JP6328983B2 - 機能性構造体および該機能性構造体の製造方法 - Google Patents

機能性構造体および該機能性構造体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、機能性構造体および該機能性構造体の製造方法に関する。
従来より、多孔性基材上に機能性粒子を担持させることで、該粒子が有する機能を多孔性基材に付与した構造体が知られている。
このような構造体としては、放電処理または紫外線照射処理された多孔質樹脂フィルムの細孔表面に、二酸化チタンのゾル液(アルコール・水溶液)等を用いて、光触媒粒子や抗菌性粒子が定着された機能性多孔質樹脂フィルム(特許文献1)、フッ素フィルム上にシランカップリング剤からなる架橋プライマー層を設け、該架橋プライマー層上にチタン酸化物および加水分解性ケイ素化合物の加水分解物から構成される組成物からなる光触媒機能層を設けたフッ素樹脂フィルム(特許文献2)、四フッ化エチレン樹脂延伸多孔質体上に形成された親水性樹脂層に、酸化チタンのポリビニルアルコール分散液等を用いて活物質が固定された多孔質体フィルター(特許文献3)、延伸多孔質ポリテトラフルオロエチレン膜上に、酸化チタンとアルキルシリケート系バインダーとを含む組成物等を用いて酸化チタンが担持された光触媒膜(特許文献4)、延伸ポリテトラフルオロエチレン膜と無機粉体を含む溶液とを接触させることで得られた膜と、親水性基を有する樹脂を含む溶液とを接触させ、次いで得られた膜にシランカップリング剤を付着させることで製造されたフィルム(特許文献5)が記載されている。
特開平9−278928号公報 特開2000−79666号公報 特開2001−844号公報 特開2001−226516号公報 特開2012−99574号公報
しかしながら、前記特許文献1〜5に記載の構造体は、機能性粒子が強固に多孔性基材に担持され難い傾向にあった。
また、前記特許文献1〜5に記載の構造体では、機能性粒子の機能が大いに発揮される構造体を得るために、機能性粒子を多く使用することが必要となる傾向にあった。このため、該機能性粒子が多孔性基材の孔を埋めてしまい、得られる構造体は、多孔性基材の多孔性、高空孔率等が十分に活かされていないものとなる傾向にあった。
前記機能性粒子は、通常、その粒子表面での反応等により機能が発揮される。このため、該機能性粒子の機能を最大に発揮するためには、担持される粒子は多孔性基材の内部を含む表面に存在することが望ましい。しかしながら、前記特許文献2〜5に記載の構造体では、機能性粒子がポリビニルアルコールやアルキルシリケートなどのバインダー中に埋没してしまうため、機能性粒子の機能が十分に発揮されない場合があった。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、機能性粒子が担持された後でも多孔性基材の平均細孔径が大きく変化せず、該機能性粒子の機能を効率よく発揮することができる、機能性粒子が強固に多孔性基材に担持された構造体を提供することを目的とする。
このような状況のもと、本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、親水化処理された多孔性樹脂基材に特定の付着性処理された機能性粒子が担持された機能性構造体によれば、前記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の構成例は以下の通りである。
[1] 親水化処理された多孔性樹脂基材に、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤およびアルミネートカップリング剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物で付着性処理された機能性粒子が担持されている、機能性構造体。
[2] 前記親水化処理された多孔性樹脂基材に担持された機能性粒子による該基材表面の被覆率が50〜100%である、[1]に記載の機能性構造体。
[3] 前記機能性構造体100重量%に対し、機能性粒子を0.5〜5.0重量%含む、[1]または[2]に記載の機能性構造体。
[4] 前記機能性構造体の平均細孔径が、前記親水化処理され、機能性粒子が担持されていない多孔性樹脂基材の平均細孔径の40〜100%である、[1]〜[3]のいずれかに記載の機能性構造体。
[5] 前記親水化処理された多孔性樹脂基材が、親水化処理された繊維状樹脂を含み、前記機能性粒子が該繊維状樹脂に担持されている、[1]〜[4]のいずれかに記載の機能性構造体。
[6] 前記多孔性樹脂基材が、フッ素系多孔性基材である、[1]〜[5]のいずれかに記載の機能性構造体。
[7] 前記機能性粒子が、金属酸化物粒子である、[1]〜[6]のいずれかに記載の機能性構造体。
[8] 下記工程1〜3を含む方法で得られた、[1]〜[7]のいずれかに記載の機能性構造体。
工程1:多孔性樹脂基材表面を親水化処理する工程
工程2:機能性粒子をシランカップリング剤、チタネートカップリング剤およびアルミネートカップリング剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物で付着性処理する工程
工程3:工程1で得られた親水化処理された多孔性樹脂基材に、工程2で得られた付着性処理された機能性粒子を担持する工程
[9] 前記工程3が、工程1で得られた親水化処理された多孔性樹脂基材を、工程2で得られた付着性処理された機能性粒子を含む液体に浸漬し、次いで、水およびアルコールからなる群より選ばれる少なくとも1種の溶液で洗浄する工程である、[8]に記載の機能性構造体。
[10] 下記工程1〜3を含む、[1]〜[9]のいずれかに記載の機能性構造体の製造方法。
工程1:多孔性樹脂基材表面を親水化処理する工程
工程2:機能性粒子をシランカップリング剤、チタネートカップリング剤およびアルミネートカップリング剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物で付着性処理する工程
工程3:工程1で得られた親水化処理された多孔性樹脂基材に、工程2で得られた付着性処理された機能性粒子を担持する工程
[11] 前記工程3が、工程1で得られた親水化処理された多孔性樹脂基材を、工程2で得られた付着性処理された機能性粒子を含む液体に浸漬し、次いで、水およびアルコールからなる群より選ばれる少なくとも1種の溶液で洗浄する工程である、[10]に記載の機能性構造体の製造方法。
本発明によれば、機能性粒子が担持された後でも多孔性基材の平均細孔径が大きく変化せず、該機能性粒子の機能を効率よく発揮することができる、機能性粒子が緻密かつ強固に多孔性基材に担持された構造体を得ることができる。
図1は、実施例1で得られた機能性構造体(TiO2担持膜)の一部を拡大したSEM画像である。 図2は、比較例4で得られたTiO2担持膜の一部を拡大したSEM画像である。
≪機能性構造体≫
本発明に係る機能性構造体(以下単に「構造体」ともいう。)は、親水化処理された多孔性樹脂基材(以下単に「親水化基材」ともいう。)に、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤およびアルミネートカップリング剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(以下「カップリング剤」ともいう。)で付着性処理された機能性粒子(以下単に「処理粒子」ともいう。)が担持されたものである。
