JP7391689B2 - 変位測定装置、変位測定方法、緊張管理図作成方法 - Google Patents

変位測定装置、変位測定方法、緊張管理図作成方法 Download PDF

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Description

本開示は、変位測定装置、変位測定方法、緊張管理図作成方法に関するものである。
特許文献1には、PC鋼材の緊張管理方法が開示されている。具体的には、緊張ジャッキとジャッキ駆動用の油圧ポンプを用いてPC鋼材の緊張作業を開始し、作業中の緊張力(油圧ポンプの圧力)とPC鋼材の伸び量(緊張ジャッキのラムの移動量)を測定して、その結果を入出力端末機に逐次入力し、緊張データと、管理データを照合しながら緊張作業を進めることが開示されている。
特開平5-38712号公報
従来、緊張作業を行う際のPC鋼材の伸び量は、作業者がスケール等により測定していた。このため、作業者がスケール等を用いて、PC鋼材の伸び量を測定する場合、目盛の読み間違い等による誤差が生じやすいという問題があった。そこで、PC鋼材等の緊張材に導入した緊張力を正確に評価するため、緊張材に緊張力を導入した際の緊張端の変位量を精度よく測定できる変位測定装置が求められていた。
本開示は、緊張材に緊張力を導入した際の緊張端の変位量を精度よく測定できる変位測定装置を提供することを目的とする。
本開示の一観点によれば、コンクリート構造物に圧縮力を加える緊張材の変位量を測定する変位測定装置であって、
反射板と、前記反射板を前記緊張材または前記緊張材を牽引するジャッキのピストンに取付ける取付治具とを備える反射板部材と、
前記反射板部材にレーザー光を投光する投光部と、前記反射板部材からの反射光を受光する受光部とを備えるレーザー変位計と、を有する変位測定装置を提供する。
本開示によれば、緊張材に緊張力を導入した際の緊張端の変位量を精度よく測定できる変位測定装置を提供することが可能となる。
図1は、コンクリート構造物内に配置した緊張材に緊張力を導入する緊張作業の一構成例の説明図である。 図2は、固定端側の定着具の上面図である。 図3は、コンクリート構造物内に配置した緊張材に緊張力を導入する緊張作業の他の構成例の説明図である。 図4は、本開示の一態様に係る変位測定装置の説明図である。 図5は、反射板部材の一構成例の説明図である。 図6は、反射板部材の他の構成例の説明図である。 図7は、固定治具の一構成例の説明図である。 図8は、固定治具の他の構成例の説明図である。 図9は、第2変位測定装置の説明図である。 図10は、他の態様に係る第2変位測定装置を、緊張材の固定端へ設置した状態図である。 図11は、他の態様に係る第2変位測定装置の説明図である。 図12は、他の態様に係る第2変位測定装置の説明図である。 図13は、キャップの説明図である。 図14は、本開示の一態様に係る変位測定方法のフロー図である。 図15は、本開示の他の態様に係る変位測定方法のフロー図である。 図16は、本開示の他の態様に係る変位測定方法のフロー図である。 図17は、本開示の一態様に係る緊張管理図作成方法のフロー図である。 図18は、緊張管理図の説明図である。 図19は、本開示の他の態様に係る緊張管理図作成方法のフロー図である。
実施するための形態について、以下に説明する。
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。以下の説明では、同一または対応する要素には同一の符号を付し、それらについて同じ説明は繰り返さない。
(1)本開示の一態様に係る変位測定装置は、コンクリート構造物に圧縮力を加える緊張材の変位量を測定する変位測定装置であって、
反射板と、前記反射板を前記緊張材または前記緊張材を牽引するジャッキのピストンに取付ける取付治具とを備える反射板部材と、
前記反射板部材にレーザー光を投光する投光部と、前記反射板部材からの反射光を受光する受光部とを備えるレーザー変位計と、を有する。
本開示の一態様に係る変位測定装置によれば、レーザー変位計から、緊張材や、ジャッキのピストンに設置した反射板に対して、レーザー光を投光、反射させることで、緊張材の緊張端側の変位量を測定できる。このため、緊張材を牽引する際に、緊張材や、ジャッキのピストンが回転したとしても測定を妨げられることなく、精度よく、緊張材の緊張端側の変位量を測定できる。
また、レーザー変位計により緊張材の緊張端側の変位量を測定するため、作業者の読み間違い等のヒューマンエラーによる測定誤差をなくし、精度よく緊張材の緊張端側の変位を測定できる。
(2)前記取付治具はクランプを備え、
前記クランプの前記緊張材または前記ピストンと対向する面が、前記クランプを取り付ける前記緊張材または前記ピストンの外周面に対応した形状となっていてもよい。
クランプの緊張材またはピストンと対向する面を、クランプを取り付ける緊張材またはピストンの外周面に対応した形状とすることで、取付治具を、緊張材、またはピストンに再現性良く取り付けることができる。このため、取付治具を、緊張材、またはピストンに取付けた際に、反射板の反射面を、緊張材の中心軸に対して、容易に垂直にすることができ、特に精度よく緊張材の緊張端側の変位量を測定できる。
(3)前記レーザー変位計を前記ジャッキのシリンダーに固定する固定治具をさらに備えていても良い。
固定治具をさらに備えることで、レーザー変位計を容易に固定し、緊張材の緊張端側の変位量を特に精度よく測定できる。
(4)前記固定治具は、
前記シリンダーと対向する第1面側に配置された磁石と、
前記第1面と反対側の面である第2面側に配置された、前記レーザー変位計を収容するレーザー変位計収容部と、を備えていても良い。
ジャッキを緊張材に取り付ける際、ジャッキには大きな衝撃等が加わる場合がある。そして、ジャッキにレーザー変位計を取り付けたまま、ジャッキを緊張材に取付けると、レーザー変位計にも大きな衝撃が加わる恐れがある。しかし、レーザー変位計は精密機器であることから、レーザー変位計に衝撃が加わることは抑制することが好ましい。上述のように、固定治具が磁石を備えることで、レーザー変位計を、ジャッキに容易に着脱できる。このため、ジャッキを緊張材に取り付けた後に、ジャッキにレーザー変位計を取り付けることができ、レーザー変位計に衝撃が加わり、故障等が生じることを抑制できる。
(5)前記磁石は、前記シリンダーと対向する面に溝を備えていても良い。
通常、ジャッキのシリンダーは円筒形状を有する。このため、磁石が、ジャッキのシリンダーと対向する面に溝を備えていることで、磁石や、固定治具を、容易にシリンダーの中心軸に沿って配置できる。すなわち、固定治具や、固定治具により固定するレーザー変位計を再現性良くシリンダーに固定できる。従って、緊張材の緊張端側の変位量を特に精度よく測定できる。
(6)前記固定治具は、
前記シリンダーに、前記固定治具を固定するためのボルトを挿入するボルト孔と、
前記レーザー変位計を収容するレーザー変位計収容部と、を備えていてもよい。
固定治具がボルト孔と、レーザー変位計収容部とを備えることで、固定治具や、固定治具により固定するレーザー変位計を特に再現性良くシリンダーに固定できる。従って、緊張材の緊張端側の変位量を特に精度よく測定できる。
(7)前記レーザー変位計を保護する保護カバーをさらに有していてもよい。
変位測定装置が、保護カバーをさらに有することで、レーザー変位計に衝撃等が加わることを防止し、レーザー変位計が故障することを抑制できる。このため、変位測定装置の寿命を長くすることができる。
(8)前記レーザー変位計が、測定した変位量のデータを外部機器に出力するインターフェースを有していてもよい。
レーザー変位計が、測定した変位量のデータを外部機器に出力するインターフェースをさらに有することで、レーザー変位計で測定した、緊張材の緊張端の変位量を、パーソナルコンピューターや、データーロガー等の外部機器に出力することができる。このため、出力された緊張材の緊張端の変位量のデータを用いて、緊張材の伸び量の算出や、緊張管理図の作成等のデータ処理を効率よく行えるため好ましい。また、レーザー変位計の測定データを、レーザー変位計の近くまで行って見る必要がなくなるため、作業効率を向上させることができる。
(9)本開示の一態様に係る変位測定方法は、コンクリート構造物に圧縮力を加える緊張材の変位量を測定する変位測定方法であって、
第1変位測定装置を、前記緊張材の緊張端側に設置する第1設置工程と、
第2変位測定装置を、前記緊張材の固定端側を把持する定着具に設置する第2設置工程と、
前記緊張材の前記緊張端側から、前記緊張材を牽引する牽引工程と、
前記牽引工程による、前記緊張材の前記緊張端の変位量を、前記第1変位測定装置で測定する緊張端変位測定工程と、
前記牽引工程による、前記緊張材の前記固定端の変位量を、前記第2変位測定装置で測定する固定端変位測定工程と、を有し、
前記第1変位測定装置は、
反射板と、前記反射板を前記緊張材または前記緊張材を牽引するジャッキのピストンに取付ける取付治具とを備える反射板部材と、
前記反射板部材にレーザー光を投光する投光部と、前記反射板部材からの反射光を受光する受光部とを備えるレーザー変位計である第1変位計と、を有し、
前記第1設置工程では、前記反射板部材を、前記緊張材の前記緊張端側または前記緊張材を牽引するジャッキのピストンに、前記第1変位計を前記ジャッキのシリンダーにそれぞれ固定し、
前記緊張端変位測定工程では、前記第1変位計により、前記緊張端の変位量を測定し、
前記第2変位測定装置は、
支持部材と、第2変位計と、を含み、
前記支持部材は、変位計支持部と、前記支持部材を、前記定着具に設置する設置部と、を備え、前記第2変位計は、前記変位計支持部に設置されており、
前記第2設置工程では、前記設置部により、前記第2変位測定装置を、前記定着具に設置し、
前記固定端変位測定工程では、前記第2変位計により、前記固定端の変位量を測定できる。
緊張端変位測定工程において、既述の変位測定装置を用いて、緊張材の緊張端の変位を正確に測定し、緊張材の伸び量を算出している。このため、緊張材の伸び量を精度よく評価することができる。
(10)本開示の一態様に係る変位測定方法は、コンクリート構造物に圧縮力を加える緊張材の変位量を測定する変位測定方法であって、
第1変位測定装置を、前記緊張材の一方の緊張端の側である、第1緊張端側に設置する第1設置工程と、
第2変位測定装置を、前記緊張材の他方の緊張端の側である、第2緊張端側に設置する第2設置工程と、
前記緊張材の前記第1緊張端、および第2緊張端の両側から、前記緊張材を牽引する牽引工程と、
前記牽引工程による、前記緊張材の前記第1緊張端の変位量を、前記第1変位測定装置で測定する第1変位測定工程と、
前記牽引工程による、前記緊張材の前記第2緊張端の変位量を、前記第2変位測定装置で測定する第2変位測定工程と、を有し、
前記第1変位測定装置は、
第1反射板と、前記第1反射板を前記緊張材または前記緊張材を牽引する第1ジャッキの第1ピストンに取付ける第1取付治具とを備える第1反射板部材と、
前記第1反射板部材にレーザー光を投光する第1投光部と、前記第1反射板部材からの反射光を受光する第1受光部とを備える第1レーザー変位計と、を有し、
前記第2変位測定装置は、
第2反射板と、前記第2反射板を前記緊張材または前記緊張材を牽引する第2ジャッキの第2ピストンに取付ける第2取付治具とを備える第2反射板部材と、
前記第2反射板部材にレーザー光を投光する第2投光部と、前記第2反射板部材からの反射光を受光する第2受光部とを備える第2レーザー変位計と、を有し、
前記第1設置工程では、前記第1反射板部材を、前記緊張材の前記第1緊張端側、または前記緊張材を牽引する前記第1ジャッキの前記第1ピストンに、前記第1レーザー変位計を前記第1ジャッキの第1シリンダーにそれぞれ固定し、
前記第2設置工程では、前記第2反射板部材を、前記緊張材の前記第2緊張端側、または前記緊張材を牽引する前記第2ジャッキの前記第2ピストンに、前記第2レーザー変位計を前記第2ジャッキの第2シリンダーにそれぞれ固定し、
前記第1変位測定工程では前記第1レーザー変位計により、前記第1緊張端の変位量を測定し、
前記第2変位測定工程では前記第2レーザー変位計により、前記第2緊張端の変位量を測定できる。
第1変位測定工程、第2変位測定工程において、既述の変位測定装置を用いて、緊張材の第1緊張端、第2緊張端の変位量を正確に測定し、緊張材の伸び量を算出している。このため、緊張材の伸び量を精度よく評価することができる。
(11)本開示の一態様に係る緊張管理図作成方法は、コンクリート構造物に圧縮力を加える緊張材を牽引した際の、前記緊張材の伸び量と、前記緊張材に導入した緊張力とを用いて緊張管理図を作成する緊張管理図作成方法であって、
第1変位測定装置を、前記緊張材の緊張端側に設置する第1設置工程と、
第2変位測定装置を、前記緊張材の固定端側を把持する定着具に設置する第2設置工程と、
前記緊張材の前記緊張端側から、前記緊張材を牽引する牽引工程と、
前記牽引工程による、前記緊張材の前記緊張端の変位量を、前記第1変位測定装置で測定する緊張端変位測定工程と、
前記牽引工程による、前記緊張材の前記固定端の変位量を、前記第2変位測定装置で測定する固定端変位測定工程と、
前記牽引工程で、前記緊張端側から前記緊張材を牽引する際に用いたジャッキにオイルを供給するポンプの油圧を測定し、前記緊張材に導入した緊張力を算出する緊張力算出工程と、
前記緊張端変位測定工程で測定した前記緊張端の変位量、および前記固定端変位測定工程で測定した前記固定端の変位量から算出した前記緊張材の伸び量と、前記緊張力算出工程で算出した前記緊張材に導入した緊張力と、を用いて緊張管理図を作成する作図工程とを有し、
前記第1変位測定装置は、
反射板と、前記反射板を前記緊張材または前記緊張材を牽引するジャッキのピストンに取付ける取付治具とを備える反射板部材と、
前記反射板部材にレーザー光を投光する投光部と、前記反射板部材からの反射光を受光する受光部とを備えるレーザー変位計である第1変位計と、を有し、
前記第1設置工程では、前記反射板部材を、前記緊張材の前記緊張端側または前記緊張材を牽引するジャッキのピストンに、前記第1変位計を前記ジャッキのシリンダーにそれぞれ固定し、
前記緊張端変位測定工程では、前記第1変位計により、前記緊張端の変位量を測定し、
前記第2変位測定装置は、
支持部材と、第2変位計と、を含み、
前記支持部材は、変位計支持部と、前記支持部材を、前記定着具に設置する設置部と、を備え、前記第2変位計は、前記変位計支持部に設置されており、
前記第2設置工程では、前記設置部により、前記第2変位測定装置を、前記定着具に設置し、
前記固定端変位測定工程では、前記第2変位計により、前記固定端の変位量を測定できる。
本実施形態の緊張管理図の作成方法によれば、緊張端変位測定工程において、既述の変位測定装置を用いて、緊張材の緊張端の変位量を正確に測定し、緊張材の伸び量を算出している。このため、作図工程で算出する緊張材の伸び量をより正確に評価することができ、正確な緊張管理図を得ることが可能なる。その結果、プレストレスト・コンクリート構造物に加える緊張力を適切に管理することができる。
(12)本開示の一態様に係る緊張管理図作成方法は、コンクリート構造物に圧縮力を加える緊張材を牽引した際の、前記緊張材の伸び量と、前記緊張材に導入した緊張力とを用いて緊張管理図を作成する緊張管理図作成方法であって、
第1変位測定装置を、前記緊張材の一方の緊張端の側である、第1緊張端側に設置する第1設置工程と、
