JP7419043B2 - 可溶性材料 - Google Patents

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Description

本発明は、可溶性材料に関する。
中空部を有する成形体を射出成形によって製造する方法として、中子と呼ばれる型を用いる方法がある。この成形方法では、溶融させた造形材を射出して中子を含めた状態で成形した後、前記中子を抜くことによって成形体に中空部を設けることができる。
しかし、この手法では中子を抜けない形状を有する成形体は製造することができないという欠点がある。そのため、例えば、下記特許文献1では中子の素材に水溶性樹脂等を用い、中子を含めた状態で成形後に当該中子を水等で溶解させて除去する方法が開示されている。
特開2010-110909号公報
しかし、上記方法では中子が変形し、成形体の成形精度が低くなることがある。
本発明は、複雑な内面形状を有する成形体を精度よく製造することができる可溶性材料を提供する。
本発明の可溶性材料は、親水性基を有する芳香族ジカルボン酸モノマーユニットA、親水性基を有さないジカルボン酸モノマーユニットB、及びモノマーユニットCを有する水溶性樹脂を含有し、水分率が0.3質量%以下である。
本発明によれば、複雑な内面形状を有する成形体を精度よく製造することができる可溶性材料を提供することができる。
<可溶性材料>
本実施形態の可溶性材料は、親水性基を有する芳香族ジカルボン酸モノマーユニットA、親水性基を有さないジカルボン酸モノマーユニットB、及びモノマーユニットCを有する水溶性樹脂を含有し、水分率が0.3質量%以下である。本実施形態の可溶性材料によれば、複雑な内面形状を有する成形体を精度よく製造することができる可溶性材料を提供することができる。本実施形態の可溶性材料がこのような効果を奏する理由は定かではないが以下のように考えられる。
一般的に水溶性樹脂は耐熱性が低いことが多いが、このような水溶性樹脂を含む中子を射出成形用の中子として用いると、加熱溶融された造形材の熱によって中子が変形することによって、成形体の成形精度が低下するおそれがある。また、一般的に水溶性樹脂は吸湿しやすいが、吸湿した樹脂を用いて射出成形を行うと、射出成形機内で加熱された際に樹脂が劣化・分解し、成形精度が低下するおそれがある。水溶性樹脂を含有する中子も保管中に吸湿することがあるが、吸湿した中子を射出成形用の中子として用いると、加熱溶融された造形材の熱によって当該中子が劣化・分解したり、発泡したりすることによって、成形体の成形精度が低下するおそれがある。本実施形態の可溶性材料は、特定のモノマーユニットを有する水溶性樹脂を含有することから比較的高い耐熱性を有し、かつ、水分率を一定以下にしていることから、成形時の熱による中子の変形と発泡を抑制することができるため、水で除去可能でありながら複雑な内面形状を有する成形体を精度よく製造することができると考えられる。
〔水溶性樹脂〕
[芳香族ジカルボン酸モノマーユニットA]
前記水溶性樹脂は、親水性基を有する芳香族ジカルボン酸モノマーユニットを有する。本明細書において、前記水溶性樹脂が有する親水性基を有する芳香族ジカルボン酸モノマーユニットを、芳香族ジカルボン酸モノマーユニットAと称する。また、当該芳香族ジカルボン酸モノマーユニットAを誘導するための芳香族ジカルボン酸を、芳香族ジカルボン酸Aと称する。
前記親水性基としては、水への溶解性を付与する観点から、第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基、第4級アンモニウム塩基、オキシアルキレン基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボキシル塩基、リン酸基、リン酸塩基、スルホン酸基、及びスルホン酸塩基からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。これらの中でも同様の観点から、第4級アンモニウム塩基、オキシアルキレン基、カルボキシル塩基、リン酸塩基、及びスルホン酸塩基からなる群より選ばれる1種以上が好ましく、第4級アンモニウム塩基、オキシアルキレン基、及びスルホン酸塩基からなる群より選ばれる1種以上がより好ましく、スルホン酸塩基が更に好ましい。
前記スルホン酸塩基は、水への溶解性を付与する観点から、-SOM(ただし、Mはスルホン酸塩基を構成するスルホン酸基の対イオンを示し、水への溶解性を付与する観点から金属イオン及びアンモニウムイオンからなる群より選ばれる1種以上が好ましく、金属イオンからなる群より選ばれる1種以上がより好ましく、アルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオンからなる群より選ばれる1種以上が更に好ましく、アルカリ金属イオンからなる群より選ばれる1種以上が更に好ましく、ナトリウムイオン及びカリウムイオンからなる群より選ばれる1種以上が更に好ましく、ナトリウムイオンが更に好ましい。)で表されるスルホン酸塩基が好ましい。
