本発明の一実施形態による画像形成装置について、複合機を例にとって説明する。
<複合機の構成>
図1に示すように、本実施形態の複合機100は、画像読取部1を備える。画像読取部1の筺体には、原稿搬送ユニット2が設置される。原稿搬送ユニット2は、「原稿搬送部」に相当する。
画像読取部1および原稿搬送ユニット2は、図2に示すような構成を有する。画像読取部1は、原稿Dを読み取り、読み取った原稿Dに対応する原稿画像データを生成する。画像読取部1は、搬送読取または載置読取を行う。
搬送読取では、搬送読取用のコンタクトガラスG1に向けて原稿Dが自動搬送され、コンタクトガラスG1上を原稿Dが通過するとき、画像読取部1による原稿Dの読み取りが行われる。載置読取では、載置読取用のコンタクトガラスG2上に載置された原稿Dの読み取りが画像読取部1によって行われる。
画像読取部1は、光源11、イメージセンサー12、ミラー13およびレンズ14を備える。光源11、イメージセンサー12、ミラー13およびレンズ14は、画像読取部1の筐体内部に収容される。コンタクトガラスG1およびG2は、画像読取部1の筐体上面に設置される。
光源11は、複数のLED素子(図示せず)を有する。複数のLED素子は、主走査方向(図2の紙面に対して垂直な方向)に配列される。搬送読取では、光源11はコンタクトガラスG1に向けて光を照射する(コンタクトガラスG1を透過した光がコンタクトガラスG1上の原稿Dを照射する)。載置読取では、光源11はコンタクトガラスG2に向けて光を照射する(コンタクトガラスG2を透過した光がコンタクトガラスG2上の原稿Dを照射する)。原稿Dで反射された反射光は、ミラー13で反射され、レンズ14に導かれる。レンズ14は、反射光を集光する。
イメージセンサー12は、主走査方向に並ぶ複数の光電変換素子を有する。イメージセンサー12は、原稿Dで反射された光(レンズ14で集光された光)を受光し、ライン単位で画素毎に光電変換して電荷を蓄積する。イメージセンサー12は、蓄積電荷に応じたデータを出力する。
光源11およびミラー13は、主走査方向と直交する副走査方向に移動可能なキャリッジ15に装着される。キャリッジ15は、ワイヤー16に連結される。ワイヤー16は、巻取ドラム17に巻回される。巻取ドラム17が回転することにより、キャリッジ15が副走査方向に移動する。すなわち、光源11およびミラー13が副走査方向に移動する。
搬送読取では、原稿搬送ユニット2に原稿Dがセットされる。原稿搬送ユニット2は、セットされた原稿Dを予め定められた読取位置RPに向けて搬送する。読取位置RPは、コンタクトガラスG1上の所定位置である。
また、搬送読取では、キャリッジ15がコンタクトガラスG1の下方に移動する。そして、コンタクトガラスG1の下方において、光源11がコンタクトガラスG1に向けて光を照射する。イメージセンサー12は、コンタクトガラスG1上を通過する原稿Dで反射された反射光の光電変換を連続して繰り返し行う。これにより、原稿Dの読み取りがライン単位で行われる。
載置読取では、コンタクトガラスG2上に原稿Dが載置され、その状態で、キャリッジ15が副走査方向(装置正面から見て左から右に向かう方向)に移動する。キャリッジ15が副走査方向に移動しているとき、光源11がコンタクトガラスG2に向けて光を照射する。イメージセンサー12は、コンタクトガラスG2上の原稿Dで反射された反射光の光電変換を連続して繰り返し行う。これにより、原稿Dの読み取りがライン単位で行われる。
原稿搬送ユニット2は、画像読取部1の筐体に対して回動可能に支持される。原稿搬送ユニット2は、画像読取部1の筐体上面(コンタクトガラスG1およびG2)に対して開閉する。原稿搬送ユニット2の開閉(回動)はユーザーによって行われる。
原稿搬送ユニット2は、原稿セットトレイ201を備える。また、原稿搬送ユニット2は、原稿排出トレイ202を備える。原稿搬送ユニット2は、原稿セットトレイ201にセットされた原稿Dを読取位置RPに向けて搬送する。原稿搬送ユニット2は、読取位置RPを通過した原稿Dを原稿排出トレイ202に排出する。原稿搬送ユニット2は、原稿排出トレイ202の上方に設置されたスイッチバックトレイ203をさらに備える。
原稿搬送ユニット2には、原稿Dを搬送するための原稿搬送路Pが設けられる。原稿搬送路Pは、メイン搬送路MP、スイッチバック搬送路SPおよび引込搬送路DPを含む。
メイン搬送路MPは、原稿セットトレイ201から読取位置RPを経由して原稿排出トレイ202に至る。すなわち、原稿セットトレイ201からメイン搬送路MPに給紙された原稿Dがメイン搬送路MPに沿って搬送されることにより、搬送中の原稿Dが読取位置RPを通過する。原稿セットトレイ201からメイン搬送路MPに給紙された原稿Dが読取位置RPを通過するときには、原稿Dの表面(原稿セットトレイ201にセットされた状態では上方に向く面)がコンタクトガラスG1と対向する。したがって、読取位置RPにおいて原稿Dの表面が読み取られる。
スイッチバック搬送路SPは、原稿Dをスイッチバックさせてメイン搬送路MPに戻すための搬送路である。言い換えると、スイッチバック搬送路SPは、原稿Dの表裏面の向きを反転させるための搬送路である。スイッチバック搬送路SPは、スイッチバックトレイ203からメイン搬送路MPの読取位置RPよりも原稿搬送方向上流側の位置に至り、当該位置においてメイン搬送路MPに合流する。
引込搬送路DPは、メイン搬送路MPからスイッチバック搬送路SPに原稿Dを引き込むための搬送路である。言い換えると、引込搬送路DPは、メイン搬送路MPとスイッチバック搬送路SPとを繋ぐ連結路である。引込搬送路DPは、メイン搬送路MPの読取位置RPよりも原稿搬送方向下流側の位置においてメイン搬送路MPから分岐し、スイッチバック搬送路SPに合流する。
以下、メイン搬送路MPと引込搬送路DPとの分岐位置に符号P1を付し、引込搬送路DPとスイッチバック搬送路SPとの合流位置に符号P2を付し、スイッチバック搬送路SPとメイン搬送路MPとの合流位置に符号P3を付して説明する。
原稿搬送ユニット2は、給紙機構21を備える。給紙機構21は、原稿セットトレイ201にセットされた原稿Dを原稿セットトレイ201から引き出し、メイン搬送路MPに給紙する。給紙機構21の構成は特に限定されない。
たとえば、給紙機構21は、ピックアップローラー211および給紙ローラー対212を含む。ピックアップローラー211は、予め定められた給紙位置FPにおいて、原稿セットトレイ201にセットされた原稿Dに当接する。ピックアップローラー211は、原稿Dに当接した状態で回転する。これにより、原稿セットトレイ201から原稿Dが引き出される。給紙ローラー対212は、原稿セットトレイ201から引き出された原稿Dをメイン搬送路MPに給紙する。
また、原稿搬送ユニット2は、搬送ローラー対22、反転ローラー対23および切替爪24を備える。
搬送ローラー対22は、メイン搬送路MPに複数設置される。複数の搬送ローラー対22は、メイン搬送路MPに沿って原稿Dを搬送する。
反転ローラー対23は、スイッチバック搬送路SPに設置される。反転ローラー対23は、スイッチバック搬送路SPに引き込まれた原稿Dの搬送方向の前後を反転させる。反転ローラー対23は、正逆回転の切り替えが可能となっている。
切替爪24は、分岐位置P1に回動可能に設置される。切替爪24は、分岐位置P1において原稿Dの搬送経路を切り替える。切替爪24は、分岐位置P1から引込搬送路DPへの原稿搬送経路を閉じる閉位置と、分岐位置P1から引込搬送路DPへの原稿搬送経路を開く開位置との間で回動する。
原稿搬送ユニット2は、両面読取の実行時、読取位置RPでの原稿Dの表裏面の向きを反転させる。原稿Dの表裏面の向きを反転させるとき、切替爪24は、開位置に向けて回動する。反転ローラー対23は、正回転する(原稿Dをスイッチバックトレイ203に向けて搬送する方向に回転する)。これにより、搬送中の原稿D(読取位置RPに到達した原稿D)は、分岐位置P1から引込搬送路DPに進入する。そして、引込搬送路DPに進入した原稿Dは、合流位置P2からスイッチバック搬送路SPに引き込まれる。
反転ローラー対23は、原稿Dの搬送方向後端が合流位置P2を通過して以降、原稿Dの搬送方向後端が反転ローラー対23のニップを通過し切る前に逆回転する。すなわち、反転ローラー対23は、原稿Dをスイッチバックさせ、スイッチバックさせた原稿Dをスイッチバック搬送路SPに沿って搬送する。
スイッチバック搬送路SPに沿って搬送される原稿Dは、合流位置P3からメイン搬送路MPに戻り、読取位置RPに到達する。このときには、原稿Dの表裏面の向きが反転された状態となっている。すなわち、原稿Dの裏面(原稿セットトレイ201にセットされた状態では下方に向く面)がコンタクトガラスG1と対向する。これにより、読取位置RPにおいて原稿Dの裏面の読み取りが可能となる。