第2変位測定装置を、前記緊張材の他方の緊張端の側である、第2緊張端側に設置する第2設置工程と、
前記緊張材の前記第1緊張端、および第2緊張端の両側から、前記緊張材を牽引する牽引工程と、
前記牽引工程による、前記緊張材の前記第1緊張端の変位量を、前記第1変位測定装置で測定する第1変位測定工程と、
前記牽引工程による、前記緊張材の前記第2緊張端の変位量を、前記第2変位測定装置で測定する第2変位測定工程と、
前記牽引工程で、前記第1緊張端側から前記緊張材を牽引する際に用いた第1ジャッキにオイルを供給する第1ポンプの油圧、および前記第2緊張端側から前記緊張材を牽引する際に用いた第2ジャッキにオイルを供給する第2ポンプの油圧、を測定し、前記緊張材に導入した緊張力を算出する緊張力算出工程と、
前記第1変位測定工程で測定した前記第1緊張端の変位量、および前記第2変位測定工程で測定した前記第2緊張端の変位量から算出した前記緊張材の伸び量と、前記緊張力算出工程で算出した前記緊張材に導入した緊張力と、を用いて緊張管理図を作成する作図工程とを有し、
前記第1変位測定装置は、
第1反射板と、前記第1反射板を前記緊張材または前記緊張材を牽引する第1ジャッキの第1ピストンに取付ける第1取付治具とを備える第1反射板部材と、
前記第1反射板部材にレーザー光を投光する第1投光部と、前記第1反射板部材からの反射光を受光する第1受光部とを備える第1レーザー変位計と、を有し、
前記第2変位測定装置は、
第2反射板と、前記第2反射板を前記緊張材または前記緊張材を牽引する第2ジャッキの第2ピストンに取付ける第2取付治具とを備える第2反射板部材と、
前記第2反射板部材にレーザー光を投光する第2投光部と、前記第2反射板部材からの反射光を受光する第2受光部とを備える第2レーザー変位計と、を有し、
前記第1設置工程では、前記第1反射板部材を、前記緊張材の前記第1緊張端側、または前記緊張材を牽引する第1ジャッキの第1ピストンに、前記第1レーザー変位計を前記第1ジャッキの第1シリンダーにそれぞれ固定し、
前記第2設置工程では、前記第2反射板部材を、前記緊張材の前記第2緊張端側、または前記緊張材を牽引する第2ジャッキの第2ピストンに、前記第2レーザー変位計を前記第2ジャッキの第2シリンダーにそれぞれ固定し、
前記第1変位測定工程では前記第1レーザー変位計により、前記第1緊張端の変位量を測定し、
前記第2変位測定工程では前記第2レーザー変位計により、前記第2緊張端の変位量を測定できる。
第1変位測定工程、第2変位測定工程において、既述の変位測定装置を用いて、緊張材の緊張端の変位量を正確に測定し、緊張材の伸び量を算出している。このため、作図工程で算出する緊張材の伸び量をより正確に評価することができ、正確な緊張管理図を得ることが可能なる。その結果、プレストレスト・コンクリート構造物に加える緊張力を適切に管理することができる。
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の一実施形態(以下「本実施形態」と記す)に係る変位測定装置、変位測定方法、緊張管理図作成方法の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許の請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
[緊張端、緊張作業]
本実施形態の変位測定装置を説明する前に、本実施形態の変位測定装置により変位量を測定する緊張材の緊張端や、緊張作業について、図1~図3を用いて説明する。
図1、図3は、コンクリート構造物内に配置した緊張材にジャッキを用いて緊張力を導入する緊張作業の説明図であり、緊張材の中心軸を通る面での断面図を模式的に示している。図1の場合、緊張材の一方の端部は定着具によって把持された固定端となっており、他方の端部がジャッキにより牽引する緊張端となっている。図3の場合、緊張材の両端部をジャッキにより牽引しており、両端部が緊張端となっている。図2は、固定端12A側の定着具15の上面図になる。
図1に示すように、緊張材12は、コンクリート構造物11内部にシース13を介して配置できる。緊張材12は、コンクリート構造物11にプレストレス、具体的には圧縮力を加えるプレストレス導入用の緊張材であり、複数本の素線を撚り合せたPC鋼撚り線や、PC鋼棒等のPC鋼材を用いることができる。上記PC鋼撚り線等のPCは、プレストレスト・コンクリートを意味している。
図1中、緊張材12の長手方向の一方の端部である固定端12Aの側は、定着具15により把持されている。コンクリート構造物11と、定着具15との間には、支圧プレート14が配置されている。支圧プレート14は、緊張材12に導入された緊張力を支圧することができる。支圧プレート14は、中央部に緊張材12を通す孔が設けられた板状体であり、キャスティングプレートとも呼ばれる。
定着具15の構成は特に限定されないが、定着具15は、例えばメスコーン151と、オスコーン152とを有することができる。
メスコーン151の外形は特に限定されず、例えば円柱形状を有することができる。メスコーン151は、中心軸に沿って、緊張材12、およびオスコーン152を配置する貫通孔(第2貫通孔)151Aを有することができる。メスコーン151が有する上記貫通孔151Aは、図1に示すように、コンクリート構造物11側の一方の端部から、該一方の端部の反対側に位置する他方の端部に向かって径が拡がるテーパー状の面を有することができる。
オスコーン152は、図2に示すように、定着具15の中心軸に沿って見た場合に、周方向に沿って分割された、複数のオスコーン部材1521、1522、1523を有することができる。ここでは3つのオスコーン部材に分割した例を示しているが、オスコーン152は、2つ、または4つ以上のオスコーン部材を有することもできる。また、オスコーン152は分割せずに1つの部材から構成することもできる。そして、オスコーン152は、複数のオスコーン部材1521、1522、1523を組み合わせた場合に、メスコーン151のテーパー状の面を有する貫通孔151Aに対応した外形を有し、例えば円錐台形状を有することができる。オスコーン152は、その中心軸に沿って緊張材12を通すための貫通孔(第3貫通孔)152Aを有している。貫通孔152Aの内面には、緊張材12を強固に把持するために凹凸を形成することもでき、例えば雌ねじ面を形成しておくこともできる。
緊張材12を定着具15により固定する場合、図1、図2に示すように、緊張材12がメスコーン151の貫通孔151A内を貫通するようにメスコーン151を設置する。この際、コンクリート構造物11側に、貫通孔151Aのサイズが小さい方の開口部が位置するように、メスコーン151を設置する。
そして、オスコーン152の貫通孔152A内に緊張材12が位置するように、緊張材12にオスコーン152を設置する。オスコーン152は、メスコーン151の貫通孔151Aに対応した外形を有し、例えば円錐台形状を有することができる。緊張材12にオスコーン152を設置する際、メスコーン151の貫通孔151Aにあわせて、オスコーン152は、コンクリート構造物11側に、外形のサイズが小さい方の端部が位置するように配置することが好ましい。そして、オスコーン152を、メスコーン151の貫通孔151Aに挿入し、緊張材12の固定端12Aと反対側に位置する緊張端12Bを、図1中右側に牽引、すなわち引っ張り、緊張材12に緊張力を導入できる。
上述のように緊張材12の長手方向の一方の端部に、メスコーン151、およびオスコーン152を配置後、緊張材12の他方の端部である緊張端12Bを牽引し、緊張力を導入することで、オスコーン152が、メスコーン151のテーパー状の面を有する貫通孔151A内に圧入される。そして、オスコーン152に含まれるオスコーン部材1521、1522、1523間の距離が縮まり、オスコーン152が緊張材12を締め付け、固定できる。
緊張材12の長手方向の他方の端部である緊張端12Bは、緊張材12に緊張力を導入する緊張作業の際、ジャッキ16により牽引される。ジャッキ16は、ポンプ17と油圧ホース171を介して接続されている。ポンプ17から油圧ホース171を介して、ジャッキ16にオイルを供給することで、ジャッキ16を作動させ、緊張材12を引っ張ることができる。図1では模式的に示しているため、ジャッキ16と、ポンプ17との間の油圧ホースを1本の線で示しているが、ジャッキ16と、ポンプ17との間には必要に応じて複数の油圧ホースを設けることができる。
ここまで説明したように、緊張材12の長手方向の端部のうち、緊張材12に緊張力を導入して緊張作業を実施する際に、ジャッキ等により牽引せず、定着具15により把持されている側の端部を、固定端12Aと呼ぶ。緊張材12の長手方向の端部のうち、緊張材12に緊張力を導入して緊張作業を実施する際、ジャッキ等により牽引する側の端部を、緊張端12Bと呼ぶ。
緊張材に緊張力を導入する際の形態は、上記形態に限定されず、例えば緊張材の長手方向の両端部を、ジャッキにより牽引することもできる。
具体的には、図3に示すように、緊張材12の長手方向の一方の端部である第1緊張端32Aを、第1ジャッキ36Aにより牽引し、緊張材12の長手方向の他方の端部である第2緊張端32Bを第2ジャッキ36Bに牽引することもできる。
第1ジャッキ36A、第2ジャッキ36Bは、それぞれ第1ポンプ37A、第2ポンプ37Bと第1油圧ホース371A、第2油圧ホース371Bを介して接続されている。第1ポンプ37A、第2ポンプ37Bから第1油圧ホース371A、第2油圧ホース371Bを介して、第1ジャッキ36A、第2ジャッキ36Bにオイルを供給することで、第1ジャッキ36A、第2ジャッキ36Bを作動させ、緊張材12を引っ張ることができる。
ここではポストテンション方式における緊張作業の場合を例に説明したが、プレテンション方式の緊張作業においても、緊張材の長手方向の両端部は同様に呼称する。具体的には、緊張材の長手方向の一方の端部を定着具により固定し、他方の端部をジャッキにより牽引する場合、緊張材の長手方向の一方の端部を固定端、他方の端部を緊張端と呼ぶ。また、緊張材の長手方向の両端部をジャッキにより牽引する場合、緊張材の長手方向の両端部を緊張端と呼ぶ。
コンクリート構造物内に配置した緊張材をジャッキ等により牽引し、所定の緊張力を導入する緊張作業は、プレストレスト・コンクリートの性能を発揮させるうえで重要な作業の1つである。緊張作業は、緊張材に加えた緊張力と、緊張材の伸び量を段階的に測定し、その測定データを緊張管理図等に書き込んで、予め設定された管理範囲と対照しながら実施するのが一般的である。緊張作業を適切に行うため、緊張材を牽引した際の、緊張材の伸び量を正確に評価することが求められる。
しかし、既述の様に従来は、緊張作業を行う際の緊張材の伸び量は、作業者がスケール等により測定していた。このため、作業者がスケール等を用いて、緊張材の伸び量を測定する場合、目盛の読み間違い等による誤差が生じやすいという問題があった。
そこで、本発明の発明者らは、緊張材の緊張端側の変位量を精度よく測定できる変位測定装置について検討を行い、本発明を完成させた。
[変位測定装置]
図4~図8を用いて、本実施形態の変位測定装置について説明する。
図4は、本実施形態の変位測定装置を、緊張材の緊張端側に設置した場合の状態図になる。図5、図6は、反射板部材の構成例の説明図になる。図7、図8は固定治具の構成例の説明図になる。
本実施形態の変位測定装置は、コンクリート構造物に圧縮力を加える緊張材の変位量を測定する変位測定装置に関する。
そして、本実施形態の変位測定装置は、反射板部材と、レーザー変位計とを有することができる。
反射板部材は、反射板と、反射板を緊張材または緊張材を牽引するジャッキのピストンに固定する取付治具とを備えることができる。レーザー変位計は、反射板部材にレーザー光を投光する投光部と、反射板部材からの反射光を受光する受光部とを備えることができる。
本発明の発明者らは、緊張材の緊張端側の変位量を精度よく測定するため、変位測定装置について、各種変位計の適用を検討した。
緊張材をジャッキにより牽引し、緊張材に緊張力を導入すると、緊張材や、緊張材を牽引するジャッキのピストンが、回転する場合がある。ここでいう回転とは、緊張材の長手方向と垂直な断面における緊張材の外接円の周方向の回転を意味する。上記回転は、例えば緊張材としてPC鋼線を撚り合せたPC鋼撚り線を用いる場合、該PC鋼撚り線を構成するPC鋼線が撚りを解いて互いに平行になろうとする力が、該PC鋼撚り線に加わり、生じていると考えられる。
この様に、緊張材に緊張力を導入する際、緊張材や、ジャッキのピストン等、変位する一方の端部側が回転するため、例えばノギスや、ワイヤー式変位計を用いた場合、緊張材の変位量を精度よく測定することは困難であった。
そこで、本発明の発明者らは、さらなる検討を行ったところ、反射板部材と、レーザー変位計とを備えた変位測定装置とすることで、緊張材の緊張端側の変位量を精度よく測定できることを見出し、本発明を完成させた。
各部材について以下に説明する。
(反射板部材)
反射板部材は、反射板と、反射板を緊張材または緊張材を牽引するジャッキのピストンを取り付ける取付治具とを備えることができる。
本実施形態の変位測定装置42は、図4に示すように、ジャッキ41により、緊張材12を牽引する場合に、緊張材12の緊張端12B側に設置できる。そして、反射板部材43は、緊張材12の緊張端12B側、または緊張材12を牽引するジャッキ41のピストン411に設置できる。
反射板部材43は、例えば図4に示したように、反射板431と、取付治具432とを備えることができる。反射板部材の具体的な構成例を図5、図6に示す。以下、図5、図6も用いながら説明する。
反射板部材43が備える反射板431は、後述するレーザー変位計から投光されたレーザー光を反射するように構成でき、レーザー変位計が照射するレーザー光の種類等に応じて、その材料を選択でき、各種金属板や、鏡等を用いることができる。
反射板の形状やサイズは特に限定されない。ただし、既述の様に、緊張材をジャッキにより牽引し、緊張材に緊張力を導入すると、緊張材や、緊張材を牽引するジャッキのピストンが、回転する場合がある。具体的には、緊張材12や、ピストン411が、図4の一点鎖線Aを回転軸として、回転する場合がある。なお、一点鎖線Aは、緊張材12の中心軸に当たる。このため、緊張材12や、ピストン411が回転した場合でも、レーザー変位計からのレーザー光が反射板431の反射面に投光(照射)されるように、反射板431のサイズや、形状を選択することが好ましい。
例えば図5、図6に示した反射板部材53、63で示したように、反射板531、631の形状をT字型形状とすることができる。また、反射板は、三角形、台形等の多角形形状や、扇形形状とすることもできる。
反射板は、上述のように、緊張材12等が回転した場合でも、レーザー変位計からのレーザー光が反射板の反射面に投光されるようにそのサイズを選択することが好ましい。例えば図5に示した反射板531の場合、その最大幅Wを、緊張材12を牽引した際の、回転量等に応じて選択することが好ましい。
取付治具は、反射板を、緊張材や、ジャッキのピストンに固定するための部材であり、クリップや、クランプ等、反射板を緊張材に固定できるように構成されていればよく、その具体的な構成は特に限定されない。
