪影響を軽減することができる。
本発明に係るプリント配線板用銅箔においては、被覆層は極薄で厚さが均一である。このような構成にしたことで絶縁基板との接着性が向上した理由は明らかではないが、Ni被覆の上に最表面として樹脂との接着性に非常に優れているCr単層被膜を形成したことで、樹脂基板との接着のための高温熱履歴後も高接着性を有する単層被膜構造を保持しているためと推測される。また、被覆層を極薄にするとともにNiとCrの二層構造としてCrの使用量を減らしたことにより、エッチング性が向上したと考えられる。
具体的には、本発明に係る被覆層は以下の構成を有する。
(1)Cr、Ni被覆層の同定
本発明においては、銅箔素材の表面の少なくとも一部はNi層及びCr層の順に被覆される。これら被覆層の同定はXPS、若しくはAES等表面分析装置にて表層からアルゴンスパッタし、深さ方向の化学分析を行い、夫々の検出ピークの存在によってNi層及びCr層を同定することができる。また、夫々の検出ピークの位置から被覆された順番を確認することができる。図1は銅箔基材にNi層及びCr層をそれぞれ1nmの厚みでスパッタリングしたときのXPSによるデプスプロファイルの例である。
(2)付着量
一方、これらNi層及びCr層は非常に薄いため、XPS、AESでは正確な厚さの評価が困難である。そのため、本願発明においては、Ni層及びCr層の厚さは特許文献3と同様に単位面積当たりの被覆金属の重量で評価することとした。本発明に係る被覆層にはCrが15〜210μg/dm2、Niが15〜440μg/dm2の被覆量で存在する。Crが15μg/dm2未満だと十分なピール強度が得られず、Crが210μg/dm2を超えるとエッチング性が有意に低下する傾向にある。Niが15μg/dm2未満だと十分なピール強度が得られず、Niが440μg/dm2を超えるとエッチング性が有意に低下する傾向にある。Crの被覆量は好ましくは18〜150μg/dm2、より好ましくは30〜100μg/dm2であり、Niの被覆量は好ましくは20〜195μg/dm2、より好ましくは40〜180μg/dm2、典型的には40〜100μg/dm2である。
(3)透過型電子顕微鏡(TEM)による観察
本発明に係る銅箔の被覆層の断面を透過型電子顕微鏡によって観察したとき、最大厚さは0.5nm〜5nm、好ましくは1〜4nmであり、最小厚さが最大厚さの80%以上、好ましくは85%以上で、非常にばらつきの少ない被覆層である。被覆層厚さが0.5nm未満だと耐熱試験、耐湿試験において、ピール強度の劣化が大きく、厚さが5nmを超えると、エッチング性が低下しやすい。厚さの最小値が最大値の80%以上である場合、この被覆層の厚さは、非常に安定しており、耐熱試験後も殆ど変化がない。TEMによる観察では被覆層中のNi層及びCr層の明確な境界は見出しにくく、単層のように見える(図2参照)。本発明者の検討結果によればTEM観察で見出される被覆層はCrを主体とする層と考えられ、Ni層はその銅箔基材側に存在するとも考えられる。そこで、本発明においては、TEM観察した場合の被覆層の厚さは単層のように見える被覆層の厚さと定義する。観察箇所によっては被覆層の境界が不明瞭なところも存在し得るが、そのような箇所は厚みの測定箇所から除外する。本発明の構成により、Cuの拡散が抑制されるため、安定した厚さを有すると考えられる。本発明の銅箔は、ポリイミドフィルムと接着し、耐熱試験(温度150℃で空気雰囲気下の高温環境下に168時間放置)を経た後に樹脂を剥離した後においても、被覆層の厚さは殆ど変化なく、最大厚さが0.5〜5.0nmであり、最小厚さにおいても最大厚さの70%以上、好ましくは80%維持されることが可能である。
(4)被覆層表面の酸化状態