このような本発明の構造体では、処理粒子と、親水化基材の反応基とが共有結合を形成する傾向にあるため、機能性粒子が強固に親水化基材に固定化されると考えられる。また、処理粒子は親水化基材表面(親水化基材の外表面の他に、親水化基材の内部に存在し、外部と通じた表面も含む。以下同様。)を覆うように担持される傾向にあるため、機能性粒子が担持された後でも多孔性基材の平均細孔径が大きく変化せず、用いた多孔性樹脂基材の多孔性および高空孔率等が十分に活かされた構造体となる傾向にあり、例えば、多孔性樹脂基材として所定の通気度を有するフィルターを用いた場合、通気度が著しく低下することのない機能性フィルターを得ることができる。
また、機能性粒子の担持量が少なくても、機能性粒子が親水化基材を薄く、満遍なく一様に覆い、機能性粒子の活性表面が埋没することなく親水化基材の表面に露出しているので、該機能性粒子が有する、高い抗菌活性、ガス分解能、吸着能などの機能に優れる構造体が得られる。
本発明の構造体は、前記親水化基材に担持された処理粒子による該基材表面の被覆率が、好ましくは50〜100%であり、より好ましくは85〜100%である。
被覆率が前記範囲にあると、機能性粒子の担持量が少なくても該機能性粒子の機能を効率よく発揮でき、機能性粒子が緻密かつ強固に多孔性基材に担持された構造体を得ることができる。また、必要最低限の機能性粒子の使用で機能性粒子の機能が十分に発揮されるため、多量の機能性粒子を含むことで同様の機能を発揮する従来の構造体に比べ、機能性粒子が構造体から脱落し難い耐久性に優れる構造体を得ることができる。
前記被覆率は、例えば、下記実施例に記載の方法で測定することができる。
前記高被覆率の構造体は、親水化基材と処理粒子とを用いることで製造することができ、例えば、親水化基材にバインダーを用いて多量の機能性粒子を担持させたとしても、このような高被覆率の構造体を得ることは容易ではない。
被覆率が前記範囲にある構造体は、例えば、用いる親水化基材の表面積、処理粒子の粒子径、ならびに、処理粒子およびカップリング剤の使用量等を調整することによって、製造することができる。
本発明の構造体は、該構造体100重量%に対し、機能性粒子を、好ましくは0.5〜5.0重量%、より好ましくは0.5〜2.0重量%含む。
機能性粒子の含有量が前記範囲にあると、該機能性粒子の機能が十分に発揮された構造体を得ることができる。
前記機能性粒子の含有量は、例えば、下記実施例に記載の方法で測定することができる。
機能性粒子の含有量が前記範囲にある構造体は、例えば、用いる親水化基材の重量ならびに処理粒子およびカップリング剤の使用量等を調整することによって、製造することができる。
本発明の構造体の平均細孔径は、好ましくは、用いた親水化基材の平均細孔径の40〜100%であり、より好ましくは70〜100%であり、さらに好ましくは75〜99%である。
本発明の構造体の平均細孔径(細孔径維持率)が前記範囲にあると、機能性粒子が担持された後でも多孔性基材の多孔性、高空孔率等が十分に活かされたものであり、用いた多孔性樹脂基材が有する特性を活かしたまま、機能性粒子の機能が効率よく発揮される構造体を得ることができる。なお、本発明の構造体の平均細孔径が用いた親水化基材の平均細孔径の100%であるとは、本発明の構造体の平均細孔径と用いた親水化基材の平均細孔径とが同じであることを意味する。
前記本発明の構造体の平均細孔径は、例えば、下記実施例に記載の方法で測定することができる。
平均細孔径が前記範囲にある構造体は、親水化基材と処理粒子とを用いることで製造することができ、さらには、用いる親水化基材の重量ならびに処理粒子およびカップリング剤の使用量等を調整することによって、製造することができる。
親水化基材に担持された処理粒子の該基材表面の被覆率、機能性粒子の含有量および平均細孔径が前記範囲にある構造体は、従来の機能性粒子を含む構造体に比べ機能性粒子の機能が効率よく発揮され、機能性粒子が親水化基材表面に薄く、満遍なく一様にかつ強固に担持されたものであり、機能性粒子がその凝集体として親水化基材に担持されるものではないので、機能性粒子が担持された後でも多孔性基材の多孔性、高空孔率等が十分に活かされたものである。
本発明の構造体の形状は特に制限されず、所望の用途に応じて適宜選択すればよいが、膜(フィルム)状の構造体が好ましい。
膜状の構造体の場合、その膜厚は、所望の用途に応じて適宜選択すればよいが、例えば、1〜100μmであり、好ましくは5〜70μmである。
本発明の構造体は、使用した多孔性樹脂基材の分離性、透過性、濾過性および選択吸着性等の特性を有し、かつ、機能性粒子が有する機能を有する構造体である。
従って、用いる機能性粒子にもよるが、例えば、空気中や水中の汚染物質を分解し浄化する光触媒材料や殺菌材料などの用途に好適に用いることができ、より具体的には、空気中や水中の種々の菌を捕捉し、光照射することにより殺菌または菌の増殖抑制を行うようなフィルターなどの用途に好適に用いることができる。
本発明の構造体は、前記効果および構造を有する構造体を容易に製造することができる等の点から、下記工程1〜3を含む方法で得られた構造体であることが好ましい。
工程1:多孔性樹脂基材表面を親水化処理する工程
工程2:機能性粒子をシランカップリング剤、チタネートカップリング剤およびアルミネートカップリング剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物で付着性処理する工程
工程3:工程1で得られた親水化基材に、工程2で得られた処理粒子を担持する工程
<工程1>
前記工程1は、多孔性樹脂基材を親水化処理する工程である。このような工程1としては、特に制限されず、従来公知の方法で行えばよい。
このような工程1では、該基材の有する多孔性を損なわないで、親水化基材を得ることが好ましく、具体的には、得られる親水化基材の25℃における水接触角が、好ましくは90°以下、より好ましくは60°以下、さらに好ましくは30°以下、特に好ましくは10°以下となるように多孔性樹脂基材表面を親水化処理することが望ましい。
なお、得られた親水化基材の25℃における水接触角は、例えば、下記実施例に記載の方法で測定することができる。
〈多孔性樹脂基材〉
前記機能性粒子は、通常、その粒子表面での反応等により機能が発揮される。このため、本発明の構造体において、機能性粒子が有する機能をより効率よく発揮させるためには、同じ体積であっても、機能性粒子が担持される面積が大きい基材を用いることが好ましく、このような基材として、多孔性樹脂基材が用いられる。
また、前記多孔性樹脂基材が、分離性、透過性、濾過性および選択吸着性等の特性を有する場合、本発明によれば、このような多孔性樹脂基材が有する特性を損なうことなく、そこに、さらに機能性粒子の機能を付与することができる。
前記多孔性樹脂基材としては、特に制限されないが、本発明の効果がより発揮される等の点から疎水性の多孔性樹脂基材が好ましく、このような基材としては、ポリスルホン、ポリアミド、ポリイミド、ポリプロピレン、ポリエチレン等からなる多孔性基材、および、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)等からなるフッ素系多孔性基材などが挙げられる。