ただし、既述の様に、緊張材12に緊張力を導入する際、緊張材12や、ピストン411は、図4中の一点鎖線Aを回転軸として回転する場合がある。このため、反射板が、図4中に点線で示した反射板4311のように、反射板4311の反射面と回転軸である一点鎖線Aとの間の角度が90度から大幅にずれると、緊張材12の伸び量を正確に測定できない恐れがある。そこで、取付治具432は、反射板431の反射面431Aと、一点鎖線Aで示した緊張材の中心軸との間の角度θ431が90度、もしくは90度に近くなるように、緊張材12またはピストン411に反射板部材43を固定できるように構成されていることが好ましい。
具体的には例えば図5に示したように、取付治具532はクランプ5321を備え、クランプ5321の緊張材またはピストンと対向する面5321Aを、クランプを取り付ける緊張材またはピストンの外周面に対応した形状とすることが好ましい。
クランプ5321の緊張材またはピストンと対向する面5321Aを、クランプを取り付ける緊張材またはピストンの外周面に対応した形状とすることで、取付治具を、緊張材、またはピストンに再現性良く取り付けることができる。このため、取付治具を、緊張材、またはピストンに取付けた際に、反射板431の反射面431Aを、緊張材の中心軸に対して、容易に垂直にすることができ、精度よく緊張材の緊張端側の変位量を測定できる。なお、ここでいう垂直とは、厳密な意味での垂直を意味するものではない。例えば、緊張材の変位量を測定する際に、誤差として許容される範囲であれば、反射板431の反射面431Aと、緊張材の中心軸との間の角度θ431が90度からずれていてもよい。
緊張材としては例えば既述のようにPC鋼撚り線を用いることができる。PC鋼撚り線は複数本のPC鋼線が撚り合わされており、その長手方向と垂直な断面において、係る複数本のPC鋼線に外接する円を描くことができる。このため、緊張材としてPC鋼撚り線を用いる場合、例えば取付治具532が有するクランプ5321の、緊張材と対向する面5321Aを、例えばPC鋼撚り線の長手方向と垂直な断面における、複数本のPC鋼線に外接する円の半径と同じ曲率半径Rを有する曲面とすることもできる。
また、PC鋼撚り線は、その外周面に撚り溝を有することから、取付治具532が有するクランプ5321の緊張材と対向する面に、係る撚り溝に対応した凸部を設けることもできる。
ピストンの外周面のうち、取付治具を設置する箇所は、通常円筒形状を有している。このため、例えば取付治具532が有するクランプ5321の、ピストンと対向する面5321Aを、例えばピストンの上記円筒形状の部分の中心軸と垂直な断面における円の半径と同じ曲率半径Rを有する曲面とすることができる。
すなわち、例えばクランプ5321の、緊張材またはピストンと対向する面5321Aを、緊張材の長手方向と垂直な断面における複数本のPC鋼線に外接する円の半径、またはピストンの円筒形状の部分の中心軸と垂直な断面における円の半径、と同じ曲率半径Rを有する曲面とすることができる。
取付治具532がクランプ5321を備える場合、クランプ5321は、緊張材またはピストンにクランプ5321を固定するための締め付けねじ5322等をさらに有することもできる。
なお、クランプの、緊張材、またはピストンと対向する面には、必要に応じて、スポンジや、ゴム板等の弾性部材を配置しておくこともできる。クランプの、緊張材またはピストンと対向する面に弾性部材を配置することで、クランプと、緊張材またはピストンとの密着性を高めることができ、緊張材の変位量を測定している間等に反射板部材の位置がずれることを抑制できる。
取付治具は、図5に示した構成例に限定されるものではなく、例えば図6に示した取付治具632のように、円筒形の筒部6321と、固定ねじ6322とを有することもできる。係る円筒形の筒部6321内に緊張材またはピストンを挿入し、固定ねじ6322を締めつけることで、筒部6321を、緊張材またはピストンに固定することもできる。
取付治具と、反射板とは、溶接や、ねじ等により固定していても良い。また、反射板部材を、緊張材や、ピストンに固定した後、反射板の角度を調整できるように、取付治具と、反射板との間に蝶番等を配置しておくこともできる。
(レーザー変位計)
図4に示すように、レーザー変位計44は、反射板部材43にレーザー光を投光する投光部441と、反射板部材43からの反射光を受光する受光部442とを備えることができる。
レーザー変位計44は、例えばジャッキ41のシリンダー412等に固定しておくことができ、反射板431との間の距離を測定することで、緊張材12の伸び量を算出できる。
レーザー変位計44の測定方式は特に限定されず、例えば反射光を基に三角測量の原理で測定する三角測距方式や、投光したレーザー光とその反射光の位相差で測定するタイム オブ フライト方式等を用いることができる。
レーザー変位計44が有する投光部441と、受光部442との数は特に限定されない。例えば投光部441と、受光部442とを複数備えておき、反射板431の反射面431Aの、緊張材の中心軸である一点鎖線Aに対する傾きを検出し、修正できるように構成することもできる。
本実施形態の変位測定装置に用いるレーザー変位計44は、測定した変位量を表示する表示部443を有することが好ましい。
このように表示部443を有することで、測定値を容易に把握し、緊張管理図等の作成に用いることができるからである。
表示部443としては、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等を用いることができる。
また、レーザー変位計44は、測定した変位量のデータを外部機器に出力するインターフェース444をさらに有することが好ましい。
レーザー変位計44が、測定した変位量のデータを外部機器に出力するインターフェース444をさらに有することで、レーザー変位計44で測定した、緊張材の緊張端の変位量を、パーソナルコンピューターや、データーロガー等の外部機器に出力することができる。このため、出力された緊張材の緊張端の変位量のデータを用いて、緊張材の伸び量の算出や、緊張管理図の作成等のデータ処理を効率よく行えるため好ましい。また、レーザー変位計44の測定データを、レーザー変位計44の近くまで行って見る必要がなくなるため、作業効率を向上させることができる。
レーザー変位計44が有する測定した変位量のデータを外部機器に出力するインターフェースの種類は特に限定されず、無線LAN(Local Area Network)装置等の無線用のインターフェース、USB(Universal Serial Bus)等の有線用のインターフェースのいずれであっても良い。しかしながら、配線等を設置する必要がないため、無線用のインターフェースであることが好ましい。
レーザー変位計44が電源を要する場合、電力の供給方法は特に限定されない。このため、電源ケーブルにより電源を供給するタイプの変位計であっても良く、一次電池や、二次電池により電源を供給するタイプの変位計であっても良い。ただし、電源ケーブルにより電源を供給する必要がある場合、取扱い性が低下する恐れもあることから、一次電池や、二次電池等の蓄電デバイスにより電力を供給するタイプの変位計であることが好ましい。
(固定治具)
レーザー変位計は、上述のように、ジャッキ41のシリンダー412等、緊張材12に緊張力を導入した際に、緊張材12と共に変位しない部材に固定しておくことが好ましい。このため、本実施形態の変位測定装置は、例えばレーザー変位計を、ジャッキのシリンダーに固定する固定治具をさらに備えることもできる。
本実施形態の変位測定装置が、固定治具をさらに備えることで、レーザー変位計を容易に固定し、緊張材の緊張端側の変位量を特に精度よく測定できる。
固定治具の構成は特に限定されないが、ジャッキのシリンダーに容易に着脱できるように、磁石を備えていることが好ましい。
このため、例えば図7に示すように、固定治具70は、ジャッキのシリンダーと対向する第1面70A側に配置された磁石71と、第1面70Aと反対側の面である第2面70B側に配置された、レーザー変位計を収容するレーザー変位計収容部72とを備えることができる。
ジャッキを緊張材に取り付ける際、ジャッキには大きな衝撃等が加わる場合がある。そして、ジャッキにレーザー変位計を取り付けたまま、ジャッキを緊張材に取付けると、レーザー変位計にも大きな衝撃が加わる恐れがある。しかし、レーザー変位計は精密機器であることから、レーザー変位計に衝撃が加わることは抑制することが好ましい。上述のように、固定治具が磁石を備えることで、レーザー変位計を、ジャッキに容易に着脱できる。このため、ジャッキを緊張材に取り付けた後に、ジャッキにレーザー変位計を取り付けることができ、レーザー変位計に衝撃が加わり、故障等が生じることを抑制できる。
図7に示すように、磁石71は、ジャッキのシリンダーと対向する面に溝を備えていることが好ましく、特にV字型の溝711を備えていることがより好ましい。通常、ジャッキのシリンダーの側面は円筒形状を有する。このため、磁石71が、ジャッキのシリンダーの側面と対向する面に溝、具体的には例えばV字型の溝711を備えていることで、磁石71や、固定治具70を、容易にシリンダーの中心軸に沿って配置できる。すなわち、固定治具70や、固定治具70により固定するレーザー変位計を再現性良くシリンダーに固定できる。従って、緊張材の緊張端側の変位量を特に精度よく測定できる。
なお、V字型の溝は、断面形状が完全にV字の形状である必要はなく、例えばシリンダーの形状にあわせてU字型に近い溝とすることもできる。
レーザー変位計収容部72の構成は特に限定されず、用いるレーザー変位計の外形にあわせた凹部を有することができる。また、レーザー変形が有する投光部や、受光部を阻害しないように、例えば側壁に切欠き721を設けておくこともできる。
図7において、レーザー変位計収容部72の上面は開口部となっているが、係る形態に限定されず、例えばレーザー変位計を、レーザー変位計収容部72に収容後、レーザー変位計を固定し、保護するための蓋を設けておくこともできる。
固定治具の他の構成例を図8に示す。
図8に示すように、固定治具80は、ジャッキのシリンダーに、固定治具を固定するためのボルトを挿入するボルト孔81と、レーザー変位計を収容するレーザー変位計収容部82と、を備えることができる。
固定治具80が、ジャッキのシリンダーに固定治具80を固定するためのボルトを挿入するボルト孔81を備えることで、シリンダーに設けておいたボルト孔を用いて、シリンダーに固定治具80をボルトで固定できる。このため、固定治具80や、固定治具80により固定するレーザー変位計を特に再現性良くシリンダーに固定できる。従って、緊張材の緊張端側の変位量を特に精度よく測定できる。
ボルト孔81の数は、シリンダーに設けたボルト孔の数等に応じて選択でき、特に限定されないが、固定治具を、シリンダーに特に再現性良く固定するため、ボルト孔81は2個以上であることが好ましい。
ボルト孔81を設ける位置は特に限定さないが、固定治具80にレーザー変位計を設置した状態で、ボルト孔81にボルトを着脱できるように、レーザー変位計収容部82の外側に設けておくことが好ましい。
レーザー変位計収容部82の構成は特に限定されず、用いるレーザー変位計の外形にあわせた凹部を有することができる。また、レーザー変形が有する投光部や、受光部を阻害しないように、例えば側壁に切欠き821を設けておくこともできる。
図8において、レーザー変位計収容部82の上面は開口部となっているが、係る形態に限定されず、例えばレーザー変位計を、レーザー変位計収容部82に収容後、レーザー変位計を固定し、保護するための蓋を設けておくこともできる。
(保護カバー)
本実施形態の変位測定装置は、レーザー変位計を保護する保護カバーをさらに有することが好ましい。本実施形態の変位測定装置は、緊張材に緊張力を導入した際の緊張材の変位量を測定するものであり、通常、橋梁等の建築物の工事現場で使用される。このため、本実施形態の変位測定装置を使用する場面ではレーザー変位計に衝撃等が加わる場合も想定される。そこで、例えば図4に示したように、本実施形態の変位測定装置は、レーザー変位計の少なくとも一部を覆い、保護する保護カバー45をさらに有することが好ましい。
保護カバーの形状は、レーザー変位計の形状や、レーザー変位計の保護すべき場所等に応じて任意に選択でき、特に限定されない。例えばレーザー変位計を、保護カバーにより、ジャッキのシリンダーに固定するように構成することもできる。
保護カバーの材質は特に限定されず、例えば各種金属や、各種樹脂を用いることができる。
本実施形態の変位測定装置が、保護カバーをさらに有することで、レーザー変位計に衝撃等が加わることを防止し、レーザー変位計が故障することを抑制できる。このため、変位測定装置の寿命を長くすることができる。
以上に説明した本実施形態の変位測定装置によれば、レーザー変位計から、緊張材や、ジャッキのピストンに設置した反射板に対して、レーザー光を投光、反射させることで、緊張材の緊張端側の変位量を測定できる。このため、緊張材を牽引する際に、緊張材や、ジャッキのピストンが回転したとしても測定を妨げられることなく、精度よく、緊張材の緊張端側の変位量を測定できる。
また、レーザー変位計により緊張材の緊張端側の変位量を測定するため、作業者の読み間違い等のヒューマンエラーによる測定誤差をなくし、精度よく緊張材の緊張端側の変位を測定できる。
[変位測定方法]
1.第1の実施形態
次に、本実施形態の変位測定方法の一構成例について説明する。
本実施形態の変位測定方法は、既述の変位測定装置を用いて実施することができる。このため、既に説明した事項については説明を一部省略する。
本実施形態の変位測定方法は、コンクリート構造物に圧縮力を加える緊張材の変位を測定する変位測定方法に関する。本実施形態の変位測定方法は、図14に示したフローチャートに従って実施することができ、以下の工程を有することができる。
第1変位測定装置を、緊張材の緊張端側に設置する第1設置工程。
第2変位測定装置を、緊張材の固定端側を把持する定着具に設置する第2設置工程。
緊張材の緊張端側から、緊張材を牽引する牽引工程。
牽引工程による、緊張材の緊張端の変位量を、第1変位測定装置で測定する緊張端変位測定工程。
牽引工程による、緊張材の固定端の変位量を、第2変位測定装置で測定する固定端変位測定工程。
本実施形態の変位測定方法では、第1変位測定装置として、既述の変位測定装置を用いることができる。
このため、第1変位測定装置は、反射板部材と、変位計とを有することができる。なお、後述する第2変位計と区別するため、第1変位測定装置の変位計を第1変位計とする。
反射板部材は、反射板と、反射板を緊張材または緊張材を牽引するジャッキのピストンに取付ける取付治具とを備えることができる。第1変位計は、反射板部材にレーザー光を投光する投光部と、反射板部材からの反射光を受光する受光部とを備えるレーザー変位計とすることができる。
そして、第1設置工程では、反射板部材を、緊張材の緊張端側または緊張材を牽引するジャッキのピストンに、第1変位計をジャッキにそれぞれ固定できる。緊張端変位測定工程では、第1変位計により、緊張端の変位量を測定できる。
また、第2変位測定装置は、支持部材と、第2変位計と、を含むことができる。
支持部材は、変位計支持部と、支持部材を定着具に設置する設置部と、を備え、第2変位計は、変位計支持部に設置できる。
第2設置工程では、設置部により、第2変位測定装置を、定着具に設置できる。固定端変位測定工程では、第2変位計により、固定端の変位量を測定できる。
本実施形態の変位測定方法を測定する前に、「(1)第2変位測定装置」として、本実施形態の変位測定方法で好適に用いることができる第2変位測定装置の構成例について図9~図13を用いて説明する。その後、「(2)変位測定方法」として、本実施形態の変位測定方法について詳述する。
