JP7412065B2 - 高圧ポンプ - Google Patents

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Description

本発明は、燃料を加圧して圧送する高圧ポンプに関する。
従来、燃料を加圧して圧送する高圧ポンプとして、インレットバルブ及びアウトレットバルブを備え、インレットバルブが燃料溜まり室を介して低圧の燃料を加圧室に吸入させ、アウトレットバルブが燃料溜まり室を介して加圧室内の高圧の燃料を吐出させる高圧ポンプが知られている。
例えば、特許文献1には、インレットバルブ及びアウトレットバルブと、インレットバルブを摺動自在に保持するインレットバルブボディと、アウトレットバルブを摺動自在に保持するアウトレットバルブボディと、インレットバルブボディ及びアウトレットバルブボディに挟まれて形成され、加圧室に連通する燃料溜まり室と、軸線方向に進退動して加圧室の容積を可変とするプランジャとを備えた高圧ポンプが開示されている。
特許文献1に示す高圧ポンプでは、加圧室に対してプランジャが後退して加圧室の容積が拡大する際に、インレットバルブが開弁する一方アウトレットバルブが閉弁し、インレットバルブボディに形成された吸入通路及び燃料溜まり室を介して、低圧の燃料が加圧室に吸入される。また、加圧室に対してプランジャが前進して加圧室の容積が減少する際に、インレットバルブが閉弁する一方アウトレットバルブが開弁し、燃料溜まり室を介して、加圧室内の高圧の燃料が吐出される。
国際公開第2012/020466号
ここで、インレットバルブが閉弁する際にインレットバルブがインレットバルブボディに設けられた弁座に高速で着座する。高圧ポンプの生成する圧力が大きいほど当該着座時の衝撃力は大きくなるので、今後の高圧ポンプに対するさらなる高圧化の要求に伴い、当該衝撃力に対するインレットバルブの耐久性の向上が課題となっている。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、燃料の高圧化に対応したインレットバルブを有する高圧ポンプを提供することを目的とする。
本発明によれば、加圧室への燃料の吸入時に開弁し、前記加圧室からの燃料の吐出時に閉弁するインレットバルブと、前記インレットバルブを摺動自在に保持するインレットバルブボディと、前記インレットバルブの閉弁時の衝撃力を緩和するインレットバルブダンパと、を備え、前記インレットバルブダンパは、前記インレットバルブに設けられた軸方向孔と、一端が前記軸方向孔に挿入さるとともに他端が前記インレットバルブボディで支持されるガイド軸と、前記軸方向孔に開口するオリフィス孔とを有することを特徴とする高圧ポンプが提供される。
前記オリフィス孔が前記インレットバルブに設けられたインレット燃料流路と連通していることが好ましい。
前記インレットバルブの開弁時に前記インレット燃料流路を燃料が通過することが好ましい。
前記インレットバルブの閉弁時に、前記ガイド軸の側面が前記オリフィス孔の開口部の少なくとも一部に重なる位置となることが好ましい。
前記軸方向孔は、前記インレットバルブの軸方向に穿孔された有底孔であることが好ましい。
前記ガイド軸の前記他端は、前記インレットバルブボディに設けられたガイド軸孔に挿入されていることが好ましい。
前記軸方向孔の底部と前記軸方向孔に挿入された前記ガイド軸の端部の間にガイド軸ばねが設けられていることが好ましい。
前記オリフィス孔が複数設けられているとともに、前記軸方向孔の異なる軸方向の位置に開口していることが好ましい。
前記オリフィス孔が複数設けられているとともに、前記軸方向孔の異なる径方向の位置に開口していることが好ましい。
以上説明したように本発明によれば、燃料の高圧化に対応したインレットバルブを有する高圧ポンプを提供することを目的とする。
本実施形態に係る高圧ポンプの構成例を説明するための図である。 本実施形態に係るアウトレットバルブの正面図である。 図2のアウトレットバルブの底面図である。 本実施形態に係るインレットバルブの正面図である。 図4のインレットバルブの底面図である。 本実施形態に係るインレットバルブの断面図である。 図6中におけるVy部での断面図である。 本実施形態に係るインレットバルブが閉弁した際のインレットバルブ周囲の断面図である。 本実施形態に係るインレットバルブが開弁した際のインレットバルブ周囲の断面図である。 本実施形態の変形例に係るインレットバルブの断面図である。 図6中におけるVy1部での断面図である。 図6中におけるVy2部での断面図である。 