JP7421388B2 - 鋳造装置及び鋳造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、下型及び上型の間で溶湯を押圧しながら型閉じする鋳造装置及び鋳造方法に関する。
特に、薄肉の鋳造製品を得るための製品キャビティ等では、鋳型のキャビティ形成面同士の間隔が狭くなる。このような製品キャビティに溶湯を充填する場合、溶湯の流路断面積が小さいため、溶湯の単位体積当たりの鋳型との接触面積が大きくなって溶湯の熱が鋳型に奪われ易くなったり、溶湯が製品キャビティに充填されるまでに要する時間が長くなったりする。これにより製品キャビティ内で溶湯が降温し、その流動性が低下すると、湯回り不良等が生じる懸念がある。
そこで、薄肉の鋳造製品等を得る場合であっても、湯回り不良等が生じることを抑制可能とするべく、例えば、特許文献1には、下型及び上型からなる鋳型と、上型を昇降させる駆動機構とを備え、下型及び上型の間で溶湯を押圧しながら型閉じする鋳造装置が提案されている。駆動機構は、下型の製品キャビティ形成部に対して、上型の製品キャビティ形成部を平行移動させて接近又は離間させることが可能になっている。この駆動機構により上型を上昇させて、製品キャビティよりも、下型と上型との間の溶湯の流路断面積を大きくした状態で注湯を開始する。その後、上型を下降させて下型との間で溶湯を押圧しながら型閉じを行って製品キャビティを形成する。これによって、製品キャビティ自体の大きさを変更することなく、注湯時の溶湯の流路断面積を大きくすることができる。その結果、湯回り不良等が生じることを抑制しつつ製品キャビティに溶湯を充填することが可能になる。
特開平4-59165号公報
上記の鋳造装置では、下型の製品キャビティ形成部に対して上型の製品キャビティ形成部が平行移動して接近する。このため、型閉じの際に、下型及び上型の製品キャビティ形成部同士の間に介在する溶湯全体に略同時に圧力が加えられることになり、鋳型にかかる溶湯の圧力が高くなり易い。この溶湯の圧力が、鋳型及び駆動機構により付与可能な押圧力の範囲を超える程に高くなると、製品キャビティが良好に形成される位置まで下型及び上型を接近させることが困難となって鋳造製品を良好に得ることが困難になる。特に上型及び下型が砂型の場合には溶湯の圧力により砂型に差し込みが生じるという懸念がある。また、鋳型や駆動機構等への負荷が大きくなって鋳造装置の耐久性が低下する懸念がある。これらを回避するべく、鋳型の剛性や駆動機構の駆動力等を上昇させると、鋳造装置が大型化してしまう。
本発明は、このような課題を考慮してなされたものであり、鋳型や駆動機構の大型化及び耐久性の低下を抑制できるとともに、鋳造製品を良好に得ることができる鋳造装置及び鋳造方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、湯口を介して溶湯が供給される下側製品キャビティ形成部が設けられた下型、及び前記下側製品キャビティ形成部との間に製品キャビティを形成可能な上側製品キャビティ形成部が設けられた上型を有する鋳型と、前記下型及び前記上型を相対的に移動させる駆動機構と、を備える鋳造装置であって、前記駆動機構は、前記湯口への注湯開始時には、前記下側製品キャビティ形成部と前記上側製品キャビティ形成部との少なくとも一部の距離を、前記製品キャビティ形成時よりも大きくし、前記下型及び前記上型の型閉じ時には、回動支点を中心として、前記下型及び前記上型を相対的に回動させることで前記製品キャビティを形成し、前記駆動機構は、前記下型及び前記上型を上下方向に沿って又は上下方向に対して傾斜する方向に沿って接近又は離間させることで、前記下側製品キャビティ形成部と前記上側製品キャビティ形成部との上下方向距離を調整可能であり、前記型閉じ時には、前記注湯開始時よりも前記上下方向距離を小さくした状態で、前記下型及び前記上型を相対的に回動させて前記製品キャビティを形成する
本発明の別の一態様は、湯口を介して溶湯が供給される下側製品キャビティ形成部が設けられた下型、及び前記下側製品キャビティ形成部との間に製品キャビティを形成可能な上側製品キャビティ形成部が設けられた上型を有する鋳型と、前記下型及び前記上型を相対的に移動させる駆動機構と、を備える鋳造装置を用いた鋳造方法であって、前記下側製品キャビティ形成部と前記上側製品キャビティ形成部との少なくとも一部の距離を、前記製品キャビティ形成時よりも大きくした状態で前記湯口への注湯を開始する注湯開始工程と、回動支点を中心として、前記下型及び前記上型を相対的に回動させることで前記製品キャビティを形成する型閉じ工程と、を有し、前記駆動機構は、前記下型及び前記上型を上下方向に沿って又は上下方向に対して傾斜する方向に沿って接近又は離間させることで、前記下側製品キャビティ形成部と前記上側製品キャビティ形成部との上下方向距離を調整可能であり、前記注湯開始工程では、前記型閉じ工程よりも前記上下方向距離を大きくした状態で注湯を開始し、前記型閉じ工程では、前記注湯開始工程よりも前記上下方向距離を小さくした状態で、前記下型及び前記上型を相対的に回動させて前記製品キャビティを形成する。
本発明では、下側製品キャビティ形成部と上側製品キャビティ形成部との少なくとも一部の距離を、製品キャビティ形成時よりも大きくした状態で湯口への注湯を開始する。このため、例えば、薄肉の鋳造製品を得るべく、製品キャビティ形成時の下側製品キャビティ形成部と上側製品キャビティ形成部との間隔が狭い場合であっても、注湯開始時における溶湯の流路断面積を製品キャビティよりも大きくできる。これによって、溶湯が製品キャビティに行き渡る前に凝固して湯回り不良が生じること等を抑制でき、鋳造製品を良好に得ることが可能になる。
