JP2014223777A - 機能性構造体 - Google Patents

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直子 荒谷
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Abstract

【課題】機能性粒子の機能が効率よく発揮され、機能性粒子の脱落が抑制された構造体を提供すること。
【解決手段】平均粒子径が500nm以下の機能性粒子および繊維状樹脂を含む粒子含有多孔性層と、前記機能性粒子の脱落を抑制する脱落抑制層とを有する機能性構造体。
【選択図】なし

Description

本発明は、機能性構造体に関し、具体的には、ナノサイズの機能性粒子を有する機能性構造体に関する。
従来より、多孔性基材上に機能性粒子を担持させることで、該粒子が有する機能を多孔性基材に付与した構造体が知られている。
このような構造体として、触媒を担持するフィルター基材と、前記フィルター基材に積層されて、前記触媒の脱落を抑制する脱落抑制層とを含む触媒バグフィルターが開示されている(特許文献1)。
特開2008−119614号公報
しかしながら、前記特許文献1に記載の触媒バグフィルターは、触媒が有する機能を充分に発揮できるものではなかった。また、触媒の有する機能が大いに発揮された構造体を得るために触媒の使用量を多くすれば、触媒がフィルター基材の空隙を埋めてしまうため、基材の有する特性が失われる傾向にあり、さらに、基材から、多くの触媒が脱落(粉落ち)しやすい傾向にあった。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、機能性粒子の機能が効率よく発揮され、機能性粒子の脱落が抑制された構造体を提供することを目的とする。
このような状況のもと、本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、繊維状樹脂および特定の機能性粒子を含む粒子含有多孔性層と、該機能性粒子の脱落を抑制する脱落抑制層とを有する機能性構造体によれば、前記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の構成例は以下の通りである。
[1] 平均粒子径が500nm以下の機能性粒子および繊維状樹脂を含む粒子含有多孔性層と、前記機能性粒子の脱落を抑制する脱落抑制層とを有する機能性構造体。
[2] 厚さが500μm以下である、[1]に記載の機能性構造体。
[3] 前記機能性粒子が、繊維状樹脂からなる多孔性基材に担持されている、[1]または[2]に記載の機能性構造体。
[4] 前記繊維状樹脂がフッ素系樹脂である、[1]〜[3]のいずれかに記載の機能性構造体。
[5] 前記粒子含有多孔性層100重量%に対し、機能性粒子を0.5〜5.0重量%含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の機能性構造体。
[6] 前記脱落抑制層が、粒子径が10〜500nmである粒子の捕集率が80%以上の層である、[1]〜[5]のいずれかに記載の機能性構造体。
[7] 前記多孔性基材に担持された機能性粒子による該基材表面の被覆率が20〜100%である、[3]〜[6]のいずれかに記載の機能性構造体。
[8] 前記粒子含有多孔性層が、繊維状樹脂からなる多孔性基材に、少なくとも1種の、前記機能性粒子および多孔性基材に対し接着性を有する化合物で付着性処理された機能性粒子が担持されている層である、[1]〜[7]のいずれかに記載の機能性構造体。
[9] 前記粒子含有多孔性層が、下記工程2〜3を含む方法で得られた層である、[3]〜[8]のいずれかに記載の機能性構造体。
工程2:機能性粒子を、少なくとも1種の、前記機能性粒子および多孔性基材に対し接着性を有する化合物で付着性処理する工程
工程3:前記多孔性基材に、工程2で得られた付着性処理された機能性粒子を担持する工程
[10] 前記脱落抑制層が、平均繊維径が10nm〜5μmの範囲にあるPTFE繊維の不織布からなる層である、[1]〜[9]のいずれかに記載の機能性構造体。
本発明によれば、機能性粒子の機能が効率よく発揮され、機能性粒子の脱落が抑制された構造体を得ることができる。
図1は、未処理の多孔性基材の一部を拡大したSEM画像(10,000倍)である。 図2は、実施例1で得られたTiO2担持ePTFE膜の一部を拡大したSEM画像(50,000倍)である。
≪機能性構造体≫
本発明に係る機能性構造体(以下「構造体」ともいう。)は、平均粒子径が500nm以下の機能性粒子および繊維状樹脂を含む粒子含有多孔性層と、前記機能性粒子の脱落を抑制する脱落抑制層とを有する。
このような本発明の構造体は、該機能性粒子の機能が効率よく発揮され、たとえ機能性粒子が粒子含有多孔性層から脱落しても、構造体からの脱落や大気中への飛散が抑制されるため、機能性粒子の有する機能が大いに発揮され、耐久性に優れ、かつ、人体や環境等に悪影響を及ぼし難い構造体である。
<粒子含有多孔性層>
前記粒子含有多孔性層は、平均粒子径が500nm以下の機能性粒子および繊維状樹脂を含む層であれば特に制限されない。前記粒子含有多孔性層は、ナノサイズの機能性粒子および繊維状樹脂を含み、多孔性であるため、機能性粒子の機能が効率よく発揮される。
前記粒子含有多孔性層の形状は特に制限されず、所望の用途に応じて適宜選択すればよいが、膜(フィルム)状であることが好ましい。
膜状である場合、その膜厚は、所望の用途に応じて適宜選択すればよいが、例えば、1〜300μmであり、好ましくは5〜200μmである。
〈機能性粒子〉
前記機能性粒子の平均粒子径は、繊維状樹脂の繊維径等に応じて適宜選択すればよいが、好ましくは1〜500nm、より好ましくは5〜200nmである。
機能性粒子の平均粒子径が前記範囲にあると、機能性粒子の機能を効率よく発揮することができる構造体が得られ、特に、本発明の構造体が、該機能性粒子が多孔性基材に担持された構造体である場合には、粒子担持後でも多孔性基材の平均細孔径が大きく変化せず、多孔性基材および機能性粒子の機能を効率よく発揮することができる、基材の繊維が微細であっても機能性粒子が緻密に多孔性基材に担持された構造体を得ることができる。
また、平均粒子径が前記範囲にある機能性粒子を用いることで、省スペース化に対応できる、および、微小部材に適用できる構造体を得ることができる。
粒子含有多孔性層における前記機能性粒子の平均粒子径の値は、電子顕微鏡観察し、平均値を算出することで得られ、具体的には、下記実施例に記載の方法で算出される。
前記機能性粒子としては、特に制限されず、有機材料でも無機材料でもよいが、繊維状樹脂および下記付着性処理剤との接着性の観点から、金属酸化物粒子であることがより好ましい。
前記金属酸化物粒子としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、アルミナ、ジルコニア、セリア、シリカ、イットリア、ボロニア、マグネシア、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カリウム、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、カルシア、フェライト、ハフニア、酸化タングステン、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化バリウム、酸化ストロンチウム、酸化バナジウム、酸化インジウム、アルミノケイ酸塩、リン酸カルシウム等を主成分とする粒子が挙げられる。
前記機能性粒子としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、アルミナ、ジルコニア、酸化鉄、マグネシア、酸化インジウム、酸化タングステン等の金属酸化物粒子が好ましく、光触媒、殺菌剤などの機能を有する酸化チタンがより好ましい。
前記機能性粒子は、1種単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