(1)第2変位測定装置
図9は、第2変位測定装置90の斜視図であり、図10は、図9に示した第2変位測定装置90を、緊張材の固定端へ設置した状態図である。図10は、緊張材の中心軸を通る面での断面図を示している。図10中、第2変位測定装置90を設置する、緊張材12等の部材については図1を用いて既に説明したため、同じ番号を付して説明を省略する。図11、図12は、第2変位測定装置の他の構成例の斜視図となる。図13はキャップの説明図となる。
第2変位測定装置は、コンクリート構造物に圧縮力を加える緊張材の固定端の変位量を測定する変位測定装置に関する。
そして、図9に示すように、第2変位測定装置90は、支持部材91と、第2変位計92と、を含むことができる。
支持部材91は、変位計支持部911と、支持部材91を、緊張材12の固定端12A側を把持する定着具15に設置する設置部912とを備えることができる。第2変位計92は、変位計支持部911に設置され、緊張材の固定端の変位量を測定できる。
各部材について以下に説明する。
(支持部材)
支持部材91は、第2変位測定装置90の一方の端部である第1端部91A側に配置された変位計支持部911と、第1端部91Aと反対側の端部である第2端部91B側に配置された設置部912とを備えることができる。
設置部912は、支持部材91や支持部材91を含む第2変位測定装置90を、緊張材12の固定端12A側を把持する定着具15に設置する部材である。
そして、第2変位測定装置90は、変位計支持部911および設置部912を備えた支持部材91と、変位計支持部911に設置された第2変位計92とを含んでいる。
このため、第2変位測定装置90によれば、図10に示すように、設置部912によって、緊張材12の固定端12A側を把持する定着具15に、支持部材91や、支持部材91を含む第2変位測定装置90を容易に設置し、これにより、第2変位計92を緊張材12の固定端12Aに設置できる。そして、第2変位測定装置90の設置から、緊張材12の固定端12Aの変位量の測定に至るまで、緊張力が導入されている緊張材の固定端に直接触れることなく実施できる。
また、第2変位測定装置90は、主に支持部材91と、第2変位計92とを含有する程度であり、コンパクトな装置とすることができる。このため、第2変位測定装置90は、設置するためのスペースの制約をほとんど受けず、緊張材12の固定端12Aの周辺の空間の広さによらず用いることができる。
また、上述のように第2変位計92が支持部材91の変位計支持部911に設置されているため、第2変位測定装置90によれば、第2変位計92により、例えば人手によって測定する場合よりも精度よく、緊張材12に緊張力を導入した際の、緊張材12の固定端12Aの変位量を測定できる。
支持部材91が有する各部材について説明する。ここではまず設置部912について説明する。
設置部912の構成は特に限定されず、支持部材91を、緊張材の固定端側を把持する定着具に設置できるように構成されていれば良い。
設置部912は、例えば貫通孔9121を備えることができる。貫通孔9121は、変位計支持部911側に配置された第1開口部9121Aと、第1開口部9121Aとは反対側、すなわち第2端部91B側に配置された第2開口部9121Bとを備えている。第2開口部9121Bには、緊張材12の固定端12Aを挿入できる。
設置部912は上述のように貫通孔9121を備えるため、筒状形状、すなわち管状形状となっている。
第2変位測定装置90の設置部912が上述のように貫通孔9121を有することで、設置部912が有する貫通孔9121の第2開口部9121Bから、緊張材12の固定端12Aを挿入するだけで容易に、定着具15に、支持部材91や、支持部材91を含む第2変位測定装置90を設置できる。また、これにより第2変位計92を、緊張材12の固定端12Aに設置できる。そして、第2変位測定装置90の設置から、緊張材12の固定端12Aの変位量の測定に至るまで、緊張力が導入されている緊張材の固定端に直接触れることなく実施できる。
第2変位測定装置90においては、貫通孔9121の第2開口部9121Bから、緊張材12の固定端12Aを挿入した際に、第2変位測定装置90の支持部材91が定着具15により支持されることが好ましい。
そこで、貫通孔9121の第2開口部9121Bから、緊張材12の固定端12Aを挿入する際、図9に示すように、貫通孔9121内に、定着具15の少なくとも一部が挿入できることが好ましい。特に、設置部912が支圧プレート14と接するように、貫通孔9121内に、定着具15全体が挿入されることがより好ましい。
このため、第2開口部9121Bや、貫通孔9121は、定着具15の少なくとも一部を挿入できるように、定着具15の外形に対応した形状を有することが好ましい。通常、定着具15は、外形が円柱形状であることから、設置部912の貫通孔9121もこれに対応した円柱形状であることが好ましく、第1開口部9121Aや、第2開口部9121Bは円形状を有することが好ましい。
貫通孔9121、および定着具15が円柱形状を有する場合、貫通孔9121の中心軸と垂直な面での直径D9121は、定着具15の中心軸と垂直な面での最大径D15以上であることが好ましい(図2、図10を参照)。第1開口部9121Aや、第2開口部9121Bの直径についても、同様に定着具15の中心軸と垂直な面での最大径D15以上であることが好ましい。
定着具15は、既述の様にメスコーン151と、オスコーン152とを有することができ、オスコーン152は、メスコーン151の貫通孔151A内に挿入される。このため、定着具15の最大径D15とは、外形が円柱形状となるメスコーン151の中心軸と垂直な面での最大径ということもできる。
上述のように設置部912の貫通孔9121内に、定着具15の少なくとも一部が挿入されるように構成することで、定着具15により設置部912を介して支持部材91を支持できる。このため、第2変位測定装置90により、固定端12Aの変位量を測定する際の精度を高めることができる。
特に支持部材91は、定着具15に固定できるように構成されていることが好ましい。このため、例えば図10に示すように、設置部912は、支持部材91を、定着具15に固定する固定機構93をさらに有することが好ましい。
設置部912が、支持部材91を、定着具15に固定する固定機構93をさらに有することで、第2変位測定装置90を設置する際に、支持部材91や、支持部材91に設置した第2変位計92を、定着具15に強く固定できる。このため、緊張材12の固定端12Aの変位量を測定する際に、第2変位測定装置90の位置がずれることを防止し、測定精度を特に高められる。
固定機構93の構成は特に限定されないが、例えば図10に示すように、固定機構93は、設置部912の側面に設けたねじ孔931と、ねじ932とを有することができる。固定機構93を、設置部912の側面に設けたねじ孔931から、ねじ932をねじ込めるように構成することで、定着具15の側面にねじ932を押し当て、設置部912を含む支持部材91を固定できる。
固定機構としては、磁石や、粘着テープ等を用いることもできる。定着具15は通常鉄等の金属で形成されていることから、設置部912の側面等に固定機構である磁石を配置することで、設置部912を含む支持部材91を、定着具15に磁力により固定できる。また、設置部912の内周面に固定機構である粘着テープを配置することで、定着具15の外側面に、該粘着テープにより、設置部912を含む支持部材91を固定できる。
定着具15の外側面にねじが切ってある場合、貫通孔9121の内側面に固定機構として、定着具15のねじに対応するねじを切っておくこともできる。この場合、設置部912を、定着具15にねじ込むことで、設置部912を介して支持部材91を固定できる。
固定機構としては1つの手段に限定されず、例えば上述の磁石と、粘着テープとの様に複数の手段を組み合わせた構成とすることもできる。
図1、図2を用いて説明したように、緊張材12の固定端12A側では、メスコーン151のテーパー状の面を有する貫通孔内に挿入した、オスコーン部材1521、1522、1523により緊張材12を締め付け、固定している。オスコーン部材1521、1522、1523は、緊張材12の緊張端12B側を牽引することで、メスコーン151の貫通孔内に深く差し込まれ、緊張材12を強く締め付けることができる。そして、緊張材12の緊張端12B側を牽引する際に、複数のオスコーン部材1521、1522、1523の高さ方向の位置がほぼ同じになるようにメスコーン151の貫通孔内に挿入され、緊張材12が均等に締め付けられているかを確認することが好ましい。
しかし、第2変位測定装置90の場合、図9に示すように、設置部912は、定着具15の少なくとも一部を覆っており、貫通孔9121内の定着具15の状態を視認することが困難である。このため、設置部912の側面部の少なくとも一部は、第1開口部9121Aと、第2開口部9121Bとを接続する貫通孔9121を、外部から視認可能に構成されていることが好ましい。
具体的には例えば、図9に示すように、設置部912は、外側面の少なくとも一部に第3開口部94、すなわち覗き窓を有することが好ましい。第3開口部94は、貫通孔9121に接続するように設けることができる、すなわち第3開口部94は、設置部912の外部の空間と、貫通孔9121とがつながるように、設置部912の壁部を貫通する貫通孔として設けることができる。第3開口部94には、可視光を透過する材料、例えば透明樹脂や、ガラスによる窓材をはめておくこともできる。
また、設置部912の一部、または全部を、可視光を透過することができる材料、例えば透明樹脂等で形成し、外部から、貫通孔9121を見えるように構成することもできる。
緊張作業の間、オスコーン部材1521、1522、1523が均等に差し込まれていない場合、緊張材12に偏荷重がかかる恐れがある。しかし、上述のように、設置部912の側面部の少なくとも一部について、貫通孔9121内の定着具15の様子を外部から視認可能に構成することで、緊張作業中の緊張材12の固定端12A側の定着具15周辺を視認できる。このため、緊張材12の緊張端12B側を牽引し、緊張材に緊張力を導入した際に、固定端12A側のメスコーン151の貫通孔に、オスコーン部材1521、1522、1523が均等に差し込まれていることを確認しながら、緊張作業を実施できる。
設置部912の少なくとも一部を、貫通孔9121が外部から視認可能に構成した場合、例えば貫通孔9121内部を、設置部912の側面から撮影する撮像装置を設けることもできる。撮像装置としては、例えばCMOS(complementary metal oxide semiconductor)センサや、CCD(Charge Coupled Device)センサ等の半導体撮像素子を備えるカメラモジュールを用いることができる。撮像装置を設置することで、第2変位測定装置90から離れた場所において、緊張材12の緊張端12B側を牽引した際の、固定端12A側の定着具15の変化を観察できるため、好ましい。
第2変位測定装置90が有する支持部材91は、既述の様に、第1端部91A側に、第2変位計92を設置する変位計支持部911を有することができる。
変位計支持部911は第2変位計92を設置できるように構成されていればよく、例えば図9に示すように、板状の部材とすることができる。
また、後述する図11に示した第2変位測定装置110の様に、円筒形の変位計支持部1111とすることもできる。変位計支持部1111のように、第2変位計92を覆う面積を多くすることで、第2変位計92を保護し、故障を抑制できる。
変位計支持部911は、設置部912と接合されていても良く、変位計支持部911が、設置部912にねじ等により固定され、両部材を分離できるように構成されていても良い。また、変位計支持部911と、設置部912とは、明確に分かれた別の部材である必要はなく、一体となった1つの部材であっても良い。
変位計支持部911に第2変位計92を設置する際、第2変位計92は、緊張材の固定端の変位量を測定できるように設置することができる。緊張材12の固定端12Aは、支持部材91の変位計支持部911と、設置部912との配列方向、すなわち第1端部91Aと、第2端部91Bとの配列方向に沿って変位する。このため、第2変位計92は、設置部912と、変位計支持部911との配列方向に沿った変位量を測定できるように、その測定部を配置することが好ましい。
なお、測定部と、該測定部を制御する制御部とが分離できる変位計の場合、変位計支持部911には、測定部のみを設置しても良い。ここでいう測定部とは、変位計における被測定物の変位量を測定するための部材を意味する。例えば、レーザー変位計の場合、測定部とは、変位量を測定するために要するレーザー光の投光部と、受光部とを含む部材を意味する。
支持部材91は、ここまで説明した、変位計支持部911、および設置部912以外にさらに任意の部材を有することもできる。
支持部材91は、支持部材91における第2変位計92の位置を調整する調整機構をさらに有することもできる。具体的には、支持部材91は、第2変位計92と、設置部912との間の距離を調整する調整機構をさらに有することができる。
緊張作業を行う施工現場においては、緊張材12の固定端12A側の長さが、予定よりも長くなる場合や、短くなる場合がある。このため、緊張材12の長さ、例えば定着具15から緊張材12の固定端12Aまでの長さが、変化する場合がある。
一方、変位計には測定可能な変位量の範囲がある。このため、緊張材12の長さ、例えば定着具15から固定端12Aまでの長さが、該第2変位測定装置90において予め定められた値からずれていても、ずれ幅が係る変位計の測定可能な変位量の範囲に収まっていれば、緊張材12の変位量を正確に測定できる。しかし、緊張材12の長さが、該第2変位測定装置90において予め定められた値から大きくずれ、ずれの程度が係る変位計の測定可能な変位量の範囲に収まらない場合、緊張材12の変位量を正確に測定できなくなる恐れがある。
そこで、緊張材12の長さに応じて、第2変位計92と、設置部912との間の距離を調整できるように、支持部材91は、調整機構を有することが好ましい。
調整機構の具体的な構成は特に限定されないが、例えば図9に示した第2変位測定装置90の場合、変位計支持部911に、調整機構95としてスリットを有することができる。変位計支持部911にスリットを設けておくことで、第2変位計92をスリットに沿って移動させることができ、第2変位計92の裏面に固定用のねじを設けておくことで、任意の位置で第2変位計92を固定することができる。
ここでは、調整機構95の構成例として、スリットを挙げたが、スリットに替えて、リニアレール(リニアガイド)等を用いることもできる。
本実施形態の第2変位測定装置90が、調整機構95を有することで、第2変位計92と、設置部912との間の距離を調整できる。このため、緊張材12の長さ、例えば定着具15から固定端12Aまでの長さによらず、緊張材12の固定端12Aの変位量を測定できる。
支持部材91の材料は特に限定されず、任意の材料を用いることができる。例えば鉄、ステンレス、アルミニウム等の金属を用いることができる。また、支持部材91の材料として樹脂を用いることもできる。支持部材91の材料は、要求される性能等に応じて選択でき、コストの観点からは鉄を好適に用いることができるが、軽量性や、耐蝕性の観点からはアルミニウムを好適に用いることができる。支持部材91は、既述の様に変位計支持部911と、設置部912と、を有することができる。このため、例えば変位計支持部911と、設置部912とで異なる材料を用いることもできる。既述の様に設置部912の一部または全部を可視光を透過することができる透明な樹脂等で構成することもできる。