前記機能性粒子として、酸化チタンなどの光触媒としての機能を有する粒子を用いる場合には、該粒子の強い酸化力のために、担持する基材自身が酸化される場合がある。このため、この場合には、前記の中でも、抗酸化力を持つ樹脂基材が好ましく、フッ素系多孔性基材がより好ましく、PTFEからなる多孔性基材がさらに好ましい。
前記多孔性樹脂基材は従来公知の種々の方法で得ることができる。例えば、前記樹脂を含む溶液の相変化を利用して細孔を形成する(相分離法)、細孔形成のための添加剤を樹脂に混合・分散して、成形後に除去する(抽出法)、前記樹脂を成形し、その後該成形体の一部分の結合を化学的に切断したり、逆に結合反応を行うことにより細孔を形成する(化学処理法)、樹脂を延伸し、ミクロフィブリル構造部分に微細孔を形成する、または、添加剤を混合分散し、延伸時に細孔を形成する(延伸法)、中性子線、レーザー等を照射して細孔を形成する(照射エッチング法)、樹脂微細片を加熱等により融着して多孔質体を成形する(融着法)、発泡剤を利用して細孔を形成する(発泡法)、前記の方法を組合せて細孔を形成する(複合法)、乾式紡糸、湿式紡糸、乾湿式紡糸、溶融紡糸、電界紡糸等により前記樹脂から繊維を形成し、該繊維を用いて織布または不織布を形成する方法が挙げられる。
前記多孔性樹脂基材としては、延伸PTFE膜(ePTFE膜)が、PTFEが有する耐熱性、耐薬品性、耐侯性および電気的絶縁性等の特性に加え、延伸していることにより孔を有し、柔軟性に富み、機械的強度が高い膜である等の点から好ましい。該ePTFE膜は、一軸延伸してなる膜または二軸以上の延伸をしてなる膜のいずれでも構わないが、得られる構造体の機械的強度等を考慮すると二軸延伸してなる膜が好ましい。
このようなePTFE膜は、その一部または全体がフィブリル化され、繊維状樹脂を含む基材となる。このような基材を用いることで、図1に示すような、処理粒子が薄く、満遍なく一様にかつ強固に、また、該処理粒子が凝集体として存在せず、多孔性樹脂基材および親水化基材の有する多孔性を損なわないような状態で、孔(細孔)を形成する親水化基材(繊維状PTFE)表面に担持されている構造体を得ることができる。
また、PTFE繊維からなる不織布(PTFE不織布)でも、同様の構造体を得ることができるため、前記多孔性樹脂基材としてPTFE不織布も好ましく用いることができる。
前記多孔性樹脂基材は、その表面には多数の孔が存在し、また、本発明の構造体が用いられる用途によっては連通孔を有していることが好ましい。
前記多孔性樹脂基材の、ASTM F316−86に基づき、PMI社製PERM−POROMETER測定器により表面張力21dynes/cmのイソプロピルアルコール(IPA)を用いて測定した平均細孔径は、所望の用途に応じて適宜選択すればよいが、好ましくは0.05〜2.0μm、より好ましくは0.1〜1.8μm、さらに好ましくは0.1〜1.3μmである。
また、前記多孔性樹脂基材の空孔率(多孔性樹脂基材の所定体積中に存在する孔(空隙)の総(体積)割合をいう。測定方法;(多孔性樹脂基材を形成する樹脂の真密度−みかけの密度)×100/多孔性樹脂基材の真密度)は、所望の用途に応じて適宜選択すればよいが、好ましくは20〜99%であり、より好ましくは50〜98%である。
前記多孔性樹脂基材の形状は特に制限されず、所望の用途に応じて適宜選択すればよいが、膜(フィルム)状の構造体が好ましい。
膜状の前記多孔性樹脂基材の場合、その厚みは、所望の用途に応じて適宜選択すればよいが、得られる構造体の強度等を考慮すると、好ましくは1〜100μmであり、より好ましくは3〜70μmである。
前記多孔性樹脂基材としては、従来公知の方法で製造したもの(製造品)または市販品を用いることができる。
市販品としては、例えば日本バルカー工業(株)製、sa−PTFETM(延伸PTFE膜、平均細孔径:0.58μm、空孔率:90%)、sa−PTFETM(延伸PTFE膜、平均細孔径:0.85μm、空孔率:85%)、PTFEナノファイバー(PTFE不織布、平均繊維径:900nm、平均細孔径:1.8μm、空孔率:85%)などが挙げられる。
〈親水化処理〉
前記親水化処理としては、特に制限されず、従来公知の方法で行えばよい。このような方法としては、親水性基を有する化合物(以下「親水性化合物」ともいう。)で前記多孔性樹脂基材を被覆する方法、前記多孔性樹脂基材を放電処理(例:コロナ放電、プラズマ放電)する方法、前記多孔性樹脂基材に紫外線や電子線を照射する方法、前記多孔性樹脂基材をアルカリ金属用いて処理する方法(例:テトラエッチ((株)潤工社製)を用いて処理する方法)などが挙げられる。
これらの中でも、容易に、安価に、安全に前記親水化基材を得ることができる等の点から、親水性化合物で前記多孔性樹脂基材を被覆する方法が好ましい。より具体的には、前記多孔性樹脂基材を、親水性化合物を含む溶液(以下「化合物溶液」ともいう。)に浸漬し、該化合物で被覆する方法が好ましい。
前記多孔性樹脂基材を、前記化合物溶液に浸漬する場合における浸漬時間は、前記多孔性樹脂基材表面が親水化処理される程度の時間であれば特に制限されず、用いる化合物溶液中の親水性化合物の濃度等にもよるが、好ましくは5秒〜20分、さらに好ましくは1分〜10分である。浸漬時間が上記範囲にあると、過剰の親水性化合物が付着または結合しない傾向にあり、前記多孔性樹脂基材の多孔性、高空孔率等が十分に活かされた親水化基材を得ることができ、また、工程時間が短くなることにより生産性が向上することが考えられる。
なお、浸漬温度や雰囲気は特に制限されず、使用する化合物溶液等に応じて適宜選択すればよい。
前記親水性化合物としては、特に制限されないが、親水性基を有する樹脂(以下「親水性樹脂」ともいう。)であることが好ましく、前記工程2で用いるカップリング剤と化学的または物理的に結合し得る樹脂であることが好ましい。
親水性化合物としては、例えば、水酸基含有化合物、カルボン酸基含有化合物、スルホン酸基含有化合物、エーテル基含有化合物、エポキシ基含有化合物およびアミノ基含有化合物が挙げられる。
これらの化合物は、1種単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
水酸基含有化合物としては、特に限定されないが、例えば、ポリビニルアルコール(PVA);アガロース、デキストラン、キトサン、セルロース等の多糖およびその誘導体;ゼラチン;ビニルアルコールとビニル基含有モノマーとの共重合体(例:ビニルアルコール−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体);アクリルポリオール、フッ素含有ポリオール、ポリオキシアルキレン、ポリエステルポリオール、ジエチレングリコールが挙げられる。
カルボン酸基含有化合物としては、特に限定されないが、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン等のオレフィン系モノマー、ブタジエン等のジエン系モノマー、スチレン等の芳香族基含有モノマー、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル等の(メタ)アクリル酸エステル系モノマーのうち、いずれか1種または2種以上のモノマー(i)と、アクリル酸およびメタクリル酸等のカルボン酸基を有するモノマ(ii)とのコポリマー;アクリル酸およびメタクリル酸等のカルボン酸基を有するモノマー(ii)のホモポリマーが挙げられる。
