JP7426476B2 - ワーク加工装置 - Google Patents

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Description

本明細書は、ワーク加工装置に関する。
ワーク加工装置の一形式として、特許文献1には、加工負荷監視方式により加工負荷を監視する数値制御工作機械が開示されている。その加工負荷監視方式においては、試切削時の複数回の加工負荷のサンプリングデータから、加工負荷の基準データと分散を求め(基準データ・テーブル)、その分散の値を用いてサンプリングデータのばらつきに応じたしきい値を設定し、負荷監視手段により、基準データと加工負荷の実測データとを一定時間毎に比較して、その差がしきい値を超えたか否かを検出して、加工負荷を監視している。
特開平7-132440号公報
上述した特許文献1に記載されているワーク加工装置において、複数のサンプリングデータ(実測データ)のなかには工作機械(加工)の異常を示す異常データなど他のサンプリングデータと比較して相対的に異なるデータ(異質データ)が含まれる場合があり、この場合には、加工負荷の基準データと分散とから設定される監視用のしきい値が誤って算出されるおそれがあった。その結果、加工負荷(加工状態)を適切に監視することができないおそれがあった。
このような事情に鑑みて、本明細書は、監視用のしきい値を適切に設定することができ、ひいては加工状態を適切に監視することができるワーク加工装置を開示する。
本明細書は、加工工具を使用してワークの加工を加工工程に沿って実行可能であるワーク加工装置であって、前記ワークの加工に係る物理量であって検出可能である検出可能物理量をサンプリング周期毎に検出する検出部と、前記加工工程に沿って前記検出可能物理量の状態を監視するための範囲であって監視開始ポイントから監視終了ポイントまでの監視範囲を、前記加工工程の運転中における前記検出部によって実際に検出された実検出データに基づいて設定する設定部と、前記設定部によって設定された前記監視範囲及び前記実検出データを表示装置に表示する表示部と、前記表示部に表示された前記実検出データ及び前記監視範囲を見た作業者による指定操作によって、前記実検出データのうち前記作業者が認定した認定データを含むように、前記監視範囲のうち調整したい範囲である調整範囲を指定する調整範囲指定部と、前記調整範囲指定部によって指定された前記調整範囲において、前記作業者が前記調整範囲の上限値を一度にまとめて拡大または縮小する操作キー及び/または前記調整範囲の下限値を一度にまとめて拡大または縮小する操作キーを操作する変更操作によって、変更前の前記上限値である変更前上限値変更後上限値及び/または変更前の前記下限値である変更前下限値を変更後下限値に変更する上下限値拡大縮小部と、を備えたワーク加工装置を開示する。
本開示によれば、設定部は、ワークの加工工程に沿って検出可能物理量の状態を監視するための監視範囲を、加工工程の運転中における検出部によって実際に検出された実検出データに基づいて設定する。そして、調整部は、加工工程のうち任意の一部の工程に対して、検出部にて検出された実検出データに基づいて、設定部によって設定された監視範囲の上限値及び/または下限値を調整することが可能となる。これにより、例えば、複数のサンプリングデータ(実測データ)のなかに異常データなど他のサンプリングデータと比較して相対的に異なるデータ(異質データ)が含まれている場合であっても、監視用のしきい値を適切に設定することができ、ひいては加工状態を適切に監視することができる。
ワーク加工装置が適用された加工システム10を示す正面図である。 図1に示す旋盤モジュール30Aを示す側面図である。 旋盤モジュール30Aを示すブロック図である。 入出力装置を示す正面図である。 負荷監視範囲調整画面を示す図である。 図1に示すドリミルモジュール30Bを示す側面図である。 ドリミルモジュール30Bを示すブロック図である。 図3に示す制御装置47にて実施されるプログラムを表すフローチャートである。 1回目のワーク加工の負荷データを示す図である。 1回目のワーク加工の負荷データ、2回目のワーク加工の負荷データ及び監視範囲の上下限値を示す図である。 1回目のワーク加工の負荷データ、2回目のワーク加工の負荷データ、3回目のワーク加工の負荷データ(異常データを含む)及び監視範囲の上下限値を示す図である。 図9(C)に示す監視範囲を調整した後の調整後監視範囲を示す図である。 最新の負荷データが監視範囲外となっており、その監視範囲外の負荷データは正常データであることを示す図である。 図11に示す監視範囲を調整した後の調整後監視範囲を示す図である。 図3に示す制御装置47にて実施されるプログラム(ワーク加工実施サブルーチン)を表すフローチャートである。 監視範囲を複数に区分した区分範囲、それら区分範囲と補正量との相関関係を示す図である。 図3に示す制御装置47にて実施されるプログラム(工具寿命判定サブルーチン)を表すフローチャートである。 監視範囲を複数に区分した区分範囲、それら区分範囲と変更量との相関関係を示す図である。
(加工システム)
以下、ワーク加工装置が適用された加工システムの一例である一実施形態について説明する。加工システム(ライン生産設備)10は、図1に示すように、複数のベースモジュール20と、そのベースモジュール20に設けられた複数(本実施形態では10個)の作業機モジュール30と、多関節ロボット(以下、ロボットと称する場合もある。)70(例えば、図2参照)と、を備えている。加工システム10は、複数のモジュール(ベースモジュール20や作業機モジュール30)をライン化して構成され、ワークWを機械加工する。以下の説明では、加工システム10に関する「前後」,「左右」,「上下」を、加工システム10の正面側から見た場合における前後,左右,上下として扱うこととする。
ベースモジュール20は、ワーク搬送装置であるロボット70及びロボット70を制御するロボット制御装置(不図示)を備えている。ロボット70は、マニュピレーション機能を有しておりワークWを解放可能に把持して搬送可能であると共に、移動(自走)機能を有しておりワークWを把持したまま移動可能である。
作業機モジュール30は、複数種類あり、旋盤モジュール30A、ドリミルモジュール30B、加工前ストックモジュール30C、加工後ストックモジュール30D、検測モジュール30E、仮置モジュール30Fなどである。
(旋盤モジュール)
旋盤モジュール30Aは、旋盤がモジュール化されたものである。旋盤は、加工対象物であるワークWを回転させて、固定した切削工具43aで加工する「ワーク加工装置」である。切削工具43aは、ワークWを加工する「加工工具」である。ワーク加工装置は、切削工具43a(加工工具)を使用してワークWの加工を加工工程に沿って実行可能である。旋盤モジュール30Aは、図2に示すように、可動ベッド41、主軸台42、工具台43、工具台移動装置44、加工室45、走行室46及びモジュール制御装置47(以下、制御装置47と称する場合もある。)を有している。
可動ベッド41は、複数の車輪41aを介してベースモジュール20に設けられたレール(不図示)上を前後方向に沿って移動する。主軸台42は、ワークWを回転可能に保持するものである。主軸台42は、前後方向に沿って水平に配置された主軸42aを回転可能に支持する。主軸42aの先端部にはワークWを把持するチャック42bが設けられる。主軸42aは、回転伝達機構42cを介してサーボモータ42dによって回転駆動される。サーボモータ42dの電流(駆動電流)は、電流センサ42e(図3参照)によって検出され、その検出結果は後述する制御装置47に出力されている。
工具台43は、切削工具43aに送り運動を与える装置である。工具台43は、いわゆるタレット型の工具台であり、ワークWの切削をする複数の切削工具43aが装着される工具保持部43bと、工具保持部43bを回転可能に支持するとともに所定の切削位置に位置決め可能である回転駆動部43cと、を有している。
工具台移動装置44は、工具台43ひいては切削工具43aを上下方向(X軸方向)及び前後方向(Z軸方向)に沿って移動させる装置である。工具台移動装置44は、工具台43をX軸方向に沿って移動させるX軸駆動装置44aと、工具台43をZ軸方向に沿って移動させるZ軸駆動装置44bとを有している。
