JP7423256B2 - インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置 - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置に関する。
金属粒子を含有するインクは、用いる金属粒子の導電性を利用して、電気回路の形成に使用されてきたが、近年では、クリスマスカードなどのメタリック感を表現する用途においても使用されるようになってきている。特に、メタリック感のある画像にカラーの色調を持たせる、すなわち、「カラーメタリック画像」を記録するニーズがある。カラーメタリック画像を記録するために、記録媒体に、銀粒子を含有するインク、及び顔料を含有するインクを順に重ねて付与するインクジェット記録方法が提案されている(特許文献1参照)。また、記録媒体に、銀粒子を含有するインク、クリアインク、及び色材を含有するインクを順に重ねて付与するインクジェット記録方法が提案されている(特許文献2参照)。
特開2012-121279号公報 特開2012-206481号公報
本発明者らは、特許文献1に記載されたインクジェット記録方法でカラーメタリック画像を記録し、得られた画像について検討した。その結果、画像を記録してからすぐの時点では、いわゆる「ブロンズ現象」が発生していなかったにもかかわらず、この画像を高湿度の環境で保存すると、新たにブロンズ現象が発生する場合があり、耐ブロンズ性が不十分となる場合があることがわかった。
また、本発明者らは、3種のインクを用いる特許文献2の記載を参考に、銀粒子を含有するインク、色材を含有するインク、及びクリアインクをこの順に記録媒体に付与することについて検討した。その結果、記録媒体が吸収し切れなかったインクがあふれるような状態となって、画像にムラが生ずる「ビーディング現象」が発生し、耐ビーディング性が不十分となる場合や、光沢性が不十分となる場合があることがわかった。
したがって、本発明の目的は、耐ブロンズ性、耐ビーディング性、及び光沢性に優れるカラーメタリック画像を記録することができるインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置を提供することにある。
上記の目的は、以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明にかかるインクジェット記録方法は、インクジェット方式の記録ヘッドからインクを吐出させて記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、第1インクを前記記録媒体に付与する工程、前記第1インクを付与した領域の少なくとも一部に重なるように、第2インクを前記記録媒体に付与する工程、並びに前記第1インク及び前記第2インクを付与した領域の少なくとも一部に重なるように、第3インクを前記記録媒体に付与する工程を有し、前記第1インクが、銀粒子を含有するインクであり、前記第1インクの前記銀粒子の体積基準の累積50%粒子径d50Sが、1nm以上50nm以下であり、前記第2インクが、色材を含有するインクであり、前記第3インクが、色材を含有せずに樹脂を含有するインクであり、前記第3インクの前記樹脂が、水溶性樹脂、及び樹脂粒子を含み、前記第3インクの樹脂粒子の体積基準の累積50%粒子径d50Pが、10nm以上であり、前記第3インクの前記樹脂粒子の体積基準の累積50%粒子径d50P、及び、前記第1インクの前記銀粒子の体積基準の累積50%粒子径d50Sが、d50P≧d50Sの関係を満たすことを特徴とする。
本発明によれば、耐ブロンズ性、耐ビーディング性、及び光沢性に優れるカラーメタリック画像を記録することができるインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置を提供することができる。
本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の一例を模式的に示す図であり、(a)はインクジェット記録装置の主要部の斜視図、(b)はヘッドカートリッジの斜視図である。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。本発明においては、化合物が塩である場合は、インク中では塩はイオンに解離して存在しているが、便宜上、「塩を含有する」と表現する。物性値は、特に断りのない限り、常温(25℃)における値である。
ブロンズ現象とは、色材を含有するインクを用いて記録した画像に光を当てた際に、画像からの正反射光が前記色材とは異なる色調に見える現象を指す。ブロンズ現象が発生すると、画像からの正反射光は、色材の補色の色調を持つ光として認識される。例えば、ブロンズ現象を生じやすい色材であるフタロシアニン骨格を有する化合物を含有するインクを用いて記録した画像の場合、赤色のブロンズ現象が発生する。このブロンズ現象は、記録媒体上に形成された色材層の表面における光の屈折率の波長依存性に起因して発生する。そして、色材と空気(媒質)との屈折率の差が大きくなると、ブロンズ光の強度も大きくなる。
特許文献1に記載されているように、カラーメタリック画像は、記録媒体に、銀粒子を含有するインク及び色材を含有するインクを順に重ねて付与して記録し得る。このようにして記録されるカラーメタリック画像は、記録媒体上に、彩度を有しない銀層、及び色材層がこの順に形成された層構成を有する。銀粒子により形成された銀層が金属光沢感を示すことで、光沢性を有するメタリック画像となる。また、カラーメタリック画像に入射した光は、色材層を透過して銀層で反射し、再び色材層を透過して、インクに含有させた色材の色調を発現する。つまり、銀層が光を反射することでメタリック感、すなわち光沢性が発現し、光が色材層を透過することで、発色性が発現する。このように、本発明における「発色性」を有する画像とは、画像からの正反射光が、無色の銀色ではなく第2インクの色材の色調を呈する画像を指す。正反射光は、画像への入射光が、画像の法線方向と光の入射方向とのなす角(入射角)と同じ角度(反射角)をもって反射する光である。
上述の通り、フタロシアニン骨格を有する化合物を含有するインクを用いて記録した画像の場合、赤色のブロンズ現象が発生する。しかし、銀粒子を含有するインク、及びフタロシアニン骨格を有する化合物を含有するインクを用いて記録したカラーメタリック画像からの正反射光は、赤色に色づいて見えなかった。この理由は以下のように推測される。銀粒子は光の反射率が高いため、記録媒体上に形成された銀層に光が当たると、正反射光の強度も高くなる。カラーメタリック画像に光が当たると、色材層の表面からは赤色に色づいた正反射光が生ずるが、銀層からの強い正反射光により赤色が目立ちにくくなる。このような理由から、カラーメタリック画像ではブロンズ現象が認識されなかったと考えられる。
しかし、上記のようにして記録したカラーメタリック画像を、高湿度の環境で保存したところ、記録した当初は発生していなかったブロンズ現象が新たに発生することがわかった。高湿度の環境で保存した後にブロンズ現象が発生したカラーメタリック画像を分析したところ、保存前の画像と比べて光沢性が低下しており、光沢性の低下した領域にはハロゲン化銀が生成していることがわかった。
画像の記録に利用される記録媒体には、一般に、塩化物イオン(Cl)などのハロゲン化物イオンが含まれる。例えば、普通紙などのインク受容層を有しない記録媒体には、パルプの漂白剤に由来する塩化物イオンが含まれる。また、インク受容層を有する記録媒体には、カウンターイオンが塩化物イオンである樹脂などのカチオン性化合物が含まれる。画像を高湿度の環境で保存する間に、記録媒体は空気中の水分を吸収する。この水にハロゲン化物イオンが溶解し、記録媒体の表面近傍にハロゲン化物イオンが滲み出てくる。また、画像を高湿度の環境で保存すると、画像に付着した空気中の水分に含まれる溶存酸素が、銀層を構成する銀と電気化学反応を起こし、銀イオンが生ずる。記録媒体の表面近傍において、ハロゲン化物イオンと銀イオンとが反応することで、ハロゲン化銀が生成し、光沢性が低下したと考えられる。
光沢性が低下すると、銀層から反射する正反射光も弱くなるため、色材層の表面から反射する、赤色に色づいた正反射光が目立ちやすくなる。このような理由から、カラーメタリック画像を高湿度の環境で保存した後に、ブロンズ現象が発生したと考えられる。保存前には発生していなかったブロンズ現象が、高湿度の環境で保存した後には発生するという事象は、カラーメタリック画像において特有に生ずる現象である。
ブロンズ現象は、記録媒体にインクを付与することにより形成された色材層と、色材層と接する空気との屈折率の差が大きいために顕著に発生する。これを踏まえると、色材層の上に、空気との屈折率差を低減し得るような層を形成すれば、色材層と色材層と接する空気との屈折率の差が小さくなり、ブロンズ現象を抑制し得ると考えられる。そこで、本発明者らは、カラーメタリック画像の表面に樹脂層を形成するために、銀粒子を含有する第1インク、色材を含有する第2インク、及び樹脂を含有する第3インクを順に重ねて付与することについて検討した。そして、この構成によれば、色材層上に形成された樹脂層によって空気との屈折率差が低減されるので、高湿度の環境で画像を保存した後に銀層からの正反射光の強度が低下しても、ブロンズ現象の発生を抑制することはできた。但し、ブロンズ現象の発生を抑制することはできたが、別の課題が生ずることがわかった。すなわち、樹脂層を形成するために、第3インクに水溶性樹脂を含有させると、インクのあふれによる画像のムラが生ずることがわかった。
インクジェット用のインクに使用する銀粒子は吐出安定性を考慮して、数十~数百nmの粒子径を有する。このような粒子径を持つ銀粒子が融着して記録媒体に形成された銀層は、銀粒子が完全に融着して一様な層となっている訳ではなく、粒子の形状をある程度は維持した状態で融着しているため、銀層中には細孔が存在する。