前記水溶性樹脂中の前記親水性基の含有量は、水への溶解性を付与する観点から、0.5mmol/g以上が好ましく、0.6mmol/g以上がより好ましく、0.7mmol/g以上が更に好ましく、前記可溶性材料に耐熱性及び耐湿性を付与する観点から、3mmol/g以下が好ましく、2mmol/g以下がより好ましく、1.5mmol/g以下が更に好ましい。また、前記水溶性樹脂中の前記親水性基の含有量は、水への溶解性を付与する観点、並びに前記可溶性材料に耐熱性及び耐湿性を付与する観点から、0.5~3mmol/gが好ましく、0.6~2mmol/gがより好ましく、0.7~1.5mmol/gが更に好ましい。なお、本明細書において親水性基の含有量は実施例に記載の方法によって測定する。
前記芳香族ジカルボン酸Aは、水への溶解性を付与する観点、及び前記可溶性材料に耐熱性及び耐湿性を付与する観点から、前記親水性基を有する芳香族ジカルボン酸からなる群より選ばれる1種以上が好ましく、ヒドロキシ基含有芳香族ジカルボン酸、第1級アミノ基含有芳香族ジカルボン酸、スルホン酸基含有芳香族ジカルボン酸、及びスルホン酸塩基含有芳香族ジカルボン酸からなる群より選ばれる1種以上がより好ましく、スルホン酸塩基含有芳香族ジカルボン酸からなる群より選ばれる1種以上が更に好ましい。これらの中でも同様の観点からスルホフタル酸、及びスルホナフタレンジカルボン酸からなる群より選ばれる1種以上が好ましく、スルホフタル酸からなる群より選ばれる1種以上がより好ましく、スルホイソフタル酸及びスルホテレフタル酸からなる群より選ばれる1種以上が更に好ましく、5-スルホイソフタル酸が更に好ましい。
前記水溶性樹脂の全モノマーユニットの合計に対する前記芳香族ジカルボン酸モノマーユニットAの割合は、水への溶解性を付与する観点から、5mol%以上が好ましく、8mol%以上がより好ましく、10mol%以上が更に好ましく、前記可溶性材料に耐熱性及び耐湿性を付与する観点から、35mol%以下が好ましく、30mol%以下がより好ましく、20mol%以下が更に好ましく、15mol%以下が更に好ましい。また、前記水溶性樹脂の全モノマーユニットの合計に対する前記芳香族ジカルボン酸モノマーユニットAの割合は、水への溶解性を付与する観点、並びに前記可溶性材料に耐熱性及び耐湿性を付与する観点から、5~35mol%が好ましく、8~30mol%がより好ましく、10~20mol%が更に好ましく、10~15mol%が更に好ましい。なお、本明細書において樹脂中のモノマーユニットの組成は実施例に記載の方法によって測定する。
前記水溶性樹脂中の全ジカルボン酸モノマーユニットの合計に対する、前記芳香族ジカルボン酸モノマーユニットAの割合は、水への溶解性を付与する観点から、10mol%以上が好ましく、15mol%以上がより好ましく、20mol%以上が更に好ましく、前記可溶性材料に耐熱性及び耐湿性を付与する観点から、70mol%以下が好ましく、60mol%以下がより好ましく、40mol%以下が更に好ましく、30mol%以下が更に好ましい。また、前記水溶性樹脂中の全ジカルボン酸モノマーユニットの合計に対する、前記芳香族ジカルボン酸モノマーユニットAの割合は、水への溶解性を付与する観点、並びに前記可溶性材料に耐熱性及び耐湿性を付与する観点から、10~70mol%が好ましく、15~60mol%がより好ましく、20~40mol%が更に好ましく、20~30mol%が更に好ましい。
[ジカルボン酸モノマーユニットB]
前記水溶性樹脂は、前記親水性基を有さないジカルボン酸モノマーユニットを有する。本明細書において、前記水溶性樹脂が有する親水性基を有さないジカルボン酸モノマーユニットをジカルボン酸モノマーユニットBと称する。また、当該ジカルボン酸モノマーユニットBを誘導するためのジカルボン酸をジカルボン酸Bと称する。
前記ジカルボン酸Bは、前記可溶性材料に耐熱性及び耐湿性を付与する観点から、前記親水性基を有さない芳香族ジカルボン酸及び前記親水性基を有さない脂肪族ジカルボン酸からなる群より選ばれる1種以上がより好ましい。これらの中でも、同様の観点から、テレフタル酸、イソフタル酸、2,5-フランジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、及び1,3-アダマンタンジカルボン酸からなる群より選ばれる1種以上が更に好ましく、テレフタル酸、2,5-フランジカルボン酸、及び2,6-ナフタレンジカルボン酸からなる群より選ばれる1種以上が更に好ましく、2,6-ナフタレンジカルボン酸が更に好ましい。
前記水溶性樹脂中の全モノマーユニットの物質量の合計に対する、前記ジカルボン酸モノマーユニットBの物質量の割合は前記可溶性材料に耐熱性及び耐湿性を付与する観点から、15mol%以上が好ましく、25mol%以上がより好ましく、30mol%以上が更に好ましく、水への溶解性を付与する観点から、45mol%以下が好ましく、42mol%以下がより好ましく、40mol%以下が更に好ましい。また、前記水溶性樹脂中の全モノマーユニットの物質量の合計に対する、前記ジカルボン酸モノマーユニットBの物質量の割合は前記可溶性材料に耐熱性及び耐湿性を付与する観点、並びに水への溶解性を付与する観点から、15~45mol%が好ましく、25~42mol%がより好ましく、30~40mol%が更に好ましい。
