JP7415128B2 - タイヤ製造用加硫金型及びそれを用いた空気入りタイヤの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、タイヤ製造用加硫金型及びそれを用いた空気入りタイヤの製造方法に関し、更に詳しくは、エア残りに起因する外観不良を効果的に抑制することを可能にしたタイヤ製造用加硫金型及びそれを用いた空気入りタイヤの製造方法に関する。
空気入りタイヤを製造する場合、加硫金型内に未加硫状態の空気入りタイヤを投入し、その空気入りタイヤを内側からブラダーにより加圧した状態で該空気入りタイヤの加硫を行う。このような加硫工程において、空気入りタイヤと加硫金型との間にエアが残留すると外観不良が発生し、屑タイヤが発生したり、手直しが必要になったりするという問題がある。
その対策として、エア溜まりが発生し易い箇所にベントホールを追加することが行われているが、その場合、ベントホールによって形成されるスピューの切断工数が増加し、或いは、スピューの増加に起因して製品タイヤの見た目が悪化するという不都合がある。そのため、ベントホールを増加させることなく、エア残りに起因する外観不良を抑制することが求められている。
従来、エア残りに起因する外観不良を抑制する手法として、加硫金型の成形面においてベントホールの開口部を包囲する外縁領域に平滑面を形成し、その外縁領域での未加硫ゴムの流動性を低下させ、未加硫ゴムによるベントホールの閉塞時期を遅らせることにより、エアの排気を改善することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、本発明者の知見では、このような構造を採用してもエア残りに起因する外観不良を十分に抑制することができない。
また、トレッド部の成形面にベントホールを配設すると共に、トレッド部の成形面を全面的に粗く形成し、トレッド部の成形面に微細な排気通路を形成することにより、エアの排気を改善することが提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、成形面に微細な排気通路を形成した場合、空気入タイヤの外表面に微細な凹凸が転写され、製品タイヤの見た目の奇麗さが損なわれるという不都合がある。
特許第5356447号公報 特開2000-37728号公報
本発明の目的は、エア残りに起因する外観不良を効果的に抑制することを可能にしたタイヤ製造用加硫金型及びそれを用いた空気入りタイヤの製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明のタイヤ製造用加硫金型は、空気入りタイヤを製造するための加硫金型において、前記空気入りタイヤのトレッド部、サイドウォール部及びビード部の外表面を成形するための成形面を有し、前記成形面は前記トレッド部のブロックの角部又は前記サイドウォール部の標章の角部に対応する部位に配置された粗面領域と該粗面領域以外の部位に配置された平滑領域とを含み、前記粗面領域の表面粗さが前記平滑領域の表面粗さの1.2倍以上であり、前記粗面領域は前記角部の頂点から少なくとも半径3mmの範囲に存在し、前記粗面領域の表面粗さが5μm~25μmの範囲にあることを特徴とするものである。
上記目的を達成するための本発明の他のタイヤ製造用加硫金型は、空気入りタイヤを製造するための加硫金型において、前記空気入りタイヤのトレッド部、サイドウォール部及びビード部の外表面を成形するための成形面と、前記成形面に配設されたエア排出部とを有し、前記成形面は前記エア排出部と隣接するように該エア排出部の周辺に配置された粗面領域と該粗面領域よりも前記エア排出部から離れた該粗面領域以外の部位に配置された平滑領域とを含み、前記粗面領域の表面粗さが前記平滑領域の表面粗さの1.2倍以上であり、前記粗面領域は前記エア排出部の中心から少なくとも半径3mmの範囲に存在し、前記粗面領域の表面粗さが5μm~25μmの範囲にあることを特徴とするものである。