また、上記のようにして注湯を開始した後に、下型及び上型を相対的に回動させることで、下型及び上型の間で溶湯を押圧しながら型閉じを行う。つまり、上側製品キャビティ形成部と下側製品キャビティ形成部とが傾斜した状態から、互いの傾斜方向を徐々に変化させつつ型閉じを行って、最終的に製品キャビティを形成する。このように型閉じすることで、下側製品キャビティ形成部と上側製品キャビティ形成部との間の溶湯を、部分ごとに異なるタイミングで押圧しつつ製品キャビティに充填していくことができる。これによって、下側製品キャビティ形成部と上側製品キャビティ形成部との間から余分な溶湯を排出するため溶湯の排出スピードを制御して溶湯を分散し易くすることができる。このため、例えば、溶湯全体を略同時に押圧して製品キャビティに充填する場合に比して、鋳型にかかる溶湯の圧力が高くなることを抑制できる。
従って、本発明によれば、鋳型の剛性や駆動機構の駆動力等を上昇させることなく、下側製品キャビティ形成部及び上側製品キャビティ形成部の間で溶湯を押圧しながら、製品キャビティが良好に形成される位置まで下型及び上型を接近させることができる。その結果、鋳型や駆動機構の大型化及び耐久性の低下を抑制できるとともに、鋳造製品を良好に得ることが可能になる。
本発明の実施形態に係る鋳造装置の注湯開始時を説明する概略断面図である。 図1の鋳造装置の回動支点近傍における上下方向距離を小さくした状態を説明する概略断面図である。 図2の鋳造装置の下型及び上型を回動させて製品キャビティを形成した状態を説明する概略断面図である。 図3の鋳造装置の鋳型の要部概略上面図である。 図3の鋳造装置の吐かせを説明するための部分拡大図である。 変形例に係る鋳造装置の注湯開始時を説明する概略断面図である。 図6の鋳造装置の回動支点近傍における上下方向距離を小さくした状態を説明する概略断面図である。 図7の鋳造装置の下型及び上型を回動させて製品キャビティを形成した状態を説明する概略断面図である。 別の変形例に係る鋳造装置の注湯開始時を説明する概略断面図である。 図9の鋳造装置の下型及び上型を回動させて製品キャビティを形成した状態を説明する概略断面図である。 別の変形例に係る鋳造装置の注湯開始時を説明する概略断面図である。 図11の鋳造装置の回動支点近傍の上下方向距離を小さくした状態を説明する概略断面図である。 図12の鋳造装置の下型及び上型を回動させて製品キャビティを形成した状態を説明する概略断面図である。
本発明に係る鋳造装置及び鋳造方法について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の図において、同一又は同様の機能及び効果を奏する構成要素に対しては同一の参照符号を付し、繰り返しの説明を省略する場合がある。
図1に示す本実施形態に係る鋳造装置10は、薄肉(例えば、厚さ3mm以下、特に好適には厚さ1.5mm~1.2mm程度)の鋳鋼製の鋳造製品(不図示)を得る場合に好適に適用することができる。そこで、以下では、鋳造装置10によって、薄肉の鋳鋼製の鋳造製品を得る場合を例に挙げて説明する。しかしながら、鋳造装置10によって得られる鋳造製品は、上記の薄肉に限定されるものではなく、種々の厚さとすることができる。また、鋳造装置10によって得られる鋳造製品の材料は、鋳鋼に限定されず、鋳鉄等の鉄合金、アルミニウム合金、銅合金、マグネシウム合金、亜鉛合金等の一般的な鋳造製品の製造に使用される金属とすることができる。
鋳造装置10は、湯口12を介して溶湯Mが供給される下側製品キャビティ形成部14が設けられた下型16と、下側製品キャビティ形成部14との間に製品キャビティ18(図3)を形成可能な上側製品キャビティ形成部20が設けられた上型22とを有する。下型16と上型22とは鋳型24を構成する。鋳造装置10は、さらに、下型16及び上型22を相対的に移動させる駆動機構26を備える。なお、図4では、駆動機構26の図示を省略している。
上記の通り、鋳鋼製の鋳造製品を得る場合、溶融させた鋼(溶鋼)からなる溶湯Mが湯口12に供給される。鋼はアルミニウム等の他の金属に比して融点が高い分、溶湯Mの温度も高くなる。このため、本実施形態では、鋳型24の耐熱性等を高めるべく、下型16及び上型22において、注湯時及び型閉じ時の少なくとも何れかに溶湯Mと接触する部分に、砂型部28が設けられている。砂型部28は、一般的な金属製の鋳造用金型等に比して耐熱性に優れた砂層からなる。
また、鋳型24の剛性や強度を維持するべく、例えば、金属、セラミックス等からなるバックアップ金型部30が下型16及び上型22の砂型部28を支持可能に設けられている。なお、鋳型24は、上記のように砂型部28とバックアップ金型部30とが一体化された複合型に代えて、不図示ではあるが、鋳型24の全体が砂からなる砂型であってもよいし、鋳型24の全体が金属からなる金型であってもよい。
下型16は、上側から下側に陥没する凹部32が設けられた下型本体34を有し、該凹部32内に下側製品キャビティ形成部14と、湯口形成部36と、湯道形成部38と、吐かせ形成部40とが設けられている。図4に示すように、鋳造装置10の上面視で、下型本体34の凹部32には、上型22の少なくとも一部を収容可能である。また、下型16の湯口形成部36は、凹部32に収容された上型22よりも外側に配置されて湯口12を形成する。
図1に示すように、湯道形成部38は、湯口形成部36と下側製品キャビティ形成部14との間に設けられ、湯口12と製品キャビティ18(図3)とを連通する湯道42を形成する。図4に示すように、吐かせ形成部40は、下側製品キャビティ形成部14の外周縁部を囲う方向に延在して設けられ、下側製品キャビティ形成部14と上側製品キャビティ形成部20との間から流出した溶湯Mが流入可能な吐かせ44を形成する。なお、吐かせ44の詳細については後述する。
本実施形態では、図1に示すように、下型本体34は、下側製品キャビティ形成部14の溶湯Mの入口46a側が、該入口46aと下側製品キャビティ形成部14を挟んで対向する側(後述する湯先側)よりも下方に配置されるように下側製品キャビティ形成部14が水平方向に対して傾斜した状態で固定されている。なお、下側製品キャビティ形成部14の溶湯Mの入口46aは、図3に示すように、下側製品キャビティ形成部14が上側製品キャビティ形成部20と製品キャビティ18を形成した際に、製品キャビティ18の溶湯Mの入口46bとなる部分であり、湯道42に隣接して設けられている。製品キャビティ18は、厚さ方向の大きさが、該厚さ方向に交差する長さ方向の大きさよりも小さくなっている。
