以下に、一つの実施形態について、図1乃至図12を参照して説明する。なお、本明細書において、実施形態に係る構成要素及び当該要素の説明について、複数の表現が記載されることがある。複数の表現がされた構成要素及び説明は、記載されていない他の表現がされても良い。さらに、複数の表現がされない構成要素及び説明も、記載されていない他の表現がされても良い。
図1は、一つの実施形態のシート装置10を概略的に示す側面図である。シート装置10は、四輪自動車のような車両1に搭載され、スライドレール装置11と、複数のシート12とを有する。シート12はそれぞれ、シートクッション12aと、当該シートクッション12aに回動可能に取り付けられたシートバック12bとを有する。
各図面に示されるように、本明細書において、便宜上、X軸、Y軸及びZ軸が定義される。X軸とY軸とZ軸とは、互いに直交する。X軸は、車両1の左右方向に沿って設けられる。Y軸は、車両1の前後方向に沿って設けられる。Z軸は、車両1の上下方向に沿って設けられる。
さらに、本明細書において、X方向、Y方向及びZ方向が定義される。X方向は、X軸に沿う方向であって、X軸の矢印が示す+X方向(右方向)と、X軸の矢印の反対方向である-X方向(左方向)とを含む。Y方向は、Y軸に沿う方向であって、Y軸の矢印が示す+Y方向(前方向)と、Y軸の矢印の反対方向である-Y方向(後方向)とを含む。Z方向は、Z軸に沿う方向であって、Z軸の矢印が示す+Z方向(上方向)と、Z軸の矢印の反対方向である-Z方向(下方向)とを含む。
スライドレール装置11は、二つのロアレール21と、四つのスライダ22とを有する。ロアレール21は、レールとも称され得る。図1は、一つのロアレール21と、二つのスライダ22とを示す。
ロアレール21は、Y方向に延びるように車両1のフロア1aに取り付けられる。フロア1aは、略+Z方向に向く。なお、フロア1aは、他の方向に向く部分を有しても良い。二つのロアレール21は、X方向に互いに離間して配置される。
図2は、実施形態のスライドレール装置11の一部を示す断面図である。図2に示すように、スライダ22はそれぞれ、アッパレール25と、ガイド部材26とを有する。アッパレール25は、Y方向に延びるとともに、Y方向にスライド移動可能に、ロアレール21に取り付けられる。Y方向は、第1の方向とも称され得る。なお、+Y方向又は-Y方向が第1の方向と称されても良い。
Y方向は、ロアレール21の長手方向であるとともに、アッパレール25の長手方向である。また、X方向は、ロアレール21の幅方向であるとともに、アッパレール25の幅方向である。
左右一対のスライダ22が、一つのシート12を支持する。さらに、図1に示すように、Y方向に並べられた二つのスライダ22が、Y方向に移動可能に一つのロアレール21に取り付けられる。以下、Y方向に並べられた二つのスライダ22を、スライダ22A,22Bと個別に称することがある。
スライダ22A,22Bは、略同一の形状及び機能を有する。このため、以下の記載では、特段の記載がある場合を除き、スライダ22A,22Bをスライダ22としてまとめて説明する。
また、以下の説明において、X方向に並ぶ二つのロアレール21のうち一方と、X方向に並ぶ左右一対のスライダ22のうち一方と、について代表的に説明する。X方向に並ぶ二つのロアレール21のうち他方と、X方向に並ぶ左右一対のスライダ22のうち他方とは、例えば、説明されるロアレール21及びスライダ22に対し、X方向に鏡面対称に形成される。
X方向に並ぶ二つのロアレール21のうち説明される一方は、他方から-X方向に離間している。また、X方向に並ぶ左右一対のスライダ22のうち説明される一方は、他方から-X方向に離間している。このため、以下の説明において、+X方向を幅方向内側、-X方向を幅方向外側と称することがある。すなわち、幅方向内側は、X方向のうち他方のロアレール21及びスライダ22に向く方向である。幅方向外側は、X方向のうち他方のロアレール21及びスライダ22に向く方向の反対方向である。
図3は、実施形態のロアレール21及びアッパレール25を示す断面図である。図3に示すように、ロアレール21は、例えば、曲げ加工された一つの板金により作られ、略C字状の断面を有する。なお、ロアレール21はこの例に限られない。ロアレール21は、底壁31と、二つの外側壁32と、二つの上側壁33と、二つの内側壁34とを有する。上側壁33は、壁、又は第1の壁とも称され得る。内側壁34は、第2の壁とも称され得る。
底壁31は、X‐Y平面上に広がるとともにY方向に延びる略矩形の板状に形成される。底壁31は、図2及び図3に示すようなY方向と直交する断面において、X方向に延びている。底壁31は凹凸を有しても良い。
底壁31は、ロアレール21の内部に向く内面31aと、ロアレール21の外部に向く外面31bとを有する。内面31aは、第1の内面とも称され得る。内面31aは、略平坦に形成され、+Z方向に向く。外面31bは、略平坦に形成され、-Z方向に向く。外面31bは、内面31aの反対側に位置する。
図2に示すように、底壁31は、例えばボルトにより、フロア1aの窪み1bに取り付けられる。底壁31は、例えば、ブラケットを介してフロア1aの窪み1bに取り付けられても良い。
図3に示すように、二つの外側壁32は、X方向における底壁31の両端に接続され、略Z方向に延びている。言い換えると、二つの外側壁32は、Y方向と直交する断面において、底壁31が延びる方向と略直交する方向に延びている。本実施形態では、底壁31と外側壁32との間に、斜めに延びる角部分が介在する。外側壁32はそれぞれ、ロアレール21の内部に向く内面32aを有する。
二つの上側壁33は、X方向に互いに離間している。上側壁33は、X-Y平面上に広がるとともに、Y方向に延びる略矩形の板状に形成される。Y方向と直交する断面において、二つの上側壁33は、+Z方向における外側壁32の端に接続され、互いに近付く方向に延びている。X方向は、Y方向と直交しており、第2の方向とも称され得る。なお、+X方向又は-X方向が第2の方向と称されても良い。
上側壁33は、ロアレール21の内部に向く内面33aと、ロアレール21の外部に向く外面33bとを有する。言い換えると、上側壁33は、ロアレール21の内面である内面33aを形成する。内面33aは、第2の内面とも称され得る。
上側壁33の内面33aは、略平坦に形成され、-Z方向に向く。上側壁33の内面33aは、間隔を介して、底壁31の内面31aと向かい合う。外面33bは、略平坦に形成され、+Z方向に向く。外面33bは、内面33aの反対側に位置する。
二つの内側壁34は、X方向に互いに離間している。内側壁34は、Y-Z平面上に広がるとともに、Y方向に延びる略矩形の板状に形成される。Y方向と直交する断面において、二つの内側壁34は、二つの上側壁33の内側の端から、-Z方向に延びている。-Z方向は、第3の方向とも称され得る。
二つの内側壁34はそれぞれ、縁34aを有する。縁34aは、-Z方向における内側壁34の端に位置し、板状の内側壁34の端縁である。言い換えると、縁34aは、-Z方向における内側壁34の端部である。
縁34aは、-Z方向に向くとともに、Y方向に略直線状に延びている。なお、例えば内側壁34が曲げられることで、縁34aと異なる部分が-Z方向における内側壁34の端部となっていても良い。
二つの内側壁34は、二つの外側壁32の間に位置する。X方向において、二つの内側壁34は、二つの外側壁32から離間している。内側壁34の縁34aは、底壁31の内面31aから離間している。
ロアレール21に、内部空間36と、開口37とが設けられる。開口37は、溝とも称され得る。内部空間36は、ロアレール21の内部に設けられる。例えば、内部空間36は、底壁31、二つの外側壁32、及び二つの上側壁33に囲まれている。Y方向と直交する断面において、内側壁34は、上側壁33の端から、内部空間36に向かう方向である-Z方向に延びている。