本発明の構造体は、前記粒子含有多孔性層100重量%に対し、機能性粒子を、好ましくは0.5〜5.0重量%、より好ましくは0.5〜2.0重量%含む。
機能性粒子の含有量が前記範囲にあると、該機能性粒子の機能が十分に発揮された構造体を得ることができる。
前記機能性粒子の含有量は、例えば、下記実施例に記載の方法で測定することができる。
機能性粒子の含有量が前記範囲にある粒子含有多孔性層は、例えば、下記(II)の方法で該層を形成する際には、用いる多孔性基材の重量ならびに機能性粒子および付着性処理剤の使用量等を調整することによって、形成することができる。
前記粒子含有多孔性層の形成方法は特に制限されないが、(I)機能性粒子と繊維状樹脂と、必要により粒子含有多孔性層を形成し得る他の成分とを混合(混練)し、または、機能性粒子と延伸処理等することにより繊維状樹脂となる樹脂などの粒子含有多孔性層を形成し得る他の成分とを混合(混練)し、層を形成する方法でもよいし、(II)繊維状樹脂からなる多孔性基材に、機能性粒子を担持させる方法でもよい。
前記粒子含有多孔性層の形成方法は、前記方法(II)が好ましい。
このような方法で得られた粒子含有多孔性層は、機能性粒子が多孔性基材表面(多孔性基材の外表面の他に、多孔性基材の内部に存在し、外部と通じた表面も含む。以下同様。)を覆うように担持される傾向にあるため、機能性粒子が担持された後でも多孔性基材の平均細孔径が大きく変化せず、用いた多孔性基材の多孔性および高空孔率等が十分に活かされた粒子含有多孔性層となる傾向にあり、例えば、多孔性基材として所定の通気度を有するフィルターを用いた場合、通気度が著しく低下することのない機能性フィルターを得ることができる。
また、機能性粒子の担持量が少なくても、機能性粒子が多孔性基材を薄く、満遍なく一様に覆い、機能性粒子の活性表面が埋没することなく多孔性基材の表面に露出しているので、該機能性粒子が有する、高い抗菌活性、ガス分解能、吸着能などの機能に優れる構造体が得られる。
前記粒子含有多孔性層は、多孔性基材に担持された機能性粒子による該基材表面の被覆率が、好ましくは20〜100%であり、より好ましくは50〜100%、さらに好ましくは85%〜100%である。
被覆率が前記範囲にあると、機能性粒子の担持量が少なくても該機能性粒子の機能を効率よく発揮でき、機能性粒子が緻密に多孔性基材の繊維状樹脂表面に担持された粒子含有多孔性層を得ることができる。また、平均粒子径が500nm以下の機能性粒子の使用量が少量でも、該機能性粒子の機能が十分に発揮されるため、多量の機能性粒子を含むことで同様の機能を発揮する従来の構造体に比べ、薄く、機能性粒子が脱落し難い、耐久性に優れる粒子含有多孔性層を得ることができる。
前記被覆率は、例えば、下記実施例に記載の方法で測定することができる。
前記高被覆率の粒子含有多孔性層は、繊維状樹脂からなる多孔性基材に機能性粒子を担持処理することで形成することができ、具体的には、繊維状樹脂からなる多孔性基材に機能性粒子を直接担持させる方法、繊維状樹脂からなる多孔性基材に機能性粒子とバインダーとの混合物を担持させる方法、繊維状樹脂からなる多孔性基材に、少なくとも1種の、多孔性基材および機能性粒子に対し接着性を有する化合物(以下「付着性処理剤」ともいう。)で付着性処理した機能性粒子(以下「処理粒子」ともいう。)を担持させる方法で形成することができる。
これらの中でも、機能性粒子の多孔性基材への担持力(担持強度)、多孔性基材表面における機能性粒子の露出度や被覆率等の観点から、繊維状樹脂からなる多孔性基材に処理粒子を担持させる方法が好ましい。
被覆率が前記範囲にある粒子含有多孔性層は、例えば、用いる多孔性基材の表面積、多孔性基材を形成する繊維状樹脂の繊維径、機能性粒子の粒子径、ならびに、機能性粒子および付着性処理剤の使用量等を調整することによって、形成することができる。
前記粒子含有多孔性層の平均細孔径は、好ましくは、用いた多孔性基材の平均細孔径の40〜100%であり、より好ましくは70〜100%である。
前記粒子含有多孔性層の平均細孔径が前記範囲にあると、機能性粒子が担持された後でも多孔性基材の多孔性、高空孔率等が十分に活かされたものであり、用いた多孔性基材が有する特性を活かしたまま、機能性粒子の機能が効率よく発揮される構造体を得ることができる。なお、前記粒子含有多孔性層の平均細孔径が用いた多孔性基材の平均細孔径の100%であるとは、前記粒子含有多孔性層の平均細孔径と用いた多孔性基材の平均細孔径とが同じであることを意味する。
前記粒子含有多孔性層の平均細孔径は、例えば、下記実施例に記載の方法で測定することができる。
平均細孔径が前記範囲にある粒子含有多孔性層は、多孔性基材と処理粒子とを用いることで形成することができ、さらには、処理粒子および付着性処理剤の使用量等を調整することによって、形成することができる。
前記粒子含有多孔性層に担持された機能性粒子の該基材表面の被覆率、機能性粒子の含有量および平均細孔径が前記範囲にある層は、従来の機能性粒子を含む層に比べ機能性粒子の機能が効率よく発揮され、機能性粒子が多孔性基材表面に薄く、満遍なく一様に担持されたものであり、機能性粒子がその凝集体として多孔性基材に担持されるものではないので、機能性粒子が担持された後でも多孔性基材の多孔性、高空孔率等が十分に活かされたものである。
前記方法(II)で形成された粒子含有多孔性層は、使用した多孔性基材の分離性、透過性、濾過性および選択吸着性等の特性を有し、かつ、機能性粒子が有する機能を有する層である。
従って、用いる機能性粒子にもよるが、例えば、空気中や水中の汚染物質を分解し浄化する光触媒材料や殺菌材料などの用途に好適に用いることができ、より具体的には、空気中や水中の種々の菌を捕捉し、光照射することにより殺菌または菌の増殖抑制を行うようなフィルターなどの用途に好適に用いることができる。
前記粒子含有多孔性層は、前記効果および構造を有する層を容易に形成することができる等の点から、具体的には、下記工程2〜3を含む方法で得られた層であることが好ましい。
工程2:機能性粒子を、少なくとも1種の付着性処理剤で付着性処理する工程
工程3:多孔性基材に、工程2で得られた処理粒子を担持する工程
・工程2
前記工程2は、機能性粒子を付着性処理剤で付着性処理する工程である。このような工程2としては、多孔性基材に担持可能な処理粒子を得ることができれば特に制限されず、従来公知の方法で行えばよい。
〔付着性処理〕
前記付着性処理としては、特に制限されず、付着性処理剤を用い、従来公知の方法で行えばよい。
このような方法としては、容易に処理粒子を得ることができる等の点から、付着性処理剤で前記機能性粒子を被覆する方法が好ましい。より具体的には、前記機能性粒子を、付着性処理剤を含む溶液(以下「付着性処理剤溶液」ともいう。)に分散させ、該付着性処理剤で被覆する方法が好ましい。
付着性処理剤としては、多孔性基材および機能性粒子に対し接着性を有する化合物であれば特に限定されず、分子中に有機材料および/または無機材料と反応する1種以上の反応基をもつ化合物であることが好ましい。また付着性処理剤は、1種類の化合物であってもよいし、2種以上の化合物を含んでいてもよい。
有機材料および/または無機材料と反応する反応基としては、特に限定されないが、例えば、ビニル基、エポキシ基、アクリロイル基、アミノ基、アゾ基、カルボニル基、ケトン基、カルボキシル基、イソシアネート基、メルカプト基、メタクリロイル基、アルコキシ基が挙げられる。
付着性処理剤は、用いる多孔性基材および機能性粒子により適宜選定すればよいが、例えば、有機材料からなる多孔性基材および無機材料からなる機能性粒子を用いる場合、付着性処理剤としては、アルコキシ基を含んでなる各種カップリング剤を用いることが、多孔性基材と機能性粒子とをより強固に接着できるため好ましい。このようなカップリング剤としては、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤などが挙げられる。
