JP7409107B2 - 熱交換用シート - Google Patents

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Description

本発明は、熱交換素子用シートに関する。
熱交換器は、住宅・建築物の換気設備の省エネルギー部材として注目されている。熱交換器は、室内と室外からの空気流路、熱交換素子、送風機からなる。この熱交換素子内にて、室内から室外へ排気される空気の「温度」と「湿度」を、室外から室内へ供給される空気に移行させ、室内に戻す構造となっている。熱交換素子の構成は、ライナーシートとコルゲートシートの2種類の熱交換素子用シートから形成される。その中でもライナーシートは、熱交換素子の温度交換効率、湿度交換効率、有効換気量率を高めるために熱伝達性、透湿度、気体遮蔽性が求められており、その性能を高める検討が行われている。
ここで、熱交換素子用シートとしては、親水性繊維のパルプ等を主体とする紙に無機塩などの吸湿剤を付与したもの(特許文献1参照)や、多孔性フィルムの片面に、気体遮蔽性を有し水蒸気を透過させ得る親水性樹脂膜を形成したもの(特許文献2参照)が知られている。そして、特許文献2には、熱交換素子用シートが備える親水性樹脂膜が含有するポリビニルピロリドンは架橋したものであり、このことで、この親水性樹脂膜に含まれるポリビニルピロリドンが親水性樹脂膜に付着した結露水等に溶け出ることが抑制されるので、この親水性樹脂膜の耐水性が向上し、結果として、この熱交換素子用シートの耐水性も向上することが開示されている。
特開2008-14623号公報 特開2017-020779号公報
熱交換器の普及に伴い、寒冷地における浴室や温水プール、自動車等に用いられる熱交換器に対する要求が強くなっており、特許文献1に開示された熱交換素子用シートでは、結露や結氷により、寸法が変化し、また、無機塩が結露水に溶け出し熱交換素子用シートの透湿度が低下するという課題がある。
また、特許文献2に開示された熱交換素子用シートでは、特許文献1に開示された熱交換素子用シートに見られる上記の課題は見られない。また、上記のとおり、この熱交換素子用シートが備える親水性樹脂膜は架橋したポリビニルピロリドンを含有するので、その耐水性は優れたものとなっている。しかし、欧州などでは熱交換素子を温水や洗剤を用いて繰り返し洗浄して使用することがある。このような使用方法では、特許文献2に開示された熱交換素子用シートではポリビニルピロリドン単体を架橋するため、洗浄に対する耐久性が十分ではなく、洗浄により親水性樹脂膜が脱落し、熱交換素子用シートの透湿度や気体遮蔽性が低下するという課題がある。
そこで、本発明は、上で説明した事情に鑑み、高い洗浄耐久性(具体的には、温水や洗剤を用いた洗浄前後で、優れた透湿度および優れた気体遮蔽性が維持される性能)を有する熱交換素子用シートを提供することを課題とする。
本発明は、かかる課題を解決する為に、次のような特徴を有する。すなわち、
(1)少なくとも多孔質基材と樹脂層との積層体を備え、前記樹脂層が、アクリル樹脂に親水基が導入された変性アクリル樹脂とポリビニルピロリドンおよび/またはビニルピロリドン共重合体との架橋構造を有している、熱交換素子用シート、
(2)前記変性アクリル樹脂、炭素-炭素二重結合を2個以上有するアクリレートが架橋されてなる架橋構造を含む、(1)の熱交換素子用シート、
(3)前記炭素-炭素二重結合を2個以上有するアクリレートが架橋されてなる架橋構造が下記化学式(1)または(2)で表される構造を含む(1)または(2)の熱交換素子用シート、
Figure 0007409107000001
(R~Rは任意の長さのアルキル鎖、X~Xは任意の元素或いは分子構造を示す。)
Figure 0007409107000002
(R~Rは任意の長さのアルキル鎖、X~Xは任意の元素或いは分子構造を示す。)
(4)
前記変性アクリル樹脂が、ウレタンアクリレートが架橋されてなる架橋構造を含む、請求(1)~(3)いずれかに記載の熱交換素子用シート、
(5)前記ポリビニルピロリドンおよび/またはビニルピロリドン共重合体が、架橋構造を有することを特徴とする、(1)~(4)いずれかに記載の熱交換素子用シート、
(6)ポリビニルピロリドンおよび/またはビニルピロリドン共重合体と、親水基が導入された変性アクリル樹脂を含む塗液組成物を、前記多孔質基材の上に塗布して塗膜を形成した後に、前記塗膜に紫外線を照射する工程を有する、(1)~(5)いずれかの熱交換素子用シートの製造方法、
(7)(1)~(5)のいずれかに記載の熱交換素子用シートを用いた熱交換素子、
(8)(7)記載の熱交換素子を用いた熱交換器である。
本発明によれば、高い洗浄耐久性を有する熱交換素子用シートを提供することができる。
本発明の熱交換素子用シートの一実施形態例の断面の概略図である。
以下、発明を実施するための形態を説明していく。
[熱交換素子用シート]
本発明の熱交換素子用シートは、少なくとも多孔質基材と樹脂層の積層体を備え、前記樹脂層が、アクリル樹脂に親水基が導入された変性アクリル樹脂とポリビニルピロリドンおよび/またはビニルピロリドン共重合体との架橋構造を有している。ここで、本願では、アクリル樹脂に親水基が導入された変性アクリル樹脂を、変性アクリル樹脂と称することがある。また、本願では、ポリビニルピロリドンおよび/またはビニルピロリドン共重合体を、ポリビニルピロリドン等と称することがある。また、本願では、樹脂層がポリビニルピロリドン等を含むとの記載があるが、このポリビニルピロリドン等とは、変性アクリル樹脂と架橋構造を形成しているものをいう。なお、樹脂層は、変性アクリル樹脂と架橋構造を形成していないポリビニルピロリドン等を有していてもよい。ここで、変性アクリル樹脂と架橋構造を形成していないポリビニルピロリドン等としては、架橋していないポリビニルピロリドン等やポリビニルピロリドン等同士で架橋構造を形成しているものがある。また、本願では、樹脂層が変性アクリル樹脂を含むとの記載があるが、この変性アクリル樹脂とは、ポリビニルピロリドン等と架橋構造を形成しているものをいう。なお、樹脂層は、ポリビニルピロリドン等と架橋構造を形成していない変性アクリル樹脂を有していてもよい。ここで、ポリビニルピロリドン等と架橋構造を形成していない変性アクリル樹脂としては、架橋していない変性アクリル樹脂や変性アクリル樹脂同士で架橋構造を形成しているものがある。
ここで、図1を用いて本発明の熱交換シートの構成を説明する。図1は、本発明の熱交換素子用シートの一実施形態例の断面の概略図を示す。この熱交換素子用シート101は、多孔質基材102と樹脂層103との積層体を備えている。そして、多孔質基材102は複数の孔104を有しており、多孔質基材102と樹脂層103との界面付近に存在する孔104は樹脂層103により閉塞されている。