上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤの製造方法は、上述したタイヤ製造用加硫金型に未加硫状態の空気入りタイヤを投入し、該空気入りタイヤを内側からブラダーにより加圧した状態で該空気入りタイヤの加硫を行うことを特徴とするものである。
本発明に係るタイヤ製造用加硫金型では、成形面がトレッド部のブロックの角部又はサイドウォール部の標章の角部に対応する部位に配置された粗面領域と該粗面領域以外の部位に配置された平滑領域とを含み、粗面領域の表面粗さが平滑領域の表面粗さの1.2倍以上となっている。加硫時の未加硫ゴムの流動は、加硫金型の成形面が滑らかであると遅くなり、粗いと速くなる傾向がある。本発明では、この特性を利用し、外観不良が発生し易い部分(トレッド部のブロックの角部やサイドウォール部の標章の角部)では、加硫金型の成形面の表面粗さを局所的に粗くすることにより、当該部分のゴム流れを良化させ、エアの滞留を効果的に抑制することができる。また、表面粗さを局所的に粗くした部分では未加硫ゴムと加硫金型の成形面との間に隙間が形成され、その隙間をエアが通り易くなる。これにより、ベントホール等のエア排出部の設置数を最小限にしながら、エア残りに起因する外観不良を効果的に抑制することができる。
また、本発明に係る他のタイヤ製造用加硫金型では、成形面がエア排出部の周辺に配置された粗面領域と該粗面領域以外の部位に配置された平滑領域とを含み、粗面領域の表面粗さが平滑領域の表面粗さの1.2倍以上となっている。このようにベントホール等のエア排出部の周辺において、加硫金型の成形面の表面粗さを局所的に粗くすることにより、当該部分のゴム流れを良化させることができる。また、表面粗さを局所的に粗くした部分では未加硫ゴムと加硫金型の成形面との間に隙間が形成され、その隙間をエアが通り易くなるので、エア排出部からのエアの排出を促進することができる。これにより、ベントホール等のエア排出部の設置数を最小限にしながら、エア残りに起因する外観不良を効果的に抑制することができる。
本発明において、粗面領域は角部の頂点(又は、エア排出部の中心)から少なくとも半径3mmの範囲に存在することが好ましい。これにより、エアの滞留を効果的に抑制することができる。
粗面領域の表面粗さは5μm~25μmの範囲にあることが好ましい。これにより、エアの滞留を効果的に抑制すると共に加硫後の製品タイヤの見た目が悪化するのを回避することができる。
粗面領域は角部の頂点(又は、エア排出部)から遠い箇所から角部の頂点(又は、エア排出部)に向かうに連れて表面粗さが段階的に徐々に粗くなる複数の区域を有することが好ましい。これにより、円滑なゴム流れを生じさせることができる。この場合、複数の区域の表面粗さの変化割合が角部の頂点(又は、エア排出部)に近づくに連れて大きくなることが好ましい。つまり、角部の頂点(又は、エア排出部)に近づくほど表面粗さが加速度的に増加するような配置とすることにより、更に円滑なゴム流れを生じさせることができる。但し、複数の区域の隣り合う区域の表面粗さの変化割合が2倍未満であることが好ましい。複数の区域の表面粗さの変化割合が過大であると、区域の境界において円滑なゴム流れが阻害される恐れがある。
或いは、粗面領域は角部の頂点(又は、エア排出部)から遠い箇所から角部の頂点(又は、エア排出部)に向かうに連れて表面粗さが連続的に徐々に粗くなることが好ましい。これにより、円滑なゴム流れを生じさせることができる。