X軸駆動装置44aは、可動ベッド41に設けられたコラム48に対して上下方向に沿って摺動可能に取り付けられたX軸スライダ44a1と、X軸スライダ44a1を移動させるためのサーボモータ44a2とを有している。Z軸駆動装置44bは、X軸スライダ44a1に対して前後方向に沿って摺動可能に取り付けられたZ軸スライダ44b1と、Z軸スライダ44b1を移動させるためのサーボモータ44b2とを有している。Z軸スライダ44b1には、工具台43が取り付けられている。サーボモータ44a2の電流(駆動電流)は、電流センサ44a3(図3参照)によって検出され、その検出結果は後述する制御装置47に出力されている。サーボモータ44b2の電流(駆動電流)は、電流センサ44b3によって検出され、その検出結果は後述する制御装置47に出力されている。
加工室45は、ワークWを加工するための部屋(空間)であり、加工室45の入出口45a1は、図示しないモータによって駆動するシャッタ45cによって開閉され、ロボット70に保持されたワークWが入出される。尚、シャッタ45cの開状態(開位置)を実線にて、閉状態(閉位置)を二点鎖線にて示す。走行室46は、加工室45の入出口45a1に臨んで設けられた部屋(空間)である。走行室46内は、ロボット70が走行可能である。
(モジュール制御装置、入出力装置など)
制御装置(モジュール制御装置)47は、主軸42a、回転駆動部43c、工具台移動装置44などを駆動制御する制御装置である。制御装置47は、図3に示すように、入出力装置47a、記憶装置47b、通信装置47c、回転駆動部43c、電流センサ42e,44a3,44b3及びサーボモータ42d,44a2,44b2に接続されている。制御装置47は、マイクロコンピュータ(不図示)を有しており、マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続された入出力インターフェース、CPU、RAMおよびROM(いずれも不図示)を備えている。CPUは、各種プログラムを実施して、入出力装置47a、記憶装置47b、通信装置47c及び電流センサ42e,44a3,44b3からデータを取得したり、入出力装置47a、主軸42a(サーボモータ42d)、回転駆動部43c及び工具台移動装置44(サーボモータ44a2,44b2)を制御したりする。RAMは同プログラムの実施に必要な変数を一時的に記憶するものであり、ROMは前記プログラムを記憶するものである。
入出力装置47aは、図1に示すように、作業機モジュール30の前面に設けられており、作業者が各種設定、各種指示などを制御装置47に入力したり、作業者に対して運転状況やメンテナンス状況などの情報を表示したりするためのものである。入出力装置47aは、HMI(ヒューマンマシンインターフェース)、マンマシンインターフェースなどの人間と機械とが情報をやり取りする装置である。
入出力装置47aは、図4に示す入出力装置11である。入出力装置11は、表示パネル11a、各個操作補助ボタン11b、警報ブザー11c、USB差込口11d、編集可/不可セレクトキー11e、非常停止ボタン11f、自動/各個セレクトスイッチ11g、運転準備ボタン11h、自動起動ボタン11i、連続切ボタン11j、NC起動ボタン11k、NC一時停止ボタン11l、主軸起動ボタン11m、主軸停止ボタン11n、タレット正転ボタン11o、タレット逆転ボタン11p、扉インターロックセレクトキー11q、扉ロック解除ボタン11r、実行ボタン11s、及び異常リセットボタン11tを備えている。
表示パネル11aは、各種情報を表示するタッチパネル式のモニターである。USB差込口11dは、データを入出力する際にUSBを差し込むためのポートである。編集可/不可セレクトキー11eは、記憶装置47b,57bや制御装置内の記憶装置に記憶されているプログラムやパラメータ等(例えば負荷監視範囲)のデータの編集操作を行うときに使用する。セレクトキー11eが左位置に位置するときには編集操作ができず、右位置に位置するときに編集操作が可能となる。尚、ドリミルモジュール30Bの入出力装置57aの構成もスイッチ/ボタンが多少異なるものの旋盤モジュール30Aの入出力装置47aの構成とほぼ同様である。
(表示パネル)
表示パネル11aには、図5に示す負荷監視範囲調整画面100が表示可能である。負荷監視範囲調整画面100は、負荷データを表示可能であるデータ表示部110、及び負荷データの負荷監視範囲を調整するための操作部120が表示されている。操作部120は、作業者によって入力操作可能である後述の各操作キー121~144を備えている。
波形表示キー121は、負荷データの波形全体を表示するためのキーである。縦軸キー122は、負荷データの波形表示の拡大・縮小を縦軸に反映するためのキーである。横軸キー123は、負荷データの波形表示の拡大・縮小を横軸に反映するためのキーである。表示縮小キー124は、負荷データの波形表示を縮小するためのキーである。表示拡大キー125は、負荷データの波形表示を拡大するためのキーである。保存キー126は、負荷データの負荷監視範囲の変更を保存するためのキーである。リターンキー127は、データ表示部110の表示を前の画面(一つ前の画面)に戻し、または操作を一つ前に戻すためのキーである。
表示軸選択キー128は、負荷データを表示する(監視範囲を調整したい)軸を選択するためのキーである。ここで、「軸」は、ワークWを加工するために駆動制御される駆動軸であり、例えば旋盤モジュール30Aでは切削工具43aの上下方向駆動軸であるX軸、切削工具43aの前後方向駆動軸であるZ軸、及びワークWを回転可能に支持する主軸42aである。表示位置移動キー129は、一連の負荷データのうち表示させたい所望の箇所(例えば、監視範囲)に表示位置(表示枠)を移動するためのキーである。
プログラム表示キー130は、データ表示部110に負荷データに代えてまたは同時に加工プログラムを表示するためのキーである。監視範囲左方移動キー131は、編集対象(変更対象)となる負荷データの監視範囲を編集(変更)するために左方向に移動させるためのキーである。選択中監視範囲表示ダイアログ132は、編集するために現在選択されている監視範囲の場所(監視箇所)を表示するダイアログを表示するためのキーである。このダイアログは、現在選択中(編集中)の監視範囲の順番と加工プログラム中の監視範囲の総数とを表示可能である。監視範囲右方移動キー133は、編集対象となる負荷データの監視範囲を編集するために右方向に移動させるためのキーである。
調整(編集)範囲開始位置指定キー134は、編集(調整)対象となる負荷データの監視範囲のうち、上限値及び/または下限値を編集(調整)する範囲(調整範囲)の開始位置を指定するためのキーである。調整(編集)範囲終了位置指定キー135は、編集(調整)対象となる負荷データの監視範囲のうち、上限値及び/または下限値を編集(調整)する範囲(調整範囲)の終了位置を指定するためのキーである。このように指定した開始位置と終了位置とにより規定された範囲を指定範囲ともいう。
上限値拡大キー136は、調整範囲(指定範囲)の上限値を広げる(換言すると、上限値を画面の上下方向に沿って拡大する)ためのキーである。この場合、指定範囲の変更(調整)後の上限値は、変更(調整)前の上限値を上方に向けて平行移動されたものとなるが、その移動量は、作業者が任意に設定することが可能である。上限値縮小キー137は、調整範囲(指定範囲)の上限値を狭める(換言すると、上限値を画面の上下方向に沿って縮小する)ためのキーである。この場合、指定範囲の変更後の上限値は、変更前の上限値を下方に向けて平行移動されたものとなるが、その移動量は、作業者が任意に設定することが可能である。
下限値拡大キー138は、調整範囲(指定範囲)の下限値を広げる(換言すると、下限値を画面の上下方向に沿って拡大する)ためのキーである。この場合、指定範囲の変更後の下限値は、変更前の下限値を下方に向けて平行移動されたものとなるが、その移動量は、作業者が任意に設定することが可能である。下限値縮小キー139は、調整範囲(指定範囲)の下限値を狭める(換言すると、下限値を画面の上下方向に沿って縮小する)ためのキーである。この場合、指定範囲の変更後の下限値は、変更前の下限値を上方に向けて平行移動されたものとなるが、その移動量は、作業者が任意に設定することが可能である。