記録媒体に第1インク及び第2インクを付与することで、銀層及び色材層がこの順に積層する。ここに、水溶性樹脂を含有する第3インクを付与すると、第3インクの水溶性樹脂の少なくとも一部は、色材層を通過して銀層にまで到達する。水溶性樹脂は酸基などの極性基を有することで、水に溶解した状態を取る。一方、銀粒子は、その表面がプラスに帯電しやすい。銀粒子と水溶性樹脂とが共存すると、水溶性樹脂の極性基とプラスに帯電した銀粒子とが相互作用して、水溶性樹脂が銀粒子に吸着する。この現象が生ずると、第3インクの水溶性樹脂によって、銀層の細孔が目詰まりしたような状態となり、第3インクの液体成分が記録媒体に浸透しにくくなる。このような理由から、インクのあふれが生じ、画像に水玉状のムラが生じて、ビーディング現象が発生する。インクのあふれは、記録媒体の構成(特に、インク受容層の組成や細孔径など)に関わらず、第1インク及び第2インクを重ねて付与した領域に、さらに水溶性樹脂を含有する第3インクを付与する場合に特に顕著に生ずる現象である。
第3インクは、色材層の上に、空気との屈折率差を低減し得るような樹脂層を形成するために用いるものであるので、水溶性樹脂に代えて、樹脂粒子を含有する第3インクについても検討した。その結果、樹脂粒子を含有する第3インクを用いると、水溶性樹脂の場合とは異なり、樹脂粒子は色材層や銀層の細孔に入り込みにくいので、インクのあふれによる画像のムラが生じず、ビーディング現象は発生しなかった。但し、この場合、光沢性(高湿の環境で保存する前の光沢性)が損なわれることがわかった。水溶性樹脂に代えて樹脂粒子を含有する第3インクを色材層の上に付与すると、樹脂粒子は、その形状を維持したまま色材層の上に積層し、形成される樹脂層は樹脂粒子間の空隙が残った状態となる。このような樹脂層を有する画像に光が当たると、入射光が空隙で散乱されて散乱光が発生し、この散乱光を含む反射光が画像から認識されるため、光沢性が不十分となったと考えられる。
本発明者らは、樹脂層を形成するための第3インクに起因する上述のインクのあふれ及び光沢性の発生原因を踏まえて、第3インクの構成について検討を行った。その結果、第3インクの樹脂として、水溶性樹脂及び樹脂粒子を併用すればよいことを見出した。水溶性樹脂及び樹脂粒子を併用することで、これらの相互作用により、水溶性樹脂の色材層や銀層への浸透が抑制されるとともに、浸透が抑制された水溶性樹脂によって樹脂粒子間の空隙が埋められる。これにより、樹脂層によって耐ブロンズ性の向上を図りながら、インクのあふれによる画像のムラが生じず、ビーディング現象の発生が抑制されるとともに、散乱光による光沢性の低下を抑制することができる。
<インクジェット記録方法、インクジェット記録装置>
本発明のインクジェット記録方法は、インクジェット方式の記録ヘッドからインクを吐出して記録媒体に画像を記録する方法である。具体的には、銀粒子を含有する第1インクを記録媒体に付与する工程、色材を含有する第2インクを記録媒体に付与する工程、及び、所定の樹脂を含有するとともに、色材を含有しない第3インクを記録媒体に付与する工程を有する。また、本発明のインクジェット記録装置は、上記のインクジェット記録方法を実施するために用いるものであり、第1インク、第2インク、及び第3インクをこの順に記録媒体に付与して、記録媒体に画像を記録する手段を備える。第1インク、第2インク、及び第3インクは、これらを付与する領域の少なくとも一部が互いに重なるように、記録媒体に付与する。
インクジェット方式の記録ヘッドからインクを吐出させる方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式や、インクに熱エネルギーを付与する方式が挙げられる。本発明においては、インクに熱エネルギーを付与してインクを吐出する方式を採用することが好ましい。本発明の記録方法では、各インクと反応するような反応液を付与する工程や、紫外線や電子線などの活性エネルギー線の照射を行う工程を実施する必要はない。また、各インクは、記録媒体(好適には、浸透性を有する記録媒体)に直接付与することが好ましい。
図1は、本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の一例を模式的に示す図であり、(a)はインクジェット記録装置の主要部の斜視図、(b)はヘッドカートリッジの斜視図である。インクジェット記録装置には、記録媒体32を搬送する搬送手段(不図示)、及びキャリッジシャフト34が設けられている。キャリッジシャフト34にはヘッドカートリッジ36が搭載可能となっている。ヘッドカートリッジ36は記録ヘッド38及び40を具備しており、インクカートリッジ42がセットされるように構成されている。ヘッドカートリッジ36がキャリッジシャフト34に沿って主走査方向に搬送される間に、記録ヘッド38及び40から記録媒体32に向かってインク(不図示)が吐出される。そして、記録媒体32が搬送手段(不図示)により副走査方向に搬送されることによって、記録媒体32に画像が記録される。
第1インク記録媒体に付与する工程、及び第2インクを記録媒体に付与する工程を行う時間差は、1秒以上であることが好ましい。この時間差は、記録媒体に第1インクが付与されてから、その上に重ねて付与される第2インクが第1インクに接触するまでの時間であるということができる。前記時間差が1秒未満であると、第1インク及び第2インクを重ねて付与する時間差が短いため、銀粒子が融着していない状態で、色材を含有するインクが付与されることになる。すると、複数の銀粒子の間に色材が入り込むため、銀粒子が融着しにくくなる。このようにして形成された銀層には、他の銀粒子と融着しておらず、数十~数百nmの粒子径を有するために表面プラズモン共鳴を生ずる特性を持つ銀粒子が存在する。このため、画像に光が当たった際に、銀層からの光の反射率が低く、高いレベルの光沢性が十分に得られない場合がある。前記時間差が長すぎると画像を記録する際の生産性が低下する場合があるため、600秒以下であることが好ましい。前記時間差は、3秒以上300秒以下であることがさらに好ましく、3秒以上90秒以下であることが特に好ましい。
第1インクを記録媒体に付与する工程、及び、第2インクを記録媒体に付与する工程を行う時間差を所定の範囲内とする、すなわち、第1インク及び第2インクを記録媒体に所定の時間差で付与する方法を説明する。例えば、記録ヘッドを主走査方向に移動させながら画像を記録するシリアル方式で、片方向記録を行う場合、以下の(1)~(3)などの方法を利用することができる。単位領域とは、1画素や1バンドなどの任意の領域として設定することができる。
(1)主走査方向に直交する方向に配列された第1インク及び第2インクのそれぞれの吐出口列を有する記録ヘッドを用いる。記録媒体の単位領域に第1インクを付与した後、記録媒体を搬送することなく、前記単位領域に第2インクを付与する。
(2)主走査方向に直交する方向に配列された第1インク及び第2インクのそれぞれの吐出口列を有する記録ヘッドを用いる。第1インクは副走査方向における上流側の吐出口列の一部分にあたる吐出口を、第2インクは副走査方向における下流側の吐出口列の一部分にあたる吐出口を使用する。そして、記録媒体を搬送しながら、記録媒体の単位領域に第1インク及び第2インクを付与する。
(3)副走査方向における上流側に第1インクの吐出口列、下流側に第2インクの吐出口列を有する記録ヘッドを用いる。第1インクは上流側の吐出口列の一部分にあたる吐出口を、第2インクは下流側の吐出口列の一部分にあたる吐出口を使用する。そして、記録媒体を搬送しながら、記録媒体の搬送時間分の時間差を少なくとも空けて、第1インク及び第2インクを付与する。
上記では、片方向記録を行う場合を例に挙げて説明した。勿論、本発明では、双方向記録を行う場合であっても、2種類のインクを記録媒体に所定の時間差で付与することができれば、どのような方法を利用してもよい。第2インク記録媒体に付与する工程、及び第3インクを記録媒体に付与する工程を行う時間差は、特に限定されないが、例えば、0.1秒以上600秒以下であることが好ましい。
樹脂を含有するクリアインクの場合、記録媒体の単位領域へのインクの付与は複数回に分割して行うよりも、まとめて付与するほうが、より平坦な表面を持つ樹脂層が形成されるため、光沢性などの観点で有利である。但し、本発明では、記録媒体の単位領域への第3インクの付与を、複数回に分割して行うことが好ましい。複数回に分割する際は、記録ヘッドの主走査の回数(記録パス数)で調整することができる。本発明で用いる第3インクは、その下に銀層が形成された色材層の上に付与される。上述の通り、水溶性樹脂と樹脂粒子とが共存することで、大部分の水溶性樹脂の浸透は抑制されるが、水溶性樹脂の一部は色材層を通過する。色材層を通過した水溶性樹脂は、その極性基とプラスに帯電した銀粒子の表面との相互作用によって銀層に吸着し、これにより液体成分の浸透が妨げられるため、インクのあふれが生じやすくなる傾向にある。記録媒体の単位領域への第3インクの付与を複数回に分割して行えば、液体成分の浸透が妨げられにくく、インクのあふれが低減されるので、高いレベルの耐ビーディング性を得ることができる。記録媒体の単位領域への第3インクの付与は、4回以上に分割して行うことがさらに好ましい。生産性の観点から、記録媒体の単位領域への第3インクの付与は、12回以下に分割して行うことが好ましい。
<第1インク>
第1インクは、銀粒子を含有するインクであり、水性媒体として少なくとも水を含有する水性インクであることが好ましい。第1インクは、活性エネルギー線硬化型である必要はないので、重合性基を有するモノマーなどを含有させる必要もない。以下、第1インクを構成する成分について説明する。
(銀粒子)
第1インクの色材は銀粒子である。銀粒子は、銀原子で構成されている。銀粒子は、銀原子以外にも、他の金属原子、酸素原子、硫黄原子、炭素原子などを含んで構成されていてもよい。但し、銀粒子中の銀原子の割合(%)は、50.0質量%以上100.0質量%以下であることが好ましい。第1インク中の銀粒子の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、2.0質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、2.0質量%以上8.0質量%以下であることがさらに好ましい。第1インクは、銀粒子以外の色材(「他の色材」と記載)をさらに含有してもよいし、含有しなくてもよい。他の色材の含有量(質量%)は、銀粒子の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.0倍以上5.0倍以下であることが好ましく、0.0倍以上3.0倍以下であることがより好ましい。前記質量比率は、0.0倍以上0.1倍以下であることがさらに好ましい。