まず、被覆層最表面(表面から0〜1.0nmの範囲)には内部の銅が拡散していないことが、接着強度を高める上では望ましい。従って、本発明に係るプリント配線板用銅箔では、XPSによる表面からの深さ方向(x:単位nm)のクロムの原子濃度(%)をf(x)とし、酸素の原子濃度(%)をg(x)とし、銅の原子濃度(%)をh(x)とし、ニッケルの原子濃度(%)をi(x)とし、炭素の原子濃度(%)をj(x)すると、区間[0、1.0]において、∫h(x)dx/(∫f(x)dx + ∫g(x)dx + ∫h(x)dx + ∫i(x)dx + ∫j(x)dx)を1.0%以下とするのが好ましい。
また、被覆層最表面においては、クロムは金属クロムとクロム酸化物が両方存在しているが、内部の銅の拡散を防止し、接着力を確保する観点では金属クロムの方が望ましいものの、良好なエッチング性を得る上ではクロム酸化物の方が望ましい。そこで、エッチング性と接着力の両立を図る上では、XPSによる表面からの深さ方向分析から得られた金属クロム及び酸化クロムの深さ方向(x:単位nm)の原子濃度(%)をそれぞれf1(x)、f2(x)とすると、区間[0、1.0]において、0.1≦∫f1(x)dx/∫f2(x)dx≦1.0を満たすことが好ましい。
一方、被覆層最表面のすぐ下の深さ1.0〜2.5nmにおいては、酸素濃度が小さく、クロムが金属状態で存在していることが望ましい。クロムは酸化された状態よりも金属状態のほうが内部の銅の拡散を防ぐ能力が高く、耐熱性を向上させることができるからである。ただし、酸素を厳密に制御することに伴うコストや、最表面にはある程度酸素が存在してクロムが酸化されているほうがエッチング性がよいといった観点からは、そのすぐ下の層において完全に酸素を消滅することは現実的ではない。従って、本発明に係るプリント配線板用銅箔は、XPSによる表面からの深さ方向分析から得られた全クロム及び酸素の深さ方向(x:単位nm)の原子濃度(%)をそれぞれf(x)、g(x)とすると、区間[1.0、2.5]において、0.6≦∫f(x)dx/∫g(x)dx≦2.2を満たすのが好ましく、0.8≦∫f(x)dx/∫g(x)dx≦1.8を満たすのがより好ましく、典型的には1.0≦∫f(x)dx/∫g(x)dx≦1.5である。また、区間[1.0、2.5]において、0.8≦∫f1(x)dx/∫f2(x)dx≦2.0であるのが好ましい。
クロム濃度及び酸素濃度はそれぞれ、XPSによる表面からの深さ方向分析から得られたCr2p軌道及びO1s軌道のピーク強度から算出する。また、深さ方向(x:単位nm)の距離は、SiO2換算のスパッタレートから算出した距離とする。クロム濃度はクロム酸化物濃度と金属クロム濃度の合計値であり、クロム酸化物濃度と金属クロム濃度に分離して解析することが可能である。
(5)Niの原子濃度分布
350℃30分の熱処理をして銅張積層板とした後もNi層がバリア機能を有意に発揮するためには樹脂と複合する(350℃で30分加熱する)前のNi層について、XPSによって被覆層を表面から深さ方向分析したときにNiの原子濃度が25%以上である区間を0.5nm以上、好ましくは1.0nm以上存在させるのが望ましい。Niの原子濃度が25%以上である区間が0.5nm未満だと十分にCuの熱拡散を防止できない。Niの原子濃度が25%以上である区間の上限は特にないが、後述するように、スパッタリング法によって形成したときのNi層の厚さは最大でも5.0nmであるので、熱拡散によりNi層が広がることを考慮しても、当該区間が5.0nmを超えることは実質的にはない。
3.本発明に係る銅箔の製法