本発明によれば、上述したタイヤ製造用加硫金型に未加硫状態の空気入りタイヤを投入し、該空気入りタイヤを内側からブラダーにより加圧した状態で該空気入りタイヤの加硫を行うことにより、エア残りに起因する外観不良を効果的に抑制しながら、空気入りタイヤを製造することができる。
本発明において、表面粗さはJIS-B0601:2013に規定される最大高さ粗さRzである。また、評価の方式及び手順並びに測定器の特性は、JIS-B0633:2001及びJIS-B0651:2001の規定に準拠する。
本発明で使用されるタイヤ製造用加硫金型の一例を示す子午線断面図である。 図1のタイヤ製造用加硫金型の成形面の一部(空気入りタイヤのサイドウォール部の標章を成形する部分)を示す平面図である。 図1のタイヤ製造用加硫金型の成形面の一部(空気入りタイヤのトレッド部のブロックを成形する部分)を示す平面図である。 図3における粗面領域の具体例を示す平面図である。 図3における粗面領域の他の具体例を示す平面図である。 図1のタイヤ製造用加硫金型の成形面の一部(空気入りタイヤのトレッド部のブロックを成形する部分)を示す平面図である。 図6における粗面領域の具体例を示す平面図である。 図6における粗面領域の他の具体例を示す平面図である。
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。図1は本発明で使用されるタイヤ製造用加硫金型Mを示し、図2はその成形面の一部(空気入りタイヤのサイドウォール部の標章を成形する部分)を示し、図3はその成形面の一部(空気入りタイヤのトレッド部のブロックを成形する部分)を示すものである。
図1に示すように、このタイヤ製造用加硫金型Mは、空気入りタイヤTのサイドウォール部を成形する一対のサイドプレート1,1と、空気入りタイヤTのビード部を成形する一対のビードリング2,2と、空気入りタイヤTのトレッド部を成形する複数のセクター3から構成されている。これら一対のサイドプレート1,1と一対のビードリング2,2と複数のセクター3とが組み合わされた状態で、タイヤ製造用加硫金型Mは、空気入りタイヤTのトレッド部、サイドウォール部及びビード部の外表面を成形するための成形面Sを形成するようになっている。
タイヤ製造用加硫金型Mの成形面Sには、空気入りタイヤのサイドウォール部の外表面から突出する標章を成形するための凹部11が形成されている(図2参照)。標章は、記号、マーク、文字、図形等を含み、それらによって構成されるブランド名や商標を包含するものである。また、タイヤ製造用加硫金型Mの成形面Sには、空気入りタイヤのトレッド部においてタイヤ周方向に延びる周方向溝を成形するための周方向溝成形骨31やタイヤ幅方向に延びるラグ溝を成形するためのラグ溝成形骨32が配設されている。これにより、周方向溝成形骨31及びラグ溝成形骨32により区画された部位には、空気入りタイヤのトレッド部のブロックを成形するためのブロック成形部33が形成されている(図3参照)。
上述したタイヤ製造用加硫金型Mにおいて、図2に示すように、成形面Sにおける標章の角部に対応する部位(即ち、凹部11の角部)には粗面領域Xが形成されている。また、図3に示すように、成形面Sにおけるブロックの角部に対応する部位(即ち、ブロック成形部33の角部)には粗面領域Xが形成されている。粗面領域Xは、標章の角部に対応する部位及びブロックの角部に対応する部位の少なくとも一方に設けることができる。成形面Sにおける粗面領域X以外の部位は平滑領域Yである。粗面領域Xの表面粗さ(最大高さ粗さRz)は平滑領域の表面粗さ(最大高さ粗さRz)の1.2倍以上、好ましくは1.2倍~5.0倍となるように設定されている。