両面読取の実行時、まず、画像読取部1は、原稿Dの表面(「一方面」に相当)を読み取る。その後、画像読取部1は、原稿Dの裏面(「他方面」に相当)を読み取る。複数枚の原稿Dを連続して読み取る場合、画像読取部1は、先に給紙された原稿Dの表面および裏面をこの順番で読み取ってから、次に給紙された原稿Dの表面および裏面をこの順番で読み取る。
図1に戻り、複合機100は、印刷部3を備える。印刷部3は、用紙Sを搬送する。そして、印刷部3は、搬送中の用紙Sに画像を印刷する。コピージョブでは、画像読取部1による原稿Dの読み取りで得られた原稿画像データに基づく画像が印刷部3によって用紙Sに印刷される。
印刷部3は、給紙部31、画像形成部32および定着部33を備える。給紙部31は、カセットCAに収容された用紙Sを用紙搬送路(図1では、破線で示す)に給紙する。用紙搬送路に給紙された用紙Sは、用紙搬送路に沿って搬送される。
画像形成部32は、ブラック(K)、イエロー(Y)、シアン(C)およびマゼンタ(M)の各色に対応する複数の機構部32K、32Y、32Cおよび32Mを含む。機構部32K、32Y、32Cおよび32Mは、それぞれ、対応する色のトナー像を形成し、中間ベルトに1次転写する。中間ベルトに転写されたトナー像は、搬送中の用紙Sに2次転写される。
定着部33は、トナー像が転写された用紙Sを加圧および加熱する。これにより、用紙Sにトナー像が定着される。トナー像が定着された用紙Sは、用紙搬送路に沿って搬送され、排出トレイETに排出される。
複合機100は、操作パネル4を備える。操作パネル4には、タッチスクリーン41が設けられる。タッチスクリーン41は、ソフトウェアボタンを配した画面を表示し、ユーザーから設定(タッチ操作)を受け付ける。また、操作パネル4には、複数のハードウェアボタン42が設けられる。ハードウェアボタン42には、ジョブの実行指示をユーザーから受け付けるためのスタートボタン、および、ジョブに関する設定のリセット指示をユーザーから受け付けるためのリセットボタン、などがある。
また、図3に示すように、複合機100は、制御部5を備える。制御部5は、CPUを含む。制御部5は、制御プログラムに基づき、複合機100を制御する。
複合機100は、記憶部6を備える。記憶部6は、不揮発性メモリーおよび揮発性メモリーを含む。記憶部6は、制御プログラムを記憶する。また、記憶部6は、画像読取部1による読み取りで得られた原稿画像データを記憶する。
複合機100は、通信部7を備える。通信部7は、通信回路などを含む。通信部7は、LANなどのネットワークNTに接続される。ネットワークNTには、ユーザー端末(パーソナルコンピューター)およびサーバーなどの外部機器200が接続される。
制御部5は、画像読取部1を制御する。制御部5は、光源11に接続され、光源11の点消灯動作を制御する。制御部5は、イメージセンサー12に接続され、イメージセンサー12の原稿読取動作を制御する。制御部5は、巻取ドラム17を回転させるための巻取モーターWMに接続され、巻取モーターWMを制御する。
制御部5は、画像読取部1による原稿Dの読み取りで得られた原稿画像データに対して画像処理を行う。たとえば、制御部5には、画像処理を行うための画像処理回路(ASICなど)が設けられる。制御部5は、原稿画像データに対して画像処理を行い、画像処理済みの原稿画像データを出力するためのデータを生成する。コピージョブでは、画像処理済みの原稿画像データに基づく画像を用紙Sに印刷するためのデータが生成される。送信ジョブでは、画像処理済みの原稿画像データを外部機器200に送信するためのデータ(PDFデータなど)が生成される。
制御部5は、原稿搬送ユニット2の原稿搬送動作を制御する。制御部5は、給紙機構21(ピックアップローラー211および給紙ローラー対212)を回転させるための給紙モーターM1、搬送ローラー対22を回転させるための搬送モーターM2および反転ローラー対23を回転させるための反転モーターM3に接続される。制御部5は、切替爪24を回動させるためのソレノイドSOに接続される。制御部5は、給紙モーターM1、搬送モーターM2、反転モーターM3およびソレノイドSOを制御する。
ここで、原稿セットトレイ201に原稿束がセットされている場合、原稿搬送ユニット2は、原稿束のうち最上層の原稿Dから1枚ずつ順に原稿搬送路Pに給紙し搬送する。画像読取部1は、読取位置RPに搬送されてくる原稿Dを順次読み取る。
たとえば、原稿セットトレイ201には、リフト板(図示せず)が設けられる。リフト板は、原稿セットトレイ201にセットされた原稿Dの下方に位置する。リフト板は、上昇することによって原稿束を持ち上げる。
リフト板の昇降は制御部5が制御する。制御部5は、原稿セットトレイ201にセットされた原稿束の給送(給紙および搬送)を原稿搬送ユニット2に行わせるとき、リフト板を上昇させることにより、原稿束のうち最上層の原稿Dをピックアップローラー211に当接させる。
制御部5は、ピックアップローラー211に原稿Dが当接した状態で、ピックアップローラー211を回転させる。これにより、原稿セットトレイ201から原稿Dが引き出される。すなわち、原稿搬送路Pに原稿Dが給紙される。
また、制御部5は、給紙中の原稿Dが給紙位置FPを抜ける前に、ピックアップローラー211と給紙モーターM1との間の連結を解除する(ピックアップローラー211をフリー状態にする)。制御部5は、原稿Dが給紙位置FPを抜けた後、次の原稿Dを給紙するため、ピックアップローラー211を再度回転させる。また、制御部5は、リフト板を上昇させ、ピックアップローラー211に原稿Dが当接した状態を維持する。
制御部5には、トレイセンサーTSが接続される。トレイセンサーTSは、発光部および受光部を有する透過型光センサーである。トレイセンサーTSは、アクチュエーター(図示せず)を検知対象とする。アクチュエーターは、原稿セットトレイ201に設置される。アクチュエーターは、原稿セットトレイ201に原稿Dがセットされると、原稿Dに押圧されることによって下方に移動し、トレイセンサーTSの光路(発光部と受光部との間)を遮蔽(または、開放)する。アクチュエーターは、原稿セットトレイ201から原稿Dが無くなると、原稿Dによる押圧が解除されることによって上方に移動し、トレイセンサーTSの光路を開放(または、遮蔽)する。
これにより、トレイセンサーTSは、原稿セットトレイ201に原稿Dがセットされているか否かに応じて出力値を変化させる。制御部5は、トレイセンサーTSの出力値に基づき、原稿セットトレイ201に原稿Dがセットされているか否かを判断する。
制御部5は、印刷部3を制御する。たとえば、実行ジョブがコピージョブである場合、制御部5は、画像処理済みの原稿画像データに基づき露光制御データ(露光処理を制御するためのデータ)を生成し、露光制御データを印刷部3に出力する。印刷部3は、露光制御データに基づき形成した静電潜像をトナー像に現像する。そして、印刷部3は、搬送中の用紙Sにトナー像を転写する。
制御部5は、操作パネル4に接続される。制御部5は、操作パネル4の表示動作を制御する。また、制御部5は、操作パネル4に対して行われた操作を検知する。操作パネル4は、後述する重送確認機能に関する設定をユーザーから受け付ける。
制御部5は、通信部7に接続される。制御部5は、通信部7を介して、外部機器200との間で通信(データの送受信)を行う。送信ジョブの実行時、制御部5は、通信部7を介して、外部機器200に対し、画像処理済みの原稿画像データに基づき生成した出力用データ(PDFデータなど)を送信する。
<重送確認機能>
搬送読取を伴うジョブでは、原稿セットトレイ201に原稿束がセットされることが多々ある。原稿セットトレイ201に原稿束がセットされている場合、原稿Dが複数枚重なって原稿搬送路Pに給紙され搬送される重送が発生し得る。
たとえば、25ページ目の原稿D(ノンブル「25」が付された原稿D)に26ページ目の原稿D(ノンブル「26」が付された原稿D)が重なって搬送されたとする。このような重送が発生した場合には、25ページ目の原稿Dの読み取り後、26ページ目の原稿Dの読み取りが行われず、27ページ目の原稿D(ノンブル「27」が付された原稿D)の読み取りが行われる。なぜなら、図4に示すような状態で、25ページ目の原稿D(図4では、符号D25を付す)、26ページ目の原稿D(図4では、符号D26を付す)および27ページ目の原稿D(図4では、符号D27を付す)が搬送されるためである。言い換えると、25ページ目の原稿Dの原稿搬送路Pへの給紙時に26ページ目の原稿Dが25ページ目の原稿Dから分離されなかったということである。
その結果、実行ジョブがコピージョブである場合には、24ページ目の原稿D(ノンブル「24」が付された原稿D)の画像が印刷された用紙Sが出力された後、25ページ目の原稿Dの画像が印刷された用紙Sおよび27ページ目の原稿Dの画像が印刷された用紙Sがこの順番で出力される。すなわち、26ページ目が抜けた状態になる(ページ抜けが発生する)。
たとえば、複合機100に重送検知部(重送を検知するためのセンサー)が設置されている場合には、重送検知部が重送を検知すると、ジョブが中断される。しかし、重送が発生しても、重送検知部が重送を検知しない場合がある。すなわち、誤検知が発生する場合がある。この場合には、重送が発生しているにもかかわらず、ジョブが続行される。その結果、ページ抜けが発生する。
