JP7395936B2 - 撮像光学系およびカメラ装置 - Google Patents
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Description
これら広範囲な種類の撮像装置に搭載される撮像光学系には、一般に、高解像度、低ディストーションであることに加え、夜などの暗い使用環境においても良好な撮像が可能であるようにFナンバが小さい大口径であることや、広画角で小型であることが求められている。
レトロフォーカスタイプの撮像光学系は、物体側の前群に負のパワーのレンズ群、像側の後群に正のパワーのレンズ群を配置することにより、前群、後群ともに射出瞳を像面から離すことができ、軸外光線の受光面への入射角を小さくできるため、撮像素子への入射光を効率よく利用できる。また、バックフォーカスを大きくできるところから、撮像光学系と撮像素子との間に光学的ローパスフィルタや赤外カットフィルタ等のフィルタ類を配置するスペースの確保が容易である。
撮像装置は、使用される環境(「使用環境」という。)が非常に広範である。
例えば、撮像装置として車載カメラ装置の場合であれば、サファリラリーのように炎熱地域で使用されることもあれば、高緯度の厳寒地域で使用される場合もあり、使用環境における環境温度は-30℃~70℃のように広い。
大きな環境温度変化が、撮像光学系に与える影響の1つとして以下の如きものがある。
このような「個々のレンズの変位による複数レンズ間の相対的な位置関係の変化」をこの明細書中において「レンズ偏芯」と称する。
レンズ偏芯が生じた撮像光学系による像の結像位置は、像面上において光軸直交方向へ変位する。撮像光学系におけるレンズ偏芯に起因する結像位置の光軸直交方向への変位をこの明細書中において「像の光軸ずれ」と称する。
(1) 0.3 <f/|f1|< 0.7
(2) 0.4 <f/|f2|< 0.7
(3) 0.4 <f/|f4|< 0.7
(4) 1.2<f/|f1|+f/|f2|+f/|f3|+f/|f4|<1.7
を満足するとともに、前記第3群を構成する第3レンズと第4レンズの材質の-30℃~70℃の温度範囲における平均線膨張係数:αjが、条件式:
(6) |α3-α4|<10×10-7/℃
を満足し、前記第1群ないし第4群を構成する各レンズ群がそれぞれ、光軸直交方向に2μm偏芯したときの、全系の最大像高;Y’に対する像の光軸ずれの割合が0.5%よりも小さい。
図1は、この発明の撮像光学系の構成を説明する図である。図の左方が「物体側」、右方が「像側」である。
撮像光学系は、物体側から像側に向かって順に、第1群G10、第2群G21、開口絞りS、第3群G22および第4群G23を配してなる。
第1群G10は、像側に凹面を向けたメニスカス状の負の第1レンズL11より成り、第2群G21は、正の第2レンズL22より成る。
開口絞りSの像側に配置される第3群G22は、物体側から像側へ向かって、物体側に凹面を向けた負の第3レンズL23aと像側に凸面を向けた正の第4レンズL23bとを接合した接合レンズより成り、「全体として負の屈折力」を有する。
第4レンズ群G23は、正の第5レンズL24より成る。
従って、全体は、4群5枚構成で、物体側から像側へ向かって負・正・負・正の屈折力配分を有する。
(1) 0.3 <f/|f1|< 0.7
(2) 0.4 <f/|f2|< 0.7
(3) 0.4 <f/|f4|< 0.7
(4) 1.2 <f/|f1|+f/|f2|+f/|f3|+f/|f4|< 1.7
これら条件式(1)~(4)において、「f」は全系の焦点距離、fiは「第i群(i=1~4)の焦点距離」である。
条件式(4)はまた、
1.2<f{1/|f1|+1/|f2|+1/|f3|+1/|f4|}<1.7
と書くこともでき、また、これを、
1.2<fΣ(1/fi)(i=1~4) < 1.7
と書くこともできる。
なお、図1の撮像光学系は、撮像素子を用いる場合が想定されており、図中の符号CGは撮像素子のカバーガラス、符号Imは像(撮像素子の受光面に結像している。)を示し、符号F1は、赤外線カットフィルタ、ローパスフィルタ等の各種フィルタを、これらと「光学的に等価」な透明平行平板(ガラス板)として示している。