本発明に係るプリント配線板用銅箔は、スパッタリング法により形成することができる。すなわち、スパッタリング法によって銅箔基材表面の少なくとも一部を、厚さ0.2〜5.0nm、好ましくは0.25〜2.5nm、より好ましくは0.5〜2.0nmのNi層及び厚さ0.2〜3.0nm、好ましくは0.25〜2.0nm、より好ましくは0.5〜1.5nmのCr層で順に被覆することにより製造することができる。電気めっきでこのような極薄の被膜を積層すると、厚さにばらつきが生じ、耐熱試験後にピール強度が低下しやすい。
ここでいう厚さとは上述したXPSやTEMによって決定される厚さではなく、スパッタリングの成膜速度から導き出される厚さである。あるスパッタリング条件下での成膜速度は、1μm(1000nm)以上スパッタを行い、スパッタ時間とスパッタ厚さの関係から計測することができる。当該スパッタリング条件下での成膜速度が計測できたら、所望の厚さに応じてスパッタ時間を設定する。なおスパッタは、連続又はバッチ何れで行っても良く、被覆層を本発明で規定するような厚さで均一に積層することができる。スパッタリング法としては直流マグネトロンスパッタリング法が挙げられる。
ここで、Niの原子濃度分布について、先述した条件を満足させる上で重要なことは、銅箔基材へNiをスパッタするときのNi層の拡散を抑えるとともに、樹脂基板との加熱接着時のNi層の拡散を抑制することである。スパッタ時の熱負荷によるNiの拡散を抑える方法はスパッタ時の単位面積当たりの出力(スパッタ出力/ターゲット面積)を制御することである。装置の基板冷却能力によって多少の違いはあるがスパッタ出力は、15.0W/cm2より高くなると、スパッタ時の熱負荷でNiが銅箔に拡散しやすくなりやすい。0.5W/cm2より低くなると放電が不安定になり、膜厚のばらつきが大きくなる上に、成膜速度が遅くなり生産性が落ちる。従って、スパッタ出力を0.5〜15.0W/cm2、好ましくは2.0〜8.0W/cm2とするのが望ましい。膜厚の調整はスパッタ時間で行う。スパッタ時間は長くなっても、スパッタエネルギーと装置の冷却能力がつりあう温度で基板温度が一定となるため、Niの拡散には影響しない。
4.プリント配線板の製造
本発明に係る銅箔を用いてプリント配線板(PWB)を常法に従って製造することができる。以下に、プリント配線板の製造例を示す。
まず、銅箔と絶縁基板を貼り合わせて銅張積層板を製造する。銅箔が積層される絶縁基板はプリント配線板に適用可能な特性を有するものであれば特に制限を受けないが、例えば、リジッドPWB用に紙基材フェノール樹脂、紙基材エポキシ樹脂、合成繊維布基材エポキシ樹脂、ガラス布・紙複合基材エポキシ樹脂、ガラス布・ガラス不織布複合基材エポキシ樹脂及びガラス布基材エポキシ樹脂等を使用し、FPC用にポリエステルフィルムやポリイミドフィルム等を使用する事ができる。
貼り合わせの方法は、リジッドPWB用の場合、ガラス布などの基材に樹脂を含浸させ、樹脂を半硬化状態まで硬化させたプリプレグを用意する。プリプレグと銅箔の被覆層を有する面を重ね合わせて加熱加圧させることにより行うことができる。
フレキシブルプリント配線板(FPC)用の場合、ポリイミドフィルム又はポリエステルフィルムと銅箔の被覆層を有する面をエポキシ系やアクリル系の接着剤を使って接着することができる(3層構造)。また、接着剤を使用しない方法(2層構造)としては、ポリイミドの前駆体であるポリイミドワニス(ポリアミック酸ワニス)を銅箔の被覆層を有する面に塗布し、加熱することでイミド化するキャスティング法や、ポリイミドフィルム上に熱可塑性のポリイミドを塗布し、その上に銅箔の被覆層を有する面を重ね合わせ、加熱加圧するラミネート法が挙げられる。キャスティング法においては、ポリイミドワニスを塗布する前に熱可塑性ポリイミド等のアンカーコート材を予め塗布しておくことも有効である。
本発明に係る銅箔の効果はキャスティング法を採用してFPCを製造したときに顕著に表れる。すなわち、接着剤を使用せずに銅箔と樹脂とを貼り合わせようとするときには銅箔の樹脂への接着性が特に要求されるが、本発明に係る銅箔は樹脂、とりわけポリイミドとの接着性に優れているので、キャスティング法による銅張積層板の製造に適しているといえる。