付着性処理には、機能性粒子および付着性処理剤以外の添加剤(例えば、ポリマー粒子)を含む溶液を用いてもよい。この場合、前記付着性処理とは、機能性粒子100重量部に対し、該添加剤の配合量が50重量部未満である溶液を用いることをいう。添加剤の配合量が50重量部以上では、機能性微粒子が添加剤に埋もれるため、該機能性粒子の機能を効率よく発揮することができない傾向にある。従って、付着性処理剤溶液には上記添加剤を含まないことが好ましい。
前記多孔性基材に担持される処理粒子が過剰の付着性処理剤で機能性粒子が被覆されたものである場合、得られる構造体において、該機能性粒子の機能が発揮されない場合がある。従って、工程2で得られる処理粒子は、前記機能性粒子を多孔性基材に強固に担持できるだけの処理がされた粒子であることが好ましい。
このような適度な付着性処理がされた機能性粒子は、具体的には、機能性粒子と付着性処理剤との使用量の割合、付着性処理剤溶液のpH、および、機能性粒子を付着性処理剤溶液に分散させる時の該溶液の温度などを適宜調整することで得ることができる。
工程2における付着性処理剤の使用量は、機能性粒子100重量部に対し、好ましくは0.1〜1000重量部であり、より好ましくは0.1〜100重量部であり、さらにより好ましくは1〜10重量部である。
機能性粒子と付着性処理剤とを前記範囲の割合で用いることで、適度な付着性処理がされた機能性粒子を容易に得ることができる。
前記付着性処理剤溶液のpHは、付着性処理剤の反応性向上、機能性粒子の分散性向上等の点から、好ましくはpH0.1〜pH6.0であり、より好ましくはpH1.0〜pH3.0である。
このような付着性処理剤溶液のpHは、用いる機能性粒子および付着性処理剤、ならびに、必要により配合される溶媒等によって決まるが、得られた溶液のpHによっては、該溶液のpHが前記範囲になるように、硝酸等のpH調整剤を添加してもよい。
前記付着性処理剤溶液に配合してもよい溶媒としては、特に制限されないが、付着性処理剤を溶解し得る溶媒が好ましく、例えば付着性処理剤がカップリング剤である場合、水およびIPAがより好ましい。
また、機能性粒子を付着性処理剤溶液に分散させる時の該溶液の温度としては、付着性処理剤の反応性を向上させ、少ない量の付着性処理剤でも多孔性基材に対し十分な付着性を有する処理粒子が得られる等の点から、好ましくは10〜80℃であり、より好ましくは40〜70℃である。
前記機能性粒子を付着性処理剤溶液に分散させる時の分散時間は、特に制限されないが、適度な付着性処理がされた機能性粒子を容易に得ることができる等の点から、好ましくは1〜90分であり、より好ましくは10〜60分である。
なお、浸漬雰囲気は特に制限されず、使用する機能性粒子および付着性処理剤等に応じて適宜選択すればよい。
〔シランカップリング剤〕
前記シランカップリング剤としては、特に制限されないが、ビニル系シランカップリング剤、エポキシ系シランカップリング剤、スチリル系シランカップリング剤、(メタ)アクリロキシ系シランカップリング剤、アミノ系シランカップリング剤、ウレイド系シランカップリング剤、クロロプロピル系シランカップリング剤、ポリスルフィド系シランカップリング剤、イソシアネート系シランカップリング剤、メルカプト系シランカップリング剤、トリアジン系シランカップリング剤およびイミダゾール系シランカップリング剤などが挙げられ、エポキシ系シランカップリング剤、アミノ系シランカップリング剤および(メタ)アクリロキシ系シランカップリング剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
シランカップリング剤は1種単独で、または2種以上を混合して使用できる。
このようなシランカップリング剤としては、具体的には、特開2012−99574号公報に記載のシランカップリング剤等が挙げられ、従来公知の方法で製造したものを用いてもよく、または市販品を用いてもよい。
前記シランカップリング剤のうちでは、機能性粒子を多孔性基材、特に下記親水化基材に強固に担持できる等の点から、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルフェニルトリメトキシラン、4−グリシジルブチルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−3−(4−(3−アミノプロポキシ)ブトキシ)プロピル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、イミダゾールシラン、トリアジンシランおよびγ−メルカプトプロピルトリメトキシシランが好ましい。
これらの中でも、前記シランカップリング剤としては、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシランおよび3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることが同上の点から好ましい。
〔チタネートカップリング剤〕
前記チタネートカップリング剤としては、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラノルマルブトキシド、ブチルチタネートダイマー、チタンテトラ−2−エチルヘキソキシド、チタンジオクチロキシビス(オクチレングリコレート)、テトラメチルチタネート、チタンアセチルアセトネート、チタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)、チタンテトラアセチルアセトネート、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)、チタンエチルアセトアセテート、チタンオクタンジオレート、チタンジイソプロポキシビス(トリエタノールアミネート)、チタントリエタノールアミネート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、ポリヒドロキシチタンステアレート等が挙げられ、市販品としては、KR38S、KR44、KR46B、KR55、KR9SA、KRTTS、KR41B、KR138S、KR238S、KR338X(以上、味の素ファインテクノ(株)製)等が挙げられる。
これらの中でも、チタンテトライソプロポキシド等のアルコキシド系チタネートカップリング剤が好ましい。
チタネートカップリング剤は1種単独で、または2種以上を混合して使用できる。
〔アルミネートカップリング剤〕
前記アルミネートカップリング剤としては、アルミニウムイソプロピレート、モノsec−ブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムsec−ブチレート、アルミニウムエチレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムジイソプロポキシモノオレイルアセトアセテート、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムモノイソプロポキシモノオレオキシエチルアセトアセテート、環状アルミニウムオキサイドイソプロピレート、環状アルミニウムオキサイドオクチレート、環状アルミニウムオキサイドステアレート等が挙げられる。
これらの中でも、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート等が好ましい。
アルミネートカップリング剤は1種単独で、または2種以上を混合して使用できる。
前記工程2で得られた処理粒子は、必要により乾燥させて工程3で用いてもよい。また、工程2を、機能性粒子を付着性処理剤溶液に分散させ、該付着性処理剤で被覆する方法で行う場合には、得られる処理粒子を含む分散液をそのまま工程3に用いてもよい。
・工程3
前記工程3は、多孔性基材に、工程2で得られた処理粒子を担持させる工程である。このような工程3は、特に制限されず、従来公知の方法で行えばよい。