上述したタイヤ製造用加硫金型Mでは、成形面Sにおける標章の角部に対応する部位に粗面領域Xが形成され、或いは、成形面Sにおけるブロックの角部に対応する部位に粗面領域Xが形成され、粗面領域X以外の部位に平滑領域Yが形成されると共に、粗面領域Xの表面粗さが平滑領域Yの表面粗さの1.2倍以上となっているので、外観不良が発生し易い部分(トレッド部のブロックの角部やサイドウォール部の標章の角部)におけるゴム流れを良化させ、エアの滞留を効果的に抑制することができる。また、表面粗さを局所的に粗くした粗面領域Xでは未加硫ゴムと加硫金型Mの成形面Sとの間に隙間が形成され、その隙間をエアが通り易くなる。これにより、ベントホール等のエア排出部の設置数を最小限にしながら、エア残りに起因する外観不良を効果的に抑制することができる。
上記タイヤ製造用加硫金型Mにおいて、粗面領域Xはブロック又は標章の角部の頂点Aから少なくとも半径3mmの範囲に存在していると良い。これにより、エアの滞留を効果的に抑制することができる。ここで、粗面領域Xがブロック又は標章の角部の頂点Aから少なくとも半径3mmの範囲に存在していないと、ゴム流れの改善効果が低下する。なお、粗面領域Xはブロック又は標章の角部の全てに設けても良いが、その一部であっても良い。特に、鋭角をなす角部に粗面領域Xを設けることが好ましい。
上記タイヤ製造用加硫金型Mにおいて、粗面領域Xの表面粗さは5μm~25μmの範囲にあると良い。これにより、エアの滞留を効果的に抑制すると共に加硫後の製品タイヤの見た目が悪化するのを回避することができる。ここで、粗面領域Xの表面粗さが5μm未満であるとゴム流れの改善効果が低下し、25μm超であると加硫後の製品タイヤの外表面が粗くなり、見た目が悪くなる。なお、平角領域Yの表面粗さは10μm以下であれば良い。
粗面領域Xは全域にわたって一様の表面粗さを有していても良いが、表面粗さに勾配を持たせることも可能である。図4において、粗面領域Xは角部の頂点Aから遠い箇所から角部の頂点Aに向かうに連れて表面粗さが段階的に徐々に粗くなる複数の区域X1,X2,X3を有している。この場合、円滑なゴム流れを生じさせることができる。特に、複数の区域X1~X3の表面粗さの変化割合が角部の頂点Aに近づくに連れて大きくなっていると良い。つまり、隣り合う領域間の表面粗さの変化割合が角部の頂点Aに近づくに連れて大きくなっていると良い。より具体的には、例えば、平滑領域Yの表面粗さをRz(a)とし、粗面領域Xの区域X1の表面粗さをRz(b)とし、粗面領域Xの区域X2の表面粗さをRz(c)とし、粗面領域Xの区域X3の表面粗さをRz(d)としたとき、Rz(b)/Rz(a)<Rz(c)/Rz(b)<Rz(d)/Rz(c)のような関係を満足することが望ましい。このように角部の頂点Aに近づくほど表面粗さが加速度的に増加するような配置とすることにより、更に円滑なゴム流れを生じさせることができる。但し、複数の区域X1~X3の隣り合う区域の表面粗さの変化割合は2倍未満であると良い。つまり、Rz(b)/Rz(a)<Rz(c)/Rz(b)<Rz(d)/Rz(c)<2.0であると良い。複数の区域X1~X3の表面粗さの変化割合が過大であると、区域X1~X3の境界において円滑なゴム流れが阻害される恐れがある。
図5において、粗面領域Xは角部の頂点Aから遠い箇所から角部の頂点Aに向かうに連れて表面粗さが連続的に徐々に粗くなっている。この場合も、円滑なゴム流れを生じさせることができる。
図6は図1のタイヤ製造用加硫金型の成形面の一部(空気入りタイヤのトレッド部のブロックを成形する部分)を示すものである。図6に示すように、タイヤ製造用加硫金型Mの成形面Sには、空気入りタイヤのトレッド部においてタイヤ周方向に延びる周方向溝を成形するための周方向溝成形骨31やタイヤ幅方向に延びるラグ溝を成形するためのラグ溝成形骨32が配設されており、これら周方向溝成形骨31及びラグ溝成形骨32により区画された部位には、空気入りタイヤのトレッド部のブロックを成形するためのブロック成形部33が形成されている。ブロック成形部33には成形面Sに開口する複数のエア排出部34(ベントホール、スプリングベント、スリットベント等)が形成されている。エア排出部34は加硫金型Mの外部に連通しており、加硫金型Mと未加硫タイヤとの間に存在するエアを加硫金型Mの外部に排出するための通路である。
