JP7415664B2 - 清掃性に優れた衛生陶器 - Google Patents

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本発明は、清掃性に優れた、すなわち表面の汚れを容易に取り除くことが出来る、マット調の表面の衛生陶器に関する。
衛生陶器の外観は、一般的には艶のある光沢調で高級感や清潔感を想起させる質感としている。これに対して、光沢調とは反対に艶のないマット調の衛生陶器が市場において評価されつつある。マット調とすることで、製品の外観(意匠性)を高め、また、同じ空間にある壁や器具類の質感と調和させることが可能となり、デザインのバリエーションを広げることが出来るからである。
衛生陶器のマット調は、基本的に表面に凹凸を形成することで光を散乱させて得ている。この凹凸は、時に衛生陶器の清掃性を低下させるため、表面性状を適切に制御することで清掃性を下げないようにする必要がある。しかしながら、衛生陶器の表面は使用によって徐々に釉薬表面のガラス質が侵食されるなど、表面形状が乱されることがある。このような状況にも対応するものとして、その表面を設計し、製造しなければならない。
特開2012-46364号公報(特許文献1)は、釉薬焼成時に結晶粒子を析出させてマット調の表面を形成させる技術が開示されている。特定の物性の表面とすることで、防汚性とマット調の両立を図ることができるとされている。
また、特開2018-104272号公報(特許文献2)には、施釉面をブラスト処理することでマット調と防汚性を備えた表面を得る技術が記載されている。
これらを含め従来のマット調の衛生陶器をさらに改良し、マット調でありながら、清掃性に優れた衛生陶器が依然として求められている。
特開2012-46364号公報 特開2018-104272号公報
本発明者らは、今般、特定の表面性状を備えた釉薬層の表面が、清掃性に優れたマット調のもとなることを見出した。
したがって、本発明は、清掃性に優れたマット調の釉薬層を備えた衛生陶器の提供をその目的としている。
そして、本発明による衛生陶器は、
陶器素地と、表面に釉薬層とを備えてなる衛生陶器であって、
前記釉薬層が、
当該釉薬層の表面から10μmの深さまでの領域の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したときに、二軸平均径が1μm以上である粒子として観察される箇所の面積が、当該領域の面積に対して6%未満の割合か、または粒子として観察される箇所が存在しないものであり、
前記釉薬層の表面の
60°光沢度が18以上50未満であり、かつ
JIS B0601(2001)で規定されるRzおよびRskが、JIS B0633(2001)で規定された条件で測定したとき、
1.44μm≦Rz<2.37μm、-1.14<Rsk<0.17であること
を特徴とするものである。
本発明による衛生陶器の断面構造を説明する模式図である。 本発明による衛生陶器の釉薬層であって、粒子が観察される断面のSEM写真の例である。 本発明による衛生陶器の釉薬層であって、粒子が観察されない断面のSEM写真の例である。 本発明の一つの態様による衛生陶器の断面模式図であり、領域12における粒子50の存在が、領域11よりも少ない態様である。 本発明の一つの態様による衛生陶器の断面模式図であり、領域12における粒子50の存在が領域11と大きく異ならない態様である。
定義
本発明において、「衛生陶器」とは、トイレおよび洗面所周りで用いられる陶器製品を意味し、具体的には大便器、小便器、便器のサナ、便器タンク、洗面台の洗面器、手洗い器などを意味する。
表面性状
本発明による衛生陶器が備える釉薬層は、その表面性状として、
(1) 当該釉薬層の表面から10μmの深さまでの領域の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)写真により観察したときに、二軸平均径が1μm以上である粒子として観察される箇所の面積が、当該領域の面積に対して6%未満の割合か、または粒子として観察される箇所が存在しないものであり、
(2) その表面の60°光沢度が18以上50未満であり、
(3) その表面の、JIS B0601(2001)で規定されるRzおよびRskが、JIS B0633(2001)で規定された条件で測定したとき、
1.44μm≦Rz<2.37μm、-1.14<Rsk<0.17である
の三つの要件を満たす。
本発明において、SEM写真は以下のとおり撮影される。図1は、本発明による衛生陶器の表面付近の構造を表した模式図である。衛生陶器100は、釉薬層10が、陶器素地80の上に形成された表面層構造を持ち、両者は界面80aで接合されている。また、釉薬層10はその表面10aを有している。