銀粒子の製造方法としては、例えば、銀の塊をボールミルやジェットミルなどの粉砕機で粉砕する方法(粉砕法)、銀イオン又は銀錯体を還元剤により還元して凝集させる方法(還元法)などが挙げられる。本発明においては、銀粒子の粒子径制御のしやすさ、及び銀粒子の分散安定性の観点から、還元法により製造された銀粒子を用いることが好ましい。
銀粒子は、界面活性剤や樹脂などの分散剤を用いて分散されたものを用いることが好ましく、分散剤としては樹脂がより好ましい。第1インク中の分散剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。
銀粒子の分散剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤などの各種の界面活性剤を用いることができる。アニオン性界面活性剤としては、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルジアリールエーテルジスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル塩、グリセロールボレイト脂肪酸エステルなどが挙げられる。ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、フッ素系化合物、シリコーン系化合物などが挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、アルキルイミダゾリウム塩などが挙げられる。両性界面活性剤としては、アルキルアミンオキサイド、ホスファチジルコリンなどが挙げられる。なかでも、アニオン性界面活性剤、及びノニオン性界面活性剤からなる群より選択される少なくとも1種の界面活性剤を分散剤として用いることが好ましい。アニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩を用いることが好ましい。また、ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテルを用いることが好ましい。分散剤として界面活性剤を用いる場合、第1インク中の分散剤の含有量(質量%)は、銀粒子の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.02倍以上1.00倍以下であることが好ましい。
また、銀粒子の分散剤としては、アニオン性基を有するユニットとアニオン性基を有しないユニットとを持つ樹脂を用いることができる。樹脂の骨格としては、ビニル系樹脂、エステル系樹脂、アミノ系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、エーテル系樹脂、アミド系樹脂、フェノール系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂などが挙げられる。分散剤として樹脂を用いる場合、第1インク中の分散剤の含有量(質量%)は、銀粒子の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.05倍以上1.00倍以下であることが好ましい。
銀粒子の体積基準の累積50%粒子径(d50)は、100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがさらに好ましい。体積基準の累積50%粒子径は、粒子径積算曲線において、測定された粒子の総体積を基準として小粒子径側から積算して50%となった粒子の直径を指す。累積50%粒子径が小さい場合、単位質量当たりの銀原子数に占める、銀粒子の表面に存在する銀原子の割合が多いことになる。銀粒子中で動きやすい銀原子の割合が多くなることで、ある銀粒子の表面に存在する銀原子が、その周囲の銀粒子の表面に存在する銀原子と金属結合を形成しやすいので、銀粒子が融着しやすくなる。したがって、d50が50nm以下であると、光沢性が向上する傾向にある。累積50%粒子径は、1nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがさらに好ましい。
銀粒子の体積基準の累積50%粒子径は、第1インクや銀粒子の分散液を水で希釈したものを試料として、以下のように測定することができる。シリコン基板に試料を塗布した後に、水を除去して試料を作製する。得られた試料を利用して、3,000個以上の銀粒子について、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)などで観察し、画像処理を行って、上述の定義の粒子径を算出する。後述する実施例では、銀粒子を観察した後、画像解析・計測ソフトウェア(商品名「WinROOF2015」、三谷商事製)を利用して、粒子径を算出した。なお、銀粒子の粒子径は、インクや分散液について、動的光散乱法により測定することもできる。但し、測定値が凝集などの影響を受けて変動しやすいので、動的光散乱法で測定する場合は、水で十分に希釈して測定することが好ましい。
(界面活性剤)
第1インクは、銀粒子の分散剤として用い得る界面活性剤とは別に、さらに界面活性剤を含有することが好ましい。第1インク中の、銀粒子の分散剤として用いる界面活性剤以外の、界面活性剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上2.0質量%以下であることが好ましい。
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられる。なかでも、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどのノニオン性界面活性剤が好ましい。
(水性媒体)
第1インクは、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有することが好ましい。第1インクは、水性媒体として水を含有するインク(水性インク)であることが好ましい。水としては脱イオン水やイオン交換水を用いることが好ましい。第1インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤は、水溶性であれば特に制限はなく、アルコール類、(ポリ)アルキレングリコール類、グリコールエーテル類、含窒素極性溶剤類、含硫黄極性溶剤類などをいずれも用いることができる。第1インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。インクジェット記録方法に適用する際に、水溶性有機溶剤の含有量が上記した範囲を外れると、耐固着性や吐出安定性などの信頼性がやや低下する場合がある。
(その他の成分)
第1インクには、上記成分の他に、尿素やその誘導体、トリメチロールプロパン、及びトリメチロールエタンなどの25℃で固体の水溶性有機化合物を含有させてもよい。また、第1インクには、上記成分以外にも必要に応じて、消泡剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、及びキレート剤などの種々の添加剤を含有させてもよい。
(第1インクの物性)
第1インクの25℃における粘度は、1mPa・s以上6mPa・s以下であることが好ましく、1mPa・s以上4mPa・s以下であることがさらに好ましい。また、第1インクの25℃における表面張力は、10mN/m以上60mN/m以下であることが好ましく、20mN/m以上50mN/m以下であることがさらに好ましく、25mN/m以上40mN/m以下であることが特に好ましい。
(銀粒子の付与量)
記録媒体の単位面積当たりの、第1インクの銀粒子の付与量(g/m)は、0.30g/m以上であることが好ましい。前記付与量が0.30g/m未満であると、記録媒体に付与される銀粒子が少なすぎるため融着が不足し、高いレベルの光沢性が十分に得られない場合がある。前記付与量は、1.00g/m以下であることが好ましい。前記銀粒子の付与量は、第1インク中の銀粒子の含有量、第1インクの付与量などにより調整することができる。
<第2インク>
第2インクは、色材を含有するインクであり、水性媒体として少なくとも水を含有する水性インクであることが好ましい。第2インクは、活性エネルギー線硬化型である必要はないので、重合性基を有するモノマーなどを含有させる必要もない。以下、第2インクを構成する成分について説明する。
(色材)
色材としては、染料、顔料が挙げられる。第2インク中の色材の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.05質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上10.0質量%以下であることがさらに好ましい。
染料は、アニオン性染料であることが好ましい。また、染料は、アゾ骨格、フタロシアニン骨格、アントラピリドン骨格、及びキサンテン骨格からなる群より選択される少なくとも1種を有する化合物であることが好ましい。なかでも、インクの保存安定性とカラーメタリック画像の発色性を両立することができるため、インク中での溶解状態が安定であるとともに、記録媒体においては凝集しやすいような特性を有する染料が好ましい。このような特性は、染料の骨格やアニオン性基の数により調整することができる。
顔料としては、カーボンブラック、酸化チタンなどの無機顔料;アゾ、フタロシアニン、キナクリドン、イソインドリノン、イミダゾロン、ジケトピロロピロール、ジオキサジンなどの有機顔料が挙げられる。顔料の分散方式としては、分散剤として樹脂を用いた樹脂分散顔料や、顔料の粒子表面に親水性基が結合している自己分散顔料などを用いることができる。また、顔料の粒子表面に樹脂を化学的に結合させた樹脂結合型顔料や、顔料の粒子表面を樹脂などで被覆したマイクロカプセル顔料などを用いることができる。