また、以下において、第1レンズ群G10を「前群」、第2レンズ群G21、第3レンズ群G22、第4レンズ群G23を、前群G10に対して「後群G20」と言うこともある。
第1レンズ群G10を構成する第1レンズL11は、像側に凹面を有する負メニスカスレンズであり、負の屈折力を保ちつつ、歪曲収差の発生を抑える役割を担っている。
レトロフォーカスタイプで広画角を実現しようとすると、コマ収差、非点収差、像面湾曲、特に歪曲収差が増大し易く、また、大口径化を進めると、コマ収差や、特に球面収差が増大し易い。
また、レトロフォーカスタイプにおける「広画角とバックフォーカスの確保」には、軸外主光線を屈曲させる作用を第1レンズL11にある程度持たせる必要がある。第1レンズL11に必要とされる負の屈折力が強くなるに従い、歪曲収差が発生し易くなる。また、「像の光軸ずれ」が第1レンズL11の光軸直交方向の変位に大きく影響され易くなる。
歪曲収差の発生を抑えるには、軸外光束の主光線がレンズ面へ入射する角度を小さくすることが有効であるが、前群G10に必要とされる「負の屈折力」を確保することが難しくなる。
この発明の撮像光学系においては、開口絞りSの像側に設けられた第3レンズ群G22を「負の接合レンズ」とすることにより像面特性を良好にしている。即ち、接合レンズである第3レンズ群G22の屈折力を「負に設定」することで前群G10と後群G20で屈折力を相殺させ「全系のペッツバール和」を小さくしている。
また、第4レンズL23bの像側の面を凸面とすることにより、軸外主光線を屈曲させる作用を、第5レンズL24(以下「最終レンズL24」ともいう。)を含め3つのレンズ面で分担することにより、最終レンズL24の屈折力が極端に強くならないようにしている。
最終レンズL24の屈折力が強すぎると、最終レンズL24の偏芯が「像の光軸ずれ」に大きく影響するので、最終レンズL24の直前のレンズである負の接合レンズG22の像側面を凸面とし、最終レンズL24の正の屈折力を極端に強めることなく、射出瞳を像面より離している。 このように、第3レンズL23aと第4レンズL23bを接合レンズとすることにより、「レンズ偏心に関わるエレメント数」を減らすことができ、環境温度変化によるレンズ偏芯が発生した際の「像の光軸ずれ」の抑制に有利としている。
条件式(1)~(4)は、軸外光も含めた収差特性を良好に保ちつつ、環境温度変化時に各レンズの偏芯によるレンズ偏心により発生する「像の光軸ずれ」を有効に低減させるための条件である。
条件式(1)の上限値をこえて第1レンズL11の屈折力が強まると「レンズ偏心における第1レンズL11の偏心(光軸直交方向への変位)の成分」が大きくなり、「像の光軸ずれ」が第1レンズL1の偏芯に影響され易くなり、環境温度変化時の第1レンズ群G10の偏芯による「像の光軸ずれ」が大きくなる。
また、後群G20の屈折力を強めずに射出瞳を像面から遠ざけようとすると、レンズ全長が長くなる。
条件式(1)のパラメータ:f/|f1|は、より好ましくは、条件式(1)よりも若干狭い条件式:
(1A) 0.3 <f/|f1|< 0.60
を満足するのが良い。
条件式(2)の上限値をこえて第2レンズ群G21の屈折力が強まると、「像の光軸ずれ」が第2群の偏芯に対して「敏感に変化」するようなり、環境温度変化時の第2群G21の偏芯による像の光軸ずれが大きくなる。また、球面収差・コマ収差・歪曲収差・非点収差を補正しきれなくなる。
条件式(2)の下限値をこえて第2群G21の屈折力が弱まると、撮像光学系のバックフォーカスが長くなり光学全長の短縮による撮像光学系の小型化が困難となる。
条件式の(2)のパラメータ:f/|f2|は、より好ましくは、条件式(2)よりも若干狭い条件式:
(2A) 0.4 <f/|f2|< 0.60
を満足するのが良い。
条件式(3)の上限値をこえて第4群G23の屈折力が強まると、像の光軸ずれが第4群G23の偏芯に対して「敏感に変化」するようになり、環境温度変化時の第4群G23の偏芯による「像の光軸ずれ」が大きくなり、第4群G23において歪曲収差、像面湾曲、非点収差が過剰に発生し、補正困難となる。