本発明に係る銅張積層板は各種のプリント配線板(PWB)に使用可能であり、特に制限されるものではないが、例えば、導体パターンの層数の観点からは片面PWB、両面PWB、多層PWB(3層以上)に適用可能であり、絶縁基板材料の種類の観点からはリジッドPWB、フレキシブルPWB(FPC)、リジッド・フレックスPWBに適用可能である。
銅張積層板からプリント配線板を製造する工程は当業者に周知の方法を用いればよく、例えばエッチングレジストを銅張積層板の銅箔面に導体パターンとしての必要部分だけに塗布し、エッチング液を銅箔面に噴射することで不要銅箔を除去して導体パターンを形成し、次いでエッチングレジストを剥離・除去して導体パターンを露出することができる。
以下、本発明の実施例を示すが、これらは本発明をより良く理解するために提供するものであり、本発明が限定されることを意図するものではない。
タフピッチ銅のインゴットを鋳造し、これを850℃で均質化焼鈍した後、熱間圧延を施した。面削後、焼鈍と冷間圧延を繰り返し、最終冷間圧延前の焼鈍条件と最終冷間圧延の圧下率を表1に記載の条件で調整して、厚さ9μmの各銅箔基材を作製した。
これらの銅箔基材の片面に対して、以下の条件であらかじめ銅箔基材表面に付着している薄い酸化膜を3分間の逆スパッタにより取り除き、Ni層及びCr層を順に成膜した。Niは、表1に記載のように、出力0.3〜17W/cm2で成膜時間を調整して膜厚を変化させた。Crは出力50Wで成膜時間を調整して膜厚を変化させた。
・装置:バッチ式スパッタリング装置(アルバック社、型式MNS−6000)
・到達真空度:1.0×10-5Pa
・スパッタリング圧:0.2Pa
・逆スパッタ電力:RF100W
・ターゲット:
Ni層用=Ni(純度3N)
Cr層用=Cr(純度3N)
・成膜速度:各ターゲットについて出力2.5W/cm2で約2μm成膜し、3次元測定器で厚さを測定し、単位時間当たりのスパッタレートを算出した。(Ni:2.73nm/min、Cr:2.82nm/min)
各出力での成膜速度はこの値を基準に算出した(例:出力2倍のときは成膜速度も2倍)。
被覆層を設けた銅箔に対して、以下の手順により、ポリイミドフィルムを接着した。
(1)7cm×7cmの銅箔に対しアプリケーターを用い、宇部興産製Uワニス−A(ポリイミドワニス)を乾燥体で25μmになるよう塗布。
(2)(1)で得られた樹脂付き銅箔を空気下乾燥機で120℃で30分乾燥。
(3)窒素流量を10L/minに設定した高温加熱炉において、350℃で30分加熱し、樹脂硬化。
<付着量の測定>
50mm×50mmの銅箔表面の皮膜をHNO3(2重量%)とHCl(5重量%)を混合した溶液に溶解し、その溶液中の金属濃度をICP発光分光分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製、SFC−3100)にて定量し、単位面積当たりの金属量(μg/dm2)を算出した。
<TEMによる測定>
被覆層をTEMによって観察したときのTEMの測定条件を以下に示す。表中に示した厚みは観察視野中に写っている被覆層全体の厚みを1視野について50nm間の厚みの最大値、最小値を測定し、任意に選択した3視野の最大値と最小値を求め、最大値、及び最大値に対する最小値の割合を百分率で求めた。また、表中、「耐熱試験後」のTEM観察結果とは、試験片の被覆層上に上記手順によりポリイミドフィルムを接着させた後、試験片を下記の高温環境下に置き、得られた試験片からポリイミドフィルムを180°剥離法(JIS C 6471 8.1)に従って剥離した後のTEM像を観察した結果である。