ブロンズ現象は、色材の種類にかかわらずに生ずる現象ではあるが、フタロシアニン骨格を有する化合物やカーボンブラックなどの色材を用いる場合には顕著に認識されやすい。本発明の構成を利用すれば、ブロンズ現象を生じさせやすい色材を用いる場合であっても、画像を高湿度の環境で保存した後に発生するブロンズ現象を有効に抑制することができる。このような効果が得られる程度は、第2インクの色材としてフタロシアニン骨格を有する化合物を用いる場合に特に大きい。
光沢性の観点では、色材として、染料や、樹脂分散剤を利用する樹脂分散顔料を用いることが好ましい。また、カラーメタリック画像の発色性の観点では、色材として、顔料を用いることが好ましい。発色性を有するカラーメタリック画像を記録するためには、記録媒体において、銀層及び色材層の界面が混ざり合わずに、互いに分離して存在することが重要である。染料インクの場合、銀層と分離した色材層が形成されにくい。これは、染料が粒子を形成していないため、銀層の上に留まりにくく、銀層の内部や記録媒体に沈み込むからである。一方、顔料インクの場合、銀層と分離した色材層が形成されやすい。これは、粒子を形成している顔料は銀層の上に留まりやすいからである。
顔料の体積基準の累積50%粒子径(d50)は、10nm以上300nm以下であることが好ましい。体積基準の累積50%粒子径は、粒子径積算曲線において、測定された粒子の総体積を基準として小粒子径側から積算して50%となった粒子の直径を指す。粒子の質量が一定である場合、粒子径が小さいと総表面積は大きくなり、粒子径が大きいと総表面積は小さくなる。d50が10nm未満であると、粒子の総表面積は大きくなり、顔料粒子間の疎水性相互作用が強くなる傾向にあり、第2インクの高いレベルの保存安定性が十分に得られない場合がある。一方、d50が300nm超であると、顔料の粒子径が大きいため、高いレベルの発色性や光沢性が十分に得られない場合がある。
(水性媒体)
第2インクは、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合媒体である水性媒体を含有することが好ましい。第2インクは、水性媒体として水を含有するインク(水性インク)であることが好ましい。水としては脱イオン水やイオン交換水を用いることが好ましい。第2インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤は、水溶性であれば特に制限はなく、アルコール類、(ポリ)アルキレングリコール類、グリコールエーテル類、含窒素極性溶剤類、含硫黄極性溶剤類などをいずれも用いることができる。第2インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、第2インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。インクジェット記録方法に適用する際に、水溶性有機溶剤の含有量が上記した範囲を外れると、耐固着性や吐出安定性などの信頼性がやや低下する場合がある。
(その他の成分)
第2インクには、前記成分の他に、尿素やその誘導体、トリメチロールプロパン、及びトリメチロールエタンなどの25℃で固体の水溶性有機化合物を含有させてもよい。また、第2インクには、上記成分以外にも必要に応じて、界面活性剤、樹脂、消泡剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、及びキレート剤などの種々の添加剤を含有させてもよい。
第2インクは樹脂を含有してもよい。樹脂は、(i)顔料の分散状態を安定化させるため、すなわち、樹脂分散剤やその補助として、また、(ii)記録される画像の各種特性を向上させる、などの用途でインクに添加することができる。第2インクが樹脂を含有する場合、第2インク中の樹脂の含有量(質量%)は、第2インク中の色材の含有量(質量%)に対する質量比率で、1.2倍以下であることが好ましい。前記質量比率が1.2倍超であると、画像を構成する色材層の発色効率が低下する傾向にあるだけでなく、樹脂による光の散乱が生じ、高いレベルの光沢性が十分に得られない場合がある。加えて、画像を構成する銀層の細孔に第3インクの樹脂が目詰まりしやすく、高いレベルの耐ビーディング性が十分に得られない場合がある。前記質量比率は、0.1倍以上であることが好ましい。
(第2インクの物性)
第2インクの25℃における粘度は、1mPa・s以上6mPa・s以下であることが好ましく、1mPa・s以上4mPa・s以下であることがさらに好ましい。また、第2インクの25℃における表面張力は、10mN/m以上60mN/m以下であることが好ましく、20mN/m以上50mN/m以下であることがさらに好ましく、25mN/m以上40mN/m以下であることが特に好ましい。
(色材の付与量)
記録媒体の単位面積当たりの、第2インクの色材の付与量(g/m)は、0.01g/m以上1.00g/m以下であることが好ましい。また、記録媒体の単位面積当たりの、第2インクの色材の付与量(g/m)は、第1インクの銀粒子の付与量(g/m)に対する比率で、0.1倍以上3.0倍以下であることが好ましい。前記比率が0.1倍未満であると、色材層が薄く、色材層に光が透過する際に色材の補色に対応する光が十分に吸収されず、高いレベルの発色性が十分に得られない場合がある。一方、前記比率が3.0倍超であると、色材層が厚いため、色材層による光の隠蔽性が高くなり、銀層で反射する光が少なくなるため、高いレベルの光沢性が十分に得られない場合がある。前記比率は、第1インク中の銀粒子の含有量、第2インク中の色材の含有量、第1インクの付与量、第2インクの付与量の少なくともいずれかにより調整することができる。
<第3インク>
第3インクは、水溶性樹脂及び樹脂粒子を含む樹脂を含有するとともに、色材を含有しないインクであり、水性媒体として少なくとも水を含有する水性インクであることが好ましい。第3インクは、活性エネルギー線硬化型である必要はないので、重合性基を有するモノマーなどを含有させる必要もない。以下、第3インクを構成する成分について説明する。
(樹脂)
本明細書における「水溶性樹脂」とは、その樹脂を酸価に対して1.0倍(モル比)以上の塩基で中和した場合に、粒子径を測定し得る粒子を形成しない状態で液媒体中に存在する樹脂を意味する。また、「樹脂粒子」とは、その樹脂を酸価に対して1.0倍(モル比)以上の塩基で中和した場合に、粒子径を測定し得る粒子を形成した状態で液媒体中に存在する樹脂を意味する。樹脂の粒子径は動的光散乱法で測定する。
ある樹脂が、水溶性樹脂であるか、樹脂粒子(水分散性樹脂)であるかについては、以下に示す方法にしたがって判断することができる。まず、酸価に相当する量以上の塩基(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)により中和された樹脂を含む液体(樹脂の含有量:10質量%程度)を用意する。次いで、用意した液体を純水で10倍(体積基準)に希釈して試料を調製する。そして、試料中の樹脂の粒子径を動的光散乱法により測定する。粒子径を有する粒子が測定されない場合には、その樹脂は水溶性樹脂であると判断し、粒子径を有する粒子が測定される場合には、その樹脂は樹脂粒子であると判断する。この際の測定条件は、例えば、SetZero:30秒、測定回数:3回、測定時間:180秒、のように設定することができる。粒度分布測定装置としては、動的光散乱法による粒度分析計(例えば、UPA-EX150、日機装製)などを使用することができる。勿論、使用する粒度分布測定装置や測定条件などは上記に限られるものではない。
樹脂を構成するユニットは、核磁気共鳴スペクトル(H-NMR)、熱分解ガスクロマトグラフィーなどで分析することができる。また、アクリル系樹脂の形態(ランダム共重合体、ブロック共重合体)は、多変量解析による熱分解ガスクロマトグラフィー(EGA-GC/MS)などで分析することができる。
樹脂としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、オレフィン系樹脂などが挙げられ、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂が好ましく、アクリル系樹脂がさらに好ましい。オレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが挙げられる。第3インクに含有させる樹脂である水溶性樹脂及び樹脂粒子は、主に溶解状態に起因してインク中での存在状態が異なること以外は、同様の構成とすることができる。水溶性樹脂はインク中に溶解した状態として存在し、樹脂粒子はインク中に分散した状態、すなわち樹脂エマルションとして存在する。
以下、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂について、樹脂(水溶性樹脂、樹脂粒子)の詳細を説明する。「(メタ)アクリル酸」と記載した場合は「アクリル酸、メタクリル酸」を表すものとし、「(メタ)アクリレート」と記載した場合は「アクリレート、メタクリレート」を表すものとする。
〔アクリル系樹脂の構成ユニット〕
アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリルエステルなどのアクリル系モノマーを(共)重合して得られる樹脂である。好ましくは、酸基を有するモノマー及び酸基を有しないモノマーを共重合して得られる、酸基を有するユニット及び酸基を有しないユニットで構成される樹脂を用いる。
重合により酸基を有するユニットとなる、酸基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などのカルボン酸基を有するモノマー;スチレンスルホン酸などのスルホン酸基を有するモノマー;2-ホスホン酸エチル(メタ)アクリル酸などのホスホン酸基を有するモノマー;これらのモノマーの無水物や塩などが挙げられる。塩としては、例えば、リチウム、ナトリウム、及びカリウムなどのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、有機アンモニウム塩が挙げられる。酸基を有するモノマーとしては、カルボン酸基を有するモノマーが好ましく、(メタ)アクリル酸がさらに好ましい。