前記水溶性樹脂中の全ジカルボン酸モノマーユニットの合計に対する、前記ジカルボン酸モノマーユニットBの割合は、前記可溶性材料に耐熱性及び耐湿性を付与する観点から、30mol%以上が好ましく、50mol%以上がより好ましく、60mol%以上が更に好ましく、水への溶解性を付与する観点から、90mol%以下が好ましく、84mol%以下がより好ましく、80mol%以下が更に好ましい。また、前記水溶性樹脂中の全ジカルボン酸モノマーユニットの合計に対する、前記ジカルボン酸モノマーユニットBの割合は、前記可溶性材料に耐熱性及び耐湿性を付与する観点、並びに水への溶解性を付与する観点から、30~90mol%が好ましく、50~84mol%がより好ましく、60~80mol%が更に好ましい。
前記水溶性樹脂中の前記芳香族ジカルボン酸モノマーユニットAと前記ジカルボン酸モノマーユニットBのmol比(前記芳香族ジカルボン酸モノマーユニットA/前記ジカルボン酸モノマーユニットB)は、水への溶解性を付与する観点から、20/80以上が好ましく、40/60以上がより好ましく、50/50以上が更に好ましく、前記可溶性材料に耐熱性及び耐湿性を付与する観点から90/10以下が好ましく、80/20以下がより好ましく、70/30以下が更に好ましい。
〔モノマーユニットC〕
前記水溶性樹脂は、カルボキシ基と反応する官能基を2つ有するモノマーから誘導されるモノマーユニットを有する。当該モノマーユニットは、水への溶解性を付与する観点、並びに前記可溶性材料に耐熱性及び耐湿性を付与する観点から、ジオールモノマーユニット又はジアミンモノマーユニットが好ましい。本明細書において、前記ジオールモノマーユニットを誘導するためのモノマーをジオールCと称し、前記ジアミンモノマーユニットを誘導するためのモノマーをジアミンCと称する。
前記ジオールCとしては、特に限定されず、脂肪族ジオール、芳香族ジオール等を用いることができるが、水溶性樹脂の製造コストの観点から、脂肪族ジオールが好ましい。
前記ジオールCの炭素数は、水への溶解性を付与する観点、並びに前記可溶性材料に耐熱性及び耐湿性を付与する観点ら、2以上が好ましく、同様の観点から、31以下が好ましく、25以下がより好ましく、20以下が更に好ましく、15以下が更に好ましい。
前記脂肪族ジオールとしては、鎖式ジオール、及び環式ジオールからなる群より選ばれる少なくとも1種以上が挙げられるが、水への溶解性を付与する観点、並びに前記可溶性材料に耐熱性及び耐湿性を付与する観点から、鎖式ジオールが好ましい。
前記鎖式ジオールの炭素数は、水への溶解性を付与する観点、並びに前記可溶性材料に耐熱性及び耐湿性を付与する観点から、2以上が好ましく、同様の観点から、6以下が好ましく、4以下がより好ましく、3以下が更に好ましい。
前記環式ジオールの炭素数は、水への溶解性を付与する観点、並びに前記可溶性材料に耐熱性及び耐湿性を付与する観点から、6以上が好ましく、同様の観点から、31以下が好ましく、30以下がより好ましく、27以下が更に好ましい。
前記ジオールCは、エーテル酸素を有していても良いが、前記ジオールCが鎖式脂肪族のジオールの場合は、水への溶解性を付与する観点、並びに前記可溶性材料に耐熱性及び耐湿性を付与する観点から、エーテル酸素の数は1以下が好ましく、前記ジオールCが環式脂肪族のジオールの場合は、同様の観点から、エーテル酸素の数は2以下が好ましい。
前記鎖式ジオールは、水への溶解性を付与する観点、並びに前記可溶性材料に耐熱性及び耐湿性を付与する観点から、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールからなる群より選ばれる少なくとも1種以上が好ましく、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、及び1,3-プロパンジオールからなる群より選ばれる少なくとも1種以上がより好ましい。これらのうち、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールは重合反応原料として仕込んでもよいし、重合反応中に副生するものでも構わない。
前記環式ジオールは、水への溶解性を付与する観点、並びに前記可溶性材料に耐熱性及び耐湿性を付与する観点から、1,4-シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、イソソルバイド、ビスフェノキシエタノールフルオレン、ビスフェノールフルオレン、ビスクレゾキシエタノールフルオレン、及びビスクレゾールフルオレンからなる群より選ばれる少なくとも1種以上が好ましい。
前記ジオールCがエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、イソソルバイド、ビスフェノキシエタノールフルオレン、ビスフェノールフルオレン、ビスクレゾキシエタノールフルオレン、及びビスクレゾールフルオレンからなる群より選ばれる少なくとも1種以上の場合、前記ポリエステル樹脂中の全ジオールモノマーユニットの合計に対する、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、イソソルバイド、ビスフェノキシエタノールフルオレン、ビスフェノールフルオレン、ビスクレゾキシエタノールフルオレン、及びビスクレゾールフルオレンの合計の割合は、水への溶解性を付与する観点、並びに前記可溶性材料に耐熱性及び耐湿性を付与する観点から、80mol%以上が好ましく、90mol%以上がより好ましく、95mol%以上が更に好ましく、98mol%以上が更に好ましく、実質的に100mol%が更に好ましく、100mol%が更に好ましい。