このような方法としては、容易に、安価に処理粒子を多孔性基材に担持させることができる等の点から、工程2で得られた処理粒子を含む分散液に、多孔性基材を浸漬する方法が好ましい。
前記工程2で使用する多孔性基材および機能性粒子の使用量は、得られる粒子含有多孔性層100重量%に対し、機能性粒子が前記範囲で含まれるような量であることが好ましい。
工程2で得られた処理粒子を含む分散液に、多孔性基材を浸漬する時の該溶液の温度としては、付着性処理剤の反応性を向上させ、多孔性基材に対し十分な付着性を有する処理粒子が得られる等の点から、好ましくは10〜80℃であり、より好ましくは40〜70℃である。
また、浸漬時間は、特に制限されないが、多孔性基材に担持された機能性粒子の該基材表面の被覆率、機能性粒子の含有量および平均細孔径が前記範囲にある層を容易に得ることができる等の点から、好ましくは10秒〜30分であり、より好ましくは1〜10分である。
なお、浸漬雰囲気は特に制限されず、使用する多孔性基材および処理粒子に応じて適宜選択すればよい。
前記工程3では、処理粒子を多孔性基材に担持させた後、該処理粒子が担持された多孔性基材を水およびアルコールからなる群より選ばれる少なくとも1種の液体で洗浄する工程(以下「工程3'」ともいう。)を行うことがより好ましい。
前記工程2で得られた処理粒子は、通常、該粒子の全面が付着性処理剤で被覆されている。この付着性処理剤は、多孔性基材との強固な接着のため重要ではあるが、機能性粒子が多孔性基材と接する部分以外の部分に存在する付着性処理剤は、存在する意味がなく、むしろ、機能性粒子の機能の発揮を低下させる可能性がある。従って、前記粒子含有多孔性層は、機能性粒子と多孔性基材との間に付着性処理剤(またはその反応物)が存在し、機能性粒子表面のその他の部分には付着性処理剤(またはその反応物)が存在しないような層であることが好ましい場合がある。
前記工程3'で用いられ得るアルコールとしては、付着性処理剤が溶解するようなアルコールであることが好ましく、付着性処理剤がカップリング剤である場合、具体的には、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール(IPA)、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等が挙げられる。
前記工程3'は、具体的には、工程3で得られた処理粒子が担持された多孔性基材を、水やアルコールに浸漬したり、該基材に水やアルコールをかける、吹き付けるなどの方法で行うことができる。
前記工程3や工程3'で得られた処理粒子が担持された多孔性基材は、必要により、加熱し、乾燥させてもよい。
該加熱温度は、工程3や工程3'で得られた層に含まれ得る溶媒を乾燥できる温度であれば特に制限れないが、好ましくは50〜300℃、より好ましくは100〜200℃である。
なお、加熱の代わりに、工程3や工程3'で得られた処理粒子が担持された多孔性基材を減圧下で乾燥させてもよい。
〔多孔性基材〕
前記機能性粒子は、通常、その粒子表面での反応等により機能が発揮される。このため、前記粒子含有多孔性層において、機能性粒子が有する機能をより効率よく発揮させるためには、同じ体積であっても、機能性粒子が担持される面積が大きい基材を用いることが好ましく、このような基材として、繊維状樹脂からなる多孔性基材が用いられる。
また、前記多孔性基材が、分離性、透過性、濾過性および選択吸着性等の特性を有する場合、前記方法(II)によれば、このような多孔性基材が有する特性を損なうことなく、そこに、さらに機能性粒子の機能を付与することができる。
前記多孔性基材としては、特に制限されないが、本発明の効果がより発揮される等の点から、ポリスルホン、ポリアミド、ポリイミド、ポリプロピレン、ポリエチレン等の樹脂からなる多孔性基材、および、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)等のフッ素系樹脂からなるフッ素系多孔性基材などが挙げられる。
前記機能性粒子として、酸化チタンなどの光触媒としての機能を有する粒子を用いる場合には、該粒子の強い酸化力のために、担持する基材自身が酸化される場合がある。このため、この場合には、前記の中でも、抗酸化力を持つ樹脂基材が好ましく、フッ素系多孔性基材がより好ましく、PTFEからなる多孔性基材がさらに好ましい。
前記繊維状樹脂からなる多孔性基材は従来公知の種々の方法で得ることができる。例えば、樹脂を延伸し、ミクロフィブリル構造部分に微細孔を形成する、または、添加剤を混合分散し、延伸時に細孔を形成する方法(延伸法)、乾式紡糸、湿式紡糸、乾湿式紡糸、溶融紡糸、電界紡糸、溶融電界紡糸等により前記樹脂から繊維を形成し、該繊維を用いて織布または不織布を形成する方法、繊維を形成した後にさらに延伸を行う方法が挙げられる。
また、前記多孔性基材は、ナノサイズの粒子径を有する機能性粒子を、薄く、満遍なく一様に、また、該機能性粒子が凝集体として存在せず、多孔性基材(および下記親水化基材)の有する多孔性を損なわないような状態で、孔(細孔)を形成する基材(繊維状樹脂)表面に担持できる等の点から、ナノ繊維を含むことが好ましい。
前記ナノ繊維の平均繊維径(フィブリル径)は、用いる機能性粒子の平均粒子径に応じて適宜選択すればよいが、好ましくは1μm以下、より好ましくは10〜500nm、より好ましくは20〜300nmである。
前記ナノ繊維の平均繊維径は、SEM画像から算出することができ、例えば、下記実施例に記載の方法で測定することができる。
このようなナノ繊維を含む多孔性基材は、例えば、延伸法により多孔性基材を形成する際の延伸条件を適宜設定したり、電界紡糸により微細繊維を形成し、該繊維を用いて織布または不織布を形成することで得ることができる。
前記多孔性基材としては、延伸PTFE膜(ePTFE膜)が、PTFEが有する耐熱性、耐薬品性、耐侯性および電気的絶縁性等の特性に加え、延伸していることにより孔を有し、柔軟性に富み、機械的強度が高い膜である等の点から好ましい。該ePTFE膜は、一軸延伸してなる膜または二軸以上の延伸をしてなる膜のいずれでも構わないが、得られる粒子含有多孔性層の機械的強度等を考慮すると二軸延伸してなる膜が好ましい。
ePTFE膜は、その一部または全体がフィブリル化され、繊維状樹脂を含む基材となる。このような基材を用いることで、図2に示すような、機能性粒子が薄く、満遍なく一様に、また、該機能性粒子が凝集体として存在せず、多孔性基材(および下記親水化基材)の有する多孔性を損なわないような状態で、孔(細孔)を形成する基材(繊維状PTFE)表面に担持されている層を得ることができる。
前記多孔性基材の、ASTM F316−86に基づき、PMI社製PERM−POROMETER測定器により表面張力21dynes/cmのIPAを用いて測定した平均細孔径は、所望の用途に応じて適宜選択すればよいが、好ましくは0.05〜5.0μm、より好ましくは0.1〜2.0μmである。
また、前記多孔性基材の空孔率(多孔性基材の所定体積中に存在する孔(空隙)の総(体積)割合をいう。測定方法;(多孔性基材を形成する樹脂の真密度−みかけの密度)×100/多孔性基材の真密度)は、所望の用途に応じて適宜選択すればよいが、好ましくは20〜99%であり、より好ましくは50〜98%である。
前記多孔性基材の形状は特に制限されず、所望の用途に応じて適宜選択すればよいが、膜(フィルム)状であることが好ましい。
膜状の前記多孔性基材の場合、その厚みは、所望の用途に応じて適宜選択すればよいが、得られる粒子含有多孔性層の強度等を考慮すると、好ましくは1〜300μmであり、より好ましくは5〜200μmである。
前記多孔性基材としては、従来公知の方法で製造したもの(製造品)または市販品を用いることができる。
市販品としては、例えば、日本バルカー工業(株)製、sa−PTFETM(平均細孔径:0.58μm、空孔率:90%)やsa−PTFETM(平均細孔径:0.85μm、空孔率:85%)が挙げられる。
