図1~図4は、本発明の加熱調理器をオーブンレンジに適用した第1の実施形態を示している。先ず図1に基づいて、オーブンレンジの全体構成を説明すると、1は略矩形箱状に構成される本体で、この本体1は、製品となるオーブンレンジの外郭を覆う部材として、金属製のキャビネット2を備えている。また3は、本体1の前面に設けられる開閉自在な扉である。
扉3の上部には、縦開きの扉3を開閉するときに手をかける開閉操作用のハンドル4を備えており、扉3の下部には、表示や報知や操作のための操作パネル部5を備えている。操作パネル部5は、調理の設定内容や進行状況などを表示する表示手段6の他に、加熱調理に関する各種の操作入力を可能にする操作手段7が配設される。扉3の内部で操作パネル部5の後側には、図示しないが、表示手段6や操作手段7などの制御を行なうために、操作パネルPC(印刷回路)板が配置される。
本体1の下部には、本体1の前面より着脱が可能な給水カセット8と水受け9が各々配設される。給水カセット8は、後述するスチームユニット21から発生する蒸気の供給源として、液体となる水を入れる有底状の容器である。また水受け9は、本体1からの食品カスや水滴、蒸気などを受ける別な有底状の容器である。
本体1の内部には、加熱調理すべき被調理物を内部に収容する調理室10が設けられる。調理室10の前面は被調理物を出し入れするのに開口しており、この開口を扉3で開閉する構成となっている。
図2は、オーブンレンジの主な電気的構成を示している。同図において、11はマイクロコンピュータにより構成される制御手段であり、この制御手段11は周知のように、演算処理手段としてのCPUや、記憶手段としてのメモリや、計時手段としてのタイマーや、入出力デバイスなどを備えている。
制御手段11の入力ポートには、前述したキーやタッチパネルによる操作手段7の他に、調理室10内の温度を検知するサーミスタ(図示せず)を備えた庫内温度検出手段14や、赤外線センサ(図示せず)にスイング機構を装備して構成され、調理室10内の温度分布を検出することで、そこに収容された被加熱物の温度を検出可能にする庫内温度分布検出手段15などが電気的に接続される。また制御手段11の出力ポートには、前述した液晶表示素子や液晶ディスプレイによる表示手段6の他に、調理室10の上方および/または下方から調理室10内の被調理物を輻射熱で加熱するためのグリル加熱用のグリルヒータ17や、調理室10の内部に熱風を循環供給するために、オーブン加熱用の熱風ユニット18を構成する熱風ヒータ19および熱風モータ20や、調理室10の内部に飽和蒸気や過熱蒸気を供給するために、スチーム加熱用のスチームユニット21を構成する給水ポンプ22および蒸発用ヒータ23や、調理室10内の被調理物をマイクロ波照射で加熱するために、レンジ加熱用のマイクロ波加熱ユニット25を構成するマグネトロン26およびアンテナモータ27や、調理室10内を照明するための庫内照明手段となる庫内灯28や、調理室10内の熱気を排出するための庫内冷却手段となる冷却ファン29や、ブザー音や電子音を発生させるための報知手段となる音発生器30などが電気的に接続される。
グリルヒータ17、熱風ユニット18、スチームユニット21、およびマイクロ波加熱ユニット25は、何れも調理室10に入れられた被調理物を加熱する加熱手段31に相当する。本実施形態では、制御手段11から出力されるヒータ制御信号により、グリルヒータ17が通電してそれに伴う熱が放射されると、調理室10内に収容した被調理物が上方向および/または下方向からグリル加熱される構成となっている。
熱風ユニット18はその内部において、熱風モータ20に取り付けられた熱風ファン(図示せず)の放射方向を取り囲んで、発熱部となる熱風ヒータ21が配置される。熱風ヒータ21は、例えばシーズヒータ、マイカヒータ、石英管ヒータやハロゲンヒータなどを用いる。本実施形態では、制御手段11からのヒータ制御信号により熱風ヒータ21を通電させ、また制御手段11からのモータ制御信号により熱風モータ20を通電させて、羽根車を有する熱風ファンを回転させると、調理室10の内部から熱風ユニット18の内部に吸い込まれた空気が、熱風ファンの放射方向に吹出して、通電した熱風ヒータ20により加熱され、調理室10内に熱風が供給される。これにより、調理室10の内外で熱風を循環させる経路が形成され、調理室10内の被調理物を熱風コンベクション加熱(オーブン加熱)する構成となっている。
スチームユニット21は、給水カセット8からの水を蒸発容器(図示せず)内に導く給水ポンプ22や、金属製の蒸発容器に装着されるシーズヒータなどの蒸発用ヒータ23などを主な構成要素とする。本実施形態では、給水カセット8に水を収容した状態で、制御手段11からのポンプ制御信号により給水ポンプ22が通電駆動させ、また制御手段11からのヒータ制御信号により蒸発用ヒータ23を通電させると、給水ポンプ22の駆動に伴い給水カセット8から送り出された水が、蒸発用ヒータ23の通電により所定の温度に加熱された蒸発容器の内部に導かれて蒸気化され、調理室10の内部に飽和蒸気や過熱蒸気が供給される。これにより、調理室10内に入れられた被調理物のスチーム加熱を行なう構成となっている。
マイクロ波加熱ユニット25は、マイクロ波の供給源となるマグネトロン26や、マイクロ波を放射するアンテナ32や、そのアンテナ32を回転させるアンテナモータ27の他に、マグネトロン26に高周波電力を供給するインバータ(図示せず)などを主な構成要素とする。本実施形態では、制御手段11からインバータへのインバータ制御信号を受けて、被調理物を所定の出力でレンジ加熱するマイクロ波が、インバータからの高周波電力を受けたマグネトロン26から、アンテナ32を介して調理室10内に放射される。アンテナ32は、本体1の内部でアンテナモータ27により回動可能に設けられており、制御手段11からのモータ制御信号により、アンテナモータ27の回転動作を制御して、例えばアンテナ32を特定の方向に静止させたり、一定の速度で回転させ続けたりすることにより、アンテナ32から放射されるマイクロ波を、調理室10内の特定の方向に向けたり、調理室10内全体に撹拌したりすることができる構成となっている。
その他、庫内灯28は例えば被調理物の加熱調理中に制御手段11からの点灯制御信号により点灯し、調理室10内を明るく照明して、扉3を通して被調理物の調理の進行具合が視認できるように構成される。また冷却ファン29は、例えば庫内温度検出手段14からの検出信号により、調理室10内が所定温度以上であった場合に、制御手段11からのファン制御信号により動作し、調理室10内の熱気を外部に強制排出するように構成される。さらに音発生手段30は、例えば操作手段7からの操作信号により、加熱調理の開始や取消しなどが指示された場合に、制御手段11からの報知制御信号により動作し、特定の音色で音を出力できるように構成される。
制御手段11は、操作手段7からの操作信号と、庫内温度検出手段14および庫内温度分布検出手段15からの各検出信号を受けて、計時手段からの計時に基づく所定のタイミングで、表示手段6を動作させる表示用の制御信号を送出したり、加熱手段31を動作させる加熱用の制御信号を出力したり、庫内灯28を動作させる照明用の制御信号を出力したり、冷却ファン29を動作させる冷却用の制御信号を出力したり、音発生器30を動作させる報知用の制御信号を出力したりする機能を有する。こうした機能は、記憶媒体としての前記メモリに記録したプログラムを、制御手段11が読み取ることで実現するが、特に本実施形態では、制御手段11を加熱制御部35と、表示制御部36として主に機能させるプログラムを備えている。