本実施形態の変形例に係るインレットバルブが開弁した際のインレットバルブ周囲の断面図である。 本実施形態の変形例に係るインレットバルブが図13の状態から閉弁位置に向かう途中のインレットバルブ周囲の断面図である。 本実施形態の変形例に係るインレットバルブが閉弁した際のインレットバルブダンパ周囲の断面図である。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。ただし、以下の実施の形態は、本発明の一態様を示すものであって本発明を限定するものではなく、本発明の範囲内で任意に変更することが可能である。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(高圧ポンプの基本構成例) 図1は、本実施形態に係る高圧ポンプ100の構成の一例を示す部分断面図であって、IOバルブ(インレット/アウトレットバルブ)が備えられた領域の周囲をプランジャ12の軸線Axに沿って切断した部分断面図を示している。高圧ポンプ100は、例えば、内燃機関の気筒内に燃料を噴射する蓄圧式燃料噴射装置の燃料供給ポンプとして用いられる。ただし、高圧ポンプ100の用途はこの例に限定されるものではない。
高圧ポンプ100において、ポンプハウジング1のシリンダ3には、上方側(図1の上側)からプランジャバレル10が挿入されて固定されている。プランジャバレル10には、プランジャ12の軸線Axと同軸にプランジャ摺動孔14が設けられるとともに、プランジャ摺動孔14に連通するようにしてバルブ収容孔16が設けられている。
プランジャ摺動孔14にはプランジャ12が軸線方向Axに摺動自在に収容されている。バルブ収容孔16にはIOバルブが嵌挿され、バルブホルダ20によって下方側へ押し付けられて固定されている。バルブホルダ20には、IOバルブ側に開口を有する収納穴22が形成されている。また、バルブホルダ20には、IOバルブと反対側の端部で開口し、かつ、収納穴22に連通する吐出通路24が設けられている。収納穴22及び吐出通路24は、プランジャ12の軸線Axと同軸に形成されている。
収納穴22の内部には、アウトレットばね受け26が嵌挿されている。アウトレットばね受け26は、その中央部分に吐出通路24とほぼ同一径を有して吐出通路24に通じる連通孔28が穿設されている。アウトレットばね受け26とアウトレットバルブ40とが当接するシート部にアウトレットばね30が弾装されており、アウトレットバルブ40は、アウトレットばね30により、アウトレットバルブボディ50の座面51へ常時付勢されるようになっている。
IOバルブは、インレットバルブ70と、アウトレットバルブ40と、インレットバルブホディ90と、アウトレットバルブホディ50と、インレットばね60とを有する。
インレットバルブボディ90とアウトレットバルブボディ50とは相互に当接して一体化されている。インレットバルブボディ90には、インレットバルブ70が摺動自在に挿入されるインレット挿入孔92が軸線Axと同軸に形成されている。インレット挿入孔92の下方側には、インレット挿入孔92に直交するようにしてインレット挿入孔92と連通する吸入通路95が形成されている。吸入通路95は、インレットバルブボディ90の側面まで形成されて側面に開口している。この吸入通路95は、プランジャバレル10に形成された供給通路17に連通している。また、インレット挿入孔92の下方の吸入通路95内で、インレット挿入孔92に対向する箇所にはガイド軸孔96が軸線Axと同軸に形成されており、後述するガイド軸84が挿入される(図8等参照)。
また、インレットバルブボディ90には、インレット挿入孔92の近傍にインレット挿入孔92と並行して吸入吐出兼用連通路94が穿設されており、その両端は、インレットバルブボディ90の軸線方向上下の面にそれぞれ開口している。この吸入吐出兼用連通路94の一端は、インレットバルブボディ90とアウトレットバルブボディ50とにより挟まれて画成された燃料溜まり室56に開口する一方、他端側は加圧室2に連通している。
アウトレットバルブボディ50には、インレットバルブボディ90との当接面のほぼ中央部分に、軸線Axの方向における断面形状がほぼ台形状の凹部54が形成されている。かかる凹部54は、インレットバルブボディ90に向けて拡径するテーパ形状を有し、インレットバルブボディ90とアウトレットバルブボディ50とにより挟まれて燃料溜まり室56を形成する。この燃料溜まり室56には吸入吐出兼用連通路94の一端が開口しており、燃料溜まり室56のほぼ中央には、インレットバルブ70が配置されている。