ここまで、第2変位測定装置が有する支持部材について、図9、図10を用いて説明したが、係る形態に限定されるものではない。例えば図11に示した第2変位測定装置110や、図12に示した第2変位測定装置120とすることもできる。
図11に示した第2変位測定装置110においても、支持部材111を有することができる。支持部材111は、第2変位測定装置110の一方の端部である第1端部111A側に配置された変位計支持部1111と、第1端部111Aと反対側の端部である第2端部111B側に配置された設置部1112とを有することができる。
設置部1112は、図9に示した設置部912について説明したものと同様の構成とすることができる。すなわち、設置部1112は、貫通孔11121を備えることができる。貫通孔11121は、変位計支持部1111側に配置された第1開口部11121Aと、第1開口部11121Aとは反対側、すなわち第2端部111B側に配置された第2開口部11121Bとを有している。
設置部1112は、上述のように貫通孔11121を備えるため、筒状形状、すなわち管状形状となっている。
図11に示した例では、既述の第3開口部114を第1開口部11121Aとつながるように、設置部1112の側面に配置した例を示しているが、係る形態に限定されず、第3開口部114を設けない構成とすることもできる。また、図9に示した第2変位測定装置90の第3開口部94の様に、設置部1112の側面に、第1開口部11121Aと離して設けることもできる。
図11に示した第2変位測定装置110では、変位計支持部1111が、既述の様に、円筒形状を有している。変位計支持部1111のように、第2変位計92を覆う面積を多くすることで、第2変位計92を保護し、故障を抑制することができる。
そして、図11に示した第2変位測定装置110では、第2変位計92と、設置部1112との間の距離を調整する調整機構115として、変位計支持部1111の側面に第1スリット1151と、設置部1112の側面に第2スリット1152と、を有している。このように第1スリット1151、第2スリット1152を、それぞれ変位計支持部1111、設置部1112に設けておくことで、設置部1112に対する変位計支持部1111の位置を相対的に変化させることができる。このため、設置部1112に対する、変位計支持部1111に設置されている第2変位計92の位置も変化させることができる。
調整機構115は、さらにねじ1153を有しており、ねじ1153を締めることで、設置部1112に対する、第2変位計92の位置を固定することができる。
図11に示した第2変位測定装置110では、調整機構115として、変位計支持部1111と、設置部1112と、の両方にスリットを設けた例を示したが、係る形態に限定されず、いずれか一方の部材にのみスリットを設けても良い。また、スリットに替えて、リニアガイド等とすることもできる。
図12に示した第2変位測定装置120においても、支持部材121を有することができる。支持部材121は、第2変位測定装置120の一方の端部である第1端部121A側に配置された変位計支持部1211と、第1端部121Aと反対側の端部である第2端部121B側に配置された設置部1212とを有することができる。
第2変位測定装置120における設置部1212は、磁石12121を備えておくことができる。そして、磁石12121は、定着具15と対向する面に、溝12122を備えておくことができる。この際、溝12122は、変位計支持部1211と、設置部1212との配列方向、すなわち、第1端部121Aと、第2端部121Bとの配列方向に沿って形成されていることが好ましい。
通常、定着具15は鉄等の金属で構成されていることから、設置部1212が磁石12121を備えることで、該磁石12121により、支持部材121や、支持部材121を含む第2変位測定装置120を、定着具15に容易に設置できる。
既述の様に、定着具15は、例えばメスコーン151と、オスコーン152とを有し、メスコーン151の外形は、例えば円柱形状等の柱状形状を有することができる。このため、磁石12121の、定着具15と対向する面に、変位計支持部1211と、設置部1212との配列方向に沿って溝を形成しておくことで、第2変位測定装置120を、定着具15の中心軸に沿って容易に設置できる。定着具15が把持する緊張材12は、定着具15の中心軸に沿って配置されるため、定着具15の中心軸に沿って第2変位測定装置120を設置することで、緊張材12の変位量を特に正確に測定できる。
また、磁石12121の定着具15と対向する面に溝12122を設けておくことで、磁石12121と定着具15との密着性を高め、緊張材12の固定端12Aの変位を測定する際に第2変位測定装置120の位置がずれることを特に防ぐことができる。
図12において、溝12122の長手方向と垂直な断面が三角形となっているが、係る形態に限定されない。溝12122の、長手方向と垂直な断面が、例えば四角形等の三角形以外の多角形の形状であっても良く、溝12122の長手方向と垂直な断面において、溝12122の表面の形状が円弧のような曲線であっても良い。
図12に示した第2変位測定装置120においても、第2変位計92と、設置部1212との間の距離を調整する調整機構125を有することができる。調整機構125の構成は特に限定されないが、例えば図12に示したように調整機構125としてスリットを有することができる。変位計支持部1211にスリットを設けておくことで、第2変位計92をスリットに沿って移動させることができ、第2変位計92の裏面に固定用のねじを設けておくことで、任意の位置で第2変位計92を固定することができる。
ここでは、調整機構125の構成例として、スリットを挙げたが、スリットに替えて、リニアレール(リニアガイド)等を用いることもできる。
第2変位測定装置120が、調整機構125を有することで、第2変位計92と、設置部1212との間の距離を調整できる。このため、緊張材12の長さ等によらず、緊張材12の固定端12Aの変位量を測定できる。
第2変位測定装置120は、設置部1212が磁石12121を備えているため、磁力により容易に、定着具15に第2変位測定装置120を設置できる。第2変位測定装置120においては、第2変位測定装置90や、第2変位測定装置110のように貫通孔を設ける必要がないため、これらの変位測定装置よりも支持部材121をよりコンパクトにし、軽量化を図ることができる。また、定着具15の周辺を設置部1212により完全に覆う必要がないため、緊張作業中の緊張材12の固定端12A側の定着具15周辺を視認できる。このため、緊張材12の緊張端12B側を牽引し、緊張材に緊張力を導入した際に、固定端12A側のメスコーン151の貫通孔に、オスコーン部材1521、1522、1523が均等に差し込まれていることを確認しながら、緊張作業を実施できる。
(第2変位計)
第2変位測定装置90は、第2変位計92を有することができる。
用いる変位計の種類は特に限定されず、例えば接触式、および非接触式のいずれの形式の変位計も用いることができる。具体的には例えば、レーザー変位計、差動トランス型変位計、渦電流式変位計、静電容量型変位計、共焦点式変位計、光ファイバー式変位計、およびワイヤー式変位計から選択された1種類以上の変位計を用いることができる。
第2変位測定装置は、工事現場等で用いることが考えられるため、粉じんや、水濡れ等にも強い変位計を用いることが好ましく、例えば、変位計がレーザー変位計または差動トランス型変位計であることが好ましい。
レーザー変位計、または差動トランス型変位計は粉じんや、水濡れ等に強く、また精度よく緊張材の固定端の変位量を測定することができるからである。
本実施形態の変位測定装置に用いる第2変位計92は、測定した変位量を表示する表示部921を有することが好ましい。
このように表示部921を有することで、測定値を容易に把握し、緊張管理図等の作成に用いることができるからである。
表示部921としては、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等を用いることができる。
また、第2変位計92は、測定した変位量のデータを外部機器に出力するインターフェース922をさらに有することが好ましい。
第2変位計92が、測定した変位量のデータを外部機器に出力するインターフェース922をさらに有することで、第2変位計92で測定した、緊張材12の固定端12Aの変位量を、パーソナルコンピューターや、データーロガー等の外部機器に出力することができる。このため、出力された緊張材12の固定端12Aの変位量のデータを用いて、緊張材12の伸び量の算出や、緊張管理図の作成等のデータ処理を効率よく行えるため好ましい。また、第2変位計92の測定データを、第2変位測定装置90の近くまで行ってみる必要がなくなるため、作業効率を向上させることができる。
第2変位計92が有する測定した変位量のデータを外部機器に出力するインターフェースの種類は特に限定されず、無線LAN装置等の無線用のインターフェース、USB等の有線用のインターフェースのいずれであっても良い。しかしながら、配線等を設置する必要がないため、無線用のインターフェースであることが好ましい。
第2変位計92が電源を要する場合、電力の供給方法は特に限定されない。このため、電源ケーブルにより電源を供給するタイプの変位計であっても良く、一次電池や、二次電池により電源を供給するタイプの変位計であっても良い。ただし、電源ケーブルにより電源を供給する必要がある場合、取扱い性が低下する恐れもあることから、一次電池や、二次電池等の蓄電デバイスにより電力を供給するタイプの変位計であることが好ましい。
第2変位測定装置は、ここまで説明した支持部材、第2変位計以外にも任意の部材をさらに有することもできる。
第2変位測定装置は、被測定物である、緊張材12の固定端12Aに被せて用いるキャップをさらに有することもできる。
キャップの形態は特に限定されないが、例えば図13に示したキャップ131の様に、円柱形状の外形を有し、一方の端部131A側に開口部を有し、緊張材12を挿入する円柱形状の凹部1311を有することができる。
キャップ131の他方の端部131Bは、図13に示すように、例えば平坦面とすることができる。
緊張材12を切断する際に、緊張材12の長手方向と垂直に切断できず、緊張材12の固定端12Aの面が斜面となる場合がある。緊張材の固定端12Aの面が斜面となった場合、変位計の測定端子の接触位置等によっては、緊張材12の固定端12Aの変位量を正確に測定できない場合がある。このため、固定端12Aにキャップ131を配置し、固定端12Aを平坦面としてから、変位量の測定を行うことが好ましい。
キャップ131は、緊張材12の固定端12Aに固定するキャップ固定部材をさらに有することもできる。キャップ固定部材133は、例えば側面131Cから凹部1311まで貫通した、1つ、または2つ以上のねじ孔1331と、係るねじ孔1331に配置する固定用ねじ1332とを有することができる。
ねじ孔1331から、固定用ねじ1332をねじ込むことで、キャップ131を緊張材12に強く固定することができる。
また、キャップ固定部材133として、キャップ131の凹部1311の内面に配置した接着剤等を用いることもできる。
キャップ131がキャップ固定部材133を有することで、緊張材12の固定端12Aの変位量を測定している間にキャップ131が外れ、測定ができなくなることを防止できる。
(2)変位測定方法
以下、各工程について図14に示したフローチャートを参照しながら、説明する。
(第1設置工程)
第1設置工程S11では、緊張材の緊張端側に第1変位測定装置を設置できる。
具体的には、例えば図4に示したように、既述の第1変位測定装置の反射板部材43を、緊張材12の緊張端12B側に取付けられる。反射板部材43は、緊張材12を牽引するジャッキ41のピストン411に取付けることもできる。
また、第1変位計であるレーザー変位計44を、ジャッキ41のシリンダー412に設置できる。レーザー変位計44をジャッキ41のシリンダー412に設置する際、既述の固定治具を用いることもできる。固定治具については既に説明したため、ここでは説明を省略する。
また、レーザー変位計44を保護する保護カバーを設置することもできる。保護カバーについても既に説明したため、ここでは説明を省略する。
第1設置工程S11では、牽引工程S13による、緊張材12の緊張端12Bの変位量が測定できるように、第1変位計により、緊張端12Bの基準となる位置を設定しておくこともできる。すなわち、第1設置工程S11おいて、緊張材12の緊張端12Bの位置について、0設定を行うこともできる。
(第2設置工程)
第2設置工程S12では、緊張端の固定端側に第2変位測定装置を設置できる。
具体的には、例えば図10に示したように、第2変位測定装置90の支持部材91が有する貫通孔9121の第2開口部9121Bから、貫通孔9121内に緊張材12の固定端12A側を挿入できる。このように、第2変位測定装置90が備える貫通孔9121の第2開口部9121Bから、緊張材12の固定端12Aを挿入するだけで、緊張材12の固定端12Aを把持する定着具15に支持部材91や、支持部材91を含む第2変位測定装置90を設置し、これにより第2変位計92も緊張材12の固定端12Aに設置できる。
第2設置工程S12において、第2変位測定装置90の貫通孔9121の第2開口部9121Bから、緊張材12の固定端12Aを挿入した際に、支持部材91が定着具15等により支持されることが好ましい。
そこで、第2設置工程S12において、貫通孔9121の第2開口部9121Bから、緊張材12の固定端12Aを挿入する際、図10に示すように、設置部912の貫通孔9121内に、定着具15の少なくとも一部を挿入することが好ましい。特に、設置部912が支圧プレート14と接するように、第2設置工程では、設置部912の貫通孔9121内に、定着具15全体を挿入することがより好ましい。
第2設置工程S12において、設置部912の貫通孔9121内に、定着具15の少なくとも一部を挿入することで、定着具15により設置部912を介して支持部材91を支持できる。このため、後述する固定端変位測定工程S15において、固定端12Aの変位量を測定する際の精度を高めることができる。
特に支持部材91は、定着具15に固定できるように構成されていることが好ましい。このため、例えば図10に示すように、設置部912は、支持部材91を、定着具15に固定する固定機構93をさらに有することが好ましい。設置部912が、固定機構93をさらに有する場合、第2設置工程S12において、固定機構93により、支持部材91を定着具15に固定することができる。
設置部912が、固定機構93をさらに有することで、第2設置工程S12で、第2開口部9121Bから、緊張材12の固定端12Aを挿入し、第2変位測定装置90を設置する際に、支持部材91や、支持部材に設置した第2変位計92を、定着具15に強く固定できる。このため、固定端変位測定工程S15で緊張材12の固定端12Aの変位量を測定する際に、第2変位測定装置90の位置がずれることを防止し、測定精度を特に高められる。