したがって、ユーザーによっては、複数枚の原稿Dの読み取り後、重送が発生していたか否か(抜けページが有るか否か)を確認する。読取対象の原稿Dの枚数が少ない場合には、重送が発生していたか否かの確認作業は簡単に済む。しかし、読取対象の原稿Dの枚数が多い場合には、確認作業が大変になり、ユーザーにとっては煩わしい。
そこで、複合機100には、重送確認機能が搭載される。重送確認機能を利用することにより、重送が発生していたか否かの確認作業をユーザーが行わなくてもよくなる。
重送確認機能を有効にするか否かはユーザーが任意に選択することができる。重送確認機能の有効無効の設定は操作パネル4がユーザーから受け付ける。制御部5は、重送確認機能を有効にする旨を操作パネル4が受け付けると、重送確認機能を有効に設定する。
制御部5は、搬送読取を伴うジョブの実行指示を操作パネル4が受け付けると、ジョブを開始する。なお、制御部5は、原稿セットトレイ201に原稿Dがセットされた状態で操作パネル4のスタートボタンに対する操作を検知すると、搬送読取を伴うジョブの実行指示を受け付けたと判断する。
搬送読取を伴うジョブの実行指示を受け付けると、制御部5は、画像読取部1による搬送読取を開始する。搬送読取を伴うジョブの実行時、原稿搬送ユニット2は、原稿セットトレイ201にセットされた原稿束の原稿Dを読取位置RPに向けて順次搬送する。画像読取部1は、読取位置RPに搬送されてくる原稿Dを順次読み取る。制御部5は、原稿Dの読み取りで得られる原稿画像データを順次取得する。
ここで、制御部5は、重送確認機能が有効に設定されていれば、重送確認機能に関する処理(以下、重送確認処理と称する)を行う。たとえば、制御部5は、画像読取部1による原稿Dの読み取りが全て終わった後(原稿セットトレイ201から原稿Dが無くなった後)、原稿画像データの出力前に、重送確認処理を行う。なお、実行ジョブがコピージョブである場合には、原稿画像データの出力(原稿画像データに基づく画像の用紙Sへの印刷)と並行して重送確認処理が行われてもよい。
制御部5は、重送確認処理の一処理として、基準設定処理を行う。制御部5は、基準設定処理を行うとき、記憶部6のメモリー上に行列を作成する。そして、制御部5は、行列内のいずれかの行を基準行に設定する。
以下に、図5に示すフローチャートを参照し、制御部5が行う基準設定処理の流れについて説明する。図5に示すフローのスタートは、画像読取部1による原稿Dの読み取りが全て終わった(原稿セットトレイ201から原稿Dが無くなった)と制御部5が判断したときである。すなわち、制御部5は、画像読取部1が読み取った原稿Dの原稿画像データを全て取得してから基準設定処理を行う。
ステップS1において、制御部5は、画像抽出処理を行う。これにより、制御部5は、画像読取部1が1回分のジョブ(搬送読取を伴うジョブ)で連続して読み取った複数枚の原稿Dにそれぞれ対応する複数の原稿画像データから、原稿Dに付されたノンブルに対応する画像を含むノンブル画像を抽出する。
制御部5は、複数の原稿画像データを1つずつ順番に、画像抽出処理の処理対象として選択する。制御部5は、処理対象の原稿画像データに対する画像抽出処理が終わると、未選択の原稿画像データを新たに処理対象として選択する。そして、制御部5は、新たな処理対象の原稿画像データに対して画像抽出処理を行う。制御部5は、全ての原稿画像データに対して画像抽出処理を行う。
制御部5は、処理対象の原稿画像データを2値化する。そして、制御部5は、処理対象の原稿画像データから、黒画素だけの固まりからなる黒画素領域を検出する。このとき、ラベリング処理が行われてもよい。
また、制御部5は、処理対象の原稿画像データ内において複数の所定領域を認識する。たとえば、図6に示すように、原稿Dのヘッダー領域およびフッター領域がそれぞれ2つ以上の領域Aに区分けされ、区分けされた複数の領域Aに対応する原稿画像データ内の各領域が所定領域とされる。通常では、原稿Dのヘッダー領域またはフッター領域にノンブルが付される。すなわち、複数の所定領域は、それぞれ、原稿Dに付されたノンブルに対応する画像が存在する可能性のある領域である。なお、図6の領域A´内に記載の「23」は原稿Dに付されたノンブルの一例である。
図6に示す例では、原稿Dのヘッダー領域およびフッター領域がそれぞれ3つの領域Aに区分けされていることによって所定領域の数が6つとなるが、所定領域の数は特に限定されない。原稿Dのヘッダー領域に対応する原稿画像データ内の領域および原稿Dのフッター領域に対応する原稿画像データ内の領域の2つが所定領域とされてもよい。
処理対象の原稿画像データ内において複数の所定領域を認識した後、制御部5は、処理対象の原稿画像データ内にノンブルに対応する画像を含む所定領域が存在するか否かを判断する。処理対象の原稿画像データに対応する原稿Dのヘッダー領域またはフッター領域にノンブルが付されていれば、処理対象の原稿画像データ内のいずれかの所定領域にノンブルに対応する画像が出現する。
たとえば、図6に示す例では、原稿Dのフッター領域内の領域A´にノンブルが付されており、他の領域Aにはノンブルが付されていない。この場合には、処理対象の原稿画像データ内の複数の所定領域のうち、領域A´に対応する所定領域に黒画素領域が出現する一方で、他の領域Aに対応する所定領域には黒画素領域は出現しない。
そこで、制御部5は、処理対象の原稿画像データ内の複数の所定領域のそれぞれについて、領域内に黒画素領域があるか否かを判断する。そして、制御部5は、処理対象の原稿画像データ内の複数の所定領域のうち、領域内に黒画素領域がある所定領域の画像をノンブル画像として抽出する。所定領域の画像には、原稿Dに付されたノンブルに対応する画像が含まれる。
画像抽出処理後、ステップS2において、制御部5は、画像特定処理を行う。これにより、制御部5は、複数の原稿画像データのそれぞれから抽出した各ノンブル画像内に存在する1桁目画像を特定する。1桁目画像は、原稿Dに付されたノンブルの1の位の数字に対応する画像である。
制御部5は、複数のノンブル画像を1つずつ順番に、画像特定処理の処理対象として選択する。制御部5は、処理対象のノンブル画像に対する画像特定処理が終わると、未選択のノンブル画像を新たに処理対象として選択する。そして、制御部5は、新たな処理対象のノンブル画像に対して画像特定処理を行う。制御部5は、全てのノンブル画像に対して画像特定処理を行う。
制御部5は、処理対象のノンブル画像内に黒画素領域が1つだけ存在する場合、当該1つの黒画素領域の画像が1桁目画像であると判断する。たとえば、図7に示すようなノンブル画像(所定領域の画像)が処理対象のときには、ノンブル画像内に1つだけ存在する黒画素領域の画像G1が1桁目画像であると判断される。
制御部5は、処理対象のノンブル画像内に複数の黒画素領域が存在する場合、複数の黒画素領域のうち所定方向(左右方向)の一方側(右側)の最も端にある黒画素領域の画像が1桁目画像であると判断する。たとえば、図8に示すようなノンブル画像(所定領域の画像)が処理対象のときには、ノンブル画像内に存在する黒画素領域の画像G21およびG22のうち、画像G21が1桁目画像であると判断される。
なお、場合によっては、ハイフンを含むノンブルが原稿Dに付される。ハイフンに対応する画像は所定方向に直線的に延びる。そこで、制御部5は、処理対象のノンブル画像内に複数の黒画素領域が存在する場合、所定方向に直線的に延びる黒画像領域を1桁目画像と判断しない。すなわち、制御部5は、複数の黒画素領域のうち、所定方向に直線的に延びる黒画素領域以外で、所定方向の一方側の最も端にある黒画素領域の画像を1桁目画像と判断する。
画像特定処理後、ステップS3において、制御部5は、複数のノンブル画像を抽出元の原稿画像データに対応する原稿Dの読取順が早い順に並べてn行10列の行列を作成する。制御部5により作成される行列の行数は、ノンブル画像の抽出数(原稿画像データの生成数)、すなわち、原稿Dの読取枚数によって変わる。
たとえば、「1」~「40」のページ番号(ノンブル)がそれぞれ付された40枚の原稿Dの読み取りがページ番号順に正常に行われたとする。すなわち、重送が発生しなかったとする。この場合、図9に示すような行列が作成される。
行列の作成後、ステップS4において、制御部5は、作成した行列の各行に含まれるノンブル画像の1桁目画像を認識する。そして、制御部5は、異なる10個の1桁目画像を含む行を基準行に設定する。
たとえば、制御部5は、まず、行列の1行目を選択し、異なる10個の1桁目画像が1行目(選択した行)に含まれているか否かを判断する。異なる10個の1桁目画像が1行目に含まれている場合、制御部5は、1行目を基準行に設定する。
異なる10個の1桁目画像が選択した行に含まれていない場合、制御部5は、1つ後の行を新たに選択し、異なる10個の1桁目画像が新たに選択した行に含まれているか否かを判断する。異なる10個の1桁目画像が新たに選択した行に含まれている場合、制御部5は、新たに選択した行を基準行に設定する。