上限値最大化キー140は、調整範囲(指定範囲)の上限値を指定範囲内の最大値まで広げる(換言すると、上限値をその最大値に統一する)ためのキーである。この場合、指定範囲の上限は、指定範囲内の最大値にて平らにすることが可能となる。尚、上限値は、指定範囲内の最大値まででなく、指定範囲内の最大値より大きい値である任意の値(例えば負荷データの取り得る最大値未満)まで広げるようにしてもよい。上限値最小化キー141は、調整範囲(指定範囲)の上限値を指定範囲内の最小値まで狭める(換言すると、上限値をその最小値に統一する)ためのキーである。この場合、指定範囲の上限は、指定範囲内の最小値にて平らにすることが可能となる。尚、上限値は、指定範囲内の最小値まででなく、指定範囲内の最小値より小さい値である任意の値(例えば指定範囲の下限値より大きい値)まで狭めるようにしてもよい。
下限値最小化キー142は、調整範囲(指定範囲)の下限値を指定範囲内の最小値まで広げる(換言すると、下限値をその最小値に統一する)ためのキーである。この場合、指定範囲の下限は、指定範囲内の最小値にて平らにすることが可能となる。尚、下限値は、指定範囲内の最小値まででなく、指定範囲内の最小値より小さい値である任意の値(例えば0(ゼロ)より大きい値)まで広げるようにしてもよい。下限値最大化キー143は、調整範囲(指定範囲)の下限値を指定範囲内の最大値まで狭める(換言すると、下限値をその最大値に統一する)ためのキーである。この場合、指定範囲の下限は、指定範囲内の最大値にて平らにすることが可能となる。尚、下限値は、指定範囲内の最大値まででなく、指定範囲内の最大値より大きい値である任意の値(例えば指定範囲の上限値より小さい値)まで狭めるようにしてもよい。
リセットキー144は、編集操作をリセットするためのキーである。また、キーは、スイッチ、押しボタンのことである。
記憶装置47bは、旋盤モジュール30Aの制御に係るデータ、例えば、制御プログラム(加工プログラム)、制御プログラムで使用するパラメータ、各種設定や各種指示に関するデータ、負荷データなどを記憶している。通信装置47cは、インターネットを介して、同一加工システム内における他のモジュールとの間の相互通信、異なる加工システムとの間の相互通信、又は複数の加工システムを統括管理する統括コンピュータとの間の相互通信を行うための装置である。
(ドリミルモジュール)
ドリミルモジュール30Bは、ドリルによる孔開けやミーリング加工等を行うマシニングセンタがモジュール化されたものである。マシニングセンタは、固定したワークWに対し、回転する工具(回転工具)を押し当てて加工する「ワーク加工装置」である。ドリミルモジュール30Bは、図6に示すように、可動ベッド51、主軸ヘッド52、主軸ヘッド移動装置53、ワークテーブル54、加工室55、走行室56及びモジュール制御装置57(本明細書にて制御装置57と称する場合もある。)を有している。
可動ベッド51は、複数の車輪51aを介してベースモジュール20に設けられたレール(不図示)上を前後方向に沿って移動する。主軸ヘッド52は、主軸52aを回転可能に支持する。主軸52aの先端(下端)部には、ワークWの切削をする切削工具52b(例えば、ドリルやエンドミル等)が主軸チャックを介して装着可能である。主軸52aは、サーボモータ52cによって回転駆動される。主軸チャックは、切削工具52bをクランプ/アンクランプする。サーボモータ52cの電流(駆動電流)は、電流センサ52d(図7参照)によって検出され、その検出結果は後述する制御装置57に出力されている。切削工具52bは、ワークWを加工する「加工工具」である。
主軸ヘッド移動装置53は、主軸ヘッド52ひいては切削工具52bを上下方向(Z軸方向)、前後方向(Y軸方向)及び左右方向(X軸方向)に沿って移動させる装置である。主軸ヘッド移動装置53は、主軸ヘッド52をZ軸方向に沿って移動させるZ軸駆動装置53aと、主軸ヘッド52をX軸方向に沿って移動させるX軸駆動装置53bと、主軸ヘッド52をY軸方向に沿って移動させるY軸駆動装置53cと、を有している。Z軸駆動装置53aは、X軸スライダ53eに対して摺動可能に取り付けられたZ軸スライダ53dをZ軸方向に沿って移動させる。Z軸スライダ53dには、主軸ヘッド52が取り付けられている。X軸駆動装置53bは、Y軸スライダ53fに対して摺動可能に取り付けられたX軸スライダ53eをX軸方向に沿って移動させる。Y軸駆動装置53cは、可動ベッド51に設けられた本体58に対して摺動可能に取り付けられたY軸スライダ53fをY軸方向に沿って移動させる。Z軸駆動装置53a、X軸駆動装置53b及びY軸駆動装置53cは、内蔵の各サーボモータ53a1,53b1,53c1(図7参照)をそれぞれ駆動源として機能する。各サーボモータ53a1,53b1,53c1の電流(駆動電流)は、各電流センサ53a2,53b2,53c2(図7参照)によってそれぞれ検出され、それら検出結果は後述する制御装置57に出力されている。
ワークテーブル54は、チャック54bを介してワークWを固定保持する。ワークテーブル54は、本体58の前面に設けられたワークテーブル回転装置54aに固定されている。ワークテーブル回転装置54aは、前後方向に沿って延びる軸線まわりに回転駆動される。
加工室55は、ワークWを加工するための部屋(空間)であり、加工室55の入出口55a1は、図示しないモータによって駆動するシャッタ55cによって開閉され、ロボット70に保持されたワークWが入出される。走行室56は、加工室55の入出口55a1に臨んで設けられた部屋(空間)である。走行室56内は、ロボット70が走行可能である。尚、隣り合う走行室46(または56)は、加工システム10の並設方向全長に亘って連続する空間を形成する。
(モジュール制御装置、入出力装置など)
制御装置(モジュール制御装置)57は、主軸52a、主軸ヘッド移動装置53などを駆動制御する制御装置である。制御装置57は、図7に示すように、入出力装置57a、記憶装置57b、通信装置57c、ワークテーブル54、電流センサ52d,53a2,53b2,53c2及びサーボモータ52c,53a1,53b1,53c1に接続されている。制御装置57は、マイクロコンピュータ(不図示)を有しており、マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続された入出力インターフェース、CPU、RAMおよびROM(いずれも不図示)を備えている。CPUは、各種プログラムを実施して、入出力装置57a、記憶装置57b、通信装置57c及び電流センサ52d,53a2,53b2,53c2からデータを取得したり、入出力装置57a、主軸52a(サーボモータ52c)及び主軸ヘッド移動装置53(サーボモータ53a1,53b1,53c1)を制御したりする。RAMは同プログラムの実施に必要な変数を一時的に記憶するものであり、ROMは前記プログラムを記憶するものである。
入出力装置57aは、図1に示すように、作業機モジュール30の前面に設けられており、入出力装置47aと同様に機能する。記憶装置57bは、ドリミルモジュール30Bの制御に係るデータ、例えば、制御プログラム(加工プログラム)、制御プログラムで使用するパラメータ、各種設定や各種指示に関するデータ、負荷データなどを記憶している。通信装置57cは、通信装置47cと同様な装置である。
(ストックモジュール、検測モジュール等)
加工前ストックモジュール30Cは、加工システム10にワークWを投入するモジュール(ワーク投入モジュール)である。加工後ストックモジュール30Dは、加工システム10によって実施されるワークWに対する一連の加工工程が完了した完成品を収納して排出するモジュール(ワーク排出モジュール)である。検測モジュール30Eは、上流にて加工されたワークW(例えば加工中又は加工後のワークW)を検測(測定、計測)するもの(計測装置)である。仮置モジュール30Fは、加工システム10による一連の加工工程中において、ワークWを仮置きするためのものである。検測モジュール30E及び仮置モジュール30Fは、旋盤モジュール30A及びドリミルモジュール30Bと同様に、走行室(不図示)を有している。
(ワークの加工)
さらに、上述したワーク加工装置(旋盤モジュール30A)によるワークWの加工(切削)について図8に示すフローチャートに沿って説明する。制御装置47は、本フローチャートに沿った処理を実施する。
制御装置47は、ステップS102において、旋盤モジュール30Aにて新たなワークWの加工(所定数量)の開始の指示があったか否かを判定する。制御装置47は、ワークWを加工するための加工プログラムが新たに開始されている場合には、ワークWの加工開始の指示があったと判定し(ステップS102にて「YES」)、プログラムをステップS104に進める。制御装置47は、ワークWを加工するための加工プログラムが新たに開始されていない場合には、ワークWの加工開始の指示がなかったと判定し(ステップS102にて「NO」)、ワークWの加工開始指示があるまでステップS102の判定処理を繰り返し実施する。