重合により酸基を有しないユニットとなる、酸基を有しないモノマーとしては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-メチル-5-ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシ基を有するモノマー;スチレン、α-メチルスチレン、ベンジル(メタ)アクリレートなどの芳香族基を有するモノマー;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート類などが挙げられる。酸基を有しないモノマーとしては、芳香族基を有するモノマー、アルキル(メタ)アクリレート類が好ましく、芳香族基を有するモノマーがさらに好ましい。
〔ウレタン系樹脂の構成ユニット〕
ウレタン系樹脂は、少なくとも、ポリイソシアネートと、それと反応する成分(ポリオールやポリアミン)を用い、必要に応じて架橋剤や鎖延長剤も用いて合成される樹脂である。好ましくは、ポリイソシアネート、酸基を有しないポリオール、及び酸基を有するポリオールを重合して得られるウレタン樹脂を用いる。
ポリイソシアネートは、その分子構造中に2以上のイソシアネート基を有する化合物である。ポリイソシアネートとしては、脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネートが挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの鎖状構造を有するポリイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネートなどの環状構造を有するポリイソシアネートなどが挙げられる。芳香族ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネートなどが挙げられる。なかでも、ポリイソシアネートは、イソホロンジイソシアネートであることが好ましい。
ポリオールは、その分子構造中に2以上のヒドロキシ基を有する化合物である。ポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールなどの酸基を有しないポリオール;酸基を有するポリオールなどが挙げられる。また、ポリアミンは、その分子構造中に2以上の「アミノ基、イミノ基」を有する化合物である。
ポリエーテルポリオールとしては、アルキレンオキサイド及びポリオール類の付加重合物;(ポリ)アルキレングリコールなどのグリコール類などが挙げられる。ポリエステルポリオールとしては、酸エステルなどが挙げられる。ポリカーボネートポリオールとしてはアルカンジオール系ポリカーボネートジオールなどが挙げられる。酸基を有しないポリオールの数平均分子量は、400以上4,500以下であることが好ましい。
酸基を有するポリオールとしては、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基などの酸基を有するものが挙げられる。酸基は塩を形成していてもよく、塩としては、例えば、リチウム、ナトリウム、及びカリウムなどのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、有機アンモニウム塩が挙げられる。酸基を有するモノマーとしては、ジメチロール酢酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロール酪酸などのカルボン酸基を有するポリオールが好ましく、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸がさらに好ましい。
ポリアミンとしては、ジメチロールエチルアミン、ジエタノールメチルアミンなどの複数のヒドロキシ基を有するモノアミン;エチレンジアミン、プロピレンジアミンなどの2官能ポリアミン;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどの3官能以上のポリアミンなどが挙げられる。便宜上、複数のヒドロキシ基と、1つの「アミノ基、イミノ基」を有する化合物も「ポリアミン」として列挙した。
ウレタン系樹脂を合成する際には、架橋剤や鎖延長剤を用いることができる。通常、架橋剤はプレポリマーの合成の際に用いられ、鎖延長剤は予め合成されたプレポリマーに対して鎖延長反応を行う際に用いられる。基本的には、架橋剤や鎖延長剤としては、架橋や鎖延長など目的に応じて、水や、ポリイソシアネート、ポリオール、ポリアミンなどから適宜に選択して用いることができる。
〔樹脂の物性〕
アクリル系樹脂の酸価は、0mgKOH/g以上300mgKOH/g以下であることが好ましく、100mgKOH/g以上300mgKOH/g以下であることがさらに好ましい。また、ウレタン系樹脂の酸価は、45mgKOH/g以上70mgKOH/g以下であることが好ましい。樹脂の酸価は電位差滴定により測定することができる。アクリル系樹脂の重量平均分子量は、1,000以上30,000以下であることが好ましく、3,000以上15,000以下であることがさらに好ましい。また、ウレタン系樹脂の重量平均分子量は、8,000以上22,000以下であることが好ましい。樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、ポリスチレン換算の値として測定することができる。
〔樹脂の含有量〕
第3インク中の水溶性樹脂の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上10.0質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上5.0質量%以下であることがさらに好ましい。また、第3インク中の樹脂粒子の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上10.0質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上5.0質量%以下であることがさらに好ましい。第3インク中の樹脂の含有量(質量%)は、0.1質量%以上20.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下であることがさらに好ましい。第3インク中の、樹脂粒子の含有量(質量%)は、樹脂の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.3倍以上0.7倍以下であることが好ましい。前記質量比率が0.3倍未満であると、樹脂層を形成する樹脂に占める樹脂粒子が少なすぎて、インクのあふれが十分に低減されず、高いレベルの耐ビーディング性が十分に得られない場合がある。一方、前記質量比率が0.7倍超であると、樹脂層を形成する樹脂に占める樹脂粒子が多すぎて、水溶性樹脂を併用していても空隙が十分に埋まらず、高いレベルの光沢性が十分に得られない場合がある。
〔水溶性樹脂の形態〕
水溶性樹脂は、酸基を有するユニット及び酸基を有しないユニットを含むアクリル系のランダム共重合体であることが好ましい。ランダム共重合体とは2種以上のユニットが不規則に配列された構造を有する共重合体であり、1のユニットが連続して配列して形成された複数のブロックが連結した構造を有するブロック共重合体の対となる概念である。酸基を有するユニットにより、水溶性樹脂のインク中での溶解状態が安定化される。また、酸基を有しないユニットにより、記録媒体において第2インクの色材と第3インクの水溶性樹脂とが相互作用するとともに、水溶性樹脂の分子内又は分子間でも相互作用できる。水溶性樹脂が酸基を有するユニット及び酸基を有しないユニットを含むランダム共重合体であると、上記の各作用が生じて、酸基を有しないユニットと色材とが複数の箇所で相互作用するとともに、水溶性樹脂の分子内又は分子間でも複数の箇所で相互作用する。これにより、水溶性樹脂が色材層をより確実に被覆して、樹脂層の表面がより平滑になるため、樹脂層で光が散乱しにくくなり、光沢性(高湿の環境で保存する前の光沢性)をさらに向上することができる。
酸基を有するユニット及び酸基を有しないユニットを含むブロック共重合体は、各ブロックの親疎水性が明確に分かれた構造であるため、インク中で会合してミセルを形成しやすくなる。これにより、上述した複数の箇所での相互作用が生じにくくなるので、平滑な表面の樹脂層が形成されにくく、樹脂層で光が散乱しやすくなるため、高いレベルの光沢性が十分に得られない場合がある。また、酸基を有しないユニットを含まず、酸基を有するユニットのみで構成される水溶性樹脂は、インク中での溶解状態は安定であるものの色材との相互作用は弱く、また、水溶性樹脂の分子内又は分子間の相互作用も弱い。このため、水溶性樹脂が色材層を確実に被覆することができず、水溶性樹脂の一部は色材層を通過して銀層にまで到達するため、銀層の細孔に樹脂が目詰まりしやすく、高いレベルの耐ビーディング性が十分に得られない場合がある。
〔樹脂粒子の形態、物性〕
樹脂粒子は、酸基を有しないユニットを含むコア及び酸基を有するユニットを含むシェルで構成されることが好ましい。上述の通り、水溶性樹脂及び樹脂粒子を含有する第3インクを用いることで、樹脂層における樹脂粒子間の空隙が水溶性樹脂によって埋まるので、光の散乱が低減されて、光沢性が向上する。但し、耐ビーディング性の観点では、第3インクの液体成分の浸透を妨げないようにするために、樹脂粒子の粒子としての形状をなるべく保持することによって、樹脂層中にわずかな空隙を存在させることが好ましい。樹脂粒子のシェルに酸基を有しないユニットが存在しないと、樹脂粒子が凝集しやすいため、粒子としての形状が保持されにくくなり、高いレベルの耐ビーディング性が十分に得られない場合がある。また、樹脂粒子のコアに酸基を有しないユニットが存在すると、コアの親水性が低く抑えられるため、粒子の形状が保持されやすくなるため、高いレベルの耐ビーディング性を得ることができる。