たとえば、図9に示す例では、「1」、「2」、「3」、「4」、「5」、「6」、「7」、「8」、「9」および「0」にそれぞれ対応する10個の1桁目画像が1行目に含まれている。したがって、1行目が基準行に設定される。図9では、基準行を矢印で指し示し、基準行の1桁目画像を破線で囲む。
別の例として、図10に示すような行列が作成されたとする。「1」~「40」のページ番号がそれぞれ付された40枚の原稿Dが読取対象であったにもかかわらず、25ページ目の原稿D(ノンブル「25」が付された原稿D)に対して26ページ目の原稿D(ノンブル「26」が付された原稿D)が重なる重送が発生すると、図10に示す行列が作成される。
図10に示す例では、図9に示す例と同様、異なる10個の1桁目画像が1行目に含まれている。したがって、1行目が基準行に設定される。図10では、基準行を矢印で指し示し、基準行の1桁目画像を破線で囲む。
また、別の例として、図11に示すような行列が作成されたとする。「1」~「40」のページ番号がそれぞれ付された40枚の原稿Dが読取対象であったにもかかわらず、5ページ目の原稿D(ノンブル「5」が付された原稿D)に対して6ページ目の原稿D(ノンブル「6」が付された原稿D)が重なる重送が発生すると、図11に示す行列が作成される。
図11に示す例では、異なる10個の1桁目画像が1行目に含まれていない。2行目には、異なる10個の1桁目画像が含まれている。したがって、2行目が基準行に設定される。図11では、基準行を矢印で指し示し、基準行の1桁目画像を破線で囲む。
行列内のいずれか1つの行を基準行に設定した後、制御部5は、基準行の後に行が存在するか否かを判断する。基準行の後に行が存在する場合、制御部5は、第1処理を行う。また、制御部5は、基準行の前に行が存在するか否かを判断する。基準行の前に行が存在する場合、すなわち、基準行に設定した行が1行目でない場合、制御部5は、第2処理を行う。
図9および図10に示す例では、第1処理が行われる。しかし、基準行に設定された行が1列目であるため、第2処理は行われない。図11に示す例では、基準行に設定された行が2列目であり、基準行の前後にそれぞれ行がある。したがって、第1処理および第2処理の両方が行われる。
1.第1処理
まず、図12に示すフローチャートを参照し、制御部5が行う第1処理の流れについて説明する。図12に示すフローは、基準設定処理が完了したときにスタートする。基準設定処理の完了後、第2処理を先に開始し、第2処理が完了してから第1処理を開始してもよい。基準行の後に行が存在しない場合には、第1処理は行われない。
ステップS11において、制御部5は、基準行に対して1つ後の行を第1確認行に設定する。図9に示す例では、2行目が第1確認行に設定される。図10に示す例では、2行目が第1確認行に設定される。図11に示す例では、3行目が第1確認行に設定される。
ステップS12において、制御部5は、第1確認行に対する第1判断処理を開始する。具体的には、制御部5は、第1確認行の各列のノンブル画像について、1列目から順に、第1確認行のノンブル画像が第1対象ノンブル画像であるか否かを判断する。制御部5は、基準行内の同一列のノンブル画像とは1桁目画像が異なる第1確認行内のノンブル画像が第1対象ノンブル画像であると判断する。
制御部5は、まず、第1確認行の1列目のノンブル画像を選択し、1列目のノンブル画像(選択したノンブル画像)が第1対象ノンブル画像であるか否かを判断する。制御部5は、選択したノンブル画像が第1対象ノンブル画像ではないと判断すると、第1判断処理を続ける。或る列のノンブル画像が第1対象ノンブル画像ではないと判断した場合、制御部5は、1つ後の列のノンブル画像を新たに選択し、新たに選択したノンブル画像が第1対象ノンブル画像であるか否かを判断する。
ここで、第1判断処理の一例について説明する。
制御部5は、基準行のノンブル画像(選択したノンブル画像と同一列のノンブル画像)と選択したノンブル画像とを合成した合成画像データを生成する。そして、制御部5は、基準行のノンブル画像(選択したノンブル画像と同一列のノンブル画像)と選択したノンブル画像との間で画素値の差の絶対値が所定値以上となる領域に対応する合成画像データ内の領域を差分領域として検出する。
また、制御部5は、2値化した合成画像データから、ノンブルの1の位に対応する黒画素領域(黒画素の固まりからなる領域)を検出する。基準行のノンブル画像(選択したノンブル画像と同一列のノンブル画像)に対応するノンブルが1桁であり、選択したノンブル画像に対応するノンブルが2桁である場合には、当該各ノンブル画像を互い合成した合成画像データからは2つの黒画像領域が検出される。基準行のノンブル画像(選択したノンブル画像と同一列のノンブル画像)に対応するノンブルおよび選択したノンブル画像に対応するノンブルがそれぞれ2桁である場合にも、当該各ノンブル画像を互いに合成した合成画像データからは2つの黒画像領域が検出される。制御部5は、合成画像データ内の複数の黒画像領域のうち、所定方向(左右方向)の一方側(右側)にある黒画素領域がノンブルの1の位に対応すると認識する。
合成画像データから1の位に対応する黒画素領域を検出した後、制御部5は、ノンブルの1の位に対応する黒画素領域内の差分領域の画素数をカウントする。そして、制御部5は、カウントした差分領域の画素数が予め定められた閾値以上となるか否かに基づき、選択したノンブル画像が第1対象ノンブル画像(基準行内の同一列のノンブル画像とは1桁目画像が異なるノンブル画像)であるか否かを判断する。
ここで、基準行のノンブル画像(選択したノンブル画像と同一列のノンブル画像)および選択したノンブル画像の各1桁目画像が互いに同じであれば、差分領域の画素数は閾値以上とならない。そこで、制御部5は、差分領域の画素数をカウントした結果、差分領域の画像数が閾値以上であれば、選択したノンブル画像が第1対象ノンブル画像であると判断し、差分領域の画素数が閾値未満であれば、選択したノンブル画像が第1対象ノンブル画像であると判断しない。
たとえば、図10に示す例では、基準行の1列目のノンブル画像および第1確認行(2行目)の1列目のノンブル画像の各1桁目画像は互いに同じである。このため、第1確認行の1列目のノンブル画像は第1対象ノンブル画像であると判断されない。
ステップS13において、制御部5は、第1判断処理を中断する第1中断条件が満たされたか否かを判断する。制御部5は、選択したノンブル画像が第1対象ノンブル画像であると判断したとき(第1確認行のいずれかのノンブル画像が第1対象ノンブル画像であると判断したとき)、第1中断条件が満たされたと判断する。
ステップS13において、第1中断条件が満たされていないと制御部5が判断した場合には、ステップS14に移行する。ステップS14に移行すると、制御部5は、第1確認行に対する第1判断処理が終了したか否かを判断する。第1確認行に対する第1判断処理が終了していないと制御部5が判断した場合には、ステップS13に移行する。一方で、第1確認行に対する第1判断処理が終了したと制御部5が判断した場合には、ステップS15に移行する。
ステップS15に移行すると、制御部5は、第1確認行の後に行があるか否かを判断する。第1確認行の後に行があると制御部5が判断した場合には、ステップS16に移行する。一方で、第1確認行の後に行が無いと制御部5が判断した場合には、本フローは終了する。
ステップS16に移行した場合、制御部5は、現在の第1確認行を新たな基準行に設定する。また、制御部5は、新たな基準行に対して1つ後の行を新たな第1確認行に設定する。そして、ステップS13に移行する。すなわち、制御部5は、第1判断処理を続行する(新たな第1確認行に対して第1判断処理を行う)。
ステップS13において、第1中断条件が満たされた(選択したノンブル画像が第1対象ノンブル画像である)と制御部5が判断した場合には、ステップS17に移行する。ステップS17に移行すると、制御部5は、第1対象ノンブル画像の抽出元の原稿画像データに対応する原稿Dに対して読取順が1つ前の原稿D(以下、第1原稿Dと称する)の読取時に重送が発生していたと判断する。そして、ステップS18において、制御部5は、第1判断処理を中断する。
第1判断処理の中断後、ステップS19において、制御部5は、第1枚数判定処理を行う。第1枚数判定処理では、第1原稿Dに重なっていた原稿Dの枚数が判定される。
制御部5は、第1枚数判定処理の一処理として、行列内のノンブル画像の並び順を変更する第1変更処理を行う。これにより、制御部5は、行列内での位置が第1対象ノンブル画像よりも後のノンブル画像の位置を現在の位置の1つ後に変更するとともに、第1対象ノンブル画像の位置を現在の位置の1つ後に変更する。
以下に、図13を参照し、第1変更処理について具体的に説明する。図13では、第1変更処理前の行列を上図に示し、第1変更処理後の行列を下図に示す。なお、図13上図に示す行列は、図10に示した行列と同じである。