条件式(3)の下限値をこえて第4群G23の屈折力が弱まると、バックフォーカスの確保が困難になる。
条件式(3)のパラメータ:f/|f4|は、より好ましくは、条件式(3)よりも若干狭い条件式:
(3A) 0.4 <f/|f4|< 0.60
を満足するのが良い。
条件式(4)の上限値を超えると、環境温度変化時に、第1群G10~第4群G23が同時に偏芯した場合の「レンズ偏心」による「像の光軸ずれ」が大きくなる。
条件式(4)の下限値を超えると、レンズ全長の短縮化を行ないつつ、諸収差を良好に補正することができなくなる。
条件式(4)のパラメータ:fΣ(1/fi)(i=1~4)は、上記の如く、
(4) 1.2<fΣ(1/fi)(i=1~4)<1.7
と書ける。
この発明の撮像光学系は、上記構成において、条件式(1)~(4)と共に、以下の条件式(6)を満足するが、さらに、以下の条件式(5)を満足することが好ましい。
(6) |α3-α4|<13×10-7/℃
条件式(5)、(6)におけるパラメータの記号の意味は以下の通りである。
「R1」 第1レンズL11(G10)の、物体側面の曲率半径:R1
「R2」 第1レンズL11(G10)の、像側面の曲率半径
「α3」 第3レンズL23aの材質の-30℃~70℃の温度範囲における平均線膨張係数
「α4」 第4レンズL23bの材質の-30℃~70℃の温度範囲における平均線膨張係数
この発明の撮像光学系は、前述の如く、第1群G10ないし第4レンズ群G23における「レンズ形状」やパワー配置(条件式(1)~(4))により、各種収差特性を良好に保ちつつ、レンズ偏心に起因する「像の光軸ずれ」の有効な抑制・軽減を実現するものであるが、さらに、第1群G10をなす第1レンズL11の「形状」や、第3群G22をなす第3レンズL23a、第4レンズL23bの材質を選択することにより、さらなる効果を得ることができる。
従って、条件式(5)における分母は負であり、条件式(5)のパラメータが大きく(小さく)なると、メニスカスレンズの負の屈折力が、小さく(大きく)なる。
条件式(5)を満足することにより、像の光軸ずれを有効に抑制軽減しつつ、偏心歪曲収差の増大や、第1レンズL11のレンズ径増大を有効に回避できる。
(5A) -2.5 <(R1+R2)/(R2-R1)< -1.0
を満足するのが良い。
また、パラメータ:|α3-α4|の減少は、第3群G22を構成する2枚の接合レンズの材料が制限され、色収差を良好に補正し得る屈折率とアッベ数の硝種の選択の幅が狭くなる。
(6A) 3×10-7/℃<|α3-α4|<10×10-7)/℃
を満足するのが良い。
なお、光学樹脂材料に比較して熱膨張率が小さく、環境変動による光学特性変化が小さいガラス製レンズを全レンズに採用することで、環境変動や経時変化耐性に優れた撮像光学系を構成することが可能となる。
2面以上の非球面を採用するにあたっては、第1レンズL11および第2レンズL22の「いずれか一方」が、少なくとも1面の非球面を有するとともに、第5レンズL24が少なくとも1面の非球面を有するようにすることが好ましい。
また、第1レンズL11の偏芯が、像の光軸ずれに極端に影響しないように、レンズ系全形で屈折力バランスを取ることが容易となる。
第1レンズL11に非球面を用いる場合、第1レンズL11の負の屈折力を保ちながら、歪曲収差の発生を有効に抑えることができる。
第1レンズL11での「アンダーの歪曲収差」の発生を抑えるには、軸外光束の主光線がレンズ面へ入射する角度を小さくすることが効果的である。
第1レンズL11の像側の凹面に、光軸から周辺に向かって発散力が弱まるような非球面を設定することにより、歪曲収差と共に、コマ収差、非点収差を補正しながら、第1レンズL11の屈折力が極端に強くならないようにできる。
第1レンズL11の歪曲収差の発生を抑えることで、第1レンズL11の歪曲収差をキャンセルさせるために後群G20内のレンズで発生させる歪曲収差も抑えることができ、各レンズが環境温度変化による偏芯で発生する歪曲収差(「偏芯歪曲収差」という。)も有効に抑えることができる。