前記ジアミンCとしては、特に限定されず、脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン、及び芳香族ジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種以上を用いることができ、水溶性樹脂製造時の重合反応の容易さの観点から脂肪族ジアミンが好ましい。
前記ジアミンCの炭素数は、水への溶解性を付与する観点、並びに前記可溶性材料に耐熱性及び耐湿性を付与する観点、及び水溶性樹脂製造時の重合反応の容易さの観点から、2以上が好ましく、3以上がより好ましく、4以上が更に好ましく、水への溶解性を付与する観点、並びに前記可溶性材料に耐熱性及び耐湿性を付与する観点から、20以下が好ましく、15以下がより好ましく、10以下が更に好ましい。
前記脂肪族ジアミンとしては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナンジアミン、デカンジアミン等が例示できる。これらの中でも、水への溶解性を付与する観点、並びに前記可溶性材料に耐熱性及び耐湿性を付与する観点から、ヘキサメチレンジアミンが好ましい。
前記脂環式ジアミンとしては、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、及びイソホロンジアミン等が例示できる。これらの中でも、水への溶解性を付与する観点、並びに前記可溶性材料に耐熱性及び耐湿性を付与する観点から、ジアミンシクロヘキサン、及びイソホロンジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種以上が好ましく、ジアミンシクロヘキサンからなる群より選ばれる少なくとも1種以上がより好ましい。
前記芳香族ジアミンとしては、フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、及び4,4’-ジアミノジフェニルメタン等が例示できる。これらの中でも、水への溶解性を付与する観点、並びに前記可溶性材料に耐熱性及び耐湿性を付与する観点から、フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種以上が好ましく、フェニレンジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種以上がより好ましい。
前記ジアミンCとしては、水への溶解性を付与する観点、並びに前記可溶性材料に耐熱性及び耐湿性を付与する観点から、ヘキサメチレンジアミン、ジアミンシクロヘキサン、フェニレンジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種以上が好ましく、ヘキサメチレンジアミン、フェニレンジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種以上がより好ましく、ヘキサメチレンジアミンが更に好ましい。
前記ジアミンCがヘキサメチレンジアミン、ジアミンシクロヘキサン、フェニレンジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種以上の場合、前記ポリアミド樹脂中の全ジアミンモノマーユニットの物質量の合計に対する、ヘキサメチレンジアミン、ジアミンシクロヘキサン、フェニレンジアミンの物質量の合計の割合は、水への溶解性を付与する観点、並びに前記可溶性材料に耐熱性及び耐湿性を付与する観点から、50mol%以上が好ましく、70mol%以上がより好ましく、80mol%以上が更に好ましく、90mol%以上が更に好ましく、実質的に100mol%が更に好ましく、100mol%が更に好ましい。なお、実質的に100mol%とは、ヘキサメチレンジアミン、ジアミンシクロヘキサン、フェニレンジアミン以外の物質が不可避的に混入する場合を含む意味である。
前記水溶性樹脂は、下記一般式(1)及び(2)で示されるユニットを有するポリエステル樹脂が例示できる。
Figure 0007419043000001
Figure 0007419043000002
前記一般式(1)及び一般式(2)中、m及びmはエチレングリコールモノマーユニットの平均付加モル数を示し、それぞれ1~3、好ましくは1であり、前記一般式(1)及び(2)はブロック結合又はランダム結合であり、ランダム結合が好ましい。
前記水溶性樹脂の重量平均分子量は、前記可溶性材料に耐熱性及び耐湿性を付与する観点から、5000以上が好ましく、10000以上がより好ましく、20000以上が更に好ましく、25000以上が更に好ましく、前記可溶性材料に水への溶解性を付与する観点から、60000以下が好ましく、50000以下がより好ましく、40000以下が更に好ましく、35000以下が更に好ましい。
前記水溶性樹脂の製造方法には特に限定はなく、従来公知の方法を適用できる。