図13に示す例では、まず、制御部5は、1行目を基準行に設定し、2行目に対して第1判断処理を行う(2行目を第1確認行に設定する)。その後、制御部5は、2行目を新たな基準行に設定し、3行目に対して第1判断処理を行う。そして、3行目に対する第1判断処理の実行中、制御部5は、3行6列目のノンブル画像が第1対象ノンブル画像であると判断する。このとき、制御部5は、3行6列目のノンブル画像の抽出元の原稿画像データに対応する原稿Dに対して読取順が1つ前の原稿D(ノンブル「25」が付された原稿D)の読取時に重送が発生していたと判断する。また、制御部5は、第1中断条件が満たされたと判断し、第1判断処理を中断する。
3行6列目のノンブル画像が第1対象ノンブル画像である場合、制御部5は、読取順が26番目以降の原稿Dの原稿画像データから抽出したノンブル画像の行列内での位置を現在の位置の1つ後に変更する。一例を挙げると、ノンブル「28」に対応するノンブル画像(第1変更処理前の時点で3行7列目に位置していたノンブル画像)の位置は3行8列目に変更される。ノンブル「31」に対応するノンブル画像(第1変更処理前の時点で3行10列目に位置していたノンブル画像)の位置は4行1列目に変更される。ノンブル「40」に対応するノンブル画像(第1変更処理前の時点で4行9列目に位置していたノンブル画像)の位置は4行10列目に変更される。
また、3行6列目のノンブル画像が第1対象ノンブル画像である場合、制御部5は、3行6列目のノンブル画像の行列内での位置を現在の位置の1つ後に変更する。すなわち、3行6列目のノンブル画像の位置は3行7列目に変更される。
図13上図では、移動対象のノンブル画像を実線丸印で囲む。また、移動対象のノンブル画像の移動先を実線矢印で示す。
また、第1変更処理を行うとき、制御部5は、第1対象ノンブル画像の行列内での現在の位置を第1コピー位置に設定する。そして、第1変更処理で第1対象ノンブル画像の位置を第1コピー位置から変更すると、制御部5は、第1コピー位置(第1対象ノンブル画像の第1変更処理前の行列内での位置)と同一列にある基準行内のノンブル画像を第1コピー位置にコピーする。
図13に示す例では、2行6列目のノンブル画像(ノンブル「16」に対応するノンブル画像)が3行6列目にコピーされる。図13上図では、コピー元のノンブル画像を破線丸印で囲み、そのコピー先を破線矢印で示す。これにより、図13上図の行列が図13下図の行列に変更される。
制御部5は、第1変更処理を1回行った後、第1条件が満たされたか否かを判断する第1条件判断処理を行う。第1条件判断処理では、制御部5は、第1対象ノンブル画像の現在の位置(第1変更処理後の位置)と同一列にある基準行内のノンブル画像の1桁目画像と第1対象ノンブル画像の1桁目画像とが同じであると判断した場合に第1条件が満たされたと判断する。制御部5は、第1変更処理を1回行った後の第1条件判断処理で第1条件が満たされたと判断したとき、第1原稿Dに1枚の原稿Dが重なっていたと判断する。
第1対象ノンブル画像の現在の位置と同一列にある基準行内のノンブル画像の1桁目画像と第1対象ノンブル画像の1桁目画像とが同じであるか否か(第1条件が満たされたか否か)については、第1対象ノンブル画像の現在の位置と同一列にある基準行内のノンブル画像と第1対象ノンブル画像とを合成した合成画像データを生成し、当該生成した合成画像データのうち1の位に対応する黒画素領域内の差分領域の画像数が予め定められた閾値以上となるか否かに基づき判断すればよい。すなわち、差分領域の画素数が閾値未満であれば、第1対象ノンブル画像の現在の位置と同一列にある基準行内のノンブル画像の1桁目画像と第1対象ノンブル画像の1桁目画像とが同じであると判断し、差分領域の画素数が閾値以上であれば、第1対象ノンブル画像の現在の位置と同一列にある基準行内のノンブル画像の1桁目画像と第1対象ノンブル画像の1桁目画像とが異なると判断すればよい。
なお、記憶部6には、第1変更処理の実行回数を示す第1カウント値が記憶される。制御部5は、搬送読取を伴うジョブの開始前に第1カウント値をリセットする(第1カウント値を0にする)。そして、制御部5は、第1変更処理を行うごとに第1カウント値を1カウントアップする。
制御部5は、1回目の第1変更処理を行うとき、第1カウント値を1カウントアップする。第1変更処理を1回行った後の第1条件判断処理で第1条件が満たされていないと判断した場合、制御部5は、第1条件が満たされたと判断するまで、第1変更処理を繰り返す。そして、制御部5は、第1条件が満たされたと判断したときの第1カウント値に相当する枚数の原稿Dが第1原稿Dに重なっていたと判断する。
図13に示す例では、ノンブル「27」に対応するノンブル画像(3行6列目のノンブル画像)が第1対象ノンブル画像であると判断されることにより、第1変更処理が行われる。第1変更処理が1回行われると、ノンブル「27」に対応するノンブル画像が3行7列目に移動する。ここで、2行7列目(基準行の7列目)にはノンブル「17」に対応するノンブル画像が位置する。
その結果、第1対象ノンブル画像の現在の位置と同一列にある基準行内のノンブル画像の1桁目画像と第1対象ノンブル画像の1桁目画像とが同じであると判断される。すなわち、第1条件が満たされたと判断される。また、第1変更処理が1回行われた場合には、第1カウント値が「1」となる。これにより、第1原稿Dに1枚の原稿Dが重なっていたと判断される。
図示しないが、図13に示す例において、25ページ目の原稿D(ノンブル「25」が付された原稿D)に対し、26ページ目の原稿D(ノンブル「26」が付された原稿D)に加え、27ページ目の原稿D(ノンブル「27」が付された原稿D)も重なっていたとする。
この例では、ノンブル「28」に対応するノンブル画像が3行6列目に位置する行列が作成される。そして、当該ノンブル画像が第1対象ノンブル画像であると判断される。ここで、2行7列目(基準行の7列目)に位置するのはノンブル「17」に対応するノンブル画像である。その結果、第1変更処理が1回行われた後の第1条件判断処理では、第1条件が満たされたと判断されない。
1回目の第1条件判断処理後、第1変更処理がさらに1回行われると(第1変更処理が合計2回行われると)、ノンブル「28」に対応するノンブル画像が3行8列目に移動する。2行8列目(基準行の8列目)にはノンブル「18」に対応するノンブル画像が位置する。これにより、第1変更処理が2回行われた後の第1条件判断処理では、第1条件が満たされたと判断される。また、第1変更処理が2回行われた場合には、第1カウント値が「2」となる。その結果、第1原稿Dに2枚の原稿Dが重なっていたと判断される。
第1枚数判定処理後(第1条件が満たされたと制御部5が判断した後)、ステップS20に移行する。ステップS20に移行すると、制御部5は、第1対象ノンブル画像の第1変更処理後の位置に対して1つ後の位置から第1判断処理を再開する。その後、ステップS13に移行する。
たとえば、図13に示す例では、下図に示す行列の3行8列目(第1確認行の8列目)から第1判断処理が再開される。ここで、行列内のノンブル画像の並び順は第1変更処理が行われたことによって変更されている。第1変更処理後の行列では、3行目(第1確認行)の各ノンブル画像の1桁目画像が2行目(基準行)の同一列のノンブル画像の1桁目画像と同じとなっている。このため、第1判断処理が再開されて以降、3行目のノンブル画像は第1対象ノンブル画像であると判断されない。
3行目(第1確認行)に対する第1判断処理の終了後、第1判断処理は続行される。このとき、3行目が新たな基準行に設定され、4行目が新たな第1確認行に設定される。
ここで、第1変更処理前の時点では、3行6列目にはノンブル「27」に対応するノンブル画像が位置していた(図13上図参照)。しかし、第1判断処理の再開時点では、ノンブル「27」からノンブル「40」に対応する各ノンブル画像の位置が第1変更処理前の位置に対して1つずつ後に移動された状態となっている。そして、3行6列目にはノンブル「16」に対応するノンブル画像がコピーされている。これにより、4行目のノンブル画像は第1対象ノンブル画像であると判断されない。
2.第2処理
次に、図14に示すフローチャートを参照し、制御部5が行う第2処理の流れについて説明する。
図14に示すフローは、第1処理が完了したときにスタートする。最初に基準行に設定された行よりも後に行が存在しない場合には、基準設定処理が完了すると第2処理が開始される。最初に基準行に設定された行よりも前に行が存在しない場合(1行目が最初に基準行に設定された場合)には、第2処理は行われない。最初に基準行に設定された行が2行目以降である場合にのみ第2処理が行われる。
ステップS21において、制御部5は、最初に基準行に設定した行に対して1つ前の行を第2確認行に設定する。図9および図10に示す例では、第2処理は行われない。図11に示す例では、1行目が第2確認行に設定される。