加熱制御部35は、主に被調理物の加熱調理に係る各部の動作を制御するものである。加熱制御部35は、操作手段7の操作に伴う操作信号を受け取ると、その操作信号に応じて、加熱手段31を動作させるための制御信号を送出して、調理室10内の被調理物に対する加熱調理を制御する。また加熱制御部35は、こうした加熱手段31への制御に連動して、庫内灯28や、冷却ファン29や、音発生手段30を各々制御する機能も有する。本実施形態では、操作手段7から調理開始を指示する操作信号が送出される前に、加熱の種類(グリル加熱、オーブン加熱、スチーム加熱、レンジ加熱の選択)や、加熱の時間や、加熱の出力または温度などの加熱条件を設定するための操作信号が送出されると、加熱制御部35がその設定した加熱条件に基づき加熱手段31を制御して、調理室10内の被調理物を加熱する手動調理機能と、操作手段7から調理開始を指示する操作信号が送出される前に、予めメモリに記憶されているオーブンレンジが調理可能な全ての調理メニューに関する情報の中から、特定の調理メニューを選択するための操作信号が送出されると、加熱制御部35がその選択された特定の調理メニューに関する情報をメモリから読み出して設定し、当該特定の調理メニューに従う加熱条件と加熱手順で加熱手段31を制御して、調理室10内の被調理物を自動的に加熱する自動調理機能と、をそれぞれ備えている。
本実施形態の加熱制御部35は、調理室10内に入れられた加熱手段31による被調理物への加熱調理を、予約した最大30分以内の時間に終了させる「ちょっとタイマー」の機能を可能にした予約加熱制御部37と、被調理物への加熱調理が終了した後に、被調理物を最大で30分が経過するまで、加熱手段31により庫外よりも高い所定の温度に保温する「ちょっと保温」の機能を可能にした保温加熱制御部38を、独自の構成として備えている。
予約加熱制御部37は、前述の手動調理機能や自動調理機能に基づいて、被加熱物の加熱時間を設定する第1設定部39と、予約加熱の開始を指示する「タイマーセット」の操作を操作手段7で行なってから、被調理物の加熱が終了または完了するまでの予約時間を、予め操作手段7からの操作により最大30分以内の時間で設定する第2設定部40と、を備える。予約加熱制御部37は、操作手段7が「タイマーセット」のために操作されると、第2設定部40で設定した予約時間に被調理物の加熱が終了するように、第1設定部39で設定した加熱時間に、手動調理機能や自動調理機能で設定された加熱条件に基づいて、加熱手段31を制御する構成を有する。また予約加熱制御部37は、被加熱物への加熱が終了するまでに、加熱手段31のみならず、庫内灯28や、冷却ファン29や、音発生手段30を各々制御する構成を有する。
保温加熱制御部38は、前述のように調理室10内の被調理物への加熱が終了してから、最大で30分の保温時間が経過するまでに、加熱手段31を制御して被調理物を例えば60℃の保温温度で保温する構成を有する。こうした保温時間と保温温度は、予め保温加熱制御部38に変更できないように設定されているが、操作手段7からの操作により、任意に変更できるように構成してもよい。但し、その場合も保温時間は最大で30分までで、それを超えた時間は設定できないように構成する。保温加熱制御部38は、所定の30分以内の保温時間が経過すると、加熱手段31への制御を終了して保温を終わらせるが、保温の途中で扉3が開けられたり、保温を取消す操作が操作手段7から行われたりすると、そこで加熱手段31への制御を終了して保温を直ちに終わらせる。また保温加熱制御部37は、被加熱物への保温が終わるまでに、加熱手段31のみならず、庫内灯28や、冷却ファン29や、音発生手段30を各々制御する構成を有する。
表示制御部36は、加熱制御部35と連携して、表示手段6の表示に係る動作を制御するもので、ここでは操作手段7からの操作信号を受けて、制御手段11のメモリに記憶される全ての画像情報の中から、表示手段6に表示させるべき画像に対応した画像情報を選択して、その画像情報を表示用の制御信号として表示手段6に送出する機能を有する。こうした表示制御部36の機能は、加熱制御部35に含ませてもよい。
次に、上記構成のオーブンレンジについて、図3や図4を参照しながらその作用を詳しく説明する。先ず、一般的な加熱調理の手順を説明すると、予め調理室10内に被調理物を入れた状態で、ハンドル4を手で握りながら扉3を閉め、操作手段7への操作により手動調理機能と自動調理機能の何れかを選択する。手動調理機能では、操作手段7を操作して加熱条件を選択設定した後に、操作手段7の例えばスタートキーを押動操作して、被調理物の加熱調理開始を指示すると、設定した加熱条件に対応して生成された加熱用の制御信号が、制御手段11の出力ポートから所定のタイミングで出力される。また自動調理機能では、操作手段7を操作して複数の調理メニューの中から特定の調理メニューを選択設定した後に、被調理物の加熱調理開始を指示すると、その特定のメニューに関する加熱条件と加熱手順を含んだ情報がメモリから読み出されて、特定のメニューに対応して生成された加熱用の制御信号が、制御手段11の出力ポートから所定のタイミングで出力される。そして何れの場合も、加熱制御部35により加熱手段31の動作が制御され、調理室10に入れられた被調理物が加熱調理される。
ここで、加熱条件としてオーブン加熱が設定された場合は、加熱制御部35が例えば庫内温度検出手段14からの検出信号を受けて、調理室10内を設定した温度に加熱するように、熱風ヒータ27や熱風モータ29の駆動手段に加熱用の制御信号を送出して、熱風ヒータ27と熱風モータ29の通断電をそれぞれ制御する。これにより、熱風ユニット18の内部空間と調理室10の内部との間で熱風が循環供給され、調理室10内の被調理物が熱風コンベクション加熱される。
また、加熱条件としてスチーム加熱が設定された場合は、加熱制御部35が給水ポンプ22や蒸発用モータ23の駆動手段に加熱用の制御信号を送出して、スチームユニット21に組み込まれた給水ポンプ22の動作と、蒸発用ヒータ23の通断電を制御する。これにより、スチームユニット21から調理室10内に飽和蒸気や過熱蒸気を噴出させ、調理室10内の被調理物を蒸し上げる。
また、加熱条件としてレンジ加熱が設定された場合は、加熱制御部35が例えば庫内温度分布検出手段15からの検出信号を受けて、被調理物を設定した温度に加熱するように、マグネトロン26の駆動手段となるインバータとアンテナモータ27の駆動手段に適切な加熱用の制御信号をそれぞれ送出する。これにより、マグネトロン26やアンテナモータ27が動作して、アンテナの表面から発生したマイクロ波が調理室10内に供給され、調理室10内の被調理物が高周波加熱される。
さらに、加熱条件としてグリル加熱が設定された場合は、加熱制御部35が例えば庫内温度検出手段14からの検出信号を受けて、調理室10内を設定した温度に加熱するように、制御手段11からの加熱用の制御信号により、グリルヒータ17の通断電が制御され、調理室10内の被調理物がグリル加熱される。
こうした加熱制御部35による手動調理機能や自動調理機能では、加熱条件の他に最大で30分以内の予約時間を操作手段7から操作入力することで、設定した30分以内の予約時間に、加熱条件に従った加熱調理を終了させるために、加熱制御部35に「ちょっとタイマー」の機能を実現させる予約加熱制御部37が組み込まれている。また、調理室10内で加熱調理の終了した被調理物がそのまま放置されたとしても、最大で30分が経過するまでは、被調理物を温かい状態に維持できるように、加熱制御部35に「ちょっと保温」の機能を実現させるための保温加熱制御部38が組み込まれている。
図3は、予約加熱制御部37による予約加熱の開始指示までの手順をフローチャートで示したものである。本実施形態のオーブンレンジで予約加熱を行なうには、最初のステップS1で、操作手段7への操作により手動調理と自動調理の何れか一方の機能を選択する。ここで自動すなわちオート調理を選択した場合、ステップS2に移行して、操作手段7への操作によりオート調理の番号を入力する。この番号は調理メニューの識別子として、オーブンレンジで調理が可能な全ての調理メニューに対して個々に割り当てられており、操作手段7から一つの番号が操作入力されると、その番号に関連付けられた特定の調理メニューが選択されるようになっている。予約加熱制御部37は次のステップS3で、選択したオート調理の番号から、それに関連付けられた特定の調理メニューの情報をメモリから読み出し、その情報に含まれる加熱条件として、加熱の種類と出力がレンジ加熱によるレンジ出力(W)であることを設定する。