前記可溶性材料中の前記水溶性樹脂の含有量は、前記可溶性材料に水への溶解性を付与する観点から、68質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、72質量%以上が更に好ましく、74質量%以上が更に好ましく、76質量%以上が更に好ましく、前記可溶性材料に耐熱性及び耐湿性を付与する観点から、98質量%以下が好ましく、96質量%以下がより好ましく、94質量%以下が更に好ましく、92質量%以下が更に好ましく、90質量%以下が更に好ましく、88質量%以下が更に好ましい。また、前記可溶性材料中の前記水溶性樹脂の含有量は、前記可溶性材料に水への溶解性を付与する観点、及び前記可溶性材料に耐熱性及び耐湿性を付与する観点の観点から、68~98質量%が好ましく、70~96質量%がより好ましく、72~94質量%が更に好ましい。
前記可溶性材料は、本実施形態の効果を損なわない範囲で他の成分を含有していても良い。当該他の成分の例としては、前記水溶性樹脂以外の重合体、安息香酸ポリアルキレングリコールジエステル等の可塑剤、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ガラス球、黒鉛、カーボンブラック、カーボン繊維、ガラス繊維、タルク、ウォラストナイト、マイカ、アルミナ、シリカ、カオリン、ウィスカー、炭化珪素等の充填材、減粘剤、相溶化剤、エラストマー等が挙げられる。
〔有機塩化合物α〕
前記可溶性材料は、水への溶解性を向上させる観点から、減粘剤として下記一般式(3)で示される有機塩化合物を含有してもよい。本明細書において下記一般式(3)で示される有機塩化合物を有機塩化合物αと称する。
(R-SO n+ (3)
(前記一般式(3)中、Rは置換基を有していてもよい炭素数1~30の炭化水素基を示し、nは1又は2の数を示し、Xn+はカチオンを示し、nが1のとき、Xn+はナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、アンモニウムイオン、又はホスホニウムイオンを示し、nが2のとき、Xn+はマグネシウムイオン、カルシウムイオン、バリウムイオン、又は亜鉛イオンを示す。)
前記一般式(3)中、Rは、前記水溶性樹脂の製造時の分子量制御の観点、水への溶解性を付与する観点、並びに前記可溶性材料に耐熱性及び耐湿性を付与する観点から、置換基を有していてもよい炭素数1~30の炭化水素基を示す。当該炭化水素基は、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基のいずれであってもよい。当該炭化水素基が脂肪族炭化水素基の場合、当該炭化水素基の炭素数は、前記水溶性樹脂の製造時の分子量制御の観点、水への溶解性を付与する観点、並びに前記可溶性材料に耐熱性及び耐湿性を付与する観点から、1以上が好ましく、4以上がより好ましく、8以上が更に好ましく、30以下が好ましく、25以下がより好ましく、20以下が更に好ましい。当該炭化水素基が脂環式炭化水素基の場合、当該炭化水素基の炭素数は、前記水溶性樹脂の製造時の分子量制御の観点、水への溶解性を付与する観点、並びに前記可溶性材料に耐熱性及び耐湿性を付与する観点から、3以上が好ましく、5以上がより好ましく、6以上が更に好ましく、10以上が更に好ましく、30以下が好ましく、25以下がより好ましく、20以下が更に好ましい。当該炭化水素基が芳香族炭化水素基の場合、当該炭化水素基の炭素数は、前記水溶性樹脂の製造時の分子量制御の観点、水への溶解性を付与する観点、並びに前記可溶性材料に耐熱性及び耐湿性を付与する観点から、6以上が好ましく、8以上がより好ましく、10以上が更に好ましく、30以下が好ましく、25以下がより好ましい。
また、前記置換基としては、水への溶解性を付与する観点、並びに前記可溶性材料に耐熱性及び耐湿性を付与する観点から、水素原子、炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、及びケイ素原子、並びにハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上を含むものが好ましく、中でも炭素数1~22の炭化水素基又はハロゲン化アルキル基が好ましく、炭素数1~16の炭化水素基又はハロゲン化アルキル基がより好ましく、炭素数1~12の炭化水素基又はハロゲン化アルキル基が更に好ましく、炭素数1~12の炭化水素基が更に好ましい。
前記一般式(3)中、Xn+は、前記水溶性樹脂の製造時の分子量制御の観点、水への溶解性を付与する観点、並びに前記可溶性材料に耐熱性及び耐湿性を付与する観点から、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、アンモニウムイオン、ホスホニウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、バリウムイオン、亜鉛イオン、又はホスホニウムイオンを示し、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、マグネシウムイオン、アンモニウムイオン、又はホスホニウムイオンが好ましく、ナトリウムイオン、リチウムイオン、アンモニウムイオン、又はホスホニウムイオンがより好ましく、リチウムイオン、又はホスホニウムイオンが更に好ましく、ホスホニウムイオンが更に好ましい。ホスホニウムイオンの中でも、前記水溶性樹脂の製造時に求められる耐熱性の確保の観点から、テトラアルキルホスホニウムイオンが好ましく、テトラブチルホスホニウムイオンがより好ましい。