開口37は、二つの内側壁34により、当該二つの内側壁34の間に形成(規定)される。このため、開口37は、二つの上側壁33の間に設けられるとともに、Y方向に延びている。開口37は、内部空間36と、ロアレール21の外部とを連通する。さらに、内部空間36は、Y方向におけるロアレール21の両端で外部に連通している。
アッパレール25は、例えば、曲げ加工された一つの板金により作られる。なお、アッパレール25はこの例に限られない。アッパレール25は、上壁41と、二つの側壁42と、二つの返し壁43とを有する。上壁41は、外壁とも称され得る。
上壁41は、X‐Y平面上に広がるとともにY方向に延びる略矩形の板状に形成される。上壁41は、Y方向と直交する断面において、X方向に延びている。上壁41は、ロアレール21の外部に位置する。
上壁41は、アッパレール25の内部に向く内面41aと、アッパレール25の外部に向く外面41bとを有する。内面41aは、略平坦に形成され、-Z方向に向く。外面41bは、略平坦に形成され、+Z方向に向く。外面41bは、内面41aの反対側に位置する。
二つの側壁42は、X方向における上壁41の両端から、略-Z方向に延びている。二つの側壁42は、略平行に延びており、互いに離間している。側壁42は、ロアレール21の開口37を通って延びている。このため、アッパレール25は、少なくとも部分的に開口37に位置している。
二つの側壁42はそれぞれ、アッパレール25の内部に向く内面42aと、アッパレール25の外部に向く外面42bとを有する。内面42aは、内側面とも称され得る。外面42bは、外側面とも称され得る。
内面42aは、略平坦に形成され、間隔を介して二つの側壁42のうち他方に向く。外面42bは、内面42aの反対側に位置する。外面42bの少なくとも一部と、ロアレール21の内側壁34とは、互いに向かい合う。
図2に示すように、Y方向と直交する断面において、二つの返し壁43は、ロアレール21の内部空間36において、二つの側壁42から互いに遠ざかる方向に延びている。具体的には、二つの返し壁43はそれぞれ、張出壁45と、起立壁46とを有する。
Y方向と直交する断面において、張出壁45は、側壁42の外面42bから略X方向に延びている。このため、二つの返し壁43の張出壁45は、互いに遠ざかる方向に延びている。Y方向と直交する断面において、起立壁46は、張出壁45の先端から+Z方向に延びている。以上の張出壁45及び起立壁46により、返し壁43は、返し(Barb)状の部分を形成する。なお、返し壁43の形状は、この例に限られない。
起立壁46は、ロアレール21の外側壁32と内側壁34との間に位置する。ロアレール21の内側壁34の縁34aは、間隔を介して張出壁45に向く。例えば車両1に衝撃が作用した場合、シート12及びアッパレール25が+Z方向に動くことがある。この場合、返し壁43がロアレール21の上側壁33及び内側壁34に受け止められる。これにより、アッパレール25がロアレール21から望まぬ外れ方をすることが抑制される。
スライドレール装置11は、駆動装置50をさらに有する。駆動装置50は、スライダ22をロアレール21に対してY方向に移動させる。駆動装置50は、スクリューロッド51と、モータ52と、変換機構53とを有する。図2は、モータ52を模式的に示す。
スクリューロッド51は、例えば、ロアレール21に固定され、Y方向に延びている。スクリューロッド51は、内部空間36又は開口37に位置し、且つアッパレール25の内部に位置する。スクリューロッド51の外面に、雄ネジが形成される。
モータ52は、スライダ22から幅方向内側に離間した位置で、種々の部材を介してスライダ22に取り付けられる。モータ52は、例えば、サーボモータであり、車両1のECU(Electronic Control Unit)の制御に応じて駆動させられる。本実施形態では、一つのスライダ22に一つのモータ52が取り付けられる。しかし、左右一対のスライダ22のために、共通の一つのモータ52が設けられても良い。
変換機構53は、スライダ22に取り付けられる。変換機構53は、例えば、スクリューロッド51に取り付けられたナットと、当該ナットとモータ52との間で回転を伝達するシャフト、ギヤ、ウォーム、及びウォームホイールのような種々の部品と、を有する。
モータ52により、変換機構53のナットが回転駆動されると、スライダ22がロアレール21に対してY方向に相対的に移動する。このように、変換機構53は、モータ52により生じる回転を、スライダ22の直動に変換する。
上述のように、本実施形態のシート装置10は、モータ52により駆動されるパワーシートである。しかし、シート装置10は、ユーザにより手動でスライダ22をY方向に移動させることが可能であっても良い。
図4は、実施形態のアッパレール25を示す斜視図である。図4に示すように、アッパレール25の二つの側壁42はそれぞれ、基部61と、少なくとも一つの装着部62と、少なくとも一つの曲部63とを有する。例えば、一方の側壁42は二つの装着部62及び二つの曲部63を有し、他方の側壁42は一つの装着部62及び一つの曲部63を有する。なお、側壁42は、この例に限られない。例えば、二つの側壁42がそれぞれ、二つの装着部62及び二つの曲部63を有しても良い。
基部61は、X方向における上壁41の両端から、-Z方向に延びる部分である。Y方向と直交する断面において、返し壁43は、-Z方向における基部61の端から互いに遠ざかる方向に延びている。なお、返し壁43は、基部61の他の位置から延びても良い。
装着部62は、Y方向において、返し壁43と異なる位置に設けられる。例えば、装着部62が設けられることにより、返し壁43が分割される。装着部62及び曲部63は、例えば、アッパレール25をプレス加工で曲げることにより形成される。装着部62は、曲部63を介して基部61に接続されている。
図3に示すように、Y方向と直交する断面において、装着部62は、当該装着部62が接続された基部61よりも、アッパレール25の内側に位置する。すなわち、二つの側壁42は、装着部62及び曲部63において、互いに近付くように曲げられている。X方向において、二つの装着部62は、二つの基部61の間に位置する。装着部62は、曲部63から-Z方向に延びている。装着部62は、返し壁43よりも-Z方向に延びている。
側壁42は、装着部62によって形成される凹面42cを有する。凹面42cは、外面42bから窪み、略平坦に形成される。なお、凹面42cは、内面42aから窪んでも良い。この場合、二つの側壁42は、装着部62及び曲部63において、互いに遠ざかるように曲げられる。
図4に示すように、側壁42に、複数の切欠き64が設けられる。切欠き64は、Y方向における装着部62と返し壁43との間に位置する。切欠き64は、-Z方向における基部61の端から、+Z方向に窪んだ部分である。
複数の装着部62のそれぞれに、第1の装着孔65と、複数の第2の装着孔66とが設けられる。第1の装着孔65と、複数の第2の装着孔66とは、Y方向に間隔を介して並べられ、装着部62をX方向に貫通する。
複数の第2の装着孔66は、互いに略同一形状に形成される。本実施形態において、複数の第2の装着孔66は、三つの第2の装着孔66A,66B,66Cを含む。第2の装着孔66Aは、第1の取付部とも称され得る。第2の装着孔66Bは、第2の取付部とも称され得る。
第2の装着孔66Bは、Y方向に第2の装着孔66Aから離間するとともに、第2の装着孔66Aよりも下方に位置する。別の表現によれば、第2の装着孔66Bは、第2の装着孔66Aよりもロアレール21の内側壁34の縁34aから-Z方向に離間している。また、第2の装着孔66Cは、Y方向に第2の装着孔66Bから離間するとともに、第2の装着孔66Bよりも下方に位置する。