一方、前述のステップS1で、操作手段7への操作により手動調理を選択して、加熱条件として加熱の種類を例えばレンジ加熱に設定すると、ステップS4に移行して、操作手段7への操作によりレンジ加熱に関する他の加熱条件であるレンジ出力(W)と加熱時間(tc)が入力される。この加熱時間(tc)は、予約加熱制御部37の第1設定部39で設定される。
こうして、オート調理や手動調理のそれぞれで加熱条件が選択設定されると、何れもステップS5に移行して、操作手段7への操作により、調理加熱を完了させるまでの予約時間となる完了時間(te)が、最大30分以内の時間で入力される。この完了時間(te)は、予約加熱制御部37の第2設定部40で設定される。
予約加熱制御部37は、ステップS5の手順で、操作手段7からの操作入力による完了時間(te)の設定が完了すると、これを予約加熱の開始操作、すなわちタイマーセットとして受け入れ、次のステップS6で、第1設定部39で設定した加熱時間(tc)が、第2設定部40で設定した完了時間(te)以上であるか否かを判断する。ここで、加熱時間(tc)が完了時間(te)よりも小さと判断されれば、ステップS7の手順に移行する。ステップS7では、制御手段11に内蔵するタイマーが任意の時間である1分をカウントすると、予約加熱制御部37の第2設定部40が完了時間(te)を1分減算させ、これを新たな完了時間(te)として再設定する。そして再びステップS6に戻り、加熱時間(tc)が完了時間(te)と等しくなるまで、ステップS7で完了時間(te)を1分ずつ減算させて、新たな完了時間(te)に再設定する手順を繰り返す。したがって、タイマーセットから加熱時間(tc)が完了時間(te)と等しくなるまでの時間は、予約加熱制御部37が加熱手段31を制御せずに加熱を行なわない待機状態となる。
一方、予約加熱制御部37は、ステップS6で加熱時間(tc)が完了時間(te)以上であると判断すると、今度はステップS8に移行して、設定した加熱条件に基づく加熱手段31への制御を開始し、調理室10内の被調理物への調理加熱をスタートさせる。したがって、前述のステップS5のタイマーセットの時点で、最初に第2設定部40で設定した完了時間(te)が、第1設定部39で設定した加熱時間(tc)以下であったら、ステップS7の手順に移行することなく、直ちにステップS8の手順で調理加熱を開始させる。
例として、ステップS4において、第1設定部39で設定した加熱時間(tc)が2分、ステップS5において、第2設定部40で設定した完了時間(te)が20分である場合、予約加熱制御部37は、ステップS6とステップS7の手順を繰り返して、完了時間(te)が加熱時間(tc)と同じ2分に再設定されるまで、すなわちタイマーセットから18分が経過するまで、被調理物への加熱調理を行なわずにそのまま待機する。そして、ステップS6で完了時間(te)が加熱時間(tc)と同じ2分に再設定されたと判断すると、ステップS8の手順に移行して、ステップS4で設定したレンジ出力(W)と加熱時間(tc)で、加熱手段31となるマイクロ波加熱ユニット25の各部を制御して、被調理物に対するレンジ加熱による調理を行ない、ステップS5で最初に設定した完了時間(te)に、被調理物の加熱調理を十分な加熱時間(tc)で完了させる。
一方、ステップS4において、第1設定部39で設定した加熱時間(tc)が7分、ステップS5において、第2設定部40で設定した完了時間(te)が5分である場合、このままでは被調理物への加熱調理が途中の状態で、予約した完了時間(te)である5分に達してしまう。そこで予約加熱制御部37は、ステップS6からステップS8の手順に直ちに移行して、被調理物への加熱調理を直ちに開始させ、ステップS4で設定したレンジ出力(W)と加熱時間(tc)で、被調理物に対するレンジ加熱による調理を優先的に行なう。そのため、ステップS5で最初に設定した完了時間(te)の5分よりも2分遅れるものの、被調理物の加熱調理を十分な加熱時間(tc)で完了させることが可能になる。
図4は、予約加熱制御部37と保温加熱制御部38によるタイマーセットから保温終了までの各部の動作を示したものである。同図において、予約加熱制御部37は前述のように、(1)ステップS4の手動調理機能で、加熱条件としてレンジ加熱によるレンジ出力(W)や加熱時間(tc)を設定し、(2)ステップS5でタイマーセットから被調理物の加熱を終了させるまでの完了時間(te)を設定し、それぞれの設定を表示制御部36と連携して表示手段6に表示させる。そして、(3)操作手段7からの操作入力により、予約加熱の開始指示を受け付けるタイマーセットとなる。これは例えば、操作手段7のスタートキーを押動操作したのを受けて、タイマーセットされる構成としてもよい。
ここで予約加熱制御部37は、ステップS6の手順で加熱時間(tc)が完了時間(te)以上であると判断すると、ステップS8に移行して、被調理物へのレンジ加熱調理を直ちに開始させる。一方、ステップS6の手順で加熱時間(tc)が完了時間(te)よりも小さい場合は、ステップS7の手順に移行し、内蔵するタイマーのカウントに基づいて、完了時間(te)が加熱時間(tc)と同じ時間となるまで減算させ、その間は被加熱物を加熱調理せずに待機する。そして、ステップS6の手順で加熱時間(tc)が完了時間(te)以上に達すると、ステップS8に移行して、被調理物へのレンジ加熱調理を開始させる。
ここで、ステップS4において、操作手段7からの操作で最初に設定できる完了時間(te)は、0~30分の範囲となるので、タイマーセットから調理室10内に被調理物がそのまま放置される時間を、最大でも30分に制限できる。また、仮に誤った時間に完了時間(te)を設定しても、その誤りは30分以内に収めることができるので、この点でも調理室10内に被調理物がそのまま放置されるのを効果的に制限できる。しかも、被加熱物の加熱を終了させる予約時刻ではなく、操作手段7によりタイマーセットの操作をしてから、被調理物の加熱を終了させるまでの完了時間(te)を設定するので、単に完了時間(te)からの減算処理で対応でき、基準となる現在時刻のカウントが不要になる。
なお予約加熱制御部37は、タイマーセットから加熱調理が完了するまでの予約中に照明用の制御信号を出力せず、庫内灯28を点灯させないように構成する。これは、待機中に庫内灯28を点灯させると、調理室10内の被調理物が加熱調理されていると誤認識されるのを防ぐためである。また予約加熱制御部37は、予約中に不必要な電力消費を避けるために、冷却用の制御信号を出力せず、冷却ファン29を動作させないように構成する。
さらに予約加熱制御部37は、表示制御部36と連携して、予約中に加熱調理が完了するまでの時間を、表示手段6にカウントダウン表示させる。例として、ステップS5で最初に完了時間(te)を30分に設定したら、タイマーセットの時点で表示手段6に例えば「30分」と表示させ、そこからタイマーのカウントが1分ずつ経過するごとに「29分」、「28分」とカウントダウン表示させて、加熱調理の終了した時点で「0分」と表示させる。こうした表示は、あくまでも一例に過ぎない。
変形例として、ユーザの保有する携帯機器との通信を可能にする通信部(図示せず)を設け、携帯機器からの操作により、通信部を介して設定した完了時間(te)を外部から変更できるように構成してもよい。例えば、タイマーセットの後に外出して、予定よりも早く帰宅できそうな場合に、携帯端末の操作部から完了時間(te)の変更を指示する操作を行なうと、第2設定部40がこれを受け付けて、帰宅したタイミングで加熱調理を終了させることができる。