この燃料溜まり室56に通じるようにして、アウトレットバルブボディ50にはアウトレット挿入孔52が穿設されている。アウトレット挿入孔52にはアウトレットバルブ40が摺動自在に挿入されている。また、アウトレット挿入孔52にはインレットばね60が収容されている。インレットばね60は、インレットバルブ70とアウトレットバルブ40との間に弾装され、インレットバルブ70が、インレットバルブボディ90の座面91へ常時付勢されるようになっている。
かかる高圧ポンプ100において、図示しないカムの回転に伴ってプランジャ12が下方に引き下げられると、加圧室2に発生する負圧によってインレットバルブ70が開弁する一方、アウトレットバルブ40が閉弁する。これにより、吸入通路95、インレットバルブ70、インレット挿入孔92、燃料溜まり室56及び吸入吐出兼用連通路94を介して、低圧の燃料が加圧室2内に吸入される。
また、カムの回転によってプランジャ12が押し上げられて加圧室2内の燃料の圧力が上昇すると、インレットバルブ70が閉弁する一方、アウトレットバルブ40が開弁する。これにより、吸入吐出兼用連通路94、燃料溜まり室56、アウトレット挿入孔52及びアウトレットバルブ40を介して、高圧の燃料が吐出される。
図2、図3にアウトレットバルブ40の詳細を示す。図2は、アウトレットバルブ40の正面図であり、図3は、アウトレットバルブ40の底面図である。アウトレットバルブ40は、アウトレットバルブボディ50のアウトレット挿入孔52の開口周縁の座面にシートされるアウトレットシート面41aを有するアウトレットシート部41と、アウトレットシート部41から軸線方向に延在するアウトレット軸部42と、アウトレット挿入孔52の内周面に摺接するアウトレット摺接面43aを有し、アウトレット軸部42の周囲に周方向に所定の間隔で配置された複数のアウトレット案内羽根部43とを備えている。アウトレット案内羽根部43は、周方向に均等な間隔を有して四箇所に設けられている。隣り合うアウトレット案内羽根部43の間隙はアウトレット燃料流路45となって、開弁時に燃料が通過する。また、アウトレット案内羽根部43のアウトレットシート部41側の軸線方向端部はアウトレットシート部41から離間して設けられ、アウトレット案内羽根部43とアウトレットシート部41との間には間隙が形成されている。
図4、図5にインレットバルブ70の詳細を示す。図4は、インレットバルブ70の正面図であり、図5は、インレットバルブ70の底面図である。インレットバルブ70は、インレットバルブボディ90のインレット挿入孔92の開口周縁の座面にシートされるインレットシート面71aを有するインレットシート部71と、インレットシート部71から軸線方向に延在するインレット軸部72と、インレット挿入孔92の内周面に摺接するインレット摺接面73aを有し、インレット軸部72の周囲に周方向に所定の間隔で配置された複数のインレット案内羽根部73とを備えている。インレット案内羽根部73は、周方向に均等な間隔を有して四箇所に設けられている。隣り合うインレット案内羽根部73の間隙はインレット燃料流路75となって、開弁時に燃料が通過する。また、インレット案内羽根部73のインレットシート部71側の軸線方向端部はインレットシート部71から離間して設けられ、インレット案内羽根部73とインレットシート部71との間には間隙が形成されている。なお、本発明の実施の形態においては、上述したインレット案内羽根部73の下端部がインレットバルブの座面に着座した状態において吸入路95の開口部分の縁付近に位置する程度の長さに形成されたものとなっている。
(インレットバルブダンパ) 図6は、インレットバルブ70の断面図である。尚、図6は図4に示す図を軸中心で45度回転させた位置での断面図となっている。図7は、図6中に記載のVy部での断面図である。インレットバルブ70は下端部から上方に穿孔された軸方向孔76を有している。軸方向孔76はインレットバルブ70の軸中心と同軸に設けられ底部77を有する有底の孔である。軸方向孔76とインレット燃料流路75との間には貫通孔であるオリフィス孔78が軸方向孔に対して垂直方向に穿孔されている。オリフィス孔78は軸方向孔76に比べ十分細い径を有している。例えば、オリフィス孔78の径は0.2~0.4mmであり、軸方向孔76の径の10%~20%の寸法である。尚、本実施例において、オリフィス孔78が軸方向孔76に対して垂直方向に穿孔されているが、垂直以外の角度で穿孔されていてもよい。