制御装置47は、ステップS104において、先に開始されたワークWの加工(所定数量)の終了の指示があったか否かを判定する。制御装置47は、加工プログラムが終了した場合には、ワークWの加工終了の指示があったと判定し(ステップS104にて「YES」)、本フローチャートを終了する。制御装置47は、加工プログラムが終了していない場合には、ワークWの加工終了の指示がなかったと判定し(ステップS104にて「NO」)、プログラムをステップS106に進める。
制御装置47は、ステップS106において、ワークWの加工を加工プログラムに従って実施する。加工プログラムは、複数の加工処理(加工小工程)を含んでおり、制御装置47は、これら加工処理をプログラムの順番に沿って実施する。
制御装置47は、ステップS108において、ワークWの加工に係る物理量であって検出可能である検出可能物理量である加工負荷を、実際に検出された実検出データとして検出する(検出部)。具体的には、加工負荷は、ワークWを切削工具43aにより切削(加工)する際に発生する負荷であり、加工に対して抵抗となる物理量(加工抵抗)である。ここでは、加工負荷は、駆動する側(本実施例では、上述した各サーボモータ)に対して、加工抵抗を発生させるワークWや切削工具43a(駆動される側)が及ぼす力や消費するエネルギーの大きさをいい、例えば駆動軸にかかるトルク負荷のことをいう。
ステップS108においては、制御装置47は、主軸42aを駆動するためのサーボモータ42dの駆動電流を検出した電流センサ42eから取得し、その検出電流からサーボモータ42dの加工負荷(主軸42aにかかるトルク負荷(主軸加工負荷))を導出することができる。例えば、加工負荷は、駆動電流と加工負荷との相関関係を示すマップまたは演算式を使用することにより、検出電流に対応する加工負荷として導出される。主軸加工負荷と同様に、サーボモータ44a2の加工負荷であるX軸加工負荷、及びサーボモータ44b2の加工負荷であるZ軸加工負荷も導出することができる。
尚、加工負荷の検出は、所定の短時間(本実施例のサンプリング周期は、数msec(例えば8msec))毎に実施される。加工負荷の検出は、一連の加工プログラム(加工工程)において所定の複数の加工ポイントにて実施されるようになっており、同じ加工プログラムであれば、ワークW毎に同じ加工ポイントにて加工負荷をそれぞれ検出することが可能となっている。
例えば、加工回数毎において加工ポイント毎に加工負荷が検出・記憶される。1回目のワーク加工の負荷データ(サンプリングデータ)は、図9(A)に示すように、三角印で示している。尚、図9(A)においては、1回目のサンプリングデータは実線で結ばれている。2回目のワーク加工のサンプリングデータは、図9(B)に示すように四角印で示している。尚、図9(B)においては、1回目のサンプリングデータは破線で結ばれており、2回目のサンプリングデータは実線で結ばれている。また、監視範囲の上下限値は太い実線で示されている。また、図9において、各サンプリングデータは、加工ポイント(破線で示す)上に配設されている。加工ポイントは、例えば、加工工程中の任意の加工場所であり、加工時刻、すなわち加工開始時刻からの経過時間でもよい。
制御装置47は、ステップS110において、検出した加工負荷(実検出データ)を一連の負荷データとして記憶装置47bに記憶する。負荷データは、加工されるワークW毎に加工ポイントにて(サンプリング周期間隔にて)記憶されている。このように、上述したステップS106~110の処理は、負荷データをサンプリングするための処理である。
さらに、制御装置47は、加工工程に沿って加工負荷の状態を監視するための監視範囲を、加工工程の運転中における上記ステップS108の処理(検出部)によって実際に検出された実検出データに基づいて設定する(ステップS116:設定部)。すなわち、制御装置47は、ワークWの加工(ワーク加工)をN回実施し、N回分の負荷データ(実検出データ)を使用することにより、監視範囲を自動的に設定する。尚、監視範囲は、加工工程に沿って加工負荷(検出可能物理量)の状態を監視(判定)するための範囲である。負荷データが監視範囲内にあれば、加工負荷は正常状態であり、監視範囲外であれば、加工負荷は異常状態である。監視範囲は、加工工程に沿った方向では監視を開始する監視開始ポイントから監視を終了する監視終了ポイントまでの間の範囲である。監視範囲は、加工負荷の大きさに沿った方向では上限値と下限値とによって規定される範囲である。また、Nは自然数であり、N回は数回~十数回に設定される。
具体的には、制御装置47は、1回目からN回目までのワーク加工を実施し、ワーク加工毎の負荷データを記憶し(ステップS112,114にてそれぞれ「NO」と判定)、ワーク加工毎の負荷データを使用して監視範囲を設定する(ステップS112,114にて「NO」,「YES」と判定後、ステップS116にて)。このとき、ステップS116において、制御装置47は、加工ポイント毎に監視範囲の上限値と下限値を設定する。加工ポイントのN個分の負荷検出値のうち最大値を上限値とし、最小値を下限値として設定することができる。
例えば、図9(B)に示すように、1回目のサンプリングデータ(三角印+破線)と2回目のサンプリングデータ(四角印+実線)を重ねた場合、各加工ポイントにおいて負荷データのうち最大値が監視範囲の上限値として設定され、負荷データのうち最小値が下限値として設定される。例えば、監視開始ポイントでは、監視範囲の上限値は1回目の負荷データであり、下限値は2回目の負荷データである。監視終了ポイントでは、監視範囲の上限値は2回目の負荷データであり、下限値は1回目の負荷データである。
さらに、図9(C)に示すように、3回目のサンプリングデータ(丸印+実線)を重ねた場合、各加工ポイントにおいて負荷データのうち最大値が監視範囲の上限値として設定され、負荷データのうち最小値が下限値として設定される。図9(C)に示す監視範囲は、図9(B)に示す監視範囲と比較して、監視開始ポイントから右に4番目の加工ポイントの上限値が2回目の負荷データよりかなり大きい値となる点が異なる。
尚、ステップS116において、監視範囲の上下限値が設定されるとともに、フラグFは1に設定される。フラグFは、N回分の負荷データによって監視範囲が設定されたか否かを示すフラグであり、フラグFが「1」であるときに監視範囲が設定済みである旨を示し、フラグFが「0」であるときに監視範囲が未設定である旨を示す。尚、ワーク加工開始指示があったときに、フラグFは「0」に設定される。
また、ステップS112において、フラグFが1であるか否かが判定される。制御装置47は、ワークWの加工が開始された後から監視範囲の上下限値が設定されるまでの間は、フラグFは「0」であり、ステップS112にて「NO」と判定する。制御装置47は、監視範囲の上下限値が設定済みとなった場合には、フラグFは「1」となり、ステップS112にて「YES」と判定し、ステップS114,116の処理を省略してプログラムをステップS124以降に移動する。
また、ステップS114において、上述したワーク加工、加工負荷の検出及び負荷データの記憶がN回実施されたか否かを判定する。制御装置47は、1回目のワーク加工を開始した後であって、N回目のワーク加工が終了する前までは、ワーク加工等がN回終了していないと判定し(ステップS114にて「NO」)、プログラムをステップS104に戻す。制御装置47は、N回目のワーク加工が終了すると、ワーク加工等がN回終了したと判定し(ステップS114にて「YES」)、プログラムをステップS116に進める。
制御装置47は、取得したN回分のサンプリングデータ及び監視範囲を使用して、監視範囲の上下限値の調整が必要であるか検討し、必要であれば監視範囲の上下限値を調整することにより、監視範囲の上下限値を見直す(ステップS118~122)。
具体的には、制御装置47は、プログラムをステップS118に進めて、監視範囲の上下限値を調整するか否かを作業者に判断させるために、負荷データ(実検出データ)及び先に設定または調整した監視範囲をデータ表示部110に表示する。本実施形態では、上述した「N回」を3回に設定しており、図9(C)に示されるように、3回分の負荷データ(サンプリングデータ)と、設定された上下限値を有する監視範囲とがデータ表示部110に表示される。1回目のサンプリングデータは三角印+破線で、2回目のサンプリングデータは四角印+一点鎖線で、3回目のサンプリングデータは丸印+実線で示されている。