このような構造の衛生陶器を釉薬表面の法線(図中、Z)を含むように切断し、断面を露出させる。この断面について、走査型電子顕微鏡(SEM)写真を撮影するが、その前に、断面を鏡面加工することが好ましい。断面の撮影は、釉薬層の表面10aから10μmの深さまでの領域について行う。好ましい態様によれば、倍率は1万倍とし、電界放出形走査電子顕微鏡により、加速電圧4kV、観察倍率1万倍の二次電子像モードを用いて行う。画像は、釉薬の表面に対して横方向に少なくとも50μm以上の範囲で複数枚を取得する。
本発明による衛生陶器の釉薬層は、得られたSEM写真について、二軸平均径が1μm以上である粒子として観察される箇所の面積が、当該領域の面積に対して6%未満の割合か、または粒子として観察される箇所が存在しないものである。好ましくは5%以下である。図2は、粒子が観察される断面のSEM写真の例であり、画像に他の領域と異なる相として、粒子が観察される。図3は、粒子が観察されない断面のSEM写真の例であり、釉薬層の断面は一様である。面積の算出は、画像解析ソフトにより実施することが出来る。
本発明の一つの態様によれば、SEM写真を観察する際に、画像コントラストや明暗などを適宜調整し、粒子の存在が最も見やすくなるように調整してもよい。また、サンプルの状態によっては粒子と釉薬の他の相との識別がどうしても困難である場合には、観察の前処理として、サンプル表面を70℃の5重量%水酸化ナトリウム水溶液にて1時間程度エッチング処理を施してもよい。
本発明の好ましい態様によれば、釉薬層の表面から10μmの深さまでの領域の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)写真により観察したときに、二軸平均径が1μm以上である粒子として観察される箇所の面積の、当該領域の面積に対する割合が、釉薬層の表面から10μmを越え500μmの深さまでの領域の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)写真により観察したときに、二軸平均径が1μm以上である粒子として観察される箇所の面積の、当該領域の面積に対する割合よりも小である衛生陶器が好ましい。この態様において、釉薬層の厚さが500μm以下であれば、釉薬層の表面から10μmを越えた領域の下限は、釉薬層と陶器素地との界面とする。この態様よれば、より良好な清掃性が実現できる。なお、画像は、釉薬層の表面から10μmを超え、500μm以下の領域については、その両端を含むように深さ方向に等間隔に少なくとも5枚以上取得する。ただし、釉薬層の領域外を含まれる粒子はカウントしないものとする。
図4は、この態様による衛生陶器の断面模式図である。図中、衛生陶器101は、釉薬層10が、陶器素地80の上に形成された表面構造を持つ。釉薬層10は、釉薬層の表面から10μmの深さまでの領域12と、釉薬層の表面から10μmを越え500μmの深さまでの領域11とからなる。この態様にあっては、領域12において観察される粒子50の面積の当該領域の面積に対する割合が、領域11において観察される粒子50の面積の当該領域の面積に対する割合よりも小である。他方、図5は、本態様と異なり、領域11および領域12において、粒子50の面積がほぼ同じである釉薬層を示す。但し、この図5の態様にあっても、領域12において、二軸平均径が1μm以上である粒子として観察される箇所の面積の、当該領域の面積に対する割合が6%未満であれば、本発明に包含される。
さらに、いずれの態様においても、釉薬層10と陶器素地80との間に他の釉薬層があっても良い。
粒子は、原料中に含まれる結晶質粒子や焼成によって析出される結晶質粒子が存在する。材質としては、ジルコン、石英、ジオプサイド、アノーサイトなどがある。
次に本発明による衛生陶器の釉薬層は、(2)その表面が60°光沢度が18以上50未満とされる。さらに、(3)その表面が、JIS B0601(2001)で規定されるRzおよびRskを、JIS B0633(2001)で規定された条件で測定した値とき、
1.44μm≦Rz<2.37μm、-1.14<Rsk<0.17であるものとされる。
本発明による衛生陶器の釉薬層が備える(2)および(3)の性状は、後記するように好ましくは、好ましくはウエットブラスト処理により実現される。