樹脂粒子の体積基準の累積50%粒子径(d50)は、10nm以上100nm以下であることが好ましい。体積基準の累積50%粒子径は、粒子径積算曲線において、測定された粒子の総体積を基準として小粒子径側から積算して50%となった粒子の直径を指す。また、第3インクの樹脂粒子の体積基準の累積50%粒子径d50、及び、第1インクの銀粒子の体積基準の累積50%粒子径d50は、d50≧d50の関係を満たすことが好ましい。第2インク中の色材の含有量が小さい場合、銀層と樹脂層との間に存在する色材層が薄くなる。この場合、樹脂粒子のd50が銀粒子のd50よりも小さいと、銀層に到達した一部の樹脂粒子が銀層の細孔に目詰まりして、第3インクの液体成分の浸透が妨げられやすくなるため、高いレベルの耐ビーディング性が十分に得られない場合がある。
(水性媒体)
第3インクは、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合媒体である水性媒体を含有することが好ましい。第3インクは、水性媒体として水を含有するインク(水性インク)であることが好ましい。水としては脱イオン水やイオン交換水を用いることが好ましい。第3インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤は、水溶性であれば特に制限はなく、アルコール類、(ポリ)アルキレングリコール類、グリコールエーテル類、含窒素極性溶剤類、含硫黄極性溶剤類などをいずれも用いることができる。第3インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、第3インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。インクジェット記録方法に適用する際に、水溶性有機溶剤の含有量が上記した範囲を外れると、耐固着性や吐出安定性などの信頼性がやや低下する場合がある。
(その他の成分)
第3インクには、前記成分の他に、尿素やその誘導体、トリメチロールプロパン、及びトリメチロールエタンなどの25℃で固体の水溶性有機化合物を含有させてもよい。また、第3インクには、上記成分以外にも必要に応じて、界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、及びキレート剤などの種々の添加剤を含有させてもよい。
(第3インクの物性)
第3インクの25℃における粘度は、1mPa・s以上6mPa・s以下であることが好ましく、1mPa・s以上4mPa・s以下であることがさらに好ましい。また、第3インクの25℃における表面張力は、10mN/m以上60mN/m以下であることが好ましく、20mN/m以上50mN/m以下であることがさらに好ましく、25mN/m以上40mN/m以下であることが特に好ましい。
(樹脂の付与量)
記録媒体の単位面積当たりの、第3インクの樹脂の付与量(g/m)は、0.01g/m以上1.00g/m以下であることが好ましい。記録媒体の単位面積当たりの、第3インクの樹脂の付与量(g/m)は、第2インクの色材の付与量(g/m)に対する比率で、0.6倍以上であることが好ましい。前記比率が0.6倍未満であると、第2インクの色材に対して第3インクの樹脂が少ないため、ブロンズ現象の発生を十分に抑制し得る厚さの樹脂層を形成することができず、高いレベルの耐ブロンズ性が十分に得られない場合がある。前記比率は、7.5倍以下であることが好ましく、7.0倍以下であることがさらに好ましい。前記比率は、第2インク中の色材の含有量、第3インク中の樹脂の含有量、第2インクの付与量、第3インクの付与量の少なくともいずれかにより調整することができる。
<記録媒体>
記録媒体としては、どのようなものを用いてもよいが、普通紙や、インク受容層を有する記録媒体(光沢紙やアート紙)などの、浸透性を有する記録媒体を用いることが好ましい。なかでも、記録される画像のメタリック感に優れるため、光沢紙などのインク受容層を有する記録媒体を用いることが好ましい。インクジェット記録方法で用いられる光沢紙などの記録媒体は、通常、塩化物イオンなどのハロゲン化物イオンを含有するインク受容層を具備する。塩化物イオンは、例えば、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ポリ塩化アルミニウムなどのカチオン性化合物に含まれている。
以下、実施例、比較例、及び参考例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。なお、成分量に関して「部」、及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。
<銀粒子の分散液の調製>
特表2010-507727号公報の実施例2の記載を参考にして、銀粒子の含有量が10.0%であり、樹脂の含有量が3.0%である、銀粒子の分散液を調製した。銀粒子の体積基準の累積50%粒子径は42nmであった。銀粒子の体積基準の累積50%粒子径は以下の手順で測定した。先ず、イオン交換水で約2,000倍(質量基準)に希釈した分散液を、シリコン材料で形成された基板に塗布して、水を乾燥により除去して試料を準備した。次いで、得られた試料を利用して、3,000個以上の銀粒子について、走査型電子顕微鏡で観察し、画像解析・計測ソフトウェア(商品名「WinROOF2015」、三谷商事製)を利用して画像処理を行って算出した。
<第1インクの調製>
以下に示す各成分を混合して、十分撹拌した後、ポアサイズ0.8μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過を行い、第1インクを得た。アセチレノールE100は、川研ファインケミカル製のノニオン性界面活性剤である。インク中の銀粒子の含有量は5.0%、樹脂の含有量は0.8%であった。
・銀粒子の分散液:50.0%
・エチレングリコール:15.0%
・ソルビトール:5.0%
・アセチレノールE100:0.2%
・イオン交換水:29.8%。
<顔料分散液の調製>
(顔料分散液1)
C.I.ピグメントブルー15:3を24.0部、樹脂分散剤の水溶液48.0部、及びイオン交換水28.0部を混合して混合物を得た。樹脂分散剤の水溶液としては、スチレン-アクリル酸共重合体(商品名「ジョンクリル680」、BASF製)を、酸価の0.85倍(モル比)の水酸化カリウムで中和し、適量のイオン交換水を加えて得た、水溶性樹脂の含有量が20.0%である水溶液を用いた。得られた混合物、及び0.3mm径のジルコニアビーズ85部を、バッチ式縦型サンドミル(アイメックス製)に入れて、水冷しながら3時間分散させた。その後、遠心分離して粗大粒子を除去した。ポアサイズ3.0μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過して、顔料の含有量が20.0%、樹脂の含有量が8.0%である顔料分散液1を調製した。
(顔料分散液2)
顔料をカーボンブラックに変更したこと以外は、顔料分散液1と同様の手順で、顔料の含有量が20.0%、樹脂の含有量が8.0%である顔料分散液2を調製した。
(顔料分散液3)
顔料をC.I.ピグメントイエロー74に変更したこと以外は、顔料分散液1と同様の手順で、顔料の含有量が20.0%、樹脂の含有量が8.0%である顔料分散液3を調製した。
<第2インクの調製>
表1の上段に示す各成分(単位:%)を混合して、十分撹拌した後、ポアサイズ0.8μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過を行い、第1インクを得た。アセチレノールE100は、川研ファインケミカル製のノニオン性界面活性剤の商品名である。表1の下段には、色材の含有量C(%)、樹脂の含有量R(%)を示した。
<水溶性樹脂の準備>
(重量平均分子量の測定方法)
樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、ポリスチレン換算の値として求めた。樹脂をテトラヒドロフランに添加し、25℃で24時間かけて溶解させ、メンブレンフィルターでろ過して、試料を調製した。試料は樹脂の含有量が約0.3%となるように調整した。この試料について、以下の条件で樹脂の重量平均分子量を測定した。
・測定装置:商品名「Waters2695 Separations Module」、Waters製
・RI(屈折率)検出器:商品名「2414detector」、Waters製
・カラム:商品名「Shodex KF-806M」の4連カラム、昭和電工製
・溶離液:テトラヒドロフラン
・流速:1.0mL/min
・オーブン温度:40℃
・試料注入量:100μL。
樹脂の重量平均分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン試料(商品名「TSKgel標準ポリスチレン」の、F-850、F-450、F-288、F-128、F-80、F-40、F-20、F-10、F-4、F-2、F-1、A-5000、A-2500、A-1000、A-500、東ソー製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用した。
(水溶性樹脂1~6)
温度計、撹拌機、窒素導入管、還流管を備えた4つ口フラスコに、エチレングリコールモノブチルエーテル100.0部を入れた後、フラスコに窒素ガスを導入して、撹拌しながら110℃まで昇温した。表2に示すモノマー(単位:部)の混合物、及び1.3部の重合開始剤(t-ブチルパーオキサイド)を溶解させたエチレングリコールモノブチルエーテルを、3時間かけてフラスコ内に滴下した。モノマーの略記号は、St:スチレン、αMSt:α-メチルスチレン、BzMA:ベンジルメタクリレート、MMA:メチルメタクリレート、nBA:n-ブチルアクリレート、AA:アクリル酸、StSA:スチレンスルホン酸、を示す。エージングを2時間行った後、エチレングリコールモノブチルエーテルを減圧により除去することで、表に示すモノマーに由来するユニットで構成される、各水溶性樹脂を固形物として得た。このようにして合成した水溶性樹脂1~6はいずれも、アクリル系のランダム共重合体であり、重量平均分子量は11,000であった。得られた水溶性樹脂を、その酸価の1.0倍(モル比)の水酸化カリウムで中和し、適量のイオン交換水を加えて、80℃で溶解させ、樹脂の含有量が10.0%である、各水溶性樹脂を含む液体を得た。
(水溶性樹脂7)