また、本発明の熱交換素子用シートが備える積層体においては、多孔質基材に存在する孔が樹脂層により閉塞されているため、この熱交換用シートの気体遮蔽性は優れたものとなる。また、多孔質基材が有する孔のうち多孔質基材と樹脂層との界面付近に存在する孔では、樹脂層の一部が孔に入り込み孔を閉塞する傾向がみられ、このような閉塞の形態をとる熱交換素子用シートの気体遮蔽性はより優れたものとなる。よって、この熱交換素子用シートを用いた熱交換素子においては給気と排気が確実に隔離されることになる。また、上記の閉塞の形態をとる熱交換素子用シートでは、多孔質基材と樹脂層との密着力も優れたものとなり、結果として、上記の熱交換素子用シートの洗浄耐久性は優れたものとなる。
また、この樹脂層がポリビニルピロリドン等を含むことで、この樹脂層の一方の面側から他方の面側への水蒸気の移行が担保されるため、熱交換素子用シートの透湿度は優れたものとなる。また、樹脂層がポリビニルピロリドン等に加え、変性アクリル樹脂を含み、前記ポリビニルピロリドン等と変性アクリル樹脂が架橋構造を有することで、水や洗剤による樹脂層の膨潤や溶解が抑制され、その結果として、水や洗剤による樹脂層の剥離や流出が抑制される。そして、水や洗剤による樹脂層の剥離や流出が抑制された熱交換素子用シートの洗浄耐久性は優れたものとなる。
ここで、樹脂層がポリビニルピロリドン等に加え、変性アクリル樹脂を含み、ポリビニルピロリドン等と変性アクリル樹脂が架橋構造を有することで、熱交換素子用シートの洗浄耐久性が優れたものとなるメカニズムについて、以下のとおり考える。すなわち、樹脂層の中で、変性アクリル樹脂が、ビニルピロリドン等とビニルピロリドン等との間に介在することで、ポリビニルピロリドン等とビニルピロリドン等との分子同士で化学結合やポリビニルピロリドン等と変性アクリル樹脂との分子同士で化学結合を形成することができ、複雑に絡み合った分子構造となることで、樹脂層が水や洗剤によって膨潤することを抑制することができ、洗浄などで樹脂層が多孔質基材から剥離することが抑制される。さらに、前記化学結合により、ポリビニルピロリドン等が結合した分子の分子量は大きくなり、親水基が減少することにより、ポリビニルピロリドン等が結合した分子の水や洗剤に対する溶解性が低くなり、洗浄などでポリビニルピロリドン等を含む樹脂層が多孔質基材から流出するのが抑制される。結果として、熱交換素子用シートの洗浄耐久性が優れたものとなると考える。
熱交換素子用シートの厚みは温度交換効率および熱交換素子にした際の圧力損失の観点から薄い方が好ましい。一方、過剰に薄い場合、熱交換素子の強度や熱交換素子を作製する際にハンドリング性が悪化することがある。以上のことから熱交換素子用シートの厚みは5μm以上が好ましく、9μm以上がより好ましい。また、熱交換素子用シートの厚みは30μm以下が好ましく、15μm以下がより好ましい。
熱交換素子用シートの目付は3g/m以上が好ましく、5g/m以上がより好ましい。また、熱交換素子用シートの目付は15g/m以下が好ましく、10g/m以下がより好ましい。熱交換素子用シートの目付を上述した上限値以下とすることで、熱交換素子用シートの厚みを低減することができ、熱および湿度の交換効率を向上させることができる。また、熱交換素子用シートの目付を上述した下限値以上とすることにより、熱交換素子用シートを熱交換素子に成型する工程におけるコルゲート加工等の際の熱と張力に耐えうる強度を保持するものとすることができる。
本発明の熱交換素子用シートは熱交換素子のライナーシートおよびコルゲートシートのどちらにも使用できるが、特にライナーシートへの使用に適している。
[多孔質基材]
本発明に用いられる多孔質基材(以下、多孔質基材を基材と称することがある)は透気度および透湿度を有し、微細な貫通孔を多数有している。高湿度環境での強度低下が少ないことや薄膜化しやすいことから高分子樹脂を原料とする多孔質基材が好適に用いられる。多孔質基材を構成する高分子樹脂としてはポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、芳香族ポリアミド、フッ素系樹脂などいずれでも構わないが、生産コスト、入手し易さなどの観点からポリオレフィン樹脂が好ましい。上記ポリオレフィン樹脂を構成する単量体成分としては、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチルペンテン-1、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、5-エチル-1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン、ビニルシクロヘキセン、スチレン、アリルベンゼン、シクロペンテン、ノルボルネン、5-メチル-2-ノルボルネンなどが挙げられ、これらの単独重合体や、これらの単量体成分からなる群から選ばれる少なくとも2種の共重合体、これら単独重合体や共重合体のブレンドなどが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。上記の単量体成分以外にも、例えば、ビニルアルコール、無水マレイン酸などを共重合しても構わない。特に多孔性基材において、空孔率や細孔径など調整や製膜性、生産コストの低減などの観点から、上記の樹脂を構成する単量体成分は、エチレンおよびプロピレンからなる群から選ばれる1以上であることがより好ましい。
多孔質基材の目付は、好ましくは15g/m以下、より好ましくは10g/m以下、更に好ましくは7g/m以下であり、一方、好ましくは1g/m以上、より好ましくは3g/m以上、更に好ましくは5g/m以上である。多孔質基材の目付を上述した上限値以下とすることで、多孔質基材の厚みを低減することができ、それを用いた熱交換素子用シートの熱および湿度の交換効率を向上させることができる。また、多孔質基材の目付を上述した下限値以上とすることにより、塗液の塗工工程や、熱交換素子用シートを熱交換素子に成型する工程におけるコルゲート加工等の際の熱と張力に耐えうる強度を保持するものとすることができる。
多孔質基材の厚さは、好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下、更に好ましくは15μm以下であり、一方、好ましくは2μm以上、より好ましくは5μm以上、更に好ましくは10μm以上である。多孔質基材の厚さを上述した上限値以下とすることで熱交換素子用シートの熱および湿度の交換効率を向上させることができる。また、多孔質基材の厚さを上述した下限値以上とすることにより、多孔質基材の第一の面への塗液の塗工や、その多孔質基材を用いた熱交換素子用シートを熱交換素子に成型する過程におけるコルゲート加工等の際の熱と張力に耐えうる強度を保持するものとすることができる。