図8はインレットバルブ70を高圧ポンプ100に組み込んだ際のインレットバルブ70の周辺の断面図である。軸方向孔76の底部77には圧縮ばねであるガイド軸ばね82が組み込まれ、ガイド軸ばね82に続いてガイド軸84の一端が軸方向孔76に挿入される。ガイド軸84の他端はインレットバルブボディ90に設けられたガイド軸孔96に挿入される。ガイド軸ばね82は底部77とガイド軸84の端部の間にあり、ガイド軸84を常時付勢する。インレットバルブダンパ80は、インレットバルブ70に設けられた軸方向孔76、オリフィス孔78、および軸方向孔76に組み込まれたガイド軸84、ガイド軸ばね82を含む。
図8、図9に基づいてインレットバルブダンパ80の作動および効果を説明する。
図9はプランジャ12が下方に引き下げられ、加圧室2に発生する負圧によってインレットバルブ70が開弁した状態のインレットバルブ70周辺の断面図である。オリフィス孔78の軸方向孔76における開口部78oは、ガイド軸84の上端部よりも上方に位置している。また、ガイド軸84と軸方向孔76の間には径方向隙間が有り、インレットバルブ70の開弁に伴う上昇にしたがって、当該径方向隙間およびオリフィス孔78を通してガイド軸84の上部に燃料が流入する。ガイド軸84と軸方向孔76の間の隙間は、半径方向で0.05~0.2mmの寸法である。
その後、プランジャ12が押し上げられ、加圧室2内
の燃料の圧力が上昇すると、インレットバルブ70は閉弁方向に移動する。インレットバルブの下方への移動に伴い、ガイド軸84と軸方向孔76の間に存在する燃料は、オリフィス孔78またはガイド軸84と軸方向孔76の間の径方向隙間を通過して軸方向孔76の外に流出する。燃料のオリフィス孔78等を通じた流出はいわゆるダンピング効果を生じさせ、インレットバルブダンパ80が無い場合に比べインレットバルブ70はゆっくりとインレットバルブボディ90の方向に移動する。
図8はインレットバルブ70がインレットバルブボディ90に着座した状態を示す。インレットバルブ70の着座時に、ガイド軸の上端部が開口部78oの上端部に達している。このように、インレットバルブ70の着座の直前から着座までの間に燃料の流出断面積が減少することにより、この間のダンピング効果がさらに大きくなり、インレットバルブ70の着座時の衝撃はさらに緩和される。図8の例では、インレットバルブ70の着座時に、ガイド軸の上端部が開口部78oの上端部に達しているが、インレットバルブ70の着座時に、ガイド軸の上端部が開口部78oの途中まで達するように構成されてもよい。これを言いかえると、インレットバルブ70の着座時に、ガイド軸84の側面がオリフィス孔78の軸方向孔76における開口部78oの少なくとも一部と重なる位置となるように構成されてもよい。開口部78oがガイド軸84の側面と重なることにより、インレットバルブ70の着座の直前から着座までの間に燃料の流出断面積が減少し、この間のダンピング効果が大きくなり、インレットバルブ70の着座時の衝撃も緩和される。
本発明の実施形態によれば、インレットバルブダンパ80により、インレットバルブ70の着座時の衝撃が緩和され、燃料のさらなる高圧化にも対応可能な耐久性を有する高圧ポンプ100を提供することができる。
(インレットバルブダンパの変形例) 図6~図9に示すオリフィス孔78を有するインレットバルブ70に対して、図10~図15は複数のオリフィス孔78a、78b、78cを有するインレットバルブ70´およびインレットバルブダンパ80´について説明するものである。インレットバルブダンパ80´は、インレットバルブ70´に設けられた軸方向孔76、オリフィス孔78a、78b、78c、軸方向孔76に組み込まれたガイド軸84、およびガイド軸ばね82を含む。
図10は、インレットバルブ70´の軸を含む面における断面図である。図11は、図10中に記載のVy1部での断面図であり、オリフィス78aとオリフィス78bが互いに径方向の逆側に位置するように設けられている。図12は、図10中に記載のVy2部での断面図であり、オリフィス78cが設けられている。
図13はプランジャ12が下方に引き下げられ、加圧室2に発生する負圧によってインレットバルブ70´が開弁した状態のインレットバルブ70´周辺の断面図である。インレットバルブ70´の開弁に伴う上昇にしたがって、ガイド軸84と軸方向孔76の間の径方向隙間およびオリフィス孔78a、78b、78cを通してガイド軸84の上部に燃料が流入している。オリフィス孔78a、78b、78cのそれぞれの開口部78ao、78bo、78coはともにガイド軸84の上端部よりも上方にある。