前記多孔性基材として、疎水性の多孔性基材を用いる場合、前記方法(II)において、工程3の前に、多孔性基材表面を親水化処理する工程(以下「工程1」ともいう。)を含むことが、工程3において処理粒子を均一に多孔性基材に担持できるため、好ましい。
また、工程1を経た基材を用いることで、前記処理粒子と、親水化処理された多孔性基材(以下「親水化基材」ともいう。)の反応基とが共有結合を形成する傾向にあるため、表面反応性の乏しいフッ素系多孔性基材を用いた場合でも機能性粒子が強固に親水化基材に固定化されると考えられる。
・工程1
前記工程1は、特に制限されず、従来公知の方法で行えばよい。
このような工程1では、該基材の有する多孔性を損なわないで、親水化基材を得ることができることが好ましく、具体的には、得られる親水化基材の25℃における水接触角(の絶対値)が、好ましくは90°以下、より好ましくは60°以下、さらに好ましくは30°以下、特に好ましくは10°以下となるように多孔性基材表面を親水化処理することが望ましい。
なお、得られた親水化基材の25℃における水接触角は、例えば、下記実施例に記載の方法で測定することができる。
〔親水化処理〕
前記親水化処理としては、特に制限されず、従来公知の方法で行えばよい。このような方法としては、親水性基を有する化合物(以下「親水性化合物」ともいう。)で前記多孔性基材を被覆する方法、前記多孔性基材を放電処理(例:コロナ放電、プラズマ放電)する方法、前記多孔性基材に紫外線や電子線を照射する方法、前記多孔性基材をアルカリ金属用いて処理する方法(例:テトラエッチ((株)潤工社製)を用いて処理する方法)などが挙げられる。
これらの中でも、容易に、安価に、安全に前記親水化基材を得ることができる等の点から、親水性化合物で前記多孔性基材を被覆する方法が好ましい。より具体的には、前記多孔性基材を、親水性化合物を含む溶液(以下「化合物溶液」ともいう。)に浸漬し、該化合物で被覆する方法が好ましい。
前記多孔性基材を、前記化合物溶液に浸漬する場合における浸漬時間は、前記多孔性基材表面が親水化処理される程度の時間であれば特に制限されず、用いる化合物溶液中の親水性化合物の濃度等にもよるが、好ましくは5秒〜20分、さらに好ましくは1分〜10分である。浸漬時間が上記範囲にあると、過剰の親水性化合物が付着または結合しない傾向にあり、前記多孔性基材の多孔性、高空孔率等が十分に活かされた親水化基材を得ることができ、また、工程時間が短くなることにより生産性が向上することが考えられる。
なお、浸漬温度や雰囲気は特に制限されず、使用する化合物溶液等に応じて適宜選択すればよい。
前記親水性化合物としては、特に制限されないが、親水性基を有する樹脂(以下「親水性樹脂」ともいう。)であることが好ましく、前記工程2で用いる付着性処理剤と化学的または物理的に結合し得る樹脂であることが好ましい。
親水性化合物としては、例えば、水酸基含有化合物、カルボン酸基含有化合物、スルホン酸基含有化合物、エーテル基含有化合物、エポキシ基含有化合物およびアミノ基含有化合物が挙げられる。
これらの化合物は、1種単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
水酸基含有化合物としては、特に限定されないが、例えば、ポリビニルアルコール(PVA);アガロース、デキストラン、キトサン、セルロース等の多糖およびその誘導体;ゼラチン;ビニルアルコールとビニル基含有モノマーとの共重合体(例:ビニルアルコール−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体);アクリルポリオール、フッ素含有ポリオール、ポリオキシアルキレン、ポリエステルポリオール、ジエチレングリコールが挙げられる。
カルボン酸基含有化合物としては、特に限定されないが、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン等のオレフィン系モノマー、ブタジエン等のジエン系モノマー、スチレン等の芳香族基含有モノマー、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル等の(メタ)アクリル酸エステル系モノマーのうち、いずれか1種または2種以上のモノマー(i)と、アクリル酸およびメタクリル酸等のカルボン酸基を有するモノマ(ii)とのコポリマー;アクリル酸およびメタクリル酸等のカルボン酸基を有するモノマー(ii)のホモポリマーが挙げられる。
スルホン酸基含有化合物としては、特に限定されないが、例えば、スチレンとアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(塩)との共重合体;スチレンとn−ブチルアクリレートとアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(塩)との三元系共重合体;スチレンと2−エチルヘキシルアクリレートとアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(塩)との三元系共重合体が挙げられる。
エーテル基含有化合物としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレングリコールおよびその誘導体、エーテル基を有するフッ素系共重合体、エーテル基を有するポリウレタン樹脂、エーテル基を有するポリフェニレン樹脂が挙げられる。
エポキシ基含有化合物としては、特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、エポキシ基を有するアクリル系(共)重合体、エポキシ基を有するポリブタジエン樹脂、エポキシ基を有するポリウレタン樹脂、これらの樹脂の付加物または縮合物が挙げられる。
アミノ基含有化合物としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、ポリアミドポリアミン、ポリアミジン、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート、ポリジメチルアミノエチルアクリレートが挙げられる。
前記親水性化合物の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、好ましくは100〜1000000程度である。
前記親水性化合物としては、水酸基を多く有する点、下記機能性粒子を付着性処理する際に好ましく用いるカップリング剤との結合性の点などからPVAが好ましい。
PVAの鹸化度は、特に制限されないが、50〜100が好ましく、60〜100がより好ましい。鹸化度が50未満だと、得られる親水化基材の親水性が不十分になるおそれがある。
PVAの重量平均分子量は、特に制限されないが、200〜150000が好ましく、500〜100000がより好ましい。分子量が200未満だと、PVAを多孔性基材上に固定できず、該基材を親水化できないおそれがあり、分子量が150000を超えると、PVAが多孔性基材に浸透せず、該基材内部を親水化できないおそれがある。
PVAの市販品としては、RS2117(分子量74800)、PVA103(分子量13200、鹸化度98〜99)、PVA−HC(鹸化度99.85以上)、PVA−205C(分子量22000、高純度、鹸化度87〜89)、M−205(分子量22000、鹸化度87〜89)、M−115(分子量66000、鹸化度97〜98)(以上、(株)クラレ製)、PVA(和光純薬(株)製、重合度1500、鹸化度98)などが挙げられる。
前記化合物溶液中の親水性化合物の濃度は、好ましくは0.001〜10重量%、より好ましくは0.1〜2重量%となる量で用いられる。
このような濃度の溶液を用いると、前記多孔性基材表面を十分に親水化処理することができ、処理粒子を強固に担持することができ、また、前記多孔性基材の多孔性、高空孔率等が十分に活かされた親水化基材を得ることができるため好ましい。
