JP2024075061A - 積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】
本発明は、透湿性に優れた積層体を提供することを課題とする。
【解決手段】
多孔質フィルム基材、樹脂層および不織布の順に層を有する積層体であって、樹脂層はポリビニルピロリドンを主成分とし、不織布はビニロンを主成分としており、樹脂層と不織布が直接接合していることを特徴とする積層体である、積層体である。
【選択図】なし

Description

本発明は、積層体に関する。
加湿器や除湿器における加湿または除湿の方法として、透湿性の膜を利用した膜分離法が知られている(特許文献1)。加湿器における膜分離法では、膜の一方の面側の加湿源から膜を通して反対の面側に水蒸気の供給を行うが、この際に膜を移行できるのは水蒸気のみであるため、加湿源に存在していたカビや細菌を除去でき、常に正常な水分を供給できるという利点がある。また、エアコンなどの空調設備の除湿方法として、冷却凝縮法がよく知られている。しかし、近年では、ランニングコストが安価であり、装置構造が簡単な除湿方法として、膜分離法による除湿方法が注目されつつある。膜分離法による除湿方法では、膜の一方の面側に水蒸気を含んだ空気を供給すると共に、膜の他方の面側に吸湿剤を含む液体を供給することにより除湿を行う。この時、吸湿剤を含む液体が膜の反対側に移行すると、除湿器としての除湿効率が低下するため、膜には水蒸気のみを移行する性質が求められる。
ここで、透湿性の膜として、特許文献2では高い透湿性を維持しつつ、水蒸気のみの選択透過性を付与するために、多孔質支持膜上に緻密な層を形成した膜が開示されている。
特開2007-203280号公報 特開平05‐184890号公報
しかしながら、加湿器の場合には加湿源を高圧にしたり、除湿器の場合には吸湿剤を含む液体を高圧で循環させることがある等、膜の片側に高い圧力をかけることがあり、その場合には膜の膨張により緻密層の破壊が起こることがある。その対策として、圧力をかける面と反対側の膜の表面に不織布等の支持体を貼合して膜の膨張を抑制する方法が挙げられるが、その場合、貼合の際に使用する接着剤が水蒸気の透過を阻害してしまうという課題がある。
よって、前記の課題に鑑み、本発明は、膜の膨張による緻密層の破壊が抑制され、さらに透湿性にも優れた積層体を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は、下記の構成からなる。
(1)多孔質フィルム基材、樹脂層および不織布の順に層を有する積層体であって、樹脂層はポリビニルピロリドンを主成分とし、不織布はビニロンを主成分としており、樹脂層と不織布が直接接合していることを特徴とする積層体である、
好ましくは、(2)樹脂層と不織布が水素結合で結合していることを特徴とする(1)の積層体であり、
好ましくは、(3)前記不織布が、10秒/100ml以下であることを特徴とする(1)または(2)の積層体である。
本発明によれば、透湿性に優れた積層体を提供することができる。
以下に本発明の積層体について、詳細を説明する。本発明の積層体は、多孔質フィルム基材、樹脂層および不織布をこの順に有する。また、樹脂層はポリビニルピロリドンを主成分として含有しており、不織布はビニロンを主成分として含有している。そして、樹脂層と不織布とは直接結合している。
ここで、直接結合しているとは、樹脂層と不織布との間に接着剤や粘着剤などの第3成分が存在せず、樹脂層と不織布とがイオン間相互作用、水素結合、ファンデルワールス力などの分子間力により接合されていることを意味する。
また、樹脂層が、親水性樹脂であるポリビニルピロリドンを主成分として含有することで、この樹脂層の一方の面側から他方の面側への水蒸気の移行が担保される。さらに樹脂層と不織布とが直接接合している態様とすることで、樹脂層と不織布との間に接着剤などが存在せず、接着剤により水蒸気の移行が阻害されることを抑制できる。
また、本発明の積層体は不織布を有するため、この積層体の一方の面側から積層体に高い圧力がかかった場合でも、積層体の膨張が抑制され、特許文献2に記載の緻密層に相当するポリビニルピロリドンを主成分とする樹脂層の破壊が抑制される。
以上のことから、本発明の積層体は、膜分離法に供された場合であっても破壊が抑制されるとともに、優れた透湿性を有する。
(多孔質フィルム基材)