上型22は、駆動機構26によって下型16に対して移動可能に設けられ、図2及び図3に示すように、回動支点Pを中心として回動可能となっている。本実施形態では、回動支点Pは、製品キャビティ18の溶湯Mの入口46bに近接して配置されている。すなわち、図3に示すように、製品キャビティ18の外周縁部で、該製品キャビティ18の溶湯Mの入口46bと、製品キャビティ18を挟んで長さ方向に対向する部分を末端湯先部48とすると、上型22の回動支点Pは、末端湯先部48よりも溶湯Mの入口46bに近接して配置されている。以下では、鋳型24に関し、製品キャビティ18を形成しているか否かにかかわらず、製品キャビティ18形成時に溶湯Mの入口46bとなる側を入口側ともいい、末端湯先部48となる側を湯先側ともいう。
また、上型22は、図1及び図2に示すように、駆動機構26によって、上下方向に沿って又は上下方向に対して傾斜する方向に沿って直線状に移動(平行移動)して、下型16に接近又は離間することが可能である。これによって、回動支点P近傍を含む下側製品キャビティ形成部14と上側製品キャビティ形成部20との上下方向距離を調整することが可能である。このため、図2に示すように、駆動機構26により、回動支点P近傍における上下方向距離を所定の長さに調整した状態で上型22を回動させて、上側製品キャビティ形成部20の湯先側を下側製品キャビティ形成部14に接近させることで、図3に示すように、上側製品キャビティ形成部20と下側製品キャビティ形成部14との間に製品キャビティ18が形成される。
上型22は、下型16の湯口形成部36に対向する部分が、該湯口形成部36ともに湯口12を形成してもよい。また、上型22は、下型16の湯道形成部38に対向する部分が、該湯道形成部38とともに湯道42を形成してもよい。さらに、上型22は、下型16の吐かせ形成部40に対向する部分(例えば、上型22の湯口形成部36に対向する部分を除く周面22a)が、該吐かせ形成部40とともに吐かせ44を形成してもよい。
駆動機構26は、上記のように上型22を回動させること及び平行移動させることが可能に構成される。この駆動機構26は、例えば、不図示の制御部によって制御されることで、湯口12への注湯開始時には、下側製品キャビティ形成部14と上側製品キャビティ形成部20との少なくとも一部の距離を製品キャビティ18形成時よりも大きくする。また、下型16及び上型22を型閉じする際には、注湯開始時よりも上下方向距離を小さくした状態で、回動支点Pを中心として上型22を回動させ、製品キャビティ18を形成する。
なお、本実施形態では、駆動機構26は、固定された下型16に対して、上型22を移動可能とするが、上型22と下型16とは相対的に上記の方向に移動可能であればよい。このため、例えば、上型22に代えて下型16を駆動機構26により移動可能であることとしてもよいし、上型22及び下型16の両方を駆動機構26により移動可能であることとしてもよい。
本実施形態に係る鋳造装置10は基本的には上記のように構成される。以下、鋳造装置10を用いた鋳造方法について説明する。この鋳造方法では、先ず、図1に示すように、下側製品キャビティ形成部14と上側製品キャビティ形成部20との距離を、製品キャビティ18形成時よりも大きくした状態で湯口12への注湯を開始する注湯開始工程を行う。
この際、駆動機構26により上型22を回動させて、上側製品キャビティ形成部20の回動支点P側が湯先側よりも下方に配置されるように上側製品キャビティ形成部20を傾斜させておく。また、少なくとも回動支点P近傍における上下方向距離が製品キャビティ18形成時よりも大きくなる位置に上型22を配置しておく。この状態で、例えば、取鍋50等を介して湯口12への注湯を開始する。
本実施形態では、上記の通り、下側製品キャビティ形成部14の溶湯Mの入口46a側が下方に配置されるように下側製品キャビティ形成部14が水平方向に対して傾斜した状態で固定されている。このため、湯口12から供給された溶湯Mは、重力により下側製品キャビティ形成部14の入口側に留まり易くなっている。
上記の注湯により、下型16の凹部32内に所定量の溶湯Mが供給された後に、型閉じ工程を行う。本実施形態の型閉じ工程では、図2に示すように、先ず、駆動機構26により上型22を上下方向に沿って下型16に接近させる。すなわち、図2の矢印X方向に上型22を移動させる。これによって、注湯開始工程よりも下型16と上型22の上下方向距離を小さくする。次に、駆動機構26により回動支点Pを中心として上型22を回動させる。すなわち、図2の矢印Y方向に上型22を移動させる。これによって、図3に示すように、上側製品キャビティ形成部20の湯先側を下側製品キャビティ形成部14に接近させて、製品キャビティ18を形成する。
なお、本実施形態では、湯口12に対する注湯を終了した後に、駆動機構26による上型22の移動を開始することとしたが、駆動機構26による上型22の移動を開始した後に、湯口12に対する注湯を終了することとしてもよい。
このように上型22を回動させることで、下型16及び上型22の間で溶湯Mを押圧しながら型閉じを行う。つまり、下側製品キャビティ形成部14と上側製品キャビティ形成部20とが傾斜した状態から、互いの傾斜方向を徐々に変化させつつ型閉じを行って、最終的に製品キャビティ18を形成する。このように型閉じすることで、下側製品キャビティ形成部14と上側製品キャビティ形成部20との間の溶湯Mを、入口側から湯先側に向かって部分ごとに異なるタイミングで押圧しながら製品キャビティ18に充填していくことができる。この際、下側製品キャビティ形成部14と上側製品キャビティ形成部20との間に広がった後に、下側製品キャビティ形成部14と上側製品キャビティ形成部20との間から流出する余分な溶湯Mは、製品キャビティ18の外周縁部に設けられた吐かせ44に流入する。これによって、型閉じ時に鋳型24にかかる溶湯Mの圧力が低減される。