本発明による上記性状を有する釉薬層の表面は、マット調となり、かつ、清掃性に優れる。本発明者の得た知見によれば、艶消し調の表面を実現するための釉薬層の凹凸について、光沢度80を超えるような光沢調の表面では汚れ除去性の低下はそれほどないが、光沢度が50未満に小さくなると、マット調の外観を呈するようにはなるが、汚れ除去性が悪化する傾向にある。おそらくは、凹凸形状に汚れが入り込んでしまい、除去することが困難になるか、除去のためには高い清掃負荷をかけなければならない。本発明にあっては、光沢度が50未満の低い値の釉薬層表面であっても、上記のとおり、その表面近傍に粒子が少なく、かつ、表面のRzおよびRskを所定範囲にすることで、高い清掃性、すなわち汚れが一旦ついても容易に除去できることを見出した。本発明によれば、清掃性の程度は、光沢度80を超えるような光沢調の表面に劣らないものである。さらに、本発明による衛生陶器は、油性、水性のいずれの汚れに対しても優れた清掃性を備える有利なものである。
さらに、本発明による衛生陶器の釉薬層は、その表面が、ISO 25178-2(2012)で規定される最大谷深さSvの値が1.0μm<Sv<4.0μmであることが好ましく、1.2μm<Sv<3.8μmであることがより好ましい。このような表面を持つ釉薬層とすることで、低い清掃負荷で優れた清掃性を得ることができる。最大谷深さSvの特に好ましい範囲は1.3μm<Sv<3.2μmであり、この範囲とすることで油性の汚れの除去性および水性の汚れの除去性が共に高くなり有利である。なお、この最大谷深さSvはISO 25178-3(2012)に規定された条件で、具体的には後述する観察条件および解析条件で測定した値である。
釉薬層の組成
本発明によれば、種々の釉薬層、すなわち当業者が一般的に釉薬層と理解するものにおいて、上記性状を備えたマット調の表面を実現することが出来る。本発明においては、釉薬層は、上記した性状がその表面において実現できる限り、当業者が一般的に釉薬層と理解する組成を備えるものとされてよい。
本発明の好ましい態様によれば、釉薬層の組成は、酸化物に換算して以下の表に記載される組成を備える。
Figure 0007415664000001
また、本発明のさらに一つの態様によれば、上記表における成分の外、Fe、ZrO、ZnO、TiO、BaO、B、LiO、Sb、CuO、MnO、NiO、CoO、MoO、SnO、PbOなどを含んでもいてもよい。
物品の製造
本発明による衛生陶器は、陶器素地上に釉薬層を形成し、さらに、釉薬層の表面を上記した表面性状となるよう加工することにより製造することができる。
本発明において、釉薬層を形成する釉薬の原料は、前記釉薬層の組成を実現できる限り特に限定されないが、一般的には、釉薬原料として、珪砂、長石、石灰石等の天然鉱物粒子の混合物、コバルト化合物、鉄化合物等の顔料、珪酸ジルコニウム、酸化錫等の乳濁剤などが使用される。釉薬原料を高温で溶融した後、急冷してガラス化させることで釉薬層を得ることができる。本発明において好ましい釉薬組成は、例えば、長石が10wt%~30wt%、珪砂が15wt%~40wt%、炭酸カルシウムが10wt%~25wt%、コランダム、タルク、ドロマイト、亜鉛華が、それぞれ10wt%以下、乳濁剤および顔料が合計15wt%以下のものである。上記した釉薬を基材に塗布し、その後乾燥、焼成して物品を得る。焼成温度は釉薬が軟化する1,000℃以上1,300℃以下の温度が好ましい。
本発明において、上記した釉薬層の表面の性状は、好ましくはウエットブラスト処理により実現できる。ウエットブラスト処理は、釉薬層の表面に対して水と研磨材と圧縮空気の混合物を同時に噴射することで表面を削り、所望の表面状態を形成する手法である。研磨材の種類、平均粒径、圧縮空気の供給圧力、投射距離、投射角度、投射時間等を適宜選択することで、本発明によるマット調の表面を得ることが出来る。本発明の好ましい態様によれば、研磨材として非球形のアルミナ粒子を用い、その粒径範囲が1μm~100μmの範囲にあるものを用いることが好ましい。
実施例1~9に使用するサンプルの用意
衛生陶器(TOTO株式会社製、色品番:#NW1)を用意し、平面部を約10cm切り出し、評価サンプルを得た。実施例1~8に使用した評価サンプルは、釉薬層として、特許第3339640号公報に記載されている2層構造を有している。具体的には、ガラスと顔料を混合した釉薬層の上に透明なガラス層を設けたものである。そして、後記するように、これらサンプルの釉薬層は、その表面から10μmの深さまでの領域の断面をSEM写真により観察したときに、二軸平均径が1μm以上である粒子が観察されないものである。
比較例1~6および11に使用するサンプルの用意