また、第2変位測定装置90の支持部材91は、既述の様に、第2変位計92と、設置部912との間の距離を調整する調整機構95をさらに有することもできる。このため、第2設置工程S12において、緊張材12の長さ、例えば定着具15から緊張材12の固定端12Aまでの長さに応じて、調整機構95を用いて第2変位計92と設置部912との間の距離を調整することもできる。
第2設置工程S12を実施することで、例えば図10に示したように、緊張材12の固定端12Aに、第2変位測定装置90が設置された状態となる。
第2設置工程S12では、牽引工程S13による、緊張材12の固定端12Aの変位量が測定できるように、第2変位計92により、固定端12Aの基準となる位置を設定しておくこともできる。すなわち、第2設置工程S12おいて、緊張材12の固定端12Aの位置について、0設定を行うこともできる。
ここでは図9に示した第2変位測定装置90を例に説明したが、係る形態に限定されず、例えば図11に示した第2変位測定装置110や、図12に示した第2変位測定装置120を用いることもできる。
図12に示した第2変位測定装置120を用いた場合、設置部1212が有する磁石12121を定着具15の側面に磁力で吸着させることで第2設置工程S12を実施できる。この際、磁石12121の表面に設けた溝12122が定着具15の側面と対向するように、吸着させることができる。第2変位測定装置120も調整機構125を有することから、第2設置工程S12において、緊張材12の長さに応じて、調整機構125を用いて第2変位計92と設置部1212との間の距離を調整することもできる。
(牽引工程)
牽引工程S13では、図1を用いて説明したように、緊張材12の長手方向において、固定端12Aとは反対側に位置する緊張端12B側をジャッキ16により引っ張り、緊張材12に緊張力を導入できる。
図1に示すように、ジャッキ16は、シリンダー161と、ピストン162とを有し、シリンダー161側をコンクリート構造物11に接する様に配置しておくことができる。牽引工程S13では、緊張材12をピストン162で保持し、ポンプ17から油圧ホース171を介して供給されるオイルの油圧により、ピストン162を本体から押し出すことで、反力をコンクリート構造物11に作用させ、緊張材12を牽引することができる。
牽引工程S13を実施することで、ジャッキ16にポンプ17からオイルが供給され、緊張材12の緊張端12B側が牽引される。緊張材12の緊張端12B側が牽引されることにより、緊張材12に緊張力が導入され、緊張材12が伸びることになる。
牽引工程S13において、緊張材12の緊張端12B側が牽引されることで、既述の様に定着具15のオスコーン部材1521、1522、1523がメスコーン151の貫通孔151A内に差し込まれる。このため、例えば第2変位測定装置90が、第3開口部94を有する場合、牽引工程S13において、第3開口部94から、オスコーン部材1521、1522、1523が均等に差し込まれているか、目視で確認することもできる。
(緊張端変位測定工程)
牽引工程S13で、緊張材12を牽引し、緊張力を導入することで、緊張材12の固定端12A、および緊張端12Bの位置が変位する。このため、緊張端変位測定工程S14では、第1変位測定装置を用いて、緊張端の変位量を測定できる。
本実施形態の変位測定方法で用いる第1変位測定装置では、緊張材、またはピストンに反射板を備えた反射板部材が取り付けられているため、レーザー変位計で、反射板の変位量を測定することで、緊張端の変位量を測定、算出できる。
このため、例えば人手によって測定する場合よりも精度よく、緊張材12の緊張端12Bの変位を測定できる。さらに、第1変位測定装置では、レーザー変位計により、緊張材12の緊張端12Bの変位量を測定できるため、緊張力が導入されている緊張材の緊張端に直接触れることなく実施できる。
第1変位計が表示部を有する場合には、該測定値を表示部に表示させ、必要に応じて記録することができる。また、第1変位計が、測定した変位量のデータを外部機器に出力するインターフェースを有する場合には、第1変位測定工程で測定した緊張端の変位量のデータを、インターフェースから、パーソナルコンピューターや、データーロガー等の外部機器へ出力させることもできる。そして、パーソナルコンピューター等の外部機器は、第1変位計から出力されたデータを自動的に取り込み、場合によってはさらに表計算ソフトウエア等の各種データ処理用のソフトウエアにデータを入力するように構成することもできる。
(固定端変位測定工程)
牽引工程S13で、緊張材12を牽引し、緊張力を導入することで、緊張材12の固定端12Aの位置が変位する。このため、固定端変位測定工程S15では、第2変位測定装置90の第2変位計92を用いて、固定端の変位量を測定できる。
本実施形態の変位測定方法で用いる既述の第2変位測定装置90では、第2変位計92が支持部材91に設置されているため、緊張材12の固定端12Aの変位量を、第2変位計92により測定できる。このため、例えば人手によって測定する場合よりも精度よく、緊張材12の固定端12Aの変位量を測定できる。さらに、第2変位測定装置90では、設置部912により、緊張材12の固定端12Aを把持する定着具15に支持部材91や、支持部材91を含む第2変位測定装置90を設置し、これにより第2変位計92も緊張材12の固定端12Aに設置できる。そして、第2変位測定装置90の設置から、緊張材12の固定端12Aの変位量の測定に至るまで、緊張力が導入されている緊張材の固定端に直接触れることなく実施できる。第2変位測定装置90では特に、支持部材91の一方の端部である第1端部91A側に第2変位計92が設置され、第1端部91Aとは反対側に位置する第2端部91B側に設けた第2開口部9121Bから緊張材12の固定端12Aが挿入されている。このため、固定端変位測定工程S15では、緊張力が導入されている緊張材の固定端に直接触れることなく、第2変位計92により、固定端の変位量を測定することができる。
ここでは図9に示した第2変位測定装置90の場合を例に効果を説明したが、既述の他の第2変位測定装置110、第2変位測定装置120を用いた場合でも同様のことがいえる。
なお、固定端変位測定工程では、第2変位計92により、緊張材12の固定端12Aの端面を測定する場合に限らず、緊張材12の固定端12A側を把持する定着具15のオスコーン152の位置を測定してもよい。オスコーン152の変位量を、緊張材12の固定端12Aの変位量として近似することもできるからである。
第2変位計92が表示部921を有する場合には、該測定値を表示部921に表示させ、必要に応じて記録することができる。また、第2変位計92が、測定した変位量のデータを外部機器に出力するインターフェース922を有する場合には、第2変位測定工程で測定した固定端の変位量のデータを、インターフェース922から、パーソナルコンピューターや、データーロガー等の外部機器へ出力させることもできる。そして、パーソナルコンピューター等の外部機器は、第2変位計92から出力されたデータを自動的に取り込み、場合によってはさらに表計算ソフトウエア等の各種データ処理用のソフトウエアにデータを入力するように構成することもできる。
緊張端変位測定工程S14と、固定端変位測定工程S15とを順に説明したが、両工程は係る順で実施する必要はなく、並行して実施できる。
なお、緊張材は、複数回に分けて牽引し、緊張力を導入することが一般的に行われている。このため、本実施形態の変位測定方法は、牽引工程S13と、緊張端変位測定工程S14と、固定端変位測定工程S15とを繰り返し実施することもできる。緊張端変位測定工程S14と、固定端変位測定工程S15は、牽引工程S13が完了した後に実施する必要はなく、牽引工程S13と、緊張端変位測定工程S14と、固定端変位測定工程S15とを並行して実施することもできる。
本実施形態の変位測定方法は、図15に示すように、上記第1設置工程S11の前、もしくは第2設置工程S12の前に、緊張材12の固定端12Aを覆うキャップ131(図13を参照)を、緊張材12に設置するキャップ設置工程S0をさらに有することもできる。
既述の様に、緊張材12を切断する際に、緊張材12の長手方向と垂直に切断できず、緊張材12の固定端12Aの面が斜面となる場合がある。緊張材の固定端12Aの面が斜面となった場合、変位計の測定端子の接触位置等によっては、緊張材の固定端12Aの変位量を正確に測定できない場合がある。このため、キャップ設置工程S0を予め実施し、固定端12Aにキャップ131を配置し、固定端12Aを平坦面とすることで、固定端変位測定工程S15において、緊張材12の固定端12Aの変位量をより正確に測定することができる。
また、本実施形態の変位測定方法は、緊張端変位測定工程S14で測定した緊張端側の変位量と、固定端変位測定工程S15で測定した固定端側の変位量とを合算し、緊張材全体の変位量を算出する計算工程をさらに有することもできる。
本実施形態の変位測定方法によれば、緊張端変位測定工程S14において、既述の変位測定装置を用いて、緊張材の緊張端の変位量を正確に測定し、緊張材の伸び量を算出している。このため、緊張材の伸び量を精度よく評価することができる。
2.第2の実施形態
次に、本実施形態の変位測定方法の他の構成例について説明する。
本実施形態の変位測定方法は、既述の変位測定装置を用いて実施することができる。このため、既に説明した事項については説明を一部省略する。
本実施形態の変位測定方法は、コンクリート構造物に圧縮力を加える緊張材の変位量を測定する変位測定方法に関する。本実施形態の変位測定方法は、図16に示したフローチャートに従って実施することができ、以下の工程を有することができる。
第1変位測定装置を、緊張材の一方の緊張端の側である、第1緊張端側に設置する第1設置工程。
第2変位測定装置を、緊張材の他方の緊張端の側である、第2緊張端側に設置する第2設置工程。
緊張材の第1緊張端、および第2緊張端の両側から、緊張材を牽引する牽引工程。
牽引工程による、緊張材の第1緊張端の変位量を、第1変位測定装置で測定する第1変位測定工程。
牽引工程による、緊張材の第2緊張端の変位量を、第2変位測定装置で測定する第2変位測定工程。
本実施形態の変位測定方法では、第1変位測定装置、第2変位測定装置として、既述の変位測定装置を用いることができる。
このため、第1変位測定装置は、第1反射板部材と、第1レーザー変位計とを有することができる。
第1反射板部材は、第1反射板と、第1反射板を緊張材または緊張材を牽引する第1ジャッキの第1ピストンに取付ける第1取付治具とを備えることができる。第1変位計は、第1反射板部材にレーザー光を投光する第1投光部と、第1反射板部材からの反射光を受光する第1受光部とを備える第1レーザー変位計とすることができる。
そして、第1設置工程では、第1反射板部材を、緊張材の第1緊張端側または緊張材を牽引する第1ジャッキの第1ピストンに、第1レーザー変位計を第1ジャッキの第1シリンダーにそれぞれ固定できる。第1変位測定工程では、第1レーザー変位計により、第1緊張端の変位量を測定できる。
第2変位測定装置は、第2反射板部材と、第2レーザー変位計とを有することができる。
第2反射板部材は、第2反射板と、第2反射板を緊張材または緊張材を牽引する第2ジャッキの第2ピストンに取付ける第2取付治具とを備えることができる。第2レーザー変位計は、第2反射板部材にレーザー光を投光する第2投光部と、第2反射板部材からの反射光を受光する第2受光部とを備える第2レーザー変位計とすることができる。
そして、第2設置工程では、第2反射板部材を、緊張材の第2緊張端側または緊張材を牽引する第2ジャッキの第2ピストンに、第2レーザー変位計を第2ジャッキの第2シリンダーにそれぞれ固定できる。第2変位測定工程では、第2レーザー変位計により、第2緊張端の変位量を測定できる。
本実施形態の変位測定方法では、図3に示したように、緊張材12の両端を、第1ジャッキ36A、第2ジャッキ36Bにより牽引し、緊張材12に緊張力を導入している。
以下、各工程について図16に示したフローチャートを参照しながら、説明する。
(第1設置工程)
第1設置工程S21では、緊張材の第1緊張端側に第1変位測定装置を設置できる。
具体的には、図3に示したように、緊張材12の一方の緊張端である第1緊張端32A側において、緊張材12、または緊張材12を牽引する第1ジャッキ36Aの第1ピストン362Aに第1変位測定装置の第1反射板部材を取り付けることができる。
また、第1ジャッキ36Aの第1シリンダー361Aに第1レーザー変位計を固定できる。
第1反射板部材、および第1変位計は、第1の実施形態の変位測定方法の第1設置工程の場合と同様に設置できるため、ここでは説明を省略する。
(第2設置工程)
第2設置工程S22では、緊張材の第2緊張端側に第2変位測定装置を設置できる。
具体的には、図3に示したように、緊張材12の他方の緊張端である第2緊張端32B側において、緊張材12、または緊張材12を牽引する第2ジャッキ36Bの第2ピストン362Bに第2変位測定装置の第2反射板部材を取り付けることができる。
また、第2ジャッキ36Bの第2シリンダー361Bに第2レーザー変位計を固定できる。
反射板部材、および第2変位計は、第1の実施形態の変位測定方法の第1設置工程の場合と同様に設置できるため、ここでは説明を省略する。
(牽引工程)
牽引工程S23では、図3を用いて説明したように、緊張材12の長手方向において、第1緊張端32A、および第2緊張端32B側を、それぞれ第1ジャッキ36A、第2ジャッキ36Bにより引っ張り、緊張材12に緊張力を導入できる。
図3に示すように、第1ジャッキ36Aは、第1シリンダー361Aと、第1ピストン362Aとを有する。また、第2ジャッキ36Bは、第2シリンダー361Bと、第2ピストン362Bとを有する。それぞれ、第1シリンダー361A、第2シリンダー361B側をコンクリート構造物11に接する様に配置しておくことができる。牽引工程S23では、緊張材12を第1ピストン362A、第2ピストン362Bで保持し、第1ポンプ37A、第2ポンプ37Bから第1油圧ホース371A、第2油圧ホース371Bを介して供給されるオイルの油圧により、第1ピストン362A、第2ピストン362Bを本体から押し出すことで、反力をコンクリート構造物11に作用させ、緊張材12を牽引することができる。
(第1変位測定工程)
牽引工程S23で、緊張材12を牽引し、緊張力を導入することで、緊張材12の第1緊張端32A、および第2緊張端32Bの位置が変位する。このため、第1変位測定工程S24では、第1変位測定装置を用いて、第1緊張端の変位量を測定できる。
本実施形態の変位測定方法で用いる第1変位測定装置では、緊張材、またはピストンに反射板を備えた反射板部材が取り付けられているため、レーザー変位計で、反射板の変位量を測定することで、緊張端の変位量を測定、算出できる。
このため、例えば人手によって測定する場合よりも精度よく、緊張材12の第1緊張端32Aの変位量を測定できる。さらに、第1変位測定装置では、レーザー変位計により、緊張材12の第1緊張端32Aの変位量を測定できるため、緊張力が導入されている緊張材の緊張端に直接触れることなく実施できる。
第1レーザー変位計が表示部を有する場合には、該測定値を表示部に表示させ、必要に応じて記録することができる。また、第1レーザー変位計が、測定した変位量のデータを外部機器に出力するインターフェースを有する場合には、第1変位測定工程で測定した第1緊張端の変位量のデータを、インターフェースから、パーソナルコンピューターや、データーロガー等の外部機器へ出力させることもできる。そして、パーソナルコンピューター等の外部機器は、第1レーザー変位計から出力されたデータを自動的に取り込み、場合によってはさらに表計算ソフトウエア等の各種データ処理用のソフトウエアにデータを入力するように構成することもできる。