まず本発明に用いられるの多孔質フィルム基材について説明する。本発明に用いられる多孔質フィルム基材は微細な貫通孔を多数有し、透湿度を有している。高湿度環境での強度低下が少ないことや薄膜化しやすいことから高分子樹脂を原料とする多孔質フィルム基材が好適に用いられる。多孔質フィルム基材を構成する高分子樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、芳香族ポリアミド、フッ素系樹脂などいずれでも構わないが、生産コスト、入手し易さなどの観点からポリオレフィン樹脂が好ましい。上記ポリオレフィン樹脂を構成する単量体成分としては、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチルペンテン-1、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、5-エチル-1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン、ビニルシクロヘキセン、スチレン、アリルベンゼン、シクロペンテン、ノルボルネン、5-メチル-2-ノルボルネンなどが挙げられ、これらの単独重合体や、これらの単量体成分からなる群から選ばれる少なくとも2種の共重合体、これら単独重合体や共重合体のブレンドなどが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。特に、多孔質フィルム基材において、空孔率や平均細孔径など調整や製膜性、生産コストの低減などの観点から、上記の樹脂を構成する単量体成分は、エチレンおよびプロピレンからなる群から選ばれる1以上であることがより好ましい。
多孔質フィルム基材の厚さは、好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下であり、一方、好ましくは2μm以上、より好ましくは5μm以上である。多孔質フィルム基材の厚さを上述した上限値以下とすることで本発明の積層体の透湿度をより向上させることができる。また、多孔質フィルム基材の厚さを上述した下限値以上とすることにより、多孔質フィルム基材のハンドリング性がより優れたものとなるため、後述する本発明の積層体の作製方法において、多孔質フィルム基材上に樹脂層を塗工する場合に、熱と張力に耐えうる強度を多孔質フィルム基材に付与しやすくなる。。
多孔質フィルム基材の空孔率は、好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上である。多孔質フィルム基材の空孔率は透湿度と相関があると考えられており、空孔率が高くなればなるほど、多孔質フィルム基材の透湿度はより向上し、それを用いた積層体の透湿度もより向上する。
多孔質フィルム基材の平均細孔径は、好ましくは20nm以上、より好ましくは30nm以上である。一方、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下である。多孔質フィルム基材の平均細孔径は、多孔質フィルム基材の透湿度と相関があると考えられており、その平均細孔径を上述の下限値以上とすることにより、多孔質フィルム基材の透湿度はより向上し、積層体の透湿度もより向上する。一方で、その平均細孔径を上述した上限値以下とすることにより、後述する本発明の積層体の作製方法において、多孔質フィルム基材上に樹脂層を塗工する際に塗液の濡れ性がより高くなる。それにより、多孔質フィルム基材の面の上に、塗液をより薄く塗工することが可能となる。
多孔質フィルム基材の透湿度は、好ましくは透湿度80g/m/hr以上、より好ましくは90g/m/hr以上である。多孔質フィルム基材の透湿度は、積層体の透湿度を高めることに繋がるため、より高い値を示すことが好ましい。
多孔質フィルム基材を製膜する方法としては、公知の湿式法や公知の乾式法を採用することができる。
多孔質フィルム基材を構成する高分子樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲において、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、中和剤、帯電防止剤や有機粒子からなる滑剤、さらにはブロッキング防止剤や充填剤、非相溶性ポリマーなどの各種添加剤を含有させてもよい。特に、高分子樹脂がポリオレフィンである場合、加工時の熱履歴による酸化劣化を抑制する目的で、酸化防止剤を添加することが好ましい。また、必要に応じて、さらに、コロナ処理、プラズマ処理、界面活性剤含浸、表面グラフト等の親水化処理などの表面修飾を施してもよい。