予約加熱制御部37による被調理物への加熱調理が終了すると、今度はその直後から保温加熱制御部38による被調理物への保温が自動的に開始する。保温加熱制御部38は、最大で30分の保温時間中に、赤外線センサによる庫内温度分布検出手段15からの検出信号を受けて、被調理物の温度が予め設定した例えば60℃の閾値となるように、200Wのレンジ出力で被調理物をレンジ加熱する加熱用の制御信号を、マグネトロン加熱ユニット25に出力する。これにより、被調理物への加熱が終了した後に、被調理物を調理室10からすぐに取り出せない状況になっても、最大で30分以内の短時間に限定して、調理室10内で被調理物を温かい状態に維持できる。なお、こうした被調理物の温度閾値やレンジ出力の設定はあくまでも一例であり、適宜変更が可能である。
保温加熱制御手段38は、途中で扉3が開けられたり、操作手段7から保温を取消す操作が行われたりしなければ、最大で30分以内の保温時間が経過すると、被調理物へのレンジ加熱を終了して保温を自動的に終了させる。保温加熱制御手段38は、被調理物への加熱調理が終了した時点と、保温が終了した時点で、報知用の制御信号を出力して、音発生手段30からブザー音や電子音でその旨を報知させるが、それ以外のタイミングでは不必要な報知を行なわない。これは、加熱調理が終了した後に、ブザー音や電子音が頻繁に鳴り、オーブンレンジに急かされる不満を解消するためである。
保温加熱制御部38は、保温中に照明用の制御信号を出力して、庫内灯28を点灯させ、被調理物を明るく照明するように構成する。これにより、被調理物への加熱調理が終了して保温中であることを、ユーザに的確に知らせることができる。また保温加熱制御部38は、予約中に不必要な電力消費を避けるために、冷却用の制御信号を出力せず、冷却ファン29を動作させないように構成する。
さらに保温加熱制御部38は、表示制御部36と連携して、加熱調理が終了してからの保温の経過時間を、表示手段6にカウントアップ表示させる。例として、加熱調理が終了した時点で表示手段6に例えば「0分」と表示させ、そこからタイマーのカウントが1分ずつ経過するごとに「1分」、「2分」とカウントアップ表示させて、保温の終了した時点で「30分」と表示させる。こうした表示は、あくまでも一例に過ぎない。
以上のように本実施形態では、調理室10に入れられた被調理物を加熱手段31で加熱する加熱調理器において、予約加熱の開始操作となるタイマーセットを受け付ける操作手段7と、被加熱物の加熱時間(tc)を設定する第1設定部39と、タイマーセットのために操作手段7を操作してから被調理物の加熱を終了させるまでの予約時間となる完了時間(te)を、最大30分以内の時間で設定する第2設定部40と、タイマーセットのために操作手段7が操作されると、第2設定部40で設定した完了時間(te)に被調理物の加熱が終了するように、第1設定部39で設定した加熱時間に加熱手段31を動作させる加熱制御部35と、を備えている。
この場合、ユーザは第2設定部40を利用して、被加熱物の加熱を終了させる予約時刻ではなく、操作手段7を操作してから被調理物の加熱を終了させるまでの予約時間となる完了時間(te)を、最大30分以内の時間で設定できるので、完了時間(te)の設定に誤りがあっても30分以内に収めることができ、現在時刻をカウントする計時手段も不要にできる。したがって、食品腐敗のリスクを回避した短い時間内の所望の時刻に、被調理物への加熱調理を終了させることができ、余計な機能を付加しない加熱調理器を提供できる。
また本実施形態では、被調理物の加熱が終了してから最大で30分が経過するまで、被調理物を所定の温度で保温するように、加熱制御部35が加熱手段31を動作させる構成となっている。
この場合、被調理物への加熱が終了した後に、被調理物を調理室10からすぐに取り出せない場合でも、30分以内の短時間であれば食品腐敗のリスクを回避して、調理室10内で被調理物を温かい状態に保つことができる。したがって、加熱調理器での加熱調理終了後に、被調理物をそのまま放置しておくと冷めてしまい、再あたためが必要になる煩わしさを解消できる。
また本実施形態では、音を出力する報知手段としての音発生器30を備え、保温中は音発生器30から音を出力させないように、加熱制御部35が音発生器30を制御する構成となっている。
これにより、加熱調理器による加熱調理の終了後に、音発生部30が一定時間ごとに音を出力する煩わしさを解消できる。
さらに本実施形態では、加熱時間(tc)が完了時間(te)以上であったら、被調理物の加熱を直ちに開始するように、加熱制御部35が加熱手段31を動作させる構成となっている。
したがって、加熱時間(tc)が完了時間(te)以上の場合は、被調理物への加熱を優先させることで、被調理物への加熱調理を十分な加熱時間で完了させることができる。
図5~図18は、本発明の計量システムを調理機器となる炊飯器やオーブンレンジに適用させた第2の実施形態を示している。
先ず、図5および図6を参照して、計量システムを含む調理システムの概略構成を説明する。本実施形態における計量システム41は、ユーザが保有する携帯端末42に、アプリケーションソフトとして組み込まれたスケール制御部43と、携帯端末42や調理機器となる炊飯器44とは別体に設けられ、被測定物Sの重量測定を可能にするキッチンスケール45と、を主な構成要素とする。システム制御部43は、キッチンスケール45で測定した重量の測定データを、無線で受信できる構成となっており、またインターネット上に設置されたサーバ46との間で、各種のデータを送受信できる構成となっている。サーバ46は、スケール制御部43との間だけでなく、ユーザが利用する炊飯器44との間でも、各種のデータを送受信できる構成となっており、システム制御部43がインストールされた携帯端末42とキッチンスケール45は、サーバ46を介して炊飯器44との通信連携を可能にする「IoTキッチンスケール」として機能する。
携帯端末42は周知のように、略矩形扁平状をなす構造体48に、端末表示手段49や端末操作手段50がそれぞれ配設される。液晶ディスプレイなどの端末表示手段49は、構造体48の一側略全域を表示面として形成し、その表面に設けられた透明なタッチパネルや、その他のキーが、端末操作手段50を構成する。携帯端末42に代わって、パソコンやタブレットなどの各種端末機器を利用してもよい。
炊飯器44は、開閉可能な蓋体51が取り付けられた本体52と、この本体52から出し入れが可能な容器となる鍋53と、を主な構成とする。蓋体51の上面には、蓋開ボタン54が露出状態で配設され、この蓋開ボタン54を押すと、本体52と蓋体52との係合が解除され、本体52の後部に設けたヒンジ(図示せず)を回転中心として、蓋体2が自動的に開く構成となっている。また、蓋体51の上面には、炊飯を含む調理に関わる様々な情報を表示する表示手段56や、炊飯を開始させたり、時間や炊飯コースなどを選択させたりするための操作手段57を備えた操作パネル58が配設される。
鍋53は、被炊飯物で食材となる水や米などを収容するために、上面を開口した有底筒状に形成される。蓋体51や本体52の内部には、誘導コイルやコードヒータなどの加熱手段(図示せず)や、加熱手段や表示手段56を制御する制御手段(図示せず)が設けられており、被炊飯物を収容した鍋53を本体52に装着し、操作手段57を適宜操作して、複数のメニューの中から特定のメニューを選択するのに続いて、操作手段57の例えば開始キーを押動操作して炊飯の開始を指示すると、制御手段は特定のメニューに対応した調理に関するあらゆる情報、すなわちレシピデータを内蔵するメモリから読み出して、そのレシピデータに含まれる加熱条件に基づき、鍋53内の被炊飯物をご飯に炊き上げるように、加熱手段や表示手段56の動作を制御する構成となっている。