スライドレール装置11は、複数の走行ローラ71と、複数の抑えローラ72と、複数のブッシュ73とをさらに有する。走行ローラ71は、ローラとも称され得る。抑えローラ72は、接触部材、又は第1の制限部材とも称され得る。ブッシュ73は、第2の制限部材とも称され得る。
図5は、実施形態のアッパレール25と、走行ローラ71と、抑えローラ72と、ブッシュ73とを分解して示す斜視図である。図5に示すように、複数の走行ローラ71はそれぞれ、例えば、軸71aと、当該軸71aに回転可能に取り付けられた車輪71bと、を有する。なお、走行ローラ71は、この例に限らず、他の転動体を有しても良い。
複数の走行ローラ71は、二つの側壁42の凹面42cに取り付けられる。言い換えると、走行ローラ71が取り付けられる側壁42の表面(外面42b)は凹んでいる。例えば、軸71aが、第1の装着孔65にカシメにて取り付けられる。これにより、走行ローラ71は、車輪71bがX方向に延びる軸71aまわりに回転可能に、凹面42cに取り付けられる。なお、軸71aは他の手段(例えば、圧入)にて第1の装着孔65に取り付けられても良い。また、走行ローラ71は、二つの側壁42のうち少なくとも一方に取り付けられれば良い。
図3に示すように、走行ローラ71は、ロアレール21の内部空間36に位置する。走行ローラ71は、Y方向に転動可能に、底壁31の内面31aに支持される。また、走行ローラ71は、間隔を介して内側壁34と-Z方向に並ぶ。言い換えると、内側壁34の縁34aが、間隔を介して走行ローラ71に向く。このため、内側壁34は、走行ローラ71から離間しており、走行ローラ71の転動を妨げない。
複数の抑えローラ72はそれぞれ、例えば、軸72aと、当該軸72aに回転可能に取り付けられた車輪72bと、を有する。なお、抑えローラ72は、この例に限らず、他の形状を有しても良い。
複数の抑えローラ72は、二つの側壁42の凹面42cに取り付けられる。言い換えると、抑えローラ72が取り付けられる側壁42の表面(外面42b)は凹んでいる。例えば、軸72aが、第2の装着孔66にカシメにて取り付けられる。これにより、抑えローラ72は、車輪72bがX方向に延びる軸72aまわりに回転可能に、凹面42cに取り付けられる。なお、軸72aは他の手段(例えば、圧入)にて第2の装着孔66に取り付けられても良い。また、抑えローラ72は、二つの側壁42のうち少なくとも一方に取り付けられれば良い。
抑えローラ72は、第2の装着孔66A,66B,66Cのいずれにも取り付け可能である。抑えローラ72は、第2の装着孔66A、第2の装着孔66B、又は第2の装着孔66Cに取り付けられる。抑えローラ72が第2の装着孔66A,66B,66Cのいずれに取り付けられるかにより、Z方向における抑えローラ72の位置が調整される。
抑えローラ72は、ロアレール21の内部空間36に位置する。抑えローラ72は、-Z方向における内側壁34の端部である縁34aに接触する。これにより、抑えローラ72は、スライダ22が底壁31の内面31aから遠ざかることを制限する。抑えローラ72の車輪72bは、縁34a上でY方向に転動可能である。なお、抑えローラ72の代わりに、滑りやすい部材が凹面42cに取り付けられ、縁34aに接触しても良い。
走行ローラ71が底壁31の内面31aに接触し、抑えローラ72が内側壁34の縁34aに接触する。このため、走行ローラ71及び抑えローラ72は、スライダ22がロアレール21に対してZ方向に移動することを制限し、スライダ22のガタツキを抑制する。
X方向において、走行ローラ71及び抑えローラ72は、返し壁43の起立壁46よりも、アッパレール25の内側に位置する。言い換えると、X方向において、走行ローラ71及び抑えローラ72は、二つの返し壁43の起立壁46の間に位置する。
Z方向において、走行ローラ71の軸71aの中心軸Ax1と、抑えローラ72の軸72aの中心軸Ax2とは、返し壁43よりも下方に位置する。言い換えると、Z方向において、走行ローラ71の軸71aの中心軸Ax1と、抑えローラ72の軸72aの中心軸Ax2とは、返し壁43と、ロアレール21の底壁31との間に位置する。
ブッシュ73は、例えば、合成樹脂によって作られる。なお、ブッシュ73は、金属のような他の材料によって作られても良い。複数のブッシュ73はそれぞれ、嵌合部73aと、複数のリブ73bとを有する。
複数のブッシュ73の嵌合部73aは、二つの返し壁43の起立壁46に取り付けられる。例えば、嵌合部73aは、+Z方向における起立壁46の先端に設けられた凹部に嵌め込まれる。このため、ブッシュ73は、走行ローラ71及び抑えローラ72よりも上方に位置する。なお、ブッシュ73は、二つの返し壁43のうち少なくとも一方に取り付けられれば良い。
複数のリブ73bは、嵌合部73aから、外側壁32の内面32aに向かって突出する。リブ73bは、外側壁32の内面32aに接触しても良い。複数のリブ73bは、Y方向に延びる。このため、リブ73bは、外側壁32の内面32aでY方向に滑りやすくなっている。
複数のブッシュ73は、二つの返し壁43に取り付けられることで、スライダ22がロアレール21に対してX方向に相対的に移動することを制限する。例えば、スライダ22がロアレール21に対してX方向に相対的に移動すると、ブッシュ73のリブ73bが、外側壁32の内面32aに接触する。これにより、ブッシュ73は、スライダ22がロアレール21に対してさらに移動することを抑制する。
外側壁32は、ブッシュ73を介して、返し壁43にX方向の力を作用させることがある。この場合、返し壁43が弾性変形することにより、返し壁43を介して側壁42に作用する力が低減される。このため、外側壁32から返し壁43に力が作用しても、側壁42が変形することが抑制され、走行ローラ71及び抑えローラ72が傾くことが抑制される。側壁42に切欠き64が設けられることで、返し壁43を介して側壁42に作用する力が更に低減され得る。
図6は、実施形態のスライダ22を分解して示す斜視図である。図6に示すように、アッパレール25は、第1の部分25aと、二つの第2の部分25bと、二つの第3の部分25cとを有する。
第1の部分25aは、アッパレール25の一部であり、上壁41と、二つの側壁42の一部と、二つの返し壁43の一部と、を有する。二つの第2の部分25bはそれぞれ、アッパレール25の一部であり、一方の側壁42の一部と、一方の返し壁43の一部と、を有する。二つの第3の部分25cはそれぞれ、アッパレール25の一部であり、他方の側壁42の一部と、他方の返し壁43の一部と、を有する。
一方の第2の部分25bは、Y方向における第1の部分25aの一方の端部からY方向に突出する。他方の第2の部分25bは、Y方向における第1の部分25aの他方の端部からY方向に突出する。
一方の第3の部分25cは、Y方向における第1の部分25aの一方の端部からY方向に突出する。他方の第3の部分25cは、Y方向における第1の部分25aの他方の端部からY方向に突出する。
第3の部分25cは、第2の部分25bからX方向に離間している。スライダ22Aにおいて、一方の第2の部分25b及び一方の第3の部分25cは、第1の部分25aからスライダ22Bに向かって突出する。スライダ22Bにおいて、一方の第2の部分25b及び一方の第3の部分25cは、第1の部分25aからスライダ22Aに向かって突出する。
ガイド部材26は、例えば合成樹脂によって作られた、アッパレール25と別の部材である。なお、ガイド部材26は、他の材料によって作られても良い。ガイド部材26は、取付壁80と、第1のガイド壁81と、二つの第2のガイド壁82と、二つの第1の押部83と、二つの第2の押部84とを有する。第1のガイド壁81は、第2の当接部とも称され得る。第2のガイド壁82は、第1の当接部とも称され得る。