・装置:TEM(日立製作所社、型式H9000NAR)
・加速電圧:300kV
・倍率:300000倍
・観察視野:60nm×60nm
<XPSによる測定>
被覆層のデプスプロファイルを作成した際のXPSの稼働条件を以下に示す。
・装置:XPS測定装置(アルバックファイ社、型式5600MC)
・到達真空度:3.8×10-7Pa
・X線:単色AlKα、X線出力300W、検出面積800μmφ、試料と検出器のなす角度45°
・イオン線:イオン種Ar+、加速電圧3kV、掃引面積3mm×3mm、スパッタリングレート2.3nm/min(SiO2換算)
・XPSの測定結果において、クロム酸化物と金属クロムの分離はアルバック社製解析ソフトMulti Pak V7.3.1を用いて行った。
<平均結晶粒径の測定>
樹脂との接着後、樹脂と接着しなかった面をりん酸中で電解研磨した後、表面を走査型電子顕微鏡で観察し、反射電子像(観察視野100μm×100μm、倍率500倍)を撮影した。写真上でJISH0501に基づき切断法で平均結晶粒径を算出した。
<接着性評価>
上記のようにしてポリイミドを積層した銅箔について、ピール強度を積層直後(常態)、温度150℃で空気雰囲気下の高温環境下に168時間放置した後(耐熱性)の二つの条件で測定した。ピール強度は180°剥離法(JIS C 6471 8.1)に準拠して測定した。
<エッチング性評価>
上記のようにしてポリイミドを積層した銅箔について、所定のレジストを用いてラインアンドスペース20μm/20μmの回路パターンを形成し、次にエッチング液(アンモニア水、塩化第二銅2水和物、温度40℃)を用いてエッチング処理した。表面をEPMAで測定し、残留しているCr及びNiを分析した。
×:回路間全面にCr又はNiが観察された
〇:回路間にCr又はNiが観察されなかった
測定結果を表2及び表3に示す。
No.1〜8は本発明の実施例であり、接着性及びエッチング性共に優れている。
No.9はNi層が厚く、エッチング性が悪かった。
No.10はCr層が厚く、エッチング性が悪かった。
No.11は、Ni層が薄く、接着性が全般的に悪かった。
No.12は、Crが薄く、接着性が全般的に悪かった。
No.13は、平均結晶粒径が大きすぎ、耐熱性が劣化した。
No.14は、平均結晶粒径が大きすぎ、耐熱性が劣化した。
No.15は、平均結晶粒径が小さすぎ、耐熱性が劣化した。
No.16は、平均結晶粒径が小さすぎ、耐熱性が劣化した。
No.17は、Ni層の影響を調べるための例である。発明例であるが、Ni層をスパッタリングするときの出力が小さすぎたため、被覆層中のNi濃度にばらつきが生じ、充分な接着性が得られなかった。
No.18も、Ni層の影響を調べるための例である。発明例であるが、Ni層をスパッタリングするときの出力が大きすぎたため、NiがCu母相と相互拡散してしまい、充分な接着性が得られなかった。
比較例
被覆層を以下の条件で設けた他は実施例4と同一の条件で各銅箔試料を製造した。
<No.19:Ni−Cr合金層>
スパッタリングターゲットとして、Ni:80質量%、Cr20質量%のNi−Cr合金を使用し、2.0nmの厚みの被覆層を形成した。
<No.20:Ni層1.0nm、Cr層1.0nmの電気めっき>
以下の条件でNi電気めっき及びCr電気めっき処理を順に施した。この比較例は特開2006−222185号公報に教示された方法と比較するためのものである。
(1)Niめっき
・めっき浴:スルファミン酸ニッケル(Ni2+として110g/L)、H3BO3(40g/L)
・電流密度:5.0A/dm2
・浴温:55℃
(2)Crめっき
・めっき浴:CrO3(250g/L)、H2SO4 : 1.5g/L
・電流密度:10A/dm2
・浴温:45℃
測定結果を表4及び表5に示す。
1 被覆層厚さ