作業者が、このようにデータ表示部110に表示された実検出データ及び監視範囲を見て、監視範囲の調整が必要であると考えた場合には、監視範囲を調整するための調整操作を行う。一方、監視範囲の調整が不要であると考えた場合には、作業者は調整操作を行わない。
調整操作は、作業者が調整したい監視範囲を含む軸を選択したり、調整したい監視範囲を選択したり、監視範囲のうち調整したい範囲(調整範囲、指定範囲)を指定したり、指定範囲(ひいては監視範囲)の上限値を拡大・縮小したり、指定範囲の下限値を拡大・縮小したりする操作である。
具体的には、調整したい軸を選択する場合、作業者は、表示軸選択キー128を操作する。調整したい監視範囲(加工小工程)を選択する場合、作業者は、表示位置移動キー129、監視範囲左方移動キー131及び監視範囲右方移動キー133のうちいずれかを操作する。
編集(調整)対象となる負荷データの監視範囲のうち、上限値及び/または下限値を編集(調整)する範囲(調整範囲)の開始位置を指定する場合、作業者は、調整(編集)範囲開始位置指定キー134を操作する。調整範囲の終了位置を指定する場合、作業者は調整(編集)範囲終了位置指定キー135を操作する。
上限値を拡大する場合、作業者は、上限値拡大キー136または上限値最大化キー140を操作する。上限値を縮小する場合、作業者は、上限値縮小キー137または上限値最小化キー141を操作する。下限値を拡大する場合、作業者は、下限値拡大キー138または下限値最小化キー142を操作する。下限値を縮小する場合、作業者は、下限値縮小キー139または下限値最大化キー143を操作する。尚、編集後の監視範囲を保存する場合、作業者は、保存キー126を操作する。
制御装置47は、監視範囲に対する上述の調整操作がなかった場合には、ステップS120にて「NO」と判定し、プログラムをステップS124以降に進める。一方、制御装置47は、監視範囲に対する調整操作があった場合には、ステップS120にて「YES」と判定し、監視範囲の上下限値の全部または一部を調整操作に応じて変更し、変更後(調整後)の監視範囲を表示する(ステップS122)。制御装置47は、ステップS122において、加工工程のうち任意の一部の工程に対して、ステップS108(検出部)にて検出された実検出データに基づいて、ステップS116(設定部)によって設定された監視範囲の上限値及び/または下限値を調整可能である(調整部)。
本実施形態では、ワーク加工N回後の監視範囲の上下限値は、図9(C)に示すように、右から4番目の加工ポイントにて上方に大きく突出している。これは、3回目のサンプリングデータの4番目の実検出データが比較的大きな値を取ったためである。しかし、実際にはこの4番目の実検出データは異常データであることを、作業者は認定することができた。このようなケースにおいて、異常データである4番目の実検出データを上限値の設定に反映させないようにするのが望ましい。そのため、4番目の加工ポイントの上限値を下方に移動させるために、作業者は調整操作を実施する。
具体的には、作業者は、表示位置移動キー129、監視範囲左方移動キー131及び監視範囲右方移動キー133のうちいずれかを操作することにより、図10に示す調整したい監視範囲を選択する。次に、作業者は、調整(編集)範囲開始位置指定キー134を操作することにより、調整範囲の開始位置を指定するとともに、調整(編集)範囲終了位置指定キー135を操作することにより、調整範囲の終了位置を指定する。そして、作業者は、上限値最小化キー141を操作することにより、図10に示すように、開始位置から終了位置までの間における最小値である3番目の加工ポイントの上限値まで狭め、ひいては上限値を縮小する。
このように、ステップS122(調整部)は、実検出データが異常データである場合に、ステップS116(設定部)によって設定された監視範囲に異常データが含まれないように、監視範囲の上限値(及び/または下限値)を調整可能である。
制御装置47は、最初に設定された監視範囲に対して上述の調整操作がなかった場合には(ステップS120にて「NO」と判定)、ステップS124において、最初に設定された監視範囲が表示された以降に検出した加工負荷である負荷検出値が監視範囲内であるか否かを判定する。
制御装置47は、負荷検出値が監視範囲内であると判定した場合には(ステップS124にて「YES」)、プログラムをステップS104に戻し、上述したステップS104~112の一連の処理(監視範囲設定を除く)を加工プログラムに沿って実施する。制御装置47は、負荷検出値が監視範囲内でないと判定した場合には(ステップS124にて「NO」)、プログラムをステップS126に進めて、上述したステップS118と同様に、監視範囲の上下限値を調整するか否かを作業者に判断させるために、負荷データ(実検出データ)及び先に設定または調整した監視範囲をデータ表示部110に表示する。
作業者が、このようにデータ表示部110に表示された実検出データ及び監視範囲を見て、監視範囲の調整が必要であると考えた場合には、上記と同様に調整操作を行う。一方、監視範囲の調整が不要であると考えた場合には、作業者は調整操作を行わない。
制御装置47は、監視範囲に対する調整操作がなかった場合には、ステップS128にて「NO」と判定し、プログラムをステップS130以降に進め、ワークWの加工を停止する(ステップS130)とともに警告を発し(ステップS132)、本フローチャートを終了する。一方、制御装置47は、監視範囲に対する調整操作があった場合には、ステップS128にて「YES」と判定し、監視範囲の上下限値を調整操作に応じて変更し、変更後(調整後)の監視範囲を表示する(ステップS134)。制御装置47は、ステップS134において、加工工程のうち任意の一部の工程に対して、ステップS108(検出部)にて検出された実検出データに基づいて、ステップS116または122(設定部)によって設定された監視範囲の上限値及び/または下限値を調整可能である(調整部)。
例えば、図11に示すように、最新の負荷データ(丸印+実線で示す)は、監視開始ポイントから右に4番目の加工ポイントにて上限値を大きく超えていると仮定する。しかし、実際にはこの4番目の実検出データは正常データであることを、作業者は認定(確認)することができた。このようなケースにおいて、正常データである4番目の実検出データを上限値の設定に反映させるようにするのが望ましい。そのため、4番目の加工ポイントの上限値を上方に移動させるために、作業者は調整操作を実施する。
具体的には、作業者は、表示位置移動キー129、監視範囲左方移動キー131及び監視範囲右方移動キー133のうちいずれかを操作することにより、図12に示す調整したい監視範囲を選択する。次に、作業者は、調整(編集)範囲開始位置指定キー134を操作することにより、調整範囲の開始位置を指定するとともに、調整(編集)範囲終了位置指定キー135を操作することにより、調整範囲の終了位置を指定する。そして、作業者は、上限値最大化キー140を操作することにより、図12に示すように、開始位置から終了位置までの間における最小値である4番目の加工ポイントの上限値より大きい値まで広げ、ひいては上限値を拡大する。
このように、ステップS134(調整部)は、実検出データが正常データである場合に、ステップS116または122(設定部)によって設定された監視範囲に正常データが含まれるように、監視範囲の上限値及び/または下限値を調整可能である。
尚、上述した工作機械(ドリミルモジュール30B)によるワークWの加工(切削)についても、上述した旋盤モジュール30Aと同様に図8に示すフローチャートに沿った制御が実施可能である。この場合、制御は、制御装置47に代えて制御装置57によって行われる。
(本実施形態の作用効果)
上述した実施形態によるワーク加工装置(旋盤モジュール30A,ドリミルモジュール30B)は、切削工具43a(加工工具)を使用してワークWの加工を加工工程に沿って実行可能であるワーク加工装置であって、ワークWの加工に係る物理量であって検出可能である加工負荷(検出可能物理量)を検出する検出部(制御装置47,57:ステップS108)と、加工工程に沿って加工負荷の状態を監視(判定)するための監視範囲を、加工工程の運転中におけるステップS108によって実際に検出された実検出データに基づいて設定する設定部(制御装置47,57:ステップS116,122)と、加工工程のうち任意の一部の工程に対して、ステップS116,122(設定部)にて使用された実検出データ及びステップS108(検出部)にて検出された実検出データに基づいて、ステップS116,122によって設定された前記監視範囲の上限値及び/または下限値を調整可能である調整部(制御装置47,57:ステップS122,134)と、を備えている。