取付壁80は、X‐Y平面上に広がるとともにY方向に延びる略矩形の板状に形成される。取付壁80は、アッパレール25の上壁41の外面41b上に配置される。取付壁80は、上壁41に、例えばボルト85によって取り付けられる。別の表現によれば、取付壁80は、アッパレール25の第1の部分25aに取り付けられる。なお、ガイド部材26は、他の位置でアッパレール25に取り付けられても良い。
第1のガイド壁81は、アッパレール25から遠ざかるように取付壁80から突出する。例えば、第1のガイド壁81は、X方向における取付壁80の幅方向外側の端80aから、幅方向外側に突出する。なお、第1のガイド壁81は、取付壁80から、+Z方向のような他の方向に突出しても良い。
第1のガイド壁81は、第1の支持縁81aと、二つの第2の支持縁81bとを有する。第1の支持縁81a及び第2の支持縁81bは、第1のガイド壁81の幅方向外側の縁である。第1の支持縁81aは、Y方向に直線状に延びる。二つの第2の支持縁81bは、Y方向における第1の支持縁81aの両端と、二つの第2のガイド壁82との間で延びている。X方向における第2の支持縁81bと取付壁80との間の距離は、第1の支持縁81aから遠ざかるに従って短くなる。
二つの第2のガイド壁82は、Y方向における取付壁80の両端から突出する。第2のガイド壁82の少なくとも一部は、X方向において、アッパレール25の二つの側壁42の間に位置する。
二つの第2のガイド壁82はそれぞれ、支持面82aを有する。Z方向における支持面82aとロアレール21の底壁31との間の距離は、取付壁80から遠ざかるに従って短くなる。言い換えると、支持面82aは、取付壁80から、斜め下方に延びている。
第1の押部83及び第2の押部84は、例えば、Y方向における第2のガイド壁82の端から、Y方向に延びる。第1の押部83及び第2の押部84は、互いに離間するとともに、略平行に延びている。第1の押部83と第2の押部84との間に、駆動装置50のスクリューロッド51が位置する。
図7は、実施形態のスライダ22を示す正面図である。図7に示すように、第1の押部83は、アッパレール25の第2の部分25bと第3の部分25cとの間に位置する。第1の押部83は、例えば、弾性力により、第2の部分25bを第3の部分25cから遠ざかる方向に押す。
第2の押部84は、アッパレール25の第2の部分25bと第3の部分25cとの間に位置する。第2の押部84は、例えば、弾性力により、第3の部分25cを第2の部分25bから遠ざかる方向に押す。
例えば、第1の押部83及び第2の押部84は、アッパレール25の第2の部分25bと第3の部分25cとの間の空間に圧入される。これにより、第1の押部83及び第2の押部84は、第2の部分25bと第3の部分25cとを、互いに遠ざかるように押す。
例えば、第1の押部83及び第2の押部84が第2の部分25b及び第3の部分25cを押す力は、第2の部分25b及び第3の部分25cに弾性変形を生じさせる力よりも低い。しかし、第1の押部83及び第2の押部84は、第2の部分25b及び第3の部分25cを内側から支持し、第2の部分25b及び第3の部分25cが互いに近付くように変形することを抑制する。
図8は、実施形態のスライドレール装置11の一部を示す斜視図である。図9は、実施形態のスライドレール装置11の一部を図8と異なる方向から示す斜視図である。図8及び図9に示すように、スライドレール装置11は、二つの取付具91と、複数のカバー92とをさらに有する。図8及び図9は、一つの取付具91を示す。
取付具91は、対応するロアレール21の底壁31の外面31bに取り付けられる。取付具91は、複数のカバー92を、ロアレール21に取り付ける。なお、カバー92は、フロア1aに取り付けられても良い。複数のカバー92は、ロアレール21の開口37を覆い塞ぐことができる。
図10は、実施形態の取付具91及び複数のカバー92を示す斜視図である。図10に示すように、取付具91はそれぞれ、支持軸95と、複数の支持部材96とを有する。図10は、一つの支持部材96を示す。支持部材96は、ブラケットとも称され得る。支持軸95と支持部材96とは、例えば、金属によって作られる。なお、支持軸95と支持部材96とは、他の材料によって作られても良い。
支持軸95は、例えば、円柱形に形成され、Y方向に延びる。支持部材96は、ロアレール21に取り付けられるとともに、支持軸95を支持する。支持部材96は、例えば、第1の延部96aと、第2の延部96bと、筒部96cとを有する。
図2に示すように、第1の延部96aは、例えば溶接により、底壁31の外面31bに取り付けられる。第1の延部96aは、ロアレール21の底壁31から幅方向外側に延びている。
第2の延部96bは、第1の延部96aの端部から、略+Z方向に延びている。第2の延部96bは、フロア1aの窪み1bの幅方向外側の側面1cと、ロアレール21の幅方向外側の外側壁32との間に位置する。第2の延部96bは、側面1cと外側壁32とから離間している。
窪み1bの側面1cは、幅方向内側に向く。幅方向外側の側面1cは、間隔を介して窪み1bの幅方向内側の側面1dに向く。幅方向内側の側面1dは、幅方向外側に向く。側面1c,1dは、略平行にY方向に延びている。
筒部96cは、+Z方向における第2の延部96bの端に設けられ、略円筒状に形成される。筒部96cの内側に、支持軸95が配置される。これにより、支持部材96は、支持軸95を支持する。
支持軸95は、ロアレール21から離間している。Z方向において、支持軸95の中心軸Ax3は、ロアレール21の上側壁33よりも上方に位置するとともに、フロア1aよりも下方に位置する。なお、中心軸Ax3の位置は、この例に限られない。
上述のように、支持部材96の第2の延部96bは、フロア1aの窪み1bの幅方向外側の側面1cと、ロアレール21の幅方向外側の外側壁32との間に位置する。しかし、支持部材96は、フロア1aの窪み1bの幅方向内側の側面1dと、ロアレール21の幅方向内側の外側壁32との間には設けられない。このため、ロアレール21は、窪み1bにおいて、幅方向内側に偏って配置される。すなわち、ロアレール21と側面1cとの間の距離は、ロアレール21と側面1dとの間の距離よりも長い。これにより、窪み1bの内部にロアレール21及び取付具91を配置するための設計が容易となる。
カバー92は、例えば、ナイロンのような合成樹脂によって作られる。なお、カバー92は、他の材料によって作られても良い。図10に示すように、複数のカバー92はそれぞれ、取付部101と、延壁102と、突出部103とを有する。
取付部101は、Y方向に延びる略半円筒状に形成される。別の表現によれば、取付部101は、Y方向に延びる略円柱状に形成され、挿通孔101aと、挿通溝101bとが設けられる。
挿通孔101aは、取付部101をY方向に貫通する略円形の孔である。挿通孔101aに支持軸95が通されることで、取付部101は、支持軸95(中心軸Ax3)まわりに回動可能に当該支持軸95に取り付けられる。これにより、取付部101は、ロアレール21の外部において、取付具91を介してロアレール21に間接的に取り付けられる。なお、例えば支持軸95がロアレール21と一体に形成されることで、取付部101がロアレール21に直接的に取り付けられても良い。
取付部101、延壁102、及び突出部103は、一体に形成される。このため、取付部101が支持軸95まわりに回動することで、延壁102及び突出部103は、取付部101と一体に支持軸95まわりに回動する。
挿通溝101bは、挿通孔101aと取付部101の外部とを、挿通孔101aの中心軸(中心軸Ax3)と直交する方向に連通する。挿通溝101bは、Y方向における取付部101の両端の間で延びる。挿通孔101aの中心軸Ax3まわりにおいて、挿通溝101bの一方の縁と他方の縁との間の距離は、支持軸95の直径よりも短い。