なお、非球面レンズは球面レンズと比較して高価であり、撮像光学系の低コスト化を鑑みると、非球面レンズの使用は必要最低限に留めるべきことは言うまでもない。
「像の光軸ずれ」を惹起する「レンズ偏芯」は、撮像光学系を構成する複数のレンズの個々の「光軸直交方向への偏芯」により生じ、この偏芯は「撮像光学系の環境温度の変化」により生じる。
環境温度変化によるレンズの偏芯は、レンズ毎に異なるが、以下に挙げる実施例や、これと同様の構成では、環境温度範囲:-30℃~70℃において、サブミクロンオーダーから、最大でも2μmを超えない。
個々のレンズの偏芯は、撮像光学系の光軸直交方向であるが、偏芯の向きは区々であり、偏芯量が同じでも、偏心の向きにより「レンズ偏心」は異なったものとなり「像の光軸ずれ」も異なる。
像の光軸ずれは、各レンズが「光軸を含む同一平面内」で光軸ずれを強め合うように偏芯するときに最も大きくなる。
そこで、光軸を含む同一平面内における各群G11~G23の偏芯量を表す変数を、第1群G11につきh1、第2群G21につきh2、第3群につきh3、第4群につきh4とし、像の光軸の位置:Zを、関数:f(h1,h2,h3,h4)を用いて、
Z=f(h1,h2,h3,h4)
とする。
は「レンズ偏心による像の光軸ずれが無い時の像の光軸」の位置である。
この状態で、第1群G11ないし第4群G23がそれぞれ、Δh1、Δh2、Δh3、Δh4だけ偏芯したとすると、このときの像の光軸位置は、
f(Δh1、Δh2、Δh3、Δh4)
であるが、1次までの近似で、
f(0,0,0,0)
+(∂f(0,0,0,0)/∂h1)Δh1
+(∂f(0,0,0,0)/∂h2)Δh2
+(∂f(0,0,0,0)/∂h3)Δh3
+(∂f(0,0,0,0)/∂h1)Δh3
となり、像の光軸ずれは、
(∂f(0,0,0,0)/∂h1)Δh1
+(∂f(0,0,0,0)/∂h2)Δh2
+(∂f(0,0,0,0)/∂h3)Δh3
+(∂f(0,0,0,0)/∂h1)Δh3
となる。
Δh1、Δh2、Δh3、Δh4は、何れも2μmを超えない微小量であるから、2次以上の変化は無視できる。
前述の如く、各群を構成するレンズの偏芯は「2μm」を超えないから、偏芯量:Δh1、Δh2、Δh3、Δh4として、それぞれ2μmとすると、
像の光軸ずれは、
{∂f(0,0,0,0)/∂h1
+∂f(0,0,0,0)/∂h2
+∂f(0,0,0,0)/∂h3
+∂f(0,0,0,0)/∂h4}×2
となる。
以下、撮像光学系の具体的な実施例を4例挙げる。
各実施例における共通の記号の意味は、以下の通りである。
f:全系の焦点距離
Fno:Fナンバ
ω:半画角(度)
R:曲率半径
D:面間隔
Nd:屈折率
νd:アッベ数 。
X=CH2/[1+√(1-(1+K)C2H2)]
+A4・H4+A6・H6+A8・H8+A10・H10+A12・H12+A14・H14 。
実施例1のデータを図2(a)に示す。
面間隔:Dにおける最下段の「BF」は、カバーガラスCGの像側面から像面Imまでの距離を表している。また、レンズ材質のガラスにおいて(OHARA)は「株式会社オハラ製」、(SUMITA)は「株式会社住田光学ガラス製」を示し、これらにおける光学硝種名(商品名)を挙げてある。以下の他の実施例においても同様である。
また、曲率半径:R=∞は「平面」であり、面番号に「*」印を付した面は非球面である。
なお、図2(b)に記載された数値において、例えば「5.8534E-04」は「5.8534×10-4」を表す。以下の他の実施例においても同様である。
実施例1の撮像光学系の、全系の焦点距離:f、Fナンバ:Fno、画角:2wを、図3(a)に、また、条件式:(1)~(6)の各パラメータにかかる量の値を(b)に、条件式(1)~(6)の各パラメータの値を(c)に示す。
図3(d)には「像の光軸ずれ」の値を示す。
図3(d)に示す像の光軸ずれについて説明を補足する。
像の光軸ずれは、前述の如く「レンズ偏心」により生じる。この発明の撮像光学系の場合、接合レンズL23a、L23bを含む5枚のレンズで構成されるが、図3(d)の左欄において、第1群の第1レンズL11を「L1」、第2群の第2レンズL22をレンズ「L2」、第3群をなす第3レンズL23a、第4レンズL23bの接合レンズを「L34」、第4群の第5レンズを「L5」で表している。