(樹脂層)
本発明の積層体は、多孔質フィルム基材に存在する孔が樹脂層により閉塞されている。このため積層体は、カビや細菌、吸湿剤を含む液体といった水蒸気以外の成分の遮断性に優れたものとなる。
そして、この樹脂層はポリビニルピロリドンを主成分として含有する。ここで主成分としてポリビニルピロリドンを含有するとは、樹脂層全100質量%に対して、ポリビニルピロリドンを60質量%以上含有することを意味する。ポリビニルピロリドンは高い吸湿性を有する高分子樹脂であるため、このような高分子樹脂を主成分とする樹脂層を有した積層体は高い透湿度を得ることができる。またポリビニルピロリドンはビニロンと水素結合を形成できるため、ポリビニルピロリドンを主成分とする樹脂層は、後述するビニロンを主成分とする不織布と直接結合することができる。樹脂層におけるポリビニルピロリドンの含有量は、透湿度を向上する観点と後述する樹脂層と不織布の結合を強固にする観点から、樹脂層全100質量%に対して、80質量%以上であることが好ましい一方で、後述する耐水性の観点から、95質量%以下が好ましい。
また、樹脂層に含まれるポリビニルピロリドンの少なくとも一部は架橋しているものであることが好ましい。上記のような構成とすることで、積層体の表面に結露や結氷が発生するような環境下において、ポリビニルピロリドンが結露水に溶け出すことが抑制され、水蒸気以外の成分の遮断性を長期にわたり維持できる。ポリビニルピロリドンに架橋を形成する方法としては、加熱、紫外線照射、電子線照射およびγ線照射などが挙げられる。また前記の架橋に際して、架橋反応を効率的に進行させる観点から、多官能化合物等の架橋助剤を併用することも好ましく、紫外線照射で架橋反応を進行させる場合には、UV開始剤を併用することも好ましい。
上記のUV開始剤としては、例えば、ヒドロキシアルキルフェノン系化合物、アシルフォスフィンオキサイド系化合物、オキシム系化合物、ベンゾイン化合物、ベンゾフェノン系化合物等が挙げられる。これらの中でも熱安定性や樹脂層形成後の黄変が少ないという観点から、ヒドロキシアルキルフェノン系化合物が好ましい。
上記のヒドロキシアルキルフェノン系化合物としては、具体的には2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等が挙げられる。
本発明の樹脂層はウレタン樹脂を含んでいてもよい。ウレタン樹脂は水に不溶であり、ポリビニルピロリドン等の水溶性の樹脂のみで樹脂層を構成した場合と比べて高い耐水性を得ることができる。また、ウレタン樹脂は強靱で柔軟な物性を持っているため、ウレタン樹脂を含有する樹脂層は、薄くても強靱であり、多孔質フィルム基材に存在する孔の閉塞性に優れる樹脂層となり、さらに、積層体が屈曲や伸縮してもクラックや剥離が起こり難い樹脂層となる。そして、上記の孔が、より確実に樹脂層で閉塞されることで、積層体は高い遮断性を安定して発揮することができる。樹脂層におけるウレタン樹脂の含有量は、上記の効果から樹脂層全100質量%に対して5質量%が下限であることが好ましい一方で、ポリビニルピロリドンによる透湿性向上効果を阻害しない観点から、上限は40質量%であることが好ましい。
本発明の樹脂層の目付は少なすぎると多孔質フィルム基材に存在する孔を十分に閉塞できないことがあり、積層体の気体遮蔽性を損なうことがある。一方、多すぎると積層体の透湿度を損なうことがある。上記の観点から樹脂層の目付は0.1g/m以上であることが好ましい一方で、3.0g/m以下であることが好ましい。
本発明の積層体における樹脂層の形成方法としては、特に制限はないが、前述したポリビニルピロリドン、及び必要に応じて、ウレタン樹脂、添加剤や溶媒を含有する樹脂層形成用の塗液を多孔質フィルム基材上へ塗布し、必要に応じて溶媒を乾燥させることによって、多孔質フィルム基材上に樹脂層を形成する方法を挙げることができる。この際の塗液の溶媒としては水系溶媒を用いることが好ましい。塗液の溶媒に水系溶媒を用いることで、乾燥工程での溶媒の急激な蒸発を抑制でき、均一な膜厚の樹脂層を形成できるだけでなく、環境負荷の点で優れているためである。
ここで水系溶媒としては、水、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、およびプロピレングリコール等のグリコール類からなる群より選ばれる一種以上からなる水に可溶である溶媒を例示することができる。