温度計、撹拌機、窒素導入管、還流管を備えた4つ口フラスコを準備した。フラスコに窒素を導入した後、ジメチルホルムアミド100.0部、及びペンタメチルジエチレントリアミン0.5部を入れた。さらに、酸基を有しないモノマー(2-メトキシエチルアクリレート)10.0部、及び重合開始剤(クロロエチルベンゼン)0.07部を入れ、撹拌しながら80℃まで昇温した。そして、連鎖移動剤(塩化銅(I))を添加して、2-メトキシエチルアクリレートに由来するユニットで構成されるAブロックを重合した。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより分子量をモニタリングすることで重合の終了を確認した。その後、トリメチルシリルメタクリレート5.0部を添加して、引き続き重合させることで、トリメチルシリルメタクリレートに由来するユニットで構成されるブロックを重合した。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより分子量をモニタリングすることで重合の終了を確認した。
水酸化ナトリウムのメタノール溶液を添加して、トリメチルシリルメタクリレートを加水分解することで、メタクリル酸に変換した。このようにして、2-メトキシエチルアクリレートに由来するユニットで構成されるAブロックとメタクリル酸に由来するユニットで構成されるBブロックとを有するアクリル系のブロック共重合体である水溶性樹脂を合成した。この樹脂の重量平均分子量は11,000であった。35.0%塩酸2.8部を添加し、25℃で10分間撹拌した後、内容物をろ過して、樹脂を分取した。この樹脂を純水で3回洗浄した後、乾燥させて、水溶性樹脂7を得た。得られた水溶性樹脂7を、その酸価の1.0倍(モル比)の水酸化カリウムで中和し、適量のイオン交換水を加えて、80℃で溶解させ、樹脂の含有量が10.0%である、水溶性樹脂7を含む液体を得た。
(水溶性樹脂8)
温度計、撹拌機、窒素導入管、還流管を備えた4つ口フラスコを準備した。ここに、イソホロンジイソシアネート35.3部、数平均分子量2,000のポリプロピレングリコール50.4部、ジメチロールプロピオン酸14.3部、及びメチルエチルケトン200.0部を入れ、窒素ガス雰囲気下、80℃で12時間反応させた。さらに、エチレンジアミン0.6部、及びメチルエチルケトン100.0部を添加し、60℃で1時間反応させた。その後、40℃まで冷却し、適量のイオン交換水を添加した後、ホモミキサーで撹拌しながら、酸価の1.0倍(モル比)の水酸化カリウムを添加した。加熱減圧下でメチルエチルケトンを留去して、樹脂の含有量が10.0%である、水溶性樹脂8を含む液体を得た。水溶性樹脂8はウレタン系樹脂であり、重量平均分子量は15,000であった。
(水溶性樹脂9)
特許文献2号公報の記載を参考にして、「フルオレン樹脂」を合成した。この樹脂は、重量平均分子量が3,300である、水溶性のウレタン系樹脂である。得られた樹脂を、その酸価の1.0倍(モル比)の水酸化カリウムで中和し、適量のイオン交換水を加えて、80℃で溶解させ、樹脂の含有量が10.0%である、水溶性樹脂9を含む液体を得た。
<樹脂粒子の準備>
(体積基準の累積50%粒子径の測定方法)
樹脂粒子の体積基準の累積50%粒子径は、インクを純水で100倍(体積基準)に希釈した液体を測定試料とし、動的光散乱法による粒度分布計(商品名「ナノトラックUPA-EX150」、日機装製)を使用して測定した。測定条件は、SetZero:30s、測定回数:3回、測定時間:180秒、形状:非球形、屈折率:1.51とした。
(樹脂粒子1~8)
n-ヘキサデカン2.0部、重合開始剤(2,2’-アゾビス-(2-メチルブチロニトリル))1.0部、及び表3に示すコア部のモノマー(単位:部)を混合し、30分間撹拌して混合物を得た。モノマーの略記号は、St:スチレン、nBA:n-ブチルアクリレート、AA:アクリル酸、を示す。得られた混合物を、0.27部のドデシル硫酸ナトリウムを溶解させた水229.5部中に滴下した後、30分間撹拌し、コア部のモノマー混合物を得た。そして、超音波ホモジナイザー(商品名「S-150D デジタルソニファイアー」、ブランソン製)を用いて、出力:400W、周波数:20kHz、3時間の条件でコア部のモノマー混合物に超音波を照射することで、成分を分散させた。その後、窒素雰囲気下、80℃で4時間重合させることで、樹脂を合成し、樹脂粒子のコア部となるアクリル系の樹脂を含む分散液を得た。
次いで、イオン交換水200.0部、過硫酸カリウム0.1部、ドデシル硫酸ナトリウム8.0部、表3に示すシェル部のモノマー(単位:部)を乳化させ、シェル部用のモノマーの乳化物を得た。モノマーの略記号は、MMA:メチルメタクリレート、nBA:n-ブチルアクリレート、AA:アクリル酸、StSA:スチレンスルホン酸、を示す。先に得たコア部となる樹脂を含む分散液240.0部に、過硫酸カリウム0.1部、及びイオン交換水600.0部を加え、窒素雰囲気下、75℃まで昇温した。この分散液に、シェル部用のモノマーの乳化物350.0部を3時間かけて滴下した。その後、85℃まで昇温し、2時間撹拌して重合させ、樹脂粒子のシェル部となるアクリル系の樹脂を合成した。その後、25℃まで冷却して、適量のイオン交換水、及び水酸化カリウム水溶液を添加して、pHが8.5であり、樹脂の含有量が10.0%である、各樹脂粒子を含む液体を得た。樹脂粒子1~8はいずれも、コア及びシェルで構成される樹脂粒子であった。表3には、樹脂粒子の体積基準の累積50%粒子径(d50)を示す。
(樹脂粒子
撹拌シール、撹拌棒、還流冷却管、セプタムラバー、窒素導入管を備えた、容量300mLの4つ口フラスコに、スチレン9.0部、アクリル酸1.5部、ドデシル硫酸ナトリウム0.1部、及び蒸留水100.0部を入れて、混合した。フラスコを70℃の恒温槽に入れ、内容物を300rpmで撹拌しながら、フラスコ内に窒素ガスを導入し、1時間窒素置換を行った。その後、100.0部の蒸留水に溶解させた過硫酸カリウムを、シリンジを利用してフラスコ内に注入することで、重合を開始させた。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより分子量をモニタリングすることで重合の終了を確認した。限外ろ過により精製した後、適量のイオン交換水、及び水酸化カリウム水溶液を添加して、pHが8.5であり、樹脂の含有量が10.0%である、樹脂粒子を含む液体を得た。樹脂粒子はアクリル系樹脂で構成される単層の樹脂粒子であり、体積基準の累積50%粒子径は132nmであった。
(樹脂粒子10
樹脂粒子を含む市販の水分散体(商品名「タケラックW-6061」、三井化学製)に適量のイオン交換水を添加して濃度を調整し、樹脂粒子10を含む液体を得た。樹脂粒子10はウレタン系樹脂で構成される樹脂粒子であり、体積基準の累積50%粒子径は102nmであった。
(樹脂粒子11
樹脂粒子を含む市販の水分散体(商品名「WBR-016U」、大成ファインケミカル製)に適量のイオン交換水を添加して濃度を調整し、樹脂粒子11を含む液体を得た。樹脂粒子11はウレタン系樹脂で構成される樹脂粒子であり、体積基準の累積50%粒子径は34nmであった。
<第3インクの調製>
以下に示す各成分を混合して、十分撹拌した後、ポアサイズ0.8μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過を行い、第3インクを得た。アセチレノールE100は、川研ファインケミカル製のノニオン性界面活性剤である。表4の右側には、水溶性樹脂の含有量R(%)、樹脂粒子の含有量R(%)、樹脂の含有量R(=R+R)(%)、R/Rの値(倍)を示す。
・水溶性樹脂を含む液体:表4に示す使用量(%)
・樹脂粒子を含む液体:表4に示す使用量(%)
・グリセリン:10.0%
・2-ピロリドン:5.0%
・1,2-ヘキサンジオール:5.0%
・アセチレノールE100:0.2%
・イオン交換水:成分の合計が100.0%となる残量(%)
<評価>
上記で調製した各インクをインクカートリッジに充填し、熱エネルギーの作用によりインクを吐出する記録ヘッドを搭載したインクジェット記録装置(PIXUS PRO 10-S、キヤノン製)にセットした。この記録ヘッドは、主走査方向に直交する方向に沿って、第1インク、第2インク、及び第3インクのそれぞれの吐出口列が配列されたものである。本実施例では、1/600インチ×1/600インチの単位領域(1画素)に、約3.8ngのインク滴を8滴付与する条件で記録した画像を、記録デューティが100%であると定義する。
第1インクは、副走査方向における上流側の吐出口列のうち1/3に当たる吐出口から吐出するように設定した。第2インクは、副走査方向における中心部の吐出口列の1/3に当たる吐出口から吐出するように設定した。また、第3インクは、副走査方向における下流側の吐出口列のうち1/3に当たる吐出口から吐出するように設定した。そして、表5の左側に示す条件で、各評価に用いる2cm×2cmのベタ画像を記録した。この際、第1インク及び第2インクの付与時間差を一定に保つために、便宜的に記録ヘッドの主走査の片方向のみで各インクを吐出させて画像を記録した。上流側の吐出口列から第1インクを吐出して記録媒体に付与した。その後、記録ヘッドを搭載したキャリッジをホームポジションに戻す間に、先のインクを付与した領域に相当する幅として副走査方向に記録媒体を搬送した。第2インク及び第3インクも、第1インクの場合と同様の手順で記録媒体に付与した。
表5の左側に、各インクの種類、付与順序、記録デューティ、第1インク及び第2インクの付与時間差(「時間差」と表記)、単位領域に第3インクを付与する際の主走査の回数(記録パス数)を示す。また、第1インクの銀の付与量A、第2インクの色材の付与量A、第3インクの樹脂の付与量A、A/Aの値を示す。記録媒体としては、光沢紙(商品名「キヤノン写真用紙・光沢 プロ[プラチナグレード]PT-201」、キヤノン製)を用いた。この記録媒体のインク受容層は、塩化物イオンを含有する。
本発明においては、下記の各項目の評価基準で、AA、A、及びBを許容できるレベルとし、C、及びDを許容できないレベルとした。評価結果を表5の右側に示す。
(耐ブロンズ性)