図5に示すように、例えば、吐かせ44に流入する溶湯Mの流入方向Fは、吐かせ形成部40の第1壁面52に沿う。第1壁面52は、製品キャビティ18から、該製品キャビティ18の外側且つ上方に向かって延在する。第1壁面52の外側(凹部32の外周縁部側)には、該第1壁面52と連続して第2壁面54が設けられている。すなわち、第2壁面54は、吐かせ44への溶湯Mの流入方向Fの下流側(前方)に設けられている。
第2壁面54と溶湯Mの流入方向F(第1壁面52の面方向)とがなす角度θは、90°より大きく180°以下であることが好ましく、135°であることが一層好ましい。角度θを90°より大きくすることで、吐かせ44に流入した溶湯Mが第2壁面54に衝突して製品キャビティ18側に跳ね返されることを抑制できるため、型閉じ時に鋳型24にかかる溶湯Mの圧力が増大することを抑制できる。角度θを180°以下とすることで、上記のように鋳型24にかかる溶湯Mの圧力が増大することを抑制しつつ、鋳型24(本実施形態では特に下型16)が製品キャビティ18の外側に大型化することを抑制できる。角度θを135°とすることで、鋳型24にかかる溶湯Mの圧力の増大を抑制することと、鋳型24の大型化を抑制することとの均衡を一層適切に図ることが可能になる。
上記のようにして鋳型24を型閉じした状態で、凹部32内の溶湯Mを放冷又は冷却する等して凝固させた後、型開きを行って離型することにより鋳造品(不図示)が得られる。なお、離型の際には、鋳型24の砂型部28を崩壊させることにより鋳造品から剥離させてもよい。
不図示ではあるが、鋳造品は、製品キャビティ18内で凝固した製品部と、凹部32内の製品キャビティ18以外の部分(吐かせ44、湯口12、湯道42等)で凝固した方案部とを有する。このため、鋳造品に対し、必要に応じて、例えば切断、切削、研削等の機械加工を施し、製品部から方案部を除去すること等によって、薄肉の鋳造製品を得ることができる。
以上から、本実施形態に係る鋳造装置10及び鋳造方法では、下側製品キャビティ形成部14と上側製品キャビティ形成部20との少なくとも一部の距離を、製品キャビティ18形成時よりも大きくした状態で湯口12への注湯を開始する。このため、例えば、薄肉の鋳造製品を得るべく、製品キャビティ18形成時の下側製品キャビティ形成部14と上側製品キャビティ形成部20との間隔が狭い場合であっても、注湯開始時における溶湯Mの流路断面積を製品キャビティ18よりも大きくできる。これによって、溶湯Mが製品キャビティ18に行き渡る前に凝固して湯回り不良が生じること等を抑制でき、鋳造製品を良好に得ることが可能になる。
また、上記のようにして注湯を開始した後に、上型22を回動させて型閉じを行うことで、下側製品キャビティ形成部14と上側製品キャビティ形成部20との間の溶湯Mを、部分ごとに異なるタイミングで押圧しながら製品キャビティ18に充填していくことができる。これによって、下側製品キャビティ形成部14と上側製品キャビティ形成部20との間から余分な溶湯Mを排出するため溶湯Mの排出スピードを制御して溶湯Mを分散し易くすることができる。このため、例えば、溶湯M全体を略同時に押圧して製品キャビティ18に充填する場合に比して、鋳型24にかかる溶湯Mの圧力を低減することができる。
従って、本実施形態に係る鋳造装置10及び鋳造方法によれば、鋳型24の剛性や駆動機構26の駆動力等を上昇させることなく、下側製品キャビティ形成部14及び上側製品キャビティ形成部20の間で溶湯Mを押圧して、製品キャビティ18が良好に形成される位置まで下型16及び上型22を接近させることができる。その結果、鋳型24や駆動機構26の大型化及び耐久性の低下を抑制できるとともに、鋳造製品を良好に得ることが可能になる。
ところで、製品キャビティ18に溶湯Mを充填する際、下側製品キャビティ形成部14と上側製品キャビティ形成部20の間の溶湯Mが複数の方向に流れること等によって、溶湯Mに分離部(空洞部や溶湯不足部)が形成されることがある。この分離部に溶湯Mが再供給される前に、すなわち、分離部が生じたままの状態で、溶湯Mが凝固してしまうと、いわゆる噴かれ(吹かれ)等の鋳造欠陥が生じる懸念がある。
本実施形態に係る鋳造装置10及び鋳造方法では、上記の通り、上型22を回動させて型閉じを行うため、上側製品キャビティ形成部20の湯先側は、回動支点P側よりも遅いタイミングで溶湯Mを押圧することになる。また、型閉じの途中において、下側製品キャビティ形成部14と上側製品キャビティ形成部20との間隔が、製品キャビティ18形成時と同じ大きさとなっている部分(回動支点P側)に隣接して、製品キャビティ18形成時よりも大きくなっている部分(湯先側)が存在することになる。これらから、たとえ、下側製品キャビティ形成部14と上側製品キャビティ形成部20の間で押圧された溶湯Mに上記の分離部が生じたとしても、下側製品キャビティ形成部14と上側製品キャビティ形成部20との間隔が大きい部分から小さい部分に向かって溶湯Mを補給しながら型閉じを行うことができる。その結果、上記の鋳造欠陥が生じることを抑制できるため、これによっても、鋳造製品を良好に得ることが可能になる。
特に、鋳鋼製の鋳造製品を得る場合、上記の通り溶湯の融点が高い分、溶湯の温度低下による流動性の低下や凝固が生じ易く、型閉じ時に鋳型にかかる溶湯の圧力が大きくなり易いとともに、噴かれ等の鋳造欠陥も生じ易い。また、鋳造製品が薄肉である場合も、製品キャビティ内の溶湯の温度が低下し易い分、型閉じ時に鋳型にかかる溶湯の圧力が大きくなり易いとともに、噴かれ等の鋳造欠陥も生じ易い。このため、本実施形態に係る鋳造装置10及び鋳造方法を適用して、薄肉の鋳鋼製の鋳造製品を得る場合に、上記の効果を特に有効に得ることが可能となる。