これによれば、設定部は、ワークの加工工程に沿って加工負荷(検出可能物理量)の状態を監視するための監視範囲を、加工工程の運転中における検出部によって実際に検出された実検出データに基づいて設定する。そして、調整部は、加工工程のうち任意の一部の工程に対して、設定部にて使用された実検出データ及び検出部にて検出された実検出データ(少なくとも検出部にて検出された実検出データ)に基づいて、設定部によって設定された監視範囲の上限値及び/または下限値を調整することが可能となる。これにより、例えば、複数のサンプリングデータ(実測データ)のなかに異常データなど他のサンプリングデータと比較して相対的に異なるデータ(異質データ)が含まれている場合であっても、監視用のしきい値(上下限値)を適切に設定することができ、ひいては加工状態を適切に監視することができる。
また、調整部は、実検出データが異常データである場合に、設定部によって設定された監視範囲に異常データが含まれないように、監視範囲の上限値及び/または下限値を調整可能である。これによれば、異常データである実検出データに基づいて監視範囲が設定された場合であっても、調整部が、監視範囲に異常データが含まれないように、監視範囲の上限値及び/または下限値を調整することが可能となる。その結果、異常データの影響を受けない監視範囲を確実に設定することができる。
また、調整部は、実検出データが正常データである場合に、設定部によって設定された監視範囲に正常データが含まれるように、監視範囲の上限値及び/または下限値を調整可能である。これによれば、監視範囲の上下限値を設定する際に本来採用されるべき正常データである実検出データに基づいて、適切な監視範囲を設定することができる。
(ワーク加工の補正)
さらに、上述したワーク加工装置(旋盤モジュール30A)によるワーク加工の補正について図13に示すフローチャートに沿って説明する。本フローチャートは、上述したステップS106にて実施されるサブルーチン(ワーク加工実施サブルーチン)であり、制御装置47は、本サブルーチンに沿った処理を実施する。
制御装置47は、ステップS202において、後述する工具寿命判定サブルーチンに沿って加工工具の寿命判定を実施する。制御装置47は、ステップS204において、切削指示値を取得し、ステップS206において、負荷データを取得する。
制御装置47は、ステップS208において、切削指示値の補正が必要であるか否かを判定する。具体的には、制御装置47は、先に設定された監視範囲を複数に区分した区分範囲(図14に示す)と、先に取得した負荷データである実検出データとを比較して、監視範囲及び区分範囲に対する実検出データの位置関係に応じて、切削指示値の補正要否を判定する。尚、先に設定された監視範囲は、加工工具の使用開始当初のものが好ましい。
例えば、本実施形態では、監視範囲は、上限値と下限値との間が上下方向に沿って5つに区分(等分)されており、監視範囲の上下方向中央部に第1区分範囲(「OK」区分範囲)、第1区分範囲の上方に設けられた第2区分範囲(「+OK1」区分範囲)及び第3区分範囲(「+OK2」区分範囲)、第1区分範囲の下方に設けられた第4区分範囲(「-OK1」区分範囲)及び第5区分範囲(「-OK2」区分範囲)から構成されている。
尚、回転するワークWの外壁面を切削工具43aにより加工する場合(すなわちワークWの回転軸に向けて切削工具43aを接触させて加工する場合)、切削工具43aが摩耗すると、加工負荷が監視範囲の上下方向中央より上方に位置する。回転するワークWの内壁面を切削工具43aにより加工する場合(すなわちワークWの回転軸から離れる方向に向けて切削工具43aを接触させて加工する場合)、切削工具43aが摩耗すると、加工負荷が監視範囲の上下方向中央より下方に位置する。また、切削工具43aの摩耗が大きくなると、加工負荷が大きくなるため、加工負荷が監視範囲の上下方向中央から離れるにしたがって補正量を大きく設定するようになっている。
このように、区分範囲と補正量とは相関関係があり、本実施形態では、図14に示すように、区分範囲が「OK」区分範囲である場合には、補正量は0(ゼロ)であり、区分範囲が「+OK1」区分範囲である場合には、補正量は-0.1mmであり、区分範囲が「+OK2」区分範囲である場合には、補正量は-0.2mmであり、区分範囲が「-OK1」区分範囲である場合には、補正量は+0.1mmであり、区分範囲が「-OK2」区分範囲である場合には、補正量は+0.2mmである。
制御装置47は、実検出データが監視範囲外であれば、基本的には加工負荷に異常があるとしてワーク加工の実施を行われず切削指示値を補正する必要がないため、切削指示値の補正は不要であると判定する。また、制御装置47は、実検出データが監視範囲内であって「OK」区分範囲内にある場合には、切削工具43aの摩耗はほとんどない(比較的に少ない)ため、切削指示値の補正は不要であると判定する。一方、制御装置47は、実検出データが監視範囲内であって「OK」区分範囲以外にある場合には、切削工具43aの摩耗が相当量ある(比較的に多い)ため、切削指示値の補正は必要であると判定する。
制御装置47は、切削指示値の補正が必要でないと判定した場合には(ステップS208にて「NO」と判定)、プログラムをステップS214に進め、補正していない切削指示値にてワークWを切削(加工)する。その後、制御装置47は、本サブルーチンを終了して、プログラムを図8に示すステップS108に進める。
制御装置47は、切削指示値の補正が必要であると判定した場合には(ステップS208にて「YES」と判定)、プログラムをステップS210以降に進め、切削指示値の補正(変更)を実施する。すなわち、制御装置47は、ステップS108(検出部)によって加工工程中に検出された実検出データと、監視範囲を複数に区分した区分範囲に対応した補正量と、を比較した比較結果に応じて、ワーク加工の制御のために設定される設定値であって切削工具43aの摩耗に係る制御用設定値である、切削工具43aに対する切削指示値の補正量(ひいては切削指示値)を変更する(変更部、ステップS210,212)
制御装置47は、ステップS210において、切削指示値の補正量を算出する。具体的には、制御装置47は、区分範囲と補正量との相関関係を使用して、ステップS206にて取得した負荷データが位置する区分範囲に対応した補正量を算出する。制御装置47は、ステップS212において、算出した補正量によって切削指示値を補正(変更)する。そして、制御装置47は、プログラムをステップS214に進め、補正後の切削指示値にてワークWを切削(加工)する。その後、制御装置47は、本サブルーチンを終了して、プログラムを図8に示すステップS108に進める。
(作用効果)
上述したワーク加工装置は、検出部によって加工工程中に検出された実検出データと、監視範囲を複数に区分した区分範囲に対応した補正量と、を比較した比較結果に応じて、加工の制御のために設定される設定値であって切削工具43aの摩耗に係る制御用設定値を変更する変更部(制御装置47,57:ステップS210,212)をさらに備えている。これによれば、変更部が、実検出データと監視範囲を複数に区分した区分範囲に対応した補正量とを比較した比較結果に応じて、制御用設定値を簡便かつ適切に変更することが可能となる。その結果、ワークの加工の制御を簡便かつ適切に実施することが可能となる。
また、制御用設定値は、切削工具43aに対する切削指示値である。これによれば、変更部が、実検出データと監視範囲を複数に区分した区分範囲に対応した補正量とを比較した比較結果に応じて、制御用設定値である加工工具に対する切削指示値を変更することが可能となる。その結果、ワーク加工の切削補正を簡便かつ適切に実施することが可能となる。
また、ワーク加工装置の一形式として、特許文献(特開2005-324316号公報)には、仕様情報に基づく光学部品の加工において、計測部にて、加工された光学部品の特性を計測し、加工情報生成部にて、その計測情報と仕様情報に基づいて加工情報を補正し、この補正された加工情報に従って加工装置が光学部品(ワーク)の加工を行う光学部品加工システムが開示されている。このワーク加工装置においては、計測部にて計測した計測情報等に基づいてワークを加工するための加工情報を補正するようになっており、ワーク加工装置を含んでなる加工システムが計測部の分だけ大型化かつ高コストとなるという問題がある。これに対して、本明細書に開示されたワーク加工装置は、加工システムの大型化かつ高コスト化を招くことなく、ワークの加工の制御を簡便かつ適切に実施することが可能となる。