多孔質基材の密度は、好ましくは0.2g/cm以上、より好ましくは0.3g/cm以上、更に好ましくは0.4g/cm以上である。一方、好ましくは8.0g/cm以下、より好ましくは7.0g/cm以下、更に好ましくは6.0g/cm以下である。多孔質基材の密度は、熱交換素子用シートの透湿度に大きく影響し、その密度を上述の上限値以下とすることにより、熱交換素子用シートの透湿度が高くなる。一方で、その密度を上述した下限値以上とすることにより、多孔質基材に対する塗液の濡れ性が良好なものとなる。それにより、多孔質基材の第一の面の上に、塗液を薄く塗工することが可能となる。
多孔質基材の空孔率は、好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上、更に好ましくは40%以上である。多孔質基材の空孔率は透湿度と相関があると考えられており、空孔率が高くなればなるほど、多孔質基材の透湿度は向上し、それを用いた熱交換素子用シートの透湿度も向上する。
多孔質基材の細孔径は、好ましくは20nm以上、より好ましくは30nm以上、更に好ましくは40nm以上である。一方、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下、更に好ましくは60μm以下である。多孔質基材の細孔径は、多孔質基材の透湿度と相関があると考えられており、その細孔径を上述の下限値以上とすることにより、多孔質基材の透湿度は向上し、熱交換素子用シートの透湿度も向上する。一方で、その細孔径を上述した上限値以下とすることにより、多孔質基材に対する塗液の濡れ性が高くなる。それにより、多孔質基材の第一の面の上に、塗液を薄く塗工することが可能となる。
多孔質基材の透気度は、好ましくは透気度2500秒/100ml以下、より好ましくは300秒/100ml以下、更に好ましくは200秒/100ml以下である。透気度は透湿度と相関があると考えられており、多孔質基材の透気度が低くなればなるほど、熱交換素子用シートの透湿度は向上する。
多孔質基材の透湿度は、好ましくは透湿度80g/m/hr以上、より好ましくは90g/m/hr以上、更に好ましくは100g/m/hr以上である。多孔質基材の透湿度は、熱交換素子用シートの透湿度を高めることに繋がり、その熱交換素子用シートを熱交換素子に用いたときに、湿度交換効率が高くなるため好ましい。
多孔質基材を製膜する方法としては、公知の湿式法や公知の乾式法を採用することができる。
多孔質基材を構成する樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲において、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、中和剤、帯電防止剤や有機粒子からなる滑剤、さらにはブロッキング防止剤や充填剤、非相溶性ポリマーなどの各種添加剤を含有させてもよい。特に、ポリプロピレンなどの熱履歴による酸化劣化を抑制する目的で、酸化防止剤を添加することが好ましい。また、必要に応じて、さらに、コロナ処理、プラズマ処理、界面活性剤含浸、表面グラフト等の親水化処理などの表面修飾を施してもよい。
[樹脂層]
本発明の樹脂層は少なくともポリビニルピロリドン等と変性アクリル樹脂を含み、この樹脂層は前記変性アクリル樹脂とポリビニルピロリドン等と架橋構造を有する。本発明の樹脂層におけるポリビニルピロリドン等の含有量は、樹脂層全体に対し50質量%以上が好ましく、75質量%以上がより好ましく、90質量%以上が特に好ましく、97質量%以下が好ましい。ポリビニルピロリドン等の含有量が上記の下限以上であることで、熱交換素子用シートの透湿度および気体遮蔽性が優れたものとなる。ポリビニルピロリドン等の含有量が上記の上限以下であることで、熱交換素子用シートの洗浄耐久性が優れたものとなる。なお、樹脂層がポリビニルピロリドンとビニルピロリドン共重合体の両方を含有する場合には、上記の含有量はポリビニルピロリドンとビニルピロリドン共重合体の合計の含有量を指す。また、樹脂層が、変性アクリル樹脂と架橋構造を形成しているポリビニルピロリドン等および変性アクリル樹脂と架橋構造を形成していないポリビニルピロリドン等を含む場合には、上記の含有量は変性アクリル樹脂と架橋構造を形成しているポリビニルピロリドン等および変性アクリル樹脂と架橋構造を形成していないポリビニルピロリドン等の合計の含有量を指す。
(1)ポリビニルピロリドンおよび/またはビニルピロリドン共重合体
本発明の樹脂層はポリビニルピロリドンおよび/またはビニルピロリドン共重合体を含む。ポリビニルピロリドンおよび/またはビニルピロリドン共重合体を含むことで樹脂層は高い吸湿性を得ることができ、上記樹脂層が積層された熱交換素子用シートは高い透湿度を得ることができる。ポリビニルピロリドン等の吸湿性は、23℃75%RHのときの水分吸収率が10質量%以上50質量%以下であることが好ましく、15質量%以上48質量%以下がより好ましく、25質量%以上45質量%以下が特に好ましい。前記水分吸収率が上記の下限以上にあるとき前記樹脂層は高い吸湿性を得ることができ、熱交換素子用シートは高い透湿度を得ることができる。水分吸収率が上記の上限以下にあるとき、樹脂層の吸湿による膨潤を抑制でき、熱交換素子用シートは高い耐水性を得ることができる。
本発明におけるポリビニルピロリドンとはN-ビニルピロリドンのみが重合したポリマーの事を言い、ビニルピロリドン共重合体とは主のモノマーがN-ビニルピロリドンで、コモノマーとしてビニルアセテートやビニルカプロラクタム等が共重合したポリマーのことを言う。ビニルピロリドン共重合体における、前記コモノマーの種類および含有比(コモノマー/主のモノマー)は、本発明の効果が害されない範囲であれば特に限定されず、使用する溶媒への溶解性や塗液の物性に応じて適宜選択することができる。ポリビニルピロリドンまたはビニルピロリドン共重合体の分子量は特に限定されないが塗液として前記多孔質基材へ塗布したときに均一な厚みの塗膜が形成できる粘度としやすいことから、ポリビニルピロリドンまたはビニルピロリドン共重合体の重量平均分子量は1000以上、600000以下が好ましく、60000以上、500000以下がより好ましく、150000以上、400000以下が特に好ましい。上記のようなポリビニルピロリドンとしてはBASF社製“LuvitecK”(登録商標)シリーズなどが挙げられる。ビニルピロリドン共重合体としては“LuvitecVA”(登録商標)シリーズ、“Luvicap” (登録商標)シリーズなどが挙げられる。