スルホン酸基含有化合物としては、特に限定されないが、例えば、スチレンとアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(塩)との共重合体;スチレンとn−ブチルアクリレートとアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(塩)との三元系共重合体;スチレンと2−エチルヘキシルアクリレートとアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(塩)との三元系共重合体が挙げられる。
エーテル基含有化合物としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレングリコールおよびその誘導体、エーテル基を有するフッ素系共重合体、エーテル基を有するポリウレタン樹脂、エーテル基を有するポリフェニレン樹脂が挙げられる。
エポキシ基含有化合物としては、特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、エポキシ基を有するアクリル系(共)重合体、エポキシ基を有するポリブタジエン樹脂、エポキシ基を有するポリウレタン樹脂、これらの樹脂の付加物または縮合物が挙げられる。
アミノ基含有化合物としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、ポリアミドポリアミン、ポリアミジン、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート、ポリジメチルアミノエチルアクリレートが挙げられる。
前記親水性化合物の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、好ましくは100〜1000000程度である。
前記親水性化合物としては、水酸基を多く有する点、下記機能性粒子を付着性処理する際に用いるカップリング剤との結合性の点などからPVAが好ましい。
PVAの鹸化度は、特に制限されないが、50〜100が好ましく、60〜100がより好ましい。鹸化度が50未満であると、得られる親水化基材の親水性が不十分になるおそれがある。
PVAの重量平均分子量は、特に制限されないが、200〜150000が好ましく、500〜100000がより好ましい。分子量が200未満だと、PVAを多孔性樹脂基材上に固定できず、該基材を親水化できないおそれがあり、分子量が150000を超えると、PVAが多孔性樹脂基材に浸透せず、該基材内部を親水化できないおそれがある。
PVAの市販品としては、RS2117(分子量74800)、PVA103(分子量13200、鹸化度98〜99)、PVA−HC(鹸化度99.85以上)、PVA−205C(分子量22000、高純度、鹸化度87〜89)、M−205(分子量22000、鹸化度87〜89)、M−115(分子量66000、鹸化度97〜98)(以上、(株)クラレ製)、PVA(和光純薬(株)製、重合度1500、鹸化度98)などが挙げられる。
前記化合物溶液中の親水性化合物の濃度は、好ましくは0.001〜5重量%、より好ましくは0.1〜2重量%である。
このような濃度の溶液を用いると、前記多孔性樹脂基材表面を十分に親水化処理することができ、処理粒子を強固に担持することができ、また、前記多孔性樹脂基材の多孔性、高空孔率等が十分に活かされた親水化基材を得ることができるため好ましい。
前記化合物溶液には、親水性化合物を溶解することができ、揮発し易い溶媒を配合することが好ましく、このような溶媒としては特に制限されないが、具体的には、水;メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、IPA、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等のアルコール類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類などが挙げられる。
前記溶媒は1種単独で、または2種以上を混合して使用できる。
前記溶媒は、化合物溶液中の親水性化合物の濃度が前記範囲となるような量で使用されることが好ましい。
前記溶媒としては、前記多孔性樹脂基材、特にePTFE膜に浸透しやすく、前記親水性化合物を溶解できる等の点から水が好ましい。
なお、前記多孔性樹脂基材として疎水性の基材を用い、前記化合物溶液として水溶液を用いる場合、何ら処理を施していない多孔性樹脂基材を該水溶液に浸漬させても、親水性化合物を基材の内部まで浸透させ、該化合物で基材を被覆することができない傾向にある。従って、このような水溶液を用いる場合には、前記工程1の前に、例えば、イソプロピルアルコールなどの水に相溶性のある化合物に多孔性樹脂基材を一旦浸漬させる工程0を行うことが好ましい。このことは、前記多孔性樹脂基材として、疎水性が高い基材、例えばフッ素系多孔性基材を用いる場合に特に有効である。
なお、工程0における浸漬時間や温度、浸漬雰囲気は特に制限されず、使用する化合物等に応じて適宜選択すればよい。
前記水に相溶性のある化合物としては、多孔性樹脂基材に浸透し易く、揮発し易い化合物が好ましく、特に制限されないが、具体的には、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、IPA、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等のアルコール類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類などが挙げられる。
これらの化合物は1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
これらの中でも、多孔性樹脂基材、特にフッ素系多孔性基材に浸透し易いため、IPAが好ましい。
〈工程1'〉
前記親水化処理として、親水性化合物で前記多孔性樹脂基材を被覆する方法を用いる場合には、ひび割れ等のしにくい耐久性に優れる構造体が得られる等の点から、必要により、基材を被覆した親水性化合物を架橋および/または重合する工程1'を行ってもよい。
なお、下記工程3'を行う場合には、この工程1'を行うことが好ましい。
前記工程1'として親水性化合物を重合する場合は、特に制限されず、従来より公知の方法で行えばよいが、例えば、電子線やプラズマなどの電離性放射線による放射線重合、熱エネルギーや重合開始剤を用いた化学重合などの方法が挙げられる。
前記工程1'として架橋を行う場合は、特に制限されず、従来より公知の方法で行えばよいが、例えば、電子線などの電離性放射線やプラズマによる照射架橋、熱架橋、架橋剤を用いた化学架橋などの方法が挙げられる。これらの架橋方法のうち、架橋の確実性から、架橋剤を用いた化学架橋が好適である。親水性化合物としてPVAを使用すると、多孔性樹脂基材にPVAを含浸塗布した状態が、常温の水溶液中で安定している。加熱架橋や嫌気的に行う照射架橋では、PVAの吸着状態が乱されたり、多孔性樹脂基材自身の強度が低下したりする場合があるのに対して、化学架橋は、水溶液中でも架橋が可能である等の点で好ましい。また、短時間処理という観点では、電子線などの電離性放射線やプラズマによる照射架橋を用いる方法が好ましい。