実施例2のデータおよび非球面データを、図2に倣って図5(a)、図5(b)に示す。
実施例2の撮像光学系の、全系の焦点距離:f、Fナンバ:Fno、画角:2wを、図6(a)に、また、条件式:(1)~(6)の各パラメータにかかる量の値を(b)に、条件式(1)~(6)の各パラメータの値を(c)に示す。
図6(d)には「像の光軸ずれ」の値を、図3(d)に倣って示す。
図7に、実施例2の撮像光学系の収差図を図4に倣って示す。
実施例3のデータおよび非球面データを、図2に倣って図8(a)、図8(b)に示す。
実施例3の撮像光学系の、全系の焦点距離:f、Fナンバ:Fno、画角:2wを、図9(a)に、また、条件式:(1)~(6)の各パラメータにかかる量の値を(b)に、条件式(1)~(6)の各パラメータの値を(c)に示す。
図9(d)には「像の光軸ずれ」の値を、図3(d)に倣って示す。
図10に、実施例3の撮像光学系の収差図を図4に倣って示す。
実施例4のデータ及び非球面データを、図2に倣って図11(a)、図11(b)に示す。
実施例4の撮像光学系の、全系の焦点距離:f、Fナンバ:Fno、画角:2wを、図11(a)に、また、条件式:(1)~(6)の各パラメータにかかる量の値を(b)に、条件式(1)~(6)の各パラメータの値を(c)に示す。
図12(d)には「像の光軸ずれ」の値を、図3(d)に倣って示す。
図13に、実施例4の撮像光学系の収差図を図4に倣って示す。
第1~第4群の環境温度変化によるレンズの偏芯量は、各レンズの外径、レンズ保持方法、レンズや保持部材の線膨張係数に応じて異なり、外径の大きいレンズの場合には、10μm程度の偏芯が生じる場合がある。このように、偏心量の大きいレンズを含む場合でも、この発明のレンズ構成と、条件式(1)~(4)、さらにはこれらと、条件式(5)や(6)を満足させつつ、環境温度変化に拘らず「像の光軸ずれ」を有効に軽減させた撮像光学系を実現できる。
「撮影用のカメラ装置」であるデジタルカメラの実施形態を図14、図15を参照して説明する。
図14は、デジタルカメラの外観を示している。図14(a)は全面側図、(b)は背面側図である。
図14に示すように、デジタルカメラ100は、筐体(カメラボディ)5に、撮像光学系1、光学ファインダ2、ストロボ(電子フラッシュライト)3、シャッタボタン4、電源スイッチ6、液晶モニタ7、操作ボタン8及びメモリカードスロット9等を装備している。
図15に示すように、デジタルカメラ100は、筐体5内に、中央演算装置(CPU)11、画像処理装置12、受光素子13、信号処理装置14、半導体メモリ15及び通信カード16等を具備している。
図15においては、光学ファインダ2は「ファインダ」と、また、撮像光学系1は「撮影レンズ」とされている。また、受光素子13は上に説明した「撮像素子」である。
受光素子13の出力は、中央演算装置11によって制御される信号処理装置14によって処理され、デジタル画像情報に変換される。信号処理装置14によってデジタル化された画像情報は、やはり中央演算装置11によって制御される画像処理装置12において所定の画像処理を施された後、不揮発性メモリ等の半導体メモリ15に記録される。この場合、半導体メモリ15は、メモリカードスロット9に装填されたメモリカードや、デジタルカメラ本体にオンボードで内蔵された半導体メモリを用いることもできる。
半導体メモリ15に記録した画像を液晶モニタ7に表示させたり、通信カード16等を介して外部へ送信させたりする際には、操作ボタン8を操作する。半導体メモリ15及び通信カード16等は、メモリカードスロット9及び通信カードスロット等のような、それぞれ専用または汎用のスロットに装填して使用される。
製品検査には種々の検査や検査項目があり得るが、簡単のために多数個が製造される製品の「傷の有無」を検査する場合を例にとって説明する。
図16(a)において、符号20は「撮像部」、符号23は「検査プロセス実行部」を示し、符号24は「表示部」を示す。また、符号Wは「製品」、符号26は「製品搬送ベルト(以下においては単に「搬送ベルト26」と言う。)」を示している。