前記化合物溶液には、親水性化合物を溶解することができ、揮発し易い溶媒を配合することが好ましく、このような溶媒としては特に制限されないが、具体的には、水;メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、IPA、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等のアルコール類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類などが挙げられる。
前記溶媒としては、前記親水性化合物を溶解できる等の点から水が好ましい。
前記溶媒は1種単独で、または2種以上を混合して使用できる。
前記溶媒は、化合物溶液中の親水性化合物の濃度が前記範囲となるような量で使用されることが好ましい。
なお、前記多孔性基材として疎水性の基材を用い、前記化合物溶液として水溶液を用いる場合、何ら処理を施していない多孔性基材を該水溶液に浸漬させても、親水性化合物を基材の内部まで浸透させ被覆することができない傾向にある。従って、このような水溶液を用いる場合には、前記工程1の前に、例えば、イソプロピルアルコールなどの水に相溶性のある化合物に多孔性基材を一旦浸漬させる工程0を行うことが好ましい。これは、前記多孔性基材として、疎水性が高い基材、例えばフッ素系多孔性基材を用いる場合に特に有効である。
なお、工程0における浸漬時間や温度、浸漬雰囲気は特に制限されず、使用する化合物等に応じて適宜選択すればよい。
前記水に相溶性のある化合物としては、多孔性基材に浸透し易く、揮発し易い化合物が好ましく、特に制限されないが、具体的には、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、IPA、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等のアルコール類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類などが挙げられる。
これらの化合物は1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
これらの中でも、多孔性基材、特にフッ素系多孔性基材に浸透し易いため、IPAが好ましい。
・工程1'
前記親水化処理として、親水性化合物で前記多孔性基材を被覆する方法を用いる場合には、ひび割れ等のしにくい、耐久性に優れる粒子含有多孔性層を得ることができる等の点から、必要により、基材を被覆した親水性化合物を架橋および/または重合する工程1'を行ってもよい。
なお、前記工程3'を行う場合には、この工程1'を行うことが好ましい。
前記工程1'として親水性化合物を重合する場合は、特に制限されず、従来より公知の方法で行えばよいが、例えば、電子線やプラズマなどの電離性放射線による放射線重合、熱エネルギーや重合開始剤を用いた化学重合などの方法が挙げられる。
前記工程1'として架橋を行う場合は、特に制限されず、従来より公知の方法で行えばよいが、例えば、電子線などの電離性放射線による照射架橋、熱架橋、架橋剤を用いた化学架橋などの方法が挙げられる。これらの架橋方法のうち、架橋の確実性から、架橋剤を用いた化学架橋が好適である。親水性化合物としてPVAを使用すると、多孔性基材にPVAを含浸塗布した状態が、常温の水溶液中で安定している。加熱架橋や嫌気的に行う照射架橋では、PVAの吸着状態が乱されたり、多孔性基材自身の強度が低下したりする場合があるのに対して、化学架橋は、水溶液中でも架橋が可能である等の点で好ましい。
このような化学架橋の方法としては、前記親水性化合物で被覆された基材を、架橋剤を含む溶液に浸漬する方法でもよい。
なお、前記工程1'は工程1と同時に行ってもよく、この場合には、前記化合物溶液に架橋剤を配合したものを用いて行う方法等が挙げられる。
前記化学架橋で用いる架橋剤は、特に制限されず、使用する親水性化合物の種類に応じて、適宜選択すればよいが、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、テレフタルアルデヒド等のアルデヒド系化合物;ジアセチル、クロルペンタンジオン等のケトン化合物;ビス(2−クロロエチル尿素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン等の反応性のハロゲンを有する化合物;ジビニルスルホン等の反応性のオレフィンを有する化合物;N−メチロール化合物;イソシアナート類;アジリジン化合物類;カルボジイミド系化合物類;エポキシ化合物;ムコクロル酸等のハロゲンカルボキシアルデヒド類;ジヒドロキシジオキサン等のジオキサン誘導体;クロム明ばん、硫酸ジルコニウム、ほう酸、ほう酸塩、リン酸塩等の無機架橋剤;1,1−ビス(ジアゾアセチル)−2−フェニルエタン等のジアゾ化合物;ジスクシンイミジルエステルを含む化合物;および二官能性マレイン酸イミドなどが挙げられる。
架橋剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これら架橋剤のうち、グルタルアルデヒドやテレフタルアルデヒド等のアルデヒド系化合物を用いて、酸触媒下で行う架橋法が、常温で反応性が高く、架橋量が一定量に安定し、生成した架橋点であるアセタール結合も比較的耐薬品性が高いことから、特に好ましい。
前記親水性化合物で被覆された基材を、架橋剤を含む溶液に浸漬する場合における浸漬時間や温度、浸漬雰囲気は、前記親水性化合物が十分に架橋される条件であれば特に制限されない。
前記架橋剤を含む溶液には、必要により架橋剤を溶解し得る溶媒を用いてもよく、水が好ましい。
また、前記酸触媒としては、従来より公知の触媒を用いることができ、特に制限されないが、例えば、塩酸等が挙げられる。
前記工程1や工程1'で得られた親水化基材は、必要により乾燥させて工程3で用いてもよい。
また、前記工程1'で得られた親水化基材は、必要により未反応の親水性化合物および架橋剤を除去した後、必要により乾燥させて工程3で用いてもよい。
<脱落抑制層>
前記脱落抑制層は、前記機能性粒子の本発明の構造体からの脱落を抑制するための層である。このような脱落抑制層を有することで、本発明の構造体は、様々な用途に使用することができ、振動や衝撃、腐食性ガスや紫外線等のダメージを受け、機能性粒子が粒子含有多孔性層から脱落したとしても、本発明の構造体の外部には、該機能性粒子が飛散しないので、長期にわたって安全に使用することができる。
前記脱落抑制層としては、特に制限されず所望の用途に応じて適宜選択すればよい。具体的には、機能性粒子が光により機能を発揮する場合には、機能性粒子に照射される光を遮らないような層であることが好ましい場合があり、機能性粒子の機能により特定のガスを分解等したい場合には、ガス透過性に優れる層であることが好ましい場合があり、用いる粒子含有多孔性層が機械的強度に劣る場合には、粒子含有多孔性層の機械的強度を向上できるような層であることが好ましい場合がある。
前記脱落抑制層としては、前記機能性粒子の脱落を抑制することができれば特に制限されないが、前記機能性粒子の脱落をより抑制できる等の点から、面風速5.3cm/秒における、粒子径が10〜500nmである粒子の捕集率が、好ましくは80%以上、より好ましくは90〜99.99%の層である。
粒子の捕集率は、例えば、下記実施例に記載の方法で測定することができる。
前記脱落抑制層としては、前記粒子含有多孔性層の多孔性および高空孔率を活かすという観点からは、その透気度を示すガーレー値が好ましくは5.0秒以下であり、より好ましくは2.0秒以下、さらに好ましくは1.0秒以下である。
ガーレー値は、100cm3の空気が1.215kNの圧力下で、1inch2(6.45cm2)の面積を通過するのに要する時間(秒)であり、ASTM D726−58に準拠して求めることができる。
脱落抑制層としては、前記多孔性基材と同様の多孔性の層が挙げられ、好ましくはフッ素系多孔性層であり、より好ましくはPTFE繊維の不織布(層)である。