また、樹脂層に含まれるポリビニルピロリドン等は、変性アクリル樹脂と架橋構造を形成している。上記のような構成とすることで、熱交換素子用シートの表面に結露や結氷が発生するような環境下で熱交換素子を使用した場合において、ポリビニルピロリドン等が結露水に溶け出すことが抑制される。よって、上記の様な環境下での使用を経た熱交換素子の熱交換素子用シートが備える樹脂層に含まれるポリビニルピロリドン等の含有量は、使用前の熱交換素子の熱交換素子用シートが備える樹脂層に含まれるポリビニルピロリドン等の含有量と比較して、ほとんど低下せず、結果として、上記使用後の熱交換素子用シートが備える樹脂層は熱交換素子用シートの透湿度を高度なものとするポリビニルピロリドン等を使用前とほとんど変わらない含有量にて含有するため、上記使用後の熱交換素子用シートの透湿度は、使用前の熱交換素子用シートの透湿度と比較して、ほとんど低下せずに、熱交換素子用シートの耐水性はより一層、優れたものとなる。架橋構造を有することで、ポリビニルピロリドン等が結露水に溶け出すことがより一層、抑制されるメカニズムとしては、架橋によりポリビニルピロリドン等の見かけ分子量が大きくなり、ポリビニルピロリドン等の水溶性を向上させるカルボニル基が架橋により減少するからであると考える。
さらに、ポリビニルピロリドン等は後述する変性アクリル樹脂と架橋構造を構成しているため、熱交換素子用シートの洗浄耐久性は優れたものとなる。つまり、耐水性に優れる変性アクリル樹脂とポリビニルピロリドン等が直接化学結合することにより、ポリビニルピロリドン等の樹脂層からの溶出をより抑制することができるからであると考えられる。
(2)変性アクリル樹脂
本発明の熱交換素子用シートが備える樹脂層は変性アクリル樹脂を含む。変性アクリル樹脂には、親水基が導入されたアクリル樹脂である。親水基の導入されていないアクリル樹脂は、一般的に疎水性である。そして、この疎水性のアクリル樹脂を含む樹脂層では、この樹脂層内への水分の浸入が抑制され、結果として、この樹脂層を備える熱交換用シートの透湿度を損なう傾向がみられる。しかし、変性アクリル樹脂を含んだ樹脂層の場合、変性アクリル樹脂が有する親水基により、変性樹脂を有する樹脂層内への水分の浸入が損なわれ難いため、この樹脂層を備える熱交換素子用シートの透湿度は、親水基が導入されていないアクリル樹脂を含んだ熱交換素子用シートの透湿度と比べて優れたものとなる。
また、変性アクリル樹脂は、ポリビニルピロリドン等と架橋構造を形成していることで、樹脂層の水や洗剤に対する膨潤性や溶解性が低くなるため、ポリビニルピロリドン等と架橋構造を有する変性アクリル樹脂を含むことにより樹脂層の水や洗剤に対する耐久性が向上し、結果として、熱交換素子用シートの洗浄耐久性が向上する。変性アクリル樹脂に導入された親水基としては、水酸基、カルボニル基、4級アンモニウム基などがあるが、変性アクリル樹脂の親水性がより高いものとなり、さらに、後述する紫外線照射の際に、親水基が失活し難く、樹脂層内における変性アクリル樹脂の安定性も高いものとできるとの理由から、親水基は4級アンモニウム基であることが好ましい。4級アンモニウム基を含んだ変性アクリル樹脂の構造式の一例を化学式(3)に示す。
Figure 0007409107000003
(R~Rは任意の長さのアルキル鎖、X~Xは任意の元素或いは分子構造を示す。)
4級アンモニウム基を含んだ変性アクリル樹脂としては、大成ファインケミカル社製“1WX”(登録商標)シリーズや“8WX”(登録商標)シリーズ、“3WX”(登録商標)シリーズなどが挙げられる。
変性アクリル樹脂の含有量の下限としては、樹脂層全体の重量に対して3質量%以上が好ましい、上記の好適な範囲にある場合、熱交換用シートの洗浄耐久性をより向上させることができる。一方、変性アクリル樹脂の含有量の上限としては、樹脂層全体に対し50質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、10質量%以下が特に好ましい。変性アクリル樹脂の含有量が多い場合、樹脂層内のポリビニルピロリドン等の含有量が相対的に減少することになり、熱交換素子用シートの透湿度が低下したり、樹脂層においてポリビニルピロリドン等を均一に分散させることが困難となり、樹脂層の均一性が損なわれ、熱交換素子用シートの気体遮蔽性が低下する傾向がみられる。したがって、変性アクリル樹脂の含有量の上限は前記範囲が好ましい。ここで、樹脂層が、ポリビニルピロリドン等と架橋構造を形成している変性アクリル樹脂およびポリビニルピロリドン等と架橋構造を形成していない変性アクリル樹脂を含む場合には、上記の含有量はポリビニルピロリドン等と架橋構造を形成している変性アクリル樹脂およびポリビニルピロリドン等と架橋構造を形成していない変性アクリル樹脂の合計の含有量を指す。
また、変性アクリル樹脂を含む樹脂層を備える熱交換素子用シートの製造方法として、以下の工程を有するものが例示できる。前述のポリビニルピロリドン等を含む樹脂層形成用の塗液に、さらに、変性アクリル樹脂を混合し、ポリビニルピロリドン等と、変性アクリル樹脂を含む塗液組成物を得る。このとき、変性アクリル樹脂はその分子構造内に炭素-炭素二重結合を持つものが好ましい。次に、この塗液組成物を、多孔質基材の上に塗布して塗膜を形成する。そして、必要に応じて塗膜形成後の多孔質基材を加熱し溶媒を乾燥させた後、この塗膜に紫外線を照射し変性アクリル樹脂などを架橋させる。このような工程を有する熱交換素子用シートの製造方法を採用することで、樹脂層内において、前述した化学式(1)に示すような変性アクリル樹脂の架橋した構造を形成することができる。また、変性アクリル樹脂が架橋する際に、変性アクリル樹脂同士の架橋に加えて、変性アクリルとポリビニルピロリドンとの架橋構造も形成されていると考えられ、樹脂層の耐久性を一層向上させることができる。
(3)炭素-炭素二重結合を2つ以上持つアクリレートが架橋されてなる架橋構造
樹脂層に含まれる変性アクリル樹脂は、炭素-炭素二重結合を2つ以上持つアクリレートが架橋されてなる架橋構造を含むことが好ましい(以降、炭素-炭素二重結合を2つ以上持つアクリレートが架橋されてなる架橋構造を三次元的な架橋構造と称することがある)。炭素-炭素二重結合を2つ持つアクリレートが架橋されてなる架橋構造は下記化学式(1)または(2)で表される構造を含むことが好ましい。これらの架橋構造は、三次元的に絡み合った構造を有する化学的に安定な分子構造であるため、熱交換素子用シートの洗浄耐久性を向上させることができる。
さらに、炭素-炭素二重結合を3つ持つアクリレートが架橋してなる化学式(4)或いは(5)で表される構造を含む三次元的な架橋構造であると、架橋密度が高くなるため、熱交換素子用シートの洗浄耐久性がさらに優れたものとなるため、より好ましい。さらに、炭素-炭素二重結合を4つ持つアクリレートが架橋されてなる化学式(6)或いは(7)で表される構造を含む三次元的な架橋構造は、架橋密度がより高くできるため、特に好ましい。炭素-炭素二重結合を多く持つアクリレートほど、架橋構造を取った際に架橋密度が高くできるため、熱交換素子用シートの洗浄耐久性が優れたものとなる。架橋密度を最も高くできるという観点から最も好ましいのは、炭素-炭素二重結合を6つ持つアクリレートが架橋してなる、化学式(8)で表される構造を含む三次元的な架橋構造である。
Figure 0007409107000004