上述したタイヤ製造用加硫金型Mにおいて、図6に示すように、成形面Sにおけるエア排出部34の周辺には粗面領域Xが形成されている。粗面領域Xは、エア排出部34の周辺のみならず、前述した標章の角部に対応する部位及びブロックの角部に対応する部位の少なくとも一方にも形成することができる。成形面Sにおける粗面領域X以外の部位は平滑領域Yである。粗面領域Xの表面粗さ(最大高さ粗さRz)は平滑領域の表面粗さ(最大高さ粗さRz)の1.2倍以上、好ましくは1.2倍~5.0倍となるように設定されている。
上述したタイヤ製造用加硫金型Mでは、成形面Sにおけるエア排出部34の周辺に粗面領域Xが形成され、粗面領域X以外の部位に平滑領域Yが形成されると共に、粗面領域Xの表面粗さが平滑領域Yの表面粗さの1.2倍以上となっているので、エア排出部34の周辺におけるゴム流れを良化させ、エア排出部34からのエアの排出を促進することができる。また、表面粗さを局所的に粗くした粗面領域Xでは未加硫ゴムと加硫金型Mの成形面Sとの間に隙間が形成され、その隙間をエアが通り易くなる。これにより、ベントホール等のエア排出部34の設置数を最小限にしながら、エア残りに起因する外観不良を効果的に抑制することができる。
上記タイヤ製造用加硫金型Mにおいて、粗面領域Xはエア排出部34の中心Cから少なくとも半径3mmの範囲に存在していると良い。これにより、エアの滞留を効果的に抑制することができる。ここで、粗面領域Xがエア排出部34の中心Cから少なくとも半径3mmの範囲に存在していないと、ゴム流れの改善効果が低下する。
上記タイヤ製造用加硫金型Mにおいて、粗面領域Xの表面粗さは5μm~25μmの範囲にあると良い。これにより、エアの滞留を効果的に抑制すると共に加硫後の製品タイヤの見た目が悪化するのを回避することができる。ここで、粗面領域Xの表面粗さが5μm未満であるとゴム流れの改善効果が低下し、25μm超であると加硫後の製品タイヤの外表面が粗くなり、見た目が悪くなる。
粗面領域Xは全域にわたって一様の表面粗さを有していても良いが、表面粗さに勾配を持たせることも可能である。図7において、粗面領域Xはエア排出部34から遠い箇所からエア排出部34に向かうに連れて表面粗さが段階的に徐々に粗くなる複数の区域X1,X2,X3を有している。この場合、円滑なゴム流れを生じさせることができる。特に、複数の区域X1~X3の表面粗さの変化割合がエア排出部34に近づくに連れて大きくなっていると良い。より具体的には、例えば、平滑領域Yの表面粗さをRz(a)とし、粗面領域Xの区域X1の表面粗さをRz(b)とし、粗面領域Xの区域X2の表面粗さをRz(c)とし、粗面領域Xの区域X3の表面粗さをRz(d)としたとき、Rz(b)/Rz(a)<Rz(c)/Rz(b)<Rz(d)/Rz(c)のような関係を満足することが望ましい。このようにエア排出部34に近づくほど表面粗さが加速度的に増加するような配置とすることにより、更に円滑なゴム流れを生じさせることができる。但し、複数の区域X1~X3の隣り合う区域の表面粗さの変化割合が2倍未満であると良い。つまり、Rz(b)/Rz(a)<Rz(c)/Rz(b)<Rz(d)/Rz(c)<2.0であると良い。複数の区域X1~X3の表面粗さの変化割合が過大であると、区域X1~X3の境界において円滑なゴム流れが阻害される恐れがある。