その他、59は蓋体51や本体52の各部に商用電源からの電力を供給する電源プラグ付きコード、60は鍋53内の被炊飯物から発生する蒸気を、本体52の外部に排出する蒸気口ユニットである。また、本体52または蓋体51には、無線LANを構築する最寄りのアクセスポイント(図示せず)に接続して、サーバ46ひいてはスケール制御部43との通信を可能にする通信手段61が、制御手段と電気的に接続して設けられる。
キッチンスケール45は、平板状の本体62に計量皿63と表示手段64とを設けた外観構成を有する。キッチンスケール45の内部には、計量皿63に載せられた被測定物Sの重量を電気的な信号に変換し、測定データとして出力する測定手段65と、この測定手段65からの測定データを、スケール制御部43に無線で伝送する通信手段66とを備えている。
図7は、スケール制御部43が組み込まれる携帯端末42の主な電気的構成を示している。同図において、71はマイクロコンピュータにより構成される端末制御手段であり、この制御手段71は、演算処理手段としてのCPUや、記憶手段としてのメモリや、計時手段としてのタイマーや、入出力デバイスなどを備えている。
端末制御手段71の入力ポートには、前述した端末操作手段50の他に、キッチンスケール45の測定手段65からの測定データを受信するための第1通信手段72と、サーバ46からの各種データを受信するための第2通信手段73が、それぞれ電気的に接続される。また端末制御手段71の出力ポートには、前述した端末表示手段49や、サーバ46に各種データを送信するための第2通信手段73の他に、端末制御手段71からの音声報知用の制御信号を受けて音声を出力する音声出力手段74が、それぞれ電気的に接続される。第1通信手段72は、例えばキッチンスケール45の通信手段66との間で、直接無線での通信が可能なBluetooth(登録商標)通信モジュールで構成され、第2通信手段73は、例えば無線LANを構築する最寄りのアクセスポイント(図示せず)に無線で接続して、サーバ46や炊飯器44の通信手段61との間で通信を可能にするWi-Fi(登録商標)通信モジュールで構成される。
端末制御手段71は、端末操作手段50からの操作信号を受けて、第1通信手段72から測定用データを取り込んだり、第2通信手段73から各種のデータを取り込んだり、端末表示手段6を動作させる表示用の制御信号を送出したり、音声出力手段74を動作させる音声報知用の制御信号を出力したりする機能を有する。こうした機能は、記憶媒体として予めメモリにインストールして記録したプログラムを、端末制御手段71が読み取ることで実現するが、特に本実施形態では、端末制御手段71をスケール制御部43として主に機能させるプログラムを備えている。
スケール制御部43は、第1通信手段72を介してキッチンスケール45からの測定データを取得する第1データ取得部76と、炊飯器44により調理が可能なメニューのレシピデータを、中央管理装置となるサーバ46から第2通信手段73を介して取得する第2データ取得部77と、キッチンスケール45からの測定データを第1データ取得部76が取得すると、計量皿63に載せられた被測定物Sに含まれる食材の実際の重量、すなわち実重量を算出し、この食材の実重量と、第2データ取得部77により取得したレシピデータに含まれる食材の目標重量との比較結果を、例えば表示用の制御信号や音声報知用の制御信号としてデータ出力し、端末表示手段49に表示させたり、音声出力手段74から音声出力させたりする重量判定部78と、重量判定部78で算出された食材の実重量から、第2データ取得部77により取得したレシピデータに基づき作られる料理の栄養成分量を算出して、その算出結果を例えば表示用の制御信号や音声報知用の制御信号としてデータ出力し、端末表示手段49に表示させたり、音声出力手段74から音声出力させたりする栄養成分量算出部79と、を主なソフトウェアの機能構成として備える。
サーバ46は、炊飯器44のみならず他のあらゆる調理機器の各製品について、その製品で調理を行なえる全てのレシピデータを蓄積記憶している。スケール制御部43は、炊飯器44から最初にその炊飯器44の製品名や製品番号などを特定する登録データが、第2通信手段73を介して送られてくると、その登録データをメモリに記憶して、以後はメモリに記憶された登録データに一致する製品について、その製品で調理を行なえるレシピデータだけを、サーバ46に記憶する全てのレシピデータから抽出して取得できるように第2データ取得部77を機能させる。
重量判定部78は、例えば被測定部Sとして米を入れた炊飯器44の鍋43の重量が、キッチンスケール45から測定データとして第1データ取得部76に取り込まれたときに、予めキッチンスケール45で測定した、若しくは予め既知の値としてメモリに記憶された鍋43単体の重量を、被測定物Sの重量から差し引くことで、食材となる米だけの実重量を算出する機能を有する。また、食材の実重量と比較される目標重量は、第2データ取得部77で取得したレシピデータの中から、重量判定部78により読み出される。レシピデータは、料理の準備から完成までの各手順や、各手順で使用する食材や、それぞれの食材の目標重量や、目標重量での栄養成分量に関する情報を含んでおり、重量判定部78は単に食材の実重量と目標重量との比較結果だけでなく、その比較結果に関連して、レシピデータの中から必要な情報を読み出して、これらを端末表示手段49に表示させたり、音声出力手段74から音声出力させたりするのにデータ出力する構成を有している。
また重量判定部78は、算出された食材の実重量のデータを、第2通信手段73からサーバ46を介して、炊飯器44の制御手段に送出する構成を有している。例えば、上述した米の実重量の算出では、その算出したデータが重量判定部78から炊飯器44の制御手段に送出される。炊飯器44の制御手段44は、重量判定部78から受け取ったデータにより、その後で米と水を入れた鍋53を本体52にセットして炊飯加熱を行なう場合に、実際の米の量から加熱量をどの程度にすればよいのかを最適に設定できる。
栄養成分量の算出手段となる栄養成分量算出部79は、第2データ取得部77により取得したレシピデータの中で、特に個々の食材の目標重量に対する栄養成分量(カロリー、糖質、栄養バランスなど)の情報を基にして、重量判定手段で算出された個々の食材の実重量から、最終的に料理として付きり上げたときの実際の栄養成分量を算出し、その算出結果を端末表示手段49に表示させたり、音声出力手段74から音声出力させたりするのにデータ出力する構成を有している。
なお本実施形態では、携帯端末42と炊飯器44がサーバ46を介して通信可能に接続されるので、スケール制御部43の一部または全ての機能構成を、サーバ46や炊飯器44の制御手段に移してもよい。
次に上記構成について、計量システムを利用した水位合わせの手順を、図8~図12を参照して説明する。なお、携帯端末42の端末制御手段71には、例えばサーバ46からスケール制御部43が既にインストールされ、端末制御手段71のメモリには、ユーザの使用する炊飯器44を特定する登録データが既に記憶保存されているものとする。
ユーザが自身の保有する携帯端末42の端末操作手段50を操作して、スケール制御部43を起動させ、図示しない初期画面を端末表示手段49に表示させた後、予めメモリに記憶された炊飯器44の登録データを選択すると、その炊飯器44に対応した白米ご飯を調理するメニューのレシピデータが、第2データ取得部77からサーバ46への問い合わせを受けて、端末制御手段71のメモリに記憶保存される。この第2データ取得部77がサーバ46から取得したレシピデータに基づいて、炊飯加熱を行なう前の手順で、予め鍋53に入れた米量に対して、適切な量の水を入れるための「水位合わせナビ」の第1画面F1が、スケール制御部43により端末表示手段49に表示される。