(R~Rは任意の長さのアルキル鎖、X~Xは任意の元素或いは分子構造を示す。)
Figure 0007409107000005
(R~Rは任意の長さのアルキル鎖、X~Xは任意の元素或いは分子構造を示す。)
Figure 0007409107000006
(R~Rは任意の長さのアルキル鎖、X~Xは任意の元素或いは分子構造を示す。)
Figure 0007409107000007
(R~Rは任意の長さのアルキル鎖、X~Xは任意の元素或いは分子構造を示す。)
Figure 0007409107000008
(R~Rは任意の長さのアルキル鎖、X~Xは任意の元素或いは分子構造を示す。)
Figure 0007409107000009
(R~Rは任意の長さのアルキル鎖、X~X10は任意の元素或いは分子構造を示す。)
Figure 0007409107000010
(R~Rは任意の長さのアルキル鎖、X~X12は任意の元素或いは分子構造を示す。)
ここで、炭素-炭素二重結合を2つ以上持つアクリレートとしては、トリエチレングルコールジアクリレート、トリメチロルプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどが挙げられる。中でも、炭素-炭素二重結合を多く持ち、架橋密度が高くでき、高耐久性の樹脂層が得られることから、炭素-炭素二重結合を4つ持つペンタエリスリトールテトラアクリレート、炭素-炭素二重結合を6つ持つジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが好ましい。
(4)添加剤
本発明の樹脂層は必要に応じて添加剤を含んでも良い。添加剤としては無機粒子あるいは有機粒子、難燃剤、防かび剤、防腐剤、難燃剤、染料、顔料などを含んでもよい。
無機粒子あるいは有機粒子を添加することで、熱交換素子用シート表面の滑性を好ましい状態に調整できることがある。また、表面に親水処理を施した無機粒子あるいは有機粒子を用いることで樹脂層の吸湿性を高めることができる傾向がある。
防かび剤、防腐剤を添加することで、本発明の熱交換素子用シートが高湿環境下や結露して濡れた状態での使用される場合にかびや悪臭の発生を抑制できることがある。
難燃剤を添加することで、本発明の熱交換素子用シートの難燃性を向上させることができる。
染料あるいは顔料を添加することで熱交換素子用シートを好みの色調に着色することができる。また、樹脂層が着色されているため、樹脂層が容易に目視できることから、熱交換素子用シート作製工程中の欠点検査や品質管理が容易になる可能性がある。
(5)樹脂層の目付
樹脂層の目付は少なすぎると多孔質基材に存在する孔を十分に閉塞できないことがあり、熱交換素子用シートの気体遮蔽性を損なうことがある。一方、多すぎると熱交換素子用シートの透湿度を損なうことがある。さらに、樹脂層が吸放湿した際に樹脂層の収縮が大きくなり熱交換素子用シートが変形してしまうことがある。また、前述のように紫外線を照射して樹脂層を架橋させる場合、樹脂層の目付が多すぎると樹脂層に含まれる成分が十分架橋できず、洗浄耐久性を損なうことがある。上記の点より樹脂層の目付は0.5g/m以上であることが好ましく、0.7g/m以上であることがより好ましく、1.0g/m以上であることが特に好ましい。一方で、樹脂層の目付は、4.0g/m以下であることが好ましく、3.5g/m以下であることがより好ましく、3.0g/m以下であることが特に好ましい。樹脂層の目付が上記好ましい範囲にある場合、本発明の熱交換素子用シートは高い気体遮蔽性と洗浄耐久性を得ることができる。
(6)樹脂層の形成方法
前述したポリビニルピロリドン等、及び変性アクリル樹脂、並びに必要に応じて、添加剤や溶媒を含有する樹脂層形成用の塗液を基材上へ塗布し、必要に応じて溶媒を乾燥させることによって、基材上に樹脂層を形成することができる。
また、塗液の溶媒として水系溶媒を用いることが好ましい。塗液の溶媒に水系溶媒を用いることで、乾燥工程での溶媒の急激な蒸発を抑制でき、均一な膜厚の樹脂層を形成できるだけでなく、環境負荷の点で優れているためである。
ここで、水系溶媒としては、水、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、およびプロピレングリコール等のグリコール類からなる群より選ばれる一種以上からなる水に可溶である溶媒を例示することができる。
塗液の多孔質基材の上への塗布方法は、既知のウェットコーティング方法、例えば吹き付け塗装、浸漬コーティング、スピンコーティング、ナイフコーティング、キスコーティング、グラビアコーティング、スロットダイコーティング、ロールコーティング、バーコーティング、スクリーン印刷、インクジェット印刷、パット印刷、他の種類の印刷などが利用できる。また塗布は、複数回に分けて行ってもよく、異なる2種類の塗布方法を組み合わせてもよい。好ましい塗布方法は、ウェットコーティングであるグラビアコーティング、バーコーティング、スロットダイコーティングである。
前記塗布工程の後、乾燥工程にて塗布された塗液から溶媒を除去する。溶媒の除去方法としては、熱風を多孔質基材に当てる対流熱風乾燥、赤外線乾燥装置からの輻射で基材に赤外線を吸収させて熱に変え加熱し乾燥させる輻射熱乾燥、熱媒体で加熱された壁面からの熱伝導で加熱し乾燥させる伝導熱乾燥、などを適用することができる。中でも対流熱風乾燥は乾燥速度が大きいため好ましい。乾燥温度は、多孔質基材に用いられる樹脂の融点以下で加工することが必要であり、より好ましくは80℃以下、更に好ましくは60℃以下であり、乾燥温度を上記の範囲とすることにより多孔質基材の熱による収縮や変形が抑制されるため好ましい。
(7)架橋
基材上に形成された樹脂層はその中にポリビニルピロリドン等および変性アクリル樹脂を含み、前記変性アクリル樹脂は前記ポリビニルピロリドンおよび/またはビニルピロリドン共重合体との架橋構造を形成している。ポリビニルピロリドン等が変性アクリル樹脂との架橋構造を有することにより熱交換素子用シートの洗浄耐久性が向上する。熱交換素子用シートの洗浄耐久性が向上することにより、前記樹脂層を温水や洗剤を用いて熱交換素子用シートを洗浄した際に樹脂層からのポリビニルピロリドン等の流出が抑制でき、熱交換シートの性能劣化を抑制することができる。
架橋の方法としては特に限定されないが、紫外線照射などの活性エネルギー線照射処理を施すことで前記塗膜の組成を変性させる方法が、基材等の温度上昇が小さく、多孔質基材へのダメージが少ないことから好適に用いられる。紫外線処理は、1回のみ行ってもあるいは2回以上繰り返して行ってもよい。紫外線処理による反応が小さいエネルギーで開始することから、前記塗膜の中に光重合開始剤を含むことが好ましい。光重合開始剤の種類は特に限定されないが、高い反応性と安定性を持つα-アセトフェノン系の光重合開始剤が好ましい。紫外線処理を行う際、酸素による反応阻害を抑制するために酸素濃度を低下させても良い。酸素濃度を低下させて処理を行う場合、系内のガス全体を100体積%としたとき、酸素ガスは1.0体積%以下が好ましく、0.5体積%以下がより好ましい。相対湿度は任意でよい。また、前記紫外線処理においては、窒素ガスを用いて酸素濃度を低下させることがより好ましい。