このような化学架橋の方法としては、前記親水性化合物で被覆された基材を、架橋剤を含む溶液に浸漬する方法でもよい。
なお、前記工程1'は工程1と同時に行ってもよく、この場合には、前記化合物溶液に架橋剤を配合したものを用いて行う方法等が挙げられる。
前記化学架橋で用いる架橋剤は、特に制限されず、使用する親水性化合物の種類に応じて、適宜選択すればよいが、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、テレフタルアルデヒド等のアルデヒド系化合物;ジアセチル、クロルペンタンジオン等のケトン化合物;ビス(2−クロロエチル尿素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン等の反応性のハロゲンを有する化合物;ジビニルスルホン等の反応性のオレフィンを有する化合物;N−メチロール化合物;イソシアナート類;アジリジン化合物類;カルボジイミド系化合物類;エポキシ化合物;ムコクロル酸等のハロゲンカルボキシアルデヒド類;ジヒドロキシジオキサン等のジオキサン誘導体;クロム明ばん、硫酸ジルコニウム、ほう酸、ほう酸塩、リン酸塩等の無機架橋剤;1,1−ビス(ジアゾアセチル)−2−フェニルエタン等のジアゾ化合物;ジスクシンイミジルエステルを含む化合物;および二官能性マレイン酸イミドなどが挙げられる。
架橋剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これら架橋剤のうち、グルタルアルデヒドやテレフタルアルデヒド等のアルデヒド系化合物を用いて、酸触媒下で行う架橋法が、常温で反応性が高く、架橋量が一定量に安定し、生成する架橋点(例:アセタール結合)も比較的耐薬品性が高いことから、特に好ましい。
前記親水性化合物で被覆された基材を架橋剤を含む溶液に浸漬する場合における浸漬時間や温度、浸漬雰囲気は、前記親水性化合物が十分に架橋される条件であれば特に制限されない。
前記架橋剤を含む溶液には、必要により架橋剤を溶解し得る溶媒を用いてもよく、水が好ましい。
また、前記酸触媒としては、従来より公知の触媒を用いることができ、特に制限されないが、例えば、塩酸等が挙げられる。
前記工程1や工程1'で得られた親水化基材は、必要により乾燥させて工程3で用いてもよい。
また、前記工程1'で得られた親水化基材は、必要により未反応の親水性化合物および架橋剤を除去した後、必要により乾燥させて工程3で用いてもよい。
<工程2>
前記工程2は、機能性粒子をカップリング剤で付着性処理する工程である。このような工程2としては、前記親水化基材に担持可能な処理粒子を得ることができれば特に制限されず、従来公知の方法で行えばよい。
〈機能性粒子〉
前記機能性粒子としては、特に制限されないが、カップリング剤と結合し得る無機粉体であることが好ましく、金属酸化物粒子がより好ましい。
金属酸化物粒子は、酸性条件下においてその表面に水酸基が生じる傾向にあり、該水酸基がカップリング剤と反応することで、該粒子を付着性処理することができる。
前記金属酸化物粒子としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、アルミナ、ジルコニア、セリア、シリカ、イットリア、ボロニア、マグネシア、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カリウム、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、カルシア、フェライト、ハフニア、酸化タングステン、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化バリウム、酸化ストロンチウム、酸化バナジウム、酸化インジウム、アルミノケイ酸塩、リン酸カルシウム等を主成分とする粒子が挙げられる。
機能性粒子は、1種単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
前記機能性粒子としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、アルミナ、ジルコニア、酸化鉄、マグネシア、酸化インジウム、酸化タングステン等の金属酸化物粒子が好ましく、光触媒、殺菌剤などとしての機能を有する酸化チタンがより好ましい。
前記機能性粒子の動的光散乱法で測定した平均粒子径は、用いる親水化基材に応じ、例えば、繊維状樹脂を含む基材を用いる場合には、その繊維径に応じて適宜選択すればよいが、好ましくは0.001〜1.0μmであり、より好ましくは0.005〜0.1μmである。機能性粒子の平均粒子径が前記範囲にあると、機能性粒子が担持された後でも多孔性基材の平均細孔径が大きく変化せず、多孔性基材および機能性粒子の機能を効率よく発揮することができる、機能性粒子が緻密かつ強固に多孔性基材に担持された構造体を得ることができる。
〈付着性処理〉
前記付着性処理としては、特に制限されず、カップリング剤を用い、従来公知の方法で行えばよい。
このような方法としては、容易に前記処理粒子を得ることができる等の点から、カップリング剤で前記機能性粒子を被覆する方法が好ましい。より具体的には、前記機能性粒子を、カップリング剤を含む溶液(以下「カップリング剤溶液」ともいう。)に分散させ、該カップリング剤で被覆する方法が好ましい。
付着性処理には、機能性粒子およびカップリング剤以外の添加剤(例えば、ポリビニルアルコールなどの親水性化合物やポリマー粒子)を含む溶液を用いてもよい。この場合、前記付着性処理とは、機能性粒子100重量部に対し、該添加剤の配合量が50重量部未満である溶液を用いることをいう。添加剤の配合量が50重量部以上では、機能性微粒子が添加剤に埋もれるため、該機能性粒子の機能を効率よく発揮することができない傾向にある。従って、カップリング剤溶液には上記添加剤を含まないことが好ましい。
前記親水化基材に担持される処理粒子が過剰のカップリング剤で機能性粒子が被覆されたものである場合、得られる構造体において、該機能性粒子の機能が発揮されない場合がある。従って、工程2で得られる処理粒子は、前記機能性粒子を親水化基材に強固に担持できるだけの処理がされていることが好ましい。
このような適度な付着性処理がされた機能性粒子は、具体的には、機能性粒子とカップリング剤との使用量の割合、カップリング剤溶液のpH、および、機能性粒子をカップリング剤溶液に分散させる時の該溶液の温度などを適宜調整することで得ることができる。
工程2におけるカップリング剤の使用量は、機能性粒子100重量部に対し、好ましくは0.1〜1000重量部であり、より好ましくは0.1〜100重量部であり、さらに好ましくは1〜10重量部である。
機能性粒子とカップリング剤とを前記範囲の割合で用いることで、適度な付着性処理がされた機能性粒子を容易に得ることができる。
前記カップリング剤溶液のpHは、カップリング剤の反応性向上、機能性粒子の分散性向上等の点から、好ましくはpH1.0〜pH5.5であり、より好ましくはpH1.5〜pH3.0である。
このようなカップリング剤溶液のpHは、用いる機能性粒子およびカップリング剤、ならびに、必要により配合される溶媒等によって決まるが、得られた溶液のpHによっては、該溶液のpHが前記範囲となるように、硝酸等のpH調整剤を添加してもよい。
前記カップリング剤溶液に配合してもよい溶媒としては、特に制限されないが、カップリング剤を溶解し得る溶媒が好ましく、水およびIPAがより好ましい。