フッ素系多孔性層、特に、PTFE繊維の不織布(層)は、耐環境性(耐熱性、耐紫外線性、耐薬液性、耐腐食性ガス性、撥水・撥油性)等に優れるため、脱落抑制層としてこのような層を用いることで、本発明の構造体は、耐環境性に優れ、耐環境性が求められる用途において好適に使用される。
さらに、脱落抑制層として、平均繊維径が10nm〜5μmである多孔性層を用いることで、高通気性(低ガーレー値)である構造体を得ることができる。
また、脱落抑制能(粒子捕集率)と高通気性の両立の観点から、前記平均繊維径は、50nm〜2μmであることが好ましく、300nm〜1μmであることがより好ましい。このような平均繊維径を有する多孔性層は、延伸法または電界紡糸法により作成することができる。
前記脱落抑制層の形状は特に制限されず、所望の用途に応じて適宜選択すればよいが、膜(フィルム)状であることが好ましい。
膜状である場合、その膜厚は、所望の用途に応じて適宜選択すればよいが、例えば、1〜200μmであり、好ましくは5〜100μmである。
<機能性構造体の形状等>
本発明の構造体は、前記粒子含有多孔性層と脱落抑制層とを有すれば特に制限されず、所望の用途に応じて適宜形状等を変化すればよい。
具体的には、本発明の構造体は、(A)粒子含有多孔性層の一方の面上に、該多孔性層と接触または非接触の状態で脱落抑制層が設けられた構造体であってもよいし、(B)粒子含有多孔性層の両面上に、該多孔性層と接触または非接触の状態で脱落抑制層が設けられた構造体であってもよいし、(C)複数の粒子含有多孔性層および/または脱落抑制層が任意の順番で、互いに接触または非接触の状態で積層された構造体であってもよい。
さらに、本発明の構造体は、その強度を向上させる等の点から、必要に応じて、ガラス、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、PTFE、セルロース、ポリオレフィンなどから形成された通気性支持体層等の任意の層を含んでもよい。
粒子含有多孔性層と脱落抑制層等とが接触した積層体は、単に一方の層の上に他の層を置くだけで形成してもよいし、これらの層を加熱溶融接着および/またはプレス等することで形成してもよいし、これらの層間を接着剤等を用いて接着させて形成してもよいし、これらの層を糸等で縫い合わせることで形成してもよい。
粒子含有多孔性層と脱落抑制層等とを接触させて用いることで、機能性粒子の脱落がより抑制され、人体や環境に悪影響を及ぼしにくい、取り扱い性に優れる構造体を得ることができる。
また、粒子含有多孔性層と脱落抑制層等とを非接触の状態で配置する場合には、本発明の構造体の使用により、集塵された粉塵等を容易に除去することができるため、本発明の構造体の機能を回復するのが容易となり、長期にわたり使用可能な構造体を得ることができる。
前記(A)の場合、前記脱落抑制層は、機能性粒子が粒子含有多孔性層から脱落しやすい方向の先に設けられることが好ましい。また、前記(C)の場合にも、少なくとも1層の脱落抑制層は、機能性粒子が粒子含有多孔性層から脱落しやすい方向の先(の最外層)に設けられることが好ましい。このような例としては、本発明の構造体を流体中に配置する場合、粒子含有多孔性層の下流側に前記脱落抑制層を配置することが好ましく、本発明の構造体が袋状の構造体である場合には、前記脱落抑制層が該袋状構造体の外側の層を形成するように前記脱落抑制層を配置することが好ましく、本発明の構造体を、機能性粒子の機能を発揮させたい対象に接触させて使用する場合には、該接触面とは反対の面に前記脱落抑制層を配置することが好ましい。
本発明の構造体の形状は特に制限されず、所望の用途に応じて適宜選択すればよいが、膜(フィルム)状であることが好ましい。
膜状である場合、その膜厚は、所望の用途に応じて適宜選択すればよいが、薄膜による省スペース化、微小部材への適用性等の点から、好ましくは500μm以下であり、より好ましくは10〜300μmであり、さらに好ましくは20〜200μmである。
本発明の構造体は、酸、アルカリまたは有機溶媒などの液体フィルターとして、クリーンな環境下、腐食性ガス下または高温下でのエアーフィルターとして、ベントフィルターとして、抗菌または脱臭シートとして、各種容器として使用することができる。
本発明の構造体の使用形状は、所望の用途に応じて適宜選択すればよく、膜状で用いてもよく、袋内の物質を保護したり、袋内に入る物質を選択・分離等するために、袋状にして用いてもよい。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
以下の実施例で用いた材料の物性は、以下の方法で測定した。
(機能性粒子の平均粒子径)
下記実施例で得られたTiO2担持膜について、無作為にSEM(装置:S−3400N((株)日立ハイテクノロジーズ製)、倍率:50000倍)観察の領域を選び、この領域をSEM観察して、TiO2担持膜表面に露出している機能性粒子を無作為に20個選び、これらの機能性粒子の粒子径を測定し、その平均を算出することで、平均(算術平均)粒子径を求めた。
(多孔性基材の平均繊維(フィブリル)径)
用いたePTFE膜について、無作為にSEM(装置:S−3400N((株)日立ハイテクノロジーズ製)、倍率:10000倍)観察の領域を選び、この領域をSEM観察して無作為に10本の繊維を選び、これらの繊維の繊維径を測定し、その平均を算出することで、平均(算術平均)繊維径を求めた。
(粒子捕集率)
下記脱落抑制層1および2について、JIS B 9908に準じて、粒子捕集率を測定した。この際、当該規格に記載のフィルターユニットの代わりに200mm×200mmの大きさに切り出した脱落抑制層1および2を用い、測定用粉塵として大気塵(粒径が0.01μm〜2.0μmの塵を含む)を用いた。粒子捕集率の測定の際には、空気の流量を面速度5.3cm/秒とした。
(ガーレー値)
下記脱落抑制層1および2のガーレー値は、ASTM D726−58に準拠し、パームポロメーター(装置:CFP-1200-AEL、Porous Materials Inc.社製)を使用して求めた。
以下の実施例で用いた材料は以下のとおりである。
・ePTFE膜a(日本バルカー工業(株)製、sa−PTFETMシリーズ、平均細孔径:0.58μm、空孔率:90%、厚み:11μm、大きさ:14.8cm×21.0cm、平均繊維径(フィブリル径):76nm)
・99.7%IPA溶液(和光純薬(株)製)
・PVA(和光純薬(株)製「160−11485」、重合度1500、鹸化度98)
・グルタルアルデヒド5%水溶液(和光純薬(株)製のグルタルアルデヒド25%水溶液を純水で希釈し、グルタルアルデヒドの濃度を5%に調整した溶液)
・塩酸(和光純薬(株)製、36%水溶液)
・シランカップリング剤:(LS−2940(信越シリコーン(株)製)、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)
・機能性粒子:酸化チタン STS−01(石原産業(株)製、30wt%水分散液、一次粒子径5〜100nm)
以下の実施例で用いた脱落抑制層1は以下のとおりである。
従来公知の方法(電界紡糸法)により、平均繊維径が1.0μmであるPTFEファイバーのみからなる厚さ30μmの脱落抑制層1を製造した。得られた脱落抑制層1のガーレー値は0.57秒であり、粒子径が10〜500nmである粒子および10〜100nmである粒子の粒子捕集率は、それぞれ91.6%および93.8%であった。
以下の実施例で用いた脱落抑制層2として、20cm×20cm正方形のePTFE膜(厚さ6μm、平均繊維径80nm、日本バルカー工業(株)製「sa−PTFETMシリーズ」)を用いた。脱落抑制層2のガーレー値は0.86秒であり、粒子径が10〜500nmである粒子および10〜100nmである粒子の粒子捕集率は、それぞれ98.3%および98.3%であった。
[実施例1]
ePTFE膜aを、室温25℃で、99.7%IPA溶液に1分間浸漬させた。次いで、ePTFE膜aを取り出し、0.5重量%濃度に調整したPVAの水溶液500mL中に室温で10分間浸漬させた。その後、PVAの水溶液に浸漬させたePTFE膜aを取り出し、溶液(グルタルアルデヒド5%水溶液500mLに、塩酸を5mL添加した溶液)に、室温で60分間浸漬させた。