紫外線発生源としては、高圧水銀ランプメタルハライドランプ、マイクロ波方式無電極ランプ、低圧水銀ランプ、キセノンランプ等、既知のものを用いることができる。
紫外線照射の積算光量は、50~3,000mJ/cmであることが好ましく、100~1,000mJ/cmがより好ましく、250~700mJ/cmが特に好ましい。前記積算光量が50mJ/cm以上であれば樹脂層の洗浄耐久性が向上するため好ましい。また、前記積算光量が3,000mJ/cm以下であれば基材へのダメージを少なくすることができるため好ましい。
(8)ウレタンアクリレート
樹脂層に含まれている変性アクリル樹脂は、ウレタンアクリレートが架橋されてなる架橋構造を含むことが好ましい。ウレタンアクリレートとは、イソシアネート基とヒドロキシ基を反応させたウレタン結合とアクリル基を有する分子である。ウレタンアクリレートが架橋されてなる架橋構造は下記化学式11で表される構造を含むことが好ましい。
Figure 0007409107000011
(Rは任意の長さのアルキル鎖、X~Xは任意の元素或いは分子構造を示す。)
ウレタンアクリレートが有するアクリル基は紫外線照射などのエネルギー線照射により他の分子と架橋することができる。ウレタンアクリレートが架橋されてなる架橋構造は構造内にウレタン結合を持ち、ウレタン結合は樹脂層に含まれる他の分子の水酸基などと水素結合を形成できるため強靭な樹脂層を形成することができる。強靭な樹脂層は物理的な外力による亀裂や破壊が起きにくいため、樹脂層に含まれている変性アクリル樹脂がウレタンアクリレートが架橋されてなる架橋構造を含むことで、熱交換素子用シートが曲がったり、折れたりした場合に、樹脂層の亀裂や破壊に起因する熱交換素子用シートの気体遮蔽性の劣化を抑制することができる。 また、前記ウレタンアクリレートが架橋されてなる架橋構造は一般的に伸度が高いという特性を持つ。したがって、変性アクリル樹脂が、ウレタンアクリレートが架橋されてなる架橋構造を持つことにより、変性アクリル樹脂は部分的に伸度が高い特性を持つ。その結果、変性アクリル樹脂が紫外線照射などで架橋した際に発生する、収縮応力をその構造内で緩和することができる。変性アクリル樹脂が収縮応力を緩和できるため、結果的に、樹脂層全体が収縮して熱交換素子用シートのカールなどの形状変化を抑制することができる。
市販されているウレタンアクリレートとしては、DIC株式会社製“ルクシディア”(登録商標)シリーズや共栄社化学株式会社製“UA306”、新中村化学工業株式会社製“UA160TM”や“UA4200”、“UA4400”などがある。
[熱交換素子]
次に熱交換素子の製造方法の一例を説明する。熱交換素子用シートと、間隔保持部材であるコルゲートシートを接着剤等で貼り合わせ、片面段ボールを得る。接着剤は、酢酸ビニル系、エチレン酢酸ビニル系を用いることで、本発明の樹脂層との接着力が向上するため好ましい。また、必要に応じてコルゲートシートに、難燃剤加工を施しておいてもよい。コルゲート加工は、コルゲートシートを形成する互いに噛み合って回転する一対の歯車状のコルゲーターにより行われ、熱交換素子用シートとコルゲートシートとの貼り合わせは、熱交換素子用シートをコルゲート加工されたコルゲートシートに押し付けるプレスロールからなる装置により行われる。コルゲートシートと熱交換素子用シートの接着には、コルゲートシートの段加工された頂点部に接着剤を塗布し、熱交換素子用シートを押圧し接着する工程等を採用することもできる。またコルゲートシートと熱交換素子用シートとの少なくともいずれか一方に接着剤を塗布し、コルゲートシートと熱交換素子用シートを加熱しながら押圧することで接着させることもできる。本発明の熱交換素子用シートは上記コルゲートシートの素材としても使用することができる。
熱交換素子は、片面段ボールを積層することで製造される。具体的には、片面段ボールの山の頂点に接着剤を塗布し、複数の片面コルゲートを、一枚ずつ交互に交差させて積層させ製造する。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これら実施例により限定されるものではない。本実施例で用いた測定法を以下に示す。特に断らない限り、測定値から数値を求めるときは、測定の数を2回とし、その平均値を数値として採用した。
<測定法>
(1)熱交換素子用シートの目付
100mm角の熱交換素子用シートの試験片を5枚用意し、それらを温度20℃、湿度65%RHの雰囲気中にて24hr静置し、その後に、5枚の試験片それぞれの質量(g)を測定し、その平均値を1m当たりの質量(g/m)で表し、熱交換素子用シートの目付(g/m)とした。
(2)多孔質基材の目付
300ml容量の容器に充填された200mlの溶媒(酢酸エチル)に5枚の(1)の試験片を2分間含浸させ、5枚の試験片の表面および裏面を5回ずつ拭き取った。次に、再度、5枚の試験片を300ml容量の容器に充填された200mlの溶媒(酢酸エチル)に2分間浸漬させた。続いて、5枚の試験片を温度20℃、湿度65%RHの雰囲気中にて24hr静置し、熱交換素子用シートから樹脂層を除去した多孔質基材の試験片を得た。その後に、5枚の試験片それぞれの質量(g)を測定し、その平均値を1m当たりの質量(g/m)で表し、多孔質基材の目付(g/m)とした。
(3)樹脂層の目付
次に、(1)と(2)で求めた熱交換素子用シートの目付および、多孔質基材の目付から下記式より樹脂層の目付(g/m)を計算した。
樹脂層の目付(g/m)=熱交換素子用シートの目付(g/m)-多孔質基材の目付(g/m)。
(4)樹脂層に含有される成分の特定と含有量
5gの熱交換素子用シートの試験片を、熱分解ガスクロマトグラフィー(熱分解GC-MS)で測定し、樹脂層に含まれている成分を特定し、さらに、樹脂層に含まれる成分の含有量を求めた。
(5)変性アクリル樹脂の目付
(4)で求めた樹脂層を構成する各成分の含有量に基づき、樹脂層を構成する全成分の含有量に対する樹脂層に含まれる変性アクリル樹脂の含有量の比率(変性アクリル樹脂の含有量/樹脂層を構成する全成分の含有量)を算出し、(3)で求めた樹脂層の目付に上記の比率を乗算して変性アクリル樹脂の目付とした。
(6)樹脂層の架橋構造の有無
試料(熱交換素子用シート)の樹脂層の面を赤外分光分析(IR)の全反射測定法(ATR法)にて測定し、得られたスペクトルから樹脂層中に含まれる官能基を特定し、(4)で特定した樹脂層に含まれる成分および含有量と照合して、樹脂層中に含まれる成分が架橋した構造を特定した。
(7)熱交換素子用シートの厚さ