ガラスと顔料とを含んでなる釉薬層を備え、その上に透明なガラス層を備えていない衛生陶器(TOTO株式会社製、色品番:#NW1)を用意し、平面部を約10cm切り出し、評価サンプルを得た。そして、後記するように、これらサンプルの釉薬層は、その表面から10μmの深さまでの領域の断面をSEM写真により観察したときに、二軸平均径が1μm以上である粒子が、この領域の面積に対して6%以上観察されるものである。
ブラスト処理
上記の評価サンプル釉薬層の表面を、市販のウエットブラスト装置を用いて処理した。研磨材として非球形のアルミナ粒子を用い、研磨材の粒径範囲を1μm~100μmから選択し、圧縮空気の供給圧力、投射距離、投射角度、投射時間を適宜選択して処理を行った。こうして得られたサンプルを実施例1~9および比較例1~6および11とした。
比較例7~10
天然鉱物粒子2kgと水1kg及び球石4kgを、容積6リットルの陶器製ポットに入れ、ボールミルにより約24時間粉砕し釉薬スラリーを得た。次に、ケイ砂、長石、粘土等を原料として調製した衛生陶器素地泥漿を用いて、70×70mmの板状試験片を作製した。この板状試験片上に、釉薬を濡れ吹き法によるスプレーコーティングで厚み0.5mmになるように塗布し、その後、1100~1200℃で焼成することで試料を得た。以上のようにして、衛生陶器の例7~10を得た。なお、比較例7~10の釉薬層の組成は、表2に示される通りであった。
Figure 0007415664000002
表面性状の測定
(1)粒子の面積割合の測定
実施例1~9および比較例1~11の釉薬層を、その表面の法線を含むように切断し、断面に対して鏡面加工を施した。その後、電界放出形走査電子顕微鏡(SU8220、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)により、加速電圧4kV、観察倍率1万倍の二次電子像モードを用いて、釉薬表面部から深さ方向に10μm以上の範囲を含む観察視野にて画像を取得した。画像は、釉薬の表面に対して横方向に少なくとも50μm以上の範囲で複数枚を取得した。それらの画像について、釉薬表面から深さ10μm、幅50μmの範囲内に存在する粒子の二軸平均径が1μm以上である粒子の占める面積割合を算出した。結果は後記の表3に示されるとおりであった。
(2)表面形状の測定(Rsk、Rz、RSm、Rc)
実施例1~9および比較例1~11の試料について、JIS B0651(2001年)に準拠した触針式表面粗さ測定装置(株式会社ミツトヨ製SV-3200)を用い、JIS B0601(2001年)による定義と表示に従い、各表面粗さパラメータ(Rsk、Rz、RSm、Rc)を算出した。測定条件は、JIS B0633(2001年)の規定に従い、評価長さ4mm、カットオフ値λc0.8mm、λs0.0025mm、フィルタ種別Gaussian、補正は傾斜補正(全体)とし、計10箇所の線粗さを測定し、それらの平均値をサンプルの粗さパラメータの値として採用した。結果は後記の表3に示されるとおりであった。
(3)光沢度の測定
実施例1~9および比較例1~11の試料について、その60°光沢度を、JIS Z8741に基づき、光沢計(コニカミノルタ社製GM-268plus)により測定した。結果は後記の表に示されるとおりであった。
(4) 油性汚れに対する清掃性の評価
以下の方法によって、実施例1~9および比較例1~11の表面の油性固形物に対する清掃性を評価した。色差計には、SPECTROPHOTOMETER CM-2600d(コニカミノルタ製)を用いた。測定条件の設定は、表色系:L*a*b*、マスク/グロス:S/I+E、UV設定:UV100%、光源:D65、観察視野:10度、表示:色差絶対値を用いて、同一箇所の3回測定の平均値を正反射光を含むSCIに表示されるa*値を用いた。
(a)サンプル表面のa*を色差計で測定し、その値をa0*とした。なお、以下も含めて、a*の測定時には、5mm幅の白いマスクを線上に被せて、にじみによる測定バラツキを防止した。
(b)赤色のクレパス(登録商標)でサンプル上に3mm幅の線を書き、線上のa*を色差計で測定し、その値をa1*とした。
(c)市販のトイレ掃除シート(商品名:トイレクイックル、花王(株)製、「クイックル」は花王(株)の登録商標)を用いて、線と垂直な方向に25g/cmの荷重をかけた状態で、5往復拭き取った。
(d)摺動後のサンプルのクレパスの線上の色を、色差計で測定し、その値をa2*とした。
(e)汚れ除去性を下記の式から算出した。
汚れ除去性(%)=(a1*-a2*)/(a1*-a0*)
得られた結果は、後記の表3に示されるとおりであった。
(5)水性染料(メチレンブルー)に対する清掃性の評価