取付部101は、支持軸95にスナップフィットによって取り外し可能に取り付けられる。例えば、挿通溝101bが広がるように取付部101が弾性変形することで、取付部101は、支持軸95の中心軸Ax3と直交する方向に、支持軸95に着脱可能となる。これにより、取付部101は、複数のカバー92のそれぞれの位置から取り外し可能なように、ロアレール21に間接的に取り付けられる。すなわち、他の全てのカバー93が支持軸95に取り付けられた状態で、複数のカバー93のうち一つだけを支持軸95から取り外すことが可能となっている。なお、取付部101は、スナップフィットに限らず、ネジ留め、ピン留め、又は磁石のような種々の手段によって、複数のカバー92のそれぞれの位置から取り外し可能なように、ロアレール21に取り付けられても良い。
支持軸95に取り付けられた複数のカバー92は、Y方向に並べられる。すなわち、複数のカバー92は、ロアレール21、開口37、及び支持軸95が延びる方向であり且つスライダ22が移動可能な方向であるY方向に並べられる。
複数のカバー92のうち少なくとも一つの取付部101に、切欠き101cが設けられる。支持部材96の筒部96cが、切欠き101cに嵌め込まれる。これにより、支持部材96の筒部96cが配置された位置にも、カバー92を配置することが可能となる。
延壁102は、取付部101から、Y方向と交差する方向に延びている。本実施形態では、延壁102は、Y方向における取付部101の略全域から延び、略矩形の板状に形成される。なお、延壁102は、この例に限られない。
図2に示すように、延壁102は、第1の面102aと、第2の面102bと、第1の曲縁102cと、第2の曲縁102dとを有する。第1の面102aは、Y方向と直交する断面において、略円柱状の取付部101の外周面に連続し、当該外周面の接線方向に延びる。なお、第1の面102aは、この例に限られない。第2の面102bは、第1の面102aの反対側に位置する。
第1の曲縁102cは、例えば、第1の面102aの+X方向における縁及びY方向における縁に接続される。第2の曲縁102dは、例えば、第2の面102bの+X方向における縁及びY方向における縁に接続される。第1の曲縁102c及び第2の曲縁102dは、曲面状に形成される。第1の曲縁102cと第2の曲縁102dとは、直接的に、又は略平面状の端面を介して間接的に、互いに接続される。第2の曲縁102dの曲率半径は、第1の曲縁102cの曲率半径よりも大きい。
図10に示すように、延壁102の第2の面102bに、複数の窪み102eが形成される。本実施形態において、複数の窪み102eはそれぞれ、略六角形状の有底の穴である。第2の面102bに複数の窪み102eが形成されることで、複数の窪み102eの間に、略六角形の格子状のリブ102fが形成される。なお、窪み102e及びリブ102fは、他の形状であっても良い。
窪み102e及びリブ102fは、いわゆるハニカム構造を形成する。窪み102e及びリブ102fが設けられることで、例えばカバー92を射出成型することによるヒケ(Sink Marks)が生じることが抑制される。さらに、カバー92が軽量化される。
図11は、実施形態のロアレール21及び複数のカバー92を示す平面図である。図11に示すように、突出部103は、Y方向における取付部101の少なくとも一方の端から、複数のカバー92のうち隣接する他の一つに向かって突出する。なお、突出部103は、カバー92の他の部分から突出しても良い。
本実施形態では、突出部103は、延壁102を越えて取付部101を延長させることで形成される。別の表現によれば、Y方向において、突出部103を含む取付部101の長さは、延壁102の長さよりも長く設定される。なお、突出部103は、この例に限られず、取付部101と異なる形状を有しても良い。
本実施形態では、突出部103が取付部101の一方の端から突出する場合、全ての突出部103が略同一方向に突出する。例えば、全ての突出部103が-Y方向に突出する。なお、突出部103はこの例に限られない。
突出部103は、複数のカバー92のうち隣接する他の一つに当接し、複数のカバー92のうち隣り合う二つの延壁102が互いに近付くことを制限する。これにより、複数のカバー92のうち隣り合う二つにおいて、一方の延壁102と、他方の延壁102とは、間隔Gを介して互いに離間する。
二つの延壁102の間の間隔Gは、例えば、突出部103のY方向における突出量と略同一であり、Y方向における延壁102の長さ(幅)よりも短い。間隔Gの幅は、例えば、人間の指、ペン、ライター、及びハイヒールが通過することを防ぐことが可能なように設定される。なお、間隔Gは、この例に限られない。
以上の複数のカバー92のうち、少なくとも二つが互いに同一の形状を有する。例えば、切欠き101cが設けられた複数のカバー92は、互いに同一の形状を有する。また、切欠き101cが設けられていない複数のカバー92は、互いに同一の形状を有する。
図8及び図9に示すように、複数のカバー92の延壁102は個別に、閉塞位置Pcと、開放位置Poとに移動可能である。本実施形態では、カバー92は、延壁102が閉塞位置Pcと開放位置Poとに、中心軸Ax3まわりに回動することができる。別の表現によれば、延壁102は、取付部101の中心軸Ax3まわりの回動により、閉塞位置Pcと開放位置Poとに移動可能である。
図2は、閉塞位置Pcに位置するカバー92の延壁102を示す。図2に示すように、閉塞位置Pcにおいて、延壁102は、ロアレール21の開口37を少なくとも部分的に覆い、例えばロアレール21の内部に位置するスクリューロッド51を覆い隠す。以下、閉塞位置Pcの延壁102について詳しく説明する。
閉塞位置Pcの延壁102は、取付部101から幅方向内側に延びている。このため、閉塞位置Pcにおいて、延壁102の第1の面102aは、フロア1aと略同一平面を形成する。これにより、フロア1aに凹凸が生じることが抑制される。なお、延壁102は、フロア1aに対して若干傾いても良い。
閉塞位置Pcにおいて、取付部101と窪み1bの側面1cとは、隙間を介してX方向に並んでいる。また、閉塞位置Pcにおいて、延壁102と窪み1bの側面1dとは、隙間を介してX方向に並んでいる。カバー92と、窪み1bの二つの側面1c,1dの間の距離は、例えば、人間の指、ペン、ライター、及びハイヒールが通過することを防ぐことが可能なように設定される。
本実施形態では、X方向において、延壁102の長さは、ロアレール21の長さ(幅)よりも長い。延壁102は、X方向において、幅方向外側の上側壁33及び開口37を越えて、ロアレール21の端である幅方向内側の上側壁33の端まで延びる。言い換えると、延壁102は、X方向に開口37を横断する。このため、閉塞位置Pcの延壁102は、X方向における二つの上側壁33の全域と、X方向における開口37の全域と、を覆い塞ぐ。なお、Y方向においては、一つの延壁102は、二つの上側壁33の一部と、開口37の一部とを覆う。
閉塞位置Pcの延壁102は、X方向における開口37の全域を覆えば、幅方向外側の上側壁33を覆い、幅方向内側の上側壁33を露出させても良い。この場合、延壁102は、X方向において、幅方向外側の上側壁33を越えて、開口37と幅方向内側の上側壁33との境界まで延びる。なお、X方向における延壁102の先端と、露出された上側壁33との間に、隙間が形成されても良い。
ロアレール21の二つの上側壁33の外面33bのそれぞれに、緩衝材105が取り付けられる。緩衝材105は、例えば、不織布のシートと、当該不織布と外面33bとの間に介在する合成ゴムのシートと、を有する。なお、緩衝材105は、この例に限られず、例えば発泡材料のような他の材料によって作られても良い。また、緩衝材105は省略されても良い。