また、実検出データの位置する区分範囲を導出することにより、加工負荷の正常・異常の判定だけでなく、実検出データが正常範囲内にある場合にて切削工具43aの摩耗程度の判定及び切削工具43aの刃欠けの判定をすることが可能となる。
(付記項1)
加工工具を使用してワークの加工を加工工程に沿って実行可能であるワーク加工装置であって、
前記ワークの加工に係る物理量であって検出可能である検出可能物理量を検出する検出部と、
前記加工工程に沿って前記検出可能物理量の状態を監視するための監視範囲を、前記加工工程の運転中における前記検出部によって実際に検出された実検出データに基づいて設定する設定部と、
前記検出部によって前記加工工程中に検出された前記実検出データと、前記監視範囲を複数に区分した区分範囲に対応した補正量と、を比較した比較結果に応じて、前記加工の制御のために設定される設定値であって前記加工工具の摩耗に係る制御用設定値を変更する変更部と、
を備えたワーク加工装置。
(付記項2)
前記制御用設定値は、前記加工工具に対する切削指示値である付記項1に記載のワーク加工装置。
付記項1に記載のワーク加工装置によれば、変更部が、実検出データと監視範囲を複数に区分した区分範囲に対応した補正量とを比較した比較結果に応じて、制御用設定値を簡便かつ適切に変更することが可能となる。その結果、ワークの加工の制御を簡便かつ適切に実施することが可能となる。
付記項2に記載のワーク加工装置によれば、変更部が、実検出データと監視範囲を複数に区分した区分範囲に対応した補正量とを比較した比較結果に応じて、制御用設定値である加工工具に対する切削指示値を変更することが可能となる。その結果、ワーク加工の切削補正を簡便かつ適切に実施することが可能となる。
(加工工具の寿命判定)
さらに、上述したワーク加工装置(旋盤モジュール30A)による工具寿命判定について図15に示すフローチャートに沿って説明する。本フローチャートは、上述したステップS202にて実施されるサブルーチン(工具寿命判定サブルーチン)であり、制御装置47は、本サブルーチンに沿った処理を実施する。
制御装置47は、ステップS302において、刃具カウンタ及び判定閾値を取得し、ステップS304において、負荷データを取得する。刃具カウンタは、所定の刃具(例えば、切削工具43a)の使用回数(切削したワークWの数量)を示す値であり、ワークWの加工終了毎に1だけカウントアップされる。判定閾値は、切削工具43a(加工工具)の寿命を判定するための値であり、切削工具43aの摩耗に係る制御用設定値である。
制御装置47は、ステップS306において、判定閾値の変更が必要であるか否かを判定する。具体的には、制御装置47は、先に設定された監視範囲を複数に区分した区分範囲(図16に示す)と、先に取得した負荷データである実検出データとを比較して、監視範囲及び区分範囲に対する実検出データの位置関係に応じて、判定閾値の変更要否を判定する。尚、先に設定された監視範囲は、加工工具の使用開始当初のものが好ましい。
例えば、本実施形態では、監視範囲は、上限値と下限値との間が上下方向に沿って5つに区分(等分)されており、監視範囲の上下方向中央部に第1区分範囲(「OK」区分範囲)、第1区分範囲の上方に設けられた第2区分範囲(「+OK1」区分範囲)及び第3区分範囲(「+OK2」区分範囲)、第1区分範囲の下方に設けられた第4区分範囲(「-OK1」区分範囲)及び第5区分範囲(「-OK2」区分範囲)から構成されている。
尚、回転するワークWの外壁面を切削工具43aにより加工する場合(すなわちワークWの回転軸に向けて切削工具43aを接触させて加工する場合)、切削工具43aが摩耗すると、加工負荷が監視範囲の上下方向中央より上方に位置する。回転するワークWの内壁面を切削工具43aにより加工する場合(すなわちワークWの回転軸から離れる方向に向けて切削工具43aを接触させて加工する場合)、切削工具43aが摩耗すると、加工負荷が監視範囲の上下方向中央より下方に位置する。また、切削工具43aの摩耗が大きくなると、残りの工具寿命が短くなるとともに加工負荷が大きくなるため、加工負荷が監視範囲の上下方向中央から離れるにしたがって判定閾値の変更量(以下、単に変更量という場合もある。)を大きく設定するようになっている。
このように、区分範囲と変更量とは相関関係があり、本実施形態では、図16に示すように、区分範囲が「OK」区分範囲である場合には、変更量は0(ゼロ)であり、区分範囲が「+OK1」区分範囲または「-OK1」区分範囲である場合には、変更量はN1であり、区分範囲が「+OK2」区分範囲または「-OK2」区分範囲である場合には、変更量はN1より大きいN2である。
制御装置47は、実検出データが監視範囲外であれば、基本的には加工負荷に異常があるとしてワーク加工の実施を行われず判定閾値を補正する必要がないため、判定閾値の変更は不要であると判定する。また、制御装置47は、実検出データが監視範囲内であって「OK」区分範囲内にある場合には、切削工具43aの摩耗はほとんどない(比較的に少ない)ため、判定閾値の変更は不要であると判定する。一方、制御装置47は、実検出データが監視範囲内であって「OK」区分範囲以外にある場合には、切削工具43aの摩耗が相当量ある(比較的に多い)ため、判定閾値の変更は必要であると判定する。
制御装置47は、判定閾値の変更が必要でないと判定した場合には(ステップS306にて「NO」と判定)、プログラムをステップS312に進め、先に取得した刃具カウンタと変更されていない判定閾値とを比較して切削工具43aの寿命を判定する。制御装置47は、刃具カウンタが判定閾値より大きい場合、切削工具43aが寿命に達したと判定し(ステップS312にて「YES」と判定し)、プログラムをステップS314に進め、切削工具43aが寿命である旨を警告する。一方、制御装置47は、刃具カウンタが判定閾値以下である場合、切削工具43aが寿命に達していないと判定し(ステップS312にて「NO」と判定し)、プログラムをステップS316に進め、切削工具43aが寿命である旨の警告を実施しない。その後、制御装置47は、本サブルーチンを終了して、プログラムを図13に示すステップS204に進める。
制御装置47は、判定閾値の変更が必要であると判定した場合には(ステップS306にて「YES」と判定)、プログラムをステップS308以降に進め、判定閾値の変更を実施する。すなわち、制御装置47は、ステップS108(検出部)によって加工工程中に検出された実検出データと、監視範囲を複数に区分した区分範囲に対応した補正量と、を比較した比較結果に応じて、ワーク加工の制御のために設定される設定値であって切削工具43aの摩耗に係る制御用設定値である、切削工具43aの寿命を判定するための判定閾値を変更する(変更部、ステップS308,310)
制御装置47は、ステップS308において、判定閾値の変更量を算出する。具体的には、制御装置47は、区分範囲と変更量(区分範囲に対応した補正量である。)との相関関係を使用して、ステップS304にて取得した負荷データが位置する区分範囲に対応した変更量を算出する。制御装置47は、ステップS310において、算出した変更量によって判定閾値を変更する。例えば、先に取得した判定閾値から変更量を減算することにより変更後の判定閾値を算出・記憶することができる。そして、制御装置47は、プログラムをステップS312に進め、上述と同様に、現在の刃具カウンタと変更後の判定閾値とを比較して切削工具43aの寿命を判定する。
尚、本サブルーチンでは、制御用設定値として判定閾値を使用するようにしたが、制御用設定値として刃具カウンタを使用するようにしてもよい。刃具カウンタは、切削工具43aの使用回数を示すものである。この場合、ステップS306,310において、変更対象は判定閾値の代わりに刃具カウンタであり、ステップS308において、算出される変更量は判定閾値の代わりに刃具カウンタの変更量である。また、ステップS310においては、取得した刃具カウンタに変更量を加算することにより変更後の刃具カウンタを算出することができる。また、ステップS312においては、変更していない刃具カウンタまたは変更後の刃具カウンタと判定閾値とを比較して切削工具43aの寿命が判定される。
(作用効果)