図14はプランジャ12が押し上げられ、加圧室2内の燃料の圧力が上昇し、インレットバルブ70´が閉弁方向に移動する途中の図である。下方のオリフィス孔78cの軸方向孔における開口部78coは、ガイド軸の側面と重なる位置となっているが、上方のオリフィス孔78a、78bの軸方向孔におけるそれぞれの開口部78ao、78boは、ガイド軸の上端部よりも上方にある。図14の位置においては図13の位置に比べ、ガイド軸上方の燃料の流出断面積が減少することにより、ダンピング効果が大きくなる。
図15はインレットバルブ70´がインレットバルブボディ90に着座した状態を示す。インレットバルブ70´の着座時に、ガイド軸の上端部が開口部78ao、78boの上端部に達している。このように、インレットバルブ70´の着座の直前から着座までの間に燃料の流出断面積が減少することにより、この間のダンピング効果がさらに大きくなり、インレットバルブ70´の着座時の衝撃はさらに緩和される。図15の例では、インレットバルブ70´の着座時に、ガイド軸の上端部が開口部78ao、78boの上端部に達しているが、インレットバルブ70の着座時に、ガイド軸の上端部が開口部78ao、78boの途中まで達するように構成されてもよい。これを言いかえると、インレットバルブ70´の着座時に、ガイド軸84の側面がオリフィス孔78a、78bの軸方向孔76における開口部78ao、78boの少なくとも一部と重なる位置となるように構成されてもよい。開口部78ao、78boがガイド軸84の側面と重なることにより、インレットバルブ70´の着座の直前から着座までの間に燃料の流出断面積が減少し、この間のダンピング効果が大きくなり、インレットバルブ70´の着座時の衝撃も緩和される。
変形例のインレットバルブダンパ80´を用いたインレットバルブ70´は、インレットバルブダンパ80を用いたインレットバルブ70に比べ、下降当初のガイド軸上方の燃料の流出断面積が大きいので、その移動が速くなる。一方、着座が近くなるとともにダンピング効果が大きくなり、着座時の衝撃が緩和される。
このように、本発明の変形例によれば、インレットバルブダンパ80´により、インレットバルブ70´の着座時の衝撃が緩和され、燃料のさらなる高圧化にも対応可能な耐久性を有する高圧ポンプを提供することができるとともに、インレットバルブ70´の下降当初の移動速度を速くし、インレットバルブ70´の開弁から閉弁までの時間を短くし、燃料の圧縮効率の高い高圧ポンプを提供することができる。
図10~図15で説明するインレットダンパ80´においては、Vy1部の位置において二つのオリフィス孔78a、78bを、Vy2部の位置において一つのオリフィス孔78c、を設けていたが、これに限られるものではない。例えばVy1部の位置において、三つ以上のオリフィス孔を設け、または、Vy2部の位置において二つ以上のオリフィス孔を設けてもよい。また、オリフィス孔の相互間の位置関係も図10~図12に限られるものではない。さらに、Vy1部、Vy2部の位置に加え、Vy1部、Vy2部と異なる別の軸方向位置にさらなるオリフィス孔を設けてもよい。また、これらのオリフィス孔が軸方向孔76に対して垂直以外の角度で穿孔されていてもよい。
(蓄圧式燃料噴射装置) 本実施形態に係る高圧ポンプ100が備えられる蓄圧式燃料噴射装置について簡単に説明する。
蓄圧式燃料噴射装置は、燃料タンク、低圧フィードポンプ、高圧ポンプ100、コモンレール及び複数のインジェクタ等を主要な構成要素として備えている。高圧ポンプ100は、低圧フィードポンプによって燃料タンクから吸い上げられて供給される燃料を加圧してコモンレールへ圧送する。
高圧ポンプ100には、カム及びタペットを介してエンジンの駆動力によって上下動されるプランジャ12が備えられる。このプランジャ12の上下動によって容積が可変する加圧室2には、IOバルブを介して燃料が流入するとともに、加圧された燃料がIOバルブを介してコモンレールに圧送される。高圧ポンプ100には、低圧フィードポンプから供給される燃料の流量を制御するための比例制御弁が備えられている。
コモンレールは、高圧ポンプ100によって圧送される高圧の燃料を蓄積するとともに、複数のインジェクタに対して、均等な圧力で燃料を供給する。コモンレールに接続されたそれぞれのインジェクタは、通電制御によって開閉の制御が行われ、コモンレールから圧送される燃料をエンジンの気筒内に噴射する。コモンレールにはレール圧センサが設けられている。このレール圧センサのセンサ値はレール圧制御に用いられる。また、コモンレールには、コモンレールから低圧側に排出する燃料の流量を調節するための比例制御弁が備えられている。