得られたePTFE膜aを取り出し、純水中に入れ、95℃にて30分間煮沸し、未反応のPVA、グルタルアルデヒドおよびIPAを溶解させた。
その後、自然乾燥することによって、膜表面の25℃における水接触角が10°以下である親水化ePTFE膜aを得た。
なお、得られた親水化ePTFE膜aの25℃における水接触角は該膜表面に水滴を滴下して10秒後、接触角計(協和界面科学(株)製の接触角計、CA−X型)を用いて測定した値である。
pHが1.5となるように、H2O(50重量部)およびIPA(50重量部)からなる溶液に硝酸を混合し、そこに、シランカップリング剤(0.02重量部)を添加し、60℃でよく攪拌した。その後、STS−01を、酸化チタンの添加量が2重量部となるように加え、60℃でよく攪拌した。
得られた分散液(約60℃)に、前記で得られた親水化ePTFE膜aを数分間浸漬した後、該分散液から取り出した。取り出した膜を蒸留水で洗浄し、120℃で15分間乾燥させることで、TiO2担持膜を得た。
得られたTiO2担持膜のSEM(日立ハイテクノロジーズ(株)製、S−3400)像を図2(50,000倍)に示す。図2において、粒子状の白い部分は、担持されたTiO2粒子であり、網目状の繊維部分は、親水化ePTFE膜a(親水化ePTFE繊維)である。
なお、同様にして観察した、用いた未処理ePTFE膜aのSEM画像を図1(10,000倍)に示す。
得られたTiO2担持膜は、処理粒子(TiO2粒子)が薄く、満遍なく一様にかつ強固に、また、該処理粒子が凝集体として存在せず、多孔性基材(ePTFE膜a)および親水化基材(親水化ePTFE膜a)の有する多孔性を損なわないような状態で、孔(細孔)を形成する親水化基材表面に担持されている。
このような担持膜は、使用した多孔性基材の分離性、透過性、濾過性および選択吸着性等の特性を損なうことなく機能性粒子の機能が十分に発揮されるものとなり、また、機能性粒子の脱離が起こりにくいものとなる。
このSEM像(図2)より、機能性粒子による親水化ePTFE膜a表面の被覆率を算出した。具体的には、SEM像の任意の10箇所(0.2μm×0.2μmの大きさ)を選択し、それぞれの箇所における親水化ePTFE膜a(親水化ePTFE繊維)の表面積(TiO2粒子で被覆されている部分と被覆されていない部分とを合わせた面積)と、TiO2粒子で被覆されていない親水化ePTFE膜aの表面積を算出し、これらの結果から、それぞれの箇所における被覆率を算出した。得られた被覆率の平均値は100%であった。また、このSEM像から算出された機能性粒子の平均粒子径は、48nmであった。
[TiO2粒子担持量の測定]
親水化ePTFE膜aに担持されたTiO2粒子の担持量を、RIGAKU CIROS MarkII((株)理学製)を用いて測定した高周波誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析により測定した。結果は、TiO2担持膜100重量%に対し、0.97重量%であった。
なお、TiO2粒子の担持量としては、ICP発光分光分析の測定結果より得られるTi元素の質量から、次式により算出されるTiO2質量を用いた。
TiO2質量=Ti元素の質量×(TiO2分子量/Ti分子量)
このときTiO2分子量=79.87、Ti分子量=47.87として計算した。
[平均細孔径およびガーレー値]
得られたTiO2担持膜について、ASTM F316−86(平均細孔径の測定)およびASTM726−58(ガーレー値の測定)に基づき、表面張力21dynes/cmのIPAを用いて、パームポロメーター(装置:CFP-1200-AEL、Porous Materials Inc.社製)により、平均細孔径およびガーレー値を測定した。また、得られたTiO2担持膜について、親水化ePTFE膜に対する細孔径維持率を算出した。平均細孔径は0.44μmであり、ガーレー値は6秒であり、細孔径維持率は80%であった。
なお、未処理のePTFE膜の平均細孔径およびガーレー値は、それぞれ0.58μmおよび3秒であり、親水化ePTFE膜の平均細孔径およびガーレー値は、ぞれぞれ0.55μmおよび6秒であった。
前記で得られたTiO2担持膜の一方の面の上に、脱落抑制層1を積載することで、機能性構造体1を作成した。
[実施例2]
実施例1において、脱落抑制層1の代わりに脱落抑制層2を用いた以外は、実施例1と同様にして機能性構造体2を作成した。
実施例1および2で得られた機能性構造体1および2、特に、機能性構造体1は、抗菌性およびアンモニアガスの分解性等の機能性粒子の機能が効率よく発揮された構造体であり、機能性粒子の脱落がほとんど起こらない構造体であった。

Claims (10)

  1. 平均粒子径が500nm以下の機能性粒子および繊維状樹脂を含む粒子含有多孔性層と、前記機能性粒子の脱落を抑制する脱落抑制層とを有する機能性構造体。
  2. 厚さが500μm以下である、請求項1に記載の機能性構造体。
  3. 前記機能性粒子が、繊維状樹脂からなる多孔性基材に担持されている、請求項1または2に記載の機能性構造体。
  4. 前記繊維状樹脂がフッ素系樹脂である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の機能性構造体。
  5. 前記粒子含有多孔性層100重量%に対し、機能性粒子を0.5〜5.0重量%含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の機能性構造体。
  6. 前記脱落抑制層が、粒子径が10〜500nmである粒子の捕集率が80%以上の層である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の機能性構造体。
  7. 前記多孔性基材に担持された機能性粒子による該基材表面の被覆率が20〜100%である、請求項3〜6のいずれか一項に記載の機能性構造体。
  8. 前記粒子含有多孔性層が、繊維状樹脂からなる多孔性基材に、少なくとも1種の、前記機能性粒子および多孔性基材に対し接着性を有する化合物で付着性処理された機能性粒子が担持されている層である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の機能性構造体。
  9. 前記粒子含有多孔性層が、下記工程2〜3を含む方法で得られた層である、請求項3〜8のいずれか一項に記載の機能性構造体。
    工程2:機能性粒子を、少なくとも1種の、前記機能性粒子および多孔性基材に対し接着性を有する化合物で付着性処理する工程
    工程3:前記多孔性基材に、工程2で得られた付着性処理された機能性粒子を担持する工程
  10. 前記脱落抑制層が、平均繊維径が10nm〜5μmの範囲にあるPTFE繊維の不織布からなる層である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の機能性構造体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017047135A (ja) * 2015-09-04 2017-03-09 株式会社スギノマシン 環境浄化剤、環境浄化方法、および、環境浄化剤の製造方法
JP2018028011A (ja) * 2016-08-17 2018-02-22 日本バルカー工業株式会社 新規親水性多孔質フッ素樹脂膜の製造方法
JP2022512596A (ja) * 2018-10-02 2022-02-07 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア 触媒粒子を含むフィルムの存在下で流体相で化学反応を実施するための方法

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