図8は、スケール制御部43が端末表示手段49に第1画面F1を表示させた状態を示しており、水位合わせの一連の行程を示すと共に、その中で現在進行中の行程を強調して示す行程表示部H1と、現在進行中の行程に対応した画像を示す現行程画像部G1と、その表面をタッチ操作することで1つ前の画面に遷移する戻る表示部H2と、その表面をタッチ操作することで次の画面に遷移する次へ表示部H3が、第1画面F1にそれぞれ配置される。
ユーザが第1画面F1を参考にして、キッチンスケール45の計量皿63に被測定物となる空の鍋53を載せると、その重量が測定データとして第1データ取得部76に取り込まれる。ユーザがキッチンスケール45による計量を終了し、次へ表示部H3の表面をタップ操作すると、スケール制御部43は端末操作手段50からの操作信号を受けて、直前に第1データ取得部76が取り込んだ空の鍋53の重量に相当する測定データをメモリに記憶し、図9に示す第2画面F2を端末表示手段49に表示させる。
ユーザが第2画面F2を参考にして、キッチンスケール45の計量皿63に載せた鍋53に米を投入すると、被測定物となる鍋53と米を合わせた重量が測定データとして第1データ取得部76に取り込まれる。これを受けて重量判定部78は、メモリに記憶した鍋53の重量の測定データを読み出して、2つの測定データの測定データの差、すなわち鍋53だけの重量の測定データと、鍋53と米を合わせた重量の測定データとの差から、食材となる米だけの実重量を算出し、その算出結果を端末表示手段49に例えば「ただ今 3.5カップ」のような実重量表示部H4で表示させる。ユーザは本体52に鍋53をわざわざ収容しなくても、鍋53に入れた実際の米の重量が判る実重量表示部H4を見ながら、キッチンスケール45に載せた鍋53に、希望する量の米を鍋53に投入することができる。
ユーザが鍋53に希望する量の米を投入し終えて、次へ表示部H3の表面をタップ操作すると、スケール制御部43は端末操作手段50からの操作信号を受けて、直前に取り込んだ鍋53と米を合わせた重量に相当する測定データをメモリに記憶し、図10に示す第3画面F3を端末表示手段49に表示させる。第3画面F3では、米のとぎ方を現行程画像部G1に表示させると共に、「鍋の中でも研げます」としたユーザへのメッセージを、メッセージ表示部H5に表示させる。
ユーザが第3画面F3を参照して、鍋53の中での米研ぎを終了し、次へ表示部H3の表面をタップ操作すると、スケール制御部43は図11に示す第4画面F4を端末表示手段49に表示させる。また重量判定部78は、メモリに記憶した2つの測定データの差、すなわち鍋53だけの重量の測定データと、鍋53と米を合わせた重量の測定データとの差から算出される米の実重量から、白米を標準の硬さに炊き上げる場合に、その米の実重量に相応しい水の目標重量を算出する。この目標重量は1つの値ではなく、ある程度の範囲を持つ値(下限値から上限値の間)としてもよい。
ユーザが第4画面F4を参考にして、キッチンスケール45の計量皿63に載せた米入りの鍋53に水を投入すると、被測定物となる鍋53と米と水を合わせた重量が測定データとして第1データ取得部76に取り込まれる。これを受けて重量判定部78は、メモリに記憶した鍋53と米を合わせた重量の測定データを読み出して、2つの測定データの差、すなわち鍋53と米と水を合わせた重量の測定データと、鍋53と米を合わせた重量の測定データとの差から、食材となる水だけの実重量を算出し、その算出した水の実重量と、白米ご飯を調理するメニューのレシピデータに基づく水の目標重量との比較結果を、端末表示手段49や音声出力手段74にデータ出力する。これにより、例えば水の実重量が水の目標重量よりも少なければ、端末表示手段49から「水を足してください」のようなメッセージをメッセージ表示部H5に表示出力させ、音声出力手段74からも『水足してください』のような音声メッセージV1を報知出力させる。
またスケール制御部43は、水量を調整するための第4画面F4に、実重量表示要素J1をさらに配置させている。実重量表示要素J1は、鍋53に入れた実際の水量(水重量)のレベルが、目標の水量に対してどの程度であるのかを、目標水量となる四角形の記号の両側に、複数の三角形の記号を並べて、各記号の色の濃さの違いで示すものである。図11に示す第4画面F4では、鍋53に入れる水量が目標の水量も不足しているため、その旨を言葉でメッセージ表示部H4により表示すると共に、四角形とその左側の三角形の一部の記号を、それ以外の記号よりも濃い色で実重量表示要素J1により表示する。
こうした表示や報知を受けて、ユーザが鍋53に水を足し、キッチンスケール45からの測定データで得られる水の実重量が、水の目標重量に達するようになると、端末表示手段49には図12に示すような第4画面F4が表示される。すなわち重量判定部78は、図12に示す第4画面F4で、鍋53に入れる水量が目標の水量に達したことを示すのに、端末表示手段49から「水量が合いました」のようなメッセージをメッセージ表示部H5に表示出力させ、音声出力手段74からも『水量が合いました』のような音声メッセージV1を報知出力させる。また、メッセージ表示部H4の下側に並べて配置した実重量表示要素J1も、その旨を示すのに全ての記号が同じ色調に表示される。
こうして本実施形態の計量システムは、キッチンスケール45に載せた鍋53に米を入れると、それに応じた適切な水量をユーザに教えることが可能となる。そのため、ユーザは鍋53を炊飯器44の本体52に出し入れすることなく、スケール制御部43との間で通信機能を備えたキッチンスケール45と連動して、鍋53に入れる米や水の量を適切に調整できる。
ユーザは図12に示す第4画面F4で、鍋53に入れる水量が目標の水量と一致したのを確認したら、次へ表示部H3の表面をタップ操作する。スケール制御部43の重量判定部78は、端末操作手段50からの操作信号を受けて、それまでに算出された最終の米の実重量や水の実重量のデータを、第2通信手段73からサーバ46経由で炊飯器44の本体52に送出する。このとき、水位合わせで利用したレシピデータから、そのレシピデータに対応したメニューを特定するデータを、併せて炊飯器44の本体52に送出してもよい。これにより炊飯器44の本体52は、重量判定部78で算出された水や米の実重量のデータを取り込み、さらにはどのメニューに適用すべきかを取り込むことで、炊飯器44がどのメニューのどの程度の加熱量で、米や水を含む被炊飯物を炊飯加熱すべきかを最適に設定できる。
また、図12に示す第4画面F4で、次へ表示部H3の表面がタップ操作されると、栄養成分算出部79が、重量判定部78で算出された米や水の実重量から、水位合わせで利用したレシピデータに基づき、そのレシピデータに従って作られる白米ご飯の栄養成分量として、例えばカロリーや糖質の量を計算して、その算出結果を端末表示手段49や音声出力手段74にデータ出力してもよい。これにより図示しないが、栄養成分算出部79は端末表示手段49を別な画面に切り替えて、カロリーや糖質の量を表示させる。および/または栄養成分算出部79は、カロリーや糖質の量を音声出力手段74から報知出力させる。
さらに、前述の図9に示す第2画面G2や、図10に示す第3画面G3で、次へ表示部H3の表面がタップ操作されたときに、図示しない別な画面に一旦遷移して、同じ白米ご飯を調理するメニューで、端末操作手段50への操作で米の銘柄、新米・古米、炊きあがりのご飯の硬さなどの条件を選択させ、それにより重量判定部78が、選択した条件に適した水の目標重量を設定するように構成してもよい。これにより、様々な条件に合わせた最適な水位合わせが、キッチンスケール45と連動して簡単に行える。
なお、図8~図12に示す各画面F1~F4は、第2データ取得部77がサーバ46から白米ご飯を調理するメニューのレシピデータを取得した時に表示されるものである。したがって、別な例えば炊込みご飯やケーキなどのメニューのレシピデータを、第2データ取得部77が取得した場合は、そのレシピデータに沿った例えば炊込みご飯作りのための水位合わせの画面や、ケーキ作りに必要な手順を示す画面が、スケール制御部43により端末表示手段49に表示される。