塗液の多孔質フィルム基材上への塗布方法は、既知のウェットコーティング方法、例えばスプレーコーティング、ディップコーティング、スピンコーティング、ナイフコーティング、キスコーティング、グラビアコーティング、スロットダイコーティング、ロールコーティング、バーコーティング、スクリーン印刷、インクジェット印刷、パット印刷、他の種類の印刷などが利用できる。また塗布は、複数回に分けて行ってもよく、異なる2種類の塗布方法を組み合わせてもよい。好ましい塗布方法は、ウェットコーティングであるグラビアコーティング、バーコーティング、スロットダイコーティングである。
前記塗布工程の後、乾燥工程にて塗布された塗液から溶媒を除去する。溶媒の除去方法としては、熱風を多孔質フィルム基材に当てる対流熱風乾燥、赤外線乾燥装置からの輻射で基材に赤外線を吸収させて熱に変え加熱し乾燥させる輻射熱乾燥、熱媒体で加熱された壁面からの熱伝導で加熱し乾燥させる伝導熱乾燥、などを適用することができる。中でも対流熱風乾燥は乾燥速度が大きいため好ましい。乾燥温度は、多孔質フィルム基材に用いられる樹脂の融点以下で加工することが必要であり、その上限値はより好ましくは80℃以下、更に好ましくは60℃以下である。乾燥温度の上限値を上記のとおりとすることにより多孔質フィルム基材の熱による収縮率が5%以下となるため好ましい。一方、乾燥温度の下限値は乾燥効率の観点から、好ましくは40℃以上であり、更に好ましくは50%以上である。
(不織布)
本発明の積層体は、上述の多孔質フィルム基材および樹脂層の積層構成において、さらに樹脂層の表面にさらに支持体として不織布を有している。このような態様とすることで、積層体の多孔質フィルム基材側から圧力をかけた際の積層体の膨張が不織布によって抑制される。その結果、樹脂層におけるクラックや剥離も抑制され、カビや細菌、吸湿剤を含む液体といった水蒸気以外の成分の遮断性を保持できる。
また本発明の積層体は、不織布と樹脂層が接着剤などを介さずに直接結合している。通常、接着剤による樹脂層と不織布の接合では、樹脂層表面を部分的に接着剤が覆うことになるためその部分において水蒸気透過の阻害が起こるが、上記の態様、すなわち、樹脂層と不織布の間に接着剤が存在しないことで透湿性に優れた積層体とすることができる。
そして上記の不織布はビニロンを主成分とする。ここで、主成分としてビニロンを含有するとは、不織布全100質量%に対して、ビニロンを60質量%以上含有することを意味する。不織布が主成分としてビニロンを含有することで、ビニロンの有するヒドロキシル基と、樹脂層の主成分であるポリビニルピロリドンの有するカルボニル基のヒドロキシル基の間での水素結合を形成することができ、不織布と樹脂層の結合を強固なものとすることができる。不織布におけるビニロンの含有量は、不織布と樹脂層の結合をより強固なものとする観点から、不織布全100質量%に対して、80質量%以上であることが好ましい。
本発明に用いる不織布は、ビニロンを主成分として含有していれば特に限定されず、湿式不織布やレジンボンド式乾式不織布、サーマルボンド式乾式不織布、スパンボンド式乾式不織布、ニードルパンチ式乾式不織布、スパンレース式乾式不織布またはフラッシュ紡糸式乾式不織布等の公知の不織布を用いることができる。
本発明に用いる不織布は、透気度が10秒/100ml以下であることが好ましい。透気度は透湿度と相関があり、不織布の透気度が上記の値であることにより優れた透湿度を有する積層体とすることができる。積層体の透湿度を高くする観点から、不織布の透気度は低い値であるほどよく、1秒/100ml以下がより好ましい。
本発明の不織布の目付は少なすぎると支持体として機能できないことがあり、多すぎると嵩張りが発生するため、積層体を巻き取る際に長尺で巻くことができず、巻き取り用コアの切り替え頻度上昇に伴う生産性低下や、輸送コストの増加につながることがある。上記の観点から不織布の目付は20g/m以上であることが好ましく、30g/m以上であることがより好ましい一方で、100g/m以下であることが好ましく、50g/m以下であることがより好ましい。