前記一般式(3)中、nは、前記可溶性材料の製造時の分子量制御の観点、水への溶解性を付与する観点、並びに前記可溶性材料に耐熱性及び耐湿性を付与する観点から、1が好ましい。
前記可溶性材料中の前記有機塩化合物αの含有量は、水への溶解性を付与する観点、並びに前記可溶性材料に耐熱性及び耐湿性を付与する観点から、0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、5質量%以上が更に好ましく、前記可溶性材料に耐熱性及び耐湿性を付与する観点から、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下が更に好ましい。また、前記可溶性材料中の前記有機塩化合物αの含有量は、水への溶解性を付与する観点、並びに前記可溶性材料に耐熱性及び耐湿性を付与する観点から、0.1~20質量%が好ましく、1~15質量%がより好ましく、5~10質量%が更に好ましい。
前記有機塩化合物αのアルキルスルホン酸イオン(R-SO )の物質量(mol)と、前記水溶性樹脂が有する親水性基の物質量の比(前記有機塩化合物αのアルキルスルホン酸イオンの物質量/前記水溶性樹脂が有する親水性基の物質量)は、前記可溶性材料に耐熱性及び耐湿性を付与する観点から、0.01以上が好ましく、0.05以上がより好ましく、0.1以上が更に好ましく、同様の観点、及び有機塩化合物αのブリードアウト抑制の観点から、0.5以下が好ましく、0.2以下がより好ましく、0.15以下が更に好ましい。
前記可溶性材料は、射出成形における成形性の観点から、相溶化剤を含有してもよい。前記相溶化剤は、射出成形における成形性の観点から、エポキシ基、酸無水物基、イソシアネート基、アミノ基、カルボキシル基、及びオキサゾリン基からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の反応性基を含む相溶化剤が好ましく、エポキシ基を有する反応性相溶化剤がより好ましい。エポキシ基を有する反応性相溶化剤としては、Bondfast(登録商標)7B、Bondfast 7M(以上、住友化学社製)、ロタダー(登録商標)AX8840(アーケマ社製)、JONCRYL(登録商標)ADR4370S、JONCRYL ADR4368CS、JONCRYL ADR4368F、JONCRYL ADR4300S(以上、BASF社製)、ARUFON(登録商標)UG4035、ARUFON UG4040、ARUFON UG4070(以上、東亜合成社製)が例示できる。酸無水物基を有する反応性相溶化剤としては、ユーメックス(登録商標)1010(三洋化成社製)、アドマー(登録商標)(三井化学社製)、モディパー(登録商標)A8200(日本油脂社製)、OREVAC(登録商標)(アルケマ社製)、FG1901、FG1924(以上、クレイトンポリマー社)、タフテック(登録商標)M1911、タフテックM1913、タフテックM1943(以上、旭化成ケミカルズ社製)が例示できる。イソシアネート基を有する反応性相溶化剤としてはカルボジライトLA-1(登録商標)日清紡社製が例示できる。
前記可溶性材料中の前記相溶化剤の含有量は、観点から、前記水溶性樹脂100質量部に対して、2質量部以上が好ましく、3質量部以上がより好ましい。前記相溶化剤の配合割合は、前記水溶性樹脂100質量部に対して、20質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましい。
前記可溶性材料は、射出成形における成形性の観点から、エラストマーを含有してもよい。前記エラストマーは、射出成形における成形性の観点から、アクリル系エラストマー、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、及びシリコーン系エラストマーからなる群より選ばれる少なくとも1種以上が好ましく、アクリル系エラストマーがより好ましい。当該アクリル系エラストマーとしては、クラリティ(登録商標)LA2250、クラリティLA2140、クラリティLA4285(以上、クラレ社製)が例示できる。前記オレフィン系エラストマーとしては、Kraton(登録商標)ERSポリマー(クレイトンポリマー社製)が例示できる。前記スチレン系エラストマーとしては、Kraton Aポリマー、Kraton Gポリマー(以上、クレイトンポリマー社製)、「タフテックH」シリーズ、「タフテックP」シリーズ(旭化成ケミカルズ社製)、セプトン(登録商標)、ハイブラー(登録商標)(以上、クラレプラスチックス社)が例示できる。
前記エラストマーの配合割合は、射出成形における成形性の観点から、前記水溶性樹脂100質量部に対して、5質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましい。前記エラストマーの配合割合は、前記水溶性樹脂100質量部に対して、40質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましい。
前記可溶性材料の水分率は、成形体の精度向上の観点から、0.3質量%以下であり、0.28質量%以下が好ましく、射出成形における成形性の観点から、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましい。また、前記可溶性材料の水分率は、成形体の精度向上の観点、及び水溶性の観点から、0.2~0.3質量%が好ましく、0.25~0.28質量%がより好ましい。なお、本明細書において水分率は実施例に記載の方法によって測定する。