厚さは、試料(熱交換素子用シート)の異なる箇所から200mm角の試験片を3枚採取し、温度20℃、湿度65%RHの雰囲気中にて24hr静置し、その後、3枚の試験片それぞれの中央と4隅の5点の厚さ(μm)を測定器(型式ID-112、(株)ミツトヨ製)を用いて測定し、15個の測定値の平均値を値とした。
(8)熱交換素子用シートの透湿度
透湿度は、JIS Z0208(1976)透湿度(カップ法)の方法により測定した。使用したカップは、直径60mmで深さ25mmである。試験片は、直径70mmの円形の熱交換素子用シートを5枚用意した。試験片を、温度20℃、湿度65%RHで24hr放置した。次に、その試験片を、水分測定用塩化カルシウム(和光純薬工業製)の入ったカップに設置し、試験片、塩化カルシウム、カップを併せた初期重量(T)を測定し、次いで、温度20℃、湿度65%RHに設定した恒温恒湿槽内に試験片を静置し、静置を開始して、1時間後、2時間後、3時間後、4時間後および5時間後の時点における試験片、塩化カルシウム、カップを併せた重量(それぞれT、T、T、T、T)を測定した。下記式により透湿度を求め、5枚の平均値を透湿度(g/m/hr)とした。
透湿度(g/m/hr)={[((T-T)/T)+((T-T)/T)+((T-T)/T)+((T-T)/T)+((T-T)/T)]/5}×100。
(9)熱交換素子用シートの透気度
透気度は、JIS P8117(1998)透気度(ガーレ試験機法)の方法により測定した。長さ100mm、幅100mmの試験片(熱交換素子用シート)を5枚用意した。試験片は温度20℃、湿度65%RHで24hr放置後、同温湿度の環境下で、ガーレ式デンソメータ(型式G-B3C、(株)東洋精機製作所)に試験片を設置し、空気100mlが通過する時間を測定し、5枚の平均値を透気度(秒/100ml)とした。なお、透気度の値が大きいほど、熱交換素子用シートの気体遮蔽性は優れたものとなる。
(10)熱交換素子用シートの洗浄耐久性
100mm角の熱交換素子用シートの試験片を10枚用意した。次いで、家庭用食器洗剤を40℃の温水に溶かして濃度0.01質量%の洗浄液を作製した。この洗浄液に試験片を浸漬し、5分間静置した。次にサンプルを取り出し、40℃の流水で10秒間リンスする動作を2回繰り返した。以上の洗浄液に浸漬する動作からリンスまで処理を1サイクルの洗浄処理とし、ひとつのサンプルにつき5サイクルの洗浄処理を繰り返した。この5サイクルの洗浄処理を洗浄耐久試験と称する。回収した洗浄耐久試験後の試験片を60℃設定の熱風オーブンで3分間乾燥した後、20℃65%RHの雰囲気中にて24hr静置した。
次いで、洗浄耐久試験前後の試験片について(8)、(9)記載の方法で透湿度と透気度をそれぞれ測定した。洗浄耐久試験前後での透気度と透湿度の測定値から次式により変化率を求めた。
変化率(%)={洗浄耐久試験後の測定値-洗浄耐久試験前の測定値)/洗浄耐久試験前の測定値}×100 。
なお、熱交換素子用シートの洗浄耐久性が低い場合、洗浄耐久試験により樹脂層に含まれるポリビニルピロリドン等の一部が流出し、樹脂層の吸湿性が低くなるため、熱交換素子用シートの透湿度が低下し、変化率(%)はマイナスとなる。
また、洗浄耐久試験により樹脂層の多くが流出すると、熱交換素子用シートの透気度が低下し、変化率(%)はマイナスとなる。透気度が低下した場合、水分も多く熱交換素子用シートを透過するため、透湿度の数値は高くなり、変化率(%)はプラスとなる。
したがって、透湿度および透気度の変化率(%)の絶対値がともに小さい熱交換素子用シートほど、洗浄耐久性が優れているといえる。
(11)熱交換素子用シートのカール
熱交換素子用シートを100mm角に切り出し、20℃65%RH環境下で平らな試験台の上に静置した。静置した熱交換素子用シートが筒状に変形した場合をカールありと判定した。
(実施例1)
多孔質基材として、目付6.7g/m、厚さ12μm、空孔率43%、細孔径33nmのポリエチレン多孔性フィルムを多孔質基材として用意した。この多孔質基材の物性は、透湿度101g/m/hrであった。
次いで、以下の操作により樹脂層の塗料組成物を作製した。
樹脂層の材料としてポリビニルピロリドン(BASF社製“LuvitecK85”(登録商標))と変性アクリル樹脂原料として変性アクリル樹脂のエタノール溶液(大成ファインケミカル株式会社製“8WX-018”)を用意した。溶媒としてエタノールと水の混合液を用いた。前記LuvitecK85と8WX-018とエタノールと水を質量比で7.2:2.1:61.9:28.8の割合で混合し、均一な液体となるまで撹拌して固形分8質量%の混合溶液とした。さらに、前記塗料組成物にUV開始剤(IGMResins社製“Omnirad”(登録商標)184)をLuvitecK85に対して3質量%添加して樹脂層の塗料組成物とした。
次いで、以下の手順で多孔質基材の表面に樹脂層を形成した。
前記多孔質基材の表面にバーコーター番手6番を用いて前記樹脂層の塗料組成物を塗布した。塗布後、60℃設定の熱風オーブン内で1分間乾燥させた。次に樹脂層を塗布した多孔質基材を台紙にテープで貼り付け、UV照射装置(アイグラフィックス株式会社製「ECS-301」)を用いて大気雰囲気下で400mJ/cmの照射量のUVを照射し、樹脂層を架橋させた。
以上の手順で樹脂層に90質量%のポリビニルピロリドン、10質量%の変性アクリル樹脂を含む熱交換素子用シートを得た。
この熱交換素子用シートの構成を表1に示す。
(実施例2)
以下の操作により樹脂層の塗料組成物を作製した。
LuvitecK85と8WX-018とエタノールと水を質量比で6.0:5.26:64.74:24.0の割合で混合し、均一な液体となるまで撹拌して固形分8質量%の混合溶液とした。
上記以外は実施例1と同様の手順で樹脂層に75質量%のポリビニルピロリドン、25質量%の変性アクリル樹脂を含む熱交換素子用シートを得た。
この熱交換素子用シートの構成を表1に示す。
(実施例3)
以下の操作により樹脂層の塗料組成物を作製した。
LuvitecK85とジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを主成分とするアクリレート(共栄社化学製“ライトアクリレートDPE-6A”(登録商標))と8WX-018とエタノールと水を質量比で7.2:0.4:1.06:62.54:28.8の割合で混合し、均一な液体となるまで撹拌して固形分8質量%の混合溶液とした。
上記以外は実施例1と同様の手順で樹脂層に90質量%のポリビニルピロリドン、10質量%の変性アクリル樹脂を含む熱交換素子用シートを得た。この熱交換素子用シートの樹脂層に含まれる変性アクリル樹脂は炭素-炭素二重結合を2つ以上持つアクリレートが架橋した架橋構造を含む。
この熱交換素子用シートの構成を表1に示す。
(実施例4)
以下の操作により樹脂層の塗料組成物を作製した。