上記で得られた画像(「保存前の画像」とする)におけるブロンズ現象を目視で確認した。また、保存前の画像について、変角高速分光光度計(商品名「GCMS-3B型」、村上色彩技術研究所製)を用いて、画像の正反射光のa及びbを測定した(a 及びb とする)。測定条件は、光源D65、視野角2°、入射角45°、反射角45°、あおり角0°とした。この画像を、35℃、相対湿度90%に設定した恒温槽内に4週間載置した。その後、再び画像の正反射光のa及びbを測定した(a 及びb とする)。a及びbは、CIE(国際照明委員会)により規定されたL表示系における色度である。そして、これらの値から、ΔC={(a -a +(b -b 1/2の式に基づいて彩度の変化量ΔCを算出し、以下に示す評価基準にしたがって耐ブロンズ性を評価した。
AA:保存前の画像にブロンズ現象が生じておらず、ΔCが10未満だった
A:保存前の画像にブロンズ現象が生じておらず、ΔCが10以上15未満だった
B:保存前の画像にブロンズ現象が生じておらず、ΔCが15以上20未満だった
C:保存前の画像にブロンズ現象が生じておらず、ΔCが20以上だった
D:保存前の画像にブロンズ現象が生じていた。
(耐ビーディング性)
上記で得られた画像におけるインクのあふれによるムラを目視で確認して、以下に示す評価基準にしたがって耐ビーディング性を評価した
A:インクのあふれによるムラは生じていなかった
B:インクのあふれによる水玉状のムラが生じていたが、濃淡ムラは見られなかった
C:インクのあふれによる水玉状のムラが生じ、濃淡ムラが見られた。
(光沢性)
上記で得られた画像について、光沢度計(商品名「VG7000」、日本電色工業製)に10mm×10mmのアタッチメントをセットしたものを用いて、60°鏡面光沢度を測定した。測定した60°鏡面光沢度から、以下に示す評価基準にしたがって光沢性を評価した
A:60°鏡面光沢度が170以上であった
B:60°鏡面光沢度が160以上170未満であった
C:60°鏡面光沢度が150以上160未満であった
D:60°鏡面光沢度が150未満であった

Claims (22)

  1. インクジェット方式の記録ヘッドからインクを吐出させて記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
    第1インクを前記記録媒体に付与する工程、前記第1インクを付与した領域の少なくとも一部に重なるように、第2インクを前記記録媒体に付与する工程、並びに、前記第1インク及び前記第2インクを付与した領域の少なくとも一部に重なるように、第3インクを前記記録媒体に付与する工程を有し、
    前記第1インクが、銀粒子を含有するインクであり、
    前記第1インクの前記銀粒子の体積基準の累積50%粒子径d50Sが、1nm以上50nm以下であり、
    前記第2インクが、色材を含有するインクであり、
    前記第3インクが、色材を含有せずに樹脂を含有するインクであり、
    前記第3インクの前記樹脂が、水溶性樹脂、及び樹脂粒子を含み、
    前記第3インクの樹脂粒子の体積基準の累積50%粒子径d50Pが、10nm以上であり、
    前記第3インクの前記樹脂粒子の体積基準の累積50%粒子径d50P、及び、前記第1インクの前記銀粒子の体積基準の累積50%粒子径d50Sが、d50P≧d50Sの関係を満たすことを特徴とするインクジェット記録方法。
  2. 前記第1インク中の前記銀粒子の含有量(質量%)が、インク全質量を基準として、2.0質量%以上15.0質量%以下である請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 前記第1インクの前記銀粒子の体積基準の累積50%粒子径d50Sが、10nm以上50nm以下である請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
  4. 前記第2インク中の前記色材の含有量(質量%)が、インク全質量を基準として、0.05質量%以上15.0質量%以下である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  5. 前記第3インク中の前記水溶性樹脂の含有量(質量%)が、インク全質量を基準として、0.1質量%以上10.0質量%以下である請求項1乃至のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  6. 前記第3インク中の前記樹脂粒子の含有量(質量%)、インク全質量を基準として、0.1質量%以上10.0質量%以下である請求項1乃至のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  7. 前記第3インク中の、前記樹脂粒子の含有量(質量%)が、前記樹脂の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.3倍以上0.7倍以下である請求項1乃至のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  8. 前記第3インクの前記樹脂粒子の体積基準の累積50%粒子径d50Pが、100nm以下である請求項1乃至7のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  9. 前記第3インクの前記水溶性樹脂が、酸基を有するユニット及び酸基を有しないユニットを含むアクリル系のランダム共重合体である請求項1乃至のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  10. 前記第3インクの前記樹脂粒子が、酸基を有しないユニットを含むコア及び酸基を有するユニットを含むシェルで構成される請求項1乃至のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  11. 前記第2インクの前記色材が、フタロシアニン骨格を有する化合物である請求項1乃至10のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  12. 前記記録媒体の単位面積当たりの前記第1インクの前記銀粒子の付与量(g/m)が、0.30g/m以上である請求項1乃至11のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  13. 前記記録媒体の単位面積当たりの前記第1インクの前記銀粒子の付与量(g/m)が、1.00g/m以下である請求項1乃至12のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  14. 前記記録媒体の単位面積当たりの、前記第2インクの前記色材の付与量(g/m)が、0.01g/m以上1.00g/m以下である請求項1乃至13のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  15. 前記記録媒体の単位面積当たりの、前記第3インクの前記樹脂の付与量(g/m)が、前記第2インクの前記色材の付与量(g/m)に対する比率で、0.6倍以上である請求項1乃至14のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  16. 前記第1インクを前記記録媒体に付与する工程、及び、前記第2インクを前記記録媒体に付与する工程を行う時間差が、1秒以上である請求項1乃至15のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  17. 前記第1インクを前記記録媒体に付与する工程、及び、前記第2インクを前記記録媒体に付与する工程を行う時間差が、600秒以下である請求項1乃至16のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  18. 前記第1インクを前記記録媒体に付与する工程、及び、前記第2インクを前記記録媒体に付与する工程を行う時間差が、1秒以上90秒以下である請求項1乃至16のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  19. 前記第2インクを前記記録媒体に付与する工程、及び、前記第3インクを前記記録媒体に付与する工程を行う時間差が、0.1秒以上600秒以下である請求項1乃至18のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  20. 前記記録媒体の単位領域への前記第3インクの付与を、複数回に分割して行う請求項1乃至19のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  21. 前記記録媒体が、インク受容層を有する記録媒体である請求項1乃至20のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  22. インクジェット方式の記録ヘッドからインクを吐出させて記録媒体に画像を記録するために用いるインクジェット記録装置であって、
    第1インクを前記記録媒体に付与する手段、前記第1インクを付与した領域の少なくとも一部に重なるように、第2インクを前記記録媒体に付与する手段、並びに前記第1インク及び前記第2インクを付与した領域の少なくとも一部に重なるように、第3インクを前記記録媒体に付与する手段を備え、
    前記第1インクが、銀粒子を含有するインクであり、
    前記第1インクの前記銀粒子の体積基準の累積50%粒子径d50Sが、1nm以上50nm以下であり、
    前記第2インクが、色材を含有するインクであり、
    前記第3インクが、色材を含有せずに樹脂を含有するインクであり、
    前記第3インクの前記樹脂が、水溶性樹脂、及び樹脂粒子を含み、
    前記第3インクの樹脂粒子の体積基準の累積50%粒子径d50Pが、10nm以上であり、
    前記第3インクの前記樹脂粒子の体積基準の累積50%粒子径d50P、及び、前記第1インクの前記銀粒子の体積基準の累積50%粒子径d50Sが、d50P≧d50Sの関係を満たすことを特徴とするインクジェット記録装置。
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