また、機能性粒子をカップリング剤溶液に分散させる時の該溶液の温度としては、カップリング剤の反応性を向上させ、少ない量のカップリング剤でも親水化基材に対し十分な付着性を有する処理粒子が得られる等の点から、好ましくは40〜80℃であり、より好ましくは50〜70℃である。
前記機能性粒子をカップリング剤溶液に分散させる時の分散時間は、特に制限されないが、適度な付着性処理がされた機能性粒子を容易に得ることができる等の点から、好ましくは5〜90分であり、より好ましくは10〜60分である。
なお、浸漬雰囲気は特に制限されず、使用する機能性粒子およびカップリング剤等に応じて適宜選択すればよい。
〈シランカップリング剤〉
前記シランカップリング剤としては、特に制限されないが、ビニル系シランカップリング剤、エポキシ系シランカップリング剤、スチリル系シランカップリング剤、(メタ)アクリロキシ系シランカップリング剤、アミノ系シランカップリング剤、ウレイド系シランカップリング剤、クロロプロピル系シランカップリング剤、ポリスルフィド系シランカップリング剤、イソシアネート系シランカップリング剤、メルカプト系シランカップリング剤、トリアジン系シランカップリング剤およびイミダゾール系シランカップリング剤などが挙げられ、エポキシ系シランカップリング剤、アミノ系シランカップリング剤および(メタ)アクリロキシ系シランカップリング剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
シランカップリング剤は1種単独で、または2種以上を混合して使用できる。
このようなシランカップリング剤としては、具体的には、特開2012−99574号公報に記載のシランカップリング剤等が挙げられ、従来公知の方法で製造したものを用いてもよく、または市販品を用いてもよい。
前記シランカップリング剤のうちでは、機能性粒子を親水化基材に強固に担持できる等の点から、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルフェニルトリメトキシラン、4−グリシジルブチルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−3−(4−(3−アミノプロポキシ)ブトキシ)プロピル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、イミダゾールシラン、トリアジンシランおよびγ−メルカプトプロピルトリメトキシシランが好ましい。
これらの中でも、前記シランカップリング剤としては、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシランおよび3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることが同上の点から好ましい。
〈チタネートカップリング剤〉
前記チタネートカップリング剤としては、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラノルマルブトキシド、ブチルチタネートダイマー、チタンテトラ−2−エチルヘキソキシド、チタンジオクチロキシビス(オクチレングリコレート)、テトラメチルチタネート、チタンアセチルアセトネート、チタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)、チタンテトラアセチルアセトネート、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)、チタンエチルアセトアセテート、チタンオクタンジオレート、チタンジイソプロポキシビス(トリエタノールアミネート)、チタントリエタノールアミネート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、ポリヒドロキシチタンステアレート等が挙げられ、市販品としては、KR38S、KR44、KR46B、KR55、KR9SA、KRTTS、KR41B、KR138S、KR238S、KR338X(以上、味の素ファインテクノ(株)製)等が挙げられる。
これらの中でも、チタンテトライソプロポキシド等のアルコキシド系チタネートカップリング剤が好ましい。
チタネートカップリング剤は1種単独で、または2種以上を混合して使用できる。
〈アルミネートカップリング剤〉
前記アルミネートカップリング剤としては、アルミニウムイソプロピレート、モノsec−ブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムsec−ブチレート、アルミニウムエチレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムジイソプロポキシモノオレイルアセトアセテート、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムモノイソプロポキシモノオレオキシエチルアセトアセテート、環状アルミニウムオキサイドイソプロピレート、環状アルミニウムオキサイドオクチレート、環状アルミニウムオキサイドステアレート等が挙げられる。
これらの中でも、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート等が好ましい。
アルミネートカップリング剤は1種単独で、または2種以上を混合して使用できる。
前記工程2で得られた処理粒子は、必要により乾燥させて工程3で用いてもよい。また、工程2を、機能性粒子をカップリング剤溶液に分散させ、該カップリング剤で被覆する方法で行う場合には、得られる処理粒子を含む分散液をそのまま工程3に用いてもよい。
<工程3>
前記工程3は、工程1で得られた親水化基材に、工程2で得られた処理粒子を担持させる工程である。このような工程3は、特に制限されず、従来公知の方法で行えばよい。
このような方法としては、容易に、安価に処理粒子を親水化基材に担持させることができる等の点から、工程2で得られた処理粒子を含む分散液に、工程1で得られた親水化基材を浸漬する方法が好ましい。
前記工程2で使用する親水化基材と機能性粒子の使用量は、得られる本発明の構造体100重量%に対し、機能性粒子が前記範囲で含まれるような量であることが好ましい。
工程2で得られた処理粒子を含む分散液に、工程1で得られた親水化基材を浸漬する時の該溶液の温度としては、カップリング剤の反応性を向上させ、親水化基材に対し十分な付着性を有する処理粒子が得られる等の点から、好ましくは40〜80℃であり、より好ましくは50〜70℃である。
また、浸漬時間は、特に制限されないが、親水化基材に担持された処理粒子の該基材表面の被覆率、機能性粒子の含有量および平均細孔径が前記範囲にある構造体を容易に得ることができる等の点から、好ましくは1〜30分であり、より好ましくは3〜10分である。
なお、浸漬雰囲気は特に制限されず、使用する親水化基材および処理粒子に応じて適宜選択すればよい。
前記工程3では、処理粒子を親水化基材に担持させた後、該処理粒子が担持された親水化基材を水およびアルコールからなる群より選ばれる少なくとも1種の溶液で洗浄する工程(以下「工程3'」ともいう。)を行うことがより好ましい。