上記の実施形態に係る鋳造装置10では、駆動機構26は、下型16及び上型22を上下方向に沿って又は上下方向に対して傾斜する方向に沿って接近又は離間させることで、下側製品キャビティ形成部14と上側製品キャビティ形成部20との上下方向距離を調整可能であり、型閉じ時には、注湯開始時よりも上下方向距離を小さくした状態で、下型16及び上型22を相対的に回動させて製品キャビティ18を形成することとした。
また、上記の実施形態に係る鋳造方法では、駆動機構26は、下型16及び上型22を上下方向に沿って又は上下方向に対して傾斜する方向に沿って接近又は離間させることで、下側製品キャビティ形成部14と上側製品キャビティ形成部20との上下方向距離を調整可能であり、注湯開始工程では、型閉じ工程よりも上下方向距離を大きくした状態で注湯を開始し、型閉じ工程では、注湯開始工程よりも上下方向距離を小さくした状態で、下型16及び上型22を相対的に回動させて製品キャビティ18を形成することとした。
これらの場合、駆動機構26により上下方向距離を調整することで、注湯開始時の溶湯Mの流路断面積を型閉じ時よりも簡単に大きくできる。このため、溶湯Mの熱が下型16や上型22に奪われることを一層効果的に抑制できる。ひいては、溶湯Mが製品キャビティ18に行き渡る前に凝固して湯回り不良が生じること、及び鋳型24にかかる溶湯Mの圧力が上昇することを効果的に抑制できる。
上記に限定されず駆動機構26は、回動支点P近傍における上下方向距離の調整を行わずに、該上下方向距離を注湯開始時と型閉じ時とで一定に維持してもよい。この場合、例えば、回動支点P近傍における上下方向距離は、製品キャビティ18形成時の長さに予め設定される。また、注湯開始時には、上側製品キャビティ形成部20の湯先側が回動支点P側よりも下側製品キャビティ形成部14から離間するように駆動機構26により上型22を回動させておく。
そして、注湯開始後の型閉じ時に、上型22を回動させて上側製品キャビティ形成部20の湯先側を下側製品キャビティ形成部14に接近させることで製品キャビティ18を形成する。これによって、注湯開始時における下側製品キャビティ形成部14と上側製品キャビティ形成部20との少なくとも一部の距離を、製品キャビティ18形成時よりも大きくすることができる。この場合、鋳造装置10の制御部や駆動機構26等を簡素化することが可能になる。
上記の実施形態に係る鋳造装置10では、下側製品キャビティ形成部14は、注湯開始時及び型閉じ時に、下側製品キャビティ形成部14の溶湯Mの入口46a側が、該入口46aと下側製品キャビティ形成部14を挟んで対向する側よりも下方に配置されるように水平方向に対して傾斜することとした。
また、上記の実施形態に係る鋳造方法の注湯開始工程及び型閉じ工程では、下側製品キャビティ形成部14を、下側製品キャビティ形成部14の溶湯Mの入口46a側が、該入口46aと下側製品キャビティ形成部14を挟んで対向する側よりも下方に配置されるように水平方向に対して傾斜させた状態とすることとした。
これらの場合、上記の通り、湯口12から供給された溶湯Mが、重力により下側製品キャビティ形成部14の入口側に留まり易くなるため、下型16と上型22との間に広がることを抑制できる。これによって、注湯開始から型閉じまでの間に溶湯Mの温度が低下することを抑制できるため、溶湯Mが製品キャビティ18に行き渡る前に凝固して湯回り不良が生じることや、鋳型24にかかる溶湯Mの圧力が上昇することを一層効果的に抑制できる。また、製品キャビティ18を上下方向に傾斜して配置することができる分、鋳造装置10を水平方向に小型化することができる。
上記に限定されず、例えば、図6~図8の鋳造装置60のように、下側製品キャビティ形成部14は略水平方向に沿って設けられていてもよい。図6~図8の鋳造装置60は、下側製品キャビティ形成部14が略水平方向に沿って設けられることを除いては、図1~図5の鋳造装置10と略同様に構成することができる。また、図6~図8の鋳造装置60を用いた鋳造方法も、図1~図5の鋳造装置10を用いた鋳造方法と略同様に構成することができる。
すなわち、鋳造装置60を用いた鋳造方法では、先ず、図6に示すように、下側製品キャビティ形成部14と上側製品キャビティ形成部20との距離を、製品キャビティ18形成時よりも大きくした状態で湯口12への注湯を開始する注湯開始工程を行う。この際、上側製品キャビティ形成部20の湯先側が入口側よりも下側製品キャビティ形成部14から離間した状態となるように、駆動機構26により上型22を回動させておく。
注湯により下型16の凹部32内に所定量の溶湯Mが供給されると、図7に示すように、型閉じ工程として、上型22を上下方向に沿って下型16に接近させて、注湯開始工程よりも上下方向距離を小さくする。すなわち、図7の矢印X方向に上型22を移動させる。そして、回動支点Pを中心として上型22を回動させ、上側製品キャビティ形成部20の湯先側を下側製品キャビティ形成部14に接近させる。すなわち、図7の矢印Y方向に上型22を移動させる。これによって、図8に示すように、製品キャビティ18を形成する。
このように、鋳造装置60においても、下側製品キャビティ形成部14と上側製品キャビティ形成部20との少なくとも一部の距離を、製品キャビティ18形成時よりも大きくした状態で湯口12への注湯を開始するため、溶湯Mが製品キャビティ18に行き渡る前に凝固して湯回り不良が生じること等を抑制でき、鋳造製品を良好に得ることが可能になる。また、注湯を開始した後に、上型22を回動させて型閉じを行うことで、溶湯Mを、部分ごとに異なるタイミングで押圧しながら製品キャビティ18に充填していくことができるため、鋳型24にかかる溶湯Mの圧力を低減することができる。ひいては、鋳型24や駆動機構26の大型化及び耐久性の低下を抑制できるとともに、鋳造製品を良好に得ることが可能になる。
上記の実施形態に係る鋳造装置10、60では、駆動機構26は、固定された下側製品キャビティ形成部14に対して、回動支点Pを中心として上型22を回動可能であり、回動支点Pは、製品キャビティ18の溶湯Mの入口46bに近接して配置されていることとした。