撮像部20は、検査装置におけるカメラ機能部であり、撮像光学系21と画像処理部22とを有する。
検査対象としての製品Wは、搬送ベルト26上に等間隔に置かれ、搬送ベルト26により矢印方向(図の右方)へ等速的に搬送される。
撮像光学系21は、検査対象である製品Wの像を結像するものであり、この発明の撮像光学系、具体的には上に説明した実施例1ないし4の何れかを用いることができる。
製品検査は、図16(b)に示す「準備工程」、「検査工程」、「結果表示工程」の各工程に從って行われる。これらの工程のうち、「検査工程と結果表示工程」が「検査プロセス」である。
即ち、搬送ベルト26により搬送される製品Wの大きさや形状、傷の有無を検査する部位等に応じて、撮像光学系21の撮影位置、撮影態位(結像レンズの向きや撮影対象との距離、即ち、物体距離)を定める。
そして、有無を検出すべき「傷」の位置や大きさに応じて、撮像光学系21の位置を設定する。
一方において「傷のないことが確認されているモデル製品」を搬送ベルト26上の検査位置に置いて、これを結像レンズ21により撮影する。
撮影は、画像処理部22に配置された撮像素子による撮像で行われ、撮像素子により撮像された画像は「画像情報」とされデジタルデータ化する画像処理が行われる。
「検査工程」では、製品Wが搬送ベルト26上に「モデル製品と同一態位」に置かれ、搬送ベルト26により順次搬送される。搬送される個々の製品Wが「検査位置」を通過する際に撮像光学系21による撮影が行われ、画像処理部22でデジタルデータ化されて、検査プロセス実行部23に送られる。
検査プロセス実行部23は「コンピュータやCPU」として構成され、画像処理部22を制御し、また、画像処理部22を介して撮像光学系21の撮影を制御する。
撮影された製品Wに「傷」がある場合は、画像データとモデルデータとが合致しないので、この場合には、当該製品は「不良品」と判定する。
また、製品Wに傷が無い場合は、該製品の画像データとモデルデータが合致するので、この場合は、当該製品が「良品」であると判定する。
「結果表示工程」は、検査プロセス実行部23による個々の製品の「良品、不良品」の判定結果を、表示部24に表示する工程である。
なお、装置の構成上は、検査プロセス実行部23と表示部24とが「検査プロセス実行手段」を構成する。
図17において、符号111A、111Bは撮像光学系で、同一仕様のものである。
撮像光学系111A、111Bとしては、請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載のもの、具体的には、上述の実施例1ないし4の適宜のものを用いる。
符号112A、112Bは撮像素子であり、例えばCCDセンサやCMOSセンサを用いることができる。
撮像光学系111A、111Bは、光軸AXAと光軸AXBとを互いに平行にして、所定の距離:D(基線長という。)を隔して配置されている。
撮像光学系111Aは、物体Obの像を撮像素子112Aの受光面に結像させる。
撮像光学系111Bは、物体Obの像を撮像素子112Bの受光面に結像させる。
コンピュータやCPUとして構成された制御演算部13は、撮像素子112A、112Bから入力される画像情報をデジタル情報化する。
そして、デジタル情報化された画像情報に基づき、物体Obまでの距離を演算により算出する。即ち、制御演算部113は「撮像素子112A、112Bから入力され、デジタル情報化された画像情報」に対して歪曲収差の電子的な補正を行い、このように歪曲収差を補正された画像情報に基づき、物体Obまでの距離を演算算出する。
制御演算部113では、各撮像素子112A、112Bに結像する物体Obの像位置に基づき、像位置間の距離:D+Δを求める。
撮像光学系の焦点距離:f、上記基線長:Dを用いると、上記の如く求められた「D+Δ」により、撮像面から物体Obまでの距離:Zは、次式:
Z=f{1+(D/Δ)}
により算出される。
これが、ステレオカメラ装置による距離測定である。
図18(a)において、符号114により示された撮像装置は「車載カメラ装置」として、車両AUに載置され、車両外の画像情報を取得する。