図8において、粗面領域Xはエア排出部34から遠い箇所からエア排出部34に向かうに連れて表面粗さが連続的に徐々に粗くなっている。この場合も、円滑なゴム流れを生じさせることができる。
上述のように構成されるタイヤ製造用加硫金型Mを用いて空気入りタイヤTを製造する場合、加硫金型Mに未加硫状態の空気入りタイヤTを投入する。次いで、空気入りタイヤTを内側からブラダーBにより加圧した状態で、空気入りタイヤTをその内外から加熱することにより、空気入りタイヤTの加硫を行う。その際、タイヤ製造用加硫金型Mの成形面Sの適所に粗面領域Xが配設されているので、エア残りに起因する外観不良を効果的に抑制しながら、空気入りタイヤTを製造することができる。
上述した実施形態では、セクショナルタイプのタイヤ製造用加硫金型の例を示したが、本発明は2分割タイプを含む各種のタイヤ製造用加硫金型に適用可能である。
タイヤサイズ195/65R15の空気入りタイヤを製造するにあたって、タイヤ製造用加硫金型の構造を種々異ならせた(従来例1,2及び実施例1~5)。即ち、従来例1,2及び実施例1~5においては、トレッド部に形成される各ブロックの角部の頂点を中心とする半径5mmの円及び半径3mmの円を仮定し、ブロックにおける半径5mmの円の外側を領域aとし、ブロックにおける半径5mmの円と半径3mmの円との間を領域bとし、ブロックにおける半径3mmの円の内側を領域cとしたとき、タイヤ製造用加硫金型の成形面の領域a~cに対応する部位の表面粗さRz(a)~Rz(c)を表1のように設定した。
これら従来例1,2及び実施例1~5のタイヤ製造用加硫金型を用いて空気入りタイヤを加硫し、以下の評価方法により、外観不良の発生率及び見た目の奇麗さを評価し、その結果を表1に併せて示した。
外観不良の発生率:
各加硫金型によりそれぞれ200本のタイヤを加硫し、得られたタイヤのトレッド部にエア残りに起因する外観不良が発生した本数を計測し、外観不良の発生率を求めた。
見た目の奇麗さ:
得られたタイヤのトレッド部の見た目の奇麗さについて、10人のパネラーによる評価を行い、その評価点の合計値を求めた。評価結果は従来例1を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど見た目が奇麗であることを意味する。
Figure 0007415128000001
表1から判るように、実施例1~5では、従来例1との対比において、外観不良の発生率が大幅に低減されていた。従来例2では、外観不良を抑制する効果が得られるものの、得られたタイヤの見た目の奇麗さが損なわれていた。
次に、タイヤサイズ195/65R15の空気入りタイヤを製造するにあたって、タイヤ製造用加硫金型の構造を種々異ならせた(従来例11,12及び実施例11~15)。即ち、従来例11,12及び実施例11~15においては、トレッド部の各ブロックに対応する位置に配設されたエア排出部(ベントホール)の中心位置を中心とする半径5mmの円及び半径3mmの円を仮定し、ブロックにおける半径5mmの円の外側を領域aとし、ブロックにおける半径5mmの円と半径3mmの円との間を領域bとし、ブロックにおける半径3mmの円の内側を領域cとしたとき、タイヤ製造用加硫金型の成形面の領域a~cに対応する部位の表面粗さRz(a)~Rz(c)を表2のように設定した。
これら従来例11,12及び実施例11~15のタイヤ製造用加硫金型を用いて空気入りタイヤを加硫し、上述の評価方法により、外観不良の発生率及び見た目の奇麗さを評価し、その結果を表2に併せて示した。但し、見た目の奇麗さは従来例11を100とする指数にて示した。
Figure 0007415128000002
表2から判るように、実施例11~15では、従来例11との対比において、外観不良の発生率が大幅に低減されていた。従来例12では、外観不良を抑制する効果が得られるものの、得られたタイヤの見た目の奇麗さが損なわれていた。