LuvitecK85とライトアクリレートDPE6Aと8WX-018とエタノールと水を質量比で6.0:1.0:2.12:66.88:24.0の割合で混合し、均一な液体となるまで撹拌して固形分8質量%の混合溶液とした。
上記以外は実施例1と同様の手順で75質量%のポリビニルピロリドン、25質量%の変性アクリル樹脂を含む熱交換素子用シートを得た。この熱交換素子用シートの樹脂層に含まれる変性アクリル樹脂は炭素-炭素二重結合を2つ以上持つアクリレートが架橋した架橋構造を含む。
この熱交換素子用シートの構成を表1に示す。
(実施例5)
以下の操作により樹脂層の塗料組成物を作製した。
LuvitecK85とウレタンアクリレートを主成分とするアクリレート(新中村化学工業(株)製“UAW2A”(登録商標))と8WX-018とエタノールと水を質量比で6.0:1.0:2.63:66.37:24.0の割合で混合し、均一な液体となるまで撹拌して固形分8質量%の混合溶液とした。
上記以外は実施例1と同様の手順で樹脂層に75質量%のポリビニルピロリドン、25質量%の変性アクリル樹脂を含む熱交換素子用シートを得た。この熱交換素子用シートの樹脂層に含まれる変性アクリル樹脂はウレタンアクリレートが架橋した架橋構造を含む。
この熱交換素子用シートの構成を表1に示す。
(実施例6)
以下の操作により樹脂層の塗料組成物を作製した。
LuvitecK85とライトアクリレートDPE6AとUAW2Aと8WX-018とエタノールと水を質量比で6.0:0.5:0.5:2.63:66.37:24.0の割合で混合し、均一な液体となるまで撹拌して固形分8質量%の混合溶液とした。
上記以外は実施例1と同様の手順で樹脂層に75質量%のポリビニルピロリドン、25質量%の変性アクリル樹脂を含む熱交換素子用シートを得た。この熱交換素子用シートの樹脂層に含まれる変性アクリル樹脂は炭素-炭素二重結合を2つ以上持つアクリレートが架橋した架橋構造とウレタンアクリレートが架橋した架橋構造を含む。
この熱交換素子用シートの構成を表1に示す。
(比較例1)
以下の操作により樹脂層の塗料組成物を作製した。
LuvitecK85とエタノールと水を質量比で8.0:60.0:32.0の割合で混合し、均一な液体となるまで撹拌して固形分8質量%の混合溶液とした。
上記以外は実施例1と同様の手順で樹脂層が100質量%のポリビニルピロリドンである熱交換素子用シートを得た。
この熱交換素子用シートの構成を表1に示す。
(比較例2)
以下の操作により樹脂層の塗料組成物を作製した。
ライトアクリレートDPE6Aとエタノールと水を質量比で8.0:60.0:32.0の割合で混合し、均一な液体となるまで撹拌して固形分8質量%の混合溶液とし、使用するバーコーターの番手を12番とした。
上記以外は実施例1と同様の手順で樹脂層が100質量%のアクリル樹脂である熱交換素子用シートを得た。
この熱交換素子用シートの構成を表1に示す。
(比較例3)
以下の操作により樹脂層の塗料組成物を作製した。
LuvitecK85とライトアクリレートDPE-6Aとエタノールと水を質量比で6.0:2.0:68.0:24.0の割合で混合し、均一な液体となるまで撹拌して固形分8質量%の混合溶液とした。
上記以外は実施例1と同様の手順で樹脂層に75質量%のポリビニルピロリドン、25質量%のアクリル樹脂を含む熱交換素子用シートを得た。この熱交換素子用シートの樹脂層に含まれるアクリル樹脂は変性アクリル樹脂ではない。
この熱交換素子用シートの構成を表1に示す。
各々の熱交換素子用シートについて行った評価の結果を、表2に示す。
実施例1~6の熱交換用シートは樹脂層にポリビニルピロリドンを含むため、高い透湿度を発現する。また、樹脂層に架橋構造を持つ変性アクリル樹脂を含むため、比較例1の熱交換素子用シートと比べて、高い洗浄耐久性を有している。
実施例1~6の熱交換素子用シートは樹脂層に変性アクリル樹脂を含むため、比較例3の熱交換素子用シートよりも透湿度が高い。
実施例3、4、6の熱交換素子用シートは樹脂層に炭素-炭素二重結合を2個以上有するアクリレートが架橋されてなった架橋構造を含む変性アクリル樹脂を含む。そのため、高い透湿度と洗浄耐久性を備えた熱交換素子用シートとなっている。
実施例5、6の熱交換素子用シートは樹脂層にウレタンアクリレートが架橋されてなった架橋構造を含む変性アクリル樹脂を含む。そのため、高い透湿度と、カールが抑制された熱交換素子用シートとなっている。
比較例2の熱交換素子用シートは樹脂層がアクリル樹脂のみで構成されている。アクリル樹脂はポリビニルピロリドン等と比べて成膜性が劣るため、アクリル樹脂のみで構成された樹脂層では多孔質基材の孔を有効に閉塞することができず、気体遮蔽性が低いものとなっている。比較例2の熱交換素子用シートの透湿度が高い理由は、上述のように、気体遮蔽性が低いため、空気と共に水分が熱交換素子用シートを透過しているためである。
Figure 0007409107000012
Figure 0007409107000013
101.熱交換素子用シート
102.多孔質基材
103.樹脂層
104.孔
105.孔の中に浸入した樹脂層成分

Claims (7)

  1. 少なくとも多孔質基材と樹脂層との積層体を備え、
    前記樹脂層が、アクリル樹脂に親水基が導入された変性アクリル樹脂と
    ポリビニルピロリドンおよび/またはビニルピロリドン共重合体との架橋構造を有しており、
    前記変性アクリル樹脂が、炭素-炭素二重結合を2個以上有するアクリレートが架橋されてなる架橋構造を含む、熱交換素子用シート。
  2. 前記炭素-炭素二重結合を2個以上有するアクリレートが架橋されてなる架橋構造が下記化学式(1)または(2)で表される構造を含む、請求項1に記載の熱交換素子用シート。
    Figure 0007409107000014
    (R1~R2は任意の長さのアルキル鎖、X~Xは任意の元素或いは分子構造を示す。)
    Figure 0007409107000015
    (R1~R4は任意の長さのアルキル鎖、X~Xは任意の元素或いは分子構造を示す。)
  3. 前記変性アクリル樹脂が、ウレタンアクリレートが架橋されてなる架橋構造を含む、請求項1または2に記載の熱交換素子用シート。
  4. 前記ポリビニルピロリドンおよび/またはビニルピロリドン共重合体が、架橋構造を有することを特徴とする、請求項1~3いずれかに記載の熱交換素子用シート。
  5. ポリビニルピロリドンおよび/またはビニルピロリドン共重合体と、親水基が導入された変性アクリル樹脂を含む塗液組成物を、前記多孔質基材の上に塗布して塗膜を形成した後に、前記塗膜に紫外線を照射する工程を有する、請求項1~4いずれかの熱交換素子用シートの製造方法。
  6. 請求項1~4のいずれかに記載の熱交換素子用シートを用いた熱交換素子。
  7. 請求項6に記載の熱交換素子を用いた熱交換器。

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