閉塞位置Pcの延壁102は、二つの上側壁33を覆うとともに、緩衝材105を介して当該二つの上側壁33に支持される。これにより、延壁102は、第1の面102aがフロア1aと略同一平面を形成するように保たれる。なお、閉塞位置Pcの延壁102は、二つの上側壁33を覆うとともに、当該二つの上側壁33のうち一方に支持されても良い。
上側壁33及び緩衝材105は、延壁102を、取付部101から遠ざかるに従って第1の面102aが上側壁33に近付くように支持しても良い。これにより、幅方向内側の上側壁33が、より確実に延壁102を支持することができる。幅方向内側の上側壁33は、二つの上側壁33のうち、取付部101から遠い方である。従って、延壁102の先端がフロア1aから浮き上がることが抑制される。
図11に示すように、閉塞位置Pcの複数のカバー92のそれぞれにおいて、Y方向の長さはX方向の長さよりも短い。なお、カバー92の寸法はこれに限らず、Y方向の長さは、X方向の長さと同じかより長くても良い。
図12は、実施形態の延壁102が開放位置Poに位置するスライドレール装置11の一部を示す断面図である。図12に示すように、開放位置Poにおいて、延壁102は、ロアレール21の開口37から離間している。
開放位置Poの延壁102は、取付部101から遠ざかるに従って上側壁33及び開口37から遠ざかるように延びている。言い換えると、延壁102は、取付部101から斜め上方に延びている。このため、延壁102は、開口37を覆わずに露出させる。
本実施形態では、例えば、Y方向においてスライダ22が位置する範囲内にあるカバー92の延壁102は、開放位置Poに位置する。ガイド部材26の第1のガイド壁81及び第2のガイド壁82は、Y方向においてスライダ22が位置する範囲内にある延壁102を、開放位置Poに支持する。言い換えると、第1のガイド壁81及び第2のガイド壁82は、スライダ22とX方向で対向する(隣接する、並ぶ)延壁102を、開放位置Poに支持する。複数のカバー92を一体として表現すれば、第1のガイド壁81及び第2のガイド壁82は、Y方向における延壁102の一部が配置された位置において開放位置Poで当該延壁102の一部を支持する。これにより、第1のガイド壁81及び第2のガイド壁82は、延壁102が自重により開放位置Poから閉塞位置Pcへ戻ることを抑制する。
開放位置Poにおいて、延壁102は、開口37から離間するとともに、ガイド部材26に支持される。また、開放位置Poにおいて、延壁102は、シート12や駆動装置50のような、ガイド部材26と異なる部材に対し、干渉することなく離間している。言い換えると、開放位置Poは、延壁102がガイド部材26と異なる部材に干渉しない位置に設定される。なお、開放位置Poは、この例に限られない。
Y方向において延壁102が開放位置Poに位置する範囲では、開口37が露出されるため、アッパレール25が少なくとも部分的に開口37に位置することができる。別の表現によれば、延壁102は、開放位置Poに位置することで、開口37に位置するアッパレール25を避けている。
図8及び図9に示すように、スライダ22がY方向に移動することにより、ガイド部材26の第2のガイド壁82が、複数のカバー92のうち一部(幾つか)の延壁102を閉塞位置Pcから開放位置Poに移動させる。以下、一つのカバー92に注目して、延壁102の閉塞位置Pcから開放位置Poへの移動について説明する。
まず、カバー92に近付くようにスライダ22がY方向に移動することで、当該カバー92の延壁102に、第2のガイド壁82の支持面82aが接触する。上述のように、支持面82aは、取付壁80から斜め下方へ延びている。このため、スライダ22がY方向へさらに移動すると、延壁102は支持面82aによって上方へ押される。
第2のガイド壁82は、延壁102の第2の曲縁102dに接触する。第2の曲縁102dは、曲率半径が大きい曲面状に形成される。このため、第2のガイド壁82及び延壁102が、互いの動きを妨げることが抑制される。
支持面82aにより延壁102が押されることで、カバー92に、支持軸95(中心軸Ax3)まわりの回転力が生じる。これにより、カバー92が回動し、延壁102が閉塞位置Pcから開放位置Poへ向かって移動する。
延壁102は、支持面82aに沿って第2のガイド壁82上を摺動し、第1のガイド壁81に到達する。少なくとも延壁102が第1のガイド壁81に接触した時点で、延壁102は、開放位置Poに到達し、開口37から離間している。
スライダ22がY方向へさらに移動すると、延壁102は、第2の支持縁81b及び第1の支持縁81aに沿って第1のガイド壁81上を摺動する。上側壁33に対する延壁102の傾斜角は、延壁102が第2のガイド壁82に支持されるとき、延壁102が第2の支持縁81bに支持されるとき、及び延壁102が第1の支持縁81aに支持されるとき、に順に増大する。
以上のように、第2のガイド壁82は、スライダ22がカバー92の延壁102に近付くように移動することで、当該延壁102を閉塞位置Pcから開放位置Poへ押し上げる。第1のガイド壁81は、延壁102が開放位置Poに保たれるように、当該延壁102を支持する。
一方、図8及び図9に示すように、スライダ22がY方向に移動することにより、複数のカバー92のうち他の一部(幾つか)が開放位置Poから閉塞位置Pcに移動させられる。以下、一つのカバー92に注目して、延壁102の開放位置Poから閉塞位置Pcへの移動について説明する。
まず、延壁102が開放位置Poに位置するカバー92から遠ざかるようにスライダ22がY方向に移動する。これにより、当該カバー92の延壁102は、第1の支持縁81aから、第2の支持縁81bを通り、第2のガイド壁82の支持面82aに到達する。カバー92には、自重により、支持軸95(中心軸Ax3)まわりの回転力が生じている。これにより、延壁102は、第1の支持縁81a、第2の支持縁81b、及び支持面82aに順に支持されながら、開放位置Poから閉塞位置Pcに近付く。
延壁102が閉塞位置Pcに到達し、ロアレール21の上側壁33に支持されると、スライダ22はカバー92から離間する。このように、スライダ22がカバー92の延壁102から遠ざかるように移動することで、延壁102が開放位置Poから閉塞位置Pcへ移動する。
延壁102は、閉塞位置Pcに到達するとき、緩衝材105に当接する。緩衝材105の不織布が延壁102に当接するため、緩衝材105は当接時の騒音を低減する。カバー92がナイロンのような合成樹脂によって作られることで、当接時の騒音が更に低減される。
また、緩衝材105の合成ゴムは、当該緩衝材105の不織布よりも硬い。これにより、閉塞位置Pcのカバー92が下方に押されたとしても、カバー92が下方に移動することが抑制される。
緩衝材105は、延壁102の第2の面102bに設けられても良い。また、緩衝材105は、例えば二色成型により、延壁102と一体に形成され、延壁102の第2の面102bを形成しても良い。
図12に示すように、スライダ22は、シールド110をさらに有する。シールド110は、制限部材とも称され得る。シールド110は、例えば、アッパレール25及びガイド部材26を幅方向外側から覆う。シールド110は、制限壁111と、押壁112とを有する。押壁112は、第3の当接部とも称され得る。
制限壁111は、カバー92の延壁102を、少なくとも部分的に覆う。開放位置Poの延壁102の少なくとも一部はZ方向において、ガイド部材26と、制限壁111との間に位置する。制限壁111は、ガイド部材26に支持される延壁102から離間している。