また、どのレシピデータであっても、キッチンスケール45で測定し、重量判定部78で算出された食材の実重量から、その食材の実重量で炊飯器44による調理が可能な他のレシピデータを取得できる構成となっている。例えば、図12に示す第4画面F4で、次へ表示部H3の表面がタップ操作されたときに、米の実重量が3.5カップで、水がそれに対応した実重量であった場合、同じ米と水の実重量で炊飯器44が調理を行なえるメニューに対応した他のレシピデータを、第2データ取得部77がサーバ46にアクセスして取得する。取得したレシピデータに対応するメニューのリストを、スケール制御部43が図示しない別な画面で端末表示手段49に表示させることで、ユーザは炊飯器44を用いて作ることができる別なメニューを、第2データ取得手段77から取得した他のレシピデータによって知ることができる。
携帯端末42の端末制御手段71にインストールされたスケール制御部43は、炊飯器44以外の別な調理機器にも適用できる。図13は調理機器としてオーブンレンジに適用させた計量システムを含む調理システムの概略構成である。同図において、ここでは調理機器として通信手段61を有するオーブンレンジ81が設置され、オーブンレンジ81以外の計量システムの構成は、図5で示したものと同じである。オーブンレンジ81そのものは、第1の実施形態で示したものに通信手段61を付加して構成される。この場合もスケール制御部43は、オーブンレンジ81から最初にそのオーブンレンジ81の製品名や製品番号などを特定する登録データが、第2通信手段73を介して送られてくると、その登録データをメモリに記憶して、以後はメモリに記憶された登録データに一致する製品について、その製品で調理を行なえるレシピデータだけを、サーバ46に記憶する全てのレシピデータから抽出して取得できるように第2データ取得部77を機能させる。
次に上記構成について、計量システムを利用したレシピの分量合わせの手順を、図14~図18を参照して説明する。なお、携帯端末42の端末制御手段71には、例えばサーバ46からスケール制御部43が既にインストールされ、端末制御手段71のメモリには、ユーザの使用するオーブンレンジ81を特定する登録データが既に記憶保存されているものとする。
ユーザが自身の保有する携帯端末42の端末操作手段50を操作して、スケール制御部43を起動させ、図示しない初期画面を端末表示手段49に表示させた後、予めメモリに記憶されたオーブンレンジ81の登録データを選択すると、そのオーブンレンジ81で調理が可能な全メニューのリストが端末表示手段49に表示される。ここでユーザが端末操作手段50を操作して、その中から希望する一つのメニューとして、「クリスマスシフォンケーキ」のメニューを選択すると、選択したメニューのレシピデータが、第2データ取得部77からサーバ46への問い合わせを受けて、端末制御手段71のメモリに記憶保存される。この第2データ取得部77がサーバ46から取得したレシピデータに基づいて、ケーキ作りのためにオーブン調理加熱を行なう前の手順で必要な食材の量を、レシピデータに含まれる食材の目標分量に合わせるための第1画面F11が、スケール制御部43により端末表示手段49に表示される。
図14は、スケール制御部43が端末表示手段49に第1画面F11を表示させた状態を示しており、ここでは取得したレシピデータに対応するメニューの名称を示すメニュー名表示部H11と、完成した料理の画像を示す料理画像部G11と、使用する食材を示す食材表示部H12などが配置される。また、この第1画面F11の表面上でスワイプ操作すると、スケール制御部43は端末操作手段50からの操作信号を受けて、図15に示すようなケーキ作りに必要な全ての食材と分量を並べて一覧に示すリスト表示部H13を、同じ第1画面F11で表示させる。またスケール制御部43は、第1画面F11を表示させた直後の初期状態において、リスト表示部H13の中で特にキッチンスケール45による計量対象となる食材について、その食材と分量とを囲んだ枠の中に「計量します」というメッセージを併記した計量可能表示部H14を表示させる。
ユーザが図15に示す第1画面F11を参照して、計量可能表示部H14の表面上でタップ操作をすると、スケール制御部43は図16に示す「材料計量ナビ」の第2画面F12を端末表示手段49に表示させる。第2画面F12には、計量対象となる食材とその目標の分量を示す目標分量表示部H15と、計量の進行具合を表示する進行度表示部H16と、キッチンスケール45の計量皿63に載せた被測定物の重量から、実際の砂糖の量を示す実重量表示部H17と、実際の砂糖の量(重量)のレベルが目標の分量に対してどの程度であるのかを、目標分量となる四角形の記号の両側に、複数の三角形の記号を並べて、各記号の色の濃さの違いで示す実重量表示要素J1と、その表面をタッチ操作することで1つ前の画面に遷移する戻る表示部H2と、その表面をタッチ操作することで次の画面に遷移する次へ表示部H3が、がそれぞれ配置される。
また重量判定部78は、端末表示手段49に第2画面F12が表示されると、クリスマスシフォンケーキのメニューに対応したレシピデータに含まれる食材の中で、計量対象となる砂糖の目標重量(=30g)を特定する。この目標重量は1つの値ではなく、ある程度の範囲を持つ値(下限値から上限値の間)としてもよい。ここでは図示しないが、前述した空の鍋53の重量を、測定データとして予めメモリに記憶保存させていたのと同様に、砂糖を入れるための空の容器(図示せず)の重量を、測定データとして予めメモリに記憶保存させておく。
ユーザが第2画面F12を参考にして、キッチンスケール45の計量皿63に載せた容器に砂糖を投入すると、被測定物となる容器と砂糖を合わせた重量が測定データとして第1データ取得部76に取り込まれる。これを受けて重量判定部78は、予めメモリに記憶した空の容器の重量の測定データを読み出して、容器と砂糖を合わせた重量の測定データと、空の容器の重量の測定データとの差から、食材となる砂糖だけの実重量を算出し、その算出した砂糖の実重量と、クリスマスシフォンケーキを作るメニューのレシピデータに基づく砂糖の目標重量との比較結果を、端末表示手段49や音声出力手段74にデータ出力する。これにより、例えば砂糖の実重量が砂糖の目標重量よりも少なく、実重量表示部H17で例えば「ただ今 26.5g」のような表示がされる状況では、計量が完了していないことをユーザに知らせるために、端末表示手段49から「計量中」のようなメッセージをメッセージ表示部H16に表示出力させ、音声出力手段74からも『砂糖を計量します』のような音声メッセージV11を報知出力させる。
こうした表示や報知を受けて、ユーザが容器に砂糖を足し、キッチンスケール45からの測定データで得られる砂糖の実重量が、砂糖の目標重量に達するようになると、端末表示手段49には図17に示すような第2画面F12が表示される。すなわち重量判定部78は、図17に示す第2画面F12で、容器に入れる砂糖の量が目標の量に達したことを示すのに、端末表示手段49から「水量が合いました」のようなメッセージをメッセージ表示部H16に表示出力させ、音声出力手段74からも『分量が合いました』のような音声メッセージV11を報知出力させる。また実重量表示要素J1も、その旨を示すのに全ての記号が同じ色調に表示される。
図17に示す第2画面F12で、次へ表示部H3の表面がタップ操作されると、図18に示すリスト表示部H13を配置した第1画面F11に再び切り替わる。ここでは、「砂糖 30g」の計量が終了したのを、例えば「計量済」というメッセージで知らせる計量済表示部H18が、図15に示す第1画面F11に配置された計量可能表示部H14に代わって表示される。また、他に計量対象となる食材がある場合には、その食材と分量として、例えば「薄力粉 80g」を囲んだ枠の中に、「計量します」というメッセージを併記した計量可能表示部H14を新たに表示させる。以下、計量可能表示部H14の表面上でタップ操作をすると、前述のような手順でキッチンスケール45と連動して食材となる薄力粉の計量が行われる。