(第2変位測定工程)
第2変位測定工程S25では、第2変位測定装置を用いて、第2緊張端の変位量を測定できる。測定は第1変位測定工程S24の場合と同様に実施できるため、ここでは説明を省略する。
ここでは、第1変位測定工程S24と、第2変位測定工程S25とを順に説明したが、両工程は係る順で実施する必要はなく、並行して実施できる。
なお、緊張材は、複数回に分けて牽引し、緊張力を導入することが一般的に行われている。このため、本実施形態の変位測定方法は、牽引工程S23と、第1変位測定工程S24と、第2変位測定工程S25とを繰り返し実施することもできる。第1変位測定工程S24と、第2変位測定工程S25は、牽引工程S23が完了した後に実施する必要はなく、牽引工程S23と、第1変位測定工程S24と、第2変位測定工程S25とを並行して実施することもできる。
また、第1変位測定工程S24で測定した第1緊張端側の変位量と、第2変位測定工程S25で測定した第2緊張端側の変位量とを合算し、緊張材全体の変位量を算出する計算工程をさらに有することもできる。
本実施形態の変位測定方法によれば、第1変位測定工程S24、第2変位測定工程S25において、既述の変位測定装置を用いて、緊張材の第1緊張端、第2緊張端の変位量を正確に測定し、緊張材の伸び量を算出している。このため、緊張材の伸び量を精度よく評価することができる。
[緊張管理図作成方法]
1.第1の実施形態
次に、本実施形態の緊張管理図作成方法の一構成例について説明する。本実施形態の緊張管理図作成方法は、コンクリート構造物に圧縮力を加える緊張材の緊張端側を牽引した際の、緊張材の伸び量と、前記緊張材に導入した緊張力とを用いて緊張管理図を作成する緊張管理図作成方法に関する。
緊張材を牽引し、緊張力を導入する際、緊張材の伸び量と、緊張材に導入した緊張力とをグラフ化した緊張管理図を作成することが一般的に行われている。本実施形態の緊張管理図作成方法は、以下の工程を実施することで、緊張材の管理図を作成できる。具体的には図17に示したフロー図に沿って実施することができる。
第1変位測定装置を、緊張材の緊張端側に設置する第1設置工程。
第2変位測定装置を、緊張材の固定端側を把持する定着具に設置する第2設置工程。
緊張材の前記緊張端側から、前記緊張材を牽引する牽引工程。
牽引工程による、緊張材の前記緊張端の変位量を、第1変位測定装置で測定する緊張端変位測定工程。
牽引工程による、緊張材の固定端の変位量を、第2変位測定装置で測定する固定端変位測定工程。
牽引工程で、緊張端側から緊張材を牽引する際に用いたジャッキにオイルを供給するポンプの油圧を測定し、緊張材に導入した緊張力を算出する緊張力算出工程。
第1変位測定工程で測定した緊張端の変位量、および第2変位測定工程で測定した固定端の変位量から算出した緊張材の伸び量と、緊張力算出工程で算出した緊張材に導入した緊張力と、を用いて緊張管理図を作成する作図工程。
なお、本実施形態の緊張管理図作成方法では、第1変位測定装置として既述の変位測定装置を用いることができる。また、第2変位測定装置として、変位測定方法の第1の実施形態で説明した第2変位測定装置を用いることができる。
このため、第1変位測定装置は、反射板部材と、第1変位計とを有することができる。
反射板部材は、反射板と、反射板を緊張材または緊張材を牽引するジャッキのピストンに取付ける取付治具とを備えることができる。第1変位計は、反射板部材にレーザー光を投光する投光部と、反射板部材からの反射光を受光する受光部とを備えるレーザー変位計とすることができる。
そして、第1設置工程では、反射板部材を、緊張材の緊張端側または緊張材を牽引するジャッキのピストンに、第1変位計をジャッキのシリンダーにそれぞれ固定できる。第1変位測定工程では、第1変位計により、緊張端の変位量を測定できる。
また、第2変位測定装置は、支持部材と、第2変位計と、を含むことができる。
支持部材は、変位計支持部と、支持部材を定着具に設置する設置部と、を備え、第2変位計は、変位計支持部に設置できる。
第2設置工程では、設置部により、第2変位測定装置を、定着具に設置できる。固定端変位測定工程では、第2変位計により、固定端の変位量を測定できる。
なお、既述の様に、第1変位計や、第2変位計が、測定した変位量のデータを外部機器に出力するインターフェースを有する場合には、緊張端変位測定工程や、固定端変位測定工程で測定した変位量のデータを、インターフェースから、パーソナルコンピューターや、データーロガー等の外部機器へ出力させることもできる。そして、パーソナルコンピューター等の外部機器は、第1変位計、第2変位計から出力されたデータを自動的に取り込み、場合によってはさらに表計算ソフトウエア等の各種データ処理用のソフトウエアにデータを入力するように構成することもできる。
上記工程のうち、第1設置工程S31、第2設置工程S32、牽引工程S33、緊張端変位測定工程S34、固定端変位測定工程S35は、変位測定方法の第1の実施形態の場合と同様に実施できるため、ここでは説明を省略する。また、本実施形態の緊張管理図の作成方法においても、必要に応じて第1設置工程S31の前にキャップ設置工程S0を実施することもできるが、係る工程についても既述の変位測定方法の場合と同様にして実施できるため、ここでは説明を省略する。
以下、緊張力算出工程、作図工程、緊張力判定工程の各工程について説明する。
(緊張力算出工程)
緊張力算出工程S36では、牽引工程S33で、緊張端側から緊張材を牽引する際に用いたジャッキにオイルを供給するポンプの油圧を測定することができる。そして、測定したポンプの油圧から、緊張材に導入した緊張力を算出できる。
緊張材12の緊張端12B側をジャッキ16により牽引する場合、ジャッキ16に油圧ホース171を介してオイルを供給したポンプ17の油圧を、緊張材12に加えた緊張力とすることができる。このため、緊張力算出工程S36では、ジャッキにオイルを供給したポンプの油圧を測定し、緊張材12に加えた緊張力とすることができる。
油圧ホース171の接続部等において圧力損失等が生じる場合には、測定したポンプの油圧を補正し、緊張材に導入した緊張力とすることもできる。
なお、緊張端変位測定工程S34と、固定端変位測定工程S35と、緊張力算出工程S36とは、牽引工程S33が完了した後に実施する必要はない。牽引工程S33と、緊張端変位測定工程S34と、固定端変位測定工程S35と、緊張力算出工程S36とを並行して実施することもできる。
緊張端変位測定工程S34や、固定端変位測定工程S35において、パーソナルコンピューター等の外部機器へ、変位計の測定値を出力している場合には、緊張力算出工程S36で測定、算出した緊張材に加えた緊張力の情報も、係る外部機器へ出力可能に構成することが好ましい。外部機器へ緊張材に加えた緊張力の情報を出力し、外部機器がこれらの情報を取り込めるように構成することで、例えば以下の作図工程をこれらの外部機器により自動的に実施させることも可能になる。
(作図工程)
作図工程S37では、緊張管理図を作図することができる。
図18に緊張管理図の構成例を示す。図18中、直線L1は用いる緊張材の構成等から算出される上限線を、直線L2は用いる緊張材の構成等から算出される下限線を表している。
緊張端変位測定工程S34、固定端変位測定工程S35で測定した緊張材の固定端、緊張端の変位量から、牽引工程S33による、緊張材の伸び量を算出する。そして、緊張材の伸び量と、緊張力算出工程S36で算出した緊張材に導入した緊張力との関係を示すプロットP1を、図18の緊張管理図にプロットすることで、緊張管理図を作成することができる。
作図工程S37の後、さらに任意の工程を有することもできる。
(緊張力判定工程)
牽引工程S33と、緊張端変位測定工程S34と、固定端変位測定工程S35と、緊張力算出工程S36とは、緊張材に導入する緊張力が目標値に達するまでは繰り返し実施することもできる。このため、作図工程S37の後、さらに緊張力判定工程S38を実施し、導入した緊張力が目標値に達したかを判定することができる。
そして、緊張力判定工程S38で緊張材に導入した緊張力が目標値に達していないと判定した場合には、牽引工程S33に戻り、牽引工程S33~作図工程S37を実施し、緊張管理図にプロットを追加していくことができる。
また、緊張力判定工程S38において緊張材に導入した緊張力が目標値に達したと判定した場合には、ジャッキによる緊張材に対する緊張力の導入を終了し、緊張端を固定し、プレストレスト・コンクリート構造物の製造を完了することができる。
本実施形態の緊張管理図の作成方法によれば、緊張端変位測定工程S34において、既述の変位測定装置を用いて、緊張材の緊張端の変位量を正確に測定し、緊張材の伸び量を算出している。このため、作図工程S37で算出する緊張材の伸び量をより正確に評価することができ、正確な緊張管理図を得ることが可能なる。その結果、プレストレスト・コンクリート構造物に加える緊張力を適切に管理することができる。
2.第2の実施形態
次に、本実施形態の緊張管理図作成方法の他の構成例について説明する。本実施形態の緊張管理図作成方法は、コンクリート構造物に圧縮力を加える緊張材の緊張端側を牽引した際の、緊張材の伸び量と、前記緊張材に導入した緊張力とを用いて緊張管理図を作成する緊張管理図作成方法に関する。
本実施形態の緊張管理図作成方法は、以下の工程を実施することで、緊張材の管理図を作成できる。具体的には図19に示したフロー図に沿って実施することができる。
第1変位測定装置を、緊張材の一方の緊張端の側である、第1緊張端側に設置する第1設置工程。
第2変位測定装置を、緊張材の他方の緊張端の側である、第2緊張端側に設置する第2設置工程。
緊張材の前記第1緊張端、および第2緊張端の両側から、緊張材を牽引する牽引工程。
牽引工程による、緊張材の第1緊張端の変位量を、第1変位測定装置で測定する第1変位測定工程。
牽引工程による、緊張材の第2緊張端の変位量を、第2変位測定装置で測定する第2変位測定工程。
牽引工程で、第1緊張端側から緊張材を牽引する際に用いた第1ジャッキにオイルを供給する第1ポンプの油圧、および第2緊張端側から緊張材を牽引する際に用いた第2ジャッキにオイルを供給する第2ポンプの油圧、を測定し、緊張材に導入した緊張力を算出する緊張力算出工程。
第1変位測定工程で測定した第1緊張端の変位量、および第2変位測定工程で測定した第2緊張端の変位量から算出した緊張材の伸び量と、緊張力算出工程で算出した緊張材に導入した緊張力と、を用いて緊張管理図を作成する作図工程。
なお、本実施形態の緊張管理図作成方法では、第1変位測定装置、第2変位測定装置として既述の変位測定装置を用いることができる。
このため、第1変位測定装置は、第1反射板部材と、第1レーザー変位計とを有することができる。
第1反射板部材は、第1反射板と、第1反射板を緊張材または緊張材を牽引する第1ジャッキの第1ピストンに取付ける第1取付治具とを備えることができる。第1レーザー変位計は、第1反射板部材にレーザー光を投光する第1投光部と、第1反射板部材からの反射光を受光する第1受光部とを備えることができる。
そして、第1設置工程では、第1反射板部材を、緊張材の第1緊張端側または緊張材を牽引する第1ジャッキの第1ピストンに、第1レーザー変位計を第1ジャッキの第1シリンダーにそれぞれ固定できる。第1変位測定工程では、第1レーザー変位計により、第1緊張端の変位量を測定できる。
第2変位測定装置は、第2反射板部材と、第2レーザー変位計とを有することができる。
第2反射板部材は、第2反射板と、第2反射板を緊張材または緊張材を牽引する第2ジャッキの第2ピストンに取付ける第2取付治具とを備えることができる。第2レーザー変位計は、第2反射板部材にレーザー光を投光する第2投光部と、第2反射板部材からの反射光を受光する第2受光部とを備えることができる。
そして、第2設置工程では、第2反射板部材を、緊張材の第2緊張端側または緊張材を牽引する第2ジャッキの第2ピストンに、第2レーザー変位計を第2ジャッキの第2シリンダーにそれぞれ固定できる。第2変位測定工程では、第2レーザー変位計により、第2緊張端の変位量を測定できる。
なお、既述の様に、第1レーザー変位計や、第2レーザー変位計が、測定した変位量のデータを外部機器に出力するインターフェースを有する場合には、第1変位測定工程や、第2変位測定工程で測定した変位量のデータを、インターフェースから、パーソナルコンピューターや、データーロガー等の外部機器へ出力させることもできる。そして、パーソナルコンピューター等の外部機器は、第1レーザー変位計、第2レーザー変位計から出力されたデータを自動的に取り込み、場合によってはさらに表計算ソフトウエア等の各種データ処理用のソフトウエアにデータを入力するように構成することもできる。
上記工程のうち、第1設置工程S41、第2設置工程S42、牽引工程S43、第1変位測定工程S44、第2変位測定工程S45は、変位測定方法の第2の実施形態の場合と同様に実施できるため、ここでは説明を省略する。
以下、緊張力算出工程、作図工程、緊張力判定工程の各工程について説明する。
(緊張力算出工程)
緊張力算出工程S46では、牽引工程S43で、第1緊張端側から緊張材を牽引する際に用いた第1ジャッキにオイルを供給する第1ポンプの油圧を測定することができる。また、牽引工程S43で、第2緊張端側から緊張材を牽引する際に用いた第2ジャッキにオイルを供給する第2ポンプの油圧を測定することができる。そして、測定した第1ポンプ、第2ポンプの油圧から、緊張材に導入した緊張力を算出できる。
緊張材12の第1緊張端32A側を第1ジャッキ36Aにより牽引する場合、第1ジャッキ36Aに第1油圧ホース371Aを介してオイルを供給した第1ポンプ37Aの油圧を、緊張材12の第1緊張端32A側に加えた緊張力とすることができる。また、緊張材12の第2緊張端32B側を第2ジャッキ36Bにより牽引する場合、第2ジャッキ36Bに第2油圧ホース371Bを介してオイルを供給した第2ポンプ37Bの油圧を、緊張材12の第2緊張端32B側に加えた緊張力とすることができる。
このため、緊張力算出工程S46では、第1ジャッキ36A、第2ジャッキ36Bにオイルを供給した第1ポンプ37A、第2ポンプ37Bの油圧を測定し、緊張材12に加えた緊張力とすることができる。
第1油圧ホース371Aや、第2油圧ホース371Bの接続部等において圧力損失等が生じる場合には、測定したポンプの油圧を補正し、緊張材に導入した緊張力とすることもできる。
なお、第1変位測定工程S44と、第2変位測定工程S45と、緊張力算出工程S46とは、牽引工程S43が完了した後に実施する必要はない。牽引工程S43と、第1変位測定工程S44と、第2変位測定工程S45と、緊張力算出工程S46とを並行して実施することもできる。
第1変位測定工程S44や、第2変位測定工程S45において、パーソナルコンピューター等の外部機器へ、変位計の測定値を出力している場合には、緊張力算出工程S46で測定、算出した緊張材に加えた緊張力の情報も、係る外部機器へ出力可能に構成することが好ましい。外部機器へ緊張材に加えた緊張力の情報を出力し、外部機器がこれらの情報を取り込めるように構成することで、例えば以下の作図工程をこれらの外部機器により自動的に実施させることも可能になる。
(作図工程)
作図工程S47では、緊張管理図を作図することができる。