Claims (12)

  1. 銅箔基材と、該銅箔基材表面の少なくとも一部を被覆する被覆層とを備えたプリント配線板用銅箔であって、
    該被覆層は銅箔基材表面から順に積層したNi層及びCr層で構成され、
    該被覆層にはCrが15〜210μg/dm2、Niが15〜440μg/dm2の被覆量で存在し、
    該被覆層の断面を透過型電子顕微鏡によって観察すると最大厚みが0.5〜5nmであり、最小厚みが最大厚みの80%以上であり、
    該銅箔は350℃で30分間加熱すると該銅箔基材の表面の平均結晶粒径が5〜30μmとなる、
    プリント配線板用銅箔。
  2. XPSによって表面から深さ方向分析したときにニッケルの原子濃度25%以上である区間が0.5nm以上存在する請求項1記載のプリント配線板用銅箔。
  3. XPSによる表面からの深さ方向分析から得られた全クロム及び酸素の深さ方向(x:単位nm)の原子濃度(%)をそれぞれf(x)、g(x)とすると、区間[1.0、2.5]において、0.6≦∫f(x)dx/∫g(x)dx≦2.2を満たす請求項1又は2記載のプリント配線板用銅箔。
  4. XPSによる表面からの深さ方向分析から得られた金属クロム及びクロム酸化物の深さ方向(x:単位nm)の原子濃度(%)をそれぞれf1(x)、f2(x)とすると、区間[0、1.0]において、0.1≦∫f1(x)dx/∫f2(x)dx≦1.0を満たし、区間[1.0、2.5]において、0.8≦∫f1(x)dx/∫f2(x)dx≦2.0を満たす請求項1〜3何れか一項記載のプリント配線板用銅箔。
  5. XPSによる表面からの深さ方向分析から得られた深さ方向(x:単位nm)のクロムの原子濃度(%)をf(x)とし、酸素の原子濃度(%)をg(x)とし、銅の原子濃度(%)をh(x)とし、ニッケルの原子濃度(%)をi(x)とし、炭素の原子濃度(%)をj(x)すると、区間[0、1.0]において、∫h(x)dx/(∫f(x)dx + ∫g(x)dx + ∫h(x)dx + ∫i(x)dx + ∫j(x)dx)が1.0%以下である請求項1〜4何れか一項記載のプリント配線板用銅箔。
  6. プリント配線板はフレキシブルプリント配線板である請求項1〜5何れか一項記載のプリント配線板用銅箔。
  7. ポリイミドワニスを乾燥体で25μmになるよう被覆層上に塗布し、空気下乾燥機で120℃で30分乾燥する工程と、更に窒素流量を10L/minに設定した高温加熱炉において350℃で30分加熱する工程とを経てポリイミドフィルムを被覆層上に接着し、次いで、温度150℃で空気雰囲気下の高温環境下に168時間放置してからポリイミドフィルムを180°剥離法(JIS C 6471 8.1)に従って被覆層から剥離した後の被覆層の断面を透過型電子顕微鏡によって観察すると最大厚みが0.5〜5nmであり、最小厚みが最大厚みの70%以上である請求項1〜6何れか一項記載のプリント配線板用銅箔。
  8. スパッタリング法によって銅箔基材表面の少なくとも一部を厚さ0.2〜5.0nmのNi層及び厚さ0.2〜3.0nmのCr層で順に被覆することを含み、該銅箔基材は350℃で30分間加熱すると表面の平均結晶粒径が5〜30μmとなる特性を有する、プリント配線板用銅箔の製造方法。
  9. 請求項1〜8何れか一項記載のプリント配線板用銅箔を材料とした銅張積層板。
  10. 銅箔基材の表面の平均結晶粒径が5〜30μmである請求項9記載の銅張積層板。
  11. 銅箔がポリイミドに接着している構造を有する請求項9又は10記載の銅張積層板。
  12. 請求項9〜11何れか一項記載の銅張積層板を材料としたプリント配線板。
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