前記可溶性材料の熱変形温度は、成形体の精度向上の観点から、70℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましく、90℃以上が更に好ましく、同様の観点から、150℃以下が好ましく、120℃以下がより好ましく、100℃以下が更に好ましい。なお、本明細書において熱変形温度は実施例に記載の方法によって測定する。
前記可溶性材料の製造方法は特に限定されず、公知の方法で製造することができる。前記可溶性材料の製造方法の例としては、原料をバッチ式混練機や二軸押出機等の混練機で混練して製造する方法が挙げられる。
前記可溶性材料は、三次元物体及びサポート材を含む三次元物体前駆体を得る工程、及び当該三次元物体前駆体をpHが6~8の中性水に接触させ、サポート材を除去するサポート材除去工程を有する熱溶融積層方式による三次元物体の製造方法における、サポート材の材料として使用することができる。
<成形体の製造方法>
本実施形態の成形体の製造方法は、前記可溶性材料を成形して得られた中子の少なくとも一部が金型と接触するように前記金型内に配置し、当該金型内に加熱溶融した熱可塑性樹脂を射出成形して前記中子と一体化された成形体を形成する射出成形工程と、前記中子と一体化された前記成形体を冷却した後に当該成形体を前記金型から取り出す取り出し工程と、前記金型から取り出された、前記中子と一体化された前記成形体の表面に現れている、前記中子の前記金型に接触していた部分に水を接触させて中子を除去する除去工程と、を有する。
圧力は、絶対圧力で表記する。「常圧」とは101.3kPaを示す。
<水溶性樹脂1の合成>
100Lステンレス製反応器(撹拌機、窒素導入管付)に2,6-ナフタレンジカルボン酸ジメチル(BP社製)、4.09kg、エチレングリコール(富士フィルム和光純薬社製、特級)3.06kg、5-スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム(竹本油脂社製)1.69kg、チタンテトラブトキシド(東京化成工業社製、一級)1.71g、酢酸ナトリウム・三水和物(富士フィルム和光純薬社製、特級)42.0gを仕込み、常圧、窒素雰囲気下、1.5時間かけて温度を230℃に昇温し、230℃で360分加熱してエステル交換を行った。その後、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩(竹本油脂社製、商品名エレカットS-418)288gを添加し、15分間撹拌した。85%リン酸(シグマアルドリッチジャパン社製、特級)を637mg添加し、10分間撹拌した後、90分かけて260℃まで昇温し、同時に30mmHgまで減圧しながら撹拌して重縮合を行い、常圧に戻して水溶性樹脂1(ポリエステル樹脂)を含有する樹脂組成物1を得た。重量平均分子量は21000であった。
<可溶性材料の調製>
〔実施例1、2、及び比較例1で使用したペレットの作成〕
前記ポリエステル化合物52.5kg、及びクラリティLA2250(クラレ社製:熱可塑性エラストマー:ポリメタクリル酸メチル-ポリアクリル酸ブチル-ポリメタクリル酸メチルトリブロック共重合体)6.25kg、相溶化剤としてBondfast7B(住友化学社製:エチレン-酢酸ビニル-メタクリル酸グリシジル共重合体)2.5kgを減圧下60℃で乾燥後、重量フィーダーを使用して、二軸押出機(東芝機械社製:TEM-41SS、スクリュー径41mm、二条型)を用いてシリンダー温度220℃、スクリュー回転数250rpm、吐出速度70kg/hにて溶融混練し、白色混合物である組成物を得た。吐出された樹脂をペレタイザーでカットし、樹脂組成物ペレットを得た。
<分析方法>
〔水溶性樹脂の組成〕
Agilent社製NMR、MR400を用いたプロトンNMR測定により、前記水溶性樹脂1の組成を求めることができる。
〔水溶性樹脂中の親水性基の量〕
前記方法により求めた前記ポリエステル樹脂1の組成から、前記ポリエステル樹脂1中の親水性基(SO)の量(単位:mmol/g)を求めることができる。
[重量平均分子量]
下記条件により、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法を用いて標準ポリスチレンから校正曲線を作成し、重量平均分子量(Mw)を求めた。
・装置:HLC-8320 GPC(東ソー社製、検出器一体型)
・カラム:α-M×2本(東ソー社製、7.8mmI.D.×30cm)
・溶離液:60mmol/Lリン酸+50mmol/L臭素化リチウムジメチルホルムアミド溶液
・流量:1.0mL/min
・カラム温度:40℃
・検出器:RI検出器
・標準物質:ポリスチレン
<実施例1、2比較例1、2>
〔実施例1〕