制限壁111は、Y方向においてスライダ22が位置する範囲内にあるカバー92の延壁102が、開放位置Poよりもさらに閉塞位置Pcから遠ざかることを制限する。複数のカバー92を一体として表現すれば、制限壁111は、Y方向における延壁102の一部が配置された位置で開放位置Poの当該延壁102の一部が開放位置Poよりもさらに閉塞位置Pcから遠ざかることを制限する。
例えば、慣性や振動により、延壁102が開放位置Poよりもさらに閉塞位置Pcから遠ざかることがある。この場合、制限壁111は、延壁102に当接することで、延壁102がさらに閉塞位置Pcから遠ざかることを制限する。
押壁112は、Y方向における制限壁111の端に接続される。押壁112は、制限壁111から遠ざかるに従ってロアレール21の上側壁33に近付くように延びている。言い換えると、押壁112は、制限壁111から斜め下方に延びている。なお、押壁112は、この例に限られない。
延壁102は、例えば摩擦により、ガイド部材26から離間し支持されない状態で、開放位置Poに留まることがある。この場合、押壁112は、スライダ22がカバー92の延壁102から遠ざかるように移動することで、当該延壁102を開放位置Poから閉塞位置Pcへ押す。複数のカバー92を一体として表現すれば、押壁112は、スライダ22が延壁102の一部から遠ざかるように移動することで当該延壁102の一部を開放位置Poから閉塞位置Pcへ押す。これにより、延壁102が開放位置Poから閉塞位置Pcへ移動することができる。
以上のように、カバー92は、延壁102が閉塞位置Pcと開放位置Poとの間で移動するように開閉する。X方向において、カバー92の回転の中心となる支持軸95と、駆動装置50のモータ52との間に、ロアレール21が位置する。この配置により、延壁102がモータ52や変換機構53に干渉することが抑制される。
以上説明された実施形態に係るスライドレール装置11において、複数のカバー92が、Y方向に並べられている。それぞれのカバー92の延壁102が開口37を少なくとも部分的に覆う。これにより、Y方向におけるロアレール21の長さに応じたカバー92の個数を設定することで、Y方向におけるロアレール21の長さが異なる複数種類の車両1で、カバー92を共通化することができる。さらに、Y方向に長い一つのカバーが開口37を覆う場合に比べ、Y方向において開放位置Poに位置する延壁102の全体的な長さを短くすることができる。従って、開放位置Poに位置する延壁102が、シート12や変換機構53のような他の部材に干渉することが抑制される。
複数のカバー92はそれぞれ、隣接する他の一つのカバー92に向かって突出する、突出部103を有する。複数のカバー92のうち隣接する二つにおいて、一方の延壁102と、他方の延壁102とは、Y方向における延壁102の長さよりも短い間隔Gを介して、互いに離間しており、間隔Gは突出部103のY方向における突出量と略同一である。これにより、一つのカバー92が、他のカバー92に乗り上げることが抑制される。従って、開口37が望まれぬにもかかわらず外部に開放されることが抑制される。
Y方向において、突出部103の長さは、延壁102の長さよりも短い。これにより、隣り合う二つの延壁102の間の間隔Gが比較的短くなる。従って、間隔Gからロアレール21の内部に異物が入り込むことが抑制される。
複数のカバー92のそれぞれの取付部101は、他の複数のカバー92がロアレール21に取り付けられた状態でロアレール21から取り外し可能なように、ロアレール21に取り付けられる。これにより、例えばカバー92の交換時に、全てのカバー92をロアレール21から取り外す必要が無く、カバー92を容易にロアレール21から取り外すことが可能となる。
開口37は、X方向に並べられた二つの上側壁33の間に位置する。閉塞位置Pcの複数のカバー92のそれぞれにおいて、Y方向の長さはX方向の長さよりも短い。すなわち、Y方向における個々のカバー92の長さが短くなり、開放位置Poに位置する延壁102が、シート12や他の部材に干渉することが更に抑制される。
複数のカバー92のうち少なくとも二つが互いに同一の形状を有する。これにより、スライドレール装置11のコストが低減される。
ロアレール21は、Y方向に延びるとともにX方向に互いに離間した二つの上側壁33を有する。二つの上側壁33の間にY方向に延びる開口37が設けられる。カバー92の延壁102は、閉塞位置Pcと開放位置Poとに移動可能である。閉塞位置Pcにおいて、カバー92の延壁102は、X方向における開口37の全域を覆う。開放位置Poにおいて、延壁102は、開口37から離間している。これにより、開口37からロアレール21の内部に異物が入り込むことが抑制される。さらに、一つのカバー92により開口37を覆うことができるため、スライドレール装置11の部品点数が低減され得る。
閉塞位置Pcの延壁102は、二つの上側壁33を覆うとともに、当該二つの上側壁33によって支持される。これにより、X方向におけるロアレール21の全体をカバー92によって覆うことが可能となる。さらに、閉塞位置Pcの延壁102が垂れ下がることが抑制される。さらに、閉塞位置Pcの延壁102が踏まれて変形することが抑制される。
取付具91は、Y方向に延びる支持軸95と、ロアレール21に取り付けられるとともに支持軸95を支持する支持部材96と、を有する。取付部101は、支持軸95まわりに回動可能に支持軸95に取り付けられることで取付具91を介してロアレール21に取り付けられる。延壁102は、閉塞位置Pcと開放位置Poとに回動可能である。これにより、カバー92を剛体で作ることができ、閉塞位置Pcの延壁102が踏まれて変形することが抑制される。
取付部101は、支持軸95にスナップフィットによって取り外し可能に取り付けられる。これにより、カバー92が、支持軸95に対し、容易に着脱可能となる。
スライダ22は、第1のガイド壁81と、第2のガイド壁82と、押壁112とを有する。第2のガイド壁82は、スライダ22が延壁102の一部に近付くように移動することで、当該延壁102の一部を閉塞位置Pcから開放位置Poへ押す。第1のガイド壁81は、Y方向における延壁102の一部が配置された位置で開放位置Poの延壁102の一部を支持する。押壁112は、スライダ22が延壁102の一部から遠ざかるように移動することで当該延壁102の一部を開放位置Poから閉塞位置Pcへ押す。これにより、スライダ22の移動に応じて延壁102を閉塞位置Pcと開放位置Poとに容易に移動させることができる。
ガイド部材26は、取付壁80と第1のガイド壁81とを有する。取付壁80は、アッパレール25に取り付けられる。第1のガイド壁81は、アッパレール25から遠ざかるように取付壁80から突出するとともに、アッパレール25とX方向で対向する(隣接する、並ぶ)延壁102の一部を開放位置Poに支持する。すなわち、ガイド部材26の第1のガイド壁81の形状(例えば、長さ及び突出方向の角度)により、開放位置Poにおいて当該第1のガイド壁81に支持される延壁102の形状(例えば傾斜角)を調整することができる。これにより、アッパレール25に開放位置Poの延壁102を支持する部分を設ける必要が無く、アッパレール25の大型化や形状の複雑化を抑制可能となる。例えば、一般的に、大きいカバー92をアッパレール25で適切な姿勢に支持する場合、アッパレール25が大型化する。しかし、本実施形態では、アッパレール25の形状にかかわらず、ガイド部材26の形状を適切に設定することで、カバー92をガイド部材26で適切な姿勢に支持することができる。
ガイド部材26は、アッパレール25が延壁102の一部に近付くように移動することで、当該延壁102の一部を閉塞位置Pcから開放位置Poへ押す、第2のガイド壁82を有する。これにより、スライダ22の移動に応じて延壁102を閉塞位置Pcから開放位置Poへ容易に移動させることができる。