以下の方法によって、実施例1~9および比較例1~11の表面の水性染料に対する清掃性を評価した。
(a)上記実施例1~9および比較例1~11と同じ評価サンプルとして、縦横サイズが50mm~100mmの角形平板を用意した。
(b)前処理として、評価サンプル表面を70℃の5重量%水酸化ナトリウム水溶液に1時間浸漬した。その後、サンプル表面を蒸留水で十分にすすぎ、室温にて完全に乾燥させた。
(c)釉薬表面に0.5重量%メチレンブルー水溶液を直径約10mm以上になるように滴下し、完全に乾燥させた。
(d)蒸留水で湿らせた布によって、残渣を拭き取った。
(e)清掃性の評価は目視によって行い、染色残りが確認されなかった場合を〇とし、染色残りが確認された場合を×として判定した。結果は、後記の表3に示されるとおりであった。
(6)表面形状の測定(Sv)
得られた試料について、ISO25178-2(2012)に規定された最大谷深さSvを、ISO25178-3(2012)に規定された条件で、レーザー顕微鏡 LEXT OLS4500(オリンパス製)を用いて測定した。測定は、以下の観察条件にて得られた画像を、以下の解析条件で解析することで行った。
観察条件は、倍率:1071倍、高精度モード(ピッチ0.2μm)を選択し、1視野あたり258μm×258μmの画像を撮影した。
解析条件は、評価領域を258μm×258μmとし、画像補正として、レーザー顕微鏡に付属している解析ソフトウェアを用いて、水平補正(自動)およびノイズ除去を行った。フィルタ処理は、Lフィルタのカットオフ値(λc)を30μm、Sフィルタのカットオフ値(λs)を設定なしとした。測定パラメータは「粗さ」を選択した。以上の条件にて、最大谷深さSvを測定した。
測定に用いたレーザー顕微鏡、解析ソフトウェアの構成を以下に示す。
レーザー顕微鏡
装置:OLS4500
製品バージョン:1.1.8
光源:405nm半導体レーザー
検出系:フォトマルチプライヤー
対物レンズ:OLYMPUS MPlan APO N 50X/0.95 LEXT
解析ソフトウェア
OLS4500アプリケーション(バージョン:1.1.8.3)
1つのサンプルについて、それぞれ視野が重ならないように、3箇所で測定を行い、それらの平均値をサンプルのSvとした。結果は後記の表3に示されるとおりであった。
Figure 0007415664000003

Claims (4)

  1. 陶器素地と、表面に釉薬層とを備えてなる衛生陶器であって、
    前記釉薬層が、
    当該釉薬層の表面から10μmの深さまでの領域の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したときに、二軸平均径が1μm以上である粒子として観察される箇所の面積が、当該領域の面積に対して6%未満の割合か、または粒子として観察される箇所が存在しないものであり、
    前記釉薬層の表面の
    60°光沢度が18以上50未満であり、かつ
    JIS B0601(2001)で規定されるRzおよびRskが、JIS B0633(2001)で規定された条件で測定したとき、
    1.44μm≦Rz<2.37μm、-1.14<Rsk<0.17であること
    を特徴とする、衛生陶器。
  2. 当該釉薬層の表面から10μmの深さまでの領域の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)写真により観察したときに、二軸平均径が1μm以上である粒子として観察される箇所の面積の、当該領域の面積に対する割合が、
    前記釉薬層の表面から10μmを越え500μmの深さまでの領域の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)写真により観察したときに、二軸平均径が1μm以上である粒子として観察される箇所の面積の、当該領域の面積に対する割合よりも小である、請求項1に記載の衛生陶器。
  3. 前記釉薬層の表面の、ISO 25178-2(2012)で規定される最大谷深さSvが、ISO 25178-3(2012)で規定された条件で測定したとき、
    1.0μm<Sv<4.0μmである、
    請求項1または2に記載の衛生陶器。
  4. 請求項1~3のいずれか一項に記載の衛生陶器の製造方法であって、
    釉薬層を備えた物品を用意し、
    前記釉薬層の表面をウエットブラストにより処理することを
    含んでなる、方法。

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