二軸押出機で得られた樹脂組成物ペレットを、除湿乾燥機を用いて110℃、8時間で乾燥した。その後、温度23℃、相対湿度35%Rhの恒温恒湿室で16時間静置し、当該樹脂組成物ペレットの水分率を調整した。当該樹脂組成物ペレットの水分率は0.27%であった。水分率調整後の当該樹脂組成物ペレットを、射出成形機(日本製鋼所社製J110AD-180H、シリンダー温度設定6箇所)を用いて試験片(溶解時間測定用:角柱試験片(62mm×12.7mm×5mm)、熱変形温度用:角柱試験片(125mm×13mm×6.4mm))に射出成形した。当該射出成形機のシリンダー温度は、ノズル先端側から235℃、240℃、240℃、240℃、240℃、200℃に設定し、ホッパー下を45℃に設定した。金型温度は80℃に設定した。
〔実施例2〕
二軸押出機で得られた前記樹脂組成物ペレットを、除湿乾燥機を用いて110℃、8時間で乾燥し、使用した。水分率は0.01%であった。射出成形は実施例1と同様に行った。
〔比較例1〕
二軸押出機で得られた前記樹脂組成物ペレットを、除湿乾燥機を用いて110℃、8時間で乾燥した。その後、温度23℃、相対湿度35%Rhの恒温恒湿室で48時間静置し、ペレットを吸水させた。ペレットの水分率は0.88%であった。射出成形は実施例1と同様に行ったが、樹脂の流動性が高く、成形できなかった。
〔比較例2〕
クラレ社製ポリビニルアルコール Mowiflex C500Tを、除湿乾燥機を用いて60℃20時間乾燥した。ペレットの水分率は0.10%であった。実施例1と同じ設備で、シリンダー温度を、ノズル先端側から170℃、180℃、180℃、180℃、180℃、160℃に設定し、ホッパー下を45℃に設定して当該ポリビニルアルコールを成形し、成形体を得た。
〔水分量の測定〕
ペレット1gを計りとり、カールフィッシャー水分計(三菱化学アナリテック社製 CA-200)を使用し、測定温度150℃で水分量を測定した。
〔熱変形温度の測定〕
角柱試験片(125mm×13mm×6.4mm)について、ASTM D648に基づいて、熱変形温度測定機(安田精機製作所社製)を用いて、エッジワイズ、昇温速度2℃/分、1.8MPaの荷重の条件で、0.254mm歪んだ際の荷重たわみ温度を求めた。熱変形温度の値が高いほど、耐熱性に優れていると評価することができる。
〔溶解時間の測定〕
角柱試験片(62mm×12.7mm×5mm)を、70℃の水1Lの中に浸し、マグネティックスターラーを用いて水を300rpmで攪拌し、試験片が溶けるまでの時間を測定した。
評価結果を表1に示す。なお、比較例1は、実施例1に係る成形と同様の条件では、流動性が高くなりすぎ、成形できなかった。
Figure 0007419043000003

Claims (10)

  1. 親水性基を有する芳香族ジカルボン酸モノマーユニットA、親水性基を有さないジカルボン酸モノマーユニットB、及びモノマーユニットCを有する水溶性樹脂を含有し、
    水分率が0.2~0.3質量%以下である、射出成形用中子用可溶性材料であって、
    前記水溶性樹脂の全モノマーユニットの合計に対する前記芳香族ジカルボン酸モノマーユニットAの割合が5mol%以上35mol%以下、前記水溶性樹脂中の全モノマーユニットの物質量の合計に対する、前記ジカルボン酸モノマーユニットBの物質量の割合が15mol%以上45mol%以下であり、
    前記射出成形用中子用可溶性材料中の前記水溶性樹脂の含有量が68質量%以上98質量%以下である、射出成形用中子用可溶性材料
  2. 下記一般式(3)で示される有機塩化合物αを含有する、請求項1に記載の射出成形用中子用可溶性材料。
    (R-SО n+ (3)
    (前記一般式(3)中、Rは置換基を有していてもよい炭素数1~30の炭化水素基を示し、Xn+はカチオンを示し、nは1又は2の数を示す。)
  3. 前記水溶性樹脂中の全ジカルボン酸モノマーユニットの合計に対する、芳香族ジカルボン酸モノマーユニットAの割合が10~70mol%である、請求項1又は2に記載の射出成形用中子用可溶性材料。
  4. 前記水溶性樹脂の重量平均分子量が5000~60000である、請求項1~のいずれか1項に記載の射出成形用中子用可溶性材料。
  5. 前記親水性基がスルホン酸塩基である、請求項1~のいずれか1項に記載の射出成形用中子用可溶性材料。
  6. 前記カチオンが、テトラアルキルホスホニウムイオンである、請求項に記載の射出成形用中子用可溶性材料。
  7. 前記モノマーユニットCが、カルボキシ基と反応する官能基を2つ有するモノマーから誘導される、請求項1~のいずれか1項に記載の射出成形用中子用可溶性材料。
  8. 更に、エラストマーを含有する、請求項1~のいずれか1項に記載の射出成形用中子用可溶性材料。
  9. 更に、相溶化剤を含有する、請求項1~のいずれか1項に記載の射出成形用中子用可溶性材料。
  10. 請求項1~のいずれか1項に記載の射出成形用中子用可溶性材料を成形して得られた中子の少なくとも一部が金型と接触するように前記金型内に配置し、当該金型内に加熱溶融した熱可塑性樹脂を射出成形して前記中子と一体化された成形体を形成する射出成形工程と、
    前記中子と一体化された前記成形体を冷却した後に当該成形体を前記金型から取り出す取り出し工程と、
    前記金型から取り出された、前記中子と一体化された前記成形体の表面に現れている、前記中子の前記金型に接触していた部分に水を接触させて中子を除去する除去工程と、
    を有する、成形体の製造方法。
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