シールド110は、開放位置Poの延壁102の一部が開放位置Poよりもさらに閉塞位置Pcから遠ざかることを制限する。これにより、延壁102が望まれない大きい移動をすることが抑制され、延壁102がより確実に閉塞位置Pcへ戻ることができる。
アッパレール25は、第1の部分25aと、第2の部分25bと、第3の部分25cとを有する。第1の部分25aに、取付壁80が取り付けられる。第2の部分25bは、Y方向における第1の部分25aの一方の端部からY方向に突出する。第3の部分25cは、Y方向における第1の部分25aの上記一方の端部からY方向に突出するとともに、第2の部分25bからX方向に離間している。ガイド部材26は、第1の押部83と第2の押部84とを有する。第1の押部83は、第2の部分25bと第3の部分25cとの間に位置するとともに第2の部分25bを第3の部分25cから遠ざかる方向に押す。第2の押部84は、第2の部分25bと第3の部分25cとの間に位置するとともに第3の部分25cを第2の部分25bから遠ざかる方向に押す。これにより、アッパレール25の第2の部分25bと第3の部分25cとが互いに近付くように変形することが抑制される。さらに、ガイド部材26が当該変形を抑制することで、当該機能を有する他の部材が不要となり、スライドレール装置11の部品点数の増加が抑制される。
第2の部分25b及び第3の部分25cは、第1の部分25aから他のスライダ22に向かって突出する。これにより、二つのスライダ22が近づいた場合に、例えば二つのシート12が衝突することなく、第2の部分25b及び第3の部分25cが他のスライダ22に接触する。これにより、シート12同士が衝突することが抑制される。
ロアレール21に、内部空間36と、内部空間36と外部とを連通する開口37と、が設けられる。ロアレール21は、二つの上側壁33の内側の端から内部空間36に向かう-Z方向に突出するとともに、間に開口37を形成する、二つの内側壁34を有する。二つの抑えローラ72は、スライダ22に取り付けられ、-Z方向における二つの内側壁34の端部に接触する。すなわち、抑えローラ72は、上側壁33に接触する場合に比べ、X方向においてより内側に配置されることができる。さらに、抑えローラ72は、上側壁33に接触する場合に比べ、Z方向においてより下側、具体的には底壁31の内面31a側に配置されることができる。また、抑えローラ72がスライダ22の返し壁43に取り付けられる場合に比べ、上側壁33をより-Z方向に移動させることができる。従って、ロアレール21を小型化することが可能になる。
二つの内側壁34はそれぞれ、-Z方向における内側壁34の端に位置する縁34aを有する。二つの抑えローラ72はそれぞれ、当該縁34aに接触する。これにより、例えば、内側壁34を曲げて抑えローラ72と面接触する部分を形成する場合に比べ、ロアレール21の構造が複雑化することが抑制される。
二つの抑えローラ72は、-Z方向における二つの内側壁34の端部でY方向に転動可能な二つの車輪72bを有する。これにより、スライダ22がY方向に滑らかに移動することができる。
スライダ22に、第2の装着孔66A,66Bが設けられる。第2の装着孔66Aに、二つの抑えローラ72のうち一方を取り付け可能である。第2の装着孔66Bは、Y方向に第2の装着孔66Aから離間し、二つの抑えローラ72のうち上記一方を取り付け可能であり、第2の装着孔66Aよりも-Z方向における内側壁34の端部から-Z方向に離間している。二つの抑えローラ72のうち上記一方は、第2の装着孔66A又は第2の装着孔66Bに取り付けられる。これにより、ロアレール21及びスライダ22の寸法公差に応じて、抑えローラ72を-Z方向における内側壁34の端部に接触する位置に配置することが可能となる。
ロアレール21は、内面31aと、内面31aと向かい合う内面33aと、内面33aを形成する二つの上側壁33と、を有する。スライダ22は、上壁41と、二つの側壁42と、二つの返し壁43とを有する。上壁41は、ロアレール21の外部に位置する。二つの側壁42は、X方向における上壁41の両端から開口37を通って延びるとともに互いに離間している。二つの返し壁43は、ロアレール21の内部において二つの側壁42から互いに遠ざかる方向に延びている。走行ローラ71が、二つの側壁42のうち少なくとも一方に取り付けられ、Y方向に転動可能に内面31aに支持される。すなわち、走行ローラ71は、返し壁43に取り付けられる場合よりも、X方向において内側に配置される。これにより、X方向においてロアレール21を小型化することが可能となる。さらに、走行ローラ71が、ロアレール21の底壁31と外側壁32との角部分から離間し、底壁31の略平坦な内面31aに接触することができる。また、走行ローラ71が返し壁43に取り付けられる場合に比べ、Z方向における走行ローラ71の位置を自由に設定することができる。
側壁42はそれぞれ、二つの側壁42のうち他方に向く内面42aと、内面42aの反対側に位置する外面42bと、内面42a又は外面42bから窪む凹面42cと、を有する。走行ローラ71は、凹面42cに取り付けられる。凹面42cが外面42bから窪むことで、走行ローラ71は、X方向において更に内側に配置される。これにより、X方向においてロアレール21を小型化することが可能となる。また、凹面42cが内面42aから窪むことで、走行ローラ71は、二つの側壁42の間に位置する障害物を避けることができる。
抑えローラ72は、二つの側壁42のうち少なくとも一方に取り付けられ、スライダ22が内面31aから遠ざかることを制限する。抑えローラ72は、返し壁43に取り付けられる場合よりも、X方向において内側に配置される。これにより、X方向においてロアレール21を小型化することが可能となる。さらに、抑えローラ72が返し壁43に取り付けられる場合に比べ、Z方向における抑えローラ72の位置を自由に設定することができる。
ブッシュ73は、二つの返し壁43のうち少なくとも一方に取り付けられ、スライダ22がロアレール21に対してX方向に相対的に移動することを制限する。例えば、ブッシュ73は、ロアレール21のX方向に向く内面32aに接触することで、スライダ22がロアレール21に対してX方向に相対的に移動することを制限する。このため、ブッシュ73が取り付けられる返し壁43は、ロアレール21からX方向の力を受けることがある。返し壁43は、側壁42から延びるが、例えば、側壁42とは別に弾性変形することができる。このため、返し壁43は、弾性変形することで、ブッシュ73を介してロアレール21から受けた力が側壁42に作用することを抑制できる。これにより、側壁42の変形により走行ローラ71が移動してしまうことが抑制され、走行ローラ71が内面31aを滑らかに転動することができる。
走行ローラ71は、間隔を介して二つの内側壁34のうち少なくとも一方と-Z方向に並ぶ。これにより、例えば走行ローラ71がX方向において内側壁34よりも外側に位置する場合に比べ、X方向においてロアレール21を小型化することが可能となる。
以上の実施形態において、カバー92が剛体である合成樹脂により作られ、延壁102が取付部101の回動によって閉塞位置Pcと開放位置Poとに移動する。しかし、延壁102が弾性体により作られ、弾性変形により閉塞位置Pcと開放位置Poとに移動しても良い。また、この場合、スライドレール装置11は、複数のカバー92の代わりに、Y方向に長い一つのカバー92を有しても良い。
以上、本発明の実施形態を例示したが、上記実施形態及び変形例はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態や変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各実施形態や各変形例の構成や形状は、部分的に入れ替えて実施することも可能である。