上述したワーク加工装置は、検出部によって加工工程中に検出された実検出データと、監視範囲を複数に区分した区分範囲に対応した補正量と、を比較した比較結果に応じて、加工の制御のために設定される設定値であって切削工具43aの摩耗に係る制御用設定値を変更する変更部(制御装置47,57:ステップS308,310)をさらに備えている。これによれば、変更部が、実検出データと監視範囲を複数に区分した区分範囲に対応した補正量(変更量)とを比較した比較結果に応じて、制御用設定値を簡便かつ適切に変更することが可能となる。その結果、ワークの加工の制御を簡便かつ適切に実施することが可能となる。
また、制御用設定値は、切削工具43aの寿命を判定するための判定閾値である。これによれば、変更部が、実検出データと監視範囲を複数に区分した区分範囲に対応した補正量(変更量)とを比較した比較結果に応じて、制御用設定値である加工工具の寿命を判定するための判定閾値を変更することが可能となる。その結果、加工工具の寿命判定を簡便かつ適切に実施することが可能となる。
また、ワーク加工装置の一形式として、特許文献(特開平7-51967号公報)には、切削工具の各状態量の初期データと、所定時の検出データとの比較に基づいて、工具寿命の判定を行っているものが開示されている。このワーク加工装置においては、工具の摩耗状態(例えば、摩耗速度)が最初に想定したものと異なる場合があり、この場合、工具の摩耗状態の変化に起因して工具寿命判定を正しく実施できないという問題がある。これに対して、本明細書に開示されたワーク加工装置は、工具の摩耗状態に応じた簡便かつ適切な寿命判定を実施することが可能となる。
また、実検出データの位置する区分範囲を導出することにより、加工負荷の正常・異常の判定だけでなく、実検出データが正常範囲内にある場合にて切削工具43aの摩耗程度の判定及び切削工具43aの刃欠けの判定をすることが可能となる。
(付記項3)
加工工具を使用してワークの加工を加工工程に沿って実行可能であるワーク加工装置であって、
前記ワークの加工に係る物理量であって検出可能である検出可能物理量を検出する検出部と、
前記加工工程に沿って前記検出可能物理量の状態を監視するための監視範囲を、前記加工工程の運転中における前記検出部によって実際に検出された実検出データに基づいて設定する設定部と、
前記検出部によって前記加工工程中に検出された前記実検出データと、前記監視範囲を複数に区分した区分範囲に対応した補正量と、を比較した比較結果に応じて、前記加工の制御のために設定される設定値であって前記加工工具の摩耗に係る制御用設定値を変更する変更部と、
を備えたワーク加工装置。
(付記項4)
前記制御用設定値は、前記加工工具の寿命を判定するための判定閾値である付記項3に記載のワーク加工装置。
付記項3に記載のワーク加工装置によれば、変更部が、実検出データと監視範囲を複数に区分した区分範囲に対応した補正量とを比較した比較結果に応じて、制御用設定値を簡便かつ適切に変更することが可能となる。その結果、ワークの加工の制御を簡便かつ適切に実施することが可能となる。
付記項4に記載のワーク加工装置によれば、変更部が、実検出データと監視範囲を複数に区分した区分範囲に対応した補正量(変更量)とを比較した比較結果に応じて、制御用設定値である判定閾値(加工工具の寿命を判定する閾値)を変更することが可能となる。その結果、加工工具の寿命判定を簡便かつ適切に実施することが可能となる。
尚、上述した実施形態においては、ワークWの加工工程の運転中に加工負荷の検出、監視範囲の設定及び監視範囲の調整を実施するようにしたが、加工工程の前にワーク加工の試運転を実施し、試運転中に加工負荷の検出、監視範囲の設定を実施するとともに試運転中または加工工程中にて監視範囲の調整を実施するようにしてもよい。この場合、上述した設定部は、前記加工工程に沿って前記検出可能物理量の状態を監視するための監視範囲を、前記加工工程の試運転中における前記検出部によって実際に検出された実検出データに基づいて設定する。
また、上述した実施形態においては、加工工具として切削工具を使用するようにしたが、ワークWを加工する他の加工工具を使用するようにしてもよい。また、検出可能物理量として加工負荷を使用するようにしたが、ワークWの加工に係る他の物理量であって検出可能である物理量を使用するようにしてもよい。
30A…旋盤モジュール(ワーク加工装置)、30B…ドリミルモジュール(ワーク加工装置)、43a,52b…切削工具(加工工具)、47,57…制御装置(検出部、設定部、調整部、変更部)、S108…ステップS108(検出部)、S116,122…ステップS116,122(設定部)、S122,134…ステップS122,134(調整部)、S210,212,308,310…ステップS210,212,308,310(変更部)、W…ワーク。

Claims (6)

  1. 加工工具を使用してワークの加工を加工工程に沿って実行可能であるワーク加工装置であって、
    前記ワークの加工に係る物理量であって検出可能である検出可能物理量をサンプリング周期毎に検出する検出部と、
    前記加工工程に沿って前記検出可能物理量の状態を監視するための範囲であって監視開始ポイントから監視終了ポイントまでの監視範囲を、前記加工工程の運転中における前記検出部によって実際に検出された実検出データに基づいて設定する設定部と、
    前記設定部によって設定された前記監視範囲及び前記実検出データを表示装置に表示する表示部と、
    前記表示部に表示された前記実検出データ及び前記監視範囲を見た作業者による指定操作によって、前記実検出データのうち前記作業者が認定した認定データを含むように、前記監視範囲のうち調整したい範囲である調整範囲を指定する調整範囲指定部と、
    前記調整範囲指定部によって指定された前記調整範囲において、前記作業者が前記調整範囲の上限値を一度にまとめて拡大または縮小する操作キー及び/または前記調整範囲の下限値を一度にまとめて拡大または縮小する操作キーを操作する変更操作によって、変更前の前記上限値である変更前上限値変更後上限値及び/または変更前の前記下限値である変更前下限値を変更後下限値に変更する上下限値拡大縮小部と、
    を備えたワーク加工装置。
  2. 前記表示部と前記操作キーとは、同一のパネルに設けられた請求項1に記載のワーク加工装置。
  3. 前記認定データが、前記作業者が前記調整範囲の上下限値の設定に反映させたくない前記実検出データである場合には、前記上下限値拡大縮小部は、前記調整範囲において、前記調整範囲に設定された前記変更前上限値及び/または前記変更前下限値を、前記認定データを反映させないで前記認定データが範囲外となる前記変更後上限値及び/または前記変更後下限値に前記作業者による前記変更操作によって変更する請求項2に記載のワーク加工装置。
  4. 前記認定データが、前記作業者が前記調整範囲の上下限値の設定に反映させたい前記実検出データである場合には、前記上下限値拡大縮小部は、前記調整範囲において、前記調整範囲に設定された前記変更前上限値及び/または前記変更前下限値を、前記認定データを反映させて前記認定データが範囲内となる前記変更後上限値及び/または前記変更後下限値に前記作業者による前記変更操作によって変更する請求項2に記載のワーク加工装置。
  5. 前記作業者が前記実検出データが異常データであると認定した場合、前記調整範囲指定部は、前記作業者による前記指定操作によって前記異常データを含むように前記調整範囲を指定し、
    前記上下限値拡大縮小部は、前記調整範囲指定部によって指定された前記調整範囲において、前記異常データに基づいて設定された変更前上限値及び/または変更前下限値を、前記異常データを反映させないで前記異常データが範囲外となる変更後上限値及び/または変更後下限値に、前記作業者による前記変更操作によって変更する請求項1に記載のワーク加工装置。
  6. 前記作業者が前記実検出データが正常データであると認定した場合、前記調整範囲指定部は、前記作業者による前記指定操作によって前記正常データを含むように前記調整範囲を指定し、
    前記上下限値拡大縮小部は、前記調整範囲指定部によって指定された前記調整範囲において、変更前上限値及び/または変更前下限値を、前記正常データを反映させて前記正常データが範囲内となる変更後上限値及び/または変更後下限値に、前記作業者による前記変更操作によって変更する請求項1に記載のワーク加工装置。
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