1 サイドプレート
2 ビードリング
3 セクター
11 凹部
31 周方向溝成形骨
32 ラグ溝成形骨
33 ブロック成形部
34 エア排出部
M タイヤ製造用加硫金型
S 成形面
T 空気入りタイヤ
X 粗面領域
Y 平滑領域

Claims (11)

  1. 空気入りタイヤを製造するための加硫金型において、前記空気入りタイヤのトレッド部、サイドウォール部及びビード部の外表面を成形するための成形面を有し、前記成形面は前記トレッド部のブロックの角部又は前記サイドウォール部の標章の角部に対応する部位に配置された粗面領域と該粗面領域以外の部位に配置された平滑領域とを含み、前記粗面領域の表面粗さが前記平滑領域の表面粗さの1.2倍以上であり、前記粗面領域は前記角部の頂点から少なくとも半径3mmの範囲に存在し、前記粗面領域の表面粗さが5μm~25μmの範囲にあることを特徴とするタイヤ製造用加硫金型。
  2. 前記粗面領域は前記角部の頂点から遠い箇所から前記角部の頂点に向かうに連れて表面粗さが段階的に徐々に粗くなる複数の区域を有することを特徴とする請求項に記載のタイヤ製造用加硫金型。
  3. 前記複数の区域の表面粗さの変化割合が前記角部の頂点に近づくに連れて大きくなることを特徴とする請求項に記載のタイヤ製造用加硫金型。
  4. 前記複数の区域の隣り合う区域の表面粗さの変化割合が2倍未満であることを特徴とする請求項又はに記載のタイヤ製造用加硫金型。
  5. 前記粗面領域は前記角部の頂点から遠い箇所から前記角部の頂点に向かうに連れて表面粗さが連続的に徐々に粗くなることを特徴とする請求項に記載のタイヤ製造用加硫金型。
  6. 空気入りタイヤを製造するための加硫金型において、前記空気入りタイヤのトレッド部、サイドウォール部及びビード部の外表面を成形するための成形面と、前記成形面に配設されたエア排出部とを有し、前記成形面は前記エア排出部と隣接するように該エア排出部の周辺に配置された粗面領域と該粗面領域よりも前記エア排出部から離れた該粗面領域以外の部位に配置された平滑領域とを含み、前記粗面領域の表面粗さが前記平滑領域の表面粗さの1.2倍以上であり、前記粗面領域は前記エア排出部の中心から少なくとも半径3mmの範囲に存在し、前記粗面領域の表面粗さが5μm~25μmの範囲にあることを特徴とするタイヤ製造用加硫金型。
  7. 前記粗面領域は前記エア排出部から遠い箇所から前記エア排出部に向かうに連れて表面粗さが段階的に徐々に粗くなる複数の区域を有することを特徴とする請求項に記載のタイヤ製造用加硫金型。
  8. 前記複数の区域の表面粗さの変化割合が前記エア排出部に近づくに連れて大きくなることを特徴とする請求項に記載のタイヤ製造用加硫金型。
  9. 前記複数の区域の隣り合う区域の表面粗さの変化割合が2倍未満であることを特徴とする請求項又はに記載のタイヤ製造用加硫金型。
  10. 前記粗面領域は前記エア排出部から遠い箇所から前記エア排出部に向かうに連れて表面粗さが連続的に徐々に粗くなることを特徴とする請求項に記載のタイヤ製造用加硫金型。
  11. 請求項1~10のいずれかに記載のタイヤ製造用加硫金型に未加硫状態の空気入りタイヤを投入し、該空気入りタイヤを内側からブラダーにより加圧した状態で該空気入りタイヤの加硫を行うことを特徴とする空気入りタイヤの製造方法。
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JP2009160870A (ja) 2008-01-09 2009-07-23 Bridgestone Corp タイヤ加硫方法および装置
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