ステップS22において、制御部5は、第2確認行に対する第2判断処理を開始する。具体的には、制御部5は、第2確認行の各列のノンブル画像について、10列目から順に、第2確認行のノンブル画像が第2対象ノンブル画像であるか否かを判断する。制御部5は、基準行内の同一列のノンブル画像とは1桁目画像が異なる第2確認行内のノンブル画像が第2対象ノンブル画像であると判断する。
制御部5は、まず、第2確認行の10列目のノンブル画像を選択し、10列目のノンブル画像(選択したノンブル画像)が第2対象ノンブル画像であるか否かを判断する。制御部5は、選択したノンブル画像が第2対象ノンブル画像ではないと判断すると、第2判断処理を続ける。或る列のノンブル画像が第2対象ノンブル画像ではないと判断した場合、制御部5は、1つ前の列のノンブル画像を新たに選択し、新たに選択したノンブル画像が第2対象ノンブル画像であるか否かを判断する。
第2判断処理の処理方法は第1判断処理と同様である。すなわち、制御部5は、基準行のノンブル画像(選択したノンブル画像と同一列のノンブル画像)と選択したノンブル画像との合成画像データを生成し、当該生成した合成画像データのうち1の位に対応する黒画素領域内の差分領域の画像数が予め定められた閾値以上となるか否かに基づき、選択したノンブル画像が第2対象ノンブル画像であるか否かを判断する。
ステップS23において、制御部5は、第2判断処理を中断する第2中断条件が満たされたか否かを判断する。制御部5は、選択したノンブル画像が第2対象ノンブル画像であると判断したとき(第2確認行のいずれかのノンブル画像が第2対象ノンブル画像であると判断したとき)、第2中断条件が満たされたと判断する。
ステップS23において、第2中断条件が満たされていないと制御部5が判断した場合には、ステップS24に移行する。ステップS24に移行すると、制御部5は、第2確認行に対する第2判断処理が終了したか否かを判断する。第2確認行に対する第2判断処理が終了していないと制御部5が判断した場合には、ステップS23に移行する。一方で、第2確認行に対する第2判断処理が終了したと制御部5が判断した場合には、ステップ
S25に移行する。
ステップS25に移行すると、制御部5は、第2確認行の前に行があるか否かを判断する。第2確認行の前に行があると制御部5が判断した場合には、ステップS26に移行する。一方で、第2確認行の前に行が無いと制御部5が判断した場合には、本フローは終了する。
ステップS26に移行した場合、制御部5は、現在の第2確認行を新たな基準行に設定する。また、制御部5は、新たな基準行に対して1つ前の行を新たな第2確認行に設定する。そして、ステップS23に移行する。すなわち、制御部5は、第2判断処理を続行する(新たな第2確認行に対して第2判断処理を行う)。
ステップS23において、第2中断条件が満たされた(選択したノンブル画像が第2対象ノンブル画像である)と制御部5が判断した場合には、ステップS27に移行する。ステップS27に移行すると、制御部5は、第2対象ノンブル画像の抽出元の原稿画像データに対応する原稿D(以下、第2原稿Dと称する)の読取時に重送が発生していたと判断する。そして、ステップS28において、制御部5は、第2判断処理を中断する。
第2判断処理の中断後、ステップS29において、制御部5は、第2枚数判定処理を行う。第2枚数判定処理では、第2原稿Dに重なっていた原稿Dの枚数が判定される。
制御部5は、第2枚数判定処理の一処理として、行列内のノンブル画像の並び順を変更する第2変更処理を行う。これにより、制御部5は、行列内での位置が第2対象ノンブル画像よりも前のノンブル画像の位置を現在の位置の1つ前に変更するとともに、第2対象ノンブル画像の位置を現在の位置の1つ前に変更する。
以下に、図15を参照し、第2変更処理について具体的に説明する。図15では、第2変更処理前の行列を上図に示し、第2変更処理後の行列を下図に示す。なお、図15上図に示す行列は、図11に示した行列と同じである。
図15に示す例では、最初に2行目が基準行に設定される。その結果、1行目に対して第2判断処理が行われる(1行目が第2確認行に設定される)。1行目に対する第2判断処理の実行中、制御部5は、1行5列目のノンブル画像が第2対象ノンブル画像であると判断する。このとき、制御部5は、1行5列目のノンブル画像の抽出元の原稿画像データに対応する原稿D(ノンブル「5」が付された原稿D)の読取時に重送が発生していたと判断する。また、制御部5は、第2中断条件が満たされたと判断し、第2判断処理を中断する。
1行5列目のノンブル画像が第2対象ノンブル画像である場合、制御部5は、読取順が5番目以前の原稿Dの原稿画像データから抽出したノンブル画像の行列内での位置を現在の位置の1つ前に変更する。一例を挙げると、ノンブル「4」に対応するノンブル画像(第2変更処理前の時点で1行4列目に位置していたノンブル画像)の位置は1行3列目に変更される。ノンブル「2」に対応するノンブル画像(第1変更処理前の時点で1行2列目に位置していたノンブル画像)の位置は1行1列目に変更される。
また、1行5列目のノンブル画像が第2対象ノンブル画像である場合、制御部5は、1行5列目のノンブル画像の行列内での位置を現在の位置の1つ前に変更する。すなわち、1行5列目のノンブル画像の位置は1行4列目に変更される。
図15上図では、移動対象のノンブル画像を実線丸印で囲む。また、移動対象のノンブル画像の移動先を実線矢印で示す。
なお、1行目が第2確認行となっている場合には、第2変更処理を行うと行列から外れるノンブル画像(移動先が無いノンブル画像)については削除される。すなわち、図15に示す例では、ノンブル「1」に対応するノンブル画像(第1変更処理前の時点で1行1列目に位置していたノンブル画像)が削除される。
また、第2変更処理を行うとき、制御部5は、第2対象ノンブル画像の行列内での現在の位置を第2コピー位置に設定する。そして、第2変更処理で第2対象ノンブル画像の位置を第2コピー位置から変更すると、制御部5は、第2コピー位置(第2対象ノンブル画像の第2変更処理前の行列内での位置)と同一列にある基準行内のノンブル画像を第2コピー位置にコピーする。
図15に示す例では、2行5列目のノンブル画像(ノンブル「16」に対応するノンブル画像)が1行5列目にコピーされる。図15上図では、コピー元のノンブル画像を破線丸印で囲み、そのコピー先を破線矢印で示す。これにより、図15上図の行列が図15下図の行列に変更される。
制御部5は、第2変更処理を1回行った後、第2条件が満たされたか否かを判断する第2条件判断処理を行う。第2条件判断処理では、制御部5は、第2対象ノンブル画像の現在の位置(第2変更処理後の位置)と同一列にある基準行内のノンブル画像の1桁目画像と第2対象ノンブル画像の1桁目画像とが同じであると判断した場合に第2条件が満たされたと判断する。制御部5は、第2変更処理を1回行った後の第2条件判断処理で第2条件が満たされたと判断したとき、第2原稿Dに1枚の原稿Dが重なっていたと判断する。
第2対象ノンブル画像の現在の位置と同一列にある基準行内のノンブル画像の1桁目画像と第2対象ノンブル画像の1桁目画像とが同じであるか否か(第2条件が満たされたか否か)については、第2対象ノンブル画像の現在の位置と同一列にある基準行内のノンブル画像と第2対象ノンブル画像とを合成した合成画像データを生成し、当該生成した合成画像データのうち1の位に対応する黒画素領域内の差分領域の画像数が予め定められた閾値以上となるか否かに基づき判断すればよい。すなわち、差分領域の画素数が閾値未満であれば、第2対象ノンブル画像の現在の位置と同一列にある基準行内のノンブル画像の1桁目画像と第2対象ノンブル画像の1桁目画像とが同じであると判断し、差分領域の画素数が閾値以上であれば、第2対象ノンブル画像の現在の位置と同一列にある基準行内のノンブル画像の1桁目画像と第2対象ノンブル画像の1桁目画像とが異なると判断すればよい。
なお、記憶部6には、第2変更処理の実行回数を示す第2カウント値が記憶される。制御部5は、搬送読取を伴うジョブの開始前に第2カウント値をリセットする(第2カウント値を0にする)。そして、制御部5は、第2変更処理を行うごとに第2カウント値を1カウントアップする。
制御部5は、1回目の第2変更処理を行うとき、第2カウント値を1カウントアップする。第2変更処理を1回行った後の第2条件判断処理で第1条件が満たされていないと判断した場合、制御部5は、第2条件が満たされたと判断するまで、第2変更処理を繰り返す。そして、制御部5は、第2条件が満たされたと判断したときの第2カウント値に相当する枚数の原稿Dが第2原稿Dに重なっていたと判断する。
図15に示す例では、ノンブル「5」に対応するノンブル画像(1行5列目のノンブル画像)が第2対象ノンブル画像であると判断されることにより、第2変更処理が行われる。第2変更処理が1回行われると、ノンブル「5」に対応するノンブル画像が1行4列目に移動する。ここで、2行4列目(基準行の4列目)にはノンブル「15」に対応するノンブル画像が位置する。