高圧ポンプ100の加圧室2に吸入させる燃料の流量を制御する比例制御弁、及び、コモンレールから低圧側に排出する燃料の流量を制御する比例制御弁のうちの少なくとも一方を制御することによって、コモンレール内の圧力の制御が可能になっている。
蓄圧式燃料噴射装置の高圧ポンプ100において、インレットバルブダンパ80を用いたインレットバルブ70が設けられている。インレットバルブダンパ80によりインレットバルブ70の着座時の衝撃が緩和され、燃料のさらなる高圧化にも対応可能な耐久性を有する高圧ポンプ100を提供することができる。 また、蓄圧式燃料噴射装置の高圧ポンプ100において、インレットバルブダンパ80´を用いたインレットバルブ70´が設けられている。インレットバルブダンパ80´により、燃料のさらなる高圧化にも対応可能な耐久性を有するとともに、燃料の圧縮効率の高い高圧ポンプ100を提供することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1:ポンプハウジング、2:加圧室、3:シリンダ、10:プランジャバレル、12:プランジャ、14:プランジャ摺動孔、16:バルブ収容孔、20:バルブホルダ、22:収容穴、24:吐出通路、26:アウトレットばね受け、30:アウトレットばね、40アウトレットバルブ、41:アウトレットシート部、41a:アウトレットシート面、42:アウトレット軸部、43:アウトレット案内羽根部、43a:アウトレット摺接面、45:アウトレット燃料流路、50:アウトレットバルブボディ、51:座面、52:アウトレット挿入孔、54:凹部、56:燃料溜まり室、60:インレットばね、70 70´:インレットバルブ、71:インレットシート部、71a:インレットシート面、72:インレット軸部、73:インレット案内羽根部、73a:インレット摺接面、75:インレット燃料流路、76:軸方向孔、77:底部、78 78a 78b 78c:オリフィス孔、78o 78ao 78bo 78co:開口部、80 80´:インレットバルブダンパ、82:ガイド軸ばね、84:ガイド軸、90:インレットバルブボディ、91:座面、92:インレット挿入孔、94:吸入吐出兼用連通路、95:吸入通路、96:ガイド軸孔、100:高圧ポンプ

Claims (8)

  1. 加圧室(2)への燃料の吸入時に開弁し、前記加圧室(2)からの燃料の吐出時に閉弁するインレットバルブ(70)と、前記インレットバルブ(70)を摺動自在に保持するインレットバルブボディ(90)と、前記インレットバルブ(70)の閉弁時の衝撃力を緩和するインレットバルブダンパ(80)と、を備え、
    前記インレットバルブダンパ(80)は、前記インレットバルブ(70)に設けられた軸方向孔(76)と、一端が前記軸方向孔(76)に挿入されるとともに他端が前記インレットバルブボディ(90)で支持されるガイド軸(84)と、前記軸方向孔(76)に開口するオリフィス孔(78)とを有し、
    前記オリフィス孔(78)が前記インレットバルブ(70)に設けられたインレット燃料流路(75)と連通している高圧ポンプ。
  2. 前記軸方向孔(76)は、前記インレットバルブ(70)の軸方向に穿孔された有底孔であることを特徴とする請求項1に記載の高圧ポンプ。
  3. 前記ガイド軸(84)の前記他端は、前記インレットバルブボディ(90)に設けられたガイド軸孔(96)に挿入されている請求項1または2に記載の高圧ポンプ。
  4. 前記軸方向孔(76)の底部と前記軸方向孔(76)に挿入された前記ガイド軸(84)の端部の間にガイド軸ばね(82)が設けられている請求項1から3のいずれか一項に記載の高圧ポンプ。
  5. 前記インレットバルブ(70)の開弁時に前記インレット燃料流路(75)を燃料が通過する請求項に記載の高圧ポンプ。
  6. 前記インレットバルブ(70)の閉弁時に、前記ガイド軸(84)の側面が前記オリフィス孔(78)の開口部の少なくとも一部に重なる位置となる請求項1からのいずれか一項に記載の高圧ポンプ。
  7. 前記オリフィス孔(78)が複数設けられているとともに、前記軸方向孔(76)の異なる軸方向の位置に開口している請求項1からのいずれか一項に記載の高圧ポンプ。
  8. 前記オリフィス孔(78)が複数設けられているとともに、前記軸方向孔(76)の異なる径方向の位置に開口している請求項1からのいずれか一項に記載の高圧ポンプ。
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