車載カメラ装置114は、図18(b)に示すように、撮像系120と制御演算部113Cとを有する。撮像系120は撮像光学系111Cと撮像素子112Cとを有する。
車両AUに搭載された車載カメラ装置114は、車両外の画像情報を取得してデジタル情報化する。デジタル情報化された画像情報は、制御演算部113Cで画像処理等のデジタル処理を受け、適宜の方法で表示される。
撮像光学系111Cとしては、請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載のもの、具体的には、実施例1ないし4の適宜のものを用いる。
なお、図18(b)における撮像系120と制御演算部13Cの部分(車載カメラ装置114)を、図17の「ステレオカメラ装置」に代えることができる。
即ち、図18に示すステレオカメラ装置は、これを車載カメラ装置として車両に搭載することができる。
例えば、カメラ装置は、動画撮影を主としたビデオカメラ、及び在来の所謂銀塩フィルムを用いるフィルムカメラ等を含む主として撮影専用のカメラ装置としても用い得る。
また、このようなカメラ装置だけでなく、携帯電話機や、PDA(personal data assistant)などと称される携帯情報端末装置、さらにはこれらの機能を含む、いわゆるスマートフォンやタブレット端末などの携帯端末装置を含む種々の情報装置に、デジタルカメラ等に相当する撮像機能が組み込まれることが多い。このような情報装置にも、この発明の撮像光学系を用いることができる。
この発明の実施の形態に記載された効果は、発明から生じる好適な効果を列挙したに過ぎず、発明による効果は「実施の形態に記載されたもの」に限定されるものではない。
L11 第1レンズ
G21 第2群
L22 第2レンズ
G22 第3群
L23a 第3レンズ
L23b 第4レンズ
G23 第4群
L24 第5レンズ
Im 像面
CG 撮像素子のカバーガラス
F1 各種フィルタ
Claims (5)
- 物体側から像側に向かって順に、第1群、第2群、開口絞り、第3群および第4群を配
してなり、
前記第1群は、像側に凹面を向けたメニスカス状の負の第1レンズより成り、
前記第2群は、正の第2レンズより成り、
前記第3群は、物体側から像側へ向かって、物体側に凹面を向けた負の第3レンズと像
側に凸面を向けた正の第4レンズとを接合した接合レンズより成り、全体として負の屈折
力を有し、
前記第4群は、正の第5レンズより成り、
4群5枚構成で、物体側から像側へ向かって負・正・負・正の屈折力配分を有し、
第i群(i=1~4)の焦点距離:fi、全系の焦点距離:fが、条件式:
(1) 0.3 <f/|f1|< 0.7
(2) 0.4 <f/|f2|< 0.7
(3) 0.4 <f/|f4|< 0.7
(4) 1.2<f/|f1|+f/|f2|+f/|f3|+f/|f4|<1.7
を満足するとともに、
前記第3群を構成する第3レンズと第4レンズの材質の-30℃~70℃の温度範囲における平均線膨張係数:αjが、条件式:
(6) |α3-α4|<10×10-7/℃
を満足し、
前記第1群ないし第4群を構成する各レンズ群がそれぞれ、光軸直交方向に2μm偏芯
したときの、全系の最大像高;Y’に対する像の光軸ずれの割合が0.5%よりも小さい
撮像光学系。 - 請求項1記載の撮像光学系であって、
前記第1レンズの、物体側面の曲率半径:R1、および、像側面の曲率半径:R2が、
条件式:
(5) -3.0<(R1+R2)/(R2-R1)<-1.0
を満足する撮像光学系。 - 請求項1または2記載の撮像光学系であって、
前記第1レンズおよび前記第2レンズのいずれか一方が少なくとも1面の非球面を有す
るとともに、前記第5レンズが少なくとも1面の非球面を有する撮像光学系。 - 請求項1ないし3の何れか1項に記載の撮像光学系を含むカメラ装置。
- 撮影用のカメラ装置、検査用カメラ装置、ステレオカメラ装置、車載カメラ装置、監視
用カメラ装置の何れかである、請求項4記載のカメラ装置。
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