また、上記の実施形態に係る鋳造方法の型閉じ工程では、固定された下側製品キャビティ形成部14に対して、製品キャビティ18の溶湯Mの入口46bに近接して配置された回動支点Pを中心として上型22を回動させて製品キャビティ18を形成することとした。
これらの場合、鋳造装置10、60を簡単な構成とすることができるとともに、上記のように配置された回動支点Pを中心として上型22を回動させることで、溶湯Mの入口側から湯先側に向かって溶湯Mを流しながら製品キャビティ18に良好に充填することが可能になる。
図9及び図10に示す鋳造装置62のように、回動支点Pは、製品キャビティ18の入口側よりも湯先側に近接して配置されていてもよい。図9及び図10の鋳造装置62は、上記の通り回動支点Pが製品キャビティ18の湯先側に配置されていることと、駆動機構26により回動支点P近傍における上下方向距離の調整を行わないこととを除いては、図1~図5の鋳造装置10と略同様に構成することができる。
すなわち、図9及び図10に示す鋳造装置62では、湯先側の回動支点P近傍における上下方向距離が製品キャビティ18形成時の長さに維持されている。しかしながら、図9及び図10の鋳造装置62においても、図1~図5の鋳造装置10と同様に、直線状に上型22及び下型16を接近又は離間させることで上下方向距離を調整可能であってもよい。
鋳造装置62を用いた鋳造方法では、先ず、図9に示すように、上側製品キャビティ形成部20の入口側が湯先側よりも下側製品キャビティ形成部14から離間した状態となるように、駆動機構26により上型22を回動させておく。この状態で湯口12への注湯を開始し、注湯開始工程を行う。これにより、下型16の凹部32内に所定量の溶湯Mが供給されると、駆動機構26により回動支点Pを中心として矢印Y方向に上型22を回動させ、上側製品キャビティ形成部20の入口側を下側製品キャビティ形成部14に接近させる。これによって、図10に示すように、製品キャビティ18を形成する。
このように、鋳造装置62においても、下側製品キャビティ形成部14と上側製品キャビティ形成部20との少なくとも一部の距離を、製品キャビティ18形成時よりも大きくした状態で湯口12への注湯を開始し、その後、上型22を回動させて型閉じを行う。これによって、溶湯Mを、部分ごとに異なるタイミングで押圧しながら製品キャビティ18に充填していくことができ、鋳型24にかかる溶湯Mの圧力を低減することができる。ひいては、鋳型24や駆動機構26の大型化及び耐久性の低下を抑制できるとともに、鋳造製品を良好に得ることが可能になる。
上記の実施形態に係る鋳造装置10、60、62では、下側製品キャビティ形成部14と上側製品キャビティ形成部20との間から流出した溶湯Mが流入可能な吐かせ44が製品キャビティ18の外周縁部を囲う方向に延在して設けられていることとした。
また、上記の実施形態に係る鋳造方法の型閉じ工程では、製品キャビティ18の外周縁部を囲う方向に延在する吐かせ44に、下側製品キャビティ形成部14と上側製品キャビティ形成部20との間から流出した溶湯Mを流入させることとした。
これらの場合、製品キャビティ18の外周縁部を囲う方向に延在して吐かせ44が設けられていることで、例えば、製品キャビティ18の外側に部分的に吐かせ44が設けられている場合に比して、余分な溶湯Mを良好に排出しつつ型閉じを行うことができる。このため、下型16及び上型22の間で溶湯Mを押圧しながら型閉じしても、鋳型24にかかる溶湯Mの圧力が上昇することを効果的に抑制できる。なお、吐かせ44は、製品キャビティ18の外周縁部を囲う方向に断続的に設けられてもよいし、製品キャビティ18よりも外側に設けられてもよい。
上記の実施形態に係る鋳造装置10、60、62では、吐かせ44の周方向の少なくとも一部は、吐かせ44への溶湯Mの流入方向Fの下流側に設けられた第2壁面54(壁面)が、流入方向Fとなす角度θが、90°より大きく180°以下となっていることとした。
また、上記の実施形態に係る鋳造方法の型閉じ工程では、吐かせ44の少なくとも一部に流入した溶湯Mを、流入方向Fに対して90°より大きい角度θで上方に向かわせることとした。
これらの場合、上記の通り、鋳型24が製品キャビティ18の外側に大型化することを抑制しつつ、型閉じ時に鋳型24にかかる溶湯Mの圧力が増大することを抑制できる。なお、上記の実施形態では、吐かせ44の全体の第2壁面54について角度θが上記の大きさとなるように設定されることとしたが、吐かせ44の一部の第2壁面54の角度θのみが上記の大きさに設定されてもよい。この場合、吐かせ44の湯先側の第2壁面54の角度θを上記の大きさに設定することが好ましい。これによって、製品キャビティ18の溶湯Mの入口46bから湯先側に向かって流れて吐かせ44に流入した溶湯Mが第2壁面54に衝突して跳ね返されることを抑制できるため、鋳型24にかかる溶湯Mの圧力を効果的に低減させることが可能になる。
また、上記の実施形態では、吐かせ形成部40が下型16に設けられることとしたが、吐かせ形成部40は上型22に設けられてもよい。この場合、不図示ではあるが、吐かせ形成部40は、例えば、上型22の上側製品キャビティ形成部20の外側に対して上側に凹む溝状又は切り欠き状とすることができる。吐かせ形成部40が上型22に設けられた場合であっても、吐かせ44への溶湯Mの流入方向Fの下流側に設けられた第2壁面54が、流入方向Fとなす角度θが、90°より大きく180°以下となっていることが好ましい。
本発明は、上記した実施形態に特に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
例えば、図11~図13に示す鋳造装置64のように、図1の上型22に代えて、図11の上型66を備えてもよい。上型66は、湯口形成部36の内部に対して相対的に進退可能である進退部68を有することを除いて、図1の上型22と同様に構成することができる。進退部68は、例えば、上型66の湯口12側の下端部に設けられる。