その結果、第2対象ノンブル画像の現在の位置と同一列にある基準行内のノンブル画像の1桁目画像と第2対象ノンブル画像の1桁目画像とが同じであると判断される。すなわち、第2条件が満たされたと判断される。また、第2変更処理が1回行われた場合には、第2カウント値が「1」となる。これにより、第2原稿Dに1枚の原稿Dが重なっていたと判断される。
別の例として、5ページ目の原稿D(ノンブル「5」が付された原稿D)に対し、6ページ目の原稿D(ノンブル「6」が付された原稿D)に加え、7ページ目の原稿D(ノンブル「7」が付された原稿D)も重なっていたとする。この場合には、図16に示すような行列が作成される。
図16に示す例では、ノンブル「5」に対応するノンブル画像が第2対象ノンブル画像であると判断される。ここで、2行4列目(基準行の4列目)に位置するのはノンブル「16」に対応するノンブル画像である。その結果、第2変更処理が1回行われた後の第2条件判断処理では、第2条件が満たされたと判断されない。
1回目の第2条件判断処理後、第2変更処理がさらに1回行われると(第2変更処理が合計2回行われると)、ノンブル「5」に対応するノンブル画像が1行3列目に移動する。2行3列目(基準行の3列目)にはノンブル「15」に対応するノンブル画像が位置する。これにより、第2変更処理が2回行われた後の第2条件判断処理では、第2条件が満たされたと判断される。また、第2変更処理が2回行われた場合には、第2カウント値が「2」となる。その結果、第2原稿Dに2枚の原稿Dが重なっていたと判断される。
第2枚数判定処理後(第2条件が満たされたと制御部5が判断した後)、ステップS30に移行する。ステップS30に移行すると、制御部5は、第2対象ノンブル画像の第2変更処理後の位置に対して1つ前の位置から第2判断処理を再開する。その後、ステップS23に移行する。
たとえば、図15に示す例では、下図に示す行列の1行3列目(第2確認行の3列目)から第2判断処理が再開される。ここで、行列内のノンブル画像の並び順は第2変更処理が行われたことによって変更されている。第2変更処理後の行列では、1行目(第2確認行)の各ノンブル画像の1桁目画像が2行目(基準行)の同一列のノンブル画像の1桁目画像と同じとなっている。このため、第2判断処理が再開されて以降、1行目のノンブル画像は第2対象ノンブル画像であると判断されない。
図示しないが、第2判断処理において、2行目が第2確認行に設定されていれば、2行目に対する第2判断処理の終了後、2行目が新たな基準行に設定され、1行目が新たな第2確認行に設定される。そして、第2判断処理が続行される(1行目に対して第2判断処理が行われる)。
本実施形態では、制御部5は、複数のノンブル画像を抽出元の原稿画像データに対応する原稿Dの読取順が早い順にn行10列の行列状に並べる。その結果、たとえば、図9~図11に示すような行列が作成される。
搬送読取の実行中に重送が発生していなかった場合(図9参照)、各行の同一列にあるノンブル画像の1桁目画像は互いに同じ画像となる。
一方で、搬送読取の実行中に重送が発生していた場合(図10および図11参照)、他の原稿Dに重なっていた原稿Dに対応するノンブル画像は行列内に出現しない。これにより、行列内のいずれかの列において、各行のノンブル画像の1桁目画像が互いに同じ画像にならなくなる。
そこで、制御部5は、基準行を設定するとともに第1確認行を設定し、第1判断処理を行う。最初に設定した基準行が1行目でなければ、制御部5は、第1判断処理に加え、第2確認行を設定して第2判断処理を行う。制御部5は、第1判断処理として、第1確認行の各列のノンブル画像について、1列目から順に、基準行内の同一列のノンブル画像とは1桁目画像が異なる第1対象ノンブル画像であるか否かを判断する処理を行う。また、制御部5は、第2判断処理として、第2確認行の各列のノンブル画像について、10列目から順に、基準行内の同一列のノンブル画像とは1桁目画像が異なる第2対象ノンブル画像であるか否かを判断する処理を行う。
重送が発生していれば、基準行内の同一列のノンブル画像とは1桁目画像が異なるノンブル画像が第1確認行に出現する。また、基準行内の同一列のノンブル画像とは1桁目画像が異なるノンブル画像が第2確認行に出現する。これにより、制御部5が第1判断処理を行うよう構成することにより、重送が発生していたか否かを自動で判断することが可能な複合機100を得ることができる。また、制御部5が第2判断処理を行うよう構成することにより、重送が発生していたか否かを自動で判断することが可能な複合機100を得ることができる。
ここで、異なる10個の1桁目画像が行列内の或る行に含まれているということは、当該行の1列目のノンブル画像に対応する原稿Dの読み取りから当該行の10列目のノンブル画像に対応する原稿Dの読み取りまでは正常に行われた(重送が発生することなくページ番号順に読み取りが行われた)ということである。そこで、制御部5は、異なる10個の1桁目画像を含む行を基準行に設定する。これにより、重送が発生していたか否かの判断において誤判断を抑制することができる。
また、制御部5は、第1変更処理および第1条件判断処理を行う。制御部5は、第1変更処理を1回行うごとに第1条件判断処理を1回行う。第2判断処理を行う場合には、制御部5は、第2変更処理および第2条件判断処理を行う。制御部5は、第2変更処理を1回行うごとに第2条件判断処理を1回行う。
ここで、図13に示されているように、或る原稿Dに他の原稿Dが1枚重なった状態で読み取りが行われていた場合には、第1対象ノンブル画像の行列内での位置を1つ後に移動することにより、第1条件が満たされる。図示しないが、或る原稿Dに他の原稿Dが2枚重なった状態で読み取りが行われていた場合には、第1対象ノンブル画像の行列内での位置を2つ後に移動することにより、第1条件が満たされる。すなわち、第1変更処理をN回行った後の第1条件判断処理で第1条件が満たされたということは、或る原稿Dに他の原稿DがN枚重なっていたということである。
また、図15に示されているように、或る原稿Dに他の原稿Dが1枚重なった状態で読み取りが行われていた場合には、第2対象ノンブル画像の行列内での位置を1つ前に移動することにより、第2条件が満たされる。また、図16に示されるように、或る原稿Dに他の原稿Dが2枚重なった状態で読み取りが行われていた場合には、第2対象ノンブル画像の行列内での位置を2つ前に移動することにより、第2条件が満たされる。すなわち、第2変更処理をN回行った後の第2条件判断処理で第2条件が満たされたということは、或る原稿Dに他の原稿DがN枚重なっていたということである。
そこで、制御部5は、第1確認行のいずれかのノンブル画像が第1対象ノンブル画像であると判断した場合、第1変更処理の実行回数を示す第1カウント値に基づき、第1原稿Dに重なっていた他の原稿Dの枚数を判断する。また、制御部5は、第2確認行のいずれかのノンブル画像が第2対象ノンブル画像であると判断した場合、第2変更処理の実行回数を示す第2カウント値に基づき、第2原稿Dに重なっていた他の原稿Dの枚数を判断する。すなわち、制御部5は、重送が発生していたか否かだけでなく、重送が発生していた場合には何枚の原稿Dが重なっていたかを判断する。
なお、1回のジョブで複数回の重送が発生する場合がある。
このため、制御部5は、第1変更処理において第1対象ノンブル画像の位置を第1コピー位置から変更すると、第1コピー位置と同一列にある基準行内のノンブル画像を第1コピー位置にコピーし、第1対象ノンブル画像の第1変更処理後の位置に対して1つ後の位置から第1判断処理を再開する。第1確認行に対する第1判断処理の終了後、第1確認行の後に行があれば、制御部5は、第1確認行を新たな基準行に設定し、新たな基準行の後の行を新たな第1確認行に設定して、第1判断処理を続行する。
また、制御部5は、第2変更処理において第2対象ノンブル画像の位置を第2コピー位置から変更すると、第2コピー位置と同一列にある基準行内のノンブル画像を第2コピー位置にコピーし、第2対象ノンブル画像の第2変更処理後の位置に対して1つ前の位置から第2判断処理を再開する。第2確認行に対する第2判断処理の終了後、第2確認行の前に行があれば、制御部5は、第2確認行を新たな基準行に設定し、新たな基準行の前の行を新たな第2確認行に設定して、第2判断処理を続行する。
ここで、複合機100に搭載されている読み飛ばし機能について説明する。以下の説明では、或る原稿Dに重なっていた他の原稿Dの枚数を重送枚数と称する。
読み飛ばし機能に関する処理(以下、読み飛ばし処理と称する)は制御部5が行う。制御部5は、読み飛ばし処理を行うため、搬送読取を伴うジョブの実行中に重送が発生したことを検知すると、何回目(何枚目)の読取時に重送が発生していたかを示す回数値を示す重送情報を記憶部6に記憶させる。また、制御部5は、重送枚数を重送情報に含める。