こうして調理機器がオーブンレンジ81の場合も、キッチンスケール45に載せた容器にクリスマスシフォンケーキ作りの食材となる砂糖や薄力粉を入れると、それに応じた適切な分量(重量)をユーザに教えることが可能となる。そのため、ユーザは食材を入れた容器をオーブンレンジ81に出し入れすることなく、スケール制御部43との間で通信機能を備えたキッチンスケール45と連動して、砂糖や薄力粉の分量を適切に調整できる。
図15~図18に示す一連の手順で、計量対象となる食材の計量が全て終了すると、スケール制御部43の重量判定部78は、それまでに算出された最終の各食材の実重量のデータを、第2通信手段73からサーバ46経由でオーブンレンジ81に送出する。このとき、クリスパスシフォンケーキ作り利用したレシピデータから、そのレシピデータに対応したメニューを特定するデータを、併せてオーブンレンジ81に送出してもよい。これによりオーブンレンジ81は、重量判定部78で算出された各食材の実重量のデータを取り込み、さらにはどのメニューに適用すべきかを取り込むことで、オーブンレンジ81がどのメニューのどの程度の加熱量で、砂糖や薄力粉を含む被調理物を調理加熱すべきかを最適に設定できる。
また、計量対象となる食材の計量が全て終了すると、栄養成分算出部79が重量判定部78で算出された各食材の実重量から、食材の分量合わせで利用したレシピデータに基づき、そのレシピデータに従って作られるクリスマスシフォンケーキの栄養成分量として、例えばカロリーや糖質や栄養バランスの量を計算して、その算出結果を端末表示手段49や音声出力手段74にデータ出力してもよい。これにより図示しないが、栄養成分算出部79は端末表示手段49を別な画面に切り替えて、カロリーや糖質や栄養バランスの量を表示させる。および/または栄養成分算出部79は、カロリーや糖質や栄養バランスの量を、例えば『1人分235kcalです』のように音声出力手段74から報知出力させる。
なお、図14~図18に示す各画面F1~F4は、第2データ取得部77がサーバ46からクリスマスシフォンケーキを調理するメニューのレシピデータを取得した時に表示されるものである。したがって、オーブンレンジ81で調理が可能な別なメニューのレシピデータを、第2データ取得部77が取得した場合は、そのレシピデータに沿った食材の分量合わせの画面や、料理に必要な手順を示す画面が、スケール制御部43により端末表示手段49に表示される。
また、どのレシピデータであっても、キッチンスケール45で測定し、重量判定部78で算出された食材の実重量から、その食材の実重量でオーブンレンジ81による調理が可能な他のレシピデータを取得できる構成となっている。例えば、図18に示す第1画面F11から、砂糖だけでなく薄力粉の計量が終了したときに、砂糖の実重量が30gで、薄力粉の実重量が80gであった場合、同じ砂糖と薄力粉の実重量でオーブンレンジ81が調理を行なえるメニューに対応した他のレシピデータを、第2データ取得部77がサーバ46にアクセスして取得する。取得したレシピデータに対応するメニューのリストを、スケール制御部43が図示しない別な画面で端末表示手段49に表示させることで、ユーザはオーブンレンジ81を用いて作ることができる別なメニューを、第2データ取得手段77から取得した他のレシピデータによって知ることができる。さらに、他の食材から食材の分量計算を行なえるように、重量判定部78を構成してもよい。
以上のように本実施形態では、被測定物の重量を測定するスケールとなるキッチンスケール45から、その測定結果となる測定データを取得する第1データ取得部76と、調理機器となる炊飯器44やキッチンスケール81で調理が可能なメニューのレシピデータを取得する第2データ取得手段77と、キッチンスケール45からの測定データを第1データ取得手段76が取得すると、被測定物に含まれる食材の実重量を算出し、この食材の実重量とレシピデータに基づく食材の目標重量との比較結果を、例えば端末表示手段49や音声出力手段74にデータ出力する重量判定部78と、を備えている。
これにより、例えば調理機器が炊飯器44の場合は、白米ご飯を調理するメニューのレシピデータを取得したときに、そのレシピデータに基づく食材としての米と水を合わせた目標重量が、最初にキッチンスケール45で測った鍋53と米だけの測定データから設定され、次に米を入れた鍋53に水を足した被測定物の重量をキッチンスケール45で測定し、そのキッチンスケール45からの測定データにより算出された米と水の実重量と、設定された目標重量との比較結果がデータで出力される。そのため、鍋53を炊飯器44の本体52に出し入れする必要がなく、キッチンスケール45と連動してメニューに応じた水加減調整の利便性が向上する。
また調理機器がオーブンレンジ81の場合は、クリスマスシフォンケーキ作りのメニューのレシピデータを取得したときに、クリスマスシフォンケーキの大きさに合わせた食材の一つとして例えば砂糖の目標重量が設定され、次にキッチンスケール45からの測定データにより算出された砂糖の実重量と、設定された目標重量との比較結果がデータで出力される。そのためこの場合も、キッチンスケール45と連動してメニューに応じた食材量調整の利便性が向上する。
このように、キッチンスケール45からの測定で得られた食材の実重量と、レシピデータに基づく食材の目標重量との比較結果を、重量判定部78がデータで出力するので、調理機器となる炊飯器44やオーブンレンジ81からわざわざ食材を出し入れしなくても、被測定物の重量を測定するキッチンスケール45を利用して、料理で使用する食材の実重量が、レシピメニューに基づく目標重量に正しく適合するか否かを、重量判定部78からのデータ出力で知ることが可能になる。
また、本実施形態の重量判定部78は、算出された食材の実重量のデータを、例えばサーバ46を介して調理機器となる炊飯器44やオーブンレンジ81に送出する構成となっている。
この場合、重量判定部78で算出された食材の実重量のデータが炊飯器44やオーブンレンジ81に取り込まれるので、そうした炊飯器44やオーブンレンジ81がどの程度の加熱量で食材を含む被調理物を加熱すべきかを最適に設定できる。
また本実施形態では、重量判定部78で算出された食材の実重量から、レシピデータに基づき作られる料理の栄養成分量として、例えばカロリーや糖質や栄養バランスの量などを算出して、端末表示手段49や音声出力手段74などにデータ出力する算出手段としての栄養成分算出部79をさらに備えている。
そのためユーザは、測定した食材の量で料理を作り上げたときに、その料理の例えばカロリーや糖質や栄養バランスなどがどの程度であるのかを、栄養成分算出部79からの栄養成分量に関するデータ出力により知ることができる。
また、本実施形態の第2データ取得部77は、重量判定部78で算出された食材の実重量から、その食材の実重量で炊飯器44やオーブンレンジ81による調理が可能な他のレシピデータを取得できる構成としている。
これによりユーザは、キッチンスケール45で測定した食材の実重量から、炊飯器44やオーブンレンジ81を用いて作ることができる別なメニューを、第2データ取得部77から取得した他のレシピデータによって知ることができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更可能である。各実施形態における「手段」と「部」は、互いに置き換えることが可能である。また、第2実施形態における調理機器は、炊飯器44やオーブンレンジ81に限らず、被調理物を加熱調理できるあらゆる機器とすることができる。