作図工程は、第1の実施形態の場合と同様にして実施できるため、ここでは説明を省略する。
作図工程S47の後、さらに任意の工程を有することもできる。
(緊張力判定工程)
牽引工程S43と、第1変位測定工程S44と、第2変位測定工程S45と、緊張力算出工程S46とは、緊張材に導入する緊張力が目標値に達するまでは繰り返し実施することもできる。このため、作図工程S47の後、さらに緊張力判定工程S48を実施し、導入した緊張力が目標値に達したかを判定することができる。
そして、緊張力判定工程S48で緊張材に導入した緊張力が目標値に達していないと判定した場合には、牽引工程S43に戻り、牽引工程S43~作図工程S47を実施し、緊張管理図にプロットを追加していくことができる。
また、緊張力判定工程S48において緊張材に導入した緊張力が目標値に達したと判定した場合には、ジャッキによる緊張材に対する緊張力の導入を終了し、緊張端を固定し、プレストレスト・コンクリート構造物の製造を完了することができる。
本実施形態の緊張管理図の作成方法によれば、第1変位測定工程S44、第2変位測定工程S45において、既述の変位測定装置を用いて、緊張材の緊張端の変位量を正確に測定し、緊張材の伸び量を算出している。このため、作図工程S47で算出する緊張材の伸び量をより正確に評価することができ、正確な緊張管理図を得ることが可能なる。その結果、プレストレスト・コンクリート構造物に加える緊張力を適切に管理することができる。
11 コンクリート構造物
12 緊張材
12A 固定端
12B 緊張端
32A 第1緊張端
32B 第2緊張端
13 シース
14 支圧プレート
15 定着具
151 メスコーン
151A 貫通孔(第2貫通孔)
152 オスコーン
152A 貫通孔(第3貫通孔)
1521、1522、1523 オスコーン部材
16、41 ジャッキ
161、412 シリンダー
162、411 ピストン
17 ポンプ
171 油圧ホース
36A 第1ジャッキ
36B 第2ジャッキ
361A 第1シリンダー
361B 第2シリンダー
362A 第1ピストン
362B 第2ピストン
37A 第1ポンプ
37B 第2ポンプ
371A 第1油圧ホース
371B 第2油圧ホース
42 変位測定装置
43 反射板部材
431、531、631 反射板
4311 反射板
431A 反射面
432、532、632 取付治具
44 レーザー変位計
441 投光部
442 受光部
443 表示部
444 インターフェース
45 保護カバー
53、63 反射板部材
5321 クランプ
5321A 面
5322 締め付けねじ
6321 筒部
6322 固定ねじ
70、80 固定治具
70A 第1面
70B 第2面
71 磁石
711 溝
72、82 レーザー変位計収容部
721、821 切欠き
81 ボルト孔
90、110、120 第2変位測定装置
91、111、121 支持部材
91A、111A、121A 第1端部
91B、111B、121B 第2端部
911、1111、1211 変位計支持部
912、1112、1212 設置部
9121、11121 貫通孔
9121A、11121A 第1開口部
9121B、11121B 第2開口部
92 第2変位計
921 表示部
922 インターフェース
93 固定機構
931、1331 ねじ孔
932 ねじ
94、114、124 第3開口部
95、115、125 調整機構
1151 第1スリット
1152 第2スリット
1153 ねじ
12121 磁石
12122 溝
131 キャップ
1311 凹部
131A 一方の端部
131B 他方の端部
131C 側面
133 キャップ固定部材
1332 固定用ねじ
A 一点鎖線
15 最大径
9121 直径
P1 プロット
L1 直線
L2 直線
S0 キャップ設置工程
S11、S21、S31、S41 第1設置工程
S12、S22、S32、S42 第2設置工程
S13、S23、S33、S43 牽引工程
S14、S34 緊張端変位測定工程
S15、S35 固定端変位測定工程
S24、S44 第1変位測定工程
S25、S45 第2変位測定工程
S36、S46 緊張力算出工程
S37、S47 作図工程
S38、S48 緊張力判定工程
W 最大幅
θ431 角度

Claims (11)

  1. コンクリート構造物に圧縮力を加える緊張材の変位量を測定する変位測定装置であって、
    反射板と、前記反射板を前記緊張材または前記緊張材を牽引するジャッキのピストンに取付ける取付治具とを備える反射板部材と、
    前記反射板部材にレーザー光を投光する投光部と、前記反射板部材からの反射光を受光する受光部とを備えるレーザー変位計と
    前記レーザー変位計を前記ジャッキのシリンダーに固定する固定治具と、を有する変位測定装置。
  2. 前記取付治具はクランプを備え、
    前記クランプの前記緊張材または前記ピストンと対向する面が、前記クランプを取り付ける前記緊張材または前記ピストンの外周面に対応した形状となっている請求項1に記載の変位測定装置。
  3. 前記固定治具は、
    前記シリンダーと対向する第1面側に配置された磁石と、
    前記第1面と反対側の面である第2面側に配置された、前記レーザー変位計を収容するレーザー変位計収容部と、を備える請求項1または請求項2に記載の変位測定装置。
  4. 前記磁石は、前記シリンダーと対向する面に溝を備える請求項に記載の変位測定装置。
  5. 前記固定治具は、
    前記シリンダーに、前記固定治具を固定するためのボルトを挿入するボルト孔と、
    前記レーザー変位計を収容するレーザー変位計収容部と、を備える請求項1または請求項2に記載の変位測定装置。
  6. 前記レーザー変位計を保護する保護カバーをさらに有する請求項1から請求項のいずれか1項に記載の変位測定装置。
  7. 前記レーザー変位計が、測定した変位量のデータを外部機器に出力するインターフェースを有する請求項1から請求項のいずれか1項に記載の変位測定装置。
  8. コンクリート構造物に圧縮力を加える緊張材の変位量を測定する変位測定方法であって、
    第1変位測定装置を、前記緊張材の緊張端側に設置する第1設置工程と、
    第2変位測定装置を、前記緊張材の固定端側を把持する定着具に設置する第2設置工程と、
    前記緊張材の前記緊張端側から、前記緊張材を牽引する牽引工程と、
    前記牽引工程による、前記緊張材の前記緊張端の変位量を、前記第1変位測定装置で測定する緊張端変位測定工程と、
    前記牽引工程による、前記緊張材の前記固定端の変位量を、前記第2変位測定装置で測定する固定端変位測定工程と、を有し、
    前記第1変位測定装置は、
    反射板と、前記反射板を前記緊張材または前記緊張材を牽引するジャッキのピストンに取付ける取付治具とを備える反射板部材と、
    前記反射板部材にレーザー光を投光する投光部と、前記反射板部材からの反射光を受光する受光部とを備えるレーザー変位計である第1変位計と、を有し、
    前記第1設置工程では、前記反射板部材を、前記緊張材の前記緊張端側または前記緊張材を牽引するジャッキのピストンに、前記第1変位計を前記ジャッキのシリンダーにそれぞれ固定し、
    前記緊張端変位測定工程では、前記第1変位計により、前記緊張端の変位量を測定し、
    前記第2変位測定装置は、
    支持部材と、第2変位計と、を含み、
    前記支持部材は、変位計支持部と、前記支持部材を、前記定着具に設置する設置部と、を備え、前記第2変位計は、前記変位計支持部に設置されており、
    前記第2設置工程では、前記設置部により、前記第2変位測定装置を、前記定着具に設置し、
    前記固定端変位測定工程では、前記第2変位計により、前記固定端の変位量を測定する変位測定方法。
  9. コンクリート構造物に圧縮力を加える緊張材の変位量を測定する変位測定方法であって、
    第1変位測定装置を、前記緊張材の一方の緊張端の側である、第1緊張端側に設置する第1設置工程と、
    第2変位測定装置を、前記緊張材の他方の緊張端の側である、第2緊張端側に設置する第2設置工程と、
    前記緊張材の前記第1緊張端、および第2緊張端の両側から、前記緊張材を牽引する牽引工程と、
    前記牽引工程による、前記緊張材の前記第1緊張端の変位量を、前記第1変位測定装置で測定する第1変位測定工程と、
    前記牽引工程による、前記緊張材の前記第2緊張端の変位量を、前記第2変位測定装置で測定する第2変位測定工程と、を有し、
    前記第1変位測定装置は、
    第1反射板と、前記第1反射板を前記緊張材または前記緊張材を牽引する第1ジャッキの第1ピストンに取付ける第1取付治具とを備える第1反射板部材と、
    前記第1反射板部材にレーザー光を投光する第1投光部と、前記第1反射板部材からの反射光を受光する第1受光部とを備える第1レーザー変位計と、を有し、
    前記第2変位測定装置は、
    第2反射板と、前記第2反射板を前記緊張材または前記緊張材を牽引する第2ジャッキの第2ピストンに取付ける第2取付治具とを備える第2反射板部材と、
    前記第2反射板部材にレーザー光を投光する第2投光部と、前記第2反射板部材からの反射光を受光する第2受光部とを備える第2レーザー変位計と、を有し、
    前記第1設置工程では、前記第1反射板部材を、前記緊張材の前記第1緊張端側、または前記緊張材を牽引する前記第1ジャッキの前記第1ピストンに、前記第1レーザー変位計を前記第1ジャッキの第1シリンダーにそれぞれ固定し、
    前記第2設置工程では、前記第2反射板部材を、前記緊張材の前記第2緊張端側、または前記緊張材を牽引する前記第2ジャッキの前記第2ピストンに、前記第2レーザー変位計を前記第2ジャッキの第2シリンダーにそれぞれ固定し、
    前記第1変位測定工程では前記第1レーザー変位計により、前記第1緊張端の変位量を測定し、
    前記第2変位測定工程では前記第2レーザー変位計により、前記第2緊張端の変位量を測定する変位測定方法。
  10. コンクリート構造物に圧縮力を加える緊張材を牽引した際の、前記緊張材の伸び量と、前記緊張材に導入した緊張力とを用いて緊張管理図を作成する緊張管理図作成方法であって、
    第1変位測定装置を、前記緊張材の緊張端側に設置する第1設置工程と、
    第2変位測定装置を、前記緊張材の固定端側を把持する定着具に設置する第2設置工程と、
    前記緊張材の前記緊張端側から、前記緊張材を牽引する牽引工程と、
    前記牽引工程による、前記緊張材の前記緊張端の変位量を、前記第1変位測定装置で測定する緊張端変位測定工程と、
    前記牽引工程による、前記緊張材の前記固定端の変位量を、前記第2変位測定装置で測定する固定端変位測定工程と、
    前記牽引工程で、前記緊張端側から前記緊張材を牽引する際に用いたジャッキにオイルを供給するポンプの油圧を測定し、前記緊張材に導入した緊張力を算出する緊張力算出工程と、
    前記緊張端変位測定工程で測定した前記緊張端の変位量、および前記固定端変位測定工程で測定した前記固定端の変位量から算出した前記緊張材の伸び量と、前記緊張力算出工程で算出した前記緊張材に導入した緊張力と、を用いて緊張管理図を作成する作図工程とを有し、
    前記第1変位測定装置は、
    反射板と、前記反射板を前記緊張材または前記緊張材を牽引するジャッキのピストンに取付ける取付治具とを備える反射板部材と、
    前記反射板部材にレーザー光を投光する投光部と、前記反射板部材からの反射光を受光する受光部とを備えるレーザー変位計である第1変位計と、を有し、
    前記第1設置工程では、前記反射板部材を、前記緊張材の前記緊張端側または前記緊張材を牽引するジャッキのピストンに、前記第1変位計を前記ジャッキのシリンダーにそれぞれ固定し、
    前記緊張端変位測定工程では、前記第1変位計により、前記緊張端の変位量を測定し、
    前記第2変位測定装置は、
    支持部材と、第2変位計と、を含み、
    前記支持部材は、変位計支持部と、前記支持部材を、前記定着具に設置する設置部と、を備え、前記第2変位計は、前記変位計支持部に設置されており、
    前記第2設置工程では、前記設置部により、前記第2変位測定装置を、前記定着具に設置し、
    前記固定端変位測定工程では、前記第2変位計により、前記固定端の変位量を測定する緊張管理図作成方法。
  11. コンクリート構造物に圧縮力を加える緊張材を牽引した際の、前記緊張材の伸び量と、前記緊張材に導入した緊張力とを用いて緊張管理図を作成する緊張管理図作成方法であって、
    第1変位測定装置を、前記緊張材の一方の緊張端の側である、第1緊張端側に設置する第1設置工程と、
    第2変位測定装置を、前記緊張材の他方の緊張端の側である、第2緊張端側に設置する第2設置工程と、
    前記緊張材の前記第1緊張端、および第2緊張端の両側から、前記緊張材を牽引する牽引工程と、
    前記牽引工程による、前記緊張材の前記第1緊張端の変位量を、前記第1変位測定装置で測定する第1変位測定工程と、
    前記牽引工程による、前記緊張材の前記第2緊張端の変位量を、前記第2変位測定装置で測定する第2変位測定工程と、
    前記牽引工程で、前記第1緊張端側から前記緊張材を牽引する際に用いた第1ジャッキにオイルを供給する第1ポンプの油圧、および前記第2緊張端側から前記緊張材を牽引する際に用いた第2ジャッキにオイルを供給する第2ポンプの油圧、を測定し、前記緊張材に導入した緊張力を算出する緊張力算出工程と、
    前記第1変位測定工程で測定した前記第1緊張端の変位量、および前記第2変位測定工程で測定した前記第2緊張端の変位量から算出した前記緊張材の伸び量と、前記緊張力算出工程で算出した前記緊張材に導入した緊張力と、を用いて緊張管理図を作成する作図工程とを有し、
    前記第1変位測定装置は、
    第1反射板と、前記第1反射板を前記緊張材または前記緊張材を牽引する第1ジャッキの第1ピストンに取付ける第1取付治具とを備える第1反射板部材と、
    前記第1反射板部材にレーザー光を投光する第1投光部と、前記第1反射板部材からの反射光を受光する第1受光部とを備える第1レーザー変位計と、を有し、
    前記第2変位測定装置は、
    第2反射板と、前記第2反射板を前記緊張材または前記緊張材を牽引する第2ジャッキの第2ピストンに取付ける第2取付治具とを備える第2反射板部材と、
    前記第2反射板部材にレーザー光を投光する第2投光部と、前記第2反射板部材からの反射光を受光する第2受光部とを備える第2レーザー変位計と、を有し、
    前記第1設置工程では、前記第1反射板部材を、前記緊張材の前記第1緊張端側、または前記緊張材を牽引する第1ジャッキの第1ピストンに、前記第1レーザー変位計を前記第1ジャッキの第1シリンダーにそれぞれ固定し、
    前記第2設置工程では、前記第2反射板部材を、前記緊張材の前記第2緊張端側、または前記緊張材を牽引する第2ジャッキの第2ピストンに、前記第2レーザー変位計を前記第2ジャッキの第2シリンダーにそれぞれ固定し、
    前記第1変位測定工程では前記第1レーザー変位計により、前記第1緊張端の変位量を測定し、
    前記第2変位測定工程では前記第2レーザー変位計により、前記第2緊張端の変位量を測定する緊張管理図作成方法。
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