本発明の積層体の製造において、多孔質フィルム基材上に形成した樹脂層の上に、さらに不織布を直接結合させる方法は、特に制限はないが、樹脂層および不織布の少なくとも一方に前述した水系溶媒を塗布した後、塗布した面に不織布または樹脂層を接合し、続いて乾燥する方法が挙げられる。このように水系溶媒で樹脂層および不織布の少なくとも一方の表面を濡らすことにより、両者が接合した際に、界面での水素結合が促進され接合を強固なものとすることができる。
水系溶媒の樹脂層または不織布への塗布方法は、前述の樹脂層の塗布方法と同様の方法を採用することができる。

以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これら実施例により限定されるものではない。本実施例で用いた測定法を以下に示す。特に断らない限り、測定値から数値を求めるときは、測定の数を2回とし、その平均値を数値として採用した。
<測定法>
(1)積層体の目付
100mm角の積層体の試験片を5枚用意し、それらを温度20℃、湿度65%RHの雰囲気中にて24hr静置し、その後に、5枚の試験片それぞれの質量(g)を測定し、その平均値を1m当たりの質量(g/m)で表し、積層体の目付(g/m)とした。
(2)不織布基材の目付
5枚の(1)の試験片から不織布を引きはがすことにより、不織布5枚を回収した。5枚の不織布それぞれの質量(g)を測定し、その平均値を1m当たりの質量(g/m)で表し、不織布の目付(g/m)とした。
(3)多孔質フィルム基材の目付
300ml容量の容器に充填された200mlの溶媒(酢酸エチル)に、(2)の不織布をはがした後の多孔質フィルム基材と樹脂層からなる試験片5枚を2分間含浸させ、5枚の試験片の表面および裏面を5回ずつ拭き取った。次に、再度、5枚の試験片を300ml容量の容器に充填された200mlの溶媒(酢酸エチル)に2分間浸漬させた。続いて、5枚の試験片を温度20℃、湿度65%RHの雰囲気中にて24hr静置し、積層体から樹脂層と不織布を除去した多孔質フィルム基材の試験片を得た。その後に、5枚の試験片それぞれの質量(g)を測定し、その平均値を1m当たりの質量(g/m)で表し、多孔質フィルム基材の目付(g/m)とした。
(4)樹脂層の目付
次に、(1)で求めた積層体の目付から、(2)と(3)で求めた不織布の目付および、多孔質フィルム基材の目付を引くことにより、樹脂層の目付(g/m)を計算した。
(5)樹脂層に含有される成分の特定と含有量
(3)で採取した樹脂層成分の酢酸エチル溶液を乾燥して、酢酸エチルを除去することにより得られた樹脂層成分を、熱分解ガスクロマトグラフィー(熱分解GC-MS)にかけることにより、樹脂層に含まれている成分を特定し、さらに、樹脂層に含まれる成分の含有量を求めた。
具体的には樹脂層成分0.1~1mgを専用カップに秤量し、フロンティア・ラボ(株)製「EGA/PY-3030D」マルチショット・パイロライザー装置にて第一段階は300℃で熱抽出し、第二段階は500℃で熱分解させ分解させて生成した分解物を、日本電子(株)製「JMS-Q1050GC」ガスクロマトグラフ質量分析計を用いて測定し、GC/MSクロマトグラム上で検出された全ピークをライブラリサーチし、組成を特定するとともに、ピーク面積から含有量を算出した。
(6)多孔質フィルム基材の厚さ
厚さは、(3)で採取した多孔質フィルム基材)の異なる箇所から200mm角の試験片を3枚採取し、温度20℃、湿度65%RHの雰囲気中にて24hr静置し、その後、3枚の試験片それぞれの中央と4隅の5点の厚さ(μm)を測定器(型式ID-112、(株)ミツトヨ製)を用いて測定し、15個の測定値の平均値を多孔質フィルム基材の厚さとした。
(7)多孔質フィルム基材の平均細孔径
JIS K3832(1990)バブルポイント法により測定した。(3)で採取した多孔質フィルム基材の異なる箇所から直径70mmの円形を5枚採取し試験片とし、パームポロメーター (型式CFP-1200AEX、西華産業(株))に試験片をセットし、その試験片の平均流量細孔径の測定を行い、試験片5枚の平均値を多孔質フィルム基材の平均細孔径(nm)とした。
(8)積層体の透湿度
透湿度は、JIS Z0208(1976)透湿度(カップ法)の方法により測定した。使用したカップは、直径60mmで深さ25mmである。試験片は、直径70mmの円形の積層体を5枚用意した。試験片を、温度20℃、湿度65%RHで24hr放置した。次に、その試験片を、水分測定用塩化カルシウム(和光純薬工業製)の入ったカップに設置し、試験片、塩化カルシウム、カップを併せた初期重量(T0)を測定し、次いで、温度20℃、湿度65%RHに設定した恒温恒湿槽内に試験片を静置し、静置を開始して、5時間後の時点における試験片、塩化カルシウム、カップを併せた重量(T5)を測定した。下記式により透湿度を求め、5枚の平均値を透湿度(g/m/hr)とした。