前記工程2で得られた処理粒子は、通常、該粒子の全面がカップリング剤で被覆されている。このカップリング剤は、親水化基材との強固な接着のため重要ではあるが、機能性粒子が親水化基材と接する部分以外の部分に存在するカップリング剤は、存在する意味がなく、むしろ、機能性粒子の機能の発揮を低下させる可能性がある。従って、本発明の構造体は、機能性粒子と親水化基材との間にカップリング剤(またはその反応物)が存在し、機能性粒子表面のその他の部分にはカップリング剤(またはその反応物)が存在しないような構造体であることが好ましい場合がある。
前記工程3'で用られ得るアルコールとしては、カップリング剤が溶解するようなアルコールであることが好ましく、具体的には、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、IPA、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等が挙げられる。
前記工程3'は、具体的には、工程3で得られた処理粒子が担持された親水化基材を、水やアルコールに浸漬したり、該基材に水やアルコールをかける、吹き付けるなどの方法で行うことができる。
前記工程3や工程3'で得られた処理粒子が担持された親水化基材は、必要により、加熱し、乾燥させてもよい。
該加熱温度は、工程3や工程3'で得られた構造体に含まれていることのある溶媒を乾燥できる温度であれば特に制限されないが、好ましくは50〜200℃、より好ましくは100〜200℃である。
なお、加熱の代わりに、工程3や工程3'で得られた処理粒子が担持された親水化基材を減圧下で乾燥させてもよい。
以下、本発明の製造方法を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
以下の実施例で用いた材料は以下のとおりである。
・ePTFE膜a(日本バルカー工業(株)製、sa−PTFETMシリーズ、平均細孔径:0.58μm、空孔率:90%、厚み:11μm、大きさ:14.8cm×21.0cm)
・ePTFE膜b(日本バルカー工業(株)製、sa−PTFETMシリーズ、平均細孔径:0.85μm、空孔率:85%、厚み:15μm、大きさ:14.8cm×21.0cm)
・PTFE不織布(日本バルカー工業(株)製、平均繊維径:900nm、平均細孔径:1.8μm、空孔率:85%、厚み:60μm)
・99.7%IPA溶液(和光純薬(株)製)
・PVA(和光純薬(株)製「160−11485」、重合度1500、鹸化度98)
・グルタルアルデヒド5%水溶液(和光純薬(株)製のグルタルアルデヒド25%水溶液を純水で希釈し、グルタルアルデヒドの濃度を5%に調整した溶液)
・ポリエチレングリコールジビニルエーテル(SIGMA-ALDRICH(株)製、平均分子量250)
・99.7%メタノール溶液(和光純薬(株)製)
・塩酸(和光純薬(株)製、36%水溶液)
・シランカップリング剤:(LS−2940(信越シリコーン(株)製)、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)
・機能性粒子:酸化チタン STS−01(石原産業(株)製、30wt%水分散液)
[実施例1]
ePTFE膜aを、室温25℃で、99.7%IPA溶液に1分間浸漬させた。次いで、ePTFE膜aを取り出し、0.5重量%濃度に調整したPVAの水溶液500mL中に室温で10分間浸漬させた。その後、PVAの水溶液に浸漬させたePTFE膜aを取り出し、溶液(グルタルアルデヒド5%水溶液500mLに、塩酸を5mL添加した溶液)に、室温で60分間浸漬させた。
得られたePTFE膜aを取り出し、純水中に入れ、95℃にて30分間煮沸し、未反応のPVA、グルタルアルデヒドおよびIPAを溶解させた。
その後、自然乾燥することによって、膜表面の25℃における水接触角が0°である親水化ePTFE膜aが得られた。
また、ePTFE膜bを用い、同様にして親水化ePTFE膜bを作成した。
なお、得られた親水化ePTFE膜aの25℃における水接触角は該膜表面に水滴を滴下して10秒後、接触角計(協和界面科学(株)製の接触角計、CA−X型)を用いて測定した値である。
pHが1.5となるように、H2O(50重量部)およびIPA(50重量部)からなる溶液に硝酸を混合し、そこに、シランカップリング剤(0.02重量部)を添加し、60℃でよく攪拌した。その後、STS−01を、酸化チタンの添加量が2重量部となるように加え、60℃でよく攪拌した。
得られた分散液(約60℃)に、前記で得られた親水化ePTFE膜aを数分間浸漬した後、該分散液から取り出した。取り出した膜を蒸留水で洗浄し、120℃で15分間乾燥させることで、TiO2担持膜を得た。
得られたTiO2担持膜のSEM(日立ハイテクノロジーズ(株)製、S−3400)像を図1に示す。図1において、粒子状の白い部分は、担持されたTiO2粒子であり、網目状の繊維部分は、親水化ePTFE膜a(親水化ePTFE繊維)である。
得られたTiO2担持膜は、処理粒子(TiO2粒子)が薄く、満遍なく一様にかつ強固に、また、該処理粒子が凝集体として存在せず、多孔性樹脂基材(ePTFE膜a)および親水化基材(親水化ePTFE膜a)の有する多孔性を損なわないような状態で、孔(細孔)を形成する親水化基材表面に担持されている。
このような構造体は、使用した多孔性樹脂基材の分離性、透過性、濾過性および選択吸着性等の特性を損なうことなく機能性粒子の機能が十分に発揮されるものとなり、また、機能性粒子の脱離が起こりにくいものとなる。
このSEM像(50,000倍)の写真より、親水化ePTFE膜a表面の被覆率を算出した。具体的には、SEM像の任意の10箇所(実寸0.2μm×0.2μmの大きさ)を選択し、それぞれの箇所における親水化ePTFE膜a(親水化ePTFE繊維)の表面積(TiO2粒子で被覆されている部分と被覆されていない部分とを合わせた面積)と、TiO2粒子で被覆されていない親水化ePTFE膜aの表面積を算出し、これらの結果から、それぞれの箇所における被覆率を算出し、得られた被覆率の平均値を表2に示す。
[TiO2粒子担持量の測定]
親水化ePTFE膜aに担持されたTiO2粒子の担持量を、RIGAKU CIROS MarkII((株)理学製)を用いて測定した高周波誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析により測定した。結果は、TiO2担持膜100重量に対する割合として表2に示す。
なお、TiO2粒子の担持量としては、ICP発光分光分析の測定結果より得られるTi元素の質量から、次式により算出されるTiO2質量を用いた。
TiO2質量=Ti元素の質量×(TiO2分子量/Ti分子量)
このときTiO2分子量=79.87、Ti分子量=47.87として計算した。
[平均細孔径およびガーレー値]
得られたTiO2担持膜について、ASTM F316−86に基づき、PMI社製PERM−POROMETER測定器により、表面張力21dynes/cmのIPAを用いて、平均細孔径およびガーレー値を測定した。また、得られたTiO2担持膜について、親水化ePTFE膜に対する細孔径維持率を算出した。結果を表2に示す。
さらに、未処理のePTFE膜および、親水化ePTFE膜の平均細孔径の結果も併せて表2に示す。
[実施例2〜6、比較例1〜4]
実施例1において、基材の種類、ならびに、付着性処理剤の種類および使用量を表1に示すように変更した以外は、それぞれ実施例1と同様にしてTiO2担持膜を得た。得られたTiO2担持膜を用い、実施例1と同様にして、被覆率、TiO2粒子担持量、平均細孔径およびガーレー値を測定した。結果を表2に示す。