制御部5は、搬送読取の終了後、重送が発生していたことを検知していれば、原稿Dの再読み取りを促す報知処理を操作パネル4に行わせる。操作パネル4は、重送が発生していた旨の重送報知メッセージを表示する。操作パネル4は、読取対象の全原稿Dをページ番号順に積層して原稿搬送ユニット2に再セットするよう促すメッセージを重送報知メッセージに含める。また、操作パネル4は、原稿Dの再セット後にスタートボタンを押すよう促すメッセージを重送報知メッセージに含める。
操作パネル4の重送報知メッセージを見たユーザーは、原稿排出トレイ202上の原稿束を原稿セットトレイ201に再セットする。そして、ユーザーは、操作パネル4のスタートボタンを押す。
制御部5は、操作パネル4による重送報知メッセージの表示中(重送が発生していたと判断した搬送読取の終了後)、スタートボタンに対する操作を検知すると、画像読取部1による搬送読取を開始する。なお、制御部5は、操作パネル4による重送報知メッセージの表示中、操作パネル4のリセットボタンに対する操作を検知すると、操作パネル4による重送報知メッセージの表示を停止させる。重送報知メッセージの表示が停止された状態でスタートボタンが押されても、読み飛ばし処理は行われない。
重送報知メッセージが表示された状態でスタートボタンに対する操作を検知すると、制御部5は、読み飛ばし処理を行う。具体的には、制御部5は、直近の搬送読取(重送が発生していた搬送読取)に関する重送情報を取得し、取得した重送情報で示される回数値および重送枚数を認識する。制御部5は、取得した重送情報で示される回数値を空送り回数値に設定する。
その後、制御部5は、原稿搬送ユニット2に原稿束の給送を開始させる。制御部5は、原稿セットトレイ201から原稿搬送路Pに原稿Dが1枚給紙されるごとに、給紙回数を示す給紙カウント値を1カウントアップする。給紙カウント値は記憶部6に記憶される。制御部5は、搬送読取を伴うジョブが終了すると、給紙カウント値をリセットする。
制御部5は、給紙カウント値が空送り回数値を超えるまで、画像読取部1による読み取りを開始させない。制御部5は、給紙カウント値が空送り回数値を超えたとき、画像読取部1による読み取りを開始させる。画像読取部1は、給紙カウント値が空送り回数値を超えたときに給紙されていた原稿Dの読み取りから開始する。
また、制御部5は、画像読取部1による読み取りが開始されて以降、画像読取部1による原稿Dの読取枚数(読取位置RPを抜けた原稿Dの枚数)が重送枚数に達したか否かを判断する。原稿Dの読取枚数が重送枚数に達したとき、制御部5は、画像読取部1による原稿Dの読み取りを終了させる。
なお、制御部5は、画像読取部1による原稿Dの読み取りを終了させても、原稿搬送ユニット2による原稿Dの給送は続行させる。すなわち、原稿Dの読取枚数が重送枚数に達して以降は、原稿Dが空送りされる。
たとえば、図13に示す例では、25回目の読取時(ノンブル「25」が付された原稿Dの読取時)に重送が発生していたので、空送り回数値が「25」に設定される。このため、再度行われる搬送読取では、ノンブル「1」が付された原稿Dからノンブル「25」が付された原稿Dまでは空送りされる。その後、重送が発生していなければ、ノンブル「26」が付された原稿Dの読み取りが行われる。
また、図13に示す例では、重送枚数が1枚である。このため、ノンブル「26」の原稿Dの読み取りが行われた後、ノンブル「27」が付された原稿Dからノンブル「40」が付された原稿Dまでの読み取りは行われない。
このように、読み飛ばし機能では、或る原稿Dに重なっていた原稿Dの読み取りだけが行われる。ユーザーからすると、操作パネル4に重送報知メッセージが表示された場合、何枚目の原稿Dの読み取りが行われていないかの確認作業を行わなくても、原稿排出トレイ202から取り出した原稿束をそのまま原稿セットトレイ201に再セットしてスタートボタンを押すだけで、未読取の原稿Dの読み取りだけが行われるので、利便性が良い。
ここで、複合機100は、両面読取の実行が可能である。このため、両面にノンブルが付された複数枚の原稿Dが原稿搬送ユニット2にセットされる場合がある。
一例として、表面および裏面のそれぞれにノンブル「11」および「12」が付された原稿D(ここでは、符号D11-12を付す)、表面および裏面のそれぞれにノンブル「13」および「14」が付された原稿D(ここでは、符号D13-14を付す)、表面および裏面のそれぞれにノンブル「15」および「16」が付された原稿D(ここでは、符号D15-16を付す)、および、表面および裏面のそれぞれにノンブル「17」および「18」が付された原稿D(ここでは、符号D17-18を付す)、を含む複数枚の原稿Dの両面読取が実行されたとする。
原稿D13-14に原稿D15-16が重なる重送が発生していた場合には、図17に示すような行列が作成される。原稿D15-16が最初から抜けていた場合(原稿搬送ユニット2にセットされた原稿束の中に原稿D15-16が無かった場合)には、図18に示すような行列が作成される。
なお、図17および図18に示す例では、1行目が基準行に設定されるので、第2判断処理は行われない。
図17に示す例では、制御部5は、2行目に対する第1判断処理の実行中、2行4列目のノンブル画像が第1対象ノンブル画像であると判断する。すなわち、制御部5は、2行3列目のノンブル画像の抽出元の原稿画像データに対応する原稿D13-14の表面を第1原稿Dと認識する。図17に示す例では、第1原稿Dの読取順は13番目(奇数番目)である。
図18に示す例では、制御部5は、2行目に対する第1判断処理の実行中、2行5列目のノンブル画像が第1対象ノンブル画像であると判断する。すなわち、制御部5は、2行4列目のノンブル画像の抽出元の原稿画像データに対応する原稿D13-14の裏面を第1原稿Dと認識する。図18に示す例では、第1原稿Dの読取順は14番目(偶数番目)である。
別の例として、表面および裏面のそれぞれにノンブル「1」および「2」が付された原稿D(ここでは、原稿D1-2を付す)、表面および裏面のそれぞれにノンブル「3」および「4」が付された原稿D(ここでは、原稿D3-4を付す)、表面および裏面のそれぞれにノンブル「5」および「6」が付された原稿D(ここでは、原稿D5-6を付す)、および、表面および裏面のそれぞれにノンブル「7」および「8」が付された原稿D(ここでは、原稿D7-8を付す)、を含む複数枚の原稿Dの両面読取が実行されたとする。
原稿D3-4に原稿D5-6が重なる重送が発生していた場合には、図19に示すような行列が作成される。原稿D5-6が最初から抜けていた場合(原稿搬送ユニット2にセットされた原稿束の中に原稿D5-6が無かった場合)には、図20に示すような行列が作成される。
なお、図19および図20に示す例では、2行目が基準行に設定され、1行目に対する第2判断処理が行われる。
図19に示す例では、制御部5は、1行目に対する第2判断処理の実行中、1行3列目のノンブル画像が第2対象ノンブル画像であると判断する。すなわち、制御部5は、1行3列目のノンブル画像の抽出元の原稿画像データに対応する原稿D3-4の表面を第2原稿Dと認識する。図19に示す例では、第2原稿Dの読取順は3番目(奇数番目)である。
図20に示す例では、制御部5は、1行目に対する第2判断処理の実行中、1行4列目のノンブル画像が第2対象ノンブル画像であると判断する。すなわち、制御部5は、1行4列目のノンブル画像の抽出元の原稿画像データに対応する原稿D3-4の裏面を第2原稿Dと認識する。図20に示す例では、第2原稿Dの読取順は4番目(偶数番目)である。
図17~図20に示すように、両面読取では、重送が発生していなくても、第1確認行のいずれかのノンブル画像が第1対象ノンブル画像となり得る。また、第2確認行のいずれかのノンブル画像が第2対象ノンブル画像となり得る。
そこで、画像読取部1による読み取りが両面読取である場合、制御部5は、第1原稿Dの読取順が奇数番目であるか偶数番目であるかを判断する。第1原稿Dの読取順が奇数番目であれば、制御部5は、重送が発生していたと判断する。一方で、第1原稿Dの読取順が偶数番目であれば、制御部5は、重送が発生していないと判断する。
また、画像読取部1による読み取りが両面読取である場合、制御部5は、第2原稿Dの読取順が奇数番目であるか偶数番目であるかを判断する。第2原稿Dの読取順が奇数番目であれば、制御部5は、重送が発生していたと判断する。一方で、第2原稿Dの読取順が偶数番目であれば、制御部5は、重送が発生していないと判断する。
そして、画像読取部1による読み取りが両面読取である場合、制御部5は、重送が発生していたと判断したときだけ、操作パネル4に重送報知メッセージを表示させる。すなわち、本来読み取るべき原稿Dが原稿束から抜けていた場合には、操作パネル4に重送報知メッセージが表示されない。
仮に、原稿束から或る原稿Dが抜けていれば、当該原稿束を再セットして読み取りを実行しても、抜け原稿Dの読み取りは行われない。したがって、再読み取りが無駄となる。このため、第1原稿D(第2原稿D)の読取順が奇数番目である場合にだけ重送報知メッセージを表示するのが好ましい。
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。