透湿度(g/m/hr)=(T5-T0)/5/0.002827
(9)積層体または不織布の透気度
透気度は、JIS P8117(1998)透気度(ガーレ試験機法)の方法により測定した。長さ100mm、幅100mmの試験片(積層体または不織布)を5枚用意した。試験片は温度20℃、湿度65%RHで24hr放置後、同温湿度の環境下で、ガーレ式デンソメータ(型式G-B3C、(株)東洋精機製作所)に試験片を設置し、空気100mlが通過する時間を測定し、5枚の平均値を透気度(秒/100ml)とした。なお、積層体においては透気度の値が大きいほど、積層体の気体遮断性は優れたものとなる。
(10)積層体の剥離強度
恒温槽を備えたオリエンテック社製“TENSILON”(登録商標)UCT-100を用いて、温度23℃の環境下で不織布と樹脂層の剥離強度(gf/10mm)を測定した。
具体的には、積層体を150mm(長手方向)×15mm(幅方向)の短冊状に切り出し、短冊の長手方向の片端部において不織布と樹脂層を引きはがし、片方のチャックに不織布、他方のチャックに樹脂層および多孔質フィルム基材をセットし、引張速度200mm/分で、剥離試験を行った。剥離力曲線において、剥離開始後の上限値と下限値を読み取りその平均値(A)を算出した。同様の測定を3回行い、得られた3つの平均値(A)の平均値を、積層体の剥離強度とした。なお、積層体の剥離強度とは、積層体における不織布と樹脂層との間の剥離強度を意味する。
(実施例1)
多孔質フィルム基材として、目付が6.7g/mであり、厚さが12μmであり、空孔率が43%であり、平均細孔径が33nmであるポリエチレン多孔性フィルムを用意した。この多孔質フィルム基材の透湿度は101g/m/hrであった。
次いで、以下の操作により樹脂層の塗料組成物を作製した。
樹脂層の材料としてポリビニルピロリドン(BASF社製“LuvitecK85”(登録商標))とポリウレタン樹脂の水分散体(第一工業製薬株式会社製“スーパーフレックス150”(登録商標)固形分濃度:30質量%)を用意した。溶媒としてエタノールと水の混合液を用いた。前記LuvitecK85とスーパーフレックス150とエタノールと水を質量比で3.6:1.3:62.7:32.4の割合で混合し、均一な液体となるまで撹拌して固形分4質量%の混合溶液とした。さらに、前記塗料組成物にUV開始剤として、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(IGMResins社製“Omnirad”(登録商標)184)をLuvitecK85に対して3質量%添加して、ポリビニルピロリドン/ウレタン樹脂/UV開始剤の含有量比で87.9/9.5/2.6となる樹脂層の塗料組成物とした。
次いで、以下の手順で多孔質フィルム基材の表面に樹脂層を形成した。
前記多孔質フィルム基材の表面にバーコーター番手番を用いて前記樹脂層の塗料組成物を塗布した。塗布後、60℃設定の熱風オーブン内で1分間乾燥させた。次に樹脂層を塗布した多孔質フィルム基材を台紙にテープで貼り付け、UV照射装置(アイグラフィックス株式会社製「ECS-301」)を用いて大気雰囲気下で500mJ/cmの照射量のUVを照射し、樹脂層を架橋させることにより、多孔質フィルム基材/樹脂層よりなる積層シートを得た。
次いで、以下の手順で積層シートにおける樹脂層の表面に不織布を接合した。不織布として、ビニロン/レーヨンの含有量比=70/30からなり、目付55g/mの不織布を用意した。物性は、透気度が1秒/100ml未満であった。
前記樹脂層のもう一方の表面にバーコーター番手0.7番を用いて水を塗布した。直後に、不織布を重ね合わせて、60℃設定の熱風オーブン内で1分間乾燥させることにより、積層体を得た。この積層体の物性を表1に示す。
(比較例1)
実施例1において得られた積層シートの樹脂層表面に、ホットメルトガンを用いてホットメルト接着剤をスプレー状に塗布し、直ちに実施例1と同じ不織布を重ね合わせた後、24時間保持して湿気による効果を促進させることにより、不織布と樹脂層が接着剤を介して結合した積層体を得た。この時用いたホットメルト接着剤は、湿気硬化型ウレタン(泰平ケマック株式会社製、品番:9504)であり、ホットメルト接着剤の塗布量が2g/mとなるように、ホットメルトガンの吐出圧力を設定した。この比較例1の積層体では、不織布と樹脂層とが直接接合されていなかった。