実施例1〜6で得られたTiO2担持膜は、前記該担持膜の物性の測定の際に粉落ち等が起こらず、TiO2粒子が強固に親水化ePTFE膜に担持されていた。
実施例で得られたTiO2担持膜は、TiO2粒子が薄く、満遍なく一様にかつ強固に、また、該処理粒子が凝集体として存在せず、多孔性樹脂基材(ePTFE膜a)および親水化基材(親水化ePTFE膜a)の有する多孔性を損なわないような状態で、孔(細孔)を形成する親水化基材表面に担持されていると考えられ、多孔性樹脂基材の分離性、透過性、濾過性および選択吸着性等の特性を損なうことなく機能性粒子の機能が十分に発揮されることを確認できた。
一方、比較例で得られたTiO2担持膜は、TiO2粒子が親水化基材表面に不均一に担持している膜(比較例1)、TiO2粒子がPVAに埋没した状態で親水化基材に担持している膜(比較例2および3)、TiO2粒子の凝集体が親水化基材に担持している膜(比較例4)であると考えられる。
なお、比較例4で得られたTiO2担持膜を実施例1と同様にして撮影したSEM像を図2に示す。
[抗菌性評価]
JIS R 1702ガラス密着法に基づいて、綿標準布、未処理ePTFE膜a、親水化ePTFE膜aおよび実施例1で得られたTiO2担持膜(TiO2担持ePTFE)を用い、これらそれぞれの膜に8時間紫外線を放射(紫外線放射照度:0.1mW/cm2)した後の黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus NBRC 12732)量(数)を測定した。また、下記式で算出される、未処理ePTFE膜a、親水化ePTFE膜aおよびTiO2担持膜の、前記黄色ブドウ球菌の静菌活性値を算出した。結果を表3に示す。
静菌活性値=log(B/C)
(Bは、綿標準布上の光照射後の生菌数であり、Cは未処理ePTFE膜a、親水化ePTFE膜aまたはTiO2担持膜上の光照射後の生菌数である。)
なお、静菌活性値は、2.0以上で抗菌効果が高いことを示し、0未満では、抗菌効果がない(試験不成立である)ことを示す。
[ガス分解性評価]
未処理ePTFE膜aおよび実施例1で得られたTiO2担持膜(TiO2担持ePTFE)を用い、光触媒消臭加工繊維製品認証基準で定める方法((社)繊維評価技術協議会)に基づいて、アンモニア濃度を測定し、アンモニア濃度の減少率を算出した。なお、アンモニアの初発濃度は14ppmとし、バッグとして、スマートバッグPA(ジーエルサイエンス社製)を用いた。結果を表4に示す。
実施例1で得られたTiO2担持膜は、機能性粒子(TiO2)の機能を効率よく発揮することができているといえる。また、実施例2〜6で得られたTiO2担持膜も同様に、機能性粒子の機能が効率よく発揮されると考えられる。
[実施例7]
PTFE不織布を、室温25℃で、99.7%メタノール溶液で調整した3.0重量%濃度のポリエチレングリコールジビニルエーテル溶液に5分間浸漬させた。浸漬させたPTFE不織布を取り出し、25℃で5分間風乾させた。
風乾後のPTFE不織布に、大気圧プラズマ処理装置(べセル(株)製)を用いて、30秒間プラズマ照射を行った。その結果、PTFE不織布の繊維上にポリエチレングリコールジビニルエーテルがコーティングされた(架橋したと考えられる)、膜表面の25℃における水接触角が20°である(実施例1と同様に測定)、親水化PTFE不織布を得た。
得られた親水化PTFE不織布を基材として用いた以外は実施例1と同様の方法にて、TiO2担持PTFE不織布を作成した。得られたTiO2担持PTFE不織布は、機能性粒子であるTiO2が担持された後でもPTFE不織布の平均細孔径が大きく変化せず、TiO2が強固にPTFE不織布に担持された構造体であった。
[ガス分解性評価]
得られたTiO2担持PTFE不織布を用い、光触媒消臭加工繊維製品認証基準で定める方法((社)繊維評価技術協議会)を準用して、メチルメルカプタン濃度を測定し、メチルメルカプタン濃度の減少率を算出した。なお、メチルメルカプタンの初発濃度は8ppmとし、バッグとして、スマートバッグPA(ジーエルサイエンス社製)を用いた。結果を表5に示す。
前記結果より、TiO2担持PTFE不織布を用いた場合には、光触媒の効果により効率よくガス(メチルメルカプタン)分解が行われたことが分かる。従って、大気圧プラズマ処理により得られた親水化PTFE不織布に担持された機能性粒子であるTiO2は、その機能が効率よく発揮されたといえる。

Claims (8)

  1. 親水化処理された多孔性樹脂基材に、シランカップリング剤(但し、該シランカップリング剤はポリオキシアルキレン基を含まない。)、チタネートカップリング剤およびアルミネートカップリング剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物で付着性処理(但し、ポリビニルアルコールを用いない。)された機能性粒子が担持されており
    前記機能性粒子が金属酸化物粒子である、
    機能性構造体。
  2. 前記親水化処理された多孔性樹脂基材に担持された機能性粒子による該基材表面の被覆率が50〜100%である、請求項1に記載の機能性構造体。
  3. 前記機能性構造体100重量%に対し、機能性粒子を0.5〜5.0重量%含む、請求項1または2に記載の機能性構造体。
  4. 前記機能性構造体の平均細孔径が、前記親水化処理され、機能性粒子が担持されていない多孔性樹脂基材の平均細孔径の40〜100%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の機能性構造体。
  5. 前記親水化処理された多孔性樹脂基材が、親水化処理された繊維状樹脂を含み、前記機能性粒子が該繊維状樹脂に担持されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の機能性構造体。
  6. 前記多孔性樹脂基材が、フッ素系多孔性基材である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の機能性構造体。
  7. 下記工程1〜3を含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の機能性構造体の製造方法。
    工程1:多孔性樹脂基材表面を親水化処理する工程
    工程2:機能性粒子をシランカップリング剤(但し、該シランカップリング剤はポリオキシアルキレン基を含まない。)、チタネートカップリング剤およびアルミネートカップリング剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物で付着性処理(但し、ポリビニルアルコールを用いない。)する工程
    工程3:工程1で得られた親水化処理された多孔性樹脂基材に、工程2で得られた付着性処理された機能性粒子を担持する工程
  8. 前記工程3が、工程1で得られた親水化処理された多孔性樹脂基材を、工程2で得られた付着性処理された機能性粒子を含む液体に浸漬し、次いで、水およびアルコールからなる群より選ばれる少なくとも1種の溶液で洗浄する工程である、請求項に記載の機能性構造体の製造方法。
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