また、鋳造装置64の駆動機構26は、上下方向に対して傾斜する方向、具体的には、上型66が下方に向かうほど進退部68が湯口12側に接近し(図12)、上型66が上方に向かうほど進退部68が湯口12側から離間する(図11)方向に沿って上型66を移動させることができる。
すなわち、図12に示すように、駆動機構26により上型66を上記の傾斜方向に沿って下型16に接近させると、すなわち、上型66を矢印Z方向に移動させると、進退部68が湯口形成部36に進入する分、湯口形成部36の容積が減少する。また、駆動機構26により上型66を上記の傾斜方向に沿って下型16から離間させると、図11に示すように、進退部68が湯口形成部36から退出する分、湯口形成部36の容積が増大する。このようにして湯口形成部36の容積を減少させると、湯道形成部38の容積も併せて減少し、湯口形成部36の容積を増大させると、湯道形成部38の容積も併せて増大することが好ましい。
この鋳造装置64を用いた鋳造方法では、図11に示すように、上型66を上記の傾斜方向に沿って下側から離間させて湯口形成部36の容積を大きくした状態で湯口12への注湯を開始する注湯開始工程を行う。これにより、下型16の凹部32内に所定量の溶湯Mが供給されると、型閉じ工程を行う。
型閉じ工程では、先ず、図12に示すように、上型66を上記の傾斜方向に沿って下側に接近させる(矢印Z方向に移動させる)ことで、注湯開始工程よりも湯口形成部36の容積を小さくする。このように湯口形成部36の容積を小さくすることで、上型66と下型16の上下方向距離も注湯開始工程よりも小さくなる。次に、駆動機構26により回動支点Pを中心として上型66を回動させ、上側製品キャビティ形成部20の湯先側を下側製品キャビティ形成部14に接近させる。すなわち、図12の矢印Y方向に上型66を移動させる。これによって、図13に示すように、製品キャビティ18が形成される。
このように、鋳造装置64においても、下側製品キャビティ形成部14と上側製品キャビティ形成部20との少なくとも一部の距離を、製品キャビティ18形成時よりも大きくした状態で湯口12への注湯を開始することで、鋳造製品を良好に得ることが可能になる。一方、型閉じ時には、注湯開始時よりも湯口形成部36や湯道形成部38の容積を減少させるため、最終的に得られる鋳造品の方案部の体積を小さくすることができる。これによって、鋳造製品の重量に対する溶湯Mの鋳込み重量(凹部32に供給する全溶湯Mの重量)を減らして歩留まりを向上させることができる。
また、この鋳造装置64においても、注湯を開始した後に、上型66を回動させて型閉じを行うことで、鋳型24にかかる溶湯Mの圧力を低減することができる。従って、鋳型24や駆動機構26の大型化及び耐久性の低下を抑制できるとともに、鋳造製品を良好に得ることが可能になる。
なお、図6~図8の鋳造装置60の上型22にも、図11~図13の上型66の進退部68と同様に、不図示の進退部が設けられていてもよい。また、この鋳造装置60を用いた鋳造方法の型閉じ工程では、上型22を上記の傾斜方向に沿って下型16に接近させることで、注湯開始時よりも湯口形成部36や湯道形成部38の容積を減少させることとしてもよい。
10、60、62、64…鋳造装置 12…湯口
14…下側製品キャビティ形成部 16…下型
18…製品キャビティ 20…上側製品キャビティ形成部
22、66…上型 24…鋳型
26…駆動機構 36…湯口形成部
44…吐かせ 46a、46b…入口
54…第2壁面 68…進退部
F…流入方向 M…溶湯
P…回動支点 θ…角度

Claims (12)

  1. 湯口を介して溶湯が供給される下側製品キャビティ形成部が設けられた下型、及び前記下側製品キャビティ形成部との間に製品キャビティを形成可能な上側製品キャビティ形成部が設けられた上型を有する鋳型と、
    前記下型及び前記上型を相対的に移動させる駆動機構と、
    を備える鋳造装置であって、
    前記駆動機構は、
    前記湯口への注湯開始時には、前記下側製品キャビティ形成部と前記上側製品キャビティ形成部との少なくとも一部の距離を、前記製品キャビティ形成時よりも大きくし、
    前記下型及び前記上型の型閉じ時には、回動支点を中心として、前記下型及び前記上型を相対的に回動させることで前記製品キャビティを形成
    前記駆動機構は、前記下型及び前記上型を上下方向に沿って又は上下方向に対して傾斜する方向に沿って接近又は離間させることで、前記下側製品キャビティ形成部と前記上側製品キャビティ形成部との上下方向距離を調整可能であり、
    前記型閉じ時には、前記注湯開始時よりも前記上下方向距離を小さくした状態で、前記下型及び前記上型を相対的に回動させて前記製品キャビティを形成する、鋳造装置。
  2. 請求項1記載の鋳造装置において、
    前記下側製品キャビティ形成部は、前記注湯開始時及び前記型閉じ時に、該下側製品キャビティ形成部の前記溶湯の入口側が、該入口と前記下側製品キャビティ形成部を挟んで対向する側よりも下方に配置されるように水平方向に対して傾斜する、鋳造装置。
  3. 請求項1又は2記載の鋳造装置において、
    前記駆動機構は、固定された前記下側製品キャビティ形成部に対して、前記回動支点を中心として前記上型を回動可能であり、
    前記回動支点は、前記製品キャビティの前記溶湯の入口に近接して配置されている、鋳造装置。
  4. 湯口を介して溶湯が供給される下側製品キャビティ形成部が設けられた下型、及び前記下側製品キャビティ形成部との間に製品キャビティを形成可能な上側製品キャビティ形成部が設けられた上型を有する鋳型と、
    前記下型及び前記上型を相対的に移動させる駆動機構と、
    を備える鋳造装置であって、
    前記駆動機構は、
    前記湯口への注湯開始時には、前記下側製品キャビティ形成部と前記上側製品キャビティ形成部との少なくとも一部の距離を、前記製品キャビティ形成時よりも大きくし、