(比較例2)
実施例1で用いた不織布の代わりに、ビニロン/レーヨンの含有量比=40/60で、目付が55g/mであり、透気度が1秒/100ml未満である不織布を用いた以外は、実施例1と同様の方法で積層体を得た。この積層体の物性を表1に示す。この比較例2の積層体が有する不織布はビニロンを主成分として含有するものではなかった。
(比較例3)
実施例1における塗料組成物をポリビニルピロリドン/ウレタン樹脂/UV開始剤の含有量比で49.3/49.3/1.4となる樹脂層の塗料組成物とした以外は、実施例1と同様の方法で積層体を得た。この積層体の物性を表1に示す。この比較例3の積層体が有する樹脂層はポリビニルピロリドンを主成分として含有するものではなかった。
(実施例2)
実施例1における塗料組成物をポリビニルピロリドン/ウレタン樹脂/UV開始剤の含有量比で68.6/29.3/2.1となる樹脂層の塗料組成物とした以外は、実施例1と同様の方法で積層体を得た。この積層体の物性を表1に示す。この実施例2の積層体が有する樹脂層はポリビニルピロリドンを主成分として含有するものであった。
(実施例3)
実施例1で用いた不織布の代わりに、ビニロン含有量が100%で、目付70g/m、透気度が40秒/100mlの不織布を用いた以外は、実施例1と同様の方法で積層体を得た。この積層体の物性を表1に示す。この実施例3の積層体が有する不織布はビニロンを主成分として含有するものであった。
(比較例4)
実施例1で用いた不織布の代わりに、レーヨン含有量が100%で、目付が55g/mであり、透気度が1秒/100ml未満である不織布を用いた以外は、実施例1と同様の方法で積層体を得た。この積層体の物性を表1に示す。この比較例4の積層体が有する不織布はビニロンを主成分として含有するものではなかった。
(比較例5)
実施例1で用いた不織布の代わりに、ポリプロピレンからなり、目付が20g/mであり、透気度が1秒/100ml未満である不織布を用いた以外は、実施例1と同様の方法で積層体を得た。この積層体の物性を表1に示す。この比較例5の積層体が有する不織布はビニロンを主成分として含有するものではなかった。
(比較例6)
実施例1で用いた不織布の代わりに、ポリエチレンテレフタレートからなり、目付が40g/mであり、透気度が1秒/100ml未満である不織布を用いた以外は、実施例1と同様の方法で積層体を得た。この積層体の物性を表1に示す。この比較例6の積層体が有する不織布はビニロンを主成分として含有するものではなかった。
実施例1と比較例1の比較から、本発明の積層体は不織布と樹脂層が接着剤を介さずに直接結合していることにより、高い透湿度を有することがわかる。実施例1と比較例2、4、5、6の比較から、本発明の積層体は不織布がビニロンを主成分とすることにより、不織布と樹脂層の間で強固な結合が形成されており、100gf/15mm以上を示していることがわかる。
実施例1と比較例3の比較から、本発明の積層体は樹脂層がポリビニルピロリドンを主成分とすることにより、不織布と樹脂層の間で強固な結合が形成されており、100gf/15mm以上を示していることがわかる。
Figure 2024075061000001
本発明の積層体は、透湿性に優れた膜として除湿器や加湿器に用いることができる。

Claims (3)

  1. 多孔質フィルム基材、樹脂層および不織布の順に層を有する積層体であって、前記樹脂層はポリビニルピロリドンを主成分として含有し、前記不織布はビニロンを主成分として含有しており、前記樹脂層と前記不織布とが直接接合していることを特徴とする積層体である、積層体。
  2. 前記樹脂層と前記不織布とが、水素結合で結合していることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
  3. 前記不織布の透気度が、10秒/100ml以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の積層体。
JP2022186209A 2022-11-22 積層体 Pending JP2024075061A (ja)

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