    前記下型及び前記上型の型閉じ時には、回動支点を中心として、前記下型及び前記上型を相対的に回動させることで前記製品キャビティを形成し、
    前記下側製品キャビティ形成部と前記上側製品キャビティ形成部との間から流出した前記溶湯が流入可能な吐かせが前記製品キャビティの外周縁部を囲う方向に延在して設けられている、鋳造装置。
  5. 請求項記載の鋳造装置において、
    前記吐かせの周方向の少なくとも一部は、該吐かせへの前記溶湯の流入方向の下流側に設けられた壁面が、該流入方向となす角度が、90°より大きく180°以下となっている、鋳造装置。
  6. 湯口を介して溶湯が供給される下側製品キャビティ形成部が設けられた下型、及び前記下側製品キャビティ形成部との間に製品キャビティを形成可能な上側製品キャビティ形成部が設けられた上型を有する鋳型と、
    前記下型及び前記上型を相対的に移動させる駆動機構と、
    を備える鋳造装置であって、
    前記駆動機構は、
    前記湯口への注湯開始時には、前記下側製品キャビティ形成部と前記上側製品キャビティ形成部との少なくとも一部の距離を、前記製品キャビティ形成時よりも大きくし、
    前記下型及び前記上型の型閉じ時には、回動支点を中心として、前記下型及び前記上型を相対的に回動させることで前記製品キャビティを形成し、
    前記下型には、上面視で前記上型よりも外側に、前記湯口を形成する湯口形成部が設けられ、
    前記上型には、前記湯口形成部の内部に対して相対的に進退可能である進退部が設けられ、
    前記駆動機構は、前記型閉じ時に前記注湯開始時よりも前記進退部を前記湯口形成部に進入させて前記湯口形成部の容積を減少させる、鋳造装置。
  7. 湯口を介して溶湯が供給される下側製品キャビティ形成部が設けられた下型、及び前記下側製品キャビティ形成部との間に製品キャビティを形成可能な上側製品キャビティ形成部が設けられた上型を有する鋳型と、前記下型及び前記上型を相対的に移動させる駆動機構と、を備える鋳造装置を用いた鋳造方法であって、
    前記下側製品キャビティ形成部と前記上側製品キャビティ形成部との少なくとも一部の距離を、前記製品キャビティ形成時よりも大きくした状態で前記湯口への注湯を開始する注湯開始工程と、
    回動支点を中心として、前記下型及び前記上型を相対的に回動させることで前記製品キャビティを形成する型閉じ工程と、
    を有
    前記駆動機構は、前記下型及び前記上型を上下方向に沿って又は上下方向に対して傾斜する方向に沿って接近又は離間させることで、前記下側製品キャビティ形成部と前記上側製品キャビティ形成部との上下方向距離を調整可能であり、
    前記注湯開始工程では、前記型閉じ工程よりも前記上下方向距離を大きくした状態で注湯を開始し、
    前記型閉じ工程では、前記注湯開始工程よりも前記上下方向距離を小さくした状態で、前記下型及び前記上型を相対的に回動させて前記製品キャビティを形成する、鋳造方法。
  8. 請求項記載の鋳造方法において、
    前記注湯開始工程及び前記型閉じ工程では、前記下側製品キャビティ形成部を、該下側製品キャビティ形成部の前記溶湯の入口側が、該入口と前記下側製品キャビティ形成部を挟んで対向する側よりも下方に配置されるように水平方向に対して傾斜させた状態とする、鋳造方法。
  9. 請求項7又は8記載の鋳造方法において、
    前記型閉じ工程では、固定された前記下側製品キャビティ形成部に対して、前記製品キャビティの前記溶湯の入口に近接して配置された前記回動支点を中心として前記上型を回動させて前記製品キャビティを形成する、鋳造方法。
  10. 湯口を介して溶湯が供給される下側製品キャビティ形成部が設けられた下型、及び前記下側製品キャビティ形成部との間に製品キャビティを形成可能な上側製品キャビティ形成部が設けられた上型を有する鋳型と、前記下型及び前記上型を相対的に移動させる駆動機構と、を備える鋳造装置を用いた鋳造方法であって、
    前記下側製品キャビティ形成部と前記上側製品キャビティ形成部との少なくとも一部の距離を、前記製品キャビティ形成時よりも大きくした状態で前記湯口への注湯を開始する注湯開始工程と、
    回動支点を中心として、前記下型及び前記上型を相対的に回動させることで前記製品キャビティを形成する型閉じ工程と、
    を有し、
    前記型閉じ工程では、前記製品キャビティの外周縁部を囲う方向に延在する吐かせに、前記下側製品キャビティ形成部と前記上側製品キャビティ形成部との間から流出した前記溶湯を流入させる、鋳造方法。
  11. 請求項1記載の鋳造方法において、
    前記型閉じ工程では、前記吐かせの少なくとも一部に流入した前記溶湯を、流入方向に対して90°より大きい角度で上方に向かわせる、鋳造方法。
  12. 湯口を介して溶湯が供給される下側製品キャビティ形成部が設けられた下型、及び前記下側製品キャビティ形成部との間に製品キャビティを形成可能な上側製品キャビティ形成部が設けられた上型を有する鋳型と、前記下型及び前記上型を相対的に移動させる駆動機構と、を備える鋳造装置を用いた鋳造方法であって、
    前記下側製品キャビティ形成部と前記上側製品キャビティ形成部との少なくとも一部の距離を、前記製品キャビティ形成時よりも大きくした状態で前記湯口への注湯を開始する注湯開始工程と、
    回動支点を中心として、前記下型及び前記上型を相対的に回動させることで前記製品キャビティを形成する型閉じ工程と、
    を有し、
    前記下型には、上面視で前記上型よりも外側に、前記湯口を形成する湯口形成部が設けられ、
    前記上型には、前記湯口形成部の内部に対して相対的に進退可能である進退部が設けられ、
    前記型閉じ工程では、前記注湯開始工程よりも前記進退部を前記湯口形成部に進入させて前記湯口形成部の容